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特開2024-119212アンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置
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  • 特開-アンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置 図1
  • 特開-アンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置 図2A
  • 特開-アンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置 図2B
  • 特開-アンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置 図2C
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  • 特開-アンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119212
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】アンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20240827BHJP
   H01Q 1/42 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025955
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岩上 健一
(72)【発明者】
【氏名】茂木 健
(72)【発明者】
【氏名】吉田 翔
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046RA03
5J047AA06
5J047AA10
5J047AB08
5J047BB02
5J047BD01
5J047EF01
5J047FD01
(57)【要約】
【課題】取付対象物に取り付け可能で、筐体の変形又は破損を抑制可能なアンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置は、取付対象物の取付面に取り付けられるアンテナ装置であって、アンテナ部と、前記アンテナ部を収容する筐体と、前記取付対象物に当接する当接部とガイド部とを有し、前記筐体を支持する支持部と、前記支持部に設けられ、前記アンテナ部に接続されるコネクタと、前記ガイド部に通されて前記取付対象物の周囲に巻き付けられるとともに前記支持部の前記当接部が前記取付対象物に当接した状態で、前記支持部を前記取付対象物に対して固定する固定部材とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物の取付面に取り付けられるアンテナ装置であって、
アンテナ部と、
前記アンテナ部を収容する筐体と、
前記取付対象物に当接する当接部とガイド部とを有し、前記筐体を支持する支持部と、
前記支持部に設けられ、前記アンテナ部に接続されるコネクタと、
前記ガイド部に通されて前記取付対象物の周囲に巻き付けられるとともに前記支持部の前記当接部が前記取付対象物に当接した状態で、前記支持部を前記取付対象物に対して固定する固定部材と
を含む、アンテナ装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記当接部に設けられている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記取付対象物の取付面に対応して湾曲している、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記取付面は曲面であり、前記支持部は、前記当接部のみで前記取付面に当接する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記支持部は、
前記取付面に沿って延在する基部と、
前記基部に接続され、前記取付面から離間する方向に延在する延在部と
を有し、
前記コネクタは、前記延在部に固定される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記延在部は、前記基部の延在方向における端部で屈曲して前記取付面から離間する方向に延在している、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記延在部は、前記支持部が前記取付対象物に固定された状態で、前記基部の下端に位置する、請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記筐体は、前記アンテナ部よりも前記取付対象物側に位置する部分に設けられる反射部を有する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記アンテナ部と前記取付対象物との間の領域で前記支持部に締結されており、前記コネクタとは締結されていない、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のアンテナ装置と、
前記取付対象物としての電柱と
