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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118645
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】基板支持体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025033
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】菊地 右文
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳裕
(72)【発明者】
【氏名】水澤 竜馬
(57)【要約】
【課題】回路パターンを容易に引き剥がすことが可能な基板支持体を提供する。
【解決手段】半導体基板(回路パターン)21を貼り付ける貼り付け面26を有する基材11と、貼り付け面26の少なくとも一部の領域にドット13のパターンが形成された接着層14と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を貼り付ける貼り付け面を有する基材と、
前記貼り付け面の少なくとも一部の領域にドットパターンが形成された接着層と、を備える基板支持体。
【請求項2】
前記ドットパターンにおけるドットのそれぞれは、平面視において同一の面積に設けられる、請求項1に記載の基板支持体。
【請求項3】
前記接着層は、単位面積あたりのドット占有割合が異なる複数の領域を備える、請求項1又は請求項2に記載の基板支持体。
【請求項4】
前記ドット占有割合は、0.13%から40%の中から選択される、請求項3に記載の基板支持体。
【請求項5】
前記貼り付け面のうち外周縁側の第1領域と、前記第1領域よりも内側の第2領域とを有する、請求項3に記載の基板支持体。
【請求項6】
前記第1領域と前記第2領域とで、単位面積あたりのドット占有割合が異なる、請求項5に記載の基板支持体。
【請求項7】
前記第2領域は、平面視における外縁が円形状又は多角形状に形成される、請求項5に記載の基板支持体。
【請求項8】
前記第1領域における前記貼り付け面からのドットの高さと、前記第2領域における前記貼り付け面からのドットの高さとが異なる、請求項5に記載の基板支持体。
【請求項9】
前記第2領域におけるドットの高さは、前記第1領域におけるドットの高さよりも高い、請求項8に記載の基板支持体。
【請求項10】
前記第1領域における前記貼り付け面からのドットの高さと、前記第2領域における前記貼り付け面からのドットの高さとの差が±5%以内である、請求項5に記載の基板支持体。
【請求項11】
前記第1領域における単位面積あたりのドット占有割合は、前記第2領域における単位面積あたりのドット占有割合よりも大きい、請求項5に記載の基板支持体。
【請求項12】
前記第1領域と前記第2領域との間に第3領域が形成され、
前記第3領域は、前記第1領域における単位面積あたりのドット占有割合よりも小さく、前記第2領域における単位面積あたりのドット占有割合よりも大きい、請求項11に記載の基板支持体。
【請求項13】
前記第3領域の幅は、前記第1領域の幅より狭い、請求項12に記載の基板支持体。
【請求項14】
前記接着層は、前記半導体基板の一部又は全部を前記基材から剥離可能な粘着性を有する材料が用いられる、請求項1又は請求項2に記載の基板支持体。
【請求項15】
前記接着層は、ネガレジストにより形成される、請求項14に記載の基板支持体。
【請求項16】
前記ネガレジストは、カチオン重合型ネガレジスト、ラジカル重合型ネガレジスト、又は光架橋型ネガレジストである、請求項15に記載の基板支持体。
【請求項17】
前記基材は、シリコンウエハである、請求項1又は請求項2に記載の基板支持体。
【請求項18】
前記半導体基板は、第1面に他の支持体が貼り付けられた積層体であり、
前記貼り付け面は、前記積層体のうち前記他の支持体が貼り付けられている前記第1面とは反対側の第2面に貼り付けられる、請求項1又は請求項2に記載の基板支持体。
【請求項19】
前記接着層は、前記積層体において前記半導体基板と前記他の支持体とを貼り付けている他の接着層よりも前記半導体基板に対する接着力が弱い、請求項18に記載の基板支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板の回路パターン(半導体装置)が形成された面に基板支持体を貼り付けることが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-42469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、基板支持体の上面全体に接着層が形成され、基板支持体と半導体基板とが貼り合わされた積層体が記載されている。この積層体では、基板支持体の上面全体に接着層が形成されているので、接着面積が広くなり、基板支持体と半導体基板との接着力が強くなる。このため、例えば、後工程で半導体基板の回路パターンを個別にピックアップする際、ピックアップが難しくなる場合がある。また、ピックアップする際に強い力で基板支持体から回路パターンを引き剥がすと、回路パターンの破損を招くおそれがある。
【0005】
