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特開2024-122358負荷トルク算出装置、エンコーダシステム、アクチュエータ、ロボット装置、負荷トルク算出方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122358
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】負荷トルク算出装置、エンコーダシステム、アクチュエータ、ロボット装置、負荷トルク算出方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02P 23/14 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
H02P23/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029862
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】林 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 大洋
(72)【発明者】
【氏名】朴 正勝
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA18
5H505JJ03
5H505JJ04
5H505JJ17
5H505LL07
5H505LL38
5H505LL41
5H505LL45
5H505PP01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】負荷トルク算出装置、算出方法及びプログラムに関する。
【解決手段】入力軸31と、前記入力軸を回転させるモータ2と、前記入力軸から前記モータの動力が入力される減速機3と、前記減速機から出力された動力で回転する出力軸32と、前記入力軸の第1回転情報を検出する第1エンコーダと、前記出力軸の第2回転情報を検出する第2エンコーダと、を備えるアクチュエータ1の負荷トルクを算出する負荷トルク算出装置であって、前記第1回転情報を取得する第1取得部と、前記第2回転情報を取得する第2取得部と、少なくとも前記第1回転情報及び前記第2回転情報の一方に基づいて、前記減速機に関する第1ばね定数及び第2ばね定数の何れかを選択する選択部と、選択された前記第1及び前記第2ばね定数の何れかに基づいて前記アクチュエータの負荷トルクに関するトルク値を算出する算出部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸と、前記入力軸を回転させるモータと、前記入力軸から前記モータの動力が入力される変速機と、前記変速機から出力された動力で回転する出力軸と、前記入力軸の第1回転情報を検出する第1エンコーダと、前記出力軸の第2回転情報を検出する第2エンコーダと、を備えるアクチュエータの負荷トルクを算出する負荷トルク算出装置であって、
前記第1回転情報を取得する第1取得部と、
前記第2回転情報を取得する第2取得部と、
少なくとも前記第1回転情報及び前記第2回転情報の一方に基づいて、前記変速機に関する第1ばね定数及び第2ばね定数の何れかを選択する選択部と、
選択された前記第1及び前記第2ばね定数の何れかに基づいて前記アクチュエータの負荷トルクに関するトルク値を算出する算出部と、
を備える
負荷トルク算出装置。
【請求項2】
前記第1回転情報は前記入力軸の回転数であり、
前記第2回転情報は前記出力軸の回転数である
請求項1の負荷トルク算出装置。
【請求項3】
前記第1回転情報及び前記第2回転情報の少なくとも一方と、基準情報と、の比較結果を出力する判定部を更に備え、
前記選択部は、前記比較結果に基づいて、前記第1及び前記第2ばね定数の何れかを選択する
請求項2の負荷トルク算出装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1回転情報、及び前記第2回転情報を合成した情報と、基準情報と、の比較結果を出力する
請求項3の負荷トルク算出装置。
【請求項5】
前記判定部は、重み付けされた前記第1回転情報、及び重み付けされた前記第2回転情報を合成した情報と、基準情報と、の比較結果を出力する
請求項3の負荷トルク算出装置。
【請求項6】
前記第1回転情報は前記入力軸の回転方向であり、
前記第2回転情報は前記出力軸の回転方向である
請求項1の負荷トルク算出装置。
【請求項7】
前記第1回転情報及び前記第2回転情報の少なくとも一方に基づいて、前記入力軸、及び前記出力軸の少なくとも一方の回転方向を出力する判定部を更に備え、
前記選択部は、前記出力された回転方向に基づいて、前記第1及び前記第2ばね定数の何れかを選択する
請求項6の負荷トルク算出装置。
【請求項8】
前記第1回転情報は前記入力軸の回転角度であり、
前記第2回転情報は前記出力軸の回転角度である
請求項1の負荷トルク算出装置。
【請求項9】
前記算出部は、
直前の前記第1及び前記第2回転情報の差を第1ねじれ角として算出し、
現在の前記第1及び前記第2回転情報の差を第2ねじれ角として算出し、
前記選択部は、
前記第1及び前記第2ねじれ角の変動に基づいて、前記第1及び前記第2ばね定数の何れかを選択する
請求項8の負荷トルク算出装置。
【請求項10】
前記第2回転情報の瞬間的な速度方向を判定する判定部を更に備え、
前記選択部は、前記判定の結果に基づいて、前記第1及び前記第2ばね定数の何れかを選択する
請求項2の負荷トルク算出装置。
【請求項11】
前記選択部は、少なくとも前記第1回転情報及び前記第2回転情報の一方に基づいて、前記第1及び前記第2ばね定数を合成したばね定数を選択する
請求項1の負荷トルク算出装置。
【請求項12】
前記第1及び前記第2ばね定数は、回転負荷に前記出力軸が接続された状態における、前記変速機の弾性変位の程度に基づいて算出される
請求項1に記載の負荷トルク算出装置。
【請求項13】
前記第1及び第2ばね定数は記憶部に記憶される
請求項1の負荷トルク算出装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項の負荷トルク算出装置と、
前記第1エンコーダと、
前記第2エンコーダと、
を備えるエンコーダシステム。
【請求項15】
請求項14のエンコーダシステムと、
前記入力軸と、
前記モータと、
前記変速機と、
前記出力軸と、
を備えるアクチュエータ。
【請求項16】
請求項15のアクチュエータを備えるロボット装置。
【請求項17】
入力軸と、前記入力軸を回転させるモータと、前記入力軸から前記モータの動力が入力される変速機と、前記変速機から出力された動力で回転する出力軸と、前記入力軸の第1回転情報を検出する第1エンコーダと、前記出力軸の第2回転情報を検出する第2エンコーダと、を備えるアクチュエータの負荷トルクを算出する負荷トルク算出方法であって、
