(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121259
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】画像処理システム、画像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20240830BHJP
G06T 7/136 20170101ALI20240830BHJP
G06T 7/564 20170101ALI20240830BHJP
G01N 33/12 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G01N23/046
G06T7/136
G06T7/564
G01N33/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028258
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(71)【出願人】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】柏崎 耕志
(72)【発明者】
【氏名】山下 智輝
(72)【発明者】
【氏名】平山 潤太
(72)【発明者】
【氏名】野明 智也
(72)【発明者】
【氏名】大川 一也
【テーマコード(参考)】
2G001
5L096
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001FA03
2G001GA13
2G001HA03
2G001HA08
2G001HA14
2G001JA08
2G001KA01
2G001LA01
5L096AA03
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA05
5L096DA01
5L096EA02
5L096EA05
5L096EA43
5L096FA06
5L096GA34
5L096GA51
5L096MA07
(57)【要約】
【課題】食肉内部の組織の画像を得ることができる画像処理システム、画像処理方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】少なくとも一実施形態に係る画像処理システムは、複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化する第1二値化処理部と、再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出する閾値導出部と、第2輝度閾値で再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって再構成画像の二値画像を作成する第2二値化処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化する第1二値化処理部と、
前記再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出する閾値導出部と、
前記第2輝度閾値で、前記再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって前記再構成画像の二値画像を作成する第2二値化処理部と
を備える、画像処理システム。
【請求項2】
複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化する第1二値化処理部と、
前記再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出する閾値導出部と、
前記第2輝度閾値で、前記再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって前記再構成画像の二値画像を作成する第2二値化処理部と、
前記第2二値化処理部によって作成された複数の二値画像に基づいて三次元ボクセルデータを生成する生成部と
を備える、画像処理システム。
【請求項3】
前記第1輝度閾値で二値化した前記再構成画像に膨張処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部が前記膨張処理を行った前記再構成画像に含まれる一又は複数の膨張領域をラベリングする分割部と
をさらに備え、
前記閾値導出部は、前記分割部によってラベリングされた一又は複数の前記膨張領域の各々に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出する、請求項1又は請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記閾値導出部は、前記再構成画像に含まれる複数の画素を背景に該当する画素と前記背景以外に該当する画素とに分類するための第3輝度閾値を導出し、導出した前記第3輝度閾値に基づいて、一又は複数の前記膨張領域の各々に含まれる複数の前記画素のうち前記背景に該当する画素を除去し、前記背景に該当する前記画素を除去した残りの複数の画素から前記第2輝度閾値を導出する、請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記生成部は、複数の前記二値画像の各々から前記第1組織の輪郭を抽出し、抽出した前記第1組織の輪郭に基づいて三次元ボクセルデータを生成する、請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項6】
複数の方向からX線を食肉に照射することによって得られる複数の透過画像を受け付ける受付部
をさらに備え、
前記第1二値化処理部は、前記受付部が受け付けた複数の前記透過画像を再構成した再構成画像を前記第1輝度閾値で二値化する、請求項1又は請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記第1二値化処理部は、前記再構成画像を前記第1輝度閾値で二値化することによって骨と前記骨以外とを区別する、請求項1又は請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記第1輝度閾値で二値化した前記再構成画像に収縮処理を行った後に膨張処理を行う、請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項9】
複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化するステップと、
前記再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出するステップと、
前記第2輝度閾値で、前記再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって前記再構成画像の二値画像を作成するステップと
