(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121294
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】画像形成装置、診断方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240830BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028316
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩一
(72)【発明者】
【氏名】植松 瑛
(72)【発明者】
【氏名】上條 愼也
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270LA18
2H270LA19
2H270LA22
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD14
2H270LD15
2H270MA08
2H270MA24
2H270MB11
2H270MB25
2H270MB28
2H270MB29
2H270MB32
2H270MB33
2H270MB36
2H270MB38
2H270MB39
2H270MB40
2H270MB41
2H270MB43
2H270MC21
2H270MC39
2H270MC40
2H270MC41
2H270MC55
2H270QB05
2H270RB09
2H270RC02
2H270RC03
2H270RC10
2H270RC11
2H270RC12
2H270RC14
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 画像形成装置200は、評価パターンの像を転写体上に形成する制御を行う制御部202と、転写体上に形成された評価パターンの像を測定するセンサ20と、評価パターンの基準となる基準値とセンサ20による評価パターンの像の測定値との比較に基づく不具合の原因の判断結果を提示する結果提示部212とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
評価パターンの像を転写体上に形成する制御を行う制御部と、
前記転写体上に形成された前記評価パターンの像を測定するセンサと、
前記評価パターンの基準となる基準値と前記センサによる前記評価パターンの像の測定値との比較に基づく不具合の原因の判断結果を提示する結果提示部と
を含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記測定値に前記基準値からの許容範囲を超えた差異があった場合に、前記判断結果は、書き込みまたは転写に原因があることを示す、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記測定値に前記基準値からの許容範囲を超えた差異がなかった場合に、1または複数の供給部各々から供給される転写材への第2の評価パターンの印刷実行を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記1または複数の供給部各々から供給される転写材へ印刷された第2の評価パターンの複数の印刷結果の一部に許容範囲を超えた位置のずれがある場合、前記1または複数の供給部のうちのいずれか1または複数に原因があることが示される、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記1または複数の供給部各々から供給される転写材へ印刷された第2の評価パターンの複数の印刷結果で許容範囲を超えた位置のずれがある場合、前記1または複数の供給部後の搬送路に原因があることを示す、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写体は、転写ベルトであり、
前記センサは、前記転写ベルトへ一次転写される像を測定する一次転写側センサと、前記転写ベルトから二次転写される像を測定する二次転写側センサとを含み、前記判断結果は、前記一次転写側センサの比較の結果および前記二次転写側センサの比較の結果に基づき一次転写以前または二次転写に原因があることを示す、請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記評価パターンの画像の形成は、診断モードに入ったことに応答して開始され、前記結果提示部は、前記画像形成装置が備える表示装置に前記判断結果を表示する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置の診断方法であって、
評価パターンの像を転写体上に形成するステップと、
センサにより前記転写体上に形成された前記評価パターンの像を測定するステップと、
前記評価パターンの基準となる基準値と前記センサによる前記評価パターンの測定値との比較に基づく不具合の原因の判断結果を提示するステップと
を含む、診断方法。
【請求項9】
画像形成装置を実現するためのプログラムであって、前記画像形成装置のプロセッサに対し、
評価パターンの像を転写体上に形成するステップと、
センサにより前記転写体上に形成された前記評価パターンの像を測定するステップと、
前記評価パターンの基準となる基準値と前記センサによる前記評価パターンの測定値との比較に基づく不具合の原因の判断結果を提示するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、診断方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の印刷物において印字位置のずれが生じた場合、カスタマー・エンジニアが、どの箇所に問題があるのかを特定している。そのため、原因を特定する時間がかかり、その間、修理箇所に関連する機能を利用できなくなるなど、利用者のダウンタイムの長期化が生じている。
