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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120440
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】後処理装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20240829BHJP
   B65H 31/26 20060101ALI20240829BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240829BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B65H37/04 D
B65H37/04 Z
B65H31/26
G03G15/00 431
B65H43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027240
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直文
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 勇介
(72)【発明者】
【氏名】廣野 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】篠田 淳
(72)【発明者】
【氏名】東海枝 秀斗
(72)【発明者】
【氏名】平田 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】藤田 涼香
(72)【発明者】
【氏名】高山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢裕
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕史
(72)【発明者】
【氏名】野崎 航
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 日奈子
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AA25
2H072CA01
2H072GA08
2H072HB07
2H072JA02
3F048AA01
3F048AB01
3F048AC01
3F048BA04
3F048BB03
3F048BB05
3F048CA02
3F048CB12
3F048DB07
3F048DB12
3F048DC08
3F048EA01
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC01
3F054BG03
3F054BG04
3F054BH02
3F054CA05
3F054CA22
3F054CA25
3F054CA32
3F054DA11
3F054DA12
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA34
3F108HA36
3F108HA45
3F108HA55
(57)【要約】
【課題】手差し挿入された用紙束の厚み方向の規制と厚さの検知を単一の部材で実現し、用紙の損傷及び綴じ不良の発生を防止することができる後処理装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置に搭載され、画像形成装置から排出された用紙を搬送する搬送手段と、外部から用紙が手差し挿入されるスリット部23と、搬送手段により搬送された用紙及びスリット部23に挿入された用紙に後処理を行う後処理手段と、スリット部23の空間内を昇降移動可能に設けられ、下降によりスリット部23に挿入された用紙またはスリット部23の底面23bと当接する昇降部材27と、昇降部材を駆動する駆動手段30と、を備え、昇降部材27が、スリット部23に挿入された用紙の有無及び複数の用紙からなる用紙束の厚さを検知するとともに、下降位置において当接した用紙を押さえる後処理装置100。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に搭載される後処理装置において、
前記画像形成装置から排出された用紙を搬送する搬送手段と、
外部から用紙が手差し挿入されるスリット部と、
前記搬送手段により搬送された用紙及び前記スリット部に挿入された用紙に後処理を行う後処理手段と、
前記スリット部の空間内を昇降移動可能に設けられ、下降により前記スリット部に挿入された用紙または前記スリット部の底面と当接する昇降部材と、
前記昇降部材を駆動する駆動手段と、を備え、
前記昇降部材が、前記スリット部に挿入された用紙の有無及び複数の用紙からなる用紙束の厚さを検知するとともに、下降位置において当接した用紙を押さえることを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記スリット部の底面は、下降した前記昇降部材の下端部と嵌合する凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記昇降部材の移動量により、前記スリット部に挿入された用紙の有無及び前記用紙束の厚さを検知することを特徴とする請求項1または2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記後処理手段が綴じ手段であり、
前記綴じ手段による綴じ処理の可否を判断する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記昇降部材により検知された前記用紙束の厚さが、綴じ処理可能な厚さ以下である場合は綴じ処理を実行し、