を有する、コンピュータが実行する、画像処理方法。
【請求項10】
複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化するステップと、
前記再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出するステップと、
前記第2輝度閾値で、前記再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって前記再構成画像の二値画像を作成するステップと、
複数の前記二値画像に基づいて三次元ボクセルデータを生成するステップと
を有する、コンピュータが実行する、画像処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化するステップと、
前記再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出するステップと、
前記第2輝度閾値で、前記再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって前記再構成画像の二値画像を作成するステップと
を実行させる、プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化するステップと、
前記再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出するステップと、
前記第2輝度閾値で、前記再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって前記再構成画像の二値画像を作成するステップと、
複数の前記二値画像に基づいて三次元ボクセルデータを生成するステップと
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一方向からのX線透過画像に基づいて食肉を加工する食肉加工装置に関して、X線透過画像に基づいて、食肉が何処の部位であるか識別できる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、検出光照射装置から投光される検出光及び放射線照射装置から放射される放射線を、搬送コンベアにより搬送される鶏肉に照射すると共に、その鶏肉が反射する反射光を撮像カメラによって撮像し、鶏肉内部を透過する放射線の透過像を撮像カメラによって撮像する。この技術は、撮像カメラから出力される画像情報に基づいて、鶏肉が何処の部位であるかを部位判定装置のアルゴリズムにより個々に総合判定する。このような食肉加工装置では、食肉内部の三次元的な情報は得ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食肉内部の三次元的な情報を得るために多方向からのX線透過画像を画像再構成することにより断層画像を生成するようにした場合には、画像再構成により得られた断層画像には、骨以外にも肉や脂肪などの様々な組織の情報が含まれる。このため、様々な組織から必要な組織を抽出する必要がある。
本発明は、食肉内部の組織の画像を得ることができる画像処理システム、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一実施形態は、複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化する第1二値化処理部と、前記再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出する閾値導出部と、前記第2輝度閾値で、前記再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって前記再構成画像の二値画像を作成する第2二値化処理部とを備える、画像処理システムである。
(2)本発明の一実施形態は、複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化する第1二値化処理部と、前記再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出する閾値導出部と、前記第2輝度閾値で、前記再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって二値画像を作成する第2二値化処理部と、前記第2二値化処理部によって作成された複数の二値画像に基づいて三次元ボクセルデータを生成する生成部とを備える、画像処理システムである。
(3)本発明の一実施形態は、前述の画像処理システムにおいて、前記第1輝度閾値で二値化した前記再構成画像に膨張処理を行う画像処理部と、前記画像処理部が前記膨張処理を行った前記再構成画像に含まれる一又は複数の膨張領域をラベリングする分割部とをさらに備え、前記閾値導出部は、前記分割部によってラベリングされた一又は複数の前記膨張領域の各々に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出する。
(4)本発明の一実施形態は、前述の画像処理システムにおいて、前記閾値導出部は、前記再構成画像に含まれる複数の画素を背景に該当する画素と前記背景以外に該当する画素とに分類するための第3輝度閾値を導出し、導出した前記第3輝度閾値に基づいて、一又は複数の前記膨張領域の各々に含まれる複数の前記画素のうち前記背景に該当する画素を除去し、前記背景に該当する前記画素を除去した残りの複数の画素から前記第2輝度閾値を導出する。
(5)本発明の一実施形態は、前述の画像処理システムにおいて、前記生成部は、複数の前記二値画像の各々から前記第1組織の輪郭を抽出し、抽出した前記第1組織の輪郭に基づいて三次元ボクセルデータを生成する。
(6)本発明の一実施形態は、前述の画像処理システムにおいて、複数の方向からX線を食肉に照射することによって得られる複数の透過画像を受け付ける受付部をさらに備え、前記第1二値化処理部は、前記受付部が受け付けた複数の前記透過画像を再構成した再構成画像を前記第1輝度閾値で二値化する。
(7)本発明の一実施形態は、前記第1二値化処理部は、前記再構成画像を前記第1輝度閾値で二値化することによって骨と前記骨以外とを区別する。
(8)本発明の一実施形態は、前述の画像処理システムにおいて、前記画像処理部は、前記第1輝度閾値で二値化した前記再構成画像に収縮処理を行った後に膨張処理を行う。
【0006】
(9)本発明の一実施形態は、複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化するステップと、前記再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出するステップと、前記第2輝度閾値で、前記再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって前記再構成画像の二値画像を作成するステップとを有する、コンピュータが実行する、画像処理方法である。
