(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120073
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】レーザ光源の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02253 20210101AFI20240827BHJP
H01S 5/023 20210101ALI20240827BHJP
【FI】
H01S5/02253
H01S5/023
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024101845
(22)【出願日】2024-06-25
(62)【分割の表示】P 2020079466の分割
【原出願日】2020-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】出島 範宏
(72)【発明者】
【氏名】松尾 英典
(72)【発明者】
【氏名】大森 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】竹田 英明
(57)【要約】
【課題】レーザダイオードチップとレンズとの位置ずれが生じにくいレーザ光源を提供する。
【解決手段】レーザ光源の製造方法は、出射面を有するレーザダイオードチップが固着される主平面と、前記レーザダイオードチップの前記出射面の両側に位置する一対のレンズ支持部と、を持つサブマウントを準備する工程と、レンズを準備する工程と、前記サブマウントにおける前記一対のレンズ支持部が有する端面を、基準面に対して平行に調整する工程と、前記レンズが有する接合面を、前記基準面に対して平行に調整する工程と、前記一対のレンズ支持部の前記端面および前記レンズの前記接合面を前記基準面に対して平行に維持した状態で、前記一対のレンズ支持部の前記端面と、前記レンズの前記接合面とを無機接合材で接合させる工程と、を含む。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射面を有するレーザダイオードチップが固着される主平面と、前記レーザダイオードチップの前記出射面の両側に位置する一対のレンズ支持部と、を持つサブマウントを準備する工程と、
接合面を有するレンズを準備する工程と、
前記サブマウントにおける前記一対のレンズ支持部が有する端面を、基準面に対して平行に調整する工程と、
前記レンズの前記接合面を、前記基準面に対して平行に調整する工程と、
前記一対のレンズ支持部の前記端面および前記レンズの前記接合面を前記基準面に対して平行に維持した状態で、前記一対のレンズ支持部の前記端面と、前記レンズの前記接合面とを無機接合材で接合させる工程と、
を含むレーザ光源の製造方法。
【請求項2】
前記一対のレンズ支持部の前記端面に第1金属膜を設ける工程をさらに含み、
前記一対のレンズ支持部の前記端面を前記基準面に対して平行に調整する工程は、前記第1金属膜にレーザ光を出射し、前記第1金属膜で反射されたレーザ光に基づいて、前記一対のレンズ支持部の前記端面の、前記基準面に対する傾きを低減する工程を含む、請求項1に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項3】
前記第1金属膜は、Auを含む、請求項2に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項4】
前記レンズの前記接合面に第2金属膜を設ける工程をさらに含み、
前記レンズの前記接合面を前記基準面に対して平行に調整する工程は、前記第2金属膜にレーザ光を出射し、前記第2金属膜で反射されたレーザ光に基づいて、前記レンズの前記接合面の、前記基準面に対する傾きを低減する工程を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項5】
前記第2金属膜は、Auを含む、請求項4に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項6】
前記無機接合材は、AuSnを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項7】
出射面を有するレーザダイオードチップが固着される主平面と、前記レーザダイオードチップの前記出射面の両側に位置する一対のレンズ支持部と、を持つサブマウントを準備する工程と、
レンズを準備する工程と、
前記サブマウントにおける前記一対のレンズ支持部の端面と、前記レンズの接合面とを無機接合材を介して接続する工程と、
前記サブマウントを加熱する工程と、
レーザ照射によって前記無機接合材を加熱する工程と、
を含むレーザ光源の製造方法。
【請求項8】
前記サブマウントを加熱する工程は、前記サブマウントをヒータで加熱する工程を含む、請求項7に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項9】
前記サブマウントを加熱する工程は、前記レーザダイオードチップがレーザ光を出射することによって発する熱で前記サブマウントを加熱する工程を含む、請求項7に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項10】
前記レーザ照射によって前記無機接合材を加熱するとき、加熱された前記サブマウントの温度は、200℃以下である、請求項7から9のいずれか一項に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項11】
前記レーザ照射によって前記無機接合材を加熱する工程は、前記レンズを通して、前記無機接合材にレーザ光を照射する工程を含む、請求項7から10のいずれか一項に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項12】
前記一対のレンズ支持部の前記端面に第1金属膜を設ける工程と、
前記レンズの前記接合面に第2金属膜を設ける工程と、
をさらに含む、請求項7から11のいずれか一項に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項13】
前記第1金属膜および前記第2金属膜はAuを含み、
前記無機接合材は、AuSnを含む、請求項12に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項14】
前記サブマウントは、一対の断熱材をさらに含み、
前記一対の断熱材は、それぞれ、前記サブマウント内の、前記一対のレンズ支持部から前記レーザダイオードチップが固着される部分までの経路の途中に設けられている、請求項1から13のいずれか一項に記載のレーザ光源の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ光源の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光源は、加工、プロジェクタ、および照明器具などの様々な用途に利用される。このようなレーザ光源の典型例は、レーザダイオードチップ、レーザダイオードチップを支持するサブマウント、レーザダイオードチップから出射されるレーザ光の発散角を低減するコリメートレンズを備える(例えば、特許文献1)。レーザダイオードチップ、サブマウントおよびコリメートレンズ等のレンズが半導体レーザパッケージに収容される場合、レーザ光が大きく発散する前に、小さいレンズによってレーザ光をコリメート等することが可能になる。一方で、レーザダイオードチップとレンズとの少しの位置ずれにより、レーザ光源から外部に出射されるレーザ光の光軸の向きが大きくずれる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザダイオードチップとレンズとの位置ずれが生じにくいレーザ光源が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のレーザ光源の製造方法は、一実施形態において、出射面を有するレーザダイオードチップが固着される主平面と、前記レーザダイオードチップの前記出射面の両側に位置する一対のレンズ支持部と、を持つサブマウントを準備する工程と、接合面を有するレンズを準備する工程と、前記サブマウントにおける前記一対のレンズ支持部が有する端面を、基準面に対して平行に調整する工程と、前記レンズの前記接合面を、前記基準面に対して平行に調整する工程と、前記一対のレンズ支持部の前記端面および前記レンズの前記接合面を前記基準面に対して平行に維持した状態で、前記一対のレンズ支持部の前記端面
と、前記レンズの前記接合面とを無機接合材で接合させる工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、レーザダイオードチップとレンズとの位置ずれが生じにくいレーザ光源を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、本開示の実施形態1におけるレーザ光源100の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1Aのレーザ光源100から半導体レーザパッケージ40および一対のリード端子50を省略した構成のより詳細を示す斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の実施形態1の変形例1におけるレーザ光源110の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の実施形態1の変形例2におけるレーザ光源120の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の実施形態1の変形例3におけるレーザ光源130の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、本開示の実施形態1の変形例4におけるレーザ光源140の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、本開示の実施形態1の変形例5におけるレーザ光源150の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図7D】
図7Dは、コレット60を用いて、
