IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェーの特許一覧

特開2024-120932金属含有材料ならびに金属含有材料を含む膜および構造体を形成するための周期的堆積方法
<>
  • 特開-金属含有材料ならびに金属含有材料を含む膜および構造体を形成するための周期的堆積方法 図1
  • 特開-金属含有材料ならびに金属含有材料を含む膜および構造体を形成するための周期的堆積方法 図2
  • 特開-金属含有材料ならびに金属含有材料を含む膜および構造体を形成するための周期的堆積方法 図3
  • 特開-金属含有材料ならびに金属含有材料を含む膜および構造体を形成するための周期的堆積方法 図4
  • 特開-金属含有材料ならびに金属含有材料を含む膜および構造体を形成するための周期的堆積方法 図5
  • 特開-金属含有材料ならびに金属含有材料を含む膜および構造体を形成するための周期的堆積方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120932
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】金属含有材料ならびに金属含有材料を含む膜および構造体を形成するための周期的堆積方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20240829BHJP
   C23C 16/18 20060101ALI20240829BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/18
H01L21/31 B
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024100695
(22)【出願日】2024-06-21
(62)【分割の表示】P 2020570771の分割
【原出願日】2019-06-21
(31)【優先権主張番号】62/690,478
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カチャ・ヴァイネン
(72)【発明者】
【氏名】ティモ・ハタンパ
(72)【発明者】
【氏名】ミッコ・リタラ
(72)【発明者】
【氏名】マルック・レスケラ
(57)【要約】
【課題】金属含有材料を堆積させる方法が開示される。
【解決手段】本方法は、周期的堆積技術の用途、例えば、周期的化学気相堆積および周期的原子層堆積を含むことができる。金属含有材料は、金属間化合物を含むことができる。金属含有材料を含む構造、および材料を形成するためのシステムも開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属間化合物を堆積させるための周期的堆積プロセスであって、前記周期的堆積方法は、
第一の金属を含む第一の気相反応物質を反応チャンバーに供給し、基材の表面と反応させて第一の金属種を形成する工程と、
第二の金属を含む第二の気相反応物質を前記反応チャンバーに供給して、前記第一の金属種と反応させ、それにより前記金属間化合物を形成する工程と、を含む、周期的堆積プロセス。
【請求項2】
前記第二の気相反応物質は金属含有有機化合物を含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項3】
前記第二の気相反応物質は、式R-M-H(式中、Rは有機基であり、Mは金属である)を有する化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項4】
前記第二の金属は、Sn、In、Al、Ga、Ge、As、Sb、Pb、およびBiからなる群から選択される、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項5】
式R-M-Hを有する化合物からなる群は、式R(X-n)-M-H(式中、Xは金属のホルマール酸化状態であり、nは1~5である)を有する、請求項3に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項6】
Rは、C1~C5アルキル基からなる群から互いに独立して選択される、請求項3および5のいずれか一項に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項7】
Rは、別のドナー官能性を有するまたは有さない、シクロペンタジエニル、アミド、アルコキシ、アミジナート、グアニジナト、イミド、カルボキシラト、β-ジケトナト、β-ケトイミナト、マロナト、β-ジケチミナト基である、請求項3および5のいずれか一項に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項8】
前記第二の気相反応物質は、金属還元剤を含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項9】
前記第一の気相反応物質は、相当する金属塩化物のジアミン付加体を含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項10】
前記第一の気相反応物質は、二座窒素含有付加体配位子を含む金属ハロゲン化物化合物を含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項11】
前記第一の気相反応物質は、塩化コバルト(TMEDA)および塩化ニッケル(TMPDA)のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項12】
前記第二の気相反応物質は、TBTHを含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項13】
金属含有材料を形成するための周期的堆積プロセスであって、前記周期的堆積プロセスは、
第一の金属を含む第一の気相前駆体を反応チャンバーに供給して第一の金属種を形成することと、
前記第一の金属種と反応させ、それにより前記金属含有材料を形成するために、一般式R-M-H(式中、Rは有機基であり、Mは金属である)を有する化合物を含む第二の気相反応物質を供給することと、を含み、
前記反応チャンバー内の温度は、0℃よりも高く600℃未満である、周期的堆積プロセス。
【請求項14】
前記金属含有材料は、元素金属を含む、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項15】
前記第一の金属は、Sn、In、Ga、Al、Ge、As、Sb、Pb、およびBiからなる群から選択される、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項16】
一般式R-M-Hを有する前記化合物は、式R(X-n)-M-H(式中、Xは金属のホルマール酸化状態であり、nは1~5である)を有する、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項17】
前記第一の気相反応物質は、相当する金属塩化物のジアミン付加体を含む、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項18】
前記第一の気相反応物質は、塩化コバルト(TMEDA)および塩化ニッケル(TMPDA)のうちの少なくとも一つを含む、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項19】
前記第二の気相反応物質は、TBTHを含む、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項20】
請求項1~19のうちの一項または複数項に記載の前記膜を含むデバイス構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
共同研究契約の当事者
本願で特許請求される発明は、ヘルシンキ大学(the University of Helsinki)とASM Microchemistry Oyとの間の共同研究協約によって、又は共同研究協約のために、及び/又は共同研究協約に関連してなされた。当協約は、特許請求される発明がなされた日及びその日以前に発効しており、特許請求される発明は、当協約の範囲内で取り組まれた活動の結果としてなされたものである。
【0002】
本開示は、概ね、基材の表面上に金属含有材料を堆積させるための方法、金属含有材料を含む膜および構造体、ならびに金属含有材料を堆積させるための反応器およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
金属含有材料の堆積は、様々なデバイス、例えば、半導体デバイス、フラットパネル表示デバイス、光起電力デバイス、マイクロ電気機械システム(MEMS)、磁気抵抗デバイス、超電導性デバイス、エネルギー(例えば、水素)貯蔵デバイス、リチウムもしくはナトリウムイオン電池等の製造、および/または触媒材料を形成するために使用されることができる。多くの用途では、多くの場合、三次元形体、例えばトレンチおよび/または突起を含んでもよい表面上に金属含有材料を堆積させることが望ましい。これは、均一および/または共形で、比較的高いアスペクト比を有することができる。
【0004】
最近、それらの比較的独特な物理的および化学的特性のために、様々なデバイスの形成に金属間化合物を使用する可能性に関心が高まっている。金属間化合物は一般的に、同じ金属で形成された合金とは異なる可能性がある特定の規則配列結晶構造を有している。特定の構造は、非金属間化合物よりも優れた材料特性をもたらす可能性がある。このような特性としては、例えば、磁気抵抗、超電導性、触媒活性、および水素貯蔵能力が挙げられる。例として、化学量論を変化させるCoまたはNiおよびSnを含む金属間化合物が、LiおよびNaイオン電池のアノード材料として、磁気デバイスの強磁性材料として、および触媒目的で研究されてきた。
【0005】
材料の金属間CoSnおよびNiSn相を含む金属含有材料、例えば、化学量論を変化させるCo-SnおよびNi-Snは、一般的に、例えば、ボールミル粉砕、アーク溶解、様々な溶液ベースの技術、ソルボサーマルおよび水熱法、電着、スパッタリング、および電子ビーム蒸着によって調製されてきた。MeSnCo(CO)およびPhSnCo(CO)の二つの単一供給源反応物質からの化学蒸着(CVD)を使用して、1:1の化学量論およびCoSnの微量成分のみを有するCoとSnの合金を堆積させた。NiSn、NiSn、およびNiSnも、SnMeおよびNi基材を使用したCVDにより堆積された後、高温で水素処理された。このような技術を使用して金属間化合物を形成することができるが、このような技術は一般的に、基材の表面上に金属間化合物の均一な共形膜を形成するのにはあまり適していない。
【0006】
周期的堆積技術、例えば原子層堆積を使用して、制御された再現可能な方法で、基材表面上の複雑な三次元構造上に比較的均一(例えば、均一な結晶構造、均一な組成、および/または均一な厚さ)で共形に材料を堆積させることができる。しかし、このような技術は、一般的に、金属間化合物を含むいくつかの金属含有材料を堆積させるために使用されていない。むしろ、特に金属間化合物は、典型的には、別の技術を使用して形成され、および/または多くの場合、別の高温プロセスを必要とする。
【0007】
したがって、金属含有材料、例えば金属間化合物を形成するための改善された方法が望まれている。さらに、金属含有材料の均一および/または共形な膜を形成するための改善された技術が望まれる。
【0008】
この節において提供される問題の考察は、本発明に関する文脈を提供する目的のみに本開示に含まれており、本発明がなされた時点での考察の一部またはすべてが既知であるとの承認として取られるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の概要は、概念の選択を簡略化した形で紹介するように提供する。これらの概念について、以下の本開示の例示的な実施形態の「発明を実施するための形態」において、更に詳細に説明される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを必ずしも意図していない、又は特許請求される主題の範囲を限定するために使用することも意図していない。
【0010】
本開示の少なくとも一つの実施形態によれば、金属間化合物を堆積させるための方法が開示される。様々な態様によれば、この方法は、第一の金属を含む第一の気相反応物質(本明細書では前駆体とも呼ばれる)を反応チャンバーに供給して基材の表面と反応させて第一の金属種を形成することと、第二の金属を含む第二の気相反応物質を反応チャンバーに供給して、第一の金属種と反応させ、それにより金属間化合物を形成することと、を含む周期的堆積プロセスである。同様に、追加の反応物質を使用して、三つ以上の金属を含む金属間化合物を形成することができる。以下により詳細に説明するように、金属間化合物の膜は、別の高温および/または還元工程なしで基材表面上に形成されることができる。周期的堆積プロセスは、例えば、原子層堆積を含むことができる。
【0011】
本開示の少なくとも一つの他の実施形態によれば、金属含有材料を形成するための方法が開示される。金属含有材料は、本明細書に記載のように、一つ、二つ、または三つ以上の金属を含むことができる。この方法は、周期的堆積プロセス、例えば原子層堆積または周期的化学気相堆積プロセスであることができる。周期的堆積プロセスは、第一の金属を含む第一の気相反応物質を反応チャンバーに供給し第一の金属種を形成することと、一般式R-M-H(例えば、R(X-n)-M-H)(式中、Rは有機基であり、Mは金属である)を有する化合物を含む第二の気相反応物質を供給し、第一の金属種と反応させ、それにより金属含有材料を形成することと、を含むことができる。様々な例によれば、XはMのホルマール酸化状態であり、nは1~5の範囲であることができる。様々な態様によれば、金属含有材料は、一つまたは複数の金属混合物、合金、および金属間化合物を含む。金属含有材料を含む膜は、金属、導電性、非導電性、または半導性であることができる。例示的な膜は、超電導性、磁気抵抗性、強磁性、または触媒であることがきる。
【0012】
本開示の少なくとも一つの別の実施形態によれば、第一の金属を含む第一の気相反応物質および第二の金属を含む第二の気相反応物質(例えば、一般式R-M-Hを有する化合物(例えば、R(X-n)-M-H、(式中、Rが有機基であり、Xが金属のホルマール酸化状態であり、nが1~5であり、Mが金属である)を含む))を供給するための方法が提供される。方法は、第二の気相反応物質(例えば、本明細書に記載の第二の気相反応物質のいずれか)を収容するように構成される第二の気相反応物質原料容器を提供し、第二の気相反応物質原料容器を反応チャンバーに流体連結することと、第二の気相反応物質原料容器に収容される第二の気相反応物質を、約0℃~約400℃、約20℃~約200℃、または約20℃~約100℃の温度に加熱することと、少なくとも0.001mbarの第二の気相反応物質の蒸気圧を生成することと、第二の気相反応物質を反応チャンバーに供給することと、を含む。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態では、反応性揮発性化学物質を利用する反応器システムが提供される。反応器システムは、反応チャンバーと、反応チャンバーに流体連通している第一の気相反応物質原料容器と、反応チャンバーに流体連通している第二の気相反応物質原料容器と、を備えることができる。第二の気相反応物質は、例えば、一般式R-M-H、例えばR(X-n)-M-H(式中、Rは有機基であり、Xは金属のホルマール酸化状態であり、nは1~5であり、Mは金属)を有する化合物を含むことができる。
【0014】
本開示および先行技術を超えて達成された利点を要約する目的で、特定の目的及び利点が本明細書において上に記載されている場合がある。当然のことながら、必ずしもこうした目的又は利点のすべてが本開示の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それ故に、例えば、本明細書で教示または示唆されることができる他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示または示唆される一つの利点または一群の利点を達成または最適化する方法で、本開示の実施形態は実行されてもよいことを当業者は認識するであろう。
【0015】
