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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122367
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240902BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/00 502
G03G15/00 303
G03G15/00 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029878
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】川越 克哉
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
【Fターム(参考)】
2H072AA22
2H072AA30
2H072AB19
2H072AB20
2H270KA70
2H270LA28
2H270LC09
2H270LC16
2H270LD05
2H270LD09
2H270LD14
2H270LD15
2H270MA14
2H270MA25
2H270MA34
2H270MB07
2H270MB28
2H270MB29
2H270MB37
2H270MH02
2H270NC01
2H270NC06
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】除湿ヒータを設置することなく、シートの吸湿による画像品質の低下を軽減する。
【解決手段】給紙カセット26にシートPをセットしたときの日時をセット日時として操作者が入力可能な操作表示パネル110と、操作表示パネル110に入力されたセット日時を記憶可能なメモリ93と、が設けられている。さらに、温湿度センサ61によって検知されたセット日時から印刷開始までの温湿度の推移に基づいて、給紙カセット26にセットされたシートPの含水分量を予測する計測・制御処理部92が設けられている。そして、計測・制御処理部92で予測した含水分量に基づいて、給紙カセット26にセットされたシートPに対する印刷条件が定められる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部に向けて給送するシートが収納されるシート収納部と、
画像形成装置本体の内部の温湿度を検知する温湿度検知手段と、
前記シート収納部にシートをセットしたときの日時をセット日時として操作者が入力可能な入力部と、
前記入力部に入力された前記セット日時を記憶可能なメモリと、
前記温湿度検知手段によって検知された前記セット日時から印刷開始までの温湿度の推移に基づいて、前記シート収納部にセットされたシートの含水分量を予測する演算部と、
を備え、
前記演算部で予測した前記含水分量に基づいて、前記シート収納部にセットされたシートに対する印刷条件が定められることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷条件は、印刷時に前記温湿度検知手段によって検知される温湿度に基づいて調整されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記入力部は、前記操作者によって前記シート収納部にセットしたシートの種類を入力可能に構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記演算部で予測した前記含水分量と、前記入力部に入力されたシートの種類と、に基づいて前記印刷条件が定められることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記温湿度の推移と、前記入力部に入力されたシートの種類と、に基づいて前記含水分量を予測することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記操作者によって前記シート収納部にセットしたシートの種類を前記入力部に入力できない場合に、前記印刷条件として予め定められた印刷条件が用いられることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷条件は、前記画像形成部における作像条件、前記画像形成部でシート上に形成された画像を定着するときの定着条件、シートの搬送条件、のうち少なくとも1つの条件であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記温湿度検知手段は、前記シート収納部の近傍に設置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記シート収納部にシートがセットされたことを検知するシートセット検知手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記シート収納部にセットされたシートが包装の開封がされてから所定時間を経過したものであるとき、前記演算部による前記含水分量の予測はおこなわずに、前記シート収納部にセットされたシートに対して予め定められた印刷条件にて印