(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120636
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】電子機器冷却システム及び電子機器冷却方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20240829BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20240829BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240829BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G06F1/20 C
F28D15/02 L
F28D15/02 E
F25B1/00 399Y
H05K7/20 H
G06F1/20 A
G06F1/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027559
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】北山 英博
(72)【発明者】
【氏名】吉本 靖史
(72)【発明者】
【氏名】寒河江 良一
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】仲村 直子
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322BB03
5E322EA11
5E322FA01
(57)【要約】
【課題】収容部における電子機器の処理能力の増強、高スペック化に対応できる高効率な冷却、及び1つ以上の冷却部の省スペース化が可能な電子機器冷却システムを提供する。
【解決手段】電子機器冷却システム1は、冷却装置で冷却された1つの二次冷媒を用いた電子機器冷却システムであって、互いに異なる複数の冷却方式の冷却部35,45,55,65のうち、1つ以上の冷却部35,45,55,65に二次冷媒Rを供給し、1つ以上の冷却部35,45,55,65により、収容部100内に配置された電子機器110を冷却する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却装置で冷却された1種類の二次冷媒を用いた電子機器冷却システムであって、
互いに異なる複数の冷却方式の冷却部のうち、1つ以上の前記冷却部に前記二次冷媒を供給し、前記1つ以上の冷却部により、収容部内に配置された電子機器を冷却する、電子機器冷却システム。
【請求項2】
前記二次冷媒を蓄えるレシーバと、
前記1つ以上の冷却部と前記レシーバとをそれぞれ接続し、内部で前記二次冷媒が搬送される環状の1つ以上の配管と、
を備え、
前記レシーバは、前記1つ以上の冷却部よりも上方に配置されている、請求項1に記載の電子機器冷却システム。
【請求項3】
前記二次冷媒は、オゾン層破壊係数が0であり地球温暖化係数が10未満のグリーン冷媒である、請求項1又は2に記載の電子機器冷却システム。
【請求項4】
前記グリーン冷媒が前記1つ以上の冷却部から漏れたときの、前記電子機器への影響、及び前記電子機器冷却システムの周辺の環境への影響を最小限にした、請求項3に記載の電子機器冷却システム。
【請求項5】
前記1つ以上の冷却部の一つは、前記二次冷媒により前記電子機器を直接冷却する直接冷却部である、請求項1又は2に記載の電子機器冷却システム。
【請求項6】
前記冷却装置を備え、
前記冷却装置は、
一次冷媒を冷却する一次冷却部と、
前記一次冷媒により前記二次冷媒を冷却する熱交換部と、
を有する、請求項1又は2に記載の電子機器冷却システム。
【請求項7】
冷却された水とは異なり、前記水の熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力に比べて、前記二次冷媒の熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力が大幅に増強された、請求項1又は2に記載の電子機器冷却システム。
【請求項8】
冷却された水の単位流量当たりの冷凍能力に比べて、前記二次冷媒の単位流量当たりの冷凍能力が大幅に増強され、配管設備及び建築のコストダウンが可能な、請求項1又は2に記載の電子機器冷却システム。
【請求項9】
冷却された水の搬送に要する動力に比べて、前記二次冷媒の搬送に要する動力が低減され、省エネルギーな、請求項1又は2に記載の電子機器冷却システム。
【請求項10】
冷却装置で冷却された1種類の二次冷媒を用いた電子機器冷却方法であって、
互いに異なる複数の冷却方式の冷却部のうち、1つ以上の前記冷却部に前記二次冷媒を供給し、前記1つ以上の冷却部により、収容部内に配置された電子機器を冷却する冷却工程を行う、電子機器冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器冷却システム及び電子機器冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界のデータ通信量は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)やIoT(Internet of Things:物のインターネット)、自動運転、クラウドビジネス等の新しい通信情報技術の発展に伴い、企業や一般消費者向けのコンテンツやスマートホンの普及等により急速に拡大している。データ通信量の増加により、膨大なデータの蓄積・演算処理を行うサーバ(電子機器)を有するデータセンター(収容部)の需要も増大している(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
