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特開2024-119668磁気テープカートリッジ、及び磁気テープカートリッジ識別用ラベル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119668
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】磁気テープカートリッジ、及び磁気テープカートリッジ識別用ラベル
(51)【国際特許分類】
   G11B 23/107 20060101AFI20240827BHJP
   G11B 23/38 20060101ALI20240827BHJP
   G11B 23/28 20060101ALI20240827BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20240827BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20240827BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G11B23/107
G11B23/38 B
G11B23/28 B
G06K19/06 028
G09F3/00 M
G09F3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026735
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 善彦
(57)【要約】
【課題】磁気テープカートリッジのラベルに印刷された識別子を読み取る場合に、読み取り不良の発生を抑制することが可能な磁気テープカートリッジ、及び磁気テープカートリッジ識別用ラベルを提供する。
【解決手段】ケースの表面に設けられたラベルを備え、ラベルは、ケースに取り付けられた基材の表面に形成され、かつ表面形状の制御によって、ラベルにおいて反射する光を散乱させるコート層であって、磁気テープカートリッジを識別するための識別子が印刷されているコート層を含み、表面形状の制御によって、コート層は、表面突起の平均周期が400μm以下とされている磁気テープカートリッジ。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの表面に設けられたラベルを備え、
前記ラベルは、
前記ケースに取り付けられた基材の表面に形成され、かつ表面形状の制御によって、前記ラベルにおいて反射する光を散乱させるコート層であって、磁気テープカートリッジを識別するための識別子が印刷されているコート層を含み、
前記表面形状の制御によって、前記コート層は、表面突起の平均周期が400μm以下とされている
磁気テープカートリッジ。
【請求項2】
前記表面形状の制御によって、前記コート層は、表面突起高さ分布において、予め定められた値以上の表面突起高さを有している
請求項1に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項3】
前記コート層は、前記表面突起高さ分布において、10μm以上の表面突起高さを有している
請求項2に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項4】
前記表面形状の制御によって、前記コート層は、光沢度が7以下とされている
請求項1に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項5】
前記表面形状の制御は、前記コート層への粒子の添加を含み、
前記粒子は、平均粒径が10μm以上とされている
請求項1に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項6】
前記粒子は、SiO粒子とされている
請求項5に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項7】
前記識別子は、一次元画像及び/又は二次元マトリクス画像を含む
請求項1に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項8】
磁気テープカートリッジのケースに取り付けられる基材と、
前記基材の表面に形成され、かつ表面形状の制御によって、磁気テープカートリッジ識別用ラベルにおいて反射する光を散乱させるコート層であって、前記磁気テープカートリッジを識別するための識別子が印刷されているコート層と、を含み、
前記表面形状の制御によって、前記コート層は、表面突起の平均周期が400μm以下とされている
磁気テープカートリッジ識別用ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、磁気テープカートリッジ、及び磁気テープカートリッジ識別用ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、テープカセットやカセット保管用ケースに貼り付けられるラベルシール1について記載されている。ラベルシール1は、裏面を粘着面2aとしたシールベース2の上に夜光性インキ3を印刷してなる発光層を有し、さらにその上に、表面を粗面4aとしたフィルム4をコーティングしてなるコーティング層を有して構成される。フィルム4の表面が粗面4aとなされていることにより、ここに文字を書き込む場合、筆記具の引掛り具合が適度で良好な筆記性が得られる。そして周囲が暗くなると、発光層の夜光性インキ3が光り、そのバックライト効果によって、フィルム4の上に書き込まれた文字がくっきりと浮かび上がる。
【0003】
特許文献2には、天板の周囲に第1周壁が立設された第1ハーフと底板の周囲に第2周壁が立設された第2ハーフとが第1周壁と第2周壁とを互いに突き合わせた状態で接合されることで構成され、記録テープが巻装されたリールを収容するケースと、ケースのドライブ装置への装填方向とは反対側における第1周壁の第1ハーフラベル面と第2周壁の第2ハーフラベル面とで構成されたラベル面と、を備え、第1ハーフラベル面又は第2ハーフラベル面のみに、個体識別情報が記録された1次元又は2次元バーコードが印刷されている記録テープカートリッジが記載されている。
【0004】
特許文献3には、情報記録媒体であるディスクと、ディスクを回転可能に収納するケースとを備えるディスクカートリッジにおいて、ケースには、入射した光を所定の光検出器に反射することにより、その反射光の違いによりディスクの種類を識別可能にするための反射部が備えられたことを特徴とするディスクカートリッジが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-230967号公報
【特許文献2】特開2020-161199号公報
【特許文献3】特開2002-157853号公報
【発明の概要】
【0006】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、磁気テープカートリッジのラベルに印刷された識別子を読み取る場合に、読み取り不良の発生を抑制することが可能な磁気テープカートリッジ、及び磁気テープカートリッジ識別用ラベルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の技術に係る第1の態様は、ケースの表面に設けられたラベルを備え、ラベルは、ケースに取り付けられた基材の表面に形成され、かつ表面形状の制御によって、ラベルにおいて反射する光を散乱させるコート層であって、磁気テープカートリッジを識別するための識別子が印刷されているコート層を含み、表面形状の制御によって、コート層は、表面突起の平均周期が400μm以下とされている磁気テープカートリッジである。
【0008】
本開示の技術に係る第2の態様は、表面形状の制御によって、コート層は、表面突起高さ分布において、予め定められた値以上の表面突起高さを有している第1の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0009】
本開示の技術に係る第3の態様は、コート層は、表面突起高さ分布において、10μm以上の表面突起高さを有している第2の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0010】
本開示の技術に係る第4の態様は、表面形状の制御によって、コート層は、光沢度が7以下とされている第1の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0011】