刷がおこなわれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、印刷用のシート(用紙)の吸湿状態によって、シート上に印刷される画像の品質が低下してしまう不具合が広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、特許文献1には、シートの吸湿による画像品質の低下を軽減するために、用紙(シート)が収納される給紙カセット(シート収納部)の近傍に除湿ヒータを設置して、その除湿ヒータを画像形成装置の使用がされていないときにも稼働させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の技術は、画像形成装置の使用がされていないときにも、常に除湿ヒータに電力を供給しなければならないため、画像形成装置としてのトータルの電気消費コストが高くなっていた。
また、除湿ヒータを設置するためのコストやスペースが余分にかかっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、除湿ヒータを設置することなく、シートの吸湿による画像品質の低下を軽減することができる、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における画像形成装置は、画像形成部に向けて給送するシートが収納されるシート収納部と、画像形成装置本体の内部の温湿度を検知する温湿度検知手段と、前記シート収納部にシートをセットしたときの日時をセット日時として操作者が入力可能な入力部と、前記入力部に入力された前記セット日時を記憶可能なメモリと、前記温湿度検知手段によって検知された前記セット日時から印刷開始までの温湿度の推移に基づいて、前記シート収納部にセットされたシートの含水分量を予測する演算部と、を備え、前記演算部で予測した前記含水分量に基づいて、前記シート収納部にセットされたシートに対する印刷条件が定められるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、除湿ヒータを設置することなく、シートの吸湿による画像品質の低下を軽減することができる、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】作像部の一部を拡大して示す構成図である。
図3】中間転写ベルト装置を示す構成図である。
図4】画像形成装置における制御系を示すブロック図である。
図5】給紙カセットへのシートのセットに関する制御の一例を示すフローチャートである。
図6】印刷時の印刷条件を定める制御の一例を示すフローチャートである。
図7図6の制御がおこなわれるときに参照される制御テーブルを示す表図である。
図8】印刷時に用いられる制御テーブルの一例を示す表図である。
図9】2次転写電流と2次転写率との関係を示すグラフである。
図10】相対湿度とシートの含水分量との関係を示すグラフである。
図11】変形例としての、給紙カセットへのシートのセットに関する制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1及び図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部の一部を示す拡大図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、中間転写ベルト装置15が設置されている。また、中間転写ベルト装置15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。これらは、給紙カセット26から給送されたシートPの表面に画像を形成する画像形成部として機能する。
【0011】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Y(感光体)と、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像部5Y、クリーニング部2Y、除電部(不図示)、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0012】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0013】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、モータによって反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。なお、帯電部4Yには、帯電電源63から所定の帯電バイアスが印加される。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像部5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、像担持体としての中間転写ベルト8(ベルト部材)及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0015】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング部2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される(除電工程である。)。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0016】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0017】
