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特開2024-119624食品組成物及びスナックフードの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119624
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】食品組成物及びスナックフードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20240827BHJP
   A23L 35/00 20160101ALI20240827BHJP
   A21D 13/10 20170101ALI20240827BHJP
【FI】
A23L23/00
A23L35/00
A21D13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026652
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】尾家 麻里子
【テーマコード(参考)】
4B032
4B036
【Fターム(参考)】
4B032DB36
4B032DE06
4B032DG02
4B032DK15
4B032DK18
4B032DK30
4B032DK40
4B032DK41
4B032DK67
4B032DP33
4B032DP37
4B032DP40
4B032DP55
4B036LF03
4B036LF04
4B036LF05
4B036LF19
4B036LG02
4B036LH12
4B036LH13
4B036LH29
4B036LH38
4B036LH39
4B036LK01
4B036LP01
4B036LP17
(57)【要約】
【課題】高品質のスナックフードを効率良く製造し得る技術を提供すること。
【解決手段】本発明の食品組成物は、常温常圧で流動性を有する液部を含む。前記食品組成物は、糊化開始温度が68℃以下の澱粉を3~6質量%、油脂を5~30質量%、及び水分を20~60質量%含有する。冷凍状態の前記食品組成物を品温30℃に解凍した場合の前記液部の粘度が5~80Pa・sである。本発明の食品組成物の好ましい一実施形態では、冷凍状態から解凍した場合の離水率が12%未満である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温常圧で流動性を有する液部を含む食品組成物であって、
糊化開始温度が68℃以下の澱粉を3~6質量%、油脂を5~30質量%、及び水分を20~60質量%含有し、
冷凍状態から品温30℃に解凍した場合の前記液部の粘度が5~80Pa・sである、食品組成物。
【請求項2】
冷凍状態から解凍した場合の離水率が12%未満である、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項3】
ベーカリー食品と、請求項1又は2に記載の食品組成物とを含む、スナックフード。
【請求項4】
ベーカリー食品の表面に前記食品組成物が露出している、請求項3に記載のスナックフード。
【請求項5】
ベーカリー食品と、請求項1又は2に記載の食品組成物とを含む、スナックフードの製造方法であって、
ベーカリー食品用冷凍生地を解凍してベーカリー食品用生地を得る工程と、
前記ベーカリー食品用生地と冷凍状態の前記食品組成物とが組み合わされた複合生地を調製する工程と、
前記複合生地を発酵器に収容して前記ベーカリー食品用生地を発酵させる工程と、
前記発酵後に前記複合生地を加熱調理する工程とを有する、スナックフードの製造方法。
【請求項6】
前記複合生地は、前記ベーカリー食品用生地の表面に冷凍状態の前記食品組成物がトッピングされたものである、請求項5に記載のスナックフードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーカリー食品と組み合わせてスナックフードを製造するのに好適な食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パン類等のベーカリー食品に、ソースのような、複数種類の成分を含む食品組成物を組み合わせたスナックフードは、生地の比較的素朴な食味食感と、食品組成物の比較的濃厚な食味食感とが良く調和した食品であり、菓子パン、総菜パン、パイ等として多種のものが製造され流通しており、人気がある。スナックフードには、ベーカリー食品の表面に食品組成物が露出しているものと、ベーカリー食品の内部に食品組成物が包埋されていて外部から視認できないものとがあり、一般に、前者の食品組成物はトッピング材、後者の食品組成物はフィリング材と呼ばれることがある。
【0003】
