(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122252
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240902BHJP
B24B 37/34 20120101ALI20240902BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H01L21/304 622N
H01L21/304 622Q
H01L21/304 643A
H01L21/304 644A
H01L21/304 647B
B24B37/34
B24B55/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029697
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】梶田 真二
(72)【発明者】
【氏名】平安名 常仁
(72)【発明者】
【氏名】梶川 敬之
(72)【発明者】
【氏名】上里 昌充
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
3C047FF08
3C047FF19
3C047HH15
3C158AA07
3C158AC05
3C158CB01
3C158DA12
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED00
5F057AA21
5F057AA34
5F057BA11
5F057BB03
5F057CA11
5F057CA24
5F057CA25
5F057DA01
5F057DA03
5F057DA31
5F057DA38
5F057DA39
5F057EB27
5F057EC30
5F057FA02
5F057FA32
5F057FA34
5F057FA37
5F057FA39
5F057FA45
5F057GA27
5F057GB11
5F157AA15
5F157AA16
5F157AA96
5F157AB48
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157BA08
5F157BA13
5F157BA14
5F157BA31
5F157BB23
5F157BB24
5F157BB33
5F157BB34
5F157BC19
5F157BD02
5F157BE12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板の裏面の付着物を低減できる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置10は、研磨前の基板の裏面を親水化処理する前処理ユニット16と、前処理ユニットにて裏面が親水化処理された基板の表面を研磨する研磨ユニット20a、20bと、を備える。前処理ユニットと研磨ユニットとが1つの基板処理装置内にあるため、親水化処理後の基板を前処理ユニットから研磨ユニットへと短時間で搬送して研磨することができ、基板の表面を研磨するときまで裏面における親水化処理の効果を持続させることができる。また、裏面が親水化状態となっていることで、研磨後の基板洗浄時の液流れや濡れ性が向上し、基板の裏面の付着物を低減できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨前の基板の裏面を親水化処理する前処理ユニットと、
前記前処理ユニットにて裏面が親水化処理された基板の表面を研磨する研磨ユニットと、
を備えた基板処理装置。
【請求項2】
前記研磨ユニットにて表面を研磨された基板の表面および裏面を洗浄する洗浄ユニット
をさらに備えた請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記前処理ユニットは、
研磨前の基板の裏面を上向きに向けた状態で基板を保持して回転させる回転支持部と、
前記回転支持部に支持された基板の裏面に親水化薬液を供給する親水化薬液供給ノズルと、
を有する、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記前処理ユニットは、
前記回転支持部に支持された基板の裏面をバフ処理する研磨前裏面バフ処理部
をさらに有する、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記親水化薬液は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、高分子添加剤のうちの1つまたは2つ以上を含む、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記親水化処理では、研磨前の基板の裏面の接触角を50°以下にする、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記洗浄ユニットは、
前記研磨ユニットにて研磨された基板の表面を上向きに向けた状態で基板を保持して回転させる第2回転支持部と、
前記第2回転支持部に支持された基板の裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルを有する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記洗浄液供給ノズルは、ピンノズルとフラットノズルの一方または両方を含む、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前処理ユニットにおいて研磨前の基板の裏面を親水化処理するステップと、
前記前処理ユニットにて裏面が親水化処理された基板の表面を、前記前処理ユニットと同じ1つの装置内に配置された研磨ユニットにて研磨するステップと、
を含む基板処理方法。
【請求項10】
前記研磨ユニットにて表面を研磨された基板の表面および裏面を、前記研磨ユニットと同じ1つの装置内に配置された洗浄ユニットにて洗浄するステップ
をさらに含む、請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記基板の裏面を親水化処理するステップは、
研磨前の基板の裏面を上向きに向けた状態で基板を回転させるステップと、
回転中の基板の裏面に親水化薬液を供給するステップと、
を含む、請求項9または10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記基板の裏面を親水化処理するステップは、
前記基板の裏面に親水化薬液を供給する前に、回転中の基板の裏面をバフ処理するステップ
をさらに含む、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記親水化薬液は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、高分子添加剤のうちの1つまたは2つ以上を含む、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記基板の裏面を親水化処理するステップでは、研磨前の基板の裏面の接触角を50°以下にする、請求項9または10に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記基板の表面および裏面を洗浄するステップは、
前記研磨ユニットにて研磨された表面を上向きに向けた状態で基板を回転させるステップと、
回転中の基板の裏面に洗浄液供給ノズルから洗浄液を供給するステップと、
を含む、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記洗浄液供給ノズルは、ピンノズルとフラットノズルの一方または両方を含む、請求項15に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関し、特に半導体ウェハなどの基板を平坦に研磨するために用いられる基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高集積化が進むにつれて回路の配線が微細化し、配線間距離もより狭くなりつつある。半導体デバイスの製造では、シリコンウェハの上に多くの種類の材料が膜状に繰り返し形成され、積層構造が形成される。この積層構造を形成するためには、ウェハの表面を平坦にする技術が重要となっている。このようなウェハの表面を平坦化する一手段として、化学機械研磨(CMP)を行う研磨装置(化学的機械的研磨装置ともいう)が広く用いられている。
【0003】
この化学機械研磨(CMP)装置は、一般に、研磨パッドが取り付けられた研磨テーブルと、ウェハを保持するトップリングと、研磨液を研磨パッド上に供給するノズルとを備えている。ノズルから研磨液を研磨パッド上に供給しながら、トップリングによりウェハを研磨パッドに押し付け、さらにトップリングと研磨テーブルとを相対移動させることにより、ウェハを研磨してその表面を平坦にする。
【0004】
基板処理装置は、このようなCMP装置に加え、研磨後のウェハを洗浄し、さらに乾燥させる機能を有する装置である。このような基板処理装置においては、CMP研磨時にウェハの裏面側からトップリングに設けられたメンブレンを介して圧力印加を行うが、このときに、ウェハの裏面とメンブレンとの間の隙間から研磨液(スラリー)等が流れ込み、裏面にスラリー残渣が付着物として付着する現象が発生する。
【0005】
研磨後のウェハを洗浄する際に、表面洗浄だけでなく裏面洗浄を行うことができる装置もあるが、裏面洗浄は表面洗浄とは異なり、重力に逆らった状況下での洗浄であるため、付着物を除去することが比較的難しい。そのため、洗浄前の状態で付着物の絶対量が少ない状況が望ましい。
【0006】
特許文献1では、研磨前の基板の表面をロール状のスポンジにより予備洗浄し、その後に、予備洗浄された基板の表面を研磨する方法が提案されている。しかしながら、この方法は、基板の表面の研磨前に、当該表面に付着しているものを予備洗浄により除去することを目的としたものであり、基板の表面を研磨する際に裏面に付着する付着物を軽減させるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
半導体ウェハの製造プロセスでは、従来、デバイス形成面の清浄度が重要であり、表面側への洗浄方法の開発が主として進められてきた。一方で、ウェハの裏面の清浄度は従来のデバイス構成レベルでは、重要視されておらず、裏面に特化した洗浄方法というものは存在しない。しかしながら、デバイス形成面の集積度が密になるにつれ、裏面に異物があると、リソグラフィ工程において焦点位置がずれるなどの影響が生じる可能性がある。
【0009】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、基板の裏面の付着物を低減できる基板処理装置および基板処理方法を提供することにある。
【0010】
本発明の第1の態様に係る基板処理装置は、
研磨前の基板の裏面を親水化処理する前処理ユニットと、
前記前処理ユニットにて裏面が親水化処理された基板の表面を研磨する研磨ユニットと、
を備える。
【0011】
このような態様によれば、前処理ユニットと研磨ユニットとが1つの装置(基板処理装置)内にあるため、親水化処理後の基板を前処理ユニットから研磨ユニットへと短時間で搬送して研磨することができ、基板の表面を研磨するときまで裏面における親水化処理の効果を持続させることができる。そして、基板の表面を研磨する際に、基板の裏面にスラリーが回り込んでしまったとしても、基板の裏面が親水化処理されていることで、回り込んだスラリーは基板の裏面で濡れ広がり、基板の裏面の定位置に停滞して固着しまうことが起こりづらくなり、研磨後の基板を洗浄する際に基板の裏面からスラリー残渣を容易に除去することができる。また、裏面が親水化状態となっていることで、洗浄時の液流れや濡れ性が向上する。これにより、基板の裏面の付着物を低減できる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る基板処理装置は、第1の態様に係る基板処理装置であって、
前記研磨ユニットにて表面を研磨された基板の表面および裏面を洗浄する洗浄ユニット
をさらに備える。
【0013】
このような態様によれば、研磨処理ユニットと洗浄ユニットとが1つの装置(基板処理装置)内にあるため、研磨後の基板を研磨ユニットから洗浄ユニットへと短時間で搬送して洗浄することができ、基板の裏面に回り込んだスラリーが洗浄前に乾燥により固着してしまうことを抑制できる。
【0014】
本発明の第3の態様に係る基板処理装置は、第1または2の態様に係る基板処理装置であって、
前記前処理ユニットは、
研磨前の基板の裏面を上向きに向けた状態で基板を保持して回転させる回転支持部と、
前記回転支持部に支持された基板の裏面に親水化薬液を供給する親水化薬液供給ノズルと、
を有する。
【0015】
本発明の第4の態様に係る基板処理装置は、第3の態様に係る基板処理装置であって、
前記前処理ユニットは、
前記回転支持部に支持された基板の裏面をバフ処理する研磨前裏面バフ処理部
をさらに有する。
【0016】