本開示の主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に主張される。しかし、本開示のより完全な理解は、図面の図に関連して検討される場合、詳細な説明および特許請求の範囲を参照することによって最もよく得られることができ、類似の数字は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の少なくとも一つの実施形態による、例示的な周期的堆積方法のプロセスフローである。
図2図2は、本開示の少なくとも一つの実施形態による、例示的な周期的堆積方法の別のプロセスフローである。
図3図3は、本開示の少なくとも一つの実施形態による、堆積された金属含有膜を備える例示的なデバイス構造体の概略図である。
図4図4は、本開示の少なくとも一つの実施形態による、周期的堆積プロセスで利用される金属ハロゲン化物化合物の例である。
図5図5は、本開示の少なくとも一つの実施形態による、例示的な反応器システムの概略図である。
図6図6は、本開示の少なくとも一つの実施形態による、例示的な第二の気相反応物質である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当然のことながら、図内の要素は、単純化および明瞭化のために例示されていて、必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図面中のいくつかの要素の寸法は、本発明の例示された実施形態の理解の向上に役立つために、他の要素に対して誇張されてもよい。
【0018】
以下に提供する本開示の例示的な実施形態の説明は、単なる例示であり、また説明のみを目的として意図していて、下記の説明は本発明の範囲を制限することを意図するものではない。さらに、記載された特徴を有する複数の実施形態の列挙は、追加の特徴を有する他の実施形態も、記載された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態をも排除することを意図していない。
【0019】
以下により詳細に説明するように、本開示の例示的な実施形態は、金属含有材料、例えば金属間化合物を堆積させるための方法および装置、ならびに金属含有材料を含む膜および構造体に関する。本開示は、従来のシステムおよび方法の様々な欠点に対処する方法を以下により詳細に説明するが、概ね、本明細書に記載の様々なシステムおよび方法は、改良された反応物質(場合によって、一般的に前駆体と称される)および/または改良された堆積技術を用いて、所望の特性を備える金属含有材料を堆積させる。
【0020】
本明細書で使用する用語「前駆体」および/または「反応物質」は、化学反応に関与する、もしくは反応に関与する気相物質が誘導される一つまたは複数のガス/蒸気を指してもよい。化学反応は、気相中および/または気相と基材の表面の間および/または基材の表面上の種において行われ得る。
【0021】
本明細書で使用される「周期的堆積」という用語は、基板上に膜を堆積させるために反応チャンバーに反応物質を連続的に導入することを指し、原子層堆積及び周期的化学蒸着などの堆積技術を含む。
【0022】
本明細書で使用される「周期的化学蒸着」という用語は、基板を二つ以上の揮発性反応物質に逐次曝し、その反応物質が基板上で反応及び/又は分解して所望の材料を生成する、任意のプロセスを指すことができる。
【0023】
本明細書で使用される「原子層堆積」(ALD)という用語は、蒸着プロセスを指し、堆積サイクル、例えば、複数の連続堆積サイクルが反応チャンバー内で行われる。典型的には、各サイクル間に、第一の反応物質は基材の表面に化学吸着され、別の第一の反応物質と容易に反応しない単分子層またはサブ単分子層を形成する(すなわち、自己制限反応)。その後、化学吸着した物質を所望の材料に変換するのに使用するために、別の第二の反応物質または反応ガスは、プロセスチャンバー内に続いて導入されてもよい。さらに、各堆積サイクル中にパージ工程も利用して、化学吸着した第一および/もしくは第二の反応物質の変換後、過剰な第一の反応物質を反応チャンバーから除去する、ならびに/または過剰な第二の反応物質、反応ガス、および/もしくは反応副生成物を反応チャンバーから除去することができる。更に、本明細書で使用される「原子層堆積」という用語は、関連する用語、例えば、化学蒸着原子層堆積、原子層エピタキシー(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス源MBE、有機金属MBE、ならびに反応物質、反応性ガス、および/またはパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスで実施される場合の化学ビームエピタキシー、により示されるプロセスを含むことも意味する。
【0024】
本明細書で使用する用語「基材」は、上に材料を堆積させることができる表面を有する任意の材料を指す。基材は、バルク材料、例えばシリコン(例えば、単結晶シリコン)を含んでもよく、例えば化学吸着種を含む、バルク材料を覆う一つまたは複数の層を含んでもよい。さらに、基材は、基材の少なくとも一部分の中またはその上に形成される溝、孔、ライン等、様々な形体を備えることができる。形体は、例えば、5以上、10以上、15以上、または20以上の、形体の高さを形体の幅で割ったものとして定義されるアスペクト比を有することができる。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「膜」、「薄膜」、「層」、および「薄層」は、例えば本明細書に開示の方法により堆積される任意の連続的又は非連続的な材料を意味してもよい。例えば、「膜」、「薄膜」、「層」および「薄層」としては、2D材料、ナノロッド、ナノチューブ、またはナノ粒子、または部分的なもしくは完全な分子層、または部分的なもしくは完全な原子層、または原子および/もしくは分子のクラスター、を挙げることができる。「膜」、「薄膜」、「層」、および「薄層」は、ピンホールを有する材料または層を含んでもよいが、それでもなお少なくとも部分的に連続している。
【0026】
本明細書で使用する用語「金属含有膜」および「金属含有材料」は、少なくとも一つの金属種を含む膜または材料を指す場合がある。
【0027】
本明細書で使用する用語「金属」は、半金属またはメタロイドを含んでもよい。
【0028】
本明細書で使用する用語「金属間の」または「金属間化合物」は、定義された化学量論および規則配列結晶構造を有する二つ以上の金属元素を含む化合物を指す場合がある。金属間化合物は、金属合金と結晶構造が異なり、金属間化合物の結晶構造は、特定の構造に配置されるが、合金は通常、関与する金属成分のうちの一つの結晶構造を示す。金属間化合物は、異質な原子間の結合が、同じ元素の原子間の結合よりも強い場合に形成される。
【0029】
本開示を通じて多くの例示の材料が与えられており、例示の材料のそれぞれに与えられる化学式は限定的であると解釈されるべきではなく、与えられる非限定的な例示の材料はある例示の化学量論によって限定されるべきではないことに留意されたい。
【0030】
本開示は、金属含有材料、例えば金属含有材料の膜を基材上に堆積させる方法を含む。方法は、金属含有材料、例えば金属含有膜を基材上に形成するように堆積させるために、周期的堆積プロセスを用いて実施することができる。例示的な方法は、金属含有膜、例えば、金属間化合物を含む、実質的に金属間化合物からなる、または金属間化合物からなる膜を、比較的低温で堆積させることができる。追加的にまたは代替的に、本方法は、金属含有材料を含む、本質的に金属含有材料からなる、または金属含有材料からなる、膜の大面積の厚さ、結晶性、および/または組成均一性を有する金属含有材料を堆積させることができる。
【0031】
ここで図を参照すると、図1は本開示の少なくとも一つの実施形態による周期的堆積方法100を例示する。方法100を使用して、金属間化合物、例えば金属間化合物の膜を基材表面上に形成することができる。
【0032】
方法100は、少なくとも一つの基材を反応チャンバー内に供給すること、および基材を堆積温度に加熱することを含む、工程110によって開始する。堆積温度は、例えば、金属間化合物を形成するために使用される一つまたは複数の反応物質に依存してもよい。例として、反応チャンバーを、0℃より高く、および600℃未満、500℃未満、400℃未満、300℃未満、もしくは250℃未満、または約20℃~約700℃、約50℃~約500℃、または約50℃~約400℃、約75℃~約300℃、もしくは約100℃~約250℃に加熱することができる。特定の例として、金属間化合物は、CoSnを含むことができ、この場合は、温度は、約170℃~約200℃の範囲であることができる。同様に、金属間化合物がNiSnを含む場合、温度は、約125℃~約175℃、または約140℃~約160℃の範囲であることができる。反応チャンバー内の圧力は、堆積プロセスのために反応チャンバー内に所望の圧力を提供するように制御されてもよい。例えば、周期的堆積プロセス中の反応チャンバー内の圧力は、1000mbar未満、もしくは100mbar未満、もしくは10mbar未満、もしくは5mbar未満、もしくは場合によっては1mbar未満、または、約10-8mbar~約1000mbar、約10-3mbar~約100mbar、約10-2mbar~約50mbar、もしくは約0.1mbar~10mbarであってもよい。
【0033】
方法100は工程120を継続してもよく、工程120は、第一の金属を含む第一の気相反応物質を反応チャンバーに供給し、基材の表面と反応させて第一の金属種を形成することを含む。この工程は、工程110に関連する上記のものと同じ圧力および温度であってもよい。パルス時間または第一の気相反応物質が反応チャンバーに供給される時間は、例えば、約0.01秒~約60秒、または約0.05秒~約10秒、または約0.1秒~約5秒の範囲であることができる。工程120の間、第一の気相反応物質の流量は、2000sccm未満、もしくは1000sccm未満、もしくは500sccm未満、もしくは200sccm未満、もしくは100sccm未満であってもよく、または約1~約5000sccm、約5~約2000sccm、もしくは約10~約1000sccmの範囲であってもよい。
【0034】
第一の気相反応物質を供給する工程の後、任意の過剰な第一の気相反応物質および任意の反応副生成物は、パージ/ポンププロセスによって反応チャンバーから除去されてもよい(工程125)。工程125の持続時間は、例えば、約0.01秒~約60秒、または約0.05秒~約10秒、または約0.1秒~約5秒とすることができる。工程125の間、パージガスの流量は、2000sccm未満、もしくは1000sccm未満、もしくは500sccm未満、もしくは200sccm未満、もしくは100sccm未満であってもよく、または約1~約5000sccm、約5~約2000sccm、もしくは約10~約1000sccmの範囲であってもよい。別個に例示されているが、工程125は、工程120の一部とみなすことができる。
【0035】
方法100は、第二の金属を含む第二の気相反応物質を反応チャンバーに供給して、第一の金属種と反応させ、それによって金属間化合物を形成する工程130を継続してもよい。この工程は、工程110に関連する上記のものと同じまたは異なる圧力および/または温度であってもよい。パルス時間または第二の気相反応物質が反応チャンバーに供給される時間は、約0.01秒~約60秒、または約0.05秒~約10秒、または約0.1秒~約5秒の範囲であることができる。工程130の間、第二の気相反応物質の流量は、上記の工程120の間の流量と同じか、または類似してもよい。
【0036】
図1に例示のように、第二の気相反応物質が基材表面上の種と反応すると、金属間化合物、例えば、金属間化合物を含む、本質的に金属間化合物からなる、または金属間化合物からなる、膜が形成される(工程140)。
【0037】
工程140の後、任意の過剰な第二の気相反応物質および任意の反応副生成物は、パージ/ポンププロセスによって反応チャンバーから除去されてもよい(工程145)。この工程におけるパージガスの流量および/または持続時間は、工程125における上記のものと同一または類似であることができる。さらに、別個に例示されているが、工程145は、工程130の一部とみなすことができる。
【0038】
工程120および130(ならびに必要に応じてパージ工程125および/または145)は、一つの堆積サイクルを構成してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、方法100は、一回または複数回、堆積サイクルを繰り返すことを含んでもよい。例えば、方法100は、決定ゲート150を継続してもよく、決定ゲート150は周期的堆積方法100が工程160を介して継続するかまたは終了するかを決定する。決定ゲート150は、堆積させた金属間化合物の厚さまたは量に基づいて決定されることができる。例えば、金属間化合物の厚さが所望のデバイス構造体に対して不十分である場合、方法100は工程120に戻ってもよく、工程120~145を繰り返してもよい。金属間化合物が所望の厚さまたは量に堆積されると、方法は工程160で終了してもよく、基材は一つまたは複数のデバイスまたはデバイス構造体を形成するための別のプロセスを受けてもよい。
【0039】
方法100の様々な態様によれば、第二の気相反応物質を、工程120の間に表面上に形成する第一の金属種と反応させると、金属間化合物が形成する。したがって、金属間化合物、または金属間化合物を含む、本質的に金属間化合物からなる、もしくは金属間化合物からなる、層もしくは膜は、別の還元工程もしくは加熱工程なしに、または別の還元工程も加熱工程もなしに形成されることができる。さらに、上記のように、金属間化合物は比較的低い温度で形成されることができる。
【0040】
第一の気相反応物質は、第二の金属とは異なる任意の第一の金属を含むことができる。例として、第一の金属は、遷移金属(例えば、第3~12族金属)、第3~6族金属、第7~12族金属、ランタニド金属、第8~11族金属、および/もしくは第9~10族金属であることができる、またはそれを含むことができる。
【0041】
代替的な実施形態、例えば図2に関連して以下に記載のものによれば、第一の気相反応物質は、第二の金属と同一である第一の金属を含むことができる。第一の金属と第二の金属が同一である場合、元素金属膜を形成することができる。上記のように、このような元素金属膜は、半金属またはメタロイドを含むことができる。
【0042】
