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特開2024-121045行動提案システム、行動提案装置、行動提案方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121045
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】行動提案システム、行動提案装置、行動提案方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240830BHJP
   G06Q 10/109 20230101ALI20240830BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20240830BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/109
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027900
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒海 麻由佳
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
5L099
【Fターム(参考)】
5L010AA13
5L049AA13
5L049CC11
5L050CC11
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】従来の技術では、利用者の行動に対する提案情報を、利用者の状態にあわせて最適なものに変えていくという視点では考慮されていない、という課題がある。
【解決手段】行動提案装置2は、行動提案装置2は、通信端末3が送信した利用者の条件情報に基づいて、行動に対する第1の提案情報を生成して(ステップS35)、その第1の提案情報を通信端末3に対して送信し(ステップS36)、通信端末3が送信した、第1の提案情報に基づいた利用者の行動結果を示す結果情報に応じた利用者の行動に対する第2の提案情報を生成する(ステップS40)。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の行動に対する提案を行う行動提案装置と、前記利用者が利用する通信端末と、を有する行動提案システムであって、
前記行動提案装置は、
前記利用者が利用する通信端末が送信した、前記利用者の条件情報を受信する受信手段と、
受信した前記条件情報に基づいて、前記行動に対する第1の提案情報を生成する生成手段と、
生成した前記第1の提案情報を、前記利用者の通信端末に対して送信する送信手段と、
を有し、
前記受信手段は、
前記通信端末が送信した、前記第1の提案情報に基づいた前記利用者の行動結果を示す結果情報を受信し、
前記生成手段は、
受信した前記結果情報に応じた前記利用者の行動に対する第2の提案情報を生成し、
前記通信端末は、
前記利用者に対して生成された前記第2の提案情報を表示手段に表示させる表示制御手段、
を有する、
ことを特徴とする行動提案システム。
【請求項2】
前記生成手段は、
前記利用者の属性を表す属性情報、前記利用者の精神若しくは生体に係る心身情報、前記利用者を取り巻く環境情報、及び前記利用者の予定を表す予定情報のうち少なくとも一つの情報を含む前記条件情報に基づいて、前記第1の提案情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の行動提案システム。
【請求項3】
前記生成手段は、
前記結果情報に応じて所定の機械学習モデルを更新することにより、前記第2の提案情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の行動提案システム。
【請求項4】
前記生成手段は、
利用者毎に生成した第1の提案情報に対する各々の結果情報に応じて、前記第1の提案情報に対して重み付けを行い、前記利用者毎に前記重み付けに応じた前記第2の提案情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の行動提案システム。
【請求項5】
前記生成手段は、
前記結果情報が肯定的な結果であった場合、前記第1の提案情報が再度生成される優先順位を上げるように重み付けを行い、前記結果情報が否定的な結果であった場合、前記第1の提案情報が再度生成される優先順位を下げるように重み付けを行うことにより、前記第2の提案情報を生成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の行動提案システム。
【請求項6】
前記生成手段は、
前記第1の提案情報が再度生成される優先順位を上げるように重み付けを行う場合であっても、前記利用者の心身情報に応じて、前記第2の提案情報を生成するための制限を設ける、
ことを特徴とする請求項5に記載の行動提案システム。
【請求項7】
前記生成手段は、
前記利用者と類似する属性情報を有する他の利用者に関する他の結果情報を含めた情報に基づいて、前記第1の提案情報に対して重み付けを行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の行動提案システム。
【請求項8】
前記送信手段は、
前記利用者に係る前記条件情報及び前記結果情報に応じた所定のタイミングで、前記通信端末に対して前記第1の提案情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の行動提案システム。
【請求項9】
前記生成手段は、
前記第1の提案情報及び前記第2の提案情報として、同一の内容を含む提案情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の行動提案システム。
【請求項10】
利用者の行動に対する提案を行う行動提案装置であって、
前記利用者が利用する通信端末が送信した、前記利用者の条件情報を受信する受信手段と、
受信した前記条件情報に基づいて、前記行動に対する第1の提案情報を生成する生成手段と、
生成した前記第1の提案情報を、前記利用者の通信端末に対して送信する送信手段と、
を有し、
前記受信手段は、
前記通信端末が送信した、前記第1の提案情報に基づいた前記利用者の行動結果を示す結果情報を受信し、
前記生成手段は、
受信した前記結果情報に応じた前記利用者の行動に対する第2の提案情報を生成する、
ことを特徴とする行動提案装置。
【請求項11】
利用者の行動に対する提案を行う行動提案装置が実行する行動提案方法であって、
前記利用者が利用する通信端末が送信した、前記利用者の条件情報を受信する受信ステップと、
受信した前記条件情報に基づいて、前記行動に対する第1の提案情報を生成する生成ステップと、
生成した前記第1の提案情報を、前記利用者の通信端末に対して送信する送信ステップと、
を実行し、
前記受信ステップは、
前記通信端末が送信した、前記第1の提案情報に基づいた前記利用者の行動結果を示す結果情報を受信し、
前記生成ステップは、
受信した前記結果情報に応じた前記利用者の行動に対する第2の提案情報を生成する、
ことを特徴とする行動提案方法。
【請求項12】
利用者の行動に対する提案を行う行動提案装置に実行させるプログラムであって、
前記利用者が利用する通信端末が送信した、前記利用者の条件情報を受信する受信ステップと、
受信した前記条件情報に基づいて、前記行動に対する第1の提案情報を生成する生成ステップと、
生成した前記第1の提案情報を、前記利用者の通信端末に対して送信する送信ステップと、
を含み、
前記受信ステップとして、
前記通信端末が送信した、前記第1の提案情報に基づいた前記利用者の行動結果を示す結果情報を受信させ、
前記生成ステップとして、
受信した前記結果情報に応じた前記利用者の行動に対する第2の提案情報を生成させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動提案システム、行動提案装置、行動提案方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、センシング機器等を用いて疲労の度合いを測定する技術や、その情報に応じて疲労回復や気分転換の方法を提案する技術が普及している。
【0003】
その一つとして、自律神経活動を計測することで、体内時計のパターンや睡眠の質を判定し、疲労回復と相関の高い睡眠条件や行動を提示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ユーザーの作業内容、生体データ、端末操作データなどから気分転換の要否を判定し、気分転換となる可能性の高い行動を提示する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、利用者の行動に対する提案情報を、利用者の状態にあわせて最適なものに変えていくという視点では考慮されていない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明は、利用者の行動に対する提案を行う行動提案装置と、前記利用者が利用する通信端末と、を有する行動提案システムであって、前記行動提案装置は、前記利用者が利用する通信端末が送信した、前記利用者の条件情報を受信する受信手段と、受信した前記条件情報に基づいて、前記行動に対する第1の提案情報を生成する生成手段と、生成した前記第1の提案情報を、前記利用者の通信端末に対して送信する送信手段と、を有し、前記受信手段は、前記通信端末が送信した、前記第1の提案情報に基づいた前記利用者の行動結果を示す結果情報を受信し、前記生成手段は、受信した前記結果情報に応じた前記利用者の行動に対する第2の提案情報を生成し、前記通信端末は、前記利用者に対して生成された前記第2の提案情報を表示手段に表示させる表示制御手段、を有する、ことを特徴とする行動提案システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように本発明によれば、利用者の行動に対する提案情報を、利用者の状態にあわせて最適なものに変えていくことが可能になる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る行動提案システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】入力層及び出力層との間の機械学習イメージであり、(a)は利用者のスケジュール情報と条件情報の機械学習イメージを示す図、(b)は利用者のスケジュール情報と結果情報の機械学習イメージを示す図である。
図3】実施形態に係る行動提案装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る通信端末のハードウエア構成の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る行動提案システムの機能構成の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る属性情報管理テーブルの一例を示す概念図である。
図7】実施形態に係る条件情報管理テーブルの一例を示す概念図である。
図8】実施形態に係る個人別条件管理テーブルの一例を示す概念図である。
図9】実施形態に係る提案情報管理テーブルの一例を示す概念図である。
図10】実施形態に係る提案履歴管理テーブルの一例を示す概念図である。
図11】実施形態に係る結果実績管理テーブルの一例を示す概念図である。
図12】実施形態に係る属性情報登録・更新時のシーケンス図の一例である。
図13】第1の実施形態に係る結果情報の登録と重み付け処理を含むシーケンス図の一例である。
図14】実施形態に係る条件情報入力時の表示画面の一例を示す図である。
図15】実施形態に係る利用者への行動提案の表示画面の一例を示す図である。
図16】実施形態に係る行動結果入力時の表示画面の一例を示す図である。
図17】実施形態に係る結果情報の登録と重み付け処理の一例を示すフローチャートである。
図18】第2の実施形態に係る行動提案システムの全体構成の一例を示す図である。
図19】第2の実施形態に係るセンシング機器のハードウエア構成の一例を示す図である。
図20】第2の実施形態に係る行動提案システムの機能構成の一例を示す図である。
図21】第2の実施形態に係る生体情報管理テーブルの一例を示す概念図である。
図22】第2の実施形態に係る結果情報の登録と重み付け処理を含むシーケンス図の一例である。
図23】第3の実施形態に係る行動提案システムの全体構成の一例を示す図である。
図24】第3の実施形態に係るスケジュール管理サーバのハードウエア構成の一例を示す図である。
図25】第3の実施形態に係る行動提案システムの機能構成の一例を示す図である。
図26】第3の実施形態に係る予定情報管理テーブルの一例を示す概念図である。
図27】第3の実施形態に係る結果情報の登録と重み付け処理を含むシーケンス図の一例である。
図28】第4の実施形態に係る行動提案システムの全体構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、発明を実施するための形態について説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する部分があればその説明を省略する。
【0010】
〔第1の実施形態〕
〔行動提案システムの全体構成〕
まず、本実施形態に係る行動提案システムについて説明する。図1は、第1の実施形態に係る行動提案システムの全体構成の一例を示す図である。図1に示す行動提案システム1(行動提案システムの一例)は、利用者の行動に対する提案を行う行動提案装置2(行動提案装置の一例)と、利用者が利用する通信端末3(通信端末の一例)と、を有し、利用者の行動に対する提案情報を、利用者の状態にあわせて最適なものに変えていくことを可能にするシステムである。
【0011】
行動提案システム1は、上述したように行動提案装置2及び通信端末3を有している。行動提案装置2及び通信端末3は、通信ネットワーク100を介してそれぞれ互いに接続されている。通信ネットワーク100は、不特定多数の通信が行われる通信ネットワークであり、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。なお、通信ネットワーク100には、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信による通信ネットワークが含まれてもよい。また、行動提案装置2及び通信端末3は、専用の有線ケーブルで直接接続されていてもよい。
【0012】
<行動提案装置>
行動提案装置2は、利用者の行動に対する提案を行う装置であり、例えば、サーバである。つまり、行動提案装置2は、一般的なサーバOSなどが搭載された一以上の情報処理装置(コンピュータシステム)によって実現され、行動提案システム1を構築する一つの構成要素である。また、行動提案装置2は、他の装置、通信端末と通信を行うための通信アプリ、及び利用者に対する行動提案をするための行動提案プログラムを記憶手段にインストールして記憶している。
【0013】