本発明は、回路パターンを容易に引き剥がすことが可能な基板支持体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る基板支持体は、半導体基板を貼り付ける貼り付け面を有する基材と、前記貼り付け面の少なくとも一部の領域にドットパターンが形成された接着層と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、基材と半導体基板との間の接着層がドットパターンであるため、基板支持体の上面全体に接着剤が設けられた構成と比較して、基板支持体と半導体基板とを弱く接着することができる。その結果、例えば、回路パターンを基板支持体からピックアップする際、強い力で回路パターンを基板支持体から引き剥がす必要がない。従って、回路パターンのピックアップを高速化でき、効率よく半導体装置を製造することができる。また、基板支持体と半導体基板との接着力が弱いので、回路パターンを基板支持体から引き剥がす際に、回路パターンの破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る基板支持体の一例を示す側面図及び一部拡大図である。
図2】基板支持体の一部を拡大した平面図の一例であり、(A)はドットパターンの一例を示す図であり、(B)は変形例1に係るドットパターンを示す図である。
図3】基板支持体の一部を拡大した平面図の一例であり、(A)は変形例2に係るドットパターンを示す図であり、(B)は変形例3に係るドットパターンを示す図である。
図4】基板支持体の一部を拡大した平面図の一例であり、変形例4に係るドットパターンを示す図である。
図5】第2実施形態に係る基板支持体の一例を示す平面図である。
図6】第3実施形態に係る基板支持体の一例を示す平面図である。
図7】(A)は変形例5に係る基板支持体を示す平面図であり、(B)は変形例6に係る基板支持体を示す平面図である。
図8】第4実施形態に係る基板支持体の一例を示す平面図である。
図9】ドットパターンの一例を示す側面図である。
図10】(A)は変形例7に係るドットパターンを示す側面図であり、(B)は変形例8に係るドットパターンを示す側面図である。
図11】回路パターン(半導体装置)の製造方法の一例を示し、(A)は積層体を製造した状態を示す図、(B)は半導体基板を研磨した状態を示す図、(C)は半導体基板をダイシングした状態を示す図である。
図12】回路パターン(半導体装置)の製造方法の一例を示し、(A)は半導体基板に基板支持体を貼り付ける状態を示す図、(B)は第1支持体を剥離する工程を示す図、(C)は半導体基板の洗浄を示す図である。
図13】回路パターンを基板支持体からピックアップした状態を示す図である。
図14】実施例及び比較例に係る基板支持体の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を省略、又は大きく若しくは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現しており、実際の製品とは形状、寸法等が異なっている場合がある。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る基板支持体10の一例を示す側面図及び一部拡大図である。図1では、基板支持体10を積層体20に適用した状態を示している。図1に示すように、基板支持体10は、積層体20において半導体基板21(回路パターン21A)と接着することにより積層体20を支持する。基板支持体10は、基材11と、貼り付け面12と、ドット13とを備える。基材11は、例えば、ガラス基板、シリコンウエハが挙げられるが、シリコンウエハが望ましい。基材11の平面視における形状は、例えば、半導体基板(半導体ウエハ)21の形状に合わせて円形状に形成されているが、特に限定されず、四角形状、多角形状、楕円状、長円形状等であってもよい。
【0011】
貼り付け面12は、ドット13が形成される。ドット13は、積層体20を貼り付けるための接着層14である。ドット13は、基材11の貼り付け面12上から凸状に突出した状態で形成されている。ドット13(接着層14)は、後述する回路パターン21Aを基材11から剥離可能な接着力(粘着性)を有する組成物が使用される。また、ドット13は、その接着力(粘着性)が後述する第1接着層22の接着力よりも半導体基板21に対する接着力が弱い。
【0012】
また、図1の拡大図において、ドット13は、半導体基板21(積層体20)の第2面26に3つで接触しているが、接触する数は任意である。ドット13を形成する組成物としては、例えば、レジストが使用される。レジストはポジ型、ネガ型の限定はないが、ネガ型レジスト(以下、「ネガレジスト」という)が好ましい。
【0013】
ネガレジストは、カチオン重合型ネガレジスト、ラジカル重合型ネガレジスト、又は光架橋型ネガレジストが挙げられる。中でもカチオン重合型ネガレジストが好ましい。カチオン重合型ネガレジストとしては、例えば、エポキシ樹脂と、光酸発生剤と、アクリル、ウレタン等の可塑剤との混合物等が挙げられる。光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩系等の化合物等が挙げられる。ラジカル重合型ネガレジストとしては、例えば、アクリルモノマーと、光ラジカル重合開始剤と、前述の可塑剤との混合物等が挙げられるが、可塑剤はなくてもよい。光架橋型ネガレジストとしては、ポリヒドロキシスチレン(PHSt)系ポリマーと、メラミン等のバインダと、光酸発生剤との混合物等が挙げられる。
【0014】
ドット13の形状は、例えば、円柱状に形成されるが、三角柱状、四角柱状、多角柱状、楕円柱状等であってもよい。ドット13は、貼り付け面12の全面にわたって形成されているが、この形態に限定されず、貼り付け面12の一部の領域に形成される形態であってもよい。