を含む、電柱アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、筐体に回転自在に取り付けられたコネクタを含む無線送受信機がある。コネクタは、筐体内に設けられたアンテナに接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63-56804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の無線送受信機(アンテナ装置)を構造体(取付対象物)に対して取り付けた状態で、コネクタに接続されるケーブルが作業者等によって引っ張られること等によって、ケーブルに外力が掛かると、筐体の変形又は破損が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、取付対象物に取り付け可能で、筐体の変形又は破損を抑制可能なアンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態のアンテナ装置は、取付対象物の取付面に取り付けられるアンテナ装置であって、アンテナ部と、前記アンテナ部を収容する筐体と、前記取付対象物に当接する当接部とガイド部とを有し、前記筐体を支持する支持部と、前記支持部に設けられ、前記アンテナ部に接続されるコネクタと、前記ガイド部に通されて前記取付対象物の周囲に巻き付けられるとともに前記支持部の前記当接部が前記取付対象物に当接した状態で、前記支持部を前記取付対象物に対して固定する固定部材とを含む。
【発明の効果】
【0007】
取付対象物に取り付け可能で、筐体の変形又は破損を抑制可能なアンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のアンテナ装置を含む電柱アンテナ装置の一例を示す図である。
図2A】実施形態のアンテナ装置の正面(前面側)の構成の一例を示す図である。
図2B】実施形態のアンテナ装置の側面の構成の一例を示す図である。
図2C】実施形態のアンテナ装置の前面側を斜め下方から見た構成の一例を示す図である。
図2D】実施形態のアンテナ装置の背面側を斜め下方から見た構成の一例を示す図である。
図2E】実施形態のアンテナ装置の背面側を斜め上方から見た構成の一例を示す図である。
図3】実施形態のアンテナ装置を分解して状態の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のアンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置を適用した実施形態について説明する。以下では、同一の要素に同一の号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
【0010】
以下では、XYZ座標系を定義して説明する。X軸に平行な方向(X方向)、Y軸に平行な方向(Y方向)、Z軸に平行な方向(Z方向)は、互いに直交する。また、以下では、Z方向は鉛直方向を表し、XY平面は水平面に平行な平面である。このため、以下では、説明の便宜上、-Z方向側を下側又は下、+Z方向側を上側又は上と称す場合がある。また、平面視とはXY面視することをいう。また、以下では構成が分かりやすくなるように各部の長さ、太さ、厚さ等を誇張して示す場合がある。また、平行、直角、直交、水平、垂直、上下等の文言は、実施形態の効果を損なわない程度のずれを許容するものとする。
【0011】
また、以下の説明で、「電波」とは電磁波の一種であり、一般的に、3THz以下の電磁波は電波と呼ばれている。以下では、屋外の基地局又は中継局から放射された電磁波を「電波」と呼び、電磁波一般について言及するときは「電磁波」と呼ぶ。また、以下では、「ミリ波」又は「ミリ波帯」というときは、30GHz~300GHzの周波数帯域に加えて、24GHz~30GHzの準ミリ波帯も含むものとする。
【0012】
実施形態のアンテナ装置が送信又は受信(送受信)する電波は、第五世代移動通信システム(5G)等のミリ波帯や、Sub-6を含む1GHz~30GHzの周波数帯域の電波であると好適である。また、実施形態のアンテナ装置が送受信する電波は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、又はUMB(Ultra Mobile Broadband)であってもよい。また、実施形態のアンテナ装置が送受信する電波は、IEEE802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE802.20、UWB(Ultra-Wideband)、Bluetooth(登録商標)、又はLPWA(Low Power Wide Area)等であってもよい。以下では、特に断らない限り、一例としてミリ波帯とSub-6の電波を用いて説明する。また、特に断らない限り、アンテナ装置が電波を放射(送信)する場合について説明するが、電波を受信する場合も同様である。
【0013】
<実施形態>
図1は、実施形態のアンテナ装置100を含む電柱アンテナ装置200の一例を示す図である。電柱アンテナ装置200は、電柱10と、アンテナ装置100とを含む。アンテナ装置100は、一例として、Sub-6の電波を用いた通信における基地局のアンテナとして利用可能な装置である。電柱10には、図示しない基地局用の通信装置が取り付けられるとともにアンテナ装置100に接続される。電柱アンテナ装置200は、基地局を設けた電柱として、地面等に設置可能である。
【0014】
電柱10は、アンテナ装置100が取り付けられる取付対象物の一例である。電柱10の外周面10Aは、アンテナ装置100が取り付けられる取付面の一例である。電柱10は、例えば、電力会社が送電又は配電を行う電線を支持する電力柱、通信会社が電話回線又は光ケーブルを各家庭に届けるために用いる電信柱、又は、電力柱と電信柱の両方の役割を果たす共用柱、又は、電車の架線の支持に用いられる架線柱等であってもよい。また、電柱10は、電信柱又は電信棒等と呼ばれる場合もある。このような電柱10の長さ及び口径等については、例えば、JIS(日本産業規格)等に定められている。なお、取付対象物は、電柱10以外の柱状等の構造物であってもよい。
【0015】
