(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119448
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240827BHJP
B65H 29/58 20060101ALI20240827BHJP
B65H 31/24 20060101ALI20240827BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240827BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B41J29/38 201
B65H29/58 Z
B65H31/24
B41J29/00 Z
B41J29/42 E
B41J29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026353
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】安井 輝
【テーマコード(参考)】
2C061
3F053
3F054
【Fターム(参考)】
2C061AR03
2C061CE03
2C061CF01
2C061CF07
2C061CL06
2C061CQ22
2C061CQ34
2C061HJ04
2C061HJ07
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
3F053EA01
3F053EC02
3F053EC06
3F053LA01
3F053LA13
3F053LB01
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BF03
3F054BF08
3F054BF24
(57)【要約】
【課題】シートの排出先を容易に設定するシート排出装置を提供すること。
【解決手段】シート搬送装置(プリントポスト2)は、シートに画像を形成するジョブを実行する画像形成装置1に設置され、画像形成装置1から排出されたシートを仕分け可能であり、複数の排出トレイ7~10と、各排出トレイ7~10に対応づけて設けられ、認証媒体を接離可能な複数の認証装置40~43と、を備える。認証媒体は、ジョブの排出先に関して特定する認証情報が設定され、認証媒体が接続された認証装置40~43と対応づけられた排出トレイ7~10は、認証情報が特定するジョブの排出先とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成するジョブを実行する画像形成装置に設置され、前記画像形成装置から排出された前記シートを仕分け可能なシート搬送装置であって、
複数の排出トレイと、
各排出トレイに対応づけて設けられ、認証媒体を接離可能な複数の認証装置と、を備え、
前記認証媒体は、前記ジョブの排出先に関して特定する認証情報が設定され、
前記認証媒体が接続された前記認証装置と対応づけられた前記排出トレイは、前記認証情報が特定する前記ジョブの排出先とする
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記認証情報は、前記ジョブを実行する優先順位を特定する情報をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記認証媒体は、情報端末により、前記認証情報を設定すること、および、随時変更することが可能である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
複数の前記認証装置に、同一の前記ジョブを特定する認証情報を有する認証媒体が接続された場合、もっとも直近に前記認証装置に接続された前記認証媒体が有する認証情報が優先される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記認証装置に前記認証媒体が有する認証情報が設定されていることを示す報知手段を、さらに備え、
前記報知手段は、前記認証情報が設定されるとON状態、前記認証情報が設定されていないとOFF状態を示す
ことを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載のシート搬送装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成処理装置において、装置本体または装置と接続可能なパーソナルコンピュータ(「PC」とも称する)を操作することで、シートの排出先の設定や排出の順番など、排出(排紙)に関する詳細な設定をする技術が考えられ既に知られている。
