(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121593
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】パターン検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20240830BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G01N21/956 A
G01N21/84 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028773
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴文
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA56
2G051AB02
2G051AC21
2G051BA05
2G051CA03
2G051DA08
2G051DA20
(57)【要約】
【課題】 試料の同じ位置に光が当たり続けることを抑制する。
【解決手段】 一実施形態によるパターン検査装置は、試料が載置されるステージと、試料に向けて光を照射する光源と、光に基づいて、試料の検査画像を取得する撮影機構と、ステージの位置を制御する、ステージ制御回路と、撮影機構によって取得された検査画像と、試料が有するパターンを記述するデータに基づく参照画像又は別の検査画像と、を比較する比較回路と、ステージ制御回路によって所定の位置へ制御されたステージ上の試料の第1領域の検査画像の取得の終了から、試料の第2領域の検査画像の取得の開始までの間、試料の同じ位置に光が当たり続けない状態を維持する制御部と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料が載置されるステージと、
前記試料に向けて光を照射する光源と
前記光に基づいて、前記試料の検査画像を取得する撮影機構と、
前記ステージの位置を制御する、ステージ制御回路と、
前記撮影機構によって取得された前記検査画像と、前記試料が有するパターンを記述するデータに基づく参照画像又は別の検査画像と、を比較する比較回路と、
前記ステージ制御回路によって所定の位置へ制御された前記ステージ上の前記試料の第1領域の検査画像の取得の終了から、前記試料の第2領域の検査画像の取得の開始までの間、前記試料の同じ位置に前記光が当たり続けない状態を維持する制御部と、
を備えるパターン検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記試料の前記第1領域の前記検査画像の前記取得の終了から、前記比較回路が比較を開始できる状態になるまでの間、前記試料の同じ位置に前記光が当たり続けない状態を維持する、
請求項1に記載のパターン検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記試料の前記第1領域の前記検査画像の前記取得の終了後、前記比較回路が比較を開始できない状態を第1期間に亘って維持すると、前記試料の同じ位置に前記光が当たり続けない状態を開始する、
請求項1又は2に記載のパターン検査装置。
【請求項4】
前記光源と前記ステージとの間に位置できるシャッターをさらに備え、
前記試料の同じ位置に前記光が当たり続けない状態の間、前記制御部は、前記シャッターを前記光源と前記ステージとの間に維持するように前記シャッターを制御する、
請求項1又は2に記載のパターン検査装置。
【請求項5】
前記ステージ制御回路は、前記試料の同じ位置に前記光が当たり続けない状態の間、前記ステージを続けて又は散発的に移動する、
請求項1又は2に記載のパターン検査装置。
【請求項6】
前記ステージ制御回路は、前記試料の同じ位置に前記光が当たり続けない状態の間、前記試料の外側に前記光が当たり続ける位置に前記ステージを維持する、
請求項1又は2に記載のパターン検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、パターン検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、露光装置を用いて、半導体基板(「ウェハ」とも称される)の上方に形成された感光材層(レジスト)にパターンが転写され、感光材層を使用したエッチング工程によって絶縁体及び導電帯等の微細なパターンが形成される。転写のために、マスク又はレチクルが用いられる。マスクは、絶縁体及び導電体に転写されるパターンの原画パターンを有する。絶縁体及び導電体に微細なパターンを形成するために、マスクの原画パターンも微細であることが要求される。このため、マスクのパターン検査装置は、微細な原画パターンでの欠陥を検出できることを求められる。
【0003】
検査手法としては、拡大光学系を用いてリソグラフィ用のマスク等の試料上に形成されているパターンを所定の倍率で撮像した光学画像と設計データとを比較すること、あるいは光学画像と試料上の同一パターンを撮像した別の光学画像と比較することにより検査を行う方法が知られている。例えば、パターン検査方法として、「die to die(ダイ-ダイ)検査」や、「die to database(ダイ-データベース)検査」がある。ダイ-ダイ検査では、同一マスク上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士が比較される。ダイ-データベース検査では、マスクのパターンを定義するCAD(Computer-Aided Design)データが、マスクにパターンが描画される時に描画装置に入力される装置入力フォーマットに変換されることによって得られる描画データ(設計データ)が検査装置に入力され、設計データに基づいて設計画像(参照画像)が生成され、参照画像とパターンを撮像した光学画像とが比較される。
