(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118666
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】ワークの加工方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240826BHJP
B23K 26/53 20140101ALI20240826BHJP
B23K 26/364 20140101ALI20240826BHJP
【FI】
H01L21/78 V
H01L21/78 B
B23K26/53
B23K26/364
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025068
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 章文
【テーマコード(参考)】
4E168
5F063
【Fターム(参考)】
4E168AD02
4E168AE01
4E168CA06
4E168CB02
4E168CB22
4E168HA01
4E168JA13
4E168JA14
5F063AA05
5F063AA15
5F063CB02
5F063CB03
5F063CB06
5F063CB07
5F063CB28
5F063DD26
5F063DD27
5F063DD81
(57)【要約】
【課題】分割時のワークの損傷を抑制することができるワークの加工方法を提供すること。
【解決手段】ワークの加工方法は、ワークの裏面に裏面側テープを配設し表面に表面側テープを配設してワークをテープで挟み込み、表面側テープと裏面側テープとの少なくとも一方の外周縁をフレームに固定する準備ステップ1001と、分割予定ラインに沿ってレーザビームを照射して分割予定ラインに沿った分割起点を形成する分割起点形成ステップ1002と、分割すべき分割予定ラインに隣接した領域をワークの上下から一対の挟持バーで挟持し、分割すべき分割予定ラインを挟んで一対の挟持バーの反対側で分割すべき分割予定ラインに隣接した領域のワークを押圧バーで押圧し分割すべき分割予定ラインに沿ってワークを分割する分割ステップ1003と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割予定ラインが設定されたワークの加工方法であって、
ワークの裏面に裏面側テープを配設するとともにワークの表面に表面側テープを配設してワークを該裏面側テープと該表面側テープとで挟み込み、該表面側テープと該裏面側テープとの少なくとも一方の外周縁をフレームに固定する準備ステップと、
該準備ステップを実施した後、該表面側テープまたは該裏面側テープを透過して該分割予定ラインに沿ってレーザビームを照射して該分割予定ラインに沿った分割起点を形成する分割起点形成ステップと、
該分割起点形成ステップを実施した後、分割すべき分割予定ラインに隣接した領域をワークの上下から一対の挟持バーで挟持するとともに、該分割すべき分割予定ラインを挟んで該一対の挟持バーの反対側で該分割すべき分割予定ラインに隣接した領域のワークを押圧バーで押圧し該分割すべき分割予定ラインに沿ってワークを分割する分割ステップと、
を備えたワークの加工方法。
【請求項2】
該分割起点形成ステップでは、ワークに対して透過性を有する波長のレーザビームを照射して該分割予定ラインに沿った改質層を該分割起点として形成する、請求項1に記載のワークの加工方法。
【請求項3】
該分割起点形成ステップでは、ワークに対して吸収性を有する波長のレーザビームを照射して該分割予定ラインに沿ったレーザ加工溝を該分割起点として形成する、請求項1に記載のワークの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の分割予定ラインが設定されたワークの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスやサファイア、SiC等のワークは、設定された分割予定ラインに沿って分割され、複数のチップが形成される。ワークを分割する場合、例えば分割予定ラインに沿ってレーザビームを照射してワーク内部に改質層を形成した後、従来から種々のブレーキング装置で分割している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、分割起点としてワーク内部に改質層を形成する他、ワークにレーザビームを照射してアブレーション加工を施し分割起点としてレーザ加工溝を形成することも広く行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されたブレーキング装置は、分割で生じた分割屑やレーザ加工で生じた加工屑がワーク上面に付着した状態で、押圧バーで押圧するとワークを損傷しかねないため、改善が切望されていた。
【0006】
本発明の目的は、分割時のワークの損傷を抑制することができるワークの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のワークの加工方法は、分割予定ラインが設定されたワークの加工方法であって、ワークの裏面に裏面側テープを配設するとともにワークの表面に表面側テープを配設してワークを該裏面側テープと該表面側テープとで挟み込み、該表面側テープと該裏面側テープとの少なくとも一方の外周縁をフレームに固定する準備ステップと、該準備ステップを実施した後、該表面側テープまたは該裏面側テープを透過して該分割予定ラインに沿ってレーザビームを照射して該分割予定ラインに沿った分割起点を形成する分割起点形成ステップと、該分割起点形成ステップを実施した後、分割すべき分割予定ラインに隣接した領域をワークの上下から一対の挟持バーで挟持するとともに、該分割すべき分割予定ラインを挟んで該一対の挟持バーの反対側で該分割すべき分割予定ラインに隣接した領域のワークを押圧バーで押圧し該分割すべき分割予定ラインに沿ってワークを分割する分割ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