【0003】
典型的には、カスタマー・エンジニアは、画像形成装置の各給紙トレイからの用紙に印刷を行い、印刷物においてずれが生じているか確認する。ずれがあれば、カスタマー・エンジニアは、そのずれが発生した特定の給紙段の給紙コロを交換する。一方、ずれがなければ、カスタマー・エンジニアは、中間転写ベルトおよび搬送のコロを確認することで、印字位置のずれに対処し、問題がある部分を特定すると、その部品を交換する。このように、位置ずれ発生した場合は、カスタマー・エンジニアは、書き込みが原因であるか、搬送路に原因があるのか、給紙コロに原因があるのかなど、試行錯誤をしながら原因を追究していた。そして、試行錯誤を繰り返す必要があるため、修理に要する時間が長くかかってしまっていた。
【0004】
上記画像形成装置の位置ずれに関連して、例えば、特許文献1(特開2006-030451号公報)は、印字位置ずれを特定して解消をすることを目的とした技術を開示する。特許文献1の従来技術は、各色間ごとの色ずれ量(各色間の間隔)の平均値と所望値との差のパターンを検知し、書き出し位置(書き出しタイミング)を補正して変更する構成を開示する。特許文献1の従来技術によれば、書き出し位置を補正することが可能となるが、一方、画像形成装置の印字位置ずれへの部品交換等による人手の対処が必要となった場合に、印字位置ずれの原因を特定できず、利用者のダウンタイムの長期化が生じている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記点に鑑みてなされたものであり、本開示は、印字位置ずれの原因を特定し、ひいては、利用者のダウンタイムを低減することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示では、上記課題を解決するべく、下記特徴を有する画像形成装置を提供する。本画像形成装置は、評価パターンの像を転写体上に形成する制御を行う制御部と、転写体上に形成された評価パターンの像を測定するセンサと、評価パターンの基準となる基準値とセンサによる評価パターンの像の測定値との比較に基づく不具合の原因の判断結果を提示する結果提示部とを含む。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、画像形成装置において、印字位置ずれの原因を特定し、ひいては、利用者のダウンタイムを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態によるプリンタの構成図。
【
図2】
図2は、本実施形態によるプリンタのハードウェア構成図。
【
図3】
図3は、本実施形態によるプリンタの機能構成図。
【
図4】
図4は、本実施形態によるプリンタが実行する、診断方法を示すフローチャート。
【
図5】
図5は、本実施形態による診断方法で使用される、所定の評価パターンを例示する図。
【
図6】
図6は、本実施形態のよる診断方法における印刷結果と、不備があると想定される部品との対応関係を示すテーブル。
【
図7】
図7は、他の実施形態によるプリンタの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明するが、実施形態は、説明される具体的な実施形態に限定されるものではない。本開示の実施形態は、種々の変更および改変を受け入れる余地がある点に留意されたい。
【0010】
本開示によれば、印字位置ずれの原因を特定するための手段を備えた画像形成装置が提供される。画像形成装置は、評価パターンの像を転写体上に形成する制御を行う制御部と、転写体上に形成された評価パターンの像を測定するセンサと、評価パターンの基準となる基準値とセンサによる評価パターンの像の測定値との比較に基づく不具合の原因の判断結果を提示する結果提示部とを備える。
【0011】
上記構成により、画像形成装置において、印字位置ずれの原因を特定し、ひいては、ダウンタイムを低減することが可能となる。
【0012】
1または複数の実施形態において、測定値に基準値からの許容範囲を超えた差異があった場合、判断結果は、書き込みまたは転写に原因があることを示す。ここで、特定の実施形態では、判定結果は、書き込みまたは転写に原因がある旨のメッセージ、または、印字位置ずれに関連する書き込みまたは転写のパラメータ、またはその両方が提示される。
【0013】
また、1または複数の実施形態において、制御部は、測定値に基準値からの許容範囲を超えた差異がなかった場合に、1または複数の供給部各々から供給される転写材への第2の評価パターンの印刷実行を制御する。1または複数の供給部各々から供給される転写材へ印刷された第2の評価パターンの印刷結果の一部に許容範囲を超えた位置のずれがある場合、1または複数の供給部のうちのいずれか1または複数に原因があることが示される。また、1または複数の供給部各々から供給される転写材へ印刷された第2の評価パターンの複数の印刷結果で(例えばすべてで一律の)許容範囲を超えた位置のずれがある場合、1または複数の供給部後の搬送路に原因があることを示す。転写材は、特定の実施形態では用紙である。
【0014】
特定の実施形態において、転写体は、転写ベルトであり、センサは、転写ベルトへ一次転写される像を測定する一次転写側センサと、転写ベルトから二次転写される像を測定する二次転写側センサとを含む。この特定の実施形態において、判断結果は、一次転写側センサの比較の結果および二次転写側センサの比較の結果に基づき一次転写以前または二次転写に原因があることを示す。より具体的には、一次転写側センサの比較の結果において測定値に基準値からの許容範囲を超えた差異がある場合は、判断結果は、一次転写以前、つまり一次転写または書き込みに原因があることを示す。一方で、一次転写側センサの比較の結果において測定値に基準値からの許容範囲を超えた差異がない一方で、二次転写側センサの比較の結果において測定値に基準値からの許容範囲を超えた差異がある場合は、判断結果は、一次転写でもなく、書き込みでもなく、二次転写に原因があることを示す。かかる構成により、不具合の原因の判断結果を提示する場合において、さらに、二次転写および二次転写前のプロセス(書き込みまたは一次転写)のいずれに不具合が起因するのかを切り分けることが可能となり、よりダウンタイム低減ができる。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記評価パターンの画像の形成は、診断モードに入ったことに応答して開始されてもよく、結果提示部は、画像形成装置が備える表示装置に判断結果を表示してもよい。
