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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119196
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】DMLドライバ
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/42 20060101AFI20240827BHJP
   H03F 1/22 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H03F1/42
H03F1/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025927
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591230295
【氏名又は名称】NTTイノベーティブデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】岸 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】美濃谷 直志
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雅広
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA13
5J500AA14
5J500AA41
5J500AC21
5J500AC57
5J500AC62
5J500AC92
5J500AF12
5J500AH10
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH33
5J500AH44
5J500AK06
5J500AM17
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT03
5J500LV08
(57)【要約】
【課題】LDの帯域を補償する。
【解決手段】DMLドライバ10は、ゲートがバイアス電圧Vに接続され、ソースが電源電圧Vに接続されたPMOSトランジスタM1pと、ゲートにRF入力信号Vinが入力され、ソースがグラウンドに接続されたNMOSトランジスタM1nと、ゲートがバイアス電圧Vに接続され、ドレインがLD1のアノードに接続され、ソースがトランジスタM1nのドレインに接続されたNMOSトランジスタM2nと、一端がトランジスタM1pのドレインに接続され、他端がトランジスタM2nのドレインおよびLD1のアノードに接続されたインダクタLと、一端がバイアス電圧Vに接続され、他端がトランジスタM1nのゲートに接続された抵抗Rinとから構成される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートまたはベースが第1のバイアス電圧に接続され、ソースまたはエミッタが第1の電源電圧に接続された第1のトランジスタと、
ゲートまたはベースにRF入力信号が入力され、ドレインまたはコレクタがレーザダイオードのアノードに接続され、ソースまたはエミッタが第2の電源電圧に接続された第2のトランジスタと、
一端が前記第1のトランジスタのドレインまたはコレクタに接続され、他端が前記レーザダイオードのアノードに接続されたインダクタと、
一端が第2のバイアス電圧に接続され、他端が前記第2のトランジスタのゲートまたはベースに接続された第1の抵抗とを備えることを特徴とするDMLドライバ。
【請求項2】
請求項1記載のDMLドライバにおいて、
ゲートまたはベースが第3のバイアス電圧に接続され、前記レーザダイオードのアノードと前記第2のトランジスタのドレインまたはコレクタとの間にカスコード接続された第3のトランジスタをさらに備えることを特徴とするDMLドライバ。
【請求項3】
請求項1記載のDMLドライバにおいて、
ゲートまたはベースが第4のバイアス電圧に接続され、前記インダクタの2つの端子のうち前記レーザダイオードのアノードと反対側の端子と前記第1のトランジスタのドレインまたはコレクタとの間にカスコード接続された第4のトランジスタをさらに備えることを特徴とするDMLドライバ。
【請求項4】
ゲートまたはベースが第1のバイアス電圧に接続され、ソースまたはエミッタが第1の電源電圧に接続された第1のトランジスタと、
ゲートまたはベースが第2のバイアス電圧に接続され、ソースまたはエミッタが第2の電源電圧に接続された第2のトランジスタと、
ゲートまたはベースにRF入力信号が入力され、レーザダイオードのアノードと前記第2のトランジスタのドレインまたはコレクタとの間にカスコード接続された第3のトランジスタと、
一端が前記第1のトランジスタのドレインまたはコレクタに接続され、他端が前記レーザダイオードのアノードに接続されたインダクタと、
一端が第3のバイアス電圧に接続され、他端が前記第3のトランジスタのゲートまたはベースに接続された第1の抵抗とを備えることを特徴とするDMLドライバ。
