(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012219
(43)【公開日】2024-01-26
(54)【発明の名称】試料容器およびこれを用いた動的粘弾性測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 11/16 20060101AFI20240119BHJP
G01N 11/00 20060101ALI20240119BHJP
G01N 19/00 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
G01N11/16 A
G01N11/00 F
G01N19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114414
(22)【出願日】2022-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】503460323
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】岡野 結衣
(72)【発明者】
【氏名】大久保 信明
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動的粘弾性測定において、高分子溶融粘度、熱硬化性樹脂、接着剤、塗料などの粘性流動試料を測定できないという課題を解決する。
【解決手段】試料の加熱又は冷却による温度変化に伴う動的粘弾性測定に用いる試料容器1であって、有底筒状で上部が開口している試料カップ2と、前記試料カップの開口の面積より断面積が小さく前記試料カップの開口部から差し込み可能で振動を前記試料カップ内の前記試料に伝える差し込み治具5とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の加熱又は冷却による温度変化に伴う動的粘弾性測定に用いる試料容器であって、
有底筒状で上部が開口している試料カップと、
前記試料カップの開口の面積より断面積が小さく前記試料カップの開口部から差し込み可能で振動を前記試料カップ内の前記試料に伝える差し込み治具とを備えていることを特徴とする試料容器。
【請求項2】
請求項1に記載の試料容器において、
アルミニウム,金,銀,銅,白金のいずれかで形成されていることを特徴とする試料容器。
【請求項3】
請求項1に記載の試料容器において、
前記試料カップは、上部及び側部に開口部を有した有底の試料カップ本体部と、
前記試料カップ本体部の側部の開口部を閉塞して着脱可能に固定される試料カップ側面部とから構成されていることを特徴とする試料容器。
【請求項4】
請求項1に記載の試料容器において、
前記差し込み治具の先端部が、先端に向けて鋭利になっていることを特徴とする試料容器。
【請求項5】
請求項1に記載の試料容器において、
前記試料カップの下面に、下方に突出した試料カップ保持棒を設けていることを特徴とする試料容器。
【請求項6】
請求項5に記載の試料容器において、
前記試料カップと前記試料カップ保持棒とが一体物であることを特徴とする試料容器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の試料容器と、
前記試料容器を加熱または冷却するための温度可変部と、を備え、動的粘弾性測定を行うことを特徴とする動的粘弾性測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱や冷却しながら試料の物理的熱分析するための試料容器およびそれを用いた動的弾性測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、試料の温度特性を評価する手法として、試料を加熱または冷却し温度変化に伴う試料の物理的変化を測定する熱分析といわれる手法が行われている。
熱分析は、JISK0129:2005”熱分析通則”に定義されており、測定対象(試料)の温度をプログラム制御させた時の、試料の物理的性質を測定する手法が全て熱分析とされる。一般的に用いられる熱分析の手法の一つとして、動的粘弾性測定(DMA)がある。
【0003】
動的粘弾性測定(DMA)は、試料に時間によって変化(振動)する歪みまたは応力を与えて、それによって発生する応力または歪みを測定することにより、試料の力学的な性質を測定する方法である。動的粘弾性測定(DMA)を熱分析の一手法として考えると、振動荷重(または歪)に対する試料の力学的な性質を温度の関数として測定する技法と解釈できる。
【0004】