【0016】
本開示によれば、さらに、画像形成装置の診断方法が提供される。診断方法は、評価パターンの像を転写体上に形成するステップを含む。診断方法は、また、センサにより転写体上に形成された評価パターンの像を測定するステップを含む。診断方法は、さらに、評価パターンの基準となる基準値とセンサによる評価パターンの測定値との比較に基づく不具合の原因の判断結果を提示するステップを含む。
【0017】
本開示によれば、またさらに、上記画像形成装置を実現するためのプログラムが提供される。プログラムは、画像形成装置のプロセッサに対し、評価パターンの像を転写体上に形成するステップと、センサにより転写体上に形成された評価パターンの像を測定するステップと、評価パターンの基準となる基準値とセンサによる評価パターンの測定値との比較に基づく不具合の原因の判断結果を提示するステップとを実行させる。
【0018】
以下、図面を参照しながら、本実施形態による画像形成装置および画像形成装置の診断方法について、印字位置ずれ原因を特定するための診断方法を実施するモードを備えるプリンタを一例として、具体的に説明する。しかしながら、本実施形態による画像形成装置およびその診断方法は、プリンタおよびその診断方法に限定されるものではなく、複写機、印刷機、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機といった、画像を形成する機能を備える他の装置に対して適用されてもよい。
【0019】
以下、
図1~
図6を参照しながら、本実施形態による画像形成装置およびその診断方法について、プリンタ10およびその診断モードでの動作を一例として、より詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態によるプリンタ10の構成図である。プリンタ10は、
図1に示すように、転写ベルト23に沿ってブラック(Bk)、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色のAIO(All In One)カートリッジ42Bk,42M,42C,42Yが並べられて配置される構成を有する。
【0021】
なお、
図1に示すプリンタ10は、所謂、タンデム型の電子写真方式のフルカラー・レーザープリンタである。なお、タンデム型の電子写真方式のフルカラー・レーザープリンタは、本実施形態による診断機能を適用可能な一例であり、4サイクル方式などのタンデム型以外の画像形成装置、モノクロ、モノカラー、単色カラーなどのフルカラー以外の画像形成装置に対しても適用することができ、電子写真方式以外の画像形成装置に対しても適用可能である可能性がある。
【0022】
転写ベルト23は、
図1で示す構成では、反時計回りに回転しており、回転方向の上流側から順に、ブラック、マゼンダ、シアンおよびイエローの順で、複数のAIOカートリッジ42Bk,42M,42C,42Yが配列される。これら複数のAIOカートリッジ42Bk,42M,42C,42Yは、形成するトナー像の色が異なるのみで、内部構成などは共通している。AIOカートリッジ42Bkは、ブラックの像を形成し、AIOカートリッジ42Mは、マゼンタの像を形成し、AIOカートリッジ42Cは、シアンの像を形成し、AIOカートリッジ42Yは、イエローの像を形成する。AIOカートリッジ42各々は、パドル43を備える。
【0023】
なお、以下の説明では、AIOカートリッジ42Bkに注目して具体的に説明し、他の色のカートリッジ42C,42B,42Yについては、
図1において符番を省略し、以下、説明も割愛する。なお、他のAIOカートリッジ42M,42C,42Yについても、AIOカートリッジ42Bkについての説明が成り立つものとする。
【0024】
転写ベルト23は、回転駆動される二次転写駆動ローラ21と、転写ベルト・テンション・ローラ22とに巻回されたエンドレスのベルトである。この二次転写駆動ローラ21は、駆動モータにより回転駆動させられる。駆動モータ、二次転写駆動ローラ21および転写ベルト・テンション・ローラ22が、転写ベルト23を移動させる駆動手段として機能する。転写ベルト23は、本実施形態における転写体を構成する。転写ベルト・テンション・ローラ22の近傍には、TMセンサ24が設けられ、TMセンサ24は、反射型センサであり、転写ベルト23上に形成されたパターンの濃度を計測し、濃度バランスや色位置合わせ情報を取得する。
【0025】
AIOカートリッジ42が配置されて構成される画像形成部は、露光器41、感光体(像担持体)としての感光ドラム48、この感光ドラム48の周囲に配置された現像器44、供給ローラ45、現像ブレード46およびクリーナーブレード47、帯電器49を含み構成される。露光器41は、各AIOカートリッジ42Bk,42M,42C,42Yが形成する画像色に対応する露光光であるレーザ光を照射するように構成されている。
【0026】
