(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012089
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ワーク固定機構及び測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 5/00 20060101AFI20240118BHJP
B23Q 3/08 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G01B5/00 L
B23Q3/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087999
(22)【出願日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2022114209
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】片町 省三
(72)【発明者】
【氏名】松屋 直樹
【テーマコード(参考)】
2F062
3C016
【Fターム(参考)】
2F062AA01
2F062AA57
2F062CC23
2F062FF17
2F062MM03
2F062MM09
3C016DA08
(57)【要約】
【課題】ワークの固定を自動化できるワーク固定機構及び測定装置を提供する。
【解決手段】回転可能なテーブル(12)上に保持されたワークの固定機構において、テーブル上でワークを保持する保持部(22)であって、気体の供給又は吸引により作動し、加圧状態又は負圧状態を保持することにより、ワークを保持した状態が維持される保持部と、正圧又は負圧を発生させる気体圧力源(34)と、第1配管を介して気体圧力源に接続される第1カプラ部(28、42)と、テーブルに備えられ、第2配管を介して保持部に接続される第2カプラ部であって、第1カプラ部に接続可能、かつ、保持部の圧力状態を保持して第1カプラ部から分離可能な第2カプラ部(30、44)と、第1位置に位置した第2カプラ部に対し、第1カプラ部を接続方向に沿って進退移動させて、第1カプラ部と第2カプラ部とを接続及び分離させる第1駆動部(52)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なテーブル上に保持されたワークの固定機構において、
前記テーブル上で前記ワークを保持する保持部であって、気体の供給又は吸引により作動し、加圧状態又は負圧状態を保持することにより、前記ワークを保持した状態が維持される保持部と、
正圧又は負圧を発生させる気体圧力源と、
第1配管を介して前記気体圧力源に接続される第1カプラ部と、
前記テーブルに備えられ、第2配管を介して前記保持部に接続される第2カプラ部であって、前記第1カプラ部に接続可能、かつ、前記保持部の圧力状態を保持して前記第1カプラ部から分離可能な第2カプラ部と、
第1位置に位置した前記第2カプラ部に対し、前記第1カプラ部を接続方向に沿って進退移動させて、前記第1カプラ部と前記第2カプラ部とを接続及び分離させる第1駆動部と、
を備えたワーク固定機構。
【請求項2】
前記テーブルに着脱可能に取り付けられて、前記テーブルの径方向の外側の領域で前記第2カプラ部を支持する第1支持部を備えた、
請求項1に記載のワーク固定機構。
【請求項3】
前記第1支持部は、前記第2カプラ部を弾性的に支持する、
請求項2に記載のワーク固定機構。
【請求項4】
前記第1駆動部を弾性的に支持する第2支持部を備えた、
請求項1に記載のワーク固定機構。
【請求項5】
前記第2カプラ部を当接させて、前記第2カプラ部を前記第1位置に位置決めする位置決め部材と、
前記第2カプラ部の移動軌跡上に位置する第2位置と、前記第2カプラ部の移動軌跡上から退避した第3位置との間で前記位置決め部材を移動させる第2駆動部と、
を備えた請求項1から4のいずれか1項に記載のワーク固定機構。
【請求項6】
前記第2駆動部は、前記位置決め部材及び前記第1駆動部を一体的に移動させ、
前記位置決め部材が、前記第2位置に位置すると、前記第1カプラ部が、前記第1位置に配置される、
請求項5に記載のワーク固定機構。
【請求項7】
前記第2カプラ部及び前記位置決め部材のいずれか一方が磁石部、他方が磁性体部を有し、前記第2カプラ部が前記位置決め部材に磁着される、
請求項6に記載のワーク固定機構。
【請求項8】
前記第2カプラ部に対する前記第1カプラ部の接続方向が、前記テーブルの回転軸と平行に設定される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のワーク固定機構。
【請求項9】
前記第1支持部は、板バネを介して、前記第2カプラ部を弾性的に支持する、
請求項3に記載のワーク固定機構。
【請求項10】
前記第2支持部は、板バネを介して、前記第1駆動部を弾性的に支持する、
請求項4に記載のワーク固定機構。
【請求項11】
前記第1駆動部は、前記第1カプラ部を前記第2カプラ部に接続する際に、前記第2カプラ部の接続方向の後端部に当接して、前記第2カプラ部を支持する第3支持部を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のワーク固定機構。
【請求項12】
前記第1カプラ部及び前記第2カプラ部が、前記テーブルの回転軸上に配置され、
前記第1駆動部が、前記第1カプラ部を前記テーブルの回転軸に沿って進退移動させて、前記第1カプラ部と前記第2カプラ部とを接続及び分離させる、
請求項1に記載のワーク固定機構。
【請求項13】
前記テーブルが気体ベアリングを介して支持される、
請求項1、2、3、4又は12に記載のワーク固定機構。
【請求項14】
前記テーブルの回転角と同期して前記ワークの表面の変位を検出し、前記ワークの真円度又は円筒度を測定する、
請求項1、2、3、4又は12に記載のワーク固定機構を備えた測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク固定機構及び測定装置に係り、特に、回転可能なテーブルを備えたワーク固定機構及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テーブル回転式の真円度測定装置のように、ワーク(例えば、測定対象物)を回転させて測定等の処理を行う装置では、ワークの回転中にワークが動かないように、ワークをテーブルに固定する場合がある。
【0003】
特許文献1には、負圧を利用してワークをテーブル上に固定する治具が記載されている。また、特許文献1には、吸引用の管路にバルブを設けることで、負圧状態を維持したまま治具を負圧の発生源から分離できるようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなワーク固定機構を備えた装置において、処理を自動化するためには、固定も自動化する必要がある。特許文献1では、バルブの開閉が手動で行われるため、固定を自動化できないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ワークの固定を自動化できるワーク固定機構及び測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るワーク固定機構の第1の態様は、回転可能なテーブル上に保持されたワークの固定機構において、テーブル上でワークを保持する保持部であって、気体の供給又は吸引により作動し、加圧状態又は負圧状態を保持することにより、ワークを保持した状態が維持される保持部と、正圧又は負圧を発生させる気体圧力源と、第1配管を介して気体圧力源に接続される第1カプラ部と、テーブルに備えられ、第2配管を介して保持部に接続される第2カプラ部であって、第1カプラ部に接続可能、かつ、保持部の圧力状態を保持して第1カプラ部から分離可能な第2カプラ部と、第1位置に位置した第2カプラ部に対し、第1カプラ部を接続方向に沿って進退移動させて、第1カプラ部と第2カプラ部とを接続及び分離させる第1駆動部と、を備える。
【0008】
本発明に係るワーク固定機構の第2の態様は、第1の態様の測定装置において、テーブルに着脱可能に取り付けられて、テーブルの径方向の外側の領域で第2カプラ部を支持する第1支持部を備える。
【0009】
本発明に係るワーク固定機構の第3の態様は、第2の態様の測定装置において、第1支持部は、第2カプラ部を弾性的に支持する。
【0010】
本発明に係るワーク固定機構の第4の態様は、第1の態様の測定装置において、第1駆動部を弾性的に支持する第2支持部を備える。
【0011】
本発明に係るワーク固定機構の第5の態様は、第1から4のいずれか1の態様の測定装置において、第2カプラ部を当接させて、第2カプラ部を第1位置に位置決めする位置決め部材と、第2カプラ部の移動軌跡上に位置する第2位置と、第2カプラ部の移動軌跡上から退避した第3位置との間で位置決め部材を移動させる第2駆動部と、を備える。
【0012】
本発明に係るワーク固定機構の第6の態様は、第5の態様の測定装置において、第2駆動部は、位置決め部材及び第1駆動部を一体的に移動させ、位置決め部材が、第2位置に位置すると、第1カプラ部が、第1位置に配置される。
【0013】
本発明に係るワーク固定機構の第7の態様は、第6の態様の測定装置において、第2カプラ部及び位置決め部材のいずれか一方が磁石部、他方が磁性体部を有し、第2カプラ部が位置決め部材に磁着される。
【0014】