例えば、特許文献1には、複数の排紙トレイを使用した効率的な画像形成媒体の排紙を行うため、排紙する排紙トレイの順番を設定する構成が開示されている。
しかし、排出先の選択は、ジョブ毎に排出先を設定しなければならないこと、一度排出先を設定すると、再度排出先の設定を変更しない限り設定した特定の排出先から排出されること等の問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、シートの排出先を容易に設定するシート排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、
シートに画像を形成するジョブを実行する画像形成装置に設置され、前記画像形成装置から排出された前記シートを仕分け可能なシート搬送装置であって、
複数の排出トレイと、
各排出トレイに対応づけて設けられ、認証媒体を接離可能な複数の認証装置と、を備え、
前記認証媒体は、前記ジョブの排出先に関して特定する認証情報が設定され、
前記認証媒体が接続された前記認証装置と対応づけられた前記排出トレイは、前記認証情報が特定する前記ジョブの排出先とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、シートの排出先を容易に設定するシート排出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態に係るプリントポストの一例を説明する正面図である。
【
図2】同プリントポストにおける、シート搬送の機構例を説明する図である。
【
図4】プリントポスト、画像形成装置、PC、及び認証媒体のハードウェア構成例を説明する図である。
【
図5】Aさんの認証情報を登録した認証媒体で、Aさんのジョブを任意の排出トレイに自動で排出させる様子を説明する図である。
【
図6】Aさんの認証情報を登録した認証媒体で、Aさんのジョブを任意の排出トレイに自動で排出させる動作例について説明するフローチャートである。
【
図7】Aさんの認証情報を登録した認証媒体と、Bさんの認証情報を登録した認証媒体とを例に、排出先をそれぞれ別の排出先に設定する様子を説明する図である。
【
図8】急ぎで排出したいジョブを優先して排出する様子を説明する図である。
【
図9】急ぎで排出したいAさんのジョブを優先して排出する動作例を説明するフローチャートである。
【
図10】認証媒体に認証情報を書き込む接続例を説明する図である。
【
図11】PCでジョブ情報書込装置を用いて、認証媒体に認証情報を登録するハードウェア構成例を説明する図である。
【
図12】PCでジョブ情報書込装置を用いて、認証媒体に認証情報を登録する動作例を説明するフローチャートである。
【
図13】Aさんの認証情報が既に任意の排出トレイに設定されていたときに、他の排出トレイに排出する動作例を説明するフローチャートである
【
図14】報知手段を設けた構成例を説明する図である。
【
図15】認証媒体を貼付して認証情報を入力する際の様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0008】
本発明に係るシート搬送装置(「プリントポスト」または「メールボックス」とも称する)の一態様は、シート(「記録媒体」または「用紙」とも称する)に画像を形成するジョブを実行する画像形成装置(画像形成装置1)に設置され、画像形成装置から排出されたシートを仕分け可能なシート搬送装置(プリントポスト2)であり、複数の排出トレイ(排出トレイ7~10)と、各排出トレイに対応づけて設けられ、認証媒体を接離可能な複数の認証装置(認証装置40~43)と、を備える。認証媒体は、ジョブの排出先に関して特定する認証情報が設定され(書き込まれ、登録され、格納され)、認証媒体が接続された認証装置と対応づけられた排出トレイは、認証情報が特定するジョブの排出先とする。( )内は後述する
図1の構成を一例として対応付けている。
このように、排出トレイと対応づけられた認証装置に認証媒体を認証させることで、容易に排出先を選択できることが特徴になっている。
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。
【0009】
まず、シート搬送装置としてのプリントポストの構成例を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るプリントポストの一例を説明する正面図である。
図2は、同プリントポストにおける、シート搬送の機構例を説明する図である。
【0010】
プリントポスト2は、画像形成装置1の上部に設置しており、シートの排出先を選択可能なように排出トレイ7~10を備える。