【0015】
ドット13の形成方法について説明する。ドット13を形成するには、公知のリソグラフィの技術を用いることができる。先ず、基材11上にレジストを塗布する。レジストを塗布する際には公知の塗布装置及び塗布方法を用いることができる。例えば、スピンコート法では、ノズルから基材11上に一定量のレジストを滴下して基材11を高速回転させることにより基材11上にレジストを塗り拡げる。なお、レジストの塗布は、スピンコート法の他に、スプレー法、スリットノズル法など公知の塗布方法を用いてもよい。
【0016】
その後、レジストに含まれている溶媒を除去するために、基材11を70℃~130℃程度で加熱してプリベークを行う。次に、露光装置により、予めドット13の外径(パターン)に併せて作成されたマスクを介して露光光をレジストに照射し、その後現像を行うことによりドット13を形成する。平面視におけるドット13の形状は、上記したマスクによって設定され、ドット13の高さは、レジストの膜厚によって設定される。
【0017】
半導体基板21(積層体20)は、基板支持体10にドット13を介して支持される。積層体20は、半導体基板21と、第1接着層22と、反応層23と、第1支持体24とを備える。第1接着層22は、接着層14とは異なる素材により形成される。半導体基板21は、第1支持体24側の第1面25と、第1面25とは反対側の第2面26とを有している。なお、図1では、半導体基板21が個別化された回路パターン21Aを示している。この回路パターン21Aは、後述するように、例えばリソグラフィ技術等によって形成される。
【0018】
第1接着層22は、半導体基板21(回路パターン21A)と反応層23との間に設けられている。第1接着層22は、半導体基板21に接触して、半導体基板21(又は回路パターン21A)を支持する。第1接着層22は、公知の技術で形成される。第1接着層22は、例えば、第1接着層22を形成するため接着剤を反応層23に塗布することで形成される。接着剤の塗布方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。接着剤の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ローラーブレード法、スプレー法、スリットノズル法等による塗布方法が用いられる。第1接着層22の厚さは、例えば、1~200μmの範囲内であることが好ましく、5~150μmの範囲内であることがより好ましい。また、第1接着層22の厚さは、反応層23より厚い方が好ましい。
【0019】
第1接着層22を形成するための組成物としては、例えば、アクリル系、ノボラック系、ナフトキノン系、炭化水素系、ポリイミド系、エラストマー、ポリサルホン系等の当該分野において公知の種々の組成物が挙げられる。また、組成物としては、例えば、熱可塑性樹脂、希釈溶剤、及び、添加剤等のその他成分を含有しているものが挙げられる。熱可塑性樹脂においては、接着力を発現するものであればよく、例えば、炭化水素樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、エラストマー樹脂、ポリサルホン系樹脂等、又はこれらを組み合わせたもの等を好ましく用いることができる。なお、組成物は、希釈溶剤を含む。
【0020】
反応層23は、第1支持体24と第1接着層22との間に配置される。反応層23は、光の照射、加熱、溶剤への浸漬などによって変質する。反応層23が「変質する」とは、反応層23が僅かな外力を受けて破壊され得る状態、又は反応層23と接する層との間の接着力を低下した状態にさせる現象を意味する。反応層23は、例えば、反応層23を形成するため溶液を第1支持体24に塗布することで形成される。溶液の塗布方法については、特に限定されない。溶液の塗布方法については、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。溶液の塗布方法については、例えば、スピンコート法、ローラーブレード法、スプレー法、スリットノズル法などの塗布方法が用いられる。また、反応層23は、化学気相成長(CVD)で設けられてもよい。
【0021】
反応層23の厚さは、例えば、0.05~50μmであることがより好ましく、0.3~1μmであることがさらに好ましい。反応層23の厚さが0.05~50μmの範囲内に収まっていれば、短時間の光の照射及び低エネルギーの光の照射、あるいは短時間の加熱、溶剤への短時間の浸漬などによって、反応層23に所望の変質を生じさせることができる。また、反応層23の厚さは、生産性の観点から1μm以下の範囲内に収まっていることが特に好ましい。
【0022】
ここで、反応層23を形成する組成物としては、前述したように、短時間の光の照射及び低エネルギーの光の照射、あるいは短時間の加熱、溶剤への短時間の浸漬などによって、形成した反応層23が変質する物質であればよい。組成物としては、例えば、フェノール骨格を有する樹脂成分、光吸収性を有している構造を含む繰り返し単位を有する重合体、フルオロカーボン、無機物、赤外線吸収性の構造を有する化合物、赤外線吸収物質、反応性ポリシルセスキオキサン、又はこれらを含有するものが用いられる。また、この組成物は、任意成分としてフィラー、可塑剤、熱酸発生剤成分、光酸発生剤成分、有機溶剤成分、界面活性剤、増感剤、又は支持基体の分離性を向上し得る成分等を含有してもよい。
【0023】
