(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120772
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】測定システム、プログラム、測定方法、及びレーザ加速自由電子レーザ装置
(51)【国際特許分類】
H01S 3/30 20060101AFI20240829BHJP
H05H 15/00 20060101ALI20240829BHJP
G01J 1/00 20060101ALI20240829BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01S3/30 A
H05H15/00
G01J1/00 H
H01S3/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027811
(22)【出願日】2023-02-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・ウェブサイトのアドレス https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22K12665/ 掲載日 令和4年4月19日 ・ウェブサイトのアドレス https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22K12665/ 掲載日 令和4年7月1日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業「レーザープラズマ加速場の高速・高精度診断系の開発」及び平成31年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業「レーザー駆動電子加速技術開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301032942
【氏名又は名称】国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中新 信彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 康太郎
(72)【発明者】
【氏名】ホァン カイ
(72)【発明者】
【氏名】神門 正城
(72)【発明者】
【氏名】細貝 知直
(72)【発明者】
【氏名】金 展
【テーマコード(参考)】
2G065
2G085
5F172
【Fターム(参考)】
2G065AA12
2G065AB09
2G065AB14
2G065BB14
2G065BB28
2G065BC13
2G085AA20
2G085DB08
2G085DB10
5F172AG01
5F172ZZ04
(57)【要約】
【課題】電子バンチのタイミング又はバンチ長の推定の容易化・高精度化を図る。
【解決手段】測定システム(1)は、パルス状のプローブ光(PL)と電子バンチ(EB)により放射されるパルス状の放射光(EL)とを周波数干渉させることにより生じる干渉パターン(IP)を測定する測定装置(11)と、前記測定装置によって測定された干渉パターンから前記放射光のパルス幅を算出し、前記電子バンチのバンチ長を推定する演算装置(12)と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス状のプローブ光と電子バンチにより放射されるパルス状の放射光とを周波数干渉させることにより生じる干渉パターンを測定する測定装置と、
前記測定装置によって測定された干渉パターンから前記電子バンチのバンチ長を推定する演算装置と、を備えている、
測定システム。
【請求項2】
超短パルスレーザの光路を第1の光路と第2の光路とに分岐するビームスプリッタと、前記第2の光路上に配置された光学遅延ユニットと、を含むプローブ光生成装置を更に備え、
前記プローブ光は、前記光学遅延ユニットによって遅延された前記超短パルスレーザである、
請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記第1の光路上にガスジェットを供給するインジェクタを有する電子バンチ生成装置を更に備え、
前記電子バンチは、前記超短パルスレーザによって前記ガスジェット中に励起された航跡場によって加速された電子により構成される、
請求項2に記載の測定システム。
【請求項4】
前記測定装置は、前記放射光と前記プローブ光とを共通の光路上に導くビームコンバイナと、前記共通の光路上に配置されたイメージングスペクトロメータであって、前記干渉パターンを測定する測定するイメージングスペクトロメータと、を含む、
請求項1に記載の測定システム。
【請求項5】
前記放射光は、ラジアル偏光であり、
前記干渉パターンは、空間方向に分離された2つの干渉領域であって、周波数方向に干渉縞が並んだ2つの干渉領域を含む、
請求項1に記載の測定システム。
【請求項6】
前記測定装置は、遷移放射によって前記電子バンチから前記放射光を生成する金属板を含む、
請求項1~5の何れか一項に記載の測定システム。
【請求項7】
前記測定装置は、回折放射によって前記電子バンチから前記放射光を生成する、孔が形成された金属板を含む、