行動提案装置2では、ストレージ等の各部(機能又は手段)を分割して任意に割り当てられた複数のコンピュータによって構築されてもよい。また、行動提案装置2の機能の全てまたは一部は、クラウド環境に存在するサーバコンピュータであってもよいし、オンプレミス環境に存在するサーバコンピュータであってもよい。行動提案装置2は、更に、ブラウザソフトウエア等のソフトウエアを動作させることが可能な通信装置又は通信端末が用いられてもよい。
【0014】
また、行動提案装置2は、通信端末3に対してプッシュ通知(送信)によりデータ(情報)を通知(送信)してもよい。その場合、行動提案装置2は、例えば、プッシュ通知サーバの一例であるFCM(Firebase Cloud Messaging)を介してプッシュ通知が行われるようにしてもよい。
【0015】
<通信端末>
通信端末3は、利用者(ユーザ)によって利用される通信端末である。なお、通信端末3は、複数の利用者を個別に識別する機能があれば、同一の通信端末で複数の利用者が行動提案システムを利用可能なように使用されてもよい。他方、通信端末3は、利用者数に応じて複数台の通信端末が接続されていてもよい。
【0016】
また、通信端末3は、一般的なOSなどが搭載された通信を行うための情報処理装置(コンピュータシステム)によって実現され、行動提案システム1を構築する一つの構成要素である。また、通信端末3は、一般的に利用されている外部サービスを提供する他の装置、通信端末と通信を行うための通信アプリ、並びに、各種機能を実行させるための各種アプリを記憶手段にインストールして記憶している。
【0017】
なお、通信端末3は、一般的に使用されるPC(Personal Computer)、携帯型ノートPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末(サングラス型、腕時計型等)の通信機能を有する通信端末であってもよい。通信端末3は更に、ブラウザソフトウエア、各種アプリ(自然文検索アプリ等)のソフトウエアを動作させることが可能な通信装置又は通信端末が用いられてもよい。
【0018】
●用語について●
本実施形態において「行動」とは、利用者の時間の使い方、気持ちの持ち方を含むもの全般で、“自ら実施すること”をいう。なお、「何もせずにボーっとする」、「自分の呼吸に意識を向ける」のように、能動的な動きを伴わないものも行動と呼ぶものとする。
【0019】
より具体的には、集中力向上に効果があるものであれば「カカオポリフェノールを多く含有するチョコレートを摂取する」、「3分間を目安にジョギングもしくは筋トレを行う」、「10分間の瞑想を行う」といった行動が挙げられる。また、頭痛、眼精疲労、肩こりなどの日常的に発生頻度が高い不調に対し、例えば「アセトアミノフェンを主成分とする解熱鎮痛薬を服用する」のように、痛み止め薬を服用あるいは塗布するといった自己の判断で実行可能な対処行動も含むものとする。
【0020】
また、本実施形態において「行動の選択肢」とは、心身の状態を向上させたり、集中力や創造力を向上させたりするのに一定の効果があると医学的、科学的あるいは心理学的に検証されている行動を選択するものいう。
【0021】
<機械学習イメージ>
図2は、入力層及び出力層との間の機械学習イメージであり、(a)は利用者のスケジュール情報と条件情報の機械学習イメージを示す図、(b)は利用者のスケジュール情報と結果情報の機械学習イメージを示す図である。
【0022】
図2(a)では、入力層として「スケジュール情報」、出力層として「ユーザ条件情報」が存在し、中間層として入力(スケジュール情報)及び出力(ユーザ条件情報)には現れないが、入力と出力とを結び付け、出力に対して影響を及ぼす要因が存在する例が示されている。利用者は、どのようなスケジュールをこなしたときにどのような体調になるのか?を学習する必要があるため、原因となったスケジュールを深層学習するのがこの例になる。つまり、スケジュール情報から自分の状態を推測してほしい場合に用いられる機械学習イメージである。
【0023】
図2(b)では、入力層として「スケジュール情報」、出力層として「ユーザ結果情報」が存在し、中間層として「ユーザ条件情報」が存在する例が示されている。過去の利用者の行動履歴の蓄積から逆算して、どのタイミングで休憩等を取ればよかったのかを判断する図である。出力層としてのユーザ結果情報は、行動提案に沿った行動を取った後の結果を示している。つまり、いつどのタイミングで休憩を取ったらいいか最適化して提案してほしい場合に用いられる機械学習イメージである。
【0024】
〔ハードウエア構成〕
続いて、図3及び図4を用いて、実施形態に係る行動提案システムを構成する装置又は通信端末のハードウエア構成について説明する。なお、図3及び図4に示されている各装置(通信端末)のハードウエア構成は、必要に応じて構成要素が追加又は削除されてもよい。
【0025】
<行動提案装置のハードウエア構成>
図3は、実施形態に係る行動提案装置のハードウエア構成の一例を示す図である。図3に示されているように、行動提案装置2は、例えばコンピュータによって構築されており、CPU201、ROM202、RAM203、EEPROM204、HD(Hard Disk)205、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ206、ディスプレイ207、近距離通信I/F208、CMOSセンサ209、撮像素子I/F210を備えている。行動提案装置2は更に、ネットワークI/F211、キーボード212、ポインティングデバイス213、メディアI/F215、外部機器接続I/F216、音入出力I/F217、マイク218、スピーカ219及びバスライン220を備えている。
【0026】
これらのうち、CPU201は、行動提案装置2全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201の駆動に用いられるプログラム等を記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。EEPROM204は、CPU201の制御にしたがって、アプリ等の各種データの読出し又は書込みを行う。HD205は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ206は、CPU201の制御にしたがってHD205に対する各種データの読出し又は書込みを制御する。ここで、行動提案装置2は、HD205及びHDDコントローラ206に代えて、SSD(Solid State Drive)を搭載したハードウエア構成であってもよい。ディスプレイ207は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字又は画像などの各種情報を表示する。本実施形態において、ディスプレイ207は、表示手段の一例として機能する。近距離通信I/F208は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標。以下省略)、Wi-Fi(登録商標。以下省略)等の無線通信インターフェイスを備える通信装置又は通信端末等とデータ通信を行うための通信回路である。CMOSセンサ209は、CPU201の制御にしたがって被写体を撮像して画像データ又は動画データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、撮像手段は、CMOSセンサではなく、CCD(Charge Coupled Device)センサ等で構成される撮像手段であってもよい。撮像素子I/F210は、CMOSセンサ209の駆動を制御する回路である。
【0027】
ネットワークI/F211は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェイスである。キーボード212は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。なお、キーボード212に代えて又は加えて、所定のボタン、アイコン等を操作するタッチパネル等の入力手段を用いてもよい。ポインティングデバイス213は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。メディアI/F215は、フラッシュメモリ等の記録メディア214に対するデータの読出し又は書込み(記憶)を制御する。外部機器接続I/F216は、各種の外部機器を接続するためのインターフェイスであり、通信端末3と専用の有線ケーブルを用いて接続される。なお、外部機器は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等であってもよい。音入出力I/F217は、CPU201の制御にしたがってマイク218及びスピーカ219との間で音信号の入出力を処理する回路である。マイク218は、音を電気信号に変える内蔵型の回路であり、外部のスピーカ等から発する音声や音波を取得し電気信号を用いた情報を取得する。スピーカ219は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。バスライン220は、CPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0028】
<通信端末のハードウエア構成>
図4は、実施形態に係る通信端末のハードウエア構成の一例を示す図である。図4に示されているように、通信端末3は、例えばコンピュータによって構築されており、CPU301、ROM302、RAM303、EEPROM304、EEPROM304、ディスプレイ307、近距離通信I/F308、CMOSセンサ309、撮像素子I/F310を備えている。通信端末3は更に、ネットワークI/F311、タッチパネル312、ポインティングデバイス313、メディアI/F315、外部機器接続I/F316、音入出力I/F317、マイク318、スピーカ319及びバスライン320を備えている。
【0029】
これらのうち、CPU301は、通信端末3全体の動作を制御する。ROM302は、CPU301の駆動に用いられるプログラム等を記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。EEPROM304は、CPU301の制御にしたがって、アプリ等の各種データの読出し又は書込みを行う。EEPROM304は、各種設定データ(情報)等を記憶する。ここで、通信端末3は、EEPROM304に代えて、SSD(Solid State Drive)を搭載したハードウエア構成であってもよい。ディスプレイ307は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字又は画像などの各種情報を表示する。本実施形態において、ディスプレイ307は、表示手段の一例として機能する。近距離通信I/F308は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標。以下省略)、Wi-Fi(登録商標。以下省略)等の無線通信インターフェイスを備える通信装置又は通信端末等とデータ通信を行うための通信回路である。CMOSセンサ309は、CPU301の制御にしたがって被写体を撮像して画像データ又は動画データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、撮像手段は、CMOSセンサではなく、CCD(Charge Coupled Device)センサ等で構成される撮像手段であってもよい。撮像素子I/F310は、CMOSセンサ309の駆動を制御する回路である。
【0030】
ネットワークI/F311は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェイスである。タッチパネル312は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。なお、タッチパネル312に代えて又は加えて、所定のボタン、アイコン等を操作するキーボード等の入力手段を用いてもよい。ポインティングデバイス313は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。メディアI/F315は、フラッシュメモリ等の記録メディア314に対するデータの読出し又は書込み(記憶)を制御する。外部機器接続I/F316は、各種の外部機器を接続するためのインターフェイスであり、他の装置又は通信端末と専用の有線ケーブルを用いて接続される。なお、外部機器は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等であってもよい。音入出力I/F317は、CPU301の制御にしたがってマイク318及びスピーカ319との間で音信号の入出力を処理する回路である。マイク318は、音を電気信号に変える内蔵型の回路であり、外部のスピーカ等から発する音声や音波を取得し電気信号を用いた情報を取得する。スピーカ319は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。バスライン320は、CPU301等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0031】
なお、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録、又はネットワークを介してダウンロードを行い流通させるようにしてもよい。記録媒体の例として、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu-ray Disc(Blu-rayは登録商標。以下省略)、SDカード、USBメモリ等が挙げられる。また、記録媒体は、プログラム製品(Program Product)として、国内又は国外へ提供されることができる。例えば、行動提案システム1は、本発明に係るプログラムが実行されることで、本発明に係る行動提案方法を実現する。
【0032】
〔行動提案システムの機能構成〕
次に、図5乃至図11を用いて、本実施形態の機能構成について説明する。図5は、第1の実施形態に係る行動提案システムの機能構成の一例を示す図である。なお、図5は、図1に示されている行動提案装置2、通信端末3のうち、後述する処理又は動作に関連するものを示す。
【0033】
<行動提案装置の機能構成>
まず、行動提案装置2の機能構成について説明する。図5に示されているように、行動提案装置2は、送受信部21、取得部22、算出処理部23、表示制御部24、判断部25、登録実行部26、生成処理部27及び記憶読出部29を有する。これら各機能部は、図3に示された各ハードウエア資源のいずれかが、ROM202、EEPROM204、HD205及び記録メディア214のうち少なくとも一つからRAM203に展開された行動提案装置2用のプログラムに従ったCPU201からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。また、行動提案装置2は、図2に示されているROM202、EEPROM204、HD205及び記録メディア214のうち少なくとも一つにより構築される記憶部2000を有している。更に、記憶部2000には、通信端末3と通信ネットワーク100を介して通信を行うための通信プログラム(通信アプリ)、ブラウザアプリ等が記憶されている。
