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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119362
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】位相補償回路及び増幅装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/68 20060101AFI20240827BHJP
   H03F 3/387 20060101ALI20240827BHJP
   H03H 11/18 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H03F3/68
H03F3/387
H03H11/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026209
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大司
【テーマコード(参考)】
5J098
5J500
【Fターム(参考)】
5J098AA14
5J098AB01
5J098AB16
5J098AB27
5J098AB32
5J098AC04
5J098AC20
5J098AD03
5J098AD25
5J098DA01
5J500AA01
5J500AA21
5J500AA26
5J500AC26
5J500AC92
5J500AF03
5J500AF19
5J500AH29
5J500AH40
5J500AK02
5J500AK56
5J500AM08
5J500MV05
5J500MV06
(57)【要約】
【課題】回路面積の低減及び電圧依存性の低減を図った位相補償回路及び増幅装置を提供する。
【解決手段】カップリング容量C31,C32は、互いに並列接続され、入力端子T12の電圧Vinをレベルシフトした電圧をバイアス電圧としてバッファ回路11に入力する。充電端子T3には、所定電圧Vpが与えられる。切替部121は、カップリング容量C31,C32の接続をバッファ回路11の入力と充電端子T3との間で切り替える。切替部121には、充電端子T3に接続されるカップリング容量C31,C32を周期的に切り替えるとともに、バッファ回路11の入力に接続されるカップリング容量C31,C32を周期的に切り替える制御信号S11,S12が入力される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位相補償容量と、
前記第1の位相補償容量の第1の端子に出力が接続されたバッファ回路と、
前記バッファ回路の入力に出力が接続されたバイアス補正回路と、
前記第1の位相補償容量の第2の端子に接続された第1の出力端子と、
前記バイアス補正回路の入力に接続された第1の入力端子とを備え、
前記バイアス補正回路は、
互いに並列接続され、前記第1の入力端子の電圧をレベルシフトした電圧をバイアス電圧として前記バッファ回路に入力する複数のカップリング容量と、
所定電圧が与えられる充電端子と、
複数の前記カップリング容量の接続を前記バッファ回路の入力と前記充電端子との間で切り替える切替部とを有し、
前記切替部には、前記充電端子に接続される前記カップリング容量を周期的に切り替えるとともに、前記バッファ回路の入力に接続される前記カップリング容量を周期的に切り替える第1の制御信号が入力される、
位相補償回路。
【請求項2】
請求項1に記載の位相補償回路において、
前記切替部は、
前記充電端子と複数の前記カップリング容量との間に各々接続された複数の第1の充電スイッチと、
前記バッファ回路の入力と複数の前記カップリング容量との間に各々接続された複数の第2の充電スイッチと、を有する、
位相補償回路。
【請求項3】
請求項1に記載の位相補償回路において、
前記切替部と前記バッファ回路の入力との接続点と、前記充電端子との間に接続された第3の充電スイッチを有する、
位相補償回路。
【請求項4】
請求項3に記載の位相補償回路において、
前記第3の充電スイッチのオンオフを制御する第2の制御信号を出力する第1の制御回路を備え、
前記第1の制御回路は、前記バイアス電圧を検知し、前記バイアス電圧に応じた前記第2の制御信号を出力する、
位相補償回路。
【請求項5】
請求項4に記載の位相補償回路において、
前記第1の制御回路は、前記第3の充電スイッチがオフの場合、前記バイアス電圧が第1の設定範囲外となると前記第3の充電スイッチをオフからオンに切り替え、前記第3の充電スイッチがオンの場合、前記バイアス電圧が前記第1の設定範囲内に含まれ、かつ、前記第1の設定範囲よりも狭い第2の設定範囲内となると前記第3の充電スイッチをオンからオフに切り替える前記第2の制御信号を出力する、
位相補償回路。
【請求項6】
請求項5に記載の位相補償回路において、
前記第1の制御回路は、
前記バイアス電圧が前記第1の設定範囲外か否かを検知する第1のウインドウコンパレータと、
前記バイアス電圧が前記第2の設定範囲外か否かを検知する第2のウインドウコンパレータと、
前記第1のウインドウコンパレータ及び前記第2のウインドウコンパレータの検知結果を前記第2の制御信号に変換する変換回路とを有する
位相補償回路。
【請求項7】
請求項6に記載の位相補償回路において、
前記第1のウインドウコンパレータの入力が前記バッファ回路の入力に接続され、
前記第2のウインドウコンパレータの入力が前記第3の充電スイッチと前記充電端子との間に接続された、
位相補償回路。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の位相補償回路と、
前記位相補償回路が接続された増幅回路とを備えた、
増幅装置。
【請求項9】
請求項3~7何れか1項に記載の位相補償回路と、
前記位相補償回路が接続された増幅回路とを備え、
前記増幅回路は、内部の信号経路を切断状態と接続状態に切り替える経路切断回路を有し、
前記経路切断回路は、前記第3の充電スイッチがオフの場合に前記接続状態となり、前記第3の充電スイッチがオンの場合に前記切断状態となるように制御される、
増幅装置。
【請求項10】
請求項9に記載の増幅装置において、
前記経路切断回路の後段に設けたサンプルホールド回路をさらに備えた、
増幅装置。
【請求項11】
請求項9に記載の増幅装置において、