本開示の技術に係る第5の態様は、表面形状の制御は、コート層への粒子の添加を含み、粒子は、平均粒径が10μm以上とされている第1の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0012】
本開示の技術に係る第6の態様は、粒子は、SiO2粒子とされている第5の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0013】
本開示の技術に係る第7の態様は、識別子は、一次元画像及び/又は二次元マトリクス画像を含む第1の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0014】
本開示の技術に係る第8の態様は、磁気テープカートリッジのケースに取り付けられる基材と、基材の表面に形成され、かつ表面形状の制御によって、磁気テープカートリッジ識別用ラベルにおいて反射する光を散乱させるコート層であって、磁気テープカートリッジを識別するための識別子が印刷されているコート層と、を含み、表面形状の制御によって、コート層は、表面突起の平均周期が400μm以下とされている磁気テープカートリッジ識別用ラベルである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るカートリッジ管理システムの構成の一例を示す概略構成図である。
図2】実施形態に係る磁気テープカートリッジの外観の一例を示す概略斜視図である。
図3】実施形態に係る磁気テープカートリッジに表示された識別子の一例を示す概略斜視図である。
図4】実施形態に係る磁気テープドライブのハードウェア構成の一例を示す概略構成図である。
図5】実施形態に係る磁気テープカートリッジの下側から非接触式読み書き装置によって磁界が放出されている態様の一例を示す概略斜視図である。
図6】実施形態に係るカートリッジ管理システムのハードウェア構成の一例を示す概略構成図である。
図7】実施形態に係るカートリッジ管理システムに含まれるライブラリコントローラが有する機能の一例を示す概念図である。
図8】実施形態に係るカートリッジ管理システムに含まれるライブラリコントローラが有する機能の一例を示す概念図である。
図9】実施形態に係る磁気テープカートリッジのラベルの構成例を示す概略斜視図である。
図10】実施形態に係る磁気テープカートリッジのラベルの光沢度と反射率との関係の一例を示す図である。
図11】実施形態に係る磁気テープカートリッジのラベルの表面突起の平均周期を説明するための概念図である。
図12】実施形態に係る磁気テープカートリッジのラベルの光沢度と表面突起の平均周期との関係の一例を示す図である。
図13】実施形態に係る磁気テープカートリッジのラベルの表面突起高さの分布、光沢度、及び読取不良の関係の一例を示す図である。
図14】実施形態に係る磁気テープカートリッジに表示された識別子の一例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面に従って本開示の技術に係る磁気テープカートリッジの実施形態の一例について説明する。
【0017】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0018】
NVMとは、“Non-Volatile Memory”の略称を指す。CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。GPUとは、“Graphics Processing Unit”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。ELとは、“Electronic Luminescent”の略称を指す。LCDとは、“Liquid Crystal Display”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。HDDとは、“Hard Disk Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-On-a-Chip”の略称を指す。PLCとは、“Programmable Logic Controller”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。RFIDとは、“Radio Frequency IDentifier”の略称を指す。CCDとは、“Charge-Coupled Device”の略称を指す。LEDとは、“Light-Emitting Diode”の略称を指す。
【0019】
一例として図1に示すように、カートリッジ管理システム10は、磁気テープライブラリ12、ライブラリコントローラ14、及びホストコンピュータ16を備えている。
【0020】
磁気テープライブラリ12は、複数の磁気テープカートリッジ20と1つ以上の磁気テープドライブ30とを収納する収納棚22を備えている。収納棚22には、複数のカートリッジ収納セル24、複数のドライブ収納セル26、及び搬送機構28が設けられている。なお、磁気テープカートリッジ20は、本開示の技術に係る「磁気テープカートリッジ」の一例である。
【0021】
各カートリッジ収納セル24は、例えば、1つの磁気テープカートリッジ20を収納できる大きさを有しており、各カートリッジ収納セル24には、磁気テープカートリッジ20が、既定数ずつ、例えば、1つずつ収納されている。カートリッジ収納セル24は、例えば10行×5列の格子状に配列されている。図1に示す例では、10行×5列のカートリッジ収納セル24を示しているが、これはあくまでも一例に過ぎず、複数個であればよい。また、ここでは、格子状の配列を例示しているが、これもあくまでも一例に過ぎず、他の配列方法であってもよい。
【0022】
図1において、両矢印25に示すように、紙面の上の方向を上方向とし、紙面の下の方向を下方向とする。また、両矢印27に示すように、紙面に向かって左の方向を左方向とし、紙面に向かって右の方向を右方向とする。
【0023】
図1に示す例では、カートリッジ収納セル24の各行に、図1中の上から順に1~10の行番号が付されており、カートリッジ収納セル24の各列には図1中の左から順にA~Eの列記号が付されている。この行番号及び列記号を用いて、各カートリッジ収納セル24には、カートリッジ収納セル24の位置を識別するためのセル名が付されている。例えば、A列1行目に位置するカートリッジ収納セル24には、「A1」というセル名が付されている。
【0024】
各ドライブ収納セル26には、磁気テープドライブ30が1つずつ収納される。図1に示す例では、鉛直方向に配列された4つのドライブ収納セル26のうち、最上段のドライブ収納セル26に第1磁気テープドライブ30-1が収納されており、最上段から2段目のドライブ収納セル26に第2磁気テープドライブ30-2が収納されている。なお、図1に示す例では、ドライブ収納セル26の個数は4個であるが、本開示の技術はこれに限定されず、ドライブ収納セル26の個数は1個以上であればよい。以下の説明において、第1磁気テープドライブ30-1と第2磁気テープドライブ30-2とを区別して説明する必要がない場合には、単に「磁気テープドライブ30」と称する。
【0025】
磁気テープドライブ30には、磁気テープカートリッジ20が装填される。ライブラリコントローラ14は、磁気テープドライブ30に対して、テープドライブ駆動信号を出力する。テープドライブ駆動信号は、磁気テープドライブ30に対して駆動を指示する信号である。磁気テープドライブ30は、テープドライブ駆動信号に従って、磁気テープカートリッジ20に収容された磁気テープMTからのデータの読み取り、及び磁気テープMTに対するデータの書き込みを行う。
【0026】
搬送機構28は、カートリッジ収納セル24と磁気テープドライブ30との間で磁気テープカートリッジ20を搬送する。図1に示す例では、搬送機構28は、上部バー28A、下部バー28B、一対の水平方向可動ロボット28C、鉛直バー28D、及び鉛直方向可動ロボット28Eを備えている。上部バー28Aは、水平方向に延びるように収納棚22の上部に固定されている。下部バー28Bは、上部バー28Aと平行に、収納棚22の下部に固定されている。
【0027】
