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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120302
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】超音波発生装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/34 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H04R1/34 330B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027006
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸介
(72)【発明者】
【氏名】横山 広大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 諭
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 遼
(72)【発明者】
【氏名】笠島 崇
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】森田 剛
【テーマコード(参考)】
5D019
【Fターム(参考)】
5D019AA21
5D019AA22
5D019BB10
5D019FF03
(57)【要約】
【課題】超音波が反射するときのエネルギの減衰を抑える。
【解決手段】超音波発生装置10は、超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路13と、を備える。超音波発生源11は、超音波を発生する。超音波集束部12は、超音波発生源11から発生した超音波を集束する。導波路13は、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する。超音波集束部12は、第1反射面21と、第2反射面22と、を有する。第1反射面21のいずれの位置においても、入射縦波のエネルギに対する反射縦波のエネルギの割合は、0.2以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発生する超音波発生源と、
前記超音波発生源から発生した前記超音波を集束する超音波集束部と、
前記超音波集束部によって集束された前記超音波を伝送する導波路と、を備え、
前記超音波集束部は、
前記超音波発生源で発生した前記超音波を反射させる第1反射面と、
前記第1反射面で反射された前記超音波を反射させる第2反射面と、を有し、
前記超音波のうち縦波が、前記第2反射面で平面波として反射されて前記導波路に導入されるように前記第1反射面と前記第2反射面とが配置されてなる超音波発生装置であって、
前記超音波発生源から前記第1反射面に入射する入射波を入射縦波とし、前記入射縦波が前記第1反射面で反射する反射波のうちの縦波を反射縦波とした場合、前記第1反射面のいずれの位置においても、前記入射縦波のエネルギに対する前記反射縦波のエネルギの割合は、0.2以上である
超音波発生装置。
【請求項2】
前記超音波発生源は、前記入射縦波を放射する放射面を有し、
前記超音波集束部は、前記放射面に接合される接合面を有し、
前記放射面から前記入射縦波が放射される方向を前方とした場合に、
前記超音波集束部の後面には、前記接合面と前記第2反射面とが形成され、
前記第1反射面は、前記接合面よりも前方の位置に配置され、
前記超音波集束部は、前記第1反射面の外周縁と、前記後面の外周縁とに連なり、前後方向に沿った形状をなす外周面を有する
請求項1に記載の超音波発生装置。
【請求項3】
前記第1反射面のいずれの位置においても、前記入射縦波のエネルギに対する前記反射縦波のエネルギの割合は、0.4以上である
請求項1又は請求項2に記載の超音波発生装置。
【請求項4】
前記超音波発生源は、前記入射縦波を放射する放射面を有し、
前記超音波集束部は、前記放射面に接合される接合面を有し、
前記放射面から前記入射縦波が放射される方向を前方とした場合に、
前記超音波集束部の後面には、前記接合面と前記第2反射面とが形成され、
前記第1反射面は、前記接合面よりも前方の位置に配置され、
前記第2反射面は、前後方向と直交する平面方向において前記第1反射面の外周縁よりも内側に配置され、
前記接合面は、前記第2反射面の外周縁よりも前方の位置に配置される前側接合面を有し、
前記第1反射面は、前記前側接合面のうち前記平面方向において前記第2反射面の外周縁から最も離れた部位を通る前記入射縦波が入射される外側入射部を有し、
前記前側接合面は、前記外側入射部からの前記反射縦波が通る経路よりも後方の位置に配置される
請求項1又は請求項2に記載の超音波発生装置。
【請求項5】
前記接合面は、前記平面方向において、前記前側接合面よりも前記第2反射面の外周縁から離れた位置に配置される第2前側接合面を有し、
前記第2前側接合面は、前記前側接合面よりも前方の位置に配置され、
前記第1反射面は、前記第2前側接合面のうち前記平面方向において前記第2反射面の外周縁から最も離れた部位を通る前記入射縦波が入射される第2外側入射部を有し、
前記前側接合面及び前記第2前側接合面は、前記第2外側入射部からの前記反射縦波を通る経路よりも後方の位置に配置される