【請求項5】
請求項4記載のDMLドライバにおいて、
ゲートまたはベースが第4のバイアス電圧に接続され、前記インダクタの2つの端子のうち前記レーザダイオードのアノードと反対側の端子と前記第1のトランジスタのドレインまたはコレクタとの間にカスコード接続された第4のトランジスタをさらに備えることを特徴とするDMLドライバ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のDMLドライバにおいて、
前記第2のトランジスタのソースまたはエミッタと前記第2の電源電圧との間に挿入された第2の抵抗をさらに備えることを特徴とするDMLドライバ。
【請求項7】
請求項6記載のDMLドライバにおいて、
前記第2の抵抗と並列に接続されたキャパシタをさらに備えることを特徴とするDMLドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接変調レーザ(DML:Directly Modulated Laser)を駆動する技術に係り、特に周波数ピーキング機能を有するDMLドライバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、SNS(Social Networking Service)の著しい発達により、世界中の通信のトラフィック量が年々増加している。今後、IoT(Internet of Things)およびクラウドコンピューティング技術の発展により更なるトラフィック量の増加が見込まれており、膨大なトラフィック量を支えるために、データセンタ内外の通信容量の大容量化が求められている。
【0003】
大容量化に伴って、ネットワークの主要な規格要素であるEthernet(登録商標)の標準規格は現在、100GbEの標準化が完了しており、さらなる大容量化を目指した400GbEの標準化が議論されている。400GbEへの適用を目的として、低消費電力化の観点からDMLを用いたドライバが注目されている(非特許文献1参照)。
【0004】
図11は従来のDMLドライバの構成を示す回路図である。DMLドライバは、ゲートがバイアス電圧Vに接続され、ソースが電源電圧Vに接続され、ドレインがレーザダイオード(LD:Laser Diode)1のアノードに接続されたPMOSトランジスタM1pと、ゲートにRF入力信号Vinが入力され、ソースがグラウンドに接続されたNMOSトランジスタM1nと、ゲートがバイアス電圧Vに接続され、ドレインがPMOSトランジスタM1pのドレインおよびLD1のアノードに接続され、ソースがNMOSトランジスタM1nのドレインに接続されたNMOSトランジスタM2nと、一端がバイアス電圧Vに接続され、他端がNMOSトランジスタM1nのゲートに接続された抵抗Rinとから構成される。
【0005】
NMOSトランジスタM1nとM2nはカスコード接続されており、カスコード接続されることで、NMOSトランジスタM1n単体の時よりも、周波数特性が向上する。また、LD1の動作電圧がNMOSトランジスタ単体の耐圧を超えている場合でも、カスコード接続によって分圧されるので、NMOSトランジスタM1n,M2nの耐圧破壊を防ぐことができる。抵抗Rinはインピーダンスマッチング用の抵抗である。
【0006】
図11に示すように従来のドライバ回路の構成では、ドライバ部にLDの帯域を補償する機能がなかったため、DMLドライバとLDで構成される送信フロントエンドの帯域がLDの帯域に律速されてしまうという課題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】T.Kishi et al.,“A 137-mW,4 ch x 25-Gbps low-power compacttransmitter flip-chip-bonded 1.3-μm LD-array-on-Si”,In Proceedings of the Optical Fiber Communication Conference andExhibition,2018,Paper M2D.2.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、LDの帯域を補償することが可能なDMLドライバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のDMLドライバは、ゲートまたはベースが第1のバイアス電圧に接続され、ソースまたはエミッタが第1の電源電圧に接続された第1のトランジスタと、ゲートまたはベースにRF入力信号が入力され、ドレインまたはコレクタがレーザダイオードのアノードに接続され、ソースまたはエミッタが第2の電源電圧に接続された第2のトランジスタと、一端が前記第1のトランジスタのドレインまたはコレクタに接続され、他端が前記レーザダイオードのアノードに接続されたインダクタと、一端が第2のバイアス電圧に接続され、他端が前記第2のトランジスタのゲートまたはベースに接続された第1の抵抗とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