画像形成に際し、感光ドラム48の外周面は、暗中にて帯電器49により一様に帯電された後、露光器41からのブラック画像に対応したレーザ光により露光され、これにより、感光ドラム48の外周面上に静電潜像が形成される。現像器44は、この静電潜像をブラック・トナーにより可視像化し、これにより、感光ドラム48上にブラックのトナー像が形成される。このトナー像は、感光ドラム48と転写ベルト23とが接する位置(一次転写位置)で一次転写ローラ25のはたらきにより転写ベルト23上に転写される。この一次転写により、転写ベルト23上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー像の転写が終了した感光ドラム48は、外周面に残留した不要なトナーをクリーナーブレード47により払拭された後、次の画像形成のために待機する。
【0027】
以上のようにして、AIOカートリッジ42Bkでブラックのトナー像を転写された転写ベルト23は、次のAIOカートリッジ42Mに搬送される。AIOカートリッジ42Mでは、AIOカートリッジ42Bkでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光ドラム48上にマゼンタのトナー像が形成される。そのトナー像は、転写ベルト23上に形成されたブラックのトナー像に重畳されて転写される。転写ベルト23は、さらに次のAIOカートリッジ42Cおよび42Yに搬送され、同様の動作により、感光ドラム48Cおよび48Y上に形成されたシアンおよびイエローのトナー像が、転写ベルト23上に順次重畳されて転写される。こうして、転写ベルト23上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された転写ベルト23は、二次転写駆動ローラ21の位置まで搬送される。
【0028】
なお画像形成に際して、ブラックのトナーのみを使用した印刷(モノクロ印刷)の場合は、一次転写ローラ25M、一次転写ローラ25Cおよび一次転写ローラ25Yが、それぞれ感光ドラム48M、感光ドラム48C、感光ドラム48Yから離間された位置に退避する。そして、前述の画像形成プロセスがブラックについてのみ実行される。
【0029】
画像形成時の用紙搬送動作に際して、供給部としての給紙トレイ11Aに収納された用紙PAは、最も上のものから、給紙ローラ12Aを反時計回りに回転駆動することにより順に送り出され、レジストローラ18位置で待機する。レジストローラ18の駆動開始は、上記転写ベルト23により搬送されたトナー像と二次転写ローラ19上で、トナー像および用紙PAの位置が重なり合うようなタイミングで行なわれる。この時、レジストローラ18は、反時計方向に回転駆動することにより用紙PAを送り出す。給紙ローラ12B,12C,12D、搬送センサ14B,14C,14Dは、第2~第4の給紙トレイ11B~11Dにそれぞれ設置されている。これらの役割は、同一であるため、説明は割愛する。レジストローラ18により送出された用紙Pは、二次転写ローラ19で転写ベルト23上のトナー像の転写を受けた後、定着器29でトナー像を熱および圧力にて定着し、反時計回りに回転駆動された排紙ローラ30によりプリンタ10の外部に排紙される。なお、4つの給紙トレイ11A~11Dが設置された構成を例示するが、給紙トレイ11の数は、特に限定されるものではなく、1以上4未満の数であってもよいし、5以上の給紙トレイ11が備えられてもよい。
【0030】
両面印刷を行なう場合は、用紙Pが排紙ローラ30を通過する手前で、排紙ローラ30を時計回りに回転駆動し、用紙Pを両面搬送経路に搬送する。両面搬送経路に搬送された用紙Pは両面ローラ28を経由し、再びレジストローラ18まで搬送される。レジストローラ18に到達した用紙Pは、再びレジストローラ18から再給紙され、二次転写ローラ19にて上記と逆側の面にトナー像の転写を受けた後、定着器29にてトナー像を熱および圧力にて定着し、反時計回りに回転駆動された排紙ローラ30にてプリンタ10の外部に排紙される。
【0031】
トナー像の二次転写を完了した後、転写ベルト23の表面は、ベルトクリーナ26により清掃され、転写ベルト23の表面上に残留したトナーが払拭される。各色のトナー像の形成に伴って発生した廃トナーおよびベルトクリーナ26から排出される廃トナーは、廃トナー回収容器15に回収される。廃トナーフル検知センサ16は、廃トナー回収容器15に回収された廃トナーが一定容量に達したことを検知する。
【0032】
本実施形態によるプリンタ10は、さらに、上記印字位置ずれの原因を特定するために、二次転写ローラ19上の画像を読み取るための二次転写フォトセンサ20を備える。なお、二次転写ローラ上に転写されたトナーは、画像読み取り後、クリーナーブレード47と同様に二次転写ローラ19(二次転写フォトセンサ20の後段側)に接する形で設けられたクリーナブレードにより払拭され、清掃されてもよい。
【0033】
診断時の動作に際しては、まず、給紙トレイ11A~11Dに収納された用紙PA~PDいずれの搬送を行わずに、印字位置ずれの原因を特定するための所定の評価パターンのトナー像が転写ベルト23上に形成される。転写ベルト23により搬送された評価パターンのトナー像が二次転写駆動ローラ21および二次転写ローラ19による二次転写位置に運ばれ、二次転写フォトセンサ20により二次転写ローラ19上の画像が読み取られ、評価パターンの像の測定が行われる。そして、この測定結果に基づいて印字位置ずれの原因の特定を行う。なお、本実施形態では、印字ずれの診断を主な対象としており、転写ベルト23上に形成される所定のパターンは、これに限定されるものではないが、ブラックのみであってよい。
【0034】
以下、本実施形態によるプリンタ10の印字位置ずれの位置を特定するための診断機能について詳細に説明する前に、プリンタ10のハードウェア構成を説明する。
【0035】
図2は、本実施形態によるプリンタ10のハードウェア構成図である。