前記昇降部材により検知された前記用紙束の厚さが、綴じ処理可能な厚さを超えている場合は綴じ処理を中止する制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記昇降部材が、前記スリット部の長手方向における両端側にそれぞれ配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記後処理手段が綴じ手段であり、
前記綴じ手段による綴じ処理の可否を判断する制御手段を備え、
前記綴じ手段として綴じ処理可能な用紙束の厚さが異なる第一の綴じ装置と第二の綴じ装置、及び前記第一の綴じ装置と前記第二の綴じ装置を移動させる手段を有し、
前記昇降部材により検知された前記用紙束の厚さをT、前記第一の綴じ装置の綴じ処理可能な用紙束の厚さをT1、前記第二の綴じ装置の綴じ処理可能な用紙束の厚さをT2とし、T1>T2の関係であるとき、
前記制御手段は、
T≦T2の場合は、前記第一の綴じ装置または前記第二の綴じ装置による綴じ処理を実行する制御を行い、
T2<T≦T1の場合は、前記第一の綴じ装置による綴じ処理を実行する制御を行い、
T>T1の場合は、綴じ処理を中止する制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記第一の綴じ装置及び前記第二の綴じ装置のいずれか一方が針有綴じ装置であり、他方が針無綴じ装置であることを特徴とする請求項6に記載の後処理装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の後処置装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置で画像が形成された用紙に対して綴じ処理等の後処理を行う手段を備えた後処理装置が知られている。
また、綴じ装置を備えた後処理装置において、ユーザが手差しで挿入した用紙に対して綴じ処理(マニュアル綴じ)を行う機構を備えた構成も知られている。
【0003】
マニュアル綴じにおいて、後処理装置にセットした複数の用紙(以下、「用紙束」ともいう)が、撓み等により揃っていない状態であると、綴じ不良等の不具合が生じるという問題がある。
【0004】
また、マニュアル綴じにおいて、セットした用紙束の厚さが綴じ処理可能な厚さを超えている場合にも綴じ不良等の不具合が生じることがある。
【0005】
これに対し、用紙束を厚み方向で規制し、用紙束を整合させるための部材を備えた構成が知られている。
【0006】
特許文献1では、綴じ処理可能なシート束の最大厚みが異なる第1のステープラーおよび第2のステープラーを備えた構成において、マニュアル綴じ処理を行う場合に、挿入された用紙束の厚みが規制部によって規制されて綴じ処理が実行される構成が開示されている。特許文献1の構成によれば、用紙束の厚さをユーザが管理する必要が無くなり、利便性を向上させることができることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、挿入された用紙束の厚み方向を規制する部材を備える構成では、当該部材との摩擦や過剰な押圧等により用紙を損傷してしまうおそれがある。
また、挿入された用紙束の厚さを検知する手段が別に設けられた構成では、装置構成の複雑化や装置の大型化につながるおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、手差し挿入された用紙束の厚み方向の規制と厚さの検知を単一の部材で実現し、用紙の損傷及び綴じ不良の発生を防止することができる後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の後処理装置は、画像形成装置に搭載される後処理装置において、前記画像形成装置から排出された用紙を搬送する搬送手段と、外部から用紙が手差し挿入されるスリット部と、前記搬送手段により搬送された用紙及び前記スリット部に挿入された用紙に後処理を行う後処理手段と、前記スリット部の空間内を昇降移動可能に設けられ、下降により前記スリット部に挿入された用紙または前記スリット部の底面と当接する昇降部材と、前記昇降部材を駆動する駆動手段と、を備え、前記昇降部材が、前記スリット部に挿入された用紙の有無及び複数の用紙からなる用紙束の厚さを検知するとともに、下降位置において当接した用紙を押さえることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、手差し挿入された用紙束の厚み方向の規制と厚さの検知を単一の部材で実現し、用紙の損傷及び綴じ不良の発生を防止することができる後処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】後処理装置と画像形成装置からなる画像形成システムの構成の一例を説明する模式図である。
図2図1の画像形成システムの一例を示すブロック図である。
図3】画像形成システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び側面図(B)である。
図5】画像形成装置から排出された用紙に対する後処理の流れの説明図である。
図6】後処理装置の一例を模式的に示す平面図である。
図7】後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び側面図(B)である。
図8】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び外観斜視図(B)である。
図9】後処理装置のマニュアル綴じ部の側面図及び昇降部材の動作説明図である。
図10】昇降部材の動作説明図である。
図11】昇降部材による用紙の有無及び用紙束の厚さ検知する動作の説明図である。
図12】マニュアル綴じの流れの一例を示すフローチャートである。
図13】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び側面図(B)である。
図14図14の後処理装置の昇降部材の動作説明図である。
図15】本発明に係る後処理装置における異物検知を説明する図である。
図16】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び側面図(B)である。