請求項1~5の何れか一項に記載の測定システム。
【請求項8】
前記測定装置は、チェレンコフ放射によって前記電子バンチから前記放射光を生成する、誘電体により構成された筒体を含む、
請求項1~5の何れか一項に記載の測定システム。
【請求項9】
前記測定装置は、スミスパーセル放射によって前記電子バンチから前記放射光を生成する回折格子を含む、
請求項1~5の何れか一項に記載の測定システム。
【請求項10】
前記測定装置は、シンクロトロン放射によって前記電子バンチから前記放射光を生成する磁石を含む、
請求項1~5の何れか一項に記載の測定システム。
【請求項11】
前記演算装置は、フーリエ変換スペクトル干渉法を用いて前記干渉パターンから前記放射光の時間波形を算出する算出工程と、前記時間波形から前記電子バンチのバンチ長を推定する推定工程とを実行する、
請求項1~5の何れか一項に記載の測定システム。
【請求項12】
コンピュータを請求項11に記載の演算装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータに前記算出工程と前記推定工程とを実行させるプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】
パルス状のプローブ光と電子バンチにより放射されるパルス状の放射光とを周波数干渉させることにより生じる干渉パターンを測定する測定工程と、
前記測定工程において測定された干渉パターンから前記電子バンチのバンチ長を推定する推定工程と、を含んでいる、
測定方法。
【請求項15】
レーザ装置と、前記レーザ装置によって生成されたレーザ光によって励起された航跡場を用いて電子バンチを加速する加速器と、前記加速器によって加速された電子バンチに周期的な横磁場を印加することによって自由電子レーザを生成するアンジュレータと、を備え、
請求項1、2、4、及び5の何れか一項に記載の測定システムが前記加速器に組み込まれている、レーザ加速自由電子レーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子バンチのバンチ長を測定する測定システム、プログラム、測定方法、及びレーザ加速自由電子レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、超短パルスレーザによってガスジェット中に励起された航跡場によって、電子を相対論的速度にまで加速することができる。このように加速された電子により構成される短バンチ長(例えば、フェムト秒(10-15秒)オーダー)の電子バンチは、自由電子レーザ装置の実現や超高速現象の観測等への利用が期待されている。電子バンチのバンチ長(電子の塊の長さ)が短い方が、超高速現象の観察が容易となる。
【0003】
ここで、電子バンチを利用するには、そのバンチ長が判っていることが好ましい。非特許文献1は、バンチ長を測定する次の手法(1)~(3)を開示する。
【0004】
(1)高エネルギーの電子からの放射をストリークカメラで時間掃引して検出することでバンチ長を評価する。
(2)高周波電場によって電子ビームを回転させて、時間方向の分布を空間方向に転写することで、バンチ長を評価する。
(3)電子ビーム及びプローブ光をそれぞれ、電気光学結晶の中及び横を通過させて、電子ビームの電場による電気光学結晶の屈折率変化に起因する、プローブ光の偏光の回転の大きさ等から、電子のバンチ長を推定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】神門正城、レーザプラズマ電子加速研究におけるレーザプラズマと電子ビームの特性評価、プラズマ・核融合学会誌Vol95、504 (2019).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの手法(1)~(3)によって、例えば、フェムト秒オーダーの短バンチ長を測定するのは困難である。すなわち、手法(1)では、ストリークカメラの時間分解能に限界があり、手法(2)では、高周波電場と電子ビームの間のタイミングの精度に限界があり、手法(3)では、プローブ光の偏光の回転の測定精度に限界がある。
【0007】
本発明の一態様は、短バンチ長の測定が容易な測定システム、プログラム、測定方法、及びレーザ加速自由電子レーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る測定システムは、パルス状のプローブ光と電子バンチにより放射されるパルス状の放射光とを周波数干渉させることにより生じる干渉パターンを測定する測定装置と、前記測定装置によって測定された干渉パターンから前記電子バンチのバンチ長を推定する演算装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、電子バンチのバンチ長を測定することができる。しかも、プローブ光の最短パルス幅(フーリエ限界パルス幅)と同程度のバンチ長を測定することができるで、プローブ光の最短パルス幅を小さくすることで、短バンチ長の測定を容易に実現することができる。したがって、短バンチ長の測定が容易な測定システム、プログラム、測定方法、及びレーザ加速自由電子レーザ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る測定システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す測定装置より測定された干渉パターンを示す模式図である。