図7Aのレーザ光源150におけるコリメートレンズ30をサブマウント20に接合する様子を模式的に示す斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、本開示の実施形態1の変形例6におけるレーザ光源160の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、本開示の実施形態1の変形例7におけるレーザ光源170の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図10A】
図10Aは、本開示の実施形態2におけるレーザ光源200の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図11A】
図11Aは、本開示の実施形態2の変形例1におけるレーザ光源210の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図12A】
図12Aは、本開示の実施形態2の変形例2におけるレーザ光源220の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図13A】
図13Aは、本開示の実施形態2の変形例3におけるレーザ光源230の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図14A】
図14Aは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、有機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【
図14B】
図14Bは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、有機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【
図14C】
図14Cは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、有機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【
図14D】
図14Dは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、有機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【
図14E】
図14Eは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、有機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【
図15A】
図15Aは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、無機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【
図15B】
図15Bは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、無機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【
図15C】
図15Cは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、無機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【
図15D】
図15Dは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、無機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【
図15E】
図15Eは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、無機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【
図15F】
図15Fは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、無機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【
図15G】
図15Gは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、無機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態におけるレーザ光源を詳細に説明する。
複数の図面に表れる同一符号の部分は同一または同等の部分を示す。
【0009】
さらに以下は、本開示の技術思想を具体化するために例示しているのであって、本開示を以下に限定しない。また、構成要素の寸法、材質、形状、その相対的配置などの記載は、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図している。各図面が示す部材の大きさや位置関係などは、理解を容易にするなどのために誇張している場合がある。
【0010】
(実施形態1)
まず、
図1Aから
図2Cを参照して、本開示の実施形態1におけるレーザ光源の基本的な構成例を説明する。
【0011】
図1Aは、本開示の実施形態1におけるレーザ光源100の構成例を模式的に示す斜視図である。
図1Bは、
図1Aのレーザ光源100の平面構成を模式的に示す図である。本実施形態におけるレーザ光源100は、レーザダイオードチップ10と、レーザダイオードチップ10を支持するサブマウント20と、サブマウント20に支持されたコリメートレンズ30と、これらの素子または部品を収容する半導体レーザパッケージ40と、を備える。また、本実施形態におけるレーザ光源100は、半導体レーザパッケージ40を貫通し、レーザダイオードチップ10に電力を供給する一対のリード端子50を備える。半導体レーザパッケージ40は、蓋体40L、基体40b、および透光窓40wを含む。本実施形態におけるレーザ光源100において、レーザダイオードチップ10から出射され、コリメートレンズ30によってコリメートされたレーザ光が、透光窓40wから外部に取り出される。
【0012】
図1Aでは、説明のわかりやすさのために半導体レーザパッケージ40における蓋体40L、基体40b、および透光窓40wが分離された状態で記載されているが、実際にはこれらは接合されている。
図1Bでは、半導体レーザパッケージ40における蓋体40Lの記載が省略されている。
【0013】
図面では、参考のために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が模式的に示されている。説明のわかりやすさのため、本開示では、基体40b内におけるレーザダイオードチップ10、サブマウント20、およびコリメートレンズ30が位置する側を「上」と表現する場合がある。このことは、レーザ光源100の使用時における向きを制限するわけではなく、レーザ光源100の向きは任意である。
【0014】
図2Aは、
図1Aのレーザ光源100から半導体レーザパッケージ40および一対のリード端子50を省略した構成のより詳細を示す斜視図である。
図2Aにおいて破線によって囲まれた領域は、サブマウント20に配置されたレーザダイオードチップ10の詳細な構造の例を表している。
図2Aでは、サブマウント20およびコリメートレンズ30は分離された状態で記載されているが、実際にはこれらは接合されている。
図2Bは、
図2Aのレーザ光源100を模式的に示す上面図である。
図2Cは、
図2Bの構成のYZ平面に平行なIIC-IIC線断面図である。本開示では、サブマウント20を基準として、コリメートレンズ30が位置する側を「前方」と表現する場合がある。
【0015】
図2Aに示すように、レーザダイオードチップ10は、端面出射型のレーザダイオードチップであり、第1のクラッド層10C
1、第2のクラッド層10C
2、および発光層10Lを含む半導体積層構造体10aと、半導体積層構造体10aを支持する基板10bと、発光層10Lで発生した高出力のレーザ光を出射する出射面10e
1と、出射面10e
1とは反対側の後方面10e
2とを有する。発光層10Lは、第1のクラッド層10C
1と第2のクラッド層10C
2との間に位置する。レーザダイオードチップ10は、バッファ層およびコンタクト層などの他の層を含み得る。
【0016】
レーザダイオードチップ10は、基板10bよりも発光層10Lがサブマウント20に近いフェイスダウンの状態で、サブマウント20に固定されている。レーザダイオードチップ10における半導体積層構造体10aおよび基板10bのY方向における合計のサイズは、80μm程度である。基板10bおよび第1のクラッド層10C1のY方向における合計のサイズは、第2のクラッド層10C2のY方向におけるサイズよりも大きい。フェイスダウンの状態では、基板10bよりも発光層10Lがサブマウント20から遠いフェイスアップの状態と比較して、発光層10Lとサブマウント20との距離が約10分の1である。したがって、フェイスダウンの状態では、発光層10Lから高出力のレーザ光が出射されても、発光層10Lで発生した熱を効率的にサブマウント20に伝えることができる。本実施形態におけるレーザ光の出力は、例えば3W以上50W以下である。
【0017】
半導体積層構造体10aは、例えば量子井戸のエネルギー準位を形成するダブルヘテロ構造を有し得る。発光層10Lのバンドギャップは、第1のクラッド層10C1および第2のクラッド層10C2のバンドギャップよりも小さい。本実施形態において、基板10b、および基板10b上の第1のクラッド層10C1は、それぞれn型半導体から形成され得る。発光層10Lは、真性半導体、n型半導体、またはp型半導体から形成され、発光層10L上の第2のクラッド層10C2はp型半導体から形成され得る。n型およびp型は逆であってもよい。p型クラッド層からn型クラッド層への電流注入によって発光層10Lでキャリアの反転分布が生じ、発光層10Lから光が誘導放出される。発光層10Lの屈折率は第1のクラッド層10C1および第2のクラッド層10C2の屈折率よりも高く設計されており、発光層10Lで発生した光は、全反射によって発光層10L内に閉じ込められる。発光層10Lは共振器として機能し、発光層10Lの出射面10e1からレーザ光が出射される。発光層10Lの共振器長は、出射面10e1から後方面10e2までの距離によって規定される。共振器長の方向はZ方向に対して平行である。共振器長は、例えば500μm以上5000μm以下である。共振器長が長い場合、レーザダイオードチップ10とサブマウント20との接触面積を広くすることができるので、発光層10Lで発生した熱を効率よくサブマウント20に伝えることができる。
