(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121100
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】円筒フラスコおよび振とう培養容器
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
C12M1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028003
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】松田 和佳奈
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029AA11
4B029BB01
4B029GA02
4B029GA06
4B029GB03
(57)【要約】
【課題】限られた空間を有効に活用することが可能な円筒フラスコおよび振とう培養容器を提供する。
【解決手段】円筒11の上面11aおよび下面11bが閉鎖されており、円筒11の側面11cに首部12を有し、首部12の先端は開口部を有しており、開口部にフィルター部13aを有するキャップ13を装着することによって内部の無菌状態を維持でき、フィルター部13aを介してガス交換が可能であり、円筒フラスコ10を積み重ねることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒の上面および下面が閉鎖されており、円筒の側面に首部を有し、前記首部の先端は開口部を有しており、前記開口部にフィルター部を有するキャップを装着することによって内部の無菌状態を維持でき、前記フィルター部を介してガス交換が可能であり、積み重ねることができることを特徴とする円筒フラスコ。
【請求項2】
円筒の側面に目盛りを有する、請求項1に記載の円筒フラスコ。
【請求項3】
前記円筒フラスコを上下に積み重ねたときのずれを防止するリブを備える、請求項1に記載の円筒フラスコ。
【請求項4】
前記円筒フラスコを上下に積み重ねたときのずれを防止する接続部材を備える、請求項1に記載の円筒フラスコ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の円筒フラスコを用いた振とう培養容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒フラスコおよび振とう培養容器に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞などの培養は、医薬品、食品、化粧品や、これらの原材料などとして有用な各種物質の生産に広く用いられている。
特許文献1には、折り畳み可能な円筒容器に撹拌翼を収納した培養袋を、ドラム缶等の外殻に収納した培養器が記載されている。
特許文献2には、軟包装材からなる培養袋を、円柱形上の外殻に収容した振とう型培養装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-282629号公報
【特許文献2】特開2016-136928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~2の培養容器は大型であり、積み重ねることができない。小スケールの培養では、一般的に、三角フラスコを用いた振とう培養が用いられている。しかし、三角フラスコは重ねることができないため、CO2の濃度と温度をコントロール可能なインキュベーター内などの限られた空間を有効に活用することができない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、限られた空間を有効に活用することが可能な円筒フラスコおよび振とう培養容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の態様を含む。
第1の態様は、円筒の上面および下面が閉鎖されており、円筒の側面に首部を有し、前記首部の先端は開口部を有しており、前記開口部にフィルター部を有するキャップを装着することによって内部の無菌状態を維持でき、前記フィルター部を介してガス交換が可能であり、積み重ねることができることを特徴とする円筒フラスコである。
【0007】
第2の態様は、第1の態様において、円筒の側面に目盛りを有する。