特許文献1に記載されるように、ゴムやプラスチックや複合材料などの固体試料の両端を保持する弾性アームの一部に細部を設けて個体試料の熱膨張に対して変形しやすくすることにより、試料が熱膨張した際に生じる座屈などの好ましくない形状変化を効果的に除去するとともに、試料の荷重に対して必要な剛性を保つことによって、ゴムやプラスチックや複合材料などの固体試料の測定正確度を向上させた動的粘弾性測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、ゴムやプラスチックや複合材料などの固体試料は動的粘弾性測定が可能であるが、高分子溶融粘度、熱硬化性樹脂、接着剤、塗料などの粘性流動試料は保持(固定)することができないので動的粘弾性測定ができないという課題があった。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、高分子溶融粘度、熱硬化性樹脂、接着剤、塗料などの粘性流動試料の場合でも、安定的に動的粘弾性測定ができる試料容器及びこれを用いた動的粘弾性測定装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る試料容器は、試料の加熱又は冷却による温度変化に伴う動的粘弾性測定に用いる試料容器であって、有底筒状で上部が開口している試料カップと、前記試料カップの開口の面積より断面積が小さく前記試料カップの開口部から差し込み可能で振動を前記試料カップ内の前記試料に伝える差し込み治具とを備えていることを特徴とする。
【0009】
この試料容器では、試料カップの開口の面積より断面積が小さく試料カップの開口部から差し込み可能で振動を試料カップ内の試料に伝える差し込み治具を備えているので、動的粘弾性測定用試料容器として、差し込み治具を試料カップ内の試料に差し込んで振動を伝達することで、高分子溶融粘度、熱硬化性樹脂、接着剤、塗料接着剤、塗料などの粘性流動試料でも動的粘弾性測定が可能である。
【0010】
第2の発明に係る試料容器は、第1の発明において、アルミニウム,金,銀,銅,白金のいずれかで形成されていることを特徴とする。
すなわち、この試料容器では、アルミニウム,金,銀,銅,白金のいずれかで形成されているので、高熱伝導率材料で形成された試料容器を用いることで、効率的に試料の加熱又は冷却でき、測定の精度が向上できる。
【0011】
第3の発明に係る試料容器は、第1の発明において、前記試料カップは、上部及び側部に開口部を有した有底の試料カップ本体部と、前記試料カップ本体部の側部の開口部を閉塞して着脱可能に固定される試料カップ側面部とから構成されていることを特徴とする。
すなわち、この試料容器では、試料カップは、上部及び側部に開口部を有した有底の試料カップ本体部と、試料カップ本体部の側部の開口部を閉塞して着脱可能に固定される試料カップ側面部とから構成されているので、測定後に試料カップ側面部を試料カップ本体部から取り外し、試料カップ本体部の側面を開放することで、試料カップ内の試料の洗浄を行いやすくなり、試料容器の再利用がしやすくなる。
【0012】
第4の発明に係る試料容器は、第1の発明において、前記差し込み治具の先端部が、先端に向けて鋭利になっていることを特徴とする。
すなわち、この試料容器では、差し込み治具の先端部が、先端に向けて鋭利になっているので、接着剤などの比較的高粘度の試料にスムーズに差し込みやすくなり測定が容易にでき、有底筒状の試料カップに差し込み治具を差し込んだ際に生じる試料の圧縮変形を回避することができる。
【0013】
第5の発明に係る試料容器は、第1の発明において、前記試料カップの下面に、下方に突出した試料カップ保持棒を設けていることを特徴とする。
すなわち、この試料容器では、試料カップの下面に、下方に突出した試料カップ保持棒を設けているので、試料カップ保持棒を把持することで、試料カップを動的粘弾性測定装置に容易かつしっかりと固定することができる。
【0014】
第6の発明に係る試料容器は、第5の発明において、前記試料カップと前記試料カップ保持棒とが一体物であることを特徴とする。
すなわち、この試料容器では、試料カップと試料カップ保持棒とが一体物であるので、ネジやすき間が無いことで、試料容器の熱伝導率が向上する。
【0015】
第7の発明に係る動的粘弾性測定装置は、第1から第6の発明のいずれかの試料容器と、前記試料容器を加熱または冷却するための温度可変部と、を備え、動的粘弾性測定を行うことを特徴とする。
すなわち、この動的粘弾性測定装置では、第1から第6の発明のいずれかの試料容器を備えているので、高分子溶融粘度、熱硬化性樹脂、接着剤、塗料接着剤、塗料などの粘性流動試料でも動的粘弾性測定が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る試料容器及びこれを使用した動的粘弾性測定装置によれば、試料カップの開口の面積より断面積が小さく試料カップの開口部から差し込み可能で振動を試料カップ内の試料に伝える差し込み治具を備えているので、高分子溶融粘度、熱硬化性樹脂、接着剤、塗料接着剤、塗料などの粘性流動試料でも動的粘弾性測定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る動的粘弾性測定装置の構成を示す概要図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る差し込み治具を除く試料容器を示す三面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る差し込み治具を除く試料容器を示す三面図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係る差し込み治具を示す正面図である。