【
図3】(a)は、
図1に示す測定装置により実測された放射光の具体例を示す図である。(b)は、
図1に示す測定装置により実測されたプローブ光の具体例を示す図である。(c)は、(a)に示す放射光と(b)に示すプローブ光との干渉により生じた干渉パターンであって、
図1に示す測定装置により実測された干渉パターンの具体例を示す図である。
【
図4】
図1に示す演算装置により実施される推定方法の具体例を示すフロー図である。
【
図5】(a)は、
図4に示す変数変換処理において得られる周波数領域のスペクトルS(ω)の具体例を示すグラフである。(b)は、
図4に示す逆フーリエ変換処理において得られる時間領域の波形S(t)の具体例を示すグラフである。(c)は、
図4に示す変数変換処理において得られる周波数領域のスペクトルSpr(ω)の具体例を示すグラフである。(d)は、
図4に示す逆フーリエ変換処理において得られる時間領域の波形Spr(t)の具体例を示すグラフである。
【
図6】(a)は、
図4に示す抽出処理において得られる直流成分|Eotr(t)|
2の具体例を示すグラフである。(b)は、
図4に示す平方根・フーリエ変換処理において得られる電場強度分布|Eotr(ω)|の具体例を示すグラフである。(c)は、
図4に示すシフト処理において得られる時間領域の波形f(t)の具体例を示すグラフである。(d)は、
図4に示すフーリエ変換・偏角処理において得られる相対位相分布φrel(ω)の具体例を示すグラフである。
【
図7】(a)は、
図4に示す加算処理において参照される位相分布φpr(ω)の具体例を示すグラフである。(b)は、
図4に示す加算処理において得られる位相分布φotr(ω)の具体例を示すグラフである。(c)は、
図4に示す逆フーリエ変換処理において得られる時間波形Iotr(t)の具体例を示すグラフである。
【
図8】
図1に示す測定システムの第1の変形例を示すブロック図である。
【
図9】
図1に示す測定システムの第2の変形例を示すブロック図である。
【
図10】
図1に示す測定システムの第3の変形例を示すブロック図である。
【
図11】
図1に示す測定システムの第4の変形例を示すブロック図である。
【
図12】
図1示す測定システムを適用することが可能なレーザ加速自由電子レーザ装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(測定システムの構成)
本発明の一実施形態に係る測定システム1について、
図1を参照して説明する。
図1は、測定システム1の構成を示すブロック図である。
【0012】
測定システム1は、測定装置11と、演算装置12と、を備えている。測定装置11は、電子バンチEBにより放射されるパルス状の放射光ELとパルス状のプローブ光PLとを周波数干渉させることにより生じる干渉パターンIPを測定するための装置である。演算装置12は、測定装置11において測定された干渉パターンIPから電子バンチEBのバンチ長Lを推定するための装置である。
【0013】
測定装置11は、例えば、
図1に示すように、ラジエータ111と、ミラー112と、ビームコンバイナ113と、イメージングスペクトロメータ114と、により構成することができる。
【0014】
ラジエータ111は、電子バンチEBから放射光ELを生成するための構成である。本実施形態においては、ラジエータ111として、金属板、より具体的には、厚さ100μmのステンレス板を用い、遷移放射によって、電子バンチEBから放射光(遷移放射光)ELを生成する。ミラー112は、放射光ELの光路を屈曲させるための構成である。ビームコンバイナ113は、放射光ELとプローブ光PLとを共通の光路上に導くための構成である。プローブ光PLは、放射光ELよりも時間τだけ遅れて共通の光路に入射する。これにより、プローブ光PLと放射光ELとの周波数干渉が生じる。イメージングスペクトロメータ114は、この周波数干渉の干渉パターンIPを測定するための構成である。イメージングスペクトロメータ114により測定された干渉パターンIPは、演算装置12に提供される。干渉パターンIPの具体例については、参照する図面を代えて後述する。
【0015】
演算装置12は、例えば
図1に示すように、メモリ121と、プロセッサ122と、により構成することができる。
【0016】
メモリ121は、プログラムを記憶するための構成である。プロセッサ122は、このプログラムに含まれる命令を実行することによって、測定装置11において測定された干渉パターンIPから電子バンチEBのバンチ長を推定するための構成である。本実施形態において、プロセッサ122は、(1)干渉パターンIPからから放射光ELの時間波形Iotr(t)を算出し、(2)放射光ELの時間波形Iotr(t)から電子バンチEBのバンチ長を推定する。放射光ELの時間波形Iotr(t)の算出には、フーリエ変換スペクトル干渉法を用いる。なお、測定装置11において測定された干渉パターンIPから電子バンチEBのバンチ長を推定する方法の具体例については、参照する図面を代えて後述する。
