(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122195
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240902BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029615
(22)【出願日】2023-02-28
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小川 武士
(72)【発明者】
【氏名】大和田 俊和
(72)【発明者】
【氏名】金崎 克己
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA11
(57)【要約】
【課題】予測した患者又は被介護者に関する情報の従事者に対する通知を適切に行う情報処理装置を提供すること。
【解決手段】医療サービス又は介護サービスに従事する従事者が作成した記録データから患者又は被介護者に関する情報を予測するように機械学習された学習モデルを用いて、患者又は被介護者に関する情報を予測する予測手段と、予測手段が新たに予測した情報及び予測手段が予測済みの情報の履歴に基づいて従事者に通知すると判定された、予測手段が新たに予測した情報を、従事者に通知する通知手段と、を有する情報処理装置により上記課題を解決する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療サービス又は介護サービスに従事する従事者が作成した記録データから患者又は被介護者に関する情報を予測するように機械学習された学習モデルを用いて、患者又は被介護者に関する情報を予測する予測手段と、
前記予測手段が新たに予測した情報及び前記予測手段が予測済みの情報の履歴に基づいて前記従事者に通知すると判定された、前記予測手段が新たに予測した情報を、前記従事者に通知する通知手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記患者又は被介護者に関する情報は、前記患者又は前記被介護者に将来発生する可能性のあるイベントに関する情報である
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記イベントに関する情報は、前記患者又は前記被介護者の転倒、誤嚥、救急搬送、又は認知症症状の進行の情報である
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測手段が新たに予測した情報、及び前記予測手段が予測済みの情報の履歴に基づいて、前記予測手段が新たに予測した情報及び前記履歴の最新の情報が同一でなければ前記従事者に通知すると判定する判定手段を更に有する
請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記予測手段が新たに予測した情報及び前記履歴の最新の情報が同一である状態が所定期間継続すれば前記従事者に通知すると判定する
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記患者又は被介護者に関する情報は、前記患者又は前記被介護者の内面評価結果に関する情報である
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記予測手段が新たに予測した情報、及び前記予測手段が予測済みの情報の履歴に基づいて、前記予測手段が新たに予測した情報が、前記患者又は前記被介護者のポジティブな前記内面評価結果であれば、前記従事者に通知すると判定する判定手段、を更に有する
請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記予測手段が新たに予測した情報が、前記患者又は前記被介護者のネガティブな前記内面評価結果である状態が所定期間継続すれば、前記従事者に通知すると判定する
請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記予測手段は、前記従事者の内面評価結果に関する情報を予測し、
前記判定手段は、前記予測手段が新たに予測した情報が、前記従事者のネガティブな前記内面評価結果である状態が所定期間継続すれば、前記従事者の管理職に通知すると判定する
請求項7記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記予測手段は、前記患者又は前記被介護者と、前記従事者との相互の内面評価結果に関する情報とを予測し、
前記通知手段は、前記予測手段が新たに予測した前記相互の内面評価結果に関する情報と、前記予測手段が所定期間に予測済みの前記相互の内面評価結果に関する情報の平均との差異に基づいて前記患者又は前記被介護者に通知すると判定された、前記予測手段が新たに予測した前記相互の内面評価結果に関する情報を、前記従事者に通知する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記記録データに含まれるテキストデータを形態素解析処理により分解する形態素解析手段と、
前記形態素解析処理の結果と前記患者又は被介護者に関する情報との対応関係を前記学習モデルに機械学習させる学習手段と、を更に有する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置が、
医療サービス又は介護サービスに従事する従事者が作成した記録データから患者又は被介護者に関する情報を予測するように機械学習された学習モデルを用いて、患者又は被介護者に関する情報を予測する予測ステップと、