(10)本発明の一実施形態は、複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化するステップと、前記再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出するステップと、前記第2輝度閾値で、前記再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって前記再構成画像の二値画像を作成するステップと、複数の前記第2二値画像に基づいて三次元ボクセルデータを生成するステップとを有する、コンピュータが実行する、画像処理方法である。
【0007】
(11)本発明の一実施形態は、コンピュータに、複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化するステップと、前記再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外の第2組織とに分類するための第2輝度閾値を導出するステップと、前記第2輝度閾値で、前記再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって前記再構成画像の二値画像を作成するステップとを実行させる、プログラムである。
(12)本発明の一実施形態は、コンピュータに、複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化するステップと、前記再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と前記第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出するステップと、前記第2輝度閾値で、前記再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって前記再構成画像の二値画像を作成するステップと、複数の前記二値画像に基づいて三次元ボクセルデータを生成するステップとを実行させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、食肉内部の組織の画像を得ることができる画像処理システム、画像処理方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る画像処理システム1の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる被写体の断層画像の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる被写体の断層画像の輝度値のヒストグラムの一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる被写体の断層画像の二値化処理後の一例を示す概念図である。
【
図5】本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる被写体の断層画像の膨張処理後の一例を示す概念図である。
【
図6】本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる被写体の断層画像の分割処理後の一例を示す概念図である。
【
図7A】本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる被写体の断層画像の膨張領域の画素の輝度値のヒストグラムの一例を示す図である。
【
図7B】本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる被写体の断層画像の膨張領域の画素の輝度値のヒストグラムの一例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる被写体の断層画像の二値画像の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る画像処理システム1の動作の一例を示す図である。
【
図10】実施形態の変形例に係る画像処理システム1aの一例を示す図である。
【
図11】実施形態の変形例に係る画像処理システム1aが生成する被写体OBの二値画像の一例を示す図である。
【
図12】実施形態の変形例に係る画像処理装置100aが生成する三次元ボクセルデータに基づいて作成される画像の一例を示す図である。
【
図13】本実施形態に係る画像処理システム1aの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態に係る画像処理システム、画像処理方法及びプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る画像処理システムを、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る画像処理システム1の一例を示す図である。
画像処理システム1は、放射線撮像装置50と、画像処理装置100とを備える。
放射線撮像装置50は、被写体OBを回転させて、回転軸方向に対して垂直方向からX線を被写体OBに照射し、照射したX線が被写体OBを透過することによって得られる像を撮像する。放射線撮像装置50は、撮像することによって得られた複数の画像情報を、画像処理装置100へ出力する。
【0012】
画像処理装置100は、放射線撮像装置50が出力した複数の画像情報を取得し、取得した複数の画像情報を再構成することによって再構成画像を複数作成する。画像処理装置100は、任意の再構成画像に対し第1輝度閾値で二値化処理を行う。第1輝度閾値は、再構成画像に含まれる複数の画素を、骨を含む第1組織に該当する画素とそれ以外の画素とに暫定的に分類するための輝度の閾値である。
【0013】
画像処理装置100は、第1二値化処理後の再構成画像に膨張処理を行い、得られた一又は複数の膨張領域を個別にラベリングして識別するとともに、再構成画像からラベリングされた一又は複数の膨張領域に該当する領域を抽出する。画像処理装置100は、再構成画像に含まれる複数の画素を背景に該当する画素とそれ以外に該当する画素とに分類するための第3輝度閾値を導出する。
【0014】
画像処理装置100は、再構成画像から抽出された一又は複数の膨張領域の各々に含まれる画素のうち第3輝度閾値に基づいて背景に該当しない複数の画素を、第1組織に該当する画素とそれ以外の画素とに分類するための第2輝度閾値を導出する。