【
図5】本発明の第4実施形態に係る差し込み治具を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る試料容器及びこれを使用した動的粘弾性測定装置の第1実施形態を、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、第1実施形態に係る動的粘弾性測定装置の構成を示す概要図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る差し込み治具5を除く試料容器1の三面図である。
図2(A)は正面図、
図2(B)は上面図、
図2(C)は側面図である。
本実施形態の動的粘弾性測定装置(DMA)は、高分子溶融粘度、熱硬化性樹脂、接着剤、塗料などの粘性流動試料用の試料容器1を用いた点以外は、従来の動的粘弾性測定装置と同様な構成を有するので、概要を説明する。
本実施形態の動的粘弾性測定装置(DMA)は、以下の構成を備えている。
【0020】
上記試料容器1は、試料Sの加熱又は冷却による温度変化に伴う動的粘弾性測定に用いる試料容器であって、有底筒状で上部が開口している試料カップ2と、試料カップ2の開口の面積より断面積が小さく試料カップ2の開口部から差し込み可能で振動を試料カップ2内の試料Sに伝える差し込み治具5と、を備えている。
なお、差し込み治具5の上記断面積は、試料カップ2内に差し込まれる部分での最大断面積である。
また、試料容器1は、試料カップ2の下面に、下方に突出した試料カップ保持棒3を設けている。
【0021】
すなわち、試料容器1は、試料Sを収納する有底面筒状で上部が開口している形状である試料カップ2と、試料カップ2を把持する試料カップ保持棒3と、円柱状の棒や平板といった形状の差し込み治具5とで構成されている。なお、本実施形態では、円柱状の差し込み治具5を採用している。
試料容器1は、アルミニウム,金,銀,銅,白金のいずれかで形成されている。
また、試料カップ2と試料カップ保持棒3とは、一体物である。すなわち、試料カップ2と試料カップ保持棒3とは、アルミニウム,金,銀,銅,白金のいずれかで一体成形されている。
【0022】
例えば、試料容器1の試料カップ2と試料カップ保持棒3は、切削加工や射出成型やプレスで製作することで一体物になっている。したがって、比較的安価に製作できるために使い捨てにすることが容易になる。使い捨てで使用できることにより、測定後に次の測定のための洗浄作業がなくなり時短につながる。また、測定後の試料が完全に硬化し試料容器1が使用できなくなるような試料Sも、使い捨てで使用できる試料容器1であれば測定を行うことが可能になる。
なお、試料カップ保持棒3は、その下部が試料カップ把持チャック4にネジなどで固定される。
【0023】
本実施形態の動的粘弾性測定装置(DMA)は、試料容器1の周辺に試料容器1をヒーターや液体窒素などの冷却ガスなどを用いて加熱または冷却するための温度可変部8と、温度可変部8を制御する加熱炉制御器15と、温度を検知する温度センサー11と、検知した温度を計測する温度計測器14と、交流力を制御する交流力制御器12と、交流力制御器で制御された交流力を発生させる振動発生器10と、振動発生器10に接続されたプローブ7と、プローブ7の他端に設けられ試料容器1の差し込み治具5をネジなどで固定する差し込み治具把持チャック6と、を備えている。
【0024】
なお、プローブ7は、差し込み治具把持チャック6を介し、試料Sに差し込まれた差し込み治具5に振動発生器10で発生させた振幅を伝達させるものである。また、試料カップ2を把持している試料カップ保持棒3の他端は、図示しない動的粘弾性測定装置(DMA)の筐体に固定された試料カップ把持チャック4に固定される。
【0025】
さらに、本実施形態の動的粘弾性測定装置(DMA)は、プローブ7の一部に固定され、差し込み治具5から差し込み治具把持チャック6を介し、プローブ7に伝達された振幅を読み取る変位検出部9と、変位検出部9から検出された変位を演算する演算器13と、演算器13と温度計測器14からの情報を計算し交流力制御器12と加熱炉制御器15にフィードバックする計算器16と、周波数、振幅、温度を入力する測定設定値入力器17と、貯蔵弾性率、損失弾性率、tanδを出力するディスプレイからなる物理量出力器18と、を備えている。
【0026】
本発明の動的粘弾性測定の手順の概要は、以下のとおりである。
まず、試料カップ2の有底面筒状内に試料Sを収納し、試料カップ2と一体物になっている試料カップ保持棒3の他端を図示しない動的粘弾性測定装置(DMA)の筐体に固定し、差し込み治具5を試料カップ2に触れないように開口部から試料Sの中に差し込み、試料S側と逆の他端を差し込み治具把持チャック6に固定させる。
【0027】
次に、温度計測器14で温度を検知しながらヒーターを備えた温度可変部8を用いて試料容器1を加熱して単位時間内の温度上昇が一定になるように制御する。
交流制御器12から交流信号を振動発生器10に入力し、振動発生器10は交流制御器12からの交流信号により振幅(振動)を発生させてプローブ7に加える。それにより、プローブ7の他端に設けられた差し込み治具把持チャック6を介して差し込み治具5を振動させる。