第3の態様は、第1または2の態様において、円筒フラスコを上下に積み重ねたときのずれを防止するリブを備える。
第4の態様は、第1~3のいずれか1の態様において、円筒フラスコを上下に積み重ねたときのずれを防止する接続部材を備える。
【0008】
第5の態様は、第1~4のいずれか1の態様の円筒フラスコを用いた振とう培養容器である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、限られた空間を有効に活用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】リブを用いて重ねた円筒フラスコの一例を示す断面図である。
【
図3】接続部材を用いて重ねた円筒フラスコの一例を示す斜視図である。
【
図4】円筒フラスコに内袋を装着する例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0012】
図1に、円筒フラスコ10の一例を示す。この円筒フラスコ10は、積み重ねることが可能な円筒フラスコ10である。円筒フラスコ10は、円筒11からなる胴部を有する。円筒11の内部には液体、乳濁液、懸濁液などの内容物を収容することができる。
【0013】
円筒フラスコ10は、円筒11の側面11cに首部12を有する。首部12は、円筒11の内部に通じる口を有する。首部12には、キャップ13を用いて蓋をすることができる。綿栓、ゴム栓、コルク栓等を用いて首部12に蓋をしてもよい。首部12に用いるキャップ13は、フィルター部13aを有する。首部12の先端は開口部を有しており、開口部にキャップ13を装着することによって内部の無菌状態を維持でき、フィルター部13aを介してガス交換が可能である。
【0014】
図示例の円筒11では、上面11aおよび下面11bは閉鎖されている。また、上面11aおよび下面11bと側面11cは、液密で一体に成形されている。円筒11の上面11aが閉鎖されていることにより、円筒11の上面11aに他の円筒フラスコ10を積み重ねることができ、また、円筒11に収容される内容物を密閉した状態で処理や保存が可能になる。上面11aおよび下面11bと側面11cとの接続部は、丸みを有してもよい。
【0015】
側面11cから首部12が突出する角度は、特に限定されず、例えば水平でもよく、斜め上方に向いてもよく、斜め下方に向いてもよい。首部12の中心線方向が円弧状に湾曲してもよい。例えば、首部12が側面11cに接する付け根部では略水平向きで、口に近い先端部で上向きあるいは下向きとなってもよい。首部12の先端部は、円環状でもよく、くちばし状の注ぎ口を有してもよい。
【0016】
円筒11の側面11cには、目盛り14を有することが好ましい。これにより、内容物の量を容易に確認することができる。目盛り14を形成する方法は特に限定されないが、円筒11の側面11cで凹部または凸部を成形して目盛り14としてもよく、塗料、彫刻、エッチング、レーザー加工等を用いて目盛り14を書き込んでもよい。目盛り14に数字、文字、記号等を添えてもよい。
【0017】
円筒フラスコ10を積み重ねる個数は、特に限定されないが、少なくとも2つの円筒フラスコ10を上下に積み重ねることが可能である。積み重ねる数は、円筒フラスコ10の仕様や目的等に応じて、適宜設定されてもよく、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、あるいはそれ以上としてもよい。円筒フラスコ10の仕様や目的等に応じて、積み重ねる数が、所定の個数以下とされてもよい。
【0018】
図2は、リブ15を用いて円筒フラスコ10を重ねた例を示す。例えば円筒11の上面11aに環状のリブ15を形成し、リブ15の内側に円筒11の下面11bを嵌合してもよい。円筒11の下面11bは、リブ15の内側に嵌合するようにテーパ16を形成して径を縮小してもよい。これにより、下側のリブ15と上側のテーパ16を嵌合させてもよい。
【0019】
リブ15の位置、形状等は特に限定されないが、上面11aまたは下面11bの外周にリブ15を形成することが好ましい。下面11bにリブ15を形成した円筒フラスコ10の上面11aにテーパ16を設けて、上側のリブ15と下側のテーパ16を嵌合させてもよい。上面11aと下面11bの双方にリブ15を形成してもよい。上面11aのリブ15と下面11bのリブ15が互いに嵌合するように配置されてもよい。
【0020】