一対の水平方向可動ロボット28Cは、鉛直バー28Dの両端に取り付けられている。一対の水平方向可動ロボット28Cは、上部バー28A及び下部バー28Bに嵌め込まれている。水平方向可動ロボット28Cは、水平方向に沿って移動可能な自走式のロボットであり、鉛直バー28Dの向きを上部バー28A及び下部バー28Bの向きに対して垂直に保ちながら、鉛直バー28Dを上部バー28A及び下部バー28Bに沿って水平方向に移動させる。鉛直方向可動ロボット28Eは、鉛直バー28Dに取り付けられている。鉛直方向可動ロボット28Eは、鉛直方向に沿って移動可能な自走式のロボットである。すなわち、鉛直方向可動ロボット28Eは、鉛直バー28Dに沿って、鉛直方向に移動する。鉛直方向可動ロボット28Eには、磁気テープカートリッジ20を把持する把持部(図示省略)が設けられている。
【0028】
なお、搬送機構28が、水平方向可動ロボット28C、及び鉛直方向可動ロボット28Eを含んで構成される形態例を挙げて説明したが、これはあくまでも一例に過ぎない。搬送機構28は、磁気テープライブラリ12内において、磁気テープカートリッジ20を搬送可能な構成であればよい。
【0029】
搬送機構28は、ライブラリコントローラ14の制御下で作動する。ライブラリコントローラ14は、搬送機構駆動信号を搬送機構28に出力する。搬送機構駆動信号は、搬送機構28に対して駆動を指示する信号である。水平方向可動ロボット28C及び鉛直方向可動ロボット28Eの各々にはモータ(図示省略)が搭載されており、水平方向可動ロボット28C及び鉛直方向可動ロボット28Eの各モータは、ライブラリコントローラ14から入力された搬送機構駆動信号に従って駆動することで動力を生成する。水平方向可動ロボット28C及び鉛直方向可動ロボット28Eは、モータによって生成された動力を用いて自走する。
【0030】
ライブラリコントローラ14は、磁気テープライブラリ12に通信ケーブルを介して通信可能に接続されている。ライブラリコントローラ14は、搬送機構28及び磁気テープドライブ30を統括的に制御する。例えば、ライブラリコントローラ14は、カートリッジ収納セル24からの磁気テープカートリッジ20の取り出し、及びカートリッジ収納セル24への磁気テープカートリッジ20の収納を制御する。ライブラリコントローラ14は、磁気テープカートリッジ20の搬送を制御する。ライブラリコントローラ14は、磁気テープカートリッジ20の磁気テープドライブ30への装填、及び磁気テープドライブ30からの磁気テープカートリッジ20の取り出しを制御する。ライブラリコントローラ14は、磁気テープMTからのデータの読み取り、及び磁気テープMTに対するデータの書き込み等を制御する。
【0031】
ホストコンピュータ16は、ライブラリコントローラ14に通信ケーブルを介して通信可能に接続されている。ここでは、有線方式の通信を例示しているが、これに限らず、無線方式の通信であってもよい。ホストコンピュータ16は、ユーザからの指示を受け付けて、磁気テープカートリッジ20に収容された磁気テープMTからのデータの読み取り、及び磁気テープMTに対するデータの書き込みを指示する。
【0032】
ライブラリコントローラ14は、ホストコンピュータ16の制御下で、複数の磁気テープカートリッジ20から特定の磁気テープカートリッジ20(例えば、データの読み書き対象とされる磁気テープカートリッジ20)を検索したり、搬送機構28に対して特定の磁気テープカートリッジ20をカートリッジ収納セル24から取り出させたり、磁気テープドライブ30に対して特定の磁気テープカートリッジ20内の磁気テープMTにデータの読み書きをさせたりする。
【0033】
次に、図2及び図3を参照しながら、磁気テープカートリッジ20の構成の一例について説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、磁気テープカートリッジ20の磁気テープドライブ30への装填方向を矢印Aで示し、矢印A方向を磁気テープカートリッジ20の前方向とし、磁気テープカートリッジ20の前方向の側を磁気テープカートリッジ20の前側とする。以下に示す構造の説明において、「前」とは、磁気テープカートリッジ20の前側を指す。
【0034】
また、以下の説明では、説明の便宜上、磁気テープカートリッジ20の前方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ20の後方向とし、磁気テープカートリッジ20の後方向の側を磁気テープカートリッジ20の後側とする。以下に示す構造の説明において、「後」とは、磁気テープカートリッジ20の後側を指す。
【0035】
また、以下の説明では、説明の便宜上、矢印A方向と直交する矢印B方向を右方向とし、磁気テープカートリッジ20の右方向の側を磁気テープカートリッジ20の右側とする。以下に示す構造の説明において、「右」とは、磁気テープカートリッジ20の右側を指す。
【0036】
また、以下の説明では、説明の便宜上、矢印A方向及び矢印B方向と直交する方向を矢印Cで示し、矢印C方向を磁気テープカートリッジ20の上方向とし、磁気テープカートリッジ20の上方向の側を磁気テープカートリッジ20の上側とする。以下に示す構造の説明において、「上」とは、磁気テープカートリッジ20の上側を指す。
【0037】
また、以下の説明では、説明の便宜上、磁気テープカートリッジ20の上方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ20の下方向とし、磁気テープカートリッジ20の下方向の側を磁気テープカートリッジ20の下側とする。以下に示す構造の説明において、「下」とは、磁気テープカートリッジ20の下側を指す。
【0038】
一例として図2に示すように、磁気テープカートリッジ20は、平面視略矩形であり、かつ、箱状のケース36を備えている。ケース36には、磁気テープMTが収容されている。ケース36は、ポリカーボネート等の樹脂製であり、上ケース38及び下ケース40を備えている。上ケース38及び下ケース40は、上ケース38の下周縁面と下ケース40の上周縁面とを接触させた状態で、溶着(例えば、超音波溶着)及びビス止めによって接合されている。接合方法は、溶着及びビス止めに限らず、他の接合方法であってもよい。ケース36は、本開示の技術に係る「ケース」の一例である。
【0039】
ケース36の内部には、送出リール42が回転可能に収容されている。送出リール42は、リールハブ42A、上フランジ42B1、及び下フランジ42B2を備えている。リールハブ42Aは、円筒状に形成されている。リールハブ42Aは、送出リール42の軸心部であり、軸心方向がケース36の上下方向に沿っており、ケース36の中央部に配置されている。上フランジ42B1及び下フランジ42B2の各々は円環状に形成されている。リールハブ42Aの上端部には上フランジ42B1の平面視中央部が固定されており、リールハブ42Aの下端部には下フランジ42B2の平面視中央部が固定されている。なお、リールハブ42Aと下フランジ42B2は一体成型されていてもよい。
【0040】
リールハブ42Aの外周面には、磁気テープMTが巻き回されており、磁気テープMTの幅方向の端部は上フランジ42B1及び下フランジ42B2によって保持されている。
【0041】
ケース36の右壁36Aの前側には、開口36Bが形成されている。磁気テープMTは、開口36Bから引き出される。
【0042】
下ケース40にはカートリッジメモリ44が設けられている。具体的には、下ケース40の右後端部に、カートリッジメモリ44が収容されている。カートリッジメモリ44には、NVMを有するICチップ(図示省略)が搭載されている。本実施形態では、いわゆるパッシブ型のRFIDタグがカートリッジメモリ44として採用されており、カートリッジメモリ44に対しては非接触で各種情報の読み書きが行われる。
【0043】
カートリッジメモリ44には、磁気テープカートリッジ20を管理する管理情報が記憶されている。管理情報には、例えば、カートリッジメモリ44に関する情報(例えば、磁気テープカートリッジ20を特定可能な情報)、磁気テープMTに関する情報(例えば、磁気テープMTの記録容量を示す情報、磁気テープMTに記録されているデータの概要を示す情報、磁気テープMTに記録されているデータの項目を示す情報、又は磁気テープMTに記録されているデータの記録形式を示す情報など)、及び磁気テープドライブ30に関する情報(例えば、磁気テープドライブ30の仕様を示す情報、及び磁気テープドライブ30で用いられる信号)等が含まれている。
【0044】
一例として図3に示すように、磁気テープカートリッジ20のケース36の表面には、識別子46が表示されている。図3に示す例では、ケース36の後壁36Cの表面に識別子46が表示されている。また、識別子46は、バーコード46Aを含んでいる。バーコード46Aは、磁気テープカートリッジ20を識別するための情報(例えば、ユーザによって付与された磁気テープカートリッジ20を管理するための通し番号等)を示す一次元画像である。磁気テープカートリッジ20は、識別子46が読み取り可能な状態で、カートリッジ収納セル24に格納されている。識別子46は、本開示の技術に係る「識別子」の一例であり、バーコード46Aは、本開示の技術に係る「一次元画像」の一例である。