【0018】
レーザダイオードチップ10の出射面10e1から出射されたレーザ光は、伝搬するにつれてYZ平面において速く発散し、XZ平面において遅く発散する。レーザ光のスポットは、コリメートしない場合、ファーフィールドで、XY平面においてY方向が長軸でありX方向が短軸である楕円形状を有している。
【0019】
レーザダイオードチップ10は、可視領域における紫色、青色、緑色もしくは赤色のレーザ光、または赤外もしくは紫外のレーザ光を出射し得る。紫色の発光ピーク波長は、350nm以上419nm以下の範囲内にあることが望ましく、400nm以上415nm以下の範囲内にあることがより望ましい。青色光の発光ピーク波長は、420nm以上494nm以下の範囲内にあることが望ましく、440nm以上475nm以下の範囲内にあることがより望ましい。紫色または青色のレーザ光を出射する半導体レーザ素子としては、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、およびAlGaNを用いることができる。緑色光の発光ピーク波長は、495nm以上570nm以下の範囲内にあることが望ましく、510nm以上550nm以下の範囲内にあることがより望ましい。緑色のレーザ光を出射する半導体レーザ素子としては、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、およびAlGaNを用いることができる。赤色光の発光ピーク波長は、605nm以上750nm以下の範囲内にあることが望ましく、610nm以上700nm以下の範囲内にあることがより望ましい。赤色のレーザ光を出射する半導体レーザ素子としては、例えば、InAlGaP系、GaInP系、GaAs系およびAlGaAs系の半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。赤色光の半導体レーザ素子として、2以上の導波路領域を備える半導体レーザ素子が用いられ得る。これらの半導体を含む半導体レーザ素子は、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子と比べて、熱によって出力が低下しやすい。導波路領域を増やすことによって熱を分散させて半導体レーザ素子の出力低下を低減することができる。
【0020】
サブマウント20は、レーザダイオードチップ10が固着された主平面20s
1と、レーザダイオードチップ10の出射面10e
1の両側に位置する一対のレンズ支持部20LSと、主平面20s
1の反対側に位置する裏面20s
2と、主平面20s
1と裏面20s
2とをつなぐ前方端面20feとを有する。主平面20s
1および前方端面20feが主平面20s
1のエッジ20edを規定する。
図2Aに示す例において、一対のレンズ支持部20LSは、レーザダイオードチップ10の両側に位置してZ方向に延びる一対の凸部である。サブマウント20は、前方端面20feよりも後ろでは、Z方向に延びる以下のU字型形状を有する。このU字型形状は、YZ平面に平行な平面に関して鏡面対称でありZ方向に延びる角筒体をXZ平面に平行な平面によって分割して形成される。一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seは、レーザダイオードチップ10の出射面10e
1よりも共振器長方向に突出している。主平面20s
1の法線方向は、Y方向に対して平行である。
【0021】
一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seと、レーザダイオードチップ10の出射面10e1とのZ方向における距離は、コリメートレンズ30の焦点距離にほぼ等しくなるように設計され得る。一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seと、レーザダイオードチップ10の出射面10e1とのZ方向における距離は、例えば50μm以上100μm以下である。一対のレンズ支持部20LSのY方向におけるサイズは、コリメートレンズ30のY方向におけるサイズと同程度であり得る。一対のレンズ支持部20LSのY方向におけるサイズは、コリメートレンズ30のY方向におけるサイズよりも大きくてもよいし、等しくてもよいし、小さくてもよい。一対のレンズ支持部20LSのY方向におけるサイズは、例えば100μm以上500μm以下である。
【0022】
サブマウント20のX方向におけるサイズは、例えば1mm以上3mm以下であり、サブマウント20のうち、一対のレンズ支持部20LS以外の部分のY方向におけるサイズは、例えば100μm以上500μm以下であり、一対のレンズ支持部20LS以外の部分のZ方向におけるサイズは、例えば1mm以上6mm以下である。本開示において、サイズの上限は、レーザ光源100の小型化の観点から決定され得る。
【0023】
サブマウント20において、レーザダイオードチップ10の出射面10e1は、主平面20s1のエッジ20edよりも共振器長方向に突出している。レーザダイオードチップ10の出射面10e1と、主平面20s1のエッジ20edとのZ方向における距離は、例えば2μm以上50μm以下である。この配置により、フェイスダウンの状態で、レーザダイオードチップ10とサブマウント20の主平面20s1とが、例えばAuSnなどの無機材料の接合材で固着されても、接合材が発光層10Lの出射面10e1にせり上がることを抑制することができる。特許文献1に開示されているレーザ光源では、レーザダイオードチップがフェイスダウンの状態で配置される場合、レーザダイオードチップとサブマウントとを接合する接合材が、レーザダイオードチップにおける発光層の出射面10e1にせり上がる可能性がある。その結果、レーザダイオードチップから出射されるレーザ光の出力が低下し得る。本実施形態におけるレーザ光源100では、このようなレーザ光の出力の低下を抑制することができる。
【0024】
サブマウント20の一部または全体は、例えば、AlN、SiC、およびアルミナからなる群から選択される少なくとも1つを含むセラミックおよびCuWなどの合金から形成され得る。サブマウント20は、例えばセラミックの粉末を焼結することによって作製することができる。セラミックの熱伝導率は、例えば、10[W/m・K]以上500[W/m・K]以下であり得る。また、レーザダイオードチップ10の固着時に加えられる熱による変形を抑制するために、セラミックは低い熱膨張率を有し得る。熱膨張率は、2×10-6[1/K]以上1×10-5[1/K]以下であり得る。サブマウント20における主平面20s1および裏面20s2には、厚さが例えば0.5μm以上10μm以下である金属膜が形成されていてもよい。サブマウント20における主平面20s1および裏面20s2には、例えば、Auメッキ加工が施され得る。主平面20s1に形成された金属膜により、レーザダイオードチップ10を主平面20s1に例えばAuSnで接合することができる。裏面20s2に形成された金属膜により、サブマウント20を底部40b1に例えばAuSnで接合することができる。
【0025】
コリメートレンズ30は、レーザダイオードチップ10から出射されたレーザ光のうち、YZ平面において大きく発散する成分をコリメートする、いわゆるFAC(Fast Axis Collimator)レンズである。レーザ光のうち、XZ平面において小さく発散する成分をコリメートする、不図示のいわゆるSAC(Slow Axis Collimator)レンズは必要に応じてレーザ光源100の外部に配置され得る。本開示において、「コリメートする」とは、レーザ光を平行光にすることだけではなく、レーザ光の発散角を低減することも含む。なお、用途によっては、コリメートレンズ30の代わりに、集光レンズなどの他のレンズを用いてもよい。
【0026】
コリメートレンズ30は、X方向に延びる構造を有するシリンドリカルレンズであり、X方向には曲率を有さず、Y方向に曲率を有する。コリメートレンズ30が延びる方向は、サブマウント20の主平面20s1の法線方向、および共振器長方向の両方に垂直な方向である。コリメートレンズ30および一対のレンズ支持部20LSのY方向におけるサイズは同程度であるので、コリメートレンズ30の重心が、共振器長方向から見たとき、一対のレンズ支持部20LSの間に位置するように設けることが容易である。コリメートレンズ30の重心のこの配置関係により、コリメートレンズ30を安定的により正確にサブマウント20に設けることができる。
【0027】
本実施形態では、サブマウント20における裏面20s2を基準とした場合、一対のレンズ支持部20LSの上面のY方向における高さは、コリメートレンズ30の上面のY方向における高さにほぼ等しい。一対のレンズ支持部20LSに対するコリメートレンズ30の位置は、上記の2つの高さがほぼ等しくなるように粗調整される。その後、レーザダイオードチップ10からレーザ光を出射させながら、当該レーザ光が適切にコリメートされるように、一対のレンズ支持部20LSに対するコリメートレンズ30の位置が微調整される。なお、上記の2つの高さは必ずしもほぼ等しい必要はなく、異なっていてもよい。
【0028】
本実施形態におけるコリメートレンズ30はX方向に沿って一様であるので、レーザダイオードチップ10の出射面10e1と、コリメートレンズ30とのX方向における位置合わせを考慮する必要はない。コリメートレンズ30のうち、レーザダイオードチップ10の出射面10e1に対向する対向部分およびその周辺部分だけがX方向に沿って一様であればよい。したがって、それ以外の両側部分は、必ずしもX方向に沿って一様である必要はなく、透明である必要もない。コリメートレンズ30の両側部分のY方向におけるサイズは、対向部分およびその周辺部分のY方向におけるサイズよりも大きくてもよいし、等しくてもよいし、小さくてもよい。コリメートレンズ30は、例えば、ガラス、石英、合成石英、サファイア、透明セラミック、およびプラスチックの少なくとも1つから形成され得る。
【0029】
