(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118797
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】シート積載装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/24 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
B65H31/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025303
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 三樹彦
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA05
3F054AC01
3F054BA04
3F054BF13
3F054DA01
3F054DA13
(57)【要約】
【課題】積載スペースを拡大することなく、折られたシートの積載量を増加させることが可能なシート積載装置を提供する。
【解決手段】折られたシートPが積載される積載手段4と、前記シートを前記積載手段に排出する排出手段4と、を備え、前記積載手段は、前記シートが積載される積載面4aを有し、前記シートが積載されたシートの束Psは、1つの前記積載面4aに並べて載置され、前記シートの束が並ぶ方向は、前記排出手段のシート排出方向aであることを特徴とするシート積載装置。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折られたシートが積載される積載手段と、
前記シートを前記積載手段に排出する排出手段と、を備え、
前記積載手段は、前記シートが積載される積載面を有し、
前記シートが積載されたシートの束は、1つの前記積載面に並べて載置され、前記シートの束が並ぶ方向は、前記排出手段のシート排出方向である
ことを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記積載面の面方向の一の方向に移動可能な壁部材と、
前記壁部材を移動させる駆動源と、を備え、
前記壁部材は、前記シートが当該壁部材の壁面に沿って積載されてシートの束になった後、前記一の方向に移動する
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記壁部材を複数備える
ことを特徴とする請求項2に記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記壁部材は、前記シートの束の高さが所定の高さに達した後、前記一の方向に移動する
ことを特徴とする請求項2に記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記壁部材は、前記排出手段が所定の枚数の前記シートを排出した後、前記一の方向に移動する
ことを特徴とする請求項2に記載のシート積載装置。
【請求項6】
前記排出手段は、当該排出手段が前記シートを排出するときの前記シートの移動速度を排出速度としたとき、前記排出速度を変更可能であり、前記排出速度を変更して前記シートが前記積載面に排出される位置を変更し、前記シートの束を並べて1つの前記積載面に載置する
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項7】
前記排出速度は、前記積載面に積載されたときのシートの水平方向の長さLxと、下記飛び量Xとに基づいて選択され、N列目(Nは2以上の整数)のシートの束を積載する場合において、(N-1)Lx<Xの関係を満たす排出速度Vが選択される
ことを特徴とする請求項6に記載のシート積載装置。
[飛び量X]
前記シートが排出されて前記積載手段に積載されるまでにおける、前記シートの後端が水平方向に対して進む最大距離であり、この距離は前記積載手段が有する壁面を基点とし、前記壁面は、1列目の前記シートの束が形成されたときの1列目の前記シートの束における前記シートの後端が接する面もしくは前記シートの後端の近傍の面である。
【請求項8】
前記折られたシートの折り目は、前記シート排出方向と直交する
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項9】
前記積載面は、水平方向に対して角度を有し、該角度は、前記シートが当該積載面に積載されたとき、前記シートが自重で前記排出手段側に近づく角度である
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項10】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
画像が形成されたシートを積載する請求項1~9のいずれかに記載のシート積載装置と、を有する
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
前記画像形成装置によって画像が形成されたシートに対して折り処理を行う折り装置を有し、
前記シート積載装置は、前記折り装置によって折り処理が行われたシートを受け取り、折られたシートを前記積載手段に積載させる
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート積載装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、印刷されたシートを積載する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、シートの排出方向と交差する幅方向を整合する整合手段を有するシート積載装置が開示されており、整合手段と排出されるシートの相対位置を制御することが開示されている。特許文献1によれば、積載トレイ上に排出されるシートの整合性を向上させることができるとしている。
【0004】
また、特許文献1では、シートの排出方向と交差する幅方向に整合可能な一対の揃え部材と、シートを幅方向にシフトさせて搬送可能なシフトユニットによって、幅の狭いシートを幅方向に並列に積載する構成が開示されている。
【0005】