前記ワークの加工方法において、該分割起点形成ステップでは、ワークに対して透過性を有する波長のレーザビームを照射して該分割予定ラインに沿った改質層を該分割起点として形成しても良い。
【0009】
前記ワークの加工方法において、該分割起点形成ステップでは、ワークに対して吸収性を有する波長のレーザビームを照射して該分割予定ラインに沿ったレーザ加工溝を該分割起点として形成しても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、分割時のワークの損傷を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るワークの加工方法の加工対象のワークを模式的に斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るワークの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、
図2に示されたワークの加工方法の準備ステップ後のワークを模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示されたワークの加工方法の分割起点形成ステップを模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示された分割起点形成ステップの変形例を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係るワークの加工方法の分割ステップを実施するブレーキング装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示されたブレーキング装置の挟持ユニットの下側挟持ユニットの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図6に示されたブレーキング装置の挟持ユニットの上側挟持ユニットの構成を示す一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図9】
図9は、
図6に示されたブレーキング装置の押圧バーを一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図10】
図10は、
図9に示された矢印X方向からみた荷重計測部を一部断面で模式的に示す正面図である。
【
図11】
図11は、
図2に示されたワークの加工方法の分割ステップにおいて、フレーム固定ユニットにフレームを固定した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図12】
図12は、
図2に示されたワークの加工方法の分割ステップにおいて、検出ユニットで分割すべき分割予定ラインを検出する状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図13】
図13は、
図2に示されたワークの加工方法の分割ステップにおいて、挟持バー間に分割すべき分割予定ラインの隣のデバイスを挟持した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図14】
図14は、
図2に示されたワークの加工方法の分割ステップにおいて、分割すべき分割予定ラインを分割した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るワークの加工方法を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るワークの加工方法の加工対象のワークを模式的に斜視図である。
図2は、実施形態1に係るワークの加工方法の流れを示すフローチャートである。実施形態1に係るワークの加工方法は、
図1に示すワーク200を個々のチップ210に分割する方法である。
【0014】
(ワーク)
実施形態1に係るワークの加工方法の加工対象のワーク200は、例えば、ガラス、サファイア、SiCなどを基板201とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。ワーク200は、
図1に示すように、表面202に互いに交差する複数の分割予定ライン203が設定されるとともに、分割予定ライン203によって区画された領域にデバイス204が形成されている。なお、本発明では、ワーク200は、実施形態1では、基板201が硬質材であるSiCで構成されているが、本発明では、基板201がガラス、サファイア、SiC以外の材質で構成されても良く、デバイス204が形成されていなくても良い。
【0015】
デバイス204は、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、LED(Light-Emitting Diode)等の光学素子又はメモリ(半導体記憶装置)である。
【0016】
(ワークの加工方法)
実施形態1に係るワークの加工方法は、ワーク200を分割予定ライン203に沿って個々のチップ210に分割する方法である。なお、チップ210は、基板201の一部と基板201の表面に形成されたデバイス204とを備える。ワークの加工方法は、
図2に示すように、準備ステップ1001と、分割起点形成ステップ1002と、分割ステップ1003とを備える。
【0017】
(準備ステップ)
図3は、
図2に示されたワークの加工方法の準備ステップ後のワークを模式的に示す斜視図である。準備ステップ1001は、ワーク200の表面202の裏側の裏面205に裏面側テープ206を配設するとともにワーク200の表面202に表面側テープ207を配設してワーク200を裏面側テープ206と表面側テープ207とで挟み込み、表面側テープ207と裏面側テープ206との少なくとも一方の外周縁をフレーム208に固定するステップである。
【0018】
実施形態1において、準備ステップ1001では、ワーク200よりも大径な円形の裏面側テープ206の中央上にワーク200の裏面205を載置し、裏面側テープ206の外周縁上に内径がワーク200の外径よりも大径でかつ裏面側テープ206の外径よりも小径であり外径が裏面側テープ206の外径よりも大径な環状のフレーム208を載置する。実施形態1において、準備ステップ1001では、ワーク200の表面202に表面側テープ207を載置する。なお、実施形態1では、表面側テープ207は、外径が裏面側テープ206の外径と等しく、ワーク200の表面202上に中央部が載置される。