【0004】
かかる検査装置における検査方法では、試料はステージ上に載置され、ステージが動くことによって光束が試料上を走査され、検査が行われる。試料には、光源及び照明光学系によって光束が照射される。試料を透過あるいは反射した光は光学系を介して、センサ上に結像される。センサで撮像された画像は測定データとして比較回路へ送られる。比較回路では、試料の検査対象の領域の全体が仮想的に分割されることにより定義される複数の領域が使用される。撮影及び比較は、このような領域ごとに行われ、複数の領域の検査画像が次々に取得されるとともに、取得された検査画像についての比較が次々に行われる。また、撮影及び比較は、複数の領域に対して並行して行われ得る。画像同士の位置合わせの後、測定データと参照データとが適切なアルゴリズムに従って比較され、許容内に入らない場合には、パターンが欠陥を有すると判定される。
【0005】
ここでのマスクの撮影は、光を使用し、マスクを光で走査しながら照射するとともにマスクを透過した光を検出することも含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パターン検査装置の状態によっては、光の走査が停止せざるを得ない場合がある。この場合、光の走査が再開されるまでの間、試料の同じ位置に光が当たり続ける。これは、試料のうちの光を受け続ける位置にダメージを起こし得る。なお、光源は、試料への光の照射を停止するために短時間に亘ってオフされた後にオンと同時に光の射出を再開するような動作を行えない。
【0008】
よって、試料の同じ位置に光が当たり続けることよって試料にダメージが生じることを抑制するパターン検査装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によるパターン検査装置は、試料が載置されるステージと、上記試料に向けて光を照射する光源と、上記光に基づいて、上記試料の検査画像を取得する撮影機構と、上記ステージの位置を制御する、ステージ制御回路と、上記撮影機構によって取得された上記検査画像と、上記試料が有するパターンを記述するデータに基づく参照画像又は別の検査画像と、を比較する比較回路と、上記ステージ制御回路によって所定の位置へ制御されたステージ上の上記試料の第1領域の検査画像の取得の終了から、上記試料の第2領域の検査画像の取得の開始までの間、上記試料の同じ位置に光が当たり続けない状態を維持する制御部と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態のパターン検査装置の構成要素を示す。
【
図2】
図2は、第1実施形態のパターン検査装置によって検査される試料の領域の例を示す。
【
図3】
図3は、第1実施形態のパターン検査装置の比較回路の構成要素を示す。
【
図4】
図4は、第1実施形態のパターン検査装置による検査のフローを示す。
【
図5】
図5は、第1実施形態のパターン検査装置の比較回路による比較の対象を示す。
【
図6】
図6は、第1実施形態のパターン検査装置の検査画像取得の間の動作の一部のフローを示す。
【
図7】
図7は、第1実施形態のパターン検査装置の検査画像取得の間の動作の一部のフローの第1例を示す。
【
図8】
図8は、第1実施形態のパターン検査装置の検査画像取得の間の動作の一部のフローの第2例を示す。
【
図9】
図9は、第1実施形態のパターン検査装置の検査画像取得の間の動作の一部のフローの第3例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に実施形態が図面を参照して記述される。或る実施形態での略同一の機能及び構成を有する複数の構成要素は、互いに区別されるために、参照符号の末尾にさらなる数字又は文字が付加される場合がある。
【0012】
1.第1実施形態
第1実施形態のパターン検査装置について、記述される。以下、第1実施形態のパターン検査装置が検査画像として受光素子(フォトダイオード)を用いた光学画像を取得する場合について記述される。しかしながら、パターン検査装置は、検査画像として、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いた電子線画像を取得してもよい。第1実施形態のパターン検査装置は、ダイ-ダイ検査及びダイ-データベース検査のいずれにも適用されることが可能である。
【0013】
図1は、第1実施形態のパターン検査装置1の構成要素(構成)を示す。
図1に示されるように、パターン検査装置1は、撮影機構10及び制御機構20を含む。
【0014】
撮影機構10は、光を試料5に照射し、試料5を透過する光を検出することによって、試料5の画像を取得する。制御機構20は、撮影機構10を制御する。
【0015】
試料5は、板状の形状を有し、幾何学形状のパターン(図形)を有する。試料5の例は、マスク、ウェハ(半導体基板)、及び液晶表示装置に使用される基板を含む。
【0016】
