(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120938
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】積層体および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240829BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240829BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B7/023
G09F9/00 313
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024101747
(22)【出願日】2024-06-25
(62)【分割の表示】P 2022090768の分割
【原出願日】2019-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2018196920
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直也
(72)【発明者】
【氏名】濱口 侑也
(72)【発明者】
【氏名】笠原 健裕
(72)【発明者】
【氏名】小糸 直希
(72)【発明者】
【氏名】武田 淳
(72)【発明者】
【氏名】加藤 由実
(72)【発明者】
【氏名】米本 隆
(72)【発明者】
【氏名】野副 寛
(57)【要約】
【課題】本発明は、支持体、配向層および光吸収異方性層を有する積層体において、支持体のみを剥離することが容易となる積層体、ならびに、それを用いた画像表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の積層体は、支持体、配向層、光吸収異方性層、粘着層をこの順に有し、支持体、粘着層を除き支持体から粘着層の間の厚みが5μm以下であり、粘着層の厚みが5μm~50μmである積層体である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体、配向層、光吸収異方性層、および、粘着層をこの順に有し、
前記支持体および前記粘着層を含まない前記支持体から前記粘着層までの間の厚みが5μm以下であり、
前記粘着層の厚みが、5μm~50μmであり、
前記配向層が、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基を有するシンナモイル化合物を含有する配向層形成用組成物を用いて形成した光配向層である、積層体。
【請求項2】
前記粘着層の貯蔵弾性率が、100kPa~20MPaである、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記粘着層の貯蔵弾性率が、100kPa~2MPaである、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記粘着層の厚みが、10μm超50μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項5】
前記光吸収異方性層が、二色性物質と液晶性化合物とを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項6】
前記光吸収異方性層が、二色性アゾ化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項7】
前記光吸収異方性層の厚みが、0.1μm~3μmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項8】
前記配向層の厚みが、0.1μm~2μmである、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項9】
前記配向層の厚みが、0.5μm超2μm以下である、請求項8に記載の積層体。
【請求項10】
前記シンナモイル化合物が、下記式(A)で表される光配向性基を含む繰り返し単位Aと、下記式(B)で表される架橋性基を含む繰り返し単位Bとを有する、光配向性共重合体である、請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体。
【化1】
前記式(A)中、R
1は、水素原子またはメチル基を表す。L
1は、窒素原子とシクロアルカン環とを含む2価の連結基を表し、前記シクロアルカン環を構成する炭素原子の一部が、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6のうち、隣接する2つの基が結合して環を形成していてもよい。
前記式(B)中、R
7は、水素原子またはメチル基を表し、L
2は、2価の連結基を表し、Xは、下記式(X4)で表される架橋性基を表す。
【化2】
前記式(X4)中、*は、前記式(B)中のL
2との結合位置を表し、Sは、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基を表す。
【請求項11】
前記式(A)中のL
1が、下記式(1)~(10)のいずれかで表される2価の連結基である、請求項10に記載の積層体。
【化3】
前記式(1)~(10)中、*1は、前記式(A)中の主鎖を構成する炭素原子との結合位置を表し、*2は、前記式(A)中のカルボニル基を構成する炭素原子との結合位置を表す。
【請求項12】
前記液晶性化合物が、重合性液晶化合物である、請求項5に記載の積層体。
【請求項13】
前記液晶性化合物が、高分子液晶性化合物である、請求項5に記載の積層体。
【請求項14】
前記光吸収異方性層が、更に低分子液晶性化合物を含む、請求項13に記載の積層体。
【請求項15】
前記光吸収異方性層と前記粘着層との間に、更に厚さ100nm以下の硬化層を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項16】
前記硬化層が液晶性化合物を含む、請求項15に記載の積層体。
【請求項17】
前記硬化層が多官能モノマーを含む組成物を硬化させた層である、請求項15に記載の積層体。
【請求項18】
前記光吸収異方性層と前記粘着層との間に、更に厚さ2μm以下のポリビニルアルコール樹脂を含む層を有する、請求項1~17のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項19】
前記支持体と前記配向層とが接している、請求項1~18のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項20】
前記配向層と前記光吸収異方性層とが接している、請求項1~19のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載の積層体と、表面フィルムとを有し、前記粘着層と前記表面フィルムとが接している、積層体。
【請求項22】
前記支持体が剥離された、請求項21に記載の積層体。
【請求項23】
更に位相差フィルムを有し、前記位相差フィルムが前記配向層側に配置された、請求項22に記載の積層体。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1項に記載の積層体と、画像表示素子とを有する、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二色性物質を用いて形成される光吸収異方性層について種々の検討が行われている。
例えば、特許文献1には、「液晶硬化膜と、粘接着剤層と、位相差フィルムと、粘接着剤層とをこの順に積層した円偏光板であって、該液晶硬化膜が、重合性液晶化合物が基材面内に対して水平方向に配向した状態で硬化した厚さが3μm以下の膜であって、二色性色素を含む膜である円偏光板。」が開示されている([請求項16])。
【0003】
一方で、近年の表示装置のさらなる薄型化の要望から、上述した円偏光板等に用いられていた支持体を剥離して薄型化する態様が提案されている。
そして、特許文献1では、薄型の光学異方性フィルムを与える光学異方性シートを提供することを課題としている([0004])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、種々の機能発現のために層構成が複雑な場合、転写の際にどの界面で剥離するかをコントロールすることは非常に困難であった。
特に、偏光子等が薄型化している等の理由により各層が非常に薄い積層体の場合、剥離界面のコントロールは更に難易度が高いことが分かった。例えば、支持体、配向層および光吸収異方性層を有する積層体から、支持体のみを剥離しようとしても、配向層と光吸収異方性層との界面で剥離が起こってしまうことがあった。
【0006】