【0019】
また、実施形態1では、表面側テープ207及び裏面側テープ206は、ポリオレフィンやポリエチレンなどの非粘着性の熱可塑性樹脂からなる基材のみで構成された所謂糊なしテープである。表面側テープ207及び裏面側テープ206は、軟化点又は融点を超える温度まで加熱されると、軟化又は溶融して、接着力を発現する。また、表面側テープ207及び裏面側テープ206は、常温において伸縮性を有する。
【0020】
実施形態1において、準備ステップ1001では、接着装置が、図示しない加熱ユニットでテープ206,207の軟化点を超えかつ融点を下回る温度(例えば、80℃以上でかつ120℃以下の温度)まで加熱する。実施形態1において、準備ステップ1001では、テープ206,207を軟化させて、図示しないローラで表面側テープ207をワーク200に押圧しながらローラを表面側テープ207上で転動させて、
図3に示すように、テープ206,207をワーク200及びフレーム208に接着する。
【0021】
本発明では、準備ステップ1001において、ヒートガン等で温風をテープ206,207に噴射して、テープ206,207を加熱し、接着しても良く、ローラ内に発熱体を内蔵しておき、発熱体がテープ206,207を加熱しながらローラでテープ206,207をワーク200及びフレーム208に押圧して、接着しても良い。また、本発明では、準備ステップ1001において、テープ206,207を融点を超える温度まで加熱して、テープ206,207を溶融させて、ワーク200及びフレーム208に接着しても良い。
【0022】
なお、実施形態1において、準備ステップ1001では、裏面側テープ206と表面側テープ207とのそれぞれの外周縁をフレーム208に貼着して、これらテープ206,207間にワーク200及びフレーム208を密着させて挟み込んでいる。しかしながら、本発明において、準備ステップ1001では、裏面側テープ206と表面側テープ207とのうち一方をワーク200と同径に形成して、他方のみの外周縁をフレーム208に貼着しても良い。要するに、実施形態1において、準備ステップ1001では、裏面側テープ206と表面側テープ207との少なくとも一方の外周縁をフレーム208に固定すれば良い。
【0023】
また、本発明では、裏面側テープ206と表面側テープ207とは、非粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された基材層と、基材層に積層されかつ粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された糊層とを備えた所謂糊ありテープであってもよい。また、本発明において、裏面側テープ206と表面側テープ207とのうち一方が糊なしテープであり、他方を糊ありテープであっても良い。このように、本発明では、裏面側テープ206と表面側テープ207とは、同じ種類のテープであっても良く、異なる種類のテープであっても良い。
【0024】
(分割起点形成ステップ)
図4は、
図2に示されたワークの加工方法の分割起点形成ステップを模式的に示す斜視図である。
図5は、
図4に示された分割起点形成ステップの変形例を模式的に示す斜視図である。分割起点形成ステップ1002は、準備ステップ1001を実施した後、表面側テープ207または裏面側テープ206を透過して分割予定ライン203に沿ってレーザビーム83,84を照射して分割予定ライン203に沿った分割起点209を形成するステップである。
【0025】
実施形態1において、分割起点形成ステップ1002では、
図4に示すレーザ加工装置80が、ワーク200の裏面205を裏面側テープ206を介して図示しないチャックテーブルの保持面に吸引保持し、フレーム9をチャックテーブルの周囲に設けられた図示しないクランプ部で挟持する。実施形態1において、分割起点形成ステップ1002では、レーザ加工装置80が、撮像ユニット81でワーク200の表面202を撮像し、ワーク200の分割予定ライン203とレーザビーム照射ユニット82の集光レンズとの位置合わせを行なうアライメントを遂行する。
【0026】
実施形態1において、分割起点形成ステップ1002では、レーザ加工装置80が、
図4に示すように、チャックテーブルとレーザビーム照射ユニット82とを分割予定ライン203に沿って相対的に移動させながら、集光点を基板201の内部に設定して、表面側テープ207及びワーク200に対して透過性を有する波長のレーザビーム83を表面側テープ207を透過して各分割予定ライン203上に向かって照射して、基板201の内部に分割予定ライン203に沿って分割起点209として改質層211を形成する。
【0027】
なお、改質層211は、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味し、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、及びこれらの領域が混在した領域等を例示できる。改質層211は、基板201の他の箇所よりも機械的な強度が低い。
【0028】
実施形態1において、分割起点形成ステップ1002では、レーザ加工装置80が、ワーク200の全ての分割予定ライン203に沿って基板201の内部に改質層211を形成するとともに、改質層211から表面202と裏面205とのうち少なくとも一方に至るクラックを形成する。このように、実施形態1において、分割起点形成ステップ1002では、レーザ加工装置80が、ワーク200に対して透過性を有する波長のレーザビーム83を照射して、分割予定ライン203に沿った改質層211を分割起点209として形成する。
【0029】
また、本発明において、分割起点形成ステップ1002では、レーザ加工装置80が、