第1支持体24は、反応層23及び第1接着層22を介して半導体基板21に貼り合わされており、半導体基板21の破損や変形を防ぐために必要な強度を有していることが望ましい。第1支持体24は、例えばガラス基板が用いられる。平面視における第1支持体24の形状は、例えば、半導体基板21に合わせて円形状であるが、特に限定されない。第1支持体24は、平面視において、例えば、四角形状、多角形状、楕円状、長円形状等であってもよい。
【0024】
図2は、基板支持体10の一部を拡大した平面図の一例であり、図2(A)はドットパターンの一例を示す図である。図2(A)に示すように、ドット13のそれぞれは、同一の面積Sに設けられる。また、複数のドット13は、格子状に規則的に配置されている。複数のドット13は、隣り合う間隔が等しい。すなわち、ドット13の中心間の距離Wが同一である。
【0025】
<変形例1>
図2(B)は、変形例1に係るドットパターンを示す図である。図2(B)に示すように、ドット13のそれぞれは、図2(A)と同様に、同一の面積Sに設けられる。また、複数のドット13は、離散的に(散点状に又は不規則で)配置されている。すなわち、ドット13の中心間の距離が異なっている。
【0026】
このように、ドット13は、平面視において、規則的に配置されてもよく、又は離散的に配置されてもよい。なお、面積Sは、半導体基板21(積層体20)の重さ、回路パターン21Aの大きさ等を考慮して適宜設定できる。また、ドット13の中心間の距離も同様に適宜設定できる。
【0027】
<変形例2>
図3は、基板支持体10の一部を拡大した平面図の一例であり、図3(A)は、変形例2に係るドットパターンを示す図である。図3(A)に示すように、複数のドット13A、13Bは、平面視において互いに異なる面積S1、S2に設けられている。ドット13Aの面積S1は、ドット13Bの面積S2より小さい。また、ドット13A、13Bは、格子状に規則的に配置され、1つのドット13Bを複数のドット13Aで囲むように配置されている。なお、ドット13A同士の中心間の距離W、ドット13Aとドット13Bとの中心間の距離Wは、それぞれ同一である。
【0028】
<変形例3>
図3(B)は、変形例3に係るドットパターンを示す図である。図3(B)に示すように、複数のドット13A、13Bは、図3(A)のドット13A、13Bと同様に、平面視において互いに異なる面積S1、S2に設けられている。ドット13A、13Bは、それぞれ離散的に配置されている。ドット13Aの数は、ドット13Bの数より少ない。従って、大きな面積S2を有するドット13Bが近接して配置されず、図3(A)と同様に、平面視において1つのドット13Bを複数のドット13Aで囲むように配置されている。なお、ドット13A、13Bの中心間の距離は異なっている。
【0029】
このように、ドット13は、異なる面積S1、S2のドット13A、13Bが設けられる形態であってもよい。面積S1、S2は、半導体基板21(積層体20)の重さ、回路パターン21Aの大きさ等を考慮して適宜設定できる。また、ドット13A、13Bの中心間の距離も同様に適宜設定できる。なお、変形例2、3では、2種類の異なる面積S1、S2を有するドット13A、13Bが設けられているが、この形態に限定されない。例えば、3種類の異なる面積を有するドット13が設けられる形態であってもよい。また、図3に示すように、大きな面積S2のドット13Bを、小さな面積S1のドット13Aで囲むことに限定されず、ドット13B同士が近接して配置されてもよい。
【0030】
なお、上記した実施形態及び変形例において、ドット13(13A、13B)は、基材11の貼り付け面12において、単位面積あたり(例えば1平方cmあたり)の面積の合計が同一となるように設けられてもよいし、貼り付け面12の一部において単位面積あたりの面積の合計が異なるように設けられてもよい。
【0031】
<変形例4>
図4は、基板支持体10の一部を拡大した平面図の一例であり、変形例4に係るドットパターンを示す図である。図4に示すように、貼り付け面12の一部において、単位面積あたり(例えば1平方cmあたり)のドット13の面積の合計が、領域Rと領域R以外とで異なっている。領域Rは、単位面積あたりのドット13の面積の合計が領域R以外よりも大きい。つまり、領域Rは、ドット13の密度が領域R以外よりも高い。すなわち、領域Rは、ドット13の高密度領域である。領域Rでは、ドット13の中心間距離が領域R以外より小さく設定されている。
【0032】
領域Rは、貼り付け面12において任意に設定可能である。例えば、領域Rを貼り付け面12において離散的に配置する形態であってもよいし、領域Rを貼り付け面12の中央部分又は外周部分に多く配置する形態であってもよい。なお、変形例4では、領域Rと領域R以外とで、平面視において同一の面積を有するドット13を用いているが、この形態に限定されない。領域Rと領域R以外とで、異なる面積のドット13を用いてもよい。また、平面視における領域Rの形状は、矩形状であることに限定されず、例えば、円形状、楕円状、長円形状、多角形状等であってもよい。
【0033】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る基板支持体10の一例を示す平面図である。図5に示すように、基板支持体10は、貼り付け面12のうち、外周縁側である外周部分12Aよりも内側においてドット13が形成されている。外周部分12Aは、基材11の外縁部から一定の幅でリング状に設定されている。外周部分12Aの幅は、任意に設定可能である。外周部分12Aは、接着層14としてのネガレジストがベタ塗りされている。外周部分12Aと外周部分12A以外の面積比は、半導体基板21又は積層体20の重さ等を考慮して適宜設定できる。