撮影機構10は、ステージ100、光源101、ステージ駆動機構102、シャッター103、シャッター駆動機構104、レンズ107及び108、フォトダイオードアレイ112、センサ回路113、レーザー測長システム114、並びにオートローダ115を含む。
【0017】
ステージ100の上には、試料5が載置される。ステージ100は、試料5を実質的に水平に保持した状態で、ステージ100の表面(試料5が載置される面)に平行かつ互いに直交するx軸及びy軸に沿って移動できる。ステージ100はまた、ステージ100の表面に垂直なz軸に沿って移動できる。ステージ100は、さらに、z軸を中心としてxy平面に沿って回転できるようになっていてもよい。
【0018】
ステージ駆動機構102は、ステージ100をx軸及びy軸に沿って移動するための機構である。ステージ駆動機構102は、x軸モータ120及びy軸モータ121を含む。x軸モータ120は、ステージ100をx軸に沿って移動する。y軸モータ121は、ステージ100をy軸に沿って移動する。
【0019】
光源101は、光を放射する。光は、例えば、紫外線である。
【0020】
シャッター103は、光源101からの光を遮ることができる。シャッター103は、例えば、板状の形状を有し、光を吸収する素材からなる。シャッター103は、光源101と、後述のレンズ107との間を含む領域に位置し、x軸及び(又は)y軸に沿って移動することができる。シャッター103は開閉されることができる。すなわち、シャッター103は、光源101からの光の光路と交わる位置と、光源101からの光の光路と交わらない位置と、の間をx軸及び(又は)y軸に沿って移動できる。シャッター103が閉じている間、シャッター103は、光源101とレンズ107との間に位置し、光を遮る。シャッター103が開いている間、シャッター103は光源101からの光の光路と交わる位置に位置せず、光はレンズ107に到達する。一方。試料5の画像が取得されている間、シャッター103は開いている。
【0021】
シャッター駆動機構104は、シャッター103をx軸及び(又は)y軸に沿って移動させる。
【0022】
レンズ107は、光源101からのシャッター103を試料5の表面(光源101と面する面)上に集束させる。レンズ107は、光源101とステージ100の間に位置する。
【0023】
レンズ108は、試料5を透過した光を、フォトダイオードアレイ112の上に結像させる。レンズ108は、ステージ100とフォトダイオードアレイ112の間に位置する。
【0024】
フォトダイオードアレイ112は、受け取った光に基づく、アナログの電気信号を生成する。フォトダイオードアレイ112は、生成された電気信号をセンサ回路113に送信する。具体的には、フォトダイオードアレイ112は、画像センサを含む。画像センサの例は、一列に並べられたCCD(Charge-coupled Device)カメラを含んだラインセンサを含む。ラインセンサの例は、TDI(Time Delay Integration)センサを含む。
【0025】
センサ回路113は、フォトダイオードアレイ112から受信したアナログ電気信号をデジタル信号に変換する。センサ回路113は、デジタル信号に基づいて、光学画像を示すデータ(光学画像データ)を生成する。センサ回路113は、光学画像データを出力する。光学画像は、試料5のパターンに基づく。光学画像は、光学画像が取得された対象の領域(撮影領域)をxy面に沿って分割することによって得られる各画素の輝度を階調値で表現する。例えば、階調値が8ビットデータで表される場合、各画素の画素値は、0以上255以下の範囲にある階調値を有する。試料5の光学画像は、以下、検査画像と称される場合がある。
【0026】
レーザー測長システム114は、ステージ100のx軸上での位置及びy軸上での位置を測定する。ステージ100のx軸上での位置及びy軸上での位置は、以下、ステージ位置と称される場合がある。レーザー測長システム114は、ステージ位置を示すデータ(ステージ位置データ)を出力する。
【0027】
オートローダ115は、複数の試料5を保持し、検査対象の1つの試料5をステージ100上に移動する。また、オートローダ115は、検査画像の取得が終了した試料5をステージ100上から、オートローダ115中に移動する。
【0028】
制御機構20は、制御計算機(制御部)200、記憶装置201、表示装置202、入力装置203、通信装置204、オートローダ制御回路205、光源制御回路206、シャッター制御回路207、ステージ制御回路208、参照画像生成回路209、比較回路210、及び位置回路211を含む。これらは、バスを介して互いに接続されている。
【0029】
オートローダ制御回路205、光源制御回路206、シャッター制御回路207、ステージ制御回路208、参照画像生成回路209、比較回路210、及び位置回路211の1つ又は複数は、制御計算機(制御部)200によって実行されるプログラムによって構成されてもよい。すなわち、制御計算機(制御部)200によってプログラムが実行されることによって、これらの回路の1つ又は複数が実現される。オートローダ制御回路205、光源制御回路206、シャッター制御回路207、ステージ制御回路208、参照画像生成回路209、比較回路210、及び位置回路211は、制御計算機(制御部)200が備えるハードウェアまたはファームウェアによって実現されてもよいし、制御計算機(制御部)200によって制御される個別の回路によって実現されてもよい。以下の記述は、これらの回路が、制御計算機(制御部)200によって実行されるプログラムに基づいて、その機能が実現される例に基づく。
