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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120551
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】穀物粒含有液状食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20240829BHJP
   A23L 35/00 20160101ALI20240829BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20240829BHJP
【FI】
A23L7/10 B
A23L35/00
A23L7/10 E
A23L29/238
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027411
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(71)【出願人】
【識別番号】523066484
【氏名又は名称】ロイヤル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小柴 春樹
(72)【発明者】
【氏名】尾家 麻里子
(72)【発明者】
【氏名】堤 英晃
【テーマコード(参考)】
4B023
4B036
4B041
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LC07
4B023LE19
4B023LE30
4B023LG01
4B023LK05
4B023LK08
4B023LK16
4B023LK20
4B023LL01
4B023LP07
4B023LP13
4B023LP15
4B023LP19
4B023LP20
4B036LC01
4B036LC05
4B036LE05
4B036LF15
4B036LF19
4B036LH13
4B036LH22
4B036LH37
4B036LH39
4B036LK01
4B036LP01
4B036LP17
4B036LP19
4B036LP24
4B041LC03
4B041LD01
4B041LD10
4B041LH07
4B041LK23
4B041LK36
4B041LK50
4B041LP01
4B041LP02
4B041LP16
4B041LP18
(57)【要約】
【課題】特に冷蔵又は冷凍状態で長期間保存した後に食する場合でも、保存中に穀物粒が吸水して柔らかくなりすぎたり崩壊することが防止されて、粒感を伴う流動感のある良好な食感を有し、しかも簡便に喫食可能とすることができる、穀物粒含有液状食品を提供すること。
【解決手段】液状部100質量部と、穀物粒50~600質量部とを含有し、該液状部がグァーガム分解物を0.1~10質量%含む、穀物粒含有液状食品。該穀物粒含有液状食品は、冷蔵又は冷凍保存用食品に好適である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状部100質量部と、穀物粒50~600質量部とを含有し、該液状部がグァーガム分解物を0.1~10.0質量%含む、穀物粒含有液状食品。
【請求項2】
冷蔵又は冷凍保存用食品である、請求項1記載の液状食品。
【請求項3】
粥、おじや、雑炊、リゾットのいずれかである、請求項1又は2記載の液状食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物粒を含む液状食品に関する。
【背景技術】
【0002】
粥、おじや、雑炊、リゾット等の、穀物粒を含む液状食品(穀物粒含有液状食品)は、流動性のある食品であり、穀物粒に由来する澱粉によりねっとりとした液状部の流動状の食感と、穀物粒の粒感とを同時に楽しめる食品である。穀物粒含有液状食品は、含まれる穀物粒が、十分にふやけていて柔らかく、また消化性が高いため、高齢者や若齢者による喫食にも適している。このような穀物粒含有液状食品は、未調理の穀物粒又は炊飯した穀物粒を液状部と混合し、加熱調理することで製造されるが、製造に手間がかかるため多忙な場合には敬遠される傾向がある。
【0003】
