(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118649
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】スラグ移送設備
(51)【国際特許分類】
C22B 7/04 20060101AFI20240826BHJP
F27D 3/14 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
C22B7/04 A
F27D3/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025039
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】小出 克将
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】本村 優貴
(72)【発明者】
【氏名】小林 純一
(72)【発明者】
【氏名】森 勝弘
【テーマコード(参考)】
4K001
4K055
【Fターム(参考)】
4K001AA09
4K001BA12
4K001GA04
4K001GA06
4K001GB12
4K055AA02
4K055JA01
(57)【要約】
【課題】 高所のレードルからスラグ樋に向ってスラグを流下させる場合であっても損耗しにくい長寿命のスラグ樋を備えたスラグ移送設備を提供する。
【解決手段】 レードル2から供給されるスラグを所定の位置まで流す銅製で且つ肉厚部内に冷媒流路を備えた樋7を有するスラグ移送設備5であって、樋7は上流側から下流側に向かって斜め下方に傾斜する長尺状の底部30と、底部30の幅方向両端部からそれぞれ立設し、互いの離間距離が上方に向うに従って徐々に広がるように傾斜する1対の壁部31とから構成され、底部30の上面及び1対の壁部31の内壁面下部に当接する断面逆台形の炭素製の保護材35が底部30の上面に設けられており、保護材35と樋7との間の隙間が生じている部分に好ましくは不定形耐火物36が塗布されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レードルから供給されるスラグを所定の位置まで流す銅製で且つ肉厚部内に冷媒流路を備えた樋を有するスラグ移送設備であって、前記樋は上流側から下流側に向かって斜め下方に傾斜する長尺状の底部と、前記底部の幅方向両端部からそれぞれ立設し、互いの離間距離が上方に向うに従って徐々に広がるように傾斜する1対の壁部とから構成され、前記底部の上面及び前記1対の壁部の内壁面下部に当接する断面逆台形の炭素製の保護材が前記底部の上面に設けられていることを特徴とするスラグ移送設備。
【請求項2】
前記保護材と前記樋との間の隙間が生じている部分に不定形耐火物が塗布されていることを特徴とする、請求項1に記載のスラグ移送設備。
【請求項3】
前記スラグが入ったレードルを載置させた状態で前記樋側に傾転させるレードル傾転機を更に有していることを特徴とする、請求項1に記載のスラグ移送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非鉄金属製錬で生成される熔体状のスラグを移送するスラグ移送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
非鉄金属製錬においては、目的金属を含んだ原料に対して、先ず乾式製錬工程において熔錬処理することで該目的金属を濃縮した後、湿式製錬工程において電解処理することで高純度の目的金属を製造している。例えば銅製錬では、先ず乾式銅製錬工程において、主原料である銅品位20~30%程度の銅精鉱に対して熔錬炉、転炉、及び精製炉で順次処理することで銅品位99%程度の精製粗銅を生成した後、湿式製錬工程において、上記の精製粗銅を鋳造して得たアノードと別途用意したカソードとを電解槽に装入して電解精製を行うことで最終製品として銅品位99.99%の電気銅を製造している。
【0003】
より具体的に説明すると、乾式銅製錬工程では、上記熔錬炉として例えば自熔炉に銅精鉱とフラックスとを装入して熔融及び酸化させることで、主としてFeからなる不純物がスラグ(カラミとも称する)として分離除去されて銅品位60~70%程度のマット(カワとも称する)が生成される。このマットを略円筒形の容器を横置きにした形状の転炉にレードルを介して装入して更に酸化させることで、銅品位98%程度の粗銅が生成される。この粗銅を精製炉に装入して酸素等の不純物を除去することで、銅品位99%程度の精製粗銅が生成される。なお、上記の自熔炉で分離除去されたスラグは微量のマットを含んでいるので、錬カン炉に移送されて銅の回収が行なわれる。
【0004】