前記予測ステップで新たに予測した情報及び前記予測ステップで予測済みの情報の履歴に基づいて前記従事者に通知すると判定された、前記予測ステップで新たに予測した情報を、前記従事者に通知する通知ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項13】
情報処理装置に、
医療サービス又は介護サービスに従事する従事者が作成した記録データから患者又は被介護者に関する情報を予測するように機械学習された学習モデルを用いて、患者又は被介護者に関する情報を予測する予測ステップ、
前記予測ステップで新たに予測した情報及び前記予測ステップで予測済みの情報の履歴に基づいて前記従事者に通知すると判定された、前記予測ステップで新たに予測した情報を、前記従事者に通知する通知ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば要介護者又は患者が発症する可能性がある疾患や要介護者又は患者に発生する可能性があるイベントを予測して通知することを課題する予測システムがある。従来の予測システムは、要介護者又は患者である対象者が発症する可能性がある疾患や対象者に発生する可能性があるイベントを予測するように機械学習された学習モデルを利用して、対象者が将来発症する可能性がある疾患や対象者に将来発生する可能性があるイベントを予測して、予測結果を対象者の家族及び対象者の医療又は介護従事者の少なくとも一方に通知していた(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の予測システムは、医療又は介護従事者に対し、同一の予測結果を続けて通知してしまう場合があった。同一の予測結果を続けて通知された医療又は介護従事者は、通知に対する注意力が散漫になってしまう可能性があった。
【0004】
本発明の実施の形態は、予測した患者又は被介護者に関する情報の従事者に対する通知を適切に行う情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を達成するために本願請求項1は、医療サービス又は介護サービスに従事する従事者が作成した記録データから患者又は被介護者に関する情報を予測するように機械学習された学習モデルを用いて、患者又は被介護者に関する情報を予測する予測手段と、前記予測手段が新たに予測した情報及び前記予測手段が予測済みの情報の履歴に基づいて前記従事者に通知すると判定された、前記予測手段が新たに予測した情報を、前記従事者に通知する通知手段と、を有する情報処理装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施の形態によれば、予測した患者又は被介護者に関する情報の従事者に対する通知を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
【
図2】本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【
図3】本実施形態に係るスマートフォンの一例のハードウェア構成図である。
【
図4】本実施形態に係る情報処理装置の一例の機能構成図である。
【
図6】本実施形態に係る情報処理装置が行う学習処理の一例のフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る情報処理装置が行う予測処理の一例のフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係る情報処理装置が行う判定処理の一例のフローチャートである。
【
図10】介護担当者に送付されるメール文の一例を示した図である。
【
図11】本実施形態に係る情報処理装置の一例の機能構成図である。
【
図12】本実施形態に係る情報処理装置が行う学習処理の一例のフローチャートである。
【
図14】本実施形態に係る情報処理装置が行う判定処理の一例のフローチャートである。
【
図15】介護担当者と被介護者との相互の内面評価結果の一例の説明図である。
【
図16】本実施形態に係る情報処理装置が行う判定処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、医療サービス又は介護サービスに従事する従事者が介護担当者の例を説明するが、介護担当者に限定するものではない。
【0009】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の一例の構成図である。
図1の情報処理システム1は、情報処理装置10及び従事者端末12が、ネットワーク18を介して通信可能に接続されている。ネットワーク18は、インターネット、移動体通信網、ローカルエリアネットワーク(LAN)等によって構築される。
【0010】
従事者端末12は、介護担当者が操作する情報処理端末の一例である。
図1の情報処理システム1は、複数台の従事者端末12が含まれる。介護担当者は、被介護者のケア又は日常生活の世話等を行う。また、介護担当者は、被介護者の状態を観察したり診断したりする。介護担当者は被介護者についての情報を共有するため、日誌などの記録データを作成し、従事者端末12に入力する。従事者端末12は介護担当者に入力された記録データを情報処理装置10に登録する。
【0011】
従事者端末12は、例えば、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブルPC、又はデスクトップPC等である。また、従事者端末12は、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、又はデジタルカメラ等であってもよい。
【0012】
情報処理装置10は、従事者端末12から登録された記録データから被介護者に関する情報を後述のように予測し、予測結果を後述のように出力し、被介護者に通知する。情報処理装置10は、例えば、ノートPC、デスクトップPC、ワークステーション等のコンピュータである。また、情報処理装置10は、例えばPJ、IWB、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA、デジタルカメラ、又はウェアラブルPC等であってもよい。