そのため、予め穀物粒含有液状食品を多量に製造し、これを1食ごとに個別に保存しておくことが望まれる場合がある。しかしながら、穀物粒を液体成分と一緒に保存すると、穀物粒が吸水して柔らかくなりすぎてしまい、粒感が感じられなくなる場合や、粒が崩壊してしまう場合がある。特に、数℃の冷蔵温度や0℃以下の冷凍温度で保存する場合は、この傾向が顕著である。穀物粒が吸水しないようにするために、液体成分に増粘剤や澱粉を加えて粘性を増加させる場合があるが、この場合、液状食品がべとついたり、ぼってりとした食感となり、流動感がある口当たりが失われる傾向がある。
【0004】
特許文献1には、生米を食用油脂で炒める工程、炒めた米にブイヨンを加えて加熱して半調理する工程、並びに半調理した米をゼラチン及び加工澱粉を含むゲル状ブイヨン中で冷凍する工程により製造されたリゾットが記載されており、このリゾットは解凍後に加熱しても食感が良好であると記載されている。特許文献2には、イネ科穀物粒と、地上系澱粉由来の架橋澱粉と、地下系澱粉由来のエステル化澱粉及びエーテル化澱粉からなる群より選択される1種以上とを含有する液状食品が記載されており、この液状食品はベタつきやぬめりがなく、また冷凍後に再加熱したときの液状食品の流動性低下や離水を抑えることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-11791号公報
【特許文献2】国際公開2020/045606号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、特に冷蔵又は冷凍状態で長期間保存した後に食する場合でも、保存中に穀物粒が吸水して柔らかくなりすぎたり崩壊することが防止されて、粒感を伴う流動感のある良好な食感を有し、しかも簡便に喫食可能な状態とすることができる、穀物粒含有液状食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、穀物粒を含有する液状食品にグァーガム分解物を配合することにより、保存中に穀物粒が過度に吸水することを防止することができ、穀物粒の粒感と液状部の口当たりを維持することができることを見出した。
【0008】
本発明は、液状部100質量部と、穀物粒50~600質量部とを含有し、該液状部がグァーガム分解物を0.1~10.0質量%含む、穀物粒含有液状食品を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特に冷蔵又は冷凍状態で長期間保存した後に食する場合でも、保存中に穀物粒が吸水して柔らかくなりすぎたり崩壊することが防止されて、粒感を伴う流動感のある良好な食感を有する、穀物粒含有液状食品を提供することができる。しかも、この穀物粒含有液状食品は、冷蔵又は冷凍状態で保存した後、電子レンジ等で再加熱することにより、簡便に喫食可能な状態とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、米、大麦、アワ等の穀物粒を含有する液状食品を提供する。より詳細には、本発明の液状食品は、穀物粒を含む固形部と、グァーガム分解物を含む液状部とからなる液状食品である。
【0011】
本明細書において、固形部とは、本発明の液状食品における液状部以外の部分をいう。具体的には、液状食品を20℃にて目開き2.0mmの篩に通し、5分間静置した後も篩上に残る部分を固形部、篩を通過した部分を液状部とする。従って、穀物粒を原材料とする成分であっても、この定義で固形部にならないもの、例えば穀物粉は、本発明でいう穀物粒ではなく、液状部の成分として扱う。
【0012】
また、上述の手順で篩を使って液状食品を分画することにより得られた固形部は、後述の具材を含んでいない場合は、該固形部そのものを、該液状食品中に含まれる穀物粒とみなす。分画により得られた固形部が具材を含んでいる場合は、該固形部から具材を取り除くことにより穀物粒のみの状態とし、この穀物粒を該液状食品中に含まれる穀物粒とみなす。従って、本発明の液状食品中に含まれる穀物粒は、含水状態にある炊飯物であり、後述する液状部に使用された他の材料に由来する成分や固形部中の具材に由来する成分を吸収して含んでいる場合がある。
【0013】