特許文献2では、排出されたシートを衝突させるストッパを備えたシート排出装置が開示されており、ストッパの水平二面角、ストッパの位置を調節し、シートが排出される排出トレイを選択することが開示されている。特許文献2によれば、装置本体から排出された用紙の仕分けが可能になるとしている。
【0006】
また、特許文献2では、印刷媒体の量が多いシートほど、排出口から排出させる排出速度を速くすることが開示されている。これにより、付着されたインクの量が多いシートほど自重が重くなることに対応でき、排出トレイの積載面に正確にシートを落下させることができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、折られたシートに対応できない。例えば、シフトユニットによって折られたシートを幅方向にシフトさせる場合、折り目の方向によってはシートをシフトできない、もしくはシートをシフトさせた場合にシートの形状が崩れるという問題が生じる。また、特許文献2では、シートを仕分けるために複数のトレイが必要になり、積載スペースを拡大できない。従来技術では、折られたシートを積載する場合に、積載スペースを拡大することなく、積載量を増やすことが求められている。
【0008】
そこで本発明は、積載スペースを拡大することなく、折られたシートの積載量を増加させることが可能なシート積載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のシート積載装置は、折られたシートが積載される積載手段と、前記シートを前記積載手段に排出する排出手段と、を備え、前記積載手段は、前記シートが積載される積載面を有し、前記シートが積載されたシートの束は、1つの前記積載面に並べて載置され、前記シートの束が並ぶ方向は、前記排出手段のシート排出方向であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、積載スペースを拡大することなく、折られたシートの積載量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の画像形成システムの一実施形態を説明するための概略図である。
【
図3】画像形成システムの一実施形態におけるブロック図である。
【
図4】本発明のシート積載装置の一実施形態を説明するための概略図である。
【
図5】シートの積載の一例を説明するための概略図である。
【
図6】シートの積載の他の例を説明するための概略図である。
【
図7】移動フェンス式における排出の一例を説明するための概略図である。
【
図8】移動フェンスの一例を説明するための概略図である。
【
図9】移動フェンスの移動前の一例を説明するための概略図である。
【
図10】移動フェンスの移動中又は移動後の一例を説明するための概略図である。
【
図11】移動フェンスの移動後の積載例を説明するための概略図である。
【
図12】移動フェンス式の積載例を説明するための概略図である。
【
図13】移動フェンス式のフロー例を説明するための概略図である。
【
図14】移動フェンス式における排出の他の例を説明するための概略図である。
【
図15A】排出速度制御式における排出の一例を説明するための概略図である。
【
図16】排出速度Vと飛び量Xの相関図の一例である。
【
図17】排出速度制御式における排出の他の例を説明するための概略図である。
【
図18】排出速度Vと飛び量Xの相関図の一例である。
【
図19】排出速度制御式のフロー例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るシート積載装置及び画像形成システムについて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
本発明のシート積載装置は、折られたシートが積載される積載手段と、前記シートを前記積載手段に排出する排出手段と、を備え、前記積載手段は、前記シートが積載される積載面を有し、前記シートが積載されたシートの束は、1つの前記積載面に並べて載置され、前記シートの束が並ぶ方向は、前記排出手段のシート排出方向であることを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成システムは、シートに画像を形成する画像形成装置と、画像が形成されたシートを積載する本発明のシート積載装置と、を有することを特徴とする。また、本発明の画像形成システムは、画像形成装置によって画像が形成されたシートに対して折り処理を行う折り装置を有することが好ましく、この場合、シート積載装置は、折り装置によって折り処理が行われたシートを受け取り、折られたシートを積載手段に積載させる。
【0015】
図1は、本発明の画像形成システムの一例を説明するための全体概略図である。本例の画像形成システム100は、画像形成装置101、折り機103、シート積載装置102を有している。画像形成装置101により画像が形成されたシートは、折り機103により種々の折り方で折り処理され、又は折り処理されずに、シート積載装置102に搬送される。シート積載装置102は、画像が形成されたシートを積載する。
【0016】
シートは、記録媒体、媒体、メディア、被印刷物、被搬送物などと称してもよい。シートとしては、例えば用紙が挙げられる。画像を形成することを印刷、印字などと称してもよい。シート積載装置を後処理装置、後処理機、フィニッシャなどと称してもよい。また、折り機を折り装置、シート折り機、シート折り装置などと称してもよい。
【0017】
なお、特に制限されるものではないが、本例における画像形成装置101は、折り機103の下側に画像形成部を有している。
【0018】
図2は、折り機103の折り処理の一例を説明するための図である。図示するように、例えば、Z折り、二つ折り、外三つ折り、内三つ折りが可能である。シートにおける画像が形成された面(画像面などとも称する)は、特に制限されず、上側でもよいし、下側でもよい。また、シートの両面に画像が形成されていてもよい。
【0019】
特に制限されるものではないが、折り機103を経たシートがローラ等により搬送されることを考慮すると、折り目を先端にして搬送されることが好ましい。例えば、
図2の紙面右側から左側の方向に搬送される。
【0020】
図3は、本例の画像形成システム100の制御例を説明するためのブロック図である。図示するように、画像形成装置101、折り機103、シート積載装置102(フィニッシャ)は、相互に通信可能に接続されている。