図17】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び側面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る後処理装置および画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
図1は後処理装置及び画像形成装置からなる画像形成システムの構成の一例を説明する外観模式図である。
画像形成装置300は、例えば、公知の電子写真プロセスにより媒体に対して画像を形成する装置である。
以下の説明では、画像形成装置300、後処理装置100及びオプション装置200で処理される媒体を用紙として説明する。
【0014】
図1(A)は後処理装置(インナーフィニッシャー)100を搭載した画像形成装置の構成例である。画像形成装置300で画像形成処理が実施され排出された用紙は、後処理装置100に搬送され、綴じ処理等の後処理が実施される。
【0015】
図1(B)は後処理装置100及びオプション装置200を搭載した画像形成装置の構成例である。画像形成装置300で画像形成処理が実施され排出された用紙は、オプション装置200に搬送されてパンチ処理や折り処理等の後処理が実施された後、後処理装置100に搬送され、綴じ処理等の後処理が実施される。なお、オプション装置200は、ユーザが搭載/非搭載を適宜選択することができる装置である。
【0016】
図2図1に示した画像形成装置300、後処理装置100及びオプション装置200で構成されるシステムの一例を示すブロック図である。図中、通信信号の流れを実線で示し、用紙の流れを破線で示している。
【0017】
図2(A)は、図1(A)の画像形成システムのブロック図である。
画像形成装置300は、ユーザに各種機器の状態や操作内容を知らせるための表示部301、ユーザがモードや部数等の設定操作を行うための操作部302、用紙をストックするとともに1枚ずつ分離給送する給紙部303、図示しない感光体に潜像を形成し用紙へ画像を転写させる作像部304、用紙に転写された画像を定着させる定着部305、及びこれらの各ブロックを制御する制御部306を備えている。
【0018】
後処理装置100は、制御部102及び処理部101を備えている。
画像形成装置300の制御部306から通信ライン307を通じて制御部102に処理の指示がされ、処理部101にて指定された用紙に指定された処理が実施される。通信ライン307を通じてやりとりされる情報としては、例えば用紙に対して実施される処理の種類やモード、用紙のサイズ、処理タイミング等の情報が挙げられる。このような構成によりシステムの動作が可能となっている。
【0019】
図2(B)は、図1(B)の画像形成システムのブロック図である。
画像形成装置300及び後処理装置100の構成は図2(A)と同様である。
オプション装置200は、制御部202及び処理部201を備えている。
後処理装置100の制御部102から通信ライン103を通じて制御部202に処理の指示がされ、オプション装置処理部201にて指定された用紙に指定された処理が実施される。通信ライン103を通じてやりとりされる情報は、通信ライン307における情報と同様、例えば用紙に対して実施される処理の種類やモード、用紙のサイズ、処理タイミング等の情報が挙げられる。このような構成によりシステムの動作が可能となっている。
【0020】
図3は、画像形成システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
後処理装置100の制御部102は、I/F102bを介して画像形成装置300の制御部306と接続されている。後処理装置100の制御は、画像形成装置300からの処理信号に応じて行われる。
CPU102aは、演算手段であり、後処理装置100の全体の動作を制御している。
【0021】
図3では、オプション装置として、パンチ処理を行うオプション装置200及び折り処理を行うオプション装置400を備えた構成を示している。
オプション装置200の制御部202は、I/F202aを介して後処理装置100のCPU102aに接続され、オプション装置400は、I/F402aを介して後処理装置100のCPU102aに接続され、それぞれ後処理装置100の制御部102により動作が制御される。
【0022】
後処理装置100、オプション装置200及びオプション装置400は着脱可能な装置であり、I/F(102b、202a、402a)も同様に中継コネクタやドロアコネクタ等によりハード的に着脱可能な構成となっている。
【0023】
後処理装置100の制御部102には、搬送モータ111、排紙モータ112、ステープル駆動モータ113、搬送センサ114、排紙センサ115、及びステープル移動HPセンサ116が接続されている。
【0024】
オプション装置200の制御部202には、パンチ穿孔モータ211、パンチ移動モータ212、パンチ前センサ213、カバー開閉センサ214、及び穿孔ユニットHPセンサ215が接続されている。
【0025】
オプション装置400の制御部402には、折りモータ411、入口センサ412、及び折りセンサ413が接続されている。
【0026】
図4及び図5は、本発明に係る後処理装置の一部であって、画像形成装置300から排出された用紙に対する後処理を実行する本体部100aの装置構成及び動作を説明する図である。
本実施形態の後処理装置は、後処理として綴じ処理を行う装置であり、後処理手段として綴じ手段(綴じ装置)を備えている。
図4(A)は後処理装置100の平面図、図4(B)はY方向から見た側面図である。
図4(A)の一点鎖線Xaは、本体部100aにおいて搬送及び排紙される用紙の幅方向の中央となる基準位置を示している。
図4(B)では、用紙の搬送経路を破線で示している。
【0027】
図4(A)及び図4(B)に示すように、後処理装置100は画像形成装置300から排出された用紙が搬入される入口の近傍に設けられ、搬送経路の最も上流側に位置する入口ローラ11、その下流側に位置する搬送ローラ12、後処理装置内で用紙を搬送方向と直交する方向(幅方向)にシフトするシフトローラ13、及び用紙が載置される排紙トレイ20の近傍に設けられ、最も下流側に位置する排紙ローラ16を備えている。