【0030】
制御計算機(制御部)200は、パターン検査装置1の全体を制御する。より具体的には、制御計算機(制御部)200は、記憶装置201、表示装置202、入力装置203、通信装置204、オートローダ制御回路205、光源制御回路206、シャッター制御回路207、ステージ制御回路208、参照画像生成回路209、比較回路210、及び位置回路211を制御する。
【0031】
制御計算機(制御部)200は、撮影機構10を制御して、試料5の光学画像を取得する。制御計算機(制御部)200は、制御機構20を制御して、参照画像を生成する。制御計算機(制御部)200は、光学画像と参照画像とを比較して、試料5のパターンを検査する。
【0032】
制御計算機(制御部)200は、待機時間計測回路2001及び比較回路判断回路2002を含む。待機時間計測回路2001は、時間を計測し、例えば、処理の中断の開始からの時間を計測する。比較回路判断回路2002は、比較回路210が使用可能な状態であるかを判断する。
【0033】
制御計算機(制御部)200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。CPUは、例えば、後述の検査プログラム223を実行する。制御計算機(制御部)200は、例えば、マイクロプロセッサなどのCPU装置であってもよいし、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置であってもよい。制御計算機(制御部)200の少なくとも一部の機能が、特定用途集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Alley)、または、グラフィック処理ユニット(GPU:Graphics Processing Unit)等の他の集積回路によって担われてもよい。
【0034】
記憶装置201は、パターン検査に関する情報を記憶する。具体的には、記憶装置201は、設計データ220、検査条件221、検査データ222、及び検査プログラム223等のデータを記憶する。記憶装置201は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び(又は)非一時的な記憶媒体を含む。記憶装置201は、外部ストレージとして、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の種々の1又は複数の記憶装置を含んでいてもよい。
【0035】
検査条件221は、検査パラメータ及びフィルタ係数などの検査に関する条件、並びに撮影機構10による撮影の条件を含み得る。
【0036】
検査データ222は、参照画像、光学画像、及び検出された欠陥に関するデータを含む。欠陥に関するデータは、欠陥の座標及びサイズ等の情報を含む。
【0037】
検査プログラム223は、検査を実行するためのプログラムである。例えば、検査プログラム223は、記憶装置201によって、非一時的な記憶媒体を使用して記憶される。
【0038】
表示装置202は、情報を表示する装置である。表示装置202の例は、CRT(Cathode-ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、及び有機EL(electroluminescence)ディスプレイを含む。表示装置202は、音声を出力する装置を含んでいてもよい。
【0039】
入力装置203は、パターン検査装置1の外部からの入力を受け取る装置である。入力装置203の例は、キーボード、マウス、タッチパネル、及びボタンスイッチを含む。
【0040】
通信装置204は、パターン検査装置1が、パターン検査装置1の外部の装置との間でデータの送受信を行うためにパターン検査装置1をネットワークに接続する。通信装置204は、任意の通信規格を使用し得る。例えば、通信装置204は、外部装置から設計データを受信し、パターン検査の結果を外部装置に送信する。
【0041】
オートローダ制御回路205は、オートローダ115の動作を制御する。オートローダ制御回路205は、オートローダ115を操作して、検査対象の試料5をステージ100に移動する。また、オートローダ制御回路205は、オートローダ115を操作して、ステージ100から試料5を移動する。
【0042】
光源制御回路206は、光源101を制御する。
【0043】
シャッター制御回路207は、シャッター駆動機構104を制御する。具体的には、シャッター制御回路207は、シャッター駆動機構104を駆動制御して、シャッター103を所望の位置に移動する。
【0044】
ステージ制御回路208は、ステージ駆動機構102を制御する。より具体的には、ステージ制御回路208は、位置回路211を介して、レーザー測長システム114から、ステージ位置データを取得する。ステージ制御回路208は、ステージの位置データに基づいて、ステージ駆動機構102を駆動制御する。
【0045】