【0013】
また、情報処理装置10は、一台以上のコンピュータによって実現される。情報処理システム1は、ネットワーク18を介して通信可能な複数台のコンピュータに情報処理装置10の機能を分散させて実現する構成であってもよい。情報処理装置10は、クラウド環境のコンピュータに実現させる構成であってもよいし、オンプレミス環境のコンピュータに実現させる構成であってもよい。このように、
図1に示した情報処理システム1は一例である。
【0014】
<ハードウェア構成>
図1の情報処理装置10は、例えば
図2に示すハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。また、従事者端末12はPCである場合、例えば
図2のハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。
図2は本実施形態に係るコンピュータ500の一例のハードウェア構成図である。
【0015】
図2に示されているように、コンピュータ500はCPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、及びメディアI/F516を備えている。
【0016】
CPU501は、プログラムに従ってコンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御に従ってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0017】
ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウインドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、ネットワーク18を利用して通信をするためのインタフェースである。データバス510は、CPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0018】
キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0019】
なお、上記の各プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。記録媒体の例として、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク、又はSDカード等が挙げられる。また、記録媒体は、プログラム製品(Program Product)として、国内又は国外へ提供されることができる。
【0020】
また、従事者端末12は、例えば
図3に示したハードウェア構成のスマートフォン700により実現してもよい。
図3は本実施形態に係るスマートフォンの一例のハードウェア構成図である。
図3に示されているように、スマートフォン700は、CPU701、ROM702、RAM703、EEPROM704、CMOSセンサ705、撮像素子I/F706、加速度・方位センサ707、メディアI/F709、及びGPS受信部711を備えている。
【0021】
CPU701は、スマートフォン700全体の動作を制御する。ROM702は、CPU701やIPL等のCPU701の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM703は、CPU701のワークエリアとして使用される。EEPROM704は、CPU701の制御にしたがって、スマートフォン700用プログラム等の各種データの読み出し又は書き込みを行う。
【0022】
CMOSセンサ705は、CPU701の制御に従って被写体(主に自画像)を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、CMOSセンサ705ではなく、CCDセンサ等の撮像手段であってもよい。撮像素子I/F706は、CMOSセンサ705の駆動を制御する回路である。加速度・方位センサ707は、地磁気を検知する電子磁気コンパスやジャイロコンパス、加速度センサ等の各種センサである。
【0023】
メディアI/F709は、フラッシュメモリ等の記録メディア708に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。GPS受信部711は、GPS衛星からGPS信号を受信する。
【0024】
また、スマートフォン700は、遠距離通信回路712、CMOSセンサ713、撮像素子I/F714、マイク715、スピーカ716、音入出力I/F717、ディスプレイ718、外部機器接続I/F719、近距離通信回路720、近距離通信回路720のアンテナ720a、及びタッチパネル721を備えている。
【0025】
遠距離通信回路712は、ネットワーク18を介して他の機器と通信する回路である。CMOSセンサ713は、CPU701の制御に従って被写体を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。撮像素子I/F714は、CMOSセンサ713の駆動を制御する回路である。マイク715は、音を電気信号に変える内蔵型の回路である。スピーカ716は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。
【0026】