シートが排出トレイ7~10のいずれかに排出された際、各トレイのそれぞれに配置された紙有無センサ32~35にてシートの排出有無を検知し、どのトレイに排出されたかがわかるよう紙有無LED36~39にて表示させる機能を備える。
【0011】
以下の説明において、排出トレイ7~10について、排出トレイ(下)7、排出トレイ(中下)8、排出トレイ(中上)9、排出トレイ(上)10とも称する。また、紙有無センサ32~35について、紙有無センサ(下)32、紙有無センサ(中下)33、紙有無センサ(中上)34、紙有無センサ(上)35とも称する。さらに、紙有無LED36~39について、紙有無LED(下)36、紙有無LED(中下)37、紙有無LED(中上)38、紙有無LED(上)39とも称する。
以下、画像形成装置1から排出された画像形成済みのシートの排出動作について説明する。
【0012】
<片面印字の動作>
画像形成が片面印字の場合、画像形成済みのシートは排出経路6の方向に搬送され、図示しない搬送モータの回動によって搬送ローラ(下)11、搬送ローラ(中)12、搬送ローラ(上)13が連動して回転し、入口センサ21にてシートを検出後、図示しない排出モータの回動によって、排出ローラ(下)17、排出ローラ(中下)18、排出ローラ(中上)19、排出ローラ(上)20が連動して回転することで、指定された排出トレイに排出する。
【0013】
この場合、排出トレイ(上)7への排出動作となるが、排出トレイ(中下)8への排出動作は、ソレノイドなどの図示しない駆動源によって偏向爪(上)16が排出経路6を妨げる方向に動作し可変させることで排出が可能となっている。
このように、排出トレイ(中上)9への排出は偏向爪(中)15の動作によって対応が可能、排出トレイ(下)10への排出は偏向爪(下)14の動作によって対応が可能な構成となっており、これらの排出先の指定はプリントアウトする際のユーザ設定にて可能な制御となっている。
【0014】
<両面印字の動作>
画像形成が両面印字の場合、画像形成装置1より片面の画像を形成したシートがプリントポスト2に搬送する前に、ソレノイドなどの図示しない駆動源によって反転分岐爪3が排出経路6を妨げる方向に駆動し、シートを反転経路4に搬送して反転トレイ5に排出して、画像形成装置1内のローラで挟持した状態で待機する。
【0015】
その後、裏面を印字させるためシートを再び画像形成装置1にスイッチバックさせて裏面を印字し、印字後は再度反転経路4に搬送して画像形成装置1内のローラで挟持した状態で待機する。
その後、画像形成装置1に再度スイッチバックをして画像形成装置1内で用紙を反転させ、プリントポスト2に排出するために反転分岐爪3は動作を停止して排出経路6にシートを搬送させ、あとは片面印字の動作と同様に、指定の排出トレイに排出する制御を行う。
【0016】
<用紙詰まり時>
プリントポスト2にシートを搬送中、用紙詰まりが発生した際は、搬送路のどの部分に用紙があるかを搬送センサ(下)22、搬送センサ(上)23によって検出し、ユーザに対してシートが詰まっているありかを知らせる機能を有している。
(各排出トレイの満杯時)
【0017】
各排出トレイ(下)~(上)7~10に搬送されたシートは、積載量が超過しないよう満杯センサフィラー(下)~(上)24~27の傾きの変化を満杯センサ(下)~(上)28~31にて監視し、センサに変化が見られた際はシート搬送を停止させ、ユーザに各排出トレイ(下)~(上)7~10に積載されたシートを取り除くよう、指示を出す機能を有している。
【0018】
プリントポスト2は、上述した構成に加え、認証装置40~43を備え、認証装置40~43に接続される認証媒体を用いてシート排出の設定を行う。認証装置40~43は、認証装置(下)40、認証装置(中下)41、認証装置(中上)42、認証装置(上)43とも称する。
以下、各実施形態において、シート排出の設定に関する詳細を説明する。
【0019】
実施形態1.
本発明の実施形態に係るシート搬送装置は、
図3に示すような貼付が可能なIC(Integrated Circuit)チップを搭載する認証媒体44に、認証情報を登録し、その認証媒体44をプリントポスト2に取り付けられた認証装置40~43に貼り付けることで印刷の設定を自動で行うことができる装置である。
認証情報(「ジョブ情報」とも称する)は、ジョブの排出先に関して特定する情報とし、少なくとも排出先を特定する情報を有する。認証情報は、例えば、排出先トレイの設定や排出する順番、紙種や色紙の指定、合紙の挿入等を有するとよい。
ジョブは、シートに画像を形成する処理(処理の指示)とし、例えば、ユーザがPC46等からジョブを要求(指定)すると、ジョブは、画像形成装置1へ送られる。