一方で、電力供給、ネットワーク、遅延(レイテンシ)、自然災害リスク等を様々な設置条件から、データセンターの建設場所が限定される傾向にある。このデータセンターの需要増加に対し、サーバ台数の増加、処理能力の増強、高スペック化により更なる消費電力量の増化が見込まれている中で、より有効な設備が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-193245号公報
【特許文献2】特許第6292834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のデータセンターには、サーバからの発熱を除去し最適な温湿度環境を作る為に、空冷式冷却設備や水冷式冷却設備と除湿機(冷却部)を有する電子機器冷却システムが一般的に用いられる。これらの設備のままでは、今後の需要増加に対しては、データセンターの内外により広い設置スペースを必要とする。電子機器冷却システムは、消費電力の増加、はたまた処理能力の増強や高度処理化に合致しづらくなっている。
【0006】
空冷式冷却設備の場合、室内にはサーバ本体だけでなく冷却設備を敷設する為に広いスペースを要する事や、エネルギーを大量に消費する事、冷媒(二次冷媒)が漏洩した場合に冷媒の圧力や冷媒に含まれる冷凍機油によるサーバの破損、漏洩した冷媒による地球温暖化の問題がある。
また水冷式冷却設備の場合は、データセンター内に冷水の分配器が必要となり、冷水系統を引き回すための水配管も膨大となる為、広い室内スペースを有する事と、室外に冷却設備を設置するスペースを要する。また、冷媒漏洩時の温暖化影響と、冷水が漏れた場合のサーバ破損等の影響がある。更に、災害等により冷却設備が稼働できない状態となった場合には、冷却が継続できず、サーバがオーバーヒートする等の課題がある。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、収容部における電子機器の処理能力の増強、高スペック化に対応できる高効率な冷却、及び1つ以上の冷却部の省スペース化が可能な電子機器冷却システム及び電子機器冷却方法を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、冷却装置で冷却された1種類の二次冷媒を用いた電子機器冷却システムであって、互いに異なる複数の冷却方式の冷却部のうち、1つ以上の前記冷却部に前記二次冷媒を供給し、前記1つ以上の冷却部により、収容部内に配置された電子機器を冷却する、電子機器冷却システムである。ここで言う互いに異なる複数の冷却方式とは、例えば水冷方式である直接電子機器冷却方式、例えば空冷方式である間接電子機器冷却方式、除湿方式等のことを意味する。
【0009】
この発明では、電子機器冷却システムにおいて、冷却装置で冷却された1種類の二次冷媒を用いる。そして、互いに異なる複数の冷却方式の冷却部のうち、1つ以上の冷却部に二次冷媒を供給する。そして、この1つ以上の冷却部により、収容部内に配置された電子機器を冷却する。
従って、電子機器の仕様に応じて、二次冷媒が供給される1つ以上の冷却部の数を増やしたり、冷却部1つ当たりの冷却能力を増やしたりという調整等ができる。このため、収容部における電子機器の処理能力の増強、高スペック化に対応できる高効率な冷却に対応することができる。
【0010】
例えば、複数の冷却方式として、水冷方式である直接電子機器冷却方式を用いた場合には、冷却に二次冷媒の蒸発潜熱を利用できる。これにより、電子機器の熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力を飛躍的に上昇させることができることから、処理能力の増強、高スペック化に対応することができる。
また、1つ以上の冷却部用の1種類の二次冷媒を、冷却装置でまとめて冷却することができるため、1つ以上の冷却部を省スペース化することができる。
【0011】
また、例えば、二次冷媒としてグリーン冷媒を用いることにより、グリーン冷媒の漏洩時に、電子機器に与える損傷を抑制することができる。
【0012】
(2)本発明の態様2は、前記二次冷媒を蓄えるレシーバと、前記1つ以上の冷却部と前記レシーバとをそれぞれ接続し、内部で前記二次冷媒が搬送される環状の1つ以上配管と、を備え、前記レシーバは、前記1つ以上の冷却部よりも上方に配置されている、(1)に記載の電子機器冷却システムであってもよい。
【0013】
この発明では、例えば、二次冷媒に、水とは異なり、低い温度で蒸発する冷媒を用いる。レシーバに蓄えられた液相の二次冷媒は、1つ以上の配管内を通して複数の冷却部に向かって下方に流れる。1つ以上の冷却部を冷却した二次冷媒は、電子機器が発した熱を吸収し、1つ以上の冷却部内で蒸発して気相の二次冷媒となる。気相の二次冷媒は液相の二次冷媒のよりも密度が小さいため、1つ以上の配管内を通してレシーバに向かって上方に流れ、レシーバに戻る。このため、ポンプのような二次冷媒を駆動する駆動源を用いることなく、いわゆるフリークーリングにより、二次冷媒で1つ以上の冷却部を冷却することができる。