【0017】
測定システム1は、更に、プローブ光生成装置10a及び電子バンチ生成装置10bを備えている。プローブ光生成装置10aは、上述したプローブ光PLを生成するための装置である。電子バンチ生成装置10bは、上述した電子バンチEBを生成するための装置である。
【0018】
プローブ光生成装置10aは、例えば、
図1に示すように、ビームスプリッタ101と、ミラー102と、光学遅延ユニット103と、により構成することができる。ビームスプリッタ101は、パルス状のレーザ光(例えば、超短パルスレーザ)L0の光路を、2つの光路LP1,LP2に分岐するための構成である。ミラー102は、光路LP2を屈曲させるための構成である。光学遅延ユニット103は、光路LP2上を進行するレーザ光L0を遅延させるための構成である。上述したプローブ光PLは、光学遅延ユニット103によって遅延されたレーザ光L0である。
【0019】
電子バンチ生成装置10bは、例えば、
図1に示すように、高速ガスバルブ104により構成することができる。高速ガスバルブ104は、光路LP1上にガスジェットGJを供給するための構成(インジェクタ)である。プローブ光生成装置10aから出射され、光路LP1を進行するレーザ光L0によって、ガスジェットGJ中に航跡場が励起される。上述した電子バンチEBは、この航跡場によって加速(レーザプラズマ加速)された電子のクラスタである。
【0020】
なお、本実施形態においては、パルス状のレーザ光L0として、超短パルスレーザ、具体的には、中心波長800nm、パルス幅24フェムト秒、エネルギー1.7J、ビームサイズ(直径)65mmの超短パルスレーザを用いる。レーザ光L0は、例えば、チタンサファイアレーザ(不図示)により生成され、軸外し放物面により集光され、ガスジェットGJに照射される。
【0021】
後述するように、本実施形態に係る演算装置12は、放射光ELとプローブ光PLとの干渉パターンIPに加えて、プローブ光PLのスペクトルもしくはスペクトルの干渉パターンIP’、及び、プローブ光PLの位相分布φpr(ω)を参照して、放射光ELの時間波形を算出する。このため、本実施形態に係る測定システム1は、プローブ光PLのスペクトルもしくはスペクトルの干渉パターンIP’を測定する機能、及び、プローブ光PLの位相分布φpr(ω)を測定する機能を有している。ここで、プローブ光PLの位相分布φpr(ω)とは、プローブ光PLの絶対位相φprの周波数分布のことを指す。
【0022】
プローブ光PLのスペクトルもしくはスペクトルの干渉パターンIP’を測定する機能を実現する方法としては、例えば、プローブ光生成装置10a内の光路LP1上に、遮蔽体105を設置することによって、測定装置11への電子バンチEBの供給を停止する方法が挙げられる。また、プローブ光PLの位相分布φpr(ω)を測定する機能を実現する方法としては、例えば、プローブ光PLの光路上にミラー115を挿入すると共に、このミラー115により反射されたプローブ光PLの光路上に自己参照型スペクトル干渉計116を配置し、この自己参照型スペクトル干渉計116によって、プローブ光PLの位相分布φpr(ω)を測定する方法が挙げられる。もちろん、プローブ光PLのスペクトルもしくはスペクトルの干渉パターンIP’が既知である場合、及び、プローブ光PLの位相分布φpr(ω)が既知である場合には、これらの構成を省略しても構わない。
【0023】
以上のように、測定システム1によれば、電子バンチEBのバンチ長を推定することができる。なお、フーリエ変換スペクトル干渉法の時間分解能は、プローブ光PLの最短パルス幅(フーリエ限界パルス幅)と同程度となる。本実施形態においては、パルス幅24フェムト秒のレーザ光L0をプローブ光PLとして用いているので、24フェムト秒程度の時間分解能で放射光ELの時間波形Iotr(t)を算出することができる。
【0024】
(干渉パターンの具体例)
測定装置11によって測定される干渉パターンIPの具体例について、
図2を参照して説明する。
図2は、干渉パターンIPを示す模式図である。
【0025】
干渉パターンIPは、空間軸と波長軸(又は周波数軸)とが張る2次元平面H上に形成される。放射光ELは、ラジアル偏光であるため、空間軸方向に並ぶ2つの領域A1,A2を構成する。一方、プローブ光PLは、直線偏光を有し、これら2つの領域A1,A2と交わる1つの領域A0を構成する。このため、領域A1と領域A0との共通部分である領域(干渉領域)A1’=A1∩A0、及び、領域A2と領域A0との共通部分である領域(干渉領域)A2’=A2∩A0において、波長軸方向に並ぶ干渉縞が観察される。領域A1と領域A2とで、放射光ELの位相が反転しているので、領域A1’と領域A2’とで、干渉縞が半周期分ずれることになる。このため、干渉縞は、いわば魚の骨のような形になる。
【0026】
図3の(a)は、プローブ光PLを遮蔽した状態で測定装置11によって実測された放射光ELである。
図3の(a)によれば、空間軸方向に並ぶ2つの領域A1,A2において放射光ELが観測されることが見て取れる。