円筒フラスコ10がリブ15を有することにより、上下に積み重ねたときのずれを防止することができる。リブ15は円筒11の全周に連続させてもよく、円周の一部において1箇所または複数箇所に形成してもよい。
【0021】
円筒フラスコ10を上下に積み重ねたとき、隣接する上面11aおよび下面11bは密着する必要はなく、隙間をもたせてもよい。円筒フラスコ10の上面11aおよび下面11bは、開閉が不能な壁面であってもよい。
【0022】
円筒フラスコ10は、首部12を複数有してもよい。円筒11の側面11cに首部12を配置することが好ましい。円筒フラスコ10を上下に積み重ねたとき、首部12の位置が上下に揃ってもよく、上下の首部12が交互に異なる位置に配置されてもよい。少なくとも1つの首部12にフィルター部13aを有する通気型のキャップ13が装着されていることが好ましく、他の首部12には、フィルター部13aを有しない密閉型のキャップ13を装着してもよい。
【0023】
図3は、接続部材17を用いて円筒フラスコ10を重ねた例を示す。接続部材17は、例えば環状、枠状に形成し、上側の円筒フラスコ10の下部と、下側の円筒フラスコ10の上部とにまたがって保持することができる。円筒フラスコ10に接続部材17を取り付けることにより、円筒フラスコ10を振とうさせても、ずれを防止することができる。
【0024】
接続部材17は、円筒フラスコ10の円筒11の側面11cに対して密着力を有することが好ましい。密着力は、ゴム等の弾性力でもよく、金属板等の締付力でもよく、粘着剤等の粘着力でもよい。接続部材17が透明である場合は、円筒11の側面11cを広く接続部材17で覆っても、円筒11の内部を目視で確認することができる。例えば、透明の接続部材17が上下の円筒フラスコ10にまたがって、側面11c全体を覆ってもよい。
【0025】
接続部材17の形状は特に限定されないが、円環状でもよく、C字状でもよく、可撓性を有するテープ状でもよい。半円状や円弧状の部材を複数組み合わせて、1組の接続部材17を構成してもよい。接続部材17には、ジャケットやラバーヒーターなどの保温機構を設置してもよい。これにより、濃縮作業中の温度低下などを防ぐことができる。
【0026】
円筒フラスコ10の材質としては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ガラス等の成形材料が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)等のポリオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、フッ素樹脂などが挙げられる。合成樹脂は軽量であり、割れにくい点で好ましい。ガラスは硬質で耐熱性、ガスバリア性等に優れている点で好ましい。
【0027】
円筒フラスコ10の色は、特に限定されないが、無色透明、乳白色、褐色などが挙げられる。可視光領域に限らず、赤外線領域や紫外線領域においても、適宜の透過性または遮蔽性を設定してもよい。円筒フラスコ10が可視性を有することにより、円筒11の内部を目視で確認することができる。
【0028】
円筒フラスコ10の円筒11の形状としては、特に限定されないが、側面11cの径と下面11bから上面11aまでの高さの比が、例えば1:3~3:1の範囲内でもよく、1:2~2:1でもよく、径と高さが同等(約1:1)でもよい。
【0029】
円筒フラスコ10の容量は特に限定されないが、小スケールの用途に適した容量が好ましく、例えば0.1~1リットル程度が挙げられる。
【0030】
実施形態の円筒フラスコ10は、細胞培養やバイオ医薬品製造、これらの試験等に用いることができる。バイオ医薬品としては、特に限定されないが、タンパク質、核酸、酵素、ホルモン、ワクチン、抗体、細胞等が挙げられる。
【0031】
培養される細胞としては、特に限定されないが、多細胞生物の細胞でもよく、単細胞生物の細胞でもよい。具体例としては、菌類、細菌類、ウイルス、酵母、藻類、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞などが挙げられる。培養細胞が、CHO細胞、HeLa細胞、COS細胞等の細胞株でもよく、胚性幹細胞(ES細胞)、誘導多能性幹細胞(iPS細胞)、間葉系幹細胞、神経幹細胞等の幹細胞でもよく、分化させた組織細胞などであってもよい。
【0032】