音入出力I/F717は、CPU701の制御に従ってマイク715及びスピーカ716との間で音信号の入出力を処理する回路である。ディスプレイ718は被写体の画像や各種アイコン等を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)などの表示部の一種である。ディスプレイはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)であってもよい。外部機器接続I/F719は各種の外部機器を接続するインタフェースである。近距離通信回路720はNFCやBluetooth等の通信回路である。タッチパネル721は、ユーザがディスプレイ718を押下することで、スマートフォン700を操作する入力部の一種である。
【0027】
また、スマートフォン700は、バスライン710を備えている。バスライン710は
図3に示されているCPU701等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0028】
<機能構成>
本実施形態に係る情報処理装置10は、例えば
図4に示すような機能構成により実現される。
図4は本実施形態に係る情報処理装置10の一例の機能構成図である。
図4の機能構成は、本実施形態の説明に不要な構成について適宜省略している。
図4の情報処理装置10は、OS及びアプリケーション等のプログラムを実行することにより例えば
図4の機能構成を実現する。
【0029】
図4の情報処理装置10は、通信部60、記憶制御部62、形態素解析部64、学習部66、予測部68、判定部70、メール成形部72、通知部74、及び記憶部80を有する。通信部60、記憶制御部62、形態素解析部64、学習部66、予測部68、判定部70、メール成形部72、通知部74、及び記憶部80は、例えば
図2に示されている各構成要素の何れかが、HD504からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能である。
【0030】
通信部60は、従事者端末12との通信を行う。記憶制御部62は、記憶部80に対するデータ、情報、又は学習モデルの書き込み等を制御する。記憶制御部62は、記憶部80からのデータ、情報、又は学習モデルの読み出し等を制御する。
【0031】
また、
図4の記憶部80は、記録データDB90、アラート履歴DB92、メール文面DB94、メール送付先DB96、学習データDB98、及び学習モデル100を記憶している。
【0032】
記録データDB90は、介護担当者が登録した記録データを記憶している。アラート履歴DB92は、予測部68が予測した被介護者に関する情報(アラート)の履歴を記憶している。メール文面DB94は、介護担当者に予測部68が予測した被介護者に関する情報を通知するメール文面素案を記憶している。メール送付先DB96は、メール送付先アドレス一覧を記憶している。学習データDB98は、学習モデルに学習させる学習モデル100に機械学習させる学習データを記憶する。
【0033】
形態素解析部64は、テキストデータを形態素解析処理により分解する。形態素解析部64は、既存の日本語形態素解析ソフトを利用してもよい。学習部66は、学習データDB98の学習データを学習モデル100に機械学習させる。予測部68は、機械学習された学習モデル100を用いて、介護担当者が登録した記録データから被介護者に将来発生する可能性のあるイベント(例えば転倒、誤嚥、救急搬送、又は認知症症状の進行等)を予測する。転倒、誤嚥、救急搬送、又は認知症症状の進行等は、被介護者に将来発生する可能性のあるイベントに関する情報の一例である。イベントに関する情報は、予測部68が予測する被介護者に関する情報の一例であって、アラートである。以下では、予測部68が予測した被介護者に関する情報を、予測結果と呼ぶ。
【0034】
判定部70は、予測部68が新たに予測した予測結果、及び予測部68が予測済みの予測結果の履歴に基づいて、予測部68が新たに予測した予測結果を介護担当者に通知するか否かを判定する。メール成形部72は、予測部68が新たに予測した予測結果を介護担当者に通知すると判定された場合に、メール文面素案に基づいて、介護担当者に送信するメール文を成型する。通知部74は、成型されたメール文と、メール送付先アドレス一覧に含まれる介護担当者のメール送付先アドレスとに基づき、介護担当者宛にメールを送付することで、新たに予測した予測結果を介護担当者に通知する。
【0035】
記憶部80の記録データDB90は、例えば
図5に示した記録データを記憶する。
図5は記録データの一例の構成図である。
図5に示す記録データは、データ項目として、入力者、日時、被介護者、及び報告内容を含む。データ項目「入力者」は、記録データを登録した介護担当者を表す。データ項目「日時」は、介護担当者により記録データが登録された日時を表す。データ項目「被介護者」は、介護担当者がケア又は日常生活の世話等の介護を行った介護サービスの利用者を表す。データ項目「報告内容」は、介護担当者が観察した被介護者の状態、又は介護担当者が被介護者に対して行った診断結果などを記録した情報である。
【0036】
<処理>
情報処理装置10は、例えば
図6に示す手順で学習モデルを機械学習させる。
図6は本実施形態に係る情報処理装置10が行う学習処理の一例のフローチャートである。
【0037】
ステップS100において、学習部66は学習データDB98から学習データを取得する。学習データは、
図5に示したような記録データと、その記録データが介護担当者により登録された後で被介護者に発生したイベント(例えば転倒、誤嚥、救急搬送、又は認知症症状の進行等)とが対応付けられたデータの一例である。
【0038】
ステップS102において、形態素解析部64は、取得した学習データの記録データに含まれる報告内容を形態素解析処理により分解する。なお、記録データに含まれる報告内容は、記録データに含まれるテキストデータの一例である。
【0039】
