(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121309
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタ接続構造
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6592 20110101AFI20240830BHJP
H01R 13/6581 20110101ALI20240830BHJP
【FI】
H01R13/6592
H01R13/6581
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028340
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】和田 卓十
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC19
5E021GA05
5E021GB02
5E021LA09
(57)【要約】
【課題】電線の被覆層に埋設されたシールドあるいは電線に外装されたシールドのいずれに対しても電気的接続を可能とし、かかるシールドからグランド回路が延設されたコネクタを提供する。
【解決手段】ハーネス側コネクタ2において、シールドカバー20は、電線10を保持する電線保持部212と、メス型端子24を収容する端子収容部221(被嵌合部222と嵌合部211も含む)とを有し、電線保持部212には、電線保持部212の内側面及び外側面の両方にシールド13に対して電気的に接続されるシールド接続部133,143,134,144が設けられ、端子収容部221,222,211には、シールド接続部133,143,134,144に対して電気的に接続されて電気機器側コネクタ3における取付台座33(グランド箇所G)に接続するグランド接続部200が設けられている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、
前記電線に接続された端子と、
前記電線を保持するとともに前記端子を収容する筐体と、
前記電線への電磁波ノイズを遮蔽するシールドとを備え、
前記筐体は、前記電線を保持する電線保持部と、前記端子を収容する端子収容部とを有し、
前記電線保持部には、当該電線保持部の内側面及び外側面のうちの少なくとも内側面に前記シールドに対して電気的に接続されるシールド接続部が設けられ、
前記端子収容部には、前記シールド接続部に対して電気的に接続されて相手方コネクタにおけるグランド箇所に接続するグランド接続部が設けられた
コネクタ。
【請求項2】
前記電線保持部は、前記電線の長手方向に沿って延設されたベース部と、当該ベース部とともに前記電線を把持するカバー部とを有し、
前記シールド接続部は、前記ベース部と前記カバー部の少なくとも一方の内側面における、前記端子収容部から離間した末端部分に配置された
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記シールド接続部には、前記シールドに向かって突出する突出部が設けられた
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記電線の被覆層を拘束する被覆層拘束部が設けられ、
前記被覆層拘束部は、前記ベース部と前記カバー部の少なくとも一方の内側面における、前記端子収容部と前記シールド接続部との間に配置された
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記被覆層拘束部には、前記被覆層に向かって突出する突出部が設けられた
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ベース部に対して前記カバー部を固定するボルトが設けられた
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記電線は、芯線と、当該芯線を覆う内側の被覆層と、当該被覆層を覆う前記シールドと、当該シールドを覆う外側の被覆層とを有し、
前記被覆層拘束部が内側の前記被覆層を拘束するとともに前記シールド接続部が前記シールドに当接する
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記電線は、芯線と、当該芯線を覆う被覆層とを有し、
前記シールドは、一本以上の前記電線に外装された状態で、当該シールドの末端部分が前記ベース部と前記カバー部の内側面に沿って内設され、
前記被覆層拘束部が前記被覆層を拘束するとともに前記シールド接続部が前記シールドに当接する
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項9】
複数本の前記電線を備え、
前記電線と前記電線の間において、前記ベース部の内側面と前記カバー部の内側面とが所定の間隔を隔てて対向する
請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記筐体に導電性を有するシールドカバーを含み、
前記シールド接続部と前記グランド接続部とが前記シールドカバーを介して電気的に接続された
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記グランド箇所に対して前記シールドカバーを連結するボルトが設けられた
請求項10に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記被覆層に外嵌されるスリーブを備え、
前記被覆層拘束部が前記スリーブを介して前記被覆層を拘束する
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記ベース部と前記カバー部の少なくとも一方の外側面にもシールド接続部が設けられ、
前記シールドは、一本以上の前記電線に外装された状態で、当該シールドの末端部分が前記ベース部と前記カバー部の外側面に沿って外設され、
前記シールド接続部と前記シールドの末端部分とが当接するように当該末端部分を拘束するクランプを備えた
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項14】
第一コネクタと第二コネクタが互いに接続されるコネクタ接続構造であって、
前記第一コネクタは、電線を保持する電線保持部と、前記電線に接続された端子を収容する端子収容部とを有し、
前記電線保持部には、当該電線保持部の内側面及び外側面のうちの少なくとも内側面に前記電線への電磁波ノイズを遮蔽するシールドに対して電気的に接続されるシールド接続部が設けられ、
前記端子収容部には、前記シールド接続部に対して電気的に接続されるグランド接続部が設けられ、
前記第二コネクタは、前記第一コネクタと接続した状態において、前記グランド接続部と接続するグランド箇所を有している
コネクタ接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線のシールドからグランド回路が延設されたコネクタ及びコネクタ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤーハーネスとモータ等の電気機器は、それぞれに装着されたコネクタを介して互いに接続される。このようなコネクタは、ワイヤーハーネスを構成する電線に接続された端子を収容している。そして、かかるコネクタと相手側コネクタとが接続すると、互いの端子同士が連結して電気的に接続されることとなる。
【0003】
ところで、特許文献1に示すコネクタは、電線の被覆層に埋設されたシールドから筐体の端面までグランド回路が延設されており、かかるコネクタと相手側コネクタとが接続すると、相手側コネクタにおけるグランド箇所に電気的に接続される。しかし、電線の被覆層から露出されたシールドに導電性のスリーブを嵌め合わせ、かかるスリーブに導電性の筐体を接触させる構造であることから、電線に外装された状態のシールドに対しては電気的に接続することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、電線の被覆層に埋設されたシールドあるいは電線に外装されたシールドのいずれに対しても電気的接続を可能とし、かかるシールドからグランド回路が延設されたコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、電線と、前記電線に接続された端子と、前記電線を保持するとともに前記端子を収容する筐体と、前記電線への電磁波ノイズを遮蔽するシールドとを備え、前記筐体は、前記電線を保持する電線保持部と、前記端子を収容する端子収容部とを有し、前記電線保持部には、当該電線保持部の内側面及び外側面のうちの少なくとも内側面に前記シールドに対して電気的に接続されるシールド接続部が設けられ、前記端子収容部には、前記シールド接続部に対して電気的に接続されて相手方コネクタにおけるグランド箇所に接続するグランド接続部が設けられたコネクタである。