第3輝度閾値は、再構成画像に含まれる複数の画素を、背景に該当する画素とそれ以外に該当する画素とに分類するための輝度の閾値である。第2輝度閾値は、再構成画像から抽出された一又は複数の膨張領域の各々に含まれる複数の画素のうち背景に該当しない複数の画素を、骨を含む第1組織に該当する画素と肉、脂肪を含む第2組織に該当する画素とに分類するための輝度の閾値である。画像処理装置100は、再構成画像から抽出された一又は複数の膨張領域の各々で導出された第2輝度閾値で、一又は複数の膨張領域の各々に含まれる複数の画素を二値化することによって再構成画像の二値画像を作成する。
以下、放射線撮像装置50及び画像処理装置100について詳細に説明する。
【0015】
(放射線撮像装置50)
放射線撮像装置50は、入出力I/F51と、被写体回転機構54と、放射線発生装置56と、放射線フラットパネルディテクタ58と、制御部60と、記憶部62とを備える。
入出力I/F51は、画像処理装置100との間で、情報の入力或いは出力を行う。
【0016】
被写体回転機構54は、固定された被写体OBを回転させる。例えば、被写体回転機構54が駆動されることによって被写体OBを回転させることが可能である。被写体OBの一例は、食肉MEである。食肉MEには、骨、肉、脂肪などの組織が含まれる。
放射線発生装置56は、X線、ガンマ線などの高エネルギーの電磁波を発生する。本実施形態では、一例として放射線発生装置56がX線を発生するように構成されている場合について説明を続ける。画像処理システム1の一例では、放射線発生装置56は、被写体OBにX線を照射する。
【0017】
放射線フラットパネルディテクタ58は、平面状に複数のセンサカメラが配置され、複数のセンサカメラの各々は被写体OBの透過X線像を撮像する。具体的には、放射線発生装置56は、被写体OBの回転軸方向に対して垂直方向からX線を被写体OBに照射し、複数のセンサカメラは、放射線発生装置56が照射したX線が被写体OBを透過することによって得られる像を撮像する。
例えば、被写体回転機構54が被写体OBを回転軸回りに所定の回転角度、例えば1度ずつ回転させる度に、放射線発生装置56はX線を被写体OBに照射し、放射線フラットパネルディテクタ58は、X線が被写体OBを透過することによって得られる像を撮像する。この場合、放射線フラットパネルディテクタ58は、360の像を撮像する。ここで、360は一例であり、適宜変更可能である。
【0018】
例えば、被写体回転機構54が被写体OBを回転軸回りに所定の回転角度として、例えば2度ずつ回転させる度に、放射線発生装置56はX線を被写体OBに照射し、放射線フラットパネルディテクタ58は、X線が被写体OBを透過することによって得られる像を撮像するようにしてもよい。
【0019】
制御部60は、放射線撮像装置50の各部を制御する。制御部60は、被写体回転機構54によって、被写体OBが一回転されたか否かを判定する。具体的には、制御部60は、所定の回転角度で回転させた角度の合計が360度となったか否かを判定する。制御部60は、所定の回転角度で回転させた角度の合計が360度となった場合には放射線フラットパネルディテクタ58による撮像を終了すると判定する。制御部60は、所定の回転角度で回転させた角度の合計が360度未満である場合には被写体回転機構54による被写体OBに回転を継続させる。ここで、360度は一例であり、任意の角度を設定できる。
制御部60が放射線フラットパネルディテクタ58による撮像を終了すると判定した場合、放射線フラットパネルディテクタ58は、撮像することによって取得した複数の画像情報を入出力部I/F51に出力する。
【0020】
入出力I/F51は、放射線フラットパネルディテクタ58が出力した複数の画像情報を取得し、取得した複数の画像情報を、画像処理装置100へ出力する。
記憶部62は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。記憶部62には、画像処理プログラム(アプリケーション)などのプログラムが記憶される。
【0021】
被写体回転機構54、放射線発生装置56及び制御部60の全部または一部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶部62に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。
なお、被写体回転機構54、放射線発生装置56及び制御部60の全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0022】
(画像処理装置100)
画像処理装置100は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。画像処理装置100は、入出力I/F101と、受付部102と、再構成部103と、第1二値化処理部104と、閾値導出部105と、画像処理部106と、分割部108と、第2二値化処理部111と、出力部112と、記憶部114とを備える。
入出力I/F101は、放射線撮像装置50との間で、情報の入力或いは出力を行う。例えば、入出力I/F101は、放射線撮像装置50が出力した複数の画像情報を取得する。
【0023】
受付部102は、入出力I/F101が取得した複数の画像情報を取得し、取得した複数の画像情報を受け付ける。
再構成部103は、受付部102から複数の画像情報を取得し、取得した複数の画像情報を再構成することによって被写体の断層画像である再構成画像を複数作成する。
図2は、本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる再構成画像の一例を示す図である。
図2は、一例として、豚の脚の部分の画像を示す。
図2において、黒色の部分の画像は背景であり、黒色以外の部分の画像には肉、骨、脂肪などの組織が含まれる。
図1に戻り説明を続ける。
【0024】
閾値導出部105は、再構成部103から、被写体の任意の再構成画像を取得し、取得した被写体の再構成画像に含まれる複数の画素を複数のグループに分類する。例えば、閾値導出部105は、被写体の再構成画像に含まれる複数の画素を、背景に該当する画素と、肉、骨、脂肪などの食肉に該当する画素との2グループ(分類数2個)に分類する。
具体的には、閾値導出部105は、被写体の再構成画像に含まれる複数の画素のうち、後述する第1輝度閾値未満の輝度の画素の輝度値から、k-means法によって2グループを作成する場合の第3輝度閾値を導出する。但し第3輝度閾値の導出方法はk-means法だけに限られるわけでは無い。
【0025】
図3は、本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる被写体の再構成画像の輝度値のヒストグラムの一例を示す図である。
図3において、横軸は輝度値であり、縦軸はその輝度値が画像上に出現する頻度である。
図3によれば、輝度値が25および35付近に背景由来のピークが見られ、輝度値が120付近に肉由来のピークが見られる。