第一の気相反応物質は、金属ハロゲン化物化合物であるか、または金属ハロゲン化物化合物を含むことができ、金属は、第一の金属であるか、または第一の金属を含む。金属ハロゲン化物化合物は、金属塩化物、金属ヨウ化物、金属フッ化物、または金属臭化物を含んでもよい。本開示のいくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物化合物は、コバルト、ニッケル、または銅のうちの少なくとも一つを含むが、これに限定されない金属種を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物化合物は、塩化コバルト、塩化ニッケル、および塩化銅のうちの少なくとも一つを含んでもよい。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物化合物は、二座窒素含有付加体形成配位子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物化合物は、二つの窒素原子を含む付加体形成配位子を含んでもよく、ここで窒素原子の各々は少なくとも一つの炭素原子に結合される。本開示のいくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物化合物は、中央の金属原子に結合した一つまたは複数の窒素原子を含み、それによって金属錯体を形成する。このような化合物の一例を図4に例示する。別の第一の気相反応物質は、リン、酸素、および/または硫黄を含む付加体形成配位子を含むことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、付加体形成配位子を有する遷移金属化合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、遷移金属化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、遷移金属ハロゲン化物化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、単座、二座、又は多座付加体形成配位子などの付加体形成配位子を有する遷移金属化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、単座、二座、又は多座付加体形成配位子などの付加体形成配位子を有する遷移金属ハロゲン化物化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、窒素を含む単座、二座、又は多座付加体形成配位子などの窒素を含む付加体形成配位子を有する遷移金属化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、リン、酸素、又は硫黄を含む単座、二座、又は多座付加体形成配位子などのリン、酸素、又は硫黄を含む付加体形成配位子を有する遷移金属化合物を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物化合物は、遷移金属塩化物、遷移金属ヨウ化物、遷移金属フッ化物、又は遷移金属臭化物を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物化合物は、コバルト、ニッケル、又は銅のうちの少なくとも一つを含むが、これに限定されない遷移金属種を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物化合物は、塩化コバルト、塩化ニッケル、又は塩化銅のうちの少なくとも一つを含むことができる。いくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物化合物は、二座窒素含有付加体形成配位子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物化合物は、二つの窒素原子を含む付加体形成配位子を含んでもよく、ここで窒素原子の各々は少なくとも一つの炭素原子に結合される。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物化合物は、中央の遷移金属原子に結合した一つまたは複数の窒素原子を含み、それによって金属錯体を形成する。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、以下の式を有する遷移金属化合物を含んでもよく、
(付加体)-M-Xa
式中、「付加体」のそれぞれは、付加体形成配位子であり、単座、二座、又は多座付加体形成配位子又はその混合物となるよう互いに独立して選択されることができ、単座形成配位子の場合、nは1~4であり、二座又は多座付加体形成配位子の場合、nは1~2であり、Mは、例えば、コバルト(Co)、銅(Cu)、又はニッケル(Ni)などの遷移金属であり、Xaのそれぞれは別の配位子であり、ハロゲン化物又は他の配位子となるように互いに独立して選択されることができ、ここでaは、1~4であり、一部の例では、aは2である。
【0045】
本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物化合物などの遷移金属化合物における付加体形成配位子は、窒素原子、リン原子、酸素原子、又は硫黄原子のうちの少なくとも一つを介して、遷移金属化合物の遷移金属原子に配位させる、単座、二座、又は多座付加体形成配位子を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、環状付加配位子を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、モノアミン、ジアミン、又はポリアミンを含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、モノエーテル、ジエーテル、又はポリエーテルを含み得る。いくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、モノホスフィン、ジホスフィン、又はポリホスフィンを含み得る。いくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、付加体形成配位子中に、窒素、酸素、リン、又は硫黄に加えて炭素を含んでもよい。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、一つの単座付加体形成配位子を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、二つの単座付加体形成配位子を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、三つの単座付加体形成配位子を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、四つの単座付加体形成配位子を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、一つの二座付加体形成配位子を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、二つの二座付加体形成配位子を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、一つの多座付加体形成配位子を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属化合物中の付加体形成配位子は、二つの多座付加体形成配位子を含み得る。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態では、付加体形成配位子は、アミン、ジアミン、又はポリアミン付加体形成配位子などの窒素を含む。このような実施形態では、遷移金属化合物は、トリエチルアミン(TEA)、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,2-エチレンジアミン(CAS:110-18-9)(TMEDA)、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン(CAS:150-77-6)(TEEDA)、N,N’-ジエチル-1,2-エチレンジアミン(CAS:111-74-0)(DEEDA)、N,N’-ジイソプロピルエチレンジアミン(CAS:4013-94-9)、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン(CAS:110-95-2)(TMPDA)、N,N,N’,N’-テトラメチルメタンジアミン(CAS:51-80-9)(TMMDA)、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(CAS:3030-47-5)(PMDETA)、ジエチレントリアミン(CAS:111-40-0)(DIEN)、トリエチレンテトラアミン(CAS:112-24-3)(TRIEN)、トリス(2-アミノエチル)アミン(CAS:4097-89-6)(TREN、TAEA)、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(CAS:3083-10-1)(HMTETA)、1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン(CAS:295-37-4)(Cyclam)、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(CAS:96556-05-7)、又は1,4,8,11-テトラメチル-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン(CAS:41203-22-9)のうちの少なくとも一つを含み得る。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態では、付加体形成配位子は、ホスフィン、ジホスフィン、又はポリホスフィン付加体形成配位子などのリンを含む。例えば、遷移金属化合物は、トリエチルホスフィン(CAS:554-70-1)、トリメチルホスファイト(CAS:121-45-)、1,2-ビス(ジエチルホスフィノ)エタン(CAS:6411-21-8)(BDEPE)、又は1,3-ビス(ジエチルホスフィノ)プロパン(CAS:29149-93-7)のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態では、付加体形成配位子は、エーテル、ジエーテル、又はポリエーテル付加体形成配位子などの酸素を含む。例えば、遷移金属化合物は、1,4-ジオキサン(CAS:123-91-1)、1,2-ジメトキシエタン(CAS:110-71-4)(DME、モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(CAS:111-96-6)(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(CAS:112-49-2)(トリグライム)、又は1,4,7,10-テトラオキサシクロドデカン(CAS:294-93-9)(12-クラウン-4)のうちの少なくとも一つを含み得る。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態では、付加体形成配位子は、チオア(thiother)または混合エーテルアミン、例えば、1,7-ジアザ-12-クラウン-4:1,7-ジオキサ-4,10-ジアザシクロドデカン(CAS:294-92-8)、または1,2-ビス(メチルチオ)エタン(CAS:6628-18-8)のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物化合物は、塩化コバルトN,N,N’,N’-テトラメチル-1,2-エチレンジアミン(CoCl(TMEDA))を含み得る。いくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物化合物は、臭化コバルトテトラメチルエチレンジアミン(CoBr(TMEDA))を含み得る。いくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物化合物は、ヨウ化コバルトテトラメチルエチレンジアミン(Col(TMEDA))を含み得る。いくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物化合物は、塩化コバルトN,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン(CoCl(TMPDA))を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物化合物は、塩化コバルトN,N,N’,N’-テトラメチル-1,2-エチレンジアミン(CoCl(TMEDA))、塩化ニッケルテトラメチル-1,3-プロパンジアミン(NiCl(TMPDA))、又はヨウ化ニッケルテトラメチル-1,3-プロパンジアミン(NiI(TMPDA))を含み得る。
【0052】
他の好適な第一の気相反応物質は、ハロゲン種を実質的に含まなくてもよい。ハロゲン種を実質的に含まない第一の気相反応物質(非ハロゲン含有金属前駆体)は、M(dmap)x(dmap=ジメチルアミノ-2-プロポキシド)を含み、Mは、金属、β-ジケトネート、アミジネート、およびその他の典型的なALD金属前駆体である。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、銅、コバルトおよびニッケルのうちの少なくとも一つを含んでもよい。したがって、ハロゲン非含有金属前駆体は、Cu(dmap)、Ni(dmap)、またはCo(dmap)のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0053】
したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、中心金属原子が二座配位子中の少なくとも一つの酸素及び少なくとも一つの窒素原子を介して結合する少なくとも一つの二座配位子を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、中心金属原子が二座配位子中の少なくとも一つの窒素原子を介して結合する少なくとも一つの二座配位子を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、少なくとも一つの二座配位子及び少なくとも一つの他の配位子、例えば単座配位子等、を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、少なくとも一つの二座配位子及び少なくとも二つの他の配位子、例えば単座配位子等、を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、少なくとも一つの二座配位子及び少なくとも一つの他の配位子、例えば、N又はOを介して中心金属原子に結合する単座配位子等、を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、中心金属原子が少なくとも一つの窒素原子を介して結合し、二座配位子の窒素以外の少なくとも一つの原子を介して結合する少なくとも一つの二座配位子を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、中心金属原子が二座配位子中の少なくとも二つの窒素原子を介して結合する少なくとも一つの二座配位子を含み得る。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、少なくとも二つの二座配位子を含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、二つの二座配位子を含む。
【0054】
β-ジケチミナト(例えば、Ni(pda))、(pda=ペンタン-2,4,-ジケチミナト)化合物を含有する好適な非ハロゲン化物のいくつかの例は、少なくとも一つのβ-ジケチミナト配位子を含み、一般式:
【0055】
【化1】
【0056】
(式中、Mは、ニッケル、コバルト、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、および金から選択される金属である)を有する。R1~5の各々は、H、およびC~C直鎖状もしくは分枝状の、アルキ(alky)基、アルキルシリル基、アルキルアミド基、アルコキシド基、またはアルキルシリルアミド基から互いに独立して選択される有機配位子である。各Lは、炭化水素、酸素含有炭化水素、アミン、ポリアミン、ビピリジン、酸素含有複素環、窒素含有複素環、およびそれらの組み合わせから互いに独立して選択され、nは0~4の範囲の整数である。特定の例には、Ni(pda)が含まれる。
【0057】
アミジネート化合物(例えば、Ni(iPr-AMD))を含有する好適な非ハロゲン化物のいくつかの例としては、M(I)AMD、M(II)AMDおよびM(III)AMD、ならびにそれらのオリゴマーからなる群から選択される式を有する化合物が挙げられ、ここで、Mは金属であり、AMDはアミジネート部分、例えば、アミジネート銅(I)、アミジネートコバルト(II)、もしくはニッケルのアミジネート、鉄、ルテニウム、マンガン、クロム、バナジウム、ニオブ、タンタル、チタン、および/またはランタンである。
【0058】
一つまたは複数の実施形態では、一価金属の前駆体は、揮発性金属(I)アミド、[M(I)(AMD)]x、(式中、x=2、3)が含まれる。これらの化合物の一部は二量体構造1を有し
【0059】
【化2】
【0060】
式中、R、R、R、R’、R’およびR’は、一つまたは複数の非金属原子からなる基である。いくつかの実施形態では、R、R、R、R’、R’、およびR’は、水素、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、トリアルキルシリルもしくはフルオロアルキル基、または他の非金属原子もしくは基から互いに独立して選択されてもよい。いくつかの実施形態では、R、R、R、R’、R’、およびR’はそれぞれ互いに独立して、1~4個の炭素原子を含有するアルキル基、またはフルオロアルキル基、またはシリルアルキル基である。好適な一価金属には、銅(I)、銀(I)、金(I)、およびイリジウム(I)が含まれる。一つまたは複数の実施形態では、金属アミジナートは銅アミジナートであり、そして当該銅アミジナートには、一般式1におけるイソプロビル基としてR、R、R’、およびR’を、そしてメチル基としてRおよびR’を採る場合に相当する、銅(I)N,N’-ジイソプロビルアセトアミジネートが含まれる。一つまたは複数の実施形態では、金属(I)アミジネートは、一般式[M(I)(AMD)]を有する三量体である。