【0007】
この発明により、電線の被覆層に埋設されたシールドあるいは電線に外装されたシールドのいずれに対しても電気的接続を可能とできる。
詳述すると、筐体は、電線を保持する電線保持部と、端子を収容する端子収容部とを有している。そして、電線保持部には、電線保持部の内側面及び外側面のうちの少なくとも内側面にシールドに対して電気的に接続されるシールド接続部が設けられ、端子収容部には、シールド接続部に対して電気的に接続されて相手方コネクタにおけるグランド箇所に接続するグランド接続部が設けられている。このような構成により、電線の被覆層にシールドが埋設されている場合は、かかるシールドに対してシールド接続部を電気的に接続することができる。また、電線の被覆層にシールドが埋設されておらず、シールドが外装されている場合は、シールドの末端部分を電線保持部の内側面に沿うように引き入れて内設することで、かかる末端部分に対してシールド接続部を電気的に接続することができる。他方で、電線保持部の外側面にもシールド接続部が設けられた構成にあっては、シールドの末端部分を電線保持部の外側面に沿うように引き出して外設することで、かかる末端部分に対してシールド接続部を電気的に接続することができる。このように、電線の被覆層に埋設されたシールドあるいは電線に外装されたシールドのいずれに対しても電気的接続を可能とできる。
【0008】
この発明の態様として、前記電線保持部は、前記電線の長手方向に沿って延設されたベース部と、当該ベース部とともに前記電線を把持するカバー部とを有し、前記シールド接続部は、前記ベース部と前記カバー部の少なくとも一方の内側面における、前記端子収容部から離間した末端部分に配置されてもよい。
【0009】
この発明により、ベース部とカバー部とで電線を把持することができる。そして、電線の被覆層にシールドが埋設されている場合は、かかるシールドに対してシールド接続部を電気的に接続することができる。また、電線の被覆層にシールドが埋設されておらず、シールドが外装されている場合は、シールドの末端部分を電線保持部の内側面に沿うように引き入れて内設することで、かかる末端部分に対してシールド接続部を電気的に接続することができる。したがって、電線及びシールドがいずれの態様であったとしても、シールドとシールド接続部との容易かつ確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、電線が振れたり引っ張られたりしても、シールドとシールド接続部との電気的接続が不安定にならず、さらには電線と端子の接続部分に大きな負荷が作用することも防止できる。
【0010】
またこの発明の態様として、前記シールド接続部には、前記シールドに向かって突出する突出部が設けられてもよい。
この発明により、ベース部とカバー部とで電線を把持した状態において、金属線や金属箔にて形成されたシールドに突出部が食い込むこととなる。したがって、シールドとシールド接続部との容易かつより確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、電線が振れたり引っ張られたりしても、シールドとシールド接続部との電気的接続が不安定にならず、さらには電線と端子の接続部分に大きな負荷が作用することも防止できる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記電線の被覆層を拘束する被覆層拘束部が設けられ、前記被覆層拘束部は、前記ベース部と前記カバー部の少なくとも一方の内側面における、前記端子収容部と前記シールド接続部との間に配置されてもよい。
【0012】
この発明により、電線の被覆層にシールドが埋設されている場合は、かかるシールドよりも内側の被覆層を把持して拘束することができ、同時にシールドに対してシールド接続部を電気的に接続することができる。また、電線の被覆層にシールドが埋設されておらず、シールドが外装されている場合は、電線の被覆層を把持して拘束することができ、同時にシールドの末端部分を電線保持部の内側面に沿うように引き入れて内設することで、かかる末端部分に対してシールド接続部を電気的に接続することができる。したがって、電線及びシールドがいずれの態様であったとしても、電線の確実な拘束ならびにシールドとシールド接続部との容易かつ確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、電線が振れたり引っ張られたりしても、電線と端子の接続部分に大きな負荷が作用することを防止できる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記被覆層拘束部には、前記被覆層に向かって突出する突出部が設けられてもよい。
この発明により、ベース部とカバー部とで電線を把持した状態において、ポリ塩化ビニル等にて形成された被覆層に突出部が食い込むこととなる。したがって、電線が振れたり引っ張られたりしても、電線と端子の接続部分に大きな負荷が作用することを防止できる。また、被覆層の周方向に沿って突出部が食い込む場合は、電線を伝う水に対する遮水性をも確保することが可能となる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記ベース部に対して前記カバー部を固定するボルトが設けられてもよい。
この発明により、簡素な構造でありながら高い信頼性をもって、シールドとシールド接続部との容易かつより確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、カバー部のみにシールド接続部が設けられた構成においては、かかるボルトをベース部への導電路として利用することも可能となる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記電線は、芯線と、当該芯線を覆う内側の被覆層と、当該被覆層を覆う前記シールドと、当該シールドを覆う外側の被覆層とを有し、前記被覆層拘束部が内側の前記被覆層を拘束するとともに前記シールド接続部が前記シールドに当接するとしてもよい。
【0016】
この発明により、外側の被覆層やシールドが剥かれて露出した内側の被覆層を被覆層拘束部にて拘束することができ、同時に外側の被覆層が剥かれて露出したシールドに対してシールド接続部を電気的に接続することができる。したがって、電線の被覆層にシールドが埋設されている構成において、電線の確実な拘束ならびにシールドとシールド接続部との容易かつ確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、電線が振れたり引っ張られたりしても、電線と端子の接続部分に大きな負荷が作用することを防止できる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記電線は、芯線と、当該芯線を覆う被覆層とを有し、前記シールドは、一本以上の前記電線に外装された状態で、当該シールドの末端部分が前記ベース部と前記カバー部の内側面に沿って内設され、前記被覆層拘束部が前記被覆層を拘束するとともに前記シールド接続部が前記シールドに当接するとしてもよい。
【0018】
この発明により、電線の被覆層を被覆層拘束部にて拘束することができ、同時に電線に外装されたシールドにおける電線保持部の内側面に沿うように内設された末端部分に対してシールド接続部を電気的に接続することができる。したがって、電線の被覆層にシールドが埋設されておらず、シールドが外装されている構成において、電線の確実な拘束ならびにシールドとシールド接続部との容易かつ確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、電線が振れたり引っ張られたりしても、電線と端子の接続部分に大きな負荷が作用することを防止できる。
【0019】
またこの発明の態様として、複数本の前記電線を備え、前記電線と前記電線の間において、前記ベース部の内側面と前記カバー部の内側面とが所定の間隔を隔てて対向してもよい。
この発明により、電線と電線の間に空間が形成されるため、かかる空間にシールドの末端部分が収まることとなる。そのため、シールドの末端部分が挟まることに起因して電線の拘束力が不安定になることを防止できる。また、シールドとシールド接続部との電気的接続が不安定になることも防止できる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記筐体に導電性を有するシールドカバーを含み、前記シールド接続部と前記グランド接続部とが前記シールドカバーを介して電気的に接続されてもよい。
この発明により、シールドカバーをグランド接続部への導電路として利用することができるとともに、シールドカバーに収容された端子に対する電磁シールド性をも確保することが可能となる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記グランド箇所に対して前記シールドカバーを連結するボルトが設けられてもよい。