図5に示すように、チャックテーブルとレーザビーム照射ユニット82とを分割予定ライン203に沿って相対的に移動させながら、集光点を基板201の表面202に設定して、表面側テープ207に対して透過性を有しかつワーク200に対して吸収性を有する波長のレーザビーム84を表面側テープ207を透過して各分割予定ライン203上に向かって照射して、分割予定ライン203に沿って分割起点209である基板201の表面202から凹のレーザ加工溝212を形成しても良い。
【0030】
図5に示された場合、分割起点形成ステップ1002では、レーザ加工装置80が、ワーク200の全ての分割予定ライン203に沿って基板201の表面202から凹のレーザ加工溝212を形成する。このように、
図5に示された場合、分割起点形成ステップ1002では、レーザ加工装置80が、ワーク200に対して吸収性を有する波長のレーザビーム84を照射して、分割予定ライン203に沿ったレーザ加工溝212を分割起点209として形成する。
【0031】
(ブレーキング装置)
次に、分割ステップを実施する
図6に示されたブレーキング装置1を説明する。
図6は、実施形態1に係るワークの加工方法の分割ステップを実施するブレーキング装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図7は、
図6に示されたブレーキング装置の挟持ユニットの下側挟持ユニットの構成を模式的に示す斜視図である。
図8は、
図6に示されたブレーキング装置の挟持ユニットの上側挟持ユニットの構成を示す一部断面で模式的に示す側面図である。
図9は、
図6に示されたブレーキング装置の押圧バーを一部断面で模式的に示す側面図である。
図10は、
図9に示された矢印X方向からみた荷重計測部を一部断面で模式的に示す正面図である。
【0032】
図6に示されたブレーキング装置1は、ワーク200を分割起点209を起点に分割して、ワーク200を個々のチップ210に分割する装置である。ブレーキング装置1は、
図6に示すように、フレーム固定ユニット10と、検出ユニット20と、挟持ユニット40と、押圧バー60と、コントローラである制御ユニット100と、表示ユニット110と、図示しない入力ユニットとを備える。
【0033】
フレーム固定ユニット10は、フレーム208を固定するものである。フレーム固定ユニット10は、装置本体2上にX軸移動ユニット30により水平方向と平行なX軸方向に移動自在に設けられた移動フレーム11と、移動フレーム11上に配設されたフレーム固定部材12とを備える。
【0034】
フレーム固定部材12は、内外径がフレーム208の内外径と同等の円環状に形成され、上面がフレーム208が裏面側テープ206の外周を介して載置される保持面13となっている。保持面13は、水平方向に沿って平坦である。実施形態1では、フレーム固定部材12は、保持面13に図示しない吸引源に接続した吸引孔が開口している。
【0035】
フレーム固定ユニット10は、吸引孔が吸引源により吸引されることで、保持面13に載置されたフレーム208を保持面13に裏面側テープ206を介して吸引して固定する。なお、本発明では、フレーム208が磁性体により構成されている場合には、フレーム固定ユニット10は、フレーム固定部材12内に磁石(永久磁石又は電磁石)を配設しておき、保持面13に載置されたフレーム208を磁力で吸着して固定しても良く、フレーム208が非磁性体により構成されている場合には、フレーム固定ユニット10は、保持面13との間にフレーム208を挟持して、フレーム208を固定するクランプ機構を備えても良い。また、フレーム固定ユニット10は、図示しない回転駆動機構によりZ軸方向(鉛直方向ともいう)と平行な軸心回りに回転自在である。
【0036】
なお、X軸移動ユニット30は、装置本体2上に設置され、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させることで移動フレーム11及びフレーム固定部材12をX軸方向に移動させる周知のモータ及び移動フレーム11をX軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール31を備える。
【0037】
検出ユニット20は、フレーム固定ユニット10でフレーム208が固定されたワーク200の分割予定ライン203を検出するものである。検出ユニット20は、装置本体2からX軸移動ユニット30のガイドレール31を跨って立設した門型の門型フレーム3にY軸移動ユニット32により水平方向と平行でかつX軸方向に対して直交するY軸方向に移動される移動テーブル4に設置されている。検出ユニット20は、移動テーブル4に設置されることで、Y軸移動ユニット32によりY軸方向に移動自在に配設されている。
【0038】
検出ユニット20は、対物レンズが鉛直方向と平行なZ軸方向に対向するものを撮像するCCD(Charge Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子等の撮像素子を備えた撮像カメラ21を含む。検出ユニット20は、撮像素子が撮像した画像を取得し、取得した画像を制御ユニット100に出力する。また、検出ユニット20は、フレーム固定ユニット10で固定されたフレーム208の開口に収容されたワーク200を撮像して、ワーク200の分割予定ライン203と押圧バー60等との位置合わせを行うアライメントを遂行するための画像を取得する。
【0039】
なお、門型フレーム3及び移動テーブル4は、両表面が鉛直方向と平行なZ軸方向と平行な平板状でかつ互いに間隔をあけて平行に重ねられている。Y軸移動ユニット32は、門型フレーム3上に設置され、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させることで移動テーブル4をY軸方向に移動させる周知のモータ及び移動テーブル4をY軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール33を備える。
【0040】
挟持ユニット40は、ワーク200の分割すべき分割予定ライン203に隣接した領域のワーク200のデバイス204をZ軸方向に沿って上下から挟持するものである。挟持ユニット40は、
図6に示すように、下側挟持ユニット41と、上側挟持ユニット50とを備える。
【0041】
