(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121548
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】表示方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240830BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240830BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20240830BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20240830BHJP
G09G 5/22 20060101ALI20240830BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20240830BHJP
【FI】
G05B23/02 301N
G05B23/02 301Q
G09G5/00 510D
G09G5/36 100
G09G5/38
G09G5/00 510H
G09G5/00 550C
G09G5/22 630M
G06F3/04817
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028701
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】青井 良太
(72)【発明者】
【氏名】福元 敏之
【テーマコード(参考)】
3C223
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
3C223AA11
3C223AA13
3C223BA03
3C223FF03
3C223FF09
3C223FF24
3C223GG01
3C223HH04
3C223HH13
3C223HH14
5C182AB19
5C182AC02
5C182AC33
5C182BA06
5C182BA23
5C182BA28
5C182BA65
5C182CA21
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB41
5E555AA24
5E555AA26
5E555BA42
5E555BB37
5E555BC15
5E555DB18
5E555DB56
5E555DC13
5E555DC26
5E555DC29
5E555DC73
5E555DD03
5E555DD06
5E555EA02
5E555EA09
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】基板処理装置に関する時系列データに含まれる特定波形の視認性を高める。
【解決手段】周期的に検出された基板処理装置に関する時系列データを表示する処理をコンピュータが実行する表示方法であって、前記時系列データを取得する処理と、取得した前記時系列データから予め設定されたルールに基づき特定波形を抽出する処理と、抽出した前記特定波形に対応する位置にアイコンを表示する処理と、を含む、表示方法が提供される。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に検出された基板処理装置に関する時系列データを表示する処理をコンピュータが実行する表示方法であって、
前記時系列データを取得する処理と、
取得した前記時系列データから予め設定されたルールに基づき特定波形を抽出する処理と、
抽出した前記特定波形に対応する位置にアイコンを表示する処理と、を含む、表示方法。
【請求項2】
前記表示する処理は、取得した前記時系列データを所定頻度で間引いた残りの前記時系列データを表示するとともに、抽出した前記特定波形の表示の有無にかかわらず前記位置に前記アイコンを表示する、
請求項1記載の表示方法。
【請求項3】
前記表示する処理は、前記アイコンに対する操作を受け付けると、操作を受け付けた前記アイコンに紐づく前記特定波形を拡大して表示する、
請求項1又は請求項2に記載の表示方法。
【請求項4】
取得した前記時系列データは、前記時系列データのそれぞれの検出時間を含み、
前記表示する処理は、前記アイコンに対する操作を受け付けると、操作を受け付けた前記アイコンに紐づく前記特定波形に対応する前記時系列データの検出時間を表示する、
請求項1又は請求項2に記載の表示方法。
【請求項5】
前記表示する処理は、前記アイコンの表示とともに、抽出した前記特定波形の種類を示す情報を表示する、
請求項1又は請求項2に記載の表示方法。
【請求項6】
前記表示する処理は、前記アイコンにより、抽出した前記特定波形の種類を示す情報を表示する、
請求項1又は請求項2に記載の表示方法。
【請求項7】
前記取得する処理は、前記基板処理装置に配置した複数のセンサにより周期的に検出されたセンサ毎の時系列データを取得し、
前記特定波形を抽出する処理は、取得した前記センサ毎に、予め設定されたルールに基づき、前記センサ毎の時系列データから前記センサ毎の特定波形を抽出し、
前記表示する処理は、前記センサ毎の時系列データを並行して表示し、前記センサ毎に抽出した前記特定波形に対応する位置にアイコンを表示する、
請求項1又は請求項2に記載の表示方法。
【請求項8】
基板処理装置に接続される情報処理装置であって、
周期的に検出された前記基板処理装置に関する時系列データを取得する情報取得部と、
取得した前記時系列データから予め設定されたルールに基づき特定波形を抽出する演算部と、
抽出した前記特定波形に対応する位置にアイコンを表示する表示制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項9】
周期的に検出された基板処理装置に関する時系列データを表示する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記時系列データを取得する処理と、
取得した前記時系列データから予め設定されたルールに基づき特定波形を抽出する処理と、