【0045】
また、図3に示す例では、識別子46は、文字列46Bを含んでいる。文字列46Bは、磁気テープカートリッジ20を識別するための情報を示す文字列(例えば、英数字の組み合わせを含む文字列等)である。文字列46Bが表示されることで、ユーザが目視で磁気テープカートリッジ20の識別を行うことができる。
【0046】
識別子46は、例えば、バーコード46A及び文字列46Bが印刷されたラベル72が台紙73からはがされ、さらにラベル72がケース36の表面に貼り付けられることで、ケース36に表示される。なお、ここでは、文字列46Bもラベル72に印刷されている例を示しているが、バーコード46Aが印刷されていればよく、文字列46Bの記載は空白とされ、後から手書きで記入されてもよい。ラベル72は、本開示の技術に係る「ラベル」の一例である。
【0047】
一例として図4に示すように、磁気テープドライブ30は、テープ搬送装置48、磁気ヘッド50、及び制御装置52を備えている。磁気テープドライブ30には、矢印A方向に沿って磁気テープカートリッジ20が装填される。磁気テープドライブ30では、磁気テープMTが磁気テープカートリッジ20から引き出されて用いられる。
【0048】
磁気テープドライブ30は、磁気テープMTの表面に対して磁気ヘッド50を用いて磁気的処理を行う。ここで、磁気的処理とは、磁気テープMTの表面に対するデータの記録、及び磁気テープMTの表面からのデータの読み取り(すなわち、データの再生)を指す。本実施形態では、磁気テープドライブ30が磁気ヘッド50を用いて磁気テープMTの表面に対するデータの記録と磁気テープMTの表面からのデータの読み取りとを選択的に行う。すなわち、磁気テープドライブ30は、磁気テープカートリッジ20から磁気テープMTを引き出し、引き出した磁気テープMTの表面に対して磁気ヘッド50を用いてデータを記録したり、引き出した磁気テープMTの表面から磁気ヘッド50を用いてデータを読み取ったりする。
【0049】
制御装置52は、磁気テープドライブ30の全体を制御する。本実施形態において、制御装置52は、ASICによって実現されているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、制御装置52は、FPGA及び/又はPLCによって実現されるようにしてもよい。また、制御装置52は、CPU、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM、及び/又は、SSD等)、及びRAMを含むコンピュータによって実現されるようにしてもよい。また、ASIC、FPGA、PLC、及びコンピュータのうちの2つ以上を組み合わせて実現されるようにしてもよい。すなわち、制御装置52は、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現されるようにしてもよい。
【0050】
テープ搬送装置48は、磁気テープMTを既定経路に沿って順方向及び逆方向に選択的に搬送する装置であり、送出モータ48A、巻取リール48B、巻取モータ48C、及び複数のガイドローラGRを備えている。なお、ここで、順方向とは、磁気テープMTの送り出し方向を指し、逆方向とは、磁気テープMTの巻き戻し方向を指す。
【0051】
送出モータ48Aは、制御装置52の制御下で、磁気テープカートリッジ20内の送出リール42を回転させる。制御装置52は、送出モータ48Aを制御することで、送出リール42の回転方向、回転速度、及び回転トルク等を制御する。
【0052】
巻取モータ48Cは、制御装置52の制御下で、巻取リール48Bを回転させる。制御装置52は、巻取モータ48Cを制御することで、巻取リール48Bの回転方向、回転速度、及び回転トルク等を制御する。
【0053】
磁気テープMTが巻取リール48Bによって巻き取られる場合には、制御装置52は、磁気テープMTが既定経路に沿って順方向に走行するように送出モータ48A及び巻取モータ48Cを回転させる。送出モータ48A及び巻取モータ48Cの回転速度及び回転トルク等は、巻取リール48Bに対して磁気テープMTを巻き取らせる速度に応じて調整される。また、送出モータ48A及び巻取モータ48Cの各々の回転速度及び回転トルク等が制御装置52によって調整されることで、磁気テープMTに対して張力が付与される。また、磁気テープMTに付与される張力は、送出モータ48A及び巻取モータ48Cの各々の回転速度及び回転トルク等が制御装置52によって調整されることによって制御される。
【0054】
なお、磁気テープMTを送出リール42に巻き戻す場合には、制御装置52は、磁気テープMTが既定経路に沿って逆方向に走行するように送出モータ48A及び巻取モータ48Cを回転させる。
【0055】
本実施形態では、送出モータ48A及び巻取モータ48Cの回転速度及び回転トルク等が制御されることにより磁気テープMTに掛けられる張力が制御されているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、磁気テープMTに掛けられる張力は、ダンサローラを用いて制御されるようにしてもよいし、バキュームチャンバに磁気テープMTを引き込むことによって制御されるようにしてもよい。
【0056】
複数のガイドローラGRの各々は、磁気テープMTを案内するローラである。既定経路、すなわち、磁気テープMTの走行経路は、複数のガイドローラGRが磁気テープカートリッジ20と巻取リール48Bとの間において磁気ヘッド50を跨ぐ位置に分けて配置されることによって定められている。
【0057】
磁気ヘッド50は、磁気素子ユニット50A及びホルダ50Bを備えている。磁気素子ユニット50Aは、走行中の磁気テープMTに接触するようにホルダ50Bによって保持されている。磁気素子ユニット50Aは、複数の磁気素子を有する。
【0058】
磁気素子ユニット50Aは、テープ搬送装置48によって搬送される磁気テープMTにデータを記録したり、テープ搬送装置48によって搬送される磁気テープMTからデータを読み取ったりする。
【0059】
磁気テープドライブ30は、非接触式読み書き装置54を備えている。非接触式読み書き装置54は、磁気テープカートリッジ20が装填された状態の磁気テープカートリッジ20の下側にてカートリッジメモリ44の裏面に正対するように配置されており、カートリッジメモリ44に対して非接触で情報の読み書きを行う。
【0060】
一例として図5に示すように、非接触式読み書き装置54は、磁気テープカートリッジ20の下側からカートリッジメモリ44に向けて磁界MFを放出する。磁界MFは、カートリッジメモリ44を貫通する。
【0061】
非接触式読み書き装置54は、制御装置52に接続されている。制御装置52は、制御信号を非接触式読み書き装置54に出力する。制御信号は、カートリッジメモリ44を制御する信号である。非接触式読み書き装置54は、制御装置52から入力された制御信号に従って磁界MFを生成し、生成した磁界MFをカートリッジメモリ44に向けて放出する。
【0062】
非接触式読み書き装置54は、磁界MFを介してカートリッジメモリ44との間で非接触通信を行うことで、カートリッジメモリ44に対して、制御信号に応じた処理を行う。例えば、非接触式読み書き装置54は、制御装置52の制御下で、カートリッジメモリ44から情報を読み取る処理と、カートリッジメモリ44に対して情報を記憶させる処理(すなわち、カートリッジメモリ44に対して情報を書き込む処理)とを選択的に行う。
【0063】
一例として図6に示すように、ライブラリコントローラ14は、コンピュータ15を備えている。コンピュータ15は、プロセッサ56、ストレージ58、及びRAM60を備えている。プロセッサ56、ストレージ58、及びRAM60は、バス62に接続されている。
【0064】
プロセッサ56は、ライブラリコントローラ14の全体を制御する。プロセッサ56は、例えば、CPU及びGPUを有しており、ライブラリコントローラ14の全体を制御する。GPUは、CPUの制御下で動作し、画面表示及び/又は画像処理等の実行を担う。なお、プロセッサ56は、GPU機能を統合した1つ以上のCPUであってもよいし、GPU機能を統合していない1つ以上のCPUであってもよい。
【0065】