本発明の液状食品の固形部に含まれる穀物粒は、食用のイネ科穀物の穀粒であればよい。穀物粒の好ましい例として、米、大麦(裸麦、もち麦を含む)、ハト麦、エン麦、アワ、ヒエ、キビ、ソルガム等が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、風味及び食感の点で、米及び/又は大麦を用いることがより好ましい。本発明の液状食品に含まれる穀物粒は、固形部として含有されている限り、全粒であっても、分割した物や圧偏した物であってもよい。
【0014】
本発明の液状食品における穀物粒の含有量は、湿重量基準で、該液状食品の液状部100質量部に対して、50~600質量部、好ましくは100~500質量部、より好ましくは200~400質量部である。穀物粒の含有量が少ない場合、本発明の液状食品において粒感が充分に得られないことがある。一方で、穀物粒の含有量が多すぎると、穀物粒同士が接着して団子状になる場合がある。尚、ここでいう穀物粒の「湿重量」は、上述の手順で篩を使って液状食品を固形部と液状部とに分画することにより得た(該固形部に具材が含まれている場合は、さらに該固形部から具材を取り除くことにより得た)含水状態の穀物粒の重量を意味する。
【0015】
本発明の液状食品には、固形部として、上述した穀物粒以外に具材が含まれていてもよい。具材の例としては、穀物粒以外の食材であれば特に限定されず、肉類、魚介類、野菜類、イモ類、キノコ類、豆類、木の実類、果実類、卵等、液状食品に適用し得る食材が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具材の種類、大きさ及び形状は、液状食品の種類に応じて適宜選択することができる。
【0016】
本発明の液状食品における具材の含有量は、液状食品の種類に応じて適宜選択すればよく、特に制限されるものではないが、具材が多すぎると穀物粒の粒感が感じられにくくなる場合があるため、湿重量基準で、液状食品の液状部100質量部に対して、好ましくは500質量部以下、より好ましくは400質量部以下である。具材を含有する場合、具材の風味や食感を十分得られるようにする観点からは、具材の含有量は、湿重量基準で、液状食品の液状部100質量部に対して、好ましくは10質量部以上である。尚、ここでいう具材の「湿重量」は、上述の手順で篩を使って液状食品を固形部と液状部とに分画した後、該固形部から取り出した、含水状態の具材の重量を意味する。
【0017】
本発明の液状食品に含まれる液状部は、グァーガム分解物を含有する。グァーガムは、グァー豆から精製して得られる食物繊維であり、増粘剤として食品に利用されている。グァーガム分解物は、グァーガムを酸処理又は酵素処理によって分解処理したもので、一般に分子量は3000~25000ダルトンの範囲である。グァーガム及びグァーガム分解物は、水溶性の食物繊維であり、腸内細菌に資化されて短鎖脂肪酸やオリゴ糖を産生するため、その健康機能性が注目されている。グァーガム分解物は、市販されており、サンファイバーR(太陽化学株式会社)、ニチガグアーガム分解物(日本ガーリック株式会社)、アイソカル(登録商標)ファイバー(ネスレ株式会社)等の製品を利用することができる。
【0018】
本発明の液状食品において、液状部はグァーガム分解物を0.1~10.0質量%、好ましくは0.5~7.5質量%、より好ましくは1.0~5.0質量%含む。0.1質量%未満では本発明で意図する効果が十分に得られず、10.0質量%を超えると液状食品がべとついた食感になる場合がある。
【0019】
本発明の液状食品の液状部は、グァーガム分解物に加えて、通常の液状食品に使用される他の材料、例えば、水、出汁、フォン、卵、油脂、食材(肉、野菜、豆類、果実等)のペースト又はピューレ状物、穀粉、澱粉、塩、糖類、醤油、酢、ブイヨン、コンソメ、その他調味料、及び必要に応じて酸味料、乳化剤、増粘剤、安定剤、着色料等の通常の食品添加物等を含有していてもよい。使用する他の材料の種類及び量は、液状食品の種類に応じて適宜選択することができる。
【0020】