請求項4に記載の超音波発生装置。
【請求項6】
前記超音波発生源は、複数設けられ、
前記前側接合面及び前記第2前側接合面には、互いに異なる前記超音波発生源が接合される
請求項5に記載の超音波発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、超音波放射器が開示されている。この超音波放射器は、超音波振動子と、超音波振動子からの超音波を伝搬する音響伝播体と、を含んでいる。音響伝播体は、本体と、本体の前面から前方へ延びる軸体と、を備えている。本体の前面は、超音波振動子からの超音波を反射する凹型の一次反射面として機能する。本体は、一次反射面からの超音波を反射する凹型の二次反射面を有する。二次反射面で反射された超音波は、軸体に伝播される。これにより、減衰を抑制しつつ集束された超音波が、軸体によって構成される導波路に伝播される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6774697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、超音波が反射するときのエネルギの減衰について考慮されておらず、この点について改善の余地がある。
【0005】
本開示は、超音波が反射するときのエネルギの減衰を抑えやすい技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の超音波発生装置は、超音波を発生する超音波発生源と、
前記超音波発生源から発生した前記超音波を集束する超音波集束部と、
前記超音波集束部によって集束された前記超音波を伝送する導波路と、を備え、
前記超音波集束部は、
前記超音波発生源で発生した前記超音波を反射させる第1反射面と、
前記第1反射面で反射された前記超音波を反射させる第2反射面と、を有し、
前記超音波のうち縦波が、前記第2反射面で平面波として反射されて前記導波路に導入されるように前記第1反射面と前記第2反射面とが配置されてなる超音波発生装置であって、
前記超音波発生源から前記第1反射面に入射する入射波を入射縦波とし、前記入射縦波が前記第1反射面で反射する反射波のうちの縦波を反射縦波とした場合、前記第1反射面のいずれの位置においても、前記入射縦波のエネルギに対する前記反射縦波のエネルギの割合は、0.2以上である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、超音波が反射するときのエネルギの減衰を抑えやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態における超音波発生装置の側面図である。
図2図2は、第1実施形態における超音波発生装置の断面図である。
図3図3は、縦波反射率と入射角との関係を示すグラフである。
図4図4は、第2実施形態における超音波発生装置の断面図である。
図5図5は、第3実施形態における超音波発生装置の断面図である。
図6図6は、第4実施形態における超音波発生システムの正面図である。
図7図7は、第5実施形態における超音波発生システムの正面図である。
図8図8は、第5実施形態における超音波発生システムの側面図である。
図9図9は、第6実施形態における超音波発生装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。
【0010】
〔1〕超音波を発生する超音波発生源と、
前記超音波発生源から発生した前記超音波を集束する超音波集束部と、
前記超音波集束部によって集束された前記超音波を伝送する導波路と、を備え、
前記超音波集束部は、
前記超音波発生源で発生した前記超音波を反射させる第1反射面と、
前記第1反射面で反射された前記超音波を反射させる第2反射面と、を有し、
前記超音波のうち縦波が、前記第2反射面で平面波として反射されて前記導波路に導入されるように前記第1反射面と前記第2反射面とが配置されてなる超音波発生装置であって、
前記超音波発生源から前記第1反射面に入射する入射波を入射縦波とし、前記入射縦波が前記第1反射面で反射する反射波のうちの縦波を反射縦波とした場合、前記第1反射面のいずれの位置においても、前記入射縦波のエネルギに対する前記反射縦波のエネルギの割合は、0.2以上である
超音波発生装置。
【0011】
上記超音波発生装置は、第1反射面のいずれの位置においても、入射縦波のエネルギに対する反射縦波のエネルギの割合が0.2以上となっている。したがって、上記超音波発生装置は、第1反射面で反射される縦波のエネルギの減衰を抑えやすい。
【0012】
〔2〕前記超音波発生源は、前記入射縦波を放射する放射面を有し、
前記超音波集束部は、前記放射面に接合される接合面を有し、
前記放射面から前記入射縦波が放射される方向を前方とした場合に、
前記超音波集束部の後面には、前記接合面と前記第2反射面とが形成され、
前記第1反射面は、前記接合面よりも前方の位置に配置され、
前記超音波集束部は、前記第1反射面の外周縁と、前記後面の外周縁とに連なり、前後方向に沿った形状をなす外周面を有する
〔1〕に記載の超音波発生装置。
【0013】
上記超音波集束部は、第1反射面の外周縁と、後面の外周縁とに連なり、前後方向に沿った形状をなす外周面を有する。このため、上記超音波集束部は、第1反射面と後面を互いの延長線上で直接繋ぐ構成と比較して、前後方向と直交する方向の小型化を図りやすい。
【0014】