のDMLドライバの1構成例は、ゲートまたはベースが第3のバイアス電圧に接続され、前記レーザダイオードのアノードと前記第2のトランジスタのドレインまたはコレクタとの間にカスコード接続された第3のトランジスタをさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明のDMLドライバの1構成例は、ゲートまたはベースが第4のバイアス電圧に接続され、前記インダクタの2つの端子のうち前記レーザダイオードのアノードと反対側の端子と前記第1のトランジスタのドレインまたはコレクタとの間にカスコード接続された第4のトランジスタをさらに備えることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のDMLドライバは、ゲートまたはベースが第1のバイアス電圧に接続され、ソースまたはエミッタが第1の電源電圧に接続された第1のトランジスタと、ゲートまたはベースが第2のバイアス電圧に接続され、ソースまたはエミッタが第2の電源電圧に接続された第2のトランジスタと、ゲートまたはベースにRF入力信号が入力され、レーザダイオードのアノードと前記第2のトランジスタのドレインまたはコレクタとの間にカスコード接続された第3のトランジスタと、一端が前記第1のトランジスタのドレインまたはコレクタに接続され、他端が前記レーザダイオードのアノードに接続されたインダクタと、一端が第3のバイアス電圧に接続され、他端が前記第3のトランジスタのゲートまたはベースに接続された第1の抵抗とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のDMLドライバの1構成例は、ゲートまたはベースが第4のバイアス電圧に接続され、前記インダクタの2つの端子のうち前記レーザダイオードのアノードと反対側の端子と前記第1のトランジスタのドレインまたはコレクタとの間にカスコード接続された第4のトランジスタをさらに備えることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のDMLドライバの1構成例は、前記第2のトランジスタのソースまたはエミッタと前記第2の電源電圧との間に挿入された第2の抵抗をさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明のDMLドライバの1構成例は、前記第2の抵抗と並列に接続されたキャパシタをさらに備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、インダクタによる高周波でのピーキング効果によりLDの帯域を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1の実施例に係るDMLドライバの構成を示す回路図である。
図2図2は、本発明の第1の実施例に係るDMLドライバの特性を説明するための図である。
図3図3は、従来の構成と本発明の第1の実施例についてDMLドライバとLDのEO応答特性をシミュレーションによって求めた結果を示す図である。
図4A-4B】図4A図4Bは、従来の構成と本発明の第1の実施例についてLDの光出力波形を示す図である。
図5図5は、本発明の第2の実施例に係るDMLドライバの構成を示す回路図である。
図6図6は、本発明の第3の実施例に係るDMLドライバの構成を示す回路図である。
図7図7は、本発明の第4の実施例に係るDMLドライバの構成を示す回路図である。
図8図8は、本発明の第4の実施例に係るDMLドライバの別の構成を示す回路図である。
図9図9は、本発明の第5の実施例に係るDMLドライバの構成を示す回路図である。
図10図10は、本発明の第6の実施例に係るDMLドライバの構成を示す回路図である。
図11図11は、従来のDMLドライバの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施例に係るDMLドライバの構成を示す回路図である。本実施例のDMLドライバ10は、ゲートがバイアス電圧V(第1のバイアス電圧)に接続され、ソースが電源電圧V(第1の電源電圧)に接続されたPMOSトランジスタM1pと、ゲートにRF入力信号Vin(変調信号)が入力され、ソースがグラウンド(第2の電源電圧)に接続されたNMOSトランジスタM1nと、ゲートがバイアス電圧V(第3のバイアス電圧)に接続され、ドレインがLD1のアノードに接続され、ソースがNMOSトランジスタM1nのドレインに接続されたNMOSトランジスタM2nと、一端がPMOSトランジスタM1pのドレインに接続され、他端がNMOSトランジスタM2nのドレインおよびLD1のアノードに接続されたインダクタLと、一端がバイアス電圧V(第2のバイアス電圧)に接続され、他端がNMOSトランジスタM1nのゲートに接続された抵抗Rinとから構成される。
【0015】
各電圧の大小関係は、V>V>V>V>GND(グラウンド)となる。本実施例では、PMOSトランジスタM1pのドレインにインダクタLを直列に接続することで高周波でのピーキング機能が働き、LD1の帯域を補償することが可能である。PMOSトランジスタM1pは、RF入力信号Vinが入力される変調部であるNMOSトランジスタM1nと、LD1とに電流を供給する役割を担っており、定電流源とみなすことができる。