【0028】
また、綴じ処理の実行時に用紙の搬送方向先端部が突き当たる基準フェンス18、排紙された用紙の排紙方向後端部が突き当たるエンドフェンス21を備えている。基準フェンス18及びエンドフェンス21に衝止された用紙は搬送方向の端縁が揃えられる。
また、基準フェンス18に向けて用紙を搬送し突き当てる戻しコロ14、基準フェンス18に向けて用紙を搬送する叩きコロ15を備えている。
【0029】
また図4(A)に示すように、後処理装置100は、用紙Pの幅方向の端縁を揃える一対のジョガーフェンス22(22a、22b)を備えている。ジョガーフェンスは用紙のサイズに応じて変位可能である。ジョガーフェンス22a及び22bを図中矢印Fで示す方向から用紙Pを挟むようにして用紙の幅方向の端縁が揃えられる。
【0030】
さらに後処理装置100は、綴じ処理を行う綴じ装置(ステープラ)19、綴じ処理が実行されるまで用紙をスタックするステープルトレイ17を備えている。
【0031】
本実施形態の後処理装置100は、画像形成装置300から排出された用紙に対して綴じ処理を実施する「ステープルモード」に加え、画像形成装置300から排出された用紙に対して後処理を行わずに、そのまま搬送して排紙する「シフト排紙モード」を有している。いずれかのモードをユーザが適宜選択し、設定することができる。
【0032】
シフトモードにおいて、後処理装置100は、画像形成装置300から排出された用紙を入口ローラ11により搬入し、排紙ローラ16まで搬送した後、排紙トレイ20へ排紙する。
【0033】
ステープルモードにおいて、後処理装置100は、画像形成装置300から排出された用紙を入口ローラ11により受け入れて搬入し、シフトローラ13まで搬送した後、ステープルトレイ17上に排紙し、叩きコロ15及び戻しコロ14の動作によりスイッチバックさせ、用紙端が基準フェンス18に突き当たるまで搬送する。複数の用紙を同様に搬送した後、綴じ装置19により用紙束に綴じ処理を行い、綴じられた用紙束を排紙ローラ16の回転により排紙トレイ20へ排紙する。
【0034】
ステープルモードの流れを図5に基づき説明する。
図5(A)~(F)は、後処理装置100(本体部100a)の側面図であり、画像形成装置300から排出された用紙の搬送経路及び後処理の流れを説明する図である。図中、用紙Pの搬送経路を破線で示している。また、用紙Pの搬送方向を矢印D1及びD2で示している。
【0035】
まず、図5(A)に示すように、画像形成装置300から排出された用紙Pを入口ローラ11により受け入れ、後処理装置100内に搬入する。
次に、図5(B)に示すように、用紙Pをシフトさせず、排紙従動ローラ16bを圧解除位置としたまま、用紙Pをステープルトレイ17に向けて搬送する。
次に、図5(C)に示すように、シフトローラ13により用紙Pをステープルトレイ17に排紙した後、叩きコロ15により用紙Pを叩き、基準フェンス18に向けてスイッチバックさせる。
【0036】
次に、図5(D)に示すように、叩きコロ15及び戻しコロ14により、用紙Pの端部が基準フェンス18に突き当たるまで搬送する。
基準フェンス18に突き当たった用紙Pは、図4(A)に示すジョガーフェンス22により幅方向の端縁が揃えられる。
図5(D)に示す状態で1枚目の用紙Pを待機させ、後続の用紙Pについて同様に図5(A)から図5(D)に示した動作を行う。
【0037】
図5(E)に示すように、複数の用紙Pはステープルトレイ17上で順次重ねられ、整合状態の用紙束PSとしてスタックされる。用紙束PSに対し、綴じ装置19により綴じ処理が行われる。綴じ装置19は針有ステープラであり、綴じ処理により用紙束PSの所定の位置に針が打ち込まれる。排紙従動ローラ16bはニップ位置へ移動する。
【0038】
綴じ処理された用紙束PSは、図5(F)に示すように排紙ローラ16により排紙トレイ20へ排紙される。
【0039】
後処理装置100は、複数の綴じ手段を備えることができる。
図6は、綴じ手段として、針を用いて綴じ処理を行う針有綴じ装置(針有ステープラ)19と、針を用いないで綴じ処理を行う針無綴じ装置(針無ステープラ)26とを備える後処理装置100(本体部100a)の一例を示す平面図である。
【0040】
図6に示す後処理装置100では、針有綴じ装置19の配置された位置に対し、基準線Xaを介してY方向の他端側に針を用いないで綴じ処理を行う針無綴じ装置26が配置されている。なお、針有綴じ装置19と針無綴じ装置26との位置関係はこれに限定されず、図6に示す針有綴じ装置19の位置に針無綴じ装置26が配置され、図6に示す針無綴じ装置26の位置に針有綴じ装置19が配置される態様であってもよい。
【0041】
図6に示す後処理装置100では、ステープルモードにおいて針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26のいずれかにより綴じ処理が実施され、綴じ処理の動作は図5(A)~(F)に示した動作と同様である。
【0042】
図7に針無綴じ装置26を備える後処理装置100(本体部100a)の例を示す。
図7(A)は平面図、図7(B)はY方向から見た側面図である。
図7に示す後処理装置100では、ステープルモードにおいて針無綴じ装置26により綴じ処理が実施される。綴じ処理の動作は図5(A)~(F)に示した動作と同様である。
【0043】
図8及び9は、本発明の実施形態に係る後処理装置100を説明する図である。
図8(A)は後処理装置100の平面図、図8(B)は外観模式図であり、図9は動作説明図である。
本実施形態の後処理装置は、後処理として綴じ処理を行う装置であり、後処理手段として綴じ手段(綴じ装置)を備えている。
本実施形態の後処理装置100は、画像形成装置300から排出された用紙に対する後処理を実行する本体部100aと、マニュアル綴じ部100bとを備えている。
