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2024-120126発電素子、発電装置、電子機器、及び発電素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120126
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】発電素子、発電装置、電子機器、及び発電素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 15/00 20230101AFI20240828BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240828BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
H01L37/00
H01L29/06 601N
H02N11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115256
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】516230102
【氏名又は名称】株式会社illuminus
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】後藤 博史
(72)【発明者】
【氏名】坂田 稔
(72)【発明者】
【氏名】魯 健
(57)【要約】
【課題】ナノ粒子の付着に伴う発電効率の低下を抑制することができる発電素子、発電装置、電子機器、及び発電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子1であって、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子であって、第1方向Zに沿って互いに離間して設けられた第1基板15及び第2基板16と、第1基板15の主面上に設けられた第1電極11と、第1電極11と離間して第2基板16の主面上に設けられ、第1電極11よりも高い仕事関数を有する第2電極12と、第1電極11と、第2電極12との間に設けられ、ナノ粒子141を分散させた溶媒142を含む中間部14と、第1基板15と第2基板16との間に接して設けられ、中間部14と離間し、金属を含む支持部17と、中間部14と支持部17との間に設けられ、中間部14と接し、絶縁性を有する保護部22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子であって、
第1方向に沿って互いに離間して設けられた第1基板及び第2基板と、
前記第1基板の主面上に設けられた第1電極と、
前記第1電極と離間して前記第2基板の主面上に設けられ、前記第1電極よりも高い仕事関数を有する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、ナノ粒子を分散させた溶媒を含む中間部と、
前記第1基板と前記第2基板との間に接して設けられ、前記中間部と離間し、金属を含む支持部と、
前記中間部と前記支持部との間に設けられ、前記中間部と接し、絶縁性を有する保護部と、
を備えること
を特徴とする発電素子。
【請求項2】
前記保護部は、前記支持部と離間して設けられること
を特徴とする請求項1記載の発電素子。
【請求項3】
前記保護部は、前記第1電極と前記第2電極との間に接して設けられること
を特徴とする請求項2記載の発電素子。
【請求項4】
前記支持部は、前記第1電極及び前記第2電極と離間すること
を特徴とする請求項1記載の発電素子。
【請求項5】
前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも何れかに設けられた貫通部をさらに備えること
を特徴とする請求項1記載の発電素子。
【請求項6】
前記第1方向から見て、前記貫通部は、前記第1電極及び前記第2電極と離間すること
を特徴とする請求項5記載の発電素子。
【請求項7】
請求項1記載の発電素子と、
前記第1電極と電気的に接続された第1配線と、
前記第2電極と電気的に接続された第2配線と、
を備えること
を特徴とする発電装置。
【請求項8】
請求項1記載の発電素子と、
前記発電素子を電源に用いて駆動する電子部品と、
を備えること
を特徴とする電子機器。
【請求項9】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子の製造方法であって、
第1基板の主面上に第1電極を形成し、第2基板の主面上に前記第1電極よりも高い仕事関数を有する第2電極を形成する電極形成工程と、
前記第1基板の主面上方、及び前記第2基板の主面上方の少なくとも何れかに、金属を含む支持部を形成する支持部形成工程と、
前記第1基板の主面上方、及び前記第2基板の主面上方の少なくとも何れかに、絶縁性を有する保護部を形成する保護部形成工程と、
前記第1電極と前記第2電極とを第1方向に離間して対向するように、前記支持部を介して前記第1基板と前記第2基板とを接合する接合工程と、
前記保護部と接し、前記支持部と離間するように、ナノ粒子が分散された溶媒を含む中間部を形成する中間部形成工程と、を備えること
を特徴とする発電素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子、発電装置、電子機器、及び発電素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、熱エネルギーを利用して電気エネルギーを生成する発電素子の開発が盛んに行われている。特に、温度差を不要とした発電素子に関し、例えば特許文献1に開示された発電素子等が提案されている。このような発電素子は、電極に与える温度差を利用して電気エネルギーを生成する構成に比べて、様々な用途への利用が期待されている。
【0003】
特許文献1には、第1主面を有する第1基板と、第1主面と対向する第2主面を有する第2基板と、第2基板と離間する第1電極部と第1電極部とは異なる仕事関数を有する第2電極部と、第1基板と、第2基板との間に設けられ、第1電極部及び第2電極部と離間し、金属を含む支持部と、第1電極部と、第2電極部との間に設けられ、ナノ粒子を含む中間部と、を備える熱電素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-47631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、温度差を不要とした発電素子では、継続的な発電が期待されている一方、金属を含む支持部の側面にナノ粒子が付着するおそれがある。このとき、電極間に分散されるナノ粒子の量が減少するため、経時に伴う発電効率の低下が課題として挙げることができる。この点、特許文献1では、上述した課題を解決することが難しい。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、発電効率の低下を抑制することができる発電素子、発電装置、電子機器、及び発電素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る発電素子は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子であって、第1方向に沿って互いに離間して設けられた第1基板及び第2基板と、前記第1基板の主面上に設けられた第1電極と、前記第1電極と離間して前記第2基板の主面上に設けられ、前記第1電極よりも高い仕事関数を有する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、ナノ粒子を分散させた溶媒を含む中間部と、前記第1基板と前記第2基板との間に接して設けられ、前記中間部と離間し、金属を含む支持部と、前記中間部と前記支持部との間に設けられ、前記中間部と接し、絶縁性を有する保護部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る発電素子は、第1発明において、前記保護部は、前記支持部と離間して設けられることを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る発電素子は、第2発明において、前記保護部は、前記第1電極と前記第2電極との間に接して設けられることを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る発電素子は、第1発明において、前記支持部は、前記第1電極及び前記第2電極と離間することを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る発電素子は、第1発明において、前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも何れかに設けられた貫通部をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