スナックフードは一般に、ベーカリー食品用生地を焼成する等して加熱調理した後、その加熱調理済み生地に、別途調製した食品組成物を組み合わせる方法、又は、食品組成物と未加熱のベーカリー食品用生地とを組み合わせたものを加熱調理する方法により製造されている。これらの方法においては、食品組成物は、それを取り扱う常温常圧の環境下で液状ないしペースト状であるため、取り扱いにある程度の熟練が必要であり、手間が煩雑である。
【0004】
特許文献1には、食品の表面に付与した後に焼いても焦げたり流れ落ちたりしない、耐冷凍性ソースとして、液状調味料をベースとし、増粘剤として、糊化開始温度が60℃以上で、且つ澱粉粒の膨潤を強く抑制している架橋度の高い澱粉のみを3~7重量%添加し、加熱糊化させて得られるソースが記載されている。
特許文献2には、冷凍ラザニアのフィリング材として使用可能な冷凍食品用トマト風味ソースとして、トマト、増粘剤、特定種類の果汁、トマト酢酸発酵液及び酢酸を必須成分として含有し、粘度が30~600Pa・sであるものが記載されている。特許文献2には、増粘剤として澱粉が使用できること、増粘剤の含有量を0.5~7質量%にすること、食用油脂の含有量は5質量%以下が好ましいことが記載されている(特許文献2の[0034]、[0037]、[0041])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-210059号公報
【特許文献2】特開2014-233268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、高品質のスナックフードを効率良く製造し得る技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、常温常圧で流動性を有する液部を含む食品組成物であって、
糊化開始温度が68℃以下の澱粉3~6質量%、油脂を5~30質量%、及び水分を20~60質量%含有し、
冷凍状態から品温30℃に解凍した場合の前記液部の粘度が5~80Pa・sである、食品組成物である。
【0008】
また本発明は、ベーカリー食品と、前記の本発明の食品組成物とを含む、スナックフードである。
【0009】
また本発明は、ベーカリー食品と、前記の本発明の食品組成物とを含む、スナックフードの製造方法であって、
ベーカリー食品用冷凍生地を解凍してベーカリー食品用生地を得る工程と、
前記ベーカリー食品用生地と冷凍状態の前記食品組成物とが組み合わされた複合生地を調製する工程と、
前記複合生地を発酵器に収容して前記ベーカリー食品用生地を発酵させる工程と、
前記発酵後に前記複合生地を加熱調理する工程とを有する、スナックフードの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高品質のスナックフードを効率良く製造し得る技術(食品組成物、スナックフードの製造方法)が提供される。
本発明の食品組成物は、典型的には、その主体をなす液部が常温常圧で流動性を有するものの、一般的なソース又はスープに比べて粘度が高く保形性に優れるため、常温常圧の環境で所定形状に盛り付けた場合にその形状を維持し得る。また、本発明の食品組成物は、冷凍状態から自然解凍した場合に液部が離水しにくい。そのため、本発明の食品組成物は、「ホイロ(最終発酵)前のベーカリー食品用生地と冷凍状態の食品組成物とが組み合わされた状態で、該生地をホイロした後、該生地及び該食品組成物を一体的に加熱調理する工程」(以下、「工程A」とも言う。)を有するスナックフードの製造方法に好適であり、また、本発明のスナックフードの製造方法には、前記工程Aを有するものが包含される。
【0011】
具体的には例えば、ベーカリー食品の表面に本発明の食品組成物が露出しているスナックフードを製造する場合に、原料として、ベーカリー食品用冷凍生地と本発明の食品組成物の冷凍物とを使用し、該ベーカリー食品用冷凍生地又はこれを解凍して得られるベーカリー食品用生地の表面に該食品組成物の冷凍物をトッピングして複合生地を得た後、該複合生地を発酵器に収容して、該ベーカリー食品用生地のホイロを行った場合でも、そのホイロ後の該複合生地において、本発明の食品組成物は、ホイロ前の冷凍状態から自然解凍された状態でありながら、冷凍状態での形状、すなわち生地表面にトッピングされたときの形状(盛り付け形状)をほぼ維持し得る。したがって、前記ホイロ後に前記複合生地をそのまま焼成する等して加熱調理する、すなわち前記工程Aを実施することで、食品組成物(トッピング材)の外観及び生地の食感に優れた高品質のスナックフードが得られる。
また、前記工程Aによれば、ベーカリー食品用冷凍生地と食品組成物の冷凍物とが組み合わされた冷凍複合生地を調製することが可能であるところ、該冷凍複合生地は冷凍状態で保存・流通が可能であるため、前記工程Aを有する本発明のスナックフードの製造方法は、スナックフードを工業的に製造する場合に特に有用である。すなわち本発明によれば、例えば、工場で前記冷凍複合生地を大量生産し、スナックフードを提供する店舗に輸送して、該店舗で使用するまで冷凍保存しておき、該店舗でスナックフードとして客に提供する際に、冷凍保存していた該冷凍複合生地を解凍し、ホイロ、加熱調理を順次実施してから客に提供することが可能になる。