【0027】
図3の(b)は、放射光ELを遮蔽した状態で測定装置11によって実測されたプローブ光PLである。
図3の(b)によれば、2つの領域A1,A2と交わる1つの領域A0においてプローブ光PLが観測されることが見て取れる。なお、領域A0に現れている干渉縞は、プローブ光PL同士の干渉によって生じる干渉縞であり、バンチ長の測定に際しては無視するべきものである。
【0028】
図3の(c)は、測定装置11によって実測された放射光ELとプローブ光PLとの干渉パターンIPである。
図3の(c)によれば、空間軸方向に並ぶ2つの領域A1’,A2’において波長軸方向に並ぶ干渉縞が観測されることが見て取れる。なお、放射光ELとプローブ光PLとの干渉により生じる干渉縞の周期は、プローブ光PL同士の干渉により生じる干渉縞の周期と相違する。したがって、放射光ELとプローブ光PLとの干渉により生じる干渉縞を、プローブ光PL同士の干渉により生じる干渉縞と弁別して測定することは容易である。
【0029】
なお、波長800nmで干渉縞が形成されることは、少なくとも波長800nmまで放射光ELのコヒーレント性が保たれること、すなわち、800nmよりも小さいバンチ構造が存在していることを意味する。波長800nmは、時間2.67フェムト秒に相当するので、換言すれば、2.67フェムト秒よりも短いバンチ構造(例えば、アト秒オーダーのバンチ構造)が存在していることを意味する。
【0030】
(推定方法の具体例)
測定装置11によって測定される干渉パターンIPから電子バンチEBのバンチ長を推定する方法の具体例(以下、推定方法S1と記載する)について、
図4~
図7を参照して説明する。
【0031】
図4は、推定方法S1の流れを示すフロー図である。推定方法S1は、フーリエ変換スペクトル干渉法を用いて干渉パターンIPからから放射光ELの時間波形Iotr(t)を算出する算出工程S1aと、放射光ELの時間波形Iotr(t)から電子バンチEBのバンチ長を推定する推定工程S1bと、により構成されている。算出工程S1aは、変数変換処理S101、逆フーリエ変換処理S102、変数変換処理S103、逆フーリエ変換処理S104、減算処理S105、抽出処理S106、平方根・フーリエ変換処理S107、抽出・シフト処理S108、フーリエ変換・偏角処理S109、加算処理S110、及び逆フーリエ変換処理S111を含んでいる。推定工程S1bは、推定処理S112を含んでいる。なお、推定方法S1の実施に先行して、演算装置12は、放射光ELとプローブ光PLとの干渉パターンIP、プローブ光PLのスペクトルもしくはスペクトルの干渉パターンIP’、及び、プローブ光PLの位相分布φpr(ω)を測定装置11から取得しているものとする。
【0032】
演算装置12は、放射光ELとプローブ光PLとの干渉パターンIPに対して、変数変換処理S101と、逆フーリエ変換処理S102と、を実施する。変数変換処理S101は、変数変換によって、干渉パターンIP(波長領域のスペクトル)を周波数領域のスペクトルS(ω)に変換する処理である。変数変換処理S101において得られる周波数領域のスペクトルS(ω)の一例を、
図5の(a)に示す。逆フーリエ変換処理S102は、逆フーリエ変換によって、周波数領域のスペクトルS(ω)を時間領域のスペクトルS(t)に変換する処理である。逆フーリエ変換処理S102において得られる時間領域の波形S(t)の一例を、
図5の(b)に示す。
【0033】
また、演算装置12は、プローブ光PLのスペクトルもしくはスペクトルの干渉パターンIP’に対して、変数変換処理S103と、逆フーリエ変換処理S104と、を実施する。変数変換処理S103は、変数変換によって、プローブ光PLのスペクトルもしくはスペクトルの干渉パターンIP’(波長領域のスペクトル)を周波数領域のスペクトルSpr(ω)に変換する処理である。変数変換処理S103において得られる周波数領域のスペクトルSpr(ω)の一例を、
図5の(c)に示す。逆フーリエ変換処理S104は、逆フーリエ変換によって、周波数領域のスペクトルSpr(ω)を時間領域の波形Spr(t)に変換する処理である。逆フーリエ変換処理S104において得られる時間領域の波形Spr(t)の一例を、
図5の(d)に示す。
【0034】
なお、演算装置12は、変数変換処理S103及び逆フーリエ変換処理S104を、変数変換処理S101及び逆フーリエ変換処理S102とパラレルに実施してもよいし、変数変換処理S101及び逆フーリエ変換処理S102の前又は後にシリアルに実施してもよい。
【0035】
次に、演算装置12は、周波数領域のスペクトルS(t)、波形Spr(t)に対して、減算処理S105を実施する。減算処理S105は、時間領域のスペクトルS(t)から時間領域の波形Spr(t)を減算することによって、差分「S(t)-Spr(t)」を算出する処理である。
【0036】
次に、演算装置12は、差分「S(t)-Spr(t)」に対して、抽出処理S106と、平方根・フーリエ変換処理S107と、を実施する。抽出処理S106は、差分「S(t)-Spr(t)」の直流成分を抽出する処理である。差分「S(t)-Spr(t)」の直流成分は、差分「S(t)-Spr(t)」に含まれる複数のピークのうちt=0のピークに対応し、放射光ELの電場強度波形|Eotr(t)|の二乗を表す。抽出処理S106において得られる直流成分|Eotr(t)|
