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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120172
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】誘導式角度測定機構用の走査要素
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
G01D5/20 110F
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024025154
(22)【出願日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】23158097
(32)【優先日】2023-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ハイネマン
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ホイマン
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077NN04
2F077NN13
2F077PP06
2F077VV02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】誘導式角度測定機構用の、比較的正確に働き、コンパクトで、安価に製造可能な走査要素を提供する。
【解決手段】第1、第2、第3、および第4の受信導体路を含む走査要素に関する。第2の受信導体路は第2の弧長にわたって延び、かつ第4の受信導体路は第4の弧長にわたって延びる。第1の受信導体路および第3の受信導体路の軌道は、第1の円周線に沿って、周期的に形成されている。第2の受信導体路および第4の受信導体路の軌道は、第2の円周線に沿って、周期的に形成されている。第2の受信導体路および第4の受信導体路は、周方向でのこれらの受信導体路の間に、第1の隙間長をもつ第1の隙間および第2の隙間長をもつ第2の隙間が存在するように配置されている。第1の隙間長と第2の隙間長が異なる大きさであるか、または第2の弧長と第4の弧長が異なる大きさである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導式角度測定機構用の走査要素(1)であって、
第1の受信導体路(1.1121)を含む第1の検出ユニット(1.11)を有し、
第2の受信導体路(1.1221;1.1221’)を含む第2の検出ユニット(1.12)を有し、前記第2の受信導体路(1.1221;1.1221’)が第2の弧長(α2)にわたって延び、
第3の受信導体路(1.1321)を含む第3の検出ユニット(1.13)を有し、かつ
第4の受信導体路(1.1421;1.1421’)を含む第4の検出ユニット(1.14)を有し、前記第4の受信導体路(1.1421;1.1421’)が第4の弧長(α4、α4’)にわたって延び、
前記第1の受信導体路(1.1121)および前記第3の受信導体路(1.1321)の軌道が、第1の半径(R)を有する第1の円周線(K1)に沿って、周期的に形成されており、
前記第2の受信導体路(1.1221;1.1221’)および前記第4の受信導体路(1.1421;1.1421’)の軌道が、第2の半径(r)を有する第2の円周線(K2)に沿って、周期的に形成されており、前記第2の受信導体路(1.1221;1.1221’)および前記第4の受信導体路(1.1421;1.1421’)が、周方向(x)での前記受信導体路(1.1221;1.1221’、1.1421;1.1421’)の間に、第1の隙間長(β24:β24’)をもつ第1の隙間(G24;G24’)および第2の隙間長(γ24)をもつ第2の隙間(L24)が存在するように配置されており、
前記第1の半径(R)と前記第2の半径(r)が異なっており、かつ
前記第1の隙間長(β24)と前記第2の隙間長(γ24)が異なる大きさであるか、または前記第2の弧長(α2)と前記第4の弧長(α4’)が異なる大きさである、走査要素(1)。
【請求項2】
前記第2の受信導体路(1.1221;1.1221’)および前記第4の受信導体路(1.1421;1.1421’)がそれぞれ、一定の第2の周期長(λ2)をもつ周期的な軌道を有し、かつ前記第1の隙間長(β24;β24’)が前記第2の周期長(λ2)の倍数m;m’であり、前記第2の隙間長(γ24)が前記第2の周期長(λ2)の倍数nであり、したがって、
β24=m・λ2およびγ24=n・λ2、または
β24’=m’・λ2およびγ24=n・λ2
式中、m、m’、nは0より大きい自然数
が当てはまる、請求項1に記載の走査要素(1)。
【請求項3】
前記第2の受信導体路(1.1221;1.1221’)および前記第4の受信導体路(1.1421;1.1421’)がそれぞれ、一定の第2の周期長(λ2)をもつ周期的な軌道を有し、前記第2の周期長(λ2)が、360°の第2の約数(T)である、請求項1または2に記載の走査要素(1)。
【請求項4】
前記第2の約数(T)が奇数である、請求項3に記載の走査要素(1)。
【請求項5】
前記第2の受信導体路(1.1221;1.1221’)および前記第4の受信導体路(1.1421;1.1421’)がそれぞれ、一定の第2の周期長(λ2)をもつ周期的な軌道を有し、かつ前記第2の弧長(α2)が前記第2の周期長(λ2)の倍数であり、前記第4の弧長(α4、α4’)が前記第2の周期長(λ2)の倍数であり、したがって、
α2=p・λ2およびα4=q・λ2または
α2=p・λ2およびα4’=q’・λ2
式中、p、q、q’は0より大きい自然数
が当てはまる、請求項1から4のいずれか一項に記載の走査要素(1)。
【請求項6】
前記第1の受信導体路(1.1121)および前記第3の受信導体路(1.1321)が、周方向(x)での前記受信導体路(1.1121、1.1321)の間に、第3の隙間長(γ13)をもつ第3の隙間(G13)および第4の隙間長(β13)をもつ第4の隙間(L13)が存在するように配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の走査要素(1)。