【0061】
一つまたは複数の実施形態では、二価金属前駆体は、揮発性金属(II)ビス-アミジネート、[M(II)(AMD)、(式中、x=1、2)が含まれる。これらの化合物は、単量体構造2を有してもよく、
【0062】
【化3】
【0063】
式中、R、R、R、R’、R’およびR’は、一つまたは複数の非金属原子からなる基である。一つまたは複数の実施形態では、この構造の二量体、例えば、[M(II)(AMD)も用いられてもよい。いくつかの実施形態では、R、R、R、R’、R’、およびR’は、水素、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、トリアルキルシリルもしくはフルオロアルキル基又は他の非金属原子もしくは基から互いに独立して選択されてもよい。いくつかの実施形態では、R、R、R、R’、R’、およびR’はそれぞれ互いに独立して、1~4個の炭素原子を含有するアルキル基、またはフルオロアルキル基、またはシリルアルキル基である。好適な二価金属には、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、ルテニウム、亜鉛、チタン、バナジウム、クロム、ユーロピウム、マグネシウム及びカルシウムが含まれる。一つまたは複数の実施形態では、金属(II)アミジネートは、コバルトアミジネートであり、そしてコバルトアミジネートには、一般式2におけるイソプロピル基としてR、R、R’、およびR’を、そしてメチル基としてRおよびR’を採る場合に相当する、コバルト(II)ビス(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジネート)が含まれる。
【0064】
一つまたは複数、三価金属の前駆体には、揮発性の金属(III)トリス-アミジネート、M(III)(AMD)が含まれる。典型的には、これらの化合物は単量体構造3を有し、
【0065】
【化4】
【0066】
式中、R、R、R、R’、R’、R’、R”、R”およびR”は、一つまたは複数の非金属原子からなる基である。いくつかの実施形態では、R、R、R、R’、R’、R’、R”、R”およびR”は、水素、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、トリアルキルシリル、ハロゲン、もしくは部分フッ素化アルキル基から互いに独立して選ばれてよい。いくつかの実施形態では、R、R、R、R’、R’、R’、R”、R”およびR”は、それぞれ互いに独立して、1~4個の炭素原子を有するアルキル基である。好適な三価金属には、ランタン、プラセオジムおよび他のランタン系列金属、イットリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ならびにビスマスが含まれる。一つまたは複数の実施形態では、金属(III)アミジナートは、ランタンアミジナートであり、ランタンアミジナートには、一般式3におけるt-ブチル基としてR、R、R’、R’、R”、およびR’を、メチル基としてR、R’、およびR”を採る場合に相当する、ランタン(III)トリス(N,N’-ジ-t-ブチルアセトアミジネート)が含まれる。
【0067】
本明細書で使用する場合、金属の単量体としてのアミジネートに対する同じ比を有するが、化合物における金属アミジネート単位の総数において変わる金属アミジネートは、単量体化合物の「オリゴマー」と呼ばれる。したがって、単量体化合物M(R)AMDのオリゴマーには、[M(II)(AMD)、(式中、x=2、3など)が含まれる。同様に、単量体化合物M(I)AMDのオリゴマーには、[M(I)AMD]、(式中、x=2、3など)が含まれる。
【0068】
具体的な例には、(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)銅([Cu(iPr-AMD)])、ビス(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)コバルト([Co(iPr-AMD)])、コバルトビス(N,N’-ジ-tert-ブチルアセトアミジネート)([Co(tBu-AMD)])、ランタントリス(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジネート)([La(iPr-AMD)])、ランタントリス(N,N’-ジイソプロピル-2-tert-ブチルアミジネート)([La(iPr-tBuAMD)].1/2C12)、ビス(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)鉄([Fe(iPr-AMD))、ビス(N,N’-ジ-tert-ブチルアセトアミジネート)([Fe(Bu-AMD)])、ビス(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)ニッケル([Ni(Pr-AMD)])、ビス(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)マンガン([Mn(Pr-AMD))、マンガンビス(N,N’-ジ-tert-ブチルアセトアミジネート)([Mn(Bu-AMD)])、トリス(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)チタニウム([Ti(Pr-AMD)])、トリス(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)バナジウム([V(Pr-AMD)])、銀(N,N’-ジ-イソプロピルアセトアミジネート)([Ag(Pr-AMD)](x=2およびx=3)、リチウムN,N’-ジ-sec-ブチルアセトアミジネート、コバルトビス(N,N’-ジ-sec-ブチルアセトアミジネート)([Co(sec-Bu-AMD)])、銅(I)N,N’-ジ-sec-ブチルアセトアミジネート二量体([Cu(sec-Bu-AMD)])、ビスマストリス(N,N’-ジ-tert-ブチルアセトアミジネート)二量体([Bi(Bu-AMD))、ストロンチウムビス(N,N’-ジ-tert-ブチルアセトアミジネート)([Sr(Bu-AMD))、酸化ビスマス、Bi、およびトリス(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)ルテニウム([Ru(Pr-AMD)])が含まれる。
【0069】
イミノアルコキシド化合物を含む好適な非ハロゲン化物のいくつかの例は、次の式で表され、
【0070】
【化5】
【0071】
式中、Mは周期表の第2族~12族から選択された金属である。R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ互いに独立してHまたはC1~C8アルキルである。精製において、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、またはt-ブチルである。別の精製では、MはCu、Cr、Mn、Fe、Co、またはNiである。この式を有する化合物の具体的な例には、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3,3-トリメチルブタン-2-オレート)ニッケル(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3,3-トリメチルブタン-2-オレート)コバルト(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3,3-トリメチルブタン-2-オレート)鉄(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3,3-トリメチルブタン-2-オレート)マンガン(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3,3-トリメチルブタン-2-オレート)クロム(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3,3-トリメチルブタン-2-オレート)銅(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3-ジメチルブタン-2-オレート)ニッケル(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3-ジメチルブタン-2-オレート)コバルト(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3-ジメチルブタン-2-オレート)鉄(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3-ジメチルブタン-2-オレート)銅(II)、ビス(3-((tert-ブチルイミノ)メチル)-2,2,4,4-テトラメチルペンタン-3-オレート)マンガン(II)、ビス(3-((tert-ブチルイミノ)メチル)-2,2,4,4-テトラメチルペンタン-3-オレート)銅(II)、ビス(3-(イソプロピルイミノ)-2-メチルブタン-2-オレート)ニッケル(II)、ビス(3-(イソプロピルイミノ)-2-メチルブタン-2-オレート)コバルト(II)、ビス(3-(イソプロピルイミノ)-2-メチルブタン-2-オレート)鉄(II)、ビス(3-(イソプロピルイミノ)-2-メチルブタン-2-オレート)マンガン(II)、ビス(3-(イソプロピルイミノ)-2-メチルブタン-2-オレート)クロム(II)、ビス(3-(イソプロピルイミノ)-2-メチルブタン-2-オレート)銅(II)、ビス(3-(2,2-ジメチルヒドラゾノ)-2-メチルブタン-2-オレート)ニッケル(II)、ビス(3-(2,2-ジメチルヒドラゾノ)-2-メチルブタン-2-オレート)コバルト(II)、ビス(3-(2,2-ジメチルヒドラゾノ)-2-メチルブタン-2-オレート)鉄(II)、ビス(3-(2,2-ジメチルヒドラゾノ)-2-メチルブタン-2-オレート)マンガン(II)、ビス(3-(2,2-ジメチルヒドラゾノ)-2-メチルブタン-2-オレート)クロリウム(II)、およびビス(3-(2,2-ジメチルヒドラゾノ)-2-メチルブタン-2-オレート)銅(II)、が含まれるがこれらに限定されない。具体的な例としては、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3,3-トリメチルブタン-2-オレート)ニッケル(H)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3,3-トリメチルブタン-2-オレート)コバルト(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3,3-トリメチルブタン-2-オレート)鉄(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3,3-トリメチルブタン-2-オレート)マンガン(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3,3-トリメチルブタン-2-オレート)クロム(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3,3-トリメチルブタン-2-オレート)銅(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3-ジメチルブタン-2-オレート)ニッケル(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3-ジメチルブタン-2-オレート)コバルト(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3-ジメチルブタン-2-オレート)鉄(II)、ビス(1-(tert-ブチルイミノ)-2,3-ジメチルブタン-2-オレート)銅(II)、ビス(3-((tert-ブチルイミノ)メチル)-2,2,4,4-テトラメチルペンタン-3-オレート)マンガン(II)、ビス(3-((tert-ブチルイミノ)メチル)-2,2,4,4-テトラメチルペンタン-3-オレート)銅(II)、ビス(3-(イソプロピルイミノ)-2-メチルブタン-2-オレート)コバルト(II)、ビス(3-(イソプロピルイミノ)-2-メチルブタン-2-オレート)鉄(II)、ビス(3-(イソプロピルイミノ)-2-メチルブタン-2-オレート)マンガン(II)、ビス(3-(イソプロピルイミノ)-2-メチルブタン-2-オレート)クロム(II)、ビス(3-(2,2-ジメチルヒドラゾノ)-2-メチルブタン-2-オレート)ニッケル(II)、ビス(3-(2,2-ジメチルヒドラゾノ)-2-メチルブタン-2-オレート)コバルト(II)、ビス(3-(2,2-ジメチルヒドラゾノ)-2-メチルブタン-2-オレート)鉄(II)、ビス(3-(2,2-ジメチルヒドラゾノ)-2-メチルブタン-2-オレート)マンガン(II)、ビス(3-(2,2-ジメチルヒドラゾノ)-2-メチルブタン-2-オレート)クロリウム(II)、ビス(3-(2,2-ジメチルヒドラゾノ)-2-メチルブタン-2-オレート)銅(II)、が含まれる。
【0072】
いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、所望の金属(例えば、Co、Ni、Cu)以外の金属原子を含まない。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体中の金属は、0の酸化状態を有する。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体中の金属は、+Iの酸化状態を有する。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体中の金属は、+IIIの酸化状態を有する。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体中の金属は、+IIの酸化状態を有する。いくつかの実施形態では、酸化状態は、室温での前駆体中の金属の酸化状態である。酸化状態は、異なる条件、例えば、異なる圧力、温度、及び/又は雰囲気において、並びに前記異なる条件で異なる表面材料と接触した場合等、において変化し得る。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、F、Cl、Br及びI等のハロゲン化物を含まない。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、炭素、水素及び窒素、並びに場合により酸素を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化物非含有銅前駆体は、例えばCu(dmap)または銅(I)N,N’-ジイソプロピルアセトアミジネートを含み得る。いくつかの実施形態では、銅前駆体は、銅β-ジケトネート化合物、銅β-ジケチミナト化合物、銅アミノアルコキシド化合物、例えば、Cu(dmae)、Cu(deap)またはCu(dmamb)、銅アミジネート化合物、例えば、Cu(sBu-amd)]、銅シクロペンタジエニル化合物、銅カルボニル化合物、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択されることができる。いくつかの実施形態では、X(acac)y又はX(thd)y化合物が用いられ、ここで、Xは銅、yは一般的に2又は3であるが必ずしもそうではなく、thdは2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナトである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物非含有銅前駆体は、酢酸銅(II)、[Cu(HMDS)]若しくはCu(nhc)HMDS(1,3-ジ-イソプロピル-イミダゾリン-2-イリデン銅ヘキサメチルジシラジド)、又はCu-β-ジケチミネート、例えば、Cu(dki)VTMS (dki=ジケチミネート)である。