2の一例を、
図6の(a)に示す。平方根・フーリエ変換処理S107は、差分「S(t)-Spr(t)」の直流成分|Eotr(t)|
2の平方根をフーリエ変換することによって、放射光ELの電場強度分布|Eotr(ω)|を算出する処理である。ここで、放射光ELの電場強度分布|Eotr(ω)|とは、放射光ELの電場強度|Eotr|の周波数分布のことを指す。平方根・フーリエ変換処理S107において得られる電場強度分布|Eotr(ω)|の一例を、
図6(b)に示す。
【0037】
また、演算装置12は、差分「S(t)-Spr(t)」に対して、抽出・シフト処理S108と、フーリエ変換・偏角処理S109と、加算処理S110と、を実施する。抽出・シフト処理S108は、差分「S(t)-Spr(t)」から、放射光ELとプローブ光PLとの周波数干渉による干渉縞の振動成分を抽出し、時間τだけシフトさせる処理である。これにより、放射光ELとプローブ光PLとの周波数干渉による干渉縞に対応するピークがt=0に現れるスペクトルf(t)=S(t+τ)-Spr(t+τ)が得られる。シフト処理S108において得られるスペクトルf(t)の一例を、
図6の(c)に示す。フーリエ変換・偏角処理S109は、スペクトルf(t)のフーリエ変換で得られる複素数の偏角を取ることによって、プローブ光PLに対する放射光ELの相対位相分布φrel(ω)を算出する処理である。ここで、プローブ光PLに対する放射光ELの相対位相分布φrel(ω)とは、放射光ELの絶対位相φotrとプローブ光PLの絶対位相φprとの差「φotr-φpr」の周波数分布のことを指す。フーリエ変換・偏角処理S109において得られる相対位相分布φrel(ω)の一例を、
図6の(d)に示す。加算処理S110は、プローブ光PLに対する放射光ELの相対位相分布φrel(ω)とプローブ光PLの位相分布φpr(ω)とを加算することによって、放射光ELの位相分布φotr(ω)を算出する処理である。ここで、放射光ELの位相分布φotr(ω)とは、放射光ELの絶対位相φotrの周波数分布のことを指す。加算処理S110において参照される位相分布φpr(ω)の一例を、
図7の(a)に示し、加算処理S110において得られる位相分布φotr(ω)の一例を、
図7の(b)に示す。
【0038】
なお、演算装置12は、抽出・シフト処理S108、フーリエ変換・偏角処理S109、及び加算処理S110を、抽出処理S106、及び平方根・フーリエ変換処理S107とパラレルに実施してもよいし、抽出処理S106、及び平方根・フーリエ変換処理S107の前又は後にシリアルに実施してもよい。
【0039】
最後に、演算装置12は、電場強度分布|Eotr(ω)|及び位相分布φotr(ω)に対して、逆フーリエ変換処理S111と、推定処理S112と、を実施する。逆フーリエ変換処理S111は、放射光ELの電場強度分布|Eotr(ω)|と位相分布φotr(ω)とから決まる放射光のスペクトルIotr(ω)=|Eotr(ω)|e
iφotr(ω)を逆フーリエ変換することによって、放射光ELの時間波形Iotr(t)を算出する処理である。逆フーリエ変換処理S111において得られる時間波形Iotr(t)の一例を、
図7の(c)に示す。推定処理S112は、放射光ELの時間波形Iotr(t)から電子バンチEBのバンチ長を推定する処理である。なお、電子バンチEBのバンチ長は、放射光ELの時間波形Iotr(t)から容易に推定することができる。放射光ELのパルス幅と電子バンチEBのバンチ長には、一定の相関が存在するためである。バンチ長の推定には、例えば、放射光ELのパルス幅と電子バンチEBのバンチ長との対応関係を与えるテーブルを利用してもよいし、放射光ELのパルス幅を電子バンチEBのバンチ長に換算する換算式を利用してもよい。
【0040】
なお、推定方法S1は、相対位相分布φrel(ω)から電子バンチEBのタイミングジッタ―を評価する評価工程を含んでいてもよい。相対位相分布φrel(ω)から電子バンチEBのタイミングジッタを評価する方法は、例えば、以下のとおりである。相対位相分布φrel(ω)を1次関数でフィッティングしたときに得られる傾きは、放射光ELとプローブ光PLの時間差に対応する。放射光ELは電子バンチEBと同じタイミングで放射されるため、放射光ELとプローブ光PLの時間差は、プローブ光PLに対する電子バンチEBのタイミングとなる。すなわち、相対位相分布φrel(ω)を求めることによって、プローブ光PLに対する電子バンチEBのタイミングを計測することを複数回行い、そのばらつき(例えば、標準偏差)を求めることで、タイミングジッタを評価することができる。
【0041】
(測定システムの変形例)
測定システム1の変形例について、
図8~
図11を参照して説明する。
【0042】
図8は、測定システム1の第1の変形例(以下、測定システム1Aと記載する)を示すブロック図である。
【0043】