【0021】
シート積載装置102は、例えば制御部104、検知部105、駆動部106を有している。折り機103は、例えば制御部107、検知部108、駆動部109を有している。制御部104及び制御部107は、CPU、記憶部、通信インターフェース等を有するコンピュータである。記憶部は、例えばROM、RAM等によって構成されており、CPUが実行するプログラム等を格納している。通信インターフェースは、例えば画像形成装置101との通信を行う。
【0022】
検知部105及び検知部108は、シートの有無を把握するセンサ、機構の位置を把握するセンサ等が挙げられる。駆動部106及び駆動部109は、モータ等が挙げられる。制御部104は、検知部105と駆動部106に接続され、これらの制御などデータの授受を行う。同様に、制御部107は、検知部108と駆動部109に接続され、これらの制御など、データの授受を行う。
【0023】
制御部104のCPU及び制御部107のCPUは、記憶部に記憶されているプログラムに従って、検知部105、駆動部106、検知部108、駆動部109を制御する。制御部104及び制御部107は、画像形成装置101から送られてきた指示のほか、検知部105又は検知部108から送られる情報、例えば用紙や各機構の状態についての情報等に基づいて駆動部106、駆動部109等を動作させる。これにより、折り機103、シート積載装置102は、画像形成装置101から搬送されたシートに対し、例えば、用紙揃え処理、綴じ処理、穿孔処理、折り処理等を行う。
【0024】
図4は、本例のシート積載装置102を説明するための断面概略図である。
本例のシート積載装置102は、プルーフトレイ4又はシフトトレイ16にシートを積載する。プルーフトレイ4とシフトトレイ16のどちらに積載するかについては、あらかじめ設定可能である。以下、シートの積載例を説明する。
【0025】
折り機103から搬送されたシートは、入口ローラ5により受け入れられる。シートは、搬送ローラ6を通過した後、分岐爪10により搬送経路の選択が行われる。シートをプルーフトレイ4に搬送する場合、シートは、搬送ローラ7により搬送されて排紙ローラ8によりプルーフトレイ4に排出される。シートをシフトトレイ16に搬送する場合、シートは、分岐爪10を経過した後、シフト排紙ローラ11により搬送されて排紙ローラ12によりシフトトレイ16に排出される。
【0026】
プルーフトレイ4は昇降せず、固定のトレイとなる。シフトトレイ16は、上下の昇降機能を有している。なお、搬送ローラ7をプルーフ搬送ローラなどと称してもよく、排紙ローラ8をプルーフ排紙ローラ、排出ローラなどと称してもよい。また、プルーフトレイ4又はシフトトレイ16にシートを排出することを排紙などと称してもよい。
【0027】
積載手段としては、例えば積載トレイを用いることができ、積載トレイとしては、例えばプルーフトレイ4、シフトトレイ16が挙げられる。プルーフトレイ4及びシフトトレイ16は、積載手段の一例である。以下、積載手段として主にプルーフトレイ4を用いて説明するが、積載手段はプルーフトレイ4に限られず、シフトトレイ16等も含む。
【0028】
本例のシート積載装置102は、シートを搬送する搬送手段を有しており、搬送手段としては、例えば上記の入口ローラ5、搬送ローラ6、7、11が挙げられる。特に断りのない限り、搬送ローラと称した場合、対になる2つのローラを合わせていうものとする。また、排紙ローラ8、シフト排紙ローラ11についても同様に、特に断りのない限り、対になる2つのローラを合わせていうものとする。
【0029】
図5は、プルーフトレイ4におけるシート積載方法の一例を説明する概略図である。
入口ローラ5、搬送ローラ6、7によって搬送されたシートPは、排紙ローラ8からプルーフトレイ4へ排出される。排出されたシートPは、プルーフトレイ4の傾斜した積載面4aに着地した後、自重により積載面4aを滑り落ちて壁面4bにあたる。これにより、シートPは、後端が壁面4bに沿って揃いながら積載していく。符号Psは、シートの束を示している。
【0030】
本例のシート積載装置102は、シートの束Psの高さを検出するフォトセンサ40を有している。プルーフトレイ4上の積載量が増えて、換言するとシートの束Psの高さが増えて、シートの後端がフォトセンサ40の検出する高さに達したことを検知できる。
【0031】
フォトセンサ40は、例えば、シートの後端の高さを検出する。本例におけるフォトセンサ40は、フォトセンサ40に近いところのシート束Psの高さを検出する場合の例としており、これにより、シートの後端、すなわち壁面4bに近いところのシート束Psの高さが所定の高さになったことを検知する。
【0032】
図中の破線は、フォトセンサ40がシートの後端の高さを検出する位置である。
図5の時点では、シートの後端を検知していない状態であるといえる。ただし、フォトセンサ40が、フォトセンサ40からどの距離のところのシートを検出するかによっては、
図5の時点でもシートの後端を検知した状態であるとすることもできる。フォトセンサ40の種類などのほか、積載面4aの水平面に対する角度、プルーフトレイ4の積載上限、シートの折り処理の仕方なども考慮して、検出条件を適宜検討する。また、積載面4aの水平面に対する角度などにもよるが、フォトセンサ40が検出するシートの後端の高さは、積載面4aに積載されているシートの束Psの高さであるともいえる。シートの後端とは、シート積載装置102の内部側である。シートの先端とは、プルーフトレイ4の先端側である。
【0033】
シートの後端がフォトセンサ40の検出する高さに達したとき、例えば制御部は、プルーフトレイ4が積載方向に満杯であると判断する。この場合、例えば制御部は、通紙ジョブをストップさせる。
【0034】
図6は、プルーフトレイ4に積載されたシートの一例を示す概略図である。
図5に示す例は、シートPが折られずに積載された場合の例であり、
図6に示す例は、シートPが折られて積載された場合の例である。
図6中、(A1)及び(A2)、(B1)及び(B2)、(C1)及び(C2)では、それぞれ二つ折り、三つ折り、Z折りとした場合の例である。
【0035】
図6左側、すなわち(A1)、(B1)、(C1)に示すように、シートが折られて積載される場合、折り目がかさばる。そのため、例えば制御部は、折られていないシート(例えば
図5)に比べて少ない積載枚数でプルーフトレイ4が満杯であると判断してしまう。