ステップS104において、学習部66は記録データに含まれる報告内容を形態素解析処理した結果と、その記録データが介護担当者により登録された後で被介護者に発生したイベントとの対応関係を学習モデル100に機械学習させる。機械学習は各種手法が公開されている。例えば機械学習では、再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)等のニューラルネットワーク、サポートベクターマシン(SVM:Support Vector Machine)、又はCRF(Conditional Random Fields)等の学習モデルの何れを用いてもよい。
【0040】
ステップS106において、学習部66は機械学習済みの学習モデル100を記憶部80に記憶する。情報処理装置10は、機械学習済みの学習モデル100を用いて、
図7に示す手順で、被介護者に将来発生する可能性の高いイベントを予測する。
図7は本実施形態に係る情報処理装置10が行う予測処理の一例のフローチャートである。
【0041】
ステップS200において、通信部60は介護担当者が従事者端末12から登録した記録データを取得する。記憶制御部62は介護担当者が登録した記録データを記録データDB90に記憶させる。
【0042】
ステップS202において、形態素解析部64は、取得した記録データに含まれる報告内容を形態素解析処理により分解する。ステップS204において、予測部68は機械学習済みの学習モデル100を用いて、被介護者に将来発生する可能性の高いイベントを予測する。具体的に、予測部68はステップS202の形態素解析処理の結果を、機械学習済みの学習モデル100に入力することで、被介護者に将来発生する可能性の高いイベントを予測する。
【0043】
ステップS206において、予測部68は新たに予測した予測結果を判定部70に出力する。また、予測部68は新たに予測した予測結果に基づき、
図8に示すアラートの履歴をアラート履歴DB92に記憶させる。
【0044】
図8は、アラートの履歴の一例の構成図である。
図8のアラートの履歴は、データ項目として、No、報告日時、被介護者、被介護者ID、及びアラート内容を含む。データ項目「アラート内容」は、予測部68は新たに予測した予測結果を表す。
【0045】
予測部68が新たに予測した予測結果を出力された判定部70は、例えば
図9に示す手順で、予測結果を介護担当者に通知するか否かを判定する。
図9は、本実施形態に係る情報処理装置10が行う判定処理の一例のフローチャートである。
【0046】
ステップS300において、判定部70はアラート履歴DB92からアラートの履歴を取得する。ステップS302において、判定部70は予測部68が新たに予測した予測結果を取得する。
【0047】
ステップS304において、判定部70は予測部68が新たに予測した予測結果と、新たに予測した予測結果を除いたアラートの履歴の最新の予測結果とが同一か否かを判定する。同一でなければ、判定部70はステップS308に進み、予測部68が新たに予測した予測結果を出力し、介護担当者に通知すると判定する。
【0048】
同一でなければ、判定部70はステップS306に進み、予測部68が新たに予測した予測結果と、新たに予測した予測結果を除いたアラートの履歴の最新の予測結果とが同一である状態が所定期間(例えば一週間又は二週間など)継続しているか否かを判定する。
【0049】
所定期間継続していれば、判定部70はステップS308に進み、予測部68が新たに予測した予測結果を出力し、介護担当者に通知すると判定する。所定期間継続していなければ、判定部70は予測部68が新たに予測した予測結果を出力せず、
図9の処理を終了する。
【0050】
図7のステップS206に戻り、説明を続ける。予測部68が新たに予測した予測結果を出力し、介護担当者に通知すると判定した場合、メール成形部72は、メール文面素案に基づいて、介護担当者に送信するメール文を成型する。メール文は、例えば
図10に示したように、予測結果に適切な連絡指示を加えた文章となる。
図10は介護担当者に送付されるメール文の一例を示した図である。
【0051】
通知部74は、
図10に示したように成型されたメール文と、メール送付先アドレス一覧に含まれる介護担当者のメール送付先アドレスとに基づき、介護担当者宛にメールを送付することで、新たに予測した予測結果を介護担当者に通知する。
【0052】
<まとめ>
機械学習された学習モデルの予測精度が十分でない場合、情報処理装置10は同一の予測結果を頻繁に介護担当者に通知してしまう場合があった。例えば熟練した介護担当者は同一の予測結果を頻繁に通知されると、注意力が散漫になってしまう場合がある。
【0053】
そこで、本実施形態に係る情報処理装置10は、
図9に示したように予測結果を介護担当者に通知するか否かを判定することで、同一の予測結果が頻繁に通知されることを防いでいる。本実施形態に係る情報処理装置10によれば、同一の予測結果が適切な間隔を空けて通知されるようにしたことで、介護担当者の被介護者に対するケア又は日常生活の世話等の質を高く維持できる。
【0054】
なお、同一の予測結果を通知しない適切な間隔は、予測結果に合わせて異なる期間を設定してもよい。例えば転倒又は誤嚥のような重大な事故に発展しかねない予測結果については、同一の予測結果を通知しない適切な間隔として1週間程度を設定する。また、例えば施設内の徘徊又は失禁のような重大な事故に発展しない予測結果については、同一の予測結果を通知しない適切な間隔として2~3週間程度を設定する。
【0055】
[第2の実施形態]
第1の実施形態は、種々の変形実施が可能である。情報処理装置10が介護担当者に通知する予測結果は、被介護者の内面評価結果であってもよい。なお、第2の実施形態は一部を除いて第1の実施形態と同様であるため、適宜説明を省略する。
【0056】
図11は本実施形態に係る情報処理装置10の一例の機能構成図である。
図11の機能構成図は、