本実施形態では、ジョブは、例えば、ジョブの要求元(ジョブを要求したユーザまたは端末等)を識別することを可能とする。そのため、認証情報は、ジョブの要求元を識別する識別情報(例えば、識別番号、識別用の名称、識別用の記号)を有するものとする。
【0020】
以下の説明では、ジョブは、識別情報と組み合わせて、「Aさんのジョブ」、「Bさんのジョブ」等のユーザを識別する名称を適宜用いて説明する。また、認証情報は、識別情報がわかりやすいように「Aさんの認証情報」、「Bさんの認証情報」等の名称を適宜用いる。
【0021】
認証媒体44はマグネット等などに備えられることで貼付可能であり、設定情報としてバーコード、二次元バーコード等を付しておき、当該設定情報を別に設けたコードリーダーで適宜読み取る構成としても良い。またキャッシュカード等のように樹脂カードに磁気ストライプを付しておき、磁気ストライプにあらかじめ書き込まれた設定情報を別に設けた読み取り機で適宜読み取る構成としても良い。
【0022】
プリントポスト2は、認証媒体44が認証装置40~43の貼付位置に貼付されると、認証情報を画像形成装置1に伝達し、画像形成装置1は、排出設定(排出先、排出の順番、排出枚数、紙種、合紙の挿入位置等)を受け取る。この一連の流れを
図4のハードウェア構成図で示す。
図4は、プリントポスト2と、画像形成装置1と、PC46と、認証装置40~43に添付する認証媒体44とを示している。
図4に示すプリントポスト2は、認証装置40~43と制御板とを示す。また、プリントポスト2は、記憶部(不図示)を有する。制御板は、プリントポスト2の全体を制御する手段であり、「制御部」とも称する。
【0023】
ユーザが、認証媒体44を認証装置40~43のいずれかに貼付する。認証装置40~43、プリントポスト2及び画像形成装置1は、認証媒体44が貼付されると、以下のように動作する。ここでは、認証情報として、Aさんの認証情報が認証媒体44に登録されているものとして説明する。
【0024】
(1)認証媒体44が貼付された認証装置は、認証媒体44からのAさんの認証情報を、読み取る。
(2)認証媒体44が貼付された認証装置は、Aさんの認証情報を、プリントポスト2の制御板に送る。
(3)プリントポスト2の制御板は、認証媒体44が貼付された認証装置から送られた、Aさんの認証情報を、記憶部に記憶させる。
(4)プリントポスト2の制御板は、Aさんのジョブの排出先を、プリントポスト内の記憶部に記憶された通りに設定する。
【0025】
この一連の流れにより認証媒体44の認証情報が登録される。そのため一度認証媒体44を認証装置40~43へ貼付すると、その後認証媒体44を認証装置40~43に貼付したままかどうかに限らず、情報はプリントポスト内に登録されたままとなる。
(5)その後、PC46は、Aさんのジョブを受け付けると、PC46からのAさんのジョブを画像形成装置1へ出力する。
(6)画像形成装置1は、Aさんのジョブをプリントポスト2の制御板に送る(入力させる)。
(7)プリントポスト2の制御板は、登録した排出先にAさんのジョブを排出する。
【0026】
図5は、Aさんの認証情報を登録した認証媒体44で、Aさんのジョブを排出トレイ(上)10に自動で排出させる様子の図である。
図5では、あらかじめAさんの認証情報を登録した認証媒体44を、排出トレイ(上)10の認証装置43に貼付している。これによりAさんのジョブは排出トレイ(上)10に自動的に排出されるようになる。その状態でAさんのジョブを印刷すると、Aさんのジョブは排出トレイ(上)10に自動的に排出される。
【0027】
図6は、あらかじめAさんの認証情報を登録した認証媒体44で、Aさんのジョブを排出トレイ(上)10に自動で排出させる動作例を説明するフローチャートである。
PC46とジョブ情報書込装置45(
図11を参照して後述する)とでAさんの認証情報を登録した認証媒体44が、認証装置(上)43へ貼付される場合がある(S11)。
認証媒体44が認証装置(上)43に貼付された場合には(S11でYes)、認証装置(上)43が認証媒体44からAさんの認証情報を受け取り、その受け取った認証情報をプリントポスト2の制御板に送る(S12)。そうでない場合には(S11でNo)、Aさんのジョブの排出先は、デフォルトの設定の排出先へ排出される(S17)。
【0028】
プリントポスト2の制御板がAさんの認証情報を受け取り、Aさんのジョブが排出トレイ上(10)に排出するように設定される(S13)。これにより、画像形成装置1がAさんのジョブを認知した場合、プリントポスト2はAさんのジョブを排出トレイ上(10)に排出する。