【0036】
そこで、本発明は、例えば
図6右側、すなわち(A2)、(B2)、(C2)に示すように、シート排出方向aに沿ってシートの束Psが複数列並ぶように積載する技術を提案する。プルーフトレイ4の先端側のスペースに、シートの束(シート束、積載束などとも称する)を2列、3列などのように整列させることにより、シートの積載上限枚数を増加させることができる。図示する例では、シート排出方向aに沿ってシートの束Ps1とシートの束Ps2が並べて積載されている。
【0037】
すなわち、本発明は、折られたシートが積載される積載手段(例えばプルーフトレイ4)と、前記シートを前記積載手段に排出する排出手段(例えば排紙ローラ8)と、を備え、前記積載手段は、前記シートが積載される積載面4aを有し、前記シートが積載されたシートの束Psは、1つの積載面4aに並べて載置され、シートの束Psが並ぶ方向は、前記排出手段のシート排出方向aであることを特徴とする。本発明によれば、積載スペースを拡大することなく、折られたシートの積載量を増加させることができる。
【0038】
シートが積載されたシートの束Psは、1つの積載面4aに並べて載置される。このため、トレイなどにより形成される積載面をシートの束ごとに用意する必要がなく、装置の製造コストを抑えることができる。例えば、特許文献2のように、シートの束ごとにトレイを設けて積載スペースを拡大させると、部品数が増えるほか、制御の追加が増えるため、装置の製造コストが増加してしまう。
【0039】
シートが折られて積載される場合、折られていないシートが積載される場合に比べて、プルーフトレイ4の先端側にスペースが生じる。本発明では、この先端側に生じるスペースを有効利用し、シートの束を整列させる。これにより、積載スペースを拡大することなく、シートの積載上限枚数を増加させることができる。また本発明は、はがきや名刺といった小サイズのシートにおいても、同様の効果が得られる。
【0040】
シートの束Psが並ぶ方向は、排出手段のシート排出方向aである。これにより、プルーフトレイ4の先端側に生じたスペースを有効利用し、積載スペースを拡大することなく、シートの積載上限枚数を増加させることができる。また、1つの積載面4aにおいて、シート排出方向aにシートの束Psを並べて載置する場合、従来技術(例えば特許文献2)に比べて、装置の構成(例えば部品、制御)が複雑化することを防止できる。
【0041】
排出手段のシート排出方向aは、例えば排紙ローラ8がシートを排出する方向である。シート排出方向aは、シートの折り方の種類が異なっていても同一の方向になることが想定されるが、シートの折り方の種類が異なる場合にシート排出方向aが異なっていても、本発明の実施に影響はない。また、
図6右側に示すように、シートの束Ps1、Ps2の配列方向が、シート排出方向aと厳密に一致していない場合であっても、シートの束がシート排出方向aに複数列並べて1つの積載面4aに載置されているといえる。例えば、
図6右側に示すような図を用いて、シート排出方向aに沿った直線を複数のシートの束にあてはめ、シートの束Ps1の部分と、シートの束Ps2の部分とが、この直線上に存在する場合、シートの束がシート排出方向aに複数列並べられているといえる。
【0042】
以下、シートの束を複数列並べて積載する方法について、いくつか例を挙げて説明する。まず、シートの束を複数列並べて積載する方法について、壁部材が移動する方法について説明する。本例を移動フェンス式とも称する。なお、上述したように、積載手段として主にプルーフトレイ4を用いて説明するが、積載手段はプルーフトレイ4に限られず、シフトトレイ16も含む。
【0043】
移動フェンス式では、積載面の面方向の一の方向bに対して移動可能な壁部材(例えば移動フェンス)と、前記壁部材を移動させる駆動源と、を備え、前記壁部材は、前記シートが当該壁部材の壁面に沿って積載されてシートの束になった後、前記一の方向に移動する。これにより、シートの束をシート排出方向aに複数列並べて積載面4aに載置することができる。移動フェンス式では、シートの束の後端が壁面4bに揃った状態で移動するため、移動後もシートの束が崩れないという利点がある。
【0044】
移動フェンス式において、移動フェンスを移動させるタイミングは、適宜選択することができる。例えば、移動フェンスは、シートの束の高さが所定の高さに達した後、前記一の方向bに移動する。この場合、排紙口が塞がれることを防止できるとともに、シートの折り方の違いに依存せずにシートの束を移動させることができる。シートの折り方によって、折られたシートの厚みが異なる場合がある。例えばシートの枚数に応じて移動フェンスを移動させる場合、折られたシートの厚みが大きいと、想定以上にシートの束の高さが高くなり、排紙口を塞いでしまう場合があるため、これを防止できる。
【0045】
図7は、移動フェンス式を説明するための側面概略図(断面概略図でもよい)であり、シートの束の高さに基づいて移動フェンスを移動させる場合の例を説明するための図である。本例のシート積載装置では、プルーフトレイ4に移動フェンス50が設けられている。移動フェンス50は、壁部材の一例である。移動フェンス50は、駆動源51に接続され、積載面4aの面方向の一の方向b(単に方向bなどとも称する)に沿って移動可能となっている。なお、方向bは、積載手段(例えばプルーフトレイ4)における排出手段(例えば排紙ローラ8側)側から先端側への方向であるともいえる。
【0046】
駆動源51は、適宜選択することが可能であり、例えば歯付ベルト52とステッピングモータ53を組み合わせた構成である。移動フェンス50は、駆動源51により移動距離及び移動タイミングが制御される。
【0047】
図8は、プルーフトレイ4と移動フェンス50の一例を示す斜視概略図である。
本例では、プルーフトレイ4に溝54を設けており、移動フェンス50が溝54を移動できるようにしている。これにより、移動フェンス50が方向bに移動することでシートP(詳細にはシートの束Ps)を移動させることができる。
【0048】
