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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119612
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240827BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H05H1/46 L
H01L21/302 101H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026638
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 均
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 和男
(72)【発明者】
【氏名】中川 太一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 芳彦
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA05
2G084BB01
2G084BB27
2G084BB30
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD13
2G084DD38
2G084DD55
2G084DD62
2G084DD63
2G084DD65
2G084DD66
2G084FF13
2G084FF39
5F004AA15
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB29
5F004BC08
5F004CA06
5F004DB03
5F004DB08
5F004DB26
5F004DB31
(57)【要約】
【課題】カバー部材に副生成物が堆積することを抑制するプラズマ処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】処理容器の内部にプラズマを生成し基板を処理するプラズマ処理装置であって、前記処理容器の上部に配置された金属窓と、前記金属窓の上部に前記金属窓と離間して配置された誘導結合アンテナと、を備え、前記金属窓は、複数の部分窓と、複数の前記部分窓の間及び複数の前記部分窓と前記処理容器の壁部との間に配置され、複数の前記部分窓を互いに電気的に絶縁し、若しくは複数の前記部分窓と前記処理容器の壁部とを電気的に絶縁する絶縁部材と、前記絶縁部材の下部を前記処理容器の内部に露出しないように覆うカバー部材と、前記カバー部材の内部、若しくは表面に設けられた導電体層と、を有し、前記導電体層は、前記カバー部材が環状部を形成する部分において、前記導電体層が電気的に閉回路を形成しないよう、前記導電体層が不連続となる不連続部を有する、プラズマ処理装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器の内部にプラズマを生成し基板を処理するプラズマ処理装置であって、
前記処理容器の上部に配置された金属窓と、
前記金属窓の上部に前記金属窓と離間して配置された誘導結合アンテナと、を備え、
前記金属窓は、
複数の部分窓と、
複数の前記部分窓の間及び複数の前記部分窓と前記処理容器の壁部との間に配置され、複数の前記部分窓を互いに電気的に絶縁し、若しくは複数の前記部分窓と前記処理容器の壁部とを電気的に絶縁する絶縁部材と、
前記絶縁部材の下部を前記処理容器の内部に露出しないように覆うカバー部材と、
前記カバー部材の内部、若しくは表面に設けられた導電体層と、を有し、
前記導電体層は、
前記カバー部材が環状部を形成する部分において、前記導電体層が電気的に閉回路を形成しないよう、前記導電体層が不連続となる不連続部を有する、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記導電体層は、前記部分窓に電気的に接続される電気接続部を有する、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記導電体層は、複数の部分導電体層に分割され、
複数の前記部分導電体層のそれぞれは、複数の前記部分窓のいずれかに直接的に、若しくは他の部分導電体層を介して間接的に接続される、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
複数の前記部分導電体層のうち、異なる電位及び/又は異なる位相を有する前記部分窓に接続された部分導電体層は、互いに直接的若しくは間接的に接続されない、
請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記金属窓は矩形形状であり、
前記金属窓のそれぞれの辺部は、複数の前記部分窓のいずれかと共有され、
前記導電体層の前記不連続部は、前記辺部において設けられる、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
プラズマ処理装置が備える処理容器の内部にプラズマを生成し基板を処理する基板処理方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
前記処理容器と、
前記処理容器の上部に配置された金属窓と、
前記金属窓の上部に前記金属窓と離間して配置された誘導結合アンテナと、を備え、
前記誘導結合アンテナに高周波電力を供給する高周波電源と、
前記処理容器に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、に接続され、
前記金属窓は、
複数の部分窓と、
複数の前記部分窓の間及び複数の前記部分窓と前記処理容器の壁部との間に配置され、複数の前記部分窓を互いに電気的に絶縁し、若しくは複数の前記部分窓と前記処理容器の壁部とを電気的に絶縁する絶縁部材と、
前記絶縁部材の下部を前記処理容器の内部に露出しないように覆うカバー部材と、
前記カバー部材の内部、若しくは表面に設けられた導電体層と、を有し、