【0074】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化物非含有ニッケル前駆体は、例えば、ビス(4-N-エチルアミノ-3-ペンテン-2-N-エチルイミノナト)ニッケル(II)であることができる。いくつかの実施形態では、ニッケル前駆体は、ニッケルβ-ジケトネート化合物、ニッケルβ-ジケチミナト化合物、ニッケルアミノアルコキシド化合物、ニッケルアミジネート化合物、ニッケルシクロペンタジエニル化合物、ニッケルカルボニル化合物及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、X(acac)y又はX(thd)y化合物が用いられ、ここで、Xはニッケルであり、yは一般的に2又は3であるが必ずしもそうではなく、thdは、2,2,6,6-テトラメチル-3,5ヘプタンジオナトである。
【0075】
いくつかの実施形態では、Co前駆体はCoβ-ジケトイミナト化合物である。いくつかの実施形態では、Co前駆体はCoケトイミネート化合物である。いくつかの実施形態では、Co前駆体はCoアミジネート化合物である。いくつかの実施形態では、Co前駆体はCoβ-ジケトイミネート化合物である。いくつかの実施形態では、Co前駆体は、少なくとも一つのケトイミン配位子又はその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、Co前駆体は、少なくとも一つのアミジン配位子又はその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、Co前駆体は、少なくとも一つのケトネート配位子又はその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、Co前駆体は、Co(CO)、CCTBA、CoCp、Co(Cp-amd)、Co(Cp(CO))、tBu-AllylCo(CO)、又はCo(HMDS)である。あるいは、金属水素化物および/またはアラン(alanes)は、第一の気相反応物質として(例えば、水素化物-水素化物型の反応に対して)使用されてもよい。
【0076】
方法100で使用される第2の気相反応物質は、金属含有有機化合物を含むことができる。例えば、第二の気相反応物質は、式R-M-H(例えば、R(X-n)-M-H)(式中、Rは有機基であり、Mは金属である)を有する化合物からなる群から選択される化合物を含み、第一の金属種と反応させ、それにより金属含有材料を形成することができる。様々な例によれば、XはMのホルマール酸化状態であり、nは1~5の範囲であることができる。特定の例として、Mは、Sn、In、Ga、Ge、As、Sb、Pb、およびBiであるか、またはそれを含むことができる。あるいは、MはAlを含むことができる。例えば、Mは、Sn、In、またはGaを含むことができる。Rは、アルキル基、または別のドナー官能性を有するもしくは有さない、シクロペンタジエニル、アミド、アルコキシ、アミジナート、グアニジナト、イミド、カルボキシラト、β-ジケトナト、β-ケトイミナト、マロナト、β-ジケチミナト基であるか、またはそれを含むことができる。例示的なアルキル基は、C1~C5アルキル基の群から互いに独立して選択されることができる。場合によっては、第二の気相反応物質(例えば、R-M-H化合物)は金属還元剤とすることができる。図6は、トリブチルスズ水素化物(TBTH)の特定の第二の気相反応物質例を示す。
【0077】
本明細書に記載のように、金属間化合物、例えばCoSnまたはNiSn、を含む、本質的に金属間化合物からなる、または金属間化合物からなる金属間膜は、500Oeを超える高い保磁力値を有する磁気ヒステリシスを示すことができる。このような膜(ならびに方法200に従って形成される膜)の抵抗率は、膜の厚さおよび/または化学量論に応じて、約10~約10μΩcm、20~10μΩcm、または50~1000μΩcm、例えば80~180μΩcmの範囲とすることができる。また、方法100に従って形成されるNiSn薄膜は、金属間結晶構造および高純度を示す。例示的な金属間化合物および膜は、例えば、磁気抵抗装置、超電導装置を含む様々な用途に、触媒として、エネルギー(例えば、水素)貯蔵場として等で使用することができる。
【0078】
図2は、本開示の少なくとも一つの実施形態による別の周期的堆積方法200を例示する。方法200を使用して、例えば、金属含有材料を含む、本質的に金属含有材料からなる、もしくは金属含有材料からなる、膜または層を形成するために、金属含有材料を堆積させることができる。金属含有材料は、上記の金属間化合物、ならびに本明細書に記載の他の金属含有化合物のうちのいずれかを含むことができる。(例えば、方法100または200のいずれかによって形成される)膜が、本質的に金属間化合物からなるか、または金属間化合物からなる場合、膜は、本明細書に記載のような優れた特性を示す場合がある。
【0079】
方法200は、工程210で始まるが、これは工程110と同一または類似であることができる。例えば、反応チャンバー内の温度および圧力は、工程110に記載の温度および圧力と同一または類似であることができる。
【0080】
方法200は、第一の気相、例えば、上記の第一の気相反応物質のいずれかを供給することを含む工程220を継続してもよい。この工程は、工程210に関連する上記のものと同じ圧力および温度であってもよい。パルス時間または第一の気相反応物質が反応チャンバーに供給される時間は、約0.01秒~約60秒、または約0.05秒~約10秒、または約0.1秒~約5秒の範囲であることができる。工程220の間、第一の気相反応物質の流量は、2000sccm未満、もしくは1000sccm未満、もしくは500sccm未満、もしくは200sccm未満、もしくは100sccm未満であってもよく、または約1~約5000sccm、約5~約2000sccm、もしくは約10~約1000sccmの範囲であってもよい。
【0081】
第一の気相反応物質を供給する工程220の後、任意の過剰な第一の気相反応物質および任意の反応副生成物は、パージ/ポンププロセスによって反応チャンバーから除去されてもよい(工程225)。工程225の間、パージガスの流量は、2000sccm未満、もしくは1000sccm未満、もしくは500sccm未満、もしくは200sccm未満、もしくは100sccm未満であってもよく、または約1~約5000sccm、約5~約2000sccm、もしくは約10~約1000sccmの範囲であってもよい。別個に例示されているが、工程125は、工程120の一部とみなすことができる。
【0082】
方法200は、工程230を継続してもよく、工程230は、一般式R-M-H(式中、Rは有機基であり、Mは金属である)を有する化合物を含む第二の気相反応物質を供給し、第一の金属種と(例えば、基材表面上で)反応させ、それにより金属含有材料を形成することを含む。一般式R-M-Hを有する化合物は、上記のものと同じであることができる。パルス時間または第二の気相反応物質が反応チャンバーに供給される時間は、約0.01秒~約60秒、または約0.05秒~約10秒、または約0.1秒~約5秒の範囲であることができる。工程230の間、第二の気相反応物質の流量は、2000sccm未満、もしくは1000sccm未満、もしくは500sccm未満、もしくは200sccm未満、もしくは100sccm未満であってもよく、または約1~約5000sccm、約5~約2000sccm、もしくは約10~約1000sccmの範囲であってもよい。別個に例示されているが、工程225は、工程220の一部とみなすことができる。
【0083】
図2に例示のように、第二の気相反応物質が基財表面上の種と反応すると、金属含有材料、例えば、金属含有材料を含む、本質的に金属含有材料からなる、または金属含有材料からなる、膜が形成される。
【0084】
工程230の後、任意の過剰な第二の気相反応物質および任意の反応副生成物は、パージ/ポンププロセスによって反応チャンバーから除去されてもよい(工程245)。パージガスの流量は、上記の工程225でのものと同じであることができる。さらに、別個に例示されているが、工程245は、工程230の一部とみなすことができる。
【0085】
工程220~245は、図1に関連して上記した工程120~145と同じまたは類似の方法で、要望通りに繰り返すことができる。例えば、金属含有材料の所望の膜の厚さまたは量を基材上に堆積させるまで、工程を繰り返すことができる。
【0086】
工程220で使用される第一の気相反応物質は、本明細書に記載の第一の気相反応物質のいずれかであるか、またはそれを含むことができる。上記のように、第一の気相反応物質および第二の気相反応物質は、同一または異なる金属を含むことができる。例えば、第一の気相反応物質、例えばGeCl3(ジオキサン)または他のいくつかのGe前駆体を、RGeHと結合させることによって、元素Ge膜を形成することができる。他の元素膜(または多金属膜)も同様に形成されることができる。
【0087】
一般式R-M-H(式中、Rは有機基であり、Mは金属である)を有する化合物を含む第二の気相反応物質は、本明細書に記載のR-M-H化合物、例えば方法100に関連して上記したもの、のいずれかあるか、またはそれらを含むことができる。
【0088】
本開示のいくつかの実施形態によれば、方法100および/または方法200は、原子層堆積(ALD)を含むことができる。ALDは典型的な自己制御反応に基づいており、それにより反応物質の逐次及び交互パルスを用いて、堆積サイクル当たり材料の約1原子(又は分子)単層を堆積する。堆積条件及び反応物質は、典型的には、一つの反応物質の吸着層が同じ反応物質の気相反応物質と非反応性の表面終端を残すように、自己飽和反応を提供するように選択される。その後、基材を、前の終端と反応する異なる反応物質と接触させ、連続的な堆積を可能にする。従って、交互パルスの各サイクルは、典型的には、所望の材料の約一単層以下を残す。しかし、上記のように、一回又は複数回のALDサイクルにおいて、例えば、交互するプロセスの性質にもかかわらずいくつかの気相反応が起こる場合、材料の複数の単層を堆積させることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、基材上に金属含有膜を形成するのに使用され、周期的堆積プロセスはALDタイプのプロセスであり得る。いくつかの実施形態では、周期的堆積は、ハイブリッドALD/CVD又は周期的CVDプロセスであることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ALDプロセスの成長速度は、CVDプロセスと比較して低い場合がある。成長速度を増加させる一つのアプローチは、ALDプロセスにおいて典型的に使用される温度よりも高い基材温度で動作するアプローチであってもよく、結果として化学蒸着プロセスになるが、なお反応物質の逐次導入を利用する。このようなプロセスは、周期的CVDと呼ばれる場合がある。
【0090】
本明細書に記載の周期的堆積プロセスは、加熱された基材を用いてALDまたはCVD堆積システムで実施されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、基材をおよそ80℃~およそ150℃の温度に加熱すること、又は更に基材をおよそ80℃~およそ120℃の温度に加熱することを含み得る。もちろん、任意の所定の周期的堆積プロセス、例えばALD反応等の適切な温度ウィンドウは、表面終端及び含まれる反応物質種に依存するであろう。ここで、温度は、使用される反応物質に応じて変化し、一般に約700℃以下である。いくつかの実施形態では、蒸着プロセスの場合、堆積温度は一般に約100℃以上であり、いくつかの実施形態では、堆積温度は約100℃~約300℃であり、いくつかの実施形態では、堆積温度は約120℃~約200℃である。いくつかの実施形態では、堆積温度は約500℃未満、又は約400℃より低く、又は約350℃より低く、又は約300℃より低い。場合によっては、堆積温度は約300℃より低く、約200℃より低く、又は約100℃より低くてもよい。場合によっては、堆積温度は、約20℃を超え、約50℃を超え、及び約75℃を超えてもよい。本開示のいくつかの実施形態では、堆積温度、すなわち堆積中の基材の温度は、方法100および200に関連する上記の温度と同じまたは類似している。
【0091】
図1および図2に示すように、ALDプロセスを含む周期的プロセスは、パージ工程、例えば上記のパージ工程125、145、225、および245を含んでもよい。このような工程の間に使用されるパージガスは、一つまたは複数の不活性ガス、例えばアルゴン(Ar)または窒素(N2)を含み、プロセス工程間の、反応物質間の気相反応を防止または緩和し、自己飽和表面反応を可能にすることができる。しかし、いくつかの実施形態では、基材は、別々に第一の気相反応物質と第二の気相反応物質に接触するように、追加的にまたは代替的に(例えば、別の反応チャンバーに)移動されてもよい。したがって、工程120/130および/または工程220/230は、同一の反応チャンバー内で実施される必要はない。追加的に、または代替的に、真空ポンプを使用して、パージし易くしてもよい。
【0092】
当然のことながら、本開示のいくつかの実施形態では、第一の気相反応物質を供給することと第二の気相反応物質を供給することの順序は、基材を最初に第二の気相反応物質と接触させるのに続いて、第一の気相反応物質と接触させる順序であってもよい。言い換えれば、工程120、130、および220、230は逆にすることができる。更に、いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、基材を第二の気相反応物質と一回又は複数回接触させる前に、基材を第一の気相反応物質と一回又は複数回接触させることを含むことができ、あるいは同様に、基材を第一の気相反応物質と一回又は複数回接触させる前に、基材を第二の気相反応物質と一回又は複数回接触させることを含むことができる。
【0093】
少なくとも本開示のいくつかの実施形態(例えば、方法100および/または200)は、プラズマ反応物質を含まなくてもよく、例えば、第一および第二の気相反応物質はイオン化された反応種を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、第一および第二の気相反応物質は、イオン化反応種、励起種およびラジカル種を実質的に含まない。例えば、第一の気相反応物質および第二の気相反応物質の両方は、下地の基材のイオン化損傷およびそれにより生成される関連する欠陥を防止するために、プラズマ反応物質を含まないことができる。非プラズマ反応物質の使用は、高エネルギーのプラズマ種がデバイスの性能特性を損傷及び/又は劣化させる可能性があるので、下層の基材が、壊れやすい製造、又は少なくとも部分的に製造された半導体デバイス構造体を含む場合に、特に有用であることができる。
【0094】
図2には例示していないが、本開示のいくつかの実施形態では、本開示の例示的な方法は、基材を、還元剤を含む第三の気相反応物質と接触させることを含む、別のプロセス工程を含んでもよい。いくつかの実施形態では、還元剤は、水素(H)、水素(H)プラズマ、アンモニア(NH)、アンモニア(NH)プラズマ、ヒドラジン(N)、シラン(SiH)、ジシラン(Si)、トリシラン(Si)、ゲルマン(GeH)、ジゲルマン(Ge)、ボラン(BH)、ジボラン(B)、第三級ブチルヒドラジン(C12)、セレン反応物質、ホウ素反応物質、リン反応物質、硫黄反応物質、有機反応物質(例えば、アルコ-ル、アルデヒド、またはカルボン酸類)または水素反応物質のうちの少なくとも一つを含んでもよい。本開示のいくつかの実施形態では、本開示の例示的な周期的堆積方法は、還元剤である第二の気相反応物質と基材を接触させることを含み得る(任意の追加的な前駆体/反応物質の接触工程なしで)。しかし、上記のように、少なくともいくつかの例によれば、所望の材料、例えば金属間材料を形成するためには、還元剤も還元反応も必要とされない。
【0095】
