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特開2024-120228成形飯改良剤、成形飯、成形飯改良剤の製造方法、成形飯の製造方法、および成形飯の糸曳きを抑制し且つ成形性を向上させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120228
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】成形飯改良剤、成形飯、成形飯改良剤の製造方法、成形飯の製造方法、および成形飯の糸曳きを抑制し且つ成形性を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20240829BHJP
   A23L 29/10 20160101ALI20240829BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240829BHJP
【FI】
A23L7/10 F
A23L29/10
A23L5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026881
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(72)【発明者】
【氏名】後藤 麻友
(72)【発明者】
【氏名】山縣 海
【テーマコード(参考)】
4B023
4B035
【Fターム(参考)】
4B023LE14
4B023LE22
4B023LK04
4B023LK08
4B023LL04
4B023LP10
4B023LP11
4B023LP20
4B023LQ01
4B035LC16
4B035LG09
4B035LG12
4B035LG18
4B035LG21
4B035LG34
4B035LK17
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP34
4B035LP55
4B035LT05
(57)【要約】
【課題】 成形飯製造時の作業性に優れ、製造後の成形飯の外観を改良することができる成形飯改良剤を提供する。
【解決手段】 25℃における吸水率が500質量%以上であり、且つ塩化ナトリウムを1質量%含む5質量%スラリーの20℃における粘度が80mPa・s以上400mPa・s以下である食品用澱粉組成物を含む、成型飯改良剤である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃における吸水率が500質量%以上であり、且つ塩化ナトリウムを1質量%含む5質量%スラリーの20℃における粘度が80mPa・s以上400mPa・s以下である食品澱粉組成物を含む、成型飯改良剤。
【請求項2】
前記食品澱粉組成物が、澱粉および脂肪酸エステルを含有する、請求項1に記載の成形飯改良剤。
【請求項3】
前記食品澱粉組成物の目開き0.25mmの篩下且つ目開き0.075mmの篩上含量が50質量%以上100質量%以下である、請求項1に記載の成形飯改良剤。
【請求項4】
前記脂肪酸エステルが、ショ糖脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種または2種以上である、請求項2に記載の成形飯改良剤。
【請求項5】
前記食品澱粉組成物中の前記澱粉100質量部に対する前記脂肪酸エステルの含有量は、0.1質量部以上5質量部以下である、請求項2に記載の成形飯改良材。
【請求項6】
前記脂肪酸エステルのHLBが7以上16以下である、請求項2に記載の成形飯改良剤。
【請求項7】
前記脂肪酸エステルの構成脂肪酸が飽和脂肪酸である、請求項2に記載の成形飯改良剤。
【請求項8】
前記成形飯が調理炊飯物の成形飯である、請求項1に記載の成形飯改良剤。
【請求項9】
炊飯後の炊飯物に添加するものである、請求項1に記載の成形飯改良剤。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれか一項に記載の成形飯改良剤を含む成形飯。
【請求項11】
澱粉と脂肪酸エステルとを含む混合物を準備する工程と、
前記混合物を0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理する工程と、
を含む、請求項1乃至9いずれか一項に記載の成形飯改良剤の製造方法。
【請求項12】
前記加熱処理がエクストルーダー処理である、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
穀類を炊飯する工程と、
炊飯する前記工程で得られた炊飯物100質量部に対して、請求項1乃至9いずれか一項に記載の成形飯改良剤を0.1質量部以上5質量部以下添加して混合する工程と、
混合する前記工程で得られた混合炊飯物を成形する工程と、
を含む、成形飯の製造方法。
【請求項14】