〔3〕前記第1反射面のいずれの位置においても、前記入射縦波のエネルギに対する前記反射縦波のエネルギの割合は、0.4以上である
〔1〕又は〔2〕に記載の超音波発生装置。
【0015】
上記超音波発生装置は、第1反射面のいずれの位置においても、入射縦波のエネルギに対する反射縦波のエネルギの割合が0.4以上となっている。したがって、上記超音波発生装置は、第1反射面で反射される縦波のエネルギの減衰をより一層抑えることができる。
【0016】
〔4〕前記超音波発生源は、前記入射縦波を放射する放射面を有し、
前記超音波集束部は、前記放射面に接合される接合面を有し、
前記放射面から前記入射縦波が放射される方向を前方とした場合に、
前記超音波集束部の後面には、前記接合面と前記第2反射面とが形成され、
前記第1反射面は、前記接合面よりも前方の位置に配置され、
前記第2反射面は、前後方向と直交する平面方向において前記第1反射面の外周縁よりも内側に配置され、
前記接合面は、前記第2反射面の外周縁よりも前方の位置に配置される前側接合面を有し、
前記第1反射面は、前記前側接合面のうち前記平面方向において前記第2反射面の外周縁から最も離れた部位を通る前記入射縦波が入射される外側入射部を有し、
前記前側接合面は、前記外側入射部からの前記反射縦波が通る経路よりも後方の位置に配置される
〔1〕から〔3〕のいずれか一つに記載の超音波発生装置。
【0017】
上記超音波発生装置は、前側接合面を第2反射面の外周縁よりも前方の位置に配置することで、接合面における前側接合面と第1反射面との間隔を縮めることができるため、超音波集束部の体積を減らすことができる。また、上記超音波発生装置は、前側接合面が外側入射部からの反射縦波が通る経路よりも後方の位置に配置されるため、第1反射面で反射した反射縦波の第2反射面への到達が妨害されない。
【0018】
〔5〕前記接合面は、前記平面方向において、前記前側接合面よりも前記第2反射面の外周縁から離れた位置に配置される第2前側接合面を有し、
前記第2前側接合面は、前記前側接合面よりも前方の位置に配置され、
前記第1反射面は、前記第2前側接合面のうち前記平面方向において前記第2反射面の外周縁から最も離れた部位を通る前記入射縦波が入射される第2外側入射部を有し、
前記前側接合面及び前記第2前側接合面は、前記第2外側入射部からの前記反射縦波を通る経路よりも後方の位置に配置される
〔4〕に記載の超音波発生装置。
【0019】
上記超音波発生装置は、第2前側接合面が前側接合面よりも前方の位置に配置されることで、接合面における第2前側接合面と第1反射面との間隔をより縮めることができるため、超音波集束部の体積をより減らすことができる。また、上記超音波発生装置は、前側接合面及び第2前側接合面が第2外側入射部からの反射縦波が通る経路よりも後方の位置に配置されるため、第1反射面で反射した反射縦波の第2反射面への到達が妨害されない。
【0020】
〔6〕前記超音波発生源は、複数設けられ、
前記前側接合面及び前記第2前側接合面には、互いに異なる前記超音波発生源が接合される
〔5〕に記載の超音波発生装置。
【0021】
上記超音波発生装置は、前側接合面と第2前側接合面との位置関係を考慮せずに前側接合面と第2前側接合面に超音波発生源を接合させることができるため、超音波発生源の構造を簡素化しやすい。
【0022】
1.第1実施形態
1-1.超音波発生装置10の構成
超音波発生装置10は、図1及び図2に示すように、超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路13と、を備えている。超音波発生源11は、超音波を発生する。超音波集束部12は、超音波発生源11から発生した超音波を集束する。導波路13は、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する。超音波発生装置10は、後端側から超音波発生源11、超音波集束部12、導波路13の順に配置されて構成されている。
【0023】
超音波発生源11は、例えば圧電素子である。圧電素子は、例えば圧電セラミックスからなる圧電体と、圧電体の両側に設けられる電極と、を有している。超音波発生源11は、前後方向に厚さを有する板状をなしている。超音波発生源11は、本実施形態では、環状(より具体的には、円環状)をなしている。
【0024】
超音波発生源11は、図示しない信号送受信回路から電気信号を与えられると超音波を発生する。超音波発生源11は、超音波を放射する放射面15を有している。放射面15は、超音波発生源11の前面に形成されており、前方を向いた状態で配置されている。放射面15は、平坦な面であり、超音波発生装置10の前後方向に対して直交する方向に広がっている。放射面15は、超音波を前方に放射する。超音波発生源11から発生した超音波は、前方に向けて直進する平面波である。超音波発生源11は、例えば、30kHz以上で且つ10MHz以下の周波数で超音波を発生させる。
【0025】
超音波集束部12は、金属(例えばジュラルミン)によって形成されている。超音波集束部12は、前後方向から見た外縁の形状が円形である。超音波集束部12は、超音波発生源11(より具体的には、放射面15)に接合される接合面20を有している。接合面20は、超音波集束部12の後面12Aに形成され、後方を向いた状態で配置されている。接合面20は、平坦な面である。接合面20は、環状(より具体的には、円環状)をなしている。
【0026】