下側挟持ユニット41は、フレーム固定ユニット10の下方に配置され、フレーム固定ユニット10に固定されたフレーム208の開口に収容されたワーク200の分割すべき分割予定ライン203の隣接した領域であるデバイス204を下方から押圧するものである。下側挟持ユニット41は、
図7に示すように、Z軸移動ユニット34によりZ軸方向に昇降自在に設けられたブラケット42と、ブラケット42に軸心回りに回転自在に支持された回転体43と、回転体43の外周面から突出した互いに長さの異なる複数の矩形状挟持バー44(挟持バーに相当)とを備える。
【0042】
回転体43は、軸心がY軸方向と平行に配設され、両端がブラケット42により回転自在に支持されている。回転体43は、図示しない回転機構により軸心回りに回転される。複数の矩形状挟持バー44は、それぞれ厚みが一定のY軸方向に直線状の矩形板状に形成され、Y軸方向の長さがそれぞれ異なって様々な長さになるように形成されている。複数の矩形状挟持バー44のうち最も長い矩形状挟持バー44の長さは、ワーク200の最も長い分割予定ライン203の長さと同等であり、最も短い矩形状挟持バー44の長さは、ワーク200の最も短い分割予定ライン203の長さと同等である。
【0043】
複数の矩形状挟持バー44は、回転体43の回転によって突出する向きが変更される。複数の矩形状挟持バー44のうち回転体43のからZ軸方向に沿って上向きに配置された矩形状挟持バー44は、Z軸移動ユニット34により下降されると、上端がフレーム固定ユニット10により固定されたフレーム208の開口に収容されたワーク200に貼着した裏面側テープ206よりも下方に位置し、Z軸移動ユニット34により上昇されると、上端がフレーム固定ユニット10により固定されたフレーム208の開口に収容されたワーク200よりも上方に位置する。複数の矩形状挟持バー44のうち回転体43のからZ軸方向に沿って上向きに配置された矩形状挟持バー44は、Z軸移動ユニット34により上昇されると、上端でワーク200の分割すべき分割予定ライン203の隣のデバイス204を裏面205側から上方に押圧する。
【0044】
即ち、下側挟持ユニット41は、回転体43の軸心回りの向きを変更することで、上向きとなる矩形状挟持バー44の長さを選択でき、その選択した矩形状挟持バー44でワーク200の分割すべき分割予定ライン203の隣のデバイス204を裏面205側から上方に押圧する。
【0045】
なお、Z軸移動ユニット34は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させることでブラケット42をZ軸方向に昇降させる周知のモータ及びブラケット42をZ軸方向に昇降自在に支持する周知のガイドレール35を備える。
【0046】
上側挟持ユニット50は、フレーム固定ユニット10の上方に配置され、フレーム固定ユニット10により固定されたフレーム208の開口に収容されたワーク200の分割すべき分割予定ライン203の隣でかつ下側挟持ユニット41により下方から押圧されたデバイス204を、下側挟持ユニット41との間に挟持するものである。上側挟持ユニット50は、移動テーブル4に昇降ユニット36よりZ軸方向に移動される移動基台5に設置されている。
【0047】
移動基台5は、両表面がZ軸方向と平行な平板状に形成され、移動テーブル4上に間隔をあけて重ねられている。移動基台5には、両表面202が水平方向と平行な水平部材6が固定されている。
【0048】
昇降ユニット36は、移動テーブル4に設置され、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させることで移動基台5をZ軸方向に昇降させる周知のモータ37及び移動基台5をZ軸方向に昇降自在に支持する周知のガイドレール38を備える。
【0049】
上側挟持ユニット50は、
図8に示すように、シリンダユニット51と、上側挟持バー52(挟持バーに相当)と、スライドユニット53とを備える。シリンダユニット51は、水平部材6に固定されたシリンダ54と、Z軸方向と平行な棒状状に形成され、シリンダ54から伸縮自在であるとともに、シリンダ54から伸長すると下端が下降するロッド55とを備える。
【0050】
上側挟持バー52は、厚みが一定のY軸方向に直線状でかつ両表面がZ軸方向と平行な矩形板状に形成され、Y軸方向の長さがワーク200の最も長い分割予定ライン203の長さと同等である。上側挟持バー52は、上端にシリンダユニット51のロッド55の下端が固定されて、移動基台5に間隔をあけて重ねられている。上側挟持バー52は、回転体43から上向きの矩形状挟持バー44とZ軸方向に対向する。
【0051】
また、スライドユニット53は、上側挟持バー52を移動基台5に対して相対的にZ軸方向にスライド自在に支持している。スライドユニット53は、移動基台5と上側挟持バー52とのうちの一方である移動基台5に固定されかつZ軸方向と平行な直線状のガイドレール56と、移動基台5と上側挟持バー52とのうちの他方である上側挟持バー52に固定されかつガイドレール56にこのガイドレール56の長手方向即ちZ軸方向にスライド自在に支持されたスライダ57とを備える。
【0052】
上側挟持バー52は、ロッド55が伸長した状態で、昇降ユニット36により上昇されることで、下端がフレーム固定ユニット10により固定されたフレーム208の開口に収容されたワーク200よりも上方に位置し、昇降ユニット36により下降されると、下端が回転体43のからZ軸方向に沿って上向きに配置された矩形状挟持バー44により押圧されたワーク200の分割すべき分割予定ライン203の隣のデバイス204を矩形状挟持バー44との間に挟持する。
【0053】
押圧バー60は、分割すべき分割予定ライン203を挟んで挟持ユニット40の挟持バー44,52のY軸方向の反対側で分割すべき分割予定ライン203に隣接した領域のワーク200のデバイス204を押圧し、分割すべき分割予定ライン203に沿ってワーク200をブレーキング(分割ともいう)するものである。押圧バー60は、
図8に示すように、水平部材6に第2X軸移動ユニット61によりX軸方向に移動自在に設置された押圧移動基台62に設置されている。
【0054】