前記炊飯物が、炊飯する前記工程後に調理する工程で得られた調理炊飯物である、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
穀類を炊飯する工程と、
炊飯する前記工程で得られた炊飯物に対して、請求項1乃至9いずれか一項に記載の成形飯改良剤を添加して混合する工程と、
混合する前記工程で得られた混合炊飯物を成形して成形飯とする工程と、
を含む、成形飯の糸曳きを抑制し且つ成形性を向上させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形飯改良剤、成形飯、成形飯改良剤の製造方法、成形飯の製造方法、および成形飯の糸曳きを抑制し且つ成形性を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーやコンビニエンスストアなどでは、多種多様なお弁当が販売され、おにぎりのような成形飯も白米を成形したもののみならず、炒飯や炊き込みご飯等を成形したものも販売されている。
【0003】
しかし、炒飯や炊き込みご飯は油脂や具材を含んでいるため、ご飯の結着性が低く、おにぎりとして成形しにくく、また、成形しても輸送等の振動で形が崩れるなどの課題があった。
【0004】
そこで、特許文献1には、油で炒めた調理飯にα化でんぷん及び/又はα化加工でんぷんを加えて成形することを特徴とする成形飯について開示されている。また、特許文献2には、目開き250μm(60メッシュ)篩上画分が18質量% 以上であって、α化澱粉を有効成分とする、成形飯結着材について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-109821号公報
【特許文献2】WO2017/141830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された成形飯や上記特許文献2に開示された成形飯結着材を用いた成形飯は、使用する炊飯物によっては成形性に改善の余地があることと、成形飯に糸曳きが見られる場合があるため、腐敗と誤解されかねない課題があった。特に、パラパラとした食感が特長である炒飯などの調理炊飯物の成形飯では添加量が増やす必要があり、上記の課題が顕著になる傾向があった。
【0007】
このように、従来の技術では成形飯の成形性を改善しようとすると、成形飯に糸曳きが生じる場合があるという課題があった。
そこで、本発明では、成形飯の糸曳きを抑制し成形性にも優れる成形飯改良剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の吸水率および特定の粘度を保持する食品用澱粉組成物を含む成型飯改良剤を、成形飯に用いると成形飯の糸曳きを抑制し成形性にも優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明によれば、以下の成形飯改良剤、成形飯、成形飯改良剤の製造方法、成形飯の製造方法、および成形飯の糸曳きを抑制し且つ成形性を向上させる方法が提供される。
[1]
25℃における吸水率が500質量%以上であり、且つ塩化ナトリウムを1質量%含む5質量%スラリーの20℃における粘度が80mPa・s以上400mPa・s以下である食品澱粉組成物を含む、成型飯改良剤。
[2]
前記食品澱粉組成物が、澱粉および脂肪酸エステルを含有する、[1]に記載の成形飯改良剤。
[3]
前記食品澱粉組成物の目開き0.25mmの篩下且つ目開き0.075mmの篩上含量が50質量%以上100質量%以下である、[1]または[2]に記載の成形飯改良剤。
[4]
前記脂肪酸エステルが、ショ糖脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種または2種以上である、[2]に記載の成形飯改良剤。
[5]
前記食品澱粉組成物中の前記澱粉100質量部に対する前記脂肪酸エステルの含有量は、0.1質量部以上5質量部以下である、[2]に記載の成形飯改良剤。
[6]
前記脂肪酸エステルのHLBが7以上16以下である、[2]に記載の成形飯改良剤。
[7]
前記脂肪酸エステルの構成脂肪酸が飽和脂肪酸である、[2]に記載の成形飯改良剤。
[8]
前記成形飯が調理米飯の成形飯である、[1]乃至[7]いずれか一項に記載の成形飯改良剤。
[9]
炊飯後の炊飯物に添加するものである、[1]乃至[8]いずれか一項に記載の成形飯改良剤。
[10]
[1]乃至[9]いずれか一項に記載の成形飯改良剤を含む成形飯。
[11]
澱粉と脂肪酸エステルとを含む混合物を準備する工程と、
前記混合物を0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理する工程と、
を含む、[1]乃至[9]いずれか一項に記載の成形飯改良剤の製造方法。
[12]
前記加熱処理が、エクストルーダー処理である、[11]に記載の製造方法。
[13]
穀類を炊飯する工程と、
炊飯する前記工程で得られた炊飯物100質量部に対して、[1]乃至[9]いずれか一項に記載の成形飯改良剤を0.1質量部以上5質量部以下添加して混合する工程と、