第6発明に係る発電素子は、第5発明において、前記第1方向から見て、前記貫通部は、前記第1電極及び前記第2電極と離間することを特徴とする。
【0013】
第7発明に係る発電装置は、第1発明における発電素子と、前記第1電極と電気的に接続された第1配線と、前記第2電極と電気的に接続された第2配線と、を備えることを特徴とする。
【0014】
第8発明に係る電子機器は、第1発明における発電素子と、前記発電素子を電源に用いて駆動する電子部品と、を備えることを特徴とする。
【0015】
第9発明に係る発電素子の製造方法は、第1基板の主面上に第1電極を形成し、第2基板の主面上に前記第1電極よりも高い仕事関数を有する第2電極を形成する電極形成工程と、前記第1基板の主面上方、及び前記第2基板の主面上方の少なくとも何れかに、金属を含む支持部を形成する支持部形成工程と、前記第1基板の主面上方、及び前記第2基板の主面上方の少なくとも何れかに、絶縁性を有する保護部を形成する保護部形成工程と、前記第1電極と前記第2電極とを第1方向に離間して対向するように、前記支持部を介して前記第1基板と前記第2基板とを接合する接合工程と、前記保護部と接し、前記支持部と離間するように、ナノ粒子が分散された溶媒を含む中間部を形成する中間部形成工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1発明~第8発明によれば、中間部と離間し、金属を含む支持部と、中間部と支持部との間に設けられ、中間部と接し、絶縁性を有する保護部と、を備える。このため、各電極の間に分散されるナノ粒子の量の減少を抑制することができる。これにより、発電効率の低下を抑制することができる。
【0017】
特に、第2発明によれば、保護部は、支持部と離間して設けられる。このため、支持部を介して第1基板と第2基板とを接合する際に、例えば保護部が支持部に接することによる接合力の低下を防ぐことができる。これにより、第1基板と第2基板とを支持部により強固に接合することができる。
【0018】
特に、第3発明によれば、保護部は、第1電極と第2電極との間に接して設けられる。このため、第1基板と第2基板とに保護部を固定する場合よりも、第1電極と第2電極とに保護部を強固に固定することができる。これにより、保護部の変動を抑制することができる。
【0019】
特に、第4発明によれば、支持部は、第1電極及び第2電極と離間する。このため、支持部を介して各電極の短絡を防ぐことが可能となる。
【0020】
特に、第5発明によれば、第1基板及び第2基板の少なくとも何れかに設けられた貫通部をさらに備える。このため、貫通部を介して、第1電極と第2電極との間に、中間部を充填して設けることができる。これにより、発電素子の製造工程の簡略化を図ることができる。また、発電素子の使用に伴い中間部を交換する必要が発生した場合、容易に中間部の交換を実施することが可能となる。
【0021】
特に、第6発明によれば、第1方向から見て、貫通部は、第1電極及び第2電極と離間する。このため、貫通部を介して、第1電極と第2電極との間に、中間部を充填する際に異物が混入したとき、第1電極及び第2電極に異物が付着するのを抑制することができる。これにより、発電素子の品質の劣化を抑制することができる。
【0022】
第9発明によれば、中間部形成工程では、保護部と接し、支持部と離間するように、ナノ粒子が分散された溶媒を含む中間部を形成する。このため、各電極の間に分散されるナノ粒子の量の減少を抑制することができる。これにより、発電効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1(a)は、第1実施形態における発電素子及び発電装置の一例を示す模式断面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA-Aに沿った模式平面図である。
図2図2は、中間部の一例を示す模式断面図である。
図3図3は、第1実施形態における発電素子の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図4図4(a)~図4(d)は、第1実施形態における発電素子の製造方法の一例を示す模式図である。
図5図5(a)~図5(d)は、第1実施形態における発電素子の製造方法の一例を示す模式図である。
図6図6(a)~図6(d)は、第1実施形態における発電素子の製造方法の一例を示す模式図である。
図7図7(a)は、第2実施形態における発電素子及び発電装置の一例を示す模式断面図であり、図7(b)は、図7(a)におけるB-Bに沿った模式平面図である。
図8図8は、第2実施形態における発電素子の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図9図9(a)~図9(d)は、第2実施形態における発電素子の製造方法の一例を示す模式図である。
図10図10(a)は、第3実施形態における発電素子及び発電装置の一例を示す模式断面図であり、図10(b)は、図10(a)におけるC-Cに沿った模式平面図である。
図11図11は、第3実施形態における発電素子の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図12図12(a)~図12(d)は、第3実施形態における発電素子の製造方法の一例を示す模式図である。
図13図13(a)及び図13(b)は、第3実施形態における発電素子の製造方法の一例を示す模式図である。
図14図14(a)~図14(d)は、発電素子を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図であり、図14(e)~図14(h)は、発電素子を含む発電装置を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態としての発電素子、発電装置、電子機器、発電方法、及び発電素子の製造方法の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、各電極が積層される高さ方向を第1方向Zとし、第1方向Zと交差、例えば直交する1つの平面方向を第2方向Xとし、第1方向Z及び第2方向Xのそれぞれと交差、例えば直交する別の平面方向を第3方向Yとする。また、各図における構成は、説明のため模式的に記載されており、例えば各構成の大きさや、構成毎における大きさの対比等については、図とは異なってもよい。
【0025】
(第1実施形態:発電素子1、発電装置100)
図1は、本実施形態における発電素子1、及び発電装置100の一例を示す模式図である。図1(a)は、本実施形態における発電素子1、及び発電装置100の一例を示す模式断面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA-Aに沿った模式平面図である。
【0026】
(発電装置100)
図1(a)に示すように、発電装置100は、発電素子1と、第1配線101と、第2配線102とを備える。発電素子1は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。このような発電素子1を備えた発電装置100は、例えば、図示せぬ熱源に搭載又は設置され、熱源の熱エネルギーを元として、発電素子1から発生した電気エネルギーを、第1配線101及び第2配線102を介して負荷Rへ出力する。負荷Rの一端は第1配線101と電気的に接続され、他端は第2配線102と電気的に接続される。負荷Rは、例えば電気的な機器を示す。負荷Rは、例えば発電装置100を主電源又は補助電源に用いて駆動される。
【0027】
発電素子1の熱源としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の電子デバイス又は電子部品、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、自動車等のエンジン、工場の生産設備、人体、太陽光、及び環境温度等が挙げられる。例えば、電子デバイス、電子部品、発光素子、エンジン、及び生産設備等は、人工熱源である。人体、太陽光、及び環境温度等は自然熱源である。発電素子1を備えた発電装置100は、例えばIoT(Internet of Things)デバイス及びウェアラブル機器等のモバイル機器や自立型センサ端末の内部に設けることができ、電池の代替又は補助として用いることができる。さらに、発電装置100は、太陽光発電等のような、より大型の発電装置への応用も可能である。