押圧移動基台62は、両表面がZ軸方向と平行で、かつ上端側の厚肉部63と下端側の薄肉部64とを一体に備えて形成され、上側挟持バー52上に間隔をあけて重ねられている。実施形態1では、押圧移動基台62は、厚肉部63と薄肉部64の上側挟持バー52から離れた側の表面が同一平面状に形成され、上側挟持バー52側に厚肉部63と薄肉部64との間の段差が形成されている、また、実施形態1では、押圧移動基台62は、薄肉部64を貫通した平面形状が矩形の開口65が設けられている。
【0055】
第2X軸移動ユニット61は、水平部材6に設置され、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させることで押圧移動基台62をX軸方向に移動させる周知のモータ66及び押圧移動基台62をZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール67を備える。
【0056】
押圧バー60は、Y軸方向に直線状でかつ両表面がZ軸方向と平行な矩形板状に形成され、Y軸方向の長さがワーク200の最も長い分割予定ライン203の長さと同等である。押圧バー60は、下端部に下方に向かうにしたがって徐々に厚みを薄くする先細部68が形成されている。実施形態1では、先細部68は、上側挟持バー52側の表面がZ軸方向に沿って平坦に形成され、上側挟持バー52から離れた側の表面が下方に向かうにしたがって徐々に上側挟持バー52に近付く方向に水平方向とZ軸方向との双方に対して傾斜している。
【0057】
また、押圧バー60は、一対のスライドユニット69により押圧移動基台62にZ軸方向にスライド自在に支持されている。一対のスライドユニット69は、Y軸方向に間隔をあけて配置されている。スライドユニット69は、押圧移動基台62と押圧バー60とのうちの一方である押圧移動基台62に固定されかつZ軸方向と平行な直線状のガイドレール691と、押圧移動基台62と押圧バー60とのうちの他方である押圧バー60に固定されかつガイドレール691にこのガイドレール691の長手方向即ちZ軸方向にスライド自在に支持されたスライダ692とを備える。
【0058】
押圧バー60は、昇降ユニット36により上昇されることで、下端がフレーム固定ユニット10により固定されたフレーム208の開口に収容されたワーク200よりも上方に位置し、昇降ユニット36により下降されると、Y軸方向に、分割すべき分割予定ライン203を挟持バー44,52との間に位置付けるワーク200のデバイス204を下方に押圧する。実施形態1では、押圧バー60は、ワーク200の上側挟持バー52とのY軸方向の距離がチップ210の幅の75%~85%程度となる位置を下方に押圧する。なお、本発明では、押圧バー60は、ワーク200の上側挟持バー52とのY軸方向の距離がチップ210の幅の65%~95%程度となる位置を下方に押圧すれば良い。なお、押圧バー60が押圧する位置が上側挟持バー52からのY軸方向の距離が近すぎても割れにくく、遠すぎても押圧バー60がすでに割れた分割予定ライン203側に逃げて割れないので、押圧バー60が、ワーク200の上側挟持バー52とのY軸方向の距離がチップ210の幅の65%~95%程度となる位置、望ましくはチップ210の幅の75%~85%程度となる位置を下方に押圧するのが望ましい。押圧バー60は、昇降ユニット36により下降されると、Y軸方向に、分割すべき分割予定ライン203を挟持バー44,52との間に位置付けるワーク200のデバイス204を下方に押圧して、この分割すべき分割予定ライン203を分割する。
【0059】
また、押圧バー60は、
図9に示す荷重測定部70により押圧移動基台62に固定されている。荷重測定部70は、一対のスライドユニット69間に配置されている。荷重測定部70は、
図9及び
図10に示すように、押圧バー60がワーク200を押圧する荷重の値(以下、荷重値と記す)を測定する荷重計71と、保持部材72と、支持部材73と、バネ75と、支持部74(
図10のみに示す)とを備える。
【0060】
荷重計71は、Z軸方向の押圧バー60がワーク200を押圧する荷重値を測定するものであり、実施形態1では、周知のロードセルであるが、ロードセルに限定されない。荷重計71は計測結果である荷重値を制御ユニット100に出力する。荷重計71は、押圧移動基台62の開口65内に配置されている。
【0061】
保持部材72は、押圧バー60に一端部が固定され、押圧バー60から押圧移動基台62に向かって延在して他端部が押圧移動基台62の開口65内に配置されている。保持部材72は、他端部に荷重計71の下端を支持している。
【0062】
支持部材73は、押圧移動基台62の開口65内に配置され、上端が開口65の上側の内面に固定され、下端が荷重計71の上端を支持している。支持部74は、押圧移動基台62の開口65内に配置され、下端が開口65の下側の内面に固定され、上端が保持部材72の下端部を支持している。
【0063】
バネ75は、開口65の下側の内面と保持部材72の他端部との間に配置され、保持部材72の他端部を介して、押圧移動基台62に対して相対的に押圧バー60を上方に付勢している。実施形態1では、バネ75は、押圧バー60と保持部材72と荷重計71とを合わせた質量に対応した力で、保持部材72及び押圧バー60を上方に付勢している。バネ75が前述した力で付勢することで、押圧バー60と保持部材72と荷重計71とを合わせた質量が相殺されて、荷重計71は、押圧バー60と保持部材72と荷重計71とを合わせた質量よりも小さい荷重値を測定することができる。このように、ブレーキング装置1は、押圧バー60がワーク200を押圧する荷重値を測定する荷重計71を備える。
【0064】
制御ユニット100は、ブレーキング装置1の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、ワーク200の各分割予定ライン203を分割する分割動作をブレーキング装置1に実施させるものである。制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、ブレーキング装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介してブレーキング装置1の上述した各ユニットに出力する。また、制御ユニット100は、荷重計71で測定された荷重値に基づいて、分割予定ライン203の分割結果を判定し、分割結果を分割予定ライン203と1対1で紐付けて記憶する。