そこで、本発明は、支持体、配向層および光吸収異方性層を有する積層体において、支持体のみを剥離することが容易となる積層体、ならびに、それを用いた画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、他の部材と張り合わせる際の粘着層の性質により、その他の界面での剥離性が変化することを見出した。
すなわち、支持体、配向層、光吸収異方性層および粘着層をこの順に有し、支持体および粘着層を含まない支持体から粘着層までの間の厚みが5μm以下である積層体において、粘着層の厚みを特定の値とすることで、支持体のみを剥離することが容易となる積層体を提供することができることを見出した。
【0008】
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
【0009】
[1] 支持体、配向層、光吸収異方性層、および、粘着層をこの順に有し、
支持体および粘着層を含まない支持体から粘着層までの間の厚みが5μm以下であり、
粘着層の厚みが、5μm~50μmであり、
配向層が、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基を有するシンナモイル化合物を含有する配向層形成用組成物を用いて形成した光配向層である、積層体。
[2] 粘着層の貯蔵弾性率が、100kPa~20MPaである、[1]に記載の積層体。
[3] 粘着層の貯蔵弾性率が、100kPa~2MPaである、[2]に記載の積層体。
[4] 粘着層の厚みが、10μm超50μm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 光吸収異方性層が、二色性物質と液晶性化合物とを含む、[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] 光吸収異方性層が、二色性アゾ化合物を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 光吸収異方性層の厚みが、0.1μm~3μmである、[1]~[6]のいずれかに記載の積層体。
[8] 配向層の厚みが、0.1μm~2μmである、[1]~[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] 配向層の厚みが、0.5μm超2μm以下である、[8]に記載の積層体。
[10] シンナモイル化合物が、後述する式(A)で表される光配向性基を含む繰り返し単位Aと、後述する式(B)で表される架橋性基を含む繰り返し単位Bとを有する、光配向性共重合体である、[1]~[9]のいずれかに記載の積層体。
[11] 後述する式(A)中のL1が、後述する式(1)~(10)のいずれかで表される2価の連結基である、[10]に記載の積層体。
[12] 液晶性化合物が、重合性液晶化合物である、[5]に記載の積層体。
[13] 液晶性化合物が、高分子液晶性化合物である、[5]に記載の積層体。
[14] 光吸収異方性層が、更に低分子液晶性化合物を含む、[13]に記載の積層体。
[15] 光吸収異方性層と粘着層との間に、更に厚さ100nm以下の硬化層を有する、[1]~[14]のいずれかに記載の積層体。
[16] 硬化層が液晶性化合物を含む、[15]に記載の積層体。
[17] 硬化層が多官能モノマーを含む組成物を硬化させた層である、[15]に記載の積層体。
[18] 光吸収異方性層と粘着層との間に、更に厚さ2μm以下のポリビニルアルコール樹脂を含む層を有する、[1]~[17]のいずれかに記載の積層体。
[19] 支持体と配向層とが接している、[1]~[18]のいずれかに記載の積層体。
[20] 配向層と光吸収異方性層とが接している、[1]~[19]のいずれかに記載の積層体。
[21] [1]~[20]のいずれかに記載の積層体と、表面フィルムとを有し、粘着層と表面フィルムとが接している、積層体。
[22] 支持体が剥離された、[21]に記載の積層体。
[23] 更に位相差フィルムを有し、位相差フィルムが配向層側に配置された、[22]に記載の積層体。
[24] [1]~[23]のいずれかに記載の積層体と、画像表示素子とを有する、画像表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、支持体、配向層および光吸収異方性層を有する積層体において、支持体のみを剥離することが容易となる積層体、ならびに、それを用いた画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の積層体の実施形態の例を示す模式的な断面図である。
【
図2】本発明の積層体の実施形態の例を示す模式的な断面図である。
【
図3】本発明の積層体の実施形態の例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、平行、直交とは厳密な意味での平行、直交を意味するのではなく、平行または直交から±5°の範囲を意味する。
【0013】
また、本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」または「メタクリレート」を表す表記であり、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を表す表記であり、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」または「メタクリロイル」を表す表記である。
また、本明細書において、液晶性組成物、液晶性化合物とは、硬化等により、もはや液晶性を示さなくなったものも概念として含まれる。
【0014】
[積層体]
本発明の積層体は、支持体、配向層、光吸収異方性層、および、粘着層をこの順に有する積層体である。
また、本発明の積層体は、支持体および粘着層を含まない支持体から粘着層までの間の厚みが5μm以下であり、かつ、粘着層の厚みが、5μm~50μmである。
更に、本発明の積層体は、配向層が、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基を有するシンナモイル化合物を含有する配向層形成用組成物を用いて形成した光配向層である。
次に、本発明の積層体の全体の構成を
図1~
図3を用いて説明した後に、各構成について詳述する。
【0015】
図1に示す積層体10は、支持体1、配向層2、光吸収異方性層3、および、粘着層4をこの順に有する。
また、積層体10は、支持体1および粘着層4を含まない支持体1から粘着層4までの間の厚み、すなわち支持体1の配向層2側の表面から粘着層4の光吸収異方性層3側の表面までの距離が5μm以下であり、1μm~4μmであることが好ましい。
また、積層体10は、粘着層4の厚みは5μm~50μmである。
【0016】
本発明の積層体は、
図1に示すように、支持体1と配向層2とが接していることが好ましい。
また、本発明の積層体は、
図1に示すように、配向層2と光吸収異方性層3とが接していることが好ましい。
【0017】
本発明の積層体は、
図2に示すように、光吸収異方性層3と粘着層4との間に、更に厚さ100nm以下の硬化層5を有することが好ましい。
【0018】
本発明の積層体は、
図2に示すように、光吸収異方性層3と粘着層4との間に、更に厚さ2μm以下のポリビニルアルコール樹脂を含む層(以下、「PVA層」とも略す。)6を有することが好ましい。
本発明の積層体は、硬化層5とポリビニルアルコール樹脂を含む層6とを共に含む場合は、
図2に示すように、光吸収異方性層3、硬化層5、ポリビニルアルコール樹脂を含む層6および粘着層4をこの順に有することが好ましい。
【0019】
本発明の積層体は、
図3に示すように、更に表面フィルム7を有していることが好ましい。この時、表面フィルム7と粘着層4が接している、すなわち表面フィルム7とその他の層が粘着層4によって貼り合わされていることが好ましい。
【0020】
本発明の積層体は、
図2に示す支持体1を剥離し、
図3に示すように、支持体1を有さない状態で用いてもよい。
また、本発明の積層体は、
図3に示すように、更に位相差フィルム8を有していてもよく、その場合、位相差フィルム8は配向層2側に配置されるのが好ましい。
【0021】
〔粘着層〕
本発明に用いられる粘着層は、厚みが5μm~50μmであれば、用いる素材としては特に限定はなく、各種公知の素材を用いることができる。
【0022】
本発明に用いられる粘着層の貯蔵弾性率は、支持体の剥離性をより調節しやすくする観点から、10kPa~20MPaであることが好ましく、10kPa~2MPaであることがより好ましい。
【0023】
《貯蔵弾性率の測定方法》
本発明において貯蔵弾性率は、アイティー計測制御株式会社製の動的粘弾性測定装置(DVA-200)を用いて、周波数1Hz、25℃にて測定した値をいう。
【0024】
本発明に用いられる粘着層の厚みは、5μm~50μmであり、10μm超50μm以下であることが好ましい。
上記範囲とすることで剥離性の調整がより容易となる。
【0025】
<粘着層に用いられる素材>
本発明に用いられる粘着層に含まれる素材としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、および、セルロース系粘着剤等が挙げられる。