前記導電体層は、
前記カバー部材が環状部を形成する部分において、前記導電体層が電気的に閉回路を形成しないよう、前記導電体層が不連続となる不連続部を有し、
前記高周波電源から前記誘導結合アンテナに前記高周波電力を供給して、前記処理ガス供給部から前記処理容器に供給された前記処理ガスから前記プラズマを生成し、前記処理容器の内部において前記基板を処理する、
基板処理方法。
【請求項7】
前記導電体層は、前記部分窓に電気的に接続される電気接続部を有し、
前記導電体層は、複数の部分導電体層に分割され、
複数の前記部分導電体層のうち、前記高周波電力が供給され異なる電位及び/又は異なる位相を有する前記部分窓に接続された部分導電体層は、互いに直接的若しくは間接的に接続されない、
請求項6に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、処理容器と、複数の導電性の部分窓からなる金属窓と、処理容器と部分窓との間、及び隣り合う部分窓同士の間に設けられた樹脂製の絶縁部材と、絶縁部材の処理空間側の面を覆うセラミックス製の絶縁部材カバーと、を備えるプラズマ処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-27775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の側面では、本開示は、カバー部材に副生成物が堆積することを抑制するプラズマ処理装置及び基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、処理容器の内部にプラズマを生成し基板を処理するプラズマ処理装置であって、前記処理容器の上部に配置された金属窓と、前記金属窓の上部に前記金属窓と離間して配置された誘導結合アンテナと、を備え、前記金属窓は、複数の部分窓と、複数の前記部分窓の間及び複数の前記部分窓と前記処理容器の壁部との間に配置され、複数の前記部分窓を互いに電気的に絶縁し、若しくは複数の前記部分窓と前記処理容器の壁部とを電気的に絶縁する絶縁部材と、前記絶縁部材の下部を前記処理容器の内部に露出しないように覆うカバー部材と、前記カバー部材の内部、若しくは表面に設けられた導電体層と、を有し、前記導電体層は、前記カバー部材が環状部を形成する部分において、前記導電体層が電気的に閉回路を形成しないよう、前記導電体層が不連続となる不連続部を有する、プラズマ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、カバー部材に副生成物が堆積することを抑制するプラズマ処理装置及び基板処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るプラズマ処理装置の一例を示す断面模式図。
図2】実施形態に係るインピーダンス調整回路の一例を示す図。
図3】カバー部材が取り外された状態における金属窓を平面視した図の一例。
図4】カバー部材が配置された状態における金属窓を平面視した図の一例。
図5】第1実施形態に係るカバー部材における導電体層の配置を示した図の一例。
図6】第2実施形態に係るカバー部材における導電体層の配置を示した図の一例。
図7】第3実施形態に係るカバー部材が配置された状態における金属窓を平面視した図の一例。
図8】部分窓と導電体層とのコンタクト構造を説明する断面図の一例。
図9】部分窓と導電体層とのコンタクト構造を説明する断面図の他の一例。
図10】部分窓と導電体層とのコンタクト構造を説明する断面図の更に他の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
[プラズマ処理装置]
実施形態に係るプラズマ処理装置について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、実施形態に係るプラズマ処理装置の一例を示す断面模式図である。図2は、実施形態に係るインピーダンス調整回路18の一例を示す図である。
【0010】
実施形態に係るプラズマ処理装置は、例えばFPD(Flat Panel Display)用ガラス基板上に薄膜トランジスターを形成する際のメタル膜、ITO膜、酸化膜等のエッチングや、レジスト膜のアッシング処理に用いられる。ここで、FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence:EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。なお、実施形態に係るプラズマ処理装置は、これに限られるものではなく、成膜装置などであってもよい。
【0011】
プラズマ処理装置は、導電性材料、例えば、内壁面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウムからなる角筒形状の気密な処理容器1を有する。この処理容器1は、接地線1aにより接地されている。処理容器1は、金属窓2により、上部のアンテナ室3と、下部の処理室4と、に区画されている。金属窓2は、本例では処理室4の天井壁を構成する。金属窓2は、複数の部分窓5と、絶縁部材6と、導電体層8を有するカバー部材7と、を有する。
【0012】
処理容器1は、開口を有する金属枠11を含む。処理室4の側壁4aの上面側とアンテナ室3の側壁3aの下面側との間には、アルミニウムなどの金属からなる矩形状の枠体である金属枠11が設けられている。側壁4aと金属枠11との間には、処理室4を気密に保つためのシール部材(図示せず)が設けられている。
【0013】
金属窓2は、矩形形状に形成され、処理容器1の側壁に設けられた金属枠11に支持されている。または、金属窓2は、アンテナ室3の天井から吊り下げられてもよい。換言すれば、処理容器1は、後述するステージSTと対向する上部に開口(金属枠11の開口)が形成されている。金属窓2は、処理容器1の開口を塞ぎ、処理室4を形成する。
【0014】
複数の部分窓5は、例えば、非磁性体で導電性の金属で構成される。非磁性体で導電性の金属の例は、アルミニウム、又はアルミニウムを含む合金である。
【0015】