図8(A)中、一点鎖線Xaは、本体部100aにおいて搬送及び排紙される用紙の幅方向の中央となる基準位置を示している。
【0044】
図8及び図9に示すように、本実施形態の後処理装置100は、画像形成装置300に搭載される後処理装置100であって、画像形成装置300から排出された用紙Pを搬送する搬送手段と、外部から用紙Pが手差し挿入されるスリット部23と、搬送手段により搬送された用紙P及びスリット部23に挿入された用紙Pに後処理を後処理手段(綴じ手段:綴じ装置19)と、スリット部23の空間内を昇降移動可能に設けられ、下降によりスリット部23に挿入された用紙Pまたはスリット部23の底面23bと当接する昇降部材27と、昇降部材27を駆動する駆動手段30と、を備えている。
【0045】
図8及び図9の後処理装置100では、後処理手段として針有綴じ装置19を備える例を示しているが、綴じ装置はこれに限定されず、針無綴じ装置26であってもよく、針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26を備える態様であってもよい。
【0046】
昇降部材27が、スリット部23に挿入された用紙Pの有無及び複数の用紙からなる用紙束PSの厚さを検知するとともに、下降位置において当接した用紙P(用紙束PS)を押さえる。
昇降部材27が用紙P(用紙束PS)を押さえることにより、用紙束PSの厚み方向が整合されるとともに、後処理時における用紙P(用紙束PS)のズレが防止される。
【0047】
昇降部材27が用紙束を押さえる機能と用紙を検知する機能とを兼ね備えることで、マニュアル綴じにおける綴じ品質を損なうことなく、また綴じ処理における装置の誤作動及び誤作動による装置の破損を防止することができる。
また、昇降部材27は、綴じ処理開始前はスリット部23の空間から退避した位置にあるため、用紙束PSの手差し挿入時に用紙束PSを傷つけることがない。
【0048】
本実施形態の後処理装置100によれば、手差し挿入された用紙束PSの厚み方向の規制と厚さの検知を単一の部材(昇降部材27)で実現することができ、用紙P(用紙束PS)の損傷及び綴じ不良の発生を防止することができる。
【0049】
図8(A)に示すように、マニュアル綴じ部100bの外装25には、スリット部23に手差し挿入された用紙束PSのX方向端縁を規制するためのストッパ25a、及び用紙束PSのY方向端縁を規制するためのストッパ25bが設けられている。
用紙束PSがスリット部23に手差し挿入されたとき、X方向の綴じ手段側の先端部がストッパ25aにより衝止され、Y方向の装置内部側の先端部がストッパ25bにより衝止され、位置決めされる。
【0050】
図8(B)に示す例において、スリット部23は、排紙トレイ20と略同一平面上に用紙Pが載置されるように水平方向に対して所定角度傾斜して設けられているが、スリット部23の態様はこれに限定されず、水平に設けられていてもよい。また、スリット部23の底面23bと上面23aとが異なる角度で傾斜している態様であってもよい。
排紙トレイ20とスリット部23の位置関係は、綴じ手段が本体部100aにおける用紙束PSの綴じ処理及びマニュアル綴じ部100bにおける用紙束PSの綴じ処理のいずれも行うことができる関係であれば、特に限定されない。
【0051】
マニュアル綴じ操作は、ユーザが図8(B)に示すスタートボタン24を押下することにより開始される。
綴じ装置は、マニュアル綴じを実施するときのマニュアルステープル位置をホームポジション(HP)とすることもできる。この場合、後処理装置の電源ON後、スタートボタン24を押下することにより直ちにマニュアル綴じを行うことができる。
【0052】
図9は、後処理装置100のマニュアル綴じ部100bをY方向からみた側面図と、昇降部材27の動作説明図である。
【0053】
図9(B)、図9(D)、図9(F)に示す図は、昇降部材27を昇降移動させる機構の一例を示す説明図であり、図9(A)のX方向からみた状態を示している。
昇降部材27は、固定部材34を介してベルト33に取り付けられている。
駆動モータ30がベルトを介してギア32を回転させ、ギア32に張架されたベルト33を回転させることにより、ベルト33に取り付けられた固定部材34及び昇降部材27が移動する。
【0054】
なお、昇降部材27を昇降移動させる機構は図9に示す態様に限定されず、昇降部材27による用紙束PSの厚み方向の規制と、用紙有無及び用紙束の厚さの検知を実現可能な構成であればよい。
また、駆動モータ30とギア32とを直結した構成であってもよい。
【0055】
昇降部材27は断面が円形の柱状の部材として図示しているが、昇降部材27の形状は特に限定されず、適宜選択することができる。
ただし、昇降部材27の側面及び端面が、当接した用紙Pを損傷しない形状であることが好ましい。
【0056】
また、昇降部材27の材質は、必要な強度及び耐久性を有し、かつ当接した用紙Pを損傷しないものであれば特に限定されず、樹脂や金属等から適宜選択することができる。
【0057】
図9(A)等に示すように、スリット部23の底面23bには、下降したとき昇降部材27の下端部と嵌合する凹部31が設けられている。
凹部31は、昇降部材27の下端部が、凹部31が形成されていない他の底面部分よりも低い位置で当接することができるものであれば、その形状や深さは特に限定されず、昇降部材27の形状との関係等に応じて適宜設計することができる。
【0058】
図9(A)及び図9(B)は、綴じ動作前の待機時の状態を示している。
スタートボタン24が押下されると、駆動モータ30が回転し、ベルト33が回転し、昇降部材27がスリット部23の底面23bの方向に移動(下降)する。
【0059】
図9(C)及び図9(D)は、昇降部材27が下降している状態を示している。
用紙束がセットされている場合、昇降部材27は用紙束と当接した位置で停止する。
一方、用紙束がセットされていない場合は、昇降部材27は下降を続ける。
【0060】
図9(E)及び図9(F)は、昇降部材27が凹部31に嵌合して停止した状態を示している。
