IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

特開2024-122174保持テーブルの洗浄方法及び加工装置
<>
  • 特開-保持テーブルの洗浄方法及び加工装置 図1
  • 特開-保持テーブルの洗浄方法及び加工装置 図2
  • 特開-保持テーブルの洗浄方法及び加工装置 図3
  • 特開-保持テーブルの洗浄方法及び加工装置 図4
  • 特開-保持テーブルの洗浄方法及び加工装置 図5
  • 特開-保持テーブルの洗浄方法及び加工装置 図6
  • 特開-保持テーブルの洗浄方法及び加工装置 図7
  • 特開-保持テーブルの洗浄方法及び加工装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122174
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】保持テーブルの洗浄方法及び加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 55/06 20060101AFI20240902BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240902BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240902BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240902BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B24B55/06
B24B27/06 M
B24B41/06 L
H01L21/78 F
H01L21/304 644G
H01L21/304 644Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029572
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬路 良吾
(72)【発明者】
【氏名】シャンカル バライリ
(72)【発明者】
【氏名】竹村 優汰
【テーマコード(参考)】
3C034
3C047
3C158
5F063
5F157
【Fターム(参考)】
3C034AA08
3C047FF06
3C047FF19
3C047HH11
3C158AA03
3C158AB01
3C158AC05
3C158CB01
5F063AA15
5F063DD01
5F063FF01
5F063FF13
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157BA01
5F157BA13
5F157CC11
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】洗浄砥石で保持テーブルの保持面を洗浄し、該保持面の異物を除去すること。
【解決手段】保持テーブルの洗浄方法は、加工装置において保持テーブルを洗浄する保持テーブルの洗浄方法であって、加工装置1は、保持テーブル10の保持面に保持された被加工物を切削する切削ブレードと、切削ブレードを回転可能に支持するスピンドルと、を含む加工ユニット20と、保持テーブル10を加工ユニット20に対してX軸方向に相対的に移動させるX軸方向移動ユニット41と、スピンドルを保持テーブル10に対してX軸方向と直交するY軸方向に相対的に移動させるY軸方向移動ユニット42と、保持面を洗浄する洗浄ユニット80と、を備え、洗浄ユニット80は、洗浄砥石81を有し、洗浄砥石81が保持面に接触した状態で、保持テーブル10と洗浄砥石81とを相対的に移動することで、保持面を洗浄する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置において保持テーブルを洗浄する保持テーブルの洗浄方法であって、
該加工装置は、
該保持テーブルの保持面に保持された被加工物を切削する切削ブレードと、該切削ブレードを回転可能に支持するスピンドルと、を含む加工ユニットと、
該保持テーブルを該加工ユニットに対してX軸方向に相対的に移動させるX軸方向移動ユニットと、
該スピンドルを該保持テーブルに対して該X軸方向と直交するY軸方向に相対的に移動させるY軸方向移動ユニットと、
該保持面を洗浄する洗浄ユニットと、を備え、
該洗浄ユニットは、洗浄砥石を有し、
該洗浄砥石が該保持面に接触した状態で、該保持テーブルと該洗浄砥石とを相対的に移動することで、該保持面を洗浄することを特徴とする保持テーブルの洗浄方法。
【請求項2】
該洗浄砥石は、樹脂、ガラス、アルミナ、炭化ケイ素の少なくともいずれかの砥粒を含んだビトリファイド砥石またはレジンボンド砥石であることを特徴とする請求項1に記載の保持テーブルの洗浄方法。
【請求項3】
該洗浄砥石は、該Y軸方向移動ユニットに固定され、該スピンドルと隣接して設置されることを特徴とする請求項1に記載の保持テーブルの洗浄方法。
【請求項4】
該洗浄砥石は、該Y軸方向に延在して該保持テーブルの移動経路の上方に配置され、
該洗浄砥石を該保持面に接触させた状態で、該保持テーブルをX軸方向に移動させることで該保持面を洗浄することを特徴とする請求項1に記載の保持テーブルの洗浄方法。
【請求項5】
加工装置において保持テーブルを洗浄する保持テーブルの洗浄方法であって、
該加工装置は、
該保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、
該保持テーブルを洗浄する洗浄ユニットと、
該保持テーブルに対して該被加工物を搬送する搬送パッドと、
該搬送パッドを移動可能に支持する移動ユニットと、
を備え、
該洗浄ユニットは、洗浄砥石を有し、
該洗浄砥石を該搬送パッドに保持した状態で該保持テーブルの保持面に接触させ、該搬送パッドまたは該保持テーブルの少なくともいずれかを相対的に移動させることで、該保持面を洗浄することを特徴とする保持テーブルの洗浄方法。
【請求項6】
保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、
該保持テーブルを洗浄する洗浄ユニットと、
該保持テーブルに対して該被加工物を搬送する搬送パッドと、
該搬送パッドを移動可能に支持する移動ユニットと、
を備え、
該洗浄ユニットは、洗浄砥石を有し、