【請求項7】
前記第3の隙間長(γ13)が前記第4の隙間長(β13)と同じ大きさである、請求項6に記載の走査要素(1)。
【請求項8】
前記第1の受信導体路(1.1121)が第1の弧長(α1)にわたって延び、かつ前記第3の受信導体路(1.1321)が第3の弧長(α3)にわたって延び、かつ前記第1の弧長(α1)が前記第3の弧長(α3)と同じ大きさである、請求項6または7に記載の走査要素(1)。
【請求項9】
前記第1の受信導体路(1.1121)および前記第3の受信導体路(1.1321)がそれぞれ、一定の第1の周期長(λ1)をもつ周期的な軌道を有し、前記第1の周期長(λ1)が、360°の第1の約数(S)である、請求項1から8のいずれか一項に記載の走査要素(1)。
【請求項10】
前記第1の約数(S)が偶数である、請求項9に記載の走査要素(1)。
【請求項11】
前記第1の隙間長(β24)が前記第2の隙間長(γ24)より小さく、
前記第2の受信導体路(1.1221)の軌道が、第1の区間(2a)内では第1の振幅(j2a)を、および第2の区間(2b)内では第2の振幅(J2b)を有し、
前記第1の区間(2a)が、前記第1の隙間(G24)に隣り合う前記第2の受信導体路(1.1221)の端から、第1の角度(α2a)にわたって延び、かつ
前記第2の区間(2b)が、前記第2の隙間(L24)に隣り合う前記第2の受信導体路(1.1221)のもう一方の端から、第2の角度(α2b)にわたって延び、
前記第1および前記第2の角度(α2a、α2b)がそれぞれ、前記第2の弧長(α2)の半分以下であり、かつ前記第1の振幅(j2a)が前記第2の振幅(J2b)より小さい、
請求項1から10のいずれか一項に記載の走査要素(1)。
【請求項12】
前記第4の受信導体路(1.1421)の軌道が、第3の区間(4a)内では第3の振幅(j4a)を、および第4の区間(4b)内では第4の振幅(J4b)を有し、
前記第3の区間(4a)が、前記第1の隙間(G24)に隣り合う前記第4の受信導体路(1.1421)の端から、第3の角度(α4a)にわたって延び、かつ
前記第4の区間(4b)が、前記第2の隙間(L24)に隣り合う前記第4の受信導体路(1.1421)のもう一方の端から、第4の角度(α4b)にわたって延び、
前記第3および前記第4の角度(α4a、α4b)がそれぞれ、前記第4の弧長(α4)の半分以下であり、かつ前記第3の振幅(j4a)が前記第4の振幅(J4b)より小さい、
請求項1から11のいずれか一項に記載の走査要素(1)。
【請求項13】
前記第2の弧長(α2)が前記第4の弧長(α4)と同じ大きさである、請求項1から12のいずれか一項に記載の走査要素(1)。
【請求項14】
前記第2の弧長(α2)と前記第4の弧長(α4’)が異なる大きさである、請求項1から10のいずれか一項に記載の走査要素(1)。
【請求項15】
前記第1の隙間長(β24’)と前記第2の隙間長(γ24)が同じ大きさである、請求項14に記載の走査要素(1)。
【請求項16】
前記第2の受信導体路(1.1221’)の間で形作られる第1の面が、前記第4の受信導体路(1.1421’)によって形作られる第2の面と同じ大きさである、請求項14または15に記載の走査要素(1)。
【請求項17】
前記第2の弧長(α2)が前記第4の弧長(α4’)より大きく、
前記第2の受信導体路(1.1221’)の軌道が第1の振幅(j2’)を有し、かつ
前記第4の受信導体路(1.1421’)の軌道が第2の振幅(j2’)を有し、
前記第1の振幅(j2’)が前記第2の振幅(j4’)より小さい、請求項14、15、または16に記載の走査要素(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査要素に対する相対的なスケール要素の位置を決定するための請求項1に基づく誘導式角度測定機構用の走査要素に関する。
誘導式位置測定機構は、例えば互いに対して相対的に回転可能な機械部分の角度位置を決定するための角度測定機器として使用される。誘導式位置測定機構ではしばしば、励磁トラックおよび受信トラックが例えば導体路の形態で、共通のたいていは多層のプリント基板上に施されており、このプリント基板が、例えば位置測定機構の固定子と固定的に結合されている。このプリント基板に対向してスケール要素が存在しており、このスケール要素上には目盛構造が施されており、スケール要素は位置測定機構の可動部分と固定的に結合されている。励磁トラックに、時間と共に交番する励磁電流が印加されると、受信トラック内で、スケール要素と走査要素の相対移動中に位置に依存する信号が生成される。この信号はその後、評価電子機器内でさらに処理される。
【背景技術】
【0002】
WO2018/002568A1から、そこでの図7に基づいて、誘導式角度測定機構用の、隙間によって分離されてセグメント状で、円周線に沿って延びる複数の検出ユニットを有する走査要素が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2018/002568A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基礎となる課題は、誘導式角度測定機構用の、比較的正確に働き、コンパクトで、かつ安価に製造可能な走査要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は本発明により、請求項1の特徴によって解決される。