コリメートレンズ30は、一対のレンズ支持部20LSの端面20seに、Z方向に接合されている。コリメートレンズ30と一対のレンズ支持部20LSの端面20seとを接合する接合材の厚さに多少のばらつきがあっても、そのばらつきはコリメートレンズ30のY方向における位置にはほとんど影響を及ぼさない。本実施形態の構成とは異なり、主平面20s1に平行な平面を有する台座をサブマウント20の前に配置し、その台座の平面上にコリメートレンズ30を設けることも可能である。しかし、そのような構成では、コリメートレンズ30と台座の平面との間の接合材の厚さにばらつきが生じると、レーザダイオードチップ10とコリメートレンズ30とのY方向における位置ずれが生じ、レーザ光源100から外部に出射されたレーザ光の光軸の向きが大きくずれる可能性がある。これに対し、本実施形態では、レーザダイオードチップ10とコリメートレンズ30とのY方向における位置ずれが生じにくくなり、レーザ光源100から外部に出射されたレーザ光の光軸を設計通りの方向に向けることができる。接合材の厚さに多少のばらつきが発生しても、コリメートレンズ30の位置はレーザ光の光軸に沿って多少変化するだけなので、そのばらつきはレーザ光の光軸の向きにほとんど影響を及ぼさない。
【0030】
コリメートレンズ30と、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとは、例えばAuSnなどの無機材料の接合材で接合され得る。コリメートレンズ30の接合面、および一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seには、前もって金属膜が形成されていてもよい。これらの金属膜により、例えばAuSnでの接合が可能になる。AuSnの接合温度は、約280℃である。サブマウント20を形成するセラミックの熱伝導率が低ければ、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとコリメートレンズ30との接合時に接合材に加えられる熱がレーザダイオードチップ10に与える影響を低減することができる。
【0031】
他の例として、コリメートレンズ30と、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとは、熱硬化樹脂を含む接合材で接合され得る。熱硬化樹脂の接合温度は約100℃であり、無機材料の接合温度よりも低い。したがって、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとコリメートレンズ30との接合時に接合材に加えられる熱がレーザダイオードチップ10に与える影響をさらに低減することができる。コリメートレンズ30と、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとの接合では、熱硬化樹脂は、例えば、
図2Aに示す点Pの位置をレーザ光で照射することによって加熱され得る。点Pの位置と、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとのZ方における距離は、例えば50μm以上500μm以下である。本実施形態では、上面視で、レーザダイオードチップ10から出射されたレーザ光の光軸と、接合材とが重ならないので、熱硬化樹脂を含む接合材からアウトガスが発生したとしても、アウトガスがレーザダイオードチップ10に近づくことを抑制することができる。その結果、レーザダイオードチップ10の出射面10e
1において後述する集塵が生じることを抑制することができる。
【0032】
一部の無機材料の接合材は、バインダとして有機物を含み得る。コリメートレンズ30と一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとの接合に当該接合材を用いても、加熱によって発生するアウトガスがレーザダイオードチップ10に近づくことを抑制することができる。
【0033】
本実施形態におけるレーザ光源100では、サブマウント20が、レーザダイオードチップ10およびコリメートレンズ30を支持している。レーザダイオードチップ10の出射面10e1とコリメートレンズ30との距離が短いことから、レーザダイオードチップ10から出射されたレーザ光が大きく発散する前に、小さいコリメートレンズ30によってその発散を低減することができる。したがって、小型のレーザ光源100を実現することが可能になる。また、コリメートレンズ30を通過したコリメートビームの直径を小さくすることが可能になる。
【0034】
半導体レーザパッケージ40は、レーザダイオードチップ10、サブマウント20、およびコリメートレンズ30を気密に封止してもよい。レーザダイオードチップ10が、例えば350nm以上570nm以下の短波長のレーザ光を出射する場合、雰囲気に含まれる有機ガス成分などがレーザ光によって分解され、分解物がレーザダイオードチップ10の出射面10e1に付着することがある。また、レーザダイオードチップ10の出射面10e1が外気に接していると、集塵などにより、動作中に出射面10e1の劣化が進行していく可能性もある。このような出射面10e1の劣化は、レーザダイオードチップ10の光出力の低下を招き得る。レーザダイオードチップ10の信頼性を高めて寿命を延ばすため、半導体レーザパッケージ40は、レーザダイオードチップ10を気密に封止していることが望ましい。半導体レーザパッケージ40による気密封止は、レーザダイオードチップ10から出射されるレーザ光の波長の長短にかかわらず行われてもよい。
【0035】
半導体レーザパッケージ40における基体40bは、サブマウント20の裏面20s
2に熱的に接触する。基体40bは、熱伝導率の高い材料から形成され得る。当該材料は、例えば、Cu、Al、Ag、Fe、Ni、Mo、Cu、W、およびCuMoからなる群から選択される少なくとも1つを含む金属である。レーザダイオードチップ10の出射面10e
1と透光窓40wとの高さを合わせるために、基体40bにおける底面40btと、サブマウント20との間に、
図1Bに示すように、熱伝導率が高い部材40mが設けられていてもよい。部材40mは、基体40bの底面40btを含む部分と同じ材料から形成され得る。あるいは、基体40bにおける底面40btの少なくとも一部が盛り上がっており、その盛り上がった底面40bt上にサブマウント20を配置してもよい。基体40bにおける底面40btを含む部分は、例えば銅から形成され得る。基体40bにおけるレーザダイオードチップ10、サブマウント20およびコリメートレンズ30を囲む部分は、例えばコバールから形成され得る。コバール(kovar)は、主成分である鉄にニッケルおよびコバルトを加えた合金である。半導体レーザパッケージ40における蓋体40Lは、基体40bと同じ材料から形成されてもよいし、異なる材料から形成されてもよい。半導体レーザパッケージ40における透光窓40wは、基体40bに取り付けられ、レーザダイオードチップ10から出射されたレーザ光を透過させる。半導体レーザパッケージ40における透光窓40wは、コリメートレンズ30と同様に、例えば、ガラス、石英、合成石英、サファイア、透明セラミック、およびプラスチックの少なくとも1つから形成され得る。
【0036】
一対のリード端子50は、それぞれ、レーザダイオードチップ10に、ワイヤによって以下のように電気的に接続されている。
図2Aに示す例において、レーザダイオードチップ10の上面には、金属膜が形成される。当該金属膜と一対のリード端子50の一方とがワイヤによって電気的に接続される。同様に、サブマウント20の主平面20s
1にも、金属膜が形成される。当該金属膜と一対のリード端子50の他方とがワイヤによって電気的に接続される。例えば、レーザダイオードチップ10の上面およびサブマウント20の主平面20s
1には、Auメッキ加工が施され得る。一対のリード端子50によってレーザダイオードチップ10における第2のクラッド層10C
2から第1のクラッド層10C
1に電流が注入される。一対のリード端子50は、レーザダイオードチップ10から出射されるレーザ光の出射タイミングおよび出力を調整する不図示の外部回路に電気的に接続されている。一対のリード端子50は、導通性のよい材料から形成されている。当該材料として、例えばFe-Ni合金、またはCu合金などの金属が挙げられる。
【0037】
本実施形態におけるレーザ光源100では、サブマウント20が、一対のレンズ支持部20LSの間の主平面20s1によってレーザダイオードチップ10を支持し、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seによってコリメートレンズ30を支持している。これにより、前述したように、レーザダイオードチップ10とコリメートレンズ30との位置合わせが容易になり、小型のレーザ光源100を実現することが可能になる。さらに、本実施形態におけるレーザ光源100では、レーザダイオードチップ10がサブマウント20にフェイスダウンの状態で配置されても、接合材がレーザダイオードチップ10の出射面10e1にせり上がることを抑制することができる。
【0038】
(実施形態1の変形例)
次に、本開示の実施形態1におけるレーザ光源100の変形例1から変形例7を説明する。以下の変形例では、半導体レーザパッケージ40、および一対のリード端子50の記載が省略されている。前述と重複する説明は省略することがある。
【0039】
図3Aから
図3Cを参照して、本開示の実施形態1の変形例1におけるレーザ光源110の構成例を説明する。
図3Aは、本開示の実施形態1の変形例1におけるレーザ光源110の構成例を模式的に示す斜視図である。
図3Bは、
図3Aのレーザ光源110を模式的に示す上面図である。
図3Cは、
図3Bの構成のYZ平面に平行なIIIC-IIIC線断面図である。実施形態1の変形例1におけるレーザ光源110が実施形態1におけるレーザ光源100とは異なる点は、サブマウント20の形状である。サブマウント20における前方端面20feは、中央端面20fe
1、および中央端面20fe
1の両側に位置する両側端面20fe
2を有する。中央端面20fe
1は、両側端面20fe
2よりも共振器長方向に窪んでいる。実施形態1の変形例1における主平面20s
1のエッジ20edは、主平面20s
1と中央端面20fe
1とによって規定されている。中央端面20fe
1の窪みのZ方向におけるサイズは、例えば5μm以上100μm以下であり、X方向におけるサイズは、例えば50μm以上200μm以下であり、Y向における主平面20s