レシーバ内における二次冷媒の圧力が上昇した場合には、フリークーリングができなくなるため、レシーバから徐々に二次冷媒をパージし減圧することで、レシーバ内の圧力を下げて冷却を維持することができる。
従って、電子機器冷却システムに電力が供給できなくなった場合でも、電子機器を冷却することができる。
【0014】
(3)本発明の態様3は、前記二次冷媒は、オゾン層破壊係数が0であり地球温暖化係数が10未満のグリーン冷媒である、(1)又は(2)に記載の電子機器冷却システムであってもよい。
この発明では、オゾン層を破壊する虞が無く、地球を温暖化する虞が比較的少ないグリーン冷媒を、二次冷媒に用いることができる。
【0015】
(4)本発明の態様4は、前記グリーン冷媒が前記1つ以上の冷却部から漏れたときの、前記電子機器への影響、及び前記電子機器冷却システムの周辺の環境への影響を最小限にした、電子機器冷却システムであってもよい。
この発明では、グリーン冷媒が前記1つ以上の冷却部から漏れたときの、前記電子機器への影響、及び前記電子機器冷却システムの周辺の環境への影響を最小限に抑えることができる。
【0016】
(5)本発明の態様5は、前記1つ以上の冷却部の一つは、前記二次冷媒により前記電子機器を直接冷却する直接冷却部である、(1)から(4)のいずれか一に記載の電子機器冷却システムであってもよい。
この発明では、直接冷却部により、二次冷媒を用いて、電子機器を直接かつ効果的に冷却することができる。
【0017】
(6)本発明の態様6は、前記冷却装置を備え、前記冷却装置は、一次冷媒を冷却する一次冷却部と、前記一次冷媒により前記二次冷媒を冷却する熱交換部と、を有する、(1)から(5)のいずれか一に記載の電子機器冷却システムであってもよい。
この発明では、例えば、一次冷媒を冷却する際に、圧縮機用の潤滑油を用いる場合であっても、この潤滑油は、熱交換部までは流れるが、二次冷媒とともには流れない。従って、仮に、収容部内において複数の冷却部のいずれかから二次冷媒が漏れた場合でも、潤滑油が電子機器に付着することを防止することができる。
【0018】
(7)本発明の態様7は、冷却された水とは異なり、前記水の熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力に比べて、前記二次冷媒の熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力が大幅に増強された、(1)から(6)のいずれか一に記載の電子機器冷却システムであってもよい。
この発明では、水の熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力に比べて、二次冷媒の熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力を大幅に増強させることができる。
【0019】
(8)本発明の態様8は、冷却された水の単位流量当たりの冷凍能力に比べて、前記二次冷媒の単位流量当たりの冷凍能力が大幅に増強され、配管設備及び建築のコストダウンが可能な、(1)から(7)のいずれか一に記載の電子機器冷却システムであってもよい。
この発明では、冷却された水の単位流量当たりの冷凍能力に比べて、二次冷媒の単位流量当たりの冷凍能力が大幅に増強され、配管設備及び建築をコストダウンすることができる。
【0020】
(9)本発明の態様9は、冷却された水の搬送に要する動力に比べて、前記二次冷媒の搬送に要する動力が低減され、省エネルギーな、(1)から(7)のいずれか一に記載の電子機器冷却システムであってもよい。
この発明では、冷却された水の搬送に要する動力に比べて、二次冷媒の搬送に要する動力が低減され、省エネルギーにすることができる。
【0021】
(10)本発明の態様10は、冷却装置で冷却された1種類の二次冷媒を用いた電子機器冷却方法であって、互いに異なる複数の冷却方式の冷却部のうち、1つ以上の前記冷却部に前記二次冷媒を供給し、前記1つ以上の冷却部により、収容部内に配置された電子機器を冷却する冷却工程を行う、電子機器冷却方法である。
【0022】
この発明では、電子機器冷却方法において、冷却装置で冷却された1種類の二次冷媒を用いる。そして、冷却工程において、互いに異なる複数の冷却方式の冷却部のうち、1つ以上の冷却部に二次冷媒を供給し、この1つ以上の冷却部により、収容部内に配置された電子機器を冷却する。
従って、電子機器の仕様に応じて、二次冷媒を供給する1つ以上の冷却部の数を増やしたり、冷却部1つ当たりの冷却能力を増やしたりという調整等ができる。このため、収容部における電子機器の処理能力の増強、高スペック化に対応できる高効率な冷却に対応することができる。また、1つ以上の冷却部用の1種類の二次冷媒を、冷却装置でまとめて冷却することができるため、1つ以上の冷却部を省スペース化することができる。
【0023】
従来の冷水方式とは異なり、例えば、二次冷媒の潜熱を用いることで、二次冷媒の熱交換面の単位面積当たりの冷却能力が飛躍的に向上する。これにより、今までの常識を覆すことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の電子機器冷却システム及び電子機器冷却方法では、収容部における電子機器の処理能力の増強、高スペック化に対応できる高効率な冷却、及び1以上の冷却部を省スペース化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態の電子機器冷却システムにおける概略構成を示す側面視した断面図である。