図3において、閾値導出部105が導出した第3輝度閾値によって、背景の領域に該当する画素と食肉の領域に該当する画素が適切に分類されていることが分かる。
【0026】
第1二値化処理部104は、被写体の任意の再構成画像から第1組織の領域を暫定的に抽出するために、暫定的な境界値(第1輝度閾値)で再構成画像の複数の画素の各々を二値化処理する。
第1二値化処理部104は、再構成部103から被写体の任意の再構成画像のうち閾値導出部105が取得したものと同一の再構成画像を取得し、取得した被写体の再構成画像に基づいて、第1組織の領域と、それ以外の領域とを暫定的に区別する。具体的には、第1二値化処理部104は、被写体の再構成画像に含まれる複数の画素の各々について、輝度値を第1輝度閾値で二値化処理することによって第1組織の領域を暫定的に抽出する。第1輝度閾値は、予め設定されている。
【0027】
図4は、本実施形態に係る画像処理システム1による被写体の任意の再構成画像の第1二値化処理の一例を示す概念図である。
図4は、
図2の再構成画像に対して、第1輝度閾値として輝度値が158付近の値を用いて二値化処理した結果を、二値画像として概念的に示している。
図4は、一例として、例えば、輝度値が第1輝度閾値以下の画素を黒色とし、輝度値が第1輝度閾値より大きい画素を白色としている。
図4の画像によれば、第1組織に該当する領域が白色に、それ以外の領域が黒色であることが分かる。
図1に戻り説明を続ける。
【0028】
画像処理部106は、第1二値化処理後の再構成画像に膨張処理を行う。膨張処理を行うことによって第1二値化処理によって抽出された領域を膨張させることができる。
図5は、本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる、被写体の任意の再構成画像の膨張処理の一例を示す概念図である。
図5は、第1二値化処理後の再構成画像に膨張処理を行った結果を、二値画像として概念的に示している。第1二値化処理後の再構成画像に膨張処理を行うことで、白色の領域が増加しているのが分かる。つまり、
図4において第1組織に該当する白色の領域が、膨張処理後の
図5において膨張している。
図1に戻り説明を続ける。
【0029】
分割部108は、膨張処理後の再構成画像において、一又は複数の膨張領域をラベリングする。分割部108は、一又は複数の膨張領域の各々にラベリングすることで、各々の膨張領域を個別に識別できるようにする。例えば、
図5に示される画像では、分割部108は、2個の白色の膨張領域の各々を第1膨張領域OR01、第2膨張領域OR02としてラベリングする。
【0030】
また、分割部108は、再構成画像においてラベリングした膨張領域に該当する領域の画素を抽出する。
図6は、本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる、被写体の任意の再構成画像の、分割部108による処理の一例を示す概念図である。
図6において、
図2に示した再構成画像から、
図5に示した第1膨張領域OR01および第2膨張領域OR02に該当する領域の画像が抽出されている。
図1に戻り説明を続ける。
【0031】
閾値導出部105は、再構成画像における一又は複数の膨張領域の各々について、膨張領域に含まれる複数の画素のうち、第3輝度閾値以上の輝度の画素を複数のグループに分類する。
例えば、閾値導出部105は、被写体の再構成画像における一又は複数の膨張領域の各々について、膨張領域に含まれる第3輝度閾値以上の輝度の複数の画素を、第1組織に該当する画素とそれ以外の画素との2グループに分類する。具体的には、閾値導出部105は、k-means法によって、複数の膨張領域の各々について、膨張領域に含まれる第3輝度閾値以上の輝度の複数の画素の輝度値から2個のグループを作成する場合の第2輝度閾値を導出する。但し第2輝度閾値の算出方法はk-means法だけに限られるわけでは無い。
【0032】
図7A、
図7Bは、本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる、被写体の再構成画像における膨張領域の画素の輝度値のヒストグラムの一例を示す図である。
図7Aは第1膨張領域OR01の領域に含まれる画素の輝度値のヒストグラムの一例を示し、
図7Bは第2膨張領域OR02の領域に含まれる画素の輝度値のヒストグラムの一例を示す。
図7A、
図7Bにおいて、横軸は輝度値であり、縦軸はその輝度値が画像上に出現する頻度である。
【0033】
閾値導出部105は、第1膨張領域OR01において第1組織と第2組織とをより正確に分離するために、例えば第2輝度閾値として、輝度値が155付近の値を導出する。
図7Aによれば、輝度値が135付近に肉由来のピークが見られ、輝度値が165付近に骨由来のピークが見られる。
図7Aにおいて、閾値導出部105が導出した第2輝度閾値によって、骨の領域に該当する画素と肉の領域に該当する画素が適切に分類されていることが分かる。
【0034】
また、閾値導出部105は、第2膨張領域OR02において第1組織と第2組織とをより正確に分離するために、例えば第2輝度閾値として、輝度値が150付近の値を導出する。
図7Bによれば、輝度値が130付近に肉由来のピークが見られ、輝度値が160付近に骨由来のピークが見られる。
図7Bにおいて、閾値導出部105が導出した第2輝度閾値によって、骨の領域に該当する画素と肉の領域に該当する画素が適切に分類されていることが分かる。複数の膨張領域の画像の各々について、第2輝度閾値は異なる場合もあるし、同じである場合もある。
【0035】
第2二値化処理部111は、閾値導出部105から第2輝度閾値を取得する。第2二値化処理部111は、分割部108が抽出した再構成画像における一又は複数の膨張領域の各々に含まれる画素について、第2輝度閾値に基づいた二値化処理をすることによって、第1組織に該当する画素の色と第2組織及び背景に該当する画素の色とを区別した二値画像を作成する。
例えば、第2二値化処理部111は、第1組織に該当する画素の色を白色とし、第2組織及び背景に該当する画素の色を黒色とすることによって、二値画像を作成する。
【0036】
図8は、本実施形態に係る画像処理システム1によって得られる被写体の再構成画像の二値画像の一例を示す図である。
図8に示した二値画像において、一又は複数の膨張領域の各々について、第2輝度閾値に基づいて、第1組織に該当する画素の色とそれ以外の画素の色とに区別されている。
図8の二値画像によれば、
図4の第1二値化処理後の概念的な二値画像と比較して、第1膨張領域OR01は、白色で示される第1組織の領域OR01aと黒色で示されるそれ以外の領域とにより正確に分離され、第2膨張領域OR02は、白色で示される第1組織の領域OR02aと黒色で示されるそれ以外の領域とにより正確に分離されているのが分かる。
図1に戻り説明を続ける。
【0037】