前記第1回転情報を取得することと、
前記第2回転情報を取得することと、
少なくとも前記第1回転情報及び前記第2回転情報の一方に基づいて、前記変速機に関する第1ばね定数及び第2ばね定数の何れかを選択することと、
選択された前記第1及び前記第2ばね定数の何れかに基づいて前記アクチュエータの負荷トルクに関するトルク値を算出することと、
を備える
負荷トルク算出方法。
【請求項18】
入力軸と、前記入力軸を回転させるモータと、前記入力軸から前記モータの動力が入力される変速機と、前記変速機から出力された動力で回転する出力軸と、前記入力軸の第1回転情報を検出する第1エンコーダと、前記出力軸の第2回転情報を検出する第2エンコーダと、を備えるアクチュエータの負荷トルクをコンピュータに算出させるプログラムであって、
コンピュータに、
前記第1回転情報を取得することと、
前記第2回転情報を取得することと、
少なくとも前記第1回転情報及び前記第2回転情報の一方に基づいて、前記変速機に関する第1ばね定数及び第2ばね定数の何れかを選択することと、
選択された前記第1及び前記第2ばね定数の何れかに基づいて前記アクチュエータの負荷トルクに関するトルク値を算出することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷トルク算出装置、エンコーダシステム、アクチュエータ、ロボット装置、負荷トルク算出方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、減速機の出力側部材の回転方向位置を検出するエンコーダを備える減速機付きアクチュエータが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-060477号公報
【発明の概要】
【0004】
一態様は、入力軸と、前記入力軸を回転させるモータと、前記入力軸から前記モータの動力が入力される変速機と、前記変速機から出力された動力で回転する出力軸と、前記入力軸の第1回転情報を検出する第1エンコーダと、前記出力軸の第2回転情報を検出する第2エンコーダと、を備えるアクチュエータの負荷トルクを算出する負荷トルク算出装置であって、前記第1回転情報を取得する第1取得部と、前記第2回転情報を取得する第2取得部と、少なくとも前記第1回転情報及び前記第2回転情報の一方に基づいて、前記変速機に関する第1ばね定数及び第2ばね定数の何れかを選択する選択部と、選択された前記第1及び前記第2ばね定数の何れかに基づいて前記アクチュエータの負荷トルクに関するトルク値を算出する算出部と、を備える負荷トルク算出装置である。
【0005】
一態様は、前記負荷トルク算出装置と、前記第1エンコーダと、前記第2エンコーダとを備えるエンコーダシステムである。
【0006】
一態様は、前記エンコーダシステムと、前記入力軸と、前記モータと、前記変速機と、前記出力軸と、を備えるアクチュエータである。
【0007】
一態様は、前記アクチュエータを備えるロボット装置である。
【0008】
一態様は、入力軸と、前記入力軸を回転させるモータと、前記入力軸から前記モータの動力が入力される変速機と、前記変速機から出力された動力で回転する出力軸と、前記入力軸の第1回転情報を検出する第1エンコーダと、前記出力軸の第2回転情報を検出する第2エンコーダと、を備えるアクチュエータの負荷トルクを算出する負荷トルク算出方法であって、前記第1回転情報を取得することと、前記第2回転情報を取得することと、少なくとも前記第1回転情報及び前記第2回転情報の一方に基づいて、前記変速機に関する第1ばね定数及び第2ばね定数の何れかを選択することと、選択された前記第1及び前記第2ばね定数の何れかに基づいて前記アクチュエータの負荷トルクに関するトルク値を算出することと、を備える負荷トルク算出方法である。
【0009】
一態様は、入力軸と、前記入力軸を回転させるモータと、前記入力軸から前記モータの動力が入力される変速機と、前記変速機から出力された動力で回転する出力軸と、前記入力軸の第1回転情報を検出する第1エンコーダと、前記出力軸の第2回転情報を検出する第2エンコーダと、を備えるアクチュエータの負荷トルクをコンピュータに算出させるプログラムであって、コンピュータに、前記第1回転情報を取得することと、前記第2回転情報を取得することと、少なくとも前記第1回転情報及び前記第2回転情報の一方に基づいて、前記変速機に関する第1ばね定数及び第2ばね定数の何れかを選択することと、選択された前記第1及び前記第2ばね定数の何れかに基づいて前記アクチュエータの負荷トルクに関するトルク値を算出することと、を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るアクチュエータの機能構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係るアクチュエータの側面の断面図の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る演算部の機能構成の一例を示す図である。
図4】本実施形態の記憶部に記憶されるばね定数情報の第1の例を示す図である。
図5】本実施形態の記憶部に記憶されるばね定数情報の第2の例を示す図である。
図6】本実施形態の記憶部に記憶されるばね定数情報の第3の例を示す図である。
図7】本実施形態の記憶部に記憶されるばね定数情報の第4の例を示す図である。
図8】本実施形態の記憶部に記憶されるばね定数情報の第5の例を示す図である。
図9】本実施形態に係る負荷トルク算出処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係るアクチュエータ1の機能構成の一例を示す図である。図2は、本実施形態に係るアクチュエータ1の側面の断面図の一例を示す図である。
【0012】
まず、図1および図2を用いて、本実施形態に係るアクチュエータ1について説明する。
アクチュエータ1は、モータ2と、減速機3と、入力軸エンコーダ4と、出力軸エンコーダ5と、ドライバ6と、温度センサ10と、入力軸31と、出力軸32と、を備える。アクチュエータ1では、入力軸エンコーダ4と出力軸エンコーダ5との2つのエンコーダを備えることによって、後述するようにトルクを高精度に測定する。当該トルクは、例えばアクチュエータ1に接続される被駆動部(負荷)を駆動する際に生じるトルクであり、負荷トルクとも記載する。負荷トルクとは、アクチュエータ1に接続される被駆動部を駆動する際に出力軸32と入力軸31との間にかかるトルクであるともいえる。換言すると負荷トルクは、所要動力ともいえる。一例として、減速機3の出力軸32がロボット装置の腕部に接続されて、当該腕部を駆動する場合がある。この場合には、負荷トルクとは、当該ロボット装置の腕部を駆動する際に、減速機3の出力軸32に生じるトルクのことをいう。なお、以下では、「トルク」、「負荷トルク」、及び「回転力」は同じ意味で使用されることがある。