本発明に係るワーク固定機構の第8の態様は、第1から4のいずれか1の態様の測定装置において、第2カプラ部に対する第1カプラ部の接続方向が、テーブルの回転軸と平行に設定される。
【0015】
本発明に係るワーク固定機構の第9の態様は、第3の態様の測定装置において、第1支持部は、板バネを介して、第2カプラ部を弾性的に支持する。
【0016】
本発明に係るワーク固定機構の第10の態様は、第4の態様の測定装置において、第2支持部は、板バネを介して、第1駆動部を弾性的に支持する。
【0017】
本発明に係るワーク固定機構の第11の態様は、第1から4のいずれか1の態様の測定装置において、第1駆動部は、第1カプラ部を第2カプラ部に接続する際に、第2カプラ部の接続方向の後端部に当接して、第2カプラ部を支持する第3支持部を有する。
【0018】
本発明に係るワーク固定機構の第12の態様は、第1の態様の測定装置において、第1カプラ部及び第2カプラ部が、テーブルの回転軸上に配置され、第1駆動部が、第1カプラ部をテーブルの回転軸に沿って進退移動させて、第1カプラ部と第2カプラ部とを接続及び分離させる。
【0019】
本発明に係るワーク固定機構の第13の態様は、第1、2、3、4又は12の態様の測定装置において、テーブルが気体ベアリングを介して支持される。
【0020】
本発明に係る測定装置の第14の態様は、第1、2、3、4又は12の態様のワーク固定機構において、テーブルの回転角と同期してワークの表面の変位を検出し、ワークの真円度又は円筒度を測定する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ワークの固定を自動化できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】
図2は、ワーク自動固定機構の構成を示す正面図である。
【
図3】
図3は、ワーク自動固定機構の構成を示す平面図である。
【
図5】
図5は、カプラを用いたエアチャック(気体チャックの一例)の給排気のシステムの概念図である。
【
図7】
図7は、第1カプラ及び第2カプラが給排気位置に位置した状態のワーク自動固定機構の正面図である。
【
図8】
図8は、第1カプラ及び第2カプラが給排気位置に位置した状態のワーク自動固定機構の平面図である。
【
図9】
図9は、ワーク自動固定機構の制御系のブロック図である。
【
図10】
図10は、ワークを固定する動作の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、ワークの固定を解除する動作の手順を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、カプラの接続方向の設定の他の一例を示す平面図である。
【
図13】
図13は、カプラの接続方向の設定の他の一例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、真円度測定装置の要部の構成を示す正面図である。
【
図15】
図15は、第3の実施の形態の真円度測定装置の要部の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0024】
[第1の実施の形態]
ここでは、テーブル回転式の真円度測定装置に本発明に係るワーク固定機構を適用した場合を例に説明する。テーブル回転式の真円度測定装置は、検出器側を固定とし、テーブル側を回転させて、ワーク(例えば、測定対象物)を測定する方式の真円度測定装置である。
【0025】
図1は、真円度測定装置の正面図である。
図1には、X方向、Y方向及びZ方向を示している。X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交している。一例として、X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。X方向と平行な軸をX軸、Y方向と平行な軸をY軸、Z方向と平行な軸をZ軸とする。
【0026】
本実施の形態の真円度測定装置1は、ワークWを自動で固定する機能を備えた真円度測定装置として構成される。ワークWを自動で固定する機能は、ワーク自動固定機構20によって実現される。
【0027】
[真円度測定装置の基本構成]
まず、テーブル回転式の真円度測定装置1の基本構成について概説する。
【0028】
テーブル回転式の真円度測定装置1では、テーブル12上にワークWを保持し、テーブル12の回転角と同期して、ワークWの表面の変位を検出器で検出し、真円度等の算出に必要なデータ(極座標のデータ)を取得する。
図1に示す真円度測定装置1は、いわゆる接触式の真円度測定装置である。接触式の真円度測定装置では、触針(測定子又はスタイラスともいう)をワークWの表面に当接させて、ワークWの表面の変位を検出する。
【0029】
図1に示すように、真円度測定装置1は、ベース10、テーブル12、テーブル12を回転させるテーブル回転機構14、検出器16、及び、検出器16を移動させる検出器移動機構18等を備える。
【0030】
ベース10は、真円度測定装置1の各部を支持する支持台(基台)である。
図1に示すように、本実施の形態の真円度測定装置1は、直方体形状のベース10を有する。
【0031】
テーブル12は、円盤状の形状を有し、回転軸θを中心に回転する。回転軸θは、Z軸と平行に設定される。後述するように、本実施の形態の真円度測定装置1では、テーブル12上にエアチャック22が設置され、エアチャック22を介して、ワークWがテーブル12上に保持される。なお、便宜上省略しているが、テーブル12には、センタリング機構及びチルチング機構等を備えることが好ましい。センタリング機構は、テーブル12の中心位置を調節する機構である。チルチング機構は、テーブル12の傾きを調節する機構である。
【0032】
テーブル回転機構14は、テーブル12を回転自在に支持する支持部(図示せず)、回転駆動源としてのモータ14M、モータ14Mの回転をテーブルに伝達する回転伝達機構(図示せず)、テーブル12の回転位置を検出する回転位置検出器14S等を含む。支持部は、軸受を含み、軸受は、たとえば、気体ベアリング(例えば、エアベアリング)で構成される(たとえば
図15参照)。回転位置検出器14Sは、たとえば、ロータリーエンコーダで構成され、テーブル12の回転軸θの回転位置を検出して、テーブル12の回転位置(テーブル12上で基準となる点の位置)を検出する。
【0033】
検出器16は、接触式の検出器である。接触式の検出器16は、触針16Aを有し、その触針16Aの先端をワークWの表面に当接させて、ワークWの表面の変位を検出する。より詳しくは、触針16Aの先端の変位量を検出して、ワークWの表面の変位を検出する。触針16Aの変位量は、たとえば、差動トランス等で検出される。
【0034】
検出器移動機構18は、ベース10上で検出器16をZ方向及びX方向に移動させる。
図1に示すように、検出器移動機構18は、ベース10上に設置されるコラム18A、コラム18Aに沿って移動するキャリッジ18B、キャリッジ18Bに保持されたアーム18C、及び、アーム18Cの先端に備えられた検出器ホルダ18D等を備える。コラム18Aは、Z方向に沿って配設される。キャリッジ18Bは、コラム18Aに備えられた駆動機構(図示せず)に駆動されて、コラム18Aに沿って移動する。したがって、キャリッジ18Bは、Z方向に移動(昇降)する。アーム18Cは、キャリッジ18Bに備えられた駆動機構(図示せず)に駆動されて、X方向に進退移動する。検出器16は、アーム18Cの先端に備えられた検出器ホルダ18Dに保持される。検出器16は、キャリッジ18Bをコラム18Aに沿って移動させることにより、Z方向に移動し、アーム18Cを進退移動させることにより、X方向に移動する。
【0035】
真円度測定装置1の基本構成(ワーク自動固定機構20を除く構成)は、以上のとおりである。測定は、次の手順で行われる。まず、テーブル12上にワークWをセットする。次いで、ワークWの表面に検出器16の触針16Aを当接させる。次いで、テーブル12を回転させる。テーブル12の回転中、ワークWの表面の変位を検出器16で検出し、極座標のデータを取得する。取得したデータを処理して、真円度又は円筒度を算出する。なお、演算処理は、データ処理装置(図示せず)で行われる。データ処理装置は、プロセッサ及びメモリを備えたコンピュータ(たとえば、パーソナルコンピュータ)で構成され、所定のプログラムを実行することにより、データ処理装置として機能する。なお、データ処理装置は、真円度測定装置1に一体化した構成としてもよいし、別の装置として構成してもよい。
【0036】
[ワーク自動固定機構]
[ワーク自動固定機構の構成]
次に、ワークWを自動で固定する機構(「ワーク自動固定機構」という)について説明する。なお、ここでは、円柱状のワークWを測定する場合を例に説明する。ワーク自動固定機構は、ワーク固定機構の一例である。
【0037】
図2は、ワーク自動固定機構の構成を示す正面図である。また、
図3は、ワーク自動固定機構の構成を示す平面図である。また、
図4は、
図3の4-4矢視図である。
【0038】
ワーク自動固定機構20は、テーブル12上でワークWを保持するエアチャック22と、そのエアチャック22に対し気体(圧縮気体、例えば、エア(圧縮エア))の供給及び排出(給排気)を行う給排気機構24と、を備える。
【0039】
[エアチャック]
エアチャック22は、エアで作動するチャック装置である。ここで、チャック装置はエアチャック22に限定されず、エア(空気)以外の気体で作動するチャック装置(気体チャック)を用いることも可能である。一例として、本実施の形態では、エアチャック22が、いわゆる三つ爪のエアチャックで構成される。三つ爪のエアチャック22は、