超音波集束部12は、第1反射面21及び第2反射面22を有している。第1反射面21は、接合面20よりも前方の位置に配置されている。第1反射面21は、超音波発生源11の放射面15と対向して配置されている。第1反射面21と超音波発生源11の放射面15との対向方向は、前後方向と平行である。第1反射面21は、超音波集束部12の外部から見ると、前方側(超音波発生源11とは反対側)に凸な湾曲面(例えば放物面)である。第1反射面21は、超音波集束部12の内部から見ると凹型である。第1反射面21は、環状をなしている。第1反射面21の内周縁は、第1反射面21の外周縁よりも前方に位置している。第1反射面21は、超音波集束部12及び導波路13の中心を通り前後方向に延びる軸線を回転軸として構成される回転湾曲面、具体的には回転放物面である。
【0027】
第2反射面22は、第1反射面21と対向して配置されている。第2反射面22は、超音波集束部12の外部から見ると、後方側(第1反射面21とは反対側)に凸な湾曲面(例えば放物面)である。第2反射面22は、超音波集束部12の内部から見ると凹型である。第2反射面22は、後方に突出している。つまり、第2反射面22の突出方向は後方である。第2反射面22は、接合面20よりも後方に突出している。第2反射面22の前端の前後方向の位置は、接合面20の前後方向の位置と同じである。
【0028】
超音波集束部12の後面12Aには、接合面20を含む接合用面23と第2反射面22とが形成されている。接合用面23は、接合面20を含む平坦な面のことである。接合用面23は、環状(より具体的には、円環状)をなしている。接合用面23は、第2反射面22の外周を囲んでいる。接合用面23の内周縁は、第2反射面22の外周縁に連なっている。超音波集束部12は、第1反射面21の外周縁と、後面12A(より具体的には、接合用面23)の外周縁とに連なり、前後方向に沿った形状をなす外周面24を有している。外周面24は、環状(より具体的には、円環状)をなしている。
【0029】
第1反射面21は、超音波発生源11で発生した超音波を、第2反射面22に向けて反射させる。第2反射面22は、第1反射面21で反射された超音波を、導波路13の後端部に向けて反射させる。第1反射面21及び第2反射面22は、第2反射面22で反射された超音波が平面波として反射されて導波路13に導入されるように配置されている。
【0030】
第1反射面21のいずれの位置においても、入射縦波のエネルギに対する反射縦波のエネルギの割合(以下、縦波反射率ともいう)は、0.2以上であり、0.4以上であることがより好ましい。入射縦波は、超音波発生源11から第1反射面21に入射する入射波のことである。反射縦波は、入射縦波が第1反射面21で反射する反射波のうちの縦波のことである。縦波とは、超音波のうち入射角と反射角が同じ角度となる成分のことである。放射面15は、入射縦波を含む超音波を放射する。入射縦波は、放射面15に対して直交し、放射面15から第1反射面21に向かって前方に放射される。
【0031】
縦波反射率は、図3に示すように、入射角と第1反射面21を形成する材料のポアソン比νとに依存する。つまり、超音波発生装置10は、縦波反射率が0.2以上となるように、入射角と第1反射面21を形成する材料のポアソン比νとが調整された構成となっている。
【0032】
例えば、第1反射面21を形成する材料のポアソン比νが0.33である構成においては、入射角が50°以下であれば、縦波反射率が0.2以上となり、入射角が37°以下であれば、縦波反射率が0.4以上となる。
【0033】
入射角は、図2に示すように、第1反射面21に対する入射位置が前後方向と直交する平面方向において第2反射面22から離れるほど大きくなる。このため、超音波発生源11における第2反射面22から最も離れた位置から放射される入射縦波の第1反射面21に対する入射角が50°以下であれば、第1反射面21のいずれの位置においても、縦波反射率が0.2以上となる。また、上記入射角が37°以下であれば、第1反射面21のいずれの位置においても、縦波反射率が0.4以上となる。
【0034】
例えば、図2に示す例では、超音波発生源11における第2反射面22から最も離れた位置から放射される入射縦波の第1反射面21に対する入射角θAが37°以下となっているため、縦波反射率が0.4以上となっている。
【0035】
なお、図3に示すように、ポアソン比νが0以上で且つ0.33以下である場合に、縦波反射率が0.4を下回ることがあり、0.2を下回ることがある。このため、本発明は、第1反射面21を形成する材料のポアソン比νが0以上で且つ0.33以下である構成において特に有効である。
【0036】
ポアソン比νは、以下の式(1)~(3)によって求められる。
ν=-ε1/ε2 ・・・式(1)
ε1=δ/d ・・・式(2)
ε2=λ/l ・・・式(3)
ε1は、横ひずみ。ε2は、縦ひずみ。δは、物体の直径の変化量。dは、元の物体の直径。λは、物体の長さの変化量。lは、元の物体の長さ。
【0037】
ポアソン比の測定方法として、JIS Z 2241(金属材料引張試験方法)に準ずる方法で実施することが好ましい。十分なサイズの試験片が得られない場合、測定装置は、例えば、日本テクノプラス株式会社製の「圧電共振(RUS)式弾性定数、弾性率測定装置CCシリーズ」であることが好ましい。この測定装置によれば、数mm角の試験片のポアソン比を測定することができる。
【0038】