【
図2】同電子機器冷却システムの直接冷却部の断面図である。
【
図3】同電子機器冷却システムの変形例における直接冷却部の断面図である。
【
図4】従来の電子機器冷却システムにおける概略構成を示す平面視した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る電子機器冷却システム及び電子機器冷却方法の一実施形態を、
図1から
図4を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の電子機器冷却システム1(以下では単に、システムとも言う)は、データセンターである建築物(収容部)100に設置して用いられる。
例えば、建築物100は、1階建てであり(1の層を有し)、全体として箱状に形成されている。建築物100は、床101と、複数の側壁102と、天井103と、を備える。床101、複数の側壁102、及び天井103は、それぞれ平板状に形成されている。
【0027】
床101は、水平面に沿って延び、基礎等の支持部(不図示)上に、固定されている。
複数の側壁102は、床101の外周縁から上方に向かってそれぞれ延びている。
天井103は、床101に対向するように、床101よりも上方に配置されている。天井103は、複数の側壁102の上端部にそれぞれ接合されている。
建築物100内には、複数のサーバ(電子機器)110が配置されている。
図2に示すように、サーバ110は、CPU(Central Processing Unit)111等を備えている。CPU111は、演算処理を行う際に熱を発する。
なお、建築物100内に配置されているサーバ110の数は、1つでもよい。
【0028】
図1に示すように、この例では、建築物100は、天井103よりも上方に配置された支持台106を備える。支持台106は、天井103に固定されている。
なお、建築物の構成はこれに限定されず、例えば、建築物は複数の層を有する複数階建てであってもよい。
以下の例では、例えば、サーバ110の使用者が、サーバ110を冷却する互いに異なる複数の冷却方式の冷却部として、後述する直接冷却部35、第1間接冷却部45、第2間接冷却部55、及び除湿部65を選択した場合について説明する。
【0029】
システム1は、後述する冷却装置10で冷却された1種類の二次冷媒を用いている。システム1は、冷却装置10と、レシーバ(受液器)30と、直接冷却部(冷却部、水冷式冷却設備)35と、第1間接冷却部(冷却部、空冷式冷却設備)45と、第2間接冷却部(冷却部)55と、除湿部(冷却部、除湿機)65と、制御部70と、を備える。冷却装置10は、一次冷却部11と、熱交換部16と、二次配管21と、を有する。
一次冷却部11で冷却される一次冷媒(冷却媒体)としては、グリーン冷媒(自然冷媒、HFO冷媒)やHFC冷媒等、冷媒に限定されず用いることができる。
一次冷却部11は、冷却ユニット12と、一次配管13と、を有する。冷却ユニット12の冷却方式は、限定されない。例えば、冷却ユニット12は、図示しない圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を有する。一次配管13は、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を順次接続している。
【0030】
圧縮機は、一次冷媒を圧縮し、比較的高温かつ比較的高圧の一次冷媒にする。なお、圧縮機内には潤滑油(冷凍機油)が収容され、一次冷媒は潤滑油とともに一次冷却部11内を流れる。
凝縮器は、圧縮機から吐出された一次冷媒を冷却して凝縮させ、比較的低温かつ比較的高圧の一次冷媒にする。膨張装置は、凝縮器から流れ出た一次冷媒を膨張させ、比較的低温かつ比較的低圧の一次冷媒にする。この一次冷媒は、一次配管13により搬送されて冷却ユニット12から流れ出し、熱交換部16に流れ込む。
後述するように、熱交換部16は一次冷媒を加熱して蒸発させ、気相の一次冷媒にする。熱交換部16から流れ出た一次冷媒は、一次配管13により搬送されて冷却ユニット12の圧縮機に流れ込む。
【0031】
二次配管21内を流れる二次冷媒(冷媒)としては、グリーン冷媒Rが用いられる。ここで言うグリーン冷媒Rとは、オゾン層破壊係数(ODP:Ozone Depletion Potential)が0であり、かつ地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が10未満の冷媒を意味する。グリーン冷媒Rは、空気調和装置に最適な温度帯(5℃以上15℃以下位)に沸点を持つ冷媒であることが好ましい。更に、グリーン冷媒Rは、常温での圧力が高すぎず(1MPa以下程度)で可燃性がない冷媒であることが好ましい。
なお、グリーン冷媒Rは、二次配管21内を潤滑油を伴わずに流れる。
【0032】
二次配管21は、接続管22と、送り配管23と、戻り配管24と、を有する。
接続管22における長手方向の中間部は、熱交換部16内に配置されている。前記熱交換部16は、一次配管13内を流れる一次冷媒により、接続管22内を流れるグリーン冷媒Rを冷却する。この際に、一次冷媒は、グリーン冷媒Rと熱交換することで、グリーン冷媒Rから熱を奪い加熱される。
接続管22の両端部は、それぞれレシーバ30の上端部に接続されている。