図4の機能構成に感情分析部76が追加された構成である。感情分析部76は被介護者の感情分析(ネガポジ分析)を行う。例えば、ネガポジ分析は「日本語評価極性辞書(用語編)」(小林のぞみ,乾健太郎,松本裕治,立石健二,福島俊一.意見抽出のための評価表現の収集.自然言語処理,Vol.12, No.3, pp.203-222, 2005.)に記載されている手法を用いることができる。
【0057】
感情分析部76は、形態素解析部64の形態素解析結果に対してネガポジ分析を行うことにより、記録データの報告内容に記載されている語から「楽しい」「気分がよい」などのポジティブな語、又は「帰りたい」「死にたい」といったネガティブな語の出現頻度を求めることで、被介護者の内面評価結果に関する情報として、ポジティブ又はネガティブな内面評価結果(例えばポジティブ度の数値又はネガティブ度の数値)を分析できる。
【0058】
予測部68は、機械学習された学習モデル100を用いて、介護担当者が登録した記録データから被介護者のポジティブ又はネガティブの内面評価結果を予測する。被介護者のポジティブ又はネガティブの内面評価結果は、予測部68が予測する被介護者に関する情報の一例であって、アラートである。予測部68が予測した被介護者のポジティブ又はネガティブの内面評価結果は、予測結果の一例である。
【0059】
情報処理装置10は、例えば
図12に示す手順で学習モデルを機械学習させる。
図12は本実施形態に係る情報処理装置10が行う学習処理の一例のフローチャートである。
【0060】
ステップS400において、学習部66は学習データDB98から学習データを取得する。ステップS402において、形態素解析部64は、取得した学習データの記録データに含まれる報告内容を形態素解析処理により分解する。
【0061】
ステップS404において、感情分析部76は記録データに含まれる報告内容を形態素解析処理した結果に対してネガポジ分析を行い、ポジティブ又はネガティブな内面評価結果を分析する。
【0062】
ステップS406において、学習部66は記録データに含まれる報告内容を形態素解析処理した結果と、その結果をネガポジ分析した被介護者のポジティブ又はネガティブな内面評価結果との対応関係を学習モデル100に機械学習させる。
【0063】
ステップS408において、学習部66は機械学習済みの学習モデル100を記憶部80に記憶する。情報処理装置10は、機械学習済みの学習モデル100を用いて、
図7に示した手順で、被介護者のポジティブ又はネガティブな内面評価結果を予測する。
【0064】
ステップS200において、通信部60は介護担当者が従事者端末12から登録した記録データを取得する。記憶制御部62は介護担当者が登録した記録データを記録データDB90に記憶させる。
【0065】
ステップS202において、形態素解析部64は、取得した記録データに含まれる報告内容を形態素解析処理により分解する。ステップS204において、予測部68は機械学習済みの学習モデル100を用いて、被介護者のポジティブ又はネガティブな内面評価結果を予測する。具体的に、予測部68はステップS202の形態素解析処理の結果を、機械学習済みの学習モデル100に入力することで、被介護者のポジティブ又はネガティブな内面評価結果を予測する。
【0066】
ステップS206において、予測部68は新たに予測した予測結果を判定部70に出力する。また、予測部68は新たに予測した予測結果に基づき、
図13に示すアラートの履歴をアラート履歴DB92に記憶させる。
【0067】
図13は、アラートの履歴の一例の説明図である。
図13のアラートの履歴は、介護担当者の勤務日数に対する被介護者のポジティブ又はネガティブな内面評価結果の変化を表している。
【0068】
予測部68が新たに予測した予測結果を出力された判定部70は、例えば
図14に示す手順で、予測結果を介護担当者に通知するか否かを判定する。
図14は、本実施形態に係る情報処理装置10が行う判定処理の一例のフローチャートである。
【0069】
ステップS500において、判定部70はアラート履歴DB92からアラートの履歴を取得する。ステップS502において、判定部70は予測部68が新たに予測した予測結果を取得する。
【0070】
ステップS504において、判定部70は予測部68が新たに予測した予測結果が被介護者のポジティブな内面評価結果であるか否かを判定する。被介護者のポジティブな内面評価結果であれば、判定部70はステップS508に進み、予測部68が新たに予測した予測結果を出力し、介護担当者に通知すると判定する。
【0071】
被介護者のポジティブな内面評価結果でなければ、判定部70はステップS506に進み、予測部68が新たに予測した予測結果がネガティブな内面評価結果であり、且つ所定期間(例えば一週間又は二週間など)継続しているか否かを判定する。
【0072】
所定期間継続していれば、判定部70はステップS508に進み、予測部68が新たに予測した予測結果を出力し、介護担当者に通知すると判定する。所定期間継続していなければ、判定部70は予測部68が新たに予測した予測結果を出力せず、
図14の処理を終了する。
【0073】
図7のステップS206に戻り、説明を続ける。予測部68が新たに予測した予測結果を出力し、介護担当者に通知すると判定した場合、メール成形部72は、メール文面素案に基づいて、介護担当者に送信するメール文を成型する。
【0074】
通知部74は、
図10に示したように成型されたメール文と、メール送付先アドレス一覧に含まれる介護担当者のメール送付先アドレスとに基づき、介護担当者宛にメールを送付することで、新たに予測した予測結果を介護担当者に通知する。
【0075】
<まとめ>