プルーフトレイ4に溝54が設けられ、積載面4aの一部に空隙などが設けられていても、シートの束が1つの積載面4aに並べて載置されているといえる。例えば、シートP(破線)は、図示される左側の積載面4aと、図示される右側の積載面4aとに同時に積載されているため、左側の積載面4aと右側の積載面4aは1つの積載面であるといえる。複数の部材によりプルーフトレイ4を構成し、複数の積載面が存在する場合であっても、1つのプルーフトレイ4が有する複数の積載面に、1つのシートが同時に積載される場合、一体となった1つの積載面であるといえ、シートの束が1つの積載面4aに並べて載置されているといえる。
【0049】
壁部材の例として移動フェンス50を挙げて説明しているが、壁部材の形状は特に制限されるものではなく、本例の他にも、例えば棒状のような形状であってもよい。また、移動フェンス50は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0050】
移動フェンス50の移動前の配置としては、適宜選択することができ、例えば
図7に示すように、壁面4bよりも装置内側にする。移動フェンス50を壁面4bよりも装置内側に配置しておくことで、シートPの積載を阻害しない。
【0051】
図9~
図11は、移動フェンス50の移動例を説明するための側面概略図であり、シートの束を2列積載する場合の例を説明するための図である。
図9は、移動フェンス50が移動する前の状態を示し、
図10は、移動フェンス50の移動中又は移動後の状態を示し、
図11は、移動フェンス50の移動後に別のシートの束が積載されている状態を示している。
【0052】
図9では、フォトセンサ40が、シートの束が所定の高さになったことを検知する前の状態を示している。検知前において、排出手段(本例では排紙ローラ8)は、折り処理(本例ではZ折り)が行われたシートPをプルーフトレイ4に排出する。本例では、積載面4aが水平面に対して角度を有しており、排出されたシートPは、自重により壁面4bの方向に移動する。そのため、シートPは壁面4bに沿って積載され、シートの束Ps1を形成する。
【0053】
シートPの排出が続けられると、フォトセンサ40は、シートの束Ps1の高さが所定の高さになったことを検知する。上述したように、検知するシートの束の高さは、積載されたシートの後端の高さであるともいえる。また、プルーフトレイ4の構成によっては、フォトセンサ40が検知した状態を満杯の状態と称してもよい。
【0054】
フォトセンサ40がシートの束Ps1が所定の高さになったことを検知すると、画像形成システムは、印刷ジョブを一時停止する。そして、シート積載装置102は、
図10に示すように、移動フェンス50を方向bに移動させる。図中の白矢印は、移動フェンス50の移動を模式的に示している。
【0055】
移動フェンス50が移動することで、シートの束Ps1におけるシートPの後端は、壁面4bから離れる。またシートの束Ps1は、方向bに沿って、移動フェンス50に支えられながら積載面4a上を移動し、プルーフトレイ4の先端側に移動する。このように、移動フェンス50が移動し、シートの束Ps1が積載面4a上を移動してプルーフトレイ4の先端側に移動することで、シートの束Ps1が位置していた箇所にスペースが生じる。
【0056】
次に、画像形成システムは印刷ジョブを再開し、
図11に示すように、生じたスペースにシートPを排出する。これにより、方向bに沿って、シートの束Ps1とシートの束Ps2とを並べて積載面4aに載置することができる。
【0057】
移動フェンス50の移動距離は、適宜選択することができる。移動フェンス50は、例えば、シートPの折り幅の長さ分移動する。シートPの折り幅の長さは、折られたシートPの後端から先端までの方向b(又は搬送方向)に沿った長さである。移動フェンス50がシートPの折り幅の長さ分移動することで、余分なスペースが生じしにくくなり、より多くのシートの束を積載することができる。
【0058】
また、
図11を用いて説明すると、シートの束Ps2の先端が移動フェンス50に接触することを防止することが好ましい。このため、移動フェンス50は、シートPの折り幅の長さに所定のマージンを加えた長さ分移動することが好ましい。
【0059】
移動フェンス式のシート積載装置102では、移動フェンス(壁部材)を複数備えていてもよい。移動フェンスを複数用いることにより、例えば折り幅の狭いシートやサイズの小さいシートの場合、複数列のシートの束にしやすくなり、普通サイズのシートよりも積載上限が増加する。
【0060】
図12は、移動フェンス50が複数ある場合の例を示す概略図である。本例のように、移動フェンス50を複数用いることにより、シートの束を複数列並べて積載させやすくなる。折り幅の長さが短い場合のほか、小サイズ紙の場合に、シートの束を3列、4列・・・と並べて積載させやすくなり、従来よりも更に多くのシートを積載することができる。
【0061】
移動フェンス50を複数用いる場合、特に制限されるものではないが、例えば以下のようにすることができる。シートの束Ps1が所定の高さになり、移動フェンス50が移動した後、例えばシート積載装置102の内部から別の移動フェンス50を供給する。移動フェンス50の供給先は、歯付ベルト52により移動させることができる位置であるまた、移動フェンス50を複数用いる場合、複数の移動フェンス50は、連動して移動してもよいし、それぞれ個別に移動してもよい。また、移動フェンス50の移動距離の上限は、プルーフトレイ4、駆動源51等により、適宜変更することができる。また、移動フェンス50は、方向bに沿って移動するだけでなく、方向bの逆方向に沿って移動してもよい。
【0062】
上記の例で示しているように、折られたシートの折り目は、シート排出方向aと直交することが好ましい。この場合、積載面4aに積載されたときにスペースを確保しやすくなる。なお、折られたシートの折り目がシート排出方向aと直交するかどうかの判断時点としては、例えば、シートが排出されるときの時点とする。
【0063】
上記の例で示しているように、積載面4aは、水平方向に対して角度を有し、シートが積載面4aに積載されたとき、シートが自重で排出手段側(例えば排紙ローラ8側)に近づく角度であることが好ましい。この場合、シートの後端が壁面4bに沿って揃いやすくなり、シートを整合させるやすくなる。このため、整合したシートの束が得られやすくなる。後述の排出速度制御式でも同様の効果が得られる。
【0064】
次に、移動フェンス式における積載方法の制御フローの一例を説明する。
図13は、本例の制御フローである。フローの主体は、画像形成システム、画像形成装置、シート積載装置であり、例えば各制御部がフローの処理を行う。