前記経路切断回路の前段に設け、前記第3の充電スイッチがオンの場合に2つの前記信号経路が短絡状態となるように制御される短絡回路をさらに備える、
増幅装置。
【請求項12】
請求項9に記載の増幅装置において、
前記増幅回路は、
信号を入力する第2の入力端子と、
増幅した前記信号を出力する第2の出力端子と、
前記第2の入力端子に入力された前記信号を増幅し、前記経路切断回路を通過して、前記第2の出力端子へ出力するメイン経路と、
前記第2の入力端子に入力された前記信号を増幅し、前記経路切断回路を通過せずに、前記第2の出力端子へ出力するサブ経路とを有する
増幅装置。
【請求項13】
請求項8に記載の増幅装置において、
前記増幅回路は、
入出力が反転接続される第1の反転経路と、前記入出力が非反転接続される第1の非反転経路とを切り替える第1のスイッチを有し、前記第1のスイッチのオンオフにより前記第1の反転経路と前記第1の非反転経路とを交互に切り替えて、入力された信号を交流に変換する入力チョッパ回路と、
前記入力チョッパ回路の後段に設けられた増幅器と、
前記増幅器の後段に設けられ、入出力が反転接続される第2の反転経路と、前記入出力が非反転接続される第2の非反転経路とを切り替える第2のスイッチを有し、前記第2のスイッチのオンオフにより前記第2の反転経路と前記第2の非反転経路とを交互に切り替えて、前記増幅器が出力する信号を復調する復調チョッパ回路と、
前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ及び前記切替部を制御する第2の制御回路とを備え、
前記第2の制御回路は、前記入力チョッパ回路及び前記復調チョッパ回路による経路の切替周期と、前記カップリング容量の接続先の切替周期と、が同期するように制御する、
増幅装置。
【請求項14】
請求項13に記載の増幅装置において、
前記第2の制御回路は、前記第1の反転経路と前記第1の非反転経路とを切り替える間に前記第1の反転経路及び前記第1の非反転経路の双方を切断する切断状態に制御すると共に、前記第2の反転経路と前記第2の非反転経路とを切り替える間に前記第2の反転経路及び前記第2の非反転経路の双方を接続する短絡状態に制御し、前記切断状態及び前記短絡状態の間に、前記カップリング容量の接続先の切替を行う、
増幅装置。
【請求項15】
請求項14に記載の増幅装置において、
前記復調チョッパ回路の後段に設けられ、内部の信号経路を切断状態と接続状態に切り替える経路切断回路をさらに備え、
前記第2の制御回路は、前記入力チョッパ回路が前記切断状態及び前記復調チョッパ回路が前記短絡状態の間に、前記経路切断回路を前記切断状態に制御する、
増幅装置。
【請求項16】
請求項15に記載の増幅装置において、
前記経路切断回路は、入出力が非反転接続される2つの第3の非反転経路及び第4の非反転経路を切り替える第3のスイッチを有し、
前記第2の制御回路は、前記入力チョッパ回路が前記第1の反転経路に切り替えられ、前記復調チョッパ回路が前記第2の反転経路に切り替えられている間は、前記第3の非反転経路に切り替え、前記入力チョッパ回路が前記第1の非反転経路に切り替えられ、前記復調チョッパ回路が前記第2の非反転経路に切り替えられている間は、前記第4の非反転経路に切替られ、前記入力チョッパ回路が前記切断状態、前記復調チョッパ回路が前記短絡状態の間は、前記第3の非反転経路及び前記第4の非反転経路の双方が切断される切断状態に制御する、
増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相補償回路及び増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
位相補償回路を組み込んだ増幅装置として図17に示すものが提案されている。同図に示す増幅装置100は、信号を増幅する増幅回路101と、増幅回路101の位相補償を行う2つの位相補償容量C1,C2とを備えている。増幅回路101は、3段の増幅器AMP1,AMP2,AMP4で構成されたメインパスと、2段の増幅器AMP3,AMP2で構成されたフィードフォワードパスで構成されている。メインパスは低周波帯域を増幅し、フィードフォワードパスは高周波帯域を増幅する。図17に示す増幅装置100は、ユニティゲイン周波数f[Hz]を設計する際、下記の式(1)に示すように設計する。
【0003】
【数1】
【0004】
なお、Gm01:増幅器AMP1の相互コンダクタンス値、C01:位相補償容量C1の容量値、Gm02:増幅器AMP4の相互コンダクタンス値、C02:位相補償容量C2の容量値、とする。
【0005】
また、増幅装置100の入力段が図17に示すように差動増幅回路であった場合、メインパスで発生する1kHzといった低周波の信号帯域における入力換算雑音Vnは下記の式(2)となる。
【0006】
【数2】
【0007】
なお、k:ボルツマン定数、T:絶対温度、γ:デバイス依存の係数、α:他の雑音源の影響、とする。
【0008】
式(2)により、Gm01を大きくすることで、1kHzといった低周波の信号帯域における入力換算雑音を低減することができる。一方、式(1)によりGm01を大きくすると、ユニティゲイン周波数fを設計するために、Gm01も大きくする必要がある。
【0009】
ところで、増幅装置100を高耐圧に設計する場合、位相補償容量C1、C2も高耐圧にする必要がある。高耐圧の容量は、通常の耐圧が低い容量よりも単位面積当たりの容量値が小さい。このため、Gm01を大きくすると、位相補償容量C1の面積が大幅に大きくなり、大幅な回路面積の増加を招く、という課題がある。また、高耐圧に設計すると位相補償容量C1にかかる電圧の幅が広くなるため、位相補償容量C1の電圧依存性の影響が大きくなる、という課題がある。
【0010】
一方、フィードフォワードパスが発生する入力換算雑音は高周波数帯域であるため、この周波数帯が信号帯域よりも高くなるように設計すれば、Gm02は小さくできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路面積の低減及び電圧依存性の低減を図った位相補償回路及び増幅装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係る位相補償回路及び増幅装置は、下記[1]~[16]を特徴としている。
[1]
第1の位相補償容量と、
前記第1の位相補償容量の第1の端子に出力が接続されたバッファ回路と、
前記バッファ回路の入力に出力が接続されたバイアス補正回路と、