【0033】
送り配管23の第1端部は、レシーバ30に接続されている。送り配管23における第1端部とは反対側の第2端部は、建築物100内で引き回されている。
送り配管23には、ポンプ26が設けられている。ポンプ26は、送り配管23内のグリーン冷媒Rを、送り配管23における第1端部から第2端部に向かって送る。ポンプ26に電力が供給されていないときには、送り配管23内をグリーン冷媒Rが流れる開状態になっていることが好ましい。
【0034】
レシーバ30は、グリーン冷媒Rを蓄える。レシーバ30は、建築物100の支持台106上に固定されている。レシーバ30には、逃し管31が接続されている。逃し管31には、圧力逃し弁32が設けられている。圧力逃し弁32は、逃し管31を開閉可能である。
戻り配管24の第1端部は、レシーバ30の上端部に接続されている。戻り配管24における第1端部とは反対側の第2端部は、建築物100内で引き回されている。
【0035】
直接冷却部35の構成は、限定されない。
図1及び
図2に示すように、例えば、直接冷却部35は、直接冷却部35による冷却の対象となるサーバ110内に配置されている。
図2に示すように、直接冷却部35は、放熱板36を有する。放熱板36内には、グリーン冷媒Rが通る流路36aが形成されている。例えば、流路36aは、放熱板36内を蛇行するように延びている。
例えば、放熱板36は、熱伝導率が比較的大きい、アルミニウム合金や銅合金等で形成されている。放熱板36は、サーバ110のCPU111にグリース(不図示)を介して接触するように配置されている。例えば、CPU111は、モールド樹脂111aに、不図示の電子回路が埋設されて構成されている。なお、CPUは、モールド樹脂を備えなくてもよい。
直接冷却部35は、グリーン冷媒Rによりサーバ110のCPU111を直接冷却する。
【0036】
なお、
図3に示すように、本実施形態の直接冷却部35に代えて、冷却流路81を有する直接冷却部(冷却部)80を備えてもよい。この変形例では、冷却流路81は、接続配管37に接続されている。冷却流路81内には、グリーン冷媒Rが充填されている。CPU111は、冷却流路81内に配置されている。
この変形例の直接冷却部80でも、グリーン冷媒Rによりサーバ110のCPU111を直接冷却する。
【0037】
図1に示すように、流路36aに接続された接続配管37の端部は、送り配管23及び戻り配管24にそれぞれ接続されている。接続配管37、送り配管23の一部、及び戻り配管24の一部で、直接冷却部35とレシーバ30とをそれぞれ接続し、内部でグリーン冷媒Rが搬送される環状の配管38を構成する。
【0038】
例えば、第1間接冷却部45は、ケース46と、蒸発器47と、送風機48と、を有する。
ケース46は、箱状に形成されている。ケース46には、図示しない入口開口及び出口開口が形成されている。ケース46は、第1間接冷却部45による冷却の対象となるサーバ110に対向するように配置されている。
蒸発器47及び送風機48は、ケース46内に収容されている。蒸発器47の冷媒配管(不図示)に接続された接続配管50の端部は、送り配管23及び戻り配管24にそれぞれ接続されている。接続配管50、送り配管23の一部、及び戻り配管24の一部で、第1間接冷却部45とレシーバ30とをそれぞれ接続し、内部でグリーン冷媒Rが搬送される環状の配管51を構成する。
送風機48は、蒸発器47に対向するように配置されている。送風機48を駆動すると、ケース46の入口開口を通してケース46内に流れ込んだ空気は、蒸発器47を通る。蒸発器47を通った空気は、ケース46の出口開口を通してケース46の外部に吹き出し、サーバ110に吹き付けられる。
【0039】
例えば、第2間接冷却部55は、第1間接冷却部45のケース46、蒸発器47、送風機48と同様に構成されたケース56、蒸発器57、送風機58を有する。ケース56は、建築物100の天井103の下面に固定されている。
蒸発器57の冷媒配管(不図示)に接続された接続配管60の端部は、送り配管23及び戻り配管24にそれぞれ接続されている。接続配管60、送り配管23の一部、及び戻り配管24の一部で、第2間接冷却部55とレシーバ30とをそれぞれ接続し、内部でグリーン冷媒Rが搬送される環状の配管61を構成する。
送風機58を駆動すると、蒸発器57を通った空気はケース56の外部に吹き出す。ケース56の外部に吹き出した空気は、複数のサーバ110に直接は当たらず、この空気は建築物100内を流れる。
【0040】
例えば、除湿部65は、図示はしないが第1間接冷却部45の各構成と、加熱部とを備える。除湿部65は、蒸発器で空気を結露させて除湿するとともに、除湿された空気を加熱部により元の温度まで加熱する。除湿部65は、空気の除湿に蒸発器を用いるため、冷却部の一種であると考えられる。
蒸発器の冷媒配管に接続された接続配管66の端部は、送り配管23の第2端部及び戻り配管24の第2端部にそれぞれ接続されている。接続配管66、送り配管23、及び戻り配管24で、除湿部65とレシーバ30とをそれぞれ接続し、内部でグリーン冷媒Rが搬送される環状の配管67を構成する。
【0041】
以上のように構成された直接冷却部35、第1間接冷却部45、第2間接冷却部55、及び除湿部65を、以下ではまとめて冷却部35,45,55,65と言う場合がある。
【0042】