ストレージ58は、各種プログラム及び各種パラメータ等を記憶する不揮発性の記憶装置である。ストレージ58の一例としては、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM及び/又はSSD)が挙げられる。なお、フラッシュメモリは、あくまでも一例に過ぎず、HDD等の他の不揮発性の記憶装置であってもよいし、2種類以上の不揮発性の記憶装置の組み合わせであってもよい。RAM60は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。
【0066】
プロセッサ56は、搬送機構駆動信号を出力する。搬送機構28は、プロセッサ56から入力された搬送機構駆動信号に従って、装填動作と収納動作とを選択的に行う。装填動作とは、水平方向可動ロボット28C(図1参照)及び鉛直方向可動ロボット28E(図1参照)を移動させることにより、磁気テープカートリッジ20をカートリッジ収納セル24から取り出し、さらに、磁気テープカートリッジ20を磁気テープドライブ30に装填する動作を指す。収納動作とは、磁気テープカートリッジ20を磁気テープドライブ30から取り出し、さらに元のカートリッジ収納セル24に収納する動作を指す。搬送機構駆動信号に基づく搬送機構28の駆動が終了すると、搬送機構28は、再び基準位置(例えば、A1セル)に戻る。
【0067】
プロセッサ56は、テープドライブ駆動信号を出力する。磁気テープドライブ30の制御装置52は、プロセッサ56から入力されたテープドライブ駆動信号に従って、磁気テープMT(図5参照)からデータを読み出す読出動作と、磁気テープMTに対してデータを書き込む書込動作とを選択的に行う。
【0068】
ホストコンピュータ16は、ライブラリコントローラ14に対して、ユーザの要求に応じた指示を与える。ホストコンピュータ16は、プロセッサ16A、ストレージ16B、及びRAM16Cを備えている。プロセッサ16Aは、ホストコンピュータ16の全体を制御する。プロセッサ16Aの一例としては、CPUが挙げられる。ストレージ16Bは、不揮発性メモリである。ストレージ16Bには、各種プログラムが記憶されている。ストレージ16Bの一例としては、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM及び/又はSSD)が挙げられる。RAM16Cは、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。
【0069】
プロセッサ16A、ストレージ16B、及びRAM16Cは、バス16Dに接続されている。ホストコンピュータ16には、例えば、マウス、キーボード、及びタッチパネル等を含む受付デバイス16Eと、例えば、ELディスプレイ又はLCD等のモニタ16Fとが接続されている。受付デバイス16Eは、ホストコンピュータ16に対するユーザからの指示を受け付ける。モニタ16Fは、ホストコンピュータ16からの出力を画面に表示する。なお、ここでは、受付デバイス16Eとモニタ16Fとが独立したデバイスとして例示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、受付デバイス16Eとモニタ16Fとが一体化された入出力デバイスを適用してもよい。入出力デバイスとしては、例えば、受付デバイス16Eに含まれるタッチパネルとモニタ16Fとが一体化されたタッチパネルディスプレイが挙げられる。
【0070】
ところで、搬送機構28が装填動作を行う場合、装填動作の対象となる磁気テープカートリッジ20を識別する必要がある。搬送機構28は、バーコードリーダ64を備えている。また、上述したように、磁気テープカートリッジ20のケース36には、バーコード46Aが表示されている。バーコードリーダ64を介してバーコード46Aが読み取られることで、装填動作の対象となる磁気テープカートリッジ20が識別される。そこで、プロセッサ56によって読取制御処理が行われる。ストレージ58には、読取制御処理プログラム58Aが記憶されている。プロセッサ56は、ストレージ58から読取制御処理プログラム58Aを読み出し、読み出した読取制御処理プログラム58AをRAM60上で実行することにより読取制御処理を行う。読取制御処理は、プロセッサ56が、読取制御部56A、及び取得部56Bとして動作することによって実現される。
【0071】
一例として図7に示すように、読取制御部56Aは、バーコードリーダ64における光学的条件(例えば、受光装置64Aのバーコード46Aに対する読み取り角度、光源64Bの出力、及び/又は露光時間)を制御する。換言すれば、読取制御部56Aは、バーコードリーダ64における読取設定を行う。バーコードリーダ64は、バーコード46Aを読み取るための装置である。バーコードリーダ64は、受光装置64A及び光源64Bを備えている。例えば、受光装置64Aは、CCDセンサである。また、例えば、光源64Bは、バーコード46Aに対して光を照射可能なLED光源である。
【0072】
バーコードリーダ64における読取設定がされた状態で、バーコードリーダ64は、磁気テープカートリッジ20のバーコード46Aを読み取る。光源64Bから出射された出射光Lsは、バーコード46Aで反射される。バーコード46Aにおいて出射光Lsの一部が反射されることにより、戻り光Lrが得られる。戻り光Lrは、受光装置64Aにおいて検出される。バーコードリーダ64は、戻り光Lrの検出結果に基づいて、バーコード46Aを識別するための情報である識別情報69を生成する。識別情報69は、バーコードリーダ64からライブラリコントローラ14のプロセッサ56に出力される。プロセッサ56の取得部56Bは、識別情報69を取得する。これにより、磁気テープライブラリ12内の磁気テープカートリッジ20が識別される。
【0073】
一例として図8に示すように、プロセッサ56は、識別情報69が示す内容により特定された磁気テープカートリッジ20が、装填動作の対象である磁気テープカートリッジ20であるか否かを判定する。識別情報69が示す内容により特定された磁気テープカートリッジ20が、装填動作の対象である磁気テープカートリッジ20である場合、プロセッサ56は、搬送機構28に対して搬送機構駆動信号を出力する。搬送機構28は、搬送機構駆動信号に従って、装填動作を行う。つまり、搬送機構28は、識別情報69により特定された磁気テープカートリッジ20を引き出し、磁気テープドライブ30まで搬送する。さらに、搬送機構28は、磁気テープドライブ30に磁気テープカートリッジ20を装填する。磁気テープドライブ30は、装填された磁気テープカートリッジ20に対して、磁気テープMT(図4参照)の表面に対するデータの記録と磁気テープMTの表面からのデータの読み取りとを選択的に行う。
【0074】
しかしながら、磁気テープライブラリ12内において、バーコード46Aが読み取られる場合(図7参照)において、バーコード46Aが印刷されたラベル72の表面形状(例えば、表面粗さ等)によっては、バーコード46Aが正しく読み取られないことがある。例えば、バーコード46Aが印刷されたラベル72の表面の平滑度が高い場合、ラベル表面において正反射された光が、バーコードリーダ64に入射し、ハレーションを生じる場合がある。ハレーションが生じると、その部分のバーコード46Aを読み取ることができず、読取不良の原因となる。
【0075】
そこで、このような事情に鑑み、本実施形態では、磁気テープカートリッジ20に設けられたラベル72の表面状態が制御される。一例として図9に示すように、ラベル72は、粘着層72A、基材72B、及びコート層72Cを有している。また、ラベル72は、上述したように、磁気テープカートリッジ20に貼り付けられる前の状態では、粘着層72Aを介して台紙73に貼り付けられている。このように、ラベル72と台紙73とが一体となった状態の部材をラベル用紙77と称する。基材72Bは、本開示の技術に係る「基材」の一例であり、コート層72Cは、本開示の技術に係る「コート層」の一例である。
【0076】
台紙73は、一度貼り付けたラベル72を再度剥離することが可能な材質であれば特に限定されないが、例えば、グラシン紙、又はポリエステルフィルム等が挙げられる。
【0077】
ラベル72は、厚み方向(図9に示すZ方向)において、台紙73から順に粘着層72A、基材72B、及びコート層72Cを有している。粘着層72Aは、粘着性を有する層であり、台紙73又は磁気テープカートリッジ20の表面とラベル72との間を接着できる材料であれば特に限定されない。例えば、粘着層72Aは、エマルジョン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、又はシリコーン系粘着剤等のいずれかを含んで構成される。