絶縁部材6は、複数の部分窓5の間及び複数の部分窓5と処理容器1の壁部(金属枠11)との間に配置され、複数の部分窓5を互いに電気的に絶縁し、若しくは複数の部分窓5と処理容器1の壁部(金属枠11)とを電気的に絶縁する。絶縁部材6は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの誘電率の小さい絶縁体で形成される。
【0016】
カバー部材7は、絶縁部材6の下部を処理室4の内部に露出しないように覆う部材である。カバー部材7は、例えばセラミックスで形成される。
【0017】
また、カバー部材7は、導電体層8を有する。導電体層8は、セラミックで形成されるカバー部材本体の内部、若しくは表面に形成される構成であってもよい。
【0018】
また、カバー部材7は、セラミックで形成されるカバー部材本体(図8等で後述するカバー部材本体7021参照)と、カバー部材本体の処理室4側の表面に形成される導電体層8(図8等で後述する部分導電体層802参照)と、カバー部材本体の処理室4側でカバー部材本体及び導電体層8を覆う保護膜(図8等で後述する保護膜7022参照)と、を備える構成であってもよい。保護膜は、例えばセラミックス溶射等により形成され、カバー部材本体及び導電体層8をプラズマから保護する。
【0019】
また、カバー部材7は、セラミックで形成されるカバー部材本体(図8等で後述するカバー部材本体7021参照)と、カバー部材本体のアンテナ室3側の表面に形成される導電体層8と、カバー部材本体のアンテナ室3側でカバー部材本体及び導電体層8を覆う絶縁膜と、カバー部材本体の処理室4側でカバー部材本体を覆う保護膜と、を備える構成であってもよい。絶縁膜は、導電体層8と部分窓5とを電気的に絶縁する。保護膜は、例えばセラミックス溶射等により形成され、カバー部材本体及び導電体層8をプラズマから保護する。また、導電体層8は、カバー部材本体の表面ではなく、カバー部材本体の内部に埋設して形成されるようにしてもよい。
【0020】
なお、導電体層8と部分窓5とは、電気接続部80(後述する図6参照)によって電気的に接続される構成であってもよい。
【0021】
絶縁部材6により複数に分割された金属窓2の部分窓5には複数の分岐配管に分岐するガス流路(不図示)が接続されてそれぞれの部分窓5にガスを供給する。それぞれの部分窓5は、内部にガス空間を有していて(不図示)、処理室4に面した面に複数のガス吐出口(不図示)を有し、複数のガス吐出孔から処理室4内にガスを供給する。ガス流路は、部分窓5と反対側においてガス供給管20aに接続され、ガス流路とガス供給管20aは連通する。ガス供給管20aは、処理容器1の天井からその外側へ貫通し、処理ガス供給源及びバルブシステム等を含む処理ガス供給部20に接続されている。したがって、プラズマ処理においては、処理ガス供給部20から供給された処理ガスがガス供給管20aを介して処理室4内へ吐出される。
【0022】
アンテナ室3内には金属窓2の上に、金属窓2に面するように高周波(RF)アンテナ13(誘導結合アンテナ)が配設されている。この高周波アンテナ13は絶縁部材からなるスペーサ17により金属窓2から離間している。高周波アンテナ13は、渦巻状のアンテナを構成しており、金属窓2は、渦巻状のアンテナの下部で、例えば図3に示す例において4つの部分窓5に分割されている。高周波アンテナ13は、アンテナ室3において、絶縁部材のスペーサ17を介して金属窓2の上部に配置され、処理室4に誘導結合プラズマを生成する誘導結合アンテナの一例である。なお、後述の通り、図3は下から見た図であるため実際には高周波アンテナ13は部分窓5の向こう側にあり見えないが、高周波アンテナ13の位置を分かりやすくするため敢えて実線にて描いたものである。
【0023】
プラズマ処理中、第一の高周波電源15からは、誘導電界形成用の、例えば、周波数が13.56MHzの高周波電力が整合器14及び給電部材16を介して高周波アンテナ13へ供給される。高周波アンテナ13は、それぞれ給電部材16に接続される給電部41,42を有する。これら各給電部41,42からアンテナ線が周方向に延びて、環状の高周波アンテナ13が構成される。各アンテナ線の終端には図示しないコンデンサが接続され、各アンテナ線はコンデンサを介して高周波アンテナ13の側壁3aに接続され、接地される。このように高周波電力が供給された高周波アンテナ13により、金属窓2を介して処理室4内に誘導電界が形成され、この誘導電界により処理室4内に供給された処理ガスがプラズマ化される。金属窓2を構成する部分窓5のそれぞれに高周波アンテナ13によって誘起された電流が、部分窓5のアンテナ室3側の面と処理室4側の面とを周回する循環電流を形成する。この循環電流によって、処理室4内に誘導電界が形成される。
【0024】
処理室4内の下方には、金属窓2を挟んで高周波アンテナ13と対向するように、被処理基板G、例えば、ガラス基板を載置するためのステージSTが設けられている。ステージSTは、下部電極23及び絶縁体枠24を有する。下部電極23は、導電性材料、例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウムで構成されている。下部電極23に載置された被処理基板Gは、図示しない静電チャックにより吸着保持される。
【0025】
下部電極23は絶縁体枠24内に収納され、さらに、処理室4の底面に支持される。また、処理室4の側壁4aには、被処理基板Gを搬入出するための搬入出口27aおよびそれを開閉するゲートバルブ27が設けられている。
【0026】
下部電極23には、中空の支柱25内に設けられた給電線25aにより、整合器28を介して第二の高周波電源29が接続されている。第二の高周波電源29は、プラズマ処理中に、バイアス電圧用の高周波電力、例えば、周波数が3.2MHzの高周波電力を下部電極23に供給する。下部電極23は、載置面に被処理基板Gを載置し、このバイアス電圧用の高周波電力により被処理基板G上にバイアス電圧を生成し、処理室4内に生成されたプラズマ中のイオンが効果的に被処理基板Gに引き込まれる。
【0027】