【0012】
スナックフードの製造方法としては、前記工程Aを有するものの他に、例えば、「ホイロ前のベーカリー食品用生地をホイロした後、そのホイロ済みの生地と冷凍状態の食品組成物とを組み合わせて複合生地を得、該複合生地を加熱調理する工程」(以下、「工程B」とも言う。)を有するものがある。本発明の食品組成物は前記工程Bにも適用可能であり、また、本発明のスナックフードの製造方法には、前記工程Aを有さずに前記工程Bを有するものが包含される。しかし、前記工程Bは、ベーカリー食品用生地のホイロ後に、その発酵済み生地に食品組成物をトッピングする等して、ベーカリー食品用生地と食品組成物とを組み合わせる工程を要し、このようなホイロ後のトッピング工程を有しない前記工程Aに比べて、作業が煩雑になりやすい。また、前記工程Bは、冷凍状態で保存・流通が可能な前記冷凍複合生地を調製しないため、該冷凍複合生地を調製可能な前記工程Aに比べて、工業的利用性に劣る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の食品組成物は、常温常圧で流動性を有する液部を含む。この本発明に係る液部は、典型的には、常温常圧で液状ないしペースト状である。
本発明において「常温常圧」とは、本発明の食品組成物又はこれを用いたスナックフードの製造・使用(喫食)が通常実施される環境における雰囲気温度及び気圧を指し、典型的には、雰囲気温度が25℃、気圧が1気圧の環境である。
【0014】
本発明の食品組成物の主たる特徴の1つとして、糊化開始温度が68℃以下の澱粉(以下、「特定澱粉」とも言う。)を含有する点が挙げられる。特定澱粉は、水分を吸収して膨潤しやすく、また、吸収した水分を離しにくい(離水しにくい)ため、これを含有する本発明の食品組成物は、冷凍状態から解凍した場合に離水しにくく、前記工程Aを有するスナックフードの製造方法に好適である。
前述したように、前記工程Aを有するスナックフードの製造方法は、ホイロ前のベーカリー食品用生地と冷凍状態の食品組成物とが組み合わされた状態で該生地をホイロする工程を有するため、高品質のスナックフードを効率良く製造することが可能な方法であるところ、糊化開始温度が68℃を超える澱粉は、膨潤しにくく、離水しやすいため、該澱粉(非特定澱粉)を含有する食品組成物を前記工程Aに適用した場合には、ホイロ中における該食品組成物の離水が顕著となるとともに、ホイロ後の該食品組成物の形状がホイロ前から大きく崩れるおそれがあり、外観及び生地の食感に優れた高品質のスナックフードは得られない。つまり、澱粉として非特定澱粉を含有する食品組成物は、前記工程Aを有するスナックフードの製造方法に不向きであり、高品質のスナックフードを効率良く製造することが困難である。
特定澱粉による作用効果を一層確実に奏させるようにする観点から、特定澱粉の糊化開始温度は、好ましくは67℃以下、より好ましくは66℃以下である。また、特定澱粉の糊化開始温度の下限は特に制限されないが、製造安定性の向上の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上である。糊化開始温度は下記方法により測定される。
【0015】
<糊化開始温度の測定方法>
ラピッド・ビスコ・アナライザー(RVA)と呼ばれる迅速粘度測定装置を用いて、以下の手順で、測定対象の澱粉の糊化開始温度を測定する。RVAとして、ニューポートサンエンティフィク社製のものを用いることができる。
測定装置に付属のアルミ缶(測定対象物の収容容器)に、供試澱粉を水分含量14質量%換算で3.0g、蒸留水25mL及び攪拌子を入れ、該アルミ缶をタワーにセットし、該攪拌子を回転数160rpmで回転させながら該アルミ缶を加熱してその内容物(澱粉懸濁液)の温度を上昇させつつ該内容物の粘度を測定する。前記内容物の加熱条件は、はじめに内容物の品温50℃を1分間保持した後、7分30秒間で該品温を95℃まで上昇させ、同温度で5分間保持した後、7分30秒間で該品温を50℃まで冷却させ、同温度で2分間保持する条件とする。そして、この加熱処理中の内容物の時間-粘度曲線を得、該粘度曲線に基づいて、粘度が急激な上昇を開始した時点の温度を「糊化開始温度」とする。なお、前記粘度曲線における最高粘度は「RVAピーク粘度」と呼ばれる。
【0016】
特定澱粉は、糊化開始温度が68℃以下であることを前提として、その種類は特に限定されず、未加工澱粉でもよく、あるいは未加工澱粉に、α化処理(水分存在下での加熱処理)、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、酸化処理、油脂加工処理等の加工処理の1種以上を施した加工澱粉でもよい。未加工澱粉にエーテル化処理を施して得られるエーテル化澱粉には、ヒドロキシプロピル化澱粉が含まれる。本発明では、特定澱粉の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記未加工澱粉としては、例えば、タピオカ澱粉、ワキシータピオカ澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、ワキシー馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、サゴ澱粉、うるち米澱粉、もち米澱粉が挙げられる。