用紙束がセットされていない場合、昇降部材27は底面23bよりも下降し、下端面が凹部31と当接した位置で停止する。
【0061】
昇降部材27が用紙または凹部31に当接すると、駆動モータ30の駆動負荷が増加し、電圧値が変動する。電圧値の変動が検知されると、制御部102が駆動モータ30の回転を停止させる。これによりベルト33の回転も停止し、昇降部材27の移動も停止する。
用紙束がセットされている場合は、昇降部材27は停止した位置で用紙束を押さえた状態となるため、用紙束の厚みが規制され、またズレを生じることなく、綴じ処理不良を防止することができる。
【0062】
図10は、スリット部23に用紙束PSがセットされた状態における昇降部材27の動作を説明する図である。
図10(A)は、スリット部23に用紙束PSがセットされ、スタートボタン24が押下される前の待機時の状態を示している。
図中、スリット部23の底面23bから上面23aまでの距離(高さ)をH、セットされた用紙束PSの上端面と昇降部材27の下端面との距離をLaで示している。
【0063】
図10(B)は、図10(A)の状態からスタートボタン24が押下され、昇降部材27が下降して用紙束PSに当接し、用紙束PSを押さえた状態を示している。
図中、スリット部23の底面23bから上面23aまでの距離(高さ)をH、昇降部材27が移動した距離をMaで示している。
用紙束PSに撓み等がなく平坦であれば、Maは図10(A)に示したLaと等しい値となる。
【0064】
図10(C)は、スリット部23に撓みを有する用紙束PSがセットされ、スタートボタン24が押下される前の待機時の状態を示している。
図中、スリット部23の底面23bから上面23aまでの距離(高さ)をH、セットされた用紙束PSの上端面と昇降部材27の下端面との距離をLbで示している。
【0065】
図10(D)は、図10(C)の状態からスタートボタン24が押下され、昇降部材27が下降して用紙束PSに当接し、用紙束PSを押さえた状態を示している。
図中、スリット部23の底面23bから上面23aまでの距離(高さ)をH、昇降部材27が移動した距離をMbで示している。
用紙束PSは図10(C)に示すようにセット時に撓みを有しているが、昇降部材27が下降して押さえることにより撓みが解消する。これにより綴じ位置の厚みは整合され、綴じ不良の発生を防止することができる。
この場合、Mbは図10(C)に示したLbとは異なる値となる。
【0066】
昇降部材27は、スタートボタン24が押下された後にスリット部23の内部に下降するため、用紙束PSのセット時には障害とならず、用紙束PSを傷つけることが無い。
【0067】
本実施形態の後処理装置100は、昇降部材27の移動量により、スリット部23に挿入された用紙Pの有無及び複数の用紙からなる用紙束PSの厚さを検知することができる。
図11は、昇降部材27による用紙の有無及び用紙束の厚さ検知する動作を説明する図である。(A)、(C)及び(E)はスリット部23の側面図であり、(B)、(D)及び(F)は昇降部材27を昇降移動させる機構の一例を示す説明図である。
【0068】
図11(A)及び図11(B)は、20枚の用紙Pからなる用紙束PSの厚さT1を検知する例の説明図である。
図中、スリット部23の底面23bから上面23aまでの距離(高さ)をH、昇降部材27が移動した距離をM1で示している。
駆動モータ30がエンコーダを備えたDCモータである場合、昇降部材27の移動距離M1は、例えば、駆動モータ30の回転量に基づいて検知することができる。
検知されたM1の値と、スリット部23の高さHとの差を求めることにより、用紙束PSの厚さT1の値が得られる。
【0069】
なお、駆動モータによる昇降部材27の移動距離の検知は、上記に限定されず、例えば、DCモータの回転速度と動作時間に基づいて昇降部材27の移動距離を検知することもできる。また、ステッピングモータを用いて昇降部材27の移動距離を検知することもできる。
【0070】
図11(C)及び図11(D)は、5枚の用紙Pからなる用紙束PSの厚さT2を検知する例の説明図である。
図中、スリット部23の底面23bから上面23aまでの距離(高さ)をH、昇降部材27が移動した距離をM2で示している。
昇降部材27の移動距離M2は、上記のように駆動モータ30の回転量等に基づいて検知することができる。検知されたM2の値と、スリット部23の高さHとの差を求めることにより、用紙束PSの厚さT2の値が得られる。
【0071】
本実施形態の後処理装置100は、綴じ処理の可否を判断する制御手段(制御部102)を備えている。
制御部102は、昇降部材27により検知された用紙束PSの厚さが、綴じ処理可能な厚さ以下である場合は綴じ処理を実行し、昇降部材27により検知された用紙束PSの厚さが、綴じ処理可能な厚さを超えている場合は綴じ処理を中止する制御を行う。
【0072】
用紙束PSの厚さは、図11(A)~(D)の例において検知された用紙束PSの厚さの値を用いることができる。検知されたT1またはT2が綴じ装置の綴じ処理可能な厚さ以下であれば、綴じ処理動作を実行する。一方、検知されたT1またはT2が、綴じ装置の綴じ処理可能な厚さを超えている場合、綴じ処理動作を中止する制御を行うことにより、綴じ不良の発生を防ぐことができる。
【0073】
図11(E)及び図11(F)は、用紙がセットされていないことを検知する例の説明図である。
図中、スリット部23の底面23bから上面23aまでの距離(高さ)をH、昇降部材27が移動した距離をM3で示している。
昇降部材27の移動距離M3は、上記のように駆動モータ30の回転量等に基づいて検知することができる。
昇降部材27が用紙と当接して停止することなく凹部31まで下降することにより、検知されるM3の値はスリット部23の高さHの値よりも大きくなる。
検知されたM3の値とスリット部23の高さHとの差が負の値(H-M3<0)である場合は、スリット部23に用紙がセットされていないと判断することができる。
【0074】
用紙がセットされていないと判断された場合、制御部102は綴じ処理動作を中止する制御を行う。
【0075】