該洗浄砥石を該搬送パッドに保持した状態で該保持テーブルの保持面に接触させ、該搬送パッドまたは該保持テーブルの少なくともいずれかを相対的に移動させることで、該保持面を洗浄することを特徴とする加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持テーブルの洗浄方法及び加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工装置は、保持テーブルに保持した半導体ウエーハ等の被加工物を加工する。特許文献1には、水供給源のバブルを開き、保持手段の保持領域に水を供給しつつ、ブラシ部で保持領域に蓄積された汚染物質を浮上させて吸引部で汚染物質が混入した洗浄後の廃液を吸引除去する加工装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-63885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の加工装置は、被加工物を保持する保持テーブルの保持面に異物が付着した状態で、被加工物を保持し加工すると加工品質が悪化する恐れがある。従来の加工装置には、保持面からの二流体の噴出や、ブラシで擦ることで異物を除去する技術も提案されているが、液体による洗浄では異物を除去できないケースがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、洗浄砥石で保持テーブルの保持面を洗浄し、該保持面の異物を除去することができる保持テーブルの洗浄方法及び加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の保持テーブルの洗浄方法は、加工装置において保持テーブルを洗浄する保持テーブルの洗浄方法であって、該加工装置は、該保持テーブルの保持面に保持された被加工物を切削する切削ブレードと、該切削ブレードを回転可能に支持するスピンドルと、を含む加工ユニットと、該保持テーブルを該加工ユニットに対してX軸方向に相対的に移動させるX軸方向移動ユニットと、該スピンドルを該保持テーブルに対して該X軸方向と直交するY軸方向に相対的に移動させるY軸方向移動ユニットと、該保持面を洗浄する洗浄ユニットと、を備え、該洗浄ユニットは、洗浄砥石を有し、該洗浄砥石が該保持面に接触した状態で、該保持テーブルと該洗浄砥石とを相対的に移動することで、該保持面を洗浄することを特徴とする。
【0007】
前記洗浄方法において、該洗浄砥石は、樹脂、ガラス、アルミナ、炭化ケイ素の少なくともいずれかの砥粒を含んだビトリファイド砥石またはレジンボンド砥石であってもよい。
【0008】
前記洗浄方法において、該洗浄砥石は、該Y軸方向移動ユニットに固定され、該スピンドルと隣接して設置されてもよい。
【0009】
前記洗浄方法において、該洗浄砥石は、該Y軸方向に延在して該保持テーブルの移動経路の上方に配置され、該洗浄砥石を該保持面に接触させた状態で、該保持テーブルをX軸方向に移動させることで該保持面を洗浄してもよい。
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の保持テーブルの洗浄方法は、加工装置において保持テーブルを洗浄する保持テーブルの洗浄方法であって、該加工装置は、該保持テーブルと、該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、該保持テーブルを洗浄する洗浄ユニットと、該保持テーブルに対して該被加工物を搬送する搬送パッドと、該搬送パッドを移動可能に支持する移動ユニットと、を備え、該洗浄ユニットは、洗浄砥石を有し、該洗浄砥石を該搬送パッドに保持した状態で該保持テーブルの保持面に接触させ、該搬送パッドまたは該保持テーブルの少なくともいずれかを相対的に移動させることで、該保持面を洗浄することを特徴とする。
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工装置は、保持テーブルと、該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、該保持テーブルを洗浄する洗浄ユニットと、該保持テーブルに対して該被加工物を搬送する搬送パッドと、該搬送パッドを移動可能に支持する移動ユニットと、を備え、該洗浄ユニットは、洗浄砥石を有し、該洗浄砥石を該搬送パッドに保持した状態で該保持テーブルの該保持面に接触させ、該搬送パッドまたは該保持テーブルの少なくともいずれかを相対的に移動させることで、該保持面を洗浄することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、洗浄砥石で保持テーブルの保持面を洗浄し、該保持面の異物を除去することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す洗浄ユニットの構成例を示す模式図である。
図3図3は、加工装置が実行する洗浄方法の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態2に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
図5図5は、図4に示す洗浄ユニットの構成例を示す模式図である。
図6図6は、実施形態3に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
図7図7は、図6に示す洗浄ユニットの構成例を示す模式図である。
図8図8は、図6に示す他の洗浄ユニットの構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0015】
以下に説明する実施形態において、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。X軸及びY軸を含むXY平面は、水平面と平行である。XY平面と直交するZ軸方向は、鉛直方向である。
【0016】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係る加工装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。図1に示すように、加工装置1は、表面に複数のデバイス領域が分割予定ラインに区画されて形成された被加工物200を分割予定ラインに沿って複数のチップに分割した後、被加工物200を洗浄する。
【0017】