混合する前記工程で得られた混合炊飯物を成形する工程と、
を含む、成形飯の製造方法。
[14]
前記炊飯物が、炊飯する前記工程後に調理する工程で得られた調理炊飯物である、[13]に記載の製造方法。
[15]
穀類を炊飯する工程と、
炊飯する前記工程で得られた炊飯物に対して、[1]乃至[9]いずれか一項に記載の成形飯改良剤を添加して混合する工程と、
混合する前記工程で得られた混合炊飯物を成形して成形飯とする工程と、
を含む、成形飯の糸曳きを抑制し且つ成形性を向上させる方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の成形飯改良剤は、成形飯の成形性を向上させるとともに外観を優れたものとすることができ、好ましくは成型飯の保存性、食感を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の成形飯改良剤、成形飯、成形飯改良剤の製造方法、成形飯の製造方法、および成形飯の糸曳きを抑制し且つ成形性を向上させる方法の具体的な実施の形態を以下に説明する。
なお、本明細書において数値範囲の上限値及び下限値を示したときは、上限値及び下限値を適宜組み合わせることができ、それにより得られた数値範囲も開示しているものとする。
【0012】
1.成形飯改良剤および成形飯改良剤の製造方法
本発明において、成形飯改良剤は、25℃における吸水率が500質量%以上であり、且つ塩化ナトリウムを1質量%含む5質量%スラリーの20℃における粘度が80mPa・s以上400mPa・s 以下である食品用澱粉組成物を含む。
【0013】
(吸水率)
前記食品用澱粉組成物の25℃における吸水率は、成形飯の成形性を向上させる観点から、500質量%以上であり、好ましくは700質量%以上、より好ましくは900質量%以上である。
前記食品用澱粉組成物の25℃における吸水率の上限値に制限はなく、高いほど好ましいが、たとえば1600質量%以下、またはたとえば1400質量%以下であってもよい。
なお、前記食品用澱粉組成物の25℃における吸水率の測定方法については実施例の項で後述する。
【0014】
(粘度)
本発明の前記食品用澱粉組成物の、塩化ナトリウムを1質量%含む5質量%スラリーの20℃における粘度は、成形飯の成形性を向上させる観点から、80mPa・s以上であり、より好ましくは90mPa・s以上、より好ましくは100mPa・s以上である。
また、成形飯の糸曳きを抑制する観点から、前記食品用澱粉組成物の塩化ナトリウムを1質量%含む5質量%スラリーの20℃における粘度は、400mPa・s以下であり、好ましくは300mPa・s以下、より好ましくは200mPa・s以下である。
なお、前記食品用澱粉組成物の、塩化ナトリウムを1質量%含む5質量%スラリーの20℃における粘度の測定方法については実施例の項で後述する。
【0015】
(粒度)
前記食品用澱粉組成物の粒度は、成型飯の食感を向上させる観点から、JIS-Z8801-1規格の篩における目開き0.25mmの篩下且つ目開き0.075mmの篩上含量が50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、55質量%以上90質量%以下であることがより好ましく。60質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。
また、同様の観点から、JIS-Z8801-1規格の篩における目開き0.25mmの篩上含量は、0質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
また、同様の観点から、JIS-Z8801-1規格の篩における目開き0.075mmの篩下含量は、0質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上28質量%以下であることがより好ましい。
【0016】
前記食品用澱粉組成物は、澱粉を含む食品用の組成物であるが、澱粉および脂肪酸エステルを含有していることが好ましく、「澱粉-脂質複合体」を含有していることがより好ましい。ここで「澱粉-脂質複合体」とは、澱粉と脂肪酸エステルとが相互作用して形成されている複合体を意味し、前記澱粉と脂肪酸エステルとを含む原料混合物に対して加水し、例えば、80℃以上200℃以下で加熱処理することにより得ることができる。その構造を具体的に特定することは容易でなく、未だ解明されていない部分が多いが、例えば、前記澱粉中のアミロース分子のらせん構造に、脂肪酸エステルが包摂されていると考えられる。あるいは、前記アミロース分子のらせん構造の表面に脂肪酸エステルが付着している可能性もある。あるいはまた、前記アミロース分子以外の部分に脂肪酸エステルが相互作用している可能性もある。
【0017】