【0028】
(発電素子1)
発電素子1は、例えば、上記人工熱源が発した熱エネルギー、又は上記自然熱源が持つ熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、電流を生成する。発電素子1は、発電装置100内に設けるだけでなく、発電素子1自体を、上記モバイル機器や上記自立型センサ端末等の内部に設けることもできる。この場合、発電素子1自体が、上記モバイル機器又は上記自立型センサ端末等の、電池の代替部品又は補助部品となり得る。
【0029】
発電素子1は、例えば図1(a)に示すように、第1電極11と、第2電極12と、中間部14と、第1基板15と、第2基板16と、支持部17と、保護部22と、を備える。発電素子1は、さらに貫通部18と、封止部21と、を備えてもよい。
【0030】
第1基板15及び第2基板16は、第1方向Zに沿って互いに離間して設けられる。第1電極11は、第1基板15の主面上に設けられる。第2電極12は、第1電極11と離間して第2基板16の主面上に設けられ、第1電極11よりも高い仕事関数を有する。第1電極11及び第2電極12は、互いに対向して設けられる。中間部14は、例えば図2に示すように、第1電極11と、第2電極12との間(ギャップG)を含む空間140に設けられる。中間部14は、ナノ粒子141及び溶媒142を含む。ナノ粒子141は、溶媒142に分散され、各電極11、12に対する電子の享受を促進する。
【0031】
支持部17は、第1基板15と第2基板16との間に接して設けられ、中間部14と離間し、金属を含む。保護部22は、中間部14と、支持部17との間に設けられ、中間部14と接し、絶縁性を有する。このため、支持部17に対してナノ粒子141が接しないため、ナノ粒子141が支持部17に付着するのを防ぐことができる。
【0032】
ここで、発電素子1に用いられるナノ粒子141は、絶縁体の材料に比べて金属の材料に付着し易い傾向がある点を、発明者らは発見した。この点を踏まえ、本実施形態における発電素子1の保護部22は、絶縁性を有する。このため、ナノ粒子141が保護部22に付着する量を、支持部17に比べて大幅に低減させることができる。これにより、電極間に分散されるナノ粒子141の量の減少を抑制することができる。従って、発電効率の低下を抑制することが可能となる。
【0033】
以下、各構成の詳細について説明する。
【0034】
<第1電極11、第2電極12>
第1電極11及び第2電極12は、例えば図1(a)に示すように、離間して設けられる。第1電極11及び第2電極12は、例えば第1方向Zに離間する。第1電極11及び第2電極12は、例えば第2方向X又は第3方向Yに離間して設けられてもよい。
【0035】
各電極11、12は、例えば第2方向X及び第3方向Yに延在し、複数設けられてもよい。例えば1つの第2電極12は、複数の第1電極11とそれぞれ異なる位置で対向して設けられてもよい。また、例えば1つの第1電極11は、複数の第2電極12とそれぞれ異なる位置で対向して設けられてもよい。
【0036】
第1電極11及び第2電極12は、例えばそれぞれ異なる仕事関数を有する。第1電極11及び第2電極12の材料として、導電性を有する材料が用いられる。第1電極11及び第2電極12の材料として、各電極11、12として、例えば同一の材料を用いてもよく、この場合、それぞれ異なる仕事関数を有してもよい。
【0037】
各電極11、12の材料として、例えば鉄、アルミニウム、銅等の単一元素からなる材料が用いられるほか、例えば2種類以上の元素からなる合金の材料が用いられてもよい。各電極11、12の材料として、例えば非金属導電物が用いられてもよい。非金属導電物の例としては、シリコン(Si:例えばp型Si、あるいはn型Si)、及びグラフェン等のカーボン系材料等を挙げることができる。
【0038】
第1電極11及び第2電極12の第1方向Zに沿った厚さは、例えば4nm以上1μm以下である。第1電極11及び第2電極12の第1方向Zに沿った厚さは、例えば4nm以上50nm以下でもよい。
【0039】
第1電極11と、第2電極12との間の距離を示すギャップGは、例えば図2に示すように、第1方向Zに沿った長さを示す。例えばギャップGを短くすることで、発電素子1の発電効率を向上させることができる。また、例えばギャップGを短くすることで、発電素子1の第1方向Zに沿った厚さを薄くすることができる。これらのため、ギャップGは、短いほうが望ましい。
【0040】
ギャップGは、例えば10μm以下の有限値である。ギャップGは、例えば1μm以上5μm以下の場合、ギャップGのバラつきに伴う発電効率の影響を抑制することができる。ギャップGは、例えば10nm以上100nm以下の場合、発電効率の向上を図ることができる。ギャップGは、例えば支持部17の厚さに依存するほか、例えば同一基板上に各電極11、12を設ける場合には、各電極11、12の配置条件に依存する。
【0041】
<中間部14>
中間部14は、各電極11、12の間に形成された空間140内に設けられる。中間部14は、各電極11、12の互いに対向する主面に接するほか、例えば各電極11、12の側面に接してもよい。中間部14は、例えば複数種類のナノ粒子141を含んでもよい。
【0042】
ナノ粒子141の粒子径は、ギャップGよりも小さい有限値である。ナノ粒子141の粒子径は、例えばギャップGの1/10以下の有限値である。ナノ粒子141の粒子径を、ギャップGの1/10以下とすると、空間140内にナノ粒子141を含む中間部14を、形成し易くすることができる。これにより、発電素子1を生成する際、作業性を向上させることが可能となる。
【0043】
ここで、「ナノ粒子」とは、複数の粒子を含んだものを示す。ナノ粒子141は、例えば2nm以上100nm以下の粒子径を有する粒子を含む。ナノ粒子141は、例えば、メディアン径(中央径:D50)が3nm以上8nm以下の粒子径を有する粒子を含んでもよいほか、例えば平均粒径が3nm以上8nm以下の粒子径を有する粒子を含んでもよい。メディアン径又は平均粒径は、例えば粒度分布計測器を用いることで、測定することができる。粒度分布計測器としては、例えば、動的光散乱法を用いた粒度分布計測器(例えばMalvern Panalytical 製ゼータサイザーUltra等)を用いればよい。
【0044】
ナノ粒子141は、例えば導電物を含む。ナノ粒子141の仕事関数の値は、例えば、第1電極11の仕事関数の値と、第2電極12の仕事関数の値との間にあるほか、例えば第1電極11の仕事関数の値と、第2電極12の仕事関数の値との間以外であってもよく、任意である。
【0045】
ナノ粒子141の材料の例としては、金及び銀の少なくとも1つを選ぶことができる。このほか、ナノ粒子141は、例えば金属酸化物を含んでもよい。金属酸化物を含むナノ粒子141として、例えばジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、酸化鉄(Fe、Fe)、酸化銅(CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、イットリア(YO3)、酸化ニオブ(Nb)、酸化モリブデン(MoO)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化タンタル(Ta)、酸化タングステン(WO)、酸化鉛(PbO)、酸化ビスマス(Bi)、セリア(CeO)、酸化アンチモン(Sb、Sb)などの、金属及びSiからなる群より選ばれる少なくとも何れか1つの元素の金属酸化物が用いられる。
【0046】
なお、ナノ粒子141が金属酸化物を含むことで、溶媒142に対する分散性を向上させることができ、ナノ粒子141の凝集に伴う発電効率の低下を抑制することが可能となる。また、ナノ粒子141が金属酸化物を含むことで、材料の選択肢を増やすことができるほか、材料コストを低減することが可能となる。
【0047】
また、ナノ粒子141として、磁性体を除く材料が用いられてもよい。例えばナノ粒子141として磁性体を用いた場合、発電素子1の設置された環境に起因して発生する磁場により、ナノ粒子141の移動が制限され得る。このため、ナノ粒子141として磁性体を除く材料を用いることで、外部環境に起因する磁場の影響を受けずに、経時に伴う発電効率の低下を抑制することが可能となる。
【0048】
