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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118724
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】磁性体薄板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
H02K15/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025163
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】長藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】方 正隆
(72)【発明者】
【氏名】中尾 政之
(72)【発明者】
【氏名】水島 大介
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰正
(72)【発明者】
【氏名】福島 彬夫
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP02
5H615PP06
5H615SS03
5H615SS05
(57)【要約】
【課題】磁性体薄板の反りを抑制しつつ、磁性体薄板の強度を向上可能な磁性体薄板の製造方法を提供すること。
【解決手段】本開示に係る磁性体薄板の製造方法は、ロータコアを形成する磁性体薄板1の製造方法である。本開示に係る磁性体薄板の製造方法は、磁性体薄板1が備えるブリッジ部Bの幅方向両端部B2を上下方向から押圧し、ブリッジ部Bの幅方向中央部B1を増肉加工する工程と、ブリッジ部Bの一方の面を押圧して、磁性体薄板1からブリッジ部Bを突起させる工程と、突起させたブリッジ部Bの他方の面を押圧して、磁性体薄板1を平面状に加工する工程と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコアを形成する磁性体薄板の製造方法であって、
前記磁性体薄板が備えるブリッジ部の幅方向両端部を上下方向から押圧し、前記ブリッジ部の幅方向中央部を増肉加工する工程と、
前記ブリッジ部の一方の面を押圧して、前記磁性体薄板から前記ブリッジ部を突起させる工程と、
突起させた前記ブリッジ部の他方の面を押圧して、前記磁性体薄板を平面状に加工する工程と、を備える、
磁性体薄板の製造方法。
【請求項2】
前記ブリッジ部の幅方向中央部を増肉加工する工程において、前記ブリッジ部の幅方向両端部を押圧するパンチの角部が、傾斜構造を有する、
請求項1に記載の磁性体薄板の製造方法。
【請求項3】
前記ブリッジ部の幅方向中央部を増肉加工する工程において形成された増肉部の、前記ブリッジ部の長手方向両端部における幅が、前記ブリッジ部の長手方向中央部における幅と比して、広くなっている、
請求項1又は2に記載の磁性体薄板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁性体薄板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロータコアの構造が開示されている。特許文献1に開示されたロータコアの構造においては、ロータコアを形成する磁性体薄板のブリッジ部に、ブリッジ押下部が形成されており、ブリッジ部の長手方向の延長線上に、ブリッジ押下部の窪み方向とは逆方向に突出させた突起部が形成されている。
特許文献1のロータコアの構造においては、上記の突起部によって、磁性体薄板の径方向に延びようとする力を吸収し、磁性体薄板の反りを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-085776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたロータコアの構造においては、磁性体薄板が突起部を有しているため、突起部の屈曲等に由来して、磁性体薄板の強度が低下するという課題があった。つまり、特許文献1に開示されたロータコアの構造においては、磁性体薄板の反りを抑制しつつ、磁性体薄板の強度を向上できないという課題があった。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、磁性体薄板の反りを抑制しつつ、磁性体薄板の強度を向上可能な磁性体薄板の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る磁性体薄板の製造方法は、