前記澱粉の原料澱粉は、特に制限はなく、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、コメ澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉等を用いることができるが、好ましくは、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉、小麦澱粉およびコーンスターチからなる群から選択される1または2以上の澱粉であり、より好ましくは、馬鈴薯澱粉である。
【0018】
また、前記澱粉は前記原料澱粉にエステル化、エーテル化などの化工処理を施した化工澱粉であってもよいが、吸水率向上の観点から、未化工澱粉が好ましい。
【0019】
前記脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル等のグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられるが、油脂、つまりトリアシルグリセロールは含まない。その中でも、グリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種または2種以上であることが好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。成型飯のべたつきを抑制する観点から、ショ糖脂肪酸エステルであることが特に好ましい。
【0020】
前記脂肪酸エステルの構成脂肪酸は特に限定されないが、飽和脂肪酸であることが好ましい。また、構成脂肪酸の炭素数は16以上24以下であることが好ましい。
【0021】
前記脂肪酸エステルのHLB値は、7以上16以下であることが好ましく、7以上11以下であることがより好ましい。
【0022】
前記食品用澱粉組成物中の、前記澱粉100質量部に対して、前記脂肪酸エステルの含有量は特に限定されないが、0.1質量部以上5質量部以下含むことが好ましく、0.2質量部以上4質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上2質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上1.5質量部以下であることがさらに好ましい。上記範囲とすることで、成形性がよく、食する際のほぐれ性に優れた成形飯とすることができる。
【0023】
前記食品用澱粉組成物には、前記澱粉および前記脂肪酸エステル以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分として、たとえば炭酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの不溶性塩が挙げられる。不溶性塩を添加することにより、製造安定性を改善することも可能となる。
前記食品用澱粉組成物が不溶性塩を含むとき、不溶性塩の含有量は、製造安定性向上の観点から、食品用澱粉組成物全体に対して好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。
また、同様の観点から、食品用澱粉組成物中の不溶性塩の含有量は、食品用澱粉組成物全体に対して好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
【0024】
前記食品用澱粉組成物中の、前記澱粉および前記脂肪酸エステルの合計含有量は、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、98質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
【0025】
本発明の成型飯改良剤には、効果を阻害しない範囲において、前記食品用澱粉組成物以外の成分を含んでもよい。そのような成分としては、例えば、胡椒、塩、砂糖、顆粒だし、粉末醤油、粉末ソースなどの粉末調味料等が挙げられ、これら粉末調理料を含むふりかけ等であってもよい。
【0026】
本発明の成型飯改良剤中の前記食品用澱粉組成物の含有量は、成型飯の外観および食感を向上させる観点から、60質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
【0027】
前記成形飯改良剤は、炊飯後の炊飯物に添加するものであることが好ましい。本発明において、炊飯とは、水に浸漬した穀類の加熱による炊飯だけでなく、スチーム炊飯や蒸篭を用いた炊飯を含み、公知の装置を用いて行うことができる。炊飯条件に、特に制限はなく、穀類の種類や性状および穀類以外の炊飯原料の種類や添加量などにより適宜設定すればよい。
【0028】
本発明において、成形飯は、炊飯物を用いて成形したものであり、具体的には、おにぎり;型抜き飯;握りずし、軍艦巻き、巻きずし、いなりずしなどのすし;キンパ等が挙げられる。
【0029】