特定澱粉の具体例として、ワキシーコーン澱粉、うるち米澱粉、もち米澱粉、タピオカ澱粉、ワキシータピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、ワキシー馬鈴薯澱粉(以上、未加工澱粉);ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、アセチル化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉(以上、加工澱粉)が挙げられる。
【0017】
なお、特定澱粉を含む、本発明で用いる澱粉(食品組成物の製造時に原料として配合する澱粉)は、特に断らない限り、小麦等の植物から単離された「純粋な澱粉」を指し、穀粉中に本来的に内在する澱粉とは区別される。
【0018】
本発明の食品組成物における特定澱粉の含有量は、該食品組成物の全質量に対して、3~6質量%であり、好ましくは3~5.5質量%、より好ましくは3~5.0質量%である。食品組成物における特定澱粉の含有量が3質量%未満又は6質量%超では、本発明の所定の効果が奏されない。
【0019】
なお、食品組成物における澱粉(特定澱粉を含む)の含有量は、特に断らない限り、食品組成物の製造時に原料として配合した澱粉の配合量に基づいて算出することができる。
【0020】
本発明の食品組成物は、油脂を含有する。油脂としては、食品に使用可能で且つ澱粉と混合可能なものであれば、その種類は特に制限されない。例えば、常温常圧で固体の固体油脂でもよく、常温常圧で液体の液体油脂でもよく、乳化油脂でもよく、また、植物油脂でも動物油脂でもよい。
固体油脂としては、例えば、ショートニング、ラード、ヘットが挙げられる。
液体油脂としては、例えば、えごま油、ごま油、なたね油、大豆油、胡麻油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、米油、パーム油、ヒマワリ油、ベニバナ油が挙げられる。
乳化油脂としては、例えば、固体油脂又は液体油脂と乳化剤又は乳化作用のある蛋白質とを混合して得られる乳化物、ファットスプレッド、バター(乳脂肪)、マーガリンが挙げられる。
植物油脂としては、例えば、サラダ油、コーン油、大豆油、紅花油、なたね油、パーム油、綿実油、ひまわり油、米ぬか油、ごま油、えごま油、オリーブ油が挙げられる。
動物油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、魚油が挙げられる。
本発明では、食品組成物に含有させる油脂として、1種を単独で用いてもよく、2種以上の油脂を組み合わせて用いてもよい。
前述した本発明の所定の効果を一層確実に奏させ、良好な食味を得る観点から、油脂としては、大豆油、オリーブ油、乳脂肪が好ましい。
【0021】
本発明の食品組成物における油脂の含有量は、該食品組成物の全質量に対して、5~30質量%であり、好ましくは6~30質量%、より好ましくは7~30質量%である。食品組成物における油脂の含有量が5質量%未満又は30質量%超では、本発明の所定の効果が奏されない。
【0022】
食品組成物における油脂の含有量は、以下の方法により測定される。容量50mLの遠沈管に食品組成物を30g入れ、遠心機により室温、4500rpm条件にて10分間遠心分離を行うことで、該食品組成物を固相、油層、水層に分け、該油層を取り出して重量を測定し、該食品組成物の重量(30g)に対する該油層の重量の測定値の割合を算出し、該食品組成物における油脂の含有量とする。
【0023】
本発明の食品組成物は、水分を含有する。本発明の食品組成物における水分の含有量は、該食品組成物の全質量に対して、20~60質量%であり、好ましくは25~60質量%、より好ましくは30~60質量%である。食品組成物における水分の含有量が20質量%未満又は60質量%超では、本発明の所定の効果が奏されない。
【0024】
食品組成物における水分の含有量は、以下の方法により測定される。容量50mLの遠沈管に食品組成物を30g入れ、遠心機により室温、4500rpm条件にて10分間遠心分離を行うことで、該食品組成物を固相、油層、水層に分け、該水層を取り出して重量を測定し、該食品組成物の重量(30g)に対する該水層の重量の測定値の割合を算出し、該食品組成物における水分の含有量とする。
【0025】
