(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120328
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】半導体製造装置、エッジの検出方法および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027053
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小橋 英晴
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047FA73
5F047FA79
5F047FA83
(57)【要約】
【課題】基準位置を精度よく得ることが可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体製造装置は認識カメラと照明装置と制御装置とを備える。前記制御装置は、第一部材に形成されている位置認識マークの幅を取得し、前記照明装置によって照明光を前記第一部材に照射すると共に前記認識カメラで前記第一部材を撮影して画像を取得し、前記画像に基づいて前記エッジ付近の濃淡分布を算出し、前記エッジの位置と前記濃淡分布との関係を示す学習データを算出し、前記照明装置によって照明光を第二部材に照射すると共に前記認識カメラで前記第二部材を撮影して画像を取得し、当該画像に基づいて前記第二部材に形成されている位置認識マークのエッジ付近の濃淡分布を算出し、前記学習データおよび当該濃淡分布に基づいて前記第二部材の前記位置認識マークのエッジの位置を算出するよう構成される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認識カメラと、照明装置と、制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
第一部材に形成されている位置認識マークの幅を取得し、
取得した幅に基づいてエッジの位置を算出し、
前記照明装置によって照明光を前記第一部材に照射すると共に前記認識カメラで前記第一部材を撮影して画像を取得し、
前記画像に基づいてエッジ付近の濃淡分布を算出し、
算出した前記エッジの位置と前記濃淡分布との関係を示す学習データを算出し、
前記照明装置によって照明光を第二部材に照射すると共に前記認識カメラで前記第二部材を撮影して画像を取得し、
当該画像に基づいて前記第二部材に形成されている位置認識マークのエッジ付近の濃淡分布を算出し、
前記学習データおよび当該濃淡分布に基づいて前記第二部材の前記位置認識マークのエッジの位置を算出するよう構成される半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、オフラインの顕微鏡によって測定された前記第一部材の前記位置認識マークの幅を取得するよう構成される半導体製造装置。
【請求項3】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、
前記認識カメラよりも高倍率のカメラで前記第一部材を撮影して画像を取得し、
当該画像に基づいて前記第一部材の前記位置認識マークのエッジの位置を算出し、
前記カメラで取得された前記エッジの位置に基づいて前記第一部材の前記位置認識マークの幅を取得するよう構成される半導体製造装置。
【請求項4】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、提供される図面に記された前記位置認識マークの幅を取得するよう構成される半導体製造装置。
【請求項5】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、
前記認識カメラで取得した前記画像に基づいて前記第一部材の前記位置認識マークの中心と幅を算出し、
取得した前記幅と算出した前記幅との差分の半分を前記位置認識マークのエッジの検出のずれ量として登録するよう構成される半導体製造装置。
【請求項6】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、
前記認識カメラを前記第一部材に対して相対的に前記認識カメラの画素分解能よりも小さい量で動かして、前記照明装置によって照明光を前記第一部材に照射すると共に前記認識カメラで前記第一部材を撮影して画像を取得し、
前記画像に基づいて前記エッジ付近の濃淡分布を算出し、
前記エッジの位置と前記濃淡分布との関係を示す学習データを算出するよう構成される半導体製造装置。
【請求項7】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、
前記認識カメラで前記第一部材を撮影して取得した前記位置認識マークの画像をテンプレート画像とし、
前記テンプレート画像の座標は、算出された前記位置認識マークのエッジの位置に基づいて算出するよう構成される半導体製造装置。
【請求項8】
請求項7の半導体製造装置において、
前記制御装置は、
前記認識カメラで前記第二部材を撮影して取得した画像のうち前記テンプレート画像と最も類似した部分の画像を取得し、
取得した前記最も類似した部分の画像におけるエッジ付近の濃淡分布を算出し、
前記学習データおよび当該濃淡分布に基づいてエッジの位置を算出し、
前記最も類似した部分の画像の座標は、算出された前記エッジの位置に基づいて算出するよう構成される半導体製造装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項の半導体製造装置において、
前記位置認識マークは基準リードまたは基準パッドである半導体製造装置。