この発明により、簡素な構造でありながら高い信頼性をもって、相手方コネクタにおけるグランド箇所とグランド接続部との容易かつより確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、かかるボルトをグランド箇所への導電路として利用することも可能となる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記被覆層に外嵌されるスリーブを備え、前記被覆層拘束部が前記スリーブを介して前記被覆層を拘束してもよい。
この発明により、電線の被覆層にシールドが埋設されている構成において、内側の被覆層の直径が小さくとも、かかる被覆層に外嵌されたスリーブを介して確実に拘束することができる。同様に、電線の被覆層にシールドが埋設されておらず、シールドが外装されている構成において、被覆層の直径が小さくとも、かかる被覆層に外嵌されたスリーブを介して確実に拘束することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記ベース部と前記カバー部の少なくとも一方の外側面にもシールド接続部が設けられ、前記シールドは、一本以上の前記電線に外装された状態で、当該シールドの末端部分が前記ベース部と前記カバー部の外側面に沿って外設され、前記シールド接続部と前記シールドの末端部分とが当接するように当該末端部分を拘束するクランプを備えてもよい。
【0024】
この発明により、電線に外装されたシールドにおける電線保持部の外側面に沿うように外設された末端部分に対してシールド接続部を電気的に接続することができる。したがって、電線の被覆層にシールドが埋設されておらず、シールドが外装されている構成において、シールドとシールド接続部との容易かつ確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、電線が振れたり引っ張られたりしても、電線と端子の接続部分に大きな負荷が作用することを防止できる。
【0025】
加えてこの発明は、第一コネクタと第二コネクタが互いに接続されるコネクタ接続構造であって、前記第一コネクタは、電線を保持する電線保持部と、前記電線に接続された端子を収容する端子収容部とを有し、前記電線保持部には、当該電線保持部の内側面及び外側面のうちの少なくとも内側面に前記電線への電磁波ノイズを遮蔽するシールドに対して電気的に接続されるシールド接続部が設けられ、前記端子収容部には、前記シールド接続部に対して電気的に接続されるグランド接続部が設けられ、前記第二コネクタは、前記第一コネクタと接続した状態において、前記グランド接続部と接続するグランド箇所を有しているコネクタ接続構造である。
【0026】
この発明により、電線の被覆層に埋設されたシールドあるいは電線に外装されたシールドのいずれに対しても電気的接続を可能とできる。すなわち、電線の被覆層にシールドが埋設されている場合は、かかるシールドに対してシールド接続部を電気的に接続することができる。また、電線の被覆層にシールドが埋設されておらず、シールドが外装されている場合は、シールドの末端部分を電線保持部の内側面に沿うように引き入れて内設することで、かかる末端部分に対してシールド接続部を電気的に接続することができる。他方で、電線保持部の外側面にもシールド接続部が設けられた構成にあっては、シールドの末端部分を電線保持部の外側面に沿うように引き出して外設することで、かかる末端部分に対してシールド接続部を電気的に接続することができる。このように、電線の被覆層に埋設されたシールドあるいは電線に外装されたシールドのいずれに対しても電気的接続を可能とできる。
【発明の効果】
【0027】
電線の被覆層に埋設されたシールドあるいは電線に外装されたシールドのいずれに対しても電気的接続を可能とし、かかるシールドからグランド回路が延設されたコネクタを提供することを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】コネクタ接続構造を一の方向から視た斜視図。
【
図2】コネクタ接続構造を他の方向から視た斜視図。
【
図10】ロアシェルにおけるベース部とカバー部の斜視図。
【
図11】ベース部に対してカバー部を固定する前後の斜視図。
【
図12】
図11におけるXa-Xa断面図及びXb-Xb断面図。
【
図14】
図13におけるXc-Xc断面図及びXd-Xd断面図。
【
図15】電線にシールドを外装した状態のハーネス側コネクタの斜視図。
【
図16】
図15におけるXe-Xe断面図及びXf-Xf断面図。
【
図17】電線にシールドを外装した状態のハーネス側コネクタの斜視図。
【
図18】
図17におけるXg-Xg断面図及びXh-Xh断面図。
【
図19】他の実施形態に係るハーネス側コネクタの電線保持部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の一実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1はコネクタ接続構造1を一の方向から視た斜視図である。
図2はコネクタ接続構造1を他の方向から視た斜視図である。
図3は電気機器側コネクタ3の分解斜視図である。
図4はハーネス側コネクタ2の斜視図である。
図5は
図4の矢印Xの方向から視た正面図であり、
図6は
図4の矢印Yの方向から視た側面図であり、
図7は
図4の矢印Zの方向から視た背面図である。
【0030】
また、
図8はハーネス側コネクタ2の分解斜視図である。
図9は電線10及びメス型端子24の拡大図である。
図10はロアシェル21におけるベース部213とカバー部214の斜視図である。
図11はベース部213に対してカバー部214を固定する前後の斜視図であり、
図12は
図11におけるXa-Xa断面図及びXb-Xb断面図である。
図13は各コネクタ2,3が接続する前後を示す斜視図であり、
図14は
図13におけるXc-Xc断面図及びXd-Xd断面図である。
【0031】
さらに、
図15は電線10にシールド13を外装した状態のハーネス側コネクタ2の斜視図であり、
図16は
図15におけるXe-Xe断面図及びXf-Xf断面図である。
図17は電線10にシールド13を外装した状態のハーネス側コネクタ2の斜視図であり、
図18は
図17におけるXg-Xg断面図及びXh-Xh断面図である。そして、
図19は他の実施形態に係るハーネス側コネクタ2の電線保持部212の断面図である。
図8から
図14の電線10は、被覆層12,14にシールド13が埋設された、いわゆるシールド電線を表し、
図15から
図19の電線10は、被覆層15にシールドが埋設されていない、いわゆるノンシールド電線を表している。
【0032】
なお、以降の説明においては、ハーネス側コネクタ2における電線保持部212と端子収容部221とが配列された方向を上下方向Hとし、端子収容部221側を上方側Hu、その逆側を下方側Hdと表している。また、ハーネス側コネクタ2と電気機器側コネクタ3とを結ぶ方向を前後方向Dとし、電気機器側コネクタ3側を前方側Df、その逆側を後方側Dbと表している。さらに、上下方向Hと前後方向Dとに直交する方向を左右方向Wとし、ハーネス側コネクタ2から電気機器側コネクタ3に向かって右側の方向を右方側Wr、その逆側を左方側Wlと表している。
【0033】
図1及び
図2に示すように、コネクタ接続構造1は、ハーネス側コネクタ2と電気機器側コネクタ3とを接続することにより、互いの端子24,32同士が電気的に接続される構造である。このとき、メス型端子24に接続された電線10のシールド13(
図8及び
図9参照)から電気機器側コネクタ3の取付台座33までグランド回路Cの電気的接続が図られる。以下に、電気機器側コネクタ3について簡単に説明し、その後にハーネス側コネクタ2について詳しく説明する。
【0034】
図3に示すように、電気機器側コネクタ3は、電気機器の本体部分3mに装着される。電気機器側コネクタ3は、ハウジング31とオス型端子32と取付台座33とを有している。
【0035】
また、電気機器側コネクタ3は、ハウジング31の延出部313に嵌め合わされて取付台座33との隙間を塞ぐリングシール34と、かかるリングシール34の抜け出しを規制する規制リング35と、ハウジング31を取付台座33に固定する固定ボルト36とを有している。
【0036】
ハウジング31は、所定形状の樹脂形成品である。ハウジング31は、オス型端子32を保持する保持部311と、オス型端子32の先端部分32fを囲繞する囲繞部312と、オス型端子32の基端部分32bが挿通される延出部313とを有している。
【0037】
保持部311は、平板状に形成されており、その一方側に囲繞部312が設けられ、その反対側に延出部313が設けられている。囲繞部312は、オス型端子32の上方側Hu、右方側Wr及び左方側Wlを覆うように形成され、延出部313は、略円筒状に形成されている。
【0038】