それゆえ、誘導式角度測定機構内で使用するために決定されており、それに適しているこの走査要素は、第1、第2、第3、および第4の検出ユニットを有する。第1の検出ユニットは、第1の弧長にわたって延びる第1の受信導体路を含む。第2の検出ユニットは第2の受信導体路を含み、この第2の受信導体路は第2の弧長にわたって延びる。第3の検出ユニットは、第3の弧長にわたって延びる第3の受信導体路を含む。第4の検出ユニットは第4の受信導体路を含み、この第4の受信導体路は第4の弧長にわたって延びる。第1の受信導体路の軌道および第3の受信導体路の軌道は、周方向にそれぞれ、第1の半径を有する第1の円周線に沿って、周期的に形成されている。第2の受信導体路の軌道および第4の受信導体路の軌道は、周方向にそれぞれ、第2の半径を有する第2の円周線に沿って、同様に周期的に形成されている。第2および第4の受信導体路は、周方向でのこれらの受信導体路の間に、第1の隙間長をもつ第1の隙間および第2の隙間長の第2の隙間が存在するように配置されている。第1の半径と第2の半径は異なる大きさである。加えて、
a)第1の隙間長と第2の隙間長が異なる大きさであるか、または
b)第2の弧長と第4の弧長が異なる大きさである。
【0006】
走査要素は、角度測定機構内で、スケール要素に対する相対的な角度位置を決定するために用いられ、このスケール要素は、走査要素に対して相対的に軸の周りを回転可能に配置されており、したがって測定方向は、軸に対して周方向である。弧長および隙間長は、ここでは度で提示され、かつ軸の周りの、つまり同心に配置された第1および第2の円周線の共通の中心点の周りの、それぞれの中心角に関する。検出ユニットおよびとりわけ受信導体路は周方向に沿って走る。
【0007】
第2および第4の受信導体路、とりわけ同相信号を発生させる第2および第4の受信導体路は、類似して、和信号を形成するために相互に接続されている。同じことが、第1および第3の受信導体路の信号に当てはまる。
【0008】
第2および第4の受信導体路がそれぞれ、一定の第2の周期長λ2をもつ周期的な軌道を有することが有利である。
第1の隙間長β24は第2の周期長λ2の倍数mであり、第2の隙間長γ24は第2の周期長λ2の倍数nである(β24=m・λ2およびγ24=n・λ2、式中、m、nは0より大きい自然数)。
【0009】
本発明のさらなる形態では、第2の周期長λ2は、360°の、整数の第2の約数であり、この第2の約数が奇数であり得ることが有利である。
第2の弧長α2および第4の弧長α4が、第2の周期長λ2の倍数p、qであることが有利である(α2=p・λ2およびα4=q・λ2、式中、p、qは0より大きい自然数)。
【0010】
第1および第3の受信導体路は、周方向でのこれらの受信導体路の間に、第3の隙間長をもつ第3の隙間および第4の隙間長をもつ第4の隙間が存在するように配置されていることが有利である。とりわけ、第3の隙間長は第4の隙間長と同じ大きさであり得る。
【0011】
本発明のさらなる形態では、第1の受信導体路が第1の弧長にわたって、および第3の受信導体路が第3の弧長にわたって延びる。これに関し第1の弧長は第3の弧長と同じ大きさである。
【0012】
第1の受信導体路および第3の受信導体路がそれぞれ、一定の第1の周期長λ1をもつ周期的な軌道を有することが有利であり、この第1の周期長λ1は、360°の、整数の第1の約数であり、とりわけ第1の周期長λ1に関してはこの第1の約数が偶数であることが有利である。それゆえ第1の周期長λ1は、全周の360°を整数に割り切る。つまり360°は第1の周期長λ1の倍数である。
【0013】
第1の約数と第2の約数が互いに素であることが有利である。走査要素の機能のために、周期長λ1、λ2の少なくとも1つが、全周の360°を整数の奇数に割り切ることがとりわけ重要である。
【0014】
第1および第2の周期長は、弧長および隙間長のようにここでは度で提示され、かつ軸の周りの、つまり中心点の周りの、それぞれの中心角に関する。
第1の隙間長が第2の隙間長より小さいことが有利である。さらに第2の受信導体路の軌道は、第1の区間内では第1の振幅を、および第2の区間内では第2の振幅を有する。第1の区間は、第1の隙間に隣り合う第2の受信導体路の端から、第1の角度にわたって延びる。第2の区間は、第2の隙間に隣り合う第2の受信導体路のもう一方の端から、第2の角度にわたって延びる。これに関し第1の角度は第2の弧長の半分以下である。加えて第2の角度は第2の弧長の半分以下である。さらに第1の振幅は第2の振幅より小さい。この走査要素は、第2の受信導体路の軌道が、2つの上記の異なる振幅より多くの振幅を有するように形成されてもよい。とりわけ、第1の振幅をもつ第1の区間と第2の振幅をもつ第2の区間との間に、第2の受信導体路の軌道が少なくとも1つのさらなる振幅を有する1つまたは複数の区間が存在することができる。この少なくとも1つのさらなる振幅は、それぞれ中間の大きさを有してもよく、これにより、第2の受信導体路の軌道に沿った第1の振幅から第2の振幅への移行が小さな段差で行われる。
【0015】
本発明のさらなる形態では、第4の受信導体路の軌道が、第3の区間内では第3の振幅を、および第4の区間内では第4の振幅を有する。第3の区間は、第1の隙間に隣り合う第4の受信導体路の端から、第3の角度にわたって延びる。第4の区間は、第2の隙間に隣り合う第4の受信導体路のもう一方の端から、第4の角度にわたって延びる。これに関し第3の角度は第4の弧長の半分以下である。第4の角度も第4の弧長の半分以下である。さらに第3の振幅は第4の振幅より小さい。ここでも、第3の振幅と第4の振幅の間の区間に、それぞれ中間の大きさを有するさらなる振幅が存在してもよい。
【0016】
この走査要素は、第2の弧長が第4の弧長と同じ大きさであるように形成されることが有利である。
本発明の代替的な一形態によれば、第2の弧長と第4の弧長が異なる大きさである。このとき、第1および第2の隙間長が同じ大きさである場合が有利である。このケースでは、第2の受信導体路の間で形作られる第1の面が、第4の受信導体路によって形作られる第2の面と同じ大きさであり得ることが有利である。とりわけ、第2の受信導体路の軌道は第1の振幅を有してもよく、第4の受信導体路の軌道は第2の振幅を有してもよい。第2の弧長が第4の弧長より大きい場合には、第1の振幅が第2の振幅より小さいことが有利である。
【0017】