参照画像生成回路209は、試料5に形成されるパターンを記述する設計データ220に基づいて参照画像を生成する。例えば、参照画像生成回路209は、設計データ220を記憶装置201から受け取り、設計データ220をパターン毎のデータに展開し、展開されたデータに含まれるパターンの形状を示すコード及びパターンの寸法などを解釈する。参照画像生成回路209は、設計データ220を、所定のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして、2値または多値(例えば、8bit)の画像(展開画像)に展開(変換)する。参照画像生成回路209は、展開画像の画素毎に図形が占有する率を演算する。演算された各画素内の図形占有率は、当該画素についての階調値として機能する。参照画像生成回路209は、各画素の階調値に基づいて、展開画像のパターンから参照画像を生成する。参照画像生成回路209は、生成された参照画像を比較回路210及び記憶装置201に送信する。
【0046】
比較回路210は、試料5のパターンを検査する。すなわち、ダイ-データベース検査の場合、比較回路210は、センサ回路113から検査画像のデータを受け取る。また、比較回路210は、試料5のうちの検査画像が取得された領域のパターンを定義(記述)する設計データから取得された参照画像を、参照画像生成回路209から受け取る。比較回路210は、検査画像と参照画像とを、或るアルゴリズムを用いて比較する。比較回路210は、光学画像の階調値と参照画像の階調値との差が予め設定された閾値を超える画素がある場合、試料5のうちのこの画素に対応する位置に欠陥があると判断する。以下、試料5のうちの検査画像が取得された領域のパターンを定義する設計データから取得された参照画像は、検査画像に「対応する」参照画像と称される場合がある。
【0047】
ダイ-ダイ検査の場合、比較回路210は、検査画像が取得された領域を含んだ試料5のうちで、検査画像が取得された領域のパターンと同じパターンを有する領域の検査画像を、例えば、記憶装置201から受け取る。検査画像が取得された領域のパターンと同じパターンを有する領域の取得済みの検査画像は、以下、比較対象画像と称される場合がある。比較回路210は、検査画像と比較対象画像とを、或るアルゴリズムを用いて比較する。比較回路210は、光学画像の階調値と比較対象画像の階調値との差が予め設定された閾値を超える画素がある場合、試料5のうちのこの画素に対応する位置に欠陥があると判断する。
【0048】
位置回路211は、レーザー測長システム114からステージ位置データを受け取り、ステージ位置データに基づいて、ステージ100のx軸上及びy軸上の座標に関する位置データを生成する。
【0049】
図2は、第1実施形態のパターン検査装置1によって検査される試料5の領域の例を示す。試料5は、図示せぬパターンを有する。
図2に示されるように、試料5の検査対象の領域は、複数のストライプSPを有し、複数のストライプSPに仮想的に分割されている。
図2は、試料5がN+1個のストライプSP_0~SP_Nを有する例を示す。Nは正の偶数である。ストライプSPは、y軸に沿って延びる四辺形状を有し、試料5のxy面に亘って分布する。ストライプSP_0~SP_Nは、この順で、y軸上の座標のより小さい方向(-y方向)に並ぶ。各ストライプSPは、試料5のx軸に沿って並ぶ2つの端(左端及び右端)のそれぞれの近傍に亘る。y軸に沿って並ぶストライプSPは、互いに接する。
【0050】
試料5の画像の取得は、ストライプSPごとに行われる。
図2は、太線によって、ストライプSPの画像が取得される順序の例を示す。まず、ストライプSP_0の画像が取得される。次に、ストライプSP_1の画像が取得される。以下、同様にして、ストライプSP_2~SP_Nの順に画像が取得される。nを0以上N以下の整数として、例えば、nが偶数のストライプSP_nでは、画像の取得は+x方向に向かって行われる。nが奇数のストライプSP_nでは、画像の取得は-x方向に向かって行われる。例えば、各ストライプSPはストライプSPの延びる方向に並ぶ複数の矩形領域RAに仮想的に分割され、このストライプSPについて取得された画像のうちの矩形領域RAの部分ごとに検査画像が生成されることができる。
【0051】
画像の取得の対象の領域の変更は、ステージ100の移動による相対的な移動によって行われる。すなわち、画像の取得の方向が+x方向である場合、ステージ100は-x方向に移動し、画像の取得の方向が-x方向である場合、ステージ100は+x方向に移動する。
【0052】
図3は、第1実施形態のパターン検査装置1の比較回路210の構成要素を示す。
図3に示されるように、比較回路210は、Jを2以上N以下の整数として、J個の比較サブ回路2100_0~2100_Jを含む。
【0053】
比較サブ回路2100は、互いに独立して動作でき、並行して動作できる。各比較サブ回路2100は、検査画像と参照画像又は比較対象画像とを比較して欠陥を検出する。すなわち、比較回路210は、センサ回路113から検査画像のデータを受け取る。また、比較回路210は、ダイ-データベース検査の場合、試料5のうちの検査画像が取得された領域のパターンを定義する設計データから取得された参照画像を、参照画像生成回路209から受け取る。比較回路210は、ダイ-ダイ検査の場合、比較対象画像を受け取る。比較サブ回路2100は、検査画像と参照画像又は比較対象画像とを、或るアルゴリズムを用いて比較する。比較サブ回路2100は、光学画像の階調値と参照画像又は比較対象画像の階調値との差が予め設定された閾値を超える画素がある場合、試料5のうちのこの画素に対応する位置(x軸上及びy軸上でのステージ位置)に欠陥があると判断する。
【0054】
図4は、第1実施形態のパターン検査装置1による検査のフローを示す。
図4のフローは、制御計算機200の制御により行われる。