図2に示すように、プリンタ10は、CPU(Central Processing Unit)102と、ROM(Read Only Memory)104と、RAM(Random Access Memory)106と、NVRAM(Non-volatile RAM)108と、操作パネルインタフェース(I/F)110と、外部I/F114と、NVRAM(Bk,C,M,Y)116Bk,116C,116M,116Yと、入出力(I/O)118と、画像処理IC124とを含み構成される。これらのデバイスは、システムバス130に接続される。本実施形態によるプリンタ10は、さらに、操作パネルI/F110に接続される操作パネル112と、I/O118に接続されるセンサ120およびモータ122と、画像処理IC124に接続されるコントローラ128とを含み構成される。
【0036】
CPU102は、ROM104に記憶された制御プログラムなどに基づいてプリンタ10の全体制御を行う。CPU102は、より具体的には、システムバス130に接続される各種デバイスとのアクセスを総括的に制御し、入出力(I/O)118を介して接続されるセンサ120やモータ122、その他、クラッチやヒーターなどの電装品の入出力を制御する。
【0037】
ROM104には、後述するフローチャートで示されるようなCPU102の制御プログラムなどが格納される。CPU102は、ROM104に記憶されている制御プログラムを実行するとともに、外部I/F114を介して、ホスト・コンピュータなどの外部装置との通信を行う。
【0038】
RAM106は、CPU102の主記憶およびワークエリアとして機能するメモリであり、記録データの展開領域および環境データ格納領域などとして用いられる。NVRAM108は、制御プログラムが利用するプリンタに関する各種情報を格納する。NVRAM(Bk,C,M,Y)116Bk,116C,116M,116Yは、各トナー容器に搭載され、各トナー容器の残量などの情報が格納される。操作パネルI/F110を介して接続される操作パネル112は、操作者に対するユーザ・インタフェースを提供する。操作者は、操作パネル112を介して、プリンタのモードなどを設定することができる。
【0039】
モータ122は、複数あり、それぞれを駆動させることで、用紙の給紙および搬送、形成した転写ベルト23上の画像を搬送が駆動される。センサ120は、用紙や画像位置を検出するためのレジストセンサ17、搬送センサ14および二次転写フォトセンサ20などの各種センサを代表するものである。
【0040】
画像処理IC124は、コントローラ128からの画像データを受け、露光器41に画像データ送信する。画像処理IC124は、コントローラ128から受け取った画像データから、1ページあたりのトナー消費量を算出し、算出したトナー消費量を、システムバス130を介してCPU102に通知する機能を有する。
【0041】
以下、引き続き、プリンタ10の機能構成200について、
図3に示す機能ブロック図に基づいて説明する。なお、
図3には、プリンタ10の機能構成200および関連するハードウェア構成としての二次転写フォトセンサ20が示されている。
【0042】
本実施形態によるプリンタ10は、機能構成200として、制御部202と、画像形成部204と、診断部206と、UI(ユーザ・インタフェース)部208とを含み構成される。UI部208は、より具体的には、指示受付部210と、診断結果提示部212とを含み構成される。
【0043】
制御部202は、印字位置ずれを検出するための評価パターンのトナー像を転写ベルト23上に形成するための制御を行う。ここで用いられる評価パターンについては、詳細を後述する。
【0044】
二次転写フォトセンサ20は、上述したように、説明する実施形態では、転写ベルト23から用紙Pへ二次転写される位置において、転写ベルト23上に形成された評価パターンのトナー像(トナー画像や評価パターン)を二次転写ローラ19に転写して二次転写ローラ19上のトナー像を測定するために用いられる。
【0045】
診断部206は、評価パターンに対応する基準値(パターンの基準としての印字位置)およびセンサによる評価パターンの像の測定値(パターンの実測された位置)の比較に基づいて不具合の原因を判定する。
【0046】
診断結果提示部212は、診断され特定された不具合の原因を含む判断結果を操作パネル112に提示する。そして、診断結果提示部212は、プリンタが備えるLCD(Liquid Crystal Display)やキャラクタ表示機などの表示装置となる操作パネル112に判断結果を表示する制御を、制御部202を介して行う。なお、診断結果提示部212の提示は、ネットワークを介して接続される表示装置に提示してもよい。
【0047】
ここで、診断部206により判定され、診断結果提示部212により提示される診断結果について説明する。評価パターンの画像の測定値に上記基準値からの許容範囲(事前に定義される誤差の範囲)を超えた差異があった場合、この二次転写プロセス以前に原因があることを意味し、判断結果は、二次転写プロセス以前に原因として書き込みまたは一次または二次転写に原因があることを示す。一方、印字ずれが発生しているにもかかわらず、上記二次転写フォトセンサ20による測定値に基準値からの許容範囲を超えた差異がない場合は、搬送路または給紙路の不具合となる。しかしながら、搬送路または給紙路、さらに複数の給紙トレイがある場合にいずれの給紙トレイの給紙路に不具合があるのかを切り分けることは難しい。
【0048】
そこで、好ましい実施形態では、制御部202は、二次転写フォトセンサ20による測定値に基準値からの許容範囲を超えた差異がなかった場合、画像形成部204に指令し、給紙トレイ11A~11D各々から供給される用紙Pへの評価パターンの印刷実行を制御する。1または複数の給紙トレイ11各々から給紙される用紙Pへ印刷された評価パターンの複数の印刷結果の一部で測定値に基準値からの許容範囲を超えた位置のずれがある場合、給紙トレイ11A~11Dのうちのいずれか1または複数に原因があることが示される。一方、給紙トレイ11A~11D各々から給紙される用紙へ印刷された評価パターンの複数の印刷結果すべてで測定値に基準値からの許容範囲を超えた位置のずれがある場合、給紙トレイ11A~11Dではなく、給紙トレイ11A~11D後の共通する搬送路に原因があることを示す。なお、測定する対象となる転写ベルト23上へ形成される評価パターンと、用紙上に印刷する評価パターンとは、同一であってもよいし、異なってもよい。