図12は、マニュアル綴じにおける後処理装置100の動作流れの一例を示すフローチャートである。
マニュアル綴じは、スタートボタン24が押下されることにより開始する。
スタートボタンがONとなった後(S1)、駆動モータ30が回転し、昇降部材27が移動(下降)する(S2)。
【0076】
駆動モータ30の駆動負荷が増加し、電圧の変動が制御部102により検知されたか否かを判断する(S3)。電圧の変動が無い場合、昇降部材27の下降を継続する。一方、電圧の変動が検知された場合は、駆動モータ30の回転を停止し(S4)、昇降部材27の移動を停止する。
【0077】
駆動モータ30の回転量等に基づいて昇降部材27の移動距離Mを検知し、Mの値とスリット部23の空間の高さHの値との差を求め、H-Mが正の値(H-M>0)であるか)を判断する(S5)。
昇降部材27の移動距離Mの値がスリット部23の高さHの値よりも大きく、H-Mが負の値となる場合は、スリット部23に用紙がセットされていないと判断し、綴じ処理を中止する(S8)。
【0078】
一方、昇降部材27の移動距離Mの値がスリット部23の高さHの値よりも小さく、H-Mが正の値である場合は、スリット部23に用紙束がセットされており、H-Mの値を用紙束の厚さであると判断する。そして検知された用紙束の厚さが綴じ処理可能な厚さであるかを判断する(S6)。用紙束の厚さが綴じ処理可能な厚さではない場合は、綴じ処理を中止する(S8)。
【0079】
一方、用紙束の厚さが、綴じ処理可能な厚さである場合は、綴じ処理を実行する(S7)。
綴じ処理実行後、昇降部材27を待機位置に戻すため、駆動モータ30の逆方向に回転させ、昇降部材27をスリット部23の上面まで移動(上昇)させる(S9)。
以上でマニュアル綴じにおける後処理装置100の動作が終了する。
【0080】
本実施形態の後処理装置100のマニュアル綴じ部100bにおいて、昇降部材27の設置数は1つに限定されず、複数設置することができる。
図13及び図14は、2つの昇降部材27が設置された例を示す図である。
図13(A)は後処理装置100の平面図、図13(B)はマニュアル綴じ部100bをY方向から見た側面図である。
【0081】
図13(A)及び図13(B)に示すように、2つの昇降部材27は、スリット部23の長手方向における両端側にそれぞれ配置されることが好ましい。このような配置とすることにより、セットされた用紙束を長手方向(図のX方向)の先端側と後端側とで押さえて安定な状態を維持することができ、綴じ不良の発生をより確実に防止することができる。
【0082】
図14は、スリット部23に用紙束PSがセットされた状態における2つの昇降部材27a、27bの動作を説明する図である。
図14(A)は、スリット部23に用紙束PSがセットされ、スタートボタン24が押下される前の待機時の状態を示している。
図中、セットされた用紙束PSの上端面と昇降部材27aの下端面との距離をLc、昇降部材27bの下端面との距離をLdで示している。
【0083】
図14(B)は、図14(A)の状態からスタートボタン24が押下され、2つの昇降部材27a、27bが下降して用紙束PSに当接した状態を示している。
図中、昇降部材27aが移動した距離をMc、昇降部材27bが移動した距離をMdで示している。
【0084】
用紙束PSに撓み等がなく、スリット部23に正しくセットされている場合、Mc及びMdは図14(A)に示したLc及びLdと等しい値となる。
一方、検知されたMcの値とMdの値とが異なる場合は、用紙束PSは正しくセットされていないと判断され、綴じ処理を中止する制御が行われる。
【0085】
スリット部23の空間は、用紙束の手差し挿入を容易にするために、綴じ装置による綴じ処理可能な厚さ以上の高さとなっている。そのため、綴じ処理対象の用紙束以外の異物がスリット部23に入り込むおそれがある。
図15は、異物の一例として操作時のユーザの手60がスリット部23に入り込んだ状態を示している。
【0086】
図15のように異物が入り込んだ状態においてスタートボタン24が押下された場合であっても、昇降手段27が異物に当接することにより、図14(B)に示した昇降部材27の移動距離McとMdとが異なる値となり、用紙束PSが正しくセットされていないと判断されるため、綴じ処理が中止される。このような制御が行われることにより安全性が確保される。
【0087】
より大きい異物やユーザの両手が入り込み、当該異物等が昇降部材27a及び昇降部材27bの双方に当接する場合も想定される。しかしながら、図14(B)に示した昇降部材27の移動距離McとMdとが同じ値とならない限り、また綴じ処理可能な厚みを超えない限り、さらにスタートボタンが押下されない限り綴じ処理は実行されないため、別途異物検知手段を設けることなく、安全性は確保される。
【0088】
本実施形態の後処理装置100は、後処理手段として針無綴じ装置26を備える構成とすることができる。
図16(A)は針無綴じ装置26を備えた後処理装置100の平面図であり、図16(B)はY方向から見た綴じ処理部100bの側面図である。
【0089】
図16に示す後処理装置100において、綴じ処理において針無し綴じを行うこと以外は、図9から図12に示す針有綴じ装置19を備える態様と同様の動作及び制御が行われる。
また、図13及び図14に示す例のように、昇降部材27を複数配置した構成とすることができる。
【0090】
本実施形態の後処理装置100は、綴じ処理の可否を判断する制御手段(制御部102)を備え、綴じ手段として綴じ処理可能な用紙束の厚さが異なる第一の綴じ装置と第二の綴じ装置、及び第一の綴じ装置と第二の綴じ装置を移動させる手段を有する構成とすることができる。
例えば、第一の綴じ装置及び第二の綴じ装置のいずれか一方を針有綴じ装置、他方を針無綴じ装置とすることができる。
【0091】
昇降部材27により検知された用紙束の厚さをT、第一の綴じ装置の綴じ処理可能な用紙束の厚さをT1、第二の綴じ装置の綴じ処理可能な用紙束の厚さをT2とし、T1>T2の関係であるとき、制御部102は、以下の判断を行う。