ここで、図3を参照して、中間転写ベルト装置15は、ベルト部材としての中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ12A、2次転写対向ローラ80、テンションローラ12B、従動ローラ12C、12D、クリーニング対向ローラ13、中間転写クリーニング部10、2次転写ローラ70、センサユニット40、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材80、12A~12D、13によって張架・支持されるとともに、駆動モータによる1つのローラ部材(駆動ローラ12A)の回転駆動によって図3中の矢印方向に無端移動される。
【0018】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K との間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の極性の転写電圧(1次転写バイアス)が1次転写電源65から印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0019】
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ70との対向位置(画像形成部)に達する。この位置では、2次転写対向ローラ80が、2次転写ローラ70との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップ(画像形成部)の位置に搬送された用紙等のシートP上に2次転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0020】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
ここで、図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設されたシート収納部としての給紙カセット26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙カセット26には、転写紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0022】
レジストローラ対28(タイミングローラ対)の位置に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0023】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。なお、定着装置20は、制御部90によって、定着ベルトを加熱するヒータを制御して、定着温度(シートP上のトナー画像に与える熱量)を調整できるように構成されている。
その後、シートPは、排紙ローラ対によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、図2にて、作像部における現像部5Y(現像装置)の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像部5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
【0025】
このように構成された現像部5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像部5Y内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。
その後、現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤とともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0026】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界(現像電源64によって現像ローラ51に印加される現像バイアスと、感光体ドラム1Y上の潜像電位と、の電位差による電界である。)によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤はスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0027】
次に、図3を用いて、本実施の形態における中間転写ベルト装置15について詳述する。
図3を参照して、中間転写ベルト装置15は、中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ12A、2次転写対向ローラ80、テンションローラ12B、従動ローラ12C、12D、クリーニング対向ローラ13、中間転写クリーニング部10、2次転写ローラ70、等で構成される。
【0028】