使用すると、還元剤を含む第三の気相反応物質は、反応チャンバーに導入され、例示的な周期的堆積方法のいくつかのプロセス段階で基材に接触してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、還元剤は反応チャンバー内に導入され、第一の気相反応物質とは別個に、および/または第二の気相反応物質とは別個に、基材と接触させることができる。例えば、基材を第一の気相反応物質と接触させる前に、基材を第一の気相反応物質と接触させた後かつ基材を第二の気相反応物質と接触させる前に、および/または基材を第二の気相反応物質と接触させた後に、還元剤を反応チャンバーに導入し、基材と接触させてもよい。本開示のいくつかの実施形態では、還元剤は反応チャンバー内に導入され、第一の気相反応物質と同時に、および/または第二の気相反応物質と同時に、基材と接触させることができる。例えば、還元剤及び第一の気相反応物質は、反応チャンバー内に同時に流れ込み、同時に基材に接触することができ、ならびに/または還元剤および第二の気相反応物質は、反応チャンバー内に同時に流れ込み、同時に基材に接触することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、金属含有材料および/または金属間化合物の成長速度は、約0.005Å/サイクル~約5Å/サイクル、約0.01Å/サイクル~約2.0Å/サイクルである。いくつかの実施形態では、金属含有材料および/または金属間化合物の成長速度は、約0.05Å/サイクルより大きい、約0.1Å/サイクルより大きい、約0.15Å/サイクルより大きい、約0.20Å/サイクルより大きい、約0.25Å/サイクルより大きい、又は約0.3Å/サイクルより大きい。いくつかの実施形態では、金属含有材料および/または金属間化合物の成長速度は、約2.0Å/サイクル未満、約1.0Å/サイクル未満、約0.75Å/サイクル未満、約0.5Å/サイクル未満、又は0.2Å/サイクル未満である。本開示のいくつかの実施形態では、金属含有材料および/または金属間化合物の成長速度は約0.4Å/サイクルであってもよい。特定の例として、CoSn2の場合、成長は、約170~200℃の堆積温度で約0.7~1.3Å/サイクルの範囲であり、NiSnの場合、NiCl(TMPDA)を第一の気相反応物質として使用した場合に、160℃で約1.3Å/サイクルの成長速度が観察された。
【0097】
図3は、基材302および層または膜304を備える構造体300を例示する。構造300は、部分的に製造されるデバイス構造体であるか、またはそれを備えることができる。上記のように、基材302は、バルク材料、例えばバルク半導体材料、ならびにその上および/またはその中に形成される層を備えることができる。膜302は、金属間化合物または金属含有材料、例えば、本明細書に記載の実施形態に従って堆積させる金属間化合物または金属含有材料を備えることができる。いくつかの実施形態では、膜304は、約100ナノメートル未満、又は約60ナノメートル未満、又は約50ナノメートル未満、又は約40ナノメートル未満、又は約30ナノメートル未満、又は約25ナノメートル未満、又は約20ナノメートル未満、又は約15ナノメートル未満、又は約10ナノメートル未満、又は約5ナノメートル未満、又は更に薄い厚さで連続的であってもよい。本明細書で言及される連続性は、物理的連続性または電気的連続性であることができる。いくつかの実施形態では、膜304が物理的に連続し得る厚さは、膜が電気的に連続する厚さと同じでなくてもよく、膜304が電気的に連続し得る厚さは、膜が物理的に連続している厚さと同じでなくてもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の実施形態のいくつかに従って堆積させる金属間膜および/または金属含有膜(例えば、膜304)は、約20ナノメートル~約100ナノメートルの厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の実施形態のいくつかに従って堆積させる金属間膜および/または金属含有膜は、約20ナノメートル~約60ナノメートルの厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の実施形態のいくつかに従って堆積させる金属間膜および/または金属含有膜は、約20ナノメートルを超える、又は約30ナノメートルを超える、又は約40ナノメートルを超える、又は約50ナノメートルを超える、又は約60ナノメートルを超える、又は約100ナノメートルを超える、又は約250ナノメートルを超える、又は約500ナノメートルを超える厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の実施形態のいくつかに従って堆積させる金属間膜および/または金属含有膜は、約50ナノメートル未満、約30ナノメートル未満、約20ナノメートル未満、約15ナノメートル未満、約10ナノメートル未満、約5ナノメートル未満、約3ナノメートル未満、約2ナノメートル未満、又は約1ナノメートル未満の厚さを有してもよい。
【0099】
本開示のいくつかの実施形態では、金属間膜および/または金属含有膜を、三次元構造上、例えば、高いアスペクト比特徴を含む非平面の基材上に堆積させてもよい。いくつかの実施形態では、金属間膜および/または金属含有膜のステップカバレッジは、アスペクト比(高さ/幅)が約2より大きい、約5より大きい、約10より大きい、約25より大きい、約50より大きい、又は更に約100より大きい構造において、約50%以上、又は約80%以上、又は約90%以上、又は約95%以上、又は約98%以上、又は約99%以上、もしくはそれより大きくてもよい。
【0100】
金属間化合物および/もしくは金属含有材料またはその対応する膜は、本明細書に記載の第一の金属および第二の金属を含む。特定の例として、第一の金属は、Co、Ni、Pt、または本明細書に記載の他の第一の金属のいずれかを含むことができ、第二の金属は、Sn、In、Ga、Ge、As、Sb、PbおよびBi(例えば、Sn、In、もしくはFe)、またはAlを含む本明細書に記載の他の第二の金属のいずれかを含むことができる。例示的な金属間化合物および/または金属含有化合物は、(六方晶系)CoSnまたはNiSnを含む。金属間化合物および/または金属含有化合物はまた、その他の化学量論または他の結晶構造を有してもよく、これは、例えば、熱処理によって、または堆積条件を調整することによって得ることができる。他の例示的な金属間化合物および/または金属含有材料は、In-Sb、Pt-In、Pt-Sn、Pt-Ir、Pd-Pt、Ru-Pt、Ru、Co、Co-W、Ru-Mn、Cu-Mn、およびCo-Ptの化合物を含む。金属間化合物および/または金属含有材料のその他の特定の例には、Co、Ni、Cu、および/またはPt、ならびにSn、In、Ga、Ge、As、Sb、Pb、Al、およびBiのうちの一つまたは複数が含まれる。場合によっては、金属間化合物および/または金属含有材料を含む膜は、Al、Ga、および/またはIn、ならびに遷移金属を含まない。
【0101】
本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のように、同じものを含む、金属間化合物ならびに/または金属含有材料および/もしくは膜は、約5原子%未満の酸素、約2原子%未満の酸素、約1原子%未満の酸素、または約0.5原子%未満の酸素を含むことができる。別の実施形態では、化合物、材料、または膜は、約5原子%未満の水素、又は約2原子%未満の水素、又は約1原子%未満の水素、又は更に約0.5原子%未満の水素を含んでもよい。さらに別の実施形態では、化合物、材料、または膜は、約5原子%未満の炭素、又は約2原子%未満の炭素、又は約1原子%未満の炭素、又は更に約0.5原子%未満の炭素を含んでもよい。さらに別の実施形態では、化合物、材料、または膜は、約5原子%未満のハロゲン化物種、又は約2原子%未満のハロゲン化物種、又は約1原子%未満のハロゲン化物種、又は更に約0.5原子%未満のハロゲン化物種を含んでもよい。いくつかの実施形態では、同じものを含む金属間化合物、金属含有材料、および膜の原子%は、飛行時間型弾性反跳粒子検出法(ToF-ERDA)を利用して決定されてもよい。
【0102】
金属含有膜を堆積させるために使用できる反応器を使用して、本明細書に記載の金属間化合物、金属含有材料、および膜を形成することができる。このような反応器には、反応物質を供給するための適切な装置および手段を備えるALD反応器、ならびにCVD反応器が含まれる。いくつかの実施形態によれば、高温壁クロスフロー型反応器を使用することができる。いくつかの実施形態によれば、他のクロスフロー型、バッチ式、ミニバッチ式、または空間的ALD反応器が使用されてもよい。
【0103】
使用することができる適切な反応器の例としては、アリゾナ州フェニックスのASM America,Inc.、及びオランダ アルメアのASM Europe B.V.から入手可能な、市販の単一基材(又は単一ウエハ)成膜装置、例えば、Pulsar(登録商標)反応器(例えば、Pulsar(登録商標)2000、Pulsar(登録商標)3000、及びPulsar(登録商標)XP ALD等)、並びにEmerALD(登録商標)XP及びEmerALD(登録商標)反応器等が挙げられる。他の市販の反応器としては、商品名Eagle(登録商標)XP及びXP8、日本エー・エス・エム(株)(日本、東京)製の反応器が挙げられる。いくつかの実施形態では、反応器は処理中に基材が移動又は回転する空間的ALD反応器である。
【0104】
本開示のいくつかの実施形態では、バッチ式反応器を使用し得る。適切なバッチ式反応器としては、商品名A400およびA412PLUSでASM Europe B.V(オランダ アルメア)から市販のAdvance(登録商標)400シリーズ反応器が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、ウエハは処理中に回転する。他の実施形態では、バッチリ式反応器は、10個以下の基材(例えば、半導体ウェーハ)、8個以下の基材、6個以下の基材、4個以下の基材、または2個以下の基材を収容するように構成されるミニバッチ式反応器を備える。バッチ式反応器が使用されるいくつかの実施形態では、ウエハ間の不均一性は3%(1シグマ)未満、2%未満、1%未満又は更には0.5%未満である。
【0105】
本明細書に記載の堆積方法を、クラスタツールに接続される反応器又は反応チャンバーで任意に行うことができる。クラスタツールでは、各反応チャンバーが一つのタイプのプロセス専用であるため、各モジュール内の反応チャンバーの温度を一定に保つことができ、各運転の前に基材をプロセス温度まで加熱する反応器と比較してスループットが向上する。更に、クラスタツールでは、反応チャンバーを基材間で所望のプロセス圧力レベルに排気する時間を短縮することが可能である。本開示のいくつかの実施形態では、堆積プロセスは、複数の反応チャンバーを含むクラスタツール内で実施されてもよく、各個々の反応チャンバーは、基材を個々の反応物質ガスに曝露させるために使用されてもよく、基材を複数の反応物質ガスに曝露されるように異なる反応チャンバー間を搬送してもよく、基材の搬送は基材の酸化/汚染を回避するために制御された環境下で実施される。本開示のいくつかの実施形態では、堆積プロセスは、複数の反応チャンバーを備えるクラスタツール内で実施されてもよく、各個々の反応チャンバーは、基材を異なる堆積温度に加熱するように構成されてもよい。
【0106】
独立型反応器にはロードロックが装備されている。その場合、各運転と運転との間に反応空間を冷却する必要はない。
【0107】
図5は、本開示の少なくとも一つの実施形態による反応器システム500を概略的に例示する。反応器システム500は、例えば、本明細書に記載の周期的堆積(例えば、ALD)方法を実施するために、ならびに/または本明細書に記載の構造体、膜、化合物および/もしくは材料を形成するために使用されることができる。
【0108】
例示の例では、反応器システム500は、任意の基材ハンドリングシステム502、反応チャンバー504、ガス分配システム506、および必要に応じて反応チャンバー504と基材ハンドリングシステム502との間に配置される壁508を備える。システム500はまた、第一の気相反応物質源512、第二の気相反応物質源514、および排気源510を備えることができる。二つのガス源512、514が例示されているが、反応器システム500は任意の好適な数の反応物質ガス源を備えることができる。例として、例示的な反応器システムは、少なくとも二つの反応物質ガス源(例えば、第一または第二の気相反応物質になる化合物を含む供給源)、ならびに必要に応じて一つまたは複数のキャリアガスおよび/もしくはパージガス源516を含み得る。反応器システム500はまた、処理中に一つまたは複数の基材520を保持するサセプター518を備える。
【0109】
反応器システム500は、任意の好適な数の反応チャンバー104および基材ハンドリングシステム502を備えることができる。例として、反応器システム500の反応チャンバー504は、クロスフロー高温壁エピタキシャル反応チャンバーを備える。水平流反応器を含む例示的な反応器システムは、ASMからシステムとして入手可能である。
【0110】
図5は、反応器システム500の簡略化された概略バージョンであり、反応器システム500で利用されてもよい要素、例えば、これらに限定されないが、バルブ、電気接続、マスフローコントローラ、シール、およびガス導管、の全てを含むわけではないことに留意されたい。
【0111】
本開示のいくつかの実施形態では、一つまたは複数の反応物質原料容器522、524は、導管または他の適切な手段526、528を通って、反応チャンバー504に流体連通しており、反応物質原料容器522、524と反応チャンバー504との間に配置されるガス分配システム506にさらに連結してもよい。ガス分配システム506は、例えば、マニホールド、バルブ制御システム、マスフロー制御システム、および/または反応物質原料容器522もしくは524から生じる気体の反応物質を制御する他の機構を備えることができる。反応物質原料容器522、524は、それぞれ第一の気相反応物質および第二の気相反応物質である、または加熱時にそれぞれ第一の気相反応物質および第二の気相反応物質となる、金属含有化合物(例えば、有機金属化合物または金属有機化合物)を貯蔵するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、反応物質原料容器522、524は、原料容器522、524内に貯蔵されるそれぞれの第一および第二の反応物質に対して実質的に化学的に不活性である可能性がある、石英材料を含んでもよい。本開示の別の実施形態では、反応物質原料容器522,524は、例えば、ハステロイ、モネルまたはそれらの組み合わせなど、耐食性金属または金属合金より製作されてもよい。
【0112】
本開示のいくつかの実施形態では、反応物質原料容器522、524は、反応物質原料容器522、524内に貯蔵される化合物を所望の温度まで加熱するように構成される一つまたは複数の加熱体526、528をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の加熱体を利用して、化合物を、約0℃を超える、または約20℃を超える、または約100℃を超える、または約150℃を超える、または約200℃を超える、または約200℃を超える、または約300℃を超える、または約400℃を超える温度に加熱することができる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の加熱体526、528は、反応物質原料容器522、524に貯蔵される化合物を、約25℃~約200℃、約25℃~約300℃、または約25℃~約400℃の温度に加熱するように構成されてもよい。特定の例として、気相反応物質がBuSnHを含む場合、温度は約20℃~約40℃の範囲または約30℃であってもよく、反応物質がCoCl(TMEDA)を含む場合、温度は約150℃~約190℃の範囲または約170℃であってもよく、反応物質がNiCl(TMPDA)を含む場合、温度は約140℃~約180℃の範囲または約157℃であってもよく、また、反応物質がNi(dmap)を含む場合、温度は約50℃~約70℃の範囲または約62℃であってもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、反応物質原料容器522、524と関連付けられる一つまたは複数の加熱体526、528は、化合物を固体から液体または気体のいずれかに変換して、第一の気相反応物質または第二の気相反応物質を形成するように構成される。いくつかの実施形態では、反応物質原料容器522、524と関連付けられる一つまたは複数の加熱体526、528をそれぞれ利用して、反応物質原料容器522、524に貯蔵される反応物質化合物の粘度を制御してもよい。いくつかの実施形態では、それぞれ反応物質原料容器522,524と関連付けられる一つまたは複数の加熱体526,528は、反応物質原料容器522,524に貯蔵される化合物によって生成される蒸気圧を制御するように構成されてもよい。本開示のいくつかの実施形態では、化合物は、25℃よりも高い、又は50℃よりも高い、又は更に100℃よりも高い温度で、0.01ミリバールを超える蒸気圧を有してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、化合物は、350℃未満、又は250℃未満、又は200℃未満、又は更に150℃未満の温度で、0.01ミリバールを超える蒸気圧を有してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、化合物は、25℃よりも高い、又は更に100℃よりも高い温度で、0.1ミリバールを超える蒸気圧を有してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、化合物は、400℃未満、又は200℃未満、又は更に100℃未満の温度で、0.1ミリバールを超える蒸気圧を有してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、25℃より高い、又は更に100℃より高い温度で、1ミリバールを超える蒸気圧を有してもよい。例えば、化合物を、150℃より高い温度まで加熱し、0.001ミリバールを超える蒸気圧を発生させることができる。