【0065】
ユーザは、画像形成システムに対して印刷指示を行い、画像形成システムは印刷指示を受領する(S1)。印刷指示では、例えば、形成する画像の情報、印刷枚数、シートのサイズなどを指定するほか、面印刷/両面印刷、ステイプル、パンチ、折り処理などの印刷モードなどを指定するようにしてもよい。
【0066】
画像形成システムが印刷指示を受けると、シート積載装置102の制御部104は、シートのサイズや折り処理における折りの種類などから、移動フェンス50の移動距離Lを指定する(S2)。
【0067】
画像形成装置101は、設定された印刷条件で印刷を実行する(S3)。なお、設定された印刷条件(設定条件とも称する)は、例えば画像形成装置の制御部が印刷指示に基づいて設定を行う。また、S3における印刷では、画像形成装置101がシートに画像を形成した後、折り機103によりシートの折り処理を行う。
【0068】
次いで、シート積載装置102は、シートを受け入れる(S4)。シートは、例えば上述の入口ローラ5により受け入れる。次いで、シート積載装置102は、シートを搬送し、積載トレイ(例えばプルーフトレイ4)に排出する(S5)。積載トレイへの排出は、例えば上述の排紙ローラ8により行う。
【0069】
シート積載装置102は、積載トレイにシートを排出した後、設定枚数に達したかどうかを判定する(S6)。設定枚数に達した場合、終了する。この設定枚数は、ユーザにより指定される印刷枚数のほか、積載トレイの積載限界枚数が設定される。
【0070】
シート積載装置102は、設定枚数に達していない場合であり、シートの束が所定の高さになったことを検知した場合、移動フェンス50を方向bに距離L移動させる(S7、S8)。移動フェンス50が移動することにより、積載面4aに積載スペースが生じ、シートの積載が可能になる。このため、移動フェンス50が移動した後、シートの受け入れとシートの排出を繰り返す(S4、S5)。以上が本例の制御フローである。
【0071】
ここで、上記L、すなわち移動フェンス50の移動距離について補足を説明する。
折り機103は、例えばシートを搬送方向に分割して折り処理を行う。シートの折り幅の長さは、折られたシートの後端から先端までの搬送方向(例えば方向b)に沿った長さである。そのため、移動フェンス50の移動距離Lは、シートの折り幅の長さとすればよく、その長さは、シートのサイズと折り方法により決定される。
【0072】
例えば
図2に示す二つ折り、三つ折りの場合、折られたシートの長さ(シートの折り幅の長さ)は、元のシートの長さの1/2又は1/3の長さとなる。
図2に示す二つ折り、三つ折りの場合、折られた回数をNfとすると、移動フェンス50の移動距離Lは、以下のように表すことができる。
L=元のシートの長さ÷Nf
(Nf=2、3)
なお、折り処理を行わない場合、Nf=1とする。
【0073】
図2に示すZ折りの場合、例えば、搬送方向の元のシートの長さの1/4を折り幅としてシートの先端から2回折る。このため、Z折りの場合、折られたシートの長さ(シートの折り幅の長さ)は、元のシートの長さの1/2となり、上記のLの式において、Nf=2とすればよい。
【0074】
図2に示す内三つ折りの場合、折られたシートの長さ(シートの折り幅の長さ)は、元のシートの長さの1/3より大きく、1/2より小さい長さになる。そのため、Nf=2.5など、2~3の間の数値を適宜用いればよい。
【0075】
上記の例では、シートの束の高さに基づいて移動フェンス50を移動させるタイミングを決定していたが、本実施形態はこれに限られない。本例において、移動フェンス50は、排紙ローラ8が所定の枚数のシートを排出した後、前記一の方向bに移動する。この場合、シートの先端が膨らむ折り方の場合にも、排紙口が塞がれることを防止できる。例えば、Z折りの場合、折られたシートの先端側(積載トレイの先端側)が他の折り方に比べて膨らみやすくなる。このため、シートの後端の高さが所定の高さになるよりも前に、折られたシートの先端が排紙口に達してしまう場合がある。本例では、これを防止しやすくなる。
【0076】
図14は、移動フェンス式を説明するための側面概略図(断面概略図でもよい)であり、排紙ローラ8が排出したシートの枚数に基づいて移動フェンスを移動させる場合の例を説明するための図である。また、この図では、折られたシートの先端側が膨らみやすいZ折りの例としている。
【0077】
図示するように、本例のシート積載装置では、排紙ローラ8が排出したシートの枚数をカウントするための排紙センサ41が設けられている。図中の破線は、排紙センサ41がシートをカウントする箇所を模式的に示している。例えば、シート積載装置102の制御部104は、排紙センサ41の検知結果に基づき、所定の枚数になった場合、移動フェンス50を移動させる。
【0078】
これにより、排紙口を塞ぐ前にシートの束Psを移動させることができ、用紙詰まりを防止できる。所定の枚数は、例えばユーザが設定してもよいし、指定された折り方に基づいて制御部が決定してもよい。ユーザが所定の枚数を設定する場合、ユーザの要望に応じてシートの束を仕分けることができる。
【0079】
次に、シートの束を複数列並べて積載する他の方法について、シートが積載面に排出される位置を変更する方法について説明する。本例を排出速度制御式とも称する。
【0080】
排出速度制御式における排出手段は、当該排出手段が前記シートを排出するときの前記シートの移動速度を排出速度としたとき、排出速度を変更可能であり、排出速度を変更してシートが積載面に排出される位置を変更し、シートの束を並べて1つの積載面に載置する。排出速度制御式では、排出速度を制御するのみでシートの束を複数列積載することができるため、装置構成の追加が少なく、低コストでシートの積載枚数の上限を増加させることができる。
【0081】
排出速度制御式では、例えば、排紙ローラ8の回転速度を変更し、排紙ローラ8がシートを排出するときの排出速度を変更する。排出速度は、排紙速度、排紙線速、線速などと称することがあり、排出速度V、排紙速度Vなどと表記することがある。排出速度は、例えばシートの折り方などにより適宜変更する。排出速度制御式では、例えば、ある排出速度でシートを排出していき、シートの束を形成し、ある時点で排出速度を変更して大きくし、シートを遠くに飛ばして積載させる。このようにすることで、別のシートの束を形成し、シートの束を複数列並べて載置することができる。