前記第1の位相補償容量の第2の端子に接続された第1の出力端子と、
前記バイアス補正回路の入力に接続された第1の入力端子とを備え、
前記バイアス補正回路は、
互いに並列接続され、前記第1の入力端子の電圧をレベルシフトした電圧をバイアス電圧として前記バッファ回路に入力する複数のカップリング容量と、
所定電圧が与えられる充電端子と、
複数の前記カップリング容量の接続を前記バッファ回路の入力と前記充電端子との間で切り替える切替部とを有し、
前記切替部には、前記充電端子に接続される前記カップリング容量を周期的に切り替えるとともに、前記バッファ回路の入力に接続される前記カップリング容量を周期的に切り替える第1の制御信号が入力される、
位相補償回路であること。
[2]
[1]に記載の位相補償回路において、
前記切替部は、
前記充電端子と複数の前記カップリング容量との間に各々接続された複数の第1の充電スイッチと、
前記バッファ回路の入力と複数の前記カップリング容量との間に各々接続された複数の第2の充電スイッチと、を有する、
位相補償回路であること。
[3]
[1]に記載の位相補償回路において、
前記切替部と前記バッファ回路の入力との接続点と、前記充電端子との間に接続された第3の充電スイッチを有する、
位相補償回路であること。
[4]
[3]に記載の位相補償回路において、
前記第3の充電スイッチのオンオフを制御する第2の制御信号を出力する第1の制御回路を備え、
前記第1の制御回路は、前記バイアス電圧を検知し、前記バイアス電圧に応じた前記第2の制御信号を出力する、
位相補償回路であること。
[5]
[4]に記載の位相補償回路において、
前記第1の制御回路は、前記第3の充電スイッチがオフの場合、前記バイアス電圧が第1の設定範囲外となると前記第3の充電スイッチをオフからオンに切り替え、前記第3の充電スイッチがオンの場合、前記バイアス電圧が前記第1の設定範囲内に含まれ、かつ、前記第1の設定範囲よりも狭い第2の設定範囲内となると前記第3の充電スイッチをオンからオフに切り替える前記第2の制御信号を出力する、
位相補償回路であること。
[6]
[5]に記載の位相補償回路において、
前記第1の制御回路は、
前記バイアス電圧が前記第1の設定範囲外か否かを検知する第1のウインドウコンパレータと、
前記バイアス電圧が前記第2の設定範囲外か否かを検知する第2のウインドウコンパレータと、
前記第1のウインドウコンパレータ及び前記第2のウインドウコンパレータの検知結果を前記第2の制御信号に変換する変換回路とを有する
位相補償回路であること。
[7]
[6]に記載の位相補償回路において、
前記第1のウインドウコンパレータの入力が前記バッファ回路の入力に接続され、
前記第2のウインドウコンパレータの入力が前記第3の充電スイッチと前記充電端子との間に接続された、
位相補償回路であること。
[8]
[1]~[7]の何れか1項に記載の位相補償回路と、
前記位相補償回路が接続された増幅回路とを備えた、
増幅装置であること。
[9]
[3]~[7]何れか1項に記載の位相補償回路と、
前記位相補償回路が接続された増幅回路とを備え、
前記増幅回路は、内部の信号経路を切断状態と接続状態に切り替える経路切断回路を有し、
前記経路切断回路は、前記第3の充電スイッチがオフの場合に前記接続状態となり、前記第3の充電スイッチがオンの場合に前記切断状態となるように制御される、
増幅装置であること。
[10]
[9]に記載の増幅装置において、
前記経路切断回路の後段に設けたサンプルホールド回路をさらに備えた、
増幅装置であること。
[11]
[9]に記載の増幅装置において、
前記経路切断回路の前段に設け、前記第3の充電スイッチがオンの場合に2つの前記信号経路が短絡状態となるように制御される短絡回路をさらに備える、
増幅装置であること。
[12]
[9]に記載の増幅装置において、
前記増幅回路は、
信号を入力する第2の入力端子と、
増幅した前記信号を出力する第2の出力端子と、
前記第2の入力端子に入力された前記信号を増幅し、前記経路切断回路を通過して、前記第2の出力端子へ出力するメイン経路と、
前記第2の入力端子に入力された前記信号を増幅し、前記経路切断回路を通過せずに、前記第2の出力端子へ出力するサブ経路とを有する
増幅装置であること。
[13]
[8]に記載の増幅装置において、
前記増幅回路は、
入出力が反転接続される第1の反転経路と、前記入出力が非反転接続される第1の非反転経路とを切り替える第1のスイッチを有し、前記第1のスイッチのオンオフにより前記第1の反転経路と前記第1の非反転経路とを交互に切り替えて、入力された信号を交流に変換する入力チョッパ回路と、
前記入力チョッパ回路の後段に設けられた増幅器と、
前記増幅器の後段に設けられ、入出力が反転接続される第2の反転経路と、前記入出力が非反転接続される第2の非反転経路とを切り替える第2のスイッチを有し、前記第2のスイッチのオンオフにより前記第2の反転経路と前記第2の非反転経路とを交互に切り替えて、前記増幅器が出力する信号を復調する復調チョッパ回路と、
前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ及び前記切替部を制御する第2の制御回路とを備え、
前記第2の制御回路は、前記入力チョッパ回路及び前記復調チョッパ回路による経路の切替周期と、前記カップリング容量の接続先の切替周期と、が同期するように制御する、
増幅装置であること。
[14]
[13]に記載の増幅装置において、
前記第2の制御回路は、前記第1の反転経路と前記第1の非反転経路とを切り替える間に前記第1の反転経路及び前記第1の非反転経路の双方を切断する切断状態に制御すると共に、前記第2の反転経路と前記第2の非反転経路とを切り替える間に前記第2の反転経路及び前記第2の非反転経路の双方を接続する短絡状態に制御し、前記切断状態及び前記短絡状態の間に、前記カップリング容量の接続先の切替を行う、
増幅装置であること。
[15]
[14]に記載の増幅装置において、
前記復調チョッパ回路の後段に設けられ、内部の信号経路を切断状態と接続状態に切り替える経路切断回路をさらに備え、
前記第2の制御回路は、前記入力チョッパ回路が前記切断状態及び前記復調チョッパ回路が前記短絡状態の間に、前記経路切断回路を前記切断状態に制御する、
増幅装置であること。
[16]
[15]に記載の増幅装置において、
前記経路切断回路は、入出力が非反転接続される2つの第3の非反転経路及び第4の非反転経路を切り替える第3のスイッチを有し、