実施形態に係る加工装置1の加工対象である被加工物200は、図1に示すように、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラスなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどである。被加工物200は、平坦な表面201の格子状に形成される複数の分割予定ライン202によって区画された領域にチップサイズのデバイス203が形成されている。被加工物200は、本実施形態では、表面201の裏側の裏面204に粘着性を有するシート205が貼着され、シート205の外縁部に環状のフレーム206が装着されているが、本発明ではこれに限定されない。シート205は、非粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された基材と、基材に積層されかつ粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された糊層とを備える。シート205は、糊層が被加工物200及びフレーム206に貼着される粘着テープ、又は、糊層を備えずに熱可塑性樹脂により構成されかつ被加工物200及びフレーム206に熱圧着される基材のみから構成されるシートである。また、被加工物200は、本実施形態では、樹脂により封止されたデバイス203を複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0018】
加工装置1は、図1に示すように、保持テーブル10と、加工ユニット20と、撮像ユニット30と、X軸方向移動ユニット41と、Y軸方向移動ユニット42と、Z軸方向移動ユニット43と、表示ユニット51と、入力ユニット52と、報知ユニット53と、カセット載置台61と、研削洗浄ユニット70と、洗浄ユニット80と、制御ユニット100と、を備える。
【0019】
保持テーブル10は、凹部が形成された円盤状の枠体と、凹部内に嵌め込まれた円盤形状の保持部11と、を備える、いわゆるチャックテーブルである。保持テーブル10の保持部11は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から形成され、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。保持テーブル10の保持部11の上面は、被加工物200が載置されて、真空吸引源から導入される負圧により、載置された被加工物200を吸引保持する保持面である。
【0020】
保持部11は、本実施形態では、被加工物200が表面201を上方に向けて載置され、載置された被加工物200を裏面204側からシート205を介して吸引保持する。保持部11の上面と保持テーブル10の枠体の上面とは、同一平面上に配置されており、水平面であるXY平面に平行に形成されている。保持テーブル10は、X軸方向移動ユニット41上にテーブルカバーを介して設けられており、テーブルカバーとともに、X軸方向移動ユニット41により水平方向と平行なX軸方向に移動自在に設けられている。保持テーブル10は、不図示の回転駆動源により、テーブルカバーに対して、鉛直方向に平行でかつXY平面に直交するZ軸回りに回転自在に設けられている。
【0021】
加工ユニット20は、制御ユニット100の制御により、加工条件に基づいて被加工物200を加工可能な構成になっている。加工条件は、例えば、モータの回転速度、加工ユニット20の軸の移動速度、流体の使用量、流体の使用時間等の加工に関する条件を含む。加工ユニット20は、例えば、切削ブレード21を備え、制御ユニット100の制御により、被加工物200の表面201に複数のデバイス領域が分割予定ライン202に区画されて形成された被加工物200をシート205に保持した状態で、切削ブレード21が分割予定ライン202に沿って複数のチップに分割することで、被加工物200を複数のデバイス203に個片化する。なお、加工ユニット20は、被加工物200の内部に改質層を形成後、裏面から研削することで改質層を起点に被加工物200にクラックを形成し、その後シート205を拡張することで、被加工物200を改質層に沿って個片化するように構成してもよい。本実施形態では、加工ユニット20は、加工が切削である場合について説明するが、研削等の他の加工であってもよい。
【0022】
撮像ユニット30は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを搭載した電子顕微鏡である。撮像ユニット30は、保持テーブル10の保持部11の表面である保持面110上に保持された被加工物200の表面101を撮像する。撮像ユニット30は、低倍率(Lo)のマクロ撮像または高倍率(Hi)のミクロ撮像に切り替え、被加工物200の表面201を撮像可能となっている。撮像ユニット30によって取得した画像情報(キーパターン)は、切削すべき領域部分(ストリート)の検出に用いられ、加工ユニット20による加工動作の位置付けに用いられる。撮像ユニット30は、例えば、保持テーブル10の保持面110に保持された被加工物200の表面201に照明光を照射する光源を備えてもよい。この光源は、被加工物200を真上から照明する落射光源と、斜め方向から照明する斜光光源とで構成することができる。
【0023】
X軸方向移動ユニット41、Y軸方向移動ユニット42、Z軸方向移動ユニット43-1及びZ軸方向移動ユニット43-2は、それぞれ、保持テーブル10と、加工ユニット20及び撮像ユニット30と、を相対的にX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させる。X軸方向移動ユニット41は、本実施形態では、X軸方向に沿って、保持テーブル10を加工ユニット20及び撮像ユニット30に対して相対的に移動させる。Y軸方向移動ユニット42、Z軸方向移動ユニット43-1及びZ軸方向移動ユニット43-2は、本実施形態では、それぞれY軸方向及びZ軸方向に沿って、加工ユニット20、撮像ユニット30、洗浄ユニット80等を保持テーブル10または研削洗浄ユニット70に対して相対的に移動させる。
【0024】
X軸方向移動ユニット41、Y軸方向移動ユニット42、Z軸方向移動ユニット43-1及びZ軸方向移動ユニット43-2は、いずれも、モータと、ボールねじと、ガイドと、を有する公知のボールねじ機構である。X軸方向移動ユニット41は、X軸の軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるモータと、保持テーブル10をX軸方向に移動自在に支持するガイドと、を有して構成されている。Y軸方向移動ユニット42は、Y軸の軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるモータと、加工ユニット20及び洗浄砥石81と撮像ユニット30をY軸方向に移動自在に支持するガイドと、を有して構成されている。Z軸方向移動ユニット43-1及びZ軸方向移動ユニット43-2は、Z軸の軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるモータと、加工ユニット20及び洗浄砥石81と撮像ユニット30をZ軸方向に移動自在に支持するガイドと、を有して構成されている。X軸方向移動ユニット41、Y軸方向移動ユニット42、Z軸方向移動ユニット43-1及びZ軸方向移動ユニット43-2は、いずれも、制御ユニット100により、モータの駆動が制御されることにより、移動速度や移動量等が制御される。