本発明の液状食品は、穀物粒を含む液状の食品であればよく、その種類としては、例えば、粥類、スープ、ソース等が挙げられるが、これらに限定されない。該液状食品が粥類である場合、その例としては、粥、おじや、雑炊、リゾット等が挙げられる。該液状食品がスープである場合、その例としては、みそ汁、だし汁、つゆ、チャウダー、ミネストローネ、フォンデュ、サンラータン、ファッチョーチュン、トムヤムクン等が挙げられる。該液状食品がソースである場合、その例としては、ホワイトソース、クリームソース、カルボナーラソース、オイルソース、トマトソース、バターソース、醤油ソース等が挙げられる。これらの中では、液状部を多く含みながら穀物粒の食感と口当たりを享受しやすい点で、粥類が好ましい。粥類は、典型的には、液状部100質量部に対し穀物粒を50~300質量部程度含むことができる。
【0021】
粥類についてさらに説明する。
粥は、生の(未調理の)穀物粒を、通常の炊飯より多めの水又は出汁等で炊いたものである。水で炊いた穀物粒を、再度水で炊いたものも、粥に包含される。
雑炊は、水で炊いた穀物粒を、水で洗ってぬめりを落とした後、出汁又はスープ等で煮込んだものである。
おじやは、水で炊いた穀物粒を、水で洗わずにそのまま、出汁又はスープ等で煮込んだものである。水で炊いた穀物粒を、煮込む前に洗っていないため、一般的におじやはぬめりがある。
リゾットは、生の穀物粒を油で炒めた後、通常の炊飯より多めの出汁又はスープ等で煮込んだものである。
いずれの場合も、必要に応じて、任意の段階で具材を加えてもよい。
【0022】
本発明の液状食品は、20℃における液状部の粘度が100~5000mPa・sであると、穀物粒の分散性の点で好ましい。穀物粒に由来する澱粉等の成分が該液状食品の粘性に影響することがあるため、含有させる穀物粒の種類や量に合わせて、該液状部の粘度を調節することが好ましい。尚、本発明における液状部の粘度は、JIS Z 8803「液体の粘度-測定方法」に準拠し、B型粘度計で測定した値である。
【0023】
好ましくは、本発明の液状食品は、冷蔵又は冷凍保存用食品である。本発明の液状食品は、冷蔵又は冷凍保存後に再加熱しても、穀物粒が吸水して柔らかくなりすぎたり崩壊することが少なく、穀物粒の粒感を伴う流動感のある良好な口当たりを呈することができる。また、本発明の液状食品は、冷蔵又は冷凍保存後に、電子レンジ等で再加熱することにより、簡便に喫食可能な状態とすることができる。
【0024】
本発明の液状食品は、通常の液状食品の製造方法に準じて製造することができる。また、液状食品の製造中、どのタイミングでグァーガム分解物を添加するかについても、特に制限はない。例えば、水に未調理の穀物粒を入れて加熱しながらグァーガム分解物及び調味料等を加えて、穀物粒が分散した液状部とし、必要に応じて別途調理した具材を加えることにより、本発明の液状食品を製造することができる。あるいは、予め穀物粒を除く液状部(グァーガム分解物を含み、必要に応じて具材を加えてもよい)を調製し、ここに、(i)未調理の穀物粒を加えて加熱調理して製造するか、又は(ii)別途調製した加熱調理済みの穀物粒を加えてよく混合して製造してもよい。
【0025】
尚、下記実施例では、通常の製造方法により製造した粥を、一旦、液状部と固形部とに分画し、該液状部にグァーガム分解物を添加し、グァーガム分解物を含む液状部を固形部と再度混合するという手順をとっているが、これは、液状部、穀物粒及びグァーガム分解物の含有量並びに液状部の粘度を確認するためである。本発明に係る液状部、穀物粒及びグァーガム分解物の含有量等を満たすように上述した通常の製造方法に準じて本発明の液状食品を製造するために必要な製造条件(各種原料の使用量、加熱条件等)が、例えば試作により予め分かっていれば、下記実施例のような手順を必ずしもとる必要はない。
【実施例0026】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等によって何ら限定されるものではない。
【0027】
(実施例1~8、比較例1~2)粥の製造
生米を水研ぎ後、ざるにあげて水切りした。鍋に鶏出汁を張り、水切りした生米を加えて鍋を火にかけて沸騰するまで強火で、沸騰後は中火にして、沸騰してから20分間加熱して鶏粥を調製した。この鶏粥を、20℃で、受け容器に載せた目開き2.0mmの篩の上に100g置いて5分間静置して分画し、受け容器に落ちた液状部と篩上に残った穀物粒としての米(固形部)を得た。