抽出した前記特定波形に対応する位置にアイコンを表示する処理と、を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示方法、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置に関するデータを表示する際、視認性を向上させることにより、異常の検出精度を高める技術が提案されている。例えば、特許文献1は、基板処理装置に関するデータを表示する画面の視認性を向上させる技術を提案している。特許文献1では、画面の前景色、及び前景色に対する背景色のコントラスト比を算出するコントラスト比算出手段、及び基板処理装置に関するデータを表示する画面の1つ以上の前景色と、前景色に対する背景色とのコントラスト比が規定値以上となるように、前景色を前景ごとに選択する色選択手段を有し、選択した前景色及び前景色に対する背景色に基づいた画面を表示部に表示させる。
【0003】
例えば、特許文献2は、障害に至るまでの経緯の把握及び障害発生箇所の特定を容易にすることができる基板処理システムを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-48029号公報
【特許文献2】特許7186236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、基板処理装置に関する時系列データに含まれる特定波形の視認性を高める技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、周期的に検出された基板処理装置に関する時系列データを表示する処理をコンピュータが実行する表示方法であって、前記時系列データを取得する処理と、取得した前記時系列データから予め設定されたルールに基づき特定波形を抽出する処理と、抽出した前記特定波形に対応する位置にアイコンを表示する処理と、を含む、表示方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、基板処理装置に関する時系列データに含まれる特定波形の視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る基板処理システムの全体構成の一例を示す図。
【
図2】一実施形態に係る基板処理装置の一例を示す概略図。
【
図3】一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図4】一実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示す図。
【
図5】一実施形態に係る情報取得方法の一例を示すフローチャート。
【
図6】一実施形態に係る表示方法(波形抽出)の一例を示すフローチャート。
【
図7】
図6の表示方法(波形抽出)を説明するための図。
【
図8】セグメント分割方法の一例を示すフローチャート。
【
図10】一実施形態に係る表示方法(画面表示)の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
[基板処理システム]
一実施形態に係る基板処理システムの全体構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における基板処理システムの全体構成の一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、基板処理システムSysは、工場a内に基板処理装置120a1~120a3と、制御装置121a1~121a3とを有する。基板処理装置120a1~120a3と制御装置121a1~121a3とは、有線又は無線により接続される。
【0012】
また、基板処理システムSysは、工場b内に基板処理装置120b1、120b2と、制御装置121b1、121b2とを有する。基板処理装置120b1、120b2と制御装置121b1、121b2とは、有線又は無線により接続される。
【0013】
また、基板処理システムSysは、工場c内に基板処理装置120c1、120c2と、制御装置121c1、121c2とを有する。基板処理装置120c1、120c2と制御装置121c1、121c2とは、有線又は無線により接続される。
【0014】
基板処理装置120a1~120a3、基板処理装置120b1、120b2、基板処理装置120c1、120c2は、ネットワークN1~N3を介してそれぞれホスト装置110a、110b、110cと接続されている。ホスト装置110a、110b、110cからの指示に基づく各制御装置の制御により、各基板処理装置が基板処理を実行する。ホスト装置110a、110b、110cは、インターネットなどのネットワークN4を介してサーバ装置150に接続されている。
【0015】
以下の説明では、基板処理装置120a1~120a3、120b1、120b2、120c1、120c2を総称して基板処理装置120ともいう。また、制御装置121a1~121a3、121b1、121b2、121c1、121c2を総称して制御装置121ともいう。ホスト装置110a、110b、110cを総称してホスト装置110ともいう。
【0016】
基板処理装置120a1~120a3、基板処理装置120b1、120b2、基板処理装置120c1、120c2は、それぞれが管理する多岐にわたる時系列データを自装置内に蓄積しているものとする。
【0017】
情報処理装置140は、基板処理装置120a1を含む基板処理装置120に接続されることで、基板処理装置120のそれぞれに蓄積された時系列データを継続的に取得する。
図1の例は、情報処理装置140が基板処理装置120a1に接続された様子を示しているが、これに限らない。以下、本実施形態では、情報処理装置140が基板処理装置120a1に接続される場合の詳細について説明する。
【0018】
なお、情報処理装置140は、基板を処理する基板処理装置120と通信可能であり、周期的に検出した基板処理装置120に関する時系列データの表示を制御する装置の一例である。また、
図1に示す基板処理システムSysは一例であり、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があることは言うまでもない。