【0016】
PMOSトランジスタM1pを定電流源とみなす場合、図2に示すように抵抗R1pに置き替えることができる。図2に示す構成において、NMOSトランジスタM1nのトランスコンダクタンスをgとした場合、DMLドライバの利得Aは以下の式(1)で表すことができる。
【0017】
【数1】
【0018】
式(1)のsはラプラス演算子である。式(1)で示すように、インダクタLの値が大きいほど、利得Aが増加し、DMLドライバとLD1で構成される送信フロントエンドの帯域が改善される。しかしながら、LD1は、自身の緩和振動周波数において群遅延が増加する特性がある。このため、送信フロントエンドの帯域とLD1の群遅延特性とがトレードオフの関係となるので、インダクタLの値は、LD1の群遅延特性を考慮して決定する必要がある。
【0019】
従来の構成と本実施例についてDMLドライバとLD1のEO(Electrical-to-Optical)応答特性をシミュレーションによって求めた結果を図3に示す。図3の100は図11に示した従来の構成のEO応答特性を示し、101は本実施例のEO応答特性を示している。LD1の特性に依存するが、本シミュレーションの環境では、例えばインダクタLの値を0.8nHにすることで、帯域と群遅延特性が均衡した状態となる。本実施例の構成では、インダクタLによる周波数ピーキング効果により、従来の回路構成に比べてEO応答特性の3dB帯域が改善されていることが分かる。
【0020】
次に、従来の構成についてLD1の光出力波形をシミュレーションによって求めた結果を図4Aに示し、本実施例の構成についてLD1の光出力波形をシミュレーションによって求めた結果を図4Bに示す。図4A図4Bの例は、信号速度25GbpsのNRZ(Non Return to Zero)信号光をLD1から出力させた場合を示している。縦軸の振幅のスケールは200μW/div、横軸の時間のスケールは20ps/divである。図4A図4Bを比較すると、インダクタLによる周波数ピーキング機能により、本実施例の回路構成では、横軸(時間)方向、縦軸(振幅)方向共にアイ開口が改善されていることが分かる。
【0021】
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図5は本発明の第2の実施例に係るDMLドライバの構成を示す回路図である。本実施例のDMLドライバ10aは、第1の実施例のDMLドライバ10からNMOSトランジスタM2nを省き、NMOSトランジスタM1nのドレインとLD1のアノードとを接続したものである。この場合、バイアス電圧Vが不要となる。NMOSトランジスタM1nの耐圧が高い場合、NMOSトランジスタをカスコード構成にしないことで、電源端子数を削減することが可能である。
【0022】
[第3の実施例]
次に、本発明の第3の実施例について説明する。図6は本発明の第3の実施例に係るDMLドライバの構成を示す回路図である。本実施例のDMLドライバ10bは、PMOSトランジスタM1pと、NMOSトランジスタM1nと、インダクタLと、ゲートがバイアス電圧V-1~V-x(第4のバイアス電圧)に接続され、インダクタLの2つの端子のうちLD1のアノードと反対側の端子とPMOSトランジスタM1pのドレインとの間にカスコード接続された1乃至複数のPMOSトランジスタM2p-1~M2p-xと、ゲートがバイアス電圧V-1~V-y(第3のバイアス電圧)に接続され、LD1のアノードとNMOSトランジスタM1nのドレインとの間にカスコード接続された1乃至複数のNMOSトランジスタM2n-1~M2n-yと、抵抗Rinとから構成される。
【0023】
各電圧の大小関係は、V>V>V-1>・・・>V-x>V-y>・・・>V-1>V>GND(グラウンド)となる。PMOSトランジスタのカスコード接続は、ソースを上段のPMOSトランジスタのドレインに接続し、ドレインを下段のPMOSトランジスタのソースまたはインダクタLの一端に接続すればよい。NMOSトランジスタのカスコード接続は、ソースを下段のNMOSトランジスタのドレインに接続し、ドレインを上段のNMOSトランジスタのソースまたはLD1のアノードに接続すればよい。
【0024】
このように、PMOSトランジスタ、NMOSトランジスタ共に耐圧破壊を防ぐために多段の回路構成を採ることができる。最先端のノードになると、トランジスタ単体あたりの耐圧が減少するため、効果的である。ここでは、PMOSトランジスタM1pにカスコード接続するPMOSトランジスタM2p-1~M2p-xをx段、NMOSトランジスタM1nにカスコード接続するNMOSトランジスタM2n-1~M2n-yをy段とした。x,yともに1以上とする。
【0025】
[第4の実施例]