本発明の食品組成物は、前記の必須成分(特定澱粉、油脂、水分)以外の他の成分を含有してもよい。前記他の成分としては、この種のスナックフードにおいてトッピング材、フィリング材等の原料として使用可能なものを特に制限無く用いることができ、液部の種類に応じて適宜選択し得る。具体的には例えば、穀粉;特定澱粉以外の澱粉;食塩、グルタミン酸ナトリウム等の調味料;動植物エキス;牛乳、生クリーム、バター、チーズ等の乳製品;水飴、デキストリン、還元デキストリン、サイクロデキストリン、ソルビトール、トレハロース等の糖類;卵黄、卵白等の卵類;食酢、クエン酸等の有機酸又はその塩;アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤;着色料;香料;甘味料;保存料が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。前記穀粉としては、例えば、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、馬鈴薯粉、タピオカ粉、甘藷粉の未加工穀粉;未加工穀粉に加熱処理(例えば乾熱処理、湿熱処理)等の加工処理を施した加工穀粉が挙げられる。前記小麦粉の具体例として、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉(デュラムセモリナ、デュラム小麦粉を含む)、小麦全粒粉が挙げられる。
前記他の成分の含有量は、本発明の食品組成物の全質量に対して、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
【0026】
本発明の食品組成物には、1)液部のみを含む形態と、2)液部と常温常圧で流動性を有しない固形部とを含む形態が包含される。後者の形態の一例として、液部と固形具材とを含み、該固形具材が該液部の上部にトッピングされる等して、該固形具材の少なくとも一部が露出しているか、又は該固形具材の全部が該液部中に埋没している(露出していない)形態が挙げられる。前記固形具材としては、この種のスナックフードにおいてトッピング材、フィリング材等の原料として使用可能なものを特に制限無く用いることができ、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉等の肉類;ヒラメ、カニ、エビ等の魚介類;タラコ等の魚卵類;トマト、タマネギ、ニンジン等の野菜類;メロン、ナシ、リンゴ等の果実類;マッシュルーム等のキノコ類が挙げられる。
【0027】
本発明の食品組成物の種類は特に制限されず、この種のスナックフードにおいてトッピング材、フィリング材等として使用可能なソースを特に制限無く用いることができる。本発明の食品組成物は、例えば、ホワイトソース、デミグラスソース、ブラウンソース、ミートソース、ナポリタンソース、アラビアータソース、パンプキンソース、カルボナーラソース、カレーソースであり得る。
【0028】
本発明の食品組成物は、その種類に応じ、常法に従って製造することができる。例えば本発明の食品組成物がカレーソースである場合は、従来公知のカレーソースの製造方法又はこれに準じた方法で、該食品組成物を製造することができる。本発明の食品組成物は、典型的には、特定澱粉、油脂及び水を含む液部用原料を混合し、必要に応じ更に固形具材等の固形部用原料を混合し、それらの混合物を攪拌しつつ加熱することで製造することができる。
【0029】
本発明の食品組成物の主たる特徴の1つとして、冷凍状態から品温30℃に解凍した場合の液部の粘度が5~80Pa・sである点が挙げられる。すなわち本発明の食品組成物を冷凍状態とし、その冷凍物を、該冷凍物の品温が30℃となるように解凍した場合、その解凍後の品温30℃の液部の粘度が前記特定範囲にある。
本発明において「液部の粘度」は、特に断らない限り、JIS Z 8803「液体の粘度-測定方法」に準拠し、B型粘度計で測定された値である。また、食品組成物が液部と固形具材等の固形部(常温常圧で流動性を有しない部分)とを含む場合は、該食品組成物から該固形部を除去して残った該液部の粘度が、前記特定範囲にあることを要する。食品組成物から固形部を除去する方法として、食品組成物を目開き5mmの篩にかける篩い分け法が挙げられる。斯かる篩い分け法では、目開き5mmの篩上に食品組成物を直接配置した状態で5分間放置し、その放置後に自重で篩下になった画分を液部とすることができる。
【0030】
本発明の食品組成物は、前記特徴を有することにより、冷凍状態から解凍した場合の保形性に優れ、前記工程Aを有するスナックフードの製造方法に適用した場合、具体的には例えば、ホイロ(最終発酵)前のベーカリー食品用生地の表面に冷凍状態の食品組成物がトッピングされた状態で該生地をホイロする工程に適用された場合に、食品組成物(トッピング材)の外観及び生地の食感に優れた高品質のスナックフードが得られる。したがって本発明の食品組成物によれば、斯かる高品質のスナックフードを効率良く製造することができる。本発明に係る液部の前記粘度は、好ましくは5~80Pa・s、より好ましくは5~50Pa・sである。液部の前記粘度を前記特定範囲に調整することは、食品組成物における特定澱粉、油脂及び水分の含有量を、それぞれ、前記特定範囲に調整することで可能である。