(1)T≦T2の場合:第一の綴じ装置及び第二の綴じ装置による綴じ処理が可能
(2)T2<T≦T1の場合:第一の綴じ装置のみ綴じ処理が可能
(3)T1<Tの場合:綴じ処理中止
【0092】
図17は、第一の綴じ装置として針有綴じ装置19を備え、第二の綴じ装置として針無綴じ装置26を備える後処理装置100の一例を示す図である。図17(A)は平面図であり、図17(B)はY方向から見た綴じ処理部100bの側面図である。
図17(A)に示すように、本実施形態の後処理装置100は、第一の綴じ装置と第二の綴じ装置を移動させる手段として可動ガイド部材29を備えている。
可動ガイド部材29に沿って針有綴じ装置19と針無綴じ装置26を移動させ、マニュアル綴じを行うための綴じ装置を入れ替えることができる。
【0093】
図17に示す後処理装置100において、昇降部材27により検知された用紙束の厚さをT、針有綴じ装置19の綴じ処理可能な用紙束の厚さをT1、針無綴じ装置26の綴じ処理可能な用紙束の厚さをT2とし、T1>T2の関係であるとき、制御部102は、T≦T2の場合は、針有綴じ装置19または針無綴じ装置26による綴じ処理を実行する制御を行い、T2<T≦T1の場合は、針有綴じ装置19による綴じ処理を実行する制御を行い、T>T1の場合は、綴じ処理を中止する制御を行う。
【0094】
例えば、針無綴じ装置26を用いてマニュアル綴じを行う設定とした場合において、セットした用紙束の厚さTがT2<T≦T1であるときは、針有綴じ装置19による綴じ処理に変更するか、綴じ処理を中止するかを選択することができる。
【0095】
図17に示す後処理装置100におけるその他の動作及び制御については、図9から図12に示す態様と同様の動作及び制御が行われる。また、図13及び図14に示す例のように、昇降部材27を複数配置した構成とすることができる。
【0096】
以上、本実施形態の後処理装置として綴じ処理を行う態様について説明したが、本発明に係る構成は、綴じ処理以外の後処理を行う後処理装置にも適用することができる。
【0097】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>画像形成装置に搭載される後処理装置において、
前記画像形成装置から排出された用紙を搬送する搬送手段と、
外部から用紙が手差し挿入されるスリット部と、
前記搬送手段により搬送された用紙及び前記スリット部に挿入された用紙に後処理を行う後処理手段と、
前記スリット部の空間内を昇降移動可能に設けられ、下降により前記スリット部に挿入された用紙または前記スリット部の底面と当接する昇降部材と、
前記昇降部材を駆動する駆動手段と、を備え、
前記昇降部材が、前記スリット部に挿入された用紙の有無及び複数の用紙からなる用紙束の厚さを検知するとともに、下降位置において当接した用紙を押さえることを特徴とする後処理装置である。
<2> 前記スリット部の底面は、下降した前記昇降部材の下端部と嵌合する凹部を有することを特徴とする前記<1>1に記載の後処理装置である。
<3> 前記昇降部材の移動量により、前記スリット部に挿入された用紙の有無及び前記用紙束の厚さを検知することを特徴とする前記<1>または<2>に記載の後処理装置である。
<4> 前記後処理手段が綴じ手段であり、
前記綴じ手段による綴じ処理の可否を判断する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記昇降部材により検知された前記用紙束の厚さが、綴じ処理可能な厚さ以下である場合は綴じ処理を実行し、前記昇降部材により検知された前記用紙束の厚さが、綴じ処理可能な厚さを超えている場合は綴じ処理を中止する制御を行うことを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の後処理装置である。
<5> 前記昇降部材が、前記スリット部の長手方向における両端側にそれぞれ配置されたことを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の後処理装置である。
<6>前記後処理手段が綴じ手段であり、
前記綴じ手段による綴じ処理の可否を判断する制御手段を備え、
前記綴じ手段として綴じ処理可能な用紙束の厚さが異なる第一の綴じ装置と第二の綴じ装置、及び前記第一の綴じ装置と前記第二の綴じ装置を移動させる手段を有し、
前記昇降部材により検知された前記用紙束の厚さをT、前記第一の綴じ装置の綴じ処理可能な用紙束の厚さをT1、前記第二の綴じ装置の綴じ処理可能な用紙束の厚さをT2とし、T1>T2の関係であるとき、
前記制御手段は、
T≦T2の場合は、前記第一の綴じ装置または前記第二の綴じ装置による綴じ処理を実行する制御を行い、
T2<T≦T1の場合は、前記第一の綴じ装置による綴じ処理を実行する制御を行い、
T>T1の場合は、綴じ処理を中止する制御を行うことを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載の後処理装置である。
<7> 前記第一の綴じ装置及び前記第二の綴じ装置のいずれか一方が針有綴じ装置であり、他方が針無綴じ装置であることを特徴とする前記<6>に記載の後処理装置である。
<8>前記<1>から<7>のいずれかに記載の後処理装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【符号の説明】
【0098】
19 綴じ手段(針有綴じ装置)
23 スリット部
23a スリット部上面
23b スリット部底面
24 スタートボタン
25 外装
26 綴じ手段(針無綴じ装置)
27 昇降部材
30 駆動モータ
31 凹部
32 ギア
33 ベルト
100 後処理装置(インナーフィニッシャー)
100a 本体部
100b マニュアル綴じ部
300 画像形成装置
P 用紙
PS 用紙束
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開2021-024678号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17