ロータコアを形成する磁性体薄板の製造方法であって、
前記磁性体薄板が備えるブリッジ部の幅方向両端部を上下方向から押圧し、前記ブリッジ部の幅方向中央部を増肉加工する工程と、
前記ブリッジ部の一方の面を押圧して、前記磁性体薄板から前記ブリッジ部を突起させる工程と、
突起させた前記ブリッジ部の他方の面を押圧して、前記磁性体薄板を平面状に加工する工程と、を備える、
磁性体薄板の製造方法である。
【0007】
このような構成によると、本開示に係る磁性体薄板の製造方法は、ブリッジ部を突起させる工程において、ブリッジ部が磁性体薄板の径方向に延びようとする力を解消できる。その結果として、本開示に係る磁性体薄板の製造方法は、磁性体薄板の反りを抑制しつつ、磁性体薄板の強度を向上できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によって、磁性体薄板の反りを抑制しつつ、磁性体薄板の強度を向上可能な磁性体薄板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る磁性体薄板の構成を示す平面図である。
図2】第1の実施形態に係る磁性体薄板の構成を示す平面図である。
図3】第1の実施形態に係る磁性体薄板の製造方法を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態に係る磁性体薄板の製造方法を説明する為の断面図である。
図5】第1の実施形態に係る磁性体薄板の製造方法を説明する為の断面図である。
図6】第1の実施形態に係る磁性体薄板の製造方法を説明する為の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
<磁性体薄板の構成>
以下、図面を参照しながら、本開示に係る第1の実施形態について詳細に説明する。
まず始めに、本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法を用いて製造される、磁性体薄板の構成について詳細に説明する。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係る磁性体薄板の構成を示す平面図である。より詳細には、図1は、本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法を用いて製造される、磁性体薄板の構成を示す平面図である。
【0012】
なお、当然のことながら、図1及びその他の図面に示した右手系xyz直行座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸正向きが鉛直上向き、xy平面が水平面であり、図面間で共通である。
【0013】
本実施形態に係る磁性体薄板1は、ロータコアを形成する磁性体薄板である。磁性体薄板1は、ディスク状の薄板である。磁性体薄板1は、例えば、鋼板であってもよい。磁性体薄板1は、z軸方向に複数枚積層されることにより、ロータコアを形成する。
【0014】
磁性体薄板1においては、磁石孔11a、11b、及び11cと、磁束漏れ抑制孔12a、12b、及び12cと、ブリッジ部Bと、からなる構成が、磁性体薄板1の円周方向に沿って、例えば8回繰り返されている。
【0015】
磁石孔11aは、磁性体薄板1の外縁部において、円周方向に延設されている。また、磁石孔11b及び11cは、磁石孔11aの両側において径方向に延設されている。
磁石孔11a、11b、及び11cは、ロータコアの形成時にそれぞれ永久磁石が挿入され、樹脂により封止される。
【0016】
磁束漏れ抑制孔12a及び12bは、磁石孔11aの両端に隣接している。磁束漏れ抑制孔12cは、磁石孔11b及び11cの内周側の端部の間に設けられている。
磁束漏れ抑制孔12a、12b及び12cは、ロータコアの形成時に磁石孔11a、11b、及び11cに設けられた永久磁石からの磁束の漏れを抑制する。
【0017】
図2は、第1の実施形態に係る磁性体薄板の構成を示す平面図である。より詳細には、図2は、ブリッジ部Bについて詳細に説明するための平面図である。図2は、ブリッジ部B、及びブリッジ部Bの周辺部Nをz軸正方向からみた場合の平面図である。
【0018】