【請求項10】
認識カメラと、照明装置と、制御装置と、を備える半導体製造装置におけるエッジの検出方法であって、
第一部材に形成されている位置認識マークの幅を取得し、
取得した幅に基づいてエッジの位置を算出し、
前記照明装置によって照明光を前記第一部材に照射すると共に前記認識カメラで前記第一部材を撮影して画像を取得し、
前記画像に基づいてエッジ付近の濃淡分布を算出し、
算出した前記エッジの位置と前記濃淡分布との関係を示す学習データを算出し、
前記照明装置によって照明光を第二部材に照射すると共に前記認識カメラで前記第二部材を撮影して画像を取得し、
当該画像に基づいて前記第二部材に形成されている位置認識マークのエッジ付近の濃淡分布を算出し、
前記学習データおよび当該濃淡分布に基づいて前記第二部材の前記位置認識マークのエッジの位置を算出するエッジの検出方法。
【請求項11】
認識カメラと、照明装置と、第一部材に形成されている位置認識マークの幅を取得し、取得した幅に基づいてエッジの位置を算出し、前記照明装置によって照明光を前記第一部材に照射すると共に前記認識カメラで前記第一部材を撮影して画像を取得し、前記画像に基づいてエッジ付近の濃淡分布を算出し、算出した前記エッジの位置と前記濃淡分布との関係を示す学習データを算出するよう構成される制御装置と、を備える半導体製造装置に第二部材を搬入する工程と、
前記第二部材としての基板にダイをボンドするボンド工程と、
を有し、
前記ボンド工程は、
前記照明装置によって照明光を第二部材に照射すると共に前記認識カメラで前記第二部材を撮影して画像を取得し、
当該画像に基づいて前記第二部材に形成されている位置認識マークのエッジ付近の濃淡分布を算出し、
前記学習データおよび当該濃淡分布に基づいて前記第二部材の前記位置認識マークのエッジの位置を算出する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体製造装置に関し、例えば、位置認識マークを有する基板を扱うダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハから分割されたダイがピックアップされ、ピックアップされたダイが基板にボンドされる。例えば、カメラでダイや基板が撮影されて画像が取得され、その画像に基づいてダイや基板の位置決めが行われることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上述した位置決めにおいて、基板やダイの上に形成された位置認識マークのエッジが基準位置として使われることがある。この場合、エッジの位置(基準位置)を精度よく得ることが難しいことがある。
【0005】
本開示の課題は、基準位置を精度よく得ることが可能な技術を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、半導体製造装置は認識カメラと照明装置と制御装置とを備える。前記制御装置は、第一部材に形成されている位置認識マークの幅を取得し、前記照明装置によって照明光を前記第一部材に照射すると共に前記認識カメラで前記第一部材を撮影して画像を取得し、前記画像に基づいて前記エッジ付近の濃淡分布を算出し、前記エッジの位置と前記濃淡分布との関係を示す学習データを算出し、前記照明装置によって照明光を第二部材に照射すると共に前記認識カメラで前記第二部材を撮影して画像を取得し、当該画像に基づいて前記第二部材に形成されている位置認識マークのエッジ付近の濃淡分布を算出し、前記学習データおよび当該濃淡分布に基づいて前記第二部材の前記位置認識マークのエッジの位置を算出するよう構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基準位置を精度よく得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態におけるダイボンダの構成例を示す概略上面図である。
【
図2】
図2は
図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
【
図3】
図3は
図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は
図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5はボンディング部の光学系の一例を示す図である。
【
図6】
図6は基板に設けられるアライメントマークおよびボンディング中心を示す図である。
【
図7】
図7は基準リードの明るさと距離の関係を示すグラフである。
【
図9】
図9はエッジの位置の算出方法を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は位置認識マーク付近の一部の顕微鏡写真を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は位置認識マーク付近の一部の基板認識カメラによって撮影した画像を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は位置認識マークの距離と濃淡値の関係を示すグラフである。
【
図15】
図15は登録画像および類似画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
半導体製造装置の一実施形態であるダイボンダの構成について
図1および
図2を用いて説明する。
図1は実施形態におけるダイボンダの構成例を示す概略上面図である。
図2は
図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