導波路13は、超音波集束部12の前端から前方に向かって延びる柱状(より具体的には円柱状)をなしている。つまり、導波路13は、超音波発生源11から超音波が放射される方向に延びている。導波路13は、本実施形態では超音波集束部12と別部材として説明するが、超音波集束部12と同一部材であってもよい。導波路13は、超音波伝搬性の高い材料によって形成されることが好ましく、例えば、アルミ合金、金属ガラスなどで形成されることが好ましい。また、導波路13は、例えばチタンとニッケルの合金からなる形状記憶合金で形成される構成であってもよい。導波路13は、弾性変形し得る。
【0039】
超音波発生源11は、図示しない信号送受信回路から電気信号を与えられると、図2に示すように、放射面15から前方に向けて超音波を発生する。放射面15から放射された超音波は、第1反射面21で反射され、第1反射面21の焦点Fに向かって集束する。第1反射面21の焦点Fは、第2反射面22の焦点Fと同じとなっている。このため、第1反射面21の焦点Fを通過した超音波は、第2反射面22で反射され、平面波として導波路13の内部に導入される。
【0040】
1-2.超音波発生装置10の作用及び効果の例
超音波発生装置10は、第1反射面21のいずれの位置においても、入射縦波のエネルギに対する反射縦波のエネルギの割合が0.4以上となっている。したがって、超音波発生装置10は、第1反射面21で反射される縦波のエネルギの減衰を抑えやすい。更に、超音波発生装置10は、第1反射面21で反射されて生じる横波のエネルギが少なくなるため、導波路13に向かう超音波の制御がしやすくなる。
【0041】
超音波集束部12は、第1反射面21の外周縁と、後面12Aの外周縁とに連なり、前後方向に沿った形状をなす外周面24を有する。このため、超音波集束部12は、第1反射面21と後面12Aを互いの延長線上で直接繋ぐ構成と比較して、前後方向と直交する方向の小型化を図りやすい。
【0042】
2.第2実施形態
第2実施形態では、超音波発生源を第1反射面に対してより近づけることで、超音波集束部の体積を小さくした例について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0043】
第2実施形態の超音波発生装置210は、図4に示すように、超音波発生源11と、超音波集束部212と、導波路13と、を備えている。
【0044】
超音波集束部212は、放射面15が接合される接合面220を有している。超音波集束部212は、第1反射面21及び第2反射面22を有している。超音波集束部212の後面212Aには、接合面220と、第2反射面22とが形成されている。
【0045】
第1反射面21は、接合面220よりも前方の位置に配置されている。第2反射面22は、前後方向と直交する平面方向において第1反射面21の外周縁よりも内側に配置されている。接合面220は、第2反射面22の外周縁よりも前方の位置に配置される前側接合面231を有している。本実施形態では、接合面220全体が、前側接合面231である。第1反射面21は、前側接合面231のうち平面方向において第2反射面22の外周縁から最も離れた部位を通る入射縦波が入射される外側入射部21Aを有している。前側接合面231は、外側入射部21Aからの反射縦波が通る経路RAよりも後方の位置に配置されている。
【0046】
超音波集束部212の後面212Aには、接合面220を含む接合用面223と、介在面225とが形成されている。接合用面223は、接合面220を含む平坦な面のことである。接合用面223は、環状(より具体的には、円環状)をなしている。接合用面223は、第2反射面22の外周を囲んでいる。介在面225は、接合用面223と第2反射面22との間に配置されている。介在面225の内周縁は、第2反射面22の外周縁に連なっている。介在面225の外周縁は、段差面226を介して接合用面223の内周縁に連なっている。超音波集束部12は、第1反射面21の外周縁と、後面212A(より具体的には、接合用面223)の外周縁とに連なり、前後方向に沿った形状をなす外周面224を有している。外周面224は、環状(より具体的には、円環状)をなしている。
【0047】
また、超音波発生装置210は、第1実施形態の超音波発生装置10と同じく、第1反射面21のいずれの位置においても、入射縦波のエネルギに対する反射縦波のエネルギの割合が0.4以上となっている。具体的には、第1反射面21を形成する材料のポアソン比νが0.33であり、超音波発生源11における第2反射面22から最も離れた位置から放射される入射縦波の第1反射面21に対する入射角θB(つまり、外側入射部21Aに対する入射角θB)が37°以下となっているため、縦波反射率が0.4以上となっている。
【0048】
以上の様に、第2実施形態の超音波発生装置210は、前側接合面231を第2反射面22の外周縁よりも前方の位置に配置することで、接合面220における前側接合面231と第1反射面21との間隔を縮めることができるため、超音波集束部212の体積を減らすことができる。また、超音波発生装置210は、前側接合面231が外側入射部21Aからの反射縦波が通る経路RAよりも後方の位置に配置されるため、第1反射面21で反射した反射縦波の第2反射面22への到達が妨害されない。
【0049】
3.第3実施形態
第3実施形態では、超音波集束部の体積を第2実施形態の構成よりも小さくした例について説明する。なお、第3実施形態では、第2実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0050】