本実施形態に係るブリッジ部Bは、磁束漏れ抑制孔12cの円周方向両端部において、磁束漏れ抑制孔12c及び磁石孔11bの間と、磁石孔11c及び磁束漏れ抑制孔12cの間にそれぞれ設けられている。
ブリッジ部Bは、x軸方向、即ち磁性体薄板1の径方向に延在するように設けられている。ブリッジ部Bは、ロータコアの強度を補強する。
【0019】
本実施形態においては、ブリッジ部Bは、長手方向がx軸と平行であり、幅方向がy軸と平行である。また、本実施形態においては、ブリッジ部Bにおいて、長手方向中央部Ba及び長手方向両端部Bbを設定する。また、本実施形態においては、ブリッジ部Bにおいて、幅方向中央部B1及び幅方向両端部B2を設定する。
【0020】
長手方向中央部Baは、ブリッジ部Bにおいて長手方向の中央に位置する部位である。長手方向中央部Baは、2つの長手方向両端部Bbと接している。
また、長手方向両端部Bbは、ブリッジ部Bにおいて長手方向の両端に位置する部位であり、1つのブリッジ部Bに2つ存在している。長手方向両端部Bbは、それぞれ長手方向中央部Ba及び周辺部Nと接している。
長手方向中央部Ba及び長手方向両端部Bbの長さは、それぞれブリッジ部Bの寸法や材質等に基づいて適宜設定されてもよい。
【0021】
幅方向中央部B1は、ブリッジ部Bにおいて幅方向の中央に位置する部位である。幅方向中央部B1は、ブリッジ部Bの長手方向に延在しており、2つの幅方向両端部B2と接している。幅方向中央部B1は、本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法に含まれる一工程において、増肉加工される。
【0022】
幅方向両端部B2は、ブリッジ部Bにおいて幅方向の両端に位置する部位であり、1つのブリッジ部Bに2つ存在している。幅方向両端部B2は、ブリッジ部Bの長手方向に延在しており、それぞれ幅方向中央部B1と接している。幅方向両端部B2は、本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法に含まれる一工程において、上下方向、即ちz軸方向から押圧され、厚みが減少する。
【0023】
幅方向中央部B1及び幅方向両端部B2の幅は、それぞれブリッジ部Bの寸法や材質等によって適宜設定されてもよい。
ここで、幅方向中央部B1の幅は、幅方向中央部B1の長手方向両端部Bbにおける幅が、幅方向中央部B1の長手方向中央部Baにおける幅と比して広くなるように設定されてもよい。幅方向中央部B1は、本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法に含まれる一工程において、増肉加工されるため、このような構成によると、当該工程において、ブリッジ部Bと周辺部Nとの接続点の破損を抑制できる。
【0024】
周辺部Nは、磁性体薄板1において、長手方向両端部Bbの周辺に位置する部位である。周辺部Nは、本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法において、上下方向、即ちz軸方向からダイ等によって挟み込まれ、適宜固定される。
【0025】
<磁性体薄板の製造方法>
続いて、第1の実施形態に係る磁性体薄板の製造方法について詳細に説明する。図3は、第1の実施形態に係る磁性体薄板の製造方法を示すフローチャートである。
【0026】
本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法は、磁性体薄板1のブリッジ部Bを加工硬化させるための方法である。本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法においては、まず始めに、ブリッジ部Bの幅方向中央部を増肉加工する(ステップST1)。
図4は、第1の実施形態に係る磁性体薄板の製造方法を説明する為の断面図である。より詳細には、図4は、ステップST1をより詳細に説明するための断面図である。
【0027】
図4の左側の図は、増肉加工される前、即ち、ステップST1を実行される前のブリッジ部Bと、ブリッジ部Bを加工する上パンチUPと、ブリッジ部Bを加工する下パンチLPとを、yz平面において切断した場合の断面図である。
【0028】
また、図4の右側の図は、増肉加工された後、即ち、ステップST1を実行された後のブリッジ部Bと、上パンチUPと、下パンチLPとを、yz平面において切断した場合の模式断面図である。