これらのうち、透明性、耐候性、耐熱性などの観点から、アクリル系粘着剤(感圧粘着剤)であるのが好ましい。
【0026】
アクリル系粘着剤としては、エステル部分のアルキル基がメチル基、エチル基またはブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基である(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸やヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体などのアクリル系ポリマーが好ましい。
このようなアクリル系ポリマーを含む粘着剤は、粘着性に優れており、また、他部材に貼合した後に、剥離する際も、表示装置に糊残り等を生じさせることなく、比較的容易に剥離することが可能であるため好ましい。
また、このようなアクリル系ポリマーのガラス転移温度は、25℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。
また、このようなアクリル系ポリマーの重量平均分子量は、10万以上であることが好ましい。
【0027】
〔支持体〕
本発明に用いられる支持体は、特に限定されず、各種公知のものが使用できる。支持体としては剥離可能な支持体であることが好ましい。
【0028】
本発明に用いられる支持体を構成する材料としては、例えば、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、グルタル酸無水物系樹脂、グルタルイミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂およびこれらから選ばれた複数種の樹脂の混合樹脂が挙げられ、中でも、セルロース系樹脂またはポリエステル系樹脂が好ましい。
【0029】
剥離性の調整をより容易にしやすくする観点から、支持体の厚みは10~200μmが好ましく、50~200μmがさらに好ましく、100~200μmがより好ましい。
【0030】
また、粘着層の貯蔵弾性率に応じて、支持体の弾性率を調整することで、剥離性の調整をより容易にすることができる。
【0031】
また、配向層の組成物に応じて、染み込み難い支持体を選択することで支持体/配向層の密着力を下げることにより、剥離性の調整をより容易にすることができる。
【0032】
〔配向層〕
本発明に用いられる配向層は、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基を有するシンナモイル化合物を含有する配向層形成用組成物を用いて形成した光配向層である。
【0033】
本発明に用いられる配向層の厚みは、0.1μm~2μmであることが好ましく、0.5μm超2μm以下であることがより好ましい。
【0034】
本発明に用いられる光配向層は、上述した通り、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基(以下、本段落において「重合性基」と略す。)を有するシンナモイル化合物を含有する配向層形成用組成物を用いて形成した光配向層であり、中でも、シンナモイル化合物として後述の光配向性共重合体を用いて形成した光配向層がより好ましい。光吸収異方性層の組成物に含まれるものと同種の重合性基(例えば、メタクリロイル基またはアクリロイル基)が、光配向層の組成物にも含まれることで互いの層が化学結合して光配向層/光吸収異方性層の層間密着力が高まり、本発明の課題である支持体のみを剥離することが容易となる積層体を実現するのに有利である。
【0035】
<光配向性共重合体>
本発明に用いられる光配向性共重合体は、下記式(A)で表される光配向性基を含む繰り返し単位Aと、下記式(B)で表される架橋性基を含む繰り返し単位Bとを有する、光配向性の共重合体である。
【化1】
上記式(A)中、R
1は、水素原子またはメチル基を表す。L
1は、窒素原子とシクロアルカン環とを含む2価の連結基を表し、シクロアルカン環を構成する炭素原子の一部が、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6のうち、隣接する2つの基が結合して環を形成していてもよい。
上記式(B)中、R
7は、水素原子またはメチル基を表し、L
2は、2価の連結基を表し、Xは、下記式(X4)で表される架橋性基を表す。
【化2】
上記式(X4)中、*は、上記式(B)中のL
2との結合位置を表し、Sは、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基を表す。
【0036】
本発明においては、上記式(A)で表される光配向性基を含む繰り返し単位Aと、上記式(B)で表される架橋性基を含む繰り返し単位Bとを有する光配向性共重合体を用いることにより、得られる光配向膜の耐溶剤性および液晶配向性が良好となる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、上記式(A)中のL1で表される2価の連結基が、窒素原子とシクロアルカン環とを含むことにより、水素結合性および分子剛直性が高まることで分子運動が抑制され、その結果、耐溶剤性が向上したと考えられる。
同様に、上記式(A)中のL1で表される2価の連結基が、窒素原子とシクロアルカン環とを含むことにより、共重合体のガラス転移温度が上昇し、得られる光配向膜の経時安定性が向上した結果、光学異方性層を形成するタイミングに寄らず、液晶配向性が良好になったと考えられる。
【0037】
次に、上記式(A)中のL1が表す、窒素原子とシクロアルカン環とを含む2価の連結基について説明する。なお、本発明においては、上述した通り、シクロアルカン環を構成する炭素原子の一部は、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。また、シクロアルカン環を構成する炭素原子の一部が窒素原子で置換されている場合は、シクロアルカン環とは別に窒素原子を有していなくてもよい。
【0038】
また、上記式(A)中のL1が表す2価の連結基に含まれるシクロアルカン環は、炭素数6以上のシクロアルカン環であることが好ましく、その具体例としては、シクロヘキサン環、シクロペプタン環、シクロオクタン環、シクロドデカン環、シクロドコサン環等が挙げられる。
【0039】
本発明においては、液晶配向性がより良好となる理由から、上記式(A)中のL
1が、下記式(1)~(10)のいずれかで表される2価の連結基であることが好ましい。
【化3】
上記式(1)~(10)中、*1は、上記式(A)中の主鎖を構成する炭素原子との結合位置を表し、*2は、上記式(A)中のカルボニル基を構成する炭素原子との結合位置を表す。
【0040】
上記式(1)~(10)のいずれかで表される2価の連結基のうち、光配向膜を形成する際に用いる溶媒に対する溶解性と、得られる光配向膜の耐溶剤性とのバランスが良好となる理由から、上記式(2)、(3)、(7)および(8)のいずれかで表される2価の連結基であることが好ましい。
【0041】
なお、上記式(A)中のL1は、上述した「窒素原子とシクロアルカン環とを含む2価の連結基」以外の2価の連結基であってもよい。
このような2価の連結基としては、光配向性基が液晶性化合物と相互作用しやすくなり、隣接する液晶層の液晶配向性がより良好となる理由から、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリーレン基、エーテル基(-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、および、置換基を有していてもよいイミノ基(-NH-)からなる群から選択される少なくとも2以上の基を組み合わせた2価の連結基であることが好ましい。
【0042】
次に、上記式(A)中のR2、R3、R4、R5およびR6の一態様が表す置換基について説明する。なお、上記式(A)中のR2、R3、R4、R5およびR6が、置換基ではなく水素原子であってもよいことは上述した通りである。
【0043】
上記式(A)中のR
2、R
3、R
4、R
5およびR
6の一態様が表す置換基は、光配向性基が液晶性化合物と相互作用しやすくなり、液晶配向性がより良好となる理由から、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数1~20の直鎖状のハロゲン化アルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアリールオキシ基、シアノ基、アミノ基、または、下記式(11)で表される基であることが好ましい。
【化4】
ここで、上記式(11)中、*は、上記式(A)中のベンゼン環との結合位置を表し、R
9は、1価の有機基を表す。
【0044】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、中でも、フッ素原子、塩素原子であるのが好ましい。