【0078】
基材72Bは、ラベル72の大きさ、又は強度を規定する基体となる部材である。基材72Bの材質は、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系の二軸延伸フィルムのPET(Poly Ethylene Terephthalate)紙等が挙げられる。
【0079】
コート層72Cは、基材72Bの表面に形成された層であり、表面形状が制御されることで、ラベル72において反射する光(例えば、戻り光Lr)を散乱させる。コート層72Cは、バインダ74、及びバインダ74中に分散された添加剤76を含んでいる。バインダ74は、例えば、ウレタン樹脂であり、添加剤76は、バインダ74中に分散可能な粒子であり、例えば、無機酸化物の粒子である。添加剤76は、例えば、SiO(シリカ)粒子76Aである。また、添加剤76として添加される粒子の平均粒径は、例えば、10μmである。また、コート層72Cには、識別子46(ここでは、バーコード46A)が印刷されている。
【0080】
コート層72Cの表面形状が制御されることで、ラベル72において反射される光が散乱される。つまり、ラベル72の光沢度が低下する。ここで、光沢度とは、ある物体に光を照射した場合の入射光と正反射光の強度比を光沢の指標として数値化したものである。
【0081】
ここで、バーコード46Aの読み取りにおいては、バーコード46Aの黒いバーの部分と、白いバーの部分とを区別して認識する必要がある。そのため、バーコード46Aの読み取り結果を示す波形78(図10参照、以下単に「読み取り波形78」とも称する、)において、バーコード46Aの黒いバーに対応した部分(すなわち、反射率Rの低い部分)と、バーコード46Aの白いバーに対応した部分(すなわち、反射率Rの高い部分)とを閾値を用いて区別する。閾値の例としては、反射率Rの高い部分の平均値と、反射率Rの低い部分の平均値との中間値Ravを用いる。これにより、バーコード46Aの読み取り波形78において、中間値Ravよりも大きい反射率を示す部分が、バーコード46Aの白いバーに対応した部分であると判定される。また、中間値Ravより小さい反射率を示す部分が、バーコード46Aの黒いバーに対応した部分であると判定される。
【0082】
しかし、上述したように、ラベル72の表面形状によっては、反射光の強度が高くなる結果、バーコード46Aの黒いバーの部分と、白いバーの部分とを区別することが困難になる場合がある。すなわち、ラベル72の一部の反射率が高くなる結果、黒いバーの部分でも高い反射率を示し、その結果、反射率Rの低い部分であっても、中間値Ravを超えてしまう場合がある。この場合、閾値としての中間値Ravを用いて、バーコード46Aの黒いバーの部分と、白いバーの部分とを区別して認識することができなくなる。
【0083】
図10に、光沢度と、Rmin[critical]/Ravとの関係の一例を示す。ここで、Rmin[critical]/Ravは、中間値Ravに対する反射率Rの比較的低い部分の反射率の最大値Rmin[critical]の比である。Rmin[critical]/Ravが、1を超えるということは、反射率Rの比較的低い部分の反射率が、中間値Ravよりも大きい部分があることを示し、バーコード46Aの読取不良が起きる可能性が高いことを意味する。ここで、光沢度は、光沢度計 NOVO GLOSS60°(入射角60度)を用いて測定される。光沢度の測定領域は、6mm×12mmの範囲である。また、反射率は、バーコード検証機 INTEGRA社製 LVS-9505/LVS-9510を用いて測定される。
【0084】
一例として図10に示すように、ラベル72の表面形状を制御し、光沢度を種々変えていく(例えば、添加する粒子の粒径を変えていく)と、光沢度が8より大きい範囲では、Rmin[critical]/Ravは、1±0.2の範囲である。ここで、バーコード46Aの読み取り時の測定誤差を考慮すると、光沢度が8より大きい範囲では、読み取り不良が発生する可能性が高い。一方で、光沢度が8以下の領域では、Rmin[critical]/Ravは、0.8を下回っており、光沢度が8より大きい領域と比較して、読み取り不良が発生する可能性が低い。特に、光沢度が7以下の領域では、Rmin[critical]/Ravは、0.6を下回っており、光沢度が8より大きい領域と比較して、読み取り不良が発生する可能性がより低い。このように、ラベル72の光沢度を指標として、バーコード46Aの読み取り不良の発生を評価することができる。
【0085】
ラベル72のコート層72Cの表面形状を制御することで、光沢度を予め定められた値以下とすることで、バーコード46Aの読み取り不良を抑制するため、発明者らが鋭意検討したところ、表面形状の制御として、コート層72Cの表面突起の平均周期Rsm(以下、単に「表面突起周期Rsm」とも称する)を制御することを想到した。ここで、表面突起の平均周期Rsmとは、一例として図11に示すように、基準長さLsにおける輪郭曲線要素の長さの平均を表したものであり、次式(1)で表される。
【0086】
【数1】
【0087】
Lsiは、一つの輪郭線要素に対応する長さを指す。この場合の輪郭要素を構成する山(谷)では、最低高さ及び最低長さが規定され、高さ(深さ)が最大高さの10%以下、もしくは長さが計算区間の長さの1%以下であるものはノイズとみなされて、前後に続く谷(山)の一部と認識される。表面突起周期Rsmは、株式会社ミツトヨ製 粗さ計SV-3200H8/SV-C4500CNCを用いて測定された結果に対して、三次元表面粗さ解析ソフトウェアMcubeMap v8.0を用いて解析を行うことで得られる。測定条件は、測定範囲:0.3mm×0.3mm、測定長:0.3mm、測定ピッチ:0.5μm、測定本数:601本、測定速度:0.5mm/sである。
【0088】
図12に表面突起周期Rsmと光沢度との関係の一例を示す。一例として図12に示すように、表面突起周期Rsmが減少すると、光沢度も低下する。これは、表面突起周期Rsmが小さくなることで、表面の凹凸の数が多くなり、反射光の散乱が生じやすくなっていることを示していると考えられる。そして、表面突起周期Rsmが400以下になると、光沢度が7を下回る。従って、コート層72Cの表面形状として、表面突起周期Rsmを400μm以下とすることで、光沢度が7以下となる。すなわち、バーコード46Aの読み取り不良が抑制される。
【0089】
コート層72Cの表面形状の制御として、表面突起周期Rsmを400μm以下にするには、例えば、上述したように、コート層72Cに添加する添加剤を変更することが挙げられる。例えば、添加剤としてSiO粒子を添加し、SiO粒子の平均粒径を10μmとする。これにより、コート層72Cの表面突起周期Rsmを400μm以下とすることが実現される。また、SiO粒子は、コート層72Cが基材72B上に形成された状態のラベル用紙77の紙面上で、30個/0.02mm程度の割合で存在する。
【0090】
表面突起周期Rsmの下限値は、コート層72Cの耐久性、及び/又はバーコード46Aの読取特性等に応じて適宜設定される。例えば、表面突起周期Rsmは、100μm以上である。また、コート層72Cの厚みもコート層72Cの耐久性に応じて適宜設定される。コート層72Cが形成された状態のラベル用紙77の厚みは、例えば、35~50μmである。
【0091】
以上説明したように、本実施形態に係るカートリッジ管理システム10では、磁気テープカートリッジ20において、ケース36の表面に設けられたラベル72が設けられている。ラベル72は、ケース36に取り付けられた基材72Bの表面に形成され、かつ表面形状の制御によって、ラベルにおいて反射する光を散乱させるコート層72Cであって、磁気テープカートリッジ20を識別するための識別子46が印刷されているコート層72Cを含んでいる。そして、表面形状の制御によって、コート層72Cは、表面突起の平均周期Rsmが400μm以下とされている。本構成では、コート層72Cにおいて表面形状が制御されることで光を散乱させるので、光がラベル72において正反射することが抑制される。正反射光が低減することは、識別子46を読み取る場合に、ハレーションの発生に伴う読み取り不良の抑制に寄与する。これにより、磁気テープカートリッジ20のラベル72に印刷された識別子46を磁気テープライブラリ12内で読み取る場合に、読み取り不良の発生を抑制することが実現される。
【0092】