直接冷却部35、第1間接冷却部45、第2間接冷却部55、及び除湿部65は、互いに異なる複数の冷却方式の冷却部35,45,55,65である。ここで言う互いに異なる複数の冷却方式とは、直接電子機器冷却方式、間接電子機器冷却方式、間接収容部内冷却方式、除湿方式等のことを意味する。
直接電子機器冷却方式とは、直接冷却部35のように、冷媒により電子機器を直接的に冷却する方法を意味する。間接電子機器冷却方式とは、第1間接冷却部45のように、冷媒により冷却された空気を電子機器に吹き付け、電子機器を間接的に冷却する方法を意味する。間接収容部内冷却方式とは、第2間接冷却部55のように、冷媒により冷却された空気を電子機器に吹き付けることなく、この空気を電子機器が収容された収容部内に流して電子機器を間接的に冷却する方法を意味する。除湿方式とは、除湿部65のように、収容部内の水蒸気を結露させて除湿する方法を意味する。
【0043】
冷却装置10は、互いに異なる複数の冷却方式の冷却部35,45,55,65にグリーン冷媒Rを供給し、冷却部35,45,55,65により、建築物100内に配置された複数のサーバ110を冷却する。この例では、使用者が冷却部35,45,55,65を選択したため、冷却部35,45,55,65の全てに、グリーン冷媒Rが供給される。
なお、使用者が選択する冷却部35,45,55,65は1つでもよいし、2つ以上でもよい。使用者が選択した冷却部35,45,55,65に応じて、建築物100に冷却部35,45,55,65が設置される。具体的には、直接冷却部35及び接続配管37の組、第1間接冷却部45及び接続配管50の組、第2間接冷却部55及び接続配管60の組、除湿部65及び接続配管66の組を、送り配管23及び戻り配管24に接続するか否かを使用者の選択に基づいて決め、接続すると決めた組を送り配管23及び戻り配管24に接続する。
【0044】
このように、冷却装置10は、使用者の要求(demand)に基づいて、必要な冷却部35,45,55,65を設置できる、いわゆるデマンドサイドマネジメントが行える装置である。
図1に示すように、前記レシーバ30は、直接冷却部35、第1間接冷却部45、第2間接冷却部55、及び除湿部65よりも上方に配置されている。
なお、システム1がフリークーリングを必要としない場合には、レシーバ30と、直接冷却部35、第1間接冷却部45、第2間接冷却部55、及び除湿部65との位置関係は、任意に設定できる。
【0045】
なお、システム1は、グリーン冷媒Rが複数の冷却部35,45,55,65のいずれかから漏れたときの、サーバ110への影響、及びシステム1の周辺の環境への影響を最小限にしたシステムであってもよい。
システム1は、冷却された水とは異なり、水の熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力に比べて、グリーン冷媒Rの熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力が大幅に増強されたシステムであってもよい。ここで言う熱交換面とは、例えば、水、グリーン冷媒R等が流れる流路の、熱交換器における内面のことを意味する。大幅に増強されたとは、大きいこと、又は3倍以上大きいことを意味する。
【0046】
冷却された水の単位流量当たりの冷凍能力に比べて、グリーン冷媒Rの単位流量当たりの冷凍能力が大幅に増強され、配管設備及び建築のコストダウンが可能であってもよい。
システム1は、冷却された水の搬送に要する動力に比べて、グリーン冷媒Rの搬送に要する動力が低減され、省エネルギーなシステムであってもよい。この例では、グリーン冷媒Rの搬送に要する動力とは、ポンプ26で消費される動力のことを意味する。水の場合には顕熱冷却になる一方で、システム1のグリーン冷媒Rでは潜熱冷却になる。このため、システム1では、同一の熱量分冷却するのに必要な動力が低減される、省エネルギーなシステムになる。
【0047】
次に、以上のように構成されたシステム1の動作について説明する。
予め、圧力逃し弁32は閉じられている。
制御部70(CPU)は、冷却ユニット12の圧縮機、ポンプ26、冷却部35,45,55,65の送風機を駆動する。
圧縮機が駆動すると、比較的低温かつ比較的低圧の一次冷媒が一次配管13により搬送されて冷却ユニット12から流れ出し、熱交換部16に流れ込む。熱交換部16では、一次冷媒により、二次冷媒であるグリーン冷媒Rが冷却され、液相のグリーン冷媒Rとなる。冷却された液相のグリーン冷媒Rは、接続管22により搬送されてレシーバ30内に流れ込む。一方で、レシーバ30内の気相のグリーン冷媒Rは、接続管22により搬送されて熱交換部16内に流れ込む。
【0048】
冷却された液相のグリーン冷媒Rは、ポンプ26により送り配管23内で搬送され、接続配管37,50,60,66を通して冷却部35,45,55,65に供給される。
直接冷却部35に供給されたグリーン冷媒Rは、放熱板36の流路36a内を流れて、サーバ110のCPU111を直接冷却する。液相のグリーン冷媒Rは、CPU111が発する熱を吸収して蒸発し、気相、又は、気相及び液相のグリーン冷媒Rとなる。気相のグリーン冷媒Rは、接続配管37、戻り配管24を通して搬送され、レシーバ30内に流れ込む。
同様に、第1間接冷却部45に供給されたグリーン冷媒Rは、蒸発器47内を流れる際に、送風機48により送られる空気を冷却する。その際に、液相のグリーン冷媒Rは、周囲の空気の熱を吸収して蒸発し、気相のグリーン冷媒Rとなる。冷却された空気は、ケース46の外部に吹き出し、サーバ110を冷却する。一方で、気相のグリーン冷媒Rは、接続配管50、戻り配管24を通して搬送され、レシーバ30内に流れ込む。