第3実施形態の超音波発生装置310は、図5に示すように、超音波発生源311A,311Bと、超音波集束部312と、導波路13と、を備えている。
【0051】
超音波発生源311A,311Bは、例えば、圧電セラミックスからなる圧電素子である。超音波発生源311A,311Bは、前後方向に厚さを有する板状をなしている。超音波発生源311A,311Bは、本実施形態では、環状(より具体的には、円環状)をなしている。超音波発生源311Bの内径は、超音波発生源311Aの外径と同じであるか、超音波発生源311Aの外径よりも大きい。超音波発生源311Bの外径は、超音波発生源311Aの外径よりも大きい。
【0052】
超音波発生源11は、図示しない信号送受信回路から電気信号を与えられると超音波を発生する。超音波発生源311Aは、超音波を放射する放射面15Aを有している。放射面15Aは、超音波発生源311Aの前面に形成されており、前方を向いた状態で配置されている。超音波発生源311Bは、超音波を放射する放射面15Bを有している。放射面15Bは、超音波発生源311Bの前面に形成されており、前方を向いた状態で配置されている。放射面15A,15Bは、平坦な面であり、超音波発生装置10の前後方向に対して直交する方向に広がっている。放射面15A,15Bは、超音波を前方に放射する。超音波発生源311A,311Bから発生した超音波は、前方に向けて直進する平面波である。超音波発生源311A,311Bは、例えば、30kHz以上で且つ10MHz以下の周波数で超音波を発生させる。
【0053】
超音波集束部312は、放射面15A,15Bが接合される接合面320を有している。超音波集束部312は、第1反射面21及び第2反射面22を有している。超音波集束部312の後面312Aには、接合面320と、第2反射面22とが形成されている。
【0054】
第1反射面21は、接合面320よりも前方の位置に配置されている。第2反射面22は、前後方向と直交する平面方向において第1反射面21の外周縁よりも内側に配置されている。接合面320は、第2反射面22の外周縁よりも前方の位置に配置される第1前側接合面331を有している。第1前側接合面331は、放射面15Aに接合される。第1反射面21は、第1前側接合面331のうち上記平面方向において第2反射面22の外周縁から最も離れた部位を通る入射縦波が入射される第1外側入射部321Aを有している。第1前側接合面331は、第1外側入射部321Aからの反射縦波が通る経路RBよりも後方の位置に配置されている。
【0055】
接合面220は、上記平面方向において、第1前側接合面331よりも第2反射面22の外周縁から離れた位置に配置される第2前側接合面332を有している。第2前側接合面332は、放射面15Bに接合されている。第2前側接合面332は、第1前側接合面331よりも前方の位置に配置されている。第1反射面21は、第2前側接合面332のうち上記平面方向において第2反射面22の外周縁から最も離れた部位を通る入射縦波が入射される第2外側入射部321Bを有している。第1前側接合面331及び第2前側接合面332は、第2外側入射部321Bからの反射縦波を通る経路RCよりも後方の位置に配置されている。
【0056】
超音波集束部212の後面212Aには、第1前側接合面331を含む第1前側接合用面333と、第2前側接合面332を含む第2前側接合用面334と、介在面325とが形成されている。
【0057】
第1前側接合用面333は、第1前側接合面331を含む平坦な面のことである。第1前側接合用面333は、環状(より具体的には、円環状)をなしている。第1前側接合用面333は、第2反射面22の外周を囲んでいる。介在面325は、第1前側接合用面333と第2反射面22との間に配置されている。介在面325の内周縁は、第2反射面22の外周縁に連なっている。介在面325の外周縁は、第1段差面326を介して第1前側接合用面333の内周縁に連なっている。
【0058】
第2前側接合用面334は、第2前側接合面332を含む平坦な面のことである。第2前側接合用面334は、環状(より具体的には、円環状)をなしている。第2前側接合用面334は、第1前側接合用面333の外周を囲んでいる。第1前側接合用面333の外周縁は、第2段差面327を介して第2前側接合用面334の内周縁に連なっている。超音波集束部312は、第1反射面21の外周縁と、後面312A(より具体的には、第2前側接合用面334)の外周縁とに連なり、前後方向に沿った形状をなす外周面324を有している。外周面324は、環状(より具体的には、円環状)をなしている。
【0059】
また、超音波発生装置310は、第1実施形態の超音波発生装置10と同じく、第1反射面21のいずれの位置においても、入射縦波のエネルギに対する反射縦波のエネルギの割合が0.4以上となっている。具体的には、第1反射面21を形成する材料のポアソン比νが0.33であり、超音波発生源311A,311Bにおける第2反射面22から最も離れた位置から放射される入射縦波の第1反射面21に対する入射角θC(つまり、第2外側入射部321Bに対する入射角θC)が37°以下となっているため、縦波反射率が0.4以上となっている。
【0060】