【0011】
ダイボンダ1は、大別して、ウエハ供給部10と、ピックアップ部20、中間ステージ部30と、ボンディング部40と、搬送部50、基板供給部60と、基板搬出部70と、制御部(制御装置、コントローラ)80と、を有する。Y方向がダイボンダ1の前後方向であり、X方向が左右方向であり、Z方向が上下方向である。ウエハ供給部10がダイボンダ1の前側に配置され、ボンディング部40が後側に配置される。
【0012】
ウエハ供給部10は、ウエハカセットリフタ11と、ウエハ保持台12と、剥離ユニット13と、ウエハ認識カメラ14と、を有する。
【0013】
ウエハカセットリフタ11は複数のウエハリングWRが格納されるウエハカセット(不図示)をウエハ搬送高さまで上下動させる。ウエハ修正シュート(不図示)はウエハカセットリフタ11から供給されるウエハリングWRのアライメントを行う。ウエハエキストラクタ(不図示)はウエハリングWRをウエハカセットから取出してウエハ保持台12に供給したり、ウエハ保持台12から取り出してウエハカセットに収納したりする。
【0014】
ダイシングテープDT上にウエハWが接着(貼付)されており、そのウエハWは複数のダイDに分割されている。ダイシングテープDTはウエハリングWRに保持されている。ウエハWは、例えば、半導体ウエハであり、ダイDは半導体チップである。ウエハWとダイシングテープDTとの間にダイアタッチフィルム(DAF)と呼ばれるフィルム状の接着材料DFを貼り付けている。接着材料DFは加熱することで硬化する。
【0015】
ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを剥離ユニット13の位置に移動させる。また、ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってXY平面内においてウエハリングWRを回転またはXY移動させる。剥離ユニット13は図示しない駆動部によって上下方向に移動する。剥離ユニット13はダイシングテープDTからダイDを剥離する。
【0016】
ウエハ認識カメラ14はウエハWからピックアップするダイDのピックアップ位置を把握したり、ダイDの表面検査をしたりする。
【0017】
ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21と、Y駆動部23と、を有する。ピックアップヘッド21には、剥離されたダイDを先端に吸着保持するコレット22が設けられる。ピックアップヘッド21はウエハ供給部10からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。Y駆動部23はピックアップヘッド21をY軸方向に移動させる。ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21を昇降、回転及びX方向移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0018】
中間ステージ部30は、ダイDが載置される中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識するためのステージ認識カメラ34と、を有する。中間ステージ31は載置されたダイDを吸着する吸引孔を備える。載置されたダイDは中間ステージ31に一時的に保持される。中間ステージ31はダイDが載置される載置ステージであると共に、ダイDがピックアップされるピックアップステージでもある。
【0019】
ボンディング部40は、ボンドヘッド41と、Y駆動部43と、基板認識カメラ44と、ボンドステージ46と、を有する。ボンドヘッド41にはダイDを先端に吸着保持するコレット42が設けられる。Y駆動部43はボンドヘッド41をY軸方向に移動させる。基板認識カメラ44は基板Sの後述する位置認識マークMを撮影し、ボンド位置を認識する。ここで、基板Sには、最終的に一つのパッケージとなる、複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)が形成されている。基板Sは、例えば、配線基板や金属薄板で形成されるリードフレーム等である。位置認識マークMはパッケージエリアPごとに設けられる。ボンドステージ46は、基板SにダイDが載置される際、上昇させられ、基板Sを下方から支える。ボンドステージ46は基板Sを真空吸着するための吸引口(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。ボンドステージ46は基板Sを加熱する加熱部(不図示)を有する。ボンディング部40は、ボンドヘッド41を昇降、回転及びX方向移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0020】
このような構成によって、ボンドヘッド41は、ステージ認識カメラ34の撮影データに基づいてピックアップ位置や姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップする。そして、ボンドヘッド41は、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板SのパッケージエリアP上にボンドし、または既に基板SのパッケージエリアPの上にボンドされたダイの上に積層する形でボンドする。
【0021】
搬送部50は、基板Sを掴み搬送する搬送爪51と、基板Sが移動する搬送レーン52と、を有する。基板Sは、搬送レーン52に設けられた搬送爪51の図示しないナットを搬送レーン52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによってX方向に移動する。このような構成によって、基板Sは、基板供給部60から搬送レーン52に沿ってボンド位置まで移動し、ボンド後、基板搬出部70まで移動して、基板搬出部70に基板Sを渡す。