【0082】
排出速度は、適宜変更することができる。例えば、排出速度を変更した後に排出されるシートが、排出速度を変更する前に排出されたシートの折り幅の長さよりも遠くに飛ばして積載されるような速度に変更する。これにより、積載トレイの先端側の空いているスペースにシートの束を形成することができる。
【0083】
図15Aは、排出速度制御式を説明するための側面概略図(断面概略図でもよい)であり、シートPの後端の排出軌道の例を説明するための図である。図中、3つの時点でのシートを模式的に示している。シートPは、排紙ローラ8で排出される時点、シートP’は、シートの先端が積載面4aに接触した時点、シートP’’は、積載面4aを滑り落ち、停止した時点である。図示する例は、折られていないシートの例である。図中の曲線の破線は、シートの後端の軌跡を模式的に示したものである。
【0084】
図15Bは、
図15Aを補足的に説明する図であり、(1)~(3)はそれぞれ、3つの時点でのシートP、シートP’、シートP’’を示している。
【0085】
本例において、排紙ローラ8の回転速度とシートPの排出速度は、同じもしくは略同じであると考えることができ、図中、Vで表記している。排出速度Vは、排紙ローラ8で排出されるときの初速度であり、排紙ローラ8から排出されたシートPは、空気抵抗などの影響を受ける。
【0086】
排紙ローラ8から排出されたシートは、シートの先端が積載面4aに接触にする。この時点をシートP’で示している。図示するように、シートの後端が、壁面4bから水平方向に対してどれだけ進んだかを示した量をXで示している。Xは飛び量などとも称する。飛び量Xは、シートの後端が壁面4bから水平方向に対して進んだ最大距離であるともいえる。また、飛び量Xの基点は、プルーフトレイ4の壁面4bとしているが、排紙ローラ8の排出位置であってもよい。
【0087】
積載面4aに排出されたシートは、積載面4aを滑り落ち、停止する。この時点をシートP’’で示している。シートは、積載面4aを滑り落ちる際、積載面4aや既に積載されているシートなどの摩擦の影響などを受ける。シートは、排紙ローラ8によって排出されると、上記のような動きになるため、シートの後端の軌跡は、図中の曲線の破線のようになる。排出されたシートは、水平方向に対して飛び量Xだけ飛んで、最終的に壁面4b側に引き戻されて停止する。
【0088】
図16は、排出速度Vと飛び量Xとの関係の一例を示す図である。図示する相関図は、排出速度Vと飛び量Xをいくつか測定したものに基づいて求めたものである。図示するように、排出速度Vと飛び量Xは相関関係を有しており、排出速度Vが大きいほど、飛び量Xは線形的に大きくなる。
【0089】
排出速度制御式では、排出速度Vを変更することにより、シートの飛び量Xを変更でき、シートの束が形成される位置を変更することができる。排出速度Vは、例えばシート積載装置102の制御部104により変更(制御と称してもよい)される。
【0090】
次に、排出速度制御式について、折られたシートの例も用いて詳細例を説明する。
図17は、本例を説明するための側面概略図(断面概略図でもよい)である。
図18は、本例における排出速度Vと飛び量Xとの関係の一例を示す図である。本例は、二つ折りのシートの例である。
【0091】
図17に示すように、まず排出速度V1でシートを排出する。排出速度V1で排出されたシートは、飛び量X1で排出され、シートの束Ps1を形成していく。図中、排出速度V1で排出されたシートの軌跡を曲線の破線で模式的に示している。図示するように、排出されたシートの後端は、プルーフトレイ4の壁面4bに揃えられて、1列目のシートの束Ps1が形成される。
【0092】
本例のシート積載装置102は、排紙センサ41を有しており、排紙ローラ8が排出したシートの枚数をカウントしている。例えば、所定の枚数のシートを排出したときに、シートの排出位置を変更し、シートの束を別に位置に形成する。
【0093】
所定の枚数のシートを排出した後、排出速度V1よりも速い排出速度V2でシートを排出する。これにより、1列目のシートの束Ps1を飛び越えてシートを積載させる。1列目のシートの束Ps1を飛び越えるためには、積載面4aに積載されたシートの水平方向の長さLxよりも大きい飛び量X2となるような排出速度にする必要がある。
【0094】
このとき、
図18に示す排出速度Vと飛び量Xとの相関図を用い、Lx<X2となる排出速度V2を設定すればよい。このような排出速度V2によりシートを排出することで、既に形成されたシートの束Ps1を越えて、2列目となるシートの束Ps2を形成することができる。
【0095】
また、3列目のシートの束を形成する場合、排出速度Vと飛び量Xとの相関図を用い、2Lx<X3を満たす排出速度V3を設定して排出すればよい。これにより、3列目のシートの束を形成することができる。このようにすることで、方向bに沿ってシートの束を複数列並べて載置することができる。
【0096】
なお、積載されたシートの水平方向の長さLxは、プルーフトレイ4の壁面4bからシートの先端までの長さとしている。プルーフトレイ4の壁面4bからシートの先端までの長さLxは、シートの束におけるシートによってばらつきが生じる場合、例えば最大値をとればよい。
【0097】
上記について再度説明する。排出速度制御式における排出速度は、積載面に積載されたときのシートの水平方向の長さLxと、下記飛び量Xとに基づいて選択され、N列目(Nは2以上の整数)のシートの束を積載する場合において、(N-1)Lx<Xの関係を満たす排出速度Vが選択されることが好ましい。排出速度をこのように選択する場合、追加の構成が少なくてすみ、低コストで積載上限を増やすことができる。
【0098】
[飛び量X]
シートが排出されて積載手段(例えばプルーフトレイ4)に積載されるまでにおける、シートの後端が水平方向に対して進む最大距離であり、この距離は前記積載手段が有する壁面4bを基点とし、壁面4bは、1列目のシートの束が形成されたときの1列目のシートの束におけるシートの後端が接する面もしくはシートの後端の近傍の面である。
【0099】
図18に示す相関図は、