1からのサイズは、例えば100μm以上500μm以下である。窪みは、必ずしもY方向に貫通する必要はない。
【0040】
レーザダイオードチップ10の出射面10e1は、主平面20s1と中央端面20fe1とによって規定される主平面20s1のエッジ20edよりも共振器長方向に突出している。サブマウント20における両側端面20fe2は、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seと同様に、レーザダイオードチップ10の出射面10e1よりも共振器長方向に突出している。主平面20s1と中央端面20fe1とによって規定される主平面20s1のエッジ20edにより、接合材がレーザダイオードチップ10の出射面10e1にせり上がることを抑制することができる。実施形態1の変形例1におけるサブマウント20は、Z方向に延びる前述したU字型形状において前方端面20feの一部だけを除去すればよいので作製が容易であり得る。また、コリメートレンズ30は、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seおよび両側端面20fe2を含むL字型の端面に接合されるため、コリメートレンズ30とサブマウント20との接触面積が広くなり、接合が容易になり得る。
【0041】
次に、
図4Aから
図4Cを参照して、本開示の実施形態1の変形例2におけるレーザ光源120の構成例を説明する。
図4Aは、本開示の実施形態1の変形例2におけるレーザ光源120の構成例を模式的に示す斜視図である。
図4Bは、
図4Aのレーザ光源120を模式的に示す上面図である。
図4Cは、
図4Bの構成のYZ平面に平行なIVC-IVC線断面図である。実施形態1の変形例2におけるレーザ光源120が実施形態1におけるレーザ光源100とは異なる点は、サブマウント20の形状である。実施形態1の変形例2におけるサブマウント20は、一対のレンズ支持部20LSのそれぞれとレーザダイオードチップ10との間に、共振器長方向に沿って延びる溝20dを有している。
図4Bに示す例では、溝20dは、一対のレンズ支持部20LSに隣接しているが、必ずしも隣接する必要はない。溝20dのX方向におけるサイズは、例えば100μm以上500μm以下であり、Y方向におけるサイズは、例えば50μm以上300μm以下であり、Z方向における主平面20s
1のエッジ20edからのサイズは、例えば1mm以上6mm以下である。溝20dは、必ずしもZ方向に貫通する必要はない。溝20dにより、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとコリメートレンズ30との接合時に接合材に加えられる熱がレーザダイオードチップ10に与える影響を低減することができる。
【0042】
次に、
図5Aから
図5Cを参照して、本開示の実施形態1の変形例3におけるレーザ光源130の構成例を説明する。
図5Aは、本開示の実施形態1の変形例3におけるレーザ光源130の構成例を模式的に示す斜視図である。
図5Bは、
図5Aのレーザ光源130を模式的に示す上面図である。
図5Cは、
図5Bの構成のYZ平面に平行なVC-VC線断面図である。実施形態1の変形例3におけるレーザ光源130が実施形態1におけるレーザ光源100とは異なる点は、サブマウント20の構成である。実施形態1の変形例3におけるサブマウント20は、第1のサブマウント部分20p
1と、第2のサブマウント部分20p
2とを含む。第1のサブマウント部分20p
1は、一対のレンズ支持部20LSを上面20usに有する。第1のサブマウント部分20p
1は、Z方向に延びる前述したU字型形状を有する。第1のサブマウント部分20p
1は、例えばAlN、SiC、およびアルミナからなる群から選択される少なくとも1つを含むセラミックおよびCuWなどの合金から形成され得る。第2のサブマウント部分20p
2は、第1のサブマウント部分20p
1の上面20usに固定され、一対のレンズ支持部20LSの間に位置する。第2のサブマウント部分20p
2は、レーザダイオードチップ10を搭載する主平面20s
1と、コリメートレンズ30に対向する前方端面20feとを有する。主平面20s
1は、第2のサブマウント部分20p
2のうち、上面20usに固定された面とは反対の側の面である。本開示において、前方端面20feと裏面20s
2とは直接つながる必要はない。本開示では、前方端面20feの一辺と、主平面20s
1の一辺とが接触しており、前方端面20feと主平面20s
1とが接触した一辺が、主平面20s
1のエッジ20edを規定する。第2のサブマウント部分20p
2の熱伝導率が、第1のサブマウント部分20p
1の熱伝導率よりも高ければ、レーザダイオードチップ10から発せられた熱を効率よく外部に伝えることができる。第2のサブマウント部分20p
2は、例えばCu、Al、Ag、Fe、Ni、Mo、Cu、W、CuW、CuMo、AlN、SiCおよびアルミナからなる群から選択される少なくとも1つから形成され得る。第2のサブマウント部分20p
2のX方向におけるサイズは、例えば0.5mm以上1.5mm以下であり、Y方向におけるサイズは、例えば0.1mm以上0.5mm以下であり、Z方向におけるサイズは、例えば1mm以上6mm以下である。
【0043】
このサブマウント20では、別体である第1のサブマウント部分20p1および第2のサブマウント部分20p2により、第1のサブマウント部分20p1上で第2のサブマウント部分20p2の位置を調整することができる。このサブマウント20のように、主平面20s1を有する部分と、一対のレンズ支持部20LSを有する部分とが別体になっていてもよい。このサブマウント20では、一対のレンズ支持部20LSのそれぞれと第2のサブマウント部分20p2との間には、空隙20gが存在する。空隙20gのX方向におけるサイズは、例えば50μm以上300μm以下である。空隙20gのY方向およびZ方向におけるサイズは、それぞれ、第2のサブマウント部分20p2のY方向およびZ方向におけるサイズによって決まる。空隙20gにより、実施形態1の変形例2におけるレーザ光源120と同様に、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとコリメートレンズ30との接合時に接合材に加えられる熱がレーザダイオードチップ10に与える影響を低減することができる。
【0044】
次に、
図6Aから
図6Cを参照して、本開示の実施形態1の変形例4におけるレーザ光源140の構成例を説明する。
図6Aは、本開示の実施形態1の変形例4におけるレーザ光源140の構成例を模式的に示す斜視図である。
図6Aでは、レーザダイオードチップ10と、サブマウント20と、コリメートレンズ30とが分離された状態で記載されているが、実際にはこれらは接合されている。
図6Bは、
図6Aのレーザ光源140を模式的に示す上面図である。
図6Cは、
図6Bの構成のYZ平面に平行なVIC-VIC線断面図である。実施形態1の変形例4におけるレーザ光源140が実施形態1におけるレーザ光源100とは異なる点は、サブマウント20の構成である。実施形態1の変形例4におけるサブマウント20は、主平面20s
1から裏面20s
2に達する貫通孔20hと、貫通孔20hを埋める金属20mとを有している。このサブマウント20の貫通孔20h以外の部分は、例えばセラミックから形成され得る。金属20mは、高い熱伝導率を有し、例えばCu、Al、Ag、Fe、Ni、Mo、Cu、W、およびCuMoからなる群から選択される少なくとも1つを含み得る。金属20mのX方向における最大のサイズは、例えば0.5mm以上1.5mm以下であり、Z方向における最大のサイズは、例えば1mm以上6mm以下である。金属20mは、上面視で、レーザダイオードチップ10にすべてが重なっていてもよいし、一部が重なっていてもよい。レーザダイオードチップ10をサブマウント20における金属20mに接触して配置することにより、レーザダイオードチップ10から発せられた熱を、金属20mを介して半導体レーザパッケージ40に効率よく伝えることができる。
【0045】
次に、
図7Aから
図7Cを参照して、本開示の実施形態1の変形例5におけるレーザ光源150の構成例を説明する。
図7Aは、本開示の実施形態1の変形例5におけるレーザ光源150の構成例を模式的に示す斜視図である。
図7Bは、
図7Aのレーザ光源150を模式的に示す上面図である。
図7Cは、
図7Bの構成のYZ平面に平行なVIIC-VIIC線断面図である。実施形態1の変形例5におけるレーザ光源150が実施形態1におけるレーザ光源100とは異なる点は、コリメートレンズ30の形状である。実施形態1の変形例5におけるコリメートレンズ30は、一対の平坦部30f、および一対の平坦部30fによって挟まれたレンズ曲面部30cを有する。実施形態1の変形例5におけるレンズ曲面部30cは、実施形態1におけるコリメートレンズ30と同様に、FACレンズとして機能する。
【0046】
次に、
図7Dを参照して、コリメートレンズ30における一対の平坦部30fの利点を説明する。
図7Dは、コレット60を用いて、
図7Aのレーザ光源150におけるコリメートレンズ30をサブマウント20に接合する様子を模式的に示す斜視図である。コレット60は、二又部分60aおよび二又部分60aに接続された支持部分60bを有する。コレット60は中空構造を有し、コリメートレンズ30を吸着して支持することができる。具体的には、コレット60における二又部分60aの先端部が、コリメートレンズ30における一対の平坦部30fを吸着する。実装装置によって支持部分60bを保持し、二又部分60aによってコリメートレンズ30を支持しながら、そのコリメートレンズ30をサブマウント20に接合することにより、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seに対して垂直な方向に、安定して荷重をかけることができる。荷重をかけた状態で、コリメートレンズ30と一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとの間の接合材が加熱される。
【0047】