【0022】
基板供給部60は、搬送治具に格納されて搬入された基板Sを搬送治具から取り出して搬送部50に供給する。基板搬出部70は、搬送部50により搬送された基板Sを搬送治具に格納する。
【0023】
次に、制御部80について
図3を用いて説明する。
図3は
図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
制御系8は、制御部(制御装置)80、駆動部86、信号部87、光学系88等を備える。制御部80は、大別して、主としてCPU(Central Processing Unit)で構成される制御・演算装置81と、記憶装置82と、入出力装置83と、バスライン84と、電源部85とを有する。記憶装置82は主記憶装置82aと制補助記憶装置82bとを有する。主記憶装置82aは処理プログラムなどを記憶しているRAM(Random Access Memory)で構成されている。補助記憶装置82bは制御に必要な制御データや画像データ等を記憶しているHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成されている。
【0025】
入出力装置83は、ダイボンダ1の装置状態や情報等を表示するモニタ83aと、オペレータの指示を入力するタッチパネル83bと、モニタを操作するマウス83cと、光学系88からの画像データを取り込む画像取込装置83dと、を有する。入出力装置83は、さらに、モータ制御装置83eと、I/O信号制御装置83fと、を有する。モータ制御装置83eは、ウエハ供給部10のXYテーブルやボンディング部40のボンドヘッドテーブルのZY駆動軸等の駆動部86を制御する。I/O信号制御装置83fは信号部87から信号を取り込んだり、信号部87を制御したりする。信号部87は、種々のセンサ、照明装置などの明るさを制御するスイッチやボリューム等を含む。制御・演算装置81はバスライン84を介して必要なデータを取込み、演算し、ピックアップヘッド21等の制御や、モニタ83a等に情報を送る。
【0026】
制御部80は画像取込装置83dを介して光学系88で撮像した画像データを記憶装置82に保存する。光学系88には、ウエハ認識カメラ14、ステージ認識カメラ34および基板認識カメラ44が含まれる。光学系88で使用するカメラは光強度や色を数値化する。保存した画像データに基づいてプログラムしたソフトウエアにより、制御・演算装置81はダイDおよび基板SのパッケージエリアPの位置決め、並びにダイDおよび基板Sの表面検査を行う。制御・演算装置81は算出したダイDおよび基板SのパッケージエリアPの位置に基づいてソフトウエアによりモータ制御装置83eを介して駆動部86を動かす。このプロセスにより、制御・演算装置81はウエハ上のダイの位置決めを行い、ウエハ供給部10、ピックアップ部20およびボンディング部40の駆動部で動作させダイDを基板SのパッケージエリアP上にボンドする。ウエハ認識カメラ14、ステージ認識カメラ34および基板認識カメラ44は認識カメラともいう。
【0027】
ダイボンダ1を用いた半導体装置の製造工程の一部(半導体装置の製造方法)について
図4を用いて説明する。
図4は
図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。以下の説明において、ダイボンダ1を構成する各部の動作は制御部80により制御される。
【0028】
(ウエハ搬入工程:工程S1)
ウエハリングWRがウエハカセットリフタ11のウエハカセットに供給される。供給されたウエハリングWRがウエハ保持台12に供給される。
【0029】
(基板搬入工程:工程S2)
基板Sが格納された搬送治具が基板供給部60に供給される。基板供給部60で搬送治具から基板Sが取り出され、基板Sが搬送爪51に固定される。
【0030】
(ピックアップ工程:工程S3)
工程S1後、所望するダイDをダイシングテープDTからピックアップできるようにウエハ保持台12が動かされる。ウエハ認識カメラ14によってダイDが撮影され、撮影によって取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダのダイ位置基準点からのウエハ保持台12上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、ウエハ保持台12の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データを画像処理することによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0031】
位置決めされたダイDは剥離ユニット13およびピックアップヘッド21によりダイシングテープDTから剥離される。ダイシングテープDTから剥離されたダイDは、ピックアップヘッド21に設けられたコレット22に吸着、保持されて、中間ステージ31に搬送されて載置される。
【0032】
ステージ認識カメラ34によって中間ステージ31の上のダイDが撮影され、撮影によって取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダのダイ位置基準点からの中間ステージ31上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置の補正値が決定し位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、中間ステージ31の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データを画像処理することによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0033】