電柱10は、例えば、鉄骨をコンクリートで覆った円柱型の部材であるが、このような形態に限られない。電柱10は、木製や樹脂製等でもよい。電柱10は、電柱10を地面に設置する際に、上端になる端部と、下端になる端部とが決まっている。以下では、特に断らない限り、一例として電柱10が円柱型であり、電柱10の上端側の部分の直径が190mmであり、地中に埋設されない部分における下端側の部分の直径が250mmである。以下では、電柱10の地中に埋設されない部分を除いて、上端部と下端部があるものとして説明する。電柱10は、下端側から上端側に向かって線形的に直径が細くなる円柱型である。
【0016】
アンテナ装置100は、直径が190mmの上端側の部分と、電柱10の直径が250mmの下端側の部分と、上端側及び下端側の間の部分とのどの位置にも取り付け可能である。しかしながら、特に断らない限り、以下では、図面に電柱10の直径が190mmの部分を示し、電柱10の直径が190mmの部分にアンテナ装置100を取り付ける場合について説明する。なお、電柱10には、作業者等が足場として利用する足場ボルト11が取り付けられている。
【0017】
また、アンテナ装置100は、円柱型の電柱10の外周面10Aに取り付けられるため、中空円柱体を周方向において複数に分割したうちの1つのような円弧状に湾曲した形状を有する。アンテナ装置100の各部は円弧状に湾曲しており、各部の湾曲形状は略揃えられている。このため、以下で各部を説明する際において、径方向とは、各部の円弧状の湾曲形状の径方向をいう。径方向は、一例として、中空円柱体の周方向の一部分に相当する形状を有する筐体130の径方向を基準としている。また、以下で各部を説明する際において、周方向とは、アンテナ装置100の各部の湾曲形状の周方向をいう。周方向についても、一例として、中空円柱体の周方向の一部分に相当する形状を有する筐体130の周方向を基準としている。周方向は、物体が湾曲する方向(湾曲方向)である。
【0018】
また、アンテナ装置100の利用状態においては、アンテナ装置100の周りには、スマートフォン、タブレットコンピュータ、又はゲーム機等の携帯型の無線通信装置を利用する利用者が存在することになる。このため、アンテナ装置100が放射する電波は、電柱10の円柱形状の径方向における外側方向で、かつ、水平方向から下向きの範囲に伝搬することが好ましい。以下では、アンテナ部140から見て電柱10の円柱形状の径方向における外側をアンテナ部140の前面側と称し、アンテナ部140から見て電柱10の円柱形状の径方向における内側をアンテナ部140の背面側と称す場合がある。また、アンテナ部140を収容する筐体130についても、アンテナ部140と同様に、筐体130の前面側又は背面側と称す場合がある。
【0019】
<アンテナ装置100の構成>
ここでは、図1に加えて、図2A図2E及び図3を用いて説明する。図2Aは、アンテナ装置100の正面(前面側)の構成の一例を示す図である。図2Bは、アンテナ装置100の側面の構成の一例を示す図である。図2Cは、アンテナ装置100の前面側を斜め下方から見た構成の一例を示す図である。図2Dは、アンテナ装置100の背面側を斜め下方から見た構成の一例を示す図である。図2Eは、アンテナ装置100の背面側を斜め上方から見た構成の一例を示す図である。図2Eには、固定バンド170を示す。図3は、アンテナ装置100を分解して状態の構成の一例を示す図である。
【0020】
ここで、XYZ座標のX方向は、平面視における筐体130の両端を結ぶ方向である。また、Y方向は、平面視でX方向に直交する方向である。
【0021】
アンテナ装置100は、基台110(図2A図3参照)、コネクタ120、筐体130、アンテナ部140(図3参照)、反射板150(図3参照)、パッキン160(図3参照)、固定バンド170(図1参照)を含む。基台110は、支持部の一例である。反射板150は、反射部の一例である。固定バンド170は、固定部材の一例である。
【0022】
以下では、筐体130、アンテナ部140、反射板150、及びパッキン160が、一例として、図3に示すように湾曲している形態について説明する。しかしながら、筐体130、アンテナ部140、反射板150、及びパッキン160のうちの少なくともいずれか1つは、XZ平面に平行な形状を有していて湾曲しておらず、可撓性を有していて図3に示す湾曲形状に撓むことができる構成であってもよい。可撓性とは、物体が折れることなく外観で分かる程度に撓む性質である。撓むとは、弓なりに曲がることである。可撓性を有する物体は、人間が外部から手で力を加えることで弓なりに曲げることができる。
【0023】
<基台110の構成>
基台110は、主に、図2D図2E、及び図3に示すように、YZ面視でL字型の部材である。基台110は、一例として、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属製である。基台110は、一例として、1枚の薄い金属板に対して、切断及び折り曲げ等の加工を行うことによって作製可能である。基台110は、基部111及び延在部112を有する。
【0024】
<基部111の構成>
基部111は、XZ平面に平行な板状の部材であり、+Y方向側に突出する2個の脚部111Aと、各脚部111Aに設けられたガイド孔111Bと、ネジ孔111Cとを有する。脚部111Aは、当接部の一例である。ガイド孔111Bは、ガイド部の一例である。ネジ孔111Cは、筐体130を基部111に固定する際にネジ115が通されるネジ孔である。なお、基部111は、筐体130、アンテナ部140、反射板150、及びパッキン160と同様に、周方向に沿って湾曲していてもよい。
【0025】
2個の脚部111Aは、基部111のZ方向の中央部において、X方向に離間して設けられている。換言すれば、2個の脚部111Aは、電柱10の外周面10Aの周方向において間隔を空けて配置される。2個の脚部111Aは、一例としてYZ平面に平行であり、互いに等しいサイズを有し、Y方向及びZ方向の位置は等しい。
【0026】