図3に示すように、放射状に配置された3つの爪を有する。3つの爪は、エアの給排気で拡縮する。より具体的には、エアの供給(加圧)により、径方向の内側に移動する。また、エアの排気(大気開放)により、径方向の外側に移動する。3つの爪が、径方向の内側に移動することにより、ワークWが把持(クランプ)される。また、3つの爪が、径方向の外側に移動することにより、ワークWが解放(アンクランプ)される。エアチャック22は、加圧状態を維持することにより、ワークWをクランプした状態が維持される。すなわち、クランプによるロック状態が維持される。この種のエアチャックは、公知である。よって、その詳細な構造についての説明は省略する。
【0040】
エアチャック22は、クランプの中心が、テーブル12の中心と一致するように、テーブル12上に位置決めされて設置される。これにより、エアチャック22が、テーブル12に対し、同軸上に配置される(回転軸θ上に配置される)。テーブル12上に設置されたエアチャック22は、ネジ等でテーブル12に固定される。これにより、テーブル12を回転させると、エアチャック22がテーブル12と一体的に回転する。本実施の形態において、エアチャック22は、保持部の一例である。
【0041】
[給排気機構]
給排気機構24は、カプラ26を使用して、エアチャック22への給排気を行う。特に、本実施の形態の真円度測定装置1では、いわゆるノンリーク型のカプラ26を使用して、エアチャック22への給排気を行う。ノンリーク型のカプラとは、加圧状態で分離(加圧分離)できるカプラのことである。ノンリーク型のカプラは、ノンリーク機構により、分離しても長時間エアの漏れを抑止できる。よって、圧力状態を長時間保持できる。まず、カプラ26を用いたエアチャック22の給排気のシステムについて概説する。
【0042】
[カプラを用いたエアチャックの給排気のシステム]
図5は、カプラを用いたエアチャックの給排気のシステムの概念図である。
【0043】
カプラ26は、ソケット側の第1カプラ28及びプラグ側の第2カプラ30で構成される。第1カプラ28及び第2カプラ30は、互いに接続及び分離が可能に構成される。なお、ここでの「接続」とは、互いの流路が連通可能な状態で繋がること、すなわち、互いのエア回路が繋がることである。
【0044】
第1カプラ28は、圧力源側のカプラである。第1カプラ28は、第1配管32を介して、圧縮エア源34に接続される。圧縮エア源34は、たとえば、エアコンプレッサで構成され、圧縮エアを供給する。圧縮エア源34は、正圧を発生させる気体圧力源の一例である。
【0045】
第1配管32は、主配管32A、給気配管32P及び排気配管32Rで構成される。主配管32Aは、第1カプラ28に接続される配管である。主配管32Aは、可撓性を有する配管で構成される。主配管32Aに対し、3ポートのソレノイドバルブ36を介して、給気配管32P及び排気配管32Rが接続される。給気配管32Pは、圧縮エア源34に接続される配管である。排気配管32Rは、大気開放された配管である。ソレノイドバルブ36は、主配管32Aの接続先を選択的に切り替える。すなわち、主配管32Aの接続先を給気配管32P又は排気配管32Rに切り替える。主配管32Aを給気配管32Pに接続することにより、第1カプラ28が圧縮エア源34に接続される。これにより、第1カプラ28を介して、圧縮エア源34からエアの供給が可能になる。一方、主配管32Aを排気配管32Rに接続することにより、第1カプラ28を介して、エアの排出が可能になる。
【0046】
第1カプラ28は、
図5に示すように、第1カプラ本体28A、固定弁28B、固定弁支持プレート28C、可動スリーブ28D及びコイルバネ28E等を備えて構成される。
【0047】
第1カプラ本体28Aは、円筒状の形状を有し、その内部に固定弁28B、固定弁支持プレート28C、可動スリーブ28D及びコイルバネ28E等が備えられる。
【0048】
固定弁28Bは、円柱状の軸部28b1、及び、その軸部28b1の先端に備えられた逆円錘台形状の弁部28b2を有する。固定弁28Bは、第1カプラ本体28Aの軸に沿って配置され、第1カプラ本体28Aの内部に固定して設けられる。
【0049】
固定弁支持プレート28Cは、固定弁28Bを支持する部材である。固定弁支持プレート28Cは、複数の開口(流路)28cを備えた円板状のプレートで構成され、第1カプラ本体28Aの内部に固定して設けられる。固定弁28Bは、固定弁支持プレート28Cに支持されることにより、第1カプラ本体28Aに固定して設けられ、かつ、第1カプラ本体28Aの軸に沿って配置される。
【0050】
可動スリーブ28Dは、第1カプラ本体28Aの内周部を軸に沿って摺動可能に設けられる。可動スリーブ28Dは、先端中央にテーパ状の開口部28dを有する。開口部28dは、固定弁28Bの弁部28b2の形状(逆円錘台形状)に対応した形状を有し、弁部28b2によって開閉される。
図5は、開口部28dが閉じた状態を示している。開口部28dが閉じられることで、可動スリーブ28Dの先端面と弁部28b2の先端面とが同一面上に位置する(いわゆる面一の状態となる。)。開口部28dが閉じた状態において、可動スリーブ28Dは、第1カプラ本体28Aの先端面から所定量突出して配置される。
【0051】
コイルバネ28Eは、固定弁28Bの軸に沿って配置され、可動スリーブ28Dを第1カプラ本体28Aの先端面から突出する方向(
図5において上方向)に向けて付勢する。第1カプラ本体28Aの先端面から突出する方向は、開口部28dを閉じる方向である。
【0052】
以上のように構成される第1カプラ28は、コイルバネ28Eの付勢力に抗して、可動スリーブ28Dを押し込むことにより、開口部28dが開かれる。そして、その押し込む力を解放することにより、コイルバネ28Eの付勢力で可動スリーブ28Dが元の位置に自動復帰し、開口部28dが閉じられる。
【0053】
第2カプラ30は、圧力保持側のカプラである。第2カプラ30は、第2配管38を介してエアチャック22に接続される。第2配管38は、可撓性を有する配管で構成される。
【0054】
第2カプラ30は、
図5に示すように、第2カプラ本体30A、可動弁30B、可動弁支持プレート30C及びコイルバネ30D等を備えて構成される。
【0055】
第2カプラ本体30Aは、円筒状の形状を有し、その内部に可動弁30B、可動弁支持プレート30C及びコイルバネ30D等が配置される。第2カプラ本体30Aは、その先端中央に開口部30aを有する。開口部30aは、テーパ状の形状を有し、先端に向かって内周部の径が縮小する形状を有する。
【0056】
可動弁30Bは、円柱状の軸部30b1、及び、その軸部30b1の先端に備えられた弁部30b2を有する。弁部30b2は、先端の形状が、第2カプラ本体30Aの開口部30aの形状に対応した形状(円錘台形状)を有する。可動弁30Bは、第2カプラ本体30Aの軸に沿って配置され、かつ、軸に沿って移動自在に支持される。第2カプラ本体30Aの開口部30aは、可動弁30Bが軸に沿って進退移動することにより開閉される。
図5は、開口部30aが閉じた状態が示されている。開口部30aが閉じた状態において、弁部30b2は、その先端面が、第2カプラ本体30Aの先端面と同一面上に位置する(いわゆる面一の状態となる。)。
【0057】
可動弁支持プレート30Cは、可動弁30Bを支持する部材であり、可動弁30Bを軸に沿って移動自在に支持する。可動弁支持プレート30Cは、複数の開口(流路)30cを備えた円板状のプレートで構成され、第2カプラ本体30Aの内部に固定して設けられる。
【0058】
コイルバネ30Dは、可動弁30Bの軸に沿って配置され、可動弁30Bを第2カプラ本体30Aの先端の方向(
図5において下方向)に付勢する。第2カプラ本体30Aの先端の方向は、開口部30aを閉じる方向である。
【0059】
以上のように構成される第2カプラ30は、コイルバネ30Dの付勢力に抗して、可動弁30Bを押し込むことにより、開口部30aが開かれる。そして、その押し込む力を解放することにより、コイルバネ30Dの付勢力で可動弁30Bが元の位置に自動復帰し、開口部30aが閉じられる。
【0060】
図6は、カプラの動作説明図である。
図6(A)は、カプラを分離した状態を示している。
図6(B)は、カプラを接続した状態を示している。
【0061】
カプラ26の接続は、第1カプラ28及び第2カプラ30を同軸上で互いに対向させて配置し、一方を他方に向けて相対的に移動させることにより行われる。
図6は、第1カプラ28を第2カプラ30に向けて移動させることにより、接続する場合の例を示している。
【0062】
同軸上で第1カプラ28を第2カプラ30に向けて移動させると、
図6(B)に示すように、第1カプラ本体28Aの先端面と第2カプラ本体30Aの先端面とが互いに当接する。この状態において、第1カプラ28は、可動スリーブ28Dが第2カプラ本体30Aに押されて、後方(
図6において下方)に退避する。この結果、可動スリーブ28Dの開口部28dが開かれる。一方、第2カプラ30は、可動弁30Bが第1カプラ28の固定弁28Bに押されて、後方(
図6において上方)に退避する。この結果、第2カプラ本体30Aの開口部30aが開かれる。互いの開口部が開かれることにより、互いの流路(エア回路)が連通され、エアの供給及び排出が可能になる。
【0063】
接続を解除する場合は、第1カプラ28及び第2カプラ30を互いに離間させる。具体的には、第1カプラ28を第2カプラ30から離れる方向に移動させる。
【0064】