【0065】
表示ユニット110は、制御ユニット100に接続し、各種の情報を表示する表示画面111を備える。入力ユニットは、オペレータがブレーキング装置1の制御ユニット100に情報などを入力する際に用いられる。入力ユニットは、制御ユニット100に接続し、入力された情報を制御ユニット100に向けて出力する。入力ユニットは、表示ユニット110の表示画面111に重ねられたタッチパネルを備える。
【0066】
(分割ステップ)
次に、分割ステップ1003を説明する。
図11は、
図2に示されたワークの加工方法の分割ステップにおいて、フレーム固定ユニットにフレームを固定した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
図12は、
図2に示されたワークの加工方法の分割ステップにおいて、検出ユニットで分割すべき分割予定ラインを検出する状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
図13は、
図2に示されたワークの加工方法の分割ステップにおいて、挟持バー間に分割すべき分割予定ラインの隣のデバイスを挟持した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
図14は、
図2に示されたワークの加工方法の分割ステップにおいて、分割すべき分割予定ラインを分割した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
【0067】
分割ステップ1003は、分割起点形成ステップ1002を実施した後、分割すべき分割予定ライン203に隣接した領域であるデバイス204をワーク200の上下から一対の挟持バー44,52で挟持するとともに、分割すべき分割予定ライン203を挟んで一対の挟持バー44,52の反対側で分割すべき分割予定ライン203に隣接した領域のワーク200のデバイス204を押圧バー60で押圧し、分割すべき分割予定ライン203に沿ってワーク200を分割するステップである。
【0068】
実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、先ず、オペレータ等が入力ユニットを操作して分割条件を入力し、制御ユニット100が分割要件を受け付けて登録する。実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100がオペレータ等からの分割動作の開始指示を受け付けると、分割動作、即ち実施形態1では、分割ステップ1003を開始する。
【0069】
実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100がZ軸移動ユニット34を制御して下側挟持ユニット41を下降させ、上側挟持ユニット50のシリンダユニット51を制御してロッド55を伸長し、昇降ユニット36を制御して上側挟持ユニット50及び押圧バー60を上昇させる。また、実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100が第2X軸移動ユニット61を制御して上側挟持バー52の下端と押圧バー60の下端のX軸方向の距離を、分割条件に含まれるチップ210の幅の75%~85%となるように、押圧バー60のX軸方向の位置を調整する。なお、本発明では、上側挟持バー52の下端と押圧バー60の下端のX軸方向の距離を、チップ210の幅の65%~95%となるように、押圧バー60のX軸方向の位置を調整すれば良い。
【0070】
また、実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100がX軸移動ユニット30を制御して、フレーム固定ユニット10を挟持ユニット41,50間から退避させる。実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、フレーム固定ユニット10の保持面13上に開口にワーク200を収容したフレーム208が載置される。実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100が吸引源を動作させて、
図11に示すように、フレーム固定ユニット10の保持面13にフレーム208を吸引して固定する。
【0071】
実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100がX軸移動ユニット30とY軸移動ユニット32とを制御して、分割条件の分割する順番に基づいて、
図12に示すように、分割すべき分割予定ライン203(以下、符号203-1で記す)の上方に検出ユニット20を位置付けて、検出ユニット20の撮像カメラ21でワーク200の分割予定ライン203-1を含んだ分割予定ライン203-1の周囲を撮像する。実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100が検出ユニット20の撮像カメラ21で撮像して得た画像に基づいて、分割予定ライン203-1を検出する。
【0072】
実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100が回転機構を制御して、分割予定ライン203に対応した長さの矩形状挟持バー44を回転体43から上向きに配置し、回転駆動機構を制御して、ワーク200の分割予定ライン203-1をY軸方向と平行に位置付ける。実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100がX軸移動ユニット30を制御して、分割予定ライン203-1に
図1中X軸方向の奥側に隣接するデバイス204(領域に相当し、以下、
図13に示す符号204-1と記す)の上方に上側挟持バー52の下端を位置付け、分割予定ライン203-1に
図1中X軸方向の奥側に隣接する