【0034】
<<行動提案装置の各機能構成>>
次に、行動提案装置2の各機能構成について詳細に説明する。図5に示されている行動提案装置2の送受信部21は、主に、ネットワークI/F211及び近距離通信I/F208に対するCPU201の処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して通信端末3との間で各種データ(又は情報)の送受信を行う。また、送受信部21は、利用者が利用する通信端末3が送信した、利用者の条件情報を受信する。また送受信部21は、生成した第1の提案情報を、利用者の通信端末3に対して送信する。また送受信部21は、利用者に係る条件情報及び結果情報に応じた所定のタイミングで、通信端末3に対して第1の提案情報を送信する。送受信部21は更に、通信端末3が送信した、第1の提案情報に基づいた利用者の行動結果を示す結果情報を受信する。本実施形態において送受信部21は、送信手段及び受信手段のうち少なくとも一方の手段の一例として機能する。
【0035】
取得部22は、主に、CPU201の処理によって実現され、所定の条件に合致する行動情報を、後述する条件情報管理DBから取得する。本実施形態において取得部22は、取得手段の一例として機能する。
【0036】
算出処理部23は、主に、CPU201の処理によって実現され、行動提案に対する結果情報の登録と重み付けを行う。本実施形態において算出処理部23は、算出処理手段の一例として機能する。
【0037】
表示制御部24は、主に、行動提案装置2のディスプレイ207若しくは通信端末3のディスプレイ307に対するCPU201の処理によって実現され、行動提案装置2若しくは通信端末3における各種画面及び情報(データ)の表示制御を行う。また、表示制御部24は、例えば、ブラウザを用いて、HTML等により生成された表示画面を、ディスプレイ207に表示させる。本実施形態において表示制御部24は、表示制御手段の一例として機能する。
【0038】
判断部25は、主に、CPU201の処理によって実現され、行動提案装置2における各種判断を行う。本実施形態において判断部25は、判断手段の一例として機能する。
【0039】
登録実行部26は、主に、CPU201の処理によって実現され、通信端末3が送信した属性情報(ユーザID、パスワード等)に基づいて、通信端末3を利用する利用者の属性情報の登録を行う。本実施形態において登録実行部26は、登録実行手段の一例として機能する。
【0040】
生成処理部27は、主に、CPU201の処理によって実現され、通信端末3に対して送信される各種情報を生成する。また生成処理部27は、通信端末3から受信した条件情報に基づいて、行動に対する第1の提案情報を生成する。また生成処理部27は、通信端末3から受信した結果情報に応じた利用者の行動に対する第2の提案情報を生成する。また生成処理部27は、利用者の属性を表す属性情報、利用者の精神若しくは生体に係る心身情報、利用者を取り巻く環境情報、及び利用者の予定を表す予定情報のうち少なくとも一つの情報を含む条件情報に基づいて、第1の提案情報を生成する。また生成処理部27は、結果情報に応じて所定の機械学習モデルを更新することにより、第2の提案情報を生成する。
【0041】
また生成処理部27は、利用者毎に生成した各第1の提案情報に対する各々の結果情報に応じて、第1の提案情報に対して重み付けを行い、利用者毎に重み付けに応じた第2の提案情報を生成する。また生成処理部27は、結果情報が肯定的な結果であった場合、第1の提案情報が再度生成される優先順位を上げるように重み付けを行い、結果情報が否定的な結果であった場合、第1の提案情報が再度生成される優先順位を下げるように重み付けを行うことにより、第2の提案情報を生成する。また生成処理部27は、第1の提案情報が再度生成される優先順位を上げるように重み付けを行う場合であっても、利用者の心身情報に応じて、第2の提案情報を生成するための制限を設ける。生成処理部27は更に、利用者と類似する属性情報を有する他の利用者に関する他の結果情報を含めた情報に基づいて、第1の提案情報に対して重み付けを行う。本実施形態において生成処理部27は、生成手段の一例として機能する。
【0042】
記憶読出部29は、主に、ROM202、EEPROM204、HD205及び記録メディア214のうち少なくとも一つに対するCPU201の処理によって実現され、記憶部2000に各種データ(情報)を記憶したり、記憶部2000から各種データ(情報)を読み出したりする。本実施形態において記憶読出部29は、記憶読出手段の一例として機能する。
【0043】
●属性情報管理テーブル●
図6は、実施形態に係る属性情報管理テーブルの一例を示す概念図である。なお、以下に説明するデータテーブルは一例であり、これに限るものではない。記憶部2000には、図6に示されているような属性情報管理テーブルによって構成された属性情報管理DB2001が構築されている。属性情報管理テーブルでは、ユーザIDをタブとしたそれぞれのタブごとに、ログインID、パスワード、名前、ニックネーム、生年月日、職種、年齢、性別、居住地を含む利用者(ユーザ)に関する各種属性情報が関連付けられて記憶、管理されている。これらのうち、ユーザIDは利用者(ユーザ)を識別するための識別情報であり、例えば、「U0101」、「U0102」等である。またユーザIDは、利用者に与えられた電子メールアドレス等でもよい。なお、それぞれの属性情報は、対応する利用者若しくは利用者を管理する管理者が更新しない限り、それらの内容は保持される。
【0044】
本実施形態において属性情報管理テーブル(属性情報管理DB2001)は、属性情報管理手段の一例として機能する。
【0045】
●条件情報管理テーブル●
図7は、実施形態に係る条件情報管理テーブルの一例を示す概念図である。なお、以下に説明するデータテーブルは一例であり、これに限るものではない。記憶部2000には、図7に示されているような条件情報管理テーブルによって構成された条件情報管理DB2002が構築されている。条件情報管理テーブルでは、「身体的条件」、「精神的条件」、「環境条件」、「実行条件」、「作業条件」、「ゴール条件」を含む各条件が管理され、それぞれの条件において具体的な内容が管理されている。
【0046】
例えば、利用者の睡眠過不足度合い、身体的・筋力的な疲労度合い、目の疲労度合い、その他体調の良し悪し等の「身体的条件」では、良好、普通、睡眠不足、筋肉的疲労、頭痛、などの内容が管理されている。
【0047】
利用者の気分、苛立ち度合い、集中度合い、取り組んでいる作業の好き嫌い等の精神的条件では、良好、普通、イライラ、集中できない、やる気が出ない、などの利用者の「精神」の状態の一つである感情を場合分けしたものの内容が管理されている。
【0048】
天気、気温、気圧、騒音等の環境条件では、良好、熱い、寒い、低気圧、などの内容が管理されている。
【0049】
利用者の居場所、余暇時間など、行動提案の実行可否に関わる実行条件では、在宅勤務、出社、移動中、などの内容が管理されている。
【0050】
利用者が以前に取り組んでいた作業、以降取り組む作業等を表す作業条件では、会議、プレゼン、定型業務、創造的業務、などの内容が管理されている。
【0051】
利用者の創造力向上、集中力向上、不安解消等のように、以降の作業において利用者が目指したい状態を示すゴール条件では、集中したい、創造的になりたい、リラックスしたい、などの内容が管理されている。
【0052】
本実施形態において条件情報管理テーブル(条件情報管理DB2002)は、条件情報管理手段の一例として機能する。
【0053】
●個人別条件管理テーブル●
図8は、実施形態に係る個人別条件管理テーブルの一例を示す概念図である。なお、以下に説明するデータテーブルは一例であり、これに限るものではない。記憶部2000には、図8に示されているような個人別条件管理テーブルによって構成された個人別条件管理DB2003が構築されている。個人別条件管理テーブルでは、ユーザIDをタブとしたそれぞれのタブごとに、条件情報、日時が関連付けられて記憶、管理されている。条件情報は、条件情報管理DB2002で管理されている項目であり、それぞれの項目が所定の日時においてどのような内容で登録されたかが管理される。これにより、ある利用者の日時ごとのそれぞれの条件における内容の変化を一元管理することが可能になる。
【0054】
本実施形態において個人別条件管理テーブル(個人別条件管理DB2003)は、個人別条件管理手段の一例として機能する。
【0055】
●提案情報管理テーブル●
図9は、実施形態に係る提案情報管理テーブルの一例を示す概念図である。なお、以下に説明するデータテーブルは一例であり、これに限るものではない。記憶部2000には、図9に示されているような提案情報管理テーブルによって構成された提案情報管理DB2004が構築されている。提案情報管理テーブルでは、行動提案IDごとに、行動提案の内容(第1の提案情報)が関連付けられて管理される。これらのうち、行動提案IDは、利用者の行動に対する提案内容を識別する識別情報で、例えば、「P0001」、「P0002」である。行動提案の内容(第1の提案情報)は、例えば、「高カカオチョコレートと好きな飲み物で休憩をしましょう」、「PCから一旦離れ、ミントの香りをかいでみましょう」等の具体的な提案内容を示すメッセージである。
【0056】
なお、実際に利用者に対して提案される行動提案内容は、2~5個の複数であることが望ましく、また、その複数の内容は、異なる行動のタイプを含むことが望ましい。具体的には、体を動かすもの、何かを観たり聞いたりするもの、飲食するものなど多様な選択肢を提示することが望ましい。
【0057】
更に、個人別条件管理テーブルで管理されている各条件情報に対応して管理されている内容に関して、利用者の身体条件が良くない時や、悪天候という環境条件があるときにジョギングが提案されたり、短時間で移動をしなければならないタイミングで瞑想が提案されたり、といった事が起こらないように調整が行われる。具体例としては、情報処理能力を高めるとともに精神的ストレスを軽減されるとされる「コーヒーを摂取する」という行動は、身体的条件として妊娠の可能性が入力された場合には提案されない。また、身体的条件が良好かつ、その行動を好んで実行する利用者に対してであっても、カフェイン過剰摂取のリスク回避の観点から、一日の中での提案回数の上限が2~3回程度に設定されるようにする。
【0058】
本実施形態において提案情報管理テーブル(提案情報管理DB2004)は、提案情報管理手段の一例として機能する。
【0059】
●提案履歴管理テーブル●
図10は、実施形態に係る提案履歴管理テーブルの一例を示す概念図である。なお、以下に説明するデータテーブルは一例であり、これに限るものではない。記憶部2000には、図10に示されているような提案履歴管理テーブルによって構成された提案履歴管理DB2005が構築されている。提案履歴管理テーブルでは、ユーザIDごとに、利用者名、日時別の提案履歴(提案した行動提案に対応する行動提案ID)が関連付けられて管理される。これらのうち、日時別の提案履歴は、日時別の提案された提案内容として、提案情報管理テーブルで管理されている行動提案IDが管理される。例えば、ユーザID「U0101」が与えられた理光太郎を例にすると、2023/2/10に提案された「P0001」、「P0002」の各行動提案IDが管理され、各行動提案IDの横に、「+」、「-」を付与する欄が設けられている。この「+」、「-」は、行動提案装置2が機械学習によって提案した行動提案に対する利用者からの結果情報に基づいて、その行動提案が肯定的(効果があった)か否かに応じてその行動提案に対して重み付けをするための重み付けフラグである。この重み付けフラグの付与処理については、後述に説明する。
【0060】
本実施形態において提案履歴管理テーブル(提案履歴管理DB2005)は、提案履歴管理手段の一例として機能する。
【0061】
●結果実績管理テーブル●
図11は、実施形態に係る結果実績管理テーブルの一例を示す概念図である。なお、以下に説明するデータテーブルは一例であり、これに限るものではない。記憶部2000には、図11に示されているような結果実績管理テーブルによって構成された結果実績管理DB2006が構築されている。結果実績管理テーブルでは、ユーザIDごとに、利用者名、日時別の結果実績が関連付けられて管理される。これらのうち、日時別の結果実績は、上述した提案履歴管理テーブルで管理されている「日時別の提案履歴(提案した行動提案に対応する行動提案ID)」に対して、その提案に基づいて行動した利用者自身が入力した結果を表す。利用者自身が入力する行動結果(結果情報)入力画面については、後述する。
【0062】
本実施形態において結果実績管理テーブル(結果実績管理DB2006)は、結果実績管理手段の一例として機能する。
【0063】
<通信端末の機能構成>
次に、通信端末3の機能構成について説明する。図5に示されているように、通信端末3は、送受信部31、操作受付部32、取得部33、表示制御部34、登録実行部36、生成部37、起動部38及び記憶読出部39を有する。これら各機能部は、図4に示された各ハードウエア資源のいずれかが、ROM302、EEPROM304及び記録メディア314のうち少なくとも一つからRAM303に展開された通信端末3用のプログラムに従ったCPU301からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。また、通信端末3は、図4に示されているROM302、EEPROM304及び記録メディア314のうち少なくとも一つにより構築される記憶部3000を有している。更に、記憶部3000には、行動提案装置2と通信ネットワーク100を介して通信を行うための通信プログラム(通信アプリ)、ブラウザアプリ等が記憶されている。
【0064】
<<通信端末の各機能構成>>
次に、通信端末3の各機能構成について詳細に説明する。図5に示されている通信端末3の送受信部31は、主に、ネットワークI/F311及び近距離通信I/F308に対するCPU301の処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して行動提案装置2との間で各種データ(又は情報)の送受信を行う。本実施形態において送受信部21は、送信手段及び受信手段のうち少なくとも一方の手段の一例として機能する。
【0065】
操作受付部32は、主に、ディスプレイ307、タッチパネル312及びポインティングデバイス313のうち少なくとも一方が受け付けた各種操作により生成された信号をCPU301が処理することによって実現される。なお、操作受付部32は、ディスプレイ307、タッチパネル312及びポインティングデバイス313に代えて、キーボード等の入力手段が受け付けた各種操作により生成された信号が用いられてもよい。本実施形態において操作受付部32は、受付手段の一例として機能する。
【0066】
取得部33は、主に、CPU301の処理によって実現され、送受信部31によって受信された行動提案装置2からの各種情報(データ)を取得する。本実施形態において取得部33は、取得手段の一例として機能する。
【0067】