つまり、図4は、ステップST1を実行する前後におけるブリッジ部B、上パンチUP、及び下パンチLPの模式断面図である。
【0029】
上パンチUPは、ブリッジ部Bをz軸負方向に押圧するパンチであり、下パンチLPは、ブリッジ部Bをz軸正方向に押圧するパンチである。つまり、上パンチUP及び下パンチLPは、ブリッジ部Bをz軸方向、即ち上下方向に挟み込みつつ押圧する。
より詳細には、上パンチUP及び下パンチLPは、ブリッジ部Bの幅方向両端部B2を上下方向から押圧し、ブリッジ部Bの幅方向中央部B1を押圧しない。
【0030】
なお、上パンチUP及び下パンチLPは、どちらか一方のみがブリッジ部Bを押圧するような構成であってもよい。例えば、上パンチUPのみがブリッジ部Bを押圧し、下パンチLPはブリッジ部Bを支持する構成であってもよい。
【0031】
また、上パンチUP及び下パンチLPの角部は、傾斜構造を有していてもよい。このような構成によると、幅方向中央部B1と幅方向両端部B2との境界線に対して、押圧時に掛かる負荷が軽減され、その結果として、ブリッジ部BのステップST1における破損を抑制できる。
【0032】
ステップST1においては、磁性体薄板1が備えるブリッジ部Bの幅方向両端部B2を上下方向から押圧し、ブリッジ部Bの幅方向中央部B1を増肉加工する。
つまり、ステップST1においては、磁性体薄板1が備えるブリッジ部Bの幅方向両端部B2を、上パンチUP及び下パンチLPが上下方向から押圧する。上パンチUP及び下パンチLPからの押圧によって、幅方向両端部B2は厚みが減少する。幅方向両端部B2の厚みの減少分は、押圧されていない幅方向中央部B1へと移動し、幅方向中央部B1の厚みが増加する。即ち、幅方向中央部B1が増肉加工され、増肉部が形成される。
【0033】
前述したように、幅方向中央部B1の幅は、幅方向中央部B1の長手方向両端部Bbにおける幅が、幅方向中央部B1の長手方向中央部Baにおける幅と比して広くなるように設定されてもよい。
言い換えると、ブリッジ部Bの幅方向中央部B1を増肉加工する工程において形成された増肉部の、ブリッジ部Bの長手方向両端部Bbにおける幅が、ブリッジ部Bの長手方向中央部Baにおける幅と比して広くなっていてもよい。
【0034】
ステップST1の実行により、ブリッジ部Bは加工硬化し、強度が向上する。
また、ステップST1の実行により、ブリッジ部Bには、磁性体薄板1の径方向に延びようとする力が生じる。つまり、ステップST1の実行により、ブリッジ部Bには、磁性体薄板1の反りの原因となる力が生じる。
【0035】
図3の説明に戻る。本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法においては、次に、磁性体薄板1からブリッジ部Bを突起させる(ステップST2)。
図5は、第1の実施形態に係る磁性体薄板の製造方法を説明する為の断面図である。より詳細には、図5は、ステップST2をより詳細に説明するための断面図である。
【0036】
図5の左側の図は、ブリッジ部Bを突起させる前、即ち、ステップST2を実行する前のブリッジ部Bと、ブリッジ部Bを加工するパンチP1と、磁性体薄板1を固定する板抑えS1と、磁性体薄板1を支持するダイスD1とを、zx平面において切断した場合の断面図である。
【0037】
また、図5の右側の図は、ブリッジ部Bを突起させた後、即ち、ステップST2を実行した後のブリッジ部Bと、パンチP1と、板抑えS1と、ダイスD1とを、zx平面において切断した場合の模式断面図である。
つまり、図5は、ステップST2を実行する前後におけるブリッジ部B、パンチP1、板抑えS1、及びダイスD1の模式断面図である。
【0038】
パンチP1は、ブリッジ部Bをz軸負方向に押圧するパンチである。パンチP1は、ブリッジ部Bを押圧し、ブリッジ部Bを磁性体薄板1から突起させる。
板抑えS1は、z軸正方向から磁性体薄板1を固定する。より詳細には、板抑えS1は、ブリッジ部Bの周辺部Nを、ダイスD1と挟み込んで固定する。
ダイスD1は、z軸負方向から磁性体薄板1を支持する。より詳細には、ダイスD1は、ブリッジ部Bの周辺部Nを、板抑えS1と挟み込んで固定する。ダイスD1は、ブリッジ部Bの下側に位置する部分が窪み形状に加工されており、当該窪み形状内に、パンチP1によって押圧されたブリッジ部Bが押し込まれる。
【0039】
ステップST2においては、ブリッジ部Bの一方の面を押圧して、磁性体薄板1からブリッジ部Bを突起させる。つまり、ステップST2においては、ブリッジ部Bのz軸正側の面を、パンチP1が押圧し、ブリッジ部Bを磁性体薄板1から突起させる。