【0025】
X軸方向移動ユニット41、Y軸方向移動ユニット42、Z軸方向移動ユニット43-1及びZ軸方向移動ユニット43-2は、モータの回転位置を読み取るエンコーダを含み、エンコーダが読み取ったモータの回転位置に基づいて、保持テーブル10と加工ユニット20、撮像ユニット30及び洗浄砥石81とのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の相対的な位置を検出し、検出した相対的な位置を制御ユニット100に出力する。ここで、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の相対的な位置は、加工装置1に備え付けられた装置直交座標系(XYZ座標)が使用される。装置直交座標系は、例えば、保持テーブル10の保持部11の表面中心が原点に設定される。なお、X軸方向移動ユニット41、Y軸方向移動ユニット42、Z軸方向移動ユニット43-1及びZ軸方向移動ユニット43-2は、エンコーダにより保持テーブル10と加工ユニット20、撮像ユニット30及び洗浄砥石81との相対的な位置を検出する構成に限定されず、それぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に平行なリニアスケールと、X軸方向移動ユニット41、Y軸方向移動ユニット42、Z軸方向移動ユニット43-1及びZ軸方向移動ユニット43-2によりそれぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられリニアスケールの目盛を読み取る読み取りヘッドと、により構成してもよい。
【0026】
表示ユニット51は、加工装置1の不図示のカバーに、表示面側を外側に向けて設けられている。表示ユニット51は、加工ユニット20による切削や撮像ユニット30による撮像等の加工装置1の各種処理に関する各種条件の設定の画面や、取得された画像やデータ、判定結果等をオペレータに視認可能に表示する。表示ユニット51は、液晶表示装置等により構成される。表示ユニット51は、オペレータが加工装置1の上記した各種条件に関する情報や画像等の表示に関する情報等を入力する際に使用する入力ユニット52が設けられている。表示ユニット51に設けられた入力ユニット52は、表示ユニット51に設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。なお、表示ユニット51は加工装置1に固定されておらず、任意の通信機器に備えられ、任意の通信機器が無線または有線により加工装置1と接続されてもよい。
【0027】
報知ユニット53は、加工装置1の不図示のカバーの上方に設けられている。報知ユニット53は、本実施形態では、発光ダイオードなどで構成される発光ユニットであり、発光ユニットの点灯や点滅や光の色彩等により、加工装置1による各種処理中に発生したエラーや、判定結果等をオペレータに認識可能に報知する。なお、報知ユニット53は、本発明では発光ユニットに限定されず、スピーカなどで構成され音声を発信する音声ユニットであり、音声ユニットの音声により、発生したエラーや判定結果等をオペレータに認識可能に報知してもよい。
【0028】
カセット載置台61は、複数の被加工物200を収容するための収容器であるカセット65を載置する載置台であり、載置されたカセット65をZ軸方向に昇降させる。研削洗浄ユニット70は、研削後の被加工物200を洗浄し、研削された被研削面に付着している研削屑等のコンタミネーションを除去する。加工装置1は、不図示の搬送ユニットをさらに備え、不図示の搬送ユニットは、保持テーブル10と、研削洗浄ユニット70と、カセット65とのそれぞれの間で、被加工物200を搬送する。
【0029】
洗浄ユニット80は、保持テーブル10の保持面110を洗浄する。図2は、図1に示す洗浄ユニット80の構成例を示す模式図である。図2に示すように、洗浄ユニット80は、洗浄砥石81と、洗浄砥石保持機構82と、を有する。
【0030】
洗浄砥石81は、保持テーブル10の保持面110に接触した状態で、保持テーブル10と相対的に移動することで、該保持面110を洗浄する。洗浄砥石81は、例えば、樹脂、ガラス、アルミナ、炭化ケイ素の砥粒を含んだビトリファイド砥石、レジンボンド砥石、アルカンサス砥石の少なくともいずれかを用いることができる。本実施形態では、洗浄砥石81は、ガラスによって形成されており、表面粗さ(Ra)が0.2μm以上1.5μm以下で、気孔率が2%以上8%以下で形成されたガラスブロックであることが好ましい。これにより、洗浄砥石81は、保持面110を削らずに保持面110に付着した異物を除去する効果を発揮することができる。洗浄砥石81の形状は、研削面が矩形、方形、円形等の形状とすることができる。洗浄砥石81は、自由端部から垂直に立設するタイプから斜め外側に延在するタイプなど複数種類のものを使い分けることができる。
【0031】
洗浄砥石保持機構82は、端部に洗浄砥石81が固定されており、エアシリンダにより洗浄砥石81を上下方向2100に移動させる。洗浄砥石保持機構82は、制御ユニット100と電気的に接続されており、制御ユニット100の制御によって動作して洗浄砥石81を所望の高さに位置付ける。洗浄砥石保持機構82は、エアシリンダによって洗浄砥石81のみが微小に上下動させる。洗浄砥石保持機構82は、加工ユニット20の切削ブレード21を回転可能に支持するスピンドル22に隣接した状態で、Z軸方向移動ユニット43-2に固定されている。洗浄砥石保持機構82は、Y軸方向移動ユニット42によってZ軸方向移動ユニット43-2とともに、左右方向2200に移動可能になっている。これにより、洗浄砥石保持機構82は、保持テーブル10の保持面110を洗浄する場合、洗浄砥石81を保持テーブル10の保持面110と接触する高さに位置付け、保持面110を洗浄しない場合、保持面110から離れた高さに位置付ける。
【0032】
保持テーブル10の保持部11は、供給源150と連通しており、供給源150から供給されるエアまたは液体を複数の孔から保持部11の保持面110に噴射可能な構成になっている。これにより、加工装置1は、保持面110からエアまたは液体の少なくともいずれかを噴射させながら洗浄砥石81で保持テーブル10を洗浄することができる。
【0033】
図1に示す制御ユニット100は、マイクロコンピュータからなり、被加工物200に対して所望の切削加工を施すために加工装置1の各部の動作を制御するためのものである。制御ユニット100は、加工装置1の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を加工装置1に実施させるものである。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理装置が演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を加工装置1の上述した構成要素に出力する。制御ユニット100は、プログラムを実行することで、保持テーブル10の洗浄方法を加工装置1で実現させる。