ナノ粒子141は、例えば被膜141aを表面に含む。被膜141aの厚さは、例えば20nm以下の有限値である。このような被膜141aをナノ粒子141の表面に設けることで、例えば空間140内におけるナノ粒子141の凝集を抑制することができる。また、例えば電子が、第1電極11とナノ粒子141との間、及び第2電極12とナノ粒子141との間を、トンネル効果等を利用して移動する可能性を高めることが可能となる。
【0049】
被膜141aとして、例えばチオール基又はジスルフィド基を有する材料が用いられる。チオール基を有する材料として、例えばドデカンチオール等のアルカンチオールが用いられる。ジスルフィド基を有する材料として、例えばアルカンジスルフィド等が用いられる。
【0050】
溶媒142は、例えば有機溶媒を含む。有機溶媒として、例えば芳香族炭化水素化合物、芳香族エステル化合物、芳香族エーテル化合物、芳香族ケトン化合物、脂肪族炭化水素化合物、脂肪族エステル化合物、脂肪族エーテル化合物、脂肪族ケトン化合物、アルコール化合物、アミド化合物、チオール化合物、他の化合物等が用いられ、1種のほか2種以上が用いられてもよい。溶媒142が有機溶媒を含むことで、材料コスト低減を図ることが可能となる。
【0051】
なお、上述した材料のほか、溶媒142として、例えばジメチルスルホキシド、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン等が用いられてもよい。
【0052】
溶媒142には、例えば沸点が60℃以上の液体を用いることができる。このため、室温(例えば15℃~35℃)以上の環境下において、発電素子1を用いた場合であっても、溶媒142の気化を抑制することができる。これにより、溶媒142の気化に伴う発電素子1の劣化を抑制することができる。
【0053】
<第1基板15、第2基板16>
第1基板15は、例えば図1(a)に示すように、第1電極11と接し、第2電極12と離間する。第1基板15は、第1電極11を固定する。第2基板16は、第2電極12と接し、第1電極11と離間する。第2基板16は、第2電極12を固定する。第1基板15及び第2基板16は、例えば各電極11、12及び中間部14を挟み、第1方向Zに離間して設けられる。発電素子1は、第1基板15及び第2基板16の少なくとも何れかに設けられた貫通部18をさらに備えてもよい。発電素子1は、貫通部18を封止する封止部21をさらに備えてもよい。
【0054】
各基板15、16の第1方向Zに沿った厚さは、例えば10μm以上2mm以下である。各基板15、16の厚さは、任意に設定することができる。各基板15、16の形状は、例えば正方形や長方形の四角形のほか、円盤状等でもよく、用途に応じて任意に設定することができる。
【0055】
各基板15、16として、例えば絶縁性を有する板状の部材を用いることができ、例えばシリコン、石英、パイレックス(登録商標)等の公知の部材を用いることができる。各基板15、16は、例えばフィルム状の部材が用いられてもよく、例えばPET(polyethylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、及びポリイミド等の公知のフィルム状部材が用いられてもよい。
【0056】
各基板15、16として、例えば導電性を有する部材を用いることができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、又はアルミニウムと銅との合金等を挙げることができる。また、各基板15、16としては、例えばSi、GaN等の導電性を有する半導体の他、導電性高分子等の部材を用いてもよい。各基板15、16に導電性を有する部材を用いる場合、各電極11、12に接続するための配線が不要となる。
【0057】
<支持部17>
支持部17は、第1基板15と第2基板16とを支持し、第1基板15と第2基板16とを接合する。支持部17を備えることで、ギャップGを高精度に形成することができる。特に、支持部17が金属を含むことで、接合強度の向上や、ギャップGのバラつきを抑制することができる。
【0058】
支持部17は、例えば図1(b)に示すように、第1方向Zから見て、中空の四角形状に形成され、各電極11、12、中間部14及び保護部22を囲む。支持部17の形状は、保護部22を囲み、第1基板15と第2基板16とを支持するものであれば、任意である。
【0059】
支持部17は、第1支持部17aと第2支持部17bと、を有する。第1支持部17aは、第1基板15に設けられる。第2支持部17bは、第2基板16に設けられる。第1支持部17aと第2支持部17bとは接する。
【0060】
支持部17として、例えば絶縁性を有する材料が用いられる。支持部17として、例えばシリコン酸化物、及びポリマー等を挙げることができる。ポリマーの例としては、ポリイミド、PMMA(Polymethyl methacrylate)、及びポリスチレン等を挙げることができる。支持部17として絶縁性を有する材料が用いられた場合、例えば各支持部17a、17bの互いに接する面に、金属を含んでもよい。この場合、接合強度を向上させることが可能となる。
【0061】
また、支持部17として、例えば金属が用いられることがより好ましい。金属の例としては、例えば金、ニッケル、タングステン、タンタル、モリブデン、鉛、白金、銀、又はスズが用いられるほか、金及びクロムの積層体、又は金及びニッケルの積層体が用いられる。各支持部17a、17bが金属を含むことで、各支持部17a、17bを形成する際の厚さを容易に制御できるほか、例えば各基板15、16からの押圧による変形が抑制され、各支持部17a、17bにおける厚さの変動を防ぐことができる。これにより、ギャップGを高精度に形成することができる。
【0062】
例えば各支持部17a、17bの表面に金を用いる場合、各支持部17a、17bの表面に露出した金同士を、例えば熱圧着接合法を用いて容易に接合することができる。これにより、電極間ギャップを更に高精度に形成することができる。
【0063】
なお、支持部17は、例えば第1基板15及び第2基板16の少なくとも何れかの一部を、酸化させて設けられてもよい。この場合、支持部17を容易に設けることができる。また、この場合に、例えば各支持部17a、17bの互いに接する面に、金属を含んでもよい。この場合、接合強度を向上させることが可能となる。
【0064】
各電極11、12と支持部17とが離間することで、支持部17を介して各電極11、12の短絡を防ぐことが可能となる。
【0065】
<保護部22>
保護部22は、例えば支持部17と離間して設けられる。この場合、支持部17をする際の接合面に、保護部22が侵入することを防ぐことができる。また、中間部14から保護部22を介して、支持部17に熱の伝達を防ぐことができ、熱エネルギーの消耗を抑制することが可能となる。
【0066】
保護部22は、例えば第1電極11と第2電極12との間に接して設けられる。保護部22は、例えば第1電極11と第2電極12との間に接して設けられることで、中間部14を密閉し易くできる。また、保護部22は、例えば第1電極11と第2電極12との間に接して設けられることで、発電素子1を製造する際に保護部22を形成し易くできる。
【0067】
なお、保護部22は、例えば第1基板15と第2基板16との間に接して設けられてもよい。この場合、保護部22が各電極11、12の間に設けられる場合に比べて、各電極11、12の対向する面積を大きくすることができる。これにより、各電極11、12の間に発生する電流量の向上を図ることが可能となる。
【0068】
保護部22は、第1方向Zから見て、中空の四角形状に形成され、各電極11、12及び中間部14を囲む。保護部22は、内面が中間部14と接する。保護部22は、支持部17にナノ粒子141が付着するのを防ぐために設けられ、中間部14を密閉することができる。
【0069】
保護部22として、例えば絶縁性を有する材料を挙げることができる。さらに保護部22として、例えばサイトップ(登録商標)、テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂等が挙げられる。
【0070】
<<貫通部18>>
貫通部18は、例えば図1(a)に示すように、第1基板15を第1方向Zに貫通する。貫通部18は、例えば第1基板15及び第2基板16の少なくとも何れかを、第1方向Zに貫通してもよい。
【0071】
貫通部18は、第1基板15を第1方向Zに貫通し、例えば第1電極11を貫通する。貫通部18は、例えば1つ以上設けられる。貫通部18は、例えば第1方向Zから見て、第1電極11及び第2電極12と離間する。
【0072】