次に、本発明の第4の実施例について説明する。図7は本発明の第4の実施例に係るDMLドライバの構成を示す回路図である。本実施例のDMLドライバ10cは、ゲートがバイアス電圧Vに接続され、ソースが電源電圧Vに接続されたPMOSトランジスタM1pと、ゲートがバイアス電圧Vに接続され、ソースがグラウンドに接続されたNMOSトランジスタM1nと、ゲートにRF入力信号Vinが入力され、ドレインがLD1のアノードに接続され、ソースがNMOSトランジスタM1nのドレインに接続されたNMOSトランジスタM2nと、一端がPMOSトランジスタM1pのドレインに接続され、他端がNMOSトランジスタM2nのドレインおよびLD1のアノードに接続されたインダクタLと、一端がバイアス電圧Vに接続され、他端がNMOSトランジスタM2nのゲートに接続された抵抗Rinとから構成される。
【0026】
第1の実施例では、NMOSトランジスタM1nのゲートにRF入力信号Vinを入力していた。本実施例では、NMOSトランジスタM2nのゲートにRF入力信号Vinを入力する。これにより、本実施例では、NMOSトランジスタM1nのゲートに印加するバイアス電圧Vを調節することによって、PMOSトランジスタM1pからNMOSトランジスタM2n,M1n側に流れる電流を調節することができる。
【0027】
なお、第3の実施例と同様にPMOSトランジスタM1pにカスコード接続するPMOSトランジスタM2p-1~M2p-xをx段(xは1以上の整数)設けるようにしてもよい。この場合の構成を図8に示す。
【0028】
また、本実施例では、NMOSトランジスタM1nにカスコード接続するNMOSトランジスタM2nを1段(y=1)としたが、第3の実施例で説明したとおり複数段のNMOSトランジスタM2n-1~M2n-yを接続してもよい(y≧2)。この場合、複数段のNMOSトランジスタM2n-1~M2n-yのうちいずれか1つのNMOSトランジスタM2n-k(kは1~yのいずれか)のゲートにRF入力信号Vinを入力し、NMOSトランジスタM2n-kに印加するためのバイアス電圧V-kとNMOSトランジスタM2n-kのゲートとの間に抵抗Rinを接続すればよい。
【0029】
[第5の実施例]
次に、本発明の第5の実施例について説明する。図9は本発明の第5の実施例に係るDMLドライバの構成を示す回路図である。本実施例のDMLドライバ10dは、第1の実施例のDMLドライバ10に対して、NMOSトランジスタM1nのソースとグラウンドとの間に抵抗Rを挿入したものである。これにより、本実施例では、DMLドライバ10dの線形性を改善することができ、RF入力信号Vinに対してDMLドライバ10dをより線形に動作させることができる。
図9では、第1の実施例に抵抗Rを適用しているが、第2~第4の実施例に抵抗Rを適用してもよい。
【0030】
[第6の実施例]
次に、本発明の第6の実施例について説明する。図10は本発明の第6の実施例に係るDMLドライバの構成を示す回路図である。本実施例のDMLドライバ10eは、第5の実施例のDMLドライバ10dに対して、抵抗Rと並列にキャパシタCを接続したものである。これにより、本実施例では、第5の実施例に比べて、DMLドライバ10eとLD1で構成される送信フロントエンドの高周波での帯域を改善することができる。
図10では、第1の実施例に抵抗RとキャパシタCを適用しているが、第2~第4の実施例に抵抗RとキャパシタCを適用してもよい。
【0031】
なお、NMOSトランジスタの耐圧に問題がない場合には、第1、第3、第5、第6の実施例においてNMOSトランジスタM2n,M2n-1~M2n-yを省き、NMOSトランジスタM1nのドレインとLD1のアノードとを接続してもよい。この場合は、バイアス電圧V,V-1~V-yが不要となる。
【0032】
また、第3の実施例において、PMOSトランジスタの耐圧に問題がない場合には、PMOSトランジスタM2p-1~M2p-xを省き、PMOSトランジスタM1pのドレインとインダクタLの一端とを接続してもよい。この場合は、バイアス電圧V-1~V-xが不要となる。
【0033】
第1~第6の実施例では、トランジスタM1p,M2p-1~M2p-x,M1n,M2n,M2n-1~M2n-yとしてMOSトランジスタを使用した例を示しているが、トランジスタM1p,M2p-1~M2p-xとしてPNPバイポーラトランジスタを使用し、トランジスタM1n,M2n,M2n-1~M2n-yとしてNPNバイポーラトランジスタを使用してもよい。バイポーラトランジスタを使用する場合には、第1~第6の実施例の説明において、ゲートをベースに置き換え、ドレインをコレクタに置き換え、ソースをエミッタに置き換えるようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、LDの光出力を直接変調する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…LD、10,10a~10e…DMLドライバ、 M1p,M2p-1~M2p-x…PMOSトランジスタ、M1n,M2n,M2n-1~M2n-y…NMOSトランジスタ、L…インダクタ、Rin,R…抵抗、C…キャパシタ。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11