図1に示す基板処理装置120、制御装置121、ホスト装置110、サーバ装置150のような装置の区分は一例である。例えば、基板処理装置120の個数、制御装置121の個数、工場の個数、ホスト装置110の個数等は一例であり、これに限らない。
【0019】
例えば、基板処理システムSysは、基板処理装置120、制御装置121、ホスト装置110、サーバ装置150の少なくとも2つが一体化された構成や、更に分割された構成等、様々な構成が可能である。例えば、制御装置121は、複数台の基板処理装置120をまとめて制御できるようにしてもよいし、基板処理装置120に対して一対一に設けるようにしてもよいし、基板処理装置120と一体化されてもよい。
【0020】
また、情報処理装置140が基板処理装置120a1と接続されている例を挙げたが、情報処理装置140は、他の基板処理装置120にも接続されてもよい。他の情報処理装置140が、他の基板処理装置120a2等に対して一対一に接続されてもよい。
【0021】
情報処理装置140は、ホスト装置110によって実現してもよいし、サーバ装置150によって実現してもよい。また、情報処理装置140は、制御装置121によって実現してもよい。情報処理装置140は、複数の制御装置121を纏めて制御する制御装置(図示しない)によって実現してもよい。これらの場合、情報処理装置140は不要となる。
【0022】
[基板処理装置]
次に、
図2を参照し、一実施形態に係る基板処理装置の一例について説明する。
図2は、一実施形態に係る基板処理装置の一例を示す概略図である。基板処理装置120は、処理容器内において、基板保持具に複数の基板を多段に保持した状態で、複数の基板に対し熱処理を実行できるバッチ式の熱処理装置である。ただし、基板処理装置は、バッチ式の熱処理装置に限定されるものではなく、例えば枚葉式の処理装置にも適用可能である。
【0023】
図6に示されるように、基板処理装置120は、処理容器34と、蓋体36と、ウエハボート38と、ガス供給手段40と、排気手段41と、ヒータ42とを有する。
【0024】
処理容器34は、ウエハボート38を収容する縦長の容器である。ウエハボート38は、多数枚の半導体ウエハ(以下「ウエハW」という。)を所定の間隔で保持する基板保持具である。処理容器34は、下端が開放された有天井の円筒形状の内管44と、下端が開放されて内管44の外側を覆う有天井の円筒形状の外管46とを有する。内管44及び外管46は、石英等の耐熱性材料により形成されており、同軸状に配置されて二重管構造となっている。
【0025】
内管44の天井部44Aは、例えば平坦になっている。内管44の一側には、その長手方向(上下方向)に沿ってガス供給管を収容するノズル収容部48が形成されている。ノズル収容部48に対向させて内管44の反対側の側壁には、その長手方向(上下方向)に沿って矩形状の開口52が形成されている。
【0026】
開口52は、内管44内のガスを排気できるように形成されたガス排気口である。開口52の長さは、ウエハボート38の長さと同じであるか、又は、ウエハボート38の長さよりも長く上下方向へそれぞれ延びるようにして形成されている。
【0027】
処理容器34の下端は、例えばステンレス鋼により形成される円筒形状のマニホールド54によって支持されている。マニホールド54の上端にはフランジ部56が形成されており、フランジ部56上に外管46の下端を設置して支持するようになっている。フランジ部56と外管46との下端との間にはOリング等のシール部材58を介在させて外管46内を気密状態にしている。
【0028】
マニホールド54の上部の内壁には、円環状の支持部60が設けられており、支持部60上に内管44の下端を設置してこれを支持するようになっている。マニホールド54の下端の開口には、蓋体36がOリング等のシール部材62を介して気密に取り付けられており、処理容器34の下端の開口、即ち、マニホールド54の開口を気密に塞ぐようになっている。蓋体36は、例えばステンレス鋼により形成される。
【0029】
蓋体36の中央部には、磁性流体シール部64を介して回転軸66が貫通させて設けられている。回転軸66の下部は、ボートエレベータよりなる昇降手段68のアーム68Aに回転自在に支持されている。
【0030】
回転軸66の上端には回転プレート70が設けられており、回転プレート70上に石英製の保温台72を介してウエハWを保持するウエハボート38が載置されるようになっている。従って、昇降手段68を昇降させることによって蓋体36とウエハボート38とは一体として上下動し、ウエハボート38を処理容器34内に対して挿脱できるようになっている。
【0031】
ガス供給手段40は、マニホールド54に設けられており、内管44内へ成膜ガス、エッチングガス、パージガス等のガスを導入する。ガス供給手段40は、複数(例えば3本)の石英製のガス供給管76,78,80を有している。各ガス供給管76,78,80は、内管44内にその長手方向に沿って設けられると共に、その基端がL字状に屈曲されてマニホールド54を貫通するようにして支持されている。
【0032】
ガス供給管76,78,80は、内管44のノズル収容部48内に周方向に沿って一列になるように設置されている。各ガス供給管76,78,80には、その長手方向に沿って所定の間隔で複数のガス孔が形成されており、各ガス孔より水平方向に向けて各ガスを放出できるようになっている。
図6では、ガス供給管76のガス孔76Aのみ示す。所定の間隔は、例えばウエハボート38に支持されるウエハWの間隔と同じになるように設定される。また、高さ方向の位置は、各ガス孔76A等が上下方向に隣り合うウエハW間の中間に位置するように設定されており、各ガスをウエハW間の空間部に効率的に供給できるようになっている。ガスの種類としては、成膜ガス、エッチングガス、及びパージガスが用いられ、各ガスを流量制御しながら必要に応じて各ガス供給管76,78,80を介して供給できるようになっている。
【0033】
マニホールド54の上部の側壁であって、支持部60の上方には、ガス出口82が形成されており、内管44と外管46との間の空間部84を介して開口52より排出される内管44内のガスを排気できるようになっている。ガス出口82には、排気手段41が設けられる。排気手段41は、ガス出口82に接続された排気通路86を有しており、排気通路86には、圧力調整弁88及び真空ポンプ90が順次介設されて、処理容器34内を真空引きできるようになっている。