オス型端子32は、メス型端子24に挿入される略矩形状の導電性を有する金属板である。オス型端子32は、その長手方向の中央部分が保持部311によって保持される。そのため、オス型端子32の先端部分32fが囲繞部312によって覆われ、オス型端子32の基端部分32bが延出部313に挿通される。
【0039】
また、電気機器側コネクタ3において、オス型端子32は、二枚一組で使用され、それぞれが互いに対して並行に配置されている。具体的には、左右方向Wに所定の間隔を隔てて並行に配置されている。そして、それぞれのオス型端子32の基端部分32bには、図示しない電線が接続されることとなる。但し、バスバ等が接続されてもよい。
【0040】
取付台座33は、ハウジング31を支持するとともに、電気機器の本体部分3mに当接する略矩形状の導電性を有する金属板である。取付台座33は、その中央部分にハウジング31の延出部313と嵌合する貫通孔33hが形成されている。かかる貫通孔33hの内周面には、前述したリングシール34が当接し、リングシール34の抜け出しを規制する規制リング35が収まることとなる。
【0041】
また、電気機器側コネクタ3において、取付台座33は、貫通孔33hの上方側Huにボルト穴33iが形成されている。かかるボルト穴33iには、前述した固定ボルト36が締め付けられる。また、貫通孔33hの下方側Hdには、突起部331が形成されており、かかる突起部331にボルト穴33jが形成されている。かかるボルト穴33jには、後述する連結ボルト293が締め付けられる。
【0042】
なお、取付台座33は、電気機器の本体部分3mに対して電気的に接続されることにより、後述するグランド回路Cの基準電位となっている。そのため、取付台座33がグランド箇所Gとして機能する。但し、電気機器側コネクタ3が取付台座33を有しておらず、電気機器の本体部分3mそのものが取付台座33に相当する構成であってもよい。この場合、後述するシールドカバー20が直接的に本体部分3mに接続されることとなる。
【0043】
図4から
図9に示すように、ハーネス側コネクタ2は、ワイヤーハーネスの末端部分に装着されている。ハーネス側コネクタ2は、シールドカバー20とインナーケース23とメス型端子24とを有している。シールドカバー20は、ロアシェル21とアッパーシェル22で構成されている。
【0044】
また、ハーネス側コネクタ2は、インナーケース23の端子開口部(内壁151)に嵌め合わされて囲繞部312との隙間を塞ぐスクエアシール25と、かかるスクエアシール25の抜け出しを規制する規制カバー26と、インナーケース23の嵌合部233に嵌め合わされてロアシェル21との隙間を塞ぐオーバルシール27と、電線10に嵌め合わされて嵌合部233との隙間を塞ぐワイヤーシール28とを有している。
【0045】
ロアシェル21は、所定形状に形成された金属製の筐体である。ロアシェル21は、上方側Huが開放された略矩形筒状に形成された嵌合部211と、上下方向Hに向かって貫通する略楕円筒状に形成された電線保持部212とで構成されている。
【0046】
嵌合部211は、その前方側Dfの左右方向Wの両側にボルト座部130が設けられている。ボルト座部130には、貫通孔が形成されており、かかる貫通孔には、組付ボルト291が挿通される。また、電線保持部212は、電線10の長手方向(上下方向H)に沿って延設されたベース部213と、ベース部213とともに電線10を把持するカバー部214とを有している。
【0047】
ベース部213は、その前方側Dfの端面に電線10の長手方向(上下方向H)に沿って二本の把持溝131が形成されている。それぞれの把持溝131は、断面形状が半円形とされており、その上方側Hu約半分が被覆層拘束部132(
図10参照)、その下方側Hd約半分がシールド接続部133(
図10参照)とされている。被覆層拘束部132及びシールド接続部133の詳細については後に詳しく説明する。
【0048】
カバー部214は、その後方側Dbの端面に電線10の長手方向(上下方向H)に沿って二本の把持溝141が形成されている。それぞれの把持溝141も、断面形状が半円形とされており、その上方側Hu約半分が被覆層拘束部142(
図10参照)、その下方側Hd約半分がシールド接続部143(
図10参照)とされている。被覆層拘束部142及びシールド接続部143の詳細については後に詳しく説明する。
【0049】
アッパーシェル22も、所定形状に形成された金属製の筐体である。アッパーシェル22は、前方側Df及び下方側Hdが開放された略立方体状に形成された端子収容部221と、前方側Df及び下方側Hdが開放された略矩形筒状に形成された被嵌合部222とで構成されている。
【0050】
端子収容部221は、その内部にインナーケース23等を収容するための空間22Sが形成されている。また、被嵌合部222は、その前方側Dfから後方側Dbまで左右方向Wの両側にボルト固定部140が形成されている。ボルト固定部140には、ボルト穴が形成されており、かかるボルト穴には、組付ボルト291が締め付けられる。
【0051】
さらに、被嵌合部222は、その左右方向Wの両壁部よりもやや内側に下方側Hdに向かって延出されてボルト固定部140と一体化された側方係合部223を有している。また、被嵌合部222は、その後方側Dbの壁部よりもやや内側に下方側Hdに向かって延出されて二つのボルト固定部140をつなぐ後方係合部224を有している。そして、後方係合部224には、連結ボルト293が挿通される貫通孔22hが形成されている。
【0052】
なお、被嵌合部222は、端子収容部221の下方側Hd端部に一体的に設けられ、かかる端子収容部221とともにメス型端子24を収容する。この点、ロアシェル21とアッパーシェル22が嵌合した状態において、ロアシェル21の嵌合部211も、端子収容部221及び被嵌合部222とともにメス型端子24を収容する。そのため、被嵌合部222と嵌合部211も端子収容部221の一部であるということができる(
図5における上下範囲Rh及び左右範囲Rw参照)。
【0053】
加えて、ロアシェル21とアッパーシェル22は、側方係合部223と後方係合部224に沿って嵌合部211を嵌め合わせることで、ズレなく嵌合されることとなる。このような状態において、組付ボルト291を締め付けることが可能となる。こうして、ロアシェル21とアッパーシェル22は、電気的に接続されることとなる。また、嵌合部211における後方側Dbの壁部に形成された切り欠き21nによって後方係合部224の貫通孔22hが露出したままとなるので、かかる貫通孔22hに連結ボルト293を挿通させて締め付けることが可能となる。
【0054】
インナーケース23は、所定形状に形成された樹脂製の端子収容具である。インナーケース23は、メス型端子24を収容する収容部231と、メス型端子24に接続された電線10が挿通する挿通部232と、電線10が挿通されるとともにロアシェル21の電線保持部212に嵌合される嵌合部233とで構成されている。
【0055】
収容部231は、前方側Dfが開放された略立方体状に形成され、互いに所定の間隔を隔てた二重壁構造150とされている。内壁151の外周には、前述したスクエアシール25が嵌め合わされ、内壁151と外壁152の隙間に前述した囲繞部312が挿入される。また、内壁151は、その先端部分に前述した規制カバー26が取り付けられるものとされ、その内部空間にメス型端子24が保持される。
【0056】
挿通部232は、上下方向Hに向かって貫通する略矩形筒状に形成され、嵌合部233は、上下方向Hに向かって貫通する略楕円筒状に形成されている。嵌合部233の外周には、前述したオーバルシール27が嵌め合わされ、嵌合部233の内周には、前述したワイヤーシール28が嵌め合わされる。また、挿通部232には、連結ボルト293が挿通される貫通孔23hが形成されている。さらに、嵌合部233には、その内部空間を左右方向Wの二つに区切る仕切り板が設けられている。そのため、それぞれの空間に電線10が挿通される。
【0057】
メス型端子24は、オス型端子32を把持することによって電気的接続を実現する電気接続具である。メス型端子24は、U字状に曲げ返された基台部241と、基台部241に取り付けられた弾性片部242と、電線10の芯線11が接続される電線接続部243とで構成されている。芯線11は、素線を束ねて構成されてもよいし、いわゆる単線であってもよい。
【0058】
基台部241は、互いに対して所定の間隔を隔てた一対の側壁160を有している。一方の側壁161の先端部分には、弾性片部242が取り付けられており、他方の側壁162の先端部分にも、弾性片部242が取り付けられている。そして、これら二つ一組の弾性片部242によって挿入されたオス型端子32を両側から付勢する構成とされている。電線接続部243は、一方の側壁161を下方側Hdに延出することによって形成されている。
【0059】