第1、第2、第3、および第4の受信導体路によって生成可能な信号は、とりわけ評価回路を構成する電子部品によってさらに処理可能である。走査要素はプリント基板を含み、電子部品はこのプリント基板上に取り付けられている。電子部品は、様々な電子回路の要素であることができ、つまり異なる回路に割り当てられ得る。例えば特定の電子部品が、励磁電流を発生させるための回路の要素であることができ、またはさらなる電子部品が、信号の評価もしくはさらなる処理のためのさらなる回路の要素であってもよい。
【0018】
さらなる態様に基づき、本発明は、走査要素およびスケール要素を備えた誘導式角度測定機構も含む。
本発明の有利な形成形態は従属請求項から読み取られる。
【0019】
本発明による走査要素のさらなる詳細および利点は、添付の図に基づく2つの例示的実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】走査要素およびスケール要素を含む角度測定機構の透視図である。
図2】走査要素の一方の側の平面図である。
図3】スケール要素の、特に複数の受信導体路が被せられた平面図である。
図4】スケール要素の一方の側の平面図である。
図5】スケール要素の透視断面図である。
図6】スケール要素の孔の断面図である。
図7】第2の例示的実施形態に基づくスケール要素の、特に複数の受信導体路が被せられた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に基づき、スケール要素2の角度位置を捕捉するために使用され得る走査要素1を備えた角度測定機構を用いて本発明を説明する。スケール要素2は、軸Aの周りを走査要素1に対して相対的に回転可能に配置されている。このような角度測定機構は、例えば駆動機構内で使用することができ、この場合、スケール要素2は、例えばモータの駆動シャフトと回転不能に結合される。
【0022】
走査要素1は、複数の層を有するプリント基板1.1およびプリント基板1.1上に取り付けられた電子部品1.2を含む。プリント基板1.1は、これに加えて機械的支持構造としての枠1.3を含む。
【0023】
図2にも示しているように、プリント基板1.1は、約300°にわたって周りを囲むように形成された円弧形状を有し、これに相応して空いている箇所を有する。このプリント基板1.1の外周にぐるりと配置されて、閉じた実質的にリング状の枠1.3(ここでは金属製)が固定されており、枠1.3は、とりわけ走査要素1の機械的補強に役立ち、ここでは孔の形態での固定領域1.31を有する。プリント基板1.1の空いている箇所の領域では、プリント基板1.1の端面に平行に、実質的に径方向に、枠1.3の片体1.32が走る。枠1.3のさらなる片体1.33は、約60°の角度にわたって円弧の輪郭部を走る。
【0024】
走査要素1は、第1のスケール要素2を走査するために用いられる。紹介している例示的実施形態では、電子部品1.2は、プリント基板1.1の一方の側、詳しくはスケール要素2に面していない側にしか取り付けられていない。しかしその代わりにまたはそれに加えて、プリント基板1.1のもう一方の側に電子部品1.2を備え付けてもよいであろう。
【0025】
図2に基づき、プリント基板1.1は、角度情報を決定するため、第1の検出ユニット1.11、第2の検出ユニット1.12、第3の検出ユニット1.13、および第4の検出ユニット1.14を有する。検出ユニット1.11~1.14はそれぞれ円弧形状を有し、これに関してはすべての検出ユニット1.11~1.14に、それぞれの円弧形状の中心点Mが軸A上にあることが当てはまる。それゆえ検出ユニット1.11~1.14は、中心点Mに対してほぼ同心で、互いに向かい合う。
【0026】
第1の検出ユニット1.11は、第1の励磁トラック1.111および第1の受信トラック1.112を含む。同様に第2の検出ユニット1.12は第2の励磁トラック1.121および第2の受信トラック1.122を、第3の検出ユニット1.13は第3の励磁トラック1.131および第3の受信トラック1.132を、ならびに第4の検出ユニット1.14は第4の励磁トラック1.141および第4の受信トラック1.142を含む。
【0027】
励磁トラック1.111、1.121、1.131、1.141はそれぞれ、受信トラック1.112、1.122、1.132、1.142の1つを包囲する。励磁トラック1.111、1.121、1.131、1.141も、受信トラック1.112、1.122、1.132、1.142も、周方向xに沿って走る。
【0028】
受信トラック1.112、1.122、1.132、1.142の各々が、紹介している例示的実施形態ではそれぞれ4つの受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421を含み、これらの受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421は、周方向xにずれて配置されており、したがってずれに相応して4つの移相した信号をもたらし得る。紹介している例示的実施形態では、1つの受信トラック1.112、1.122、1.132、1.142内で隣接している受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421は互いに対し、正弦波周期全体の1/8(周方向xに沿ってπ/4すなわち45°)ずれて配置されている。
【0029】
図では、1つの同じ受信トラック1.112、1.122、1.132、1.142に属する受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421に1つだけの符号を付している。したがってつまり、例えば第1の受信トラック1.112のすべての受信導体路1.1121に1つだけの符号を付している。これに加え、検出ユニット1.11~1.14の受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421は、ビアと結合してプリント基板1.1の異なる層内を走り、したがって交点では望ましくない短絡が回避されている。厳密に言えば、受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421の各々が、それぞれ2つの平面または層に割り振られて並んでいる多くの導体片から成るのではあるが、以下ではこのような構造をまとめて、1つの受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421と言う。