さらに、下部電極23内には、被処理基板Gの温度を制御するため、セラミックヒータ等の加熱手段や冷媒流路等からなる温度制御機構と、温度センサーとが設けられている(いずれも図示せず)。これらの機構や部材に対する配管や配線は、いずれも中空の支柱25を通して処理容器1外に導出される。
【0028】
ステージSTと処理室4の側壁4aとの間には、バッフル板32が連続的或いは断続的に環状にステージSTを囲んで設けられ、処理室4から排気空間にガスを通す。処理室4の底部には、排気管31を介して真空ポンプ等を含む排気装置30が接続される。排気装置30により、バッフル板32下の排気空間が排気され、プラズマ処理中、処理室4内が所定の真空雰囲気(例えば1.33Pa)に設定、維持される。
【0029】
下部電極23に載置された被処理基板Gの裏面側には微細な冷却空間(図示せず)が形成されており、一定の圧力の熱伝達用ガスとしてHeガスを供給するためのHeガス流路45が設けられている。Heガス流路45には、Heガスライン46が接続され、圧力制御バルブ47を介してHe源に接続される。
【0030】
プラズマ処理装置の各構成部は、コンピュータからなる制御部50に接続されて制御される構成となっている。また、制御部50には、工程管理者がプラズマ処理装置を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、プラズマ処理装置の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース51が接続されている。さらに、制御部50には、記憶部52が接続されている。記憶部52には、プラズマ処理装置で実行される各種処理を制御部50の制御にて実現するための制御プログラム、処理条件に応じてプラズマ処理装置の各構成部に処理を実行させるためのプログラムすなわちレシピが格納されている。レシピはハードディスクや半導体メモリーに記憶されていてもよいし、CD-ROM、DVD等の可搬性の記憶媒体に収容された状態で記憶部52の所定位置にセットするようになっていてもよい。さらに、他方の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース51からの指示等にて任意のレシピを記憶部52から呼び出して制御部50に実行させることで、制御部50の制御下で、プラズマ処理装置での所望の処理が行われる。
【0031】
このように、プラズマ処理装置は、第一の高周波電源15から高周波アンテナ13に高周波電力を供給して、処理ガス供給部20から処理容器1の処理室4内に供給された処理ガスからプラズマを生成する。また、プラズマ処理装置は、第二の高周波電源29から下部電極23に高周波電力を供給することにより、処理室4内のステージSTに載置された被処理基板G上にバイアス電圧を生成し、処理室4内に生成されたプラズマ中のイオンが効果的に被処理基板Gに引き込まれることで被処理基板Gに基板処理(プラズマ処理)を施す。
【0032】
[インピーダンス調整回路]
金属窓2には、インピーダンス調整回路18が接続されている。インピーダンス調整回路18について、図2を参照しながら説明する。図2は、金属窓2が有する複数(図3に示す例において4つ)の部分窓5のうちの1つの部分窓5の断面と、部分窓5が接続されたインピーダンス調整回路18とを主に示し、図1のプラズマ処理装置のその他の構成は簡略化している。
【0033】
インピーダンス調整回路18は部分窓5毎に一対一に設けられている。金属窓2の角部と辺部とで堆積の状態が異なるような場合に、部分窓5ごとにインピーダンス調整回路18を個別に調整して均等にクリーニングすることができる。
【0034】
図1及び図2の例では、インピーダンス調整回路18が1つの部分窓5に対して1つずつ設けられている。つまり、本例では、複数(図3に示す例において4つ)のインピーダンス調整回路18が複数(図3に示す例において4つ)の部分窓5に対して一対一に接続されている。インピーダンス調整回路18は、容量素子60及び抵抗素子61を有するR+C並列回路である。本例では、部分窓5毎に1つの容量素子60と、この容量素子60と並列に1つの抵抗素子61とが接続される。容量素子60は、一端において部分窓5と接続され、他端において接地に接続される。抵抗素子61は、容量素子60と並列に一端において部分窓5と接続され、他端において接地に接続される。
【0035】
容量素子60は、可変容量素子である。ただし、容量素子60は、固定容量素子であってもよい。容量素子60を可変容量素子とすることで、バイアス電圧用の高周波電力の供給におけるアノード電極である金属窓2のインピーダンス(以下、アノードインピーダンスともいう。)を可変に調整でき、より精度よくインピーダンス調整を行うことができる。
【0036】
係る構成により、バイアス電圧用の高周波電力の供給において、下部電極23をカソード電極、金属窓2を下部電極23に対向する対向電極であるアノード電極とし、インピーダンス調整回路18は、アノードインピーダンスを調整する。これにより、金属窓2において容量素子60の容量によりプラズマとの間に所望の電位差を発生させて、プラズマのスパッタによって金属窓2に付着した副生成物の堆積物を除去するクリーニングが可能になる。
【0037】
次に、金属窓2の構成について、図3から図5を用いて説明する。図3は、カバー部材7が取り外された状態における金属窓2を平面視した図の一例である。図4は、カバー部材7が配置された状態における金属窓2を平面視した図の一例である。図5は、第1実施形態に係るカバー部材7における導電体層8の配置を示した図の一例である。
【0038】
なお、図3から図5は、金属窓2を下方からみた図であり、金属窓2を下方からみた場合、高周波アンテナ13は金属窓2の反対側にあるため見えない。しかしながら、高周波アンテナ13と金属窓2との位置関係を分かりやすくするため、図3から図5において、便宜上、金属窓2の反対側で高周波アンテナ13が配置される位置を実線にて図示している。また、図5において、導電体層8にはドットのハッチングを付して明示している。
【0039】