【0045】
炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基について、直鎖状のアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基などが挙げられる。
分岐状のアルキル基としては、炭素数3~6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、イソプロピル基、tert-ブチル基などが挙げられる。
環状のアルキル基としては、炭素数3~6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0046】
炭素数1~20の直鎖状のハロゲン化アルキル基としては、炭素数1~4のフルオロアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基などが挙げられ、中でも、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0047】
炭素数1~20のアルコキシ基としては、炭素数1~18のアルコキシ基が好ましく、炭素数6~18のアルコキシ基がより好ましく、炭素数6~14のアルコキシ基が更に好ましい。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、メトキシエトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基などが好適に挙げられ、中でも、n-ヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基がより好ましい。
【0048】
炭素数6~20のアリール基としては、炭素数6~12のアリール基が好ましく、具体的には、例えば、フェニル基、α-メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
【0049】
炭素数6~20のアリールオキシ基としては、炭素数6~12のアリールオキシ基が好ましく、具体的には、例えば、フェニルオキシ基、2-ナフチルオキシ基などが挙げられ、中でも、フェニルオキシ基が好ましい。
【0050】
アミノ基としては、例えば、第1級アミノ基(-NH2);メチルアミノ基などの第2級アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、含窒素複素環化合物(例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンなど)の窒素原子を結合手とした基などの第3級アミノ基;が挙げられる。
【0051】
上記式(11)で表される基について、上記式(11)中のR9が表す1価の有機基としては、例えば、炭素数1~20の直鎖状または環状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基などが挙げられ、中でも、メチル基またはエチル基が好ましい。
環状のアルキル基としては、炭素数3~6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、中でも、シクロヘキシル基が好ましい。
なお、上記式(11)中のR9が表す1価の有機基としては、上述した直鎖状のアルキル基および環状のアルキル基を直接または単結合を介して複数組み合わせたものであってもよい。
【0052】
本発明においては、光配向性基が液晶性化合物と相互作用しやすくなり、液晶配向性がより良好となる理由から、上記式(A)中のR2、R3、R4、R5およびR6のうち、少なくともR4が上述した置換基を表していることが好ましく、更に、得られる光配向性共重合体の直線性が向上し、液晶性化合物と相互作用しやすくなり、液晶配向性が更に良好となる理由から、R2、R3、R5およびR6がいずれも水素原子を表すことがより好ましい。
【0053】
本発明においては、得られる光配向膜に光照射した際に反応効率が向上する理由から、上記式(A)中のR4が電子供与性の置換基であることが好ましい。
ここで、電子供与性の置換基(電子供与性基)とは、ハメット値(Hammett置換基定数σp)が0以下の置換基のことをいい、例えば、上述した置換基のうち、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
これらのうち、アルコキシ基であることが好ましく、液晶配向性がより良好となる理由から、炭素数が6~16のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数7~10のアルコキシ基であることが更に好ましい。
【0054】
次に、上記式(B)中のL2が表す2価の連結基について説明する。
【0055】
2価の連結基としては、光配向性基が液晶性化合物と相互作用しやすくなり、液晶配向性がより良好となる理由から、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリーレン基、エーテル基(-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、および、置換基を有していてもよいイミノ基(-NH-)からなる群から選択される少なくとも2以上の基を組み合わせた2価の連結基であることが好ましい。
【0056】
ここで、アルキレン基、アリーレン基およびイミノ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基および水酸基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、中でも、フッ素原子、塩素原子であるのが好ましい。
アルキル基としては、例えば、炭素数1~18の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基等)がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基またはエチル基であるのが特に好ましい。
アルコキシ基としては、例えば、炭素数1~18のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、メトキシエトキシ基等)がより好ましく、炭素数1~4のアルコキシ基であることが更に好ましく、メトキシ基またはエトキシ基であるのが特に好ましい。
アリール基としては、例えば、炭素数6~12のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、α-メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、ナフトキシ、イミダゾイルオキシ、ベンゾイミダゾイルオキシ、ピリジン-4-イルオキシ、ピリミジニルオキシ、キナゾリニルオキシ、プリニルオキシ、チオフェン-3-イルオキシなどが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。
【0057】
炭素数1~18の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基について、直鎖状のアルキレン基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などが挙げられる。
また、分岐状のアルキレン基としては、具体的には、例えば、ジメチルメチレン基、メチルエチレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、2-エチル-2-メチルプロピレン基などが挙げられる。
また、環状のアルキレン基としては、具体的には、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロデシレン基、アダマンタン-ジイル基、ノルボルナン-ジイル基、exo-テトラヒドロジシクロペンタジエン-ジイル基などが挙げられ、中でも、シクロヘキシレン基が好ましい。
【0058】
炭素数6~12のアリーレン基としては、具体的には、例えば、フェニレン基、キシリレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、2,2’-メチレンビスフェニル基などが挙げられ、中でも、フェニレン基が好ましい。
【0059】
次に、上記式(B)中のXが表す架橋性基について説明する。
【0060】
上記式(B)中のX(架橋性基)は、下記式(X1)~(X4)で表される架橋性基のうち、下記式(X4)で表される架橋性基である。
【化5】
上記式(X1)~(X4)中、*は、上記式(B)中のL
2との結合位置を表し、R
8は、水素原子、メチル基およびエチル基のいずれかを表し、上記式(X4)中、Sは、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基を表す。