【0034】
外管46の周囲には、外管46を覆うように円筒形状のヒータ42が設けられている。ヒータ42は、処理容器34内に収容されるウエハWを加熱する加熱手段である。ヒータ42は、複数の加熱領域に区分されており、鉛直方向の上側から下側に向かって、ヒータ42a~42eが設けられている。ヒータ42a~42eは、それぞれ電力制御器43a~43eによって独立して発熱量が制御される。
【0035】
また、内管44の内壁の近傍には、温度センサA1~A5を有する熱電対構造が設けられている。温度センサA1~A5は、ヒータ42a~42eに対応して高さ方向に均等な間隔で、処理容器34内の温度を検出する。
【0036】
基板処理装置120の全体の動作は、制御装置121により制御される。制御装置121は、熱電対構造により計測される温度に基づいて、電力制御器43a~43eを制御することにより、ヒータ42a~42eの発熱量を制御する。制御装置121は、例えばコンピュータ等であってよい。また、基板処理装置120の全体の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0037】
基板処理装置120は、各種センサを有する。基板処理装置120が有するセンサとしては、温度センサA1~A5、流量制御器、圧力センサ、湿度センサ等が挙げられる。カメラをセンサとして機能させ、カメラが撮影する画像データをセンサデータの一例として用いてもよい。制御装置121は、基板処理装置120の動作を制御する。制御装置121は、各種センサが検出したセンサデータを収集する。収集したセンサデータには各センサデータの検出時間が含まれる。
【0038】
[ハードウェア構成]
図1に示す基板処理システムSysに含まれる情報処理装置140、制御装置121、ホスト装置110及びサーバ装置150は、例えば
図3に示すようなハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。
図3は、本実施形態におけるコンピュータ500のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0039】
図3に示されているように、本実施形態におけるコンピュータ500は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503を有する。さらに、コンピュータ500は、I/Oポート504、操作パネル505、HDD506(Hard Disk Drive)を有する。各部はバスBによって接続されている。
【0040】
CPU501は、ROM502やHDD506などの記憶装置からプログラムやデータをRAM503上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0041】
ROM502は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスク等により構成され、CPU501が使用するプログラムやレシピ等を記憶する記憶媒体である。RAM503は、CPU501のワークエリア等として機能する。
【0042】
I/Oポート504は、温度、圧力、ガス流量等を検出する各種センサの値を基板処理装置に取り付けられた各種センサから取得し、CPU501に送信する。また、I/Oポート504は、CPU501が出力する制御信号を基板処理装置120の各部へ出力する。また、I/Oポート504には、ユーザが基板処理装置120を操作する操作パネル505が接続されている。
【0043】
HDD506は補助記憶装置であり、プロセスレシピやプログラム等が格納されてもよい。また、HDD506には、各種センサが計測したセンサデータ(計測値)のログ情報が格納されてもよい。
【0044】
[情報処理装置の機能構成]
一実施形態に係る情報処理装置140の機能構成について、
図4を参照しながら説明する。情報処理装置140は、プロセス監視部111、情報取得部112、演算部113、操作受付部114、表示制御部115及び記憶部116を有する。
【0045】
プロセス監視部111は、制御装置121が制御し、基板処理装置120が実行する基板処理(プロセス)を監視する。制御装置121は、昇降手段68を制御してウエハボート38を上昇させ、処理容器34内へと搬入する。制御装置121は、記憶部116に記憶されたプロセスレシピに基づき基板処理装置120によって実行される成膜処理、クリーニング処理等の基板処理の実行を制御する。基板処理を実行した後、制御装置121は昇降手段68を制御してウエハボート38を下降させ、処理容器34内から搬出する。
【0046】
情報取得部112は、周期的に検出された基板処理装置120に関する時系列データを含むログ情報を取得する。情報取得部112は、プロセス監視部111により監視されたプロセス及びプロセス結果に関するログ情報を取得してもよい。情報取得部112は、例えば基板処理装置120に取り付けられた温度センサA1~A5を含む各種センサにより計測された計測値と計測日時とを含むログ情報を取得してもよい。情報取得部112は、プロセスレシピの実行開始から実行終了までに収集されたログ情報を取得してもよい。情報取得部112が収集した基板処理装置120に関する時系列データを含むログ情報は、計測値データベース117に蓄積される。
【0047】
計測値データベース117に蓄積される情報には、用力データのログ情報及びセンサデータのログ情報が含まれる。用力データとしては、製品の製造のために必要なプロセスガス等のガス流量、冷却水総流量、ヒータ電力量等が挙げられる。センサデータとしては、温度センサA1~A5が検出した温度データ、供給したRF電力の反射波強度等、各種センサが検出した、基板処理装置120に関するデータが挙げられる。
【0048】
情報取得部112は、計測値データベース117に保存したログ情報に含まれる各センサの時系列データに、後述するセグメント情報を付加したセンサ毎の時系列データ118a~118xを記憶する。各センサの時系列データは、周期的に検出した基板処理装置120に関する時系列データの一例である。時系列データには、時系列データのそれぞれの検出時間情報が含まれる。