表示制御部34は、主に、通信端末3のディスプレイ307に対するCPU301の処理によって実現され、通信端末3における各種画面及び情報(データ)の表示制御を行う。また表示制御部34は、利用者に対して生成された第2の提案情報をディスプレイ307に表示させる。本実施形態において表示制御部24は、表示制御手段の一例として機能する。
【0068】
判断部35は、主に、CPU301の処理によって実現され、通信端末3における各種判断を行う。本実施形態において判断部35は、判断手段の一例として機能する。
【0069】
登録実行部36は、主に、CPU201の処理によって実現され、通信端末3が送信した属性情報(ユーザID、パスワード等)を、通信端末3で再利用するための属性情報として登録を行う。本実施形態において登録実行部36は、登録実行手段の一例として機能する。
【0070】
生成部37は、主に、CPU301の処理によって実現され、通信端末3のディスプレイ307に表示させる各種画面情報等を生成する。本実施形態において生成部37は、生成手段の一例として機能する。
【0071】
起動部38は、主に、CPU301の処理によって実現され、通信端末3にインストールされた各種機能アプリ、ブラウザ等の起動を行う。本実施形態において起動部38は、起動手段の一例として機能する。
【0072】
記憶読出部39は、主に、ROM302、EEPROM304及び記録メディア314のうち少なくとも一つに対するCPU301の処理によって実現され、記憶部3000に各種データ(情報)を記憶したり、記憶部3000から各種データ(情報)を読み出したりする。本実施形態において記憶読出部39は、記憶読出手段の一例として機能する。
【0073】
〔実施形態の処理又は動作〕
次に、図12及び図17を用いて、第1の実施形態に係る行動提案システムにおける各処理又は動作を説明する。
【0074】
<各種設定情報の生成・登録処理>
図12は、第1の実施形態に係る属性情報登録・更新時のシーケンス図の一例である。図12に示されているように、行動提案システム1を利用する利用者(ユーザ)は、通信端末3を用いて行動提案装置2と通信を行うためのアプリの起動、又は所定のURLをアクセスすることによりWebブラウザを起動する。これにより、通信端末3の操作受付部32は、機能アプリ又はWebブラウザの起動を受け付けた後、利用者によるログイン操作を受け付ける(ステップS11)。具体的には、通信端末3の操作受付部32は、通信端末3のディスプレイ307に表示された所定のアプリの起動操作又はWebブラウザの起動操作を受け付ける。その後、操作受付部32は、利用者によるログイン操作を受け付ける。なお、ログイン操作としては、操作受付部32は、ディスプレイ307に表示されたログイン画面に対して管理者が操作したログイン操作(ユーザID及びパスワードの入力)を受け付けるようにしてよい。
【0075】
次に、送受信部31は、行動提案装置2に対してログイン要求を送信する(ステップS12)。これにより、行動提案装置2の送受信部21は、通信端末3が送信したログイン要求を受信する。このとき、ログイン要求には、利用者識別情報としてのユーザID(電子メールアドレス等)、及びパスワードが含まれる。
【0076】
次に、行動提案装置2の記憶読出部29は判断部25とともに、ステップS13で受信したユーザID(又は電子メールアドレス)を検索キーとして属性情報管理DB2001(図6参照)を検索することにより、対応する属性情報を読み出す(ステップS13)。具体的には、記憶読出部29は、受信したユーザID(又は電子メールアドレス)で示されるユーザIDに対応するパスワードを読み出し、判断部25が、ステップS12で受信されたパスワードと読み出されたパスワードとを比較して一致するかを判断する。これにより、通信端末3が送信したログイン情報に対する認証が成功すると、入力されたユーザID及びパスワードは正しいものであると見なされ、登録実行部26は、対応するユーザ名によってログイン処理が行われたことを認識する。
【0077】
次に、行動提案装置2の送受信部21は、通信端末3に対して、ステップS12で受信したログイン要求に対する応答としてのログイン応答を送信する(ステップS14)。これにより、通信端末3の送受信部31は、行動提案装置2が送信したログイン応答を受信する。このとき、ログイン応答には、認証結果情報(例えば、ログイン認証結果OK)を示す情報が含まれる。
【0078】
次に、通信端末3の登録実行部36は、ログイン情報の登録を行う(ステップS15)。具体的には、登録実行部36は、ステップS11-ステップS14で入力操作及び送受信されたログイン情報として、ユーザID、パスワードを含む利用者に係る各種情報を記憶部2000の所定領域にそれぞれ記憶、登録する。なお、行動提案システム1の構成によっては、利用者がログイン処理を行う度に、毎回ログイン認証の処理を実行するようなシステム構成にしてもよい。更に通信端末3は、記憶部の所定領域に代えて、通信端末3にログイン情報管理テーブルを構成するログイン情報管理DBを構築してもよい。
【0079】
なお、上述したステップS11-S15までの処理は、機能アプリ又は所定の機能実行用のWebブラウザを起動した際の初回の処理に限られてもよい。そのため、通信端末3は、以降に説明する他の装置との通信において、上述した手順によるログイン認証処理、セッション確立のための処理等が成功し、互いに通信可能な状態となっていることを前提としてもよい。
【0080】
次に、操作受付部32は、属性情報の入力を受け付ける(ステップS21)。具体的には、操作受付部32は、利用者が通信端末3に対して入力した、利用者の属性情報の入力を受け付ける。
【0081】
次に、送受信部31は、行動提案装置2に対して、属性情報登録・更新要求を送信する(ステップS22)。これにより、行動提案装置2の送受信部21は、通信端末3が送信した属性情報登録・更新要求を受信する。このとき、属性情報登録・更新要求には、ユーザID及び利用者に係る属性情報が含まれる。
【0082】
次に、行動提案装置2の登録実行部26は、属性情報の登録・更新を行う(ステップS23)。具体的には、登録実行部26は、ステップS22で受信した属性情報登録・更新要求に含まれるユーザID及び利用者に対応する属性情報として、属性情報管理DB2001(図6参照)で管理されているユーザIDに対応する属性情報を登録する。
【0083】
次に、送受信部21は、通信端末3に対して、ステップS22で受信した属性情報登録・更新要求に対する応答としての属性情報登録・更新応答を送信する(ステップS24)。これにより、通信端末3の送受信部31は、行動提案装置2が送信した属性情報登録・更新応答を受信する。なお、ステップS24の処理は省略されてもよい。
【0084】
本実施形態に係る行動提案システムでは、例えば、上述したステップS12及びS14、又はステップS22及びS24の処理が実行される場合、通信端末3と行動提案装置2との間に他の装置等が存在してもよい。つまり、通信端末3と行動提案装置2との間で送受信される各情報(データ)は、一度他の装置等を介して送受信されるような構成であってもよい。上述した構成は、通信端末3と行動提案装置2との間に他の処理ステップが存在した場合でも適用することが可能である。
【0085】
<各種情報の登録処理>
次に、利用者による行動提案装置2への各種情報の登録処理について説明する。図13は、第1の実施形態に係る結果情報の登録と重み付け処理を含むシーケンス図の一例である。
【0086】
まず、操作受付部32は、利用者による条件情報の入力を受け付ける(ステップS31)。具体的には、操作受付部32は、通信端末3において起動されたアプリ若しくはブラウザによってディスプレイ307に表示された条件情報入力画面に対して利用者が入力した条件情報の入力を受け付ける。
【0087】
●画面表示例●
ここで、本実施形態における条件情報入力時の画面表示例を説明する。図14は、実施形態に係る条件情報入力時の表示画面の一例を示す図である。図14では、利用者の通信端末3のディスプレイ307において、表示制御部34により条件情報入力画面3011が表示される。条件情報入力画面3011には、現在の日時、利用者名、及び情報管理DB2002(図7参照)で管理されている身体的条件、精神的条件、環境条件、実行条件、作業条件、ゴール条件等の各条件がそれぞれプルダウンキーによって選択可能な各ダイアログ画面が表示される。また条件情報入力画面3011には、表示制御部34により各種入力を決定させるためのOKボタン3051が表示される。これにより、利用者は自身の現在の体調、心の状態等の各種条件情報をそれぞれのダイアログ画面にて入力(選択)し、行動提案装置2に対して登録させることができる。
【0088】
図13に戻り、通信端末3の送受信部31は、行動提案装置2に対して行動提案要求を送信する(ステップS32)。これにより、行動提案装置2の送受信部21は、通信端末3が送信した行動提案要求を受信する。このとき、行動提案要求には、ステップS31で利用者により入力された各条件情報が含まれる。
【0089】
次に、行動提案装置2の登録実行部26は、個人別条件情報を登録する(ステップS33)。具体的には、登録実行部26は、ステップS22で受信したユーザID、及びステップS32で受信した各条件情報を、個人別条件管理DB2003(図8参照)の対応する条件情報の項目に登録する。
【0090】
次に、取得部22は、条件に合致する行動情報を取得する(ステップS34)。具体的には、取得部22は、所定の日時に利用者によって入力された各条件情報の内容について、条件情報管理DB2002(図7参照)で管理されている各条件中の内容を読み出し、読み出した各内容と合致する内容をそれぞれ取得する。例えば、利用者(理光太郎)が、2023/2/10に身体的条件として、図14に示した条件情報入力画面3011中のQ1:現在の体調に対して「良好」を入力した場合、取得部22は記憶読出部29を介して、条件情報管理DB2002の身体的条件の項目から「良好」を読み出して取得する。
【0091】
次に、生成処理部27は、行動の優先順位付け及び提案を生成する(ステップS35)。具体的には、生成処理部27は記憶読出部29を介して、ステップS34で取得した各条件に合致する行動情報と記憶部2000にて管理されている機械学習データとを読み出し、読み出した行動情報と機械学習データ(モデル)とを用いて行動の優先順位付けを行う。
【0092】
より具体的には、生成処理部27は記憶読出部29を介して、優先順位付けされた提案情報管理DB2004(図9参照)で管理されている行動提案のうち、優先順位の高い(最も高い)の提案情報を読み出し、その利用者に対する行動提案として生成する。この場合、生成処理部27は、利用者である理光太郎が入力した条件情報及び機械学習データに基づいて、例えば、行動提案ID「P0001」で管理されている「高カカオチョコレートと好きな飲み物で休憩をしましょう」という提案情報を読み出し、これを2023/2/10時点における理光太郎への行動提案として生成する。同様に、生成処理部27は、行動提案ID「P0004」で管理されている「10分間のマインドフルネスを行いましょう」という提案情報を読み出し、これを2023/2/10時点における理光太郎への行動提案として生成する。
【0093】
生成処理部27は更に、記憶読出部29を介して、提案履歴管理DB2005(図10参照)で管理され、ユーザID及び対象日時に関連付けられた日時別の提案履歴の項目に行動提案として生成された行動提案ID(例えば、「P001」、「P004」)を登録する。
【0094】
次に、送受信部21は、通信端末3に対して、行動提案要求に対する応答としての行動提案応答を送信する(ステップS36)。これにより、通信端末3の送受信部31は、行動提案装置2が送信した行動提案応答を受信する。このとき、行動提案応答には、ステップS35で優先順位付けされた行動のうち、優先順位上位(最上位)の提案情報が含まれる。
【0095】
次に、通信端末3の表示制御部34は、行動提案内容の表示を行う(ステップS37)。
【0096】
●画面表示例●
ここで、本実施形態における行動提案内容の画面表示例を説明する。図15は、実施形態に係る利用者への行動提案の表示画面の一例を示す図である。図15では、利用者の通信端末3のディスプレイ307において、表示制御部34により行動提案表示画面3021が表示される。行動提案表示画面3021には、行動提案のタイトル、現在の日時、提案先の利用者名、行動提案の内容(例えば、「10分間のマインドフルネスを行いましょう」のメッセージ)、及び提案先の利用者が入力した条件情報が表示される。このとき、条件情報は、例えば、表形式で表示されてもよい。また、提案される行動提案は一つに限らず複数の内容が表示されてもよい。この場合、理光太郎が入力した条件情報は、それぞれ「普通」、「集中できない」、「寒い」、「在宅勤務」、「創造的業務」、「集中したい」であった。これにより、提案内容を確認した利用者は、自らが入力した各条件情報に対して提示された行動提案が何であるかを確認し、その内容に相当する行動を試みることができる。
【0097】
図13に再び戻り、操作受付部32は、結果情報の入力を受け付ける(ステップS38)。具体的には、操作受付部32は、具体的な行動提案内容を提示された利用者が、例えば、その提案内容に相当する行動を試みた後に、通信端末3に対して行われた結果情報の入力を受け付ける。
【0098】
●画面表示例●
ここで、本実施形態における結果情報入力時の画面表示例を説明する。図16は、実施形態に係る行動結果入力時の表示画面の一例を示す図である。図16では、利用者の通信端末3のディスプレイ307において、表示制御部34により結果情報表示画面3031が表示される。結果情報表示画面3031には、結果情報のタイトル、現在の日時、提案先の利用者名、行動提案の内容(例えば、「10分間のマインドフルネスを行いましょう」)に対する結果を尋ねるコメントとあわせて、自由記入欄3032が表示される。結果情報表示画面3031には更に、表示制御部34によりOKボタン3061が表示される。これにより、利用者(理光太郎)は、2023/2/10に提示された行動提案(「10分間のマインドフルネスを行いましょう」)に対する結果として、例えば、自由記入欄3032に「集中できた。」と記入し、OKボタン3061を操作する。これにより、通信端末3は、行動提案装置2に対して、理光太郎が入力した結果情報を送信することが可能になる。
【0099】
図13に再び戻り、送受信部31は、行動提案装置2に対して結果情報登録要求を送信する(ステップS39)。これにより、行動提案装置2の送受信部21は、通信端末3が送信した結果情報登録要求を受信する。このとき、結果情報登録要求には、ステップS38で利用者により入力された結果情報が含まれる。
【0100】
次に、行動提案装置2の登録実行部26は生成処理部27とあわせて、結果情報の登録と重み付けを行う(ステップS40)。具体的には、登録実行部26は、結果情報の登録と重み付けを行う。そして生成処理部27は、ステップS35で生成した第1の提案情報に基づいた利用者の行動結果を示す結果情報に応じた利用者の行動に対する新たな提案情報である第2の提案情報を生成する。
【0101】