本構成では、コート層72Cにおいて、表面突起の平均周期Rsmが400μm以下とされていることで、表面突起の平均周期Rsmが400μmより大きい場合と比較して、ラベル72において反射する光が散乱されやすくなる。また、表面突起周期Rsmが大きいと、バーコード46Aを印刷する際に、インクによって突起の間が埋められて平滑度が上がってしまい、ハレーションが生じやすくなってしまう。本構成では、表面突起の平均周期Rsmが400μm以下とされていることで、磁気テープカートリッジ20のラベル72に印刷された識別子46を読み取る場合に、読み取り不良の発生を抑制することが実現される。
【0093】
例えば、磁気テープカートリッジ20のラベル72の読み取りは、磁気テープライブラリ12内で行われることが多い。この場合、磁気テープライブラリ12内は、外部に比べて暗いため、読み取りのための補助ライト(図示省略)からの光がラベル72に照射されることがある。ここで、ライブラリ内のレイアウトによっては、ラベル72とバーコードリーダ64との位置関係が制限される。例えば、ラベル72とバーコードリーダ64との距離が近くなる。この結果、正反射光がバーコードリーダ64に入射しやすくなり、バーコード46Aの読取不良が生じやすくなる。本構成は、このような場合に読み取り不良の発生を抑制する。
【0094】
また、本実施形態に係るカートリッジ管理システム10では、磁気テープカートリッジ20において、ラベル72のコート層72Cの光沢度が7以下とされている。これにより、光沢度が7より大きい場合と比較して、ラベル72において反射する光が散乱されやすくなる。この結果、磁気テープカートリッジ20のラベル72に印刷された識別子46を読み取る場合に、読み取り不良の発生を抑制することが実現される。
【0095】
また、本実施形態に係るカートリッジ管理システム10では、磁気テープカートリッジ20において、コート層72Cの表面形状の制御には、平均粒径が10μm以上の粒子の添加が含まれる。これにより、例えば、コート層72Cに対して粗化処理などの後処理を施すことによって表面形状を制御する場合と比較して、表面形状を制御することが容易になる。
【0096】
また、本実施形態に係るカートリッジ管理システム10では、磁気テープカートリッジ20において、コート層72Cに対して添加剤76としてSiO粒子が添加されている。SiO粒子は、一般に化学的に安定かつ比較的安価な材料から成る粒子なので、表面形状を制御することが容易になり、コストも低減できる。
【0097】
また、本実施形態に係るカートリッジ管理システム10では、磁気テープカートリッジ20に表示される識別子46は、バーコード46Aを含む。従って、本構成によれば、識別子46が、文字列46Bのみから成る場合と比較して、磁気テープカートリッジ20を識別することが容易となる。
【0098】
(変形例1)
上記実施形態では、コート層72Cの表面形状の制御において、表面突起周期Rsmを制御する形態例を挙げて説明したが、本開示の技術は、これに限定されない。本第1変形例では、コート層72Cの表面形状の制御において、表面突起周期Rsmの制御に加えて、表面突起高さの制御が行われる。
【0099】
本第1変形例では、コート層72Cの表面形状の制御において、表面突起高さの分布において、予め定められた値以上の突起高さを有する制御を行う。具体的には、コート層72Cの添加剤としてSiO粒子(ここでは、粒径10μm)を添加することにより、表面突起高さの制御をする。図13は、表面突起高さの分布(以下単に「突起高さ分布」とも称する)と、光沢度、及び読取不良の関係の一例を示す図である。ここで、表面突起高さの分布とは、コート層72Cの表面における突起高さのヒストグラムである。先ず、一例として図13の<A>に示すように、表面突起高さの制御を行わない場合には、突起高さ分布において、表面突起高さは5μm以下に分布している。そして、この場合の光沢度は、7.2を示しており、バーコード46Aの読み取り不良が発生している。
【0100】
一例として図13の<B>に示すように、表面突起高さの制御を行う(例えば、SiO粒子(ここでは、粒径10μm)を添加する)ことによって、コート層72Cには、突起高さ分布において、10μm以上の突起高さが存在している。この場合の光沢度は、2.4を示しており、バーコード46Aの読み取り不良は、発生していない。
【0101】
また、一例として図13の<C>に示すように、表面突起高さの制御を行うことによって、コート層72Cには、突起高さ分布において、10μm以上の突起高さが存在している。この場合の光沢度は、4.9を示しており、バーコード46Aの読み取り不良は、発生していない。
【0102】
さらに、一例として図13の<D>に示すように、表面突起高さの制御を行うことによって、コート層72Cには、突起高さ分布において、10μm以上の突起高さが存在している。この場合の光沢度は、5.0を示しており、バーコード46Aの読み取り不良は、発生していない。
【0103】
このように、コート層72Cの表面形状の制御において、表面突起周期Rsmの制御に加えて、表面突起高さの制御を行うことで、突起高さ分布において、10μm以上の成分が存在する。表面突起高さの分布において、10μm以上の突起高さが存在することは、表面において、比較的大きな凹凸が部分的であっても存在することを意味する。凹凸の存在によって、ラベル72において反射される光が散乱されるので、光沢度が低減される。その結果、バーコード46Aの読み取り不良が抑制される。なお、表面突起高さの分布において、表面突起高さの上限は、例えば、20μmである。
【0104】
以上説明したように、本第1変形例に係るカートリッジ管理システム10では、磁気テープカートリッジ20において、表面突起高さの分布が制御される。ラベル72のコート層72Cの表面突起高さ分布において、予め定められた値以上の表面突起高さを有している。これにより、光沢度が7より大きい場合と比較して、ラベル72において反射する光が散乱されやすくなる。この結果、磁気テープカートリッジ20のラベル72に印刷された識別子46を読み取る場合に、読み取り不良の発生を抑制することが実現される。
【0105】
また、本第1変形例に係るカートリッジ管理システム10では、磁気テープカートリッジ20において、コート層72Cは、表面突起高さ分布において、10μm以上の表面突起高さを有している。コート層72Cが、表面突起高さ分布において10μm以上の高さを有することで、10μm以上の高さの表面突起がない場合と比較して、ラベル72において反射する光が散乱されやすくなる。これにより、磁気テープカートリッジ20のラベル72に印刷された識別子46を読み取る場合に、読み取り不良の発生を抑制することが実現される。
【0106】
(変形例2)
上記実施形態では、識別子46としてバーコード46Aが表示される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。本第2変形例では、識別子46としてバーコード46Aに代えて、二次元マトリクス画像46Cが表示される。
【0107】
一例として図14に示すように、磁気テープカートリッジ20のケース36の表面には、識別子46が表示されている。図14に示す例では、ケース36の後壁36Cの表面に識別子46が表示されている。また、識別子46は、二次元マトリクス画像46Cを含んでいる。二次元マトリクス画像46Cは、磁気テープカートリッジ20を識別するための情報(例えば、ユーザによって付与された磁気テープカートリッジ20を管理するための通し番号等)を示す二次元画像である。二次元マトリクス画像46Cは、本開示の技術に係る「二次元マトリクス画像」の一例である。
【0108】
以上説明したように、本第2変形例に係るカートリッジ管理システム10では、識別子46は、二次元マトリクス画像46Cを含んでいる。従って、本構成によれば、磁気テープカートリッジ20を識別することが容易になる。例えば、識別子46が文字列のみから成る場合と比較して、磁気テープカートリッジ20を識別することが容易になる。
【0109】
なお、本第2変形例において、識別子46が、二次元マトリクス画像46Cを含む形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、識別子46は、二次元マトリクス画像46Cとともに、バーコード46Aを含む態様であってもよい。また、識別子46は、二次元マトリクス画像46C及びバーコード46Aに代えて、又は二次元マトリクス画像46C及びバーコード46Aとともに、ドットコードを含む態様であってもよい。
【0110】