ここで、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基としては、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が挙げられ、アクリロイル基またはメタクリロイル基であることが好ましい。
【0061】
本発明においては、後述する本発明の光学積層体の強度が高くなり、後述する本発明の光学積層体を用いて他の層を形成する際のハンドリング性が良好となる理由から、繰り返し単位Bが、上記式(B)中のXが上記式(X1)~(X3)のいずれかで表される架橋性基である繰り返し単位(以下、「繰り返し単位B1」とも略す。)と、上記式(B)中のXが上記式(X4)で表される架橋性基である繰り返し単位(以下、「繰り返し単位B2」とも略す。)とを含んでいることが好ましい。
【0062】
上記式(A)表される光配向性基を含む繰り返し単位Aとしては、具体的には、例えば、以下に示す繰り返し単位A-1~A-44が挙げられる。なお、下記式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。なお、以下の具体例中、繰り返し単位A-1~A-10の2価の連結基に含まれる「1,4-シクロヘキシル基」は、シス体およびトランス体のいずれであってもよいが、トランス体であることが好ましい。
【化6】
【化7】
【0063】
一方、上記式(B)表される架橋性基を含む繰り返し単位B(繰り返し単位B1)としては、具体的には、例えば、以下に示す繰り返し単位B-1~B-17が挙げられる。
【化8】
【0064】
また、上記式(B)表される架橋性基を含む繰り返し単位B(繰り返し単位B2)としては、具体的には、例えば、以下に示す繰り返し単位B-18~B-47が挙げられる。
【化9】
【0065】
本発明に用いられる光配向性共重合体は、上述した繰り返し単位Aの含有量aと、上述した繰り返し単位Bの含有量bとが、質量比で下記式(12)を満たしていることが好ましく、下記式(13)を満たしていることがより好ましく、下記式(14)を満たしていることが更に好ましく、下記式(15)を満たしていることが特に好ましい。
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.5 ・・・(12)
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.3 ・・・(13)
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.2 ・・・(14)
0.05 ≦ a/(a+b) ≦ 0.2 ・・・(15)
【0066】
また、本発明に用いられる光配向性共重合体は、上述した繰り返し単位B1とともに上述した繰り返し単位B2を有する場合、良好な液晶配向性、密着性を維持しつつ、光配向膜を含む光学異方性層の強度をより高められる理由から、上述した繰り返し単位Aの含有量aと、上述した繰り返し単位B1の含有量b1と、上述した繰り返し単位B2の含有量b2とが、質量比で下記式(16)を満たしていることが好ましく、下記式(17)を満たしていることがより好ましい。
0.05 ≦ b2/(a+b1+b2) ≦ 0.7 ・・・(16)
0.10 ≦ b2/(a+b1+b2) ≦ 0.5 ・・・(17)
【0067】
本発明に用いられる光配向性共重合体は、本発明の効果を阻害しない限り、上述した繰り返し単位Aおよび繰り返し単位B以外に、他の繰り返し単位を有していてもよい。
このような他の繰り返し単位を形成するモノマー(ラジカル重合性単量体)としては、例えば、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物、ビニル化合物等が挙げられる。
【0068】
本発明に用いられる光配向性共重合体の合成法は特に限定されず、例えば、上述した繰り返し単位Aを形成するモノマー、上述した繰り返し単位Bを形成するモノマー、および、任意の他の繰り返し単位を形成するモノマーを混合し、有機溶剤中で、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。
【0069】
本発明に用いられる光配向性共重合体の重量平均分子量(Mw)は、液晶配向性がより向上する理由から、10000~500000が好ましく、30000~300000がより好ましい。
ここで、本発明における重量平均分子量および数平均分子量は、以下に示す条件でゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法により測定された値である。
・溶媒(溶離液):THF(テトラヒドロフラン)
・装置名:TOSOH HLC-8320GPC
・カラム:TOSOH TSKgel Super HZM-H(4.6mm×15cm
)を3本接続して使用
・カラム温度:40℃
・試料濃度:0.1質量%
・流速:1.0ml/min
・校正曲線:TOSOH製TSK標準ポリスチレン Mw=2800000~1050(Mw/Mn=1.03~1.06)までの7サンプルによる校正曲線を使用
【0070】
〔光吸収異方性層〕
本発明に用いられる光吸収異方性層は、方向によって光吸収の程度が異なる層であって、通常、吸収軸と偏光軸(透過軸)とを有する。
【0071】
本発明に用いられる光吸収異方性層の厚みは0.1μm~3μmであることが好ましく、0.1μm~2μmであることがより好ましい。
【0072】
本発明に用いられる光吸収異方性層は、二色性物質を含むことが好ましい。
また、本発明に用いられる光吸収異方性層は、二色性物質とともに液晶性化合物を含むことが好ましい。
また、本発明に用いられる光吸収異方性層は、二色性アゾ化合物を含むことが好ましい。
【0073】
<二色性物質>
本発明に用いられる二色性物質は、特に限定されず、可視光吸収物質(二色性色素、二色性アゾ化合物)、発光物質(蛍光物質、燐光物質)、紫外線吸収物質、赤外線吸収物質、非線形光学物質、カーボンナノチューブ、無機物質(例えば量子ロッド)、などが挙げられ、従来公知の二色性物質(二色性色素)を使用することができる。また、液晶性を有する二色性物質も好ましい。
【0074】
具体的には、例えば、特開2013-228706号公報の[0067]~[0071]段落、特開2013-227532号公報の[0008]~[0026]段落、特開2013-209367号公報の[0008]~[0015]段落、特開2013-14883号公報の[0045]~[0058]段落、特開2013-109090号公報の[0012]~[0029]段落、特開2013-101328号公報の[0009]~[0017]段落、特開2013-37353号公報の[0051]~[0065]段落、特開2012-63387号公報の[0049]~[0073]段落、特開平11-305036号公報の[0016]~[0018]段落、特開2001-133630号公報の[0009]~[0011]段落、特開2011-215337号公報の[0030]~[0169]、特開2010-106242号公報の[0021]~[0075]段落、特開2010-215846号公報の[0011]~[0025]段落、特開2011-048311号公報の[0017]~[0069]段落、特開2011-213610号公報の[0013]~[0133]段落、特開2011-237513号公報の[0074]~[0246]段落、特開2016-006502号公報の[0005]~[0051]段落、国際公開第2016/060173号の[0005]~[0041]段落、国際公開第2016/136561号の[0008]~[0062]段落、国際公開第2017/154835号の[0014]~[0033]段落、国際公開第2017/154695号の[0014]~[0033]段落、国際公開第2017/195833号の[0013]~[0037]段落などに記載されたものが挙げられる。
【0075】
本発明においては、2種以上の二色性物質を併用してもよく、例えば、偏光子を黒色に近づける観点から、波長370~550nmの範囲に極大吸収波長を有する少なくとも1種の二色性物質と、波長500~700nmの範囲に極大吸収波長を有する少なくとも1種の二色性物質とを併用することが好ましい。
【0076】
上記二色性物質は、架橋性基を有していてもよい。
上記架橋性基としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、スチリル基などが挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0077】
上記二色性物質は、光吸収異方性層の固形分に対して、1~50質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましく、10~30質量%が更に好ましい。
【0078】
<液晶性化合物>
本発明に用いられる液晶性化合物としては、低分子液晶性化合物および高分子液晶性化合物のいずれも用いることができる。