【0049】
なお、計測値データベース117は、情報処理装置140の内部メモリ(RAM103等)に保存されてもよいし、ネットワークを介して情報処理装置140に接続された外部メモリに保存されてもよい。外部メモリは、例えばクラウドサービスで提供されるメモリであってもよい。
【0050】
演算部113は、取得した時系列データから予め設定されたルールに基づき特定波形を抽出する。特定波形の抽出方法は限定されないが、一例としては密度推定法を使用して時系列データを複数のセグメントに分割する方法が挙げられる。この方法については後述する。
【0051】
表示制御部115は、時系列データを表示し、抽出した特定波形に対応する位置にその特定波形に紐づくアイコンを表示するように制御する(
図11のアイコンI参照)。
【0052】
データを表示するモニタの解像度は、例えば横方向に1,080ピクセル、4K対応のモニタの場合でも横方向に2,160ピクセル程度である。この数値がモニタの横方向に表示できるデータの最大点数となる。
【0053】
これに対し、1秒周期でセンサデータを検出する場合、あるセンサが検出する時系列データは1時間で3600点である。レシピの実行時間は数時間から数十時間であり、その場合、3600点の数倍から数十倍のデータ量になる。また、0.1秒周期でセンサデータを検出する場合、あるセンサが検出する時系列データは1時間で36000点となる。よって、時系列データの全点を一度にモニタ内に波形表示(「チャート表示」ともいう。)することはできない。
【0054】
また、チャートを拡大することで全点を表示することも考えられるが、拡大する前には異常波形と疑われる部分を表示できず、チェックすべき波形を見逃しやすい。また、チャートの一部を拡大することによってすべての範囲の時系列データを確認するには時間と労力がかかり現実的ではない。
【0055】
したがって、表示制御部115は、取得した時系列データを所定頻度で間引いた後の残りの時系列データの波形を表示する。このとき、間引かれた時系列データにスパイク等の異常波形が含まれることがあり、この場合、その時系列データの位置に異常波形が描画されない可能性がある。
【0056】
一方、センサが検出した時系列データに見られる異常波形は、半導体プロセスの過程においてプロセス結果に影響を及ぼす可能性がある。例えば、温度センサA1~A5が検出した時系列データを所定の頻度で間引く。時系列データに含まれる異常波形を示すデータが間引かれたデータ中に存在する場合、表示された時系列データからは温度の異常等を検知できない可能性が生じる。この結果、異常発生箇所の特定等が遅れ、温度分布の不均一による成膜レートの偏り等、プロセス結果に影響を及ぼす可能性がある。
【0057】
そこで、表示制御部115は、時系列データを表示し、時系列データのうちの特定波形に対応する位置にアイコンを表示するように制御する。表示制御部115は、時系列データの全点を一度にモニタに表示できない場合、時系列データを所定頻度で間引きながら、間引いた後の残りの時系列データをチャート表示する。表示制御部115は、時系列データの一部が間引かれたことにより特定波形が表示されない場合であっても、特定波形の表示の有無にかかわらず特定波形が表示されるべき位置の近くにアイコンを表示する。
【0058】
アイコンには、特定波形毎に紐づけられた複数種類のアイコンが予め用意されてもよい。表示制御部115は、抽出した特定波形の種類に応じて、予め特定波形毎に紐づけられた異なるアイコンを表示してもよい。これにより、アイコンによって、ユーザに特定波形の存在を知らせ、異常波形の可能性を注意喚起することができる。この結果、ユーザは、スパイクなど異常波形を見逃すことがなくなる。また、ユーザは、トラブル調査において、いち早く異常個所にたどり着くことができる。また、ユーザは、定常的に行うデータの確認作業においてもアイコン表示によって、確実に異常個所に気づくことができ、労力を低減させつつトラブルを未然に防止することができる。
【0059】
操作受付部114は、アイコンに対するユーザ操作を受け付ける。例えば、ユーザがアイコンに対してクリック操作、タップ操作、押下操作等の操作を行うと、操作受付部114は、このユーザ操作を受け付ける。
【0060】
表示制御部115は、操作受付部114がユーザ操作を受け付けると、操作を受け付けたアイコンに紐づく特定波形を拡大して表示してもよい。これにより、ユーザに実際の特定波形を見てもらうことができる。
【0061】
表示制御部115は、操作受付部114がユーザ操作を受け付けると、操作を受け付けたアイコンに紐づく特定波形のデータの検出時間を表示してもよい。
【0062】
記憶部116が、特定波形に紐づけて特定波形の種類を記憶している場合、表示制御部115は、記憶部116を参照し、特定波形に対応する位置にアイコンを表示するとともに、そのアイコンに紐づく特定波形の種類を示す情報を表示してもよい。
【0063】
基板処理装置120には、温度センサA1~A5(
図2参照)等、複数のセンサが配置されている。情報取得部112は、基板処理装置120に配置された複数のセンサのそれぞれにより周期的に検出されたセンサ毎の時系列データを取得する。演算部113は、取得したセンサ毎に予め設定されたルールに基づき、センサ毎の時系列データのそれぞれから特定波形を抽出する。表示制御部115は、センサ毎の複数の時系列データを並行して表示し、センサ毎に抽出した特定波形に対応する位置にアイコンを表示する。これにより、複数のセンサが検出した各時系列データのそれぞれの特定波形の位置を知らせるアイコンの位置の組み合わせにより、より早く異常波形を見つけ、早期対応を図ることができる。また、ユーザは、定常的に行うデータの確認作業においても、より確実にトラブルの未然防止を図ることができる。
【0064】
プロセス監視部111、演算部113及び表示制御部115の機能は、HDD506からRAM503に展開されたプログラムをCPU501が実行することで実現される。情報取得部112及び操作受付部114の機能は、I/Oポート504及び操作パネル505により実現される。記憶部116は、ROM502、RAM503、HDD506又は外部記憶装置により実現される。なお、情報処理装置140は、プロセス監視部111の機能を有しなくてもよい。