図3に示すように、金属窓2は、複数の部分窓5と、絶縁部材6と、を有する。図3に示す例において、金属窓2は、4つの部分窓5を有する。言い換えれば、金属窓2は部分窓5により4分割されている。絶縁部材6は、複数の部分窓5の間及び複数の部分窓5と金属枠11との間に配置される。これにより、複数の部分窓5及び金属枠11は、互いに電気的に絶縁されている。なお、部分窓5による金属窓2の分割は4分割に限られず、16分割、20分割、24分割など、他の分割であってもよい。
【0040】
図3に示す例において、絶縁部材6は、絶縁部材部分6a~6iで形成されている。
【0041】
絶縁部材部分6aは、金属窓2の中央で左右方向に延びるように形成される。絶縁部材部分6bは、絶縁部材部分6aの右端から右上方向に延びるように形成される。絶縁部材部分6cは、絶縁部材部分6aの右端から右下方向に延びるように形成される。絶縁部材部分6dは、絶縁部材部分6aの左端から左下方向に延びるように形成される。絶縁部材部分6eは、絶縁部材部分6aの左端から左上方向に延びるように形成される。即ち、絶縁部材部分6a、絶縁部材部分6b及び絶縁部材部分6cは、Y字形状に接続される。また、絶縁部材部分6a、絶縁部材部分6d及び絶縁部材部分6eは、Y字形状に接続される。
【0042】
絶縁部材部分6fから絶縁部材部分6iは、矩形の枠形状に形成される。絶縁部材部分6fは、絶縁部材部分6bの右上端から絶縁部材部分6cの右下端に延びるように形成される。絶縁部材部分6gは、絶縁部材部分6cの右下端から絶縁部材部分6dの左下端に延びるように形成される。絶縁部材部分6hは、絶縁部材部分6dの左下端から絶縁部材部分6eの左上端に延びるように形成される。絶縁部材部分6iは、絶縁部材部分6eの左上端から絶縁部材部分6bの右上端に延びるように形成される。
【0043】
高周波アンテナ13は、環状もしくは渦巻状に形成されたアンテナ線を有する(図3においては環状のアンテナ線を図示する。)。第一の高周波電源15は、整合器14、給電部材16を介して、給電部41から高周波アンテナ13のアンテナ線に誘導電界形成用の高周波電力を供給する。
【0044】
図4に示すように、金属窓2は、更にカバー部材7を有する。カバー部材7は、絶縁部材6を覆うように形成されている。換言すれば、カバー部材7は、個々の部分窓5の外周に沿って配置され、その結果、カバー部材7に環状部が形成されている。図4に示す例において、カバー部材7は、例えば、絶縁部材部分6a,6b,6i,6eを覆う環状部と、絶縁部材部分6a,6c,6g,6dを覆う環状部と、絶縁部材部分6b,6f,6cを覆う環状部と、絶縁部材部分6d,6h,6eを覆う環状部と、を有している。
【0045】
図5に示すように、第1実施形態に係るカバー部材7に形成される導電体層8は、カバー部材7が環状部を形成する部分において、導電体層8が電気的に閉回路を形成しないよう、導電体層8が不連続となる不連続部8a~8dが設けられている。図5に示す例において、金属窓2は矩形形状を有し、4つの辺部(絶縁部材部分6f~6i)を有する。金属窓2のそれぞれの辺部は、複数の部分窓5と共有される。また、導電体層8の不連続部8a~8dは、金属窓2の辺部において設けられる。
【0046】
具体的には、絶縁部材部分6a,6b,6i,6eを覆うカバー部材7の環状部において、絶縁部材部分6i上の導電体層8の辺中央に不連続部8aが設けられている。同様に、絶縁部材部分6a,6c,6g,6dを覆う環状部において、絶縁部材部分6g上の導電体層8の辺中央に不連続部8bが設けられている。また、絶縁部材部分6b,6f,6cを覆う環状部を覆う環状部において、絶縁部材部分6f上の導電体層8の辺中央に不連続部8cが設けられている。また、絶縁部材部分6d,6h,6eを覆う環状部を覆う環状部において、絶縁部材部分6h上の導電体層8の辺中央に不連続部8dが設けられている。
【0047】
また、絶縁部材部分6a,6b,6cを覆う導電体層8の接続部8eは、Y字形状に接続される。絶縁部材部分6a,6d,6eを覆う導電体層8の接続部8fは、Y字形状に接続される。接続部8e,8fにおける導電体層8の幅は、他の部分よりも狭く形成されている。具体的には、接続部8e,8fにおける導電体層8の幅は、絶縁部材6の幅で形成されている。なお、図5においては、説明のため、カバー部材7は輪郭で示し、カバー部材7の下の導電体層8(ドットのハッチングで示された部分)及び絶縁部材6を明示している。
【0048】
ここで、参考例に係るカバー部材を備えるプラズマ処理装置について説明する。参考例(不図示)に係るカバー部材では、導電体層の形状がカバー部材の形状に一致している。即ち、不連続部が設けられず、導電体層に電気的に閉回路が形成されている。その他の構成は同様であり、重複する説明を省略する。
【0049】
参考例に係るカバー部材を備えるプラズマ処理装置においては、閉回路を有する導電体層によって、高周波アンテナで生成された磁場が阻害される。すなわち、高周波アンテナによって閉回路を周回する電流が誘起され、閉回路を周回する電流によっても磁場が形成されるため、高周波アンテナで生成された磁場を阻害することになる。このため、参考例に係るカバー部材を備えるプラズマ処理装置においては、導電体層を有しないカバー部材を備えるプラズマ処理装置と比較して、処理室に形成される電界が弱くなる。よって、処理室に形成するプラズマの維持が困難になるおそれがある。
【0050】
これに対し、図1から図5に示す第1実施形態に係るカバー部材7を備えるプラズマ処理装置においては、不連続部8a~8dを設けて導電体層8に電気的に閉回路が形成されないようにすることにより、高周波アンテナ13で生成された磁場の阻害を少なくすることができる。このため、第1実施形態に係るカバー部材7を備えるプラズマ処理装置においては、参考例に係るカバー部材を備えるプラズマ処理装置と比較して、処理室4に形成される電界が弱くなることを抑制することができる。換言すれば、カバー部材7に導電体層8を設けることによる処理室4に形成される電界の減少を抑制することができる。よって、処理室4に安定してプラズマを生成することができる。
【0051】