脚部111Aは、基部111の一部分に切り込みを入れて+Y方向側に折り曲げることによって作製可能である。基部111には、折り曲げる前の脚部111Aの部分に相当する開口部がある。脚部111Aは、アンテナ装置100が電柱10の外周面10Aに取り付けられた状態で、基台110が外周面10Aに当接する唯一の部分である。すなわち、基台110は、脚部111Aのみで外周面10Aに当接する。脚部111Aは、アンテナ装置100が電柱10の外周面10Aに取り付けられた状態で、アンテナ装置100の固定バンド170以外のすべての構成要素のうちで外周面10Aに当接する唯一の部分である。
【0027】
脚部111AのY方向の長さは、電柱10の下の方の直径が太い部分にアンテナ装置100が取り付けられても、筐体130の周方向における両端が、電柱10の外周面10Aに接触しないように、電柱10の太さに合わせて設定されている。なお、ここでは、基台110が2個の脚部111Aを有する形態について説明するが、基台110は、さらに多くの脚部111Aを有していてもよい。例えば、+Z方向側と-Z方向側とにおけるX方向に離間した位置に、脚部111Aを2個ずつ有していてもよい。また、基台110は、1個の脚部111Aを有するような構成であってもよい。1個の脚部111Aは、例えば、周方向に幅広く、外周面10Aに当接する湾曲面を有する柱状の脚部であってもよい。
【0028】
ガイド孔111Bは、YZ面視で脚部111Aの中央部に開口されている貫通孔である。ガイド孔111Bには、図2Eに示すように、固定バンド170が通される。固定バンド170を締結することで、図1に示すように、アンテナ装置100が電柱10の外周面10Aに取り付けられる。なお、ガイド孔111Bは、基台110の脚部111A以外の部分に設けられていてもよい。例えば、脚部111Aとは別に基部111から+Y方向側に突出する凸部を設けて、凸部をX方向に貫通するガイド孔111Bを設けてもよい。この場合に、凸部は、外周面10Aに接触しなくてよい。
【0029】
ネジ孔111Cは、一例として、基部111のXZ面視における四隅に設けられており、+Y方向側からネジ115が通される。ネジ115を筐体130の背面カバー130Bのネジ穴133Bに締結することで、筐体130は基部111に固定される。なお、ネジ孔111Cの数及び位置は一例であり、筐体130をネジ115で基台110に固定可能であれば、ネジ孔111Cの数は幾つであってもよく、位置もどこであってもよい。また、筐体130を基台110に固定可能であれば、ネジ115を用いない構成であってもよく、ネジ115で固定する構成に加えて、筐体130を基台110に固定する他の構成要素を追加してもよい。このような場合に、筐体130を基台110に固定(締結)する構成要素は、アンテナ部140と電柱10の外周面10Aとの間の領域に設けられることが、空間の利用効率の観点から好ましい。
【0030】
<延在部112の構成>
延在部112は、基部111の下端から屈曲して-Y方向側に延在している。このように、延在部112が基部111の延在方向における下端で屈曲することで、基台110をL字型の簡易な構成で実現できる。
【0031】
延在部112にはコネクタ120が取り付けられるため、延在部112は、-Y方向側の端辺から+Y方向側に向かって切り欠かれた2個の切欠部112A(図3参照)を有する。延在部112は、各切欠部112AのX方向における両側にネジ孔を有している。コネクタ120は、コネクタケーブル123を切欠部112Aに通し、台座122を延在部112の-Z方向側の表面に当接させた状態で、台座122をネジで延在部112に固定することで、延在部112に取り付けられる。なお、コネクタ120は、端子121を切欠部112Aに通し、台座122を延在部112の+Z方向側の表面に当接させた状態で、ネジによって延在部112に取り付けられてもよい。
【0032】
なお、ここでは、延在部112が基部111の下端から屈曲して-Y方向側に延在する形態について説明するが、延在部112の構成は、このような構成に限られない。例えば、延在部112は、基部111の上端から屈曲して-Y方向側に延在する構成であってもよい。また、延在部112は、基部111のZ方向における途中の部分から-Y方向側に延在する構成であってもよい。
【0033】
また、一例として基台110が1枚の薄い金属板から作製される形態について説明するが、基部111及び延在部112のすべての部分、又は、一部分は、別部品で構成されてネジ留め等によって組み立てられる構成であってもよい。また、基台110は、モールド成形によって一体的に作製される構成であってもよい。
【0034】
<コネクタ120の構成>
コネクタ120は、端子121、台座122、及びコネクタケーブル123を有する。端子121は、台座122の-Z方向側に取り付けられており、コネクタケーブル123は、台座122から+Z方向側に延在している。
【0035】
台座122は、端子121及びコネクタケーブル123を保持している。端子121及びコネクタケーブル123は互いに電気的に接続され、台座122は、端子121及びコネクタケーブル123から絶縁されている。台座122は、平面視で矩形状の板状部材であり、中央の貫通孔にコネクタケーブル123が通されている。
【0036】
コネクタ120は、コネクタケーブル123を切欠部112Aに通して台座122を延在部112の-Z方向側の表面に当接させた状態で、台座122をネジで延在部112に固定することで、延在部112に取り付けられる。この状態で、コネクタ120の端子121は、-Z方向(下方)を向いている。また、この状態で、コネクタケーブル123は、筐体130の前面カバー130Aと背面カバー130Bの下端の合わせ目から、筐体130の内部に通される。コネクタケーブル123は、筐体130の内部でアンテナ部140のアンテナエレメント140Aに接続される。
【0037】