第1カプラ28及び第2カプラ30を離間させると、
図6(A)に示すように、第1カプラ28の可動スリーブ28Dが、コイルバネ28Eの付勢力により先端方向(
図6において上方向)に移動する。これにより、可動スリーブ28Dの開口部28dが、固定弁28Bによって閉じられる。また、第2カプラ30の可動弁30Bが、コイルバネ30Dの付勢力により先端方向(
図6において下方向)に移動する。これにより、第2カプラ本体30Aの開口部30aが、可動弁30Bによって閉じられる。第2カプラ本体30Aの開口部30aが閉じられることにより、第2カプラ30が接続されたエアチャック22の圧力状態が維持される。このように、第1カプラ28及び第2カプラ30は、互いに接続可能、かつ、圧力状態を保持して分離可能に構成される。
【0065】
エアチャック22によるワークWの保持は、次の手順で行われる。
【0066】
なお、エアチャック22は、アンクランプの状態(爪が開いた状態)にあるものとする。また、第1配管32は、主配管32Aの接続先が、給気配管32Pに設定されているものとする。
【0067】
まず、エアチャック22にワークWをセットする。次いで、カプラ26を接続する。すなわち、第1カプラ28及び第2カプラ30を互いに接続する。これにより、エアチャック22に対し、エアの供給が可能になる。カプラ26の接続後、圧縮エア源34からエアを供給し、エアチャック22を加圧する。これにより、エアチャック22が作動し、ワークWがエアチャック22にクランプされる。
【0068】
エアチャック22が規定の圧力まで加圧されると、エアの供給が停止される。この後、カプラ26を分離する。上記のように、第2カプラ30は、分離しても圧力状態が維持される。このため、エアチャック22の加圧状態が維持される。これにより、ワークWをクランプした状態を維持できる。すなわち、クランプによるロック状態を維持できる。
【0069】
ワークWのアンクランプは、次の手順で行われる。
【0070】
まず、ソレノイドバルブ36を駆動し、第1配管32における主配管32Aの接続先を排気配管32Rに切り替える。その後、カプラ26を接続する。すなわち、第1カプラ28及び第2カプラ30を互いに接続する。これにより、エアチャック22のエアが排気され、ワークWがアンクランプされる。エアの排気後、カプラ26を分離する。
【0071】
以上のように、カプラ26を接続することで、エアチャック22にエアを供給でき、かつ、エアチャック22からエアを排出できる。また、カプラ26は、分離しても圧力状態を保持できるので、圧縮エア源34から切り離しても、エアチャック22によるワークWの保持状態を維持できる。すなわち、クランプによるロック状態を維持できる。
【0072】
[カプラ自動接続機構]
給排気機構24は、カプラ26の接続及び分離を自動で行う機構を有する。カプラ26の接続及び分離は、カプラ自動接続機構40によって行われる。
【0073】
図2及び
図3に示すように、カプラ自動接続機構40は、第1カプラ28が装着される第1ブロック42、第2カプラ30が装着される第2ブロック44、テーブル12上で第2ブロック44を支持する第2ブロック支持部46、第1ブロック42をカプラ26の接続方向に沿って進退移動させる第1駆動ユニット48、第1駆動ユニット48を進退移動させる第2駆動ユニット54、第1カプラ28を第2カプラ30に接続する際に第2カプラ30の接続方向の後端部に当接して、第2カプラ30を支持するサポートピン60、及び、第1カプラ28を第2カプラ30に接続する際に第2カプラ30を所定位置に位置決めする位置決めピン62等を備える。
【0074】
第1ブロック42は、直方体状の形状を有する。第1ブロック42は、第1カプラ28の装着部を有する。また、第1ブロック42は、第1配管32の接続部を有する。第1ブロック42に接続された第1配管32は、第1ブロック42の内部に備えられた流路42A(
図5参照)を介して、第1カプラ28と接続される。第1カプラ28と第1ブロック42との一体物は、第1カプラ部の一例である。
【0075】
第2ブロック44は、直方体状の形状を有する。第2ブロック44は、第2カプラ30の装着部を有する。また、第2ブロック44は、第2配管38の接続部を有する。第2ブロック44に接続された第2配管38は、第2ブロック44の内部に備えられた流路44A(
図5参照)を介して、第2カプラ30と接続される。第2カプラ30と第2ブロック44との一体物は、第2カプラ部の一例である。
【0076】
第2ブロック支持部46は、テーブル12の所定の位置に設けられ、テーブル12に対し、所定の位置で第2ブロック44を支持する。また、テーブル12に対し、所定の姿勢で第2ブロック44を支持する。第2ブロック支持部46は、テーブル12に対し、板バネ46Aを介して、第2ブロック44を支持する。板バネ46Aは、テーブル12の回転軸θに対し、直交して配置される。すなわち、水平に配置される。板バネ46Aは、一方側の端部(基端部)が、テーブル12に固定される。より具体的には、一方側の端部が、テーブル12に取り付けられたブラケット46Bにネジでネジ止めされて、テーブル12に固定される。ブラケット46Bは、たとえば、テーブル12の側面にネジでネジ止めされる。したがって、ブラケット46Bは、テーブル12に対し着脱可能であり、また、板バネ46Aも、テーブル12に対し着脱可能である。第2ブロック44は、板バネ46Aの他方側の端部(先端部)にネジでネジ止めされて取り付けられる。
【0077】
第2ブロック支持部46に支持された第2ブロック44は、テーブル12の径方向の外側の領域に配置される。また、第2ブロック44に装着された第2カプラ30は、テーブル12の回転軸θに沿って下向き(鉛直下向き)に配置される。したがって、カプラ26の接続方向は、テーブル12の回転軸θに沿う方向(鉛直方向)に設定される。
【0078】
第2ブロック支持部46に支持された第2ブロック44は、板バネ46Aを介して、テーブル12に弾性的に支持される。なお、板バネ46Aが撓む方向は、テーブル12の回転軸θに沿った方向(鉛直方向)であり、カプラ26の接続方向に沿った方向である。本実施の形態において、第2ブロック支持部46は、第1支持部の一例である。
【0079】
第1駆動ユニット48は、第1フレーム50及び第1アクチュエータ52を備える。
【0080】
第1フレーム50は、第1アクチュエータ52を支持するフレームである。第1フレーム50は、互いに直交する水平部50H及び垂直部50Vを有し、全体として、L字状の形状を有する。第1フレーム50は、垂直部50Vが、テーブル12の回転軸θに沿って配置される。
【0081】
第1アクチュエータ52は、第1ブロック42をカプラ26の接続方向(鉛直方向)に沿って進退移動させる。第1アクチュエータ52は、たとえば、ロッドレスシリンダ(エアシリンダ)で構成され、固定部であるアクチュエータ本体52A、及び、可動部であるスライドテーブル52Bを有する。第1アクチュエータ52は、圧縮エアのエネルギで、スライドテーブル52Bがアクチュエータ本体52Aに対し直動する。第1アクチュエータ52は、スライドテーブル52Bが、カプラ26の接続方向(鉛直方向)に沿って移動するように、第1フレーム50の垂直部50Vに取り付けられる。本実施の形態において、第1アクチュエータ52は、第1駆動部の一例である。
【0082】
第1ブロック42は、スライドテーブル52Bに取り付けられて、スライドテーブル52Bと一体的に移動する。第1ブロック42は、第1カプラ28が、テーブル12の回転軸θに沿って鉛直上向きに配置されるように、スライドテーブル52Bに取り付けられる。これにより、第1カプラ28と第2カプラ30とを同軸上に位置させた際に、互いに対向するように配置できる。
【0083】
第2駆動ユニット54は、第2フレーム56及び第2アクチュエータ58を備える。
【0084】
第2フレーム56は、第2アクチュエータ58を支持するフレームである。第2フレーム56は、互いに直交する水平部56H及び垂直部56Vを有し、全体として、L字状の形状を有する。第2フレーム56は、垂直部56Vが、真円度測定装置1のベース10に取り付けられて、ベース10と一体化される。第2フレーム56の取り付けは、たとえば、ネジ56Aを利用して行われる。したがって、第2フレーム56は、ベース10に着脱可能に取り付けられる。ベース10に取り付けられた第2フレーム56は、水平部56Hがテーブル12の回転軸θと直交して配置される。
【0085】
第2アクチュエータ58は、第1駆動ユニット48をテーブル12に向けて、水平に進退移動させる。第2アクチュエータ58は、たとえば、ロッドレスシリンダ(エアシリンダ)で構成され、固定部であるアクチュエータ本体58A、及び、可動部であるスライドテーブル58Bを有する。第2アクチュエータ58は、圧縮エアのエネルギで、スライドテーブル58Bがアクチュエータ本体58Aに対し直動する。第2アクチュエータ58は、スライドテーブル58Bが、テーブル12の回転軸θと直交して配置されるように、第2フレーム56の水平部56Hに取り付けられる。また、第2アクチュエータ58は、スライドテーブル58Bが、X軸に沿って移動するように、第2フレーム56の水平部56Hに取り付けられる。本実施の形態において、第2アクチュエータ58は、第2駆動部の一例である。
【0086】
第1駆動ユニット48は、第1フレーム50の水平部50Hが、スライドテーブル58Bに取り付けられる。これにより、スライドテーブル58Bを移動させると、第1駆動ユニット48がテーブル12に向けて、水平に進退移動する。
【0087】