本発明における穀類としては、米、粟、ひえ、キヌア、麦等を挙げることができる。前記穀類は、米を含むことが好ましく、50質量%以上の米を含むことがより好ましく、90質量%以上の米を含むことがさらに好ましく、100質量%米であることがさらにより好ましい。米の種類や産地なども特に制限されない。例えば、ジャポニカ米、インディカ米、ジャバニカ米だけでなく、これらの交配品種等を用いることができる。また、米の精米度合も特に制限されず、白米だけでなく、玄米、五分づき米、発芽玄米、無洗米なども用いることができる。
【0030】
前記炊飯物は、前記穀類を含む炊飯原料を炊飯したものである。前記炊飯原料には、前記穀類以外に水を含む。水以外の炊飯原料として特に制限はなく、食用油脂;醤油、食塩、砂糖、味噌、酒、だし、食酢などの調味料;豆類、芋類、野菜、果実、食肉、魚介類、海藻などの具材等を添加してもよい。前記炊飯物としては、米飯、炊き込みご飯、パエリア、ジャンバラヤ、赤飯、おこわ等が挙げられる。
【0031】
前記成形飯改良剤を適用する炊飯物は、特に限定されないが、炊飯後に調理を行った調理炊飯物であることが好ましい。調理の方法に特に制限はなく、炒める方法、前記調味料、前記具材や調理済の具材等を混ぜる方法等も包含する。前記調理炊飯物としては、炒飯、焼き飯、ピラフ、チキンライス、バターライス、ガーリックライス等の炒め炊飯物;混ぜご飯、酢飯等の混ぜ炊飯物等が挙げられる。成形飯を食する際のほぐれ性を向上させる効果が発揮しやすい点で、調理炊飯物の中でも炒め炊飯物に好適である。
【0032】
次に本発明の成型飯改良剤の製造方法を説明する。前記成型飯改良剤が含む食品用澱粉組成物は、前記澱粉および前記脂肪酸エステルを含む原料混合物に対して加水し、加熱処理して製造することが好ましい。
加熱処理は、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下で、澱粉が糊化する温度以上に加熱される条件であれば、特に限定されず、加水した原料混合物を大気圧下で沸騰させる処理でもよい。また、エクストルーダーやオンレーターなどの機械を用いて加熱処理してもよいが、エクストルーダーで処理することが好ましい。なお、本明細書において特に説明をしない場合は、圧力はゲージ圧力を意味する。
加熱処理をした後に、乾燥処理をおこなうことが好ましい。乾燥処理にはドラムドライヤーや送風乾燥機などを用いることができる。必要に応じて、乾燥処理後に粉砕処理をおこなってもよく、粉砕処理をおこなうことが好ましい。
【0033】
例えば、エクストルーダー処理する場合、前記原料混合物に対して加水して、水分含量を、原料混合物と水を含む組成物の質量基準で、10質量%以上60質量%以下程度に調整したスラリーを準備した後、例えば、バレル温度30℃以上200℃以下、出口温度80℃以上180℃以下、スクリュー回転数100rpm以上1000rpm以下、加熱処理時間5秒以上60秒以下の条件で、原料混合物を加熱膨化させることで、目的とする澱粉―脂質複合体を得ることができる。
ここで温度条件としては、バレル温度30℃以上170℃以下であることが好ましく、出口温度100℃以上170℃以下であることがより好ましい。
加水条件としては、水分含量を、前記原料混合物と水を含む組成物の質量基準で、15質量%以上40質量%以下に調整することがより好ましく、20質量%以上30質量%以下に調整することがさらに好ましい。
スクリュー回転数としては、150rpm以上900rpm以下であることがより好ましく、200rpm以上850rpm以下であることがさらに好ましい。
圧力条件としては、0.5MPa以上20MPa以下が好ましく、0.5MPa以上18MPa以下がより好ましく、0.5MPa以上15MPa以下がさらに好ましく、1MPa以上10MPa以下がさらにより好ましく、3MPa以上7MPa以下が殊更好ましい。
また、加熱処理時間は、7秒以上50秒以下が好ましく、10秒以上45秒以下がより好ましい。
【0034】
前記原料混合物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、澱粉と脂肪酸エステル以外の成分を含んでいてもよい。それらの成分としては、炭酸カルシウム等の不溶性塩が挙げられる。
【0035】
前記食品用澱粉組成物に他の成分を混合する工程を含んでもよい。他の成分としては、前記粉末調味料等が挙げられる。
【0036】
2.成形飯および成形飯の製造方法
本発明の実施態様としては、穀類を炊飯する工程と、炊飯する前記工程で得られた炊飯物100質量部に対して、「1.成形飯改良剤および成形飯改良剤の製造方法」に記載の成型飯改良剤を0.1質量部以上5質量部以下添加して混合する工程と、混合する前記工程で得られた混合炊飯物を成形する工程と、を含む、成形飯の製造方法である。このようにして製造された成形飯は成形性に優れ、且つ成型飯の糸曳きを抑制することができる。
【0037】
前記炊飯物は、食する際のほぐれ性の向上が求められるため、炊飯する前記工程後に調理する工程で得られた調理炊飯物であることが好ましい。調理炊飯物については、前述した「1.成形飯改良剤および成形飯改良剤の製造方法」に記載の通りである。