ステップST2を実行することにより、ブリッジ部Bは円弧状に変形し、引き延ばされる。その結果として、ブリッジ部Bに掛かる、磁性体薄板1の径方向に延びようとする力が解消され、磁性体薄板1の反りが抑制される。
【0040】
図3の説明に戻る。本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法においては、最後に、磁性体薄板1を平面上に加工して(ステップST3)、一連の工程を終了する。
図6は、第1の実施形態に係る磁性体薄板の製造方法を説明する為の断面図である。より詳細には、図6は、ステップST3をより詳細に説明するための断面図である。
【0041】
図6の左側の図は、磁性体薄板1を平面状に加工する前、即ち、ステップST3を実行する前のブリッジ部Bと、ブリッジ部Bを加工するパンチP2と、磁性体薄板1を固定する板抑えS2と、磁性体薄板1を支持するダイスD2とを、zx平面において切断した場合の断面図である。
また、図6の右側の図は、磁性体薄板1を平面状に加工した後、即ち、ステップST3を実行した後のブリッジ部Bと、パンチP2と、板抑えS2と、ダイスD2とを、zx平面において切断した場合の模式断面図である。
つまり、図6は、ステップST3を実行する前後におけるブリッジ部B、パンチP2、板抑えS2、及びダイスD2の模式断面図である。
【0042】
パンチP2は、ブリッジ部Bをz軸負方向に押圧するパンチである。パンチP2は、磁性体薄板1から突起したブリッジ部Bを押圧し、平面状に加工する。
板抑えS2は、z軸正方向から磁性体薄板1を固定する。より詳細には、板抑えS2は、ブリッジ部Bの周辺部Nを、ダイスD2と挟み込んで固定する。
ダイスD2は、z軸負方向から磁性体薄板1を支持する平面状のダイスである。ダイスD2は、周辺部Nを、板抑えS2と共に挟み込んで固定する。また、ダイスD2は、パンチPによって押圧されたブリッジ部Bを支持する。
【0043】
ステップST3においては、突起させたブリッジ部Bの他方の面、即ち、ステップST2において押圧した面とは異なる方の面を押圧して、磁性体薄板1を平面状に加工する。
つまり、ステップST3においては、まず始めに、ステップST2においてz軸方向負側に配置されていた面が、z軸方向正側に配置されるように、磁性体薄板1を配置しなおす。そして、パンチP2によって、ブリッジ部Bのz軸正側の面を押圧し、磁性体薄板1を平面状に加工する。
ステップST3を実行することにより、磁性体薄板1における突起形状が解消され、磁性体薄板1及び磁性体薄板1によって形成されるロータコアの強度が向上する。
【0044】
以上、説明したように、本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法は、ブリッジ部Bの幅方向両端部B2を上下方向から押圧し、ブリッジ部Bの幅方向中央部B1を増肉加工する工程を備える。当該工程によって、ブリッジ部Bは加工硬化し、その結果として、ブリッジ部Bの強度が向上する。
【0045】
また、本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法は、ブリッジ部の一方の面を押圧して、磁性体薄板1からブリッジ部Bを突起させる工程を備える。当該工程によって、ブリッジ部Bに掛かる、磁性体薄板1の径方向に延びようとする力が解消され、その結果として、磁性体薄板1の反りが抑制される。
【0046】
また、本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法は、突起させたブリッジ部Bの他方の面を押圧して、磁性体薄板1を平面状に加工する工程を備える。当該工程によって、磁性体薄板1における突起形状が解消され、その結果として、磁性体薄板1の強度が向上する。
これらの工程を備えることにより、本実施形態に係る磁性体薄板の製造方法は、磁性体薄板1の反りを抑制しつつ、磁性体薄板1の強度を向上できる。
【0047】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
1 磁性体薄板
11a、11b、11c 磁石孔
12a、12b、12c 磁束漏れ抑制孔
B ブリッジ部
UP 上パンチ
LP 下パンチ
P1、P2 パンチ
D1、D2 ダイス
S1、S2 板抑え
図1
図2
図3
図4
図5
図6