上記のレードルを介して転炉内に受け入れたマットは、転炉スラグ(転炉カラミとも称する)及び白カワに分離する造カン期(造カン工程とも称する)と、該造カン期で生成した白カワから硫黄を分離する造銅期(造銅工程とも称する)との2工程からなるバッチ操作で処理される。すなわち、先ず造カン期では、自熔炉から受け入れた銅品位60~70%程度のマットに対して、フラックスと称するSiO2を主成分とする硅石を加えると共に、空気又は酸素冨化空気を吹き込むことにより酸化処理が施される。これにより、Feをほとんど含まない銅品位70~80%程度の白カワと、Fe-SiO2系の転炉スラグとが生成され、これらは転炉内でそれぞれ下層側と上層側に分離する。この造カン期に続く造銅期では、上記転炉スラグを転炉から抜き出した後に残る白カワに対して、空気又は酸素冨化された空気を吹き込むことにより酸化処理が施され、これにより白カワに含まれている硫黄分がSO2として分離して粗銅が生成される。
【0005】
上記の造カン期で生成した転炉スラグは5%程度の銅を含んでいるため、転炉を回動させることでその炉口から転炉スラグのみを排出して上部が開放した金属製の容器からなるレードルに受け入れる。レードル内に受け入れた転炉スラグは、鋳カン機で鋳造された後、粉砕処理又は選鉱処理された後に例えば上記自熔炉に装入される。上記のレードルから鋳カン機への転炉スラグの供給にはスラグ樋が用いられる。このスラグ樋のように、一般的に1000℃を超える高温の熔体の流路となる樋には、当該高温の熔体が接しても容易に損傷することのない強度が求められる。そこで、このような高温の熔体に対する耐久性を備えた様々な樋が提案されている。
【0006】
例えば特許文献1には、フェロニッケル製錬の電気炉の壁部から抜き出される熔融スラグ用のスラグ樋が開示されている。この特許文献1のスラグ樋は、冷却水の流路を備えた銅製の溝状部とその内側に設けられたカーボン製の内張部とからなり、内張部において熔融スラグに接する面は、流れ方向に垂直な断面形状が円弧になっている。また、この内張部は、熔融スラグの流れ方向に延在する両端部に各々好適にはマグネシア粉とマグネシア粒との混合物からなる不定形耐火物の堤状部が施工されている。これにより、1500℃以上の高温の熔融スラグを流しても熱による損傷が生じないので、メンテナンスが容易で且つ長寿命であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1のスラグ樋のように、電気炉の壁部から抜き出されるスラグが導入される場合は、該スラグ樋の導入側端部を該電気炉の壁部のスラグ排出口に近接させることができるので、スラグによる浸食が大きな問題になることはない。しかしながら、レードルからスラグ樋にスラグを供給する場合は、高所からスラグをスラグ樋の導入側端部に落下させることになるので、この落下したスラグによってスラグ樋の特に導入側端部が損耗する問題が生ずることがあった。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高所のレードルからスラグ樋にスラグを供給する場合であっても容易に損耗することのない長寿命のスラグ樋を備えたスラグ移送設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るスラグ移送設備は、レードルから供給されるスラグを所定の位置まで流す銅製で且つ肉厚部内に冷媒流路を備えた樋を有するスラグ移送設備であって、前記樋は上流側から下流側に向かって斜め下方に傾斜する長尺状の底部と、前記底部の幅方向両端部からそれぞれ立設し、互いの離間距離が上方に向うに従って徐々に広がるように傾斜する1対の壁部とから構成され、前記底部の上面及び前記1対の壁部の内壁面下部に当接する断面逆台形の炭素製の保護材が前記底部の上面に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高所のレードルからスラグ樋にスラグを供給する場合であっても、該スラグ樋が容易に損耗するのを防ぐことができるので、該スラグ樋の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態のスラグ移送設備をその前段の自熔炉及び転炉と共に示すフロー図である。
【
図3】
図2のスラグ移送設備が有する樋をその排出側端部から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るスラグ移送設備の実施形態について図面を参照しながら説明する。この本発明の実施形態のスラグ移送設備は、原料の銅精鉱を自熔炉及び転炉において順次処理することで生成される転炉スラグを鋳カン機などの転炉スラグ処理装置に向けて移送する設備である。すなわち、
図1(a)に示すように、乾式銅製錬の自熔炉1では、リアクションシャフト11の頂部に設けた精鉱バーナー12からフラックスと共に装入した銅精鉱を酸化処理することで、主として硫化銅からなるマットと、主として酸化鉄及びシリカからなるスラグとが生成される。これらマット及びスラグは、セトラー13内においてそれぞれ下層側と上層側とに分離され、該セトラー壁部に設けられた排出口から別々に抜き出される。