ここで、電線10について詳しく説明する。電線10は、その中心に導電性を有する芯線11を備えている。芯線11の外周には、ポリ塩化ビニル等による被覆層12が形成されており、被覆層12の外周には、銅線等の金属線を編み上げたシールド13が形成されている。そして、かかるシールド13の外周には、再びポリ塩化ビニル等による被覆層14が形成されている。電線10は、その末端部分から所定の長さで被覆層14やシールド13が剥かれ、被覆層12が露出している。さらに、その末端部分から所定の長さで被覆層14が剥かれ、シールド13が露出している。シールド13は、金属線を編み上げたものに限定されず、金属箔等であってもよいものとする。
【0060】
次に、
図10から
図12を用いて、ロアシェル21における電線保持部212について詳しく説明する。すなわち、電線保持部212を構成するベース部213とカバー部214の構造について詳しく説明する。
【0061】
前述したように、ベース部213は、その前方側Dfの端面に二本の把持溝131が形成されている。それぞれの把持溝131は、断面形状が半円形とされており、その上方側Hu約半分が被覆層拘束部132とされ、その下方側Hd約半分がシールド接続部133とされている。
【0062】
また、前述したように、カバー部214は、その後方側Dbの端面に二本の把持溝141が形成されている。それぞれの把持溝141は、断面形状が半円形とされており、その上方側Hu約半分が被覆層拘束部142とされ、その下方側Hd約半分がシールド接続部143とされている。
【0063】
このような構成により、ベース部213に対してカバー部214を固定すると、それぞれの把持溝131,141が対向し、断面円形状の二つの電線保持孔21h,21hが形成されることとなる。
【0064】
加えて、ベース部213における被覆層拘束部132には、その内周面から被覆層12に向かって突出する突出部13aが設けられ、カバー部214における被覆層拘束部142にも、その内周面から被覆層12に向かって突出する突出部14aが設けられている。それぞれの突出部13a,14aは、被覆層12の周方向に沿う半円弧状のリブである。そして、これら突出部13a,14aによって形成される穴の内径は、被覆層12の外径よりも僅かに小さく形成されている。突出部13a,14aによって形成される穴の内径は、後述する突出部13b,14bによって形成される穴の内径よりも僅かに小さい。
【0065】
このようにしたのは、ベース部213に対してカバー部214を固定した際に、突出部13a,14aの先端部分を被覆層12に食い込ませるためである。但し、突出部13a,14aは、半円弧状のリブであることに限定するものではない。例えば、電線10の長手方向(上下方向H)に沿って延びる形状であってもよい。その他、被覆層12の拘束が実現される形状であれば何でもよい。この点、被覆層12の周方向に突出部13a,14aを食い込ませると、電線10を伝う水に対する遮水性をも確保することが可能となる。
【0066】
加えて、ベース部213におけるシールド接続部133には、その内周面からシールド13に向かって突出する突出部13bが設けられ、カバー部214におけるシールド接続部143にも、その内周面からシールド13に向かって突出する突出部14bが設けられている。それぞれの突出部13b,14bは、シールド13の周方向に沿う半円弧状のリブである。そして、これら突出部13b,14bによって形成される穴の内径は、シールド13の外径よりも僅かに小さく形成されている。突出部13b,14bによって形成される穴の内径は、前述した突出部13a,14aによって形成される穴の内径よりも僅かに大きい。
【0067】
このようにしたのは、ベース部213に対してカバー部214を固定した際に、突出部13b,14bの先端部分をシールド13に食い込ませるためである。但し、突出部13b,14bは、半円弧状のリブであることに限定するものではない。例えば、電線10の長手方向(上下方向H)に沿って延びる形状であってもよい。その他、シールド13との電気的接続が実現される形状であれば何でもよい。この点、シールド13の周方向に突出部13b,14bを食い込ませると、複数の素線で構成された芯線11であっても確実に把持することが可能となる。
【0068】
なお、本ハーネス側コネクタ2においては、ベース部213に対してカバー部214を固定する固定ボルト292が設けられている。かかる固定ボルト292は、カバー部214の貫通孔214hを介してベース部213におけるボルト穴213hに締め付けられる。このような固定ボルト292を用いた構造とすることで、電線10の被覆層12及びシールド13を確実に把持することができる。固定ボルト292を用いたのは、締結力を適宜に調整できるからでもある。
【0069】
次に、
図13及び
図14を用いて、グランド回路Cについて詳しく説明する。すなわち、電線10のシールド13から電気機器側コネクタ3の取付台座33まで延設されたグランド回路Cについて詳しく説明する。ここでは、シールドカバー20における取付台座33との当接部分をグランド接続部200と称する。
【0070】
前述したように、本ハーネス側コネクタ2は、メス型端子24を収容するインナーケース23と、インナーケース23を収容するシールドカバー20とを有しており、かかるシールドカバー20は、ロアシェル21とアッパーシェル22で構成されている。ロアシェル21とアッパーシェル22は、ともに金属製の筐体である。
【0071】
ロアシェル21は、電線保持部212を有しており、かかる電線保持部212は、ベース部213とカバー部214で構成されている。ベース部213とカバー部214は、互いに対向する把持溝131,141を有しており、これら把持溝131,141には、被覆層拘束部132,142ならびにシールド接続部133,143が設けられている。
【0072】
被覆層拘束部132には、電線10の被覆層12に向かって突出する突出部13aが設けられており、かかる突出部13aの先端部分が被覆層12に食い込むことによって拘束が図られる。同様に、被覆層拘束部142にも、電線10の被覆層12に向かって突出する突出部14aが設けられており、かかる突出部14aの先端部分が被覆層12に食い込むことによって拘束が図られる。
【0073】
シールド接続部133には、電線10のシールド13に向かって突出する突出部13bが設けられており、かかる突出部13bの先端部分がシールド13に食い込むことによって電気的接続が図られる。同様に、シールド接続部143にも、電線10のシールド13に向かって突出する突出部14bが設けられており、かかる突出部14bの先端部分がシールド13に食い込むことによって電気的接続が図られる。
【0074】
また、ベース部213とカバー部214は、ともに金属製であるものの、僅かな隙間が生じることによって導電性が良好とならない可能性もある。この点、固定ボルト292の締結力によって互いを密着させることができるため、ベース部213とカバー部214の導電性が保障されることとなる。固定ボルト292を用いたのは、締結力を適宜に調整できるからでもある。この点、ロアシェル21とアッパーシェル22も、互いが直接的に嵌合され、かつ組付ボルト291にて固定されるため、かかる嵌合部分における導電性は良好となる。
【0075】
さらに、ロアシェル21及びアッパーシェル22で構成されるシールドカバー20は、グランド接続部200を有している。グランド接続部200は、その上方側Hu部分がアッパーシェル22の端子収容部221における端縁部分22eであり、その下方側Hd部分がロアシェル21の嵌合部211から端縁部分22eまで突出した当接台部分215である。当接台部分215は、外縁壁部215aのほか、外縁壁部215aから上方側Huに延出された補強リブ215bで構成されている。但し、このような構成に限定するものではない。
【0076】
加えて、ハーネス側コネクタ2におけるシールドカバー20と電気機器側コネクタ3における取付台座33は、ともに金属製であるものの、僅かな隙間が生じることによって導電性が良好とならない可能性もある。この点、連結ボルト293の締結力によって互いを密着させることができるため、シールドカバー20と取付台座33の導電性が保障されることとなる。連結ボルト293を取り囲むように外縁壁部215aや補強リブ215bを設けたのは、外縁壁部215aならびに補強リブ215bを取付台座33に強く密着させるだけでなく、連結ボルト293の締結力によるシールドカバー20の変形防止を意図したものである。連結ボルト293を用いたのは、締結力を適宜に調整できるからでもある。
【0077】
このような構成により、電線10のシールド13とロアシェル21との確実な電気的接続が実現され、ロアシェル21とアッパーシェル22との確実な電気的接続が実現され、ロアシェル21及びアッパーシェル22で構成されるシールドカバー20と電気機器側コネクタ3における取付台座33との確実な電気的接続が実現される。すなわち、電線10のシールド13から電気機器側コネクタ3の取付台座33まで延設されたグランド回路Cの確実な電気的接続が実現される。ひいては、電線10のシールド13について電位を落とすことができるので、外部の電磁波ノイズが芯線11に侵入することを阻止することが可能となる。また、芯線11から放射される電磁波ノイズを遮断することも可能となる。