PC46から画像形成装置1へ、Aさんのジョブを送る(S14)。
画像形成装置1がジョブのファイル名をそれぞれ読み取り、Aさんの識別情報を判別し、認知する(S15)。
Aさんのジョブが最初に認証媒体44をかざした認証装置(上)43と同じ位置にある排出トレイ(上)から自動的に排出される(S16)。
【0029】
また排出先のトレイの選択はジョブごとに設定可能である。ここでは、Aさんの認証情報を登録した認証媒体44Aと、Bさんの認証情報を登録した認証媒体44Bとを例に、排出先をそれぞれ別の排出先に設定する様子を以下の
図7に示す。
【0030】
図7では、AさんとBさんの排出先トレイを設定している。Aさんのジョブを登録した認証媒体44Aを認証装置(中上)42に、Bさんのジョブを登録した認証媒体44Bを認証装置(中下)41に貼付する。そこでAさんに関するジョブとBさんに関するジョブを印刷すると、Aさんに関するジョブは排出トレイ(中上)9に、Bさんに関するジョブは排出トレイ(中下)8に自動的に組み分けられて排出される。
【0031】
本発明では、排出先だけでなく排出の順番も設定できる。
図8は、急ぎで排出したいジョブを優先して排出する様子を説明する図である。
図8では排出トレイ(中上)9に、とある排出中の大量のジョブ49がある。その際に急ぎで排出したいAさんのジョブを追加した場合の実施の一形態である。Aさんのジョブの排出先と急ぎの情報とを、少なくとも特定する認証情報を登録した認証媒体44を認証装置(中下)41に貼付すると、排出トレイ(中上)9で排出中の大量のジョブ49の排出を保留し、排出トレイ(中下)8から急ぎで排出したいAさんのジョブが排出される。
【0032】
図8に示した、急ぎで排出したいAさんのジョブを優先して排出する動作例を説明するフローチャートを
図9に示す。
排出トレイ(中上)9で、とある大量のジョブを排出中である(S21)。
ステップS21の排出中のジョブよりも急ぎで排出したいAさんのジョブが発生する場合がある(S22)。
急ぎで排出したいAさんのジョブが発生した場合には(S22でYes)、ユーザがジョブ情報書込装置45を用い、PC6でAさんの排出先と急ぎであるという情報とを特定する認証情報を認証媒体44に登録する(この情報はあらかじめ登録しておくことも可能である)(S23)。そうでない場合には(S22でNo)、プリントポスト2は、
図6のフローチャートのステップS11以降の動作例を行う(S28)。
【0033】
ステップS21のジョブとは異なる排出先に急ぎのAさんのジョブを排出したいため、ユーザは、ステップS23で認証情報を登録した認証媒体44を排出トレイ(中下)8の認証装置41に貼付する(S24)。
認証装置41へ認証媒体44が貼付されると、プリントポスト2の制御板は、認証装置41から受け取った認証情報に基づいて、Aさんのジョブが排出トレイ(中下)8に優先して排出されるように設定する(S25)。
急ぎで排出したいAさんに関連するジョブを、PC46から画像形成装置1へ指示すると、画像形成装置1は、ジョブを実行し、シートに画像を印刷する(S26)。ここで、PC46から画像形成装置1へ指示するときに、画像形成装置1は、急ぎで排出したいジョブであることを認知可能に構成されている。例えば、印刷を指示する際に、オプションとして、通常印刷、至急印刷等が設定できるようにするとよい。
画像形成装置1がジョブのファイル名をそれぞれ読み取り、Aさんに関連するジョブを判別する(S27)。Aさんに関連するジョブを認識すると、現在排出トレイ(中上)9で排出中のステップS21のジョブの排出を停止する。そして排出トレイ(中下)8にAさんのジョブが優先して排出される。
【0034】
上述したように、本実施形態のシート搬送装置の一態様は、画像形成装置により排出されたシートを仕分け可能なシート搬送装置であって、シート搬送装置に備えられた複数の排出トレイと、それぞれの排出トレイに認証装置とが設けられ、排出させたい排出トレイに接続される認証装置に認証情報を入力することで、排出先または、排出の順番を設定可能である。
【0035】
このようにすると、排出させたい排出トレイの認証装置に認証情報を入力するだけで、トレイの排出設定(排出先や排出の順番)を感覚的かつ容易に決定できる。
また、一度排出先を設定すると、ジョブごとに排出先を設定せずとも任意の排出先に排出することができることができる。さらに、例えば、一度ジョブの排出を開始すると、その後新たなジョブを追加しても最初のジョブが完了するまで新たなジョブは開始されないという課題について、急ぎで排出したいジョブを優先して排出することを可能になる。
【0036】
実施形態2.