【0049】
上記一連の機能ブロックによる診断処理は、例えば、カスタマー・エンジニア向けのモードにおいて、指示受付部210が印字位置ずれを特定する診断モードに入る指示を受けたことに応答して開始されてもよい。
【0050】
なお、
図3は、他の実施形態による構成も開示しており、点線で囲まれた要素(一次転写フォトセンサ32)は、後述する他の実施形態で使用される要素である。他の実施形態については、詳細は後述する。
【0051】
以下、
図4~
図6を参照しながら、本実施形態によるプリンタ10が実行する、診断方法について、より具体的に説明する。
図4は、本実施形態によるプリンタ10が実行する診断方法を示すフローチャートである。
図4に示す処理は、例えば、特定のキーコード入力により移行したカスタマー・エンジニア向けのモードにおいて、待機状態から指示受付部210が操作パネル112を介した印字位置ずれを特定する診断モードに入る指示(例えばメニューからの選択)を受けたことに応答して、ステップS100から開始される。ステップS101では、制御部202(CPU102)は、印刷位置ずれ要因を特定する診断モードに移行する。
【0052】
ステップS102では、制御部202は、画像形成部204により、用紙なしの状態で、転写ベルト23上に所定の評価パターンの画像を形成する。ステップS103では、制御部202は、転写ベルト23上に形成された評価パターンの画像が二次転写ローラ19上に転写され、二次転写フォトセンサ20は、その評価パターンの画像を測定する。説明する実施形態では、二次転写フォトセンサ20は、二次転写ローラ19上の画像を測定することにより、転写ベルト23上に形成された評価パターンの画像を間接的に測定する。
【0053】
図5は、本実施形態による診断方法で使用される所定の評価パターンを例示する図である。
図5(A)および
図5(B)は、それぞれ、一例である。なお、
図5に示す「方向」の矢印は、転写ベルト上の移動方向(副走査方向)を示す。
【0054】
図5(A)は、用紙の上下の箇所にベタの黒帯を有するパターンであり、搬送方向における複数の長さA1,A2,B1,B2,C1,C2,D1,D2,E1,E2が定義されている。特定の実施形態では、これら複数の長さについて、基準値および実測した測定値を比較する。特定の実施形態では、上記すべての長さが誤差の許容範囲内であれば、一致したものと判定し、一つでも許容範囲外であれば不一致と判定することができる。
【0055】
図5(B)は、単一のベタの黒帯を有するパターンであり、搬送方向で用紙先端から黒画像になる距離である単一の長さA1が定義される。特定の実施形態では、この長さA1について、基準値および実測した測定値を比較する。特定の実施形態では、上記A1の長さが誤差の許容範囲内であれば、一致したものと判定し、上記A1の長さが許容範囲外であれば不一致と判定することができる。
【0056】
図5(A)の方が
図5(B)より厳しい条件となる。特定の実施形態は、
図5(B)の単一の長さA1で行うが、
図5(A)で行っても良い。
【0057】
なお、
図5(A)および
図5(B)は、一例であり、
図5に示すように矢印の方向である副走査方向で用紙先端から黒画像になる距離等が識別できる画像パターンであれば、特に限定されるものではなく、他の画像パターンを使用してもよい。
【0058】
上述したように、
図4のステップS103では、印字位置ずれ検出用の評価パターンを用いることで、画像の基準位置と実測位置を算出し、誤差を検出する。以下、上記長さA1が30mmであると仮定して説明を続ける。また、上述までの説明では、パターンの像の基準位置および実測位置として説明したが、基準位置および実測位置は、以下に説明するように時間によって計測される。用紙が存在しない状態で
図5(B)のような評価パターンでブラックの書き込みを開始し、下記に定義される(1)実測時間と、(2)画像の期待時間とを比較する。
【0059】
(1)実測時間
通常印刷時にブラックの書き込み開始から所定時間後にレジストローラ18から用紙をピックするタイミングで、二次転写フォトセンサ20の検知を開始し、そこから
図5(B)の画像パターンにある黒帯の先頭を検知するまで時間。
(2)期待時間
((レジストローラ18から二次転写ローラ19の距離+長さA1)[mm]/用紙搬送線速[mm/s])+(二次転写駆動ローラ21と二次転写ローラ19の接点から二次転写フォトセンサ20の位置までの円弧距離[mm]/二次転写ローラ19の線速[mm/s])。
【0060】
ステップS104では、制御部202は、基準を満たすか否かを判定し、判定結果に応じて処理を分岐させる。ここで判定される基準は、評価パターンの印字位置の測定値に印字位置の基準値からの許容範囲を超えた差異があるか否かという基準である。より具体的には、一定以上の誤差、例えば、上記長さA1が30mmである具体例では、距離換算後の値で0.1mm以上あるか否かという基準である。また、上記実測時間および期待時間に換算した後の比較では、所定の時間以上の差があるか否かという基準である。
【0061】
ステップS104で基準を満たさないと判定された場合(NO)は、ステップS105へ処理が進められる。ステップS105では、制御部202は、書き込みまたは一次または二次転写に不備があるとの診断結果を操作パネル112に表示し、ステップS109で本診断処理を終了する。比較した結果として上記の基準を満たさない場合は、書き込みまたは転写(一次転写や二次転写)側に不備があると判断されることになる。かかる不備の主な要因としては、転写ベルト23やローラの劣化による回転速度に誤差が生じることである。ステップS105では、書き込みまたは転写に原因がある旨のメッセージおよび印字位置ずれに関連する書き込みまたは転写のパラメータまたはその両方が提示されてもよい。印字位置ずれに関連する書き込みまたは転写のパラメータとしては、これらに限定されるものではないが、感光体の回転速度、転写ベルトの搬送速度、2次転写ローラの回転速度などを挙げることができる。その後、表示に従いカスタマー・エンジニアは、書き込みまたは転写に関連する部位、例えば転写ベルトやローラの修理や交換を実施する。