上記実施形態では、ラベル72が粘着層72Aを有し、粘着層72Aを介してラベル72が磁気テープカートリッジ20に取り付けられる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術は、これに限定されない。例えば、ラベル72の基材72Bの裏面に、ラベル72とは別体の両面テープが貼り付けられることで、ラベル72が磁気テープカートリッジ20に取り付けられてもよい。また、ラベル72が粘着層72Aを有さず、ラベル72が磁気テープカートリッジ20に締結部材(例えば、ビス)で固定されてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、ラベル72が台紙73からはがされて、磁気テープカートリッジ20に貼り付けられる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術は、これに限定されない。ラベル72は、工場出荷時に既に磁気テープカートリッジ20に貼り付けられていてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、カートリッジ管理システム10は、磁気テープライブラリ12、ライブラリコントローラ14及びホストコンピュータ16を備える形態例を挙げて説明したが、本開示の技術は、これに限定されない。磁気テープライブラリ12は、ホストコンピュータ16及びライブラリコントローラ14と同等の機能を備えた一台の外部制御装置により制御される態様であってもよい。また、磁気テープライブラリ12は、ホストコンピュータ16及びライブラリコントローラ14と同等の機能を備えた一台の制御装置を備える態様であってもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、ストレージ58に読取制御処理プログラム58Aが記憶されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、読取制御処理プログラム58AがSSD又はUSBメモリなどの可搬型の記憶媒体に記憶されていてもよい。記憶媒体は、非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体である。記憶媒体に記憶されている読取制御処理プログラム58Aは、ライブラリコントローラ14のコンピュータ15にインストールされる。プロセッサ56は、読取制御処理プログラム58Aに従って読取制御処理を実行する。
【0114】
また、上記実施形態では、コンピュータ15が例示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、コンピュータ15に代えて、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、コンピュータ15に代えて、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
【0115】
また、上記実施形態で説明した読取制御処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、読取制御処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電子回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで読取制御処理を実行する。
【0116】
読取制御処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、読取制御処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0117】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、読取制御処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、読取制御処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、読取制御処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0118】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電子回路を用いることができる。また、上記の処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0119】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0120】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0121】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0122】
上記実施形態に関し、さらに以下を開示する。
<付記1>
ケースの表面に設けられたラベルを備え、
上記ラベルは、
上記ケースに取り付けられた基材の表面に形成され、かつ表面形状の制御によって、上記ラベルにおいて反射する光を散乱させるコート層であって、磁気テープカートリッジを識別するための識別子が印刷されているコート層を含み、
上記表面形状の制御によって、上記コート層は、表面突起の平均周期が400μm以下とされている
磁気テープカートリッジ。
<付記2>
上記表面形状の制御によって、上記コート層は、表面突起高さ分布において、予め定められた値以上の表面突起高さを有している
付記1に記載の磁気テープカートリッジ。
<付記3>
上記コート層は、上記表面突起高さ分布において、10μm以上の表面突起高さを有している
付記2に記載の磁気テープカートリッジ。
<付記4>
上記表面形状の制御によって、上記コート層は、光沢度が7以下とされている
付記1から付記3の何れか一つに記載の磁気テープカートリッジ。
<付記5>
上記表面形状の制御は、上記コート層への粒子の添加を含み、
上記粒子は、平均粒径が10μm以上とされている
付記1から付記4の何れか一つに記載の磁気テープカートリッジ。
<付記6>
上記粒子は、SiO粒子とされている
付記5に記載の磁気テープカートリッジ。
<付記7>
上記識別子は、一次元画像及び/又は二次元マトリクス画像を含む
付記1から付記6の何れか一つに記載の磁気テープカートリッジ。
<付記8>
磁気テープカートリッジのケースに取り付けられる基材と、
上記基材の表面に形成され、かつ表面形状の制御によって、磁気テープカートリッジ識別用ラベルにおいて反射する光を散乱させるコート層であって、上記磁気テープカートリッジを識別するための識別子が印刷されているコート層と、を含み、
上記表面形状の制御によって、上記コート層は、表面突起の平均周期が400μm以下とされている
磁気テープカートリッジ識別用ラベル。
【符号の説明】
【0123】
10 カートリッジ管理システム
12 磁気テープライブラリ
14 ライブラリコントローラ
15 コンピュータ
16 ホストコンピュータ
16A プロセッサ
16B ストレージ
16C RAM
16D バス
16E 受付デバイス
16F モニタ
20 磁気テープカートリッジ
22 収納棚
24 カートリッジ収納セル
25、27 両矢印
26 ドライブ収納セル
28 搬送機構
28A 上部バー
28B 下部バー
28C 水平方向可動ロボット
28D 鉛直バー
28E 鉛直方向可動ロボット
30 磁気テープドライブ
36 ケース
36A 右壁
36B 開口
36C 後壁
38 上ケース
40 下ケース
42 送出リール
42A リールハブ
42B2 下フランジ
42B1 上フランジ
44 カートリッジメモリ
46 識別子
46A バーコード
46B 文字列
46C 二次元マトリクス画像
48 テープ搬送装置
48A 送出モータ
48B 巻取リール
48C 巻取モータ
50 磁気ヘッド
50A 磁気素子ユニット
50B ホルダ
52 制御装置
54 非接触式読み書き装置
56 プロセッサ
56A 読取制御部
56B 取得部
58 ストレージ
58A 読取制御処理プログラム
60 RAM
62 バス
64 バーコードリーダ
64A 受光装置
64B 光源
64C 駆動装置
69 識別情報
72 ラベル
72A 粘着層
72B 基材
72C コート層
73 台紙
74 バインダ
76 添加剤
76A SiO粒子
77 ラベル用紙
78 読み取り波形
GR ガイドローラ
Lr 戻り光
Ls 出射光
MF 磁界
MT 磁気テープ
R 反射率
Rsm 表面突起の平均周期
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14