【0038】
混合する前記工程が、調理する前記工程の前、調理する前記工程中、および調理する前記工程の後からなる群から選ばれる1または2以上のタイミングで行われることが好ましい。作業性の観点から、混合する前記工程が、少なくとも調理する前記工程中には行われることがより好ましく、調理する前記工程中に行われることがさらに好ましい。上記工程にて混合することにより、成形飯は成形性に優れ、且つ成型飯の糸曳きを抑制することができる。
【0039】
混合する前記工程において、前記成型飯改良剤の添加量が、前記炊飯物100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上3質量部以下であることがより好ましく、0.2質量部以上2質量部以下がさらに好ましく、0.3質量部以上1質量部以下がさらにより好ましい。なお、炊飯物が調理炊飯物である場合、成形飯改良剤の添加量は調理前の炊飯物100質量部を対象とする。
【0040】
混合炊飯物を成形する前記工程において、成形する方法に特に制限はなく、たとえば、型枠に混合炊飯物を入れて成形する方法、手で成型する方法、産業用ロボットにより成形する方法等であってもよい。いずれの成形方法においても本発明の成形飯改良剤を用いることにより成形性を向上させることができる。
【0041】
混合炊飯物を成形する前記工程後に、成形物を保管する工程を含んでもよい。成形物を保管する工程を含む場合の保管条件としては、たとえば、保管温度は0℃超30℃以下、保管時間は1時間以上7日以下である。
【0042】
3.成形飯の糸曳きを抑制し且つ成形性を向上させる方法
本発明の一実施態様としては、成形飯の糸曳きを抑制し且つ成形性を向上させる方法である。「成形飯の糸曳きを抑制」するという表現は、成形飯に含まれる炊飯した穀類同士を引き離した際に糸を曳く量を少なくするかなくすことを意味し、成形飯が腐敗したと誤解されることを防ぐことができる。「成型飯」の「成形性を向上させる」という表現は、炊飯物を成形する際に、炊飯した穀類に適度結着性を付与することで容易に成形できることを意味する。このような成形飯は、前述した「2.成形飯および成形飯の製造方法」により実現することができる。
【0043】
4.成形飯のほぐれ性を向上させる方法
本発明の一実施態様としては、成形飯のほぐれ性を向上させる方法である。「成形飯のほぐれ性を向上させる」という表現は、成形飯を食した際に、口内で炊飯した穀類が一粒ずつわかれやすくさせることを意味する。このような成形飯は、前述した「2.成形飯および成形飯の製造方法」により実現することができる。
【0044】
5.成形飯のべたつきを抑制する方法
本発明の一実施態様としては、成形飯のべたつきを抑制する方法である。「成形飯のべたつきを抑制する」という表現は、成形飯を食した際に、口内で感じられるべたつきを抑えることを意味する。このような成形飯は、前述した「1.成形飯改良剤および成形飯改良剤の製造方法」においてショ糖脂肪酸エステルを含む成型飯改良剤を用い、「2.成形飯および成形飯の製造方法」により実現することができる。

【実施例0045】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
【0046】
実施に際しては、以下のものを使用した。
【0047】
(1)澱粉
馬鈴薯澱粉:ジェルコールBP-200、株式会社J-オイルミルズ製
ワキシーコーンスターチ:ワキシーコーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製
【0048】
(2)脂肪酸エステル
ショ糖脂肪酸エステル:リョートーシュガーエステルS-1170(HLB:11、構成脂肪酸:ステアリン酸)、三菱ケミカルフーズ株式会社製
ポリグリセリン脂肪酸エステル:GRINDSTED PGE55-M(HLB:7、ポリグリセリンの平均重合度:3以下、構成脂肪酸:ステアリン酸、数%パルミチン酸)、デュポン・スペシャルティ・プロダクツ社製
【0049】
(3)その他
炭酸カルシウム:コロカルソーEX、白石カルシウム株式会社製
菜種油:AJINOMOTOさらさらキャノーラ油、株式会社J-オイルミルズ製
無洗米:富山県産コシヒカリ
塩:食塩、公益財団法人塩事業センター製
醤油:こいくちしょうゆ、キッコーマン株式会社製
加工酢:ライスプラス、キユーピー醸造株式会社製
【0050】
成型飯改良剤が含有する各食品澱粉組成物を以下の方法で調製した。
【0051】
[1]食品用澱粉組成物1の調製
ワキシーコーンスターチの20質量%スラリーを調製した。このスラリーをオンレーター(出口温度100℃)で糊化させてから、ドラムドライヤー(表面温度130℃)で乾燥させた後、粉砕し、食品用澱粉組成物1を得た。
【0052】
[2]食品用澱粉組成物2の調製