【0062】
ステップS104で、基準を満たすと判定された場合(YES)は、ステップS106へ処理が分岐される。このように条件を満たす、すなわち許容可能な範囲を超えた誤差が算出されなかった場合、書き込みおよび転写のいずれにも問題がないため、プリンタ100の構成上、搬送側(用紙を給紙して排出するまでの搬送路上)の問題と判定される。ステップS106では、制御部202は、診断結果提示部212により、搬送側に不備があり、さらなる診断が必要であるため、全給紙トレイから印刷を実行する旨を操作パネル112に表示する制御を行う。
【0063】
ステップS107では、制御部202は、画像形成部204により、全部の給紙トレイ11A~11Dのうちの選択したものにセットされた用紙を用いた第2の評価パターンの印刷を実行する。
【0064】
ステップS108では、制御部202は、すべての給紙トレイ11での印刷が完了したか否かを判定する。ステップS108で、印刷が未だ実施されていない給紙トレイがあり、全給紙トレイでの印刷が完了していないと判定された場合(NO)は、次の給紙トレイに選択を移して、ステップS107へループさせる。一方、ステップS108で、すべての給紙トレイでの印刷が完了したと判定された場合(YES)は、ステップS109へ処理を進めて本処理を終了する。
【0065】
これにより、カスタマー・エンジニアは、全給紙トレイからの印刷結果から、判断できるようになる。カスタマー・エンジニアは、出力された全給紙トレイからの用紙への印字位置を目視で確認または読み取り装置で読み取って、搬送側のどのローラに不備があるかの特定することができる。以下、判断方法について、以下に説明する。
【0066】
まず、給紙トレイ11A~11D各々から供給される用紙へ印刷された評価パターンの複数の印刷結果の一部に許容範囲を超えた位置のずれがある場合、給紙トレイ11A~11Dのいずれか1または複数に原因があることが示される。その場合、ずれが発生した給紙トレイ11の搬送ローラ13、あるいは、ずれが発生した給紙トレイの給紙ローラ12に原因があり、その部品が修理対象として判断される。一方、1または複数の供給部各々から供給される用紙へ印刷された評価パターンの複数の印刷結果のすべてで許容範囲を超えた位置のずれがある場合、給紙部より後段の搬送路(例えば、レジストローラ18)に原因があることを示す。その場合、搬送路の部品が修理対象として判断される。
【0067】
なお、印刷出力する第2の評価パターンである評価パターンは、
図5に示したものと同様のものを用いることができるが、特に限定されるものではなく、異なるパターンを用いてもよい。
【0068】
図6は、本実施形態における診断方法における印刷結果と、不備があると想定される部品との対応関係を示すテーブルである。
【0069】
図6に示すテーブルの内容を比較することによって、不備があると想定される搬送側の部品を特定することができる。不備の要因は、給紙部のローラの摩耗、搬送ローラ13やレジストローラ18の摩耗や損傷が想定される。
【0070】
図6のテーブルに示すように判断する。基準の評価パターンと比べてすべての給紙トレイの出力用紙にずれが一律で発生している場合は、レジストローラ18に不備があると考えられる(ケース1)。一方、給紙トレイ1 11Aにずれが無く、それ以降の給紙トレイ2~4 11B~11Dにずれがある場合、給紙トレイ2 11Bの搬送ローラ13に不備がある(ケース2)。また、特定の給紙トレイ(一例では給紙トレイ3 11C)にずれがあり、他の給紙トレイ1,2,4 11A,11B,11Dにずれがない場合、給紙トレイ3 11Cの給紙ローラ12に不備がある(ケース3)。また、特定の給紙トレイ(一例では給紙トレイ2 11B 給紙トレイ4 11D)にずれがあり、他の給紙トレイ1,3 11A,11C,にズレがない場合、給紙トレイ2,4 11B、11Dの給紙ローラ12に不備がある(ケース4)。
【0071】
このように、全ての給紙トレイの用紙上の評価パターンの印字位置がずれている場合は、給紙部より後段の部品(例えばレジストローラ)に異常があると判断することができる。一方、特定の給紙トレイ以降で印字位置が一律にずれている場合は、ずれが発生した給紙段の搬送ローラに異常があると判断することができる。一方、特定の給紙トレイ以降で位置ずれがない場合は、ずれが発生した給紙段の給紙ローラに異常があると判断することができる。
【0072】
なお、
図6に示すテーブルは、給紙トレイは4段ある場合を一例として説明したものであり、給紙トレイが、複数段あれば同じように判断することが可能である。
【0073】
上記構成により、評価パターンに対応した基準値および二次転写フォトセンサ20による転写ベルト23上に形成された評価パターンの画像の測定値の比較に基づく不具合の原因の判断結果が提示される。これにより、プリンタ10において、印字位置ずれの原因を特定し、ひいては、ダウンタイムを低減することが可能となる。
【0074】
なお、
図6からもわかるように、給紙トレイ11A~11D各々から供給される用紙へ印刷された評価パターンで一部に許容範囲を超えた位置のずれがある場合(ずれ無とずれ有とが混在する場合)、要因は給紙部のローラの摩耗であり、カスタマー・エンジニアまたは読み取り装置が用紙ごとに単一の長さA1を測定しなくとも、簡易的な確認方法として、透視可能な用紙を用いて評価パターンが出力された用紙を重ね合わせ印字位置がずれている用紙を目視判断することで不備の箇所を特定することも可能である。
【0075】