【0030】
図3では見やすくするため、それぞれ受信トラック1.112、1.122、1.132、1.142の1つの受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421しか示していない。以下の解説は、単一の受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421のこの表現に基づいて行われ、その状況は、相応に互いに一部を成している移相した受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421にも当てはまる。
【0031】
第1の受信導体路1.1121および第3の受信導体路1.1321は、第1の半径Rを有する第1の円周線K1に沿って走る。第2の受信導体路1.1221および第4の受信導体路1.1421は、第2の半径rを有する第2の円周線K2に沿って走り、これに関し第2の半径rは第1の半径Rより小さく、したがって、
r<R
が当てはまる。
【0032】
両方の円周線K1、K2は同じ中心点Mを有する。受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421は、実質的に正弦波形にまたは正弦波状に形成された、空間的に周期的な軌道を有する。第1の受信トラック1.112の第1の受信導体路1.1121および第3の受信トラック1.132の第3の受信導体路1.1321は、その軌道にわたって、一定の第1の周期長λ1を有する。これに対し第2の受信トラック1.122の第2の受信導体路1.1221および第4の受信トラック1.142の第4の受信導体路1.1421は、その軌道にわたって、一定の第2の周期長λ2を有する。ここでは第2の周期長λ2が第1の周期長λ1より大きい。
【0033】
λ2>λ1
周期長λ1、λ2は、ここでは度で提示され、かつ軸Aの周りの、つまり中心点Mの周りの、それぞれの中心角に関する。紹介している例示的実施形態では、
第1の周期長: λ1=360°/32=11.25°および
第2の周期長: λ2=360°/15=24°である。
【0034】
したがってつまり、第1の周期長λ1は、360°の、整数の第1の約数Sであり、ここではS=32、
【0035】
【数1】
【0036】
が当てはまる。
これに倣って、第2の周期長λ2は、360°の、整数の第2の約数Tであり、ここではT=15、
【0037】
【数2】
【0038】
が当てはまる。
第1の約数Sと第2の約数Tは互いに素である。
【0039】
【数3】
【0040】
第2の受信導体路1.1221および第4の受信導体路1.1421は、周方向xでのこれらの受信導体路の間にそれぞれ第1の隙間G24および第2の隙間L24が存在するように配置されており、第2の受信導体路1.1221は第2の弧長α2にわたって延び、第4の受信導体路1.1421は第4の弧長α4にわたって延び、紹介している例示的実施形態では、
α2=p・λ2
α4=q・λ2
p=qなので、α2=α4
式中、
【0041】
【数4】
【0042】
が当てはまる。
ここではp=q=4であり、それゆえα2=4×24°=96°=α4である。したがってつまり、第2の受信導体路1.1221および第4の受信導体路1.1421はそれぞれ同じ大きさの弧長α2、α4にわたって延び、弧長α2、α4は、ここでは4つの第2の周期長λ2に相当する。
【0043】
第1の隙間G24は第1の隙間長β24にわたって延び、第2の隙間L24は第2の隙間長γ24にわたって延びる。第1の隙間長β24は第2の周期長λ2の第1の倍数mであり、ここではm=3が当てはまる。加えて第2の隙間長γ24は第2の倍数nであり、紹介している例示的実施形態ではnは値4をとる。基本的に、mおよびnには0より大きい自然数が用いられ得る。
【0044】
β24=m・λ2
γ24=n・λ2
【0045】
【数5】
【0046】
式中、
【0047】
【数6】
【0048】
が当てはまる。
さらに、mとnの和が奇数になること、つまり
m+n=2・k+1、
式中、
【0049】
【数7】
【0050】
が当てはまる。
絶対的な角度測定値の生成を考慮して、とりわけ第1および第3の受信トラック1.112、1.132との関連性を形成するため、つまり結び付きに向けて、基本的には、第2の弧長α2と、第4の弧長α4と、第1の隙間長β24と、第2の隙間長γ24との和が、第2の周期長λ2の奇数倍である場合、つまり第2の約数T(ここでは15)が奇数である場合が有利である。
【0051】
α2+α4+β24+γ24=(2・k+1)・λ2
または
p+q+m+n=2・k+1、ここでは
4+4+4+3=15(=2・7+1)
第2の受信導体路1.1221と第4の受信導体路1.1421がそれぞれ同じ大きさの弧長α2、α4にわたって延びる(p=q)場合が有利である。したがって、弧長α2、α4および隙間長β24、γ24がそれぞれ第2の周期長λ2の倍数であり、その和が第2の周期長λ2の奇数倍である場合には、第1の隙間長β24と第2の隙間長γ24が異なる大きさでなければならない。紹介している例示的実施形態では、第1の隙間長β24は第2の隙間長γ24より小さく、したがって、
β24<γ24
または
m<n
が当てはまる。
【0052】
第1の隙間長β24と第2の隙間長γ24の差が最小限であることが有利であり、したがって、
n-m=1
または
γ24-β24=λ2
が当てはまる。
【0053】
第1の受信導体路1.1121および第3の受信導体路1.1321は、周方向xでのこれらの受信導体路の間に、第3の隙間G13および第4の隙間L13が存在するように配置されている。加えて第1の受信導体路1.1121は第1の弧長α1にわたって延び、これに関し、