【0078】
ところで、電線10は、被覆層12,14にシールド13が埋設された、いわゆるシールド電線に限定されない。つまり、
図15から
図18に示すように、電線10は、芯線11と、芯線11を覆う被覆層15とで構成され、かかる被覆層15にシールドが埋設されていない、いわゆるノンシールド電線であってもよい。この場合、電線10にシールド13が外装されることとなる。
【0079】
まず、
図15及び
図16を用いて、シールド13の末端部分13Eを電線保持部212の内側面に沿うように引き入れて内設した場合について説明する。シールド13は、二本の電線10を一纏めにして外装されているが、一本ごとに外装されていてもよい。
【0080】
前述したように、ベース部213とカバー部214は、互いに対向する把持溝131,141を有しており、これら把持溝131,141には、被覆層拘束部132,142ならびにシールド接続部133,143が設けられている。ここで、それぞれの把持溝131,141の間においては、ベース部213の内側面とカバー部214の内側面とが所定の間隔を隔てて対向している。
【0081】
このように、ベース部213の内側面とカバー部214の内側面とが所定の間隔を隔てることにより、空間21Sが形成されている。空間21Sは、上下方向Hに沿って開口側端縁から被覆層拘束部132,142とシールド接続部133,143の境界部分まで形成されるとしてもよい。空間21Sを被覆層拘束部132,142で閉塞することは、遮水性の低下防止につながる。
【0082】
被覆層拘束部132には、電線10の被覆層15に向かって突出する突出部13aが設けられており、かかる突出部13aの先端部分が被覆層15に食い込むことによって拘束が図られる。同様に、被覆層拘束部142にも、電線10の被覆層15に向かって突出する突出部14aが設けられており、かかる突出部14aの先端部分が被覆層15に食い込むことによって拘束が図られる。
【0083】
シールド接続部133には、電線保持部212に内設されたシールド13に向かって突出する突出部13bが設けられており、かかる突出部13bの先端部分がシールド13の末端部分13Eに食い込むことによって電気的接続が図られる。同様に、シールド接続部143にも、電線保持部212に内設されたシールド13に向かって突出する突出部14bが設けられており、かかる突出部14bの先端部分がシールド13の末端部分13Eに食い込むことによって電気的接続が図られる。この点、突出部13b、14bの先端部分は、シールド13の末端部分13Eに食い込んで電気的接続を図るとともに、シールド13の末端部分13Eを介して内側に挿通された電線10を拘束しているともいえる。
【0084】
このような構成により、電線10に外装されたシールド13とロアシェル21との確実な電気的接続が実現され、ロアシェル21とアッパーシェル22との確実な電気的接続が実現され、ロアシェル21及びアッパーシェル22で構成されるシールドカバー20と電気機器側コネクタ3における取付台座33との確実な電気的接続が実現される。すなわち、電線10に外装されたシールド13から電気機器側コネクタ3の取付台座33まで延設されたグランド回路Cの確実な電気的接続が実現される。ひいては、電線10に外装されたシールド13について電位を落とすことができるので、外部の電磁波ノイズが芯線11に侵入することを阻止することが可能となる。また、芯線11から放射される電磁波ノイズを遮断することも可能となる。
【0085】
次に、
図17及び
図18を用いて、シールド13の末端部分13Eを電線保持部212の外側面に沿うように引き出して外設した場合について説明する。シールド13は、二本の電線10を一纏めにして外装されているが、一本ごとに外装されていてもよい。また、シールド13の末端部分13Eを拘束するためにクランプ294を備えている。クランプ294の種類や仕様については限定しない。
【0086】
前述したように、ベース部213とカバー部214は、互いに対向する把持溝131,141を有しており、これら把持溝131,141には、被覆層拘束部132,142ならびにシールド接続部133,143が設けられている。但し、シールド13の末端部分13Eが電線保持部212の外側面に沿うように外設されるため、ベース部213とカバー部214の外側面がシールド接続部134,144として機能する。
【0087】
被覆層拘束部132には、電線10の被覆層15に向かって突出する突出部13aが設けられており、かかる突出部13aの先端部分が被覆層15に食い込むことによって拘束が図られる。同様に、被覆層拘束部142にも、電線10の被覆層15に向かって突出する突出部14aが設けられており、かかる突出部14aの先端部分が被覆層15に食い込むことによって拘束が図られる。
【0088】
シールド接続部134には、電線保持部212に外設されたシールド13の末端部分13Eと密着するための構造が設けられていないため、かかるシールド13の末端部分13Eをクランプ294にて締め付けることで電気的接続が図られる。同様に、シールド接続部144にも、電線保持部212に外設されたシールド13の末端部分13Eと密着するための構造が設けられていないため、シールド13の末端部分13Eをクランプ294にて締め付けることで電気的接続が図られる。
【0089】
なお、これらシールド接続部134,144にシールド13に向かって突出する突出部(図示せず)が設けられるとしてもよい。このようにすれば、クランプ294の締付力によって突出部の先端部分がシールド13に食い込むこととなる。さらには、クランプ294の内周面にシールド13に向かって突出する突出部(図示せず)が設けられるとしてもよい。このようにしても、クランプ294の締付力によって突出部の先端部分がシールド13に食い込むこととなる。これにより、より良好な電気的接続が図られる。本ハーネス側コネクタ2においては、クランプ294が下方側Hdに抜け外れてしまうことを防ぐため、ベース部213とカバー部214の下端部分に突起部21fが形成されている。
【0090】
このような構成により、電線10に外装されたシールド13とロアシェル21との確実な電気的接続が実現され、ロアシェル21とアッパーシェル22との確実な電気的接続が実現され、ロアシェル21及びアッパーシェル22で構成されるシールドカバー20と電気機器側コネクタ3における取付台座33との確実な電気的接続が実現される。すなわち、電線10に外装されたシールド13から電気機器側コネクタ3の取付台座33まで延設されたグランド回路Cの確実な電気的接続が実現される。ひいては、電線10に外装されたシールド13について電位を落とすことができるので、外部の電磁波ノイズが芯線11に侵入することを阻止することが可能となる。また、芯線11から放射される電磁波ノイズを遮断することも可能となる。
【0091】
以上のように、本願発明に係るハーネス側コネクタ2は、電線10と、電線10に接続されたメス型端子24と、電線10を保持するとともにメス型端子24を収容するシールドカバー20と、電線10への電磁波ノイズを遮蔽するシールド13とを備えている。そして、シールドカバー20は、電線10を保持する電線保持部212と、メス型端子24を収容する端子収容部221(被嵌合部222と嵌合部211も含む)とを有し、電線保持部212には、電線保持部212の内側面及び外側面の両方にシールド13に対して電気的に接続されるシールド接続部133,143,134,144が設けられ、端子収容部221,222,211には、シールド接続部133,143,134,144に対して電気的に接続されて電気機器側コネクタ3における取付台座33(グランド箇所G)に接続するグランド接続部200が設けられている。
【0092】
このようなハーネス側コネクタ2によれば、電線10の被覆層12,14に埋設されたシールド13あるいは電線10に外装されたシールド13のいずれに対しても電気的接続を可能とできる。
詳述すると、本願発明に係るハーネス側コネクタ2において、シールドカバー20は、電線10を保持する電線保持部212と、メス型端子24を収容する端子収容部221(被嵌合部222と嵌合部211も含む)とを有している。そして、電線保持部212には、電線保持部212の内側面及び外側面の両方にシールド13に対して電気的に接続されるシールド接続部133,143,134,144が設けられ、端子収容部221,222,211には、シールド接続部133,143,134,144に対して電気的に接続されて電気機器側コネクタ3における取付台座33(グランド箇所G)に接続するグランド接続部200が設けられている。このような構成により、電線10の被覆層12,14にシールド13が埋設されている場合は、かかるシールド13に対してシールド接続部133,143を電気的に接続することができる。また、電線10の被覆層15にシールド13が埋設されておらず、シールド13が外装されている場合は、シールド13の末端部分13Eを電線保持部212の内側面に沿うように引き入れて内設することで、かかる末端部分13Eに対してシールド接続部133,143を電気的に接続することができる。他方で、電線保持部212の外側面にもシールド接続部134,144が設けられた構成であるため、シールド13の末端部分13Eを電線保持部212の外側面に沿うように引き出して外設することで、かかる末端部分13Eに対してシールド接続部134,144を電気的に接続することができる。このように、電線10の被覆層12,14に埋設されたシールド13あるいは電線10に外装されたシールド13のいずれに対しても電気的接続を可能とできる。