ダイDを中間ステージ31に搬送したピックアップヘッド21はウエハ供給部10に戻される。上述した手順に従って、次のダイDがダイシングテープDTから剥離され、以後同様の手順に従ってダイシングテープDTから1個ずつダイDが剥離される。
【0034】
(ボンド工程:工程S4)
搬送部50により基板Sがボンドステージ46に搬送される。ボンドステージ46上に載置された基板Sが基板認識カメラ44によって撮像され、撮影によって取得された画像データに基づいて基板Sの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダ1の基板位置基準点からの基板Sのずれ量(X、Y、θ方向)が算出される。なお、基板位置基準点は、予め、ボンディング部40の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データが画像処理されることによって、基板Sの表面検査が行われる。
【0035】
工程S3において算出された中間ステージ31上のダイDのずれ量からボンドヘッド41の吸着位置が補正されてダイDがコレット42により吸着される。中間ステージ31からダイDを吸着したボンドヘッド41によりボンドステージ46に支持された基板Sの所定箇所にダイDがボンドされる。ここで、基板Sの所定箇所は、基板SのパッケージエリアP、または、すでにダイDが載置されており、それに加える形でダイDをボンドする際の領域、または、積層ボンドするダイDのボンド領域である。基板認識カメラ44によって基板SにボンドされたダイDが撮影され、撮影によって取得された画像データに基づいてダイDが所望の位置にボンドされたかどうか等の検査が行われる。
【0036】
ダイDを基板Sにボンドしたボンドヘッド41は中間ステージ31に戻される。上述した手順に従って、次のダイDが中間ステージ31からピックアップされ、基板Sにボンドされる。これが繰り返されて基板SのすべてのパッケージエリアPにダイDがボンドされる。
【0037】
(基板搬出工程:工程S5)
ダイDがボンドされた基板Sが基板搬出部70に搬送される。基板搬出部70で搬送爪51から基板Sが取り出されて搬送治具に格納される。ダイボンダ1から基板Sが格納されている搬送治具が搬出される。
【0038】
上述したように、ダイDは、基板S上に実装され、ダイボンダ1から搬出される。その後、例えば、ダイDが実装された基板Sが格納された搬送治具がワイヤボンディング工程に搬送され、ダイDの電極はAuワイヤ等を介して基板Sの電極と電気的に接続される。そして、基板Sがモールド工程に搬送され、ダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、半導体パッケージが完成する。
【0039】
積層ボンドする場合は、ワイヤボンディング工程に続いて、ダイDが実装された基板Sが載置格納された搬送治具がダイボンダに搬入されて基板S上に実装されたダイDの上にダイDが積層される。そして、ダイボンダから搬出された後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。第二段目より上のダイDは、上述した方法でダイシングテープDTから剥離された後、ボンディング部に搬送されてダイDの上に積層される。上記工程が所定回数繰り返された後、基板Sがモールド工程に搬送され、複数個のダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、積層パッケージが完成する。
【0040】
次に、ボンディング部40の光学系について
図5を用いて説明する。
図5はボンディング部の光学系の一例を示す図である。
【0041】
基板認識カメラ44は、カメラ本体441とカメラ本体441に取り付けられた対物レンズ442とを備える。カメラ本体441は、対物レンズ442を通して基板Sの主面または基板SにボンドされたダイDの主面の画像を撮影する構成となっている。対物レンズ442と基板S等との間には、面発光照明(光源)451およびハーフミラー(半透過鏡、ビームスプリッタ)452を内部に備えた照明装置45が配置されている。面発光照明451からの照射光は、ハーフミラー452によって基板認識カメラ44と同じ光軸へ反射され、基板S等に照射される。基板認識カメラ44と同じ光軸へ基板S等に照射されたその光は、基板S等で反射し、そのうちの正反射光がハーフミラー452を透過して基板認識カメラ44に達し、基板S等の映像を形成する。すなわち、照明装置45は同軸落射照明(同軸照明)の機能を有する。
【0042】
次に、位置決め等に用いる基準位置について
図6を用いて説明する。
図6は基板に設けられる位置認識マークおよびボンディング中心を示す図である。
【0043】
ダイをボンディングする際にはボンディング座標の図面を用いる場合がある。その図面には位置認識マークMを構成する基準リードの縁(エッジ、境界)からの距離(dx、dy)でボンディング中心CBの座標が表現されることがある。このとき、リード幅(WLD)の記載は図面にはないことがある。
【0044】
この場合、ダイボンダではこの位置認識マークMのエッジを画像処理によってリード幅およびリード中心を測定して検出することで基準位置の座標を把握することが必要となる。
【0045】