前記第2の制御回路は、前記入力チョッパ回路が前記第1の反転経路に切り替えられ、前記復調チョッパ回路が前記第2の反転経路に切り替えられている間は、前記第3の非反転経路に切り替え、前記入力チョッパ回路が前記第1の非反転経路に切り替えられ、前記復調チョッパ回路が前記第2の非反転経路に切り替えられている間は、前記第4の非反転経路に切替られ、前記入力チョッパ回路が前記切断状態、前記復調チョッパ回路が前記短絡状態の間は、前記第3の非反転経路及び前記第4の非反転経路の双方が切断される切断状態に制御する、
増幅装置であること。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回路面積の低減を図った位相補償回路及び増幅装置を提供することができる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態における位相補償回路を示す回路図である。
図2図2は、図1に示すバイアス補正回路の一例を示す回路図である。
図3図3は、第2実施形態における位相補償回路を示す回路図である。
図4図4は、図3に示すバイアス補正回路の一例を示す回路図である。
図5図5は、図3に示す制御回路の一例を示す回路図である。
図6図6は、入力端子T12に入力される電圧、バイアス電圧、第1のウインドウコンパレータの出力、第2のウインドウコンパレータの出力、制御信号S2のタイムチャートである。
図7図7は、第3実施形態における位相補償回路を組み込んだ増幅装置を示す回路図であり、増幅回路が非反転経路状態、バイアス補正回路が第1の状態を示す回路図である。
図8図8は、図7に示す増幅装置において、増幅回路が切断・短絡状態、バイアス補正回路が第1の状態を示す回路図である。
図9図9は、図7に示す増幅装置において、増幅回路が切断・短絡状態、バイアス補正回路が第2の状態を示す回路図である。
図10図10は、図7に示す増幅装置において、増幅回路が反転経路状態、バイアス補正回路が第2の状態を示す回路図である。
図11図11は、図7に示す増幅装置において、増幅回路、バイアス補正回路がバイアス補正状態を示す回路図である。
図12図12は、図7図11に示すS&H回路の一例を示す回路図である。
図13図13は、図7図11に示すS&H回路の一例を示す回路図である。
図14図14は、図7図11に示す制御回路から出力される制御信号のタイムチャートである。
図15図15は、第4実施形態における位相補償回路を組み込んだ増幅装置を示す回路図である。
図16図16は、第5実施形態における位相補償回路を組み込んだ増幅装置を示す回路図である。
図17図17は、従来の位相補償回路を組み込んだ増幅装置の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
本実施形態の位相補償回路1は、図1に示すように、位相補償容量C1(=第1の位相補償容量)と、バッファ回路11と、バイアス補正回路12と、出力端子T11(=第1の出力端子)と、入力端子T12(=第1の入力端子)とを備えている。位相補償容量C1は端子T21,T22(=第1の端子,第2の端子)を有している。バッファ回路11は、出力が位相補償容量C1の端子T21に接続されている。バイアス補正回路12は、バッファ回路11の入力に出力が接続されている。出力端子T11は、位相補償容量C1の端子T22に接続されている。入力端子T12は、バイアス補正回路12の入力に接続されている。
【0018】
バイアス補正回路12は、入力端子T12に入力された電圧Vinをレベルシフトした電圧をバイアス電圧としてバッファ回路11に入力する。バイアス補正回路12は、出力端子T11,入力端子T12間に印加される電圧よりも位相補償容量C1の端子T21,T22間に印加される電圧が低くなるようにレベルシフトする。このため、位相補償容量C1に印加される電圧が低くなるため、耐圧の高いものを用いる必要がなく、回路規模の低減を図ることができる。また、位相補償容量C1の電圧依存性も低減することができる。
【0019】
バイアス補正回路12は、図2に示すように、入力T31と、出力T32と、2つのカップリング容量C31,C32と、充電端子T3と、切替部121とを有する。入力T31は、入力端子T12に接続されている。出力T32は、バッファ回路11の入力に接続されている。
【0020】
2つのカップリング容量C31,C32は、入力端子T12とバッファ回路11の入力との間に互いに並列接続されている。本実施形態においては、カップリング容量C31,C32が2つ設けられている例について説明するが、カップリング容量C31,C32としては、3つや4つなど2つ以上設けられていればよい。カップリング容量C31,C32は各々、位相補償容量C1よりも高耐圧であり、位相補償容量C1よりも容量値が小さい。
【0021】
充電端子T3は、所定電圧Vpが与えられている。切替部121は、カップリング容量C31,C32の接続先をバッファ回路11の入力と充電端子T3との間で切り替える。切替部121は、充電端子T3とカップリング容量C31,C32との間に各々接続された2つの充電スイッチSW11,SW12(=第1の充電スイッチ)と、バッファ回路11の入力とカップリング容量C31,C32との間に各々接続された2つの充電スイッチSW21,SW22(=第2の充電スイッチ)とを有している。
【0022】
上記充電スイッチSW11,SW22には制御信号S11,充電スイッチSW12,SW21には制御信号S12が入力され、オンオフが制御される。制御信号S11,S12(=第1の制御信号)は、周期的にHレベル、Lレベルに切り替わるクロック信号であり、互いに信号レベルが反転している。充電スイッチSW21,SW12をオン、充電スイッチSW11,SW22をオフすると、カップリング容量C32が充電端子T3に接続され、カップリング容量C31がバッファ回路11の入力に接続される第1の状態となる。充電スイッチSW11,SW12、SW21,SW22のオンオフを反転させて、充電スイッチSW11,SW22をオン、充電スイッチSW21,SW12をオフすると、カップリング容量C31が充電端子T3に接続され、カップリング容量C32がバッファ回路11の入力に接続される第2の状態となる。制御信号S11,S12により、第1の状態と第2の状態とが定期的に切り替わる。
【0023】