【0114】
本開示のいくつかの実施形態では、一つまたは複数の(例えば、供給源516または他の供給源からの)キャリアガスが、キャリアガス貯蔵容器から蒸気通路530を通って反応物質原料容器522内へ移送されてもよいように、蒸気通路530は、反応物質原料容器522(および/または反応物質原料容器524)に連結してもよい。いくつかの実施形態では、マスフローコントローラ(図示せず)を蒸気通路530上に配置し、反応物質原料容器522に近接して配置してもよい。例えば、マスフローコントローラは、反応物質原料容器522に入るキャリアガスの質量流束を制御するように較正されてもよく、それによって、反応物質原料容器522を出てから反応チャンバー504への反応物質蒸気のその後の流量に対するより大きな制御が可能になる。
【0115】
いくつかの実施形態では、キャリアガス(例えば、水素、窒素、ヘリウム、アルゴン、またはそれらの任意の混合物)は、化合物の露出する表面上に流されてもよく、それによって、蒸気の一部を化合物から選び取り、化合物(その時は第一または第二の気相反応物質)をキャリアガスと共に、反応チャンバー504に移送する。本開示の別の実施形態では、キャリアガスは、化合物を通って、例えば、別の蒸気通路(図示せず)によって、「気泡」とされてもよく、それによって、金属含有化合物の一部を攪拌および選び取り、金属含有化合物蒸気(その時は第一または第二の気相反応物質)をガス導管526を通して反応チャンバー504に移送する。
【0116】
本開示のいくつかの実施形態では、反応器システム500は、反応器システム500と関連付けられるバルブ、マニホールド、ポンプおよび他の装置を選択的に動作させるための電子回路ならびに機械的構成要素を提供するシステム動作および制御機構532をさらに備える。このような回路および化合物は、反応物質、パージガス、および/またはキャリアガスを、それぞれの反応物質原料容器522、524、およびパージガス容器534から導入するように動作する。システム動作および制御機構532はまた、ガスパルスシーケンスのタイミング、基材および/または反応チャンバーの温度、ならびに反応チャンバーの圧力、ならびに反応器システム500を適切に動作させるのに必要な様々な他の動作を制御する。動作および制御機構532は、反応チャンバー504内外への反応物質、キャリアガス、および/またはパージガスの流量を制御するために、制御ソフトウェアおよび電気的または空気制御バルブを備えてもよい。システム動作および制御機構532は、特定のタスクを実行するモジュール、例えば、ソフトウェアおよび/またはハードウェア構成要素、例えばFPGAまたはASICを備えることができる。モジュールは、有利には、システム動作および制御機構532のアドレス指定可能な記憶媒体上に存在するように構成され、一つまたは複数のプロセスを実行するように構成されることができる。
【0117】
異なる数および種類の反応物質源およびパージガス源を備える、反応器システムの様々な他の構成が可能である。さらに、反応チャンバー504内へ選択的にガスを供給するという目的を達成するために使用されることができるバルブ、導管、反応物質源、パージガス源の多くの配置がある。
【実施例0118】
以下に提供する実施例は、本開示の例示的な実施形態による特定のプロセス、膜、および構造体を例示する。これらの実施例は例示的なものであり、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。
【0119】
実施例1
金属間化合物を堆積させるための周期的堆積プロセスであって、周期的堆積方法は、
第一の金属を含む第一の気相反応物質を反応チャンバーに供給し、基材の表面と反応させて第一の金属種を形成する工程と、
第二の金属を含む第二の気相反応物質を反応チャンバーに供給して、第一の金属種と反応させ、それにより金属間化合物を形成する工程と、を含む、周期的堆積プロセス。
【0120】
実施例2
さらに、所望の膜厚が達成されるまで、第一の気相反応物質を供給する工程と、第二の気相反応物質を供給する工程と、を繰り返すことをさらに含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0121】
実施例3
一つまたは複数のパージ工程をさらに含み、パージ工程のうちの少なくとも一つは、第一の気相反応物質を供給する工程の後、第二の気相反応物質を供給する工程の前に行う、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0122】
実施例4
周期的堆積プロセスは原子層堆積プロセスを含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0123】
実施例5
周期的堆積プロセスは周期的化学気相堆積を含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0124】
実施例6
第一の気相反応物質を供給し、第二の気相反応物質を供給する工程中の反応チャンバー内の温度は、0℃より高く、600℃未満、500℃未満、400℃未満、300℃未満もしくは250℃未満、または約20℃~約700℃、約50℃~約500℃、もしくは約50℃~約400℃、約75℃~約300℃、もしくは約100℃~約250℃である、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0125】
実施例7
第二の気相反応物質は金属含有有機化合物を含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0126】
実施例8
第二の気相反応物質は、式R-M-H(式中、Rは有機基であり、Mは金属である)を有する化合物からなる群から選択される、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0127】
実施例9
第二の金属は、Sn、In、Al、Ga、Ge、As、Sb、Pb、およびBiからなる群から選択される、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0128】
実施例10
第二の金属は、Sn、Ge、As、Sb、Pb、およびBiからなる群から選択される、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0129】
実施例11
第二の金属は、Snを含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0130】
実施例12
第二の金属は、Inを含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0131】
実施例13
第二の金属は、Gaを含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0132】
実施例14
式R-M-Hを有する化合物からなる群は、式R(X-n)-M-H(式中、Xは金属のホルマール酸化状態であり、nは1~5である)を有する、実施例8に記載の周期的堆積プロセス。
【0133】
実施例15
Rは、アルキル基または別の有機基を含む、実施例8および14に記載の周期的堆積プロセス。
【0134】
実施例16
Rは、C1~C5アルキル基からなる群から互いに独立して選択される、実施例8および14のいずれか一つに記載の周期的堆積プロセス。
【0135】
実施例17
Rは、別のドナー官能性を有するまたは有さない、シクロペンタジエニル、アミド、アルコキシ、アミジナート、グアニジナト、イミド、カルボキシラト、β-ジケトナト、β-ケトイミナト、マロナト、β-ジケチミナト基である、実施例8および14のいずれか一つに記載の周期的堆積プロセス。
【0136】
実施例18
第二の気相反応物質は、金属還元剤を含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0137】
実施例19
第一の金属は、遷移金属からなる群から選択される、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0138】
実施例20
第一の金属は、第3~6族金属からなる群から選択される、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0139】
実施例21
第一の金属は、第7~12族金属からなる群から選択される、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0140】
実施例22
第一の金属は、ランタニドからなる群から選択される、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0141】
実施例23
第一の金属は、第8~11族金属からなる群から選択される、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0142】
実施例24
第一の金属は、第9~10族金属からなる群から選択される、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0143】
実施例25
第一の気相反応物質は、金属ハロゲン化物からなる群から選択される、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0144】
実施例26
第一の気相反応物質は、M(dmap)(dmap=ジメチルアミノ-2-プロポキシド)(式中、Mは金属である)を含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0145】
実施例27
第一の気相反応物質は、金属水素化物およびアランからなる群から選択される、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0146】
実施例28
第一の気相反応物質は、相当する金属塩化物のジアミン付加体を含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0147】
実施例29
第一の気相反応物質は、二座窒素含有付加体配位子を含む金属ハロゲン化物化合物を含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0148】
実施例30
付加体配位子は二つの窒素原子を含み、窒素原子の各々は少なくとも一つの炭素原子に結合する、実施例29に記載の周期的堆積プロセス。
【0149】
実施例31
第一の気相反応物質は、塩化コバルト(TMEDA)および塩化ニッケル(TMPDA)のうちの少なくとも一つを含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0150】
実施例32
第二の気相反応物質は、TBTHを含む、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0151】
実施例33
金属間化合物は、Al、Ga、および/またはIn、ならびに遷移金属を含まない、実施例1に記載の周期的堆積プロセス。
【0152】
実施例34
金属含有材料を形成するための周期的堆積プロセスであって、周期的堆積プロセスは、
第一の金属を含む第一の気相前駆体を反応チャンバーに供給して第一の金属種を形成することと、
一般式R-M-H(式中、Rは有機基であり、Mは金属である)を有する化合物を含む第二の気相反応物質を供給し、第一の金属種と反応させ、それにより金属含有材料を形成することと、を含む周期的堆積プロセス。
【0153】
実施例35
第一の金属と第二の金属は同一である、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0154】
実施例36
金属含有材料は、元素金属を含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0155】
実施例37
金属含有材料は、例えば、InならびにGeまたは他の第一および/もしくは第二の金属の混合物を含む、実施例1または34のいずれか一項に記載の周期的堆積プロセス。
【0156】
実施例38
さらに、所望の膜厚が達成されるまで、第一の気相反応物質を供給する工程と、第二の気相反応物質を供給する工程と、を繰り返すことをさらに含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0157】
実施例39
一つまたは複数のパージ工程をさらに含み、パージ工程のうちの少なくとも一つは、第一の気相反応物質を供給する工程の後、第二の気相反応物質を供給する工程の前に行う、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0158】
実施例40
周期的堆積プロセスは原子層堆積プロセスを含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0159】
実施例41
周期的堆積プロセスは周期的化学気相堆積を含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0160】
実施例42
第一の気相反応物質を供給し、第二の気相反応物質を供給する工程中の反応チャンバー内の温度は、0℃より高く、600℃未満、500℃未満、400℃未満、300℃未満もしくは250℃未満、または約20℃~約700℃、約50℃~約500℃、もしくは約50℃~約400℃、約75℃~約300℃、もしくは約100℃~約250℃である、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0161】
実施例43
第一の金属は、Sn、In、Ga、Al、Ge、As、Sb、Pb、およびBiからなる群から選択される、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0162】
実施例44
第二の金属は、Sn、Ge、As、Sb、Pb、およびBiからなる群から選択される、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0163】
実施例45
第二の金属は、Snを含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0164】
実施例46
第二の金属は、Inを含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0165】
実施例47
第二の金属は、Gaを含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0166】
実施例48
金属含有材料は、金属混合物、合金、および金属間化合物のうちの一つまたは複数を含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0167】
実施例49
金属含有材料は、金属、導電性、非導電性、半導性、超電導性、触媒性、強磁性、および磁気抵抗性のうちの一つまたは複数である、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0168】
実施例50
一般式R-M-Hを有する化合物は、式R(X-n)-M-H(式中、Xは金属のホルマール酸化状態であり、nは1~5である)を有する、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0169】