図4に示されるように、制御計算機200は、撮影機構10を制御して、キャリブレーションを実行する(S1)。キャリブレーションにより、センサ回路113において取得される光学画像の階調値が調整される。
【0055】
制御計算機200は、試料5の検査対象の或る領域の検査画像を取得する(S2)。取得された検査画像は、比較回路210に送信される。
【0056】
参照画像生成回路209は、設計データ220から参照画像を生成する(S3)。より具体的には、参照画像生成回路209は、記憶装置201に記憶されている設計データ220を読み出し、読み出された設計データ220を展開画像に展開する。参照画像生成回路209は、生成された展開画像から参照画像を生成する。ステップS3は、ダイ-データベース検査の場合に行われ、ダイ-ダイ検査の場合、スキップされる。
【0057】
比較回路210は、比較を行う(S4)。具体的には、比較回路210は、まず、検査画像と参照画像又は比較対象画像との位置合わせを実行し、検査画像内のパターンと、参照画像内のパターンとの位置合わせを行う。次に、比較回路210は、検査画像と参照画像又は比較対象画像とを比較する。比較回路210は、例えば、検査画像と参照画像又は比較対象画像の画素ごとの階調値の差を算出し、この差が予め設定された閾値以上である画素に欠陥があると判定する。
【0058】
制御計算機200は、検査対象の全ての領域についての検査が完了しているかを判断する(S5)。検査対象の全ての領域についての検査が完了していない場合(S5_No)、処理はステップS2に移行する。ステップS2からS4は、検査が完了していない領域に対して行われる。
【0059】
検査対象の全ての領域についての検査が完了していている場合(S5_Yes)、処理はステップS6に移行する。制御計算機200は、比較結果(検査データ)を出力する(S6)。制御計算機200は、検査結果を記憶装置201において記憶する。制御計算機200は、検査結果を表示装置202に表示してもよいし、通信装置204を介して外部の装置(例えば、レビュー装置等)に出力してもよい。
【0060】
複数の領域についてのステップS2~S4の処理の複数の組が並行に行われてもよい。
【0061】
図5は、第1実施形態のパターン検査装置1の比較回路210による比較の対象を示す。
図5に示されるように、各比較サブ回路2100は、1つのストライプSPについての比較を行う。複数の比較サブ回路2100は、並行して、それぞれのストライプSPについての比較を行う。すなわち、或る第1の比較サブ回路2100は、この第1の比較サブ回路2100が比較を行う対象である第1のストライプSPの複数の矩形領域RAのそれぞれの検査画像を受け取りながら、各検査画像を、この検査画像に対応する参照画像又は比較対象画像と比較する。そして、第1の比較サブ回路2100が、第1のストライプSPについての検査画像と対応する参照画像又は比較対象画像との比較を行っている間に、別の第2のストライプSPの矩形領域RAの検査画像が取得される。そして、第1の比較サブ回路2100が第1のストライプSPについての検査画像と対応する参照画像又は比較対象画像との比較を行っている間に、第2の比較サブ回路2100は、第2のストライプSPについての検査画像と対応する参照画像又は比較対象画像の比較を行う。同様にして、複数の比較サブ回路2100は、並行して、それぞれのストライプSPについて比較を行う。
【0062】
各比較サブ回路2100は、自身が比較を行う対象のストライプSPの全体についての比較が完了すると、完了を通知する信号を制御計算機200に送信する。完了を通知する信号は、比較回路判断回路2002によって受け取られる。比較回路判断回路2002が完了を通知する信号を或る比較サブ回路2100から受け取ると、制御計算機200は、この比較サブ回路2100を、別のストライプSPについての比較に割り当てる。或るストライプSPについての比較が完了すると、どのストライプSPにも割り当てられていない(すなわち、使用可能な)比較サブ回路2100が、次のストライプSPに割り当てられる。使用可能な比較サブ回路2100がない状態は、すなわち、比較回路210が比較を行えない状態である。
【0063】
図5は、第1実施形態のパターン検査装置での比較サブ回路2100のストライプSPへの割当ての例を示す。
図5に示されるように、比較サブ回路2100_0~2100_Jは、それぞれ、ストライプSP_0~SP_Jについての比較を行う。ストライプSP_0についての比較が完了すると、制御計算機200は、比較サブ回路2100_0を、ストライプSP_J+1の比較に割り当てる。
【0064】
或るストライプSPについての検査画像の取得が完了した時点で、使用可能な(空きの)比較サブ回路2100がない場合、使用可能な比較サブ回路2100が生じるまでの待機時間が生じ得る。しかしながら、パターン検査装置1が十分な数の比較サブ回路2100を有することによって、待機時間の発生は防止されることが可能である。すなわち、検査画像の取得(光の走査)の速度及び各比較サブ回路2100による比較の速度に基づいて、或るストライプSPの検査画像の取得が完了した時点で次のストライプSPのための使用可能な比較サブ回路2100が存在できることを可能にする数の比較サブ回路2100が設けられる。一方、大きな余裕を可能にする数の比較サブ回路2100が設けられることは非現実的である。このため、検査画像の取得の速度及び各比較サブ回路2100による比較の速度に基づいて、或るストライプSPの検査画像取得が完了した時点で1つの空きの比較サブ回路2100が存在することを可能にする数の比較サブ回路2100が設けられる。