出力部112は、第2二値化処理部111から被写体の任意の再構成画像の二値画像を示す情報を取得して出力する。例えば、出力部112は、他の装置へ出力するようにしてもよいし、被写体の二値画像を示す情報を処理することによって、表示部(図示なし)に表示するようにしてもよい。
記憶部114は、HDDやフラッシュメモリ、RAM、ROMなどにより実現される。記憶部114には、画像処理プログラム(アプリケーション)などのプログラムが記憶される。
【0038】
受付部102、再構成部103、第1二値化処理部104、閾値導出部105、画像処理部106、分割部108、第2二値化処理部111及び出力部112の全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部114に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。
なお、受付部102、再構成部103、第1二値化処理部104、閾値導出部105、画像処理部106、分割部108、第2二値化処理部111及び出力部112の全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0039】
(画像処理システム1の動作)
図9は、本実施形態に係る画像処理システム1の動作の一例を示す図である。
図9を参照して、被写体OBを取得してから、画像処理装置100が、被写体OBの第2二値画像を出力するまでの処理について説明する。
(ステップS1-1)
放射線撮像装置50において、被写体OBが固定される。
(ステップS2-1)
放射線撮像装置50において、被写体回転機構54は、被写体OBを回転させる。
【0040】
(ステップS3-1)
放射線撮像装置50において、被写体回転機構54は、被写体OBの回転を所定の角度で停止させる。
(ステップS4-1)
放射線撮像装置50において、放射線発生装置56はX線を被写体に照射する。
(ステップS5-1)
放射線撮像装置50において、放射線フラットパネルディテクタ58は、放射線発生装置56が照射したX線が被写体OBを透過することによって得られる像を撮像する。
【0041】
(ステップS6-1)
放射線撮像装置50において、制御部60は、被写体OBの回転を終了させるか否かを判定する。回転を終了させない場合にはステップS2-1に戻る。
(ステップS7-1)
放射線撮像装置50において、制御部60が被写体OBの回転を終了させると判定した場合には、入出力I/F51は、放射線フラットパネルディテクタ58が出力した複数の画像情報を取得し、取得した複数の画像情報を、画像処理装置100へ出力する。
(ステップS8-1)
画像処理装置100において、入出力I/F101は、放射線撮像装置50が出力した複数の画像情報を取得する。受付部102は、入出力I/F101が取得した複数の画像情報を取得し、取得した複数の画像情報を受け付ける。
【0042】
(ステップS9-1)
画像処理装置100において、再構成部103は、受付部102から複数の画像情報を取得し、取得した複数の画像情報を再構成することによって被写体の断層画像である再構成画像を複数取得する。
(ステップS10-1)
画像処理装置100において、閾値導出部105は、再構成部103から、被写体の任意の再構成画像を取得し、取得した再構成画像に含まれる複数の画素を複数のグループに分類する。閾値導出部105は、再構成画像に含まれる第1輝度閾値未満の輝度の複数の画素の輝度値から、背景に該当する画素と、食肉に該当する画素との2個のグループに分類するための第3輝度閾値を導出する。
【0043】
(ステップS11-1)
画像処理装置100において、第1二値化処理部104は、再構成部103から、ステップS10-1で閾値導出部105が取得したものと同じ再構成画像を取得する。第1二値化処理部104は、取得した再構成画像に基づいて、第1輝度閾値で、複数の画素の各々を二値化処理することによって、第1組織の領域とそれ以外の領域とを暫定的に区別する。
(ステップS12-1)
画像処理装置100において、画像処理部106は、第1二値化処理部104による二値化処理後の再構成画像に膨張処理を行う。
【0044】
(ステップS13-1)
画像処理装置100において、分割部108は、画像処理部106による膨張処理を行った後の再構成画像において、一又は複数の膨張領域に対してラベリングによる識別を行った後、再構成画像から個々の膨張領域に該当する領域の画素を抽出する。
(ステップS14-1)
画像処理装置100において、閾値導出部105は、分割部108によって再構成画像から抽出された一又は複数の膨張領域の各々について、膨張領域に含まれる複数の画素から、第3輝度閾値未満の輝度の画素を除去する。閾値導出部105は、膨張領域に含まれる複数の画素から、第3輝度閾値未満の輝度の画素を除去した残りの複数の画素を複数のグループに分類する。閾値導出部105は、複数の膨張領域の各々について、膨張領域に含まれる第3輝度閾値未満の輝度の画素を除去した残りの複数の画素を、第1組織と第2組織との2グループに分類するための第2輝度値を導出する。
【0045】
(ステップS15-1)
画像処理装置100において、第2二値化処理部111は、閾値導出部105から第2輝度閾値を取得する。第2二値化処理部111は、分割部108によって再構成画像から抽出された一又は複数の膨張領域の各々について、第2輝度閾値に基づいて、第1組織に該当する画素の色と第2組織及び背景に該当する画素の色とを区別した二値画像を作成する。
(ステップS16-1)
画像処理装置100において、出力部112は、第2二値化処理部111から被写体の再構成画像の二値画像を示す情報を取得する。出力部112は、取得した被写体の再構成画像の二値画像を示す情報を出力する。
図9に示されるフローチャートにおいて、ステップS10-1の処理は、ステップS11-1からS13-1の任意の順序で実行されてもよい。
【0046】
前述した実施形態では、一例として、画像処理装置100において、画像処理部106が、第1二値化処理部104が二値化処理を行った再構成画像に膨張処理を行う場合について説明したがこの例に限られない。例えば、画像処理部106は、第1二値化処理後の再構成画像に収縮処理を行い、その後膨張処理を行うようにしてもよい。このように構成することによって、収縮処理によってノイズを低減できるとともに、膨張処理によって白色の領域を増加させることができる。
【0047】
前述した実施形態において、閾値導出部105が被写体の再構成画像に含まれる複数の画素の輝度値から背景に該当する画素と、食肉に該当する画素との2個のグループを作成する場合の第3輝度閾値を導出する処理を省略してもよい。また、閾値導出部105が、分割部108によって再構成画像から抽出された一又は複数の膨張領域の画像の各々について、膨張領域に含まれる複数の画素から、第3輝度閾値未満の輝度の画素を除去する処理を省略してもよい。