【0065】
[情報取得方法]
次に、一実施形態に係る情報取得方法ST1の一例について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、一実施形態に係る情報取得方法ST1の一例を示すフローチャートである。本処理では、制御装置121により制御され、基板処理装置120により実行される基板処理において収集されたログ情報を、情報処理装置140が制御装置121から取得する。
【0066】
本処理が開始されると、基板処理装置120によるプロセスが開始されたかを判定する(ステップS1)。制御装置121がプロセスレシピに従いプロセスを開始すると、昇降手段68が蓋体36を上昇させることでウエハボート38が処理容器34内へと搬入(ロード)され、処理容器34内に収容される。また、処理容器34内への各種ガス、冷却水、ヒータ電力等が供給される。
【0067】
制御装置121は、プロセス開始から基板処理装置120が有する各種センサによる計測値のログ情報の収集を開始する(ステップS2)。収集する計測値の一例としては、処理容器34内の温度、圧力、プロセスガス流量、冷却水総流量、ヒータ電力量、RF反射波の強度等が挙げられる。制御装置121は、計測値に紐づけて計測日時を記憶する。計測日時は、各種センサが計測値(センサデータ)を計測(検出)した日時であってもよく、各種センサが計測した計測値を制御装置121が取得した日時であってもよい。なお、計測日時は、年月日の情報であってもよいし、年月日に加えて時間の情報を含んでもよい。
【0068】
制御装置121は、プロセスが終了したかを判定する(ステップS3)。制御装置121は、プロセスが終了したと判定するまでステップS2、S3の処理を繰り返し、計測値の収集を続ける。制御装置121がプロセスレシピに従いプロセス終了を指示すると、処理容器34内への各種ガス、冷却水、ヒータ電力等の供給が停止される。
【0069】
また、ウエハボート38は、昇降手段68が蓋体36を下降させることで処理容器34外へと搬出(アンロード)される。
【0070】
制御装置121は、各種センサによる計測値の収集を終了し、収集したログ情報を情報処理装置140に送信する。情報処理装置140は、収集したログ情報を受信し、計測値データベース117に保存し(ステップS4)、本処理を終了する。
【0071】
これにより、各種センサが計測した計測値と計測日時とが紐づけられたログ情報117aが計測値データベース117に蓄積される。これらのログ情報は、センサ毎の時系列データ118毎に記憶され、センサ毎にチャート表示が可能となる。
【0072】
[表示方法]
次に、一実施形態に係る表示方法について、
図6~
図11を参照しながら説明する。
【0073】
(波形抽出)
図6は、一実施形態に係る表示方法(波形抽出)ST2の一例を示すフローチャートである。
図7は、
図6の表示方法(波形抽出)を説明するための図である。
図6の表示方法(波形抽出)は、情報処理装置140により実行される。
【0074】
本処理が開始されると、情報処理装置140の情報取得部112は、計測値データベース117に蓄積されたセンサの時系列データを読み込む(ステップS11)。複数のセンサの時系列データについては、ステップS11においてセンサ毎に周期的に検出された時系列データを読み込み、センサ毎にステップS12~S14の処理を実行する。
【0075】
情報処理装置140の演算部113は、変化度の計算を行う(ステップS12)。変化度の計算方法の一例を示す。ただし、変化度の計算方法はこれに限られず、時系列データが変化している部分かどうかを判定するために、変化の度合いを計算によって数値化できればどのような方法を用いてもよい。
【0076】
一例としては、変化点検知に使われる密度推定法を応用して変化度の計算を行う。演算部113は、各時点とその直前の時点との間の変化の度合いの大きさを数値化する。
図7(a)のグラフの横軸は時間を示し、縦軸(左)はあるセンサが検出したセンサ値aを示し、縦軸(右)は算出された変化度bを示す。
図7(a)のグラフにて実線で示すセンサ値aの時系列データから幅Lの窓の部分時系列データを作成し、隣り合う窓T及び窓T+1の部分時系列データ間の分布の違いを用いるカーネル密度比推定から、データの振る舞いの変化の大きさ(変化度)を数値化する。
【0077】
図7(a)では、各時点を窓T+1で示し、その直前の時点を窓Tで示している。グラフの実線で示すセンサ値aの時系列データに対して、点線は、各時刻におけるセンサ値aの変化度bを示す。
【0078】
変化度bは、例えば
図7(b)に示すように、横軸xのセンサの値に対する縦軸に示す確率分布密度から求める。
図7(b)の点線は、各時点の窓T+1のセンサ値aの確率分布密度を示す。実線は、その直前の時点の窓Tのセンサ値aの確率分布密度を示す。
【0079】
演算部113は、この2つの窓のデータ分布の違いを数値化する。つまり、演算部113は、点線のセンサ値a時系列データの分布と実線のセンサ値a時系列データの分布とを比較し、データ分布の違いを以下の式(1)から対数尤度比の最大値を算出することにより求める。式(1)により算出する対数尤度比の最大値(x)は、各センサ値xの時点(窓T+1)における時系列データの変化度を数値化したものである。
対数尤度比の最大値(x)=max(|ln(fT(x))/(fT+1(x))|) (1)
なお、xはセンサ値である。
【0080】
演算部113は、数値化した変化度に基づき、変化度が予め設定された閾値を超えているタイミングを、変動の起きたタイミングとして時系列データをセグメントに分割する。また、演算部113は、閾値を超えているタイミングの時間の長さ等を基に、各セグメントの種類を決定する。
【0081】
図6に戻り、演算部113は、変化度を用いて時系列データをセグメントに分割する(ステップS13)。セグメント分割及びセグメントの種類の決定については後述する。次に、演算部113は、時系列データを分割した各分割セグメントにセグメント情報を付加する(ステップS14)。次に、表示制御部115は、時系列データの分割セグメントへ付加されたセグメント情報に基づきアイコンの表示位置を決定し(ステップS15)、本処理を終了する。