しかし、基板認識カメラ44はボンディング位置の認識や、ダイまたは基板Sの表面検査を行うため、少なくとも一つのパッケージエリアPを含む広い視野が必要とされるので、比較的低倍率のレンズが使用される。すなわち、基板認識カメラ44は位置認識マークMおよびその周辺という狭い視野を撮影するカメラではないので、高倍率のレンズは使用されない。このため、現状、基板認識カメラ44の画素分解能は、せいぜい10~15μm/pixel程度である。ここで、基板認識カメラ44の画素数は、例えば、500万画素であり、2000万画素のカメラを用いても、画素分解能はせいぜい5μm/pixel程度である。
【0046】
このような画素分解能が大きい基板認識カメラ44によって撮影された画像に基づいて基準リードのエッジを検出する場合の問題点について
図7および
図8を用いて説明する。
図7は基準リードの明るさと距離の関係を示すグラフである。
図8はエッジ付近の画像を示す図である。
【0047】
基板認識カメラ44で撮影した画像におけるエッジは、
図7に示すように、立上がりが垂直にならず、数画素にまたがる滲みBLになる(すなわち、明暗分布が存在する)ことがある。この滲みBLはエッジ境界が画素境界と一致していない場合があることによる。真のエッジEDが画素境界にある場合には画像は白と黒の画素だけとなるが、画素境界以外の領域にある場合は、
図8に示すように、グレー(中間値)の画素の領域(滲みBL)が現れる。
【0048】
したがって、基板認識カメラ44で位置認識マークMのエッジを撮影し、真のエッジEDの位置を画像処理で求めようとしても、この滲みBLの存在により正確なエッジの位置を求めることができない。滲みBLの存在によりエッジ検出の一般的な演算方法(勾配法やラプラシアン法による微分処理など)では真のエッジEDの位置に対して一定のオフセットを持ってしまう(ズレが残る)。このため、エッジを精度良く算出することはできない。よって、
図6に示すリード幅(W
LD)および基準リードの中心線C
Lからエッジまでの距離(Wc=W
LD/2)を精度よく算出することはできない。
【0049】
本実施形態における真のエッジEDの位置の算出方法の概要について
図9を用いて説明する。
図9はエッジの位置の算出方法を示すフローチャートである。
【0050】
本開示者は、滲みBLの分布と真のエッジEDの位置には相関があることを見出した。そこで、実施形態では、第一部材としてのリファレンス用基板Sの位置認識マークMに対して真のエッジEDの位置と滲みBLの分布の関係を予め学習させる(ステップS31)。そして、その学習により得られた学習データと、第二部材としての製品用基板Sの位置認識マークMに対して撮影して取得した画像に基づいて測定した滲みBLの分布から真のエッジEDの位置を予測(算出)する(ステップS32)。
【0051】
ステップS31のティーチング動作の詳細について
図10から
図13を用いて説明する。
図10はティーチング方法を示すフローチャートである。
図11は位置認識マーク付近の一部の顕微鏡写真を模式的に示す図である。
図12は位置認識マーク付近の一部の基板認識カメラによって撮影した画像を模式的に示す図である。
図13は位置認識マークの距離と濃淡値の関係を示すグラフである。
【0052】
(ステップS311)
制御部80は、リファレンス用基板Sに形成されている位置認識マークMのリード幅(W
H)を取得する。例えば、
図11に示すように、オフラインの顕微鏡でリファレンス用基板Sに形成されている位置認識マークMのリードの両エッジの位置を測定してリード幅(W
H)を測定する。または、基板認識カメラ44より高倍率のカメラをダイボンダ1に搭載して、制御部80はそのカメラでリファレンス用基板Sを撮影して画像を取得し、取得した画像に対してエッジ検出によって位置認識マークMのリードの両エッジの位置を算出してリード幅(W
H)を測定してもよい。そして、制御部80は測定されたリード幅(W
H)を取得して記憶装置82に格納する。
【0053】
ダイボンダ1に搭載されるカメラを用いる場合は、そのカメラは基板認識カメラ44とオフセットが正確に調整されているのが好ましい。これにより、後述するリードエッジのオフセット値をそのまま反映することが可能になる。
【0054】
上記の図面にリード幅が記載されている場合は、測定されるリード幅(WH)に代えて図面に記載されたリード幅を用いてもよい。
【0055】
(ステップS312)
制御部80は、照明装置45によって照明光をリファレンス用基板Sに照射すると共に、基板認識カメラ44によってリファレンス用基板Sを撮影して、
図12に示す画像を取得する。
【0056】
(ステップS313)
制御部80は、ステップS312において取得した画像に対するエッジ検出(画像処理)によって位置認識マークMのリード中心CMの位置とリード幅(WL)を測定する。この測定は以下のように行われる。制御部80は、エッジ検出によってリードの両側のエッジの位置を算出する。制御部80は、リードの中心線CLの位置を両側のエッジの位置から算出し、リード中心CMの位置を二つのリードの中心線CLの交点から算出する。制御部80は、リード幅(WL)を両側のエッジの位置から算出する。なお、位置認識マークMのリードの画像は対となるエッジは左右対称に同じオフセットを持つ。よって画像処理で求めたエッジの中間線CLは正確にリード中央を示すことができる。
【0057】
なお、
図12に示すように、エッジデータは1画素のラインA
L上から検出するようにしてもよいし、帯状に平均化したプロジェクション(帯状の領域A
SにおけるY方向の複数画素の濃淡値の平均値)により検出するようにしてもよい。
【0058】
(ステップS314)