【0013】
モータ2は、入力軸31を回転駆動する。モータ2は、一例として、電動モータである。また、モータ2は、一例として、ブラシレスモータである。モータ2は、回転子としての磁石、固定子としてのステータ、及び電源部を備える。固定子は、コイルを備えることにより、外部から電源部を介して供給される電力によって磁場を発生する。磁石である回転子は、固定子に備えられるコイルによって発生する磁場から受ける力により回転する。なお、モータ2は、ブラシレスモータ以外の種類の電動モータであってもよい。
入力軸31の一端は、モータ2の回転子に接続され、回転子とともに回転する。入力軸31は、中空の円筒状であり、出力軸32は入力軸31の内側を通っている。入力軸31の他端は減速機3の入力側の接続部301に接続されている。出力軸32の一端は減速機3の出力側の接続部302に接続されている。
【0014】
減速機3は、入力軸31の回転を減速して出力軸32に伝達する動力伝達装置である。換言すると、減速機3は、入力側の接続部301から伝達されるモータ2の回転子の回転を減じて(変更して)、出力側の接続部302から動力を出力する。さらに換言すると、減速機3は、入力軸31から伝達されたモータ2の回転子の動力を所定の減速比で減速し、出力軸32から減速した後の動力を出力する。出力軸32の他端(第1端という)は、被駆動部(負荷)と接続される。出力軸32の他端(第1端)とは、減速機3の出力側の接続部302に接続される一端と反対側である。被駆動部は、減速機3から出力される動力が伝達され、駆動する。減速機3は、1つまたは複数のギア、ベルト装置、チェーン装置、及びドライブシャフト装置の少なくとも1つを含む。なお、減速機3は変速機であっても良い。変速機とは、回転速度の比率を変える装置である。変速機は速度を変化させることが可能である。
【0015】
減速機3は、入力軸31の回転の向きの変化に応じて、出力軸32の回転の向きを変化させる。例えば、減速機3は、入力軸31が正転方向に回転している場合には出力軸32を正転方向に回転させ、入力軸31が逆転方向に回転している場合には出力軸32を逆転方向に回転させる。
なお、減速機3の出力軸32の回転の向きのうち、いずれの向きを正転とするのかは、アクチュエータ1の構成や、アクチュエータ1の負荷装置の構成によって定められる。
【0016】
以下の説明において、減速機3のことを回転力伝達装置ともいう。また、入力軸31と出力軸32とを総称して、回転力伝達装置の回転軸(または、単に回転軸)ともいう。すなわち、入力軸31は、モータ2によって駆動される回転軸である。出力軸32は、入力軸31に連動して回転する回転軸である。
【0017】
図2に示すように、一例として入力軸エンコーダ4は、モータ2に対して減速機3と反対側に配置されている。入力軸エンコーダ4は、入力軸31の位置情報を検出する。入力軸31の位置情報とは、入力軸31の回転角度、角速度、及び/又は入力軸31が何回回転したかを示す多回転情報を含む変移情報である。
【0018】
入力軸エンコーダ4は、一例として、光学式のエンコーダである。入力軸エンコーダ4は、第1回転部(ディスク、スケール板等と記載してもよい)41と、第1検出部42とを備える。第1回転部41は、入力軸31の他端に設けられる。入力軸31の他端とは、減速機3の入力側の接続部301に接続される一端と反対側である。第1回転部41には、第1スケール(パターンと記載してもよい)が設けられる。第1スケールには、入力軸31の周方向において変化するパターンが形成されている。第1スケールの具体的な例としては、少なくともアブソリュート型であり、その他のタイプでもよい。例えば第1スケールは、第1検出部42からの光を反射する反射型でもよいし、第1検出部42からの光を透過する透過型でもよい。
【0019】
第1検出部42は、第1スケールに形成されたパターンを光学的に検出する。入力軸エンコーダ4は、第1検出部42が検出する第1スケール上のパターンにより、入力軸31の位置情報を検出する。入力軸エンコーダ4は、演算部8と有線または無線で通信可能であり、入力軸31の位置情報を演算部8に供給する。
【0020】
図2に示すように、一例として出力軸エンコーダ5は、モータ2に対して減速機3と反対側に配置されている。出力軸エンコーダ5は、出力軸32の位置情報を検出する。出力軸32の位置情報とは、出力軸32の回転角度、角速度、及び/又は出力軸32が何回回転したかを示す多回転情報を含む変移情報である。
【0021】
出力軸エンコーダ5は、一例として、光学式のエンコーダである。出力軸エンコーダ5は、第2回転部(ディスク、スケール板等と記載してもよい)51と、第2検出部52とを備える。第2回転部51は、出力軸32の他端(第2端という)に設けられる。第2端は、出力軸32の他端のうち上述した第1端とは異なる側の他端である。第2回転部51には、第2スケール(パターンと記載してもよい)が設けられる。第2スケールには、出力軸32の周方向において変化するパターンが形成されている。第2スケールの具体的な例としては、少なくともアブソリュート型であり、その他のタイプでもよい。例えば第2スケールは、第2検出部52からの光を反射する反射型でもよいし、第2検出部52からの光を透過する透過型でもよい。
【0022】
第2検出部52は、第2スケールに形成されたパターンを光学的に検出する。出力軸エンコーダ5は、第2検出部52が検出する第2スケール上のパターンにより、出力軸32の位置情報を検出する。出力軸エンコーダ5は、演算部8と有線または無線で通信可能であり、出力軸32の位置情報を演算部8に供給する。
【0023】
なお、以下の説明において、入力軸エンコーダ4あるいは出力軸エンコーダ5が検出する位置情報のことを、回転角度情報ともいう。すなわち、入力軸エンコーダ4は、入力軸31の回転角度を検出し、検出した入力軸31の回転角度を示す回転角度情報B11を出力する、ともいえる。また、出力軸エンコーダ5は、出力軸32の回転角度を検出し、検出した出力軸32の回転角度を示す回転角度情報B12を出力する、ともいえる。
すなわち、回転角度情報B11は、入力軸エンコーダ4によって検出された入力軸回転角度θ1(入力軸31の回転角度)を示す情報である。回転角度情報B12は、出力軸エンコーダ5によって検出された出力軸回転角度θ2(出力軸32の回転角度)を示す情報である。
【0024】
以下の説明において、入力軸31の回転角度情報B11と、出力軸32の回転角度情報B12とを総称して、回転角度情報B1ともいう。すなわち、回転角度情報B1は、入力軸エンコーダ4によって検出された入力軸回転角度θ1(入力軸31の回転角度)、及び出力軸エンコーダ5によって検出された出力軸回転角度θ2(出力軸32の回転角度)を示す情報である。
【0025】
また、入力軸エンコーダ4は、入力軸31の回転方向を検出する機能を備えている。出力軸エンコーダ5は、出力軸32の回転方向を検出する機能を備えている。なお、これらのエンコーダが回転方向を検出する機能には、既知の手段が採用される。