このような態様によれば、親水化処理の前に基板の裏面をバフ処理することで、基板の裏面の表層から酸化膜を除去して表面活性を高めることができ、これにより、その後の親水化処理の効果を高めることができる。
【0017】
本発明の第5の態様に係る基板処理装置は、第3の態様に係る基板処理装置であって、
前記親水化薬液は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、高分子添加剤のうちの1つまたは2つ以上を含む。
【0018】
本発明の第6の態様に係る基板処理装置は、第1または2の態様に係る基板処理装置であって、
前記親水化処理では、研磨前の基板の裏面の接触角を50°以下にする。
【0019】
本発明の第7の態様に係る基板処理装置は、第2の態様に係る基板処理装置であって、
前記洗浄ユニットは、
前記研磨ユニットにて研磨された基板の表面を上向きに向けた状態で基板を保持して回転させる第2回転支持部と、
前記第2回転支持部に支持された基板の裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルを有する。
【0020】
このような態様によれば、研磨後の基板を洗浄する際に、洗浄液供給ノズルから基板の裏面に十分な洗浄液を供給することができるため、裏面の洗浄効率を高めることができる。
【0021】
本発明の第8の態様に係る基板処理装置は、第7の態様に係る基板処理装置であって、
前記洗浄液供給ノズルは、ピンノズルとフラットノズルの一方または両方を含む。
【0022】
このような態様によれば、重力に逆らった状況下であっても、基板の裏面に向けて洗浄液を勢いよく供給することができるため、裏面の洗浄効率を一層高めることができる。
【0023】
本発明の第9の態様に係る基板処理方法は、
前処理ユニットにおいて研磨前の基板の裏面を親水化処理するステップと、
前記前処理ユニットにて裏面が親水化処理された基板の表面を、前記前処理ユニットと同じ1つの装置内に配置された研磨ユニットにて研磨するステップと、
を含む。
【0024】
本発明の第10の態様に係る基板処理方法は、第9の態様に係る基板処理方法であって、
前記研磨ユニットにて表面を研磨された基板の表面および裏面を、前記研磨ユニットと同じ1つの装置内に配置された洗浄ユニットにて洗浄するステップ
をさらに含む。
【0025】
本発明の第11の態様に係る基板処理方法は、第9または10の態様に係る基板処理方法であって、
前記基板の裏面を親水化処理するステップは、
研磨前の基板の裏面を上向きに向けた状態で基板を回転させるステップと、
回転中の基板の裏面に親水化薬液を供給するステップと、
を含む。
【0026】
本発明の第12の態様に係る基板処理方法は、第11の態様に係る基板処理方法であって、
前記基板の裏面を親水化処理するステップは、
前記基板の裏面に親水化薬液を供給する前に、回転中の基板の裏面をバフ処理するステップ
をさらに含む。
【0027】
本発明の第13の態様に係る基板処理方法は、第11の態様に係る基板処理方法であって、
前記親水化薬液は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、高分子添加剤のうちの1つまたは2つ以上を含む。
【0028】
本発明の第14の態様に係る基板処理方法は、第9または10の態様に係る基板処理方法であって、
前記基板の裏面を親水化処理するステップでは、研磨前の基板の裏面の接触角を50°以下にする。
【0029】
本発明の第15の態様に係る基板処理方法は、第10の態様に係る基板処理方法であって、
前記基板の表面および裏面を洗浄するステップは、
前記研磨ユニットにて研磨された表面を上向きに向けた状態で基板を回転させるステップと、
回転中の基板の裏面に洗浄液供給ノズルから洗浄液を供給するステップと、
を含む。
【0030】
本発明の第16の態様に係る基板処理方法は、第15の態様に係る基板処理方法であって、
前記洗浄液供給ノズルは、ピンノズルとフラットノズルの一方または両方を含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、基板の裏面の付着物を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す基板処理装置を洗浄部側から見た側面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す基板処理装置の搬送部を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す基板処理装置の第1研磨装置を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す基板処理装置の搬送ロボットの側面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す基板処理装置の第1搬送機構を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す第1搬送機構の第1プッシャを示す縦断面図である。
【
図8】
図8は、
図2に示す洗浄部の第1ウェハステーションを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す第1ウェハステーションの内部構成を示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、
図2に示す洗浄部の第2ウェハステーションを示す斜視図である。
【
図12】
図12は、
図2に示す洗浄部の第1洗浄ユニットの洗浄部搬送機構を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、
図12に示す洗浄部搬送機構の第2ウェハ把持機構が上段のチャックコマにて基板を把持した状態を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、
図12に示す洗浄部搬送機構の第2ウェハ把持機構が下段のチャックコマにて基板を把持した状態を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、
図2に示す洗浄部の第1洗浄ユニットが有する洗浄モジュールの概略構成の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、
図2に示す洗浄部の第1洗浄ユニットが有する洗浄モジュールの概略構成の別例を示す図である。
【
図18】
図18は、
図1に示す基板処理装置の前処理ユニットの概略構成の一例を示す図である。
【
図26】
図26は、実施例1~3および比較例でのウェハの裏面のディフェクト数を比較して示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、添付の図面を参照して、実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明および以下の説明で用いる図面では、同一に構成され得る部分について、同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。また、以下の説明では、ウェハ(基板)が有する表裏二面のうち、研磨処理の対象となるデバイス形成面を表面といい、デバイス形成面とは逆の面を裏面ということがある。
【0034】
<基板処理装置の構成>
図1は、一実施形態に係る基板処理装置10の全体構成を示す平面図であり、
図2は
図1に示す基板処理装置10を洗浄部13側から見た側面図である。
【0035】
図1および
図2に示すように、基板処理装置10は、平面視略矩形状のハウジングを備えており、ハウジングの内部は隔壁によってロード/アンロード部11と研磨部12と洗浄部13と搬送部14と前処理部16に区画されている。これらのロード/アンロード部11、研磨部12、洗浄部13、搬送部14、および前処理部16は、それぞれ独立に組み立てられ、独立に排気されるものである。また、基板処理装置10には、ロード/アンロード部11、研磨部12、洗浄部13、搬送部14、および前処理部16の動作を制御する制御部15(制御盤ともいう)が設けられている。
【0036】
(ロード/アンロード部)
ロード/アンロード部11は、多数のウェハ(基板)Wをストックするウェハカセットが載置される複数(図示された例では4つ)のフロントロード部113を備えている。これらのフロントロード部113は、基板処理装置10の幅方向(長手方向と垂直な方向)に隣接して配列されている。フロントロード部113には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。ここで、SMIF、FOUPは、内部にウェハカセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0037】
また、ロード/アンロード部11には、フロントロード部113の配列方向に沿って走行機構112が敷設されており、この走行機構112上にフロントロード部113の配列方向に沿って移動可能な搬送ロボット111が設置されている。搬送ロボット111は走行機構112上を移動することによってフロントロード部113に搭載されたウェハカセットにアクセスできるようになっている。この搬送ロボット111は上下に2つのハンドを備えており、例えば、ウェハカセットにウェハWを戻すときに上側のハンドを使用し、研磨前のウェハWを搬送するときに下側のハンドを使用して、上下のハンドを使い分けることができるようになっている。なお、これに変えて単一のハンドのみでウェハWを搬送するようにしてもよい。
【0038】
ロード/アンロード部11は最もクリーンな状態を保つ必要がある領域であるため、ロード/アンロード部11の内部は、装置外部、研磨部12、洗浄部13、および搬送部14のいずれよりも高い圧力に常時維持されている。また、搬送ロボット111の走行機構112の上方には、HEPAフィルタやULPAフィルタなどのクリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられており、このフィルタファンユニットによりパーティクルや有毒蒸気、ガスが除去されたクリーンエアが常時下方に向かって吹き出している。
【0039】
(搬送部)
搬送部14は、研磨前のウェハをロード/アンロード部11から研磨部12へと搬送する領域であり、基板処理装置10の長手方向に沿って延びるように設けられている。
図1に示すように、搬送部14は、最もクリーンな領域であるロード/アンロード部11と最もダーティな領域である研磨部12の両方に隣接して配置されている。そのため、研磨部12内のパーティクルが搬送部14を通ってロード/アンロード部11内に拡散しないように、後述するように、搬送部14の内部にはロード/アンロード部11側から研磨部12側へと流れる気流が形成されている。
【0040】
搬送部14の構造について詳しく説明する。
図3は、搬送部14の内部構成を示す分解斜視図である。
図3に示すように、搬送部14は、長手方向に延びるカバー41と、カバー41の内側に配置され、ウェハWを保持するスライドステージ42と、スライドステージ42を長手方向に沿って直線移動させるステージ移動機構43と、カバー41の内側を排気する排気ダクト44と、を有している。
【0041】
カバー41は、底面板と、4つの側面板と、天面板(
図3では不図示)とを有している。このうち長手方向の一方の側面板には、ロード/アンロード部11に連通する搬入口41aが形成されている。また、幅方向の一方の側面板のうち搬入口41aとは反対側の端部には、研磨部12に連通する搬出口41bが形成されている。搬入口41aおよび搬出口41bは不図示のシャッタにより開閉可能となっている。ロード/アンロード部11の搬送ロボット111は、搬入口41aからカバー41の内側のスライドステージ42にアクセス可能となっており、研磨部12の搬送ロボット23は、搬出口41bからカバー41の内側のスライドステージ42にアクセス可能となっている。
【0042】
ステージ移動機構43としては、例えばボールねじを用いたモータ駆動機構またはエアシリンダが用いられる。ステージ移動機構43としてロッドレスシリンダを用いる場合には、摺動部からの発塵を防止できるため好ましい。スライドステージ42は、ステージ移動機構43の可動部分に固定されており、ステージ移動機構43から与えられる動力によりカバー41の内側を長手方向に沿って直線移動される。
【0043】
スライドステージ42の外周部には、4本のピンが上向きに突き出すように設けられている。ロード/アンロード部11の搬送ロボット111によりスライドステージ42上に載せられるウェハWは、その外周縁が4本のピンによりガイドされて位置決めされた状態で、スライドステージ42上に支持されるようになっている。これらのピンは、ポリプロピレン(PP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの樹脂から形成されている。
【0044】
排気ダクト44は、カバー41の長手方向の他方の側面板(搬入口41aとは反対側の側面板)に設けられている。搬入口41aが開けられた状態で排気ダクト44により排気が行われることで、カバー41の内側には搬入口41a側から搬出口41b側へと流れる気流が形成される。これにより、研磨部12内のパーティクルが搬送部14を通ってロード/アンロード部11内に拡散することが防止される。