中間転写ベルト8は、各色のトナー像をそれぞれ担持する4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向するように配設されている。中間転写ベルト8は、主として6つのローラ部材(駆動ローラ12A、2次転写対向ローラ80、テンションローラ12B、従動ローラ12C、12D、クリーニング対向ローラ13、である。)によって張架・支持されている。
【0029】
1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を介して対応する感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向している。詳しくは、イエロー用の転写ローラ9Yは中間転写ベルト8を介してイエロー用の感光体ドラム1Yに対向し、マゼンタ用の転写ローラ9Mは中間転写ベルト8を介してマゼンタ用の感光体ドラム1Mに対向し、シアン用の転写ローラ9Cは中間転写ベルト8を介してシアン用の感光体ドラム1Cに対向し、ブラック用(黒色用)の転写ローラ9Kは中間転写ベルト8を介してブラック用(黒色用)の感光体ドラム1Kに対向している。
【0030】
駆動ローラ12Aは、制御部90によって制御される駆動モータによって回転駆動される。これにより、中間転写ベルト8は所定の走行方向(図3の時計方向である。)に走行することになる。
テンションローラ12Bは、中間転写ベルト8の外周面に当接している。2つの従動ローラ12C、12Dは、中間転写ベルト8の内周面に当接している。2次転写対向ローラ80とテンションローラ12Bとの間には、中間転写ベルト8を介してクリーニング対向ローラ13に対向するように中間転写クリーニング部10(クリーニングブレード)が設置されている。
図3を参照して、2次転写対向ローラ80は、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ70に当接している。
2次転写ローラ70は、中間転写ベルト8のトナー担持面(外周面)に当接して、シートPが搬送される2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ70は、2次転写電源66から2次転写バイアスが印加される。
【0031】
また、図1を参照して、画像形成装置100の外装部には、画像形成装置100における種々の情報を表示したり種々の指令を入力したりするための操作表示パネル110(入力部)が設置されている。
また、給紙カセット26の近傍には、画像形成装置100の外部から内部に空気を送り込んで装置内を冷やすためのファン60が設けられている。
なお、給紙カセット26の近傍には、その位置(又は、画像形成装置100の内部)の温湿度を検知するための温湿度センサ61や、給紙カセット26にシートPがセットされたか否かを検知するシートセット検知センサ62が設置されているが、これらについては後で詳しく説明する。
【0032】
図4を参照して、本実施の形態における画像形成装置100には、CPU91、演算部としての計測・制御処理部92、メモリ93などからなる制御部90が設けられている。
この制御部90には、温湿度センサ61やシートセット検知センサ62などの各センサによる種々の検知結果が送信される。また、制御部90は、操作表示パネル110に入力された情報が送信されたり、操作表示パネル110に表示する情報を送信したりする。
また、制御部90は、1次転写電源63、2次転写電源66、帯電電源63、現像電源64などの各電源のオン・オフ制御や出力調整制御をおこなったり、定着装置20(ヒータ電源)、ファン60などのオン・オフ制御をおこなったり、搬送駆動部69などの各駆動部材の駆動制御をおこなったりする。
なお、搬送駆動部69はシートPの搬送するためのものであって、制御部90による制御によってシートPの搬送速度(搬送ローラ対などの回転数)を調整できるように構成されている。
【0033】
以下、本実施の形態において特徴的な、画像形成装置100の構成・動作について詳述する。
先に図1図4等を用いて説明したように、本実施の形態における画像形成装置100には、シート収納部としての給紙カセット26や、温湿度検知手段としての温湿度センサ61や、入力部としての操作表示パネル110や、シートセット検知手段としてのシートセット検知センサ62、などが設置されている。
【0034】
給紙カセット26は、画像形成部(2次転写ニップ)に向けて給送するシートPが収納されるシート収納部として機能するものである。
給紙カセット26は、画像形成装置本体100に対して引出し可能に設置されている。そして、ユーザーなどの操作者は、画像形成装置本体100から給紙カセット26を引出した状態で、シートPが空になった状態(又は、シートPが少なくなった状態)の給紙カセット26にシートPを補充することになる。そして、補充後の給紙カセット26を画像形成装置本体100に押し込んで、印刷をおこなうことになる。
【0035】
温湿度センサ61は、画像形成装置本体100の内部の温湿度を検知する温湿度検知手段として機能するものである。
特に、本実施の形態では、図1に示すように、温湿度センサ61(温湿度検知手段)が、給紙カセット26(シート収納部)の近傍(上方である。)に設置されている。そのため、画像形成装置本体100の内部(特に、給紙カセット26にセットされたシートPの周囲である。)の温湿度が、温湿度センサ61によって検知されることになる。