入力軸エンコーダ4および出力軸エンコーダ5は、回転の向きを示す情報を、回転角度情報B1に含めて出力する。
回転角度情報B1は、入力軸エンコーダ4及び出力軸エンコーダ5から演算部8に供給される。
【0026】
なお、本実施形態では、一例として、入力軸エンコーダ4及び出力軸エンコーダ5が、有線で演算部8と通信する場合について説明する。本実施形態では、一例として、入力軸エンコーダ4、出力軸エンコーダ5、及び演算部8は、バス接続によって互いに通信可能である。
ここで上述したように、入力軸エンコーダ4と演算部8とが無線通信によって通信を行う場合、または出力軸エンコーダ5と演算部8とが無線通信によって通信を行う場合、それらの無線通信には、近距離無線通信が好適に用いられる。近距離無線通信とは、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))による近距離無線通信、NFC(Near Field Communication)による近距離無線通信、赤外線通信による近距離無線通信などである。
【0027】
アクチュエータ1は、温度センサ10を備える。温度センサ10は、アクチュエータ1の温度を測定する。本実施形態において、アクチュエータ1の温度とは、一例として、モータ2の温度である。つまり、温度センサ10は、モータ2の温度を測定する。なお、アクチュエータ1の温度は、アクチュエータ1を構成する各部分のいずれの温度であってもよいし、それらの部分の温度の平均値などであってもよい。本実施形態に係るアクチュエータ1の温度センサ10では、一例としてモータ2の固定子に巻かれたコイルの温度を示す情報(モータコイル温度情報C1)を出力する。ここで温度センサ10は、一例として当該コイルの近傍に設置される。モータコイル温度情報C1は、温度センサ10によって当該コイルの温度が検出されて生成される。生成されたモータコイル温度情報C1は、温度センサ10からモータ制御部7及び演算部8に供給される。
【0028】
ドライバ6は、アクチュエータ1の全体を制御する。ドライバ6は、モータ制御部7と、演算部8と、記憶部9とを備える。例えばドライバ6は、モータ制御部7、演算部8、及び記憶部9が基板上に備えられた1以上の電子部品(集積回路など)である。
【0029】
ドライバ6は、回転力算出装置の一例である。入力軸エンコーダ4と、出力軸エンコーダ5と、ドライバ6(回転力算出装置)とを合わせてエンコーダシステムともいう。モータ2と、減速機3と、温度センサ10と、入力軸31と、出力軸32とを合わせて駆動装置ともいう。すなわち、アクチュエータ1は、駆動装置と、エンコーダシステムとを備える、ともいえる。
なお、ドライバ6の装置の物理的な構成は、アクチュエータ1の機能、用途や形状に応じて種々の形態を採用することができる。例えば、モータ制御部7と、演算部8と、記憶部9とが、1つの筐体に一体化された装置であってもよいし、複数の筐体に分割された装置であってもよい。また、ドライバ6の筐体が、駆動装置及びエンコーダシステムと一体化されて構成されていてもよい。
【0030】
モータ制御部7は、外部制御装置(上位制御装置)からの制御(指令、上位制御指令)に基づいて、モータ2を制御する。モータ制御部7は、制御信号生成部71と、モータドライバ72を備える。
【0031】
制御信号生成部71は、上位制御指令と、制御電源と、回転角度情報B1と、モータコイル温度情報C1とに基づいて制御信号を生成する。制御電源は、モータ制御部7と、演算部8とにそれぞれが動作するための電力を供給する。
【0032】
モータドライバ72は、制御信号生成部71から供給されるモータ2を制御するための制御信号に基づいて動力電源から供給される電力からモータ駆動電流を生成する。動力電源は、モータドライバ72にモータ2を駆動するための電力を供給する。制御信号は、モータ2の回転子の角度位置、角速度、及び角加速度の少なくとも1つを制御するための信号である。モータドライバ72は、生成したモータ駆動電流をモータ2に供給することによってモータ2を制御する。モータドライバ72は、モータ2に供給するモータ駆動電流の値(電流実効値)を示すモータ駆動電流情報A1を生成し、生成したモータ駆動電流情報A1を演算部8に供給する。
【0033】
演算部8は、各種の演算(例えばアクチュエータ1に負荷されるトルクの演算)を行う。演算部8の詳細な動作については後述する。演算部8は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア的に演算を行う演算回路を含む。なお、演算部8は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを含むコンピュータがプログラムに従って処理を実行することによって実現されてもよい。
【0034】
図3は、本実施形態に係る演算部8の機能構成の一例を示す図である。演算部8は、第1取得部81と、第2取得部82と、判定部83と、選択部84と、回転力算出部85とを、その機能部として備える。なお、第1取得部81と、第2取得部82と、判定部83と、選択部84と、回転力算出部85とは、コンピュータによって実行されるプログラムであっても良いし、回路構成であっても良い。
【0035】
第1取得部81は、入力軸31の回転角度を検出する入力軸エンコーダ4(第1エンコーダ)の出力を取得する。すなわち、第1取得部81は、入力軸エンコーダ4が出力する回転角度情報B11を取得する。
第2取得部82は、出力軸32の回転角度を検出する出力軸エンコーダ5(第2エンコーダ)の出力を取得する。すなわち、第2取得部82は、出力軸エンコーダ5が出力する回転角度情報B12を取得する。
【0036】
判定部83は、第1取得部81が取得する入力軸エンコーダ4(第1エンコーダ)の出力、及び、第2取得部82が取得する出力軸エンコーダ5(第2エンコーダ)の出力の少なくとも一方に基づいて、回転軸の回転状態を判定する。
本実施形態において「回転状態」とは、減速機3の回転軸が動的か静的か、正転しているか逆転しているか、回転軸に生じる負荷トルクが増加方向か減少方向か、などをいう。なお、動的とは、回転軸が回転している場合、または回転軸が回転しているとみなせる場合。また、静的とは回転軸が停止している場合、または回転軸が停止しているとみなせる場合を意味する。また、「静的」と「動的」という用語は、「減速機」に係っても、「減速機の回転軸」に係っても、意味は同じである。
【0037】
なお、判定部83は、入力軸エンコーダ4の出力と、出力軸エンコーダ5の出力とのいずれか一方を用いて回転軸の回転状態を判定してもよい。また、判定部83は、入力軸エンコーダ4の出力と、出力軸エンコーダ5の出力との両方を用いて回転軸の回転状態を判定してもよい。
【0038】
選択部84は、入力軸31から出力軸32までの回転方向の弾性変位の程度を示すばね定数K1を、回転軸の回転状態ごとに示す複数の種類のばね定数K1の中から、判定部83が判定する回転状態に対応する種類のばね定数K1を選択する。