また、基板処理(例えばエッチング処理等)において発生した副生成物がカバー部材7の表面等を含む処理室4の内壁に堆積する。そして、堆積した副生成物が処理室4の内壁から剥離するおそれがある。特に、カバー部材7は被処理基板Gと対向しており、カバー部材7の表面等から副生成物が剥離すると被処理基板Gを汚染することになる。カバー部材7と同様に被処理基板Gと対向する部分窓5については、前述の通り、インピーダンス調整回路により部分窓5に副生成物が堆積することが抑制できている。一方、カバー部材7は絶縁部材6を覆うものであるため、部分窓5における電位の寄与を受けることができない。このため、カバー部材7に堆積する副生成物を抑制することが求められている。それゆえ、カバー部材7に導電体層8を設け、電位を発生させて副生成物のカバー部材7の表面への堆積を抑制することを図る。ここで、第1実施形態に係るカバー部材7を備えるプラズマ処理装置においては、参考例に係るカバー部材を備えるプラズマ処理装置と比較して、導電体層8の電位Vpp(Voltage peak to peak)を高くすることができる。導電体層8の電位を高くすることにより、プラズマとの間に所望の電位差を発生させて、プラズマのスパッタによってカバー部材7に付着した副生成物の堆積物を除去するクリーニングが可能になる。よってカバー部材7に堆積する副生成物を抑制することができる。
【0052】
次に、金属窓2の他の構成について、図6を用いて説明する。図6は、第2実施形態に係るカバー部材7における導電体層8の配置を示した図の一例である。
【0053】
なお、図6は、金属窓2を下方からみた図である。なお、金属窓2を下方からみた場合、高周波アンテナ13は反対側にあり見えないが、図6において、高周波アンテナ13が配置される位置を図示している。また、図6において、導電体層8にはドットのハッチングを付して明示している。
【0054】
図6に示すように、第2実施形態に係るカバー部材7に形成される導電体層8は、カバー部材7が環状部を形成する部分において、導電体層8が電気的に閉回路を形成しないよう、導電体層8が不連続となる不連続部8a~8dが設けられている。図6に示す例において、絶縁部材部分6a,6b,6i,6eを覆うカバー部材7の環状部において、絶縁部材部分6i上の導電体層8の辺中央に不連続部8aが設けられている。同様に、絶縁部材部分6a,6c,6g,6dを覆う環状部において、絶縁部材部分6g上の導電体層8の辺中央に不連続部8bが設けられている。また、絶縁部材部分6b,6f,6cを覆う環状部を覆う環状部において、絶縁部材部分6f上の導電体層8の辺中央に不連続部8cが設けられている。また、絶縁部材部分6d,6h,6eを覆う環状部を覆う環状部において、絶縁部材部分6h上の導電体層8の辺中央に不連続部8dが設けられている。
【0055】
また、絶縁部材部分6a,6b,6cを覆う導電体層8の接続部8gは、絶縁部材部分6aを覆う導電体層8と絶縁部材部分6bを覆う導電体層8と電気的に接続し、絶縁部材部分6cを覆う導電体層8とは絶縁されている。絶縁部材部分6a,6d,6eを覆う導電体層8の接続部8hは、絶縁部材部分6aを覆う導電体層8と絶縁部材部分6dを覆う導電体層8と電気的に接続し、絶縁部材部分6eを覆う導電体層8とは絶縁されている。
【0056】
このような構成により、導電体層8は、互いに絶縁された複数の部分導電体層(図6の例では、3つの部分導電体層が形成されている。
【0057】
また、導電体層8と部分窓5とを電気的に接続する電気接続部80が設けられている。部分導電体層は、電気接続部80を介して部分窓5とを電気的に接続する。
【0058】
電気接続部80は、高周波アンテナ13によって部分窓5に形成される電位が高い位置と接続される。これにより、電気接続部80を介して部分窓5と接続される導電体層8の電位Vppも高くすることができる。
【0059】
また、絶縁部材部分6aを覆う導電体層8を含む領域は、2つの電気接続部80で接続される。2つの電気接続部80が接続される場合、高周波アンテナ13によって部分窓5に形成される電位が等しく、かつ、同位相となる位置に接続される。換言すれば、複数の部分導電体層のうち、異なる電位及び/又は異なる位相を有する部分窓5に接続された部分導電体層は、互いに直接的若しくは間接的に接続されない。これにより、絶縁部材部分6aを覆う導電体層8において、別位相による電位の打ち消しを防止し、電位Vppを高くすることができる。
【0060】
以上の様に、図6に示す第2実施形態に係るカバー部材7を備えるプラズマ処理装置においては、不連続部8a~8dを設けて導電体層8に電気的に閉回路が形成されないようにすることにより、高周波アンテナ13で生成された磁場の阻害を少なくすることができる。このため、第2実施形態に係るカバー部材7を備えるプラズマ処理装置においては、処理室4に形成される電界が弱くなることを抑制することができる。換言すれば、カバー部材7に導電体層8を設けることによる処理室4に形成される電界の減少を抑制することができる。よって、処理室4に安定してプラズマを生成することができる。
【0061】
また、第2実施形態に係るカバー部材7を備えるプラズマ処理装置においては、電気接続部80を介して導電体層8と部分窓5とを接続することにより、導電体層8の電位Vppを更に高くすることができる。導電体層8の電位を高くすることにより、カバー部材7に堆積する副生成物を抑制することができる。
【0062】
次に、金属窓2の他の構成について、図7を用いて説明する。図7は、第3実施形態に係るカバー部材7が配置された状態における金属窓2を平面視した図の一例である。
【0063】
カバー部材7は、複数の部分カバー部材701~721と、隙間カバー部材731~740と、を有する。部分カバー部材701~721は、部分窓5及び絶縁部材6と当接するように配置される。また、部分カバー部材701~721は、絶縁部材6を覆うように配置される。隙間カバー部材731~740は、部分カバー部材701~721の間の隙間を塞ぐように配置される。
【0064】
導電体層8は、部分導電体層801,802,803,804,805,806,808,810,812,814,816,818,820を有する。
【0065】