そして、温湿度センサ61によって検知された温湿度の検知結果は、制御部90の計測・制御処理部92(演算部)に送られて、そこで絶対湿度に換算されることになる。
【0036】
シートセット検知センサ62は、給紙カセット26(シート収納部)にシートPがセット(補充)されたことを検知するシートセット検知手段をとして機能する。
シートセット検知センサ62としては、例えば、給紙カセット26内において、複数の反射型フォトセンサを高さ方向(シートPが積載される方向)に並設したものを用いることができる。そして、給紙カセット26が画像形成装置本体100から引出される前後の最上方のシートPの高さ位置を比較することで、給紙カセット26にシートPがセット(補充)されたか否かを検知する。換言すると、シートセット検知センサ62は、給紙カセット26内のシート量(シート高さ)を検知していることになる。
【0037】
ここで、操作表示パネル110は、先に図1を用いて説明したように種々の情報を表示したり種々の操作をおこなったりためのものであるが、本実施の形態では、給紙カセット26(シート収納部)にシートPをセットしたときの日時を「セット日時」として操作者(ユーザー)が入力可能な入力部としても機能する。
具体的に、シートセット検知センサ62によって給紙カセット26へのシートPのセットが検知されると、操作表示パネル110の画面に、セット日時を入力(登録)するか否かを確認する表示がされることになる。なお、その後に操作者がおこなう操作手順などについては、後で詳しく説明する。
【0038】
また、制御部90のメモリ93は、操作表示パネル110(入力部)に入力された「セット日時」を記憶可能に構成されている。
さらに、制御部90の計測・制御処理部92(演算部)は、温湿度センサ61(温湿度検知手段)によって検知された温湿度の推移(セット日時から印刷開始までの温湿度の推移である。)に基づいて、給紙カセット26(シート収納部)にセットされたシートPの含水分量を予測(演算)する。
例えば、給紙カセット26にシートPを補充したセット日時が2月19日の15時で、実際にそのシートPを用いた印刷の開始が2月21日の15時であったとすると、その間の2日(48時間)分の温湿度の推移(データとしてメモリ93に記憶されている。)に基づいて、シートPの含水分量が求められることになる。
【0039】
そして、計測・制御処理部92(演算部)で予測したシートPの含水分量に基づいて、給紙カセット26(シート収納部)にセットされたシートPに対する印刷条件が定められる。
すなわち、本実施の形態では、画像形成装置100が長い時間使用されず(印刷がされず)に放置されて、その間に温湿度環境が変化しても、その間の変化(温度推移)を把握して、その把握した結果に基づいて給紙カセット26内のシートPの吸湿状態(含水分量)を予測して、最適な印刷条件を定めている。そして、その最適な印刷条件で、印刷を開始している。
なお、シートPが高温高湿環境で長く放置されて含水分量が多い場合であっても、低温低湿環境で長く放置されて含水分量が少ない場合であっても、常温常湿時の標準的な印刷条件では、印刷画像に異常画像が発生してしまう。
【0040】
そして、本実施の形態における画像形成装置100は、給紙カセット26内のシートPの吸湿を軽減するため(含水分量を一定に維持するため)の除湿ヒータは設けられていいない。
そのため、本実施の形態における画像形成装置100は、除湿ヒータを設置することなく、シートPの含水分量による画像品質の低下を軽減することができる。
【0041】
ここで、上述した「印刷条件」は、画像形成部における作像条件、画像形成部でシートP上に形成された画像を定着するときの定着条件、シートPの搬送条件、のうち少なくとも1つの条件である。
作像条件としては、現像電源64から現像ローラ51Yに印加する現像バイアスや、帯電電源63から帯電部4Yに印加する帯電バイアスや、1次転写電源65から1次転写ローラ9Yに印加する1次転写バイアスや、2次転写電源66から2次転写ローラ70に印加する2次転写バイアス、などがある。そして、例えば、シートP上の画像濃度が薄くなるようなシート含水分量であると予測された場合に、現像電源64や帯電電源63の出力を調整して画像形成部における画像濃度が濃くなるようにしたり、1次転写電源65や2次転写電源66の出力を調整して画像形成部からの転写率を大きくしたり、することになる。
また、定着条件としては、定着装置20におけるヒータなどの加熱手段の出力調整などであって、例えば、シートP上の画像濃度が薄くなるようなシート含水分量であると予測された場合に、定着画像の濃度が濃くなるように定着温度を高くすることになる。
また、搬送条件としては、シートPの搬送速度(搬送駆動部69)の調整であって、例えば、シートP上の画像濃度が薄くなるようなシート含水分量であると予測された場合に、転写画像や定着画像の濃度が濃くなるようにシート搬送速度を遅くすることになる。
なお、本実施の形態において、印刷条件としてファン60の駆動条件を加えることもできる。例えば、シートP上の画像濃度が薄くなるようなシート含水分量であると予測された場合に、画像濃度が濃くなるようにファン60の稼働率を高めることになる。