第1駆動ユニット48及び第2駆動ユニット54は、第1カプラ28が、テーブル12の径方向に沿って水平に進退移動するように、設置位置が調整される。本実施の形態では、
図3示すように、テーブル12の中心を通り、かつ、テーブル12の回転軸θと直交する直線Lに沿って、第1カプラ28が進退移動するように設置位置が調整される。特に、本実施の形態では、直線LがX軸に沿って設定される。したがって、第1カプラ28が、X軸に沿って進退移動するように、第1駆動ユニット48及び第2駆動ユニット54が設定される。
【0088】
サポートピン60は、第1駆動ユニット48に備えられる。サポートピン60は、第1アクチュエータ52のアクチュエータ本体52Aにブラケット60Aを介して取り付けられる。サポートピン60が取り付けられる位置は、第1カプラ28の接続方向の延長線上の位置である。本実施の形態では、第1カプラ28の鉛直上方にサポートピン60が配置される。サポートピン60は、たとえば、円柱状の形状を有し、Y方向に沿って配置される。サポートピン60は、第3支持部の一例である。
【0089】
位置決めピン62は、第1駆動ユニット48に備えられる。位置決めピン62は、第1フレーム50の垂直部50Vにブラケット62Aを介して取り付けられる。位置決めピン62が取り付けられる位置は、第1カプラ28と第2カプラ30とを同軸上に位置させた際に、位置決めピン62が第2ブロック44の側面に当接する位置である。位置決めピン62は、たとえば、円柱状の形状を有し、Z方向に沿って配置される。円柱状であるので、位置決めピン62は、第2ブロック44に対し線で接触する。
【0090】
また、本実施の形態において、位置決めピン62は、磁石で構成される。一方、第2ブロック44は、磁性体(たとえば、鉄)で構成される。これにより、第2ブロック44を位置決めピン62に磁着でき、第2カプラ30を所定位置に保持できる。また、位置決めピン62を磁石で構成し、第2ブロック44を磁性体で構成することにより、次の作用を奏する。すなわち、第2ブロック44を位置決めピン62に近づけると、磁力によって、第2ブロック44を自動的に位置決めピン62に引き寄せることができる。これにより、正確に位置合わせをしなくても、自動的に第2カプラ30を所定位置に位置決めできる。本実施の形態において、位置決めピン62は、位置決め部材の一例である。また、磁石で構成される位置決めピン62は、磁石部の一例である。また、磁性体で構成される第2ブロック44は、磁性体部の一例である。
【0091】
[カプラ自動接続機構によるカプラの接続]
カプラ自動接続機構40によるカプラ26の接続は、次のように行われる。
【0092】
カプラ26の接続は、第1カプラ28及び第2カプラ30を所定の給排気位置に位置させて行われる。まず、この給排気位置について説明する。
【0093】
上記のように、第2カプラ30は、第2ブロック支持部46を介して、テーブル12に取り付けられる。したがって、テーブル12と共に回転する。
図3に示すように、第2カプラ30は、テーブル12を回転させると、テーブル12の回転軸θを中心とする円Cに沿って回転する。円Cは、第2カプラ30の移動軌跡である。この円Cと直線Lとの交点(第1カプラ28側の交点)が、カプラ26の給排気位置Pである。給排気位置Pは、第1位置の一例である。
【0094】
第1カプラ28は、第2駆動ユニット54によって、直線Lに沿って進退移動することにより、給排気位置と待機位置との間を移動する。待機位置は、給排気位置から所定距離離間した位置に設定される。この位置は、テーブル12を回転させても、第2ブロック44が位置決めピン62等に接触しない位置である。
図2及び
図3は、第1カプラ28が、待機位置に位置した状態を示している。
【0095】
接続時以外、第1カプラ28は、待機位置に位置する。カプラ26を接続する場合は、まず、第2アクチュエータ58を駆動し、第1カプラ28を給排気位置Pに位置させる。第1カプラ28を給排気位置Pに位置させると、位置決めピン62が、第2カプラ30の移動軌跡(円C)上の所定の位置(「当接位置」という)に配置される。当接位置は、第2カプラ30が、給排気位置Pに位置した時に第2ブロック44が位置決めピン62に当接する位置である。なお、位置決めピン62は、第1カプラ28を待機位置に位置させると、第2カプラ30の移動軌跡上から退避し、所定位置(「非当接位置」という)に位置する。非当接位置は、テーブル12を回転させても、第2ブロック44が接触しない位置である。当接位置は、第2位置の一例である。非当接位置は、第3位置の一例である。なお、第1カプラ28を給排気位置Pに位置させる際、第2カプラ30は、給排気位置Pに位置していないものとする。たとえば、給排気位置Pから所定量回転した位置(特に、位置決めピン62の磁力が作用しない位置)に位置しているものとする。
【0096】
第1カプラ28を給排気位置Pに位置させた後、モータ14Mを駆動してテーブル12を回転させ、第2カプラ30を給排気位置Pに位置させる。この際、次のようにモータ14Mを駆動して、第2カプラ30を給排気位置Pに位置させる。すなわち、第2カプラ30が給排気位置Pに位置する手前でモータ14Mの駆動を停止し、テーブル12の回転方向の拘束力を無くす。第2カプラ30が給排気位置Pに位置する手前でモータ14Mの駆動を停止し、テーブル12の回転方向の拘束力を無くすと、第2ブロック44が、磁力によって位置決めピン62に引き寄せられ、位置決めピン62に磁着される。これにより、第2ブロック44が位置決めピン62に当接して停止する。また、これにより、第2カプラ30が給排気位置Pに位置する。
【0097】
モータ14Mの回転を停止させる位置は、給排気位置Pに対し、テーブル12の回転方向の上流側に設定され、かつ、位置決めピン62の磁力が作用する範囲内で設定される。すなわち、テーブル12の回転を停止させても、第2ブロック44を位置決めピン62の磁力で引き寄せて、位置決めピン62に磁着できる範囲内で設定される。
【0098】
図7及び
図8は、ワーク自動固定機構の正面図及び平面図である。
図7及び
図8は、第1カプラ及び第2カプラが給排気位置に位置した状態を示している。
【0099】
図7及び
図8に示すように、第1カプラ28及び第2カプラ30は、給排気位置Pに位置すると、互いに同軸上に配置される。また、第1カプラ28及び第2カプラ30は、給排気位置Pに位置すると、所定の隙間をもって互いに対向して配置される。
【0100】
また、
図7及び
図8に示すように、第2カプラ30が給排気位置Pに位置すると、第2ブロック44がサポートピン60の真下に位置する。この際、第2ブロック44は、非接触の状態でサポートピン60の真下に位置する。すなわち、第2ブロック44は、サポートピン60との間に微小な隙間をもって、サポートピン60の真下に配置される。
【0101】
第1カプラ28及び第2カプラ30を互いに給排気位置Pに位置させた後、第1アクチュエータ52を駆動し、第1カプラ28を第2カプラ30に向けて所定量移動させる。これにより、第1カプラ28と第2カプラ30とが接続される。
【0102】
接続の際、第2ブロック44の後端(上端)が、サポートピン60に当接し、接続がサポートされる。すなわち、第2カプラ30を押す力が、サポートピン60で受けられる。これにより、第1カプラ28及び第2カプラ30を確実に接続できる。
【0103】
ところで、上記のように、カプラ26は、第1カプラ28を第2カプラ30に押し付けて接続する。このため、第1カプラ28を第2カプラ30に接続すると、第2カプラ30に軸方向の力が作用する。しかし、本実施の形態の真円度測定装置1では、第2カプラ30が、テーブル12に対し、板バネ46Aを介して弾性的に支持されているため、接続の際に受ける力が、テーブル12に伝達されるのを抑制できる。これにより、テーブル12に不要な負荷がかかるのを抑制できる。このことは、テーブル12をエアベアリングで支持する場合に特に有効に作用する。すなわち、エアベアリングに対し、容量を超えた負荷が作用するのを抑止できる。特に、容量を超えた負荷が作用することで、テーブル12が傾き、支持部が損傷するのを効果的に抑止できる。
【0104】
カプラ26を分離する場合は、第1アクチュエータ52を駆動し、第1カプラ28を下方に向けて所定量移動させる。これにより、第1カプラ28が第2カプラ30から退避し、第1カプラ28と第2カプラ30とが分離する。
【0105】
カプラ26を分離後、第2アクチュエータ58を駆動し、第1カプラ28を待機位置に移動させる。すなわち、
図2及び
図3に示すように、第1駆動ユニット48の全体をテーブル12から離間させる。これにより、第2カプラ30の移動軌跡(円C)上から位置決めピン62が退避し、テーブル12を自由に回転させることが可能になる。
【0106】
[ワーク自動固定機構の制御系]
図9は、ワーク自動固定機構の制御系のブロック図である。
【0107】
ワーク自動固定機構20は、全体の動作をコントローラ70によって制御される。コントローラ70は、たとえば、プロセッサ及びメモリ等を備えたコンピュータで構成される。すなわち、コンピュータが、所定のプログラムを実行することで、コントローラ70として機能する。
【0108】
コントローラ70は、モータ14Mの駆動を制御して、テーブル12の回転を制御する。テーブル12は、回転位置検出器14Sによって、その回転位置が検出される。コントローラ70は、回転位置検出器14Sの検出結果に基づき、第2カプラ30の位置を検出する。
【0109】