ここで、「低分子液晶性化合物」とは、化学構造中に繰り返し単位を有さない液晶性化合物のことをいう。
また、「高分子液晶性化合物」とは、化学構造中に繰り返し単位を有する液晶性化合物のことをいう。
【0079】
低分子液晶性化合物としては、例えば、特開2013-228706号公報に記載されている液晶性化合物が挙げられる。
【0080】
高分子液晶性化合物としては、例えば、特開2011-237513号公報に記載されているサーモトロピック液晶性高分子が挙げられる。
また、高分子液晶性化合物は、末端に架橋性基(例えば、アクリロイル基およびメタクリロイル基)を有していてもよい。
【0081】
本発明に用いられる液晶性化合物は、重合性基を有する液晶性化合物(重合性液晶化合物)であることが好ましい。
ここで、重合性基としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、および、アリル基などが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0082】
本発明においては、液晶性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本発明においては、高分子液晶性化合物を含有していることが好ましく、高分子液晶性化合物とともに低分子液晶性化合物を併用することがより好ましい。
【0083】
液晶性化合物の含有量は、二色性物質の含有量100質量部に対して、25~2000質量部が好ましく、33~1000質量部がより好ましく、50~500質量部がさらに好ましい。液晶性化合物の含有量が上記範囲内にあることで、偏光子の配向度がより向上する。
【0084】
〔硬化層〕
本発明に用いられる任意の硬化層は、厚み100nm以下の硬化層であることが好ましい。
硬化層としては、各種公知のものを使用できる。例えば、液晶性化合物を含む層や、多官能モノマーを含む組成物を硬化させた層があげられる。光吸収異方性層とインデックスマッチングを行えるような屈折率を有することが好ましい。
【0085】
〔ポリビニルアルコール樹脂を含む層〕
本発明に用いられる任意のポリビニルアルコール樹脂を含む層(PVA層)は、厚み2μm以下のポリビニルアルコール樹脂を含む層であることが好ましい。
【0086】
〔表面フィルム〕
本発明に用いられる任意の表面フィルムは、通常、得られる光学積層体中の最も外側に配置されることが好ましい。
表面フィルムとしては特に限定がなく、各種公知のものを使用できる。例えば、表面フィルムがハードコート層および基材を有する態様が挙げられる。
【0087】
表面フィルムを構成する材料としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、グルタル酸無水物系樹脂、グルタルイミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびこれらから選ばれた複数種の樹脂の混合樹脂が挙げられ、なかでも、環状ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、または、ポリエステル系樹脂が好ましい。また、フレキシブル性が優れる観点で、ポリイミド系樹脂が好ましい。
表面フィルムは、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。
【0088】
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂の他に、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体、すなわち、ラクトン環を有する重合体、無水コハク酸環を有する無水マレイン酸系重合体、無水グルタル酸環を有する重合体、グルタルイミド環含有重合体などが挙げられる。
【0089】
ハードコート層は、積層体に硬度または耐傷性を付与するための層である。
ハードコート層は、例えば、ハードコート層形成用組成物を基材上に塗布し、硬化させることによって形成できる。
また、他の機能を付加することを目的として、ハードコート層上に、他の機能層を積層してもよい。
また、ハードコート層にフィラーまたは添加剤を加えることで、機械的、電気的もしくは光学的な物理的な性能、または、撥水もしくは撥油性などの化学的な性能をハードコート層自体に付与できる。
ハードコート層は、耐擦傷性に優れるのが好ましい。具体的には、耐擦傷性の指標となる鉛筆硬度試験を実施した場合に、3H以上を達成するのが好ましい。
ハードコート層の厚みは、0.1~6μmが好ましく、3~6μmがより好ましい。
【0090】
ハードコート層は、硬化性組成物を硬化することで形成するのが好ましい。
硬化性組成物は、液状の塗布組成物として調製されるのが好ましい。
硬化性組成物の一例は、マトリックス形成バインダー用モノマー、オリゴマー、または、ポリマーと、有機溶媒とを含む。
【0091】
本発明において表面フィルムは基材とハードコート層とを有する態様に限定されず、例えば、基材のみであってもよい、ハードコート層のみであってもよい。
【0092】
〔位相差フィルム〕
本発明に用いられる任意の位相差フィルムは、各種公知のものが利用できる。位相差フィルムの面内レタデーションの値は特に限定されず、位相差フィルムはλ/4板またはλ/2板であってもよい。また、複数層からなる位相差フィルムでもよい。
【0093】
本明細書において、「λ/4板」とは、λ/4機能を有する板であり、具体的には、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する板である。
例えば、λ/4板が単層構造である態様としては、具体的には、延伸ポリマーフィルムや、支持体上にλ/4機能を有する光学異方性層を設けた位相差フィルムなどが挙げられ、また、λ/4板が複層構造である態様としては、具体的には、λ/4板とλ/2板とを積層してなる広帯域λ/4板が挙げられる。
【0094】
位相差フィルムを構成する材料に特に限定はなく、各種ポリマーフィルム、各種液晶性化合物を含む層等が挙げられる。
【0095】
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、上述した積層体と、画像表示素子とを含む。
本発明の画像表示装置に用いられる画像表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示パネル、および、プラズマディスプレイパネルなどが挙げられる。
これらのうち、液晶セルまたは有機EL表示パネルであるのが好ましく、液晶セルであるのがより好ましい。すなわち、本発明の画像表示装置としては、画像表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置であるのが好ましく、有機EL表示装置であるのがより好ましい。
【0096】
〔液晶セル〕
液晶表示装置に利用される液晶セルは、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、またはTN(Twisted Nematic)モードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60~120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT(Thin Film Transistor)液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2-176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n-ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58~59(1998)記載)および(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、およびPSA(Polymer-Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006-215326号公報、および特表2008-538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶性分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10-54982号公報、特開平11-202323号公報、特開平9-292522号公報、特開平11-133408号公報、特開平11-305217号公報、特開平10-307291号公報などに開示されている。
【0097】
〔有機EL表示装置〕
本発明の画像表示装置の一例である有機EL表示装置としては、例えば、視認側から、上述した本発明の積層体と、有機EL表示パネルと、をこの順で有する態様が好適に挙げられる。
より好適には、視認側から、λ/4板を有する上述した本発明の積層体と、有機EL表示パネルと、をこの順に有する態様である。この場合には、積層体は、視認側から、必要に応じて、表面フィルム、粘着層、光吸収異方性層、配向層、位相差フィルムの順に配置されている。