この場合、閾値導出部105は、複数の膨張領域の画像の各々について、複数の画素を、第1組織と第2組織との2グループに分類するための第2輝度値を導出する。このように構成することによって、第3輝度閾値を導出する処理、第3輝度閾値未満の輝度の画素を除去する処理を省略できるため、処理を簡略化できる。
【0048】
前述した実施形態において、画像処理部106による第1二値化処理後の再構成画像への膨張処理、および分割部108による膨張処理を行った後の再構成画像における一又は複数の膨張領域に対してラベリングによる識別を行った後、再構成画像から個々の膨張領域に該当する領域の画素を抽出する処理、を省略してもよい。この場合、閾値導出部105は、二値化処理後の再構成画像に含まれる複数の画素から、第3輝度閾値未満の輝度の画素を除去する。閾値導出部105は、二値化処理後の再構成画像に含まれる複数の画素から、第3輝度閾値未満の輝度の画素を除去した残りの複数の画素を複数のグループに分類するための第2輝度閾値を導出する。
【0049】
前述した実施形態において、複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した複数の再構成画像を画像処理装置100とは異なる装置によって作成し、作成した任意の再構成画像を第1二値化処理部104に入力するようにしてもよい。このように構成することによって、画像処理装置100の処理負荷を低減できる。
【0050】
本実施形態に係る画像処理システム1によれば、画像処理装置100は、複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像に対し、第1輝度閾値を用いた二値化処理による第1組織の暫定的な領域の抽出とそれに続く膨張処理を行い、膨張処理後の再構成画像において一又は複数の膨張領域をラベリングによって識別し、ラベリングした一又は複数の膨張領域に該当する領域を、再構成画像から抽出する。画像処理装置100は、再構成画像から抽出された一又は複数の膨張領域の各々に含まれる複数の画素を第1組織と第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出し、導出した第2輝度閾値で、一又は複数の膨張領域の各々に含まれる複数の画素を二値化することによって再構成画像の二値画像を作成する。
このように構成することによって、画像処理装置100は、膨張処理によって再構成画像から第1組織の暫定的な領域およびその周辺の領域として一又は複数の膨張領域を抽出し、抽出した複数の膨張領域の各々に含まれる複数の画素を第1組織と第1組織以外とに分類するための第1輝度閾値より正確な第2輝度閾値を導出でき、導出した第2輝度閾値で二値化することによって再構成画像の二値画像を作成できるため、食肉の断層画像に対して、骨などの特定の組織をより正確に抽出できる。
【0051】
画像処理システム1において、画像処理装置100は、再構成画像に含まれる複数の画素を背景に該当する画素と食肉に該当する画素とに分類するための第3輝度閾値を導出し、導出した第3輝度閾値に基づいて、一又は複数の前記膨張領域の各々に含まれる複数の画素のうち背景に該当する画素を除去し、背景に該当する画素を除去した残りの複数の画素から第2輝度閾値を導出する。
このように構成することによって、画像処理装置100は、第3輝度閾値に基づいて、複数の画素のうち背景に該当する画素を除去し、背景に該当する画素を除去した残りの複数の画素から第2輝度閾値を導出できるため、第1輝度閾値より正確な第2輝度閾値を導出できる。
【0052】
画像処理システム1において、画像処理装置100は、複数の方向からX線を食肉に照射することによって得られる複数の透過画像を受け付け、受け付けた複数の透過画像を用いて複数の再構成画像を作成する。
このように構成することによって、画像処理装置100は、例えば、放射線撮像装置50が撮像することによって取得した複数の透過画像を受け付け、受け付けた複数の透過画像に基づいて複数の再構成画像を作成し、その後の画像処理を行うことができる。
画像処理システム1において、画像処理装置100は、第1二値化処理後の再構成画像に収縮処理を行い、収縮処理を行った再構成画像に膨張処理を行う。このように構成することによって、画像処理装置100は、第1二値画像に対して収縮処理を行うことによってノイズを低減できるとともに、膨張処理を行うことによって白色の領域を増加させることができる。
【0053】
(実施形態の変形例)
図10は、実施形態の変形例に係る画像処理システム1aの一例を示す図である。
画像処理システム1aは、放射線撮像装置50と、画像処理装置100aとを備える。画像処理システム1aは、画像処理システム1において、画像処理装置100の代わりに画像処理装置100aを備える。
画像処理装置100aは、放射線撮像装置50が出力した複数の画像情報を取得する。画像処理装置100aは、取得した複数の画像情報に基づいて、被写体OBの再構成画像の二値画像を複数作成し、作成した複数の二値画像に基づいて三次元ボクセルデータを生成する。
【0054】
(画像処理装置100a)
画像処理装置100aは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。画像処理装置100aは、入出力I/F101と、受付部102と、再構成部103と、第1二値化処理部104と、閾値導出部105と、画像処理部106と、分割部108と、第2二値化処理部111と、出力部112と、生成部113と、記憶部114とを備える。
【0055】
生成部113は、第2二値化処理部111から、被写体OBの再構成画像の二値画像を示す情報を複数取得する。
図11は、実施形態の変形例に係る画像処理システム1aが生成する被写体OBの二値画像の一例を示す図である。
図11に示される例では、生成部113は、二値画像BI-1から二値画像BI-8を取得する。
図10に戻り説明を続ける。
【0056】
生成部113は、取得した被写体OBの複数の二値画像を三次元的に再構成することによって三次元ボクセルデータを生成する。例えば、生成部113は、ボクセル法によって複数の二値画像を三次元的に再構成することによって三次元ボクセルデータを生成する。
具体的には、生成部113は、複数の二値画像の各々に含まれる複数の画素を三次元的なボクセル(voxel,体積素)とし、ボクセルを二値画像ごとに積み上げ、三次元的に再構成することによって三次元ボクセルデータを生成する。ここで、多層からなる断層画像と、三次元ボクセルデータとは異なる。
【0057】
出力部112は、生成部113から、三次元ボクセルデータを取得する。出力部112は、取得した三次元ボクセルデータを出力する。例えば、出力部112は、他の装置へ出力するようにしてもよいし、三次元ボクセルデータを処理することによって、二次元の画像として表示部(図示なし)に表示するようにしてもよい。