コレット60における二又部分60aの間に不図示のミラーを設けてもよい。レーザダイオードチップ10からレーザ光をZ方向に出射させながらコリメートレンズ30をサブマウント20に接合し、不図示のミラーによってY方向に反射されたレーザ光を受光装置によって受けることにより、コリメートレンズ30とレーザダイオードチップ10の出射面10e1との位置合わせをより正確に行うことができる。受光装置は、例えば、パワーメータ、平行度測定器、または、ビームプロファイラであり得る。
【0048】
本開示のレーザ光源の変形例において、サブマウント20は、一対の断熱材をさらに含み得る。当該一対の断熱材は、それぞれ、サブマウント20内の、一対のレンズ支持部20Lからレーザダイオードチップ10が固着される部分までの経路の途中に設けられ得る。以下、代表的な変形例を具体的に説明する。
【0049】
図8Aから
図8Cを参照して、本開示の実施形態1の変形例6におけるレーザ光源160の構成例を説明する。
図8Aは、本開示の実施形態1の変形例6におけるレーザ光源160の構成例を模式的に示す斜視図である。
図8Bおよび
図8Cは、それぞれ、
図8Aのレーザ光源160を模式的に示す上面図および背面図である。実施形態1の変形例6におけるレーザ光源160が実施形態1におけるレーザ光源100とは異なる点は、サブマウント20が、一対のレンズ支持部20LS以外の平板部分に、共振器長の方向に延びる一対の断熱材20iを含むことである。当該平板部分は、
図3Aに示すように窪みを有していてもよい。当該平板部分のうち、上面視で主平面20s
1に重なる部分が、一対の断熱材20iの間に位置する。一対の断熱材20iは、それぞれ、一対のレンズ支持部20LSには接していない。一対の断熱材20iは、例えば、ガラス繊維材、または珪酸カルシウムから形成され得る。各断熱材20iのX方向における厚さは、0.1mm以上1mm以下であることが望ましい。一対の断熱材20iにより、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとコリメートレンズ30との接合時に接合材に加えられる熱が、レーザダイオードチップ10に伝わることを抑制することができる。
【0050】
次に、
図9Aから
図9Cを参照して、本開示の実施形態1の変形例7におけるレーザ光源170の構成例を説明する。
図9Aは、本開示の実施形態1の変形例7におけるレーザ光源170の構成例を模式的に示す斜視図である。
図9Bおよび
図9Cは、それぞれ、
図9Aのレーザ光源170を模式的に示す側面図および背面図である。実施形態1の変形例7におけるレーザ光源170が実施形態1の変形例6におけるレーザ光源160とは異なる点は、一対の断熱材20iが、それぞれ、一対のレンズ支持部20Lの直下に位置し、かつ、一対のレンズ支持部20LSに接していることである。この配置の一対の断熱材20iでも、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとコリメートレンズ30との接合時に接合材に加えられる熱がレーザダイオードチップ10に伝わることを抑制することができる。変形例7におけるレーザ光源170では、変形例6におけるレーザ光源160と比較して、一対の断熱材20iの間に位置する主平面20s
1のX方向における横幅がより広い。したがって、レーザ光源170の動作時にレーザダイオードチップ10から発せられる熱を、上面視で主平面20s
1に重なる部分を介してより効率的に外部に放出することができる。
【0051】
(実施形態2)
次に、
図10Aから
図10Dを参照して、本開示の実施形態2におけるレーザ光源の基本的な構成例を説明する。
【0052】
図10Aは、本開示の実施形態2におけるレーザ光源200の構成例を模式的に示す斜視図である。
図10Bは、
図10Aのレーザ光源200を模式的に示す上面図である。
図10Cは、
図10Bの構成のYZ平面に平行なVIIIC-VIIIC線断面図である。
図10Dは、
図10Aのレーザ光源200を模式的に示す背面図である。実施形態2におけるレーザ光源200が実施形態1におけるレーザ光源100とは異なる点は、サブマウント20の構成である。実施形態2におけるサブマウント20は、第3のサブマウント部分20p
3と、第4のサブマウント部分20p
4とを含む。第3のサブマウント部分20p
3は、主平面20s
1、裏面20s
2、および前方端面20feを有する。第4のサブマウント部分20p
4は、第3のサブマウント部分20p
3の主平面20s
1に固定される一対のレンズ支持部20LS、および一対のレンズ支持部20LSを連結する連結部20Lを有する。連結部20Lは、レーザダイオードチップ10の出射面10e
1から出射されるレーザ光の伝搬を妨げないように一対のレンズ支持部20LSを連結する。このサブマウント20では、第3のサブマウント部分20p
3、および第4のサブマウント部分20p
4が別体になっている。このサブマウント20のように、主平面20s
1を有する部分と、一対のレンズ支持部20LSを有する部分とが別体になっていてもよい。
図10Aでは、第3のサブマウント部分20p
3、第4のサブマウント部分20p
4、およびコリメートレンズ30は分離された状態で記載されているが、実際にはこれらは接合されている。第4のサブマウント部分20p
4における一対のレンズ支持部20LS、および連結部20Lは一体成型されている。
【0053】
図10Bおよび
図10Cに示すように、連結部20Lは、上面視で、レーザダイオードチップ10の出射面10e
1と重なる。
図10Dに示すように、第4のサブマウント部分20p
4は、レーザダイオードチップ10を跨ぐように第3のサブマウント部分20p
3の主平面20s
1に配置されている。第4のサブマウント部分20p
4のX方向におけるサイズは、第3のサブマウント部分20p
3のX方向におけるサイズよりも大きいので、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seの面積を広くすることができる。その結果、コリメートレンズ30を一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seに接合することが容易になる。第4のサブマウント部分20p
4の一対のレンズ支持部20LSのY方向におけるサイズは、コリメートレンズ30のY方向におけるサイズと同程度であり得る。第4のサブマウント部分20p
4の一対のレンズ支持部20LSのY方向におけるサイズは、コリメートレンズ30のY方向におけるサイズよりも大きくてもよいし、等しくてもよいし、小さくてもよい。第4のサブマウント部分20p
4のX方向におけるサイズは、例えば0.5mm以上4mm以下であり、Y方向における最大のサイズは、例えば0.5mm以上2mm以下であり、Z方向におけるサイズは、例えば0.5mm以上1mm以下である。
【0054】
実施形態2におけるレーザ光源200の作製では、第3のサブマウント部分20p3の主平面20s1にレーザダイオードチップ10を接合する工程と、レーザダイオードチップ10を跨ぐように第3のサブマウント部分20p3の主平面20s1に第4のサブマウント部分20p4を接合する工程と、第4のサブマウント部分20p4における一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seにコリメートレンズ30を接合する工程とを、この順で実行してもよい。あるいは、レーザダイオードチップ10が主平面20s1に接合された第3のサブマウント部分20p3に、コリメートレンズ30が接合された第4のサブマウント部分20p4を接合してもよい。
【0055】
実施形態2におけるレーザ光源200では、実施形態1におけるレーザ光源100と同様に、サブマウント20が、一対のレンズ支持部20LSの間の主平面20s1によってレーザダイオードチップ10を支持し、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seによってコリメートレンズ30を支持している。これにより、レーザダイオードチップ10とコリメートレンズ30との位置合わせが容易になり、小型のレーザ光源200を実現することが可能になる。さらに、実施形態2におけるレーザ光源200では、実施形態1におけるレーザ光源100と同様に、レーザダイオードチップ10がサブマウント20にフェイスダウンの状態で配置されても、接合材がレーザダイオードチップ10の出射面10e1にせり上がることを抑制することができる。
【0056】
(実施形態2の変形例)
次に、本開示の実施形態2におけるレーザ光源200の変形例1から変形例3を説明する。前述と重複する説明は省略することがある。
【0057】
図11Aから
図11Dを参照して、本開示の実施形態2の変形例1におけるレーザ光源210の構成例を説明する。
図11Aは、本開示の実施形態2の変形例1におけるレーザ光源210の構成例を模式的に示す斜視図である。
図11Bは、
図11Aのレーザ光源210を模式的に示す上面図である。
図11Cは、
図11Bの構成のYZ平面に平行なIXC-IXC線断面図である。
図11Dは、
図11Aのレーザ光源210を模式的に示す背面図である。実施形態2の変形例1におけるレーザ光源210が実施形態2におけるレーザ光源200とは異なる点は、サブマウント20における第4のサブマウント部分20p
4の形状である。実施形態2の変形例1における第4のサブマウント部分20p
4は、実施形態2における第4のサブマウント部分20p
4において、一対のレンズ支持部20LSの間に切り欠き20coを有する。切り欠き20coにより、
図11Bおよび
図11Cに示すように、連結部20Lは、上面視で、レーザダイオードチップ10の出射面10e
1とは重ならない。切り欠き20coのX方向におけるサイズは、例えば0.2mm以上3mm以下であり、Z方向におけるサイズは、例えば0.5mm以上1mm以下である。切り欠き20coのZ方向におけるサイズは、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seと、第3のサブマウント部分20p
3における主平面20s
1のエッジ20edとのZ方向におけるサイズよりも大きい。実施形態2の変形例1におけるレーザ光源210の作製では、切り欠き20coを通じて、レーザダイオードチップ10の出射面10e
1と、第4のサブマウント部分20p
4との位置合わせ、および、レーザダイオードチップ10の出射面10e
1と、コリメートレンズ30との位置合わせが容易になる。
【0058】
次に、
図12Aから
図12Dを参照して、本開示の実施形態2の変形例2におけるレーザ光源220の構成例を説明する。