例えば、カップリング容量C31がバッファ回路11の入力に接続されている場合について考える。このとき、カップリング容量C31がリーク電流により充電されると、バイアス電圧が変動するが、バイアス電圧の変動が大きくなり、悪影響を与える前に、バッファ回路11の入力に接続される容量がカップリング容量C32に切り替わるため、バイアス電圧の変動を低減することができる。
【0024】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の位相補償回路1Bについて図3を参照して説明する。なお、図3において、上述した第1実施形態で既に説明した図1及び図2に示す位相補償回路1と同等の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0025】
本実施形態の位相補償回路1Bは、位相補償容量C1と、バッファ回路11と、バイアス補正回路12Bと、出力端子T11と、入力端子T12と、制御回路13(=第1の制御回路)とを備えている。第1実施形態の位相補償回路1と第2実施形態の位相補償回路1Bとで大きく異なる点は、バイアス補正回路12Bの構成と、制御回路13をさらに備えた点である。
【0026】
図4に示すように、バイアス補正回路12Bは、第1実施形態と同様に、入力T31、出力T32、2つのカップリング容量C31,C32、充電端子T3、切替部121に加えて充電スイッチSW3(=第3の充電スイッチ)を備えている。充電スイッチSW3は、切替部121とバッファ回路11の入力との接続点と、充電端子T3との間に接続されている。
【0027】
制御回路13は、充電スイッチSW3のオンオフを制御する制御信号S2(=第2の制御信号)を出力する。制御回路13は、バッファ回路11に入力されるバイアス電圧を検知し、バイアス電圧に応じた制御信号S2を出力する。
【0028】
制御回路13は、例えば図5に示すように構成されている。制御回路13は、第1のウインドウコンパレータCP1と、第2のウインドウコンパレータCP2と、変換回路131とを有する。第1のウインドウコンパレータCP1は、バイアス電圧が第1の設定範囲R1であるか否かを検知する。第1の設定範囲R1は、充電端子T3に与えられている所定電圧Vpを中心に設定された範囲である。第1のウインドウコンパレータCP1は、入力にバッファ回路11の入力が接続され、出力に変換回路131が接続されている。
【0029】
これにより、第2のウインドウコンパレータCP2には、充電スイッチSW3をオンしている間にバイアス電圧が入力され、充電スイッチSW3がオフしている間には所定電圧Vpが入力される。変換回路131は、第1、第2のウインドウコンパレータの検知結果を制御信号S2に変換する。
【0030】
次に、上述した位相補償回路1Bの動作について図6を参照して以下説明する。今、入力端子T12に入力される電圧VinがV1からV2に増加し、その後V2からV1に減少する場合について考える。Vin=V1のとき、カップリング容量C31,C32は、両端電圧がV1-Vpとなるように充電され、電圧Vinからカップリング容量C31,C32の両端電圧分、レベルシフトした所定電圧Vpがバイアス電圧としてバッファ回路11に入力される。
【0031】
その後、電圧Vinが上昇すると、バイアス電圧が上昇して第1の設定範囲R1の上限値を超える。バイアス電圧が第1の設定範囲R1の上限値を超えると、第1のウインドウコンパレータCP1の出力がLoレベルからHiレベルに切り替わり、Hiレベルの制御信号S2が出力される。
【0032】
Hiレベルの制御信号S2が出力されると、充電スイッチSW3がオンして、双方のカップリング容量C31,C32が充電され、カップリング容量C31,C32の両端電圧が上昇し、レベルシフト量が増える。図6に示す例では、バイアス電圧が第1の設定範囲R1の上限値を越えた後も電圧Vinが上昇するため、バイアス電圧は第1の設定範囲R1の上限値で一定となる。その後、電圧VinがV2で一定となると、バイアス電圧が下がり始める。また、充電スイッチSW3がオンすると、第2のウインドウコンパレータCP2にバイアス電圧が入力される。このときバイアス電圧は第2の設定範囲R2の上限値を越えているので、第2のウインドウコンパレータCP2はHiレベルを出力する。
【0033】
カップリング容量C31,C32の充電によりレベルシフト量が増えた結果、バイアス電圧が第1の設定範囲R1の上限値を下回ると、第1のウインドウコンパレータCP1の出力がLoレベルに切り替わる。カップリング容量C31,C32の充電によりレベルシフト量がさらに増えて、バイアス電圧が第2の設定範囲R2の上限値を下回ると、第2のウインドウコンパレータCP2の出力がLoレベルに切り替わる。第2のウインドウコンパレータCP2の出力がLoレベルに切り替わると、制御信号S2がLoレベルに切り替わり、充電スイッチSW3がオフされる。
【0034】
次に、電圧Vinが下降すると、バイアス電圧が下降して第1の設定範囲R1の下限値を下回る。バイアス電圧が第1の設定範囲R1の下限値を超えると、第1のウインドウコンパレータCP1の出力がLoレベルからHiレベルに切り替わり、Hiレベルの制御信号S2が出力される。
【0035】
Hiレベルの制御信号S2が出力されると、充電スイッチSW3がオンして、カップリング容量C31,C32の双方が放電され、カップリング容量C31,C32の両端電圧が下がり、レベルシフト量が減る。図6に示す例では、バイアス電圧が第1の設定範囲R1の下限値を下回った後も電圧Vinが下降するため、バイアス電圧は第1の設定範囲R1の下限値で一定となる。その後、電圧VinがV1で一定となると、バイアス電圧が上がり始める。また、充電スイッチSW3がオンすると、第2のウインドウコンパレータCP2にバイアス電圧が入力される。このときバイアス電圧は第2の設定範囲R2の下限値を越えているので、第2のウインドウコンパレータCP2はHiレベルを出力する。
【0036】
カップリング容量C31,C32の放電によりレベルシフト量が減った結果、バイアス電圧が第1の設定範囲R1の下限値を上回ると、第1のウインドウコンパレータCP1の出力がLoレベルに切り替わる。カップリング容量C31,C32の放電によりレベルシフト量がさらに下がり、バイアス電圧が第2の設定範囲R2の下限値を上回ると、第2のウインドウコンパレータCP2の出力がLoレベルに切り替わる。第2のウインドウコンパレータCP2の出力がLoレベルに切り替わると、制御信号S2がLoレベルに切り替わり、充電スイッチSW3がオフされる。
【0037】