【0034】
以上、実施形態1に係る加工装置1の構成例について説明した。なお、図1及び図2を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、実施形態1に係る加工装置1の構成は係る例に限定されない。本実施形態に係る加工装置1の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0035】
(実施形態1に係る洗浄方法)
次に、実施形態1に係る加工装置1が実行する保持テーブル10の洗浄方法を説明する。図3は、加工装置1が実行する洗浄方法の一例を示すフローチャートである。図3に示す処理手順は、加工装置1の制御ユニット100がプログラムを実行することによって実現される。
【0036】
図3に示すように、加工装置1は、洗浄ユニット80を保持テーブル10の洗浄位置に移動させる(ステップ1001)。例えば、加工装置1は、Y軸方向移動ユニット42によって洗浄ユニット80を保持テーブル10の保持部11の上方に位置付け、Z軸方向移動ユニット43-2によって洗浄ユニット80を保持部11に接近させる。加工装置1は、ステップ1001の処理が終了すると、処理をステップ1002に進める。
【0037】
加工装置1は、洗浄砥石81を保持テーブル10の保持面110に接触させる(ステップ1002)。例えば、加工装置1は、洗浄砥石保持機構82によって洗浄砥石81を切削ブレード21よりも下方に移動させ、保持面110に接触させる。加工装置1は、洗浄砥石81が保持面110の異物を除去できる程度の力で、洗浄砥石81を保持面110に接触させる。加工装置1は、ステップ1002の処理が終了すると、処理をステップ1003に進める。
【0038】
加工装置1は、保持テーブル10と洗浄砥石81とを相対的に移動させて保持面110を洗浄する(ステップ1003)。例えば、加工装置1は、保持テーブル10を回転させ、Y軸方向移動ユニット42によって洗浄ユニット80を保持テーブル10の径方向に移動させることで、保持テーブル10と洗浄砥石81とを相対的に移動させる。本実施形態では、加工装置1は、洗浄砥石81で保持面110を洗浄する場合、供給源150からエアまたは液体を複数の孔から保持部11の保持面110に噴射させることで、保持面110から異物を除去している。加工装置1は、Y軸方向移動ユニット42によって洗浄ユニット80を保持テーブル10の径方向に移動させることで、保持面110の全面を洗浄砥石81によって洗浄する。加工装置1は、ステップ1003の処理が終了すると、処理をステップ1004に進める。
【0039】
加工装置1は、洗浄ユニット80を待機位置に移動させる(ステップ1004)。例えば、加工装置1は、洗浄砥石保持機構82によって洗浄砥石81を切削ブレード21よりも上方に移動させ、Z軸方向移動ユニット43-2によって洗浄ユニット80を保持部11から離し、Y軸方向移動ユニット42によって洗浄ユニット80を保持テーブル10の待機位置に移動させる。加工装置1は、ステップ1004の処理が終了すると、図3に示す処理手順を終了させる。
【0040】
以上のように、保持テーブル10の洗浄方法は、洗浄砥石81を保持テーブル10の保持面110に接触させ、洗浄砥石81と保持テーブル10とを相対的に移動させることで、保持テーブル10の保持面110の全面を洗浄することができる。これにより、洗浄方法は、洗浄砥石81で保持テーブル10の保持面110を洗浄することで、保持面110の異物を除去することができる。その結果、洗浄方法は、被加工物200を保持する保持テーブル10の保持面110に異物が付着した状態で、被加工物200を保持して加工することを防止できるので、被加工物200の加工品質を向上させることができる。
【0041】
また、洗浄方法は、洗浄砥石81を、樹脂、ガラス、アルミナ、炭化ケイ素の砥粒を含んだビトリファイド砥石、炭化ケイ素の砥粒を含んだレジンボンド砥石、アルカンサス砥石の少なくともいずれかとする。これにより、洗浄方法は、被加工物200を保持する保持テーブル10の保持面110から洗浄砥石81によって異物を除去することができる。
【0042】
また、洗浄方法は、洗浄砥石81がY軸方向移動ユニット42に固定され、加工ユニット20のスピンドル22と隣接して設置される。これにより、洗浄方法は、洗浄砥石81を加工ユニット20の移動手段を用いて移動させることができるので、装置構成の複雑化を抑制することができる。
【0043】
[実施形態2]
本発明の実施形態2に係る加工装置を図面に基づいて説明する。なお、実施形態2では、実施形態1と同一構造の部位には同一符号を付けて、説明を省略する。図4は、実施形態2に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。図5は、図4に示す洗浄ユニットの構成例を示す模式図である。
【0044】
図4に示すように、加工装置1-1は、上述した被加工物200を加工する装置である。加工装置1-1は、保持テーブル10と、加工ユニット20と、撮像ユニット30と、X軸方向移動ユニット41と、Y軸方向移動ユニット42と、Z軸方向移動ユニット43と、カセット載置台61と、研削洗浄ユニット70と、洗浄ユニット80-1と、制御ユニット100と、を備える。加工装置1-1は、表示ユニット51、入力ユニット52及び報知ユニット53を備える構成としてもよい。
【0045】
洗浄ユニット80-1は、Y軸方向に沿って延在し、保持テーブル10の移動経路の上方に位置するように、加工装置1-1の装置本体の上部に配置されている。移動経路は、X軸方向移動ユニット41によって移動されるX軸方向に沿った方向である。図5に示すように、洗浄ユニット80-1は、洗浄砥石81-1と、洗浄砥石保持機構82と、供給ノズル83と、を有する。
【0046】
洗浄砥石81-1は、保持テーブル10の保持面110に接触した状態で、保持テーブル10と相対的に移動することで、該保持面110を洗浄する。洗浄砥石81-1は、例えば、樹脂、ガラス、アルミナ、炭化ケイ素の砥粒を含んだビトリファイド砥石、炭化ケイ素の砥粒を含んだレジンボンド砥石、アルカンサス砥石の少なくともいずれかを用いることができる。洗浄砥石81-1は、保持テーブル10の保持面110の直径よりも長い角柱状に形成されており、保持面110の全面と接触可能なように供給ノズル83に配置されている。洗浄砥石81-1は、長方形状の接触面84を有し、接触面84が保持テーブル10の保持面110及び表面12の一部と洗浄時に接触する。