α1=s・λ1
が当てはまる。
【0054】
第3の受信導体路1.1321はそれぞれ第3の弧長α3にわたって延び、これに関し、
α3=t・λ1
s=t
式中、
【0055】
【数8】
【0056】
が当てはまる。
紹介している例示的実施形態ではs=t=8であり、つまりα1=8×11.25°=90°=α3である。つまり第1の受信導体路1.1121および第3の受信導体路1.1321はそれぞれ、ここでは8つの第1の周期長λ1に相当する同じ大きさの弧長α1、α3にわたって延びる。
【0057】
第3の隙間G13は第3の隙間長β13にわたって延び、第4の隙間L13は第4の隙間長γ13にわたって延びる。第3の隙間長β13は第1の周期長λ1の第3の倍数vである。加えて第4の隙間長γ13は第4の倍数wであり、紹介している例示的実施形態ではvおよびwはそれぞれ値8をとる。基本的に、vおよびwには0より大きい自然数が用いられ得る。
【0058】
β13=v・λ1
γ13=w・λ1
ここでは:v=w、
式中、
【0059】
【数9】
【0060】
が当てはまる。
さらに、紹介している例示的実施形態では、vおよびwが偶数であることが当てはまる。絶対的な角度測定値を生成するため、基本的には、第1の弧長α1と、第3の弧長α3と、第3の隙間長β13と、第4の隙間長γ13との和が、第1の周期長λ1の偶数倍である場合、つまり第1の約数S(ここでは32)が偶数である場合が有利である。
【0061】
α1+α3+β13+γ13=(2・k)・λ2
または
s+t+v+w=2・k、ここでは
8+8+8+8=32(=2・16)
式中、
【0062】
【数10】
【0063】
第3の隙間G13および第4の隙間L13は、第1の周期長λ1の倍数にわたって延びる。これに加え、第3の隙間G13と第4の隙間L13は同じ大きさであり、したがってつまり、第3の隙間G13は90°または8つの第1の周期長λ1にわたって、および第4の隙間L13も90°にわたって延びる。
【0064】
第2の受信導体路1.1221の軌道は、周方向xに沿って、それぞれ異なる振幅j2a、J2bを有する。つまり、それぞれ最大振れの領域で、第2の円周線K2と正弦波状に走る第2の受信導体路1.1221との間の異なる間隔が存在する。とりわけ、第2の受信導体路1.1221の軌道は第1の区間2a内では第1の振幅j2aを有し、この第1の区間2aは、第1の隙間G24に隣り合う第2の受信導体路1.1221の端から、第1の角度α2aにわたって延びる。第2の区間2b内では第2の受信導体路1.1221の軌道が第2の振幅J2bを有し、この第2の区間2bは、第2の隙間L24に隣り合う第2の受信導体路1.1221のもう一方の端から、第2の角度α2bにわたって延びる。これに関し、第1および第2の角度α2a、α2bはそれぞれ第2の弧長α2の半分以下である。第1の振幅j2aは第2の振幅J2bより小さい。
【0065】
第4の受信導体路1.1421にもこれに倣った考察が有効である。それゆえ第4の受信導体路1.1421の軌道は、周方向xに沿って、それぞれ異なる振幅j4a、J4bを有する。つまり、それぞれ最大振れの領域で、第2の円周線K2と正弦波状に走る第4の受信導体路1.1421との間の異なる間隔が存在する。とりわけ、第4の受信導体路1.1421の軌道は第3の区間4a内では第3の振幅j4aを有し、この第3の区間4aは、第1の隙間G24に隣り合う第4の受信導体路1.1421の端から、第1の角度α4aにわたって延びる。第4の区間4b内では第4の受信導体路1.1421の軌道が第4の振幅J4bを有し、この第4の区間4bは、第2の隙間L24に隣り合う第4の受信導体路1.1421のもう一方の端から、第4の角度α4bにわたって延びる。これに関し、第1の角度α4aおよび第4の角度α4bはそれぞれ第4の弧長α4の半分以下であり、第3の振幅j4aは第4の振幅J4bより小さい。それゆえ紹介している例示的実施形態では、
j2a=j4a
J2b=J4b
が当てはまる。
【0066】
紹介している例示的実施形態では、第2および第4の受信導体路1.1221、1.1421は、2つの異なる振幅j4a、J4bしか有さないのではない。両方の挙げた振幅j4a、J4bの間の領域では、それぞれの第2の周期長λ2内で、中間の大きさを有する振幅、つまり第2の振幅J2bまたは第4の振幅J4bより小さく、かつ第1の振幅j2aまたは第3の振幅j4aより大きい振幅が存在する。
【0067】
紹介している例示的実施形態では、第2の受信導体路1.1221の間で形作られる面、つまり正弦波形の第2の受信導体路1.1221の間の個々の面の和(すべてのレンズ状の部分面の和)が、第4の受信導体路1.1421によって形作られる面と類似のまたは同じ大きさである。
【0068】
受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421は、一つには0°および90°の信号、もう一つには45°および135°の信号をもたらすように電気的に接続されている。0°および90°の信号から第1の位置信号を決定でき、45°および135°の信号から第1の位置信号に対して冗長な第2の位置信号が決定され得る。これに加え、第1の受信トラック1.112の第1の受信導体路1.1121と第3の受信トラック1.132の第3の受信導体路1.1321は、類似して、直列に相互に接続されている。第2の受信トラック1.122の第2の受信導体路1.1221と第4の受信トラック1.142の第4の受信導体路1.1421も、類似して、直列に相互に接続されている。相互に接続された受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421によって生成された信号の評価は、1つの共通の評価ASICを介して行われ、このようにして絶対位置が算出される。
【0069】
図4では、スケール要素2が平面図で示されている。スケール要素2は、リング状または円環状の形状を有し、内径dおよび外径Dを有する。紹介している例示的実施形態では、内径dが比較的大きく、したがってここではD/d=1.4が当てはまる。