【0042】
ここで、本実施の形態において、上述した「印刷条件」は、印刷時に温湿度センサ61(温湿度検知手段)によって検知される温湿度に基づいて調整されるように制御している。
すなわち、印刷開始するときに印刷条件を定める根拠となったシートPの含水分量が、その後の印刷時の温湿度によって変化するような場合には、その変化した温湿度に基づいて印刷条件を微調整して最適化している。
これにより、シートPの含水分量による画像品質の低下をさらに軽減することができる。
【0043】
また、本実施の形態における操作表示パネル110(入力部)は、操作者(ユーザー)によって給紙カセット26(シート収納部)にセットしたシートPの種類(メーカー、商品名、などである。)を入力可能に構成されている。
具体的に、シートPは、その種類によって特性が異なり、最適な印刷条件も異なる。そのため、メモリ93には、複数種のシートPや、それぞれの最適な印刷条件に関する情報などが予め記憶されている。そして、操作者によって給紙カセット26にセットしたシートPのセット時間が入力(登録)されると、操作表示パネル110の画面に、そのシートPの種類を入力(登録)するか否かを確認する表示がされることになる。
そして、シートPの種類が入力されると、計測・制御処理部92(演算部)で予測したシートPの含水分量と、操作表示パネル110(入力部)に入力されたシートPの種類と、に基づいて最適な印刷条件が定められることになる。
なお、このような印刷条件の定め方に代わって、計測・制御処理部92(演算部)で、放置期間中の温湿度の推移と、操作表示パネル110(入力部)に入力されたシートPの種類と、に基づいてシートPの含水分量を予測することもできる。そのような場合、その予測した含水分量に基づいて、最適な印刷条件が定められることになる。
【0044】
また、操作者が入力しようとするシートPの種類が操作表示パネル110に表示されない場合(メモリ93に記憶されていない場合)には、そのシートPの種類が登録外である旨を表示して、予め定められた標準的な印刷条件での印刷が開始されることになる。
すなわち、操作者によって給紙カセット26(シート収納部)にセットしたシートPの種類を操作表示パネル110(入力部)に入力できない場合には、印刷条件として予め定められた印刷条件が用いられることになる。
【0045】
以下、図5のフローチャートを用いて、給紙カセット26へのシートPのセットに関する制御の一例について説明する。
図5に示すように、まず、シートセット検知センサ62の検知結果に基づいて給紙カセット26にシートPの補充がされたことが把握されると、そのシートPのセット日時を登録(入力)するかを確認する表示が操作表示パネル110にされる(ステップS1、S2)。そして、操作者(ユーザー)によってシートPのセット日時の登録をおこなう選択がされて、その登録が確認されると、シートPの種類を登録するかが操作表示パネル110に表示される(ステップS3~S5)。そして、操作者によってシートPの種類の登録をおこなう選択がされて、その登録が確認されると、そのシートPの種類に合った印刷条件を定めるべく、本フローが終了される(ステップS6、S7)。
これに対して、ステップS3で、シートPのセット日時を登録しない選択がされた場合には、ステップS5以降のフローがおこなわれる。
また、ステップS5で、シートPの種類の登録をおこなわない選択がされた場合には、標準的な印刷条件を定めるべく、本フローが終了される。
【0046】
以下、図6のフローチャートと、図7図8の制御テーブルと、を用いて、印刷時の印刷条件を定める制御の一例について説明する。
まず、印刷開始されるときに、複数の給紙カセットのうち、印刷をおこなう給紙カセットが特定される(ステップS10)。なお、このステップS1は給紙カセットが複数設置されている場合のものであって、本実施の形態では、給紙カセット26が1つだけしか設置されていないため、このステップS1は省かれる。
そして、給紙カセット26において、図5のステップS5~S7で登録されたシートPの種類の情報が読み取られる(ステップS11)。
その後、給紙カセット26において、図5のステップS3、S4で登録されたシートPのセット日時の情報と、それに基づいてメモリ93に随時更新されてきた温湿度の推移データと、が読取られる(ステップS12)。すなわち、セット時間からの経過時間と、温湿度の推移と、が計測・制御処理部92に読み取られる。そして、ステップS12で読取られたデータに基づいて、計測・制御処理部92でシートPの含水分量が予測(算出)される(ステップS13)。
そして、ステップS13で求めたシートPの含水分量に基づいて、図7に示す制御テーブルが照合されて、最適な印刷条件(制御値テーブル)が選択される(ステップS14)。このとき、ステップS11で読取られたシートPの種類も合わせて制御テーブルに照合される。例えば、図7の制御テーブルと照合した結果、シートPの含水分量が「W1」であって、シートPの種類が「シート1」であるとき、印刷条件(制御値テーブル)として「テーブル1A」が選択される。なお、図7において「シート含水分量予測値」として記載した「W1」~「W4」の下方の記載(絶対湿度や時間などに関する記載)は、上述した「シート含水分量予測値」を割り出したときの条件を参考として記したものである。