【0045】
(研磨部)
図1に示すように、研磨部12は、ウェハWの研磨が行われる領域であり、第1研磨装置21aと第2研磨装置21bとを有する第1研磨ユニット20aと、第3研磨装置21cと第4研磨装置21dとを有する第2研磨ユニット20bと、搬送部14と第1研磨ユニット20aおよび第2研磨ユニット20bのそれぞれに隣接するように配置された研磨部搬送機構22と、を有している。研磨部搬送機構22は、基板処理装置10の幅方向において洗浄部13と第1研磨ユニット20aおよび第2研磨ユニット20bとの間に配置されている。
【0046】
第1研磨装置21a、第2研磨装置21b、第3研磨装置21c、および第4研磨装置21dは、基板処理装置10の長手方向に沿って配列されている。第2研磨装置21b、第3研磨装置21c、および第4研磨装置21dは、第1研磨装置21aと同様の構成を有しているので、以下、第1研磨装置21aについて説明する。
【0047】
図4は、第1研磨装置21aを模式的に示す斜視図である。第1研磨装置21aは、研磨面を有する研磨パッド102aが取り付けられた研磨テーブル101aと、ウェハWを保持しかつウェハWを研磨テーブル101a上の研磨パッド102aに押圧しながら研磨するためのトップリング25aと、研磨パッド102に研磨液(スラリーともいう)やドレッシング液(例えば、純水)を供給するための研磨液供給ノズル104aと、研磨パッド102aの研磨面のドレッシングを行うためのドレッサ(不図示)と、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合気体または液体(例えば純水)を霧状にして研磨面に噴射するアトマイザ(不図示)と、を有している。
【0048】
このうちトップリング25aは、トップリングシャフト103aに支持されている。研磨テーブル101aの上面には研磨パッド102aが貼付されており、この研磨パッド102aの上面はウェハWを研磨する研磨面を構成する。なお、研磨パッド102aに代えて固定砥石を用いることもできる。トップリング25aおよび研磨テーブル101aは、
図4において矢印で示すように、その軸心周りに回転するように構成されている。ウェハWは、トップリング25aの下面に真空吸着により保持される。研磨時には、研磨液供給ノズル104aから研磨パッド102aの研磨面に研磨液が供給され、研磨対象であるウェハWがトップリング25aに設けられたメンブレン(不図示)により研磨面に押圧されて研磨される。
【0049】
研磨時にはスラリーを使用することを考えるとわかるように、研磨部12は最もダーティな(汚れた)領域である。したがって、本実施形態では、研磨部12内のパーティクルが外部に飛散しないように、第1研磨装置21a、第2研磨装置21b、第3研磨装置21c、および第4研磨装置21dの各研磨テーブルの周囲から排気が行われており、研磨部12の内部の圧力を、装置外部、周囲の洗浄部13、ロード/アンロード部11、および搬送部14よりも負圧にすることでパーティクルの飛散を防止している。また、通常、研磨テーブルの下方には排気ダクト(図示せず)が、上方にはフィルタ(図示せず)がそれぞれ設けられ、これらの排気ダクトおよびフィルタを介して清浄化された空気が噴出され、ダウンフローが形成される。
【0050】
図1に示すように、第1研磨装置21aのトップリング25aは、トップリングヘッドのスイング動作により研磨位置と第1基板搬送位置TP1との間を移動し、第1研磨装置21aへのウェハの受け渡しは第1基板搬送位置TP1にて行われる。同様に、第2研磨装置21bのトップリング25bは、トップリングヘッドのスイング動作により研磨位置と第2基板搬送位置TP2との間を移動し、第2研磨装置21bへのウェハの受け渡しは第2基板搬送位置TP2にて行われ、第3研磨装置21cのトップリング25cは、トップリングヘッドのスイング動作により研磨位置と第3基板搬送位置TP3との間を移動し、第3研磨装置21cへのウェハの受け渡しは第3基板搬送位置TP3にて行われ、第4研磨装置21dのトップリング25dは、トップリングヘッドのスイング動作により研磨位置と第4基板搬送位置TP4との間を移動し、第4研磨装置21dへのウェハの受け渡しは第4基板搬送位置TP4にて行われる。
【0051】
研磨部搬送機構22は、第1研磨ユニット20aにウェハWを搬送する第1搬送ユニット24aと、第2研磨ユニット20bにウェハWを搬送する第2搬送ユニット24bと、第1搬送ユニット24aと第2搬送ユニット24bとの間に配置され、搬送部14と第1搬送ユニット24aおよび第2搬送ユニット24bとの間のウェハの受け渡しを行う搬送ロボット23とを有している。図示された例では、搬送ロボット23は、基板処理装置10のハウジングの略中央に配置されている。
【0052】
図5は、搬送ロボット23を示す側面図である。
図5に示すように、搬送ロボット23は、ウェハWを保持するハンド231と、ハンド231を上下反転させる反転機構234と、ハンドWを支持する伸縮可能なアーム232と、アーム232を上下移動させるアーム上下移動機構およびアーム232を鉛直な軸線周りに回動させるアーム回動機構を含むロボット本体233と、を有している。ロボット本体233は、研磨部14の天井のフレームに対して吊り下がるように取り付けられている。
【0053】
本実施形態では、ハンド231は、搬送部14の搬出口41bからスライドステージ42に対してアクセス可能となっている。また、ハンド231は、研磨部12の第1搬送ユニット24aおよび第2搬送ユニット24bに対してもアクセス可能となっている。したがって、搬送部14から研磨部12に連続的に搬送されてくるウェハWは、搬送ロボット23により第1搬送ユニット24aおよび第2搬送ユニット24bに振り分けられる。
【0054】
第2搬送ユニット24bは、第1搬送ユニット24aと同様の構成を有しているので、以下、第1搬送ユニット24aについて説明する。
図6は、第1搬送ユニット24aを示す斜視図である。
【0055】
図6に示すように、第1搬送ユニット24aは、第1研磨装置21aに対する第1基板搬送位置TP1に配置され、上下移動する第1プッシャ51aと、第2研磨装置21bに対する第2基板搬送位置TP2に配置され、上下移動する第2プッシャ51bと、第1基板搬送位置TP1と第2基板搬送位置TP2との間を互いに独立に水平移動する第1ステージ52a、第2ステージ52bおよび第3ステージ52cを有するエクスチェンジャ50と、を有している。
【0056】
このうち第1プッシャ51aは、第1~第3ステージ52a~52cのいずれかに保持されたウェハWを第1研磨装置21aのトップリング25aに受け渡すとともに、第1研磨装置21aにおける研磨後のウェハWを第1~第3ステージ52a~52cのいずれかに受け渡すものである。また、第2プッシャ51bは、第1~第3ステージ52a~52cのいずれかに保持されたウェハWを第2研磨装置21bのトップリング25bに受け渡すとともに、第2研磨装置21bにおける研磨後のウェハWを第1~第3ステージ52a~52cのいずれかに受け渡すものである。このように、第1プッシャ51aおよび第2プッシャ51bは、エクスチェンジャ50と各トップリングとの間でウェハWを受け渡す受け渡し機構として機能する。第2プッシャ51bは、第1プッシャ51aと同様の構造を有しているため、以下の説明では第1プッシャ51aについてのみ説明する。
【0057】
図7は、第1プッシャ51aを示す縦断面図である。
図7に示すように、第1プッシャ51aは、第1研磨装置21aのトップリングを保持するためのガイドステージ331と、ウェハWを保持するプッシュステージ333とを備えている。ガイドステージ331の最外周には、トップリングガイド337が4個設置されている。トップリングガイド337の上段部338はトップリングの(ウェハWの外周を囲む不図示の)ガイドリングの下面とのアクセス部である。上段部338にはトップリングを導入するためのテーパ(25°~35°ぐらいが好ましい)が形成されている。ウェハアンロード時は直接トップリングガイド337でウェハエッジを受ける。
【0058】
ガイドステージ331の裏面には防水機能を持ったガイドスリーブ340が設置されている。ガイドスリーブ340の内側にはプッシャの防水のためのセンタスリーブ341が設置されている。
【0059】
トップリングガイド337に位置合わせ機構を持たせるため、水平なX軸およびY軸方向に移動してガイドステージ331のセンタリングを行うリニアウェイ346を配置している。ガイドステージ331はリニアウェイ346に固定されている。このリニアウェイ346は加圧することにより中心位置に復帰可能な構造となっている。この構造によりガイドステージ331のセンタリングが実現される。あるいは、リニアウェイ346内部のスプリングだけで、加圧することなく中心位置に復帰可能となっている。
【0060】
また、リニアウェイ346はシャフト330に固定されており、このシャフト330は、ボールスプライン機構を有するシリンダ347に連結されている。図示しないモータの駆動によりシリンダ347が駆動され、シャフト330を介してガイドステージ331が上下動するようになっている。
【0061】
プッシュステージ333はガイドステージ331の上方に配置されており、プッシュステージ333の中心にはガイドステージ331に対してプッシュステージ333を上下動させる電動アクチュエータ349が設けられている。プッシュステージ333は電動アクチュエータ349によって上下移動し、トップリングへウェハWをロードする。本実施の形態では、プッシュステージ333が電動アクチュエータ349により駆動されることで、プッシュステージ333を所望の高さ位置に位置決めすることができる。これにより、プッシュステージ333にてウェハWを受け取る際に、予備動作としてプッシュステージ333をウェハWの直下に待機させることができ、受け取り動作に要する時間を短縮できる。プッシュステージ333の端には位置決めのための圧縮ばね351が配置されている。
【0062】
なお、プッシャに付着したスラリーなどからウェハへの逆汚染を防止するため、汚れを洗浄するための洗浄ノズルが別途設置される。プッシャ上のウェハ有無を確認するためのウェハ有無センサが別途設置される場合もある。
【0063】
図6に示すように、エクスチェンジャ52aは、上下多段に配置された第1ステージ52a、第2ステージ52bおよび第3ステージ52cを有している。図示された例では、第1ステージ52aが下段に配置され、第2ステージ52bが中段に配置され、第3ステージ52cが上段に配置されている。第1ステージ52a、第2ステージ52bおよび第3ステージ52cは、平面視において第1基板搬送位置TP1と第2基板搬送位置TP2とを通過する同一の軸線上を移動するが、設置される高さが異なっているため、互いに干渉することなく自由に移動可能となっている。
【0064】
図6に示すように、第1ステージ52aには、第1ステージ52aを一軸方向に直線移動させる第1ステージ駆動機構54aが設けられており、第2ステージ52bには、第2ステージ52bを前記一軸方向に直線移動させる第2ステージ駆動機構54bが設けられており、第3ステージ52cには、第3ステージ52cを前記一軸方向に直線移動させる第3ステージ駆動機構54cが設けられている。第1~第3ステージ駆動機構54a~54cとしては、例えば電動アクチュエータまたはボールねじを用いたモータ駆動機構が用いられる。第1~第3ステージ52a~52cは、それぞれ異なる第1~第3ステージ駆動機構54a~54cから動力を受けることで、それぞれ異なるタイミングで異なる方向に移動可能となっている。
【0065】
第2ステージ52bおよび第3ステージ52cは、第1ステージ52aと同様の構成を有しているので、以下、第1ステージ52aについて説明する。
図10は、第1ステージ52aを示す平面図である。
【0066】
図6に示すように、第1ステージ52aは、第1ステージ駆動機構54aによる直線移動方向の一方側(
図6における右奥側)が開口した平面視「コ」字形状を有している。そのため、第1ステージ52aが第1基板搬送位置TP1に配置された時、第1プッシャ51aは、第1ステージ52aの内側を通過するように上下移動可能となっている。また、第1ステージ52aは、第1ステージ52aの内側を第1プッシャ51aが通過した状態であっても直線移動方向の他方側(
図6における左手前側)に移動可能となっている。
【0067】
図示は省略するが、第1ステージ52aには、4本のピンが上方に突き出すように設けられている。そのため、第1ステージ52a上に載せられるウェハは、その外周縁が4本のピンによりガイドされて位置決めされた状態で、第1ステージ52a上に支持されるようになっている。これらのピンは、ポリプロピレン(PP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの樹脂から形成されている。
【0068】
次に、上述のように構成された第1プッシャ51aおよびエクスチェンジャ50の動作の一例を説明する。
【0069】