また、有機EL表示パネルは、電極間(陰極および陽極間)に有機発光層(有機エレクトロルミネッセンス層)を挟持してなる有機EL素子を用いて構成された表示パネルである。有機EL表示パネルの構成は特に制限されず、公知の構成が採用される。
【実施例0098】
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0099】
[実施例1]
<光配向層PA1の形成>
支持体として、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム(TJ40UL、厚み40μm、富士フイルム社製)を用いた。
次いで、後述する配向層形成用組成物PA1を、ワイヤーバーで連続的に支持体上に塗布した。塗膜が形成された支持体を140℃の温風で120秒間乾燥し、続いて、塗膜に対して偏光紫外線照射(10mJ/cm2、超高圧水銀ランプ使用)することで、光配向層PA1を形成し、光配向層付きTACフィルムを得た。
なお、光配向層PA1の膜厚は1.0μmであった。
【0100】
─────────────────────────────────
配向層形成用組成物PA1
─────────────────────────────────
・下記記重合体PA-1 100.00質量部
・下記酸発生剤PAG-1 5.00質量部
・下記酸発生剤CPI-110TF 0.005質量部
・キシレン 1220.00質量部
・メチルイソブチルケトン 122.00質量部
─────────────────────────────────
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
<光吸収異方性層P1の形成>
得られた光配向層PA1上に、下記組成の光吸収異方性層形成用組成物P1をワイヤーバーで連続的に塗布し、塗布層P1を形成した。
次いで、塗布層P1を140℃で90秒間加熱し、塗布層P1を室温(23℃)になるまで冷却した。
次いで、80℃で60秒間加熱し、再び室温になるまで冷却した。
その後、高圧水銀灯を用いて照度28mW/cm2の照射条件で60秒間照射することにより、光配向層PA1上に光吸収異方性層P1を形成した。
なお、光吸収異方性層P1の膜厚は0.4μmであった。
【0105】
――――――――――――――――――――――――――――――――
光吸収異方性層形成用組成物P1
――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記アゾ色素Y-1 0.25質量部
・下記アゾ色素M-1 0.27質量部
・下記アゾ色素C-1 0.65質量部
・下記高分子液晶性化合物P-1 3.59質量部
・下記液晶化合物L-1 0.12質量部
・重合開始剤
IRGACUREOXE-02(BASF社製) 0.200質量部
・下記界面改良剤F-1 0.026質量部
・シクロペンタノン 47.50質量部
・テトラヒドロフラン 47.50質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
<硬化層L1の形成>
得られた光吸収異方性層P1上に、下記組成の硬化層形成用組成物L1をワイヤーバーで連続的に塗布し、組成物層L1を形成した。
次いで、組成物層L1を室温乾燥させ、次いで、高圧水銀灯を用いて照度28mW/cm2の照射条件で10秒間照射することにより、光吸収異方性層P1上に硬化層L1を形成した。
なお、硬化層L1の膜厚は、30nmであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
硬化層形成用組成物L1
――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記棒状液晶性化合物の混合物L-2 2.43質量部
・下記変性トリメチロールプロパントリアクリレート 0.98質量部
・下記光重合開始剤I-1 0.20質量部
・上記界面改良剤F-1 0.14質量部
・1、4‐フェニレンジジボロン酸(東京化成工業) 0.10質量部
・メチルエチルケトン 371質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
【0113】
棒状液晶性化合物の混合物L-2(下記式中の数値は質量%を表し、Rは酸素原子で結合する基を表す。)
【化19】
【0114】
変性トリメチロールプロパントリアクリレート
【化20】
【0115】
【0116】
<PVA層B1の形成>
硬化層L1上に、下記組成のポリビニルアルコール(PVA)層形成用塗布液B1をワイヤーバーで連続的に塗布した。
その後、100℃の温風で2分間乾燥することにより、硬化層L1上に厚み1.0μmのPVA層を形成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA層形成用塗布液B1
――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記の変性ポリビニルアルコール 3.80質量部
・開始剤Irg2959 0.20質量部
・水 70質量部
・メタノール 30質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
【0117】
【0118】
<積層体1の作製>
上記PVA層B1上に、以下で作製した粘着シートN1の粘着層N1側を圧着し、実施例1の積層体1を完成した。なお、粘着層の厚みは、20μmであった。
(粘着シートN1の作製)
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、この反応装置内の空気を窒素ガスに置換した。
その後、この反応装置中に、ブチルアクリレート70質量部、メチルアクリレート30質量部、アクリル酸4質量部、N,N-ジメチルメタクリルアミド2質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部および酢酸エチル120質量部を加えた。
これを攪拌させながら、窒素ガス気流中において、60℃で8時間反応させ、重量平均分子量150万のアクリル系共重合体の溶液を得た。さらに酢酸エチルで希釈して固形分15%の共重合体溶液1を得た。
次いで、共重合体溶液1の固形分100質量部に対して、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)3質量部、アルミニウムトリスアセチルアセトネート(アルミキレートA、川研ファインケミカル社製)0.2質量部、および、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(KBM-803、信越化学工業社製)0.1質量部を混合した溶液(粘着剤組成物N1)を調製した。
次いで、調製した粘着剤組成物N1を、シリコーン樹脂コートされたPETフィルム(以下、「剥離フィルム」とも略す。)上に塗布し、90℃で乾燥することによって溶媒を除去し、厚さ20μmの粘着層N1を有する粘着シートN1を作製した。粘着層N1の貯蔵弾性率は、0.3MPaであった。
【0119】
[実施例2]
実施例1の光吸収異方性層の形成において、支持体をPET(厚み40μm)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例2の積層体を得た。
【0120】
[実施例3]
実施例1の光吸収異方性層の形成において、支持体をセルロースアシレートフィルムTJ100UL(厚み100μm、富士フイルム社製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例3の積層体を得た。
【0121】
[実施例4~7]
実施例1の光吸収異方性層の形成において、光吸収異方性層形成用組成物、および、光配向層の厚みをそれぞれ下記表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例4~7の積層体を得た。
なお、下記表2中、光吸収異方性層形成用の組成物P2およびP3の詳細は、以下の通りである。
【0122】
――――――――――――――――――――――――――――――――
光吸収異方性層形成用組成物P2
――――――――――――――――――――――――――――――――
・上記アゾ色素Y-1 0.25質量部
・上記アゾ色素M-1 0.27質量部
・下記アゾ色素C-2 0.65質量部
・下記高分子液晶性化合物P-2 3.71質量部
・重合開始剤
IRGACUREOXE-03(BASF社製) 0.151質量部
・上記界面改良剤F-1 0.026質量部
・シクロペンタノン 47.50質量部
・テトラヒドロフラン 47.50質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
【0123】
【0124】
【0125】
――――――――――――――――――――――――――――――――