上述した実施形態では、評価パターンの画像の測定は、二次転写側の二次転写フォトセンサ20のみを用いるものであった。これにより、書き込みまたは一次または二次転写に不備があると診断することができる、このような診断において、さらに不備を絞り込めることが好ましい。二次転写プロセスおよび二次転写プロセス以外(書き込みまたは一次転写プロセス)とのいずれに不備があるかをさらに切り分けることができる。以下、書き込みまたは一次または二次転写に不備がある診断結果が得られる場合に、さらに不備の原因を切り分けることを可能とする他の実施形態について、
図7および
図3を参照しながら、説明する。
【0076】
図7は、他の実施形態によるプリンタ10の構成図である。他の実施形態によるプリンタ10も、
図1を参照して説明した実施形態と同様に、タンデム型の電子写真方式のフルカラー・レーザープリンタである。以下、
図1からの変更点を中心に説明する。
【0077】
図7に示すように、他の実施形態によるプリンタ10は、印字位置ずれの原因をさらに詳細に特定するために、転写ベルト23の搬送方向で一次転写ローラ25Yより下流の転写ベルト・テンション・ローラ22の近傍に転写ベルト23上の画像を読み取るための一次転写フォトセンサ32を備える。
【0078】
診断時の動作に際しては、
図1と同様に、まず、給紙トレイ11A~11Dに収納された用紙PA~PDの搬送を行わずに、印字位置ずれの原因を特定するための所定の評価パターンのトナー像が転写ベルト23上に形成される。転写ベルト23により搬送された評価パターンのトナー像が、まず、転写ベルト・テンション・ローラ22の位置に運ばれ、一次転写フォトセンサ32により転写ベルト23上の画像が読み取られ、1度目の評価パターンの像の測定が行われる。その後、転写ベルト23により搬送された評価パターンのトナー像が、さらに、二次転写駆動ローラ21および二次転写ローラ19による二次転写位置に運ばれ、
図1の場合と同様に、二次転写フォトセンサ20により二次転写ローラ19上の画像が読み取られ、2度目の評価パターンの像の測定が行われる。そして、これらの2つの位置での測定結果に基づいて印字位置ずれの原因の特定が行われる。
【0079】
以下、再度、
図3に示す機能ブロック図を参照して、他の実施形態によるプリンタ10の機能構成200について説明する。
図3には、
図7に示す他の実施形態による構成が開示されており、点線で囲まれた要素が新たに追加された要素である。より具体的には、他の実施形態による構成においては、一次転写フォトセンサ32が示されている。
【0080】
他の実施形態による制御部202は、印字位置ずれを検出するための評価パターンのトナー像を転写ベルト23上に形成するための制御を行う。他の実施形態においては、センサとしては、転写ベルト23から用紙Pへ二次転写される位置において転写ベルト23上に形成された評価パターンのトナー像を測定する二次転写フォトセンサ20に加えて、転写ベルトへ一次転写される像を測定する一次転写フォトセンサ32による測定を行う。
【0081】
診断部206は、一次転写フォトセンサ32および二次転写フォトセンサ20の両方について、評価パターンに対応する基準値(パターンの基準となる印字位置)およびセンサによる評価パターンの画像の測定値(パターンの実測された位置)の比較に基づいて不具合の原因を判定する。不具合の原因は、一次転写(および書き込み)に原因があるかまたは二次転写に原因があるかを操作パネル112に示すことができる。診断結果提示部212は、診断された不具合の原因を含む判断結果を操作パネル112に提示し、操作パネル112に表示する制御を行う。
【0082】
より具体的には、一次転写フォトセンサ32の比較の結果において測定値に基準値からの許容範囲を超えた差異がある場合は、判断結果は、一次転写または書き込みに原因があることを示す。一方で、一次転写フォトセンサ32の比較の結果において測定値に基準値からの許容範囲を超えた差異がない一方で、二次転写フォトセンサ20の比較の結果において測定値に基準値からの許容範囲を超えた差異がある場合は、判断結果は、二次転写に原因があることを示す。かかる構成により、不具合の原因の判断結果を提示する場合において、さらに、二次転写および二次転写前のプロセス(書き込みまたは一次転写)のいずれに不具合が起因するのかを切り分けることが可能となり、よりダウンタイム低減ができる。
【0083】
以上説明した実施形態によれば、印字位置ずれの原因を特定し、ひいては、利用者のダウンタイムを低減することが可能な画像形成装置、画像形成装置の診断方法およびプログラムを提供することができる。
【0084】
上記で説明した実施形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0085】
10…プリンタ、11…給紙トレイ、12…給紙ローラ、13…搬送ローラ、14…搬送センサ、15…廃トナー回収容器、16…廃トナーフル検知センサ、17…レジストセンサ、18…レジストローラ、19…二次転写ローラ、20…二次転写フォトセンサ、21…二次転写駆動ローラ、22…転写ベルト・テンション・ローラ、23…転写ベルト、24‥TMセンサ、25…一次転写ローラ、26…ベルトクリーナ、27…両面センサ、28…両面ローラ、29…定着器、30…排紙ローラ、31…排紙センサ、32…一次転写フォトセンサ、41…露光器、42…カートリッジ、43…パドル、44…現像器、45…供給ローラ、46…現像ブレード、47…クリーナーブレード、48…感光ドラム、49…帯電器、102…CPU、104…ROM、106…RAM、108…NVRAM、110…操作パネルI/F、112…操作パネル、114…外部I/F、116…NVRAM、118…I/O、120…センサ、122…モータ、124…画像処理IC、128…コントローラ、130…システムバス、200…機能ブロック、202…制御部、204…画像形成部、206…診断部、208…UI部、210…指示受付部、212…診断結果提示部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】