【0082】
(セグメント分割)
図6のステップS13に示すセグメント分割の詳細について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。
図8は、セグメント分割方法ST3の一例を示すフローチャートである。
図9は、
図8のセグメント分割を説明するための図である。閾値Aは、以下で説明する変化度の度合いを判定するための適正値に予め設定されている。閾値Bは、以下で説明する時系列データの分割後の各分割セグメント内のセンサ値の変化の程度を判定するための適正値に予め設定されている。閾値Cは、以下で説明する各分割セグメントの時間の長さを判定するための適正値に予め設定されている。
【0083】
図8のセグメント分割方法ST3は、
図6のステップS13の実行時に呼び出され、開始される。演算部113は、
図6のステップS12にて算出された変化度が閾値Aよりも大きいかを判定する(ステップS21)。演算部113は、変化度が閾値A以下であると判定した場合、連続して変化度が閾値A以下である時系列データの領域を安定セグメントに分割し(ステップS22)、本処理を終了する。なお、セグメント情報である「安定セグメント」は、連続して変化度が閾値A以下の領域の時系列データ118に紐づけて記憶部116に記憶される。これにより、
図6のステップS14において、時系列データの分割セグメントへセグメント情報を付加する処理が実施される。
【0084】
図8のステップS21において、演算部113は、変化度が閾値Aよりも大きいと判定した場合、連続して変化度が閾値Aよりも大きい時系列データの領域を動的セグメントに分割する(ステップS23)。次に、演算部113は、分割した動的セグメントの前後(例えば最初と最後)の時系列データのセンサ値の差が閾値Bよりも大きいかを判定する(ステップS24)。演算部113は、分割した動的セグメントの前後の時系列データのセンサ値の差が閾値Bよりも大きいと判定した場合、この分割した動的セグメントをスロープセグメントに分類し(ステップS25)、本処理を終了する。セグメント情報である「スロープセグメント」は、この分割した動的セグメント領域の時系列データ118に紐づけて記憶部116に記憶される。これにより、
図6のステップS14において、時系列データの分割セグメントへセグメント情報を付加する処理が実施される。
【0085】
ステップS24において、演算部113は、分割した動的セグメントの前後の時系列データのセンサ値の差が閾値B以下であると判定した場合、分割した動的セグメントの時間の長さが閾値Cよりも小さいかを判定する(ステップS26)。演算部113は、分割した動的セグメントの時間の長さが閾値Cよりも小さいと判定した場合、この分割した動的セグメントをスパイクセグメントに分類し(ステップS27)、本処理を終了する。セグメント情報である「スパイクセグメント」は、この分割した動的セグメント領域の時系列データ118に紐づけて記憶部116に記憶される。これにより、
図6のステップS14において、時系列データの分割セグメントへセグメント情報を付加する処理が実施される。
【0086】
ステップS26において、演算部113は、分割した動的セグメントの時間の長さが閾値C以上であると判定した場合、この分割した動的セグメントを変動セグメントに分類し(ステップS28)、本処理を終了する。セグメント情報である「変動セグメント」は、この分割した動的セグメント領域の時系列データ118に紐づけて記憶部116に記憶される。これにより、
図6のステップS14において、時系列データの分割セグメントへセグメント情報を付加する処理が実施される。変動セグメントは、スパイクセグメントとスロープセグメントを除く動的セグメントを示す。
【0087】
図8に示すセグメント分割の処理を行い、
図9の左側の波形で示したセンサ値aの時系列データの波形(センサの信号データ)を分割し、各分割セグメントの種類を求めた結果の一例を
図9(a)~(d)に示す。
図9(a)は「安定セグメント」の波形例である。
図9の左側の波形で示したセンサ値aの時系列データが6つのセグメントT1~T6に分割された場合、時系列データの分割セグメントT1、T4、T6には「安定セグメント」のセグメント情報が付加される。
【0088】
図9(b)は「スパイクセグメント」の波形例である。
図9の時系列データの分割セグメントT5には「スパイクセグメント」のセグメント情報が付加される。
図9(c)は「スロープセグメント」の波形例である。
図9の時系列データの分割セグメントT2には「スロープセグメント」のセグメント情報が付加される。
図9(d)は「変動セグメント」の波形例である。「変動セグメント」には
図9(d)に示す振動の波形が含まれる。
図9の時系列データの分割セグメントT3には「変動セグメント」のセグメント情報が付加される。
【0089】
表示制御部115は、時系列データの分割セグメントへ付加されたセグメント情報に基づきアイコンの表示位置を決定する。例えば、「スパイクセグメント」のセグメント情報が付加された分割セグメントの時系列データの付近にアイコンを表示するようにアイコンの表示位置を決定してもよい。これにより、アイコンの表示によりユーザにスパイクの特定波形の存在を知らせることができる。
【0090】
図8のセグメント分割によれば、センサの挙動が異なる部分ごとに時系列データを分割することができる。セグメント分割は、時系列データに含まれる異常波形等の特定波形の可視化のための前処理に使用することができる。時系列データをセグメントに分割することにより、時系列データをレシピに設定したステップ毎に区切るよりも、セグメントの分類で行う多変量解析の解析精度を向上させることができる。
【0091】
ただし、
図8のセグメント分割の手法は一例であり、これに限られない。例えば、時系列データをセグメントに分割した後、分割したセグメント(区間)毎の時系列データについて、微分や積分等の演算を行うことにより、セグメント毎の時系列データの波形を判定し、判定した波形のセグメント情報を各分割セグメントに付与してもよい。
【0092】
(画面表示)