【0049】
同様に、第2間接冷却部55に供給されたグリーン冷媒Rにより、建築物100内の空気を冷却する。除湿部65に供給されたグリーン冷媒Rにより、建築物100内の空気を除湿する。
【0050】
次に、商用電源が喪失した場合のシステム1の動作について説明する。
レシーバ30内の圧力が上がり、希望の温度での冷却が困難になれば、圧力逃し弁32を適宜開く。レシーバ30内の液相のグリーン冷媒Rが、逃し管31を通して、システム1の外部に排出される。レシーバ30内の圧力が下がる。すると、レシーバ30内のグリーン冷媒Rが所定の冷媒量になるまでは、冷却が可能になる。
【0051】
この場合、冷却ユニット12の圧縮機、ポンプ26、冷却部35,45,55,65の送風機は停止している。しかし、直接冷却部35の放熱板36内のグリーン冷媒Rは、CPU111が発する熱を吸収して蒸発する。空気の自然対流等による熱交換により、冷却部45,55,65の蒸発器内のグリーン冷媒Rは、周囲の空気の熱を吸収して蒸発する。グリーン冷媒Rの蒸発により、液相のグリーン冷媒Rが気相のグリーン冷媒Rとなる。気相になって密度が小さくなったグリーン冷媒Rは、接続配管37,50,60,66及び戻り配管24を通して上方に向かって搬送され、レシーバ30内に流れ込む。気相のグリーン冷媒Rは、逃し管31を通してシステム1の外部に排出される等する。
送り配管23内、及び接続配管37,50,60,66内のグリーン冷媒Rが少なくなると、レシーバ30内の液相のグリーン冷媒Rが、送り配管23内等に流れ込む。
以上のように、商用電源が喪失した場合であっても、いわゆるフリークーリングにより冷却部35,45,55,65を介して複数のサーバ110を冷却することができる。
【0052】
次に、本実施形態の電子機器冷却方法(以下では、単に冷却方法とも言う)について説明する。
冷却方法は、冷却装置10で冷却された1種類のグリーン冷媒Rを用いた方法である。冷却方法では、冷却工程を行う。
冷却工程では、互いに異なる複数の冷却方式の冷却部35,45,55,65のうち、1つ以上の冷却部35,45,55,65を選択する。本実施形態では、使用者は、4つの冷却部35,45,55,65を選択する。そして、建築物100に、4つの冷却部35,45,55,65を有する電子機器冷却システム1を施工する。
そして、冷却部35,45,55,65にグリーン冷媒Rを供給し、冷却部35,45,55,65により、建築物100内に配置された複数のサーバ110を冷却する。
以上で、冷却方法の全工程が終了し、複数のサーバ110が冷却される。
【0053】
図4に、従来のシステム2を示す。システム2は、本実施形態の冷却装置10に代えて、直接冷却部35用のチラー120、冷却部45,55,65用の室外機122,124,126をそれぞれ備える。例えば、チラー120及び室外機122,124,126は、建築物100の外部に配置される。
このため、システム2では、システム1に比べて、構成が大型化している。さらに、使用者が選択した冷却部35,45,55,65に基づいて、チラー120及び室外機122,124,126を設置する必要がある。
【0054】
これに対して、本実施形態のシステム1では、冷却装置10で冷却された1種類のグリーン冷媒Rを用いる。そして、互いに異なる複数の冷却方式の冷却部35,45,55,65のうち、1つ以上の冷却部35,45,55,65にグリーン冷媒Rを供給する。そして、この1つ以上の冷却部35,45,55,65により、建築物100内に配置された複数のサーバ110を冷却する。
従って、複数のサーバ110の仕様に応じて、グリーン冷媒Rが供給される1つ以上の冷却部35,45,55,65の数を増やしたり、冷却部35,45,55,65の1つ当たりの冷却能力を増やしたりという調整等ができる。このため、建築物100におけるサーバ110の処理能力の増強、高スペック化に対応できる高効率な冷却に対応することができる。また、1つ以上の冷却部35,45,55,65用の1種類のグリーン冷媒Rを、冷却装置10でまとめて冷却することができるため、1つ以上の冷却部35,45,55,65を省スペース化することができる。
【0055】
例えば、複数の冷却方式として、水冷方式である直接電子機器冷却方式を用いた場合には、冷却に二次冷媒の蒸発潜熱を利用できる。これにより、グリーン冷媒Rの熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力を飛躍的に上昇させることができることから、処理能力の増強、高スペック化に対応することができる。
また、1つ以上の冷却部35,45,55,65用の1種類のグリーン冷媒Rを、冷却装置10でまとめて冷却することができるため、1つ以上の冷却部35,45,55,65を省スペース化することができる。
【0056】
システム1は、レシーバ30と、環状の配管38,51,61,67と、を備え、レシーバ30は、冷却部35,45,55,65よりも上方に配置されている。レシーバ30に蓄えられた液相のグリーン冷媒Rは、配管38,51,61,67内を通して冷却部35,45,55,65に向かって下方に流れる。冷却部35,45,55,65を冷却したグリーン冷媒Rは、冷却部35,45,55,65内で蒸発して気相のグリーン冷媒Rとなる。気相のグリーン冷媒Rは液相のグリーン冷媒Rのよりも密度が小さいため、配管38,51,61,67内を通してレシーバ30に向かって上方に流れる。このため、ポンプのようなグリーン冷媒Rを駆動する駆動源を用いることなく、いわゆるフリークーリングにより、グリーン冷媒Rで1つ以上の冷却部35,45,55,65を冷却することができる。