貫通部18は、第1方向Zから見て、円状に形成されるほか、例えば楕円状又は溝状に形成されてもよい。貫通部18は、発電素子1の外部側から内部側に向かって狭まるテーパ状に形成されるほか、例えば逆テーパ状、ボーイング状、又はストレート状に形成されてもよい。
【0073】
<<封止部21>>
封止部21は、貫通部18を封止する。封止部21は、貫通部18の外部側を覆い、貫通された第1基板15上に設けられる。封止部21は、例えば少なくとも一部を貫通部18内に設けられてもよい。封止部21は、貫通部18の数に応じて設けられる。
【0074】
封止部21の材料として、例えば絶縁性樹脂が用いられ、絶縁性樹脂の例としては、フッ素系絶縁性樹脂を挙げることができる。
【0075】
<発電素子1の動作>
熱エネルギーが発電素子1に与えられると、第1電極11と第2電極12との間に電流が発生し、熱エネルギーが電気エネルギーに変換される。第1電極11と第2電極12との間に発生する電流量は、熱エネルギーに依存する他、第2電極12の仕事関数と、第1電極11の仕事関数との差に依存する。
【0076】
発生する電流量は、例えば、第1電極11と第2電極12との仕事関数差を大きくすること、及び電極間ギャップを小さくすることで増やすことができる。例えば、発電素子1が発生させる電気エネルギーの量は、上記仕事関数差を大きくすること、及び上記電極間ギャップを小さくすること、の少なくとも何れか1つを考慮することで増加させることができる。
【0077】
なお、「仕事関数」とは、固体内にある電子を真空中に取出すために必要な最小限のエネルギーを示す。仕事関数は、例えばケルビン法のほか、紫外光電子分光法(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)やオージェ電子分光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)等を用いて測定することができる。
【0078】
(実施形態:発電素子1の製造方法)
次に、本実施形態における発電素子1の製造方法の一例を説明する。図3は、本実施形態における発電素子1の製造方法の一例を示すフローチャートである。図4(a)~図6(d) は、第1実施形態における発電素子の製造方法の一例を示す模式図である。
【0079】
<<電極形成工程S110>>
先ず、例えば図4(a)に示すように、第1基板15の主面上に第1電極11を形成し、例えば図4(b)に示すように、第2基板16の主面上に第2電極12を形成する(電極形成工程S110)。各電極11、12は、第1方向Zから見て、四角形状に形成される。
【0080】
電極形成工程S110では、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて、各電極11、12を形成するほか、例えばスクリーン印刷法、インクジェット法、及びスプレイ印刷法等を用いて形成してもよい。例えば、第1電極11としてアルミニウムが用いられ、第2電極12として白金が用いられるほか、それぞれ上述した材料が用いられてもよい。
【0081】
電極形成工程S110では、例えば公知のエッチング法等を用いて、各電極11、12の一部を除去してもよい。この場合、各電極11、12として機能する層と離間した場所に、各電極11、12と同じ厚さの層(支持層)が形成される。
【0082】
<<支持部形成工程S120>>
次に、例えば図4(c)に示すように、第1基板15の主面上方に第1支持部17aを形成し、例えば図4(d)に示すように、第2基板16の主面上方に第2支持部17bを形成する(支持部形成工程S120)。各支持部17a、17bは、第1方向Zから見て、中空の四角形状に形成される。各支持部17a、17bは、各電極11、12から離間する。
【0083】
支持部形成工程S120では、例えばスパッタリング法又は蒸着法等を用いた真空環境下で各支持部17a、17bを形成するほか、例えばスクリーン印刷法、インクジェット法、スプレイ印刷法等を用いた常圧環境下で各支持部17a、17bを形成してもよい。各支持部17a、17bとして、金属が用いられ、例えば金が用いられる。例えば各支持部17a、17bとして、例えば金及びクロムの積層体、又は金及びニッケルの積層体が用いられる場合、各基板15、16上にクロム又はニッケルが形成され、その上に金が形成される。これにより、各支持部17a、17bの上面に、金が露出する。
【0084】
例えば支持部形成工程S120は、電極形成工程S110で形成された支持層上に、上述した材料を形成し、支持層を含む支持部17を形成してもよい。この場合、各基板15、16上に直接支持部17を形成するときに比べて、支持部17を形成する位置の精度を向上させることができる。また、支持部17に各電極11、12の材料と同様の支持層が含まれることで、例えば熱膨張に伴い各基板15、16に作用する負荷を軽減させることが可能となる。
【0085】
なお、支持部形成工程S120では、第1基板15の主面上方及び第2基板16の主面上方の少なくとも何れかに支持部17を形成してもよい。支持部17は、第1基板15の主面上方であれば、第1基板15に接してもよいし、接しなくてもよい。支持部17は、第2基板16の主面上方であれば、第2基板16に接してもよいし、接しなくてもよい。
【0086】
<<保護部形成工程S130>>
次に、例えば図5(a)に示すように、第1電極11の主面上方に保護部22を形成する(保護部形成工程S130)。保護部22は、例えば図5(b)に示すように、第1方向Zから見て、中空の四角形状に形成される。保護部22は、絶縁性を有し、例えばサイトップ(登録商標)が用いられる。
【0087】
保護部形成工程S130では、例えばスパッタリング法又は蒸着法等を用いた真空環境下で保護部22を形成するほか、例えばスクリーン印刷法、インクジェット法、スプレイ印刷法等を用いた常圧環境下で保護部22を形成してもよい。
【0088】
なお、保護部形成工程S130では、第1基板15の主面上方及び第2基板16の主面上方の少なくとも何れかに保護部22を形成してもよい。保護部22は、第1基板15の主面上方であれば、第1基板15に接してもよいし、接しなくてもよい。保護部22は、第2基板16の主面上方であれば、第2基板16に接してもよいし、接しなくてもよい。
【0089】
<<貫通部形成工程S140>>
次に、例えば図5(c)に示すように、第1基板15に貫通部18を形成する(貫通部形成工程S140)。貫通部18は、例えば図5(d)に示すように、第1方向Zから見て、円状に形成される。貫通部18は、第1基板15を第1方向Zに貫通し、例えば第1電極11を貫通する。貫通部18は、例えば1つ以上設けられる。貫通部18は、第1方向Zから見て、第1電極11と離間する。
【0090】
貫通部形成工程S140では、例えばドリルを用いて第1基板15に貫通部18を形成するほか、例えば反応性イオンエッチング等の異方性エッチングを用いて、貫通部18を形成してもよい。なお、貫通部形成工程S140は、例えば第2基板16に貫通部18を形成してもよい。
【0091】
<<接合工程S150>>
次に、例えば図6(a)及び図6(b)に示すように、第1電極11と、第2電極12とを第1方向Zに離間して対向するように、支持部17を介して第1基板15と第2基板16とを接合する(接合工程S150)。接合工程S150では、例えば図6(a)に示すように、第1電極11と、第2電極12とを第1方向Zに離間して対向するように、第1電極11に形成した保護部22を第2電極12に設ける。第2電極12に保護部22を設けたとき、第1支持部17aと第2支持部17bとが第1方向Zに離間される。
【0092】
そして、接合工程S150では、例えば図6(b)に示すように、保護部22を第1方向Zに押し潰すとともに、第1支持部17aの上面と、第2支持部17bの上面とを接合する。保護部22が押し潰されることで、中間部14を更に密閉し易くできる。また、保護部22は第1電極11と第2電極12とに接して設けることで、第1基板15と第2基板16とに保護部22を固定する場合よりも、第1電極11と第2電極12とに保護部22を強固に固定することができる。これにより、保護部22の変動を抑制することができる。
【0093】
また、保護部22が支持部17と離間する場合、例えば押し潰された保護部22が第1支持部17aと第2支持部17bとの間に挟まった状態で、各支持部17a、17bが接合されることを防ぐことができる。このため、支持部17を介して第1基板15と第2基板16とを接合する際に、接合力の低下を防ぐことができる。
【0094】
接合工程S150では、例えば熱圧着接合法により各支持部17a、17bの上面同士を当接させて加熱することで、各支持部17a、17bを接合する。この場合、各電極11、12におけるギャップGは、各支持部17a、17bの厚さに依存する。各支持部17a、17bは、各基板15、16に挟まれ、ギャップGが形成される。