【0047】
本実施形態では、洗浄砥石81-1は、ガラスによって形成されており、表面粗さ(Ra)が0.2μm以上1.5μm以下で、気孔率が2%以上8%以下で形成されたガラスブロックであることが好ましい。これにより、洗浄砥石81-1は、研磨性を発揮することができる。
【0048】
洗浄砥石保持機構82は、X軸方向移動ユニット41に跨って供給ノズル83を配置するように、供給ノズル83の両端を固定している。洗浄砥石保持機構82は、エアシリンダにより供給ノズル83を上下方向2100に移動させることで、洗浄砥石81-1を上下方向2100に移動させる。洗浄砥石保持機構82は、制御ユニット100と電気的に接続されており、制御ユニット100の制御によって動作して洗浄砥石81-1を所望の高さに位置付ける。洗浄砥石保持機構82は、例えば、ボールねじ機構またはエアシリンダによって洗浄砥石81-1を上下動させる。洗浄砥石保持機構82は、供給ノズル83と洗浄砥石81-1とを隣接した状態で固定している。洗浄砥石保持機構82は、保持テーブル10の保持面110を洗浄する場合、洗浄砥石81を保持テーブル10の保持面110と接触する高さに位置付け、保持面110を洗浄しない場合、保持面110から離れた高さに位置付ける。
【0049】
供給ノズル83は、不図示の洗浄液供給源と連結しており、保持テーブル10の保持面110に対して上方から洗浄液を噴射可能な構成になっている。本実施形態では、洗浄ユニット80-1は、X軸方向において、加工室側から洗浄砥石81-1、供給ノズル83の順序で配置している。加工室は、加工装置1において、加工ユニット20で加工する空間である。供給ノズル83は、洗浄液及びエアを噴射する構成とし、X軸方向において、加工室側から洗浄砥石81-1、洗浄液ノズル、エアノズルの順序で配置する構成としてもよい。本実施形態では、加工装置1-1は、複数の供給ノズル83を有する。複数の供給ノズル83は、制御ユニット100の制御によって保持テーブル10の保持面110に向かって洗浄水を噴射するウォーターカーテンを構成している。
【0050】
制御ユニット100は、洗浄砥石81-1を保持テーブル10の保持面110に接触させた状態で、保持テーブル10をX軸方向に移動させることで保持面110を洗浄するように制御する。
【0051】
以上、実施形態2に係る加工装置1-1の構成例について説明した。なお、図4及び図5を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、実施形態2に係る加工装置1-1の構成は係る例に限定されない。実施形態2に係る加工装置1-1の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0052】
(実施形態2に係る洗浄方法)
次に、実施形態2に係る加工装置1-1が実行する保持テーブル10の洗浄方法を説明する。加工装置1-1は、図3に示した処理手順を実行することで、保持テーブル10の洗浄方法を実現する。
【0053】
加工装置1-1は、洗浄ユニット80を保持テーブル10の洗浄位置に移動させる(ステップ1001)。例えば、加工装置1-1は、X軸方向移動ユニット41によって保持テーブル10を移動させることで、洗浄ユニット80を保持テーブル10の洗浄位置に位置付ける。加工装置1-1は、ステップ1001の処理が終了すると、処理をステップ1002に進める。
【0054】
加工装置1-1は、洗浄砥石81-1を保持テーブル10の保持面110に接触させる(ステップ1002)。例えば、加工装置1-1は、洗浄砥石保持機構82によって洗浄砥石81-1を保持面110に向けて移動させ、保持面110に接触させる。加工装置1-1は、洗浄砥石81-1が保持面110の異物を除去できる程度の力で、洗浄砥石81-1を保持面110に接触させる。加工装置1-1は、ステップ1002の処理が終了すると、処理をステップ1003に進める。
【0055】
加工装置1-1は、保持テーブル10と洗浄砥石81-1とを相対的に移動させて保持面110を洗浄する(ステップ1003)。例えば、加工装置1-1は、X軸方向移動ユニット41によって保持テーブル10をX軸方向に移動させることで、保持テーブル10と洗浄砥石81-1とを相対的に移動させて保持面110を洗浄する。本実施形態では、加工装置1-1は、洗浄砥石81-1で保持面110を洗浄する場合、供給ノズル83から洗浄液を保持面110に向けて噴射させ、かつ、供給源150からエアを複数の孔から保持部11の保持面110に噴射させることで、保持面110から異物を除去している。加工装置1-1は、保持テーブル10の保持面110のX軸方向における一端から他端まで移動させることで、保持面110の全面を洗浄砥石81-1によって洗浄する。加工装置1は、ステップ1003の処理が終了すると、処理をステップ1004に進める。
【0056】
加工装置1-1は、洗浄ユニット80-1を待機位置に移動させる(ステップ1004)。例えば、加工装置1-1は、洗浄砥石保持機構82によって洗浄砥石81-1を保持テーブル10の保持面110から離れた位置に移動させる。加工装置1-1は、ステップ1004の処理が終了すると、図3に示した処理手順を終了させる。
【0057】
以上のように、保持テーブル10の洗浄方法は、洗浄砥石81-1を保持テーブル10の保持面110に接触させ、洗浄砥石81-1と保持テーブル10とを相対的に移動させることで、保持テーブル10の保持面110の全面を洗浄することができる。これにより、洗浄方法は、洗浄砥石81-1で保持テーブル10の保持面110を洗浄することで、保持面110の異物を除去することができる。その結果、洗浄方法は、被加工物200を保持する保持テーブル10の保持面110に異物が付着した状態で、被加工物200を保持して加工することを防止できるので、被加工物200の加工品質を向上させることができる。
【0058】
また、洗浄方法は、洗浄砥石81-1を加工装置1-1のY軸方向に延在して保持テーブル10の移動経路の上方に配置することで、加工装置1-1のウォーターカーテンに洗浄砥石81-1を設置することができる。これにより、洗浄情報は、加工装置1-1の追加構成の増加を抑制し、保持面110の異物を除去することができる。
【0059】
[実施形態3]
本発明の実施形態3に係る加工装置を図面に基づいて説明する。なお、実施形態3では、実施形態1及び実施形態2と同一構造の部位には同一符号を付けて、説明を省略する。図6は、実施形態3に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。図7は、図6に示す洗浄ユニットの構成例を示す模式図である。図8は、図6に示す他の洗浄ユニットの構成例を示す模式図である。
【0060】