【0039】
記憶部9は、各種の情報を記憶する。記憶部9には、ばね定数K1が記憶される。ばね定数K1は、減速機3の回転方向のねじれ剛性(ねじり剛性とも記載する)に関する値である。ねじれ剛性とは、ねじれに対する固さを表す値である。記憶部9は、書き換え可能な不揮発メモリを含み、例えば、アクチュエータ1のキャリブレーション結果に基づいてばね定数K1が書き換えられるように構成されていてもよい。
【0040】
ここで減速機3は、バネの特性を有している。減速機3のバネの特性に起因し、入力側を固定して出力側にトルク(負荷、または負荷トルクとも記載する)を加えると、出力側では負荷トルクに比例したねじれが発生する。本実施形態では、減速機3の入力側に入力軸31が接続され、減速機3の出力側に出力軸32が接続されている。
具体的には、減速機3の出力側に負荷トルクがかかっていない(無負荷の)状態では減速機3にねじれは生じていない。減速機3の出力側に負荷トルクがかかる状態では、減速機3の出力側にねじれが生じる。
【0041】
つまり、減速機3では、出力側にかかる負荷トルクによってねじれが生じる。そのため、減速機3のねじれの大きさ(ねじれ量)から負荷トルクを算出することができる。より具体的には、本願では減速機3の入力側(入力軸31)と出力側(出力軸32)にエンコーダを取り付けている。そのため、入力軸エンコーダ4と出力軸エンコーダ5から得られる位置情報の差分値から、減速機のねじれ量を求めることができる。ねじれの大きさは、減速機3の回転方向のねじれ角α1によって示される。
【0042】
入力軸31の回転角度である入力軸回転角度θ1は、入力軸エンコーダ4によって検出される。出力軸32の回転角度である出力軸回転角度θ2は、出力軸エンコーダ5によって検出される。演算部8は、入力軸回転角度θ1と出力軸回転角度θ2との差に基づいて、減速機3の回転方向のねじれ角α1を算出する。演算部8は、算出したねじれ角α1と、減速機3のばね定数K1とを乗算することによって負荷トルクを算出する。当該負荷トルクは、入力軸31と出力軸32との間にかかる減速機3の回転方向の負荷トルクである。また、当該負荷トルクは、アクチュエータ1に負荷されるトルクと考えてもよい。
【0043】
ばね定数K1は、減速機3の回転方向のねじれ剛性(ねじり剛性)に関する値である。ばね定数K1は、記憶部9に記憶される。ここで、減速機3の回転方向のねじれ剛性とは、出力側の負荷トルクに対する固さ(抵抗性)を表す。
【0044】
負荷トルクは、変数xをねじれ量(ねじれ角α1)とした場合の変数xの3次式によって近似される。
【0045】
【数1】
【0046】
a、b、cの各パラメータは各次数の係数を示す。したがって、ばね定数K1は、a、b、cの3つのパラメータの組によって与えられる。本実施形態では、これらのa、b、cの各パラメータは、ねじれ量である変数xの関数であるともいえる。当該関数は、実測によって予め算出される。a、b、cは定数ではなく、温度の関数、または回転速度の関数であっても良い。
【0047】
アクチュエータ1が使用される種々の条件によって、減速機3の回転方向のねじれ剛性は変化し得る。ここで、アクチュエータ1が使用される種々の条件の一例として、減速機3が、動的である場合と静的である場合、正転している場合と逆転している場合、および負荷トルクが増加している場合と減少している場合、などがある。
【0048】
記憶部9は、減速機3の回転の状態に応じた複数のばね定数K1を記憶している。図4は、本実施形態の記憶部9に記憶されるばね定数情報91の一例を示す図である。
【0049】
この一例の場合、回転状態とは、回転軸の回転数である。ばね定数K1には、回転軸の回転数に応じた複数のばね定数K1がある。例えば、図4に例示したように、回転軸の回転数が所定の閾値(基準情報)以下の場合(すなわち、回転軸が停止している場合、または回転軸が停止しているとみなせる場合)のばね定数K11と、回転軸の回転数が所定の閾値を超える場合(すなわち、回転軸が回転している場合、または回転軸が回転しているとみなせる場合)のばね定数K12とがある。なお、以下では、回転軸の回転数が所定の閾値以下の場合(すなわち、回転軸が停止している場合、または回転軸が停止しているとみなせる場合)を「静的状態」または単に「静的」と記載する。また、回転軸の回転数が所定の閾値を超える場合(すなわち、回転軸が回転している場合、または回転軸が回転しているとみなせる場合)を「動的状態」または単に「動的」等と記載する。
判定部83は、回転軸の回転数を判定する。選択部84は、複数のばね定数K1の中から、回転軸の回転数に応じたばね定数K1を選択する。
【0050】
なお、判定部83は、重み付けを行った入力軸31の回転数と出力軸32の回転数とを合成することによって回転軸の回転数を算出して、回転軸の回転数を判定してもよい。すなわち、回転軸の回転数が、入力軸エンコーダ4(第1エンコーダ)の出力が示す入力軸31の回転数と、出力軸エンコーダ5(第2エンコーダ)の出力が示す出力軸32の回転数との合成回転数によって算出されてもよい。上記重み付けは、回転状態に応じて変化する。例えば、入力軸31の回転数の方が、出力軸32の回転数よりも精度が高い回転状態の場合は、入力軸31の回転数の方が、出力軸32の回転数よりも重み付けが大きくなる。
【0051】
図5は、本実施形態の記憶部9に記憶されるばね定数情報92の一例を示す図である。
この一例の場合、回転状態とは、回転軸の回転の向きである。ばね定数K1には、回転軸の回転の向きに応じた複数のばね定数K1がある。例えば、図5に例示したように、回転軸の回転の向きが正転方向の場合のばね定数K121と、回転軸の回転の向きが逆転方向の場合のばね定数K122とがある。判定部83は回転軸の回転の向きを判定する。選択部84は、複数のばね定数K1の中から、回転軸の回転の向きに応じたばね定数K1を選択する。
【0052】
図6は、本実施形態の記憶部9に記憶されるばね定数情報93の一例を示す図である。
この一例の場合、回転状態とは、回転軸の負荷トルクの時間変化である。回転軸の負荷トルクの時間変化とは、例えば、回転軸の負荷トルクが時間の経過とともに増加する、または減少することをいう。ばね定数K1には、回転軸の負荷トルクの時間変化に応じた複数のばね定数K1がある。同図に示す一例の場合、ばね定数K1には、負荷トルクの時間変化の方向の違いに応じた複数のばね定数K1がある。具体的には、回転軸が静的状態且つ負荷トルクが増加方向の場合のばね定数K111と、回転軸が静的状態且つ負荷トルクが減少方向の場合のばね定数K112と、回転軸が動的状態である場合のばね定数K12とがある。
判定部83は回転軸の負荷トルクの時間変化を判定する。選択部84は、複数のばね定数K1の中から、回転軸の負荷トルクの時間変化に応じたばね定数K1を選択する。
【0053】
図7は、本実施形態の記憶部9に記憶されるばね定数情報94の一例を示す図である。