【0070】
スケール要素2は、図示した例示的実施形態では、エポキシ樹脂から製造された土台2.1(図5)から成っており、土台2.1上には2つの目盛トラック2.2、2.3が配置されている。目盛トラック2.2、2.3はリング状に形成されており、軸Aに対して同心で、異なる半径で、土台2.1上に配置されており、したがって第1の目盛トラック2.2は第2の目盛円周線C2に沿って走り、第2の目盛トラック2.3は第1の目盛円周線C1に沿って走る。目盛トラック2.2、2.3は、それぞれ周方向xに沿って交互に配置された導電性目盛領域2.21、2.31と非導電性目盛領域2.22、2.32との周期的なシーケンスから成る目盛構造を含み、この導電性目盛領域2.21、2.31はそれぞれ導電材料から成る層から形成されている。導電性目盛領域2.21、2.31の材料として、示した例では銅が土台2.1上に施された。これに対し非導電性目盛領域2.22、2.32内では土台2.1がコーティングされていない。
【0071】
それぞれ2つの目盛トラック2.2、2.3を有する構成により、スケール要素2の角度位置はアブソリュート方式で決定され得る。スケール要素2の外側の目盛トラック2.3は、周方向xに沿ってより多数のそれぞれの目盛領域2.31、2.32を有し、したがって目盛領域2.31、2.32により、角度位置の測定に関するより高い分解能を達成可能である。紹介している例示的実施形態では、第2(外側)の目盛トラック2.3が、第1の周期長λ1の偶数倍を有し、詳しくはs+t+v+wの和に相当する32であり、この和を基礎として、第1および第3の受信導体路1.1121、1.1321の幾何形状が設計された。これに対し第1(内側)の目盛トラック2.2は、周方向xに沿ってより少数のそれぞれの目盛領域2.31、2.32を有し、ここでは15である。これは、p+q+m+nの和に相当し、この和が、第2の受信導体路1.1221および第4の受信導体路1.1421の設計に重要である。
【0072】
第1(内側)の目盛トラック2.2の導電性目盛領域2.21はそれぞれ開口部2.211を有し、つまり、導電材料から成る層がこの箇所で開口されているか、または土台2.1がこの領域ではコーティングされていない。導電性目盛領域2.21は、それぞれ開口部2.211が導電性目盛領域2.21によって包囲されるように形成または配置されている。開口部2.211は、それぞれ中心点Mに対して同じ間隔を有するように、かつ第2の目盛円周線C2に沿って周方向xに等距離に(ここではそれぞれ24°の間隔をあけて)並ぶように配置されている。導電材料が開口部2.211を包囲することにより、開口部2.211の周囲では両側に、導電材料から成る片体2.212(図6を参照)が存在しており、かつ開口部2.211の周りに導電材料から成る閉じた輪郭部が存在する。
【0073】
導電性目盛領域2.21の一部の数、ここでは5つでは、それぞれ開口部2.211を貫くように、土台2.1内に孔2.11が配置されている。つまり孔2.11は、第1(内側)の目盛トラック2.2に沿って、つまり第2の目盛円周線C2に沿って、土台2.1内に配置されており、紹介している例示的実施形態では5つの孔2.11が設けられており、これらの孔2.11は、それぞれ中心点Mに対して同じ間隔を有し、かつ第2の目盛円周線C2に沿って等距離に(ここでは72°の間隔をあけて)配置されている。
【0074】
図6では、第1の目盛トラック2.2の領域でのスケール要素2の一部分の詳細な断面が示されており、これに関し図6では、導電性目盛領域2.21の導電材料から成る層の厚さが、解説のために誇張されて大きく図示されている。孔2.11はここではそれぞれ段のある貫通孔として形成されている。とりわけ、孔2.11は、例えば穴あけ加工によって製造される円錐形領域2.111を有する。円錐形領域2.111は、土台2.1の表面に対して、つまり軸方向に、寸法hだけ後ろにずれて配置されている。これにより、それぞれの孔2.11内に、ここではそれぞれネジ(とりわけ皿ネジ)として形成された固定要素2.4を配置でき、この固定要素2.4は土台2.1の表面に対しておよびそれぞれの導電性目盛領域2.21の表面に対して後ろにずれている。固定要素2.4は、機械部分にスケール要素2を固定するために用いられ、ここでは鋼鉄から作製されており、それゆえ導電性である。
【0075】
組み立てられた状態では、走査要素1とスケール要素2が軸方向の間隔または空隙をあけて向かい合っており、したがってスケール要素2と走査要素1が相対的に回転すると、受信導体路1.1121、1.1221、1.1321、1.1421内で、それぞれの角度位置に依存する信号がそれぞれ誘導効果によって生成され得る。相応の信号が形成される前提条件は、励磁トラック1.111、1.121、1.131、1.141が、それぞれ走査される目盛構造の領域で、時間と共に交番する電磁励起場を生成することである。図示した例示的実施形態では、励磁トラック1.111、1.121、1.131、1.141が、平行平面で電流に貫流される複数の単一導体路として形成されている。走査要素1は、相互に電気接続された電子部品1.2を備えた電子回路を有する。この電子回路は、例えばASICチップも含み得る。受信トラック1.112、1.122,1.132、1.142によって生成された信号は、評価回路を構成する電子部品1.2の幾つかによってさらに処理される。走査要素1のこの電子回路は、評価要素としてだけでなく、励磁制御要素としても働き、この励磁制御要素の制御下で励磁電流が発生または生成され、励磁電流はその後、励磁トラック1.111、1.121、1.131、1.141を貫流する。したがって励磁トラック1.111、1.121、1.131、1.141は、1つの同じ励磁制御要素によって通電される。
【0076】