実施例51
Rはアルキル基または別の有機基を含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0170】
実施例52
Rは、C1~C5アルキル基からなる群から互いに独立して選択される、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0171】
実施例53
Rは、別のドナー官能性を有するまたは有さない、シクロペンタジエニル、アミド、アルコキシ、アミジナート、グアニジナト、イミド、カルボキシラト、β-ジケトナト、β-ケトイミナト、マロナト、β-ジケチミナト基である、実施例34から52のいずれか一項に記載の周期的堆積プロセス。
【0172】
実施例54
第二の気相反応物質は、金属還元剤を含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0173】
実施例55
第一の金属は、遷移金属からなる群から選択される、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0174】
実施例56
第一の金属は、第3~6族金属からなる群から選択される、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0175】
実施例57
第一の金属は、第7~12族金属からなる群から選択される、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0176】
実施例58
第一の金属は、ランタニドからなる群から選択される、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0177】
実施例59
第一の金属は、第8~11族金属からなる群から選択される、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0178】
実施例60
第一の金属は、第9~10族金属からなる群から選択される、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0179】
実施例61
第一の気相反応物質は、金属ハロゲン化物からなる群から選択される、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0180】
実施例62
第一の気相反応物質は、M(dmap)(dmap=ジメチルアミノ-2-プロポキシド)(式中、Mは金属である)を含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0181】
実施例63
第一の気相反応物質は、金属水素化物およびアランからなる群から選択される、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0182】
実施例64
第一の気相反応物質は、相当する金属塩化物のジアミン付加体を含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0183】
実施例65
第一の気相反応物質は、二座窒素含有付加体配位子を含む金属ハロゲン化物化合物を含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0184】
実施例66
付加体配位子は二つの窒素原子を含み、窒素原子の各々は少なくとも一つの炭素原子に結合する、実施例65に記載の周期的堆積プロセス。
【0185】
実施例67
第一の気相反応物質は、塩化コバルト(TMEDA)および塩化ニッケル(TMPDA)のうちの少なくとも一つを含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0186】
実施例68
第二の気相反応物質は、TBTHを含む、実施例34に記載の周期的堆積プロセス。
【0187】
実施例69
実施例1~33のいずれか一項に記載のプロセスに従って形成される膜。
【0188】
実施例70
膜は、金属、導電性、半導性、または非導電性である、実施例69に記載の膜。
【0189】
実施例71
膜は、超電導性である、実施例69に記載の膜。
【0190】
実施例72
膜は、磁気抵抗性である、実施例69に記載の膜。
【0191】
実施例73
膜は、強磁性である、実施例69に記載の膜。
【0192】
実施例74
膜は、触媒である、実施例69に記載の膜。
【0193】
実施例75
実施例34~68のいずれか一項に記載のプロセスに従って形成される膜。
【0194】
実施例76
膜は、金属混合物、合金、および金属間化合物のうちの一つまたは複数を含む、実施例75に記載の膜。
【0195】
実施例77
実施例69および76のうちの一項または複数項に記載の膜を含むデバイス構造体。
【0196】
上に記載した本開示の例示的実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその法的等価物により定義される、本発明の実施形態の単なる例であるため、これらの実施形態によって本発明の範囲は限定されない。任意の均等物の実施形態は、本発明の範囲内であることが意図される。実際に、記載の要素の代替的な有用な組み合わせなど、本明細書に示されかつ記載されたものに加えて、本開示の様々な修正は、記載内容から明らかになる場合がある。こうした修正および実施形態も、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0197】
100 周期的堆積方法
200 周期的堆積方法
300 構造体
302 基材
304 膜
500 反応器システム
502 基材ハンドリングシステム
504 反応チャンバー
506 ガス分配システム
508 壁
510 排気源
512 第一の気相反応物質源
514 第二の気相反応物質源
516 パージガス源
518 サセプター
520 基材
522、524 反応物質原料容器
526、528 導管
530 蒸気通路
532 動作および制御機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属間化合物を堆積させるための周期的堆積プロセスであって、前記周期的堆積方法は、
第一の金属を含む第一の気相反応物質を第一の気相反応物質原料容器から反応チャンバーに供給し、基材の表面と反応させて第一の金属種を形成する工程と、
第二の金属を含む第二の気相反応物質を前記反応チャンバーに供給して、前記第一の金属種と反応させ、それにより前記金属間化合物を形成する工程と、を含み、
前記第一の気相反応物質は、遷移金属及び二座窒素含有付加体配位子を含み、
前記第二の気相反応物質は金属含有有機化合物を含む、周期的堆積プロセス。
【請求項2】
前記遷移金属は8~11族金属を含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項3】
前記第二の気相反応物質は、式R-M-H(式中、Rは有機基であり、Mは金属である)を有する化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項4】
式R-M-Hを有する化合物からなる群は、式R(X-n)-M-H(式中、Xは金属のホルマール酸化状態であり、nは1~5である)を有する、請求項3に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項5】
Rは、C1~C5アルキル基からなる群から互いに独立して選択される、請求項に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項6】
Rは、別のドナー官能性を有するまたは有さない、シクロペンタジエニル、アミド、アルコキシ、アミジナート、グアニジナト、イミド、カルボキシラト、β-ジケトナト、β-ケトイミナト、マロナト、β-ジケチミナト基である、請求項に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項7】
前記第二の金属は、Sn、In、Al、Ga、Ge、As、Sb、Pb、及びBiからなる群から選択される、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項8】
前記第二の気相反応物質は、金属還元剤を含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項9】
前記第一の気相反応物質は、相当する金属塩化物のジアミン付加体を含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項10】
前記第一の気相反応物質は、前記二座窒素含有付加体配位子を含む金属ハロゲン化物化合物を含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項11】
前記第一の気相反応物質は、塩化コバルト(TMEDA)および塩化ニッケル(TMPDA)のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項12】
前記第二の気相反応物質は、TBTHを含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項13】
金属含有材料を形成するための周期的堆積プロセスであって、前記周期的堆積プロセスは、
第一の金属を含む第一の気相前駆体を第一の気相反応物質材料容器から反応チャンバーに供給して第一の金属種を形成することと、
前記第一の金属種と反応させ、それにより前記金属含有材料を形成するために、一般式R-M-H(式中、Rは有機基であり、Mは第二の金属である)を有する化合物を含む第二の気相反応物質を供給することと、を含み、
前記反応チャンバー内の温度は、0℃よりも高く600℃未満であり、
前記第一の気相前駆体は二座窒素含有付加体配位子を含む金属ハロゲン化化合物を含み、
前記第一の金属は遷移金属を含む、周期的堆積プロセス。
【請求項14】
前記金属含有材料は、元素金属を含む、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項15】
前記第二の金属は、Sn、In、Ga、Al、Ge、As、Sb、Pb、およびBiからなる群から選択される、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項16】
一般式R-M-Hを有する前記化合物は、式R(X-n)-M-H(式中、Xは金属のホルマール酸化状態であり、nは1~5である)を有する、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項17】
前記第一の気相反応物質は、相当する金属塩化物のジアミン付加体を含む、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項18】
前記第一の気相反応物質は、塩化コバルト(TMEDA)および塩化ニッケル(TMPDA)のうちの少なくとも一つを含む、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項19】
前記第二の気相反応物質は、TBTHを含む、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項20】
請求項1~19のうちの一項または複数項に記載の前記膜を含むデバイス構造体。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属間化合物を堆積させるための周期的堆積プロセスであって、前記周期的堆積プロセスは、
第一の金属を含む第一の気相反応物質を第一の気相反応物質原料容器から反応チャンバーに供給し、基材の表面と反応させて第一の金属種を形成する工程と、
第二の金属を含む第二の気相反応物質を前記反応チャンバーに供給して、前記第一の金属種と反応させ、それにより前記金属間化合物を形成する工程と、を含み、
前記第一の気相反応物質は、遷移金属及び二座窒素含有付加体配位子を含み、
前記第二の気相反応物質は金属含有有機化合物を含む、周期的堆積プロセス。
【請求項2】
前記遷移金属は8~11族金属を含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項3】
前記第二の気相反応物質は、式R-M-H(式中、Rは有機基であり、Mは金属である)を有する化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項4】
式R-M-Hを有する化合物からなる群は、式R(X-n)-M-H(式中、Xは金属の酸化数であり、nは1~5である)を有する、請求項3に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項5】
Rは、C1~C5アルキル基からなる群から互いに独立して選択される、請求項に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項6】
Rは、別のドナー官能性を有するまたは有さない、シクロペンタジエニル、アミド、アルコキシ、アミジナート、グアニジナト、イミド、カルボキシラト、β-ジケトナト、β-ケトイミナト、マロナト、β-ジケチミナト基である、請求項に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項7】
前記第二の金属は、Sn、In、Al、Ga、Ge、As、Sb、Pb、及びBiからなる群から選択される、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項8】
前記第二の気相反応物質は、金属還元剤を含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項9】
前記第一の気相反応物質は、相当する金属塩化物のジアミン付加体を含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項10】
前記第一の気相反応物質は、前記二座窒素含有付加体配位子を含む金属ハロゲン化物化合物を含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項11】
前記第一の気相反応物質は、塩化コバルト(TMEDA)および塩化ニッケル(TMPDA)のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項12】
前記第二の気相反応物質は、TBTHを含む、請求項1に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項13】
金属含有材料を形成するための周期的堆積プロセスであって、前記周期的堆積プロセスは、
第一の金属を含む第一の気相前駆体を第一の気相反応物質材料容器から反応チャンバーに供給して第一の金属種を形成することと、
前記第一の金属種と反応させ、それにより前記金属含有材料を形成するために、一般式R-M-H(式中、Rは有機基であり、Mは第二の金属である)を有する化合物を含む第二の気相反応物質を供給することと、を含み、
前記反応チャンバー内の温度は、0℃よりも高く600℃未満であり、
前記第一の気相前駆体は二座窒素含有付加体配位子を含む金属ハロゲン化化合物を含み、
前記第一の金属は遷移金属を含む、周期的堆積プロセス。
【請求項14】
前記金属含有材料は、元素金属を含む、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項15】
前記第二の金属は、Sn、In、Ga、Al、Ge、As、Sb、Pb、およびBiからなる群から選択される、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項16】
一般式R-M-Hを有する前記化合物は、式R(X-n)-M-H(式中、Xは金属の酸化数であり、nは1~5である)を有する、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項17】
前記第一の気相反応物質は、相当する金属塩化物のジアミン付加体を含む、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項18】
前記第一の気相反応物質は、塩化コバルト(TMEDA)および塩化ニッケル(TMPDA)のうちの少なくとも一つを含む、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【請求項19】
前記第二の気相反応物質は、TBTHを含む、請求項13に記載の周期的堆積プロセス。
【外国語明細書】