本実施形態では、認証媒体44に登録する認証情報の書き込みについて説明する。
図10は、認証媒体に認証情報を書き込む接続例を説明する図である。
図10では、PC46とジョブ情報書込装置45とを接続し、PC46から認証情報をジョブ情報書込装置45へ送り、ジョブ情報書込装置45が認証媒体44に認証情報を書き込む。
【0037】
図11に、PC46でジョブ情報書込装置45を用いて、認証媒体44に認証情報を登録するハードウェア構成例を示す。
PC46からジョブ情報書込装置45へ認証情報が送られる(11)。
ジョブ情報書込装置45は、PC46から送られた認証情報を読み取る(12)。
ジョブ情報書込装置45から認証媒体44へ認証情報が送られる(13)。
認証媒体44はジョブ情報書込装置45から送られた認証情報を記憶する(14)。
【0038】
次に、ジョブ情報書込装置45を用いて、認証媒体44にAさんのジョブを登録する動作例を説明する。
図12に、PC46でジョブ情報書込装置45を用いて、認証媒体44に認証情報を登録する動作例を説明するフローチャートを示す。
【0039】
PC46とジョブ情報書込装置45とを接続し、さらにジョブ情報書込装置45と認証媒体44とを接続する(S31)。
PC46から、Aさんの認証情報を、ジョブ情報書込装置45を通じて認証媒体44に登録する(S32)。
認証媒体44に既に誰かのジョブの認証情報が登録されている場合がある(S33)。
既に誰かのジョブの認証情報が登録されている場合には(S33でYes)、ジョブ情報書込装置45は、その誰かのジョブの認証情報を削除する(S34)。登録されてない場合には(S33でNo)、ステップS35へ進む。
ジョブ情報書込装置45は、Aさんの認証情報を認証媒体44へ送り、認証媒体44は、受け取ったAさんの認証情報を記憶する(S35)。
【0040】
上述したように、本実施形態のシート搬送装置において、認証媒体44に入力される認証情報は、情報端末(例えばPC46)にて設定可能であり、設定内容は、情報端末で随時変更可能である。
このようにすると、使わなくなった認証情報(排出設定の情報)を含む認証媒体44は、他の認証情報に変更することで再利用可能となる。また、例えば、一度排出先を設定すると、再度排出先設定をして排出先を変更しない限り、設定した特定の排出先からしか排出されないという課題について、認証媒体を認証装置に貼付することにより、容易に排出先を変更することが可能になる。
【0041】
実施形態3.
本実施形態では、プリントポスト2に既に登録されているAさんの認証情報を変更する場合の一態様を説明する。
図13は、Aさんの認証情報が既に任意の排出トレイに設定されていたときに、他の排出トレイに排出する動作例を説明するフローチャートである。
図13では、一例として、あらかじめAさんの認証情報を登録した認証媒体44で、Aさんのジョブを排出トレイ(上)10に自動で排出させる動作について、Aさんの認証情報が既に排出トレイ(上)10以外に設定されていた場合を想定した際の動作例を示す。
【0042】
PC46とジョブ情報書込装置45でAさんの認証情報をあらかじめ登録していた認証媒体44を、認証装置(上)43に貼付させる(S41)。
認証装置(上)43は、認証媒体44からAさんの認証情報を受け取り、その受け取った情報をプリントポスト2の制御板に送る(S42)。
Aさんのジョブの排出先設定が、既に他の排出トレイ7~9に設定されている場合がある(S43)。
他の排出トレイ7~9に設定されている場合には(S43でYes)、プリントポスト2の制御板は、設定されている排出トレイ7~9へのAさんのジョブの排出先設定を削除する(S44)。プリントポスト2の制御板は、例えば、記憶部に記憶するAさんの認証情報に基づいて、他の排出トレイ7~9に設定されているかを判定する。設定されてない場合には(S43でNo)、ステップS45へ進む。
【0043】
プリントポスト2の制御板がAさんの認証情報を受け取る。これにより、画像形成装置1がAさんの認証情報を認知した場合、プリントポスト2はAさんのジョブを排出トレイ上(10)に排出するように設定される(S45)。
ここでAさんのジョブを、PC46から画像形成装置1へ指示すると、画像形成装置1は、ジョブを実行し、シートに画像を印刷する(S46)。
画像形成装置1がジョブのファイル名をそれぞれ読み取り、Aさんに関するジョブを判別し、認知する(S47)。
Aさんのジョブが最初に認証媒体44をかざした認証装置(上)43と同じ位置にある排出トレイ(上)から自動的に排出される(S48)。
【0044】
このように、認証媒体44から複数の認証装置40~43へ認証情報が登録された場合は、最も直近に認証情報が登録された認証装置40~43の認証情報が優先され、その排出トレイ7~10から排出される
【0045】
上述したように、本実施形態のシート搬送装置において、複数の認証装置40~43のうちの二以上に、同一の認証情報が登録された場合、もっとも直近に認証情報が登録された認証装置の情報が優先される。
このようにすると、どこの認証装置に認証情報を登録したか忘れた場合でも、認証情報を登録し直すことで希望の排出先に排出することができる。
【0046】
実施形態4.