【0034】
また、外周部分12Aの内側に形成されたドット13は、上記したように格子状に規則正しく配置されていてもよいし、離散的に配置されていてもよい。さらに、複数のドット13の面積Sは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。この第2実施形態によれば、外周部分12Aの接着層14により半導体基板21(積層体20)を確実に基板支持体10に保持させることができる。なお、外周部分12Aの内側ではドット13が形成されているため、第1実施形態と同様に回路パターン21Aに対する接着力が弱くなり、回路パターン21Aを容易にピックアップすることができる。なお、外周部分12Aには、接着層14が設けられなくてもよい。
【0035】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る基板支持体10の一例を示す平面図である。図6に示すように、基板支持体10は、貼り付け面12において、第1領域R1と第2領域R2とが設定される。第1領域R1は、基材11の外周縁から内側に向かって幅D1のリング状に設定されている。幅D1は、例えば2~25mm程度であり、好ましくは3~10mm程度に設定される。第2領域R2は、第1領域R1の内側に配置され、外周縁は円形状になっている。第1領域R1と第2領域R2とでは、単位面積あたりのドット13の占有割合が異なる。第1領域R1では、ドット13の占有割合は18~50%であり、好ましくは18~35%である。また第2領域R2では、ドット13の占有割合は0.13~0.79%であり、好ましくは0.18~0.6%である。
【0036】
第1領域R1における単位面積あたりのドット13の占有割合は、第2領域R2における単位面積あたりのドット占有割合よりも大きい。すなわち、第1領域R1では、複数のドット13の密度が、第2領域R2の複数のドット13の密度より大きい。第1領域R1は、ドット13の高密度領域であり、第2領域R2は、ドット13の低密度領域である。なお、第3実施形態では、ドット13の面積Sが第1領域R1と第2領域R2とで同一であるが、第1領域R1と第2領域R2とで異なる面積のドット13が用いられてもよい。
【0037】
この第3実施形態によれば、第1領域R1と第2領域R2とで半導体基板21(積層体20)に対する接着力が異なる。第3実施形態のように、第1領域R1において半導体基板21との接着力を高めて、半導体基板21を確実に保持しつつ、第2領域R2において半導体基板21の接着力を弱くすることができる。従って、第1実施形態と同様に、回路パターン21Aを容易にピックアップすることができる。なお、第1領域R1における単位面積あたりのドット占有割合が、第2領域R2における単位面積あたりのドット13の占有割合より小さくてもよい。
【0038】
<変形例5>
図7(A)は、変形例5に係る基板支持体10を示す平面図である。図7(A)に示すように、基板支持体10は、貼り付け面12において、第1領域R3と第2領域R4とが設定される。第2領域R4は、第1領域R3の内側に配置される。第1領域R3の内縁(第2領域R4の外縁)は階段状に形成されている。この階段状は、例えば、矩形状の露光範囲をステップして露光を行うステッパ(縮小投影型露光装置)を用いることで形成可能である。つまり、矩形状の露光範囲の一部が第1領域R3の内縁に残ることで階段状となる。従って、第1領域R3の内縁を曲線とする必要がなく、基板支持体10を容易に製造できる。
【0039】
変形例5の基板支持体10では、第1領域R3の単位面積あたりのドット13の占有割合が、第2領域R4の単位面積あたりのドット13の占有割合よりも大きいが、逆であってもよい。ドット13の占有割合については、上記した第3実施形態と同様に、第1領域R3では、18~50%であり、好ましくは18~35%である。また、第2領域R4では、0.13~0.79%であり、好ましくは0.18~0.6%である。さらに、ドット13の面積Sは、第1領域R3と第2領域R4とで同一であってもよいし、異なってもよい。
【0040】
<変形例6>
図7(B)は、変形例6に係る基板支持体10を示す平面図である。図7(B)に示すように、基板支持体10は、貼り付け面12において、第1領域R5と第2領域R6とが設定される。第2領域R6は、第1領域R5の内側に配置される。第1領域R5の内縁(第2領域R6の外縁)は四角形状に形成されている。この四角形状は、例えば、上記したステッパ(縮小投影型露光装置)を用いることで形成可能である。従って、第1領域R5の内縁を曲線とする必要がなく、基板支持体10を容易に製造できる。
【0041】
変形例6の基板支持体10では、第1領域R5の単位面積あたりのドット13の占有割合が、第2領域R6の単位面積あたりのドット13の占有割合よりも大きいが、逆であってもよい。ドット13の占有割合については、上記した第3実施形態と同様に、第1領域R5では、18~50%であり、好ましくは18~35%である。また、第2領域R6では、0.13~0.79%であり、好ましくは0.18~0.6%である。さらに、ドット13の面積Sは、第1領域R5と第2領域R6とで同一であってもよいし、異なってもよい。
【0042】