まず、ウェハロード時には、第1プッシャ51aの上方にエクスチェンジャ50の第1ステージ52aによってウェハWが搬送される。第1研磨装置21aのトップリング25aが第1プッシャ51aの上方のウェハロード位置(第1基板搬送位置TP1)にあってウェハWを保持していないとき、シリンダ347よりガイドステージ331周りの構成品一式が上昇していく。上昇途中でガイドステージ331は第1ステージ52aの内側を通過する。このとき、ガイドステージ331は通過と同時にウェハWをトップリングガイド337のテーパにて求芯し、プッシュステージ333によりウェハWの(エッジ以外の)パターン面を保持する。
【0070】
プッシュステージ333がウェハWを保持したままトップリングガイド337は停止することなく上昇していき、トップリングガイド337のテーパ338aによってガイドリングを呼び込む。X,Y方向に自在に移動可能なリニアウェイ346による位置合わせでトップリングに求芯し、トップリングガイド337の上段部338がガイドリング下面と接触することでガイドステージ331の上昇は終了する。
【0071】
ガイドステージ331は、トップリングガイド337の上段部338がガイドリング下面に接触して固定されることで、それ以上上昇することはない。このとき、プッシュステージ333は電動アクチュエータ349によりさらに上昇される。このとき、プッシュステージ333はウェハWの(エッジ以外の)パターン面を保持し、トップリングまでウェハWを搬送する。トップリングがウェハWの吸着を完了すると、第1プッシャ51aは下降を開始し、下降終了で動作が完了する。
【0072】
なお、本実施の形態では、第1ステージ52aが直線移動方向の一方側(
図6における右奥側)が開口した平面視「コ」字形状を有しているため、第1プッシャ51aが下降を開始する前であっても、直線移動方向の他方側(
図6における左手前側)に移動可能である。したがって、第1ステージ52aを移動させる際に第1プッシャ51aが下降するのを待つ必要がなくなり、プロセスのスループットが向上する。
【0073】
次に、ウェハアンロード時には、第1プッシャ51a上方のウェハアンロード位置にトップリングによってウェハWが搬送される。エクスチェンジャ50の第1ステージ52aが第1プッシャ51aの上方にあってウェハを搭載していないとき、シリンダ347によりガイドステージ331周りの構成品一式が上昇し、トップリングガイド337のテーパによってガイドリングを呼び込む。ガイドステージ331はリニアウェイ346による位置合わせにてトップリングに求芯し、トップリングガイド337の上段部338がガイドリングの下面と接触することでガイドステージ331の上昇は終了する。
【0074】
電動アクチュエータ349によりプッシュステージ333を上昇させるが、このとき、プッシュステージ333はトップリングガイド337のウェハ保持部より高い位置になることはない。電動アクチュエータ349の上昇が終了するとトップリングよりウェハWがリリースされる。このとき、トップリングガイド337の下段テーパによってウェハWは求芯され、トップリングガイド337にエッジ部が保持される。ウェハWが第1プッシャ51aに保持されると、第1プッシャ51aは下降を開始する。下降の際、トップリング求芯のためセンタ位置を移動していたガイドステージ331はガイドスリーブ340とセンタスリーブ341によりセンタリングされる。下降の途中で第1プッシャ51aより第1ステージ52aにウェハWのエッジ部で受け渡され、下降終了で動作が完了する。
【0075】
(洗浄部)
図1及び
図2に示すように、洗浄部13は、研磨後のウェハを洗浄する領域であり、上下二段に配置された第1洗浄ユニット30aおよび第2洗浄ユニット30bを有している。上述した搬送部14は、第1洗浄ユニット30aと第2洗浄ユニット30bとの間に配置されている。第1洗浄ユニット30aと搬送部14と第2洗浄ユニット30bとが上下方向に重なるように配列されているため、フットプリントが小さいという利点が得られる。
【0076】
図1および
図2に示すように、第1洗浄ユニット30aは、複数(図示された例では4つ)の洗浄モジュール311a、312a、313a、314aと、ウェハステーション33aと、各洗浄モジュール311a~314aとウェハステーション33aとの間にてウェハWを搬送する洗浄部搬送機構32aとを有している。複数の洗浄モジュール311a~314aとウェハステーション33aとは、基板処理装置10の長手方向に沿って直列に配置されている。各洗浄モジュール311a~314aの上部には、クリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられており、このフィルタファンユニットによりパーティクルが除去されたクリーンエアが常時下方に向かって吹き出している。また、第1洗浄ユニット30aの内部は、研磨部12からのパーティクルの流入を防止するために研磨部12よりも高い圧力に常時維持されている。
【0077】
同様に、第2洗浄ユニット30bは、複数(図示された例では4つ)の洗浄モジュール311b、312b、313b、314bと、ウェハステーション33bと、各洗浄モジュール311b~314bとウェハステーション33bとの間にてウェハWを搬送する洗浄部搬送機構32bとを有している。複数の洗浄モジュール311b~314bとウェハステーション33bとは、基板処理装置10の長手方向に沿って直列に配置されている。各洗浄モジュール311b~314bの上部には、クリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられており、このフィルタファンユニットによりパーティクルが除去されたクリーンエアが常時下方に向かって吹き出している。また、第2洗浄ユニット30bの内部は、研磨部12からのパーティクルの流入を防止するために研磨部12よりも高い圧力に常時維持されている。
【0078】
図8は、第1洗浄ユニット30aのウェハステーション33aを示す斜視図である。
図9は、このウェハステーション33aの内部構成を示す分解斜視図である。
図8および
図9に示すように、ウェハステーション33aは、略直方体形状を有する筐体71と、筐体71の内部に配置され、ウェハWを保持するステージ72と、ステージ72を上下移動させる駆動機構75と、を有している。
【0079】
このうち筐体71は、底面板と、4つの側面板と、天面板とを有している。
図9に示すように、4つの側面板のうち研磨部12に対向する側面板の下端部には、研磨部12に連通する搬入口73が形成されている。搬入口73は、不図示のシャッタにより開閉可能となっている。
図9に示すように、研磨部12の搬送ロボット23は、搬入口73から筐体71の内側にアクセスすることができる。
【0080】
また、
図8に示すように、4つの側面板のうち残りの3つの側面板(すなわち、後述する第1洗浄部搬送機構32aに対向する側面板および左右の側面板)の搬入口73より高い高さ位置には、洗浄部搬送機構32aのアームを通過させるためのアーム通過用開口74が形成されている。ウェハ搬送用開口74は、不図示のシャッタにより開閉可能となっている。
図12および
図13に示すように、第1洗浄ユニット30aの洗浄部搬送機構32aは、アーム通過用開口74から筐体71の内側にアクセス可能となっている。
【0081】
駆動機構75としては、例えばボールねじを用いたモータ駆動機構またはエアシリンダが用いられる。ステージ72は、駆動機構75の可動部に固定されており、駆動機構75から与えられる動力により、搬入口73に対向する高さ位置とウェハ搬送用開口74に対向する高さ位置との間を上下移動される(
図9参照)。
【0082】
ステージ72の外周部には、4本のピン76が上方に突き出すように設けられている。そのため、ステージ72上に載せられるウェハWは、その外周縁が4本のピン76によりガイドされて位置決めされた状態で、ステージ72上に支持されるようになっている。これらのピン76は、ポリプロピレン(PP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの樹脂から形成されている。
【0083】
図10は、第2洗浄ユニット30bのウェハステーション33bを示す斜視図である。
図11は、このウェハステーション33bの内部構成を示す分解斜視図である。
図10および
図11に示すように、ウェハステーション33bは、略直方体形状を有する筐体81と、筐体81の内部に配置され、ウェハWを保持するステージ82と、ステージ82を上下移動させる駆動機構85と、を有している。
【0084】
このうち筐体81は、底面板と、4つの側面板と、天面板とを有している。
図11に示すように、4つの側面板のうち研磨部12に対向する側面板の上端部には、研磨部12に連通する搬入口83が形成されている。搬入口83は、不図示のシャッタにより開閉可能となっている。
図11に示すように、研磨部12の搬送ロボット23は、搬入口83から筐体81の内側にアクセスすることができる。
【0085】
また、
図10に示すように、4つの側面板のうち残りの3つの側面板(すなわち、研磨部12とは反対側の側面板および左右の側面板)の搬入口83より低い高さ位置には、洗浄部搬送機構32bのアームを通過させるためのアーム通過用開口84が形成されている。アーム通過用開口84は、シャッタ87により開閉可能となっている。
図11に示すように、第2洗浄ユニット30bの洗浄部搬送機構32bは、アーム通過用開口84から筐体81の内側にアクセス可能となっている。
【0086】
駆動機構85としては、例えばボールねじを用いたモータ駆動機構またはエアシリンダが用いられる。ステージ82は、駆動機構85の可動部に固定されており、駆動機構85から与えられる動力により、搬入口83に対向する高さ位置とウェハ搬送用開口84に対向する高さ位置との間を上下移動される(
図11参照)。
【0087】
ステージ82の外周部には、4本のピン86が上方に突き出すように設けられている。そのため、ステージ82上に載せられるウェハは、その外周縁が4本のピン86によりガイドされて位置決めされた状態で、ステージ82上に支持されるようになっている。これらのピン86は、ポリプロピレン(PP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの樹脂から形成されている。
【0088】
第2洗浄ユニット30bの洗浄モジュール311b~314bは、第1洗浄ユニット30aの洗浄モジュール311a~314aと同様の構成を有しているので、以下、第1洗浄ユニット30aの洗浄モジュール311a~314aについて説明する。
【0089】
図1及び
図2に示すように、4つの洗浄モジュール311a~314a(以下、1次~4次洗浄モジュールと呼ぶことがある)は、ウェハステーション33aからこの順に直列に配置されている。各洗浄モジュール311a~314aは、それぞれ、不図示の洗浄機と、この洗浄機をカバーする筐体91とを有している。
【0090】
1次洗浄モジュール311aおよび2次洗浄モジュール312aの洗浄機としては、例えば、
図16に示すように、上下に配置された洗浄液供給ノズル101、102からウェハWの表面および裏面にそれぞれ洗浄液を供給しながら、上下に配置されたロール状のスポンジ101、102を回転させてウェハWの表面および裏面に押し付けてウェハWの表面および裏面を洗浄するロールタイプの洗浄機を用いることができる。なお、
図16に示す例では、上下に配置された洗浄液供給ノズル103、104がいずれもバーノズルであったが、これに限定されるものではなく、たとえば、
図17に示すように、ウェハWの下面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルが、ピンノズル104aおよびフラットノズル104bの組み合わせであってもよい。洗浄液供給ノズルからウェハWの下面に向けて上向きで噴出される洗浄液は、重力の影響を受けることで、ウェハWの裏面に到達するまでに勢いが低減されるものの、洗浄液供給ノズルとしてピンノズル104aおよびフラットノズル104bを用いる場合には、バーノズル104を用いる場合に比べて、ウェハWの裏面に向けて洗浄液をより強い勢いで噴出することができるため、裏面の洗浄効率を一層高めることができる。なお、洗浄液には、純水(DIW)などのリンス液と、アンモニア過酸化水素(SC1)、塩酸過酸化水素(SC2)、硫酸過酸化水素(SPM)、硫酸加水、フッ酸などの薬液とが含まれる。本実施の形態で特に断りのない限り、洗浄液は、リンス液または薬液のいずれかを意味している。
【0091】
3次洗浄モジュール313aの洗浄機としては、例えば、半球状のスポンジを回転させながらウェハに押し付けて洗浄するペンシルタイプの洗浄機(例えば、特開2000-173966号公報の
図10等に開示されている装置)を用いることができる。また、4次洗浄モジュール314aの洗浄機としては、例えば、ウェハの裏面はリンス洗浄することができ、ウェハ表面の洗浄は半球状のスポンジを回転させながら押し付けて洗浄するペンシルタイプの洗浄機を用いることができる。この4次洗浄モジュール314aの洗浄機は、チャックしたウェハを高速回転させるステージを備えており、ウェハを高速回転させることで洗浄後のウェハを乾燥させる機能(スピンドライ機能)を有している。一変形例として、4次洗浄モジュール314aは、ウェハWを回転させながらウェハWの表面にIPA(イソプロピルアルコール)蒸気を吹き付けて乾燥させるIPA乾燥装置(例えば、特開2010-50436号公報の
図33~