一実施形態に係る表示方法(画面表示)の一例について、
図10及び
図11を参照しながら説明する。
図10は、一実施形態に係る表示方法(画面表示)の一例を示すフローチャートである。
図11は、一実施形態に係る表示画面の一例である。本処理は、情報処理装置140により制御される。ユーザは、制御装置121のモニタ等のユーザ端末の表示画面を使用して基板処理装置120の状態を画面により確認する。ユーザは、表示画面を構成する操作パネル505を使用してアイコンを操作することが可能である。
【0093】
本処理が開始されると、表示制御部115は、計測値データベース117に記憶されたあるセンサの時系列データ118を表示する(ステップS31)。このとき、表示制御部115は、時系列データ118の決定した位置にアイコンを表示する。
【0094】
図11(a)の表示画面の横軸は時間、縦軸はセンサ値aを示す。画面には、あるセンサの時系列データ118(センサ値a)の波形が表示されている。時系列データは画面上には示されていないが、分割セグメント毎にセグメント情報が付与されている。また、
図11(a)の表示画面には、特定のセグメント情報が付与された分割セグメントの時系列データには、特定波形が含まれることを示すアイコンIが表示される。
【0095】
図10に戻り、表示制御部115は、表示されているアイコンを操作したかを判定する(ステップS32)。表示制御部115は、表示されているアイコンを操作していない場合、ステップS31に戻り、ユーザが本画面のウィンドウを閉じるまであるセンサの時系列データを表示する。表示制御部115は、複数のセンサの時系列データをセンサ毎に並行して表示してもよい。
【0096】
ユーザが、アイコンをクリック操作すると、ステップS32において、操作受付部114は、アイコンに対するユーザ操作を受け付け、表示制御部115は、これに応じて操作を受け付けたアイコンに対応する特定波形を拡大して表示する(ステップS33)。
図11(b)には、別の小表示画面がポップアップ表示され、アイコンに対応する特定波形が拡大して表示される例が示されている。
【0097】
図11(b)のスパイクの特定波形は、センサ値D1~D13を繋いだ波形であり、センサ値D7が間引きされて表示されなかった場合には、
図11(a)にはスパイク形状の特定波形が表示されない。
【0098】
しかしながら、本実施形態に係る表示方法では、センサが検出した時系列データの特定波形の近くにアイコンが表示される。これにより、ユーザは
図11(b)の拡大表示によって確実に特定波形を確認することができる。
【0099】
図10に戻り、表示制御部115は、画面上の「閉じる」のボタンが押されたかを判定する(ステップS34)。例えば
図11(b)に示す「閉じる」のボタンKが押されるまで操作を受け付けたアイコンに対応する特定波形が拡大して表示される。
【0100】
表示制御部115は、画面上の「閉じる」のボタンが押されたと判定した場合、別の小表示画面を閉じて特定波形の拡大表示を停止し(ステップS35)、ステップS31に戻り、時系列データの表示を続ける。
【0101】
なお、ユーザが、表示されているアイコンにカーソルを合わせると、アイコンに対応する特定波形のセグメント情報を表示するようにしてもよい。例えば、
図11(a)に示す例では、ユーザが表示されているアイコンにカーソルを合わせると、アイコンに対応する特定波形のセグメント情報である「スパイクあり」のテキストJが表示されている。
【0102】
また、ユーザが、表示されているアイコンを押下すると、アイコンに対応する特定波形のデータを検出した検出時間を表示するようにしてもよい。
【0103】
以上に説明したように、本実施形態の表示方法、情報処理装置及びプログラムによれば、基板処理装置に関する時系列データに含まれる特定波形の視認性を高めることができる。
【0104】
例えば、電源がチャタリングした場合や、RF電源の着火不良により反射波の強度が急に大きくなった場合等、センサが検出する時系列データに、振動や大きな変動を示す特定波形が生じる。このような場合、本実施形態に係る表示方法では、センサが検出した時系列データの特定波形の近くにアイコンを表示する。これにより、ユーザに特定波形の存在を知らせることができる。これにより、異常の可能性がある特定波形を示すデータが埋もれることにより、ユーザが異常波形を見逃すことを回避することができる。また、トラブル調査において、いち早く異常個所にたどり着くことができる。また、ユーザは、定常的に行うデータの確認作業においても、アイコンの表示位置を手掛かりに確実に異常個所に気づくことができ、トラブルを未然に防止することができる。
【0105】
今回開示された実施形態に係る表示方法、情報処理装置及びプログラムは、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0106】
本開示の基板処理装置は、
図2の熱処理装置に限らず、Atomic Layer Deposition(ALD)装置、Capacitively Coupled Plasma(CCP)、Inductively Coupled Plasma(ICP)、Radial Line Slot Antenna(RLSA)、Electron Cyclotron Resonance Plasma(ECR)、Helicon Wave Plasma(HWP)のいずれのタイプの装置でも適用可能である。
【0107】
本開示の基板処理装置は、プラズマを用いて基板を処理する装置に限らず、プラズマを用いずに基板を処理する装置であってもよい。
【0108】
本開示の基板処理装置は、一枚ずつ基板を処理する枚葉装置、複数枚の基板を一括処理するバッチ装置及びセミバッチ装置のいずれにも適用できる。本開示の基板処理装置が行う処理は、例えば、成膜処理、エッチング処理等が挙げられる。
【符号の説明】
【0109】
34 処理容器
38 ウエハボート
68 昇降手段
111 プロセス監視部
112 情報取得部
113 演算部
114 操作受付部
115 表示制御部
116 記憶部
117 計測値データベース
118 時系列データ
120 基板処理装置
121 制御装置
140 情報処理装置
A1~A5 温度センサ
Sys 基板処理システム