コントローラ70は、圧縮エア源34の駆動を制御して、エアの供給を制御する。また、コントローラ70は、ソレノイドバルブ36を制御して、第1配管32の接続先の切り替えを制御する。第1配管32の接続先を圧縮エア源34とすることにより、エアチャック22への給気が可能になる。また、第1配管32の接続先を大気開放された排気配管32Rとすることにより、エアチャック22からの排気が可能になる。
【0110】
コントローラ70は、第2アクチュエータ58の駆動を制御して、第1駆動ユニット48がテーブル12に対し、進退移動するのを制御する。より具体的には、第1カプラ28が、待機位置と給排気位置Pとの間で進退移動するのを制御する。また、コントローラ70は、第1アクチュエータ52の駆動を制御して、第1カプラ28が、第2カプラ30に対し、進退移動するのを制御する。すなわち、カプラ26の接続及び分離を制御する。
【0111】
[ワーク自動固定機構の作用]
次に、ワーク自動固定機構20を用いたワークWの固定(クランプ)、及び、固定解除(アンクランプ)の動作について説明する。
【0112】
まず、ワーク自動固定機構20を用いて、ワークWを固定する方法について説明する。
【0113】
図10は、ワークを固定する動作の手順を示すフローチャートである。
【0114】
まず、エアチャック22にワークWが供給される(ステップS1)。ワークWの供給は、たとえば、ロボット等を用いて自動で行われる。なお、供給の際、エアチャック22は、アンクランプの状態にあるものとする。すなわち、3つの爪が開いた状態にあるものとする。ワークWは、エアチャック22の3つの爪の中央にセットされる。
【0115】
ワークWがエアチャック22に供給されると、第2アクチュエータ58が駆動され、第1カプラ28が待機位置から給排気位置Pに移動する(ステップS2)。第1カプラ28が給排気位置Pに位置することにより、位置決めピン62が当接位置に位置する。
【0116】
次に、テーブル12のモータ14Mが駆動され、第2カプラ30が給排気位置Pに移動する(ステップS3)。この際、上記のように、モータ14Mは、第2カプラ30が給排気位置Pに位置する手前で駆動が停止され、回転方向の拘束力が無くされる。第2カプラ30は、モータ14Mの駆動が停止された後、位置決めピン62の磁力によって移動する。そして、第2ブロック44が位置決めピン62に磁着されることで、給排気位置Pで停止し、停止状態が保持される。
【0117】
第2カプラ30が給排気位置Pに位置すると、
図7及び
図8に示すように、第1カプラ28と第2カプラ30とが、同軸上に配置され、かつ、所定の隙間をもって互いに対向して配置される。この後、カプラ26が接続される(ステップS4)。カプラ26は、第1アクチュエータ52によって第1カプラ28を第2カプラ30に向けて所定量移動させることにより、接続される。これにより、エアチャック22に対し、エアの供給が可能になる。
【0118】
カプラ26の接続後、ソレノイドバルブ36を制御し、第1配管32の接続先を圧縮エア源34に設定する(ステップS5)。その後、圧縮エア源34を駆動し、エアチャック22にエアを供給する。エアチャック22にエアが供給されることにより、エアチャック22にセットされたワークWが、エアチャック22にクランプされる。
【0119】
エアチャック22に所定量のエアが供給されると、エアの供給が停止される。すなわち、圧縮エア源34の駆動が停止される。この後、カプラ26が分離される(ステップS7)。カプラ26は、第1アクチュエータ52によって、第1カプラ28を所定量下降させ、第2カプラ30から退避させることにより、分離される。
【0120】
上記のように、本実施の形態のカプラ26は、いわゆるノンリーク型のカプラで構成されている。このため、加圧分離できる。すなわち、分離後もエアチャック22の圧力状態(加圧状態)を維持できる。これにより、カプラ26の分離後もワークWのクランプ状態を維持できる。
【0121】
カプラ26の分離後、第2アクチュエータ58が駆動され、
図2及び
図3に示すように、第1カプラ28が給排気位置Pから待機位置に移動する(ステップS8)。第1カプラ28が待機位置に移動することにより、位置決めピン62が非当接位置に移動する。すなわち、第2カプラ30の移動軌跡(円C)上から退避した位置に移動する。これにより、テーブル12の回転が可能になる。
【0122】
この後、検出器16を用いて、ワークWの測定が行われる。
【0123】
次に、ワークWの固定を解除する方法について説明する。
【0124】
図11は、ワークの固定を解除する動作の手順を示すフローチャートである。
【0125】
測定が終了すると、まず、第2アクチュエータ58が駆動され、第1カプラ28が待機位置から給排気位置Pに移動する(ステップS11)。第1カプラ28が給排気位置Pに位置することにより、位置決めピン62が当接位置に位置する。
【0126】
次に、テーブル12のモータ14Mが駆動され、第2カプラ30が給排気位置Pに移動する(ステップS12)。これにより、カプラ26の接続が可能になる。
【0127】
この後、カプラ26が接続される(ステップS13)。すなわち、第1カプラ28が第2カプラ30に向かって所定量移動し、第2カプラ30に接続される。
【0128】
カプラ26の接続後、ソレノイドバルブ36を制御し、第1配管32の接続先を排気配管32Rに設定する(ステップS14)。これにより、エアチャック22のエアが排出され、ワークWの把持が解除される。すなわち、ワークWがアンクランプされる。
【0129】
この後、カプラ26が分離される(ステップS15)。すなわち、第1カプラ28が所定量下降し、第2カプラ30から退避する。
【0130】
カプラ26の分離後、第2アクチュエータ58が駆動され、
図2及び
図3に示すように、第1カプラ28が給排気位置Pから待機位置に移動する(ステップS16)。第1カプラ28が待機位置に移動することにより、位置決めピン62が非当接位置に移動する。
【0131】
この後、エアチャック22からワークWが回収される(ステップS17)。供給の場合と同様に、ワークWの回収は、たとえば、ロボットを用いて自動で行われる。
【0132】
以上説明したように、本実施の形態の真円度測定装置1によれば、ワーク自動固定機構20により、ワークWの固定及び固定解除を自動で行うことができる。これにより、ワークWの供給及び回収を自動化でき、測定を自動化できる。
【0133】
また、第2カプラ30をテーブル12に対し弾性的に支持することで、テーブル12に不要な負荷をかけることなく、カプラ26を接続及び分離できる。これにより、たとえば、エアベアリングを介してテーブル12を支持する場合であっても、安定して支持できる。
【0134】
更に、ワーク自動固定機構20は、いわゆる外付けのユニットとして、テーブル12ないしベース10に着脱可能に取り付けられるため、装置に特別な改造を施すことなく使用できる。すなわち、既存の真円度測定装置にも使用できる。
【0135】
[変形例]
[カプラの接続方向の設定]
上記実施の形態では、カプラ26の接続方向とテーブル12の回転軸θの方向(鉛直方向)とを一致させているが、カプラ26の接続方向の設定は、これに限定されるものでない。たとえば、テーブル12の回転軸θと直交する方向に設定することもできる。
【0136】
図12及び
図13は、カプラの接続方向の設定の他の一例を示す平面図である。
図12及び
図13は、カプラ26の接続方向をY方向とした場合の例を示している。この場合、第1カプラ28をY方向に沿って移動させて、カプラ26を接続する。なお、
図12は、第1カプラ28を待機位置に位置させた状態を示している。また、
図13は、第1カプラ28を第2カプラ30に接続させた状態を示している。
【0137】
第1カプラ28をY方向に沿って移動させて、カプラ26を接続するため、第1カプラ28は、Y方向に沿って配置される。また、第2カプラ30は、テーブル12の回転軸θに対し直交して配置され、かつ、テーブル12の回転軸θを中心とする円の接線方向に沿って配置される。
【0138】
また、第1カプラ28をY方向に沿って移動させるため、第1駆動ユニット48は、Y方向に沿って配置される。すなわち、第1カプラ28がY方向に沿って移動するように、第1アクチュエータ52が第1フレーム50に取り付けられる。
【0139】
また、第2ブロック支持部46の板バネ46Aは、カプラ26を接続する際に、接続方向に撓むように取り付けられる。具体的には、テーブル12の径方向に沿って配置される。
【0140】
本例のカプラ自動接続機構40では、位置決めピンがなく、サポートピン60が、位置決めピンの機能を兼用している。したがって、本例では、サポートピン60が、磁石で構成される。
【0141】
カプラ26の接続は、次のように行われる。
【0142】
まず、モータ14Mを駆動してテーブル12を回転させ、第2カプラ30を所定位置で停止させる。この位置は、第2カプラ30と第2ブロック44との一体物が、第1カプラ28とサポートピン60との間に配置される位置である。
【0143】
次に、第2アクチュエータ58を駆動して、第1駆動ユニット48をテーブル12に向けて前進させ、第1カプラ28を所定位置に位置させる。この位置を本例での第1カプラ28の給排気位置とする。第1カプラ28が給排気位置に位置すると、第2ブロック44がサポートピン60に磁着され、第2カプラ30が、所定の姿勢で所定位置に位置する。この位置を本例での第2カプラ30の給排気位置とする。第2カプラ30は、給排気位置に位置すると、Y方向に沿って配置される。そして、第1カプラ28及び第2カプラ30が、共に給排気位置に位置すると、互いに同軸上に配置され、かつ、所定の間隔をもって互いに対向して配置される。この状態で第1アクチュエータ52を駆動し、第1カプラ28を第2カプラ30に向けて所定量移動させると、第1カプラ28が第2カプラ30に接続される。