馬鈴薯澱粉を2kgおよびショ糖脂肪酸エステルを24g混合した原料混合物に対して、対粉17.3質量%(72g/分)にて加水を行いながら2軸エクストルーダー(株式会社幸和工業製、KEI-45)にて加熱処理を行った。得られた加熱処理物を110℃に設定した恒温槽に30分入れて乾燥させた。乾燥させた加熱処理物を卓上粉砕機で粉砕し、JIS-Z8801-1規格の篩で篩分けして、食品用澱粉組成物2を得た。
なお、2軸エクストルーダーの条件は、バレル温度は30℃~170℃、出口温度100℃~170℃、バレル内の最高圧力は5MPa、スクリュー回転数230rpmとした。
【0053】
[3]食品用澱粉組成物3の調製
馬鈴薯澱粉を2kgおよびポリグリセリン脂肪酸エステルを15g混合した原料混合物に対して、対粉11.5質量%(50g/分)にて加水を行いながら2軸エクストルーダーにて加熱処理を行った。得られた加熱処理物を110℃に設定した恒温槽に30分入れて乾燥させた。乾燥させた加熱処理物を卓上粉砕機で粉砕し、JIS-Z8801-1規格の篩で篩分けして、食品用澱粉組成物3を得た。
なお、2軸エクストルーダーの条件は、バレル温度は30℃~170℃、出口温度100℃~170℃、バレル内の最高圧力は5MPa、スクリュー回転数230rpmとした。
【0054】
各成型飯改良剤を表1に示す。表1には成型飯改良剤が含有する食品用澱粉組成物の粒径分布および性状も示す。なお、表1に記載の目開き0.25mm篩、目開き0.075mm篩ともJIS-Z8801-1規格の篩である。
【0055】
(吸水率の測定方法)
1.試料約1gを50mLファルコンチューブに秤量し、試料質量をAとした。
2.ボルテックスをかけて分散させながら、チューブ目盛り50mLまで蒸留水を加えた。
3.5回転倒混和させ、沈殿を分散させた後、10秒ボルテックスして25℃で30分静置した。
4.3000rpmで10分間遠心分離を行い、沈殿層と上澄み層に分けた。
(遠心分離機:日立工機株式会社製、日立卓上遠心機CT6E型;ローター:T4SS型スイングローター;アダプタ:50TC×2Sアダプタ)
5.上澄み層をピペットで取り除いて、沈殿層の質量を測定し、これをBとした。
6.以下の式に基づき、成形飯改良剤の吸水率を求めた。
吸水率(質量%)=(B-A)/A×100
【0056】
(粘度の測定方法)
1.試料20gと塩化ナトリウム(試薬特級、富士フイルム和光純薬株式会社製)4gをポリ袋に入れてからよく振り、粉体混合した。
2.500ml容プラカップに蒸留水376gを入れ、軸径8mm、翼径80mmの平羽根タービンを取り付けた撹拌機(マゼラZZ-1000型、東京理化器械株式会社製)で350rpmにて攪拌した。
3.2で攪拌している蒸留水に、1で混合した粉体を60秒かけて少量ずつ添加した。
4.撹拌機の撹拌速度を700rpmに上げ、3分攪拌し、分散液を調製した。
5.攪拌を止め、分散液を取り出し20℃で1時間調温した。
6.B型粘度計(BM型、東機産業株式会社製)を用いて3号ローター、30rpmで回転させ、10回転後の粘度を測定した。
【0057】
【表1】
【0058】
[3]成形飯(おにぎり)の調製と評価(1)
[3]-1 ご飯の調製
表2に示す配合で炊飯してご飯(炊飯物)を得た。
【0059】
【表2】
【0060】
[3]-2 炒飯の調製
[3]-1で調製したご飯を用いて、表3の配合により以下の手順により、炒飯を調製した。
1.フライパンに菜種油を敷いてから、IH調理器(MR-Z30J、東芝ライフスタイル株式会社製)に載せ、IH調理器の加熱強度を最大に設定した。
2.フライパンが180℃に達してから卵を入れ、菜種油と乳化させるように木べらでよく攪拌した。
3.卵を投入してから30秒後にご飯を入れ、ご飯粒を潰さないように木べらで混ぜた。なお、対照例1を除き、ご飯を入れた後に、更に成形飯改良剤を投入した。
4.ご飯を入れてから2分後に塩と醤油を入れ、木べらで混ぜた。
5.塩と醤油を入れてから1分後にIH調理器の加熱を止めて、炒飯を得た。
【0061】
【表3】
【0062】
[3]-3 おにぎりの調製
[3]-2で調製した炊飯をバットに移し25℃で10分放冷した後に、下記の手順により、おにぎりを調製した。
1.おにぎりの型(おにぎり型大、株式会社曙産業製)に炒飯を80g詰めた。
2.おにぎりの型の蓋を載せ、蓋の上から5秒間押しつけ、おにぎりを得た。
【0063】
[3]-4 おにぎりの評価
[3]-3で調製したおにぎりを密閉容器に入れ、20℃で24時間保管した。保管後のおにぎりを電子レンジ(MRB-207、株式会社山善製)で1400W、20秒加熱して評価に用いた。評価は、成形性、保形性、糸曳性、ほぐれ性、べたつきについて行った。各評価方法は、以下に示す。
【0064】
(成形性の評価)
おにぎりを成形する際にまとまりがあり、おにぎりを成形しやすいかどうかを専門パネラー3名が下記基準により、合議の上評価値を決定し、2以上を合格とした。結果を表4に示す。
【0065】
(基準)
3:とても成形しやすい
2:成形しやすい
1:やや成形しにくい
0:成形しにくい
【0066】
(保形性の評価)
保管後のおにぎりが型崩れしていないかを専門パネラー3名が下記基準により、合議の上評価値を決定し、2以上を合格とした。結果を表4に示す。