励磁トラック1.111、1.121、1.131、1.141が通電すると、励磁トラック1.111、1.121、1.131、1.141の周りに管状または円筒形に方向づけられた電磁場が形成される。この生じている電磁場の力線は、励磁トラック1.111、1.121、1.131、1.141の周りを走り、この力線の方向は、既知のように励磁トラック1.111、1.121、1.131、1.141内の電流方向に依存している。導電性目盛領域2.21、2.31の領域で渦電流が誘導され、これにより、それぞれ角度位置に依存した場の変調が達成される。これに相応して受信トラック1.112、1.122、1.132、1.142により、それぞれ相対的な角度位置が測定され得る。第1の導電性目盛領域2.21の特殊な形態、とりわけ開口部2.211の位置決めおよび寸法決めが、渦電流の適切な形成を保証し、この渦電流は、開口部2.211の周りを360°にわたって、とりわけ導電材料から成る片体2.212内を流れ得る。これにより、スケール要素2の比較的コンパクトな構造方式が、測定精度を目立って低下させることなく達成され得る。というのも、固定要素2.4が第1の目盛トラック2.2に組み込まれているにもかかわらず、固定要素2.4が測定結果を妨げないからである。この関連では、とりわけ、孔のない導電性目盛領域2.21が、孔2.11および固定要素2.4を有する目盛領域2.21と同じ開口部2.211を有することも有利である。これに加え、固定要素2.4が軸方向に後ろにずれていることも有利である。
【0077】
図7では、第2および第4の検出ユニット1.12、1.14の形態によって第1の例示的実施形態とは異なる第2の例示的実施形態に基づく走査要素1が示されている。
第2の例示的実施形態によれば、第2の受信導体路1.1221は第2の弧長α2にわたって、および第4の受信導体路1.1421は第4の弧長α4’にわたって延び、紹介している例示的実施形態では、
α2=p・λ2
α4’=q’・λ2
【0078】
【数11】
【0079】
式中、
【0080】
【数12】
【0081】
が当てはまる。
ここではp=4およびq’=3であり、それゆえα2=4×24°=96°およびα4’=3×24°=72°である。よってここでは、
α2>α4’
となる。
【0082】
第1の隙間G24’は第1の隙間長β24’にわたって延び、第2の隙間L24は第2の隙間長γ24にわたって延びる。第1の隙間長β24’は、第2の周期長λ2の第1の倍数m’であり、ここではm’=4が当てはまる。加えて第2の隙間長γ24は第2の倍数nであり、紹介している第2の例示的実施形態ではnも値4をとる。基本的に、m’およびnには0より大きい自然数が用いられ得る。
【0083】
β24’=m’・λ2
γ24=n・λ2
m’=n、
式中、
【0084】
【数13】
【0085】
が当てはまる。
第2の例示的実施形態でも、絶対的な角度測定値の生成を考慮して、基本的に、第2の弧長α2と、第4の弧長α4’と、第1の隙間長β24’と、第2の隙間長γ24との和が、第2の周期長λ2の奇数倍である(ここでは15)場合が有利であることが当てはまる。
【0086】
α2+α4’+β24’+γ24=(2・k+1)・λ2
または
p+q’+m’+n=2・k+1、ここでは
4+3+4+4=15(=2・7+1)
紹介している例示的実施形態では、第1の隙間長β24’は第2の隙間長γ24と同じであり、したがって、
β24’=γ24
が当てはまる。
【0087】
第2の弧長α2と第4の弧長α4’の差が最小限であることが有利であり、したがって、
p-q’=1
または
α2-α4’=λ2
が当てはまる。
【0088】
第2の受信導体路1.1221’の軌道は、周方向xに沿って、紹介している第2の例示的実施形態では同じ大きさの振幅j2’を有する。つまり、周方向xに沿って、それぞれ最大振れの領域で、第2の円周線K2と正弦波状に走る第2の受信導体路1.1221’との間の同じ間隔が存在する。
【0089】
第4の受信導体路1.1421’にもこれに倣った考察が有効である。それにより第4の受信導体路1.1421’の軌道は、周方向xに沿って、それぞれ同じ大きさの振幅j4’を有する。ただし、紹介している第2の例示的実施形態では、
【0090】
【数14】
【0091】
が当てはまり、とりわけα2>α4’に対しては、
j2’<j4’
が当てはまる。
【0092】
基本的には、第2の受信導体路1.1221’の間で形作られる面(すべてのレンズ状の部分面の和)が、第4の受信導体路1.1421’によって形作られる面と類似のまたは同じ大きさである場合が有利である。紹介している第2の例示的実施形態では、第2の受信導体路1.1221’が4つの第2の周期長λ2にわたって、および第4の受信導体路1.1421’が3つだけの第2の周期長λ2にわたって延びる。これを補うため、第2の受信導体路1.1221’の振幅j2’は第4の受信導体路1.1421’の振幅j4’より小さく、これにより、第2の受信導体路1.1221’によって形作られる面を全部合わせると、第4の受信導体路1.1421’によって形作られる面の全部とほぼ同じ大きさである。
【符号の説明】
【0093】
1 走査要素
1.11 第1の検出ユニット
1.1121 第1の受信導体路
1.12 第2の検出ユニット
1.1221;1.1221’ 第2の受信導体路
1.13 第3の検出ユニット
1.1321 第3の受信導体路
1.14 第4の検出ユニット
1.1421;1.1421’ 第4の受信導体路
2a 第1の区間
2b 第2の区間
4a 第3の区間
4b 第4の区間
G13 第3の隙間
G24;G24’ 第1の隙間
j2a 第1の振幅
J2b 第2の振幅
j4a 第3の振幅
J4b 第4の振幅
j2’ 第1の振幅
j4’ 第2の振幅
K1 第1の円周線
K2 第2の円周線
L13 第4の隙間
L24第2の隙間
R 第1の半径
r 第2の半径
S 第1の約数
T 第2の約数
x 周方向
α1 第1の弧長
α2 第2の弧長
α2a 第1の角度
α2b 第2の角度
α3 第3の弧長
α4、α4’ 第4の弧長
α4a 第3の角度
α4b 第4の角度
β13 第3の隙間長
β24:β24’ 第1の隙間長
γ13 第4の隙間長
γ24 第2の隙間長
λ1 第1の周期長
λ2 第2の周期長
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】