【0144】
このように、第1カプラ28を水平方向に移動させて、カプラ26を接続する構成とすることもできる。
【0145】
[位置決めピン]
上記実施の形態では、サポートピン60及び位置決めピン62を含む第1駆動ユニット48の全体をテーブル12に対し進退移動させる構成としているが、位置決めピン62のみテーブル12に対し進退移動させる構成とすることもできる。すなわち、実質的にテーブル12の回転を阻害するのは、位置決めピン62だけであるので、位置決めピン62のみを第2カプラ30の移動軌跡上から退避できるように構成する。この場合、サポートピン60を含む第1駆動ユニット48は、一定位置に固定する。なお、サポートピン60及び第1カプラ28は、テーブル12の回転を阻害しないように(第2カプラ30が接触しないように)、その間隔を十分に確保して設置することが好ましい。また、必要に応じて、サポートピン60も進退移動できる構成とすることが好ましい。
【0146】
また、位置決めピン62のみ移動させる構成において、位置決めピン62を移動させる方向は、特に限定されない。たとえば、テーブル12の回転軸θに沿って位置決めピン62を進退移動させて、当接位置と非当接位置と間を移動させる構成としてもよい。
【0147】
また、上記実施の形態では、第2ブロック44を磁着させるために、位置決めピン62自体を磁石で構成しているが、位置決めピン62の一部を磁石で構成することもできる。また、たとえば、磁性体で構成した位置決めピン62に磁石を内蔵させて、磁力を発生させる構成とすることもできる。同様に、第2ブロック44は、一部のみを磁性体で構成することもできる。たとえば、位置決めピン62に当接する部分のみを磁性体で構成することもできる。
【0148】
また、上記実施の形態では、位置決めピン62側を磁石で構成しているが、第2ブロック側44を磁石で構成することもできる。
【0149】
[第2カプラの支持構造]
上記実施の形態では、板バネ46Aを介して、第2カプラ30を支持する構成としているが、第2カプラ30を支持する構成は、これに限定されるものではない。第2カプラ30を弾性的に支持できる構成であればよい。たとえば、コイルバネを介して、弾性的に支持する構成とすることができる。また、バネ以外にもゴム、エラストマ等の弾性体を介して、弾性的に支持する構成とすることもできる。
【0150】
[第1アクチュエータ及び第2アクチュエータ]
上記実施の形態では、第1アクチュエータ52及び第2アクチュエータ58をロッドレスシリンダで構成しているが、第1アクチュエータ52及び第2アクチュエータ58の構成は、これに限定されるものではない。この他、たとえば、リニアモータ、送りねじ機構等で駆動する構成することもできる。
【0151】
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態では、第2カプラ30側を弾性的に支持することにより、カプラ26の接続時にテーブル12に不要な負荷がかかるのを抑止している。本実施の形態では、第1カプラ28側を弾性的に支持する。具体的には、第1アクチュエータ52を第1フレーム50に対し弾性的に支持する。
【0152】
なお、第1カプラ28及び第2カプラ30の支持構造以外は、上記第1の実施の形態の真円度測定装置1の構成と実質的に同じである。したがって、以下においては、第1カプラ28及び第2カプラ30の支持構造についてのみ説明する。
【0153】
図14は、真円度測定装置の要部の構成を示す正面図である。
【0154】
図14に示すように、本実施の形態の真円度測定装置では、第1アクチュエータ52が、第1フレーム50に対し、弾性支持部80を介して、弾性的に支持される。
【0155】
弾性支持部80は、主支持部82及び補助支持部84で構成される。本実施の形態において、弾性支持部80は、第2支持部の一例である。
【0156】
主支持部82は、板バネ82Aを介して、第1アクチュエータ52を弾性的に支持する。板バネ82Aは、一端がブラケット82Bを介して、第1アクチュエータ52のアクチュエータ本体52Aに固定される。また、板バネ82Aは、他端が第1フレーム50の垂直部50Vの頂部に固定される。これにより、第1アクチュエータ52が、第1フレーム50に対し、弾性的に支持される。なお、板バネ46Aが撓む方向は、テーブル12の回転軸θに沿った方向(鉛直方向)である。この方向は、カプラ26の接続方向に沿った方向である。
【0157】
補助支持部84は、主支持部82による第1アクチュエータ52の支持を補助する。補助支持部84は、コイルバネ84Aを有し、そのコイルバネ84Aによって、第1アクチュエータ52及びその装着物の自重を支持する。
【0158】
第1アクチュエータ52は、補助支持部84で支持されることにより、無負荷状態において、実質的にZ方向(鉛直方向)に沿って支持される。したがって、第1カプラ28も、無負荷状態において、実質的にZ方向に沿って支持される。
【0159】
第2カプラ30は、ブラケット86を介して、テーブル12に固定される。ブラケット86は、テーブル12の側面にネジでネジ止めされて、テーブル12に固定される。したがって、第2カプラ30は、テーブル12に対し、着脱できる。
【0160】
カプラ26の接続方法は、上記第1の実施の形態の真円度測定装置1と同じである。
【0161】
まず、第2アクチュエータ58を駆動し、第1カプラ28を給排気位置Pに位置させる。第1カプラ28を給排気位置Pに位置させると、位置決めピン62が、第2カプラ30の当接位置に配置される。
【0162】
次に、テーブル12のモータ14Mを駆動し、テーブル12を回転させて、第2カプラ30を給排気位置Pに位置させる。上記第1の実施の形態と同様に、モータ14Mは、第2カプラ30が給排気位置Pに位置する手前で駆動を停止する。第2カプラ30は、第2ブロック44が位置決めピン62に磁着されることにより、給排気位置Pで停止して保持される。
【0163】
第1カプラ28及び第2カプラ30が、共に給排気位置Pに位置することにより、互いに同軸上に配置され、かつ、所定の隙間をもって互いに対向して配置される。
【0164】
この後、第1アクチュエータ52を駆動し、第1カプラ28を第2カプラ30に向けて所定量移動させる。これにより、第1カプラ28と第2カプラ30とが接続される。接続の際、第2カプラ30に軸方向の力が作用するが、弾性支持部80により、その力がテーブル12に伝達されるのが抑制される。
【0165】
カプラ26を分離する場合は、第1アクチュエータ52を駆動し、第1カプラ28を下方に向けて所定量移動させる。これにより、第1カプラ28が第2カプラ30から退避し、第1カプラ28と第2カプラ30とが分離する。
【0166】
カプラ26を分離後、第2アクチュエータ58を駆動し、第1カプラ28を待機位置に移動させる。これにより、第2カプラ30の移動軌跡上から位置決めピン62が退避し、テーブル12を自由に回転させることが可能になる。
【0167】
なお、第1の実施の形態の変形例は、本実施の形態の真円度測定装置にも適宜適用可能である。
【0168】
[第3の実施の形態]
図15は、真円度測定装置の要部の構成を示す断面図である。
【0169】
本実施の形態の真円度測定装置は、エアチャック22にエアを供給及び排出する機構が、装置本体に組み込まれた構成の真円度測定装置である。
【0170】
図15に示すように、テーブル12は、エアベアリング110を介して、ベース10に支持される。エアベアリング110は、軸部110Aと軸受部110Bとの間に圧縮エアを送り込み、エア圧を利用して、軸部110Aを非接触で支持する。圧縮エアは、図示しないエア源から供給される。なお、この種のエアベアリング110は、公知である。よって、その詳細な構成についての説明は省略する。また、軸受はエアベアリング110に限定されず、エア(空気)以外の気体を用いる気体ベアリングを用いることも可能である。エアベアリング110は、軸受部110Bが、ベース10に設けられた第1支持フレーム112Aに固定される。また、エアベアリング110は、軸部110Aにテーブル12が接続される。テーブル12は、軸部110Aの同軸上に接続される。これにより、エアベアリング110を介して、テーブル12がベース10に支持される。
【0171】
テーブル12は、モータ14Mに駆動されて回転する。モータ14Mの回転は、回転伝達機構114を介して、テーブル12に伝達される。回転伝達機構114は、ドライブシャフト116、ケレー118、ケレーピン120、従動側プーリ122、駆動側プーリ124及び駆動ベルト126等を備える。
【0172】
ドライブシャフト116は、第1支持フレーム112Aに取り付けられた第2支持フレーム112Bにベアリング128を介して回転自在に支持される。ドライブシャフト116は、エアベアリング110の下部同軸上に配置される。よって、ドライブシャフト116は、テーブル12と同軸上に配置される。
【0173】
ケレー118は、ドライブシャフト116に取り付けられる。ケレー118は、先端に溝部118Aを有する。ケレーピン120は、エアベアリング110の軸部110Aに取り付けられる。ケレーピン120は、先端(下端)に球状のボール部120Aを有する。ケレーピン120のボール部120Aが、ケレー118の溝部118Aに挿入されることにより、ケレー118とケレーピン120とが回転伝達可能に接続される。そして、ケレー118とケレーピン120とが接続されることにより、ドライブシャフト116とエアベアリング110の軸部110Aとが、回転伝達可能に接続される。