また、生成処理部27は、特定の条件情報に対して提示した行動提案のうち、利用者が実際に行動し効果があったとされたものについては、同等の条件情報の入力があった場合に再度提示される可能性が徐々に高くなるよう重み付けが行われる。逆に、利用者が実際に行動し効果が無いとされたものについては、再度提示される可能性が徐々に低くなるよう重み付けが行われる。
【0102】
また、生成処理部27は、複数の行動提案の選択肢のうち、利用者が選択し行動する頻度の高いタイプの行動があれば、同タイプの行動を提示する可能性が高くなるように重み付けが行われる。例えば、身体を動かすタイプの行動を選択することが多い利用者に対しては、運動系の行動提案が多めになされるように調整がされていく。
【0103】
また、生成処理部27は、行動提案装置2は、行動結果のフィードバックを行動提案プログラムが学習する。これにより、提案内容が個人最適化されることが期待できる。
【0104】
また、生成処理部27は、ステップS40の処理において、利用者のフィードバックをもとに、特定の状況下において効果があると推定される行動を、類似の状況下におかれた他の利用者に提案するようにしてもよい。つまり、ある利用者と属性や条件情報に類似がある他の利用者の結果情報が考慮されてよい。例えば、年齢、性別などの属性、スケジュールなどの作業条件、体調変化の傾向などの身体条件などが類似した人々は、同様の行動を取ることで効果が上がる可能性が高いと考えられる。そこで、行動提案装置2は、新たな行動の探索提案においては、ランダムに提案を行うのみでなく、類似する利用者にとって効果があるとされる行動をより優先的に提案が行われるようにしてもよい。
【0105】
<<結果情報の登録と重み付け処理の詳細>>
ここで、ステップS40の結果情報の登録と重み付け処理の詳細について説明する。図17は、実施形態に係る結果情報の登録と重み付け処理の一例を示すフローチャートである。なお、以降に示すフローチャートは、本実施形態を説明するための一例であり、これに限らない。
【0106】
まず、登録実行部26は、結果情報を登録する(ステップS40-1)。具体的には、登録実行部26は、ステップS39で受信した結果情報を、結果実績管理DB2006(図11参照)で管理されているユーザIDと結果情報が入力された日時に対応する項目に登録する。この場合、例えば、登録実行部26は、ユーザID「U0101」、2023/2/10に対応する項目に、理光太郎が入力した「集中できた。」とする内容を登録する。
【0107】
次に、判断部25は、結果は肯定的(効果があった)かを判断する(ステップS40-2)。具体的には、判断部25は、ステップS40-1で登録した結果情報に含まれる内容におけるテキスト情報から、提案した内容に対して肯定的な内容(文言)であるかを判断する。なお、この判断処理において行動提案装置2は、機械学習モデルを利用してもよい。
【0108】
結果は肯定的(効果があった)と判断した場合(ステップS40-2:YES)、算出処理部23は、対応する行動提案IDに+の重み付けを行う(ステップS40-3)。具体的には、算出処理部23は、提案履歴管理DB2005(図10参照)で管理され、ユーザID及び対象日時に関連付けられた日時別の提案履歴の項目に行動提案として生成された行動提案ID(例えば、2023/2/10の「P001」)の横に、「+」の符号を付与する。このとき、生成処理部27は、新たな提案情報としての第2の提案情報を生成するようにしてもよい。
【0109】
他方、結果は肯定的でなかった(効果がなかった)と判断した場合(ステップS40-2:NO)、算出処理部23は、対応する行動提案IDに-の重み付けを行う(ステップS40-4)。具体的には、算出処理部23は、提案履歴管理DB2005(図10参照)で管理され、ユーザID及び対象日時に関連付けられた日時別の提案履歴の項目に行動提案として生成された行動提案ID(例えば、2023/2/14の「P002」)の横に、「-」の符号を付与する。このとき、生成処理部27は、ステップS40-3の処理と同様に、新たな提案情報としての第2の提案情報を生成するようにしてもよい。
【0110】
次に、判断部25は、すべての結果情報を登録したかを判断する(ステップS40-5)。すべての結果情報を登録したと判断した場合(ステップS40-5:YES)、判断部25はこのフローを抜ける。他方、すべての結果情報を登録していないと判断した場合(ステップS40-5:NO)、判断部25はステップS40-1の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0111】
なお、図17に示したフローチャートにおける処理は、それぞれの提案が行われた日時ごとに、各利用者に対して提案ごとに実行されてよい。
【0112】
図13に再び戻り、生成処理部27は、機械学習モデルを更新する(ステップS41)。具体的には、生成処理部27は、ステップS40で実行した結果情報の登録と重み付け処理に基づいて、記憶部2000で管理されている各利用者の機械学習データを、最新の行動提案に対する結果情報に基づいて更新する。これにより、行動提案装置2は、利用者ごとに入力された条件情報に応じた提案内容を更新し、その利用者に対してより最適で新規な提案内容を管理することが可能になる。
【0113】
次に、送受信部21は、通信端末3に対して、結果情報登録要求に対する応答としての結果情報登録応答を送信する(ステップS42)。これにより、通信端末3の送受信部31は、行動提案装置2が送信した結果情報登録応答を受信する。なお、ステップS42の処理は省略されてもよい。
【0114】
なお、上述したステップS35における第1の提案情報の生成、及びステップS40における第2の提案情報の生成において、生成処理部27は、第1の提案情報及び第2の提案情報として、同一の内容を含む提案情報を生成するようにしてもよい。これにより、不用意に提案情報を変えて利用者の行動に影響を与えるような事態を回避することが可能になる。
【0115】
また、図13に示したシーケンス図において、生成処理部27は、利用者毎に生成した第1の提案情報に対する各々の結果情報に応じて、第1の提案情報が再度生成される優先順位を上げる又は下げる処理を行い、利用者毎に第2の提案情報を生成するようにしてもよい。
【0116】
生成処理部27は更に、結果情報が肯定的な結果であった場合に、第1の提案情報が再度生成される優先順位を上げるように重み付けを行い、結果情報が否定的な結果であった場合に、第1の提案情報が再度生成される優先順位を下げるように重み付けを行うことにより、第2の提案情報を生成するようにしてもよい。
【0117】
上述したように、行動提案システムでは、利用者ごとの最適解を追求するのと同時に、以前は効果が感じられなかったり、選択することが無かったりした行動についても、特定の頻度で提案はされる仕組みとする。これにより、行動のマンネリ化を防止し、本システムを活用していく中で利用者の仕事・考え方・嗜好等に変化が生じたとしても、新たな行動を探索し、試行する機会を提供し続けることが可能になる。
【0118】
(実施例1)
ここで、行動提案システム1を利用した実施例1について説明する。一例として、ユーザA(以下、Aと呼ぶ)が行動提案システム1を初めて利用開始した事例を説明する。Aは、ある日の昼休憩時間、昼食を済ませて午後の業務開始までの15分間を有効活用するために行動提案システム1を利用した。身体的条件としては「普通」、実行条件は「在宅勤務」、ゴール条件は「創造的になりたい」を選択入力した結果、出力された行動提案は、
(1)変ロ長調の映画音楽を5分間鑑賞する
(2)屋外に出て5分間の散歩をする
(3)3分間で訪れたことのある世界遺産をできるだけ多く紙に書き出す
の三つであり、いずれも根拠となる学術的説明へのリンクが付加されていた。Aは(1)の行動を選択し通信端末3に表示された再生ボタンを押し、音楽を聴いてから午後の仕事にとりかかった。長調音楽の思考活性化効果によって午後の会議では斬新なアイディアを産出し実りある成果を挙げることができたと感じたAは、結果情報として(1)の行動を選択し効果が感じられたと入力した。
【0119】
結果情報は、行動提案装置2によって行動選択と結果が記憶部2000に記憶されるとともに、Aに対する行動提案として「音楽鑑賞」が出力される確率が従来よりも1.1倍になるよう重み付けがされた機械学習モデルが生成された。
【0120】
Aは、以降も毎日1~2回、朝の始業直前、昼休み、午後の会議の合間などに行動提案システム1を活用して、業務効率を向上させる行動を続けていった。Aは行動提案システム1の活用を開始して初めてマインドフルネスに挑戦をした。最初の2,3回は効果が感じられず、Aは結果情報として「変化なし」を入力していた。しかし、マインドフルネスに関心があったAは、行動提案システム1がマインドフルネスを提案した時は毎回それを選択し実行することを繰り返すことで、徐々にマインドフルネスによる集中力の向上効果を実感するようになった。Aが悔過情報を入力することにより、Aにとって効果のある実績のある条件下にてマインドフルネスが提案される確率が上昇していった。
【0121】
他にも、行動提案装置2は、Aにとってアロマテラピーが効力を発揮する条件、眼にホットマスクをすることが効果を発揮する条件などを、Aの行動選択の変化と結果情報とを機械学習モデルが日々学習し続け、Aのために最適化していった。その結果、Aが業務都合に合わせた好みのタイミングで行動提案システム1を活用し、提案に応じて行動することを繰返すことで、Aの生産性向上や心身の安定がもたらされることになった。
【0122】
一方でAとは別のユーザB(以下、Bと呼ぶ)は、Aと同様に「音楽鑑賞」による創造性向上効果は感じていたものの、マインドフルネスの集中力向上効果は何度か試してもうまく感じることがなかった。そのためBは、むしろ眠気をもよおし逆効果になる場合もあったことを結果情報として入力した。その結果、マインドフルネスが提案される頻度が減り、代わりに短時間の筋力トレーニングのようなアクティブな行動提案が増えていった。Bにとっては、身体を動かす行動が効率向上に合っており、BにはBに最適化された行動提案がされるようになった。結果としては、Aと同様に、行動提案システム1を活用することで日々の生産性向上や業務に対する満足度や達成度の向上がもたらされた。
【0123】
〔第1の実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、行動提案装置2は、通信端末3が送信した利用者の条件情報に基づいて、行動に対する第1の提案情報を生成して(ステップS35)、その第1の提案情報を通信端末3に対して送信し(ステップS36)、通信端末3が送信した、第1の提案情報に基づいた利用者の行動結果を示す結果情報に応じた利用者の行動に対する第2の提案情報を生成する(ステップS40)。これにより、利用者の行動に対する提案情報を、利用者の状態にあわせて最適なものに変えていくことが可能になる、という効果を奏する。
【0124】
また、行動提案装置2は、個々の利用者の刻々と変化する作業状況、条件情報の一つとしての心身のコンディションに係る心身情報を入力することで、利用者が何らかの行動をすることができるタイミングにおけるその時の状況に合わせて、最適な行動提案を行うことが可能になる。すなわち、行動提案システムにおける状況最適化が可能になる。
【0125】
また、行動提案装置2は、行動結果のフィードバックを行動提案プログラムが学習することで、提案内容が個人最適化されていき、より効果が期待できる行動提案を行うことが可能になる。すなわち、行動提案システムにおける個人最適化が可能になる。
【0126】
更に、行動提案装置2は、利用者のフィードバックをもとに、特定の状況下において効果があると推定される行動を、類似の状況下におかれた他の利用者に提案することで、新たな行動提案を行うことが可能になる。すなわち、行動提案システムにおけるより良い行動の探索が可能になる。
【0127】
〔第2の実施形態〕
〔行動提案システムの全体構成〕
次に、第2の実施形態について説明する。図18は、第2の実施形態に係る行動提案システムの全体構成の一例を示す図である。図18に示すように、第2の実施形態では、行動提案システム21を構成する通信端末3に加えて、利用者に装着可能なセンシング機器4を有するシステム構成を例に説明する。なお、センシング機器4は、利用者の心身の状態を表す心身情報を行動提案装置2に対して送信する機能を有することから、より簡略化したシステムを利用したい場合は、第2の実施形態では、通信端末3に代えて、センシング機器4からの心身情報のみを用いた構成としてもよい。
【0128】
<センシング機器>
センシング機器4は、視線、まばたき、心拍、呼吸、体温、体動などの情報から利用者の身体的状態若しくは精神的状態を推測可能な機器である。つまり、それらの情報を組み合わせることで、利用者の条件入力工数を簡略化することを可能にする機器である。本実施形態では、センシング機器4により取得されたデータが利用者の条件情報に変換される。同様に、環境条件については、オフィス等の作業場所の内外に設置された温湿度計、騒音計等と接続することで、より利用者の置かれた環境に適した行動提案を可能になる。
【0129】
また、センシング機器4は、一般的なサーバOSなどが搭載された一以上の情報処理装置(コンピュータシステム)によって実現され、行動提案システム21を構築する一つの構成要素である。また、センシング機器4は、行動提案装置2等と通信を行うための通信アプリを記憶手段にインストールして記憶している。
【0130】
〔ハードウエア構成〕
続いて、図19を用いて、実施形態に係る行動提案システムを構成する装置又は通信端末のハードウエア構成について説明する。なお、図19に示されている機器のハードウエア構成は、必要に応じて構成要素が追加又は削除されてもよい。なお、図18に示した行動提案システム21を構築する行動提案装置2及び通信端末3に係るハードウエア構成は、第1の実施形態で示した行動提案装置2及び通信端末3に係るハードウエア構成と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0131】
<センシング機器のハードウエア構成>
図19は、第2の実施形態に係るセンシング機器のハードウエア構成の一例を示す図である。図19に示されているように、センシング機器4は、例えばコンピュータによって構築されており、CPU401、ROM402、RAM403、EEPROM404、近距離通信I/F408、ネットワークI/F411、各種センサ412、外部機器接続I/F216、音出力I/F417、スピーカ419及びバスライン420を備えている。
【0132】
これらのうち、CPU401は、センシング機器4全体の動作を制御する。ROM402は、CPU401の駆動に用いられるプログラム等を記憶する。RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。EEPROM404は、CPU401の制御にしたがって、アプリ等の各種データの読出し又は書込みを行う。ディスプレイ407は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字又は画像などの各種情報を表示する。近距離通信I/F408は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信インターフェイスを備える通信装置又は通信端末等とデータ通信を行うための通信回路である。