この一例の場合、回転状態とは、回転軸の負荷トルクの時間変化である。回転軸の負荷トルクの時間変化とは、例えば、回転軸の負荷トルクが時間の経過とともに増加する、または減少することをいう。ばね定数K1には、回転軸の負荷トルクの時間変化に応じた複数のばね定数K1がある。同図に示す一例の場合、ばね定数K1には、負荷トルクの時間変化の方向の違いに応じた複数のばね定数K1がある。具体的には、回転軸が静的状態且つ負荷トルクが増加方向の場合のばね定数K111と、回転軸が静的状態且つ負荷トルクが減少方向の場合のばね定数K112と、回転軸が動的状態且つ負荷トルクが増加方向の場合のばね定数K121と、回転軸が動的状態且つ負荷トルクが減少方向の場合のばね定数K122と、がある。
判定部83は回転軸の負荷トルクの時間変化を判定する。選択部84は、複数のばね定数K1の中から、回転軸の負荷トルクの時間変化に応じたばね定数K1を選択する。
【0054】
図8は、本実施形態の記憶部9に記憶されるばね定数情報93の一例を示す図である。
この一例の場合、回転状態とは、回転軸の負荷トルクの時間変化である。回転軸の負荷トルクの時間変化とは、例えば、回転軸の負荷トルクが時間の経過とともに増加する、または減少することをいう。ばね定数K1には、回転軸の負荷トルクの時間変化に応じた複数のばね定数K1がある。同図に示す一例の場合、ばね定数K1には、回転軸の回転の向きの違いと、負荷トルクの時間変化の方向の違いとが組み合わされた6種類のばね定数K1がある。具体的には、回転軸の負荷トルクが増加方向の場合のばね定数K111、K1211およびばね定数K1221と、回転軸の負荷トルクが減少方向の場合のばね定数K112、K1212とばね定数K1222とがある。
ばね定数K1211とは、回転軸が正転方向かつ負荷トルクが増加方向の場合のばね定数K1である。ばね定数K1212とは、回転軸が正転方向かつ負荷トルクが減少方向の場合のばね定数K1である。
ばね定数K1221とは、回転軸が逆転方向かつ負荷トルクが増加方向の場合のばね定数K1である。ばね定数K1222とは、回転軸が逆転方向かつ負荷トルクが減少方向の場合のばね定数K1である。
判定部83は回転軸の負荷トルクの時間変化を判定する。選択部84は、複数のばね定数K1の中から、回転軸の負荷トルクの時間変化に応じたばね定数K1を選択する。
【0055】
なお、同図に示したばね定数K1は一例であって、記憶部9に記憶されるばね定数K1の組み合わせは、これに限られない。例えば、正転と逆転との区別をせずに、回転軸の負荷トルクの時間変化に応じた、ばね定数K1211とばね定数K1212との組み合わせ(または、ばね定数K1221とばね定数K1222との組み合わせ)が記憶部9に記憶されていてもよい。
【0056】
ばね定数K1は、アクチュエータ1が負荷に接続された状態で測定された減速機3の回転変位の程度に基づいて算出されて、記憶部9に記憶される。
すなわち、ばね定数K1は、減速機3(回転力伝達装置)が組み込まれる装置の回転負荷に、出力軸32が接続された状態における、弾性変位の程度に基づいて算出される。
【0057】
なお、演算部8は、入力軸エンコーダ4の温度や出力軸エンコーダ5の温度やモータの温度に基づいて、ばね定数K1を校正してもよい。この場合、演算部8は、エンコーダ温度情報D1に基づいて当該条件を判定する。
エンコーダ温度情報D1は、入力軸エンコーダ4の温度、及び出力軸エンコーダ5の温度のうちいずれか1以上を示す。エンコーダ温度情報D1のうち入力軸エンコーダ4の温度を示す部分は、入力軸エンコーダ4から演算部8に供給される。エンコーダ温度情報D1のうち出力軸エンコーダ5の温度を示す部分は、出力軸エンコーダ5から演算部8に供給される。したがって、エンコーダ温度情報D1は、入力軸エンコーダ4と、出力軸エンコーダ5とのうちいずれか1以上から演算部8に供給される。
【0058】
図3に戻り、回転力算出部85は、選択部84が選択したばね定数K1と、第1取得部81が取得する入力軸エンコーダ4(第1エンコーダ)の出力と、第2取得部82が取得する出力軸エンコーダ5(第2エンコーダ)の出力とに基づいて、減速機3の負荷トルクを算出する。
なお、回転力算出部85は、減速機3の出力軸32の負荷トルクを、例えば回転力センサなどによって直接的に計測しているわけではない。したがって、回転力算出部85は、減速機3の出力軸32の負荷トルクを推定しているといえる。すなわち、回転力算出部85は、出力軸32の負荷トルクの推定値を算出する。以下の説明において、回転力算出部85が、出力軸32の負荷トルクの推定値を算出することを、単に、負荷トルクを算出するともいう。
【0059】
具体的には、回転力算出部85は、入力軸エンコーダ4及び出力軸エンコーダ5から供給される回転角度情報B1を取得する。回転力算出部85は、回転角度情報B1が示す入力軸回転角度θ1及び出力軸回転角度θ2に基づいて、入力軸回転角度θ1と出力軸回転角度θ2との差を、ねじれ角α1として算出する。回転力算出部85は、選択部84が選択したばね定数K1を取得する。
回転力算出部85は、回転角度情報B1が示すねじれ角α1にばね定数K1を乗じることによって負荷トルクを算出する。
回転力算出部85は、算出した負荷トルクの値を示す負荷トルク情報E1を生成する。回転力算出部85は、生成した負荷トルク情報E1を上位装置(例えば、装置300)に出力する。
【0060】
なお、回転力算出部85は、演算部8の電源投入直後など、選択部84がばね定数K1を選択していない状況においては、予め定められたばね定数K1(例えば、回転軸が停止している場合のばね定数K11)に基づいて、減速機3の負荷トルクを算出してもよい。
【0061】
また、回転力算出部85は、選択部84によって選択されたばね定数K1が他のばね定数K1に変更されるまでは、選択済みのばね定数K1を継続的に使用して、減速機3の負荷トルクを算出してもよい。例えば、減速機3が定常回転しており回転状態が変化しない場合には、ばね定数K1が変更されない。この場合、回転力算出部85は、直前に選択されたばね定数K1を継続的に使用して負荷トルクを算出する。
【0062】
[演算部による負荷トルク算出処理の流れ]
図9は、本実施形態に係る負荷トルク算出処理の流れの一例を示す図である。負荷トルク算出処理は、演算部8によって実行される。
【0063】
なお、記憶部9には、減速機3の回転状態にそれぞれ対応する複数のばね定数K1が予め記憶されている。ばね定数K1が記憶部9に記憶されるタイミングは、アクチュエータ1が駆動する前のキャリブレーションの時期であってもよい。キャリブレーションとは、ユーザがアクチュエータ1を装置に組み付けた後、初期設定時にまたは定期的に行う校正のための動作をいう。演算部8は、アクチュエータ1の電源がオンになっている間、自己校正処理を繰り返し実行してもよい。
【0064】