【0028】
その際に、差し込み治具5が試料Sに差し込まれているために、差し込み治具5の振動による試料Sの変形により生じた時間遅れをともった歪を、差し込み治具5からプローブ7を介して、変位検出部9で検出し、計算機16に設定した周波数により生じた変形量を、演算機13に取り込み変形量から歪量を求め、交流力制御器12で発生させた正弦波状の荷重と歪量から演算機13の中で計算を行い、計算機16を通して物理量として、物理量出力器18に貯蔵弾性率および/または損失弾性率、tanδなどが出力される。
【0029】
演算器13で得られた歪量は計算機16の中で振幅値として求められ、交流力制御器12を通してフィードバックされ、得られた歪量が設定した振幅値に一致するように制御される。
同時に、計算機16に設定した温度条件を加熱炉制御器15から温度可変部8に信号として制御することで温度可変部8の温度を変化させ、試料周辺の温度を変化させることで温度に依存した貯蔵弾性率、損失弾性率tanδなどの物理量を得ることができる。
【0030】
上記動的粘弾性測定の手順では、試料容器1をヒーターで加熱するとしていたが、温度可変部8に液体窒素などの冷却ガスを流すための配管を設けることで、試料容器1を冷却することも可能である。
【0031】
次に、本発明に係る試料容器及びこれを使用した動的粘弾性測定装置の第2~第4実施形態について、
図3~
図5を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0032】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、試料カップ2が有底の角筒状の一体物であるのに対し、第2実施形態の試料容器では、
図3に示すように、試料カップ2は、上部及び側部に開口部を有した有底の試料カップ本体部21と、試料カップ本体部21の側部の開口部を閉塞して着脱可能に固定される試料カップ側面部22とから構成されている点である。
すなわち、試料カップ本体部21は横断面コ字状かつ縦断面L字状とされ、側部の開口部に試料カップ側面部22が密着状態で取り付けられると、有底角筒状の試料カップとなる。
【0033】
図3は、差し込み治具5を除く第2実施形態の試料容器1を示す三面図である。
図2(A)は正面図、
図2(B)は上面図、
図2(C)は側面図である。
上述したように、本実施形態における試料カップ2は、試料Sを収納する有底面筒状の側面が開放できるように、試料カップ本体部21と試料カップ側面部22とから構成されている。試料カップ本体部21と試料カップ側面部22とは、図示しないネジなどにより底面筒状の形状に固定することにより、試料Sを収納することができる。これにより、測定後にネジなどの固定を外すことで、有底面筒状内の試料Sの洗浄を行いやすくなり、試料容器の再利用がしやすくなる。
【0034】
第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、差し込み治具5が円柱状であり、その先端部(下端部)が縦断面矩形状であるのに対し、第3実施形態の試料容器では、
図4に示すように、差し込み治具51が長板状であり、その先端部(下端部)が先端に向けて鋭利な形状となっている点である。
【0035】
図4は、本発明の第3実施形態に係る試料容器の差し込み治具51を示す正面図である。
図4(A)は正面図、
図4(B)は側面図である。
上述したように、本実施形態における差し込み治具51は、先端部が鋭利な形状になっている。すなわち、差し込み治具51の先端部が、先端に向けて厚さが漸次薄く形成されている。したがって、差し込み治具51は、先端がとがっているために、接着剤などの比較的高粘度の試料にスムーズに差し込みやすくなり測定が容易にでき、有底筒状の試料カップに差し込み治具51を差し込んだ際に生じる試料の圧縮変形を回避することができる。
【0036】
第4実施形態と第3実施形態との異なる点は、第3実施形態では、差し込み治具51の先端部の厚さが漸次薄くなって鋭利な形状とされているのに対し、第4実施形態の試料容器では、
図5に示すように、長板状の差し込み治具61の先端部が先端に向けて幅が漸次狭くなった鋭利な形状となっている点である。
【0037】
図5は、本発明の第4実施形態に係る試料容器の差し込み治具61を示す正面図である。
図4(A)は正面図、
図4(B)は側面図である。
本実施形態における差し込み治具61は、その先端部が下方を差し示す矢印のような形状になっている。先端がとがっているために、接着剤などの比較的高粘度の試料Sにスムーズに差し込みやすくなり測定が容易にできるとともに、試料カップ2の底面と差し込み治具61の間に発生する圧縮力を周囲に発散させることができるため測定精度も向上する。
【0038】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 試料容器
2 試料カップ
3 試料カップ保持棒
4 試料カップ把持チャック
5,51,61 差し込み治具
21 試料カップ本体部
22 試料カップ側面部
S 試料