図39等に開示されている装置)を有していてもよい。なお、各洗浄モジュール311a~314aの洗浄機において、上述したロールタイプの洗浄機やペンシルタイプの洗浄機に加えて、洗浄液に超音波を当てて洗浄するメガソニックタイプの洗浄機を付加的に設けてもよい。
【0092】
各洗浄モジュール311a~314aの筐体は、ウェハステーション33aの筐体71と同様に、底面板と、4つの側面板と、天面板とを有している。4つの側面板のうち洗浄部搬送機構32aに対向する側面板および左右の側面板には、洗浄部搬送機構32aのアームを通過させるためのアーム通過用開口94が形成されている(
図13A~
図13E参照)。アーム通過用開口94は、シャッタ97により開閉可能となっている。このアーム通過用開口94の高さ位置は、ウェハステーション33aのアーム通過用開口74と同じ高さ位置に形成されている。洗浄部搬送機構32aは、このアーム通過用開口94から筐体91の内側にアクセス可能となっている。
【0093】
第2洗浄ユニット30bの洗浄部搬送機構32bは、第1洗浄ユニット30aの洗浄部搬送機構32aと同様の構成を有しているので、以下、第1洗浄ユニット30aの洗浄部搬送機構32aについて説明する。
【0094】
図12は、第1洗浄ユニット30aの洗浄部搬送機構32aを示す斜視図である。
図12に示すように、洗浄部搬送機構32aは、ウェハWをそれぞれ把持する第1ウェハ把持機構601および第2ウェハ把持機構602と、第1ウェハ把持機構601および第2ウェハ把持機構602を複数の洗浄モジュール311a~314aの配列方向に沿って直線移動するアーム搬送機構62と、を有している。すなわち、本実施の形態では、ウェハ把持機構601、602の数は、洗浄モジュール311a~314aの数より少なくなっている。
【0095】
本実施の形態では、例えばウェハWの清浄度に応じて第1ウェハ把持機構601と第2ウェハ把持機構602とを使い分けることができる。例えば、1次~4次洗浄モジュール311a~314aのうち洗浄処理前半の1次洗浄モジュール311aおよび2次洗浄モジュール312aでは第1ウェハ把持機構601を使用し、洗浄処理後半の3次洗浄モジュール313aおよび4次洗浄モジュール314aでは第2ウェハ把持機構602を使用することで、洗浄処理後半のウェハWが第1ウェハ把持機構601に接して汚染されることを防止できる。
【0096】
第1ウェハ把持機構601は、より詳しくは、ウェハを把持する開閉可能な一対の第1アーム611と、一対の第1アーム611を上下移動させる第1上下移動機構641と、一対の第1アーム611を開閉方向と平行な回転軸631Aを中心として回動させる第1回動機構631と、一対の第1アーム611を互いに近接する方向または互いに離間する方向に開閉する第1開閉機構661とを有している。
【0097】
同様に、第2ウェハ把持機構602は、ウェハを把持する開閉可能な一対の第2アーム612と、一対の第2アーム612を上下移動させる第2上下移動機構642と、一対の第2アーム612を開閉方向と平行な回転軸632Aを中心として回動させる第2回動機構632と、一対の第2アーム612を互いに近接する方向または互いに離間する方向に開閉する第2開閉機構662とを有している。
【0098】
アーム搬送機構62としては、例えばボールねじを用いたモータ駆動機構が用いられる。
図12に示すように、アーム搬送機構62のボールねじは、洗浄モジュール311a~314aの上方に洗浄モジュール311a~314aの配列方向に延びるように設けられている。
【0099】
アーム搬送機構62のボールねじには、メインフレーム68が取り付けられている。メインフレーム68は、アーム搬送機構62のボールねじから下方に吊り下がるように取り付けられており、洗浄モジュール311a~314aの側面と対向するようになっている。アーム搬送機構62のボールねじに連結されたモータの駆動により、メインフレーム68は洗浄モジュール311a~314aの側面と対向したまま洗浄モジュール311a~314aの配列方向に沿って直線移動される。
【0100】
図示された例では、メインフレーム68は、奥行方向(洗浄モジュール311a~314aの配列方向および上下方向の両方に対して垂直な方向)の位置を調整するための奥行方向移動機構67を有している。奥行方向移動機構67としては、例えばラック・アンド・ピニオンを用いたモータ駆動機構が用いられる。奥行方向移動機構67の駆動により、奥行方向におけるメインフレーム68の位置が調整される。
【0101】
第1上下移動機構641および第2上下移動機構642は、メインフレーム68上に設けられている。第1上下移動機構641および第2上下移動機構642としては、例えばボールねじを用いたモータ駆動機構が用いられる。
図16に示すように、第1上下移動機構641のボールねじは、メインフレーム68の左端部において上下方向に延びるように取り付けられており、第2上下移動機構642のボールねじは、メインフレーム68の右端部において上下方向に延びるように取り付けられている。
【0102】
第1上下移動機構641のボールねじには、一対の第1アーム611を支持する第1サブフレーム691が取り付けられている。第1サブフレーム691は、メインフレーム68の左側にメインフレーム68と隣り合うように設けられており、洗浄モジュール311a~314aの側面と対向するようになっている。第1上下移動機構641のボールねじに連結されたモータの駆動により、第1サブフレーム691は上下方向に沿って直線移動される。
【0103】
同様に、第2上下移動機構642のボールねじには、一対の第2アーム612を支持する第2サブフレーム692が取り付けられている。第2サブフレーム692は、メインフレーム68の右側にメインフレーム68と隣り合うように設けられており、洗浄モジュール311a~314aの側面と対向できるようになっている。第2上下移動機構642のボールねじに連結されたモータの駆動により、第2サブフレーム692は上下方向に沿って直線移動される。
【0104】
第1サブフレーム691および第2サブフレーム692は、メインフレーム68に対して対称であること以外は、実質的に同様の構造を有しているため、以下では第2サブフレーム692について説明する。
【0105】
図12に示すように、一対の第2アーム612は互いに平行に配置されており、第2アーム612の基端部は、第2サブフレーム692上に回転可能に設けられた回転軸632Aに取り付けられている。また、第2サブフレーム692上には回転軸632Aを中心として一対の第2アーム612を回転させる第2回動機構632が設けられている。第2回動機構632としては、例えばモータ駆動機構が用いられる。この第2回動機構632の回転軸は、リンク部材632Lを介して回転軸632Aに連結されている。第2回動機構632の回転力は、リンク部材632Lを介して回転軸632Aに伝達され、一対の第2アーム612は、回転軸632Aを中心として回転される。
【0106】
また、第2サブフレーム692上には、一対の第2アーム612を互いに近接する方向または互いに離間する方向に開閉する第2開閉機構662が設けられている。第2開閉機構662としては、例えばエアシリンダが用いられる。第2開閉機構662により一対の第2アーム612が閉じられることにより、一対の第2アーム612はウェハWの周縁部を挟み込んで保持するようになっている。
【0107】
図14および
図15に示すように、一対の第2アーム612には、ウェハWの外周部に当接可能なチャックコマ612a、612bが上下二段に設けられている。例えば相対的に清浄度の高いウェハWは上段のチャックコマ612aにて保持され、相対的に清浄度の低いウェハを下段のチャックコマ612bにて保持されることで、下段のチャックコマ612bが清浄度の高いウェハWに接触してこのウェハWが汚染されることを防止できる。
【0108】
次に、
図13A~
図13Eを参照して、一対の第2アーム612の動作の一例を説明する。上述したように各洗浄モジュールは、ウェハWの洗浄中に外部に使用流体が飛散しないように筐体91によって区画されており、筐体91の側面にはアーム通過用開口94が形成されている。アーム通過用開口94には、開閉可能なシャッタ97が設けられている。
【0109】
洗浄後のウェハWを筐体91から取り出す場合には、
図13Aに示すように、先端が上向きに向けられた一対の第2アーム612は、アーム搬送機構62の駆動より筐体91に隣接する待機位置へと移動される。本実施の形態では、筐体91のシャッタ97が閉じられていても、一対の第2アーム612の先端を上向きに向けておくことで、一対の第2アーム612を筐体91に隣接する待機位置へと移動させることができる。したがって、ウェハ取り出し作業の開始タイミングを早くすることができ、プロセス全体のスループットが向上させることができる。
【0110】
次に、
図13Bおよび
図13Cに示すように、第2回動機構632の駆動により、一対の第2アーム612は、回転軸632Aを中心として回動される。図示された例では、一対の第2アーム612は、側面視において回転軸632Aを中心として時計回りに90°回転され、一対の第2アーム612の先端は横向きに向けられる。
【0111】
次に、
図13Dに示すように、第2上下駆動機構642の駆動により、一対の第2アーム612は、アーム通過用開口94と同じ高さ位置まで上昇される。このとき、シャッタ97が退避されアーム通過用開口94が開けられる。
【0112】
次に、
図13Eに示すように、第2開閉機構662の駆動により、一対の第2アーム612は、互いに近接する方向に閉じられ、アーム通過用開口94を通って筐体91内側に挿入され、筐体91内のウェハWを把持する。そして、ウェハWを把持した一対の第2アーム612は、アーム搬送機構62の駆動より次の洗浄モジュールへと移動される。
【0113】
洗浄前のウェハWを筐体91に搬入する場合には、
図13A~
図13Eに示す上述した動作が逆の順序で行われる。すなわち、
図13Eに示すように、ウェハWを把持した一対の第2アーム612は、アーム搬送機構62の駆動よりアーム通過用開口94を通って筐体91内側に移動される。
【0114】
次に、
図13Dに示すように、第2開閉機構662の駆動により、一対の第2アーム612は、互いに離間する方向に開かれ、アーム通過用開口94を通って筐体91の外側に出される。
【0115】
次に、
図13Cに示すように、第2上下駆動機構642の駆動により、一対の第2アーム612は、アーム通過用開口94より低い高さ位置まで下降される。このとき、アーム通過用開口94がシャッタ97により、筐体91の内側にウェハWの洗浄処理が開始される。
【0116】
次に、
図13Bおよび
図13Aに示すように、第2回動機構632の駆動により、一対の第2アーム612は、回転軸632Aを中心として回動される。図示された例では、一対の第2アーム612は、側面視において回転軸632Aを中心として反時計回りに90°回転され、一対の第2アーム612の先端は上向きに向けられる。そして、先端が上向きに向けられた一対の第2アーム612は、アーム搬送機構62の駆動より次の洗浄モジュールへと移動される。本実施の形態では、第2回動機構632が一対の第2アーム612を先端が上向きになるように回動させる際に、第2上下移動機構642が一対の第2アーム612を下降させるため、一対の第2アーム612の上方に必要なスペースを削減できる。
【0117】
図12に示すように、本実施の形態では、第1ウェハ把持機構601および第2ウェハ把持機構602が、アーム搬送機構62の下方に懸垂状に配置されている。これにより、第1ウェハ把持機構601および第2ウェハ把持機構602のメンテナンススペースを拡大される。したがって、メンテナンスに要する時間を短縮することができる。
【0118】
(前処理部)
前処理部16は、研磨前のウェハWの裏面に親水化処理を行う領域であり、第1前処理ユニット39aと第2前処理ユニット39bとを有している。
図1および
図2に示すように、第1前処理ユニット39aは、第1洗浄ユニット30aの第1ウェハステーション32aおよび複数の洗浄モジュール311a~314aと同列に配置されており、洗浄部搬送機構32aは、第1前処理ユニット39aと第1ウェハステーション32aとの間にてウェハWを搬送できるようになっている。図示された例では、第1前処理ユニット39aは、第1ウェハステーション33aに対して洗浄モジュール311a~314aとは逆側に第1ウェハステーション33aに隣接して配置されている。
【0119】
同様に、第2前処理ユニット39bは、第2洗浄ユニット30aの第2ウェハステーション32bおよび複数の洗浄モジュール311b~314bと同列に配置されており、洗浄部搬送機構32aは、第2前処理ユニット39bと第2ウェハステーション32bとの間にてウェハWを搬送できるようになっている。図示された例では、第2前処理ユニット39bは、第2ウェハステーション33bに対して洗浄モジュール311b~314bとは逆側に第2ウェハステーション33bに隣接して配置されている。
【0120】
第2前処理モジュール39bの構成は、第1前処理モジュール39aの構成と同様であり、以下、第1前処理モジュール39aの構成を代表して説明する。
【0121】
図18は、第1前処理モジュール39aの概略構成の一例を示す図である。