【0065】
比較サブ回路2100は、故障又は不具合を起こし得る。この場合、故障又は不具合を起こしている比較サブ回路2100は使用されない。代わりに、別の比較サブ回路2100が使用される。具体的な例として、比較サブ回路2100_1が動作できない場合、比較サブ回路2100_2、…2100_Jは、それぞれ、ストライプSP_1、…、SP_J-1に割り当てられる。比較サブ回路2100_0は、ストライプSP_0についての比較が完了すると、ストライプSP_Jに割り当てられる。
【0066】
動作できない比較サブ回路2100がある場合、使用可能な(未割当ての)比較サブ回路2100が生じるのを待つ時間が生じ得る。すなわち、上記のように、或るストライプSPの検査画像取得が完了した時点で1つの使用可能な比較サブ回路2100が存在することを可能にする数の比較サブ回路2100が設けられる。換言すると、そのような数の比較サブ回路2100が動作できていると、或るストライプSPの検査画像取得が完了した時点で、次のストライプSPの検査画像取得、及び使用可能な比較サブ回路2100による後続の比較がすぐに開始できる。このため、使用可能な比較サブ回路2100の発生を待つ時間は生じない。一方、動作できない比較サブ回路2100がある場合、或るストライプSPについての検査画像の取得が完了した時点で、使用可能な比較サブ回路2100が存在しない。よって、使用可能な比較サブ回路2100が生じるまで、制御計算機200は、検査画像の取得を停止する。
【0067】
図6は、第1実施形態のパターン検査装置1の検査画像取得の間の一部のフローを示す。具体的には、
図6は、或るストライプSPの検査画像の取得が完了してから、次のストライプSPの検査画像の取得が開始されるまでのフローを示す。
図6のフローは、或るストライプSPの検査画像の取得が完了するとともに検査画像が取得される予定の次のストライプSPが存在する場合に開始する。
図6のフローは、例えば、制御計算機200の制御により起こる。
【0068】
図6に示されるように、フローが開始すると、制御計算機200は、比較回路判断回路2002を使用して、使用可能な(未割当の)比較サブ回路2100があるかを判断する(S11)。使用可能な比較サブ回路2100があることは、比較回路210が比較を行えることと同じ意味を有する。サブ回路使用可能な比較サブ回路2100がある場合(S11_Yes)、制御計算機200は、次のストライプSPの検査画像の取得を開始する(S19)。併せて、次のストライプSPの比較に、使用可能な比較サブ回路2100が割り当てられる。ステップS19が終了すると、
図6のフローは終了する。
【0069】
使用可能な比較サブ回路2100がない場合(S11_No)、制御計算機200は、一定時間、待機する(S12)。ステップS12の間、例えば、制御計算機200は、ステージ100を、ステップS12の直前の位置に維持する。ステージ100は、一定の位置にとどまっていなくてもよい。制御計算機200は、待機の開始とともに、待機時間計測回路2001による時間の計測を開始して、待機の継続時間(待機時間)を計測する。
【0070】
制御計算機200は、ステップS12として一定時間の待機後、
図6のフローの開始からの累積の待機時間が閾値以上であるかを判断する(S13)。累積の待機時間は、ステップS12が行われた回数に依存する。累積待機時間が閾値以上でない場合(S13_No)、制御計算機200は、ステップS11を実行し、すなわち、使用可能な比較サブ回路2100があるかを判断する。このように、制御計算機200は、ステップS11、S12、及びS13の組のループによって累積待機時間が閾値以上に達するまで、使用可能な比較サブ回路2100があるかを定期的に繰り返し判断する。
【0071】
累積待機時間が閾値以上である場合(S13_Yes)、制御計算機200は、試料5の同じ個所に光が当たり続けない状態を維持する、又は、光が当たることを防ぐ措置を取る(S14)。ステップS14の具体的な例については後述される。ステップS14で取られた措置によって形成される状態は、後続のステップS18まで継続する。
【0072】
制御計算機200は、比較回路判断回路2002を使用して、使用可能な比較サブ回路2100があるかを判断する(S16)。使用可能な比較サブ回路2100がない場合(S16_No)、制御計算機200は、一定時間、待機する(S17)。ステップS16の間、例えば、制御計算機200は、ステージ100を移動させずに現在の位置に維持する。ステップS17は、ステップS16に継続する。すなわち、使用可能な比較サブ回路2100が生じたかが定期的に判断され、使用可能な比較サブ回路2100が生じるまで、ステップS14で取られた措置によって形成される状態が継続する。
【0073】
使用可能な比較サブ回路2100がある場合(S16_Yes)、制御計算機200は、ステップS14の直前の状態を復元する(S18)。すなわち、ステップS14で取られた措置によって形成された状態が終了される。ステップS14で取られる措置の種類によっては、ステップS18は行われず、使用可能な比較サブ回路2100がある場合(S16_Yes)、制御計算機200は、ステップS19を行う。
【0074】
制御計算機200は、次のストライプSPのスキャンを開始する(S19)。これにより、
図6のフローは終了する。
【0075】
ステップS14の具体的な例が、
図7~
図9を参照して記述される。
図7~