本実施形態に係る情報処理装置10は、記録データを形態素解析処理し、機械学習済みの学習モデル100を用いて、被介護者のポジティブ又はネガティブな内面評価結果を予測できる。例えば介護現場において声かけは重要である。介護担当者は被介護者のネガティブ又はポジティブの内面評価結果にあった声かけを行うことで、被介護者の内面を効率良く改善することができる。例えば被介護者の内面がポジティブの場合、介護担当者は積極的に声かけをおこなっても問題がない。
【0076】
しかし、うつ病の対処にみられるように、ネガティブな内面が続いている被介護者に対しては、励ますような声かけを続けてしまうと被介護者を追い詰めてしまい、被介護者の内面が悪化することが確認されている。そこで、本実施形態に係る情報処理装置10は
図14に示したように、ネガティブな予測結果が所定期間継続している被介護者のことを介護担当者に通知することで、注意して声かけができるようにしている。
【0077】
また、本実施形態に係る情報処理装置10は、介護担当者の内面を評価できるようにしてもよい。介護現場では被介護者から介護担当者に暴言が掛けられる場合がある。介護担当者は、汚物処理又は被介護者との死別などで内面がネガティブになる場合がある。このようなネガティブな内面が続くことで介護担当者は離職してしまう場合があった。本実施形態に係る情報処理装置10は、介護担当者の管理職に対して、介護担当者のネガティブな内面評価結果を通知することで介護担当者の離職を減らす効果が期待できる。なお、ステップS404のネガポジ分析は日本語評価極性辞書(用語編)のような辞書ベースで分析してもよいし、他の方法で分析してもよい。
【0078】
[第3の実施形態]
第2の実施形態のポジティブ又はネガティブな内面評価結果は、介護担当者又は被介護者の個別のものだけでなく、
図15に示すような介護担当者と被介護者との相互のものであってもよい。
【0079】
図15は、介護担当者と被介護者との相互の内面評価結果の一例の説明図である。
図15は、介護担当者及び被介護者のペア毎の相互の内面評価結果を表している。例えば
図15は、正の値がポジティブの内面評価結果を示し、負の値がネガティブの内面評価結果を示している。
【0080】
第3の実施形態において、予測部68が新たに予測した予測結果を出力された判定部70は、例えば
図16に示す手順で、予測結果を介護担当者に通知するか否かを判定する。
図16は、本実施形態に係る情報処理装置10が行う判定処理の一例のフローチャートである。
【0081】
ステップS600において、判定部70は
図16の介護担当者及び被介護者のペア毎の相互の内面評価結果を、アラートの履歴としてアラート履歴DB92から取得する。ステップS602において、判定部70は予測部68が新たに予測した介護担当者及び被介護者のペア毎の相互の内面評価結果を、新たな予測結果として取得する。
【0082】
ステップS604において、判定部70は所定の日数(例えば10日間など)の介護担当者及び被介護者のペア毎の相互の内面評価結果の平均値を計算する。ステップS606において、判定部70はステップS604で計算した介護担当者及び被介護者のペア毎の相互の内面評価結果の平均値を利用して、介護担当者及び被介護者のペア毎に、ステップS602で取得した新たな介護担当者及び被介護者のペア毎の相互の内面評価結果との差異を計算する。差異は絶対値でも差分を二乗した値であってもよい。
【0083】
ステップS606において、判定部70はステップS606で計算した差異が閾値以下であるか否かを判定する。差異が閾値以下でなければ、判定部610はステップS610に進み、ステップS602で取得した介護担当者及び被介護者のペアの内面評価結果を出力し、介護担当者に通知すると判定する。
【0084】
差異が閾値以下であれば、判定部610はステップS602で取得した介護担当者及び被介護者のペアの内面評価結果を出力せず、
図16の処理を終了する。
図7のステップS206に戻り、説明を続ける。予測部68が新たに予測した介護担当者及び被介護者のペアの内面評価結果を出力し、介護担当者に通知すると判定した場合、メール成形部72は、メール文面素案に基づいて、介護担当者に送信するメール文を成型する。
【0085】
通知部74は、メール文と、メール送付先アドレス一覧に含まれる介護担当者のメール送付先アドレスとに基づき、介護担当者宛にメールを送付することで、新たに予測した介護担当者及び被介護者のペアの内面評価結果を介護担当者に通知する。
【0086】
<まとめ>
本実施形態に係る情報処理装置10は、
図15に示すような介護担当者及び被介護者のペアの内面評価結果を数値で出力する場合、介護現場において被介護者の暴言又は行動などにより日々の結果が変動しやすい。所定の日数(例えば10日間など)の平均値との差異を求めることで、本実施形態に係る情報処理装置10は介護担当者及び被介護者のペアの内面評価結果の変化が判定でき、日々の小さな変動の影響を減少できる。
【0087】
また、本実施形態に係る情報処理装置10は、所定の日数の平均値との差異が大きくなると、介護担当者及び被介護者のペアの介護担当者又は被介護者の何れかの内面に大きな影響のある事案が生じたことが分かり、介護現場の管理者等にとって対応が取りやすくなるという効果がある。
【0088】
なお、第3の実施形態では、所定の日数の一例として10日間を示したが、1週間又は30日間等としてもよい。例えば新しい被介護者又は介護者担当者が加わった場合には短い期間で介護担当者及び被介護者のペアの内面評価結果を評価したほうが好ましく、被介護者又は介護者担当者の変更が半年程度なければ、所定の日数を10日間程度としても好ましい結果が得られることを期待できる。
【0089】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。なお、本実施形態で説明した情報処理システム1は一例であって、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があることは言うまでもない。