足場を要する培養では、固形物を足場材として培地に混合してもよい。足場材としては特に限定されないが、マイクロキャリアのように浮遊可能な足場材が好ましい。ナノファイバー等の繊維状足場材でもよく、マイクロビーズ等の粒子状足場材でもよい。足場材の材質としては、多糖類、蛋白質、合成樹脂、ガラス等が挙げられる。
【0033】
培地のpH等を調整するには、酸、アルカリ等の薬剤を培地に混合してもよい。キャップ13に投入口を設け、培養中に薬剤、培地等を投入可能にしてもよい。
【0034】
キャップ13には、一部にガス交換用の穴が設けられている。また前記ガス交換用の穴には、ガスは通過させるが、細菌等を通過させないような径(好ましくは0.3μm以下)の微細孔を多数有するメッシュ状の素材又は膜状の素材で封止されている。
【0035】
フィルター部13aとなるメッシュ状の素材としては、例えば、ポリエチレン樹脂製の連続極細繊維を熱プレスした不織布などが好適に用いられる。
フィルター部13aとなる不織布としては、例えば、デュポン社製のタイベック(登録商標)などが挙げられる。
【0036】
フィルター部13aとなる膜状の素材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、セルロース混合エステル、ポリプロピレン(PP)などのメンブレン型エアフィルターが好適に用いられる。
【0037】
フィルター部13aとなる不織布等は、超音波融着や、接着剤等でキャップ13に固定されていることが好ましい。
【0038】
図4に示すように、円筒フラスコ10に内袋21を装着することも可能である。内袋部材20は、円筒フラスコ10の首部12に装着可能な装着部材22に内袋21に取り付けた構造を有する。
【0039】
円筒フラスコ10の内部に内袋21を挿入し、首部12に装着部材22を装着した状態から、内袋21に注入気体23を注入することで、内袋21を膨らませることができる。内袋21は、円筒フラスコ10と同じ形状のバッグであることが好ましい。装着部材22は両端が開口した筒状であり、注入気体23を流通させることができる。
【0040】
注入気体23は、清浄な気体であることが好ましく、乾燥空気、窒素ガスなどが挙げられる。注入気体23を無菌状態にするため、適宜のフィルター(図示せず)を通してもよい。注入気体23用のフィルターは、キャップ13のフィルター部13aと少なくとも同等の性能を有することが好ましく、ガスは通過させるが、細菌等を通過させないような径(好ましくは0.3μm以下)の微細孔を有することが好ましい。
【0041】
シリンジや送風機を用いて、清浄な空気を送ることで、内袋21を膨らませることができる。円筒フラスコ10の内面と内袋21の外面との間の残留気体24を排出するために、シリンジや吸引装置を用いてもよい。残留気体24を排出するため、装着部材22は、首部12との間に溝状の隙間や通気穴等の通気部25を有することが好ましい。残留気体24は、内袋21を挿入する前の円筒フラスコ10に存在する気体であり、空気でも空気以外のガスでもよい。
【0042】
円筒フラスコ10内で内袋21が膨らんだ後で、フィルター部13aを有するキャップ13が首部12に装着される。キャップ13が装着部材22の上から装着されてもよい。内袋21を使い捨てにして、円筒フラスコ10を2回以上、繰り返し使用してもよい。
【0043】
特に図示しないが、円筒フラスコ10が2個以上の首部12を有するときは、片方の首部12に内袋部材20を装着し、他方の首部12から残留気体24を排出してもよい。この場合は、内袋部材20の通気部25を省略することができる。残留気体24を排出するための首部12は、フィルター部13aを有しないキャップを装着することで密封することができる。
【0044】
培養に用いられる培地は、特に限定されないが、溶液、乳液、懸濁液、分散液、ゲル等が挙げられる。培地は均一な単相の組成物でもよく、固形物を含む液体など、二相以上から構成されてもよい。培地は、培養前に滅菌されていることが好ましい。
【0045】
円筒フラスコ10の内容物は、液体の培地上に、気体の雰囲気を有してもよい。気体は、空気やO2を含む好気的雰囲気でもよく、O2の濃度が低い嫌気的雰囲気でもよい。気体の組成は特に限定されないが、2種以上の混合ガスが一般的である。気体の成分としては、酸素(O2)等の酸化性ガス、窒素(N2)やアルゴン(Ar)等の不活性ガス、二酸化炭素(CO2)等の酸性ガス、アンモニア(NH3)等の塩基性ガス、硫化水素(H2S)等の還元性ガスなどが挙げられる。
【0046】