【0067】
(基準)
3:まったく型崩れしていない
2:おにぎりの端に一部欠けているところがあるが、型崩れはほとんどない
1:米粒同士はくっついているが、成形直後の形から変形している
0:米粒同士がくっついておらず、崩壊している
【0068】
(糸曳性の評価)
おにぎりを半分に割った際に、確認される糸曳きの状態を専門パネラー3名が下記基準により、合議の上評価値を決定し、2以上を合格とした。結果を表4に示す。
【0069】
(基準)
3:全く見られない
2:ほとんど見られない
1:やや見える
0:はっきり見られる
【0070】
(ほぐれ性の評価)
おにぎりを食し、口内で感じられるほぐれ具合を専門パネラー3名が下記基準にて評価し、平均値を評価値とした。評価値は2以上を合格とした。結果を表4に示す。
【0071】
(基準)
3:非常にほぐれやすい
2:ほぐれやすい
1:ややほぐれやすい
0:ほぐれにくい
【0072】
(べたつきの評価)
おにぎりを食し、口内で感じられるべたつきを専門パネラー3名が下記基準にて評価し、平均値を評価値とした。評価値は2以上を合格とした。結果を表4に示す。
【0073】
(基準)
3:全くべたつかない
2:わずかにべたつきを感じる
1:べたつきがある
0:べたつきを強く感じる
【0074】
【表4】
【0075】
表4に示すように、成形飯改良剤を使用していない対照例1は、成形しづらく、保管後に形状を保つことができていなかった。一方、成形飯改良剤2を使用した実施例1-1~1-2の成形飯は製造時の成形性、保管後の保形性とも優れていた。糸曳性、ほぐれ性、べたつきも対照例1と変わりないことから、外観、食感を変えることなく、成形性、保形性を改良することができることが明らかとなった。
成形飯改良剤1を使用した比較例1-1の成型飯は、製造時の成形性は優れているものの、保管後の保形性が劣っていた。また、糸曳きが目立ち、口内でべたつきが感じられた。
【0076】
[4]成形飯(おにぎり)の調製と評価(2)
[4]-1 ご飯の調製
表5に示す配合で炊飯してご飯(炊飯物)を得た。
【0077】
【表5】
【0078】
[4]-2 炒飯の調製
[4]-1で調製したご飯を用いて、表6の配合により以下の手順により、炒飯を調製した。
1.フライパンに菜種油を敷いてから、IH調理器(MR-Z30J、東芝ライフスタイル株式会社製)に載せ、IH調理器の加熱強度を最大に設定した。
2.フライパンが180℃に達してから卵を入れ、菜種油と乳化させるように木べらでよく攪拌した。
3.卵を投入してから30秒後にご飯を入れ、ご飯粒を潰さないように木べらで混ぜた。なお、実施例2-1においてはご飯を入れた後に、更に成形飯改良剤3(実施例2)を投入した。
4.ご飯を入れてから2分後に塩と醤油を入れ、木べらで混ぜた。
5.塩と醤油を入れてから1分後にIH調理器の加熱を止めて、炒飯を得た。
【0079】
【表6】
【0080】
[4]-3 おにぎりの調製
[4]-2で調製した炊飯をボウルに移し25℃で10分放冷した後に、下記の手順により、おにぎりを調製した。
1.おにぎりの型(おにぎり型大、株式会社曙産業製)に炒飯を80g詰めた。
2.おにぎりの型の蓋を載せ、蓋の上から5秒間押しつけ、おにぎりを得た。
【0081】
[4]-4 おにぎりの評価
[4]-3で調製したおにぎりをラップで包み、5℃の冷蔵庫で24時間保管した。保管後のおにぎりを電子レンジ(MRB-207、株式会社山善製)で1400W、20秒加熱して評価に用いた。評価は、成形性、糸曳性、ほぐれ性について行った。各評価方法は、以下に示す。
【0082】
(成形性の評価)
おにぎりを成形する際にまとまりがあり、おにぎりを成形しやすいかどうかを専門パネラー2名が下記基準にて評価した。2名の平均値を評価値とした。評価値は2以上を合格とした。結果を表7に示す。
【0083】
(基準)
3:とても成形しやすい
2:成形しやすい
1:やや成形しにくい
0:成形しにくい
【0084】
(糸曳性の評価)
おにぎりを半分に割った際に、確認される糸曳きの状態を専門パネラー2名が下記基準にて評価した。2名の平均値を評価値とした。評価値は2以上を合格とした。結果を表7に示す。
【0085】
(基準)
3:全く見られない
2:ほとんど見られない
1:やや見える
0:はっきり見られる
【0086】
(ほぐれ性の評価)
おにぎりを食し、口内で感じられるほぐれ具合を専門パネラー3名が下記基準にて評価した。3名の平均値を評価値とした。評価値は2以上を合格とした。結果を表7に示す。
【0087】
(基準)
3:非常にほぐれやすい
2:ほぐれやすい
1:ややほぐれやすい
0:ほぐれにくい
【0088】
【表7】
【0089】
表7に示すように、成形飯改良剤3を使用した実施例2-1は、成形性、糸曳性、ほぐれ性のいずれも優れていた。特に、ほぐれ性は成形飯改良剤を用いていない対照例2よりも優れていた。成形飯改良剤を用いていない対照例2は、非常に成形しにくいものであった。