【0090】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0091】
実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理装置10は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスはネットワーク18や共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0092】
さらに、情報処理装置10は上記の開示された処理ステップを様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば所定のユニットによって実行されるプロセスは、他のユニットによって実行することができる。
【0093】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>
医療サービス又は介護サービスに従事する従事者が作成した記録データから患者又は被介護者に関する情報を予測するように機械学習された学習モデルを用いて、患者又は被介護者に関する情報を予測する予測手段と、
前記予測手段が新たに予測した情報及び前記予測手段が予測済みの情報の履歴に基づいて前記従事者に通知すると判定された、前記予測手段が新たに予測した情報を、前記従事者に通知する通知手段と、
を有する情報処理装置。
<2>
前記患者又は被介護者に関する情報は、前記患者又は前記被介護者に将来発生する可能性のあるイベントに関する情報である
前記<1>記載の情報処理装置。
<3>
前記イベントに関する情報は、前記患者又は前記被介護者の転倒、誤嚥、救急搬送、又は認知症症状の進行の情報である
前記<2>記載の情報処理装置。
<4>
前記予測手段が新たに予測した情報、及び前記予測手段が予測済みの情報の履歴に基づいて、前記予測手段が新たに予測した情報及び前記履歴の最新の情報が同一でなければ前記従事者に通知すると判定する判定手段を更に有する
前記<1>乃至<3>の何れか一項に記載の情報処理装置。
<5>
前記判定手段は、前記予測手段が新たに予測した情報及び前記履歴の最新の情報が同一である状態が所定期間継続すれば前記従事者に通知すると判定する
前記<4>記載の情報処理装置。
<6>
前記患者又は被介護者に関する情報は、前記患者又は前記被介護者の内面評価結果に関する情報である
前記<1>記載の情報処理装置。
<7>
前記予測手段が新たに予測した情報、及び前記予測手段が予測済みの情報の履歴に基づいて、前記予測手段が新たに予測した情報が、前記患者又は前記被介護者のポジティブな前記内面評価結果であれば、前記従事者に通知すると判定する判定手段、を更に有する
前記<6>記載の情報処理装置。
<8>
前記判定手段は、前記予測手段が新たに予測した情報が、前記患者又は前記被介護者のネガティブな前記内面評価結果である状態が所定期間継続すれば、前記従事者に通知すると判定する
前記<7>記載の情報処理装置。
<9>
前記予測手段は、前記従事者の内面評価結果に関する情報を予測し、
前記判定手段は、前記予測手段が新たに予測した情報が、前記従事者のネガティブな前記内面評価結果である状態が所定期間継続すれば、前記従事者の管理職に通知すると判定する
前記<7>記載の情報処理装置。
<10>
前記予測手段は、前記患者又は前記被介護者と、前記従事者との相互の内面評価結果に関する情報とを予測し、
前記通知手段は、前記予測手段が新たに予測した前記相互の内面評価結果に関する情報と、前記予測手段が所定期間に予測済みの前記相互の内面評価結果に関する情報の平均との差異に基づいて前記患者又は前記被介護者に通知すると判定された、前記予測手段が新たに予測した前記相互の内面評価結果に関する情報を、前記従事者に通知する
前記<1>記載の情報処理装置。
<11>
前記記録データに含まれるテキストデータを形態素解析処理により分解する形態素解析手段と、
前記形態素解析処理の結果と前記患者又は被介護者に関する情報との対応関係を前記学習モデルに機械学習させる学習手段と、を更に有する
前記<1>乃至<10>の何れか一項に記載の情報処理装置。
<12>
情報処理装置が、
医療サービス又は介護サービスに従事する従事者が作成した記録データから患者又は被介護者に関する情報を予測するように機械学習された学習モデルを用いて、患者又は被介護者に関する情報を予測する予測ステップと、
前記予測ステップで新たに予測した情報及び前記予測ステップで予測済みの情報の履歴に基づいて前記従事者に通知すると判定された、前記予測ステップで新たに予測した情報を、前記従事者に通知する通知ステップと、
を有する情報処理方法。
<13>
情報処理装置に、
医療サービス又は介護サービスに従事する従事者が作成した記録データから患者又は被介護者に関する情報を予測するように機械学習された学習モデルを用いて、患者又は被介護者に関する情報を予測する予測ステップ、
前記予測ステップで新たに予測した情報及び前記予測ステップで予測済みの情報の履歴に基づいて前記従事者に通知すると判定された、前記予測ステップで新たに予測した情報を、前記従事者に通知する通知ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0094】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
12 従事者端末
18 ネットワーク
60 通信部
62 記憶制御部
64 形態素解析部
66 学習部
68 予測部
70 判定部
72 メール成形部
74 通知部
80 記憶部
100 学習モデル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】