本実施形態では、シート搬送装置に設けられる報知手段について説明する。
図14に、報知手段を設けた構成例を説明する図を示す。
報知手段51~53は、認証装置41~43を囲うように設置されている。
図15に、認証媒体44を貼付して認証情報を入力する際の様子を説明する図を示す。
【0047】
図15では、認証装置(上)43は、認証媒体44が貼付されることにより、認証情報を受け取り、認証装置(上)43の報知手段(上)53がオンになっている。
このように認証情報が入力されて排出先設定となっている認証装置40~43の箇所は、その箇所の報知手段50~53がオンになる。報知手段50~53がオンになることで、現在排出トレイに排出先設定がされているかを確認することが可能である。
報知手段は、例えば、ライトによる点灯などがある。
【0048】
上述したように、本実施形態のシート搬送装置は、各認証装置の近傍に設けられ、認証装置に認証情報が入力されていることを表す複数の報知手段をさらに有し、複数の報知手段は、認証情報が入力されると、設定された排出先の報知手段はオンになり、設定された認証情報が無効になると報知手段はオフになる。
このようにすると、複数の認証装置について、現在認証情報が入力され、排出設定がされているかどうかを容易に確認できる。
【0049】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>
シートに画像を形成するジョブを実行する画像形成装置に設置され、前記画像形成装置から排出された前記シートを仕分け可能なシート搬送装置であって、
複数の排出トレイと、
各排出トレイに対応づけて設けられ、認証媒体を接離可能な複数の認証装置と、を備え、
前記認証媒体は、前記ジョブの排出先に関して特定する認証情報が設定され、
前記認証媒体が接続された前記認証装置と対応づけられた前記排出トレイは、前記認証情報が特定する前記ジョブの排出先とする
ことを特徴とするシート搬送装置である。
<2>
前記認証情報は、前記ジョブを実行する優先順位を特定する情報をさらに有する
ことを特徴とする前記<1>に記載のシート搬送装置である。
<3>
前記認証媒体は、情報端末により、前記認証情報を設定すること、および、随時変更することが可能である
ことを特徴とする前記<1>または<2>に記載のシート搬送装置である。
<4>
複数の前記認証装置に、同一の前記ジョブを特定する認証情報を有する認証媒体が接続された場合、もっとも直近に前記認証装置に接続された前記認証媒体が有する認証情報が優先される
ことを特徴とする前記<1>から<3>のいずれか一つに記載のシート搬送装置である。
<5>
前記認証装置に前記認証媒体が有する認証情報が設定されていることを示す報知手段を、さらに備え、
前記報知手段は、前記認証情報が設定されるとON状態、前記認証情報が設定されていないとOFF状態を示す
ことを特徴とする前記<1>から<4>のいずれか一つに記載のシート搬送装置である。
<6>
前記<1>から<5>のいずれか一つに記載のシート搬送装置を備える画像形成装置である。
【0050】
なお、本発明は上記に示す実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲において、上記実施形態の各要素を、当業者であれば容易に考えうる内容に変更、追加、変換することが可能である。また、上述した二以上の実施形態を適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 画像形成装置
2 プリントポスト
3 反転分岐爪
4 反転経路
5 反転トレイ
6 排出経路
7 排出トレイ(下)
8 排出トレイ(中下)
9 排出トレイ(中上)
10 排出トレイ(上)
11 搬送ローラ(下)
12 搬送ローラ(中)
13 搬送ローラ(上)
14 偏向爪(下)
15 偏向爪(中)
16 偏向爪(上)
17 排出ローラ(下)
18 排出ローラ(中下)
19 排出ローラ(中上)
20 排出ローラ(上)
21 入口センサ
22 搬送センサ(下)
23 搬送センサ(上)
24 満杯センサフィラー(下)
25 満杯センサフィラー(中下)
26 満杯センサフィラー(中上)
27 満杯センサフィラー(上)
28 満杯センサ(下)
29 満杯センサ(中下)
30 満杯センサ(中上)
31 満杯センサ(上)
32 紙有無センサ(下)
33 紙有無センサ(中下)
34 紙有無センサ(中上)
35 紙有無センサ(上)
36 紙有無LED(下)
37 紙有無LED(中下)
38 紙有無LED(中上)
39 紙有無LED(上)
40 認証装置(下)
41 認証装置(中下)
42 認証装置(中上)
43 認証装置(上)
44 認証媒体
45 ジョブ情報書込装置
46 PC
47 Aさんのジョブにより排出された用紙束
48 Bさんのジョブにより排出された用紙束
49 大量のジョブにより排出された用紙束
50 報知手段(下)
51 報知手段(中下)
52 報知手段(中上)
53 報知手段(上)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】