図6に示すように、加工装置1-2は、上述した被加工物200を加工する装置である。加工装置1-1は、保持テーブル10と、加工ユニット20と、撮像ユニット30と、X軸方向移動ユニット41と、Y軸方向移動ユニット42と、Z軸方向移動ユニット43と、カセット65と、研削洗浄ユニット70と、洗浄ユニット80-2及び洗浄ユニット80-3と、搬送パッド90と、移動ユニット44と、制御ユニット100と、を備える。加工装置1-2は、表示ユニット51、入力ユニット52及び報知ユニット53を備える構成としてもよい。
【0061】
搬送パッド90は、カセット65に収容された被加工物200、洗浄ユニット80-2及び洗浄ユニット80-3を吸引保持して保持テーブル10に搬送する保持ハンドである。搬送パッド90は、ガイドレール45に沿ってY軸方向に移動する。図7及び図8に示すように、搬送パッド90は、パッド本体91と、吸盤92と、アーム93と、を有する。パッド本体91は、被加工物200を囲繞するフレーム206の外形よりも大きく、保持テーブル10の外形よりも小さな板状に形成されている。吸盤92は、パッド本体91からフレーム206(被加工物200)に近付くのに従って徐々に内外径が拡大している。アーム93は、端部にパッド本体91が固定されており、移動ユニット44によって左右方向2200(Y軸方向)に移動可能になっている。
【0062】
図6に示すように、移動ユニット44は、搬送パッド90を移動可能に支持する。移動ユニット44は、Y軸方向移動ユニット42に沿って筐体に配置され、搬送パッド90をY軸方向に移動させる。移動ユニット44は、上述したようにモータとボールねじとガイドとを有する公知のボールねじ機構である。移動ユニット44は、制御ユニット100によってモータの駆動が制御されることにより、移動速度や移動量等が制御される。
【0063】
カセット65は、所定間隔離間して複数の棚が側壁内面に形成されており、被加工物200、洗浄ユニット80-2及び洗浄ユニット80-3が棚によって支持された状態で収容可能な構成になっている。
【0064】
洗浄ユニット80-2及び洗浄ユニット80-3は、保持テーブル10の洗浄に用いられる。洗浄ユニット80-2及び洗浄ユニット80-3は、カセット65に収容され、保持テーブル10の保持面110を洗浄する場合に、カセット65から保持テーブル10に搬送される。洗浄ユニット80-2及び洗浄ユニット80-3は、被加工物200に貼着されるシート205と、該シート205の外縁部に装着される環状のフレーム206と、を有する。すなわち、洗浄ユニット80-2及び洗浄ユニット80-3は、被加工物200に装着するシート205及びフレーム206を有しており、該フレーム206を用いることで、被加工物200を収容するカセット65への収容が可能になっている。本実施形態では、洗浄ユニット80-2及び洗浄ユニット80-3は、カセット65に収容する場合について説明するが、カセット65に収容せずに、保持テーブル10に直接配置してもよい。
【0065】
洗浄ユニット80-2は、被加工物200と類似した円盤状の洗浄砥石81-2を有する。洗浄ユニット80-2は、一方の表面に粘着性を有するシート205が貼着され、シート205の外縁部に環状のフレーム206が装着されている。洗浄ユニット80-2は、保持テーブル10の保持面110に接触するように、フレーム206の中央付近に配置されている。図7に示すように、洗浄ユニット80-2は、保持テーブル10の保持面110よりも大きな直径で形成されており、保持面110の全面を覆うように接触可能な形状で形成されている。洗浄ユニット80-2は、フレーム206から保持面110に向かって突出するように、シート205を介してシート205に貼着されている。
【0066】
図6に示すように、洗浄ユニット80-3は、平板状の洗浄砥石81-3を有する。洗浄ユニット80-3は、一方の表面に粘着性を有するシート205が貼着され、シート205の外縁部に環状のフレーム206が装着されている。図8に示すように、洗浄ユニット80-3は、保持テーブル10の保持面110の半径よりも若干大きな長さ平板状に形成されている。洗浄ユニット80-3は、フレーム206から保持面110に向かって突出するように、シート205を介してフレーム206に貼着されている。洗浄ユニット80-3は、洗浄時に、保持テーブル10の保持面110に接触するように、フレーム206の中心からフレーム206の内縁に向かって配置されている。図8に示す一例では、洗浄ユニット80-3は、保持テーブル10の保持面110の一部と接触し、保持面110が1回転することで、保持面110の全面に接触して洗浄する。洗浄ユニット80-3は、洗浄砥石81-3が洗浄砥石81-2よりも小さいので、ユニットのコストダウンを図ることができる。
【0067】
制御ユニット100は、カセット65内に収容された洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3をカセット65から搬出する際には、搬送パッド90をカセット65内に挿入させ、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3を搬送パッド90に吸引保持させた後、移動ユニット44によって搬送パッド90を保持テーブル10に向けて移動させる。制御ユニット100は、移動ユニット44によって搬送パッド90を保持テーブル10の上方へ移動させ、搬送パッド90が吸引保持した洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3を保持テーブル10の保持面110に接触させる。制御ユニット100は、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3を搬送パッド90に保持した状態で保持テーブル10の保持面110に接触させ、搬送パッド90と保持テーブル10とを相対的に移動させることで、保持面110を洗浄する。なお、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3は、フレーム206やシート205に保持されず、直接搬送パッド90によって保持されても良い。
【0068】
以上、実施形態3に係る加工装置1-2の構成例について説明した。なお、図6乃至図8を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、実施形態3に係る加工装置1-2の構成は係る例に限定されない。実施形態3に係る加工装置1-2の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0069】
(実施形態3に係る洗浄方法)
次に、実施形態3に係る加工装置1-2が実行する保持テーブル10の洗浄方法を説明する。加工装置1-2は、図3に示した処理手順を実行することで、保持テーブル10の洗浄方法を実現する。