【0133】
ネットワークI/F411は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェイスである。各種センサ412は、人(利用者)の視線、まばたき、心拍、呼吸、体温、体動などから人の身体的あるいは精神的状態を推測可能なセンサで構成される。具体的には、各種センサ412は、例えば、温度センサ、湿度センサ、脈拍センサ、ガスセンサ、光センサ、加速度センサ、磁気センサ、圧力センサ、流量センサなどであってよい、外部機器接続I/F416は、各種の外部機器を接続するためのインターフェイスである。なお、外部機器は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等であってもよい。音出力I/F417は、CPU401の制御にしたがってスピーカ419との間で音信号の出力を処理する回路である。スピーカ419は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。バスライン420は、CPU401等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0134】
〔行動提案システムの機能構成〕
次に、図20及び図21を用いて、本実施形態の機能構成について説明する。図20は、第2の実施形態に係る行動提案システムの機能構成の一例を示す図である。なお、図20は、図18に示されている行動提案装置2、通信端末3及びセンシング機器4のうち、後述する処理又は動作に関連するものを示す。なお、通信端末3の機能構成については、第1の実施形態と同様であるためその説明を省略する。
【0135】
<行動提案装置の機能構成>
行動提案装置2の機能構成については、後述するデータテーブルが追加される以外は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0136】
<<行動提案装置の各機能構成>>
ここで、第2の実施形態における行動提案装置2で管理されるデータテーブルについて説明する。
【0137】
●生体情報管理テーブル●
図21は、第2の実施形態に係る生体情報管理テーブルの一例を示す概念図である。なお、以下に説明するデータテーブルは一例であり、これに限るものではない。記憶部2000には、図21に示されているような生体情報管理テーブルによって構成された生体情報管理DB2021が構築されている。生体情報管理テーブルでは、ユーザIDをタブとしたそれぞれのタブごとに、生体情報及び日時が関連付けられて記憶、管理されている。これらのうち、生体情報は、体温、血圧、心拍数、酸素飽和度等の利用者に係る生体情報である。なお、生体情報には、精神的な状態を示す精神情報が含まれてもよい。日時は、生体情報を取得した日時を表し、どの生体情報を取得したかを生体情報毎に管理する。
【0138】
本実施形態において生体情報管理テーブル(生体情報管理DB2021)は、生体情報管理手段の一例として機能する。
【0139】
<センシング機器の機能構成>
次に、センシング機器4の機能構成について説明する。図20に示されているように、センシング機器4は、送受信部41、取得測定部42、音声通知部43、表示制御部44及び記憶読出部49を有する。これら各機能部は、図19に示された各ハードウエア資源のいずれかが、ROM402及びEEPROM404のうち少なくとも一つからRAM403に展開されたセンシング機器4用のプログラムに従ったCPU401からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。また、センシング機器4は、図19に示されているROM402及びEEPROM404のうち少なくとも一つにより構築される記憶部4000を有している。更に、記憶部4000には、行動提案装置2及び通信端末3と通信ネットワーク100を介して通信を行うための通信プログラム(通信アプリ)、ブラウザアプリ等が記憶されている。
【0140】
<<センシング機器の各機能構成>>
次に、センシング機器4の各機能構成について詳細に説明する。図20に示されているセンシング機器4の送受信部41は、主に、ネットワークI/F411及び近距離通信I/F408に対するCPU401の処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して行動提案装置2との間で利用者の身体的な生体情報及び精神的な精神情報を含む心身情報等の各種データ(又は情報)の送受信を行う。本実施形態において送受信部41は、送信手段及び受信手段のうち少なくとも一方の手段の一例として機能する。
【0141】
取得測定部42は、主に、各種センサ412に対するCPU401の処理によって実現され、利用者の身体的な生体情報及び精神的な精神情報を含む心身情報を取得する。本実施形態において取得測定部42は、取得手段の一例として機能する。
【0142】
音声通知部43は、主に、音出力I/F417及びスピーカ419に対するCPU401の処理によって実現され、各種センサ412で検出された検出信号、検出状態等を外部に通知するために、音声、音情報を出力する。本実施形態において音声通知部43は、通知手段の一例として機能する。
【0143】
表示制御部44は、主に、センシング機器4のディスプレイ407に対するCPU401の処理によって実現され、各種画面及び情報(データ)の表示制御を行う。また、表示制御部44は、生成された表示画面を例えば、ブラウザを用いてHTML等により通信端末3のディスプレイ307に表示させてもよい。本実施形態において表示制御部44は、表示制御手段の一例として機能する。
【0144】
記憶読出部49は、主に、ROM402及びEEPROM404のうち少なくとも一つに対するCPU401の処理によって実現され、記憶部4000に各種データ(情報)を記憶したり、記憶部4000から各種データ(情報)を読み出したりする。本実施形態において記憶読出部49は、記憶読出手段の一例として機能する。
【0145】
〔実施形態の処理又は動作〕
次に、図22を用いて、第2の実施形態に係る行動提案システムにおける各処理又は動作を説明する。なお、第2の実施形態における属性情報登録・更新時の処理は、第1の実施形態における図12の内容と同様であるため、説明を省略する。
【0146】
<各種情報の登録処理>
図22は、第2の実施形態に係る結果情報の登録と重み付け処理を含むシーケンス図の一例である。まず、センシング機器4の取得測定部42は、利用者の生体情報を取得する(ステップS61)。なお、ステップS61では、取得測定部42は、利用者の身体的な生体情報に加えて、精神的な精神情報を含む心身情報を取得してもよい。
【0147】
次に、送受信部41は、行動提案装置2に対して行動提案要求を送信する(ステップS62)。これにより、行動提案装置2の送受信部21は、センシング機器4が送信した行動提案要求を受信する。このとき、行動提案要求には、利用者の現時点の生体情報が含まれる。なお、センシング機器4が行動提案装置2に対して送信する行動提案要求は、所定の時間間隔、若しくは利用者の生体情報に一定の閾値を超える変化があったときなど、行動提案システム21における仕様に基づいて決められてよい。
【0148】
次に、行動提案装置2の登録実行部26は、個人別生体情報を登録する(ステップS63)。具体的には、登録実行部26は、ステップS62で受信した利用者の生体情報を、生体情報管理DB2021(図21参照)の対応する生体情報の項目に登録する。
【0149】
次に、取得部22は、条件に合致する行動情報を取得する(ステップS64)。具体的には、取得部22は、所定の日時にセンシング機器4によって送信された利用者の生体情報の内容について、生体情報管理DB2021(図21参照)で管理されている各生体情報中の内容を読み出し、読み出した各内容と合致する内容をそれぞれ取得する。例えば、取得部22及び記憶読出部29は、利用者(理光太郎)における2023/2/10の生体情報として、体温「36.4[℃]」、血圧「134/88[mmHg]」等を取得する。そして、センシング機器4により取得されたデータが利用者の条件情報に変換される。その後、変換されたデータは、利用者の行動に係る優先順位付け、行動提案を生成するためのデータとして処理される。
【0150】
以降、ステップS65-S72までの処理は、第1の実施形態で示したステップS35-S42までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0151】
本実施形態に係る行動提案システムでは、例えば、上述したステップS62の処理が実行される場合、センシング機器4と行動提案装置2との間に他の装置等が存在してもよい。つまり、センシング機器4と行動提案装置2との間で送受信される各情報(データ)は、一度他の装置等を介して送受信されるような構成であってもよい。上述した構成は、センシング機器4と行動提案装置2との間に他の処理ステップが存在した場合でも適用することが可能である。
【0152】
(実施例2)
次に、行動提案システム21を利用した実施例2について説明する。在宅勤務の多い女性ユーザC(以下、Cと呼ぶ)は、本発明のシステムに、勤務する部屋に設置されたデジタル温湿度・気圧計を接続し、毎日自身の好みのタイミングで行動提案システム21を活用して休憩やコンディショニング行動を実行していた。Cは、治療が必要なほどではないが軽いPMS(月経前症候群)のある体質であり、月経前には頭痛や眠気による生産性低下が悩みであった。そのため、行動提案システム21を利用することによって、季節や業務内容によっても微妙に変化を続ける体調に対して、きめ細やかに対応するコンディショニングが提案されるようになってきていた。CにとってはPMSで調子が悪いと感じるときには10分間のピラティスの効果が高く、それを実行することでCはまずまずの効果を感じていた。
【0153】
一方で、結果実績管理DB2006(図11参照)には、全ての利用者の結果情報が個人情報を消去した状態(あるいは匿名化した状態)で蓄積されており、その中にはPMSを抱える女性の結果実績も多く存在した。Cと近い年齢で、在宅勤務の多い利用者においては、休憩時間にパワーナップをとることで体調と生産性が回復するという事例が多く存在し、特にそれは頭痛の緩和に効果を発揮するという事例が多く存在した。
【0154】
ある日、低気圧が近づいてCの部屋の気圧計が低値を示したことから環境条件として「低気圧」が自動入力された。そのタイミングで、新規な行動提案としてCには「パワーナップ」が提示された。Cにはパワーナップの習慣は無かったが、自分と年齢の近い女性にとってパワーナップは効果があるというデータに基づく提案理由を読んで納得し、昼休憩の最後の15分間にパワーナップを実行した。その結果、Cは、低気圧による頭痛を回避するとともにPMSに伴う眠気も軽減され、午後の仕事を効率よく進めることができた。
【0155】
〔第2の実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、行動提案装置2は、センシング機器4が送信した利用者の生体情報を含む心身情報に基づいて、行動に対する第1の提案情報を生成する(ステップS65)。これにより、第1の実施形態による効果に加えて、利用者による条件情報の入力工数を簡略化することが可能になる。
【0156】
更に、利用者の精神的な建前等により虚偽の条件情報の入力を未然に防止する効果も期待できる。その結果、利用者のそのときの真の心身情報を得ることが可能になり、当該利用者の取る行動に対して、より正確(適切)な行動提案を行うことも期待できる。
【0157】
〔第3の実施形態〕
〔行動提案システムの全体構成〕
次に、第3の実施形態について説明する。図23は、第3の実施形態に係る行動提案システムの全体構成の一例を示す図である。図23に示すように、第3の実施形態では、行動提案システム31を構成する通信端末3に加えて、利用者のスケジュールを管理するスケジュール管理サーバ5を有するシステム構成を例に説明する。なお、スケジュール管理サーバ5は、利用者の行動予定等に係る予定情報を行動提案装置2に対して送信する機能を有することから、より簡略化したシステムを利用したい場合は、第3の実施形態では、通信端末3に代えて、スケジュール管理サーバ5からの予定情報のみを用いた構成としてもよい。
【0158】
また、第3の実施形態では、利用者の身体的条件、精神的条件、作業条件及び実行条件に関しては、スケジュール管理サーバ5の情報を解析することで自動的に取得、あるいは推定し入力されることを利用者が選択することも可能である。
【0159】
具体的には、長時間にわたり会議の予定が連続している場合には、精神的疲労や集中力の低下が予想されるといったように、行動提案装置2は、経験則をもとに推測してもよい。より利用者の業務や体質に合わせて高精度な予測をする場合には、図2(a)に示したような、ニューラルネットワーク等の機械学習を用いて、利用者の日々のスケジュールの埋まり具合、業務内容、勤務時間などのスケジュール情報を入力層とし、対応する利用者の身体的条件や精神的条件を出力層として学習を行うことで、その日のスケジュールから利用者のコンディションを予め推測するようにしてもよい。
【0160】
行動提案装置2は更に、以降のスケジュールから推定できる作業条件、空き時間の長さや場所移動の有無といった実行条件等を取得して、利用者の条件入力工数を簡略化することも可能である。
【0161】
<スケジュール管理サーバ>
スケジュール管理サーバ5は、利用者の行動予定等を電子的に管理するサーバ(装置)である。このスケジュール管理サーバ5によって、利用者の条件入力工数を簡略化することを可能にする。本実施形態では、スケジュール管理サーバ5により取得されたデータが利用者の条件情報に変換される。なお、スケジュール管理サーバ5は、一般的に知られている利用者のスケジュールを予定表として登録、管理可能なサーバであってもよい。
【0162】
また、スケジュール管理サーバ5は、一般的なサーバOSなどが搭載された一以上の情報処理装置(コンピュータシステム)によって実現され、行動提案システム31を構築する一つの構成要素である。また、スケジュール管理サーバ5は、行動提案装置2等と通信を行うための通信アプリを記憶手段にインストールして記憶している。
【0163】
〔ハードウエア構成〕
続いて、図24を用いて、実施形態に係る行動提案システムを構成する装置又は通信端末のハードウエア構成について説明する。なお、図24に示されている機器のハードウエア構成は、必要に応じて構成要素が追加又は削除されてもよい。なお、図23に示した行動提案システム31を構築する行動提案装置2及び通信端末3に係るハードウエア構成は、第1の実施形態で示した行動提案装置2及び通信端末3に係るハードウエア構成と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0164】
<スケジュール管理サーバのハードウエア構成>