図18に示すように、第1前処理モジュール39aは、不図示の筐体と、筐体内に配置され、研磨前のウェハWの裏面を上向きに向けた状態で、ウェハWを保持して回転させる回転支持部400と、回転支持部400に支持されたウェハWの裏面に親水化薬液を供給する親水化薬液供給ノズル90とを有している。
【0122】
第1前処理モジュール39aの筐体は、ウェハステーション33aの筐体71と同様に、底面板と、4つの側面板と、天面板とを有している。4つの側面板のうち洗浄部搬送機構32aに対向する側面板および左右の側面板には、洗浄部搬送機構32aのアームを通過させるためのアーム通過用開口94が形成されている(
図13A~
図13E参照)。アーム通過用開口94は、シャッタ97により開閉可能となっている。このアーム通過用開口94の高さ位置は、ウェハステーション33aのアーム通過用開口74と同じ高さ位置に形成されている。洗浄部搬送機構32aは、このアーム通過用開口94から第1前処理モジュール39aの筐体の内側にアクセス可能となっている。
【0123】
図18に示す例では、回転支持部400は、チャックテーブルであり、ウェハWを吸着して支持するための支持面402を有している。図示の実施形態において、回転支持部400の支持面402は、ウェハWを水平下向きに支持するように構成されている。また、回転支持部400は、図示していない駆動機構によって回転軸Aの周りに回転できるようになっている。
【0124】
親水化処理ノズル90は、回転支持部400に支持されたウェハWの上面(裏面)に親水化薬液を供給して、ウェハWの裏面の親水化処理を行う。親水化薬液は、接触角試験でのウェハWの裏面の接触角を50°以下にする薬液であってもよい。ここで、接触角試験は、JIS R3257:1999に規定された静滴法による。具体的には、たとえば、親水化薬液は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、高分子添加剤のうちの1つまたは2つ以上を含んでいてもよい。親水化処理ノズル90から親水化薬液を供給しながら、後述するバフパッド502をウェハWの裏面に押圧し、バフヘッド500を回転軸B周りに回転させながら矢印C方向に揺動することによって、ウェハWの裏面の親水化処理を行ってもよい。
【0125】
図18に示すように、第1前処理モジュール39aは、回転支持部400に支持されたウェハWの裏面をバフパッド502を用いてバフ処理する研磨前裏面バフ処理部99をさらに有していてもよい。
【0126】
本明細書において、バフ処理とは、バフ研磨処理とバフ洗浄処理の少なくとも一方を含むものである。
【0127】
バフ研磨処理とは、基板に対してバフパッドを接触させながら、基板とバフパッドを相対運動させ、基板とバフパッドとの間にスラリーを介在させることにより基板の処理面を研磨除去する処理である。バフ研磨処理は、スポンジなどを用いて基板を物理的作用により洗浄する場合に基板に加えられる物理的作用力よりも強い物理的作用力を基板に対して加えることができる処理である。バフ研磨処理によって、スクラッチ等のダメージ又は汚染物が付着した処理面表層部の除去を実現することができる。
【0128】
バフ洗浄処理とは、基板に対してバフパッドを接触させながら、基板とバフパッドを相対運動させ、基板とバフパッドとの間に洗浄処理液(薬液、又は、薬液と純水)を介在させることにより基板表面の汚染物を除去したり、処理面を改質したりする処理である。バフ洗浄処理は、スポンジなどを用いて基板を物理的作用により洗浄する場合に基板に加えられる物理的作用力よりも強い物理的作用力を基板に対して加えることができる処理である。
【0129】
図18に示す例では、研磨前裏面洗浄部99は、回転支持部400に支持されたウェハWの裏面にバフ処理を行うためのバフパッド502が取り付けられたバフヘッド500と、バフヘッド500を保持するバフアーム600と、各種処理液を供給するための液供給系統700と、バフパッド502のコンディショニング(目立て)を行うためのコンディショニング部800と、を有している。
【0130】
このうちバフパッド502は、バフヘッド500のウェハWに対向する面に取り付けられる。バフアーム600は、バフヘッド500を回転軸B周りに回転させるとともに、バフヘッド500を矢印Cに示すようにウェハWの径方向に揺動できるようになっている。また、バフアーム600は、バフパッド502がコンディショニング部800に対向する位置までバフヘッド500を揺動できるようになっている。なお、バフヘッド500のウェハWに対向する面(バフパッド502の設置位置)に取り付けられるものは、研磨パッド(バフパッド)502以外にも、固定砥粒(砥粒が表面に固定されたもの)での研磨材料やその他、任意の材料を組み合わせることも可能である。
【0131】
図18に示される液供給系統700は、ウェハWの処理面に純水(DIW)を供給するための純水ノズル710を備える。純水ノズル710は、純水配管712を介して純水供給源714に接続される。純水配管712には、純水配管712を開閉することができる開閉弁716が設けられる。図示しない制御装置を用いて開閉弁716の開閉を制御することにより、任意のタイミングでウェハWの処理面に純水を供給することができる。
【0132】
また、液供給系統700は、ウェハWの処理面に薬液(Chemi)を供給するための薬液ノズル720を備える。薬液ノズル720は、薬液配管722を介して薬液供給源724に接続される。薬液配管722には、薬液配管722を開閉することができる開閉弁726が設けられる。図示しない制御装置を用いて開閉弁726の開閉を制御することにより、任意のタイミングでウェハWの処理面に薬液を供給することができる。図示は省略するが、液供給系統700は、ウェハWの処理面にスラリーを供給するためのスラリーノズルを備えており、図示しない制御装置を用いて開閉弁(不図示)の開閉を制御することにより、任意のタイミングでウェハWの処理面にスラリーを供給できるようになっていてもよい。
【0133】
なお、一実施形態において、液供給系統700は、温度制御装置の一例として、純水配管712および/または薬液配管722の途中に温度制御ユニット(不図示)を配置して、純水および/または薬液を所望の温度にして、純水ノズル710および/または薬液ノズル720からウェハWの処理面に供給するようにしてもよい。温度制御された純水および/または薬液をウェアWに供給することで、ウェハWの温度を所望の温度に制御することができる。
【0134】
図3に示す実施形態によるバフ処理モジュール300Aは、バフアーム600、バフヘッド500、及び、バフパッド502を介して、ウェハWの処理面またはバフテーブル400のウェハWを支持するための支持面420に、純水、薬液、またはスラリーを選択的に供給できるようになっている。
【0135】
すなわち、純水配管712における純水供給源714と開閉弁716との間からは分岐純水配管712aが分岐する。また、薬液配管722における薬液供給源724と開閉弁726との間からは分岐薬液配管722aが分岐する。分岐純水配管712a、分岐薬液配管722a、および、スラリー供給源734に接続されたスラリー配管732は、液供給配管740に合流する。分岐純水配管712aには、分岐純水配管712aを開閉することができる開閉弁718が設けられる。分岐薬液配管722aには、分岐薬液配管722aを開閉することができる開閉弁728が設けられる。スラリー配管732には、スラリー配管732を開閉することができる開閉弁736が設けられる。
【0136】
液供給配管740の第1端部は、分岐純水配管712a、分岐薬液配管722a、およびスラリー配管732の3系統の配管に接続される。液供給配管740は、バフアーム600の内部、バフヘッド500の中央、及び、バフパッド500の中央を通って延伸する。液供給配管740の第2端部は、ウェハWの処理面に向けて開口する。図示しない制御装置は、開閉弁718、開閉弁728、及び、開閉弁736、の開閉を制御することにより、任意のタイミングで、ウェハWの処理面(裏面)に純水、薬液、スラリーのいずれか1つ、又はこれらの任意の組み合わせの混合液を供給することができる。
【0137】
図18に示す実施形態では、研磨前裏面バフ処理部99は、液供給配管740を介してウェハWに処理液(スラリー含有液および/または洗浄処理液)を供給するとともに回転支持部400を回転軸A周りに回転させ、バフパッド502をウェハWの処理面(裏面)に押圧し、バフヘッド500を回転軸B周りに回転させながら矢印C方向に揺動することによって、ウェハWの裏面にバフ処理(バフ研磨処理および/またはバフ洗浄処理)を行うことができる。
【0138】
図18に示すコンディショニング部800は、バフパッド502の表面をコンディショニングするための部材である。コンディショニング部800は、ドレステーブル810と、ドレステーブル810に設置されたドレッサ820と、を備える。ドレステーブル810は、図示していない駆動機構によって回転軸D周りに回転できるようになっている。ドレッサ820は、ダイヤドレッサ、ブラシドレッサ、又はこれらの組み合わせで形成される。
【0139】
研磨前裏面バフ処理部99は、バフパッド502のコンディショニングを行う際には、バフパッド502がドレッサ820に対向する位置になるまでバフアーム600を旋回させる。研磨前裏面バフ処理部99は、ドレステーブル810を回転軸D周りに回転させるとともにバフヘッド500を回転させ、バフパッド502をドレッサ820に押し付けることによって、バフパッド502のコンディショニングを行う。
【0140】
<基板処理方法>
次に、このような構成からなる基板処理装置10を用いてウェハWを研磨する処理の一例について説明する。なお、以下に説明する研磨処理は、制御部15がロード/アンロード部11、研磨部12、洗浄部13、搬送部14、および前処理部16の動作を制御することにより行われる。
【0141】
まず、
図19Aに示すように、フロントロード部113のウェハカセットから研磨前のウェハWが、ロード/アンロード部11の搬送ロボット111により取り出されて、搬送部14の搬入口41aと対向する位置まで移動される。次いで、
図19Bに示すように、搬送部14の搬入口41aが開けられた後、搬送ロボット111に保持されたウェハWは、搬入口41aからカバー41の内側へと挿入され、スライドステージ42上に載せられて支持される。
【0142】
次に、
図19Cに示すように、ウェハWを保持するスライドステージ42は、ステージ移動機構43から与えられる動力により、長手方向に沿って搬出口41bと対向する位置まで移動される。そして、搬送部14の搬出口41bが開けられる。このとき、搬送部14のカバー41の内側には、排気ダクト44により、搬入口41a側から搬出口41b側へと流れる気流が形成されている。これにより、研磨部12内のパーティクルが搬送部14を通ってロード/アンロード部11内に拡散することが防止される。
【0143】
次に、
図20Aに示すように、研磨部12の搬送ロボット23のハンド231が、搬送部14の搬出口41bと同じ高さ位置に位置決めされた状態で、搬送ロボット23のアーム232が伸ばされる。アームの先端に支持されたハンド231は、搬出口41bを通ってカバー41の内側へと挿入され、スライドステージ42上に保持されたウェハWの下方に差し入れられる。次いで、ハンド231が上昇され、ウェハWはスライドステージ42からハンド231へと受け渡される。そして、アーム232が縮められることで、
図20Bに示すように、ハンド231上に保持されたウェハWは、搬送部14から研磨部12へと取り出される。その後、
図20Cに示すように、搬送ロボット23の反転機構234により、ハンド231がウェハWと一緒に上下反転される。なお、図面において、灰色で塗られたウェハWは上下反転されたウェハ(裏面が上向きに向けられたウェハ)を示している。
【0144】
次に、
図20Dに示すように、アーム232がロボット本体233の軸線周りに回動され、ハンド231が第1搬送ユニット24a側に向けられる。そして、アーム232が延ばされ、ハンド231に保持されたウェハWは、第1ウェハステーション33aへと受け渡される。なお、第1ウェハステーション33aが混雑している場合などには、ハンド231に保持されたウェハWは、第2ウェハステーション33bへと受け渡されてもよい。
【0145】
次に、
図21Aに示すように、第1ウェハステーション33a内に位置するウェハWは、洗浄部搬送機構32aの第1アーム611により保持される。そして、
図21Bに示すように、洗浄部搬送機構32aの第2アーム612が先端を上向きに向けられた状態で、アーム搬送機構62の駆動により、第1アーム611に把持されたウェハWが第1ウェハステーション33aから第1前処理ユニット39aへと搬送される。
【0146】
第1前処理ユニット39aでは、研磨前のウェハWが、裏面を上向きに向けられた状態で、回転支持部400の支持面402に吸着されて支持される。そして、回転支持部400が、支持面402に支持されたウェハWを回転軸Aの周りに回転させるとともに、研磨前裏面バフ処理部99が、液供給配管740を介してウェハWに処理液(スラリー含有液および/または洗浄処理液)を供給しながら、バフパッド502をウェハWの裏面に押圧し、バフヘッド500を回転軸B周りに回転させながら矢印C方向に揺動することによって、ウェハWの裏面にバフ処理(バフ研磨処理および/またはバフ洗浄処理)を行う。これにより、ウェハWの裏面の酸化膜(たとえばSiN膜表層の酸化膜)が除去され、表面活性が高くなるため、その後の親水化処理能力も高くなる可能性がある。