従って、システム1に電力が供給できなくなった場合でも、サーバ110を冷却することができる。
【0057】
グリーン冷媒Rが、不活性であり、腐食性や毒性がなく、温暖化係数が小さく(理想的にはGWP10以下)、冷やしたい温度帯での圧力が負圧でなく、沸点が冷却したい温度以下である場合には、損傷の抑制や地球環境への悪影響を抑制することができ、処理能力の増強、高スペック化、省スペース化、省エネルギー、フリークーリング等が可能となる。
【0058】
冷媒は、オゾン層破壊係数が0であり地球温暖化係数が10未満のグリーン冷媒Rである。このため、オゾン層を破壊する虞が無く、地球を温暖化する虞が比較的少ないグリーン冷媒Rを、二次冷媒に用いることができる。そして、グリーン冷媒Rの漏洩時に、サーバ110への影響、及びシステム1の周辺の環境への影響を最小限にすることができる。
システム1は、グリーン冷媒Rが1つ以上の冷却部35,45,55,65から漏れたときの、サーバ110への影響、及びシステム1の周辺の環境への影響を最小限にしている。従って、グリーン冷媒Rが1つ以上の冷却部35,45,55,65から漏れたときの、サーバ110への影響、及びシステム1の周辺の環境への影響を最小限に抑えることができる。
【0059】
冷却部35,45,55,65の一つは、直接冷却部35である。従って、直接冷却部35により、グリーン冷媒Rを用いてサーバ110を直接かつ効果的に冷却することができる。
冷却装置10は、一次冷却部11と、熱交換部16と、を有する。例えば、一次冷媒を冷却する際に、圧縮機用の潤滑油を用いる場合であっても、この潤滑油は、熱交換部16までは流れるが、二次冷媒であるグリーン冷媒Rとともには流れない。従って、仮に、建築物100内において複数の冷却部35,45,55,65のいずれかからグリーン冷媒Rが漏れた場合でも、潤滑油がサーバ110に付着することを防止することができる。
【0060】
また、冷却された水とは異なり、システム1では、水の熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力に比べて、グリーン冷媒Rの熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力が大幅に増強されている。従って、水の熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力に比べて、グリーン冷媒Rの熱交換面の単位面積当たりの冷凍能力を大幅に増強させることができる。
冷却された水の単位流量当たりの冷凍能力に比べて、グリーン冷媒Rの単位流量当たりの冷凍能力が大幅に増強され、配管設備及び建築のコストダウンが可能である。これにより、冷却された水の単位流量当たりの冷凍能力に比べて、グリーン冷媒Rの単位流量当たりの冷凍能力が大幅に増強され、配管設備及び建築をコストダウンすることができる。
【0061】
また、システム1では、冷却された水の搬送に要する動力に比べて、グリーン冷媒Rの搬送に要する動力が低減され、省エネルギーである。従って、冷却された水の搬送に要する動力に比べて、グリーン冷媒Rの搬送に要する動力が低減され、省エネルギーにすることができる。
【0062】
また、本実施形態の冷却方法では、冷却装置10で冷却された1種類のグリーン冷媒Rを用いる。冷却工程において、互いに異なる複数の冷却方式の冷却部35,45,55,65のうち、1つ以上の冷却部35,45,55,65にグリーン冷媒Rを供給し、これら冷却部35,45,55,65により、建築物100内に配置された複数のサーバ110を冷却する。
従って、サーバ110の仕様に応じて、グリーン冷媒Rが供給される1つ以上の冷却部35,45,55,65の数を増やしたり、冷却部35,45,55,65、1つ当たりの冷却能力を増やしたりという調整等ができる。このため、建築物100におけるサーバ110の処理能力の増強、高スペック化に対応できる高効率な冷却に対応することができる。また、1つ以上の冷却部35,45,55,65用の1種類のグリーン冷媒Rを、冷却装置10でまとめて冷却することができるため、1つ以上の冷却部35,45,55,65を省スペース化することができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、システム1は、レシーバ30、直接冷却部35、及び制御部70を備えなくてもよい。
冷媒がグリーン冷媒Rであるとしたが、冷媒はこれに限定されず、HFC-134a等でもよい。
電子機器がサーバ110であるとしたが、電子機器はこれに限定されず、サーバ以外のコンピュータ等でもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 システム(電子機器冷却システム)
10 冷却装置
11 一次冷却部
16 熱交換部
30 レシーバ
35,80 直接冷却部(冷却部)
38,51,61,67 配管
45 第1間接冷却部(冷却部)
55 第2間接冷却部(冷却部)
65 除湿部(冷却部)
100 建築物(収容部)
110 サーバ(電子機器)
R グリーン冷媒(二次冷媒)