【0095】
<<中間部形成工程S160>>
次に、例えば図6(c)に示すように、第1電極11と第2電極12との間に中間部14を形成する(中間部形成工程S160)。中間部14は、支持部17から離間し、保護部22に接する。保護部22は、中間部14と支持部17との間に設けられる。保護部22は、第1電極11と第2電極12と中間部14とを囲う。
【0096】
中間部形成工程S160では、少なくとも1つの貫通部18から中間部14を充填し、他の貫通部18から吸引(真空引き)を行い、中間部14を形成する。保護部22は第1方向Zに押し潰されて形成されるため、中間部14を密閉し易くなる。
【0097】
また、貫通部18は、第1電極11と第2電極12と離間する。このため、貫通部18を介して、第1電極11と第2電極12との間に、中間部14を充填する際に異物が混入したとき、第1電極11及び第2電極12に異物が付着するのを抑制することができる。これにより、発電素子の品質の劣化を抑制することができる。
【0098】
<<封止部形成工程S170>>
次に、例えば図6(d)に示すように、貫通部18を封止する封止部21を形成する(封止部形成工程S170)。なお、封止部形成工程S170は、省略することもできる。
【0099】
上述した工程を経て、本実施形態における発電素子1が形成される。なお、形成された発電素子1に、図1(a)に示す第1端子111、第2端子112、第1配線101、及び第2配線102等を接続することで、本実施形態における発電装置100を形成することができる。
【0100】
なお、例えば接合工程S150を実施する前であれば、電極形成工程S110、支持部形成工程S120、保護部形成工程S130の順番は任意である。
【0101】
また、例えば貫通部形成工程S140は、省略することもできる。この場合、例えば第1基板15の主面上方に保護部22を形成した後、第1電極11の保護部22により囲まれた部分に、中間部14を形成する。そして、第1電極11と、第2電極12とを第1方向Zに離間して対向するように、支持部17を介して第1基板15と第2基板16とを接合する。これにより、第1電極11と第2電極12との間に中間部14が形成される。
【0102】
本実施形態によれば、中間部14と離間し、金属を含む支持部17と、中間部14と支持部17との間に設けられ、中間部14と接し、絶縁性を有する保護部22と、を備える。このため、各電極11、12の間に分散されるナノ粒子141の量の減少を抑制することができる。これにより、発電効率の低下を抑制することができる。
【0103】
本実施形態によれば、支持部17は、金属を含む。このため、第1方向Zに沿った支持部13の厚さバラつきを抑制することができる。これにより、ギャップGを高精度に形成することができ、電気エネルギーの発生量の安定化を実現することが可能となる。
【0104】
本実施形態によれば、保護部22は、支持部17と離間して設けられる。このため、支持部17を介して第1基板15と第2基板16とを接合する際に、例えば保護部22が支持部17に接することによる接合力の低下を防ぐことができる。これにより、第1基板15と第2基板16とを支持部17により強固に接合することができる。
【0105】
本実施形態によれば、保護部22は、第1電極11と第2電極12との間に接して設けられる。このため、第1基板15と第2基板16とに保護部22を固定する場合よりも、第1電極11と第2電極12とに保護部22を強固に固定することができる。これにより、保護部22の変動を抑制することができる。
【0106】
本実施形態によれば、支持部17は、第1電極11及び第2電極12と離間する。このため、支持部17を介して各電極11、12の短絡を防ぐことが可能となる。
【0107】
本実施形態によれば、第1基板15及び第2基板16の少なくとも何れかに設けられた貫通部18をさらに備える。このため、貫通部18を介して、第1電極11と第2電極12との間に、中間部14を充填して設けることができる。これにより、発電素子1の製造工程の簡略化を図ることができる。また、発電素子1の使用に伴い中間部14を交換する必要が発生した場合、容易に中間部14の交換を実施することが可能となる。
【0108】
本実施形態によれば、第1方向Zから見て、貫通部18は、第1電極11及び第2電極12と離間する。このため、貫通部18を介して、第1電極11と第2電極12との間に、中間部14を充填する際に異物が混入したとき、第1電極11及び第2電極12に異物が付着するのを抑制することができる。これにより、発電素子の品質の劣化を抑制することができる。
【0109】
(第2実施形態:発電素子1、発電装置100)
次に、第2実施形態に係る発電装置100及び発電素子1について説明する。図7は、第2実施形態に係る発電装置100及び発電素子1の一例を示す模式図である。図7(a)は、第2実施形態に係る発電装置100及び発電素子1の一例を示す模式断面図であり、図7(b)は、図7(a)におけるB-B線に沿った模式断面図である。
【0110】
上述した第1実施形態と、第2実施形態との違いは、開口部19を有する点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0111】
<<開口部19>>
開口部19は、例えば図7(a)に示すように、第1基板15を第1方向Zに貫通する。開口部19は、例えば第1基板15及び第2基板16の少なくとも何れかを、第1方向Zに貫通してもよい。
【0112】
開口部19は、第1基板15を第1方向Zに貫通し、支持部17と保護部22との間の空間に繋がる。開口部19は、例えば1つ以上設けられる。開口部19は、例えば第1方向Zから見て、第1電極11及び第2電極12と離間する。
【0113】
開口部19は、第1方向Zから見て、円状に形成されるほか、例えば楕円状又は溝状に形成されてもよい。開口部19は、発電素子1の外部側から内部側に向かって狭まるテーパ状に形成されるほか、例えば逆テーパ状、ボーイング状、又はストレート状に形成されてもよい。
【0114】
なお、図示は省略するが、開口部19を封止する封止部21が設けられてもよい。封止部21は、開口部19の外部側を覆い、貫通された第1基板15上に設けられる。封止部21は、例えば少なくとも一部を開口部19内に設けられてもよい。封止部21は、開口部19の数に応じて設けられる。封止部21の材料として、例えば絶縁性樹脂が用いられ、絶縁性樹脂の例としては、フッ素系絶縁性樹脂を挙げることができる。
【0115】
開口部19を有することで、例えば上述した発電素子1の製造方法の接合工程S150において、支持部17を介して第1基板15と第2基板16とを接合する際に、支持部17と保護部22との間の空間の空気等の気体を、開口部19から発電素子1の外側に排出することができる。これにより、支持部17を介した第1基板15と第2基板16との接合を容易に行うことができる。
【0116】
<第2実施形態:発電素子1の製造方法>
次に、発電素子1の製造方法の一例を、説明する。図8は、本実施形態に係る発電素子1の製造方法の一例を示すフローチャートである。図9(a)~図9(d)は、本実施形態に係る発電素子1の製造方法の一例を示す模式断面図である。
【0117】
図8に示すように、上述した実施形態と同様に、電極形成工程S110、支持部形成工程S120、保護部形成工程S130及び貫通部形成工程S140を実施する。
【0118】
<<開口部形成工程S210>>
次に、例えば図9(a)に示すように、第1電極11に開口部19を形成する(開口部形成工程S210)。開口部19は、例えば図9(b)に示すように、第1方向Zから見て、円状に形成される。開口部19は、第1基板15を第1方向Zに貫通し、支持部17と保護部22との間の空間に繋がる。開口部19は、例えば1つ以上設けられる。
【0119】
開口部形成工程S210では、例えばドリルを用いて第1基板15に開口部19を形成するほか、例えば反応性イオンエッチング等の異方性エッチングを用いて、開口部19を形成してもよい。なお、開口部形成工程S210は、例えば第2基板16に開口部19を形成してもよい。
【0120】
<<接合工程S150>>
次に、例えば図9(c)及び図9(d)に示すように、第1電極11と、第2電極12とを第1方向Zに離間して対向するように、支持部17を介して第1基板15と第2基板16とを接合する(接合工程S150)。接合工程S150では、例えば図9(c)に示すように、第1電極11と、第2電極12とを第1方向Zに離間して対向するように、第1電極11に形成した保護部22を第2電極12に設ける。第2電極12に保護部22を設けたとき、第1支持部17aと第2支持部17bとが第1方向Zに離間される。