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態に係る基板支持体10の一例を示す平面図である。図8に示すように、基板支持体10は、貼り付け面12において、第1領域R7と第2領域R8と第3領域R9とが設定される。第1領域R7は、基材11の外周縁から内側に向かって幅D2のリング状に設定されている。幅D2は、例えば2~25mm程度であり、好ましくは3~10mm程度に設定される。第2領域R8と第3領域R9は、第1領域R7の内側に配置される。第3領域R9は、第1領域R7と第2領域R8との間に配置される。第3領域R9は、外縁から内側に向かって幅D3のリング状に設定されている。幅D3は、例えば0.05~10mm程度であり、好ましくは0.1~0.5mm程度に設定される。第2領域R8は、第3領域R9の内側に配置され、外縁は円形状になっている。
【0043】
第1領域R7と第2領域R8と第3領域R9とでは、単位面積あたりのドット13の占有割合が異なる。第1領域R7、第2領域R8、及び第3領域R9は、それぞれドット13の占有割合が、第1領域R7では、18~50%であり、好ましくは18~35%である。また、第2領域R8では、0.13~0.79%であり、好ましくは0.18~0.6%である。さらに、第3領域R9では、0.79~18%であり、好ましくは0.79~2%である。第1領域R7における単位面積あたりのドット13の占有割合は、第2領域R8及び第3領域R9における単位面積あたりのドット占有割合よりも大きい。また、第3領域R9における単位面積あたりのドット13の占有割合は、第2領域R8における単位面積あたりのドット13の占有割合よりも大きい。すなわち、ドット13の占有割合は、貼り付け面12の外周縁側の第1領域R7から第3領域R9、第2領域R8と内側になるに従って小さくなる。つまり、ドット13の密度が、第1領域R7から第3領域R9、第2領域R8となるに従って小さくなる。
【0044】
なお、第4実施形態では、ドット13の面積Sが第1領域R7と第2領域R8と第3領域R9とで同一であるが、第1領域R7と第2領域R8と第3領域R9とで異なる面積のドット13が用いられてもよい。
【0045】
この第4実施形態によれば、貼り付け面12の外周縁から中心に向かうに従って、半導体基板21(積層体20)に対する接着力が順に弱くなる。従って、半導体基板21の外周側で接着力を強めつつ、中心に向かうに従って接着力を弱くするので、基板支持体10で半導体基板21を確実に保持するとともに、回路パターン21Aを容易にピックアップすることができる。また、第4実施形態のように、第1領域R7、第2領域R8、第3領域R9と順にドット13の占有割合を小さくすることに限定されない。例えば、第1領域R7から第3領域R9、第2領域R8と順にドット13の占有割合が大きくなってもよいし、第3領域R9のドット13の占有割合が一番大きくなってもよい。
【0046】
図9は、ドットパターンの一例を示す側面図である。図9では、第1実施形態のドット13を側面から見た場合を示している。図9に示すように、ドット13は、それぞれ高さHに設けられている。ドット13の高さHは、上記したように、接着層14を形成するネガレジストの膜厚によって設定される。また、第2実施形態から第4実施形態におけるドット13(上記した変形例2、3のドット13A、13Bを含む)においても、高さHで一定に設けられてもよい。高さHは、例えば4~20μmであり、好ましくは4~10μmである。4μm未満では、貼付け不良が生じる恐れがあり、20μm超では、貼付け時にドットが倒れる恐れがある。
【0047】
<変形例7>
図10(A)は、変形例7に係るドットパターンを示す側面図である。図10(A)に示すように、貼り付け面12の一部の領域でドット13の高さを変えてもよい。図10(A)では、上記した第2実施形態、変形例5、6の第1領域R1、R3、R5のドット13と第2領域R2、R4、R6のドット13Cとで高さを変えている。図10(A)に示す例では、第1領域R1のドット13の高さが、第2領域R2のドット13Cの高さに対して差分H1だけ高くなるように設けられている。差分H1は、例えば、第1領域R1等のドット13の高さに対して5%以下となるように設定される。
【0048】
この変形例7によれば、貼り付け面12の中央部分でドット13Cが低いので、半導体基板21(積層体20)と基板支持体10とを貼り合わせた際に、半導体基板21の外周部分において強い接着力を確保しつつ、中央部分において接着力を弱めることができる。従って、基板支持体10で半導体基板21を確実に保持するとともに、回路パターン21Aを容易にピックアップすることができる。
【0049】
<変形例8>
図10(B)は、変形例8に係るドットパターンを示す側面図である。図10(B)に示すように、上記した第2実施形態、変形例5、6の第1領域R1、R3、R5のドット13に対して、第2領域R2、R4、R6のドット13Dの高さが差分H2だけ高くなるように設けられている。差分H2は、例えば、第1領域R1等のドット13の高さに対して5%以下となるように設定される。
【0050】
この変形例8によれば、貼り付け面12の中央部分でドット13Dが高いので、半導体基板21(積層体20)と基板支持体10とを貼り合わせた際に、半導体基板21の中央部分において強い接着力を確保しつつ、外周部分において接着力を弱めることができる。また、上記した第4実施形態の第1領域R7、第2領域R8、及び第3領域R9において、ドット13の高さがそれぞれの領域で異なるように設定してもよい。例えば、第1領域R7、第3領域R9、第2領域R8の順にドット13の高さが低くなるように設定してもよい。
【0051】
上記した変形例7、8のように、貼り付け面12の外周縁側である第1領域R1、R3、R5のドット13に対して、第2領域R2、R4、R6のドット13C、13Dの高さの差分は、±5%以内であることが好ましい。