そして、ステップS14で選択された印刷条件(制御値テーブル)に格納されたデータに基づいて、印刷条件(印刷時制御値)が決定(調整)される(ステップS15)。具体的に、先の例では、「テーブル1A」に基づいて、印刷開始時における作像条件、定着条件、搬送条件などが調整されることになる。
そして、調整された印刷条件に基づいて印刷(シート搬送や作像プロセスなど)が開始される(ステップS16)。
【0047】
なお、本実施の形態では、ステップS16において、ステップS14、15で選択、決定した印刷条件で印刷開始した後も、温湿度センサ61によって画像形成装置100内(特に、給紙カセット26の近傍である。)の温湿度を検知して、その検知結果に基づいて求めた絶対湿度Tによって印刷条件をさらに最適化している。
具体的に、先の例では、「テーブル1A」に基づいて印刷を開始した後に、図8に示すような制御テーブルに基づいて印刷条件(作像条件、定着条件、搬送条件)を微調整している。例えば、図8において、印刷時の絶対湿度TがT0以下であることが検知された場合、「テーブル1A」における作像条件をX1として、定着条件をY1として、搬送条件をZ1としている。
なお、上述した印刷開始後の印刷条件の微調整としては、例えば、印刷開始時に温度推移に基づいて求めた温湿度推移のデータに、印刷開始後に検知した温湿度推移のデータを加えて予測した含水分量に基づいておこなうこともできるし、印刷開始後に検知した温湿度データに基づいて印刷条件に補正係数を掛け合わせたり補正値を加えたりしておこなうこともできる。
【0048】
ここで、補足的な説明として、図9を用いて、シートPの含水分量が異なるときの、2次転写電流と2次転写率との関係について説明する。
図9に示すように、含水分量が低いシートP(例えば、低温低湿での放置時間が長かったものである。)は、グラフQ1に示すように、比較的低い2次転写電流値で2次転写率がピークになる。これに対して、含水分量が高いシートP(例えば、高温高湿での放置時間が長かったものである。)は、グラフQ2に示すように、比較的高い2次転写電流値で2次転写率がピークになる。そのため、シートPの含水分量に応じて、最適な2次転写電流値を設定する必要がある。
具体的に、例えば、高温高湿での放置等で含水分量が高くなった場合、2次転写工程時に2次転写電流を低く設定しまうと、2次転写率が低くなってしまい、画像濃度が薄くなったり、ムラとなったりしてしまう。
【0049】
さらに、補足的な説明として、図10を用いて、温湿度センサ61の検知結果に基づいてシートPの含水分量を求めるときの具体例について説明する。
シートPの含水分量の予測値は、シートPの種類ごとの実験データや計算値と、温湿度センサ61で検知される温湿度の変化の履歴と、により求める。
例えば、図10に示すようなデータが温度条件毎に予めメモリ93に記憶(入力)されている。図10の例では、シートPがセットされた直後から高湿になった履歴がなく、印刷時の温湿度が30℃60%の場合の含水分量の予測値R1と、高湿になった後に温湿度が30℃60%になった場合の含水分量の予測値R2と、は異なることになる。
そして、シートPの種類毎、温度毎の湿度と含水分量との関係データにより、印刷時のシートの含水分量が求められる。そして、シートの含水分量、シートの種類、印刷時の温湿度、により最適な印刷条件が求められて、その印刷条件にて印刷がおこなわれることになる。
【0050】
<変形例>
図11にて、変形例としての、給紙カセットへのシートのセットに関する制御について説明する。
図11を参照して、変形例1における画像形成装置100では、給紙カセット26(シート収納部)にセットされたシートPが包装(250枚程度のまとまった枚数のシートPを覆う包装である。)の開封がされてから所定時間を経過したものであるとき、計測・制御処理部92(演算部)によるシートPの含水分量の予測はおこなわずに、給紙カセットPにセットされたシートPに対して予め定められた印刷条件にて印刷がおこなわれる。
具体的に、図11のフローチャートに示すように、図5で説明したものと異なり、ステップS3でシートPのセット日時の登録を操作者が選択された場合、本実施例では、さらにセットされるシートPが開封直後のものか(開封後に所定時間が経過していないか)が判別される(ステップS20)。この判別は、セットしたシートPが開封直後のものであるかを、ユーザーに操作表示パネル110に入力してもらい、その入力結果に基づいておこなうものである。
その結果、セットしたシートPが開封直後のものである場合には、図5のもののようにステップ4以降のフローがおこなわれる。これに対して、セットしたシートPが開封直後のものでない場合には、セットされるシートPの含水分量が不明であって、その後に予測する含水分量に狂いが生じる可能性があるものとして、そのまま本フローを終了する(含水分量の予測はしない)。