【0121】
そして、接合工程S150では、例えば図9(d)に示すように、保護部22を第1方向Zに押し潰すとともに、第1支持部17aの上面と、第2支持部17bの上面とを接合する。保護部22が押し潰されることで、中間部14を更に密閉し易くできる。また、保護部22は第1電極11と第2電極12とに接して設けることで、第1基板15と第2基板16とに保護部22を固定する場合よりも、第1電極11と第2電極12とに保護部22を強固に固定することができる。これにより、保護部22が脱落するのを抑制することができる。
【0122】
接合工程S150では、支持部17を介して第1基板15と第2基板16とを接合する際に、支持部17と保護部22との間の空間の空気等の気体を、開口部19から発電素子1の外側に排出することができる。これにより、第1基板15と第2基板16との支持部17による接合を容易に行うことができる。
【0123】
その後、上述した実施形態と同様に、中間部形成工程S160及び封止部形成工程S170を実施する。
【0124】
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、中間部14と離間し、金属を含む支持部17と、中間部14と支持部17との間に設けられ、中間部14と接し、絶縁性を有する保護部22と、を備える。このため、各電極11、12の間に分散されるナノ粒子141の量の減少を抑制することができる。これにより、発電効率の低下を抑制することができる。
【0125】
また、本実施形態によれば、第1基板15及び第2基板16の少なくとも何れかに、第1方向Zに貫通する開口部19を有し、開口部19は、支持部17と保護部22との間の空間に繋がる。このため、支持部17を介して第1基板15と第2基板16とを接合する際に、支持部17と保護部22との間の空間の空気等の気体を、開口部19から発電素子1の外側に排出することができる。これにより、支持部17を介した第1基板15と第2基板16との接合を容易に行うことができる。
【0126】
(第3実施形態:発電素子1、発電装置100)
次に、第3実施形態に係る発電装置100及び発電素子1について説明する。図10は、第3実施形態に係る発電装置100及び発電素子1の一例を示す模式図である。図10(a) は、第3実施形態に係る発電装置100及び発電素子1の一例を示す模式断面図であり、図10(b)は、図10(a)におけるC-C線に沿った模式平面図である。
【0127】
上述した第1実施形態と、第3実施形態との違いは、配線層23と、接続配線24とを有する点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0128】
<<配線層23>>
配線層23は、例えば図10に示すように、発電素子1の外部側(表面)に設けられる。
【0129】
配線層23は、例えば第1配線層23a及び第2配線層23bの少なくとも何れかを有する。第1配線層23aは、第1基板15における第1電極11が設けられる主面に対向する主面上に設けられる。すなわち、第1基板15は、第1配線層23aと第1電極11との間に挟まれる。第2配線層23bは、第2基板16における第2電極12が設けられる主面に対向する主面上に設けられる。すなわち、第2基板16は、第2配線層23bと第2電極12との間に挟まれる。
【0130】
配線層23の第1方向Zに沿った厚さは、例えば100nm以上10μm以下である。配線層23の材料として、導電性材料が用いられ、例えば金が用いられるほか、金及びクロムの積層体、又は金及びニッケルの積層体が用いられる。
【0131】
<<接続配線24>>
接続配線24は、例えば各基板15、16に第1方向Zに貫通される貫通孔25に設けられ、各電極11、12及び配線層23と電気的に接続される。接続配線24は、例えば各貫通孔25に充填されて設けられる。また、接続配線24は、例えば各貫通孔25の内周面に設けられてもよい。接続配線24は、中間部14と接してもよい。貫通孔25は、第1基板15を貫通する第1貫通孔25aと、第2基板16を貫通する第2貫通孔25bと、を有する。
【0132】
接続配線24は、例えば第1接続配線24a及び第2接続配線24bの少なくとも何れかを有する。第1接続配線24aは、第1基板15を貫通する第1貫通孔25aを介して、第1電極11及び第1配線層23aと電気的に接続される。このため、第1接続配線24aと第1電極11との接続箇所は、発電素子1の内部側に設けられる。第2接続配線24bは、第2基板16を貫通する第2貫通孔25bを介して、第2電極12及び第2配線層23bと電気的に接続される。このため、第2接続配線24bと第2電極12との接続箇所は、発電素子1の内部側に設けられる。上記接続箇所は、各接続配線24a、24bのうち特に劣化し易い部分であり、接続箇所を発電素子1の内部側に設けることで、発電素子1の耐久性を高めることが可能となる。
【0133】
接続配線24は、例えば各貫通孔25に充填されて設けられる。なお、接続配線24は、例えば各貫通孔25の内周面に設けられ、100nm以上10μm以下の厚さで形成されてもよい。接続配線24の材料として、導電性材料が用いられ、例えば金が用いられる。
【0134】
図示は省略するが、例えば封止部21は、第1貫通孔25a、第1接続配線24a、及び第1配線層23aの少なくとも一部を覆ってもよい。このとき、第1配線層23aと、第1接続配線24aとの接続箇所を、封止部21により覆うことができる。例えば封止部21は、第2貫通孔25b、第2接続配線24b、及び第2配線層23bの少なくとも一部を覆ってもよい。このとき、第2配線層23bと、第2接続配線24bとの接続箇所を、封止部21により覆うことができる。上記接続箇所は、各接続配線24a、24bのうち特に劣化し易い部分であり、且つ、発電素子1の外部側に設けられるため、接続箇所を封止部21により覆うことで、発電素子1の耐久性を高めることが可能となる。
【0135】
<第3実施形態:発電素子1の製造方法>
次に、発電素子1の製造方法の一例を、説明する。図11は、本実施形態に係る発電素子1の製造方法の一例を示すフローチャートである。図12(a)~図13(b)は、本実施形態に係る発電素子1の製造方法の一例を示す模式図である。
【0136】
<<接続配線形成工程S310>>
先ず、図12(a)に示すように、第1基板15に第1貫通孔25aを形成し、第1貫通孔25aに第1接続配線24aを形成し、図12(b)に示すように、第2基板16に第2貫通孔25bを形成し、第2貫通孔25bに第2接続配線24bを形成する(接続配線形成工程S310)。各貫通孔25a、25b及び各接続配線24a、24bは、1つ以上設けられる。
【0137】
接続配線形成工程S310では、例えばスパッタリング法を用いて各接続配線24a、24bを形成する。各接続配線24a、24bとして、例えば金が用いられる。
【0138】
<<配線層形成工程S320>>
次に、図12(c)に示すように、第1基板15における一方の主面に第1配線層23aを形成し、図12(d)に示すように、第2基板16における一方の主面に第2配線層23bを形成する(配線層形成工程S320)。各配線層23a、23bは、例えば第1方向Zから見て、四角形状に形成される。
【0139】
配線層形成工程S320では、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて、各配線層23a、23bを形成するほか、例えばスクリーン印刷法、インクジェット法、及びスプレイ印刷法等を用いて形成してもよい。
【0140】
<<電極形成工程S110>>
次に、例えば図13(a)に示すように、第1基板15の第1配線層23aが形成される主面とは反対側の主面上に第1電極11を形成し、例えば図13(b)に示すように、第2基板16の第2配線層23bが形成される主面とは反対側の主面上に第2電極12を形成する(電極形成工程S110)。このとき、第1電極11は、第1接続配線24aを介して第1配線層23aに電気的に接続される。また、第2電極12は、第2接続配線24bを介して第2配線層23bに電気的に接続される。
【0141】
その後、図11に示すように、上述した実施形態と同様に、支持部形成工程S120、保護部形成工程S130、貫通部形成工程S140、接合工程S150、中間部形成工程S160及び封止部形成工程S170を実施する。
【0142】