【0052】
<回路パターン(半導体装置)の製造方法>
図11から図13は、回路パターン21A(半導体装置)の製造方法の一例を示している。先ず、図11(A)に示すように積層体20が製造される。半導体基板21は、リソグラフィ等の公知の手法によって複数の回路パターン21Aが形成されている。一方、第1支持体24上に反応層23を形成するための組成物を例えばスピンコート法により塗布し、200~350℃で一定時間加熱して反応層23を形成する。続いて、反応層23上に第1接着層22を形成するための組成物を例えばスピンコート法により塗布し、220℃で一定時間加熱して第1接着層22を形成する。なお、第1接着層22は、回路パターン21A上に形成(成膜)してもよい。続いて、回路パターン21Aが形成された面に第1接着層22を接触させて第1支持体24と半導体基板21とを圧着して積層体20が形成される。第1支持体24と半導体基板21との圧着では、例えば、180~220℃の温度で加熱しつつ、1000~4000kgfの圧力をかけて行う。
【0053】
次に、図11(B)に示すように、積層体20の状態で半導体基板21の薄化を行う。公知の研磨装置が用いられ、半導体基板21の回路パターン21Aとは反対側の面が研磨される。半導体基板21の研磨は、例えば、回路パターン21Aの近傍に達する程度まで行われる。次に、図11(C)に示すように、半導体基板21のダイシングを行う。ダイシングは、例えば、回路パターン21Aと回路パターン21Aとの間に設定されているスクライブライン(ダイシングライン)に沿ってダイシングソーにより行う。このダイシングに際しては、例えば、ダイシングソーが第1接着層22に達しており、回路パターン21Aを確実に切り離すようにしている。
【0054】
次に、図12(A)に示すように、半導体基板21(回路パターン21A)に基板支持体10を貼り付ける。半導体基板21と基板支持体10との貼り合わせには、例えば、基板貼り合わせ装置が使用される。例えば、ドット13を上方に向けた状態で不図示のテーブル上に基板支持体10が載置された後、基板支持体10の上方に、回路パターン21Aを下に向けた状態で積層体20が搬入され、積層体20の上方から不図示のプレートで半導体基板21を下方に押圧することにより、半導体基板21と基板支持体10とが貼り付けられる。この際、約50~150℃の温度で加熱して約100~4000kgfの押圧力により両者を貼り合わせる。
【0055】
次に、図12(B)に示すように、第1支持体24の反応層23が存在しない側から反応層23に対して、不図示の照射装置から光を照射し、反応層23を変質させる。光は、第1支持体24を透過して反応層23に照射される。光は、反応層23を変質させることが可能な波長の光が用いられる。例えば、UVレーザ、高圧水銀ランプ等から発せられる光が挙げられる。その後、第1支持体24を、吸着装置等を用いて持ち合上げることにより、変質させられている反応層23が破壊されて第1支持体24が回路パターン21A(半導体基板21)から剥離される。
【0056】
次に、図12(C)に示すように、回路パターン21Aの洗浄を行う。第1支持体24を剥離した後、回路パターン21Aの表面には第1接着層22が残っている。このため、第1接着層22を取り除くため、洗浄液Lによる洗浄を行う。洗浄は、公知の洗浄装置が使用でき、洗浄液供給ノズルNから洗浄液Lを吐出させて、回路パターン21Aの表面に残った第1接着層22を洗い流す。使用される洗浄液Lは、第1接着層22を溶解するが、ドット13の組成物であるネガレジストを溶解しない洗浄液Lが使用される。洗浄液Lとしては、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、又はこれらの混合物が挙げられる。例えば、p-メンタン、デカリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等が挙げられる。
【0057】
次に、図13に示すように、基板支持体10から回路パターン21Aをピックアップする。第1接着層22を除去して乾燥した後、例えば、ピックアップ装置の吸着パッドPで1つの回路パターン21Aを吸着し、吸着パッドPを持ち上げることで回路パターン21Aが基板支持体10(ドット13)から引き剥がされる。この動作を繰り返すことで回路パターン21Aが基板支持体10から取り出される。
【実施例0058】
基板支持体10の実施例について説明する。直径300mmのシリコンウエハ(半導体基板21)上に、マスクを介して露光及び現像を行って複数の回路パターン21Aを作成した。一方、直径300mmのガラス基板(第1支持体24)上に、反応層23を作成後、反応層23上に第1接着層22を作成した。次に、シリコンウエハとガラス基板とを圧力4000Kgf、215℃で4分間押圧して圧着させて積層体20を作成した。次に、シリコンウエハの薄化、ダイシングを行って、積層体20において回路パターン21Aを個別化した。
【0059】
ドット13のパターンが異なる基板支持体10を複数用意し、上記のように形成された積層体20を基板支持体10にそれぞれ貼り合わせ、積層体20からガラス基板を剥離した後、基板支持体10から回路パターン21Aを引き剥がして、回路パターン21Aの飛び(チップ飛び)及び剥離性を評価した。回路パターン21Aは、直径15mmの粘着パッドを貼り付けて持ち上げることにより基板支持体10から引き剥がした。飛びについては目測で評価し、剥離性については、粘着パッドの持ち上げる際に要した力の最大荷重で評価した。ここで、チップ飛びとは、積層体20からガラス基板を剥離した後に、第1接着層22を洗浄液Lで洗浄する工程でチップ(回路パターン21A)が基板支持体10から剥がれる現象をいう。チップ飛びのパターンとしては、前述したように、チップが基板支持体10から剥がれる状態、飛んだ(剥がれた)チップが別の場所に落ちる状態、チップの一部が剥がれて傾く状態等がある。