上述した実施形態によれば、例えば、カップリング容量C31がバッファ回路11の入力に接続されている場合、カップリング容量C31がリーク電流により充放電されると、バイアス電圧が変動する。バイアス電圧の変動が大きくなり、制御回路4が意図せぬタイミングや周期で充電スイッチSW3をオンしてしまう前に、バッファ回路11の入力に接続される容量がカップリング容量C32に切り替わる。このため、制御回路4が意図せぬタイミングや周期で充電スイッチSW3をオンして、スイッチング雑音が発生するのを低減することができる。
【0038】
上述した実施形態によれば、図6に示すように電圧Vinが変動してもバイアス電圧を第1の設定範囲R1内とすることができる。さらに、電圧Vinが変動して定常状態になった後はバイアス電圧を第1の設定範囲R1よりも狭い第2の設定範囲R2内とすることができる。これにより、電圧Vinが変動しても位相補償容量C1に印加される電圧が低くなるため、位相補償容量C1として耐圧の高いものを用いる必要がなく、位相補償容量C1の大きさを抑えることができる。カップリング容量C31,C32としては高耐圧のものが必要であれば、容量としてはレベルシフトできる程度の小さいものであればよく大容量のものを用いる必要がないため、カップリング容量C31,C32の大きさも抑えることができる。これにより、回路規模の低減を図ることができ、位相補償容量C1の電圧依存性も低減できる。
【0039】
なお、上述した第2実施形態の位相補償回路1Bは、バイアス電圧に応じて制御信号S2を出力していたが、これに限ったものではない。例えば、位相補償回路1Bの入力端子T12に入力される電圧Vinが所定の条件で変動することが分かっている装置に位相補償回路1Bを組み込む場合、制御回路13は、所定の条件になったときに充電スイッチSW3をオンするような制御信号S2を出力するようにしてもよい。
【0040】
上述した第2実施形態では、第2のウインドウコンパレータCP2の出力は、充電スイッチSW3と充電端子T3の間に接続されていたが、これに限ったものではない。第1のウインドウコンパレータCP1と同様に、第2のウインドウコンパレータCP2の出力をバッファ回路11の入力に接続するようにしてもよい。
【0041】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の増幅装置2について図7図11を参照して説明する。増幅装置2は、位相補償回路1Bと、位相補償回路1Bが接続された増幅回路3と、制御回路4とを備えている。位相補償回路1Bは第2実施形態で説明したものと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0042】
増幅回路3は、信号を入力する2つの差動入力端子T41,T41(=第2の入力端子)と、増幅した信号を出力する出力端子T42と、メイン経路31と、メイン経路31上に設けられた入力チョッパ回路32,復調チョッパ回路33,経路切断回路34,サンプルホールド回路35(以下、「S&H回路35」と略記)と、サブ経路36とを備えている。
【0043】
メイン経路31は、差動入力端子T41,T41に入力された信号の低周波帯域を増幅して、出力端子T42へ出力する。本実施形態では、メイン経路31は、3つの増幅器としてのトランスコンダクタンスアンプAMP1~AMP3を有している。トランスコンダクタンスアンプAMP1は、入力チョッパ回路32の後段に設けられている。トランスコンダクタンスアンプAMP1は、入力が後述する入力チョッパ回路32の出力に接続され、出力が後述する復調チョッパ回路33の入力に接続されている。トランスコンダクタンスアンプAMP2は、入力がS&H回路35の出力に接続され、出力がトランスコンダクタンスアンプAMP3の入力に接続されている。トランスコンダクタンスアンプAMP3は、出力が出力端子T42に接続されている。
【0044】
入力チョッパ回路32は、入力が差動入力端子T41,T41に接続され、出力がトランスコンダクタンスアンプAMP1の入力に接続されている。入力チョッパ回路32は、入出力が反転接続される第1の反転経路上に設けられたスイッチSW31と、入出力が非反転接続される第1の非反転経路上に設けられたスイッチSW32とを有している。入力チョッパ回路32は、これらスイッチSW31、SW32(=第1のスイッチ)のオンオフを交互に切り替えることにより、第1の反転経路及び第1の非反転経路が交互に切り替わり、入力された信号を交流に変換することができる。トランスコンダクタンスアンプAMP1は、入力チョッパ回路32により交流に変換された信号を増幅して、復調チョッパ回路33に入力する。
【0045】
復調チョッパ回路33は、入力がトランスコンダクタンスアンプAMP1の出力に接続され、出力が経路切断回路34の入力に接続されている。復調チョッパ回路33は、入出力が反転接続される第2の反転経路上に設けられたスイッチSW41と、入出力が非反転接続される第2の非反転経路上に設けられたスイッチSW42とを有している。復調チョッパ回路33は、これらスイッチSW41、SW42(=第2のスイッチ)のオンオフを交互に切り替えることにより、第2の反転経路及び第2の非反転経路が交互に切り替わり、入力された交流信号を復調することができる。
【0046】
経路切断回路34は、入力が復調チョッパ回路33の出力に接続され、出力がS&H回路35の入力に接続されている。経路切断回路34は、入出力が非反転接続される2つの第3の非反転経路及び第4の非反転経路上に各々設けられたスイッチSW51,SW52を有している。経路切断回路34は、スイッチSW51,SW52(=第3のスイッチ)のオンオフにより信号経路を切断状態と接続状態に切り替えることができる。
【0047】
S&H回路35は、経路切断回路34の後段に設けられている。S&H回路35としては、例えば図12に示すように、2つの信号経路とグランドとの間にそれぞれ設けられたホールドコンデンサC41,C42から構成されていてもよい。また、図13に示すように経路切断回路34の後段に設けられたトランスコンダクタンスアンプAMP5と、トランスコンダクタンスアンプAMP5の入力と出力との間に接続されたホールドコンデンサC41,C42から構成されていてもよい。
【0048】
サブ経路36は、差動入力端子T41,T41に入力された信号を増幅し、経路切断回路34を通過せずに出力端子T42へ出力する。また、サブ経路36は、差動入力端子T41,T41に入力された信号の高周波帯域を増幅して、出力端子T42へ出力する。