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、中間部14と離間し、金属を含む支持部17と、中間部14と支持部17との間に設けられ、中間部14と接し、絶縁性を有する保護部22と、を備える。このため、各電極11、12の間に分散されるナノ粒子141の量の減少を抑制することができる。これにより、発電効率の低下を抑制することができる。
【0143】
また、本実施形態によれば、第1接続配線24aは、第1貫通孔25aを介して、第1電極11及び第1配線層23aと電気的に接続される。このため、第1接続配線24aは、発電素子1の内部側で第1電極11と接続させることができる。これにより、第1電極11と接続される第1接続配線24aの劣化を抑制することが可能となる。
【0144】
また、本実施形態によれば、第2接続配線24bは、第2貫通孔25bを介して、第2電極12及び第2配線層23bと電気的に接続される。このため、第2接続配線24bは、発電素子1の内部側で第2電極12と接続させることができる。これにより、各電極11、12と接続される各接続配線24a、24bの劣化を抑制することが可能となる。また、第2接続配線24bは、第1接続配線24aと同様の構造で形成することができるため、製造工程の簡略化が可能となる。
【0145】
また、本実施形態によれば、電極形成工程S110は、第1貫通孔25aを介して、第1電極11及び第1配線層23aと電気的に接続される第1接続配線24aを形成する。このため、第1接続配線24aは、発電素子1の内部側で第1電極11と接続させることができる。これにより、第1電極11と接続される第1接続配線24aの劣化を抑制することが可能となる。
【0146】
また、本実施形態によれば、電極形成工程S110は、第2貫通孔25bを介して、第2電極12及び第2配線層23bと電気的に接続される第2接続配線24bを形成する。このため、第2接続配線24bは、発電素子1の内部側で第2電極12と接続させることができる。これにより、各電極11、12と接続される各接続配線24a、24bの劣化を抑制することが可能となる。また、第2接続配線24bは、第1接続配線24aと同様の構造で形成することができるため、製造工程の簡略化が可能となる。
【0147】
(実施形態:電子機器500)
<電子機器500>
上述した発電素子1及び発電装置100は、例えば電子機器に搭載することが可能である。以下、電子機器の実施形態のいくつかを説明する。
【0148】
図14(a)~図14(d)は、発電素子1を備えた電子機器500の例を示す模式ブロック図である。図14(e)~図14(h)は、発電素子1を含む発電装置100を備えた電子機器500の例を示す模式ブロック図である。
【0149】
図14(a)に示すように、電子機器500(エレクトリックプロダクト)は、電子部品501(エレクトロニックコンポーネント)と、主電源502と、補助電源503と、を備えている。電子機器500及び電子部品501のそれぞれは、電気的な機器(エレクトリカルデバイス)である。
【0150】
電子部品501は、主電源502を電源に用いて駆動される。電子部品501の例としては、例えば、CPU、モーター、センサ端末、及び照明等を挙げることができる。電子部品501が、例えばCPUである場合、電子機器500には、内蔵されたマスター(CPU)によって制御可能な電子機器が含まれる。電子部品501が、例えば、モーター、センサ端末、及び照明等の少なくとも1つを含む場合、電子機器500には、外部にあるマスター、あるいは人によって制御可能な電子機器が含まれる。
【0151】
主電源502は、例えば電池である。電池には、充電可能な電池も含まれる。主電源502のプラス端子(+)は、電子部品501のVcc端子(Vcc)と電気的に接続される。主電源502のマイナス端子(-)は、電子部品501のGND端子(GND)と電気的に接続される。
【0152】
補助電源503は、発電素子1である。発電素子1は、上述した発電素子1の少なくとも1つを含む。電子機器500において、補助電源503は、例えば主電源502と併用され、主電源502をアシストするための電源や、主電源502の容量が切れた場合、主電源502をバックアップするための電源として使うことができる。主電源502が充電可能な電池である場合には、補助電源503は、さらに、電池を充電するための電源としても使うことができる。
【0153】
図14(b)に示すように、主電源502は、発電素子1とされてもよい。図14(b)に示す電子機器500は、主電源502として使用される発電素子1と、発電素子1を用いて駆動されることが可能な電子部品501と、を備えている。発電素子1は、独立した電源(例えばオフグリッド電源)である。このため、電子機器500は、例えば自立型(スタンドアローン型)にできる。しかも、発電素子1は、環境発電型(エナジーハーベスト型)である。図14(b)に示す電子機器500は、電池の交換が不要である。
【0154】
図14(c)に示すように、電子部品501が発電素子1を備えていてもよい。発電素子1のアノードは、例えば、回路基板(図示は省略する)のGND配線と電気的に接続される。発電素子1のカソードは、例えば、回路基板(図示は省略する)のVcc配線と電気的に接続される。この場合、発電素子1は、電子部品501の、例えば補助電源503として使うことができる。
【0155】
図14(d)に示すように、電子部品501が発電素子1を備えている場合、発電素子1は、電子部品501の、例えば主電源502として使うことができる。
【0156】
図14(e)~図14(h)のそれぞれに示すように、電子機器500は、発電装置100を備えていてもよい。発電装置100は、電気エネルギーの源として発電素子1を含む。
【0157】
図14(d)に示した実施形態は、電子部品501が主電源502として使用される発電素子1を備えている。同様に、図14(h)に示した実施形態は、電子部品501が主電源として使用される発電装置100を備えている。これらの実施形態では、電子部品501が、独立した電源を持つ。このため、電子部品501を、例えば自立型とすることができる。自立型の電子部品501は、例えば、複数の電子部品を含み、かつ、少なくとも1つの電子部品が別の電子部品と離れているような電子機器に有効に用いることができる。そのような電子機器500の例は、センサである。センサは、センサ端末(スレーブ)と、センサ端末から離れたコントローラ(マスター)と、を備えている。センサ端末及びコントローラのそれぞれは、電子部品501である。センサ端末が、発電素子1又は発電装置100を備えていれば、自立型のセンサ端末となり、有線での電力供給の必要がない。発電素子1又は発電装置100は環境発電型であるので、電池の交換も不要である。センサ端末は、電子機器500の1つと見なすこともできる。電子機器500と見なされるセンサ端末には、センサのセンサ端末に加えて、例えば、IoTワイヤレスタグ等が、さらに含まれる。
【0158】
図14(a)~図14(h)のそれぞれに示した実施形態において共通することは、電子機器500は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子1と、発電素子1を電源に用いて駆動されることが可能な電子部品501と、を含むことである。
【0159】
電子機器500は、独立した電源を備えた自律型(オートノマス型)であってもよい。自律型の電子機器の例は、例えばロボット等を挙げることができる。さらに、発電素子1又は発電装置100を備えた電子部品501は、独立した電源を備えた自律型であってもよい。自律型の電子部品の例は、例えば可動センサ端末等を挙げることができる。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0161】
1 :発電素子
11 :第1電極
12 :第2電極
13 :支持部
14 :中間部
15 :第1基板
16 :第2基板
17 :支持部
18 :貫通部
19 :開口部
21 :封止部
22 :保護部
23 :配線層
24 :接続配線
25 :貫通孔
100 :発電装置
101 :第1配線
102 :第2配線
111 :第1端子
112 :第2端子
140 :空間
141 :ナノ粒子
141a :被膜
142 :溶媒
500 :電子機器
501 :電子部品
502 :主電源
503 :補助電源
G :ギャップ
S110 :電極形成工程
S120 :支持部形成工程
S130 :保護部形成工程
S140 :貫通部形成工程
S150 :接合工程
S160 :中間部形成工程
S170 :封止部形成工程
S210 :開口部形成工程
S310 :接続配線形成工程
S320 :配線層形成工程
X :第2方向
Y :第3方向
Z :第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14