【0013】
上記の上層側のスラグは、セトラー13で沈降分離しきれなかった微細な液滴状のマットを含んでいるので、セトラー壁部の上部排出口から抜き出されて図示しない錬カン炉に移送され、ここで時間をかけてマットの沈降分離が行なわれる。一方、上記の下層側のマットは、セトラー壁部の下部排出口から抜き出されてレードル2に受け入れられる。マットを受け入れたレードル2は、天井クレーンなどの搬送手段3により転炉4の近傍まで搬送され、ここでレードル2を傾転することで転炉4の炉口から転炉4内にマットが装入される。
【0014】
上記のようにして転炉4内に装入されたマットに空気を吹き込むことで、該マットに含まれる硫化鉄や硫黄分が酸化処理される。これにより、転炉スラグと白カワとが生成される。上記の転炉スラグは白カワよりも上層側に分離するので、
図1(b)に示すように、転炉4を回動させることでその炉口から転炉スラグのみが流し出されてレードル2内に受け入れられる。転炉スラグを受け入れたレードル2は、天井クレーンなどの搬送手段3により本発明の実施形態のスラグ移送設備5まで移送される。このスラグ移送設備5は、上記の転炉スラグが入っているレードル2を載置した状態で該レードル2を傾転させるレードル傾転機6と、このレードル傾転機6の傾転に伴って傾転するレードル2の注ぎ口から供給される転炉スラグを所定の位置まで流す流路の役割を担う銅製の樋7及びこれを保護する保護材35とから構成される。
【0015】
より具体的に説明すると、レードル傾転機6は、転炉スラグが入っているレードル2が載置される好適には略矩形板状の基台部20と、この基台部20を樋7側に傾転させるべく基台部20において樋7側とは反対側の端部に設けられた油圧シリンダー等の昇降手段21とからなる。上記の基台部20には更に樋7側の端部に軸支部22が設けられており、昇降手段21を作動させて例えばシリンダーからピストンロッドを少しずつ突出させることで、該ピストンロッドの先端部に係合している基台部20を上記の軸支部22を支点として樋7側に徐々に傾動させることができる。これにより、基台部20の上面に載置されているレードル2を、その注ぎ口側が上端開放部において最も下方となる姿勢を維持したまま徐々に大きく傾けることができるので、レードル2内の転炉スラグをレードル2の注ぎ口から少しずつ流し出すことができる。なお、上記の基台部20には、傾転させたときにレードル2が基台部20の上面から脱離して転落することのないように、少なくとも傾転方向の両側からレードル2を挟み込む位置に支持部23が設けられている。
【0016】
図2に示すように、上記のレードル傾転機6の傾転によりレードル2の注ぎ口2aから流れ出る転炉スラグが導入される樋7は、該転炉スラグが導入される上流側から下流側に向けて斜め下方に傾斜する長尺状の底部30と、この底部30の幅方向両端部からそれぞれ立設し、互いの離間距離が上方に向うに従って徐々に広がるように傾斜する1対の壁部31とから構成される。なお、樋7の上流側末端には、導入された転炉スラグがこぼれ落ちないように、上記1対の壁部31と同じ高さの末端壁部32が設けられていることが好ましい。また、樋7はその長手方向の途中で2個以上に分割可能であってもよい。樋7の肉厚部内には1又は複数本の流路が設けられており、その入口ノズル33から冷却水などの冷媒を導入して出口ノズル34から排出することにより、高温の転炉スラグからの入熱を抜熱することができる。
【0017】
ところで、レードル傾転機6の基台部20に載置されているレードル2の注ぎ口2aから樋7の底部30の上流側端部までの落差は、一般的に約300mm以上になる。従って、レードル2の注ぎ口2aから流れ出る転炉スラグが落下するこの樋7の上流側端部において保護材35の損耗が最も激しくなる。そこで、本発明の実施形態のスラグ移送設備においては、保護材35の材質を炭素製とすると共に、その形状を樋7の底部30の上面及び1対の壁部31の内壁面下部に当接するように、樋7の流れ方向に垂直な断面において逆台形形状にしている。この保護材35を、樋7の上流側端部から下流側端部まで延在するように底部30の上面に設けている。
【0018】
上記のように、保護材35は樋7の底部30の上面と1対の壁部31の内壁面下部に当接しているので、これら底部30及び1対の壁部31の肉厚部内に設けた流路に冷却水などの冷媒を流通させることとの協働により効率的な抜熱が可能になる。よって、保護材35に高温の転炉スラグが流れているときでも、保護材35の温度を下げることができるので、保護材35の素材である炭素の強度を最大限引き出すことが可能になる。また、保護材35の下面及び側面を全面に亘って樋7の内側に当接させることで、レードル2から樋7に落下する転炉スラグによって保護材35が受ける衝撃を、保護材35が当接する上記の樋7の内側全体で受け止めて均一に分散させることができるので、保護材35に局所的な大きな力がかかりにくく、よってこれら保護材35の破損を防ぐことができる。