図1中X軸方向の奥側のデバイス204-1の下方に矩形状挟持バー44の上端を位置付けるとともに、分割予定ライン203-1に
図1中X軸方向の手前側に隣接するデバイス204(領域に相当し、以下、
図13に示す符号204-2と記す)の上方に押圧バー60の下端を位置付ける。
【0073】
実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100がZ軸移動ユニット34を制御して、回転体43及び矩形状挟持バー44を上昇させて裏面側テープ206を介してワーク200の分割予定ライン203-1に隣接したデバイス204-1を裏面側テープ206を介して上方に押圧させる。すると、ワーク200が上昇し、表面側テープ207を介してデバイス204-1が上側挟持バー52の下端に当接する。こうして、実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、
図13に示すように、ワーク200の分割予定ライン203-1に隣接したデバイス204-1を、表面側テープ207及び裏面側テープ206を介して、挟持バー44,52間に挟持する。このとき、実施形態1では、押圧バー60の下端は、ワーク200の表面202よりも上方に位置している。
【0074】
実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、分割条件に基づいて、制御ユニット100が昇降ユニット36を制御して、上側挟持ユニット50の移動基台5及び押圧バー60を下降させる。すると、上側挟持バー52が矩形状挟持バー44との間に表面側テープ207及び裏面側テープ206を介してワーク200の分割予定ライン203-1に隣接したデバイス204-1を挟持しているので、上側挟持バー52が下降することなく、シリンダユニット51のロッド55が縮小して、スライドユニット53により移動基台5に対して相対的に上側挟持バー52が上昇する。
【0075】
また、上側挟持ユニット50の移動基台5及び押圧バー60が下降すると、押圧バー60が下降して、押圧かー60の下端がワーク200の表面202の挟持ユニット41,50の反対側の分割予定ライン203-1に隣接したデバイス204-2に表面側テープ207を介して当接するとともに、更に押圧バー60が下降して、
図14に示すように、押圧バー60の下端が上側挟持バー52の下端よりも下方に位置して、挟持バー44,52と押圧バー60との間の分割予定ライン203-1を分割する。
【0076】
また、分割予定ライン203-1が分割される際には、ワーク200の基板201を構成する材料により構成された分割屑が、分割された分割予定ライン203-1内に生じることがある。実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100が分割条件とおりに移動基台5及び押圧バー60を下降した後、昇降ユニット36を制御して、移動基台5及び押圧バー60を上昇させるとともに、Z軸移動ユニット34を制御して、回転体43及び矩形状挟持バー44を下降させる。
【0077】
また、実施形態1において、分割ステップ1003では、制御ユニット100が、荷重計71が測定した荷重値に基づいて、分割すべき分割予定ライン203-1の分割結果を判定し、判定した分割結果を分割予定ライン203-1と紐付けて記憶する。実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、分割条件に基づいて、ワーク200の分割予定ライン203のうち端の分割予定ライン203から順に分割する。実施形態1において、分割ステップ1003では、ブレーキング装置1は、ワーク200の全ての分割予定ライン203を分割して、ワーク200を個々のチップ210に分割すると、分割動作即ち分割ステップ1003を終了する。その後、分割されたチップ210は、裏面側テープ206からピックアップされる。
【0078】
以上説明した実施形態1に係るワークの加工方法は、準備ステップ1001においてワーク200を表面側テープ207と裏面側テープ206とで挟み込み、分割起点形成ステップ1002においてワーク200を表面側テープ207と裏面側テープ206とで挟み込んだ状態で分割起点209を形成し、分割ステップ1003においてワーク200を分割する。このために、実施形態1に係るワークの加工方法は、加工中のワーク200を終始テープ206,207で挟み込むこととなり、異物がワーク200の表面202に付着してしまうことが防止でき、押圧バー60で異物を挟み込んで押圧してワーク200を損傷してしまうおそれを防止できる。
【0079】
その結果、実施形態1に係るワークの加工方法は、分割時のワーク200の損傷を抑制することができるという効果を奏する。
【0080】
また、実施形態1に係るワークの加工方法は、テープ206,207がワーク200に接着し、表面側テープ207の外周縁がフレーム208に接着しているので、分割ステップ1003において表面側テープ207が拡張されても表面側テープ207とワーク200の表面202とが剥離すること(即ち、これらの間に隙間が生じること)を抑制でき、ワーク200の表面202に異物が付着することを抑制できる。
【0081】
また、実施形態1に係るワークの加工方法は、ワーク200を挟み込む表面側テープ207と裏面側テープ206の双方の外周縁がフレーム208に接着しているので、分割ステップ1003においてテープ206,207が拡張されても表面側テープ207とワーク200の表面202とが剥離することをより一層抑制できる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0083】
44 矩形状挟持バー(挟持バー)
52 上側挟持バー(挟持バー)
60 押圧バー
83,84 レーザビーム
200 ワーク
202 表面
203 分割予定ライン
203-1 分割すべき分割予定ライン
204 デバイス
204-1 デバイス(領域)
204-2 デバイス(領域)
205 裏面
206 裏面側テープ
207 表面側テープ
208 フレーム
209 分割起点
211 改質層
212 レーザ加工溝
1001 準備ステップ
1002 分割起点形成ステップ
1003 分割ステップ