制御部80は、ステップS311において取得したリード幅(WH)とステップS313において測定したリード幅(WL)の差分(ΔW=WH-WL)を算出する。そして、制御部80は、その差分(ΔW)の半分をリードエッジの検出のずれ量、すなわち、オフセット値(Oe=ΔW/2)として登録する(記憶装置82に保存する)。
【0059】
(ステップS315)
制御部80は、ステップS312において取得した画像を処理して、
図7および
図13に示すような位置認識マークMの距離と濃淡値の関係(濃淡分布)を算出する。ここで、距離は画素数である。
【0060】
(ステップS316)
制御部80は所定数の画像を取得したかどうかを判定する。所定数の画像を取得していない場合は、ステップS317に移動する。所定数の画像を取得している場合は、ステップS318に移動する。
【0061】
(ステップS317)
制御部80は基板認識カメラ44に対して相対的に基板S(基準リード)を、例えば、X方向に微小移動する。ここで、微小移動の移動量は基板認識カメラ44の画素分解能(1画素)よりも小さい量、例えば、1μmである。基板Sを移動してもよいし、基板認識カメラ44を移動してもよい。微小移動の移動量は基板認識カメラ44を動かす駆動部または基板Sを動かす駆動部の最小分解能以上の量である。制御部80は所定数の画像を取得するまで、ステップS312~S317を繰り返す。
【0062】
(ステップS318)
制御部80は、ステップS311において取得したリード幅、ステップS314において所定数の画像毎に算出したオフセット値(Oe)およびステップS315において所定数の画像毎に算出した濃淡分布(
図13)に基づいて、エッジの位置と濃淡分布との関係(学習データ)を作成する。そして、制御部80は、学習データをデータベースとして記憶装置82に保存する。
【0063】
制御部80は、第二部材としてのリファレンス用基板Sまたは製品用基板Sの位置認識マークMに対して基板認識カメラ44によって撮影して取得した画像に基づいて位置認識マークMの濃淡分布を算出する。そして、制御部80は、算出した濃淡分布およびステップS318においてデータベース化された濃淡分布から真のエッジEDの位置を逆算して算出する。制御部80は、算出した真のエッジEDの位置に基づいて基準位置を算出する。
【0064】
基板認識カメラ44と部材として基板Sの微妙な位置関係の違いによるオフセットをティーチングするので、微妙な位置関係の違いがあってもより正確にエッジを検出することが可能である。
【0065】
好ましくは、基準リードの種類毎にステップS318におけるデータベースを作成する。
【0066】
算出した基準位置を用いた位置決めの方法例について
図14および
図15を用いて説明する。
図14はユニークな領域の例を示す図である。
図15は登録画像および類似画像の例を示す図である。
【0067】
位置決めアルゴリズムは、主に、テンプレートモデルを用いたパターンマッチング(テンプレートマッチングを用いたサーチアルゴリズム)を用い、一般に知られている正規化相関式での演算とする。その結果を一致率とする。テンプレートマッチングはリファレンス学習のティーチング動作と製品組み立ての生産動作がある。
【0068】
基板位置決めを例に説明する。ティーチング動作は、
図4に示すダイボンディング工程に先立って予め行われる動作である。
【0069】
制御部80は基板認識カメラ44によってリファレンス用基板Sを撮影して
図14に示すような画像PCrを取得する。画像PCrはステップS312において取得した
図12に示す画像であってもよい。
【0070】
ダイボンダの操作者がヒューマンインタフェース(タッチパネル83bやマウス83c)を用いて画像PCr内から特徴的なパターンを含むユニーク領域UAを選択する。ここで、ユニーク領域UAの特徴的なパターンは、例えば位置認識マークMである。位置認識マークMは十字形状の例が示されているが、これに限定されるものではない。例えば、基板Sに形成されている配線のうち特徴的なパターン(例えば、L字状のパターン)を有する配線(リード)や
図14に示す円形リードを位置認識マークMとして使用してもよい。
【0071】
制御部80は選択されたユニーク領域UAとリファレンス用基板Sとの位置関係(座標)を記憶装置82に保存する。例えば、位置認識マークMの基準位置に対するリファレンス用基板Sのボンディング中心C
Bの位置座標(
図6参照)が保存される。
【0072】
制御部80は基準となるユニーク領域UAの画像(以下、テンプレート画像PTという。)とその座標を記憶装置82に保存する。例えば、テンプレート画像PTには、位置認識マークMの画像が含まれる。保存されるテンプレート画像PTの座標は、例えば、
図9および
図10に示す方法によって算出される、位置認識マークMの中心C
Mの位置座標および位置認識マークMを構成する基準リードのリード幅に基づいて算出される基準位置(
図6参照)である。
【0073】
次に、
図4に示すダイボンディング工程における生産動作について説明する。
【0074】
工程S4においては、制御部80は、基板認識カメラ44によって製品用基板Sを撮像して、
図15に示す画像PCnを取得する。
【0075】
図15に示すように、制御部80はティーチング動作で保存していたテンプレート画像PTと製品用基板Sの取得画像PCnとを比較し、最も類似した部分の画像PTnの座標を算出する。制御部80は、製品用基板Sの位置認識マークMに対して基板認識カメラ44によって撮影して取得した画像に基づいて位置認識マークMの濃淡分布を算出する。そして、制御部80は、算出した濃淡分布およびステップS318においてデータベース化された濃淡分布から真のエッジEDの位置を逆算して算出する。制御部80は、算出した真のエッジEDの位置に基づいて画像PTnの座標を算出する。