【0019】
更に、本発明の実施形態のスラグ移送設備においては、上記の保護材35と樋7との間の隙間が生じている部分には、アルミナ系、シリカ系、又はSiC系の不定形耐火物36を塗布することが好ましい。即ち、上記のように、保護材35と樋7とは互いに当接させるため、それらの当接面はいずれもできるだけ平坦に形成するものの、これら当接面同士の間には微視的に見れば僅かな隙間が生じており、そこに存在する熱伝導率の低い空気が保護材35から樋7への良好な伝熱を妨げる伝熱抵抗になり得る。これに対して、上記のように、保護材35と樋7との間の隙間が生じている部分に不定形耐火物を塗布することで、容易にこの隙間を埋めることができ、伝熱性能を高めることができる。
【0020】
なお、上記の不定形耐火物の塗布後の膜厚には特に限定はないが、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。また、上記の材料の中ではSiC系が好ましい。その理由は、SiC(炭化ケイ素)は上記の材料の中では最も熱伝導率が高いうえ、上記の隙間を埋めるべく保護材35及び樋7の少なくとも一方に塗布するときに不定形耐火物の密度をより均一化することができるからである。これにより、前述したように転炉スラグがレードル2から樋7に落下したときに保護材35が受ける衝撃をより効果的に分散させることが可能になる。
【0021】
上記の保護材35において、転炉スラグが接触する上面は平坦であることが好ましいが、その幅方向中央部に流れ方向に沿って溝を設けてもよい。この場合は、当該溝の部分で保護材35の厚さが薄くなりすぎて、保護材35の強度が低下することのないように留意するのが好ましい。具体的には、保護材35の強度を維確保するため、
図3に示すように保護材35のうち最も肉厚が薄い部分の厚みtで保護材35の下面側の幅wを除したときの値w/tが2.5未満であることが好ましい。なお、上記のw/tの下限値は特に限定はないが、一般的には1.0程度が好ましい。以上説明したように、本発明の実施形態のスラグ移送設備は、高所に位置するレードルから高温のスラグが落下しても、樋が受ける機械的及び熱的衝撃を緩和することができるので、スラグ移送設備の寿命を延ばすことができる。
【実施例0022】
[実施例1]
図2に示すようなレードル傾転機6と、このレードル傾転機6の傾転によりそこに載置したレードルから供給されるスラグを流す流路の役割を担う銅製の樋7とからなるスラグ移送設備5を用いて、転炉で生成した転炉スラグを複数のスラグ鋳型がチェーンコンベアで搬送される構造の鋳カン機に供給した。具体的には、樋7の底部30の上面の長さを525mm、幅を180mmとし、その両端部からそれぞれ立設する1対の壁部31の上端部の互いの離間距離を320mmとした。この樋7は長手方向の途中で3分割可能な構造とし、その各々の肉厚部内に冷却水の循環用流路を設けた。
【0023】
上記の1対の壁部31の内壁面のうち最下部から高さ80mmまでの部分と底部30の上面とに当接するように、長さ525mmでその長手方向に垂直な断面形状が逆台形の炭素製の保護材35を底部30の上面に設けた。
図3に示すように、保護材35は厚み(t)を80mm、下面側の幅(w)を180mmとしたので、w/tは2.3となる。なお、上流側から下流側に向かって斜め下方に傾斜する底面30に沿って保護材35がすべり落ちることのないように、樋7の下流側末端にストッパーの役割を担う金属片を溶接により取り付けた。上記構造のスラグ移送設備5を使用して15,000tの転炉スラグを処理した際に損耗により交換した保護材35の個数を記録した。
【0024】
[実施例2]
保護材35と樋7との間の隙間が生じている部分にSiC系の不定形耐火物36を塗布したことを除いて、上記実施例1と同様にして15,000tの転炉スラグを処理し、その際に損耗により交換した保護材35の個数を記録した。
【0025】
[比較例]
保護材35と樋7の底部30とを互いに当接させずに約10mm離間させた状態で保護材35を樋7の一対の壁部31で支持すると共に、この離間することで生じた空間にアルミナ系の不定形耐火物を充填したことを除いて上記実施例1と同様にして92,000tの転炉スラグを処理し、その際に損耗により交換した保護材35の個数を記録した。
【0026】
[評価]
上記の実施例1、2及び比較例で交換した保護材35の個数を、転炉スラグの処理量あたりで比較したところ、転炉スラグの処理量1,000tあたり、実施例1は比較例に比べて30%減少した。また、実施例2は比較例に比べて35%減少した。上記の結果から、本発明の要件を満たすスラグ移送設備は、従来の樋に比べて保護材の寿命を大幅に延ばすことができることが分かった。また、不定形耐火物としてSiC系を塗布することが優れていることが分かった。