(ステップS10)制御部8は、エンコーダが出力する回転角度情報B1を取得する。具体的には、第1取得部81は、入力軸エンコーダ4の回転角度情報B11を取得する。第1取得部81は、取得した回転角度情報B11を、判定部83に出力する。第2取得部82は、出力軸エンコーダ5の回転角度情報B12を取得する。第2取得部82は、取得した回転角度情報B12を、判定部83に出力する。
【0065】
(ステップS20)判定部83は、減速機3の回転状態を判定する。判定部83による回転状態の判定の一例について説明する。
【0066】
(1)減速機3の静的/動的の判定
判定部83は、回転角度情報B1が示す回転速度と、所定の判定閾値とに基づいて、減速機3が静的か動的かを判定する。
判定閾値は、減速機3の回転が停止しているとみなせる回転数に設定される。例えば、判定閾値は、0.01[rpm]から0.10[rpm]の間に設定される。より好ましくは、判定閾値は、0.06[rpm]に設定される。
【0067】
ここで、判定閾値が0[rpm](つまり、回転数がゼロ)に設定されていないのは、負荷トルクを算出するうえで、減速機3の回転数が十分小さければ停止しているとみなせること、および、減速機3の回転数が十分小さく、停止しているとみなせるにもかかわらず、ノイズなどによる検出誤差によって減速機3が回転していると誤判定されることを避けるためである。
すなわち、本実施形態の制御部8によれば、判定閾値が0[rpm]を超える値に設定されるため、減速機3が停止しているとみなせる状態において減速機3が回転していると誤判定されることを低減することができる。
【0068】
判定部83は、入力軸エンコーダ4が出力する回転角度情報B11(例えば、モータ2の回転数を示す情報)、または、出力軸エンコーダ5が出力する回転角度情報B12(例えば、アクチュエータ1の出力軸の回転数を示す情報)のいずれか一方、あるいは両方に基づいて、減速機3の回転数を算出する。例えば、出力軸エンコーダ5が出力する回転角度情報B12に基づいて判定する場合には、判定部83は、回転角度情報B12が示す出力軸32の回転数と、所定の判定閾値とを比較する。
【0069】
(ステップS31)判定部83は、回転角度情報B1が示す回転速度が、所定の判定閾値が示す回転数未満である場合には、減速機3の回転が静的である(停止している)と判定し(ステップS31;YES)、処理をステップS33に進める。判定部83は、回転角度情報B1が示す回転速度が、所定の判定閾値が示す回転数以上である場合には、減速機3が動的である(回転している)と判定し(ステップS32;NO)、処理をステップS32に進める。
【0070】
(2)減速機3の回転の向きの判定
判定部83は、回転角度情報B1に含まれる回転軸の回転の向きを示す情報に基づいて、減速機3の回転の向きを判定する。すなわち、判定部83は、減速機3が正転しているのか逆転しているのかを判定する。
【0071】
なお、回転角度情報B1に回転軸の回転の向きを示す情報が含まれており、判定部83が、回転角度情報B1に含まれる回転の向きを示す情報に基づいて判定するものとして説明したが、これに限られない。
例えば、判定部83は、取得タイミングが互いに異なる複数の回転角度情報B1を比較することにより、回転軸の回転の向きを判定してもよい。
一例として、判定部83は、減速機3の回転軸(例えば、出力軸32)が静的であると判定している状態において、現在取得した回転角度情報B1と、その直前に取得した回転角度情報B1とを常に比較して、回転軸の変位検出値の増減によって回転軸の回転の向きを判定してもよい。
他の一例として、判定部83は、減速機3の回転軸(例えば、出力軸32)が静的であると判定している状態において、現在取得した回転角度情報B1と、その直前に取得した回転角度情報B1とを比較して、回転軸の瞬間的な負荷トルクの変化方向を算出することによって、回転軸の回転の向きを判定してもよい。
【0072】
(ステップS32)判定部83は、減速機3が正転していると判定した場合(ステップS32;YES)には、処理をステップS34に進める。判定部83は、減速機3が逆転していると判定した場合(ステップS32;NO)には、処理をステップS35に進める。
【0073】
(3)減速機3の負荷トルクの増減の向きの判定
判定部83は、回転角度情報B1に基づいて、減速機3の負荷トルクの増減の向きを判定する。例えば、判定部83は、回転力算出部85が順次算出する負荷トルクの値を取得し、算出タイミングが異なる負荷トルクどうしを比較して負荷トルクの時間変化を算出することにより、負荷トルクが増加しているのか、減少しているのかを判定する。
一例として、回転力算出部85は、直前の回転角度情報B11及び回転角度情報B12の差を第1ねじれ角として算出し、現在の回転角度情報B11及び回転角度情報B12の差を第2ねじれ角として算出する。そして、判定部83は、第1及び第2ねじれ角の変動に基づいて、負荷トルクの増加減方向を判定しても良い。
他の一例として、判定部83は、現在取得した回転角度情報B12と、その直前に取得した回転角度情報B12とを常に比較して、出力軸32の瞬間的な速度方向を判定しても良い。そして、判定部83は、出力軸32の速度方向に基づいて、負荷トルクの増加減方向を判定しても良い。
【0074】
なお、この場合、選択部84は、判定部83による回転状態の判定結果が変化する前後の状態において、変化前の回転状態に対応するばね定数K1(第1ばね定数)から、変化後の回転状態に対応するばね定数K1(第2ばね定数)に、選択するばね定数K1を変更する、ともいえる。
【0075】
(ステップS33)減速機3が静的であると判定された場合において、判定部83は、減速機3の負荷トルクが増加していると判定した場合(ステップS33;YES)には、処理をステップS42に進める。判定部83は、減速機3の負荷トルクが減少していると判定した場合(ステップS33;NO)には、処理をステップS43に進める。
【0076】
(ステップS34)減速機3の回転の向きが正転方向であると判定された場合において、判定部83は、減速機3の負荷トルクが増加していると判定した場合(ステップS34;YES)には、処理をステップS44に進める。判定部83は、減速機3の負荷トルクが減少していると判定した場合(ステップS34;NO)には、処理をステップS45に進める。
【0077】
(ステップS35)減速機3の回転の向きが逆転方向であると判定された場合において、判定部83は、減速機3の負荷トルクが増加していると判定した場合(ステップS35;YES)には、処理をステップS46に進める。判定部83は、減速機3の負荷トルクが減少していると判定した場合(ステップS35;NO)には、処理をステップS47に進める。
【0078】
なお、上述した(1)~(3)の判定の流れは一例であって、これに限られない。例えば、(1)~(3)のいずれかのみを実施してもよく、(1)~(3)を任意に組み合わせて実施してもよい。
【0079】
(ばね定数K1の選択)
選択部84は、ステップS42~ステップS47において、判定部83が判定する回転状態に対応するばね定数K1を選択する。具体的な選択の動作について説明する。
【0080】