図12Aは、本開示の実施形態2の変形例2におけるレーザ光源220の構成例を模式的に示す斜視図である。
図12Bは、
図12Aのレーザ光源220を模式的に示す上面図である。
図12Cは、
図12Bの構成のYZ平面に平行なXC-XC線断面図である。
図12Dは、
図12Aに示す第4のサブマウント部分20p
4およびコリメートレンズ30を模式的に示す斜視図である。実施形態2の変形例2におけるレーザ光源220が実施形態2におけるレーザ光源200とは異なる点は、サブマウント20における第4のサブマウント部分20p
4、およびコリメートレンズ30である。
図12Dに示すように、実施形態2の変形例2における第4のサブマウント部分20p
4、およびコリメートレンズ30は一体成型されている。第4のサブマウント部分20p
4およびコリメートレンズ30を接合する必要がないので、実施形態2の変形例2における第4のサブマウント部分20p
4のX方向におけるサイズは、実施形態2における第4のサブマウント部分20p
4のX方向におけるサイズほど大きくなくてもよい。実施形態2の変形例2における第4のサブマウント部分20p
4のX方向におけるサイズは、例えば0.2mm以上3mm以下であり、Y方向における最大のサイズは、例えば0.3mm以上1mm以下であり、Z方向におけるサイズは、例えば0.5mm以上1mm以下である。
【0059】
一体成型された第4のサブマウント部分20p4およびコリメートレンズ30は、例えば、ガラス、石英、合成石英、サファイア、透明セラミック、およびプラスチックの少なくとも1つから形成され得る。一体成型された第4のサブマウント部分20p4およびコリメートレンズ30が透明である場合、レーザダイオードチップ10の出射面10e1と、コリメートレンズ30との位置合わせが容易になる。
【0060】
次に、
図13Aから
図13Cを参照して、本開示の実施形態2の変形例3におけるレーザ光源230の構成例を説明する。
図13Aは、本開示の実施形態2の変形例3におけるレーザ光源230の構成例を模式的に示す斜視図である。
図13Bおよび
図13Cは、それぞれ、
図13Aのレーザ光源230を模式的に示す側面図および背面図である。実施形態2の変形例3におけるレーザ光源230が実施形態2におけるレーザ光源200とは異なる点は、第3のサブマウント部分20p
3と、第4のサブマウント部分20p
4との間に、一対の断熱材20iが配置されていることである。第4のサブマウント部分20p
4における一対のレンズ支持部20LSは、それぞれ、一対の断熱材20iを介して、第3のサブマウント部分20p
3の主平面20s
1に固定される。各断熱材20iのY方向における厚さは、0.1mm以上1mm以下であることが望ましい。一対の断熱材20iにより、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとコリメートレンズ30との接合時に接合材に加えられる熱がレーザダイオードチップ10に伝わることを抑制することができる。
【0061】
前述した実施形態およびその変形例における構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0062】
(レーザ光源の製造方法)
以下に、
図14Aから
図15Gを参照して、実施形態1におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明する。製造工程は、レーザダイオードチップ10から出射されるレーザ光の波長によって異なり得る。以下に説明する製造工程は、実施形態1におけるレーザ光源100だけでなく、本開示の他のすべてのレーザ光源に適用することができる。
【0063】
図14Aから
図14Eは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、有機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。
【0064】
最初の工程において、
図14Aに示すように、レーザダイオードチップ10が固着される主平面20s
1と、レーザダイオードチップ10の出射面10e
1の両側に位置する一対のレンズ支持部20LSとを持つサブマウント20、およびコリメートレンズ30が準備される。
【0065】
次の工程において、
図14Bに示すように、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seと、コリメートレンズ30の接合面30sとが、有機接合材72を介して接続される。有機接合材72は、接続前に、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seおよびコリメートレンズ30の接合面30sの少なくとも一方に塗布される。有機接合材72を用いる場合、レーザダイオードチップ10の発光波長は赤色または赤外などの長波長であることが望ましい。長波長のレーザ光の場合、レーザダイオードチップ10の出射面10e
1における前述した集塵の影響を考慮する必要がないからである。有機接合材72は、例えば、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化樹脂であり得る。有機接合材72に、例えば、NTTアドバンステクノロジー株式会社のAT3862Pを用いることができる。紫外線照射によるAT3862Pの硬化収縮率は0.5%である。有機接合材72の厚さは、例えば20μm以上100μm以下であり得る。
【0066】
次の工程において、
図14Cおよび
図14Dに示すように、レーザダイオードチップ10からレーザ光を出射させた状態で、レーザ光が正確にコリメートされるようにコリメートレンズ30の位置が調整される。
図14Cおよび
図14Dは、それぞれ、製造途中のレーザ光源100を模式的に示す上面図および側面図である。
図14Cおよび
図14Dに示す破線によって表された領域は、レーザ光の広がりの様子を表す。硬化前の有機接合材は変形しやすいので、このような位置の調整が可能である。
【0067】
次の工程において、
図14Eに示すように、白抜きの矢印によって表された紫外線で有機接合材72を照射して硬化することにより、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seと、コリメートレンズ30の接合面30sとが有機接合材72で接合される。紫外線照射による有機接合材72の硬化収縮率は2%以下であることが望ましい。この範囲の収縮率により、調整したコリメートレンズ30の位置のずれを抑制することができる。
【0068】
図14Aから
図14Eを参照して説明した上記の製造工程により、本開示のレーザ光源において、レーザダイオードチップ10から出射されるレーザ光を正確にコリメートすることができる。この製造工程は、有機接合材の硬化前に、コリメートレンズ30の位置を調整することができる点で有利である。
【0069】
図15Aから
図15Gは、サブマウント20とコリメートレンズ30を、無機接合材を用いて接合する場合におけるレーザ光源100の製造工程の例を説明するための図である。この製造工程では、有機接合材72ではなく、無機接合材74が用いられる。無機接合材74からは有機ガス成分が発生しないか、発生しても極めて少ないため、前述したように、動作中における紫外線、青色、または緑色などの短波長のレーザダイオードチップ10の出射面10e
1の劣化を抑制する。無機接合材74は有機接合材72ほど変形可能ではないので、以下に説明する製造工程は、
図14Aから
図14Eを参照して説明した上記の製造工程とは異なる。なお、以下に説明する製造工程の順番は、矛盾がない限り適宜変更してもよい。
【0070】
最初の工程において、
図15Aに示すように、レーザダイオードチップ10が固着される主平面20s
1と、レーザダイオードチップ10の出射面10
e1の両側に位置する一対のレンズ支持部20LSとを持つサブマウント20、およびコリメートレンズ30が準備される。
【0071】
次の工程において、
図15Bに示すように、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seに、第1金属膜20mf
1が付与される。例えば、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seに、Auメッキ加工が施され得る。第1金属膜20mf
1は、耐酸化性に優れたAuを含み得る。第1金属膜20mf
1は、
図2A、
図3A、
図4A、
図6A、および
図7Aに示す前方端面20feにも設けられ得る。また、第1金属膜20mf
1は、
図5Aおよび
図10Aに示すU字形状の面のうち、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20se以外の部分にも設けられ得る。
【0072】
次の工程において、
図15Bに示すように、オートコリメータ80を利用して、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seが、XY平面に平行な基準面に対して平行になるように調整される。具体的には、オートコリメータ80を利用して、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seの、基準面に対する傾きが低減される。オートコリメータ80は、部品の面の傾きを非接触で測定する光学装置である。オートコリメータ80の中でもレーザオートコリメータは、レーザ光を出射し、光学部品の面で反射されたレーザ光に基づいて、部品の面の微小な傾きを正確に測定することができる。例えば、駿河精機株式会社のレーザオートコリメータは、0.0008度の角度分解能を有する。
図15Bに示す白抜きの矢印は、レーザオートコリメータ80から出射され、第1金属膜20mf
1で反射されたレーザ光を表す。第1金属膜20mf
1は、レーザオートコリメータ80から出射されたレーザ光を効率的に反射する。
【0073】
次の工程において、
図15Cに示すように、コリメートレンズ30の接合面30sに第2金属膜20mf
2が付与される。第2金属膜20mf
2は、前述した第1金属膜20mf
1と同じ材料を用いることができる。
【0074】
次の工程において、オートコリメータ80を利用して、