コネクタ120は、電柱10の外周面10Aに取り付けられる基台110の延在部112に固定されており、筐体130には固定(締結)されていない。このため、端子121に接続されるケーブル(不図示)が引っ張られても、ケーブルを引っ張る力は基台110に掛かり、筐体130には掛からない。コネクタ120と筐体130との接点は、前面カバー130Aと背面カバー130Bの下端の合わせ目と、コネクタケーブル123の外周面との間のみである。なお、端子121に接続されるケーブルは、給電ケーブルである。
【0038】
<筐体130の構成>
筐体130は、電柱10の円柱形状に合わせて湾曲している。筐体130は、一例として、電柱10の直径が190mmの部分の外周面10Aの周囲の約60度の部分を囲むように湾曲しており、上下方向に延在している。このため、筐体130は、中空円柱体を周方向において分割した湾曲形状を有する。中空円柱体とは、パイプ状の物体であり、円柱の中心軸を含む中心部分を円柱状にくり抜いた形状である。中空円柱体は、中空円柱体の外径の位置にある外側の側面(外側面)と、中空円柱体の内径の位置にある内側の側面(内側面)とを有する。
【0039】
ここでは、筐体130が中空円柱体を周方向において分割した形状を有し、電柱10の外周面10Aの周囲の約60度の部分を囲むように湾曲する形態について説明するが、筐体130が電柱10の外周面10Aの周囲を囲む角度は60度よりも小さくてもよく、60度よりも大きくてもよい。例えば、45度、90度、又は120度程度であってもよい。また、筐体130を電柱10に対して取り付け可能であれば、筐体130が電柱10の外周面10Aの周囲を囲む角度は180度よりも大きくてもよい。筐体130は、中空円柱体の周方向における一部分に相当する湾曲形状を有していればよい。
【0040】
筐体130は、前面カバー130Aと背面カバー130Bとを有する。前面カバー130Aは、アンテナ装置100の径方向において、背面カバー130Bよりも外側に位置する部分であり、主に筐体130の前面側に位置する部分である。前面カバー130Aは、背面カバー130Bの径方向の外側を覆う。
【0041】
背面カバー130Bは、アンテナ装置100の径方向において、前面カバー130Aよりも内側に位置する部分であり、主に筐体130の背面側に位置する部分である。
【0042】
前面カバー130A及び背面カバー130Bは、位置を合わせて組み合わせた状態で、内部を封止する封止構造を有する。前面カバー130Aの内部にはアンテナ部140が設けられ、背面カバー130Bの内部には反射板150は設けられる。この状態で、前面カバー130A及び背面カバー130Bは、パッキン160を挟む形で組み合わされて、ネジ135によって締結されることで、封止された内部空間を有する。
【0043】
前面カバー130A及び背面カバー130Bは、一例として、熱可塑性樹脂製である。アンテナ部140から放射された電波は、前面カバー130Aを前面側に透過可能である。また、電波は、前面カバー130Aの外側から内側にも透過可能である。
【0044】
熱可塑性樹脂製としては、PC(polycarbonate)/ASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)、ASA、又はAES(Acrylonitrile Ethylene Styrene)等を用いることができる。なお、筐体130に可撓性を持たせる場合には、前面カバー130A及び背面カバー130Bを可撓性を有する樹脂で作製すればよく、電柱10の湾曲形状に応じて湾曲度合を調整可能な構成にすればよい。可撓性を有する樹脂は、一例として、エラストマー樹脂製である。
【0045】
前面カバー130Aは、基部131Aと、枠部132Aとを有する。基部131Aは、平面視において、電柱10の外周面10Aに対応して湾曲した板状の部分である。基部131Aの径方向における外側の側面は、中空円柱体の外側面の周方向の一部に相当する部分である。より具体的には、一例として、基部131Aは、平面視において、電柱10の外周面10Aと、同心状に配置可能な曲率で湾曲している。
【0046】
枠部132Aは、XZ面視における基部131Aの四辺に沿って設けられており、基部131Aを囲んでいる。枠部132Aは、アンテナ装置100の径方向に延在する枠状の部分である。
【0047】
前面カバー130Aの径方向における内側は、基部131Aの径方向における内側の表面と、枠部132Aとによって囲まれた凹状の収容部であり、アンテナ部140が収容される。アンテナ部140は、ネジ145によって、前面カバー130Aの径方向の内側に固定される。
【0048】
基部131Aの径方向における内側の表面と、枠部132Aとによって囲まれた凹状の収容部の径方向における内側の開口部133Aの下端には、コネクタ120のコネクタケーブル123が通される2個の切欠部134Aが設けられている。なお、枠部132Aの径方向の内側の表面には、開口部133Aの外側に、ネジ135を締結するためのネジ穴が設けられている。ここでは、一例として、前面カバー130Aに切欠部134Aが設けられる形態について説明するが、前面カバー130A及び背面カバー130Bの両方にわたって、前面カバー130A及び背面カバー130Bの合わせ目に切欠部が設けられていてもよい。
【0049】
背面カバー130Bは、基部131Bと、枠部132Bと、ネジ穴133Bとを有する。基部131Bは、平面視において、電柱10の外周面10Aに対応して湾曲した板状の部分であり、基部131Bの径方向における内側の側面は、中空円柱体の内側面の周方向の一部に相当する部分である。より具体的には、一例として、基部131Bは、平面視において、電柱10の外周面10Aと、同心状に配置可能な曲率で湾曲している。ネジ穴133Bは、基部131Bの径方向の内側の表面に設けられている。
【0050】
枠部132Bは、XZ面視における基部131Bの四辺に沿って設けられており、基部131Bを囲んでいる。枠部132Bは、アンテナ装置100の径方向に延在する枠状の部分である。