【0093】
また、本願発明に係るハーネス側コネクタ2において、電線保持部212は、電線10の長手方向(上下方向H)に沿って延設されたベース部213と、ベース部213とともに電線10を把持するカバー部214とを有し、シールド接続部133,143は、ベース部213とカバー部214の両方の内側面における、端子収容部221(被嵌合部222と嵌合部211も含む)から離間した末端部分に配置されている。
【0094】
このようなハーネス側コネクタ2によれば、ベース部213とカバー部214とで電線10を把持することができる。そして、電線10の被覆層12,14にシールド13が埋設されている場合は、かかるシールド13に対してシールド接続部133,143を電気的に接続することができる。また、電線10の被覆層15にシールド13が埋設されておらず、シールド13が外装されている場合は、シールド13の末端部分13Eを電線保持部212の内側面に沿うように引き入れて内設することで、かかる末端部分13Eに対してシールド接続部133,143を電気的に接続することができる。したがって、電線10及びシールド13がいずれの態様であったとしても、シールド13とシールド接続部133,143との容易かつ確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、電線10が振れたり引っ張られたりしても、シールド13とシールド接続部133,143との電気的接続が不安定にならず、さらには電線10とメス型端子24の接続部分に大きな負荷が作用することも防止できる。
【0095】
また、本願発明に係るハーネス側コネクタ2において、シールド接続部133,143には、シールド13に向かって突出する突出部13b,14bが設けられている。
このようなハーネス側コネクタ2によれば、ベース部213とカバー部214とで電線10を把持した状態において、金属線や金属箔にて形成されたシールド13に突出部13b,14bが食い込むこととなる。したがって、シールド13とシールド接続部133,143との容易かつより確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、電線10が振れたり引っ張られたりしても、シールド13とシールド接続部133,143との電気的接続が不安定にならず、さらには電線10とメス型端子24の接続部分に大きな負荷が作用することも防止できる。
【0096】
また、本願発明に係るハーネス側コネクタ2において、電線10の被覆層12,15を拘束する被覆層拘束部132,142が設けられ、被覆層拘束部132,142は、ベース部213とカバー部214の両方の内側面における、端子収容部221(被嵌合部222と嵌合部211も含む)とシールド接続部133,143との間に配置されている。
【0097】
このようなハーネス側コネクタ2によれば、電線10の被覆層12,14にシールド13が埋設されている場合は、かかるシールド13よりも内側の被覆層12を把持して拘束することができ、同時にシールド13に対してシールド接続部133,143を電気的に接続することができる。また、電線10の被覆層15にシールド13が埋設されておらず、シールド13が外装されている場合は、電線10の被覆層15を把持して拘束することができ、同時にシールド13の末端部分13Eを電線保持部212の内側面に沿うように引き入れて内設することで、かかる末端部分13Eに対してシールド接続部133,143を電気的に接続することができる。したがって、電線10及びシールド13がいずれの態様であったとしても、電線10の確実な拘束ならびにシールド13とシールド接続部133,143との容易かつ確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、電線10が振れたり引っ張られたりしても、電線10とメス型端子24の接続部分に大きな負荷が作用することを防止できる。
【0098】
また、本願発明に係るハーネス側コネクタ2において、被覆層拘束部132,142には、被覆層12,15に向かって突出する突出部13a,14aが設けられている。
このようなハーネス側コネクタ2によれば、ベース部213とカバー部214とで電線10を把持した状態において、ポリ塩化ビニル等にて形成された被覆層12,15に突出部13a,14aが食い込むこととなる。したがって、電線10が振れたり引っ張られたりしても、電線10とメス型端子24の接続部分に大きな負荷が作用することを防止できる。また、被覆層12,15の周方向に沿って突出部13a,14aが食い込む場合は、電線10を伝う水に対する遮水性をも確保することが可能となる。
【0099】
また、本願発明に係るハーネス側コネクタ2において、ベース部213に対してカバー部214を固定する固定ボルト292が設けられている。
このようなハーネス側コネクタ2によれば、簡素な構造でありながら高い信頼性をもって、シールド13とシールド接続部133,143との容易かつより確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、カバー部214のみにシールド接続部143が設けられた構成においては、かかる固定ボルト292をベース部213への導電路として利用することも可能となる。
【0100】
また、本願発明に係るハーネス側コネクタ2において、電線10は、芯線11と、芯線11を覆う被覆層12と、被覆層12を覆うシールド13と、シールド13を覆う被覆層14とを有し、被覆層拘束部132,142が被覆層12を拘束するとともにシールド接続部133,143がシールド13に当接する。
【0101】
このようなハーネス側コネクタ2によれば、被覆層14やシールド13が剥かれて露出した内側の被覆層12を被覆層拘束部132,142にて拘束することができ、同時に被覆層14が剥かれて露出したシールド13に対してシールド接続部133,143を電気的に接続することができる。したがって、電線10の被覆層12,14にシールド13が埋設されている構成において、電線10の確実な拘束ならびにシールド13とシールド接続部133,143との容易かつ確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、電線10が振れたり引っ張られたりしても、電線10とメス型端子24の接続部分に大きな負荷が作用することを防止できる。
【0102】
また、本願発明に係るハーネス側コネクタ2において、電線10は、芯線11と、芯線11を覆う被覆層15とを有し、シールド13は、二本の電線10に外装された状態で、シールド13の末端部分13Eがベース部213とカバー部214の内側面に沿って内設され、被覆層拘束部132,142が被覆層15を拘束するとともにシールド接続部133,143がシールド13に当接する。
【0103】
このようなハーネス側コネクタ2によれば、電線10の被覆層15を被覆層拘束部132,142にて拘束することができ、同時に電線10に外装されたシールド13における電線保持部212の内側面に沿うように内設された末端部分13Eに対してシールド接続部133,143を電気的に接続することができる。したがって、電線10の被覆層15にシールド13が埋設されておらず、シールド13が外装されている構成において、電線10の確実な拘束ならびにシールド13とシールド接続部133,143との容易かつ確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、電線10が振れたり引っ張られたりしても、電線10とメス型端子24の接続部分に大きな負荷が作用することを防止できる。
【0104】
また、本願発明に係るハーネス側コネクタ2において、二本の電線10を備え、電線10と電線10の間において、ベース部213の内側面とカバー部214の内側面とが所定の間隔を隔てて対向している。
【0105】
このようなハーネス側コネクタ2によれば、電線10と電線10の間に空間21Sが形成されるため、かかる空間21Sにシールド13の末端部分13Eが収まることとなる。そのため、シールド13の末端部分13Eが挟まることに起因して電線10の拘束力が不安定になることを防止できる。また、シールド13とシールド接続部133,143との電気的接続が不安定になることも防止できる。
【0106】
また、本願発明に係るハーネス側コネクタ2において、シールド接続部133,143とグランド接続部200とがシールドカバー20を介して電気的に接続されている。