次に、得られた液状部に、表1に記載の量のグァーガム分解物(サンファイバーR;太陽化学株式会社)を加えてよく撹拌して溶解させた。得られたグァーガム分解物を含む液状部の粘度を20℃においてB型粘度計で測定したところ、グァーガム分解物の量によって300~2800mPa・sの範囲内であった。その後、グァーガム分解物を含む液状部100質量部と、分画により得られた米(固形部)200質量部を混合して、液状食品(鶏粥)を得た。
【0028】
(試験例1)
製造した粥を1食(40g)毎に容器に取り分け、10名の訓練された専門パネラーに喫食してもらい、粥の品質として穀物粒の粒感及び粥の口当たりを下記の基準で評価した。その結果を10名の平均点として表1に示す。
【0029】
(試験例2)
製造した粥を1食(40g)毎に容器に取り分け、包装フィルムで覆い、-20℃で急速冷凍した。-20℃の冷凍庫で1週間保管した後、冷凍庫から取り出して電子レンジ(500W)で1分20秒間加熱した。その品質を試験例1と同様に評価した。その結果を10名の平均点として表1に示す。
【0030】
<穀物粒の粒感の評価基準>
5:穀物粒の粒感が十分に感じられ、非常に良好
4:穀物粒の粒感が感じられ、良好
3:穀物粒の粒感にやや物足りないが、許容範囲
2:穀物粒の粒感があまり感じられず、不良
1:穀物粒の粒感が全く感じられず、非常に不良
<口当たりの評価基準>
5:べとつきがなく滑らかな流動感のある口当たりが感じられ、非常に良好
4:べとつきがわずかにあるが、流動感のある口当たりが感じられ、非常に良好
3:べとつきがややあって流動感にやや物足りないが、許容範囲
2:べとつきが感じられ、流動感のある口当たりが感じられにくく、不良
1:べとつき又はぼってりとした塊感が感じられ、流動感が感じられず、非常に不良
【0031】
【表1】
【0032】
(実施例9~15、比較例3~4)
液状部と穀物粒としての米(固形部)との混合量を表2のように変更した以外は、実施例4と同様にして粥を製造し、試験例1、2と同様にして評価した。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
(実施例15)鮭粥の製造
生米を水研ぎ後、ざるにあげて水切りした。鍋にカツオ出汁を張り、水切りした生米を加えて鍋を火にかけて沸騰するまで強火で、沸騰後は中火にして、沸騰してから20分間加熱して鮭粥を調製した。この鮭粥を、20℃で、受け容器に載せた目開き2.0mmの篩の上に100g置いて5分間静置して分画し、受け容器に落ちた液状部と篩上に残った穀物粒としての米(固形部)を得た。
次に、得られた液状部に、液状部中で1.5質量%となるようグァーガム分解物(サンファイバーR;太陽化学株式会社)を加えてよく撹拌して溶解させた。得られたグァーガム分解物を含む液状部の粘度を20℃においてB型粘度計で測定したところ、800mPa・sであった。その後、グァーガム分解物を含む液状部100質量部と、分画により得られた米(固形部)50質量部と、焼き鮭のほぐし身30質量部を混合して、液状食品(鮭粥)を製造した。
この鮭粥は、米の粒感と液状部の滑らかな口当たりがよく感じられ、また焼き鮭の風味ともよくマッチしており、非常に美味であった。
【0035】
(実施例16)リゾットの製造
鍋にオリーブオイルと生米を入れて火にかけ、中火で加熱しながら且つ米全体に油が付着するように撹拌しながら5分間炒めた。ここに別に95℃に加熱しておいたブイヨンを加え、20分間加熱した。20分間加熱後、バターとチーズを加えて全体に撹拌して均一にし、さらに塩で味を整えてリゾットを製造した。このリゾットを、20℃で、受け容器に載せた目開き2.0mmの篩の上に100g置いて5分間静置して分画し、受け容器に落ちた液状部と篩上に残った穀物粒としての米(固形部)を得た。
次に、得られた液状部に、液状部中で1.5質量%となるようグァーガム分解物(サンファイバーR;太陽化学株式会社)を加えてよく撹拌して溶解させた。得られたグァーガム分解物を含む液状部の粘度を20℃においてB型粘度計で測定したところ、2300mPa・sであった。その後、グァーガム分解物を含む液状部100質量部と、分画により得られた米(固形部)500質量部を混合して、液状食品(リゾット)を製造した。
このリゾットを-20℃に冷凍し、2週間冷凍保存後に電子レンジで加熱して喫食したところ、米の粒感と液状部の滑らかな口当たりがよく感じられ、非常に美味であった。