【0031】
本発明の所定の効果を一層確実に奏させるようにする観点から、本発明の食品組成物は、冷凍状態から場合の離水率が好ましくは12%未満、より好ましくは11%以下であることが好ましい。また、食品組成物の離水率の下限は特に制限されないが、ベーカリー食品と組み合わせた場合のベーカリー食品用生地との一体感を向上させる観点から、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上である。糊化開始温度は下記方法により測定される。離水率は下記方法により測定される。
食品組成物の離水率を前記特定範囲に調整することは、液部に含有させる澱粉として特定澱粉を使用し、且つ液部における特定澱粉、油脂及び水分の含有量を、それぞれ、前記特定範囲に調整することで可能である。
【0032】
<離水率の測定方法>
まず、測定対象の食品組成物を冷凍して冷凍物を得、該冷凍物の重量(単位:g)(以下、「冷凍物重量」と言う。)を測定する。次に、前記冷凍物をろ紙の上に載置し、雰囲気温度35℃の環境(例えば恒温庫)に2時間静置する。斯かる2時間で前記冷凍物は自然解凍され、該冷凍物から生じた水分が前記ろ紙に吸収される。そして、2時間の静置後、前記ろ紙の重量(単位:g)(以下、「解凍後ろ紙重量」と言う。)を測定し、その測定値と、予め測定したろ紙の前記冷凍物載置前の重量(単位:g)(以下、「解凍前ろ紙重量」と言う。)とを用いて、下記式により、食品組成物の離水率を算出する。
食品組成物の離水率(%)={(解凍後ろ紙重量-解凍前ろ紙重量)/冷凍物重量}×100
【0033】
本発明には、ベーカリー食品と、前述した本発明の食品組成物とを含む、スナックフードが包含される。本発明のスナックフードの具体例として、トマトデニッシュ、カレーパン等の惣菜パン;クリームパン、アップルデニッシュ等の菓子パン・ペストリー;ミートパイ等のパイが挙げられる。
以下、本発明のスナックフードについて説明する。本発明のスナックフードにおいて特に説明しない点は、前述した本発明の食品組成物についての説明が適宜適用される。
【0034】
本発明のスナックフードに含有されるベーカリー食品は、典型的には、穀粉を含む原料粉に液体原料を添加して調製した液状ないしペースト状の生地(ベーカリー食品用生地)を加熱して形状を固定化した食品である。前記穀粉としては、本発明に係る液部に含有可能なものと同様のものを用いることができる。
ベーカリー食品の種類は特に制限されず、例えば、パン類;ピザ類;ケーキ類;ワッフル、シュー、ビスケット、焼き饅頭等の和洋焼き菓子;ドーナツ等の揚げ菓子が挙げられる。前記パン類の具体例として、ロールパン、白パン、黒パン、フランスパン、乾パン、コッペパン、クロワッサンが挙げられる。前記ケーキ類の具体例として、スポンジケーキ、バターケーキ、ロールケーキ、ホットケーキ、ブッセ、バームクーヘン、パウンドケーキ、チーズケーキ、スナックケーキ、マフィン、バー、クッキー、パンケーキが挙げられる。
【0035】
本発明のスナックフードにおいて食品組成物の含有形態は特に制限されず、例えば、ベーカリー食品の表面に食品組成物が露出している形態(以下、「トッピングタイプ」とも言う。)でもよく、あるいはベーカリー食品の内部に食品組成物が包埋されていて外部から視認できない形態(以下、「フィリングタイプ」とも言う。)でもよい。トッピングタイプのスナックフードの食品組成物はいわゆるトッピング材として使用され、フィリングタイプのスナックフードの食品組成物はいわゆるフィリング材として使用される。
【0036】
本発明のスナックフードは、ベーカリー食品と本発明の食品組成物とを用いて、常法に従って製造することができる。
本発明のスナックフードの製造方法の一例として、ベーカリー食品用生地を焼成する等して加熱調理してベーカリー食品を得、該ベーカリー食品に、本発明の食品組成物をトッピング材又はフィリング材として組み合わせる方法が挙げられる。
本発明のスナックフードの製造方法の他の一例として、未加熱のベーカリー食品用生地に、本発明の食品組成物をトッピング材又はフィリング材として組み合わせて複合生地を得、該複合生地を焼成する等して加熱調理する方法が挙げられる。前記工程Aを有するスナックフードの製造方法は、斯かる他の一例において、未加熱のベーカリー食品用生地としてホイロ前のベーカリー食品用冷凍生地を使用するとともに、本発明の食品組成物の冷凍物を使用したものであり、該食品組成物は、トッピング材として使用してもよく、フィリング材として使用してもよい。
【0037】
本発明には、ベーカリー食品と、本発明の食品組成物とを含む、スナックフードの製造方法が包含される。
本発明のスナックフードの製造方法は、1)ベーカリー食品用冷凍生地を解凍してベーカリー食品用生地を得る工程(解凍工程)と、2)該解凍工程で得られた該ベーカリー食品用生地と冷凍状態の本発明の食品組成物とが組み合わされた複合生地を調製する工程(複合生地調製工程)と、3)該複合生地を発酵器に収容して該ベーカリー食品用生地を発酵させる工程(発酵工程)と、4)該発酵工程を経た該複合生地を加熱調理する工程(調理工程)とを有する。