以上の様に、第3実施形態の超音波発生装置310は、第1前側接合面331を第2反射面22の外周縁よりも前方の位置に配置することで、接合面320における第1前側接合面331と第1反射面21との間隔を縮めることができるため、超音波集束部312の体積を減らすことができる。また、超音波発生装置310は、第1前側接合面331が第1外側入射部321Aからの反射縦波が通る経路RBよりも後方の位置に配置されるため、第1反射面21で反射した反射縦波の第2反射面22への到達が妨害されない。
【0061】
更に、超音波発生装置310は、第2前側接合面332が第1前側接合面331よりも前方の位置に配置されることで、接合面320における第2前側接合面332と第1反射面21との間隔をより縮めることができるため、超音波集束部312の体積をより減らすことができる。また、超音波発生装置310は、第1前側接合面331及び第2前側接合面332が第2外側入射部321Bからの反射縦波が通る経路RCよりも後方の位置に配置されるため、第1反射面21で反射した反射縦波の第2反射面22への到達が妨害されない。
【0062】
更に、超音波発生装置310は、複数の超音波発生源311A,311Bを備えている。そして、第1前側接合面331及び第2前側接合面332には、互いに異なる超音波発生源311A,311Bが接合されている。したがって、超音波発生装置310は、第1前側接合面331と第2前側接合面332との位置関係を考慮せずに第1前側接合面331と第2前側接合面332に超音波発生源311A,311Bを接合させることができるため、超音波発生源311A,311Bの構造を簡素化しやすい。
【0063】
4.第4実施形態
第4実施形態では、第1実施形態で説明した超音波発生装置10を複数備えた超音波発生システム400について説明する。なお、第4実施形態では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0064】
第4実施形態の超音波発生システム400は、図6に示すように、複数(本実施形態では3)の超音波発生装置10(図2参照)と、連結部401と、を備えている。超音波集束部12を前方から見た外縁の形状は、円形をなしている。複数の超音波発生装置10は、前後方向と直交する方向に等間隔で並んで配置されている。複数の超音波発生装置10は、超音波集束部12同士が連結部401を介して連結されている。
【0065】
5.第5実施形態
第5実施形態では、第1実施形態で説明した超音波発生装置10とは別の形態の超音波発生装置を複数備えた超音波発生システム500について説明する。なお、第5実施形態では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0066】
第5実施形態の超音波発生システム500は、図7及び図8に示すように、複数(本実施形態では3)の超音波発生装置510と、連結部501と、を備えている。超音波発生装置510は、超音波発生源11と、超音波集束部512と、導波路13と、を備えている。
【0067】
超音波発生装置510を前方から見た外縁の形状は、多角形状(本実施形態では四角形状)をなしている。複数の超音波発生装置510は、前後方向と直交する方向に等間隔で並んで配置されている。複数の超音波発生装置510は、対角形状をなす辺の部分が互いに対向するように配置されている。複数の超音波発生装置510は、超音波集束部512同士が連結部501を介して連結されている。
【0068】
6.第6実施形態
第6実施形態では、第2反射面が前方に凸となるように湾曲した構成である例について説明する。なお、第6実施形態では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0069】
第6実施形態の超音波発生装置610は、超音波発生源11と、超音波集束部612と、導波路613と、を備えている。導波路613は、円筒状をなしている。
【0070】
超音波集束部612は、金属(例えばジュラルミン)によって形成されている。超音波集束部612は、前後方向から見た外縁の形状が円形である。超音波集束部12は、接合面20を有している。接合面20は、超音波集束部612の後面612Aに形成され、後方を向いた状態で配置されている。
【0071】
超音波集束部612は、第1反射面21及び第2反射面622を有している。第2反射面622は、第1反射面21と対向して配置されている。第2反射面622は、超音波集束部612の外部から見ると、後方側(第1反射面21とは反対側)に凸な湾曲面(例えば放物面)である。第2反射面622は、超音波集束部612の内部から見ると凹型である。第2反射面622の内周縁は、第2反射面622の外周縁よりも前方に位置している。第2反射面622は、後方に向けて拡開する曲面形状をなしている。
【0072】
導波路613は、超音波集束部612の前端部から前方に向かって延びる筒状をなしている。導波路613は、本実施形態では超音波集束部612と別部材として説明するが、超音波集束部612と同一部材であってもよい。導波路613は、超音波伝搬性の高い材料によって形成されることが好ましく、例えば、アルミ合金、金属ガラスなどで形成されることが好ましい。また、導波路613は、例えばチタンとニッケルの合金からなる形状記憶合金で形成される構成であってもよい。導波路613は、弾性変形し得る。
【0073】