【0147】
次に、回転支持部400が、支持面402に支持されたウェハWを回転軸Aの周りに回転させるとともに、親水化処理ノズル90を介してウェハWの上面(裏面)に親水化薬液を供給して、ウェハWの裏面の親水化処理を行う。親水化処理では、ウェハWの裏面の接触角を50°以下にしてもよい。親水化処理ノズル90から親水化薬液を供給しながら、バフ処理時と同様にバフパッド502をウェハWの裏面に押圧し、バフヘッド500を回転軸B周りに回転させながら矢印C方向に揺動することによって、ウェハWの裏面の親水化処理を行ってもよい。
【0148】
なお、新水化処理の前の研磨前裏面バフ処理部99によるバフ処理は必ずしも必須ではなく、バフ処理を行うことなく、研磨前のウェハWの裏面に親水化処理を行ってもよい。
【0149】
第1前処理ユニット39aにて裏面が親水化処理されたウェハWは、洗浄部搬送機構32aの第1アーム611により再び保持される。そして、
図21Aに示すように、第1アーム611に把持されたウェハWは、アーム搬送機構62の駆動により、予備洗浄モジュール39aからウェハステーション33aへと搬送される。
【0150】
次に、
図22Aに示すように、研磨部12の搬送ロボット23により、ウェハWが第1ウェハステーション33aから取り出されて、第1搬送ユニット24aへと受け渡され、第1搬送ユニット24aから第1研磨ユニット20aへと搬送される。なお、第1研磨ユニット20aが混雑している場合などには、ハンド231に保持されたウェハWは、第2搬送ユニット24bへと受け渡され、第2搬送ユニット24bから第2研磨ユニット20bへと基板が搬入されてもよい。本実施の形態では、前処理部16から研磨部12へと搬送されてくるウェハWが、搬送ロボット23により第1搬送ユニット24aおよび第2搬送ユニット24bに振り分けられ、第1搬送ユニット24aから第1研磨ユニット20aへとウェハWが搬入されるとともに、第2搬送ユニット24bから第2研磨ユニット20bへとウェハWが搬入される。そのため、第1研磨ユニット20aおよび第2研磨ユニット20bは搬入経路を共有しておらず、第1研磨ユニット20aおよび第2研磨ユニット20bへの基板搬入時の混雑が解消される。したがって、プロセス全体のスループットが向上する。
【0151】
第2搬送ユニット24bによるウェハ受け渡し動作は、第1搬送ユニット24aによるウェハ受け渡し動作と同様であるため、以下、第1搬送ユニット24aによるウェハ受け渡し動作の一例について説明する。
【0152】
まず、
図23Aおよび
図23Bに示すように、搬送ロボット23に保持されたウェハW(裏面が親水化処理されたウェハ)は、待機位置L1に配置されたエクスチェンジャ50の第3ステージ52cに受け渡される。そして、
図23Cに示すように、ウェハWを保持する第3ステージ52cは、待機位置L1から第1基板搬送位置TP1へ移動される。
【0153】
次に、
図23Dに示すように、第1プッシャ51aが上昇して第3ステージ52cの内側を通過し、第3ステージ52c上の第1ウェハW1が第1プッシャ51aにより押し上げられて第1研磨装置21aのトップリング25aに受け渡される。そして、第1ウェハW1が第1研磨装置21aのトップリング25aに吸着保持された後、
図23Eに示すように、第1プッシャ51aが初期高さ位置まで下降する。その後、
図23Fに示すように、第1研磨装置21aの研磨位置にて第1ウェハW1の研磨が行われる。
【0154】
より詳しくは、
図4を参照し、トップリング25aが研磨パッド102a上に図示しない移動手段により移動され、図示しない昇降手段により研磨パッド102aが、トップリング25aに保持されたウェハWの表面に当接され、トップリング25aと研磨テーブル101aとの相対移動によりウェハWの研磨が行われる。このとき、ウェハWの裏面とトップリング25aに設けられたメンブレンとの間の隙間からスラリーが流れ込んでしまっても、ウェハWの裏面が親水化処理されていることで、流れ込んだスラリーはウェハWの裏面で濡れ広がり、ウェハWの裏面の定位置に停滞して固着しまうことが起こりづらくなる。
【0155】
第1研磨装置21aでのウェハWの研磨が終了した後、
図23Gに示すように、第1プッシャ51aが上昇して、研磨されたウェハWを第1研磨装置21aのトップリング25aから受け取る。そして、
図23Hに示すように、第1プッシャ51aが下降して第2ステージ52bを通過し、第1プッシャ51a上のウェハWが第2ステージ52bに受け渡される。
図23Iに示すように、第2ステージ52bに保持されたウェハWは、第1基板搬送位置TP1から待機位置L1へと移動される。
【0156】
次に、
図24Aに示すように、待機位置L1にて第2ステージ52b上に保持されたウェハWは、搬送ロボット23のハンド231により第2ステージ52b上から取り出される。その後、搬送ロボット23の反転機構234により、ハンド231がウェハWと一緒に上下反転される。
【0157】
次に、
図24Bに示すように、搬送ロボット23のアーム232がロボット本体233の軸線周りに回動され、ハンド231が洗浄部13の第1洗浄ユニット30aの第1ウェハステーション33a側に向けられる。そして、
図24Cに示すように、アーム232が延ばされ、ハンド231に保持されたウェハWは、第1ウェハステーション33aへと受け渡される。より詳しくは、搬送ロボット23のハンド231が、第1ウェハステーション33aの搬入口73と同じ高さ位置に位置決めされた状態で、アーム232が延ばされ、ハンド231に保持されたウェハWは、第1ウェハステーション33aの搬入口73を通って筐体71の内側へと搬入され、ステージ72上に載せられて支持される。
【0158】
なお、第1洗浄ユニット30aが混雑している場合などには、ハンド231に保持されたウェハWは、第2洗浄ユニット30aの第2ウェハステーション33bへと受け渡されてもよい。本実施の形態では、研磨部から洗浄部へと搬送されてくるウェハWが、搬送ロボット23により第1洗浄ユニット30aおよび第2洗浄ユニット30bに振り分けられ、第1洗浄ユニット30aおよび第2洗浄ユニット30bにて並行して洗浄される。したがって、プロセス全体のスループットが向上する。
【0159】
第2洗浄ユニット30bにおけるウェハ洗浄処理は、第1洗浄ユニット30aにおけるウェハ洗浄処理と同様であるため、以下、第1洗浄ユニット30aにおけるウェハ洗浄処理について説明する。
【0160】
図25Aに示すように、まず、一対の第1アーム611および一対の第2アーム612がそれぞれ先端を上向きに向けられた状態で、アーム搬送機構62の駆動により、第1ウェハ把持機構601および第2ウェハ把持機構602が第1洗浄モジュール311a~314aの配列方向に沿って移動され、一対の第1アーム611が第1ウェハステーション33aに隣接する待機位置にて静止される。そして、第1回動機構631の駆動により、一対の第1アーム611は回転軸631Aを中心として回動され、一対の第1アーム611の先端は横向きに向けられる。第1ウェハステーション33aのシャッタが退避されてアーム通過用開口74が開けられた後、一対の第1アーム611がアーム通過用開口74を通って第1ウェハステーション33aの内側に挿入され、ステージ72上に保持されたウェハWを把持する。ウェハWが一対の第1アーム611に把持された後、ステージ72は下方に退避される。
【0161】
次に、
図25Bに示すように、1次洗浄モジュール311aのシャッタ97が退避されてアーム通過用開口94が開けられた後、ハンド搬送機構62の駆動により、第1ウェハ把持機構601および第2ウェハ把持機構602が洗浄モジュール311a~314aの配列方向に沿って移動され、一対の第1アーム611に把持されたウェハWは、第1ウェハステーション33aから1次洗浄モジュール311aへと搬送され、1次洗浄モジュール311aの洗浄機に受け渡される。次いで、一対の第1アーム611が1次洗浄モジュール311aの筐体91の外側に出された後、アーム通過用開口94がシャッタ97により閉じられ、1次洗浄モジュール311aの洗浄機にてウェハWの洗浄が行われる。
【0162】
1次洗浄モジュール311aでの洗浄処理が終了した後、シャッタ97が退避されてアーム通過用開口94が開けられる。一対の第1アーム611がアーム通過用開口94を通って1次洗浄モジュール311aの筐体91の内側に挿入され、洗浄機にて洗浄されたウェハWを把持する。
【0163】
次に、
図25Cに示すように、2次洗浄モジュール312aのシャッタ97が退避されてアーム通過用開口94が開けられた後、アーム搬送機構62の駆動により、第1ウェハ把持機構601および第2ウェハ把持機構602が洗浄モジュール311a~314aの配列方向に沿って移動され、一対の第1アーム611に把持されたウェハWは、1次洗浄モジュール311aから2次洗浄モジュール312aへと搬送され、2次洗浄モジュール312aの洗浄機に受け渡される。次いで、一対の第1アーム611が2次洗浄モジュール312aの筐体91の外側に出された後、アーム通過用開口94がシャッタ97により閉じられ、2次洗浄モジュール312aの洗浄機にてウェハWの洗浄が行われる。
【0164】
次に、
図25Dに示すように、第1回動機構631の駆動により、一対の第1アーム611は回転軸631Aを中心として回動され、一対の第1アーム611の先端は上向きに向けられる。そして、一対の第1アーム611および一対の第2アーム612がそれぞれ先端を上向きに向けられた状態で、アーム搬送機構62の駆動により、第1ウェハ把持機構601および第2ウェハ把持機構602が第1洗浄モジュール311a~314aの配列方向に沿って移動され、一対の第2アーム612が第2洗浄モジュール312aに隣接する待機位置にて静止される。第2回動機構632の駆動により、一対の第2アーム612は回転軸632Aを中心として回動され、一対の第2アーム612の先端は横向きに向けられる。
【0165】
2次洗浄モジュール312aでの洗浄処理が終了した後、シャッタ97が退避されてアーム通過用開口94が開けられる。一対の第2アーム612がアーム通過用開口94を通って2次洗浄モジュール312aの筐体91の内側に挿入され、洗浄機にて洗浄されたウェハWを把持する。
【0166】
このように、本実施の形態では、2次洗浄モジュール312aでの洗浄前のウェハWは一対の第1アーム611により把持されて搬送され、2次洗浄モジュール312aでの洗浄後のウェハWは一対の第2アーム612により把持されて搬送される。すなわち、2次洗浄モジュール312aにおいてアームが交換される。これにより、2次洗浄モジュール312aでの洗浄後のウェハWに一対の第1アーム611が接触して当該ウェハWが汚染されることを防止できる。
【0167】
また、本実施の形態では、1次洗浄モジュール311aおよび2次洗浄モジュール312aにおいて、例えば、
図16に示すように、上下に配置された洗浄液供給ノズル101、102からウェハWの表面および裏面にそれぞれ洗浄液を供給しながら、上下に配置されたロール状のスポンジ101、102を回転させてウェハWの表面および裏面に押し付けてウェハWの表面および裏面を洗浄することで、ウェハWの表面(研磨面)だけでなく、裏面も十分に洗浄することができ、研磨時にウェハWの裏面に流れ込んだスラリーを効率よく除去できる。
【0168】
次に、
図25Eに示すように、3次洗浄モジュール313aのシャッタ97が退避されてアーム通過用開口94が開けられた後、アーム搬送機構62の駆動により、第1ウェハ把持機構601および第2ウェハ把持機構602が洗浄モジュール311a~314aの配列方向に沿って移動され、一対の第2アーム612に把持されたウェハWは、2次洗浄モジュール312aから3次洗浄モジュール313aへと搬送され、3次洗浄モジュール313aの洗浄機に受け渡される。次いで、一対の第2アーム612が3次洗浄モジュール313aの筐体91の外側に出された後、アーム通過用開口94がシャッタ97により閉じられ、3次洗浄モジュール313aの洗浄機にてウェハWの洗浄が行われる。
【0169】
3次洗浄モジュール313aでの洗浄処理が終了した後、シャッタ97が退避されてアーム通過用開口94が開けられる。一対の第2アーム612がアーム通過用開口94を通って3次洗浄モジュール313aの筐体91の内側に挿入され、洗浄機にて洗浄されたウェハWを把持する。
【0170】
次に、
図25Fに示すように、4次洗浄モジュール314aのシャッタ97が退避されてアーム通過用開口94が開けられた後、アーム搬送機構62の駆動により、第1ウェハ把持機構601および第2ウェハ把持機構602が洗浄モジュール311a~314aの配列方向に沿って移動され、一対の第2アーム612に把持されたウェハWは、3次洗浄モジュール313aから4次洗浄モジュール314aへと搬送され、4次洗浄モジュール314aの洗浄機に受け渡される。次いで、一対の第2アーム612が4次洗浄モジュール314aの筐体91の外側に出された後、アーム通過用開口94がシャッタ97により閉じられ、4次洗浄モジュール314aの洗浄機にてウェハWの洗浄及び乾燥が行われる。