【0038】
前記解凍工程で解凍するベーカリー食品用冷凍生地は、ベーカリー食品用生地の冷凍物である。すなわち、ベーカリー食品用生地を冷凍することで、ベーカリー食品用冷凍生地が得られる。ベーカリー食品用生地は、常法に従って製造することができ、典型的には、穀粉を含む原料粉に液体原料を添加し混捏することで調製でき、必要に応じ、発酵(一次発酵)させてもよい。液体原料としては、例えば、蒸留水、精製水等の水;全卵、卵黄液、卵白液等の卵液;液体油脂を用いることができる。液体原料の原料粉への添加量は、製造するベーカリー食品に応じて適宜調整することができる。
【0039】
前記解凍工程において、ベーカリー食品用冷凍生地の解凍方法は特に制限されず、ベーカリー食品用冷凍生地を加熱せずに所定の環境に静置することで解凍する方法(自然解凍)でもよく、該冷凍生地を加熱して解凍する方法でもよい。
【0040】
前記複合生地調製工程で調製する複合生地の形態は特に制限されず、例えば、ベーカリー食品用生地の表面に冷凍状態の本発明の食品組成物がトッピングされたいわゆるトッピングタイプでもよく、あるいは、ベーカリー食品用生地の内部に本発明の食品組成物が包埋されたいわゆるフィリングタイプでもよい。
【0041】
前記複合生地調製工程において、複合生地の調製方法は特に制限されず、調製する複合生地の形態(トッピングタイプ、フィリングタイプ等)に応じた適切な方法を採用すればよい。
例えば、トッピングタイプの複合生地を調製する場合には、1)前記解凍工程で得られたベーカリー食品用生地の表面に、冷凍状態の本発明の食品組成物をトッピングする方法でもよく、あるいは2)ベーカリー食品用冷凍生地の表面に、冷凍状態の本発明の食品組成物をトッピングして冷凍複合生地を得、該冷凍複合生地を所定の解凍環境に置く等して、該冷凍複合生地における該ベーカリー食品用冷凍生地を解凍してベーカリー食品用生地にする方法でもよい。
また、フィリングタイプの複合生地を調製する場合には、3)前記解凍工程で得られたベーカリー食品用生地の内部に、冷凍状態の本発明の食品組成物を包埋する方法でもよく、あるいは4)ベーカリー食品用冷凍生地の内部に、冷凍状態の本発明の食品組成物を包埋して冷凍複合生地を得、該冷凍複合生地を所定の解凍環境に置く等して、該冷凍複合生地における該ベーカリー食品用冷凍生地を解凍してベーカリー食品用生地にする方法でもよい。
前記2)及び4)の方法は、前記解凍工程と前記複合生地調製工程とを同時に実施する方法であり、前記1)及び3)の方法に比べて少ない工程数でスナックフードを製造できるという利点がある。
【0042】
前記発酵工程では、前記複合生地、すなわちベーカリー食品用生地と冷凍状態の食品組成物とが組み合わされたものを発酵器に収容し、該ベーカリー食品用生地をホイロ(最終発酵)する。前記ベーカリー食品用生地が一次発酵済みの場合は、前記発酵工程で該生地を二次発酵することになる。前記発酵工程におけるベーカリー食品用生地の発酵は常法に従って行うことができる。前記発酵工程における発酵条件は特に制限されず、製造するスナックフードの種類等に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは、発酵器内の雰囲気温度は25~45℃、発酵時間(発酵器内に複合生地を収容する時間)は30~180分である。
前記発酵工程を経た前記複合生地がトッピングタイプの場合は、発酵済みのベーカリー食品用生地の表面に、本発明の食品組成物が解凍された状態で載置された構成を有するところ、その解凍された状態の食品組成物は前述したとおり、冷凍状態での形状、すなわち生地表面にトッピングされたときのいわゆる盛り付け形状をほぼ維持している。
【0043】
前記調理工程において、前記発酵工程を経た前記複合生地の加熱調理の方法は特に制限されず、製造するスナックフードの種類等に応じて常法に従えばよい。前記加熱調理は、典型的にはオーブンによる焼成調理であるが、揚げ調理や蒸し調理等も可能である。前記調理工程を実施することで、製造目的物であるトッピングタイプのスナックフードが得られる。
【実施例0044】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
〔実施例1~7、比較例1~4:ホワイトソース(食品組成物)の製造〕
下記表1~2の「原料(質量%)」の欄に各原料を準備し、常法に従って食品組成物の一種であるホワイトソースを製造した。具体的には、小麦粉を牛乳及び油脂とともにダマにならないよう穏やかに撹拌加熱し、水でのばした後、調味料を加えて十分に混合し、更に澱粉を加えて混合物の品温が90℃に達するまで加熱する工程を経て、ホワイトソースを製造した。製造したホワイトソースを品温が15℃になるまで室温で放置することで冷却した後、その冷却したホワイトソース20gを直径6cmの円柱形の型に流し込み、該型ごと冷凍して、ホワイトソースの冷凍物を製造した。