【0049】
本実施形態では、サブ経路36は2つのトランスコンダクタンスアンプAMP3,AMP4が設けられている。トランスコンダクタンスアンプAMP4は、入力が差動入力端子T41,T41に接続され、出力がトランスコンダクタンスアンプAMP2の出力とトランスコンダクタンスアンプAMP3の差動入力との間に接続されている。
【0050】
位相補償容量C2は、トランスコンダクタンスアンプAMP3の差動入力と出力との間に接続されている。上述した実施形態によれば、位相補償回路1Bがメイン経路31の位相補償を行い、位相補償容量C2がサブ経路36の位相補償を行う。位相補償容量C2は、カップリング容量C31,C32よりも高耐圧であり、位相補償容量C1よりも容量値が小さい。
【0051】
制御回路4は、バイアス補正回路12BのスイッチSW11,SW12、SW21,SW22と、入力チョッパ回路32のスイッチSW31,SW32、復調チョッパ回路33のスイッチSW41,SW42、経路切断回路34のスイッチSW51,SW52のオンオフ制御を行う。
【0052】
次に、上述した構成の増幅装置2の動作について図14などを参照して説明する。制御回路4は、バイアス補正回路12Bの充電スイッチSW11,SW22に制御信号S11を出力し、充電スイッチSW12,SW21に制御信号S12を出力する。図14に示すように、制御信号S11,S12は、互いに信号レベルが反転している。また、制御信号S11,S12は、同じタイミングで信号レベルが反転する。
【0053】
制御回路4は、入力チョッパ回路32のスイッチSW32、経路切断回路34のスイッチSW52に制御信号S31を出力し、入力チョッパ回路32のスイッチSW31、経路切断回路34のスイッチSW51に制御信号S32を出力する。制御信号S31,S32は、制御信号S11,S12と同じ周期のクロック信号であり、互いに信号レベルが反転している。また、制御信号S31,S32は、信号レベルの反転時にLレベルがオーバーラップする。
【0054】
また、制御回路4は、復調チョッパ回路33のスイッチSW42に制御信号S33を出力し、復調チョッパ回路33のスイッチSW41に制御信号S34を出力する。制御信号S33,S34は制御信号S11,S12と同じ周期のクロック信号であり、互いに信号レベルが反転している。また、制御信号S33,S34は、信号レベルの反転時にHレベルがオーバーラップする。
【0055】
これにより、図7に示すように、制御回路4は、スイッチSW11,SW22をオフ、スイッチSW12,SW21をオンに制御する。これにより、カップリング容量C31がバッファ回路11に接続され、カップリング容量C32が充電端子T3に接続される第1の状態となる。このとき、制御回路4は、増幅回路3を図7に示すような非反転経路状態ST1(図14参照)に切り替える。非反転経路状態において制御回路4は、スイッチSW32,SW42,SW52をオンし、スイッチSW31,SW41,SW51をオフに制御する。これにより、入力チョッパ回路32は第1の非反転経路に切り替えられ、復調チョッパ回路33は第2の非反転経路に切り替えられ、経路切断回路34は第4の非反転経路(接続状態)に切り替えられる。
【0056】
次に、制御回路4は、増幅回路3を図8及び図9に示すように、切断・短絡状態ST2(図14参照)に切り替える。切断・短絡状態において制御回路4は、スイッチSW31,SW32、SW51,SW52をオフ、スイッチSW41,SW42をオンに制御する。これにより、入力チョッパ回路32は第1の反転経路及び第1の非反転経路の双方を切断する切断状態に制御され、復調チョッパ回路33は第2の反転経路及び第2の非反転経路の双方を接続する短絡状態に制御される。また、経路切断回路34は、第3の非反転経路及び第4の非反転経路の双方を切断する切断状態に制御される。
【0057】
制御回路4は、増幅回路3が切断・短絡状態となっている間に、カップリング容量C31,C32の接続先を切り替える(すなわち、バイアス補正回路12Bを第1の状態から第2の状態に切り替える)。本実施形態では、図8及び図9に示すように、制御回路4は、スイッチSW11,SW22をオフからオン、スイッチSW12,SW21をオンからオンに切り替える。これにより、カップリング容量C31の接続先がバッファ回路11から充電端子T3に切り替えられ、カップリング容量C32の接続先が充電端子T3からバッファ回路11に切り替えられる。
【0058】
次に、制御回路4は、増幅回路3を図10に示すように、反転経路状態ST3(図14参照)に切り替える。反転経路状態において制御回路4は、スイッチSW31,SW41,SW51をオン、スイッチSW32,SW42,SW52をオフに制御する。これにより、入力チョッパ回路32は第1の反転経路に切り替えられ、復調チョッパ回路33は第2の反転経路に切り替えられ、経路切断回路34は第3の非反転経路(接続状態)に切り替えられる。
【0059】
次に、制御回路4は、図9に示すように、増幅回路3を切断・短絡状態ST2に切り替え、その間に再び図8に示すようにカップリング容量C31,C32の接続先を切り替える(すなわち、バイアス補正回路12Bを第2の状態から第1の状態に切り替える)。その後、制御回路4は、増幅回路3を非反転経路状態ST1に切り替え、これを周期的に繰り返す。
【0060】
上述した実施形態によれば、制御回路4は、入力チョッパ回路32及び復調チョッパ回路33による経路の切替周期と、カップリング容量C31,C32の接続先の切替周期とが同期するように制御している。これにより、入力チョッパ回路32のスイッチSW31,SW32、復調チョッパ回路33のスイッチSW41,SW42のオンオフが切り替わるタイミングで、スイッチSW11,SW21、SW21,SW22のオンオフも切り替わるため、スイッチング雑音の低減を図ることができる。
【0061】
上述した実施形態によれば、入力チョッパ回路32が切断状態、復調チョッパ回路33が短絡状態、経路切断回路34が切断状態のときに、スイッチSW11,SW21、SW21,SW22のオンオフが切り替わる。これにより、スイッチSW11,SW21、SW21,SW22のオンオフによるスイッチング雑音が入力端子T41,T41や出力端子T42まで伝わらず、スイッチング雑音の影響を低減できる。また、復調チョッパ回路33が短絡状態となっているため、トランスコンダクタンスアンプAMP1の差動出力が大きくなりすぎないようにすることができる。
【0062】