【0051】
背面カバー130Bの径方向における外側は、基部131Bの径方向における外側の表面と、枠部132Bとによって囲まれた凹状の収容部であり、反射板150が収容される。反射板150は、一例として、接着剤又は両面テープ等によって基部131Bの径方向の外側の表面に固定される。また、反射板150は、一例として、ネジ留めによって基部131Bの径方向の外側の表面に固定されてもよい。基部131Bの径方向の外側の外縁には、ネジ135を通すためのネジ孔が設けられている。また、図2D及び図2Eに示すように、基部131Bの径方向の内側の表面には、筐体130を基台110に取り付ける際にネジ115を締結するためのネジ穴133Bが設けられている。
【0052】
このような筐体130は、前面カバー130Aの収容部にアンテナ部140を設けるとともに、背面カバー130Bの収容部に反射板150を設け、前面カバー130A及び背面カバー130Bの間にパッキン160を挟み込んだ状態で組み合わされて、ネジ135によって締結される。なお、この状態で、アンテナ部140には、コネクタケーブル123が接続されており、コネクタケーブル123は、前面カバー130Aの切欠部134Aに通された状態で、パッキン160によって封止される。
【0053】
また、基台110のネジ孔111Cにネジ115を通して、ネジ115の先端側を筐体130の背面カバー130Bのネジ穴133Bに締結すれば、アンテナ部140及び反射板150を収容した筐体130を基台110に固定することができる。
【0054】
このように、筐体130は、背面カバー130Bのネジ穴133Bに締結されるネジ115のみによって基台110に固定される。筐体130及びコネクタ120は、コネクタケーブル123が筐体130の下端の切欠部134Aに通されている部分で接触しているだけである。筐体130及びコネクタ120は、互いに固定されていない。
【0055】
<アンテナ部140の構成>
アンテナ部140(図3参照)は、筐体130の前面カバー130Aの径方向の内側に収容される。アンテナ部140は、一例として、アンテナエレメント140Aを有する。図3には、1つのアンテナエレメント140Aを示すが、アンテナ部140は、一例として、複数のアンテナエレメント140Aを有していてもよい。複数のアンテナエレメント140Aは、一例として、周方向に間隔を空けて配置されていてもよい。
【0056】
アンテナ部140は、一例として、フレキシブル基板の径方向の外側の表面にアンテナエレメント140Aを形成したアンテナ部であり、可撓性を有する。フレキシブル基板は、一例として、ABS(Acrylonitrile, Butadiene, Styrene)樹脂、フッ素樹脂、COP(Cyclo-Olefin Polymer)、PET(Polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylene naphthalate)、ポリイミド、Peek(polyether ether ketone)、LCP(Liquid Crystal Polymer)、その他の複合材等の、可撓性を有する樹脂素材で形成可能である。アンテナ部140は、人間が外部から手で力を加えることで弓なりに曲げることができる程度の可撓性を有する。
【0057】
アンテナエレメント140Aは、一例としてループスロットアンテナである。アンテナエレメント140Aが放射する電波は、筐体130を透過する。アンテナエレメント140Aは、一例として、銅、ニッケル、又は金等の金属薄膜で形成可能である。
【0058】
アンテナ部140は、筐体130の湾曲形状に応じて撓んだ状態で筐体130内に収容される。アンテナ部140のアンテナエレメント140Aは、コネクタケーブル123を介して、筐体130の下部に位置する延在部112に取り付けられるコネクタ120の端子121に接続され、端子121に接続されるケーブル(不図示)を介して、アンテナ装置100の外部の通信装置等に接続される。なお、アンテナ部140は、アンテナエレメント140Aに加えて、グランド電位に保持されるグランド部を有していてもよく、コネクタケーブル123は、アンテナエレメント140Aに接続される信号線とは別に、グランド部に接続されるグランド線やシールド等を有していてもよい。
【0059】
アンテナエレメント140Aは、Sub-6の電波を送受信可能な放射素子であり、一例としてビーム状の電波を放射する。アンテナエレメント140Aが放射する電波は、電柱10の円柱形状の径方向における外側方向で、かつ、水平方向から下向きの範囲に伝搬することが好ましい。なお、アンテナエレメント140Aは、ループスロットアンテナに限らず、他の構成の放射素子であってもよい。
【0060】
<反射板150>
反射板150は、背面カバー130Bの径方向の外側の収容部に収容され、アンテナ部140の背面側に位置する。反射板150は、銅、鉄、又はアルミニウム等の金属製である。反射板150は、一例として、XZ面視で矩形状であり、筐体130の湾曲形状に応じて周方向に沿って湾曲している。反射板150は、一例として、XZ面視でアンテナ部140と同等のサイズを有する。反射板150は、アンテナ部140から径方向の内側に放射される電波を径方向の外側に反射させるために設けられている。また、アンテナ部140が電波を受信する際には、反射板150は、電波をアンテナ部140に向けて反射する。
【0061】
<パッキン160>
パッキン160は、前面カバー130A及び背面カバー130Bの合わせ目に沿って配置され、前面カバー130A及び背面カバー130Bの合わせ目を封止する。パッキン160は、ネジ135を通す貫通孔を有する。前面カバー130Aの貫通していないネジ穴と、背面カバー130Bの貫通しているネジ孔とを封止するためである。パッキン160は、一例として、ゴム製又は樹脂製であり、一例として、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、EPDMゴム(エチレンプロピレンジエンゴム)、シリコーンゴム、テフロン(登録商標)樹脂、又は、フッ素樹脂等で作製可能である。