振とう培養の際、円筒フラスコ10は、水平方向に回転することが好ましい。回転方向が、水平成分と垂直成分の両方を含んでもよい。垂直成分の大きさが、水平成分の大きさより小さい(垂直成分が0である場合を含む)ことが好ましい。一方向への振とうではなく、回転を取り入れることで、効率の良い撹拌ができる。
【0047】
振とうの回転速度、回転の方向は、適宜制御することができる。回転速度や回転方向を変化させることで、水平方向の液の撹拌のみではなく、垂直方向の撹拌も実現することができる。培養の系に応じて回転数、振幅等を設定し、プログラムによって制御することが好ましい。
【0048】
実施形態の振とう培養装置は、例えば、振とう回転数、振とう方向、培地のpH、培地の温度、培地の波の高さ等から選択される制御因子の1つ又は2以上を制御して培養を行うことができる。
【0049】
振とう方向は、右回転と左回転、もしくは正回転と逆回転を任意のパターンで繰り返すことが好ましい。振とう装置の回転速度及び回転数は制御盤等により制御できるようにシステムを組むことが好ましい。振とう装置は、回転方向を任意に切り替え可能であることが好ましい。
【0050】
振とうの回転数、振幅は任意に設定することができるが、回転した時に、内容物の波の高さ(例えば液面の平均高さ、最大高さ、高低差など)の上昇幅をある一定の範囲内とするために、波の高さを検出し、波の高さから回転数をフィードバック制御等で調整することが好ましい。
【0051】
振とう回転数は、例えば0.1~400rpm(回毎分)の範囲内であってもよい。振幅は、例えば、0.1~100mmの範囲内であってもよい。なお、回転方向が変化する場合、回転数は、右回転数と左回転数との和、もしくは正回転数と逆回転数との和のように、回転方向によらず回転数(非負値)の合計とする。
【0052】
培地の温度については、円筒フラスコ10の外部にヒーター等の温度調整機能を用いて温度調整を行うことができる。培養温度は、培養される生物の種類にもよるが、例えば微生物の場合、4~40℃が好ましく、25~37℃が特に好ましい。培養しないで培地等の撹拌装置として用いる場合は、冷却してもよい(例えば4~20℃)。
【0053】
円筒フラスコ10の用途は、振とう培養に限られず、培地等の組成物の撹拌、調製、化学反応、発酵、薬液の保存等にも利用することができる。
【0054】
円筒フラスコ10の内部を洗浄するときは、首部12からブラシ等の洗浄器具を挿入してもよく、洗浄液を注入してもよい。円筒フラスコ10全体を洗浄液に浸漬してもよい。超音波を印加して、洗浄液を振動させてもよい。
【0055】
円筒フラスコ10の内部を乾燥させるときは、オーブン等に入れて、液体が蒸発しやすい温度に加熱してもよい。チューブ等を用いて、首部12から円筒11の内部に空気やエチレンオキサイドガス等を流通させてもよい。円筒フラスコ10が複数の首部12を有する場合は、一方の首部12から他方の首部12へと空気やエチレンオキサイドガス等を流通させてもよい。
【0056】
図示例の円筒フラスコ10は、円筒11の上面11a、下面11b、側面11cが一体に成形されているが、上下をセパラブルにしてもよい。例えば側面11cの中間ほどの高さに継ぎ目を設けて、側面11cの上部と上面11aとを上側部材とし、側面11cの下部と下面11bとを下側部材としてもよい。側面11cの継ぎ目は、例えば外周に向けてフランジ状に突出させてもよく、継ぎ目をすり合わせ面にしてもよい。
【0057】
円筒フラスコ10の仕様や目的等に応じて、上下が特定されていてもよく、上下を入れ替え可能としてもよい。円筒フラスコ10の上下を入れ替え可能とした場合は、実施形態で上面11aとした側を下側に、下面11bとした側を上側にして、設置したり、積み重ねたりしてもよい。円筒11の上面11aおよび下面11bの形状が対称的に形成されてもよく、上面11aと下面11bとの区別がなくてもよい。
【0058】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、各実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【符号の説明】
【0059】
10…円筒フラスコ、11…円筒、11a…上面、11b…下面、11c…側面、12…首部、13…キャップ、13a…フィルター部、14…目盛り、15…リブ、16…テーパ、17…接続部材、20…内袋部材、21…内袋、22…装着部材、23…注入気体、24…残留気体、25…通気部。