図24は、第3の実施形態に係るスケジュール管理サーバのハードウエア構成の一例を示す図である。図24に示されているように、スケジュール管理サーバ5は、例えばコンピュータによって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、EEPROM504、HD(Hard Disk)505、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ506、ディスプレイ507、近距離通信I/F508、CMOSセンサ509、撮像素子I/F510を備えている。スケジュール管理サーバ5は更に、ネットワークI/F511、キーボード512、ポインティングデバイス513、メディアI/F515、外部機器接続I/F516、音入出力I/F517、マイク518、スピーカ519及びバスライン520を備えている。なお、スケジュール管理サーバ5のハードウエア構成は、第1の実施形態で示した行動提案装置2の各ハードウエア資源と同様であるため、その説明を省略する。
【0165】
〔行動提案システムの機能構成〕
次に、図25及び図26を用いて、本実施形態の機能構成について説明する。図25は、第3の実施形態に係る行動提案システムの機能構成の一例を示す図である。なお、図25は、図23に示されている行動提案装置2、通信端末3及びスケジュール管理サーバ5のうち、後述する処理又は動作に関連するものを示す。なお、通信端末3の機能構成については、第1の実施形態と同様であるためその説明を省略する。
【0166】
<行動提案装置の機能構成>
行動提案装置2の機能構成については、後述するデータテーブルが追加される以外は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0167】
<<行動提案装置の各機能構成>>
ここで、第3の実施形態における行動提案装置2で管理されるデータテーブルについて説明する。
【0168】
●予定情報管理テーブル●
図26は、第3の実施形態に係る予定情報管理テーブルの一例を示す概念図である。なお、以下に説明するデータテーブルは一例であり、これに限るものではない。記憶部2000には、図26に示されているような予定情報管理テーブルによって構成された予定情報管理DB2031が構築されている。予定情報管理テーブルでは、ユーザIDをタブとしたそれぞれのタブごとに、予定情報及び日時が関連付けられて記憶、管理されている。これらのうち、予定情報は、利用者が参加する予定の行動(イベント)として、会議、プレゼンテーション、クライアント打合せ、会食、業務集中等の情報である。なお、予定情報には、利用者の個人的な意識、行動に伴うイベント(例えば、仮眠、休憩等)が含まれてもよい。日時は、予定情報を取得した日時を表し、どの予定情報を取得したかを予定情報毎に「〇」、「-」等で管理する。
【0169】
本実施形態において予定情報管理テーブル(予定情報管理DB2031)は、予定情報管理手段の一例として機能する。
【0170】
<スケジュール管理サーバの機能構成>
次に、スケジュール管理サーバ5の機能構成について説明する。図25に示されているように、スケジュール管理サーバ5は、送受信部51、取得部52、登録管理部56、生成部57及び記憶読出部59を有する。これら各機能部は、図24に示された各ハードウエア資源のいずれかが、ROM502、EEPROM504、HD505及び記録メディア514のうち少なくとも一つからRAM503に展開されたスケジュール管理サーバ5用のプログラムに従ったCPU501からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。また、スケジュール管理サーバ5は、図24に示されているROM502、EEPROM504、HD505及び記録メディア514のうち少なくとも一つにより構築される記憶部5000を有している。更に、記憶部5000には、行動提案装置2及び通信端末3と通信ネットワーク100を介して通信を行うための通信プログラム(通信アプリ)、ブラウザアプリ等が記憶されている。
【0171】
<<スケジュール管理サーバの各機能構成>>
次に、スケジュール管理サーバ5の各機能構成について詳細に説明する。図25に示されているスケジュール管理サーバ5の送受信部51は、主に、ネットワークI/F511及び近距離通信I/F508に対するCPU501の処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して行動提案装置2との間で利用者のスケジュールに係る各種データ(又は情報)の送受信を行う。本実施形態において送受信部51は、送信手段及び受信手段のうち少なくとも一方の手段の一例として機能する。
【0172】
取得部53は、主に、CPU501の処理によって実現され、利用者のスケジュール情報を取得する。本実施形態において取得部53は、取得手段の一例として機能する。
【0173】
登録管理部56は、主に、CPU501の処理によって実現され、利用者のスケジュール情報を登録、管理する。本実施形態において登録管理部56は、登録手段の一例、管理手段の一例として機能する。
【0174】
生成部57は、主に、CPU501の処理によって実現され、行動提案装置2に対して送信される各種情報を生成する。本実施形態において生成部57は、生成手段の一例として機能する。
【0175】
記憶読出部59は、主に、ROM502、EEPROM504、HD505及び記録メディア514のうち少なくとも一つに対するCPU501の処理によって実現され、記憶部5000に各種データ(情報)を記憶したり、記憶部5000から各種データ(情報)を読み出したりする。本実施形態において記憶読出部59は、記憶読出手段の一例として機能する。
【0176】
〔実施形態の処理又は動作〕
次に、図27を用いて、第3の実施形態に係る行動提案システムにおける各処理又は動作を説明する。なお、第3の実施形態における属性情報登録・更新時の処理は、第1の実施形態における図12の内容と同様であるため、説明を省略する。
【0177】
<各種情報の登録処理>
図27は、第2の実施形態に係る属性情報登録・更新時の他のシーケンス図の一例である。まず、スケジュール管理サーバ5の取得部52は、利用者の予定情報を取得する(ステップS81)。
【0178】
次に、送受信部51は、行動提案装置2に対して行動提案要求を送信する(ステップS82)。これにより、行動提案装置2の送受信部21は、スケジュール管理サーバ5が送信した行動提案要求を受信する。このとき、行動提案要求には、利用者の予定情報が含まれる。なお、スケジュール管理サーバ5が行動提案装置2に対して送信する行動提案要求は、所定の時間間隔、若しくは利用者の予定情報に一定の変更があったときなど、行動提案システム21における仕様に基づいて決められてよい。
【0179】
次に、行動提案装置2の登録実行部26は、個人別予定情報を登録する(ステップS83)。具体的には、登録実行部26は、ステップS62で受信した利用者の予定情報を、予定情報管理DB2031(図26参照)の対応する予定情報の項目に登録する。
【0180】
次に、取得部22は、条件に合致する行動情報を取得する(ステップS84)。具体的には、取得部22は、所定の日時にセンシング機器4によって送信された利用者の予定情報の内容について、予定情報管理DB2031(図26参照)で管理されている各予定情報中の内容を読み出し、読み出した各内容と合致する内容をそれぞれ取得する。例えば、取得部22及び記憶読出部29は、利用者(理光太郎)における2023/2/10の予定情報として、○が付与されている「業務集中」等を取得する。そして、センシング機器4により取得されたデータが利用者の条件情報に変換される。その後、変換されたデータは、利用者の行動に係る優先順位付け、行動提案を生成するためのデータとして処理される。
【0181】
以降、ステップS85-S92までの処理は、第1の実施形態で示したステップS35-S42までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0182】
本実施形態に係る行動提案システムでは、例えば、上述したステップS82の処理が実行される場合、スケジュール管理サーバ5と行動提案装置2との間に他の装置等が存在してもよい。つまり、スケジュール管理サーバ5と行動提案装置2との間で送受信される各情報(データ)は、一度他の装置等を介して送受信されるような構成であってもよい。上述した構成は、スケジュール管理サーバ5と行動提案装置2との間に他の処理ステップが存在した場合でも適用することが可能である。
【0183】
(実施例3)
ここで、行動提案システム31を利用した実施例3について説明する。ユーザD(以下、Dと呼ぶ)は、海外の取引先との会議のため、定例の早朝会議に毎週参加していた。朝の6時から会議開始し、その後も会議でスケジュールが埋まると、昼休憩の頃には眼の疲れと精神的なストレスが高くなり午後の業務が辛くなることは自身でも自覚していた。しかし、つい目の前の仕事を続けてしまう癖がついていた。
【0184】
そこでDは、行動提案システム31の、休憩タイミングのプッシュ通知機能をONにした。翌週の早朝会議があった日、行動提案システム31はEの疲れと生産性低下が顕著になり始める時刻を予定情報から推定し、Dが2時間半の仕事を終えた朝8:30にパソコン画面に「休憩を取りましょう」というポップアップ通知を表示させた。このタイミングでコンディショニング行動を取ることで、以降の仕事の辛さが軽減し生産性も大きく向上することが過去の自分のデータから推測されるという説明を読んだDは、すぐにPCから目を離した。更にDは、提案された行動のうちの一つである、「業務姿勢のまま蒸しタオルで眼を温めながら、3分間眼を閉じる」を実行した。
【0185】
わずかな3分間の行動であったが効果は大きく、Dは、その日の午前中の後半や午後も効率的に業務をこなすことができた。以降もDは、休憩やコンディショニングの通知が届いたら、一旦手を止めて提案された行動をすることで、疲れにくくストレスをためにくい状態で業務を遂行することが可能になり、日々の生産性向上に加えて、業務に対する満足度や達成度の向上がもたらされた。
【0186】
〔第3の実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、行動提案装置2は、第1の実施形態と同様に、スケジュール管理サーバ5が送信した利用者の予定情報に基づいて、行動に対する第1の提案情報を生成する(ステップS85)。これにより、第1の実施形態による効果に加えて、利用者による予定情報の入力工数を簡略化することにより利用者の負担を軽減する効果も期待できる。
【0187】
〔第4の実施形態〕
次に、第4の実施形態について説明する。図28は、第4の実施形態に係る行動提案システムの全体構成の一例を示す図である。図28に示すように、第4の実施形態では、上述した第2の実施形態におけるセンシング機器4、及び第3の実施形態におけるスケジュール管理サーバ5をあわせて有する行動提案システム41を構築し、利用者に対する行動提案を提供する場合について説明する。そのため、第4の実施形態に係るシステム構成、ハードウエア構成及び機能構成は、第2の実施形態及び第3の実施形態における各構成を合わせたものとなる。
【0188】
利用者は必要に応じて、自身の疲労度合いなどの体調を推測できる脈拍計、心電計、呼吸センサ、体温センサなど自律神経活動指標を取得可能な生体情報計測器を行動提案システム41に接続し、それらの計測器を身に付けたり周囲に設置したりする。これにより利用者は、身体的条件及び精神的条件情報の自動入力手段として利用することができる。また、利用者は、業務環境を計測するための温度計、湿度計、騒音計などのセンサを環境条件の自動入力手段として、GPSや加速度センサなどを実行条件の自動入力手段として、行動提案システム41に接続して利用することができる。
【0189】
なお、行動提案装置2は、センシング機器4から取得されたデータを、そこから推定される条件情報に変換する。例えば、行動提案装置2は、生体情報計測器から取得した心拍変動データを解析することで利用者の疲労度を推測し、利用者が本システム利用時の条件情報として、身体的条件における「良好」「普通」「疲労」や、精神的条件における「良好」「普通」「イライラ」といった選択肢を、自動で入力する。
【0190】
上述したようなセンシング機器4によって自動で入力される条件情報は、利用者はそのまま利用してもよいし、利用者が訂正することも可能である。生体情報をもとにした身体的条件が「良好」と判定されているにも関わらず、利用者の体感で非常に疲れていると感じている場合においては、利用者が自身で身体的条件を「疲労」と訂正することも可能である。
【0191】
同様に、センシング機器4で取得された業務環境に関わるデータに関しても、行動提案装置2は、条件情報に反映し、提案される行動をより利用者の状況に合ったものにすることができる。例えば、乾燥している環境での業務が続いているのであれば、利用者がそのことに気付いていなくても、水分摂取行動が優先度高く提示されるようになるなどと、行動提案装置2は、利用者の入力や操作の手間なく、よりその時の利用者に適した行動提案をすることができる。
【0192】
位置情報や加速度データを行動提案システム41に接続することで、行動提案装置2は、利用者が業務をしている場所の天気、気圧や花粉飛散情報、移動中か否かなどを認識する。これにより、行動提案装置2は、これらの情報を実行条件情報に反映し、提案される行動をより利用者の状況に合ったものにすることができる。例えば、通常は気分転換に数分のジョギングを行うことでその後の生産性を向上される利用者がいたとする。その利用者が本システムを使用したタイミングで、もし居場所周辺が雨天であれば、行動提案装置2は、ジョギングではなく、屋内で実行可能な代替行動が提案されるというように、その時の利用者の居場所などに適した行動提案をすることができる。
【0193】
また、スケジュール管理サーバ5による条件情報の自動入力についても、利用者の実感や体感による入力訂正は可能であり、システムによる推測値と利用者の入力値との差を学習していくことで、利用者に合わせて推定制度が向上していく仕組みとなっている。
【0194】
利用者は、必要に応じて、スケジュール管理サーバ5、すなわち電子的にスケジュールを管理する業務システムを行動提案システム41に接続することで、身体的条件、精神的条件、作業条件、ゴール条件の自動入力手段として利用することができる。スケジュールの過密度合は、身体的、精神的条件に大きく影響すると推定されるため、複数の会議が連続している場合には条件情報として「疲労」を自動入力される。
【0195】
また、行動提案装置2は、スケジュールとして記載されている用語からその時間帯に行っている、あるいは行う予定である作業内容を推定して作業条件として入力する。行動提案装置2は、例えば、「聴講」というワードがあれば報告を聞く受け身的な作業である、「報告」であればプレゼンテーションを行う、「検討」「相談」などは議論をするといったように、作業条件を大まかに推定することができる。行動提案装置2は更に、未来の予定に合わせて報告を聞くのであれば「集中力を向上させる」、報告をするのであれば、「落ち着いてできるようにリラックスする」、議論をするのであれば「創造性が必要になる」と推測して、ゴール条件も自動で入力してもよい。これにより、行動提案装置2は、利用者の操作の手間を最小限にして、その時の利用者に最適な行動提案をすることが可能になる。
【0196】