【0062】
<固定バンド170>
固定バンド170は、略円環状のバンドである。固定バンド170は、バンド171及び締結金具172を有し、締結金具172でバンド171を締結する位置を自在に変更可能である。このような固定バンド170としては、一例として、イワブチ株式会社が販売するステンレスバンドや自在バンド等を用いることができる。なお、固定バンド170は、このようなステンレスバンドや自在バンドに限られず、様々なものを用いることができる。
【0063】
<アンテナ装置100の組み立て方>
一例として、背面側の収容部にアンテナ部140を設けた前面カバー130Aと、前面側の収容部に反射板150を設けた背面カバー130Bとの合わせ目にパッキン160を挟み込んでネジ135で締結し、ネジ115で筐体130を基台110に固定することで、アンテナ装置100が完成する。そして、基台110のガイド孔111Bに固定バンド170のバンド171を通して、電柱10の外周面10Aの周囲に巻き付けた状態で固定バンド170を締結すれば、図1に示すように、アンテナ装置100を電柱10の外周面10Aに取り付けることができる。
【0064】
<効果>
アンテナ装置100は、電柱10(取付対象物)の外周面10A(取付面)に取り付けられるアンテナ装置100であって、アンテナ部140と、アンテナ部140を収容する筐体130と、電柱10(取付対象物)に当接する脚部111A(当接部)とガイド孔111B(ガイド部)とを有し、筐体130を支持する基台110(支持部)と、基台110(支持部)に設けられ、アンテナ部140に接続されるコネクタ120と、ガイド孔111B(ガイド部)に通されて電柱10(取付対象物)の周囲に巻き付けられるとともに基台110(支持部)の脚部111A(当接部)が電柱10(取付対象物)に当接した状態で、基台110(支持部)を電柱10(取付対象物)に対して固定する固定バンド170(固定部材)とを含む。筐体130を支持する基台110(支持部)にコネクタ120が設けられるので、コネクタ120に接続されるケーブル(給電ケーブル)が引っ張られること等によって、ケーブル(給電ケーブル)に外力が掛かっても、外力は基台110(支持部)に掛かり、筐体130には掛からない。すなわち、筐体130には、コネクタ120に接続されるケーブル(給電ケーブル)に掛かる外力の影響が及ばない。
【0065】
したがって、取付対象物(電柱10)に取り付け可能で、筐体130の変形又は破損を抑制可能なアンテナ装置100を提供できる。
【0066】
また、筐体130は、前面カバー130A及び背面カバー130Bを組み合わせて内部を封止する封止構造を有するが、コネクタ120に接続されるケーブル(給電ケーブル)に外力が掛かっても、筐体130に外力が掛からないので、筐体130の封止構造を保持可能である。このため、筐体130の内部への水の浸入を防ぐ防水性や、筐体130の内部への塵埃の侵入を防ぐ気密性を長期にわたって保持することができる。
【0067】
また、コネクタ120が基台110(支持部)に設けられるので、筐体130の径方向の幅がコネクタ120の幅の制約を受けず、筐体130を小型化できる。コネクタ120のサイズは、小型化に限界があり、特に台座122は、ある程度の幅を有するため、例えば、コネクタ120を筐体130の下端に取り付けるような場合には、筐体130の径方向の幅が台座122よりも大きくなり、小型化に限界がある。しかしながら、筐体130を支持する基台110(支持部)にコネクタ120が設けられることで、筐体130の幅は、コネクタ120のサイズの影響を受けなくなる。このため、筐体130を小型化できる。
【0068】
また、ガイド孔111B(ガイド部)は、脚部111A(当接部)に設けられていてもよい。このため、脚部111Aが固定バンド170で電柱10に対して強固に固定され、電柱10にアンテナ装置100をより強固に固定できる。また、脚部111Aにガイド孔111Bを設けることで、簡易な構成の基台110で、電柱10の外周面10Aへの当接と、固定バンド170を用いたアンテナ装置100の電柱10への取り付けとを効率的に行うことができる。
【0069】
筐体130は、電柱10(取付対象物)の外周面10A(取付面)に対応して湾曲していてもよい。このため、筐体130を小型化して電柱10に対して筐体130が出っ張る部分を少なくすることができ、風雨に晒されても、外力を受けにくく、長期間にわたってアンテナ部140を雨、塵埃、又は、風で飛ばされた飛来物等から、より効果的に保護できる。また、アンテナ装置100の出っ張りが小さくなることで、電柱10に登る作業員の作業を妨げ難くなり、作業効率の低下を抑制できる。
【0070】
外周面10A(取付面)は曲面であり、基台110(支持部)は、脚部111A(当接部)のみで外周面10A(取付面)に当接してもよい。このように、基台110が電柱10に当接する部分を脚部111Aに限ることで、余計な部分が電柱10に当接することがなく、電柱10に対する基台110の位置決めが容易になり、電柱10に対して基台110を安定的に固定できる。
【0071】
また、基台110(支持部)は、外周面10A(取付面)に沿って延在する基部111と、基部111に接続され、外周面10A(取付面)から離間する方向に延在する延在部112とを有し、コネクタ120は、延在部112に固定されていてもよい。外周面10A(取付面)から離間する方向に延在する延在部112にコネクタ120を固定したことで、基台110でコネクタ120を保持しやすくなり、より安定的にコネクタ120を保持できるとともに、筐体130をより小型化しやすい構成が得られる。
【0072】