超音波集束部612及び導波路613は、超音波集束部612及び導波路613を前後方向に貫通する貫通孔640を有している。貫通孔640を形成する内周面641を前後方向に対して直交する方向に切断した断面は、円形をなしており、前後方向に一定の大きさである。貫通孔640は、環状をなす超音波集束部612の内側の空間と、筒状をなす導波路613の内側の空間とによって形成されている。貫通孔640を形成する内周面641の後端は、上述した第2反射面622の前端に連なっている。
【0074】
超音波発生源11は、貫通孔640を塞がないように配置されている。超音波発生源11は、前後方向と直交する径方向(以下、単に「径方向」ともいう)において、第2反射面622の外周縁よりも外側に配置されている。超音波発生源11は、第2反射面622の外周縁を囲む環状(より具体的には円環状)をなしている。貫通孔640は、超音波発生源11の内側の空間を介して超音波発生源11の後方に開放されている。
【0075】
超音波集束部612の後面612Aには、接合面20を含む接合用面23と第2反射面622とが形成されている。接合用面23は、第2反射面622の外周を囲んでいる。接合用面23の内周縁は、第2反射面622の外周縁に連なっている。超音波集束部612は、第1反射面21の外周縁と、後面612A(より具体的には、接合用面23)の外周縁とに連なり、前後方向に沿った形状をなす外周面624を有している。外周面624は、環状(より具体的には、円環状)をなしている。
【0076】
超音波発生装置610は、第1実施形態の超音波発生装置10と同じく、第1反射面21のいずれの位置においても、入射縦波のエネルギに対する反射縦波のエネルギの割合(以下、縦波反射率ともいう)は、0.2以上であり、0.4以上であることがより好ましい。入射縦波は、超音波発生源11から第1反射面21に入射する入射波のことである。反射縦波は、入射縦波が第1反射面21で反射する反射波のうちの縦波のことである。縦波とは、超音波のうち入射角と反射角が同じ角度となる成分のことである。放射面15は、入射縦波を放射する。入射縦波は、放射面15に対して直交し、放射面15から第1反射面21に向かって前方に放射される。
【0077】
超音波発生源11は、図示しない信号送受信回路から電気信号を与えられると、放射面15から前方に向けて超音波を発生する。放射面15から放射された超音波は、第1反射面21で反射され、第1反射面21の焦点F2に向かって集束する。第1反射面21の焦点F2を通過した超音波は、第2反射面622で反射され、平面波として導波路13の内部に導入される。導波路13の内部に導入された超音波は、導波路13の内部を伝送され、導波路13の前端から放射される。
【0078】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わされてもよい。
【0079】
(1)第1実施形態、第2実施形態、第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態では、1つの超音波発生装置に対して超音波発生源が1つ設けられる構成であったが、複数の超音波発生源が設けられる構成であってもよい。また、超音波発生源は、環状でなくてもよい。例えば、超音波発生源は、直方体形状であってもよい。
【0080】
(2)第3実施形態では、前側接合面が第1前側接合面と第2前側接合面によって2段階で構成されていたが、3段階以上で構成されていてもよい。
【0081】
(3)第3実施形態では、第1前側接合面と第2前側接合面に対して別々の超音波発生源が接合される構成であったが、単一の超音波発生源が第1前側接合面と第2前側接合面の両方に接合される構成であってもよい。
【0082】
(4)第6実施形態において、導波路は、筒状で無くてもよい。
【0083】
(5)第2実施形態の前側接合面、第3実施形態の第1前側接合面及び第2前側接合面を、第6実施形態に適用してもよい。
【0084】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
10…超音波発生装置
11…超音波発生源
12…超音波集束部
12A…超音波集束部の後面
13…導波路
15…放射面
15A…放射面
15B…放射面
20…接合面
21…第1反射面
21A…外側入射部
22…第2反射面
23…接合用面
24…外周面
210…超音波発生装置
212…超音波集束部
212A…超音波集束部の後面
220…接合面
223…接合用面
224…外周面
225…介在面
226…段差面
231…前側接合面
310…超音波発生装置
311A…超音波発生源
311B…超音波発生源
312…超音波集束部
312A…超音波集束部の後面
320…接合面
321A…第1外側入射部
321B…第2外側入射部
324…外周面
325…介在面
326…第1段差面
327…第2段差面
331…第1前側接合面
332…第2前側接合面
333…第1前側接合用面
334…第2前側接合用面
400…超音波発生システム
401…連結部
500…超音波発生システム
501…連結部
510…超音波発生装置
512…超音波集束部
610…超音波発生装置
612…超音波集束部
612A…超音波集束部の後面
613…導波路
622…第2反射面
624…外周面
640…貫通孔
641…内周面
F…焦点
F2…焦点
RA…外側入射部からの反射縦波が通る経路
RB…第1外側入射部からの反射縦波が通る経路
RC…第2外側入射部からの反射縦波が通る経路
θA…入射角
θB…入射角
θC…入射角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9