図15Cに示すように、コリメートレンズ30の接合面30sが、上記の基準面に対して平行になるように調整される。具体的には、オートコリメータ80を利用して、コリメートレンズ30の接合面30sの、基準面に対する傾きが低減される。コリメートレンズ30の接合面30sを調整するオートコリメータ80は、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seを調整するオートコリメータ80と同一であってもよいし、異なっていてもよい。同一のレーザオートコリメータ80を用いる場合、レーザオートコリメータ80から出射されるレーザ光は、ビームスプリッタなどの光学系によって2つのレーザ光に分離され得る。分離された2つの光のうち、一方は第1金属膜20mf
1で反射され、他方は第2金属膜20mf
2で反射される。
【0075】
次の工程において、
図15Dに示すように、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとコリメートレンズ30の接合面30sとを基準面に対して平行に維持した状態で、一対のレンズ支持部20LSの端面とコリメートレンズ30の接合面30sとが、無機接合材74を介して接続される。無機接合材74は、接続前に、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seおよびコリメートレンズ30の接合面30sの少なくとも一方に付与される。
【0076】
無機接合材74は、例えば、AuSnを含み得る。無機接合材74の厚さは、5μm以下であり、望ましくは、2.5μm以下であり得る。無機接合材74は、例えば、AuSnの金属膜、またはAuSnペーストから形成され得る。AuSnの金属膜は、スパッタリングによって設けられ得る。AuSnペースト中の有機バインダは、後述するレーザ照射による無機接合材74の加熱によって気化させることができる。AuSnペースト中の有機バインダの体積比率が例えば10%以上20%以下であれば、有機バインダをすべて気化させた場合における無機接合材74の収縮を0.5μm以内に抑制することができる。したがって、無機接合材74をレーザ照射によって加熱しても、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとコリメートレンズ30の接合面30sとの傾きが過度に拡大することはない。無機接合材74は、AuSnの金属膜、またはAuSnペースト以外に、Au-Sn共晶はんだ、もしくはSn-Ag-Cuはんだなどのはんだ材、または、Agナノ粒子、Cuナノ粒子、もしくはAuナノ粒子などのナノ粒子材から形成されてもよい。
【0077】
次の工程において、サブマウント20が150℃以上200℃以下に加熱される。この加熱により、レーザ照射によって無機接合材74に加えられる熱が、サブマウント20を介して外部に放出されるのを抑制することができる。サブマウント20は、ヒータで加熱され得る。あるいは、サブマウント20は、
図15Eおよび
図15Fに示すように、レーザダイオードチップ10がレーザ光を出射することによって発する熱で加熱され得る。
図15Eおよび
図15Fは、それぞれ、製造途中のレーザ光源100を模式的に示す上面図および側面図である。
図15Eおよび
図15Fに示す破線によって表された領域は、レーザ光の広がりの様子を表す。この工程では、レーザ光を正確にコリメートする必要はない。通常、レーザ光源100の動作時には、サブマウント20をヒートシンク上に配置してレーザダイオードチップ10から発せられる熱が外部に放出される。これに対して、サブマウント20を加熱するこの工程では、サブマウント20をヒートシンク上に配置せずに、レーザダイオードチップ10に電流が注入される。この場合、1Aから2A程度の電流を注入してレーザダイオードチップ10からレーザ光を出射させると、サブマウント20の温度は200℃を超える。なお、サブマウント20をヒートシンク上に配置した場合、サブマウント20の温度が200℃を超えるときの注入電流は7Aから8A程度である。
【0078】
次の工程において、
図15Gに示すように、白抜きの矢印によって表されたレーザ光で無機接合材74を照射して加熱することにより、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとコリメートレンズ30の接合面30sとが無機接合材74で接合される。第1金属膜20mf
1および第2金属膜20mf
2の存在により、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seとコリメートレンズ30の接合面30sとを無機接合材74で効果的に接合することができる。接合の際、コリメートレンズ30は、太い黒矢印によって表されるように、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seに対して垂直な方向に荷重される。コリメートレンズ30は、荷重の方向に2μm以上3μm以下だけシフトする。このシフトにより、レーザダイオードチップ10からレーザ光を出射させた状態で、コリメートレンズ30の位置を微調整してレーザ光を正確にコリメートすることができる。
【0079】
無機接合材74は、
図15Gに示すように、コリメートレンズ30の側面を通して、一対のレンズ支持部20LSが有する端面20seに対して斜め方向にレーザ光で照射される。斜め方向のレーザ照射により、無機接合材74を効率的に加熱することができる。YAGレーザ光源を用いる場合、レーザ光は、近赤外の波長を有する。YAGレーザ光源以外のレーザ光源を用いる場合、レーザ光は、例えば、青色もしくは緑色などの可視光の波長、または紫外線の波長を有していてもよい。
図8Aおよび
図9Aに示すように、サブマウント20が一対の断熱材20iを含んでいれば、無機接合材74に加えられる熱がレーザダイオードチップ10に伝わることを抑制することができる。
【0080】
図15Aから
図15Gを参照して説明した上記の製造工程により、本開示のレーザ光源において、レーザダイオードチップ10から出射されたレーザ光を正確にコリメートすることができる。
【0081】
(応用例)
本開示のレーザ光源は、例えば、複数のレーザビームを結合して出力を高めるダイレクトダイオードレーザの光源として用いられ得る。ビーム結合は、複数のレーザ光源から出射されたレーザビームを正確に結合することによって行われる。波長が570nm以下の高強度のレーザビームによれば、例えば銅などの金属をも加工することが容易になる。本開示のレーザ光源では、レーザダイオードチップとレンズとの位置ずれが生じにくいので、レーザ光源から外部に出射されるレーザ光の光軸の向きが大きくずれることはない。複数のレーザ光源から出射されたレーザビームを正確に結合させ、ビーム品質を高めることが可能になる。
【0082】
本開示のレーザ光源は、例えば、プロジェクタ、および照明器具にも利用され得る。
【符号の説明】
【0083】
10 レーザダイオードチップ
10a 半導体積層構造体
10b 基板
10C1 第1のクラッド層
10C2 第2のクラッド層
10e1 出射面
10e2 後方面
10L 発光層
20 サブマウント
20co 切り欠き
20d 溝
20ed エッジ
20fe 前方端面
20fe1 中央端面
20fe2 両側端面
20h 貫通孔
20i 断熱材
20L 連結部
20LS レンズ支持部
20mf1 第1金属膜
20mf2 第2金属膜
20p1 第1のサブマウント部分
20p2 第2のサブマウント部分
20p3 第3のサブマウント部分
20p4 第4のサブマウント部分
20s1 主平面
20s2 裏面
20se 一対のレンズ支持部の端面
20us 第1のサブマウント部分の上面
30 コリメートレンズ
30c レンズ曲面部
30f 平坦部
30s コリメートレンズの接合面
40 半導体レーザパッケージ
40b 基体
40L 蓋体
40w 透光窓
50 リード端子
60 コレット
60a 二又部分
60b 支持部分
72 有機接合材
74 無機接合材
80 オートコリメータ
100、110、120、130、140、150、160、170 レーザ光源
200、210、220、230 レーザ光源
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射面を有するレーザダイオードチップが固着される主平面と、前記レーザダイオードチップの前記出射面の両側に位置する一対のレンズ支持部と、を持つサブマウントを準備する工程と、
レンズを準備する工程と、
前記サブマウントにおける前記一対のレンズ支持部の端面と、前記レンズの接合面とを無機接合材を介して接続する工程と、
前記サブマウントを加熱する工程と、
レーザ照射によって前記無機接合材を加熱する工程と、
を含むレーザ光源の製造方法。
【請求項2】
前記サブマウントを加熱する工程は、前記サブマウントをヒータで加熱する工程を含む、請求項1に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項3】
前記サブマウントを加熱する工程は、前記レーザダイオードチップがレーザ光を出射することによって発する熱で前記サブマウントを加熱する工程を含む、請求項1に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項4】
前記レーザ照射によって前記無機接合材を加熱するとき、加熱された前記サブマウントの温度は、200℃以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項5】
前記レーザ照射によって前記無機接合材を加熱する工程は、前記レンズを通して、前記無機接合材にレーザ光を照射する工程を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項6】
前記一対のレンズ支持部の前記端面に第1金属膜を設ける工程と、
前記レンズの前記接合面に第2金属膜を設ける工程と、
をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項7】
前記第1金属膜および前記第2金属膜はAuを含み、
前記無機接合材は、AuSnを含む、請求項6に記載のレーザ光源の製造方法。
【請求項8】
前記サブマウントは、一対の断熱材をさらに含み、
前記一対の断熱材は、それぞれ、前記サブマウント内の、前記一対のレンズ支持部から前記レーザダイオードチップが固着される部分までの経路の途中に設けられている、請求項1から7のいずれか一項に記載のレーザ光源の製造方法。