このような制御をおこなうことで、給紙カセット26にセットされたシートPの経時における含水分量を精度よく予測することができて、シートの吸湿(含水分量)による画像品質の低下を軽減することができる。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置100は、画像形成部に向けて給送するシートPが収納される給紙カセット26(シート収納部)と、画像形成装置本体100の内部の温湿度を検知する温湿度センサ61(温湿度検知手段)と、が設けられている。また、給紙カセット26にシートPをセットしたときの日時をセット日時として操作者が入力可能な操作表示パネル110(入力部)と、操作表示パネル110に入力されたセット日時を記憶可能なメモリ93と、が設けられている。さらに、温湿度センサ61によって検知されたセット日時から印刷開始までの温湿度の推移に基づいて、給紙カセット26にセットされたシートPの含水分量を予測する計測・制御処理部92(演算部)が設けられている。そして、計測・制御処理部92で予測した含水分量に基づいて、給紙カセット26にセットされたシートPに対する印刷条件が定められる。
これにより、除湿ヒータを設置することなく、シートPの吸湿(含水分量)による画像品質の低下を軽減することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、カラーの画像形成装置100に対して本発明を適用したが、モノクロの画像形成装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置100に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷機などである。)に対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0054】
なお、本願明細書等において、「シート」とは、通常の用紙(紙)の他に、コート紙、ラベル紙、OHPシート等のシート状の記録媒体のすべてを含むものと定義する。
【符号の説明】
【0055】
15 中間転写ベルト装置(画像形成部)、
20 定着装置、
26 給紙カセット(シート収納部)、
61 温湿度センサ(温湿度検知手段)、
62 シートセット検知センサ(シートセット検知手段)、
70 2次転写ローラ(画像形成部)、
90 制御部、
92 計測・制御処理部(演算部)、
93 メモリ、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
110 操作表示パネル(入力部)、
P シート。
【0056】
なお、本発明における態様は、例えば、以下の通り付記1~10の組み合わせとすることもできる。
(付記1)
画像形成部に向けて給送するシートが収納されるシート収納部と、
画像形成装置本体の内部の温湿度を検知する温湿度検知手段と、
前記シート収納部にシートをセットしたときの日時をセット日時として操作者が入力可能な入力部と、
前記入力部に入力された前記セット日時を記憶可能なメモリと、
前記温湿度検知手段によって検知された前記セット日時から印刷開始までの温湿度の推移に基づいて、前記シート収納部にセットされたシートの含水分量を予測する演算部と、
を備え、
前記演算部で予測した前記含水分量に基づいて、前記シート収納部にセットされたシートに対する印刷条件が定められることを特徴とする画像形成装置。
(付記2)
前記印刷条件は、印刷時に前記温湿度検知手段によって検知される温湿度に基づいて調整されることを特徴とする付記1に記載の画像形成装置。
(付記3)
前記入力部は、前記操作者によって前記シート収納部にセットしたシートの種類を入力可能に構成されたことを特徴とする付記1又は付記2に記載の画像形成装置。
(付記4)
前記演算部で予測した前記含水分量と、前記入力部に入力されたシートの種類と、に基づいて前記印刷条件が定められることを特徴とする付記3に記載の画像形成装置。
(付記5)
前記演算部は、前記温湿度の推移と、前記入力部に入力されたシートの種類と、に基づいて前記含水分量を予測することを特徴とする付記3又は付記4に記載の画像形成装置。
(付記6)
前記操作者によって前記シート収納部にセットしたシートの種類を前記入力部に入力できない場合に、前記印刷条件として予め定められた印刷条件が用いられることを特徴とする付記3~付記5のいずれかに記載の画像形成装置。
(付記7)
前記印刷条件は、前記画像形成部における作像条件、前記画像形成部でシート上に形成された画像を定着するときの定着条件、シートの搬送条件、のうち少なくとも1つの条件であることを特徴とする付記1~付記6のいずれかに記載の画像形成装置。
(付記8)
前記温湿度検知手段は、前記シート収納部の近傍に設置されたことを特徴とする付記1~付記7のいずれかに記載の画像形成装置。
(付記9)
前記シート収納部にシートがセットされたことを検知するシートセット検知手段を備えたことを特徴とする付記1~付記8のいずれかに記載の画像形成装置。
(付記10)
前記シート収納部にセットされたシートが包装の開封がされてから所定時間を経過したものであるとき、前記演算部による前記含水分量の予測はおこなわずに、前記シート収納部にセットされたシートに対して予め定められた印刷条件にて印刷がおこなわれることを特徴とする付記1~付記9のいずれかに記載の画像形成装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開2009-75153号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11