【0171】
4次洗浄モジュール314aでの洗浄及び乾燥処理が終了した後、シャッタ97が退避されてアーム通過用開口94が開けられる。上述したロード/アンロード部11の搬送ロボット111のハンドがアーム通過用開口94を通って4次洗浄モジュール314aの筐体91の内側に挿入され、洗浄機にて洗浄され、最後の工程として(例えばスピン)乾燥処理されたウェハWがロード/アンロード部11へと取り出される。
【0172】
以上のような本実施の形態によれば、基板処理装置10が、前処理ユニット39aと研磨ユニット20aとを有しており、すなわち、前処理ユニット39aと研磨ユニット20aとが1つの装置(基板処理装置10)内にあるため、親水化処理後のウェハWを前処理ユニット39aから研磨ユニット20aへと短時間で搬送して研磨することができ、ウェハWの表面を研磨するときまで裏面における親水化処理の効果を持続させることができる。そして、ウェハWの表面を研磨する際に、ウェハWの裏面にスラリーが回り込んでしまったとしても、ウェハWの裏面が親水化処理されていることで、回り込んだスラリーはウェハWの裏面で濡れ広がり、ウェハWの裏面の定位置に停滞して固着しまうことが起こりづらくなり、研磨後のウェハWを洗浄する際にウェハWの裏面からスラリー残渣を容易に除去することができる。また、裏面が親水化状態となっていることで、洗浄時の液流れや濡れ性が向上する。これにより、ウェハWの裏面の付着物を低減できる。
【0173】
また、本実施の形態によれば、基板処理装置10が、前処理ユニット39aと研磨ユニット20aに加えて、洗浄ユニット30aをさらに有しており、すなわち、研磨処理ユニット20aと洗浄ユニット30aとが1つの装置(基板処理装置)内にあるため、研磨後のウェハWを研磨ユニット20aから洗浄ユニット30aへと短時間で搬送して洗浄することができ、ウェハWの裏面に回り込んだスラリーが洗浄前に乾燥により固着してしまうことを抑制できる。
【0174】
また、本実施の形態によれば、前処理ユニット39aが、回転支持部400と親水化薬液供給ノズル90に加えて、研磨前裏面バフ処理部99をさらに有しており、親水化処理の前にウェハWの裏面をバフ処理することで、ウェハWの裏面の表層から酸化膜を除去してその表面活性を高めることができ、これにより、その後の親水化処理の効果を高めることができる。
【0175】
また、本実施の形態によれば、洗浄ユニット30aが、ウェハWの裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズル104を有しており、研磨後のウェハWを洗浄する際に、洗浄液供給ノズル104からウェハWの裏面に十分な洗浄液を供給することができるため、裏面の洗浄効率を高めることができる。
【0176】
また、本実施の形態よれば、洗浄液供給ノズルが、ピンノズル104aとフラットノズル104bの一方または両方を含むことで、重力に逆らった状況下であっても、基板の裏面に向けて洗浄液を勢いよく供給することができ、裏面の洗浄効率を一層高めることができる。
【0177】
次に、本実施の形態に係る具体的な実施例について説明する。
【0178】
(実施例1)
本実施の形態に係る実施例1として、まず、ウェハカセットから取り出された研磨前のウェハWを前処理ユニット39aへと搬送し、ウェハWの裏面が上向きに向けられた状態で、ウェハWの裏面にスラリー含有液および洗浄処理液を供給しながら、バフパッド502をウェハWの裏面に押圧し、バフヘッド500を回転軸B周りに回転させながら矢印C方向に揺動することによって、ウェハWの裏面をバフ処理し、次いで、親水化薬液供給ノズル90からウェハWの裏面に親水化薬液を供給しながら、バフパッド502をウェハWの裏面に押圧し、バフヘッド500を回転軸B周りに回転させながら矢印C方向に揺動することによって、ウェハWの裏面の親水化処理を行った。次いで、裏面が親水化処理されたウェハWを前処理ユニット39から研磨ユニット20aへと搬送し、ウェハWの表面に研磨処理を行った。その後、表面が研磨されたウェハWを研磨ユニット20aから洗浄ユニット30aへと搬送し、2次洗浄モジュール312aにて、上下に配置された洗浄液供給ノズル101、102からウェハWの表面および裏面にそれぞれ洗浄液を供給しながら、上下に配置されたロール状のスポンジ101、102を回転させてウェハWの表面および裏面に押し付けてウェハWの表面および裏面を洗浄(ロール洗浄)した。この際、ウェハWの裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルとしては、バーノズル104(
図16参照)を用いた。次に、3次洗浄モジュールにて、ウェハWの表面に、半球状のスポンジを回転させながらウェハに押し付けて洗浄(ペン洗浄)し、次いで、ウェハWの表面および裏面をリンス洗浄したのち、ウェハWを高速回転させることで洗浄後のウェハWを乾燥させる処理(スピンリンスドライ)を行った。そして、乾燥後のウェハWの裏面を電子線検査装置で撮像してディフェクト数を計測した。
【0179】
(実施例2)
本実施の形態に係る実施例2として、まず、実施例1と同様に、ウェハカセットから取り出された研磨前のウェハWを前処理ユニット39aへと搬送し、ウェハWの裏面が上向きに向けられた状態で、ウェハWの裏面にスラリー含有液および洗浄処理液を供給しながら、バフパッド502をウェハWの裏面に押圧し、バフヘッド500を回転軸B周りに回転させながら矢印C方向に揺動することによって、ウェハWの裏面をバフ処理し、次いで、親水化薬液供給ノズル90からウェハWの裏面に親水化薬液を供給しながら、バフパッド502をウェハWの裏面に押圧し、バフヘッド500を回転軸B周りに回転させながら矢印C方向に揺動することによって、ウェハWの裏面の親水化処理を行った。次いで、裏面が親水化処理されたウェハWを前処理ユニット39から研磨ユニット20aへと搬送し、ウェハWの表面に研磨処理を行った。その後、表面が研磨されたウェハWを研磨ユニット20aから洗浄ユニット30aへと搬送し、2次洗浄モジュール312aにて、ウェハWの表面および裏面をロール洗浄した。この際、ウェハWの裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルとしては、ピンノズル104aおよびフラットノズル104bを用いた(
図17参照)。次に、3次洗浄モジュールにて、ウェハWの表面をペン洗浄し、次いで、ウェハWの表面および裏面をスピンリンスドライ処理により洗浄して乾燥させた。そして、乾燥後のウェハWの裏面を電子線検査装置で撮像してディフェクト数を計測した。すなわち、実施例2では、研磨後のウェハWの表面および裏面をロール洗浄する際に、ウェハWの裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルがピンノズルおよびフラットノズルである点が、実施例1と異なっている。
【0180】
(実施例3)
本実施の形態に係る実施例3として、まず、ウェハカセットから取り出された研磨前のウェハWを前処理ユニット39aへと搬送し、ウェハWの裏面が上向きに向けられた状態で、(ウェハWの裏面をバフ処理することなく、)親水化薬液供給ノズル90からウェハWの裏面に親水化薬液を供給しながら、バフパッド502をウェハWの裏面に押圧し、バフヘッド500を回転軸B周りに回転させながら矢印C方向に揺動することによって、ウェハWの裏面の親水化処理を行った。次いで、実施例1と同様に、裏面が親水化処理されたウェハWを前処理ユニット39から研磨ユニット20aへと搬送し、ウェハWの表面に研磨処理を行った。その後、表面が研磨されたウェハWを研磨ユニット20aから洗浄ユニット30aへと搬送し、2次洗浄モジュール312aにて、ウェハWの表面および裏面をロール洗浄した。この際、ウェハWの裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルとしては、バーノズル104を用いた(
図16参照)。次に、3次洗浄モジュールにて、ウェハWの表面をペン洗浄し、次いで、ウェハWの表面および裏面をスピンリンスドライ処理により洗浄して乾燥させた。そして、乾燥後のウェハWの裏面を電子線検査装置で撮像してディフェクト数を計測した。すなわち、実施例3では、研磨前のウェハWの裏面を親水化処理する前に、ウェハWの裏面にバフ処理を行わない点が、実施例1と異なっている。
【0181】
(比較例)
比較例として、まず、ウェハカセットから取り出された研磨前のウェハWを、(前処理ユニット39aへは搬送せずに、)研磨ユニット20aへと搬送し、ウェハWの表面に研磨処理を行った。その後、表面が研磨されたウェハWを研磨ユニット20aから洗浄ユニット30aへと搬送し、2次洗浄モジュール312aにて、ウェハWの表面および裏面をロール洗浄した。この際、ウェハWの裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルとしては、バーノズル104を用いた(
図16参照)。次に、3次洗浄モジュールにて、ウェハWの表面をペン洗浄し、次いで、ウェハWの表面および裏面をスピンリンスドライ処理により洗浄して乾燥させた。そして、乾燥後のウェハWの裏面を電子線検査装置で撮像してディフェクト数を計測した。すなわち、比較例では、ウェハWの表面を研磨する前に、ウェハWの裏面に親水化処理を行わない点が、実施例1と異なっている。
【0182】
図26は、実施例1~3および比較例でのウェハWの裏面のディフェクト数を比較して示すテーブルである。なお、
図26において「裏面ディフェクト数」は、2枚のウェハWでの計測結果を平均した値を示しており、「減少率」は、比較例の裏面ディフェクト数を基準した減少率を示している。
【0183】
図26を参照し、実施例1~3では、比較例に比べて、裏面ディフェクト数が減少しており、このことから、ウェハWの表面の研磨を行う前に、ウェハWの裏面に親水化処理を行うことで、ウェハWの裏面の付着物を低減できることが確認できた。
【0184】
また、
図26を参照し、実施例2では、実施例1に比べて、裏面ディフェクト数の減少率が向上しており、このことから、研磨後のウェハWの表面および裏面をロール洗浄する際に、ウェハWの裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルとして、ピンノズルおよび/またはフラットノズルを用いることで、裏面の洗浄効率を高めることができることが確認できた。
【0185】
以上、本発明の実施の形態および変形例を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。また、各実施の形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0186】
10 基板処理装置
11 ロード/アンロード部
12 研磨部
13 洗浄部
14 搬送部
15 制御部
16 前処理部
20a 第1研磨ユニット
20b 第2研磨ユニット
21a 第1研磨装置
21b 第2研磨装置
21c 第3研磨装置
21d 第4研磨装置
22 研磨部搬送機構
23 搬送ロボット
231 ハンド
232 アーム
233 ロボット本体
234 反転機構
24a 第1搬送ユニット
24b 第2搬送ユニット
25a~25d トップリング
30a 第1洗浄ユニット
30b 第2洗浄ユニット
311a~314a 洗浄モジュール
311b~314b 洗浄モジュール
32a 洗浄部搬送機構
32b 洗浄部搬送機構
33a ウェハステーション
33b ウェハステーション
39a 予備洗浄モジュール
39b 予備洗浄モジュール
330 シャフト
331 ガイドステージ
333 プッシュステージ
337 トップリングガイド
338 上段部
338a テーパ
339a 受け部
339b スプリング
340 ガイドスリーブ
341 センタスリーブ
346 リニアウェイ
347 シリンダ
349 電動アクチュエータ
351 圧縮ばね
39a 第1前処理ユニット
39b 第2前処理ユニット
400 回転支持部
41 カバー
41a 搬入口
41b 搬出口
42 スライドステージ
43 ステージ移動機構
44 排気ダクト
50 エクスチェンジャ
51a 第1プッシャ
51b 第2プッシャ
52a 第1ステージ
52a1 ピン
52b 第2ステージ
52c 第3ステージ
601 第1ウェハ把持機構
602 第2ウェハ把持機構
611 第1アーム
612 第2アーム
612a、612b チャックコマ
62 アーム搬送機構
631 第1回動機構
631A 回転軸
632 第2回動機構
632A 回転軸
632L リンク部材
641 第1上下移動機構
642 第2上下移動機構
661 第1開閉機構
662 第2開閉機構
67 奥行方向移動機構
68 メインフレーム
691 第1サブフレーム
692 第2サブフレーム
71 筐体
72 ステージ
73 搬入口
74 アーム通過用開口
75 駆動機構
76 ピン
81 筐体
82 ステージ
83 搬入口
84 アーム通過用開口
85 駆動機構
86 ピン
87 シャッタ
90 親水化薬液供給ノズル
91 筐体
94 アーム通過用開口
97 シャッタ
99 研磨前裏面バフ処理部
101 研磨テーブル
102 研磨パッド
103 トップリングシャフト
104 研磨液供給ノズル