測定システム1は、遷移放射によって電子バンチEBから放射光ELを生成するのに対して、本変形例に係る測定システム1Aは、回折放射によって電子バンチEBから放射光ELを生成する。このため、ラジエータ111として、電子バンチEBが通過する孔の形成された金属板を用いている。また、ミラー112として、電子バンチEBが通過する孔の形成されたミラーを用いている。測定システム1Aによれば、電子バンチEBを破壊することのない、非破壊測定を行うことができる。
【0044】
図9は、測定システム1の第2の変形例(以下、測定システム1Bと記載する)を示すブロック図である。
【0045】
測定システム1は、遷移放射によって電子バンチEBから放射光ELを生成するのに対して、本変形例に係る測定システム1Bは、チェレンコフ放射によって電子バンチEBから放射光ELを生成する。このため、ラジエータ111として、誘電体により構成された筒体を用いている。また、ミラー112として、電子バンチEBが通過する孔の形成されたミラーを用いている。測定システム1Bによれば、電子バンチEBを破壊することのない、非破壊測定を行うことができる。
【0046】
図10は、測定システム1の第3の変形例(以下、測定システム1Cと記載する)を示すブロック図である。
【0047】
測定システム1は、遷移放射によって電子バンチEBから放射光ELを生成するのに対して、本変形例に係る測定システム1Cは、スミスパーセル放射によって電子バンチEBから放射光ELを生成する。このため、ラジエータ111として、回折格子を用いている。また、放射光ELを反射するミラー112の位置を変更している。測定システム1Cによれば、電子バンチEBを破壊することのない、非破壊測定を行うことができる。
【0048】
図11は、測定システム1の第4の変形例(以下、測定システム1Dと記載する)を示すブロック図である。
【0049】
測定システム1は、遷移放射によって電子バンチEBから放射光ELを生成するのに対して、本変形例に係る測定システム1Dは、シンクロトロン放射によって電子バンチEBから放射光ELを生成する。このため、ラジエータ111として、磁石を用いている。測定システム1Dによれば、電子バンチEBを破壊することのない、非破壊測定を行うことができる。
【0050】
(レーザ加速自由電子レーザ装置)
レーザ加速自由電子レーザ装置1000について、
図12を参照して説明する。
図12は、レーザ加速自由電子レーザ装置1000の構成を示すブロック図である。
【0051】
レーザ加速自由電子レーザ装置1000は、レーザ装置1001と、入射器1002と、外部電子入射器1003と、前段加速器1004と、主加速器1005と、アンジュレータ1006と、を備えている。なお、レーザ装置1001を複数のレーザ装置(例えば、第1、第2のレーザ装置)から構成してもよい。この場合、例えば、第1のレーザ装置から出射された光パルスを第2のレーザ装置で増幅して、出射する。
【0052】
レーザ装置1001は、入射器1002に超短パルスレーザL1を供給すると共に、前段加速器1004に超短パルスレーザL2を、主加速器1005に超短パルスレーザL3を供給するための構成である。
【0053】
入射器1002は、超短パルスレーザL1により励起された航跡場を用いて電子を加速することによって、電子バンチEB1を生成するための構成である。外部電子入射器1003は、外部電子EEを前段加速器1004に供給するための構成である。前段加速器1004は、超短パルスレーザL2により励起された航跡場を用いて電子バンチEB1及び外部電子EEを加速することによって、電子バンチEB1よりも高エネルギーの電子バンチEB2を生成するための構成である。主加速器1005は、超短パルスレーザL3により励起された航跡場を用いて電子バンチEB2を加速することによって、電子バンチEB2よりも高エネルギーの電子バンチEB3を生成するための構成である。
【0054】
アンジュレータ1006は、電子バンチEB3に周期的な横磁場を印加するための構成である。相対論的な速度に加速された電子バンチEB3が、この横磁場によって正弦軌道を描くことにより、シンクロトロン放射が生じる。このシンクロトロン放射によって生成されるコヒーレント光が、レーザ加速自由電子レーザ装置1000によって生成される自由電子レーザFELである。レーザ加速自由電子レーザ装置1000においては、アンジュレータ1006により印加される周期的な横磁場の強度を適宜設定することによって、所望の波長の自由電子レーザFELを得ることができる。
【0055】
上述した測定システム1,1A,1B,1C,1Dの構成要素(例えば、プローブ光生成装置10a、及び測定装置11)を、レーザ加速自由電子レーザ装置1000に組み込むことができる。すなわち、プローブ光生成装置10aを超短パルスレーザL1、L2、L3に設置し、測定装置11を入射器1002、前段加速器1004、及び主加速器1005の後、もしくは、アンジュレータ1006の前に組み込むことができる。これにより、電子バンチEB1,EB2,EB3のバンチ長をモニタすることが可能になる。また、電子バンチEB1,EB2,EB3のバンチ長に応じたレーザ加速自由電子レーザ装置1000の制御を行うことが可能になる。なお、測定システム1は電子バンチを破壊するタイプのシステムであるが、ラジエータ111(例えば、金属板)を電子バンチEB1,EB2,EB3の通る経路に出し入れすることによって、電子バンチの計測と利用とを切り替えることができる。