光吸収異方性層形成用組成物P3
――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記アゾ色素Y-2 0.17質量部
・下記アゾ色素M-2 0.19質量部
・下記アゾ色素C-3 0.45質量部
・上記高分子液晶性化合物P-2 4.07質量部
・重合開始剤
IRGACUREOXE-03(BASF社製) 0.151質量部
・上記界面改良剤F-1 0.026質量部
・シクロペンタノン 47.50質量部
・テトラヒドロフラン 47.50質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
[実施例8]
<光吸収異方性層P4の形成>
実施例1と同様の方法で、光配向層PA1を形成し、光配向層付きTACフィルムを得た。
得られた光配向層PA1上に、以下で調製した光吸収異方性層形成用組成物P4をワイヤーバーで連続的に塗布し、塗布層P4を形成した。
次いで、塗布層P4を120℃で60秒間加熱し、塗布層P4を室温(23℃)になるまで冷却した。
その後、高圧水銀灯を用いて照度28mW/cm2の照射条件で60秒間照射することにより、光配向層PA1上に光吸収異方性層P4を形成した。
なお、光吸収異方性層P4の膜厚は1.7μmであった。
【0130】
下記の組成にて、光吸収異方性層形成用組成物P4を調製し、攪拌しながら50℃で3時間加熱溶解し、0.45μmフィルターでろ過した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
光吸収異方性層形成用組成物P4
――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記アゾ色素Y-3 2.7質量部
・下記アゾ色素M-3 2.7質量部
・下記アゾ色素C-4 2.7質量部
・下記液晶化合物P-3 75.5質量部
・重合開始剤IRGACURE819(BASF社製) 0.8質量部
・上記界面改良剤F-1 0.6質量部
・シクロペンタノン 274.5質量部
・テトラヒドロフラン 640.5質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
液晶化合物P-3(下記化合物A/下記化合物B=75/25で混合)
【0135】
【0136】
【0137】
<積層体8の作製>
上記光吸収異方性層P4上に、実施例1と同様にして、PVA層B1、粘着層を形成し、実施例8の積層体8を完成した。
【0138】
[実施例9~16]
実施例1の粘着層の形成において、上述した粘着シートN1および後述する粘着シートN2~N6における粘着層のうち、下記表2に示す粘着層を用い、下記表2に示す厚みに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例9~16の積層体を得た。
【0139】
<粘着シートN2の作製>
粘着シートN1と同様にして、ブチルアクリレート95質量部、および、アクリル酸5質量部を溶液重合法により重合させて、平均分子量200万、分子量分布(Mw/Mn)3.0のアクリル系共重合体2を得た。
次いで、アクリル系共重合体2の固形分100質量部に対して、多官能アクリレート系モノマー(アロニックスM-315、東亜合成社製)10質量部、光重合開始剤(イルガキュア500、BASF社製)1質量部、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)1質量部、および、シランカップリング剤(KBM-403、信越化学工業社製)0.2質量部を混合した溶液(粘着剤組成物N2)を調製した。
次いで、調製した粘着剤組成物N2を、シリコーン樹脂コートされたPETフィルム(剥離フィルム)上に塗布し、90℃で乾燥することによって溶媒を除去し、紫外線(UV)を下記条件で照射して、厚さ20μmの粘着層N2を有する粘着シートN2を作製した。粘着層N2の貯蔵弾性率は、0.6MPaであった。
(UV照射条件)
・フュージョン社無電極ランプ Hバルブ
・照度:600mW/cm2
・光量:150mJ/cm2
なお、UV照度および光量は、アイグラフィックス製「UVPF-36」を用いて測定した。
【0140】
<粘着シートN3~N5の作製>
まず、以下の手順に従い、アクリル系ポリマーを調製した。
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、2-エチルヘキシルアクリレート70質量部、アクリル酸エチル20質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート6質量部、および、アクリル酸4質量部を溶液重合法により重合させて、平均分子量30万のアクリル系ポリマーA1を得た。
次に得られたアクリル系ポリマーA1を用いて、以下の手順に従い、粘着シートN3~N5を作製した。
具体的には、アクリル系ポリマーA1の固形分100質量部に対して、下記表1に示す質量部のトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)を添加し、粘着剤組成物を調製した。
次いで、調製した粘着剤組成物を、シリコーン樹脂コートされたPETフィルム(剥離フィルム)にダイコーターを用いて塗布し、150℃で3時間乾燥させ、所望の厚みの粘着層N3~5を有する粘着シートN3~5を作製した。粘着層N3~N5の貯蔵弾性率は、下記表1に示す通りであった、
【0141】
【0142】
<粘着シートN6の作製>
粘着シートN2と同様にして、アクリル系共重合体2を得た。
次いで、アクリル系共重合体2の固形分100部に対して、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)1質量部、および、シランカップリング剤(KBM-403、信越化学工業社製)0.2質量部を混合した溶液(粘着剤組成物N6)を調製した。
次いで、調製した粘着剤組成物N6を、シリコーン樹脂コートされたPETフィルム(剥離フィルム)上に塗布し、90℃で乾燥することによって溶媒を除去し、厚さ25μmの粘着層N6を有する粘着シートN6を作製した。粘着層N6の貯蔵弾性率は、0.1MPaであった。
【0143】
[実施例17]
支持体として、TJ40ULに代えてTJ100UL(厚み100μm、富士フイルム社製)を用いた以外は、実施例15と同様の方法にて、実施例17の積層体を得た。
【0144】
[比較例1]
粘着層の厚みを下記表2に示す値に変更した以外は、実施例10と同様の方法にて、比較例1の積層体を得た。
【0145】
[比較例2]
配向層形成用組成物PA1を下記組成の配向層形成用組成物PA2に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、比較例2の積層体を得た。
【0146】
─────────────────────────────────
配向層形成用組成物PA2
─────────────────────────────────
・下記記重合体PA-2 100.00質量部
・上記酸発生剤PAG-1 5.00質量部
・上記酸発生剤CPI-110TF 0.005質量部
・キシレン 1220.00質量部
・メチルイソブチルケトン 122.00質量部
─────────────────────────────────
【0147】
【0148】
[評価]
《剥離評価》
得られた積層体を25mm×150mmの大きさに裁断し、剥離フィルムを剥がした後、粘着層側をガラス基板(コーニング社Eagle XG)上に圧着した。
この後、積層体の支持体にテープを貼りつけて剥離した。
剥離した支持体の剥離面を観察し、以下の基準に沿って評価した。結果を下記表2に示す。
AA:剥離面の荒れ無し
A:剥離面がざらついている
B:配向層に起因する剥離残りが観察され、剥離面の面積に対する剥離残りの面積が5%未満
C:配向層に起因する剥離残りが観察され、剥離面の面積に対する剥離残りの面積が5%以上
【0149】
【0150】
表2に示す結果から、支持体および粘着層の厚みを除いた支持体から粘着層までの間の厚みが5μm以下である場合において、粘着層の厚みが5μm未満であると、支持体のみを剥離することが困難であることが分かった(比較例1)。
また、配向層の形成に用いるシンナモイル化合物が、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基を有していない場合、支持体のみを剥離することが困難であることが分かった(比較例2)。
これに対し、支持体および粘着層の厚みを除いた支持体から粘着層までの間の厚みが5μm以下である場合において、粘着層の厚みが5~50μmであり、配向層が、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基を有するシンナモイル化合物を含有する配向層形成用組成物を用いて形成した光配向層であると、支持体を剥離することが容易であることが分かった(実施例1~17)。