このようなハーネス側コネクタ2によれば、シールドカバー20をグランド接続部200への導電路として利用することができるとともに、シールドカバー20に収容されたメス型端子24に対する電磁シールド性をも確保することが可能となる。
【0107】
また、本願発明に係るハーネス側コネクタ2において、取付台座33(グランド箇所G)に対してシールドカバー20を連結する連結ボルト293が設けられている。
このようなハーネス側コネクタ2によれば、簡素な構造でありながら高い信頼性をもって、電気機器側コネクタ3における取付台座33(グランド箇所G)とグランド接続部200との容易かつより確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、かかる連結ボルト293を取付台座33(グランド箇所G)への導電路として利用することも可能となる。
【0108】
また、本願発明に係るハーネス側コネクタ2において、ベース部213とカバー部214の両方の外側面にもシールド接続部134,144が設けられ、シールド13は、二本の電線10に外装された状態で、シールド13の末端部分13Eがベース部213とカバー部214の外側面に沿って外設され、シールド接続部134,144とシールド13の末端部分13Eとが当接するように末端部分13Eを拘束するクランプ294を備えている。
【0109】
このようなハーネス側コネクタ2によれば、電線10に外装されたシールド13における電線保持部212の外側面に沿うように外設された末端部分13Eに対してシールド接続部134,144を電気的に接続することができる。したがって、電線10の被覆層15にシールド13が埋設されておらず、シールド13が外装されている構成において、シールド13とシールド接続部134,144との容易かつ確実な電気的接続を実現することが可能となる。また、電線10が振れたり引っ張られたりしても、電線10とメス型端子24の接続部分に大きな負荷が作用することを防止できる。
【0110】
加えて、本願発明に係るコネクタ接続構造1は、ハーネス側コネクタ2と電気機器側コネクタ3が互いに接続される構造である。ハーネス側コネクタ2は、電線10を保持する電線保持部212と、電線10に接続されたメス型端子24を収容する端子収容部221(被嵌合部222と嵌合部211も含む)とを有し、電線保持部212には、電線保持部212の内側面及び外側面の両方に電線10への電磁波ノイズを遮蔽するシールド13に対して電気的に接続されるシールド接続部133,143,134,144が設けられ、端子収容部221,222,211には、シールド接続部133,143,134,144に対して電気的に接続されるグランド接続部200が設けられ、電気機器側コネクタ3は、ハーネス側コネクタ2と接続した状態において、グランド接続部200と接続する取付台座33(グランド箇所G)を有している。
【0111】
このようなコネクタ接続構造1によれば、電線10の被覆層12,14に埋設されたシールド13あるいは電線10に外装されたシールド13のいずれに対しても電気的接続を可能とできる。すなわち、電線10の被覆層12,14にシールド13が埋設されている場合は、かかるシールド13に対してシールド接続部133,143を電気的に接続することができる。また、電線10の被覆層15にシールド13が埋設されておらず、シールド13が外装されている場合は、シールド13の末端部分13Eを電線保持部212の内側面に沿うように引き入れて内設することで、かかる末端部分13Eに対してシールド接続部133,143を電気的に接続することができる。他方で、電線保持部212の外側面にもシールド接続部134,144が設けられた構成であるため、シールド13の末端部分13Eを電線保持部212の外側面に沿うように引き出して外設することで、かかる末端部分13Eに対してシールド接続部134,144を電気的に接続することができる。このように、電線10の被覆層12,14に埋設されたシールド13あるいは電線10に外装されたシールド13のいずれに対しても電気的接続を可能とできる。
【0112】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
コネクタ接続構造はコネクタ接続構造1に対応し、
第一コネクタはハーネス側コネクタ2に対応し、
コネクタはハーネス側コネクタ2に対応し、
第二コネクタは電気機器側コネクタ3に対応し、
相手側コネクタは電気機器側コネクタ3に対応し、
電線は電線10に対応し、
芯線は芯線11に対応し、
シールドはシールド13に対応し、
被覆層は被覆層12,14,15に対応し、
被覆層拘束部は被覆層拘束部132,142に対応し、
突出部は突出部13a,14aに対応し、
シールド接続部はシールド接続部133,143,134,144に対応し、
突出部は突出部13b,14bに対応し、
筐体はシールドカバー20に対応し、
端子はメス型端子24に対応し、
グランド箇所は取付台座33に対応し、
グランド接続部はグランド接続部200に対応し、
電線保持部は電線保持部212に対応し、
ベース部はベース部213に対応し、
カバー部はカバー部214に対応し、
端子収容部は端子収容部221と被嵌合部222と嵌合部211に対応し、
ボルトは固定ボルト292に対応し、
ボルトは連結ボルト293に対応するも、
この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0113】
例えば、本願発明に係るハーネス側コネクタ2においては、電線10がシールド電線である場合の内側の被覆層12の直径と電線10がノンシールド電線である場合の被覆層15の直径とが等しいものとされている。そのため、被覆層拘束部132,142は、これらの被覆層12,15を拘束することができる。しかしながら、
図19に示すように、被覆層12,15に外嵌されるスリーブ16を備え、被覆層拘束部132,142がスリーブ16を介して被覆層12,15を拘束するとしてもよい。
【0114】
このようなハーネス側コネクタ2によれば、電線10の被覆層12,14にシールド13が埋設されている構成において、被覆層12の直径が小さくとも、かかる被覆層12に外嵌されたスリーブ16を介して確実に拘束することができる(
図19(a)参照)。同様に、電線10の被覆層15にシールド13が埋設されておらず、シールド13が外装されている構成において、被覆層15の直径が小さくとも、かかる被覆層12に外嵌されたスリーブ16を介して確実に拘束することができる(
図19(b)参照)。
【0115】
また、本願発明に係るハーネス側コネクタ2においては、端子収容部221と被嵌合部222と嵌合部211とが一体となってメス型端子24を収容する空間を構成する。そして、これらによってグランド接続部200を構成している。しかしながら、端子収容部221と被嵌合部222と嵌合部211の少なくとも一つがグランド接続部200を構成してもよい。
【0116】
さらに、本願発明に係るハーネス側コネクタ2においては、ベース部213に対してカバー部214を固定する固定ボルト292が設けられている。しかしながら、ベース部213にカバー部214を挿通するスタッドボルトが植設されており、かかるスタッドボルトに対してナットを締め付けるとしてもよい。その他の螺合して締め付けるものであればよいものとする。
【0117】
加えて、本願発明に係るハーネス側コネクタ2においては、取付台座33(グランド箇所G)に対してシールドカバー20を連結する連結ボルト293が設けられている。しかしながら、取付台座33(グランド箇所G)にハーネス側コネクタ2を挿通するスタッドボルトが植設されており、かかるスタッドボルトに対してナットを締め付けるとしてもよい。その他の螺合によって締め付けるものであればよいものとする。
【0118】
さらに加えて、本願発明に係るハーネス側コネクタ2においては、シールド13の末端部分13Eを電線保持部212の内側面に沿うように引き入れて内設する、あるいはシールド13の末端部分13Eを電線保持部212の外側面に沿うように引き出して外設することで、かかるシールド13に対して電気的接続を可能としている。しかしながら、シールド13の末端部分13Eをベース部213の内側面に沿うようにして内設しつつ、カバー部214の外側面に沿うようにして外設してもよい。あるいはカバー部214の内側面に沿うようにして内設しつつ、シールド13の末端部分13Eをベース部213の外側面に沿うようにして外設してもよい。
【符号の説明】
【0119】
1…コネクタ接続構造
2…ハーネス側コネクタ
3…電気機器側コネクタ
10…電線
11…芯線
13…シールド
12,14,15…被覆層
132,142…被覆層拘束部
13a,14a…突出部
133,143,134,144…シールド接続部
13b,14b…突出部
20…シールドカバー
24…メス型端子
33…取付台座
200…グランド接続部
212…電線保持部
213…ベース部
214…カバー部
221,222,211…端子収容部
292…固定ボルト
293…連結ボルト