図16に示す相関図と同じ相関関係としているが、用いる相関図は適宜選択することができる。例えば、シートの折り方に応じて用いる相関図を適宜選択してもよい。シートの折り方によって空気抵抗などの影響が変化する場合もあるため、このような影響を考慮して選択する。また、シートの重さのほか、排紙ローラ8がシートを排出する角度などの影響も考慮して相関図を選択する。また、積載されたシートの水平方向の長さLxは、シートのサイズのほか、シートの折り方にも依存するため、シートのサイズ、シートの折り方などの組み合わせごとに、適切な排出速度V、積載されたシートの水平方向の長さLxを指定する。
【0100】
次に、排出速度制御式における積載方法の制御フローの一例を説明する。
図19は、本例の制御フローである。
図13と同様に、フローの主体は、画像形成システム、画像形成装置、シート積載装置であり、例えば各制御部がフローの処理を行う。
【0101】
ユーザは、画像形成システムに対して印刷指示を行い、画像形成システムは印刷指示を受領する(S11)。印刷指示では、例えば、形成する画像の情報、印刷枚数、シートのサイズなどを指定するほか、面印刷/両面印刷、ステイプル、パンチ、折り処理などの印刷モードなどを指定するようにしてもよい。
【0102】
画像形成システムが印刷指示を受けると、シート積載装置102の制御部104は、シートのサイズや折り処理における折りの種類などから排出速度V1と、シートの束1列ごとの積載枚数Mを指定する(S12)。
【0103】
画像形成装置101は、設定された印刷条件で印刷を実行する(S13)。なお、設定された印刷条件(設定条件とも称する)は、例えば画像形成装置の制御部が印刷指示に基づいて設定を行う。また、S13における印刷では、画像形成装置101がシートに画像を形成した後、折り機103によりシートの折り処理を行う。
【0104】
次いで、シート積載装置102は、シートを受け入れる(S14)。シートは、例えば上述の入口ローラ5により受け入れる。次いで、シート積載装置102は、シートを搬送し、指定した排出速度(例えば排出速度V1)で積載トレイ(例えばプルーフトレイ4)に排出する(S15)。積載トレイへの排出は、例えば上述の排紙ローラ8により行う。
【0105】
シート積載装置102は、積載トレイにシートを排出した後、設定枚数に達したかどうかを判定する(S16)。設定枚数に達した場合、終了する。この設定枚数は、ユーザにより指定される印刷枚数のほか、積載トレイの積載限界枚数が設定される。
【0106】
シート積載装置102は、設定枚数に達していない場合、M枚排出したかどうか判定する(S17)。M枚排出していない場合、シートの受け入れと積載トレイへの排出を繰り返す。M枚排出した場合、排出速度V2を指定する(S18)。これにより、排出速度V2で排出されるようになり、シートの束が形成される位置を変更できる。以上が本例の制御フローである。
【0107】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>
折られたシートが積載される積載手段と、
前記シートを前記積載手段に排出する排出手段と、を備え、
前記積載手段は、前記シートが積載される積載面を有し、
前記シートが積載されたシートの束は、1つの前記積載面に並べて載置され、前記シートの束が並ぶ方向は、前記排出手段のシート排出方向である
ことを特徴とするシート積載装置。
<2>
前記積載面の面方向の一の方向に移動可能な壁部材と、
前記壁部材を移動させる駆動源と、を備え、
前記壁部材は、前記シートが当該壁部材の壁面に沿って積載されてシートの束になった後、前記一の方向に移動する
ことを特徴とする<1>に記載のシート積載装置。
<3>
前記壁部材を複数備える
ことを特徴とする<2>に記載のシート積載装置。
<4>
前記壁部材は、前記シートの束の高さが所定の高さに達した後、前記一の方向に移動する
ことを特徴とする<2>又は<3>に記載のシート積載装置。
<5>
前記壁部材は、前記排出手段が所定の枚数の前記シートを排出した後、前記一の方向に移動する
ことを特徴とする<2>から<4>のいずれかに記載のシート積載装置。
<6>
前記排出手段は、当該排出手段が前記シートを排出するときの前記シートの移動速度を排出速度としたとき、前記排出速度を変更可能であり、前記排出速度を変更して前記シートが前記積載面に排出される位置を変更し、前記シートの束を並べて1つの前記積載面に載置する
ことを特徴とする<1>に記載のシート積載装置。
<7>
前記排出速度は、前記積載面に積載されたときのシートの水平方向の長さLxと、下記飛び量Xとに基づいて選択され、N列目(Nは2以上の整数)のシートの束を積載する場合において、(N-1)Lx<Xの関係を満たす排出速度Vが選択される
ことを特徴とする<6>に記載のシート積載装置。
[飛び量X]
前記シートが排出されて前記積載手段に積載されるまでにおける、前記シートの後端が水平方向に対して進む最大距離であり、この距離は前記積載手段が有する壁面を基点とし、前記壁面は、1列目の前記シートの束が形成されたときの1列目の前記シートの束における前記シートの後端が接する面もしくは前記シートの後端の近傍の面である。
<8>
前記折られたシートの折り目は、前記シート排出方向と直交する
ことを特徴とする<1>から<7>のいずれかに記載のシート積載装置。
<9>
前記積載面は、水平方向に対して角度を有し、該角度は、前記シートが当該積載面に積載されたとき、前記シートが自重で前記排出手段側に近づく角度である
ことを特徴とする<1>から<8>のいずれかに記載のシート積載装置。
<10>
シートに画像を形成する画像形成装置と、
画像が形成されたシートを積載する<1>から<9>のいずれかに記載のシート積載装置と、を有する
ことを特徴とする画像形成システム。
<11>
前記画像形成装置によって画像が形成されたシートに対して折り処理を行う折り装置を有し、
前記シート積載装置は、前記折り装置によって折り処理が行われたシートを受け取り、折られたシートを前記積載手段に積載させる
ことを特徴とする<10>に記載の画像形成システム。
【符号の説明】
【0108】
4 プルーフトレイ
4a 積載面
4b 壁面
8 排紙ローラ
40 フォトセンサ
41 排紙センサ
50 移動フェンス
51 駆動部
54 溝
100 画像形成システム
101 画像形成装置
102 シート積載装置
103 折り機
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【特許文献1】特開2020-045180号公報
【特許文献2】特開2014-028688号公報