図9は、それぞれ、第1実施形態の動作のフローの第1例、第2例、及び第3例を示す。
【0076】
図7に示されるように、第1例では、ステップS14として、制御計算機200は、シャッター制御回路207にシャッター103を閉じる指示を与える。シャッター制御回路207は、その指示内容に基づき、シャッター駆動機構104を制御し、シャッター103を閉じる(S14_1)。ステップS16及びS17の組のループによって使用可能な比較サブ回路2100が生じるまでの期間に亘って、シャッター103は閉じている。これにより、ステップS16及びS17の組のループによって使用可能な比較サブ回路2100が生じるまでの期間に亘って、光は試料5に到達しない。ステップS18として、制御計算機200は、シャッター制御回路207にシャッター103を開ける指示を与える。シャッター制御回路207は、その指示内容に基づき、シャッター駆動機構104を制御し、シャッター103を開ける(S18_1)。
【0077】
図8に示されるように、第2例では、ステップS14として、制御計算機200は、ステージ制御回路208にステージ100をランダムに動かす指示を与える。ステージ制御回路208は、その指示内容に基づき、ステージ駆動機構102を制御し、ステージ100を、ランダムに動かす(S14_2)。例えば、制御計算機200は、ステップS14の直前のステージ100の位置を中心とする領域中でステージ100をランダムに動かす指示を与える。ステージ100をランダムに動かすことの例は、ステージ100をランダムに動かし続けること、及び一定或いはランダムな期間で散発的にステージ100をランダムに動かすことを含む。制御計算機200は、ステップS16及びS17の組のループによって使用可能な比較サブ回路2100が生じるまでの期間に亘って、ステージ100を、移動させ続けるか、又は散発的に繰り返し移動する指示を与える。これにより、ステップS16及びS17の組のループによって使用可能な比較サブ回路2100が生じるまでの期間に亘って、光が試料5の同じ個所に到達することは回避される。第2例では、ステップS18は行われない。
【0078】
図9に示されるように、第3例では、ステップS14として、制御計算機200は、ステージ制御回路208にステージ100を光が試料5の外側に当たる位置に移動する指示を与える。ステージ制御回路208は、その指示内容に基づき、ステージ駆動機構102を制御し、ステージ100を、光が試料5の外側に当たる位置に移動する(S14_3)。ステージの位置は、ステップS16及びS17の組のループによって使用可能な比較サブ回路2100が生じるまでの期間に亘って維持される。第3例では、ステップS18は行われない。
【0079】
第1実施形態によれば、以下に記述されるように、試料5にダメージが及ぶことが抑制される。
図5を参照して上記されるように、使用可能な比較サブ回路2100が生じるのを待つことが起こり得る。この場合、次のストライプSPの検査画像の取得が開始できない。よって、ステージ100は、次のストライプSPの検査画像の取得のための位置に移動できず、使用可能な比較サブ回路2100が生じるまでの間、光源101からの光が試料5に当たり続ける。これは、試料5にダメージを起こし得る。例えば、使用可能な比較サブ回路2100が生じるまでの間、単純にステージ100の位置が維持されたとすると、同じ個所に光が当たり続け得る。
【0080】
第1実施形態のパターン検査装置1は、或るストライプSPの検査画像の取得が完了した時点で使用可能な比較サブ回路2100がない状態が一定の時間以上続くと、試料5の同じ位置に光が当たり続けない状態を維持する。そして、使用可能な比較サブ回路2100が生じると、制御計算機200は、必要に応じて試料5の同じ位置に光が当たり続けない状態を解除するとともに、次のストライプSPの検査画像の取得を開始する。よって、使用可能な比較サブ回路2100が生じるまでの期間の間に光の当たる必要のない箇所に光が当たって、試料5がダメージを受けることが抑制又は防止される。
【0081】
2.その他
図1を参照して、パターン検査装置1が、試料5を透過した光による光学画像を取得する例が記述されている。パターン検査装置1は、試料5によって反射された光による光学画像を取得してもよい。また、パターン検査装置1は、試料5によって反射された光による光学画像と、試料5を透過した光による光学画像との、両方を取得してもよい。
【0082】
また、ここまで、パターン検査装置1が試料5の光学画像を取得する例が記述されている。パターン検査装置1は、電子ビームを使用して検査画像を取得してもよい。この場合、光源101に代えて、電子銃を含む。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0084】
1…パターン検査装置、10…撮影機構、20…制御機構、5…試料、100…ステージ、101…光源、102…ステージ駆動機構、103…シャッター、104…シャッター駆動機構、107…レンズ、108…レンズ、112…フォトダイオードアレイ、113…センサ回路、114…レーザー測長システム、115…オートローダ、120…x軸モータ、121…y軸モータ、200…制御計算機(制御部)、201…記憶装置、202…表示装置、203…入力装置、204…通信装置、205…オートローダ制御回路、206…光源制御回路、207…シャッター制御回路、208…ステージ制御回路、209…参照画像生成回路、210…比較回路、211…位置回路、