上述した実施形態によれば、経路切断回路34は、第3の非反転経路と第4の非反転経路の2つの経路を有し、それぞれの経路にスイッチSW51,SW52を設けている。非反転経路が1つの場合、制御回路4は、切断・短絡状態ST2に制御する非常に短い期間だけスイッチをオフする制御信号を出力する必要があり、精度よく経路を切断することが難しい。本実施形態によれば、入力チョッパ回路32と同じ制御信号S31,S32で経路切断回路34を制御することができ、精度よく切断・短絡状態ST2となる期間だけ切断状態とすることができる。
【0063】
また、バイアス電圧が第1の設定範囲R1外となり、制御回路13から充電スイッチSW3をオンする制御信号S2が出力されると、制御回路4は、図11に示すように増幅回路をバイアス補正状態に制御する。即ち、制御回路4は、スイッチSW41,SW42をオンして、トランスコンダクタンスアンプAMP1の出力を短絡させる。また、制御回路4は、スイッチSW51,SW52をオフして、経路切断回路34を切断状態とする。
【0064】
上述した実施形態によれば、充電スイッチSW3がオンしてカップリング容量C31,C32が充放電状態となっている間に、経路切断回路34が切断状態となり、メイン経路31の信号経路を切断して、その間に出力端子T42からトランスコンダクタンスアンプAMP1が増幅した信号が出力されないようにすることができる。
【0065】
上述した実施形態によれば、増幅回路3はサブ経路36を有している。これにより、経路切断回路34が切断状態に切り替えられているときもサブ経路36が差動入力端子T41,T41に入力された信号を増幅して出力端子T42から出力するため、増幅回路3の出力を維持することができる。
【0066】
上述した実施形態によれば、経路切断回路34の後段にS&H回路35が設けられている。これにより、経路切断回路34が切断状態に切り替わったときに、S&H回路35が直前の接続状態のときにトランスコンダクタンスアンプAMP1から出力された信号を保持してトランスコンダクタンスアンプAMP2に入力することができる。これにより、経路切断回路34が切断状態に切り替えられているときも増幅回路3の出力を維持して、サブ経路36の増幅動作の負担を減らすことができる。
【0067】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の増幅装置2Dについて図15を参照して説明する。図15において、上述した第3実施形態で既に説明した図7などに示す増幅装置2と同等の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。第3実施形態と第4実施形態とで大きく異なる点は、増幅回路3Dの構成である。第3実施形態ではメイン経路31は3つのトランスコンダクタンスアンプAMP1~AMP3で構成していたが、第4実施形態ではメイン経路31Dは2つのトランスコンダクタンスアンプAMP1,AMP3で構成されている。
【0068】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態の増幅装置2Eについて図16を参照して説明する。図16において、上述した第4実施形態で既に説明した図15に示す増幅装置2Dと同等の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。第4実施形態と第5実施形態とで大きく異なる点は、増幅回路3Eの構成である。第4実施形態では増幅回路3Dはサブ経路36を有していたが、第5実施形態では増幅回路3Dはサブ経路を有していない。即ち、サブ経路を有することは必須ではない。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0070】
上述した実施形態では、メイン経路は、上述した2段、3段のトランスコンダクタンスアンプから構成されたものに限定されるものではなく、4段、5段といった3段以上のトランスコンダクタンスアンプから構成されていてもよい。
【0071】
上述した第3~第5実施形態では、チョッパ型の増幅回路3、3D、3Eに位相補償回路1Bを組み込んでいたがこれに限ったものではない。例えばチョッパ型でない増幅回路に位相補償回路1,1Bを組み込んでもよい。
【0072】
上述した第3~第5実施形態では、増幅回路3、3D、3Eに位相補償回路1Bを組み込んでいたがこれに限ったものではない。例えば電源装置など位相補償を行う必要のある他の装置に位相補償回路1,1Bを組み込んでもよい。
【0073】
上述した第3~第5実施形態では、経路切断回路34は2つの非反転経路を有し、それぞれにスイッチSW51,SW52が設けられていたが、これに限ったものではない。経路切断回路34は一つの非反転経路のみを有し、スイッチSW51,SW52の何れかのみを設けてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1,1B 位相補償回路
2,2D,2E 増幅装置
3,3D,3E 増幅回路
4 制御回路(第2の制御回路)
11 バッファ回路
12,12B バイアス補正回路
13 制御回路(第1の制御回路)
31,31D メイン経路
32 入力チョッパ回路
33 復調チョッパ回路(短絡回路)
34 経路切断回路
35 サンプルホールド回路
36 サブ経路
121 切替部
131変換回路
AMP1 トランスコンダクタンスアンプ(増幅器)
C1 位相補償容量C1(第1の位相補償容量)
C31,C32 カップリング容量
CP1 第1のウインドウコンパレータ
CP2 第2のウインドウコンパレータ
R1 第1の設定範囲
R2 第2の設定範囲
S11,S12 制御信号(第1の制御信号)
S2 制御信号(第2の制御信号)
SW11,SW12 充電スイッチ(第1の充電スイッチ)
SW21,SW22 充電スイッチ(第2の充電スイッチ)
SW3 充電スイッチ(第3の充電スイッチ)
SW31,SW32 スイッチ(第1のスイッチ)
SW41,SW42 スイッチ(第2のスイッチ)
SW51,SW52 スイッチ(第3のスイッチ)
T11 出力端子(第1の出力端子)
T12 入力端子(第1の入力端子)
T21 端子(第1の端子)
T22 端子(第2の端子)
T41 差動入力端子(第2の入力端子)
T42 出力端子(第2の出力端子)
T3 充電端子
Vp 所定電圧
図1
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