【0060】
実施例1は、SEMI規格標準の12インチウエハである、厚さ775μm、直径300mmのシリコンウエハ(基材11)の貼り付け面12に、円柱形状のドット13をシリコンウエハ全面に規則正しく配列させた基板支持体10を作成した。なお、ドット占有割合は、以下の式で求めた。
ドット占有割合(%)=(基材上のドット面積/基材の面積)×100
実施例1では、回路パターン21Aを10N(ニュートン)未満の力で剥離可能だったが、飛びは若干発生(1%未満)した。
【0061】
比較例3は、実施例1と同様のシリコンウエハ上の全面に、膜厚10μmの接着層14(いわゆるべた膜)を形成した。この基板支持体は、1つのドット13を形成したものとみなしている。他の点は実施例1と同様である。従って、比較例3は、ドット直径がシリコンウエハの直径と同一であり、ドット中心間の距離が0μm、ドット占有割合が100%である。
【0062】
実施例1、比較例3以外の実施例、比較例において使用したシリコンウエハは、実施例1と同様のものである。図14は、実施例1から実施例6、及び比較例1から比較例3に係る基板支持体10の試験結果を示す図である。図14において、飛びの評価で×は飛びが1%以上発生すること、〇は1%未満の発生であること、◎はチップ飛びが発生しなかったことを示している。一方、剥離性の評価で×は最大荷重が20N(ニュートン)以上で剥離若しくは剥離不可であること、〇は10N以上から20N未満で剥離可能であること、◎は10N未満で剥離可能であることを示している。
【0063】
図14に示すように、実施例1から実施例6では、ドット占有割合が0.14%から34.90%である基板支持体10であれば、回路パターン21Aの飛びがほとんど発生せず、発生したとしてもごくわずかであることが確認された。また、剥離性についても少なくとも20N未満という小さな力で、回路パターン21Aを基板支持体10から引き剥がすことが可能であることが確認された。従って、実施例1から実施例6では、回路パターン21Aをピックアップする際に、飛びがなく、効率よく回路パターン21Aを取り出すことができることを確認した。
【0064】
一方、比較例1から比較例3の結果で示すように、ドット占有割合が0.09%、50.30%、100%では、回路パターン21Aの飛びが1%以上発生し(比較例1)、又は剥離性については20N以上という大きな力でなければ回路パターン21Aを剥離することができない(比較例2、比較例3)ことが確認された。
【0065】
実施例1から実施例6は、上記した第1実施形態の基板支持体10を適用しているが、この形態に代えて、上記した第2実施形態から第4実施形態に係る基板支持体10、及び変形例1から変形例8に係る基板支持体10であっても、同様の結果を得ることができる。例えば、上記した実施形態及び変形例において、第1領域R1、R3、R5、R7、第2領域R2、R4、R6、R8、第3領域R9のドット13を、実施例1から実施例6と同様にすることで、実施例1から実施例6と同様の結果を得ることができる。
【0066】
このように、上記した実施形態、変形例、及び実施例に係る基板支持体10は、基材11の貼り付け面12に接着層14として複数のドット13を備えるので、回路パターン21Aに対する接着力が弱く、回路パターン21Aを基板支持体10から容易に引き剥がすことができる。従って、回路パターン21Aのピックアップを高速化でき、効率よく半導体装置を製造することができる。また、基板支持体10と半導体基板21との接着力が弱いので、回路パターン21Aを基板支持体10から引き剥がす際に、回路パターン21Aの破損を抑制できる。
【0067】
以上、本発明の実施形態、変形例、及び実施例について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態、変形例、及び実施例に限定されない。上記した実施形態、変形例、及び実施例に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。上記した実施形態、変形例、及び実施例で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態、変形例、及び実施例で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、実施形態、変形例、及び実施例において示した各動作の実行順序は、前の動作の結果を後の動作で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上記した実施形態、変形例、及び実施例における動作に関して、便宜上「先ず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0068】
10・・・基板支持体
11・・・基材
12・・・貼り付け面
13・・・ドット
14・・・接着層
20・・・積層体
21・・・半導体基板
21A・・・回路パターン(半導体装置)
22・・・第1接着層
23・・・反応層
25・・・第1面
26・・・第2面
R1、R3、R5、R7・・・第1領域
R2、R4、R6、R8・・・第2領域
R9・・・第3領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14