【0076】
制御部80は画像PTnの座標とリファレンス用基板Sで測定した座標とを比較し、製品用基板Sの位置(画像PTnとテンプレート画像PTとのオフセット)を算出する。
【0077】
本実施形態では、上記の方法からリード境界を正確に取得することができる。これにより基板S上の基準位置(この場合はリード境界が基準となっている)と画像との相関位置をしめすベクトル量がわかるようになる。これを利用してパターンマッチングに使用するテンプレートモデルとのベクトル相関を行うことが可能である。パターンマッチングによる位置決め処理では「登録した画像が登録時からどれだけ画面内で移動しているか」がわかるが、1画素未満の精度で被写体の特定の基準位置との関連付けを行う能力はない。しかし、本実施形態ではこれが可能になる。
【0078】
言い換えると、実施形態によれば、パターンマッチングやエッジ検出の基準点(テンプレート画像PTの座標)を実エッジ基準(基準リードのエッジ)の位置に高精度に合わせることが可能である。これにより、パターンマッチングのテンプレートモデル(テンプレート画像PT)と実エッジとが1画素未満の精度でベクトル連結が可能となる。これにより、テンプレートモデル内の基準位置をより正確に定めることが可能となる。
【0079】
実施形態によれば、レシピデータとしてモデルデータ(例えば、テンプレート画像PT)を装置(ダイボンダ)間で移動させるとき、オフセット値(Oe)によって基準点ばらつきが低減可能である。これにより、移植後に再ティーチングした時に生じるオフセットばらつきを低減することが可能である。同一装置(ダイボンダ)内であっても再ティーチングした時に生じるオフセットばらつきを低減することが可能である。
【0080】
また、エッジ部分の画像の濃淡分布はレンズ特性(円形開口)や照明特性(発光面の位置、形状)に左右されるため、画像処理一般ライブラリにて汎用化することが難しい。よって、濃淡分布からのエッジ検出は一般式からの解であり、固有のハードウェハに対してチューニングできておらず、固有のオフセットを持ってしまう。エッジの濃淡傾斜は、例えば、エアリーディスクの形状の違いに依存する。
【0081】
また、被写体にはさまざまエッジがあり、エッジが光ったり黒ずんだりする。そのため、エッジは単純な2種の濃淡値の境界とは限らない。すなわち、基準リードのエッジは単純かつシャープな濃淡境界とは限らない。濃淡分布からのエッジ検出は基準リードのエッジの種別に依存する。
【0082】
基板認識カメラ44(カメラ本体441およびレンズ442)および照明装置45は、学習時と生産時とは同じ装置である。また、リファレンス用基板Sと製品用基板Sは同種のものである。すなわち、基板認識カメラ44および照明装置45を用いてリファレンス用基板Sおよび製品用基板Sを撮影するので、レンズ442の特性、照明装置45の特性および被写体の組み合わせに合わせてオフセットを取得することが可能である。これにより、部材および装置のハードウエア起因によるオフセットのティーチングが可能になる。
【0083】
以上、本開示者によってなされた開示を実施形態に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0084】
例えば、実施形態では、基板の位置決めについて説明したが、ダイの位置決めやダイと基板の相対位置の検査にも適用が可能である。例えば、ダイDに形成されているボンディングパッドのエッジの位置を製品の位置に合わせてカメラの画素分解能よりも高精度に測定することが可能である。これにより、位置認識マークとしてのボンディングパッド(基準パッド)のエッジを基準として位置決めが可能になる。また、基板に形成された基準リードとダイに形成された基準パッドのエッジ間オフセットしかなくても高精度にボンディング位置を決定することが可能である。
【0085】
帯状の模様を持つリードや円形リードの中心は、微動と検出を繰り返し、グラフのプロットから近似線を導き出し、実中心をNマシの統計近似によって求めてもよい。これにより、微動による揺らぎの影響を除去することが可能である。
【0086】
照明出力、露光時間を変更しながらデータベースを求めてもよい。この場合、明るさの変動による影響除去するための平均化または近似をするのが好ましい。
【0087】
エッジ周囲の濃淡値からノイズ成分を除去するために、多重露光による平均化を用いてもよい。
【0088】
また、実施形態では、ダイアタッチフィルムを用いる例を説明したが、基板に接着剤を塗布するプリフォーム部を設けてダイアタッチフィルムを用いなくてもよい。
【0089】
また、実施形態では、ウエハ供給部からダイをピックアップヘッドでピックアップして中間ステージに載置し、中間ステージに載置されたダイをボンディングヘッドで基板にボンディングするダイボンダについて説明した。しかし、これに限定されるものではなく、ダイ供給部からダイをピックアップするダイボンディング装置に適用可能である。
【0090】
例えば、中間ステージとピックアップヘッドがなく、ウエハ供給部のダイをボンディングヘッドで基板にボンディングするダイボンダにも適用可能である。
【0091】
また、中間ステージがなく、ウエハ供給部からダイをピックアップしダイピックアップヘッドを上に回転してダイをボンディングヘッドに受け渡しボンディングヘッドで基板にボンディングするフリップチップボンダに適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1・・・ダイボンダ(半導体製造装置)
44・・・基板認識カメラ
45・・・照明装置
80・・・制御部(制御装置)