なお、利用者の身体的条件、精神的条件を推定することの更なる応用例としては、図2(b)に示したように、スケジュール情報に対し、対応する利用者の結果情報を出力情報として学習を行うことで、最終的に良好な状態で作業をできる結果となるために、より効果のある行動タイミングを推定することが可能になる。
【0197】
また、行動提案装置2は、利用者のスケジュールを参照して、その日の作業をより効率的あるいは快適に行うために行動を起こす最適のタイミングを決定し、通信端末3にプッシュ通知する。これにより、利用者は休憩や行動のタイミングを自分で計画したり、条件情報を入力したりといった作業を行うことなく、最適なタイミングで最適な行動提案を受け取ることができる。
【0198】
このように、行動提案システム41から提供された行動提案方法により、利用者は、刻々と変化する作業状況や心身のコンディションに応じた最適の行動提案を受け、実行することができる。その結果、利用者は、疲労やストレスを軽減して以降の作業をより効率的あるいは快適に行うことが可能になる。
【0199】
〔実施形態の処理又は動作〕
次に、第4の実施形態に係る行動提案システムにおける各処理又は動作を説明する。なお、第4の実施形態における属性情報登録・更新時の処理は、第1の実施形態における図12の内容と同様であるため、説明を省略する。
【0200】
<各種情報の登録処理>
なお、各種情報の登録処理に係るシーケンス図、フローチャートに関しては、第2の実施形態及び第3の実施形態を合わせたものであってよい。
【0201】
(実施例4)
ここで、行動提案システム41を利用した実施例4について説明する。男性ユーザE(以下、Eと呼ぶ)は、第4の実施形態に係る行動提案システムに、自身の生体情報を取得するためのスマートウォッチ型の脈拍センサを装着し、スケジュール管理サーバ5と連携できるよう自身の通信端末3を設定した。午前中のスケジュールは絶え間なく会議で埋まることの多いEにとって、昼休憩を効果的に使って午後にむけたコンディショニングを行うことが非常に重要である。Eは、ある日の昼食後に本システムを利用し始めたところ、脈拍センサ及びスケジュールから推定されたEの条件情報としては、身体的条件が「普通」、精神的条件は「極めて疲労」とされ、また午後には書類の内容精査の予定が入っていた。このことから、ゴール条件が「集中したい」と自動設定された。Eは、自動設定された条件を確認すると、その後、「ブラックコーヒーを飲む」、「5分間のヨガを行う」、「自然風景と音の流れる動画を視聴しながら、ボーっとする」の三つの行動が提案された。
【0202】
Eはミルクティー派であったが、コーヒーの香りが大脳辺縁系に作用してストレス軽減や情報処理能力を向上する効果があるという説明を読み、ブラックコーヒーを試してみた。その結果、従来と比較して午後の業務が捗ったという実感がわずかにあった。以降もEは、昼休みと午後3時前後の休憩タイミングに行動提案システム41を毎日利用した。Eは、センシング機器4とスケジュール管理サーバ5とから自動入力された自身の条件情報、あるいは必要に応じて自身で修正入力した条件情報から提案された行動を実行し、結果情報を入力することを繰り返した。その結果、行動提案システム41は、Eによる結果の入力に伴う結果情報の取得を繰り返すことで、センシング機器4やスケジュール管理サーバ5からの条件情報の推定精度を向上させるとともに、行動提案の確からしさも向上させていった。
【0203】
Eがこのような行動を一か月繰り返し継続した頃には、行動提案システム41から提案される行動のどれを選択してもEの生産性が確実に向上すると感じられるまでに提案精度が向上していった。2か月目のある日、一日で集中して資料を完成させる必要があり、Eは朝の始業前から行動提案システム41を利用し、ブラックコーヒーを飲んでから業務を開始した。その日のDの疲労具合と業務内容からすると、過去の実績履歴を学習したEのモデルにおいて、昼休みにも午後休憩にもブラックコーヒーの摂取が生産性向上させる可能性が最も高いと推定される行動選択肢であった。しかしながら、行動提案システム41においてカフェイン摂取行動提案の上限があり、また朝と昼にブラックコーヒーを摂取済みのEにとって午後の更なるコーヒー摂取は、好ましいカフェイン摂取量を超えるとともに当日の睡眠に悪影響を与える可能性があると判断された。
【0204】
結果として、その日の午後のタイミングにおいてブラックコーヒーは推奨されず、代わりに、ペパーミントのアロマテラピーが提案された。Eはこれを選択しミントの香りを部屋に漂わせながら資料作成に取り組み、期限時間までに無事完成させることができた。このように、行動提案システム41を利用することで、Eは日々の生産性を向上させるとともに、一時的な生産性向上効果が期待されても長期的健康に悪影響を与える可能性のある行動を回避するようになった。その結果、Eは適切なコンディションで業務に取り組んでいる。
【0205】
〔実施形態の補足〕
上述した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウエアによって各機能を実行するようプログラミングされたデバイスを含むものとする。このデバイスとは、例えば、プロセッサ、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)、SOC(System on a chip)、GPU(Graphics Processing Unit)、及び従来の回路モジュール等をいう。
【0206】
また、上述したように、行動提案装置2は、各種判断を例えば、機械学習(人工知能:AIを利用した学習)におけるコサイン類似度を利用して実行してもよい。行動提案装置2は更に、コサイン類似度に代えて、他の解析手法を利用して文書を分類するようにしてもよい。
【0207】
これまで本発明の一実施形態に係る行動提案システム、行動提案装置、行動提案方法及びプログラムについて説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態の追加、変更又は削除等、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。なお、上述した各構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。
【0208】
■まとめ■
本発明に係る態様は、例えば、以下のとおりである。
【0209】
<第1態様>
第1態様としての行動提案システム1(行動提案システムの一例。以下省略)は、利用者の行動に対する提案を行う行動提案装置2(行動提案装置の一例。以下省略)と、利用者が利用する通信端末3(通信端末の一例。以下省略)を有し、行動提案装置2は、利用者が利用する通信端末3が送信した、利用者の条件情報を受信する送受信部21(受信手段の一例。以下省略)と、受信した条件情報に基づいて、行動に対する第1の提案情報を生成する生成処理部27(生成手段の一例。以下省略)と、生成した第1の提案情報を、利用者の通信端末3に対して送信する送受信部21(送信手段の一例。以下省略)と、を有し、送受信部21は、通信端末3が送信した、第1の提案情報に基づいた利用者の行動結果を示す結果情報を受信し、生成処理部27は、受信した結果情報に応じた利用者の行動に対する第2の提案情報を生成し、通信端末3は、利用者に対して生成された第2の提案情報をディスプレイ307(表示手段の一例。以下省略)に表示させる表示制御部34(表示制御手段の一例。以下省略)を有する。
【0210】
第1態様によれば、利用者の行動に対する提案情報を、利用者の状態にあわせて最適なものに変えていくことが可能になる。
【0211】
<第2態様>
第2態様としての行動提案装置2の生成処理部27は、第1態様において、利用者の属性を表す属性情報、利用者の精神若しくは生体に係る心身情報、利用者を取り巻く環境情報、及び利用者の予定を表す予定情報のうち少なくとも一つの情報を含む条件情報に基づいて、第1の提案情報を生成する。
【0212】
第2態様によれば、第1の実施形態による効果に加えて、利用者に係るより詳細な情報に基づいたより適切な行動提案を提供することが可能になる。
【0213】
<第3態様>
第3態様としての行動提案装置2の生成処理部27は、第1態様又は第2態様において、結果情報に応じて所定の機械学習モデルを更新することにより、第2の提案情報を生成する。
【0214】
第3態様によれば、行動提案に関する機械学習モデルを更新することにより、更に適切且つ新たな新規行動提案を提供することが可能になる。
【0215】
<第4態様>
第4態様としての行動提案装置2の生成処理部27は、第1態様乃至第3態様のいずれかにおいて、利用者毎に生成した各第1の提案情報に対する各々の結果情報に応じて、第1の提案情報に対して重み付けを行い、利用者毎に重み付けに応じた第2の提案情報を生成する。
【0216】
第4態様によれば、利用者毎に最適な行動提案を提供することが可能になる。
【0217】
<第5態様>
第5態様としての行動提案装置2の生成処理部27は、第4態様において、結果情報が肯定的な結果であった場合、第1の提案情報が再度生成される優先順位を上げるように重み付けを行い、結果情報が否定的な結果であった場合、第1の提案情報が再度生成される優先順位を下げるように重み付けを行うことにより、第2の提案情報を生成する。
【0218】
第5態様によれば、第4態様による効果に加えて、利用者毎に更に最適な行動提案を提供することが可能になる。
【0219】
<第6態様>
第6態様としての行動提案装置2の生成処理部27は、第5態様において、第1の提案情報が再度生成される優先順位を上げるように重み付けを行う場合であっても、利用者の心身情報に応じて、第2の提案情報を生成するための制限を設ける。
【0220】
第6態様によれば、利用者の心身の状態に応じた最適な行動提案を提供することが可能になる。
【0221】
<第7態様>
第7態様としての行動提案装置2の生成処理部27は、第2態様乃至第6態様のいずれかにおいて、利用者と類似する属性情報を有する他の利用者に関する他の結果情報を含めた情報に基づいて、第1の提案情報に対して重み付けを行う。
【0222】
第7態様によれば、利用者と類似する他の利用者に対しては、同様の行動提案を提供することで、行動提案装置の処理効率を向上させることが可能になる。
【0223】
<第8態様>
第8態様としての行動提案装置2の送受信部21は、第1態様乃至第7態様のいずれかにおいて、利用者に係る条件情報及び結果情報に応じた所定のタイミングで、通信端末3に対して第1の提案情報を送信する。
【0224】
第8態様によれば、通信端末3を利用する利用者は、適切なタイミングで自身に対する行動提案を受信することが可能になる。
【0225】
<第9態様>
第9態様としての行動提案装置2の生成処理部27は、第1態様乃至第8態様のいずれかにおいて、第1の提案情報及び第2の提案情報として、同一の内容を含む提案情報を生成する。
【0226】
第9態様によれば、利用者に対して提案情報を変えない方がよいと判断した場合には同一の提案情報を提供することで、利用者へ与える精神的な負担、影響等を極力抑えることが可能になる。
【0227】
<第10態様>
第10態様としての利用者の行動に対する提案を行う行動提案装置2(行動提案装置の一例。以下省略)は、利用者が利用する通信端末3が送信した、利用者の条件情報を受信する送受信部21(受信手段の一例。以下省略)と、受信した条件情報に基づいて、行動に対する第1の提案情報を生成する生成処理部27(生成手段の一例。以下省略)と、生成した第1の提案情報を、利用者の通信端末3に対して送信する送受信部21(送信手段の一例。以下省略)と、を有し、送受信部21は、通信端末3が送信した、第1の提案情報に基づいた利用者の行動結果を示す結果情報を受信し、生成処理部27は、受信した結果情報に応じた利用者の行動に対する第2の提案情報を生成する。
【0228】
第10態様によれば、第1態様と同様に、利用者の行動に対する提案情報を、利用者の状態にあわせて最適なものに変えていくことが可能になる。
【0229】
<第11態様>
第11態様としての利用者の行動に対する提案を行う行動提案装置2(行動提案装置の一例。以下省略)が実行する行動提案方法は、利用者が利用する通信端末3が送信した、利用者の条件情報を受信する受信ステップと、受信した条件情報に基づいて、行動に対する第1の提案情報を生成する生成ステップと、生成した第1の提案情報を、利用者の通信端末3に対して送信する送信ステップと、を実行し、受信ステップは、通信端末3が送信した、第1の提案情報に基づいた利用者の行動結果を示す結果情報を受信し、生成ステップは、受信した結果情報に応じた利用者の行動に対する第2の提案情報を生成する。
【0230】
第11態様によれば、第1態様と同様に、利用者の行動に対する提案情報を、利用者の状態にあわせて最適なものに変えていくことが可能になる。
【0231】
<第12態様>
第12態様としての利用者の行動に対する提案を行う行動提案装置2(行動提案装置の一例。以下省略)に実行させるプログラムは、利用者が利用する通信端末3が送信した、利用者の条件情報を受信する受信ステップと、受信した条件情報に基づいて、行動に対する第1の提案情報を生成する生成ステップと、生成した第1の提案情報を、利用者の通信端末3に対して送信する送信ステップと、を含み、受信ステップとして、通信端末3が送信した、第1の提案情報に基づいた利用者の行動結果を示す結果情報を受信させ、生成ステップとして、受信した結果情報に応じた利用者の行動に対する第2の提案情報を生成する処理を実行させる。
【0232】
第12態様によれば、第1態様と同様に、利用者の行動に対する第1の提案情報を、利用者の状態にあわせて最適なものに変えていくことが可能になる。なお、第2の提案情報にコンテンツなどにしてもよいし、付加してもよい。
【符号の説明】
【0233】
1 行動提案システム
2 行動提案装置
3 通信端末
21 送受信部(送信手段の一例、受信手段の一例)
22 取得部(取得手段の一例)
24 表示制御部(表示制御手段の一例)
25 判断部(判断手段の一例)
26 登録実行部(登録手段の一例、実行手段の一例)
27 生成処理部(生成手段の一例)
29 記憶読出部(記憶読出手段の一例)
31 送受信部(送信手段の一例、受信手段の一例)
32 操作受付部(受付手段の一例)
33 取得部(取得手段の一例)
34 表示制御部(表示制御手段の一例)
36 登録実行部(登録手段の一例、実行手段の一例)
37 生成部(生成手段の一例)
38 起動部(起動手段の一例)
39 記憶読出部(記憶読出手段の一例)
41 送受信部(送信手段の一例、受信手段の一例)
42 取得測定部(取得手段の一例)
43 音声通知部(通知手段の一例)
44 表示制御部(表示制御手段の一例)
49 記憶読出部(記憶読出手段の一例)
51 送受信部(送信手段の一例、受信手段の一例)
53 取得部(取得手段の一例)
56 登録管理部(登録手段の一例、管理手段の一例)
57 生成部(生成手段の一例)
59 記憶読出部(記憶読出手段の一例)
307 ディスプレイ(表示手段の一例)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0234】
【特許文献1】特許第6920434号
【特許文献2】特許第5493785号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28