【0174】
従動側プーリ122は、ドライブシャフト116に取り付けられる。駆動側プーリ124は、モータ14Mの出力軸に取り付けられる。駆動ベルト126は、従動側プーリ122と駆動側プーリ124とに巻きかけられる。これにより、モータ14Mを駆動すると、その回転が駆動側プーリ124から駆動ベルト126を介して従動側プーリ122に伝達され、ドライブシャフト116が回転する。そして、ドライブシャフト116が回転することにより、エアベアリング110の軸部110Aが回転し、更に、その軸部110Aに接続されたテーブル12が回転する。
【0175】
ドライブシャフト116は、中空状であり、内部に流路116Aを有する。ドライブシャフト116の下端部には、第2ブロック44を介して、第2カプラ30が一体的に取り付けられる。ドライブシャフト116に取り付けられた第2カプラ30は、ドライブシャフト116と同軸上に配置され、かつ、鉛直下向きに配置される。また、ドライブシャフト116に取り付けられた第2カプラ30は、第2ブロック44を介して、ドライブシャフト116の流路116Aと連通される。なお、ドライブシャフト116は、テーブル12と同軸上に配置されているので、第2カプラ30もテーブル12と同軸上に配置される。すなわち、第2カプラ30は、テーブル12の回転軸上に配置される。
【0176】
ドライブシャフト116の上端には、コネクタ130を介して、可撓性を有する中継用配管132が接続される。中継用配管132は、他端がテーブル12の下面中央に備えられた第1接続口12Aに接続される。テーブル12は、内部に流路12Bを有し、流路12Bの一端が第1接続口12Aに連通される。流路12Bの他端は、テーブル12の側面に備えられた第2接続口12Cに連通される。エアチャック22は、テーブル12の第2接続口12Cに可撓性を有する接続用配管134を介して接続される。これにより、エアチャック22と第2カプラ30とが接続される。本実施の形態において、エアチャック22と第2カプラ30との間を繋ぐ配管類(ドライブシャフト116の流路116A、中継用配管132、テーブル12の流路12B、及び、接続用配管134等)は、第2配管の一例である。
【0177】
第1カプラ28は、第1ブロック42に装着されて、第2カプラ30の下部同軸上に配置される。第1カプラ28は、鉛直上向きに配置され、第2カプラ30に対し、所定の隙間をもって対向して配置される。
【0178】
第1カプラ28は、アクチュエータ136に駆動されて、鉛直方向(Z方向)に進退移動する。具体的には、鉛直方向に進退移動することにより、接続位置と分離位置との間を移動する。第1カプラ28は、接続位置に位置することにより、第2カプラ30と接続される。また、分離位置に位置することにより、第2カプラ30から所定距離離間する。すなわち、分離位置に位置することにより、第2カプラ30から分離される。
図15は、第1カプラ28が分離位置に位置した状態が示されている。アクチュエータ136は、たとえば、シリンダ(一例としてエアシリンダ)で構成され、可動部であるロッド部分に、ブラケット138を介して、第1ブロック42が接続される。本実施の形態において、アクチュエータ136は、第1駆動部の一例である。アクチュエータ136は、図示しないブラケットを介して、ベース10に固定される。
【0179】
カプラ26を含む給排気の機構は、以上のように構成される。カプラ26の接続は、次のように行われる。
【0180】
カプラ26を接続する場合は、アクチュエータ136を駆動して、第1カプラ28を接続位置に移動させる。これにより、第1カプラ28が第2カプラ30に接続される。
【0181】
給気する場合は、ソレノイドバルブ36によって、第1配管32の接続先を圧縮エア源34に設定し、圧縮エア源34からエアを供給する。
【0182】
排気する場合は、ソレノイドバルブ36によって、第1配管32の接続先を大気開放された排気配管32Rに設定する。
【0183】
カプラ26を分離する場合は、アクチュエータ136を駆動して、第1カプラ28を分離位置に移動させる。これにより、第1カプラ28が第2カプラ30から分離される。
【0184】
以上説明したように、本実施の形態の真円度測定装置においても、エアチャック22の給排気を自動で行うことができる。これにより、ワークWの固定及び固定解除を自動で行うことができる。
【0185】
本実施の形態の真円度測定装置では、カプラ26の接続及び分離が、エアベアリング110の同軸上で行われる。これにより、カプラ26を接続及び分離する際に、テーブル12が傾くのを抑止できる。また、これによりテーブル12の支持部が損傷するのを抑止できる。
【0186】
なお、本実施の形態では、アクチュエータ136としてシリンダを採用しているが、アクチュエータ136の構成は、これに限定されるものではない。この他、たとえば、リニアモータ、送りねじ機構等で駆動する構成とすることもできる。
【0187】
[その他の実施の形態]
[ワークの保持部]
上記実施の形態では、エアチャック22を用いてワークWを保持する場合について説明したが、テーブル12上でワークWを保持する手段(保持部)は、これに限定されるものではない。エアの供給により作動し、加圧状態を保持することにより、ワークWを保持する構成、あるいは、エアの吸引により作動し、負圧状態を保持することにより、ワークWを保持する構成のものであればよい。
【0188】
気体の供給により作動する構成の保持部には、例えば、窒素ガス等の空気以外の気体を供給して作動する構成の保持部が含まれる。
【0189】
エアの吸引により作動する構成の保持部としては、たとえば、真空チャック等を例示できる。この場合、圧縮エア源34に代えて、エジェクタ等で構成される吸引源が気体圧力源として用いられる。吸引源は、負圧を発生させる気体圧力源の一例である。
【0190】
[測定装置]
上記実施の形態では、本発明を真円度測定装置に適用した場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。回転可能なテーブルを備え、そのテーブル上に保持された測定対象物を測定する測定装置に適用できる。したがって、たとえば、回転可能なテーブルを備えた三次元測定装置にも適用できる。
【0191】
また、上記実施の形態では、いわゆる接触式の真円度測定装置に本発明を適用した場合を例に説明したが、本発明は、いわゆる非接触式の真円度測定装置にも適用できる。非接触式の真円度測定装置は、たとえば、レーザ変位計などの光学式のセンサを用いて、ワークWの表面の変位を検出する。
【0192】
さらに、本発明に係るワーク固定機構が適用される装置は真円度測定装置に限定されない。例えば、ワークを固定かつ回転させて処理(例えば、測定又は加工等)する装置、例えば、形状測定装置、回転加工装置又は旋盤加工装置等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0193】
1…真円度測定装置、10…ベース、12…テーブル、12A…第1接続口、12B…流路、12C…第2接続口、14…テーブル回転機構、14M…モータ、14S…回転位置検出器、16…検出器、16A…触針、18…検出器移動機構、18A…コラム、18B…キャリッジ、18C…アーム、18D…検出器ホルダ、20…ワーク自動固定機構、22…エアチャック、24…給排気機構、26…カプラ、28…第1カプラ、28A…第1カプラ本体、28B…固定弁、28C…固定弁支持プレート、28D…可動スリーブ、28E…コイルバネ、28b1…固定弁の軸部、28b2…固定弁の弁部、28d…可動スリーブの開口部、30…第2カプラ、30A…第2カプラ本体、30B…可動弁、30C…可動弁支持プレート、30D…コイルバネ、30a…第2カプラ本体の開口部、30b1…軸部、30b2…弁部、32…第1配管、32A…主配管、32P…給気配管、32R…排気配管、34…圧縮エア源、36…ソレノイドバルブ、38…第2配管、40…カプラ自動接続機構、42…第1ブロック、42A…第1ブロックの流路、44…第2ブロック、44A…第2ブロックの流路、46…第2ブロック支持部、46A…板バネ、46B…ブラケット、48…第1駆動ユニット、50…第1フレーム、50H…第1フレームの水平部、50V…第1フレームの垂直部、52…第1アクチュエータ、52A…第1アクチュエータのアクチュエータ本体、52B…第1アクチュエータのスライドテーブル、54…第2駆動ユニット、56…第2フレーム、56A…ネジ、56H…第2フレームの水平部、56V…第2フレームの垂直部、58…第2アクチュエータ、58A…第2アクチュエータのアクチュエータ本体、58B…第2アクチュエータのスライドテーブル、60…サポートピン、60A…ブラケット、62…位置決めピン、62A…ブラケット、70…コントローラ、80…弾性支持部、82…主支持部、82A…板バネ、82B…ブラケット、84…補助支持部、84A…コイルバネ、86…ブラケット、110…エアベアリング、110A…エアベアリングの軸部、110B…エアベアリングの軸受部、112A…第1支持フレーム、112B…第2支持フレーム、114…回転伝達機構、116…ドライブシャフト、116A…流路、118…ケレー、118A…ケレーの溝部、120…ケレーピン、120A…ケレーピンのボール部、122…従動側プーリ、124…駆動側プーリ、126…駆動ベルト、128…ベアリング、130…コネクタ、132…中継用配管、134…接続用配管、136…アクチュエータ、138…ブラケット、C…第2カプラの移動軌跡、P…給排気位置、W…ワーク、θ…テーブルの回転軸