図12は、実施形態の変形例に係る画像処理装置100aが表示する三次元ボクセルデータの一例を示す図である。
図12は、三次元ボクセルデータを処理することによって、二次元の画像としたものである。
図12に示される例では、第2組織以外の部分が黒色で表されている。
【0058】
生成部113の全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部114に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。
なお、生成部113の全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0059】
(画像処理システム1aの動作)
図13は、本実施形態に係る画像処理システム1aの動作の一例を示す図である。
図13を参照して、被写体OBを取得してから、画像処理装置100aが、被写体OBの三次元ボクセルデータを出力するまでの処理について説明する。
ステップS1-2からS15-2は、
図9のステップS1-1からS15-1を適用できるため、説明を省略する。
(ステップS16-2)
画像処理装置100aにおいて、再構成部103は、被写体OBの断層画像である再構成画像の全てについて処理が終了したかを判定する。処理が終了していない被写体OBの再構成画像がある場合には、ステップS10-2へ戻る。
【0060】
(ステップS17-2)
画像処理装置100aにおいて、生成部113は、第2二値化処理部111から、二値画像を示す情報を複数取得する。生成部113は、取得した複数の二値画像を三次元的に再構成することによって三次元ボクセルデータを生成する。
(ステップS18-2)
画像処理装置100aにおいて、出力部112は、生成部113から、三次元ボクセルデータを取得する。出力部112は、取得した三次元ボクセルデータを出力する。
図13に示されるフローチャートにおいて、ステップS10-2の処理は、ステップS11-2からS13-2の任意の順序で実行されてもよい。
【0061】
実施形態の変形例において、生成部113は、複数の二値画像の各々から第1組織の輪郭を抽出し、抽出した第1組織の輪郭に基づいて三次元ボクセルデータを生成するようにしてもよい。このように構成することによって、三次元ボクセルデータを生成する場合の処理負荷を低減できる。
【0062】
実施形態の変形例に係る画像処理システム1aによれば、画像処理装置100aは、複数の二値画像に基づいて三次元ボクセルデータを生成する。このように構成することによって、食肉内部の三次元的な情報を取得できる。
【0063】
画像処理システム1aにおいて、画像処理装置100aは、複数の二値画像の各々から第1組織の輪郭を抽出し、抽出した第1組織又は第2組織の輪郭に基づいて三次元ボクセルデータを生成する。このように構成することによって、三次元ボクセルデータを生成する場合の処理負荷を低減できる。
【0064】
<構成例>
一構成例として、複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化する第1二値化処理部と、再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出する閾値導出部と、第2輝度閾値で、再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって再構成画像の二値画像を作成する第2二値化処理部とを備える、画像処理システムである。
【0065】
一構成例として、複数の方向から放射線を食肉に照射することによって得られる複数の画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化する第1二値化処理部と、再構成画像に含まれる複数の画素を第1組織と第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出する閾値導出部と、第2輝度閾値で、再構成画像に含まれる複数の画素を二値化することによって再構成画像の二値画像を作成する第2二値化処理部と、第2二値化処理部によって作成された複数の二値画像に基づいて三次元ボクセルデータを生成する生成部とを備える、画像処理システムである。
【0066】
一構成例として、第1輝度閾値で二値化した再構成画像に膨張処理を行う画像処理部と、画像処理部が膨張処理を行った再構成画像に含まれる一又は複数の膨張領域をラベリングする分割部とをさらに備え、閾値導出部は、分割部によってラベリングされた一又は複数の膨張領域の各々に含まれる複数の画素を第1組織と第1組織以外とに分類するための第2輝度閾値を導出する。
【0067】
一構成例として、閾値導出部は、再構成画像に含まれる複数の画素を背景に該当する画素と背景以外に該当する画素とに分類するための第3輝度閾値を導出し、導出した第3輝度閾値に基づいて、一又は複数の前記膨張領域の各々に含まれる複数の画素のうち背景に該当する画素を除去し、背景に該当する画素を除去した残りの複数の画素から第2輝度閾値を導出する。
【0068】
一構成例として、生成部は、複数の二値画像の各々から第1組織の輪郭を抽出し、抽出した第1組織の輪郭に基づいて三次元ボクセルデータを生成する。
【0069】
一構成例として、複数の方向からX線を食肉に照射することによって得られる複数の透過画像を受け付ける受付部をさらに備え、第1二値化処理部は、受付部が受け付けた複数の透過画像を再構成した再構成画像を第1輝度閾値で二値化する。
【0070】
一構成例として、第1二値化処理部は、再構成画像を第1輝度閾値で二値化することによって骨と骨以外とを区別する。
一構成例として、画像処理部は、第1輝度閾値で二値化した再構成画像に収縮処理を行った後に膨張処理を行う。
【0071】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合わせを行うことができる。これら実施形態及びその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、前述の画像処理システム1に含まれる放射線撮像装置50及び画像処理装置100と、画像処理システム1aに含まれる画像処理装置100aは内部にコンピュータを有している。そして、前述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1、1a…画像処理システム、50…放射線撮像装置、 51…入出力I/F、 54…被写体回転機構、 56…放射線発生装置、 58…放射線フラットパネルディテクタ、 60…制御部、 62…記憶部、100、100a…画像処理装置、 101…入出力I/F、 102…受付部、 103…再構成部、 104…第1二値化処理部、 105…閾値導出部、 106…画像処理部、 108…分割部、 111…第2二値化処理部、 112…出力部、 113…生成部、 114…記憶部