部分カバー部材701~721は、セラミックで形成されるカバー部材本体を有する。また、部分カバー部材701~721は、カバー部材本体の処理室4側の表面に形成される保護膜が形成されている。保護膜は、例えばセラミックス溶射等により形成され、カバー部材本体をプラズマから保護する。
【0066】
部分カバー部材701は、内部(カバー部材本体と保護膜との間)に部分導電体層801を有し、絶縁部材部分6aを覆うように配置される。
【0067】
部分カバー部材702は、内部に部分導電体層802を有し、絶縁部材部分6bを覆うように配置される。部分カバー部材703は、内部に部分導電体層803を有し、絶縁部材部分6cを覆うように配置される。部分カバー部材704は、内部に部分導電体層804を有し、絶縁部材部分6dを覆うように配置される。部分カバー部材705は、内部に部分導電体層805を有し、絶縁部材部分6eを覆うように配置される。
【0068】
部分カバー部材706~708は、絶縁部材部分6fを覆うように配置される。また、部分カバー部材706は、内部に部分導電体層806を有する。部分カバー部材708は、内部に部分導電体層808を有する。部分カバー部材709は、部分カバー部材703,708,710で囲まれる角部に配置される。
【0069】
部分カバー部材710~712は、絶縁部材部分6gを覆うように配置される。また、部分カバー部材710は、内部に部分導電体層810を有する。部分カバー部材712は、内部に部分導電体層812を有する。部分カバー部材713は、部分カバー部材704,712,713で囲まれる角部に配置される。
【0070】
部分カバー部材714~716は、絶縁部材部分6hを覆うように配置される。また、部分カバー部材714は、内部に部分導電体層814を有する。部分カバー部材716は、内部に部分導電体層816を有する。部分カバー部材717は、部分カバー部材705,716,717で囲まれる角部に配置される。
【0071】
部分カバー部材718~720は、絶縁部材部分6hを覆うように配置される。また、部分カバー部材718は、内部に部分導電体層818を有する。部分カバー部材720は、内部に部分導電体層820を有する。部分カバー部材721は、部分カバー部材702,720,706で囲まれる角部に配置される。
【0072】
隙間カバー部材731~740は、SUS等の導電部材で形成される隙間カバー本体を有する。また、隙間カバー部材731~740は、隙間カバー本体の表面に形成される保護膜が形成されている。保護膜は、例えばセラミックス溶射等により形成され、隙間カバー本体をプラズマから保護する。
【0073】
隙間カバー部材731は、部分カバー部材701,702,703の隙間を覆うように配置される。また、隙間カバー部材731は、電気接続部85を介して部分導電体層801と隙間カバー部材731とを電気的に接続し、電気接続部85を介して部分導電体層802と隙間カバー部材731とを電気的に接続する。
【0074】
隙間カバー部材732は、部分カバー部材701,704,705の隙間を覆うように配置される。また、隙間カバー部材732は、電気接続部85を介して部分導電体層801と隙間カバー部材732とを電気的に接続し、電気接続部85を介して部分導電体層804と隙間カバー部材732とを電気的に接続する。
【0075】
隙間カバー部材733は、部分カバー部材702,706,720,721の隙間を覆うように配置される。また、隙間カバー部材733は、電気接続部85を介して部分導電体層802と隙間カバー部材733とを電気的に接続し、電気接続部85を介して部分導電体層806と隙間カバー部材733とを電気的に接続し、電気接続部85を介して部分導電体層820と隙間カバー部材733とを電気的に接続する。また、隙間カバー部材733は、電気接続部80を介して部分窓5と電気的に接続する。
【0076】
隙間カバー部材734は、部分カバー部材706,707,708の隙間を覆うように配置される。また、隙間カバー部材734は、電気接続部85を介して部分導電体層808と隙間カバー部材734とを電気的に接続する。
【0077】
隙間カバー部材735は、部分カバー部材703,708,709,710の隙間を覆うように配置される。また、隙間カバー部材735は、電気接続部85を介して部分導電体層803と隙間カバー部材735とを電気的に接続し、電気接続部85を介して部分導電体層808と隙間カバー部材735とを電気的に接続し、電気接続部85を介して部分導電体層810と隙間カバー部材735とを電気的に接続する。また、隙間カバー部材735は、電気接続部80を介して部分窓5と電気的に接続する。
【0078】
隙間カバー部材736は、部分カバー部材710,711,712の隙間を覆うように配置される。また、隙間カバー部材736は、電気接続部85を介して部分導電体層810と隙間カバー部材736とを電気的に接続する。
【0079】
隙間カバー部材737は、部分カバー部材704,712,713,714の隙間を覆うように配置される。また、隙間カバー部材737は、電気接続部85を介して部分導電体層804と隙間カバー部材737とを電気的に接続し、電気接続部85を介して部分導電体層812と隙間カバー部材737とを電気的に接続し、電気接続部85を介して部分導電体層814と隙間カバー部材737とを電気的に接続する。また、隙間カバー部材737は、電気接続部80を介して部分窓5と電気的に接続する。
【0080】
隙間カバー部材738は、部分カバー部材714,715,716の隙間を覆うように配置される。また、隙間カバー部材738は、電気接続部85を介して部分導電体層816と隙間カバー部材738とを電気的に接続する。
【0081】
隙間カバー部材739は、部分カバー部材705,716,717,718の隙間を覆うように配置される。また、隙間カバー部材739は、電気接続部85を介して部分導電体層805と隙間カバー部材739とを電気的に接続し、電気接続部85を介して部分導電体層816と隙間カバー部材739とを電気的に接続し、電気接続部85を介して部分導電体層818と隙間カバー部材739とを電気的に接続する。また、隙間カバー部材739は、電気接続部80を介して部分窓5と電気的に接続する。