(ステップS42)減速機3が静的状態、かつ負荷トルクが増加していると判定された場合、選択部84は、複数のばね定数K1の中から、静的かつ負荷トルクが増加している場合のばね定数K111を選択する。
【0081】
(ステップS43)減速機3が静的状態、かつ負荷トルクが減少していると判定された場合、選択部84は、複数のばね定数K1の中から、静的かつ負荷トルクが減少している場合のばね定数K112を選択する。
【0082】
(ステップS44)減速機3の回転の向きが正転方向であり、かつ負荷トルクが増加していると判定された場合、選択部84は、複数のばね定数K1の中から、正転方向かつ負荷トルクが増加している場合のばね定数K1211を選択する。
【0083】
(ステップS45)減速機3の回転の向きが正転方向であり、かつ負荷トルクが減少していると判定された場合、選択部84は、複数のばね定数K1の中から、正転方向かつ負荷トルクが減少している場合のばね定数K1212を選択する。
【0084】
(ステップS46)減速機3の回転の向きが逆転方向であり、かつ負荷トルクが増加していると判定された場合、選択部84は、複数のばね定数K1の中から、逆転方向かつ負荷トルクが増加している場合のばね定数K1221を選択する。
【0085】
(ステップS47)減速機3の回転の向きが逆転方向であり、かつ負荷トルクが減少していると判定された場合、選択部84は、複数のばね定数K1の中から、逆転方向かつ負荷トルクが減少している場合のばね定数K1222を選択する。
【0086】
(ステップS50)回転力算出部85は、ステップS42~ステップS47において選択部84が選択したばね定数K1と、入力軸エンコーダ4及び出力軸エンコーダ5が出力する回転角度情報B1とに基づいて、負荷トルクを算出する。
(ステップS60)回転力算出部85は、算出した負荷トルクを示す負荷トルク情報E1を上位装置(例えば、装置300)に出力する。
【0087】
なお、減速機3が静的である場合のばね定数K1(例えば、ばね定数K11)のことを「静的ばね定数」ともいう。
また、減速機3が動的である場合のばね定数K1(例えば、ばね定数K1211~ばね定数K1222)のことを「動的ばね定数」ともいう。
【0088】
(ばね定数K1の選択の変形例)
ここまで選択部84は、ステップS42~ステップS47において、いずれか一つのばね定数K1を選択するとして説明したが、これに限られない。選択部84は、複数の種類のばね定数K1を選択して、これらのばね定数K1どうしを補間する新たなばね定数K1を生成してもよい。
例えば、記憶部9には、減速機3の回転速度に応じた複数のばね定数K1が予め記憶されている場合がある。一例として、記憶部9には、減速機3の回転速度が低い場合(例えば、回転数が5[rpm]の場合)のばね定数K1Lと、減速機3の回転速度が高い場合(例えば、回転数が15[rpm]の場合)のばね定数K1Hとが記憶されている。
この場合、選択部84は、減速機3の回転速度が変化することに応じて、低速回転時のばね定数K1Lの選択の重みと、高速回転時のばね定数K1Hの選択の重みとを変化させて(つまり、ばね定数K1のミックスの割合を変化させて)、新たなばね定数K1を生成する。
【0089】
すなわち、選択部84は、判定部83による回転状態の判定結果に基づいて、複数のばね定数K1を合成したばね定数K1を選択するように構成されていてもよい。
【0090】
以上に説明したように、本実施形態に係る回転力算出装置(本実施形態においては演算部8)は、第1取得部81と、第2取得部82と、判定部83と、選択部84と、回転力算出部85とを、その機能部として備える。
第1取得部81は、モータ2によって駆動される回転軸である入力軸31と、入力軸31に連動して回転する回転軸である出力軸32とを備える減速機3(回転力伝達装置)の、入力軸31の回転角度を検出する入力軸エンコーダ4(第1エンコーダ)の出力を取得する。
第2取得部82は、出力軸32の回転角度を検出する出力軸エンコーダ5(第2エンコーダ)の出力を取得する。
判定部83は、第1取得部81が取得する入力軸エンコーダ4(第1エンコーダ)の出力、及び、第2取得部82が取得する出力軸エンコーダ5(第2エンコーダ)の出力の少なくとも一方に基づいて、回転軸の回転状態を判定する。
選択部84は、入力軸31から出力軸32までの回転方向の弾性変位の程度を示すばね定数K1を、回転軸の回転状態ごとに示す複数のばね定数K1の中から、判定部83が判定する回転状態に対応するばね定数K1を選択する。
回転力算出部85は、選択部84が選択したばね定数K1と、第1取得部81が取得する入力軸エンコーダ4(第1エンコーダ)の出力と、第2取得部82が取得する出力軸エンコーダ5(第2エンコーダ)の出力とに基づいて、出力軸32の負荷トルクの推定値を算出する。
【0091】
一般的に、減速機付きアクチュエータの入力側と出力側にエンコーダを取り付けて、いわゆるダブルエンコーダ方式とし、負荷トルクによって減速機がねじれた量を検出し、ばね定数を掛け合わせることで負荷トルクを算出する方法がある。このダブルエンコーダ方式によるトルク検出は、減速機のばね定数によって負荷トルクを算出する。このばね定数は回転状態に応じて変化することがあるため、減速機の回転状態に適したばね定数を使用して負荷トルクを算出することが望ましい。
【0092】
本実施形態に係る演算部8は、上述した構成を備えているため、回転軸の回転状態を判定するとともに、回転状態に対応するばね定数K1を選択して負荷トルクを算出することができる。したがって、本実施形態に係る演算部8によれば、減速機3の回転状態の変化による負荷トルクの誤差を低減することができる。
【0093】
なお、上述した実施形態に係るアクチュエータ1は、ロボット装置(不図示)に備えられて用いられることが好適である。
【0094】
なお、上述した実施形態におけるアクチュエータ1の一部、例えば、演算部8をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、アクチュエータ1に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における演算部8の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。演算部8の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0095】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1…アクチュエータ、2…モータ、3…減速機、4…入力軸エンコーダ、5…出力軸エンコーダ、7…モータ制御部、9…記憶部、8…演算部、T1…第1負荷トルク、31…入力軸、32…出力軸、θ1…入力軸回転角度、θ2…出力軸回転角度、K1…ばね定数
図1
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図9