【0070】
加工装置1-2は、洗浄ユニット80を保持テーブル10の洗浄位置に移動させる(ステップ1001)。例えば、加工装置1-2は、移動ユニット44によって洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3をカセット65から搬出し、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3を保持テーブル10の洗浄位置に位置付ける。加工装置1-2は、ステップ1001の処理が終了すると、処理をステップ1002に進める。
【0071】
加工装置1-2は、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3を保持テーブル10の保持面110に接触させる(ステップ1002)。例えば、加工装置1-2は、搬送パッド90が保持している洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3を、アーム93によって保持面110に向けて移動させ、保持面110に接触させる。加工装置1-2は、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3が保持面110の異物を除去できる程度の力で、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3を保持面110に接触させる。例えば、加工装置1-2は、図7に示すように、洗浄砥石81-2が保持面110の全体を覆うように、アーム93によって洗浄砥石81-2を保持面110に接触させる。例えば、加工装置1-2は、図8に示すように、洗浄砥石81-3が保持面110の一部を覆うように、アーム93によって洗浄砥石81-3を保持面110に接触させる。加工装置1-2は、ステップ1002の処理が終了すると、処理をステップ1003に進める。
【0072】
加工装置1-2は、保持テーブル10と洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3とを相対的に移動させて保持面110を洗浄する(ステップ1003)。例えば、加工装置1-2は、図7または図8に示すように、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3を保持面110に接触させた状態で、保持テーブル10の保持部11を回転させることで、保持テーブル10と洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3とを相対的に移動させる。本実施形態では、加工装置1-2は、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3で保持面110を洗浄する場合、供給源150からエアまたは液体を複数の孔から保持部11の保持面110に噴射させることで、保持面110から異物を除去してもよい。加工装置1-2は、保持面110の洗浄が終了すると、保持テーブル10の回転を停止させる。加工装置1は、ステップ1003の処理が終了すると、処理をステップ1004に進める。
【0073】
加工装置1-2は、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3を待機位置に移動させる(ステップ1004)。例えば、加工装置1は、搬送パッド90が保持している洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3を、アーム93によって保持面110から離間させてカセット65に搬入する。加工装置1は、ステップ1004の処理が終了すると、図3に示した処理手順を終了させる。
【0074】
本実施形態では、加工装置1-2は、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3を用いて保持テーブル10の保持面110を洗浄する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、加工装置1-2は、洗浄ユニット80-2及び洗浄ユニット80-3を順次用いて洗浄したり、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3のいずれか一方を用いてカセット65に収容して洗浄したりしてもよい。
【0075】
以上のように、保持テーブル10の洗浄方法を実行する加工装置1-2は、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3を保持テーブル10の保持面110に接触させ、洗浄ユニット80-2または洗浄ユニット80-3と保持テーブル10とを相対的に移動させることで、保持テーブル10の保持面110の全面を洗浄することができる。これにより、加工装置1-2は、洗浄ユニット80-2及び洗浄ユニット80-3の少なくとも一方で保持テーブル10の保持面110を洗浄することで、保持面110の異物を除去することができる。その結果、加工装置1-2は、被加工物200を保持する保持テーブル10の保持面110に異物が付着した状態で、被加工物200を保持して加工することを防止できるので、被加工物200の加工品質を向上させることができる。
【0076】
上記の本実施形態では、加工装置1、加工装置1-1及び加工装置1-2は、被加工物200を切削する切削装置で実現する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、加工装置1、加工装置1-1及び加工装置1-2は、研削装置、研磨装置、プラズマエッチング装置、レーザー光線照射装置、バイト切削装置等の加工装置で実現してもよい。
【0077】
なお、本発明は、上記実施形態1、実施形態2及び実施形態3に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0078】
1,1-1,1-2 加工装置
10 保持テーブル
11 保持部
20 加工ユニット
21 切削ブレード
30 撮像ユニット
41 X軸方向移動ユニット
42 Y軸方向移動ユニット
43 Z軸方向移動ユニット
44 移動ユニット
51 表示ユニット
52 入力ユニット
53 報知ユニット
61 カセット載置台
65 カセット
70 研削洗浄ユニット
80,80-1,80-2,80-3 洗浄ユニット
81,81-1,81-2,81-3 洗浄砥石
82 洗浄砥石保持機構
83 供給ノズル
90 搬送パッド
100 制御ユニット
200 被加工物
205 シート
206 フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8