【0082】
隙間カバー部材740は、部分カバー部材718,719,720の隙間を覆うように配置される。また、隙間カバー部材740は、電気接続部85を介して部分導電体層818と隙間カバー部材740とを電気的に接続する。
【0083】
このような構成により、部分導電体層801,802,803,804,805,806,808,810,812,814,816,818,820のそれぞれは、複数の部分窓5のいずれかに直接的に、若しくは他の部分導電体層を介して間接的に接続される。
【0084】
また、部分カバー部材707と部分導電体層806とは電気的に接続されておらず不連続部を形成する。部分カバー部材711と部分導電体層812とは電気的に接続されておらず不連続部を形成する。部分カバー部材715と部分導電体層814とは電気的に接続されておらず不連続部を形成する。部分カバー部材719と部分導電体層820とは電気的に接続されておらず不連続部を形成する。不連続部を設けて導電体層8に電気的に閉回路が形成されないようにすることにより、高周波アンテナ13で生成された磁場の阻害を少なくすることができる。このため、第3実施形態に係るカバー部材7を備えるプラズマ処理装置においては、処理室4に形成される電界が弱くなることを抑制することができる。換言すれば、カバー部材7に導電体層8を設けることによる処理室4に形成される電界の減少を抑制することができる。よって、処理室4に安定してプラズマを生成することができる。
【0085】
また、第3実施形態に係るカバー部材7を備えるプラズマ処理装置においては、電気接続部80を介して導電体層8と部分窓5とを接続することにより、導電体層8の電位Vppを更に高くすることができる。導電体層8の電位を高くすることにより、カバー部材7に堆積する副生成物を抑制することができる。
【0086】
次に、電気接続部80及び電気接続部85の構成の一例について図8から図10を用いて説明する。ここでは、部分カバー部材702及び隙間カバー部材733を例に説明する。
【0087】
図8は、部分窓5と導電体層8とのコンタクト構造を説明する断面図の一例である。なお、図8(及び後述する図9,10)では、上下を反転して図示しており、上側の空間が処理室4内の空間となる。
【0088】
部分カバー部材702は、セラミックスで形成されるカバー部材本体7021と、保護膜7022と、を有する。カバー部材本体7021の処理室4側の表面に、導電体層8の一部を構成する部分導電体層802が形成されている。これにより、部分導電体層802は、カバー部材本体7021と保護膜7022との間に形成されている。また、後述する導電ピン851が当接する位置には保護膜7022が設けられておらず、部分導電体層802が露出する。
【0089】
隙間カバー部材733は、SUS等の導電部材で形成される隙間カバー本体7331と、保護膜7332と、を有する。
【0090】
電気接続部85は、導電ピン851と、バネ852と、導電性コンタクト部品853と、を有する。導電ピン851、バネ852及び導電性コンタクト部品853は、隙間カバー本体7331に形成された凹部に配置される。導電ピン851はバネ852によって付勢され、部分導電体層802と当接し、導電ピン851と部分導電体層802とが電気的に接続される。導電ピン851は、バネ852及び/又は導電性コンタクト部品853を介して、隙間カバー本体7331と電気的に接続される。シール部材854は、プラズマ耐性を有するOリング等で形成され、導電ピン851、バネ852、導電性コンタクト部品853及び部分導電体層802の露出部分をプラズマから保護する。なお、導電性コンタクトは耐食性の良好なSUS等で構成される。
【0091】
電気接続部80は、ボルト8001と、保護膜8002と、を有する。ボルト8001は、導電部材で形成される。ボルト8001の頭部は、隙間カバー本体7331と当接し、電気的に接続される。ボルト8001の軸部(ねじ部)は、部分窓5に形成されたねじ穴と螺合することにより、隙間カバー部材733が部分窓5に固定されるととともに、隙間カバー本体7331と部分窓5が電気的に接続される。ボルト8001の頭部は、保護膜8002が形成される。
【0092】
なお、電気接続部85の構成は、図8に示す構成に限られるものではない。
【0093】
図9は、部分窓5と導電体層8とのコンタクト構造を説明する断面図の他の一例である。
【0094】
電気接続部85は、導電性コンタクト部品855を有する。導電性コンタクト部品855は、隙間カバー本体7331に形成された凹部に配置される。導電性コンタクト部品855は、凹部の内壁及び部分導電体層802と当接し、部分導電体層802と隙間カバー本体7331とを電気的に接続する。なお、導電性コンタクト部品は耐食性の良好なSUS等で構成される。
【0095】
図10は、部分窓5と導電体層8とのコンタクト構造を説明する断面図の更に他の一例である。
【0096】
電気接続部85は、隙間カバー本体7331から突出する突起部856を有する。突起部856は、部分導電体層802と当接し、部分導電体層802と隙間カバー本体7331とを電気的に接続する。
【0097】
以上、プラズマ処理装置について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 処理容器
2 金属窓
3 アンテナ室
4 処理室
5 部分窓
6 絶縁部材
6a~6i 絶縁部材部分
7 カバー部材
8 導電体層
8a~8d 不連続部
8e~8h 接続部
11 金属枠
12 ガス流路
13 高周波アンテナ(誘導結合アンテナ)
15 第一の高周波電源
18 インピーダンス調整回路
20 処理ガス供給部
50 制御部
ST ステージ
G 被処理基板
80 電気接続部
85 電気接続部
701~721 部分カバー部材
731~740 隙間カバー部材
801,802,803,804,805,806,808,810,812,814,816,818,820 部分導電体層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10