【0046】
〔実施例8~15、比較例5~8:カレーソース(食品組成物)の製造〕
下記表3~4の「原料(質量%)」の欄に各原料を準備し、常法に従って食品組成物の一種であるカレーソースを製造した。具体的には、油脂及びタマネギを撹拌加熱し、ひき肉ソテー、トマト、水及び調味料を加えて十分に混合し、更に澱粉及び香辛料を加えて混合物の品温が90℃に達するまで加熱する工程を経て、カレーソースを製造した。製造したカレーソースを品温が15℃になるまで室温で放置することで冷却した後、その冷却したカレーソース20gを直径6cmの円柱形の型に流し込み、該型ごと冷凍して、カレーソースの冷凍物を製造した。
【0047】
〔実施例16~19、比較例9~10:トマトソース(食品組成物)の製造〕
下記表5の「原料(質量%)」の欄に各原料を準備し、常法に従って食品組成物の一種であるトマトソースを製造した。具体的には、油脂及びタマネギを撹拌加熱し、トマト、水及び調味料を加えて十分に混合し、更に澱粉を加えて混合物の品温が90℃に達するまで加熱する工程を経て、トマトソースを製造した。製造したトマトソースを品温が15℃になるまで室温で放置することで冷却した後、その冷却したトマトソース20gを直径6cmの円柱形の型に流し込み、該型ごと冷凍して、トマトソースの冷凍物を製造した。
【0048】
原料として使用した澱粉A~Fの詳細は下記のとおりである。
・澱粉A:ヒドロキシプロピルリン酸架橋馬鈴薯澱粉(馬鈴薯澱粉にヒドロキシプロピル化リン酸架橋処理を施して得られた加工澱粉)、糊化開始温度53.2℃
・澱粉B:ヒドロキシプロピルリン酸架橋タピオカ澱粉(タピオカ澱粉にヒドロキシプロピル化リン酸架橋処理を施して得られた加工澱粉)、糊化開始温度57.6℃
・澱粉C:ワキシーコーン澱粉(未加工澱粉)、糊化開始温度67.5℃
・澱粉D:うるち米澱粉(未加工澱粉)、糊化開始温度65.9℃
・澱粉E:コーン澱粉(未加工澱粉)、糊化開始温度70.7℃
・澱粉F:小麦澱粉(未加工澱粉)、糊化開始温度71.3℃
【0049】
〔評価試験〕
各実施例及び比較例の食品組成物(ホワイトソース、カレーソース、トマトソース)について、該食品組成物の冷凍物を庫内温度-20℃の冷凍庫で1週間保存した後、下記方法により、保形性及び食感を評価した。その結果を下記表1~5に示す。
【0050】
(保形性の評価方法)
冷凍状態の食品組成物を、庫内温度35℃の恒温庫に2時間静置することで解凍した後、その解凍後の食品組成物の状態を目視で観察し、下記評価基準により評価した。評価は、訓練された10名のパネラーが行い、10名のパネラーの評価点の平均値を、当該食品組成物の評価点とした。
<保形性の評価基準>
・5点:解凍前と比較して、ソースは全く広がらず、非常に良好。
・4点:解凍前と比較して、ソースはほとんど広がらず、良好。
・3点:解凍前と比較して、ソースは少し広がるが許容範囲であり、問題無いレベル。
・2点:解凍前と比較して、ソースはやや広がり、不良。
・1点:解凍前と比較して、ソースは大きく広がり、非常に不良。
【0051】
(食感の評価方法)
冷凍状態の食品組成物を、オーブンを用いて200℃で20分加熱することで加熱調理した後、その調理済みの食品組成物を、訓練された10名のパネラーに食してもらい、その際の食感を下記評価基準により評価してもらった。10名のパネラーの評価点の平均値を、当該食品組成物の評価点とした。
<食感の評価基準>
・5点:非常に歯切れが良く、非常になめらかであり、非常に良好。
・4点:歯切れが良く、なめらかであり、良好。
・3点:やや歯切れが良く、ややなめらかであり、問題無いレベル。
・2点:歯切れが悪く、ねちゃつきがあり、不良。
・1点:非常に歯切れが悪く、非常にねちゃつきがあり、非常に不良。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
表1に示すとおり、各実施例のホワイトソース(食品組成物)は、1)糊化開始温度68℃以下の澱粉(澱粉A)を3~6質量%含有している点と、2)冷凍状態から品温30℃に解凍した場合の液部の粘度が5~80Pa・sである点とを満たしていることに起因して、前記1)及び2)を満たさない比較例に比べて、保形性及び食感の双方に優れていた。
表2に示すとおり、各実施例のホワイトソース(食品組成物)は、食品組成物に含有された澱粉(澱粉A~D)の糊化開始温度が68℃以下であることに起因して、これを満たさない比較例に比べて、保形性及び食感の双方に優れていた。
以上のホワイトソースの結果から、本発明は、ホワイトソースと同タイプのソース、具体的には例えば、カルボナーラソースの如き、乳製品を含むソースに適用した場合にも有用であることが分かる。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
表3~5に示すとおり、カレーソース及びトマトソースについてもホワイトソースと同様の結果となった。