また、延在部112は、基部111の延在方向における端部で屈曲して外周面10A(取付面)から離間する方向に延在していてもよい。延在部112が基部111の延在方向における端部で屈曲することで、基台110をL字型の簡易な構成で実現でき、簡易な基台110を用いて取付対象物(電柱10)に取り付け可能で、筐体130の変形又は破損を抑制可能なアンテナ装置100を提供できる。
【0073】
また、延在部112は、基台110(支持部)が電柱10(取付対象物)に固定された状態で、基部111の下端に位置してもよい。L字型の簡易な構成の基台110の下端の延在部112にコネクタ120が設けられることで、コネクタ120に接続されるケーブル(給電ケーブル)を引き回しやすくなる。特に、図示しない基地局用の通信装置が、アンテナ装置100よりも低い位置に配置される場合に、コネクタ120に接続されるケーブル(給電ケーブル)を引き回しやすくなる。
【0074】
また、筐体130は、アンテナ部140よりも電柱10(取付対象物)側に位置する部分に設けられる反射板150(反射部)を有していてもよい。アンテナ部140から電柱10側に放射される電波を径方向の外側に反射できるので、アンテナ装置100の放射効率を向上させることができる。また、アンテナ装置100が電波を受信するときには、受信効率が向上する。
【0075】
また、筐体130は、アンテナ部140と電柱10(取付対象物)との間の領域で基台110(支持部)に締結されており、コネクタ120とは締結されていなくてよい。コネクタ120に接続されるケーブル(給電ケーブル)が引っ張られること等によって外力が掛かっても、筐体130は外力の影響を受けずに済むため、取付対象物(電柱10)に取り付け可能で、筐体130の変形又は破損をより効果的に抑制可能なアンテナ装置100を提供できる。
【0076】
電柱アンテナ装置200は、上記のいずれかのアンテナ装置100と、取付対象物としての電柱10とを含む。筐体130を支持する基台110(支持部)にコネクタ120が設けられるので、コネクタ120に接続されるケーブル(給電ケーブル)が引っ張られること等によって、ケーブル(給電ケーブル)に外力が掛かっても、外力は基台110(支持部)に掛かり、筐体130には掛からない。すなわち、筐体130には、コネクタ120に接続されるケーブル(給電ケーブル)に掛かる外力の影響が及ばない。
【0077】
したがって、取付対象物(電柱10)に取り付け可能で、筐体130の変形又は破損を抑制可能な電柱アンテナ装置200を提供できる。
【0078】
以上、本開示の例示的なアンテナ装置、及び、電柱アンテナ装置について説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0079】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
取付対象物の取付面に取り付けられるアンテナ装置であって、
アンテナ部と、
前記アンテナ部を収容する筐体と、
前記取付対象物に当接する当接部とガイド部とを有し、前記筐体を支持する支持部と、
前記支持部に設けられ、前記アンテナ部に接続されるコネクタと、
前記ガイド部に通されて前記取付対象物の周囲に巻き付けられるとともに前記支持部の前記当接部が前記取付対象物に当接した状態で、前記支持部を前記取付対象物に対して固定する固定部材と
を含む、アンテナ装置。
(付記2)
前記ガイド部は、前記当接部に設けられている、付記1に記載のアンテナ装置。
(付記3)
前記筐体は、前記取付対象物の取付面に対応して湾曲している、付記1又は2に記載のアンテナ装置。
(付記4)
前記取付面は曲面であり、前記支持部は、前記当接部のみで前記取付面に当接する、付記1乃至3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記5)
前記支持部は、
前記取付面に沿って延在する基部と、
前記基部に接続され、前記取付面から離間する方向に延在する延在部と
を有し、
前記コネクタは、前記延在部に固定される、付記1乃至4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記6)
前記延在部は、前記基部の前記延在方向における端部で屈曲して前記取付面から離間する方向に延在している、付記5に記載のアンテナ装置。
(付記7)
前記延在部は、前記支持部が前記取付対象物に固定された状態で、前記基部の下端に位置する、付記6に記載のアンテナ装置。
(付記8)
前記筐体は、前記アンテナ部よりも前記取付対象物側に位置する部分に設けられる反射部を有する、付記1乃至7のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記9)
前記筐体は、前記アンテナ部と前記取付対象物との間の領域で前記支持部に締結されており、前記コネクタとは締結されていない、付記1乃至8のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記10)
付記1乃至9のいずれか1項に記載のアンテナ装置と、
前記取付対象物としての電柱と
を含む、電柱アンテナ装置。
【符号の説明】
【0080】
10 電柱(取付対象物の一例)
10A 外周面(取付面の一例)
100 アンテナ装置
110 基台
111 基部
111A 脚部(当接部の一例)
111B ガイド孔(ガイド部の一例)
111C ネジ孔
112 延在部
115 ネジ
120 コネクタ
121 端子
122 台座
123 コネクタケーブル
130 筐体
130A 前面カバー
131A 基部
132A 枠部
133A 開口部
134A 切欠部
130B 背面カバー
131B 基部
132B 枠部
133B ネジ穴
135 ネジ
140 アンテナ部
140A アンテナエレメント
145 ネジ
150 反射板
160 パッキン
170 固定バンド
171 バンド
172 締結金具
200 電柱アンテナ装置
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3