【0056】
(付記事項)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0057】
〔まとめ〕
本発明の第1の態様に係る測定システムは、パルス状のプローブ光と電子バンチにより放射されるパルス状の放射光とを周波数干渉させることにより生じる干渉パターンを測定する測定装置と、前記測定装置によって測定された干渉パターンから前記電子バンチのバンチ長を推定する演算装置と、を備えている。
【0058】
本発明の第2の態様に係る測定システムは、第1の態様に係る測定システムにおいて、超短パルスレーザの光路を第1の光路と第2の光路とに分岐するビームスプリッタと、前記第2の光路上に配置された光学遅延ユニットを含むプローブ光生成装置を更に備え、前記プローブ光は、前記光学遅延ユニットによって遅延された前記超短パルスレーザである。
【0059】
本発明の第3の態様に係る測定システムは、第2の態様に係る測定システムにおいて、前記第1の光路上にガスジェットを供給するインジェクタを有する電子バンチ生成装置を更に備え、前記電子バンチは、前記超短パルスレーザによって前記ガスジェット中に励起された航跡場によって加速された電子により構成される。
【0060】
本発明の第4の態様に係る測定システムは、第1~第3の態様何れかに係る測定システムにおいて、前記測定装置は、前記放射光と前記プローブ光とを共通の光路上に導くビームコンバイナと、前記共通の光路上に配置されたイメージングスペクトロメータであって、前記干渉パターンを測定する測定するイメージングスペクトロメータと、を含む。
【0061】
本発明の第5の態様に係る測定システムは、第1~第4の態様何れかに係る測定システムにおいて、前記放射光は、ラジアル偏光であり、前記干渉パターンは、空間方向に分離された2つの干渉領域であって、周波数方向に干渉縞が並んだ2つの干渉領域を含む。
【0062】
本発明の第6の態様に係る測定システムは、第1~第5の態様何れかに係る測定システムにおいて、前記測定装置は、遷移放射によって前記電子バンチから前記放射光を生成する金属板を含む。
【0063】
本発明の第7の態様に係る測定システムは、第1~第5の態様何れかに係る測定システムにおいて、前記測定装置は、回折放射によって前記電子バンチから前記放射光を生成する、孔が形成された金属板を含む。
【0064】
本発明の第8の態様に係る測定システムは、第1~第5の態様何れかに係る測定システムにおいて、前記測定装置は、チェレンコフ放射によって前記電子バンチから前記放射光を生成する、誘電体により構成された筒体を含む。
【0065】
本発明の第9の態様に係る測定システムは、第1~第5の態様何れかに係る測定システムにおいて、前記測定装置は、スミスパーセル放射によって前記電子バンチから前記放射光を生成する回折格子を含む。
【0066】
本発明の第10の態様に係る測定システムは、第1~第5の態様何れかに係る測定システムにおいて、前記測定装置は、シンクロトロン放射によって前記電子バンチから前記放射光を生成する磁石を含む。
【0067】
本発明の第11の態様に係る測定システムは、第1~第10の態様何れかに係る測定システムにおいて、前記演算装置は、フーリエ変換スペクトル干渉法を用いて前記干渉パターンから前記放射光の時間波形を算出する算出工程と、前記時間波形から前記電子バンチのバンチ長を推定する推定工程とを実行する。
【0068】
本発明の第12の態様に係るプログラムは、コンピュータを第10の態様の演算装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータに前記算出工程と前記推定工程とを実行させる。
【0069】
本発明の第13の態様に係る記録媒体は、第12の態様のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0070】
本発明の第14の態様に係る測定方法は、パルス状のプローブ光と電子バンチにより放射されるパルス状の放射光とを周波数干渉させることにより生じる干渉パターンを測定する測定工程と、前記測定工程において測定された干渉パターンから前記電子バンチのバンチ長を推定する推定工程と、を含んでいる。
【0071】
本発明の第15の態様に係るレーザ加速自由電子レーザ装置は、レーザ装置と、前記レーザ装置によって生成されたレーザ光によって励起された航跡場を用いて電子バンチを加速する加速器と、前記加速器によって加速された電子バンチに周期的な横磁場を印加することによって自由電子レーザを生成するアンジュレータと、を備え、第1、第2、及び、第4~第11の態様何れか(従属先が態様3を除く)の測定システムが前記加速器に組み込まれている。
【符号の説明】
【0072】
1 測定システム
10a プローブ光生成装置
10b 電子バンチ生成装置
101 ビームスプリッタ
102 ミラー
103 光学遅延ユニット
104 高速ガスバルブ(インジェクタ)
11 測定装置
111 ラジエータ
112 ミラー
113 ビームコンバイナ
114 イメージングスペクトロメータ
12 演算装置
121 メモリ
122 プロセッサ