(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122546
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ブレ補正装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20240902BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240902BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030140
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】松下 周平
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雄大
(72)【発明者】
【氏名】阿部 卓朗
(72)【発明者】
【氏名】赤石 陽太
(72)【発明者】
【氏名】粟津 亘平
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005AA01
2K005CA02
2K005CA14
2K005CA24
2K005CA34
2K005CA40
2K005CA44
2K005CA53
5C122EA41
5C122EA54
5C122FB04
5C122GE11
5C122GE19
5C122HA75
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】薄型化が可能なブレ補正装置及び撮像装置を提供する。
【解決手段】ブレ補正装置100は、撮像素子16のブレ補正を行うブレ補正装置100において、撮像素子16とアクチュエータ103a~103cのコイルとを備え、光軸に交差する平面内で移動可能に構成される可動部101と、アクチュエータ103a~103cのマグネット103a~103cとヨークとを備える固定部111と、撮像素子16及び/又はコイルに接続される可撓性基板と、を備え、可撓性基板は、屈曲した第1の屈曲部及び第2の屈曲部を有し、第1の屈曲部及び第2の屈曲部の開口部を対向させ、互いに重複する領域で固定して第1のユニット105aを形成して配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子のブレ補正を行うブレ補正装置において、
前記撮像素子とアクチュエータのコイルとを備え、光軸に交差する平面内で移動可能に構成される可動部と、
前記アクチュエータのマグネットとヨークとを備える固定部と、
前記撮像素子及び/又は前記コイルに接続される可撓性基板と、を備え、
前記可撓性基板は、屈曲した第1の屈曲部及び第2の屈曲部を有し、前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部の開口部を対向させ、互いに重複する領域で固定して第1のユニットを形成して配置される、
ブレ補正装置。
【請求項2】
前記第1のユニットは、2つの前記重複する領域を有し、一方の前記重複する領域では前記第1の屈曲部の前記開口部が外側であり、他方の前記重複する領域では前記第2の屈曲部の前記開口部が外側である請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項3】
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部の幅又は前記第2の屈曲部の幅以上の長さで重複している請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項4】
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において間隔を有して固定されている請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項5】
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部との間に金属部材が配置されて固定されている請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項6】
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部との間には樹脂部材が配置されて固定されている請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項7】
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部との間に電磁ノイズ抑制部材が配置されて固定されている請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項8】
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部のノイズ源ラインと前記第2の屈曲部のノイズ感度の高い被ノイズラインとは、離れて配置されている請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項9】
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部のデジタル電源ラインと前記第2の屈曲部のアナログ電源ラインとは、離れて配置されている請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項10】
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部の金属配線と前記第2の屈曲部のインピーダンスを整合する高速通信用の信号ラインとは、離れて配置されている請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項11】
前記第1のユニットは、前記撮像素子の撮像面と交差する前記可動部の面に配置される請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項12】
前記可撓性基板は、屈曲した第3の屈曲部及び第4の屈曲部を有し、前記第3の屈曲部及び前記第4の屈曲部の開口部を対向させ、互いに重複する領域で固定して第2のユニットを形成して配置される、請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項13】
前記第1のユニット及び前記第2のユニットは、前記撮像素子の撮像面と交差する前記可動部の面に配置され、前記可動部の重心に対して回転モーメントを互いに打ち消す位置に配置される請求項12に記載のブレ補正装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のブレ補正装置を備えた、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレ補正装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像素子(イメージセンサ)に手ブレ等に起因したブレを抑制するブレ補正装置を取り付けたカメラの技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、撮像素子を保持するスライダ(可動部)、スライダを光軸と直交する2次元方向に変位可能に保持する固定部、及び撮像素子などのデバイスに接続するフレキシブルプリント基板を有するブレ補正装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の技術にかかる一つの実施形態は、薄型化が可能なブレ補正装置及び撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様であるブレ補正装置は、撮像素子のブレ補正を行うブレ補正装置において、撮像素子とアクチュエータのコイルとを備え、光軸に交差する平面内で移動可能に構成される可動部と、アクチュエータのマグネットとヨークとを備える固定部と、撮像素子及び/又はコイルに接続される可撓性基板と、を備え、可撓性基板は、屈曲した第1の屈曲部及び第2の屈曲部を有し、第1の屈曲部及び第2の屈曲部の開口部を対向させ、互いに重複する領域で固定して第1のユニットを形成して配置される。
【0007】
本発明の第2の態様であるブレ補正装置は、好ましくは第1の態様において、第1のユニットは、2つの重複する領域を有し、一方の重複する領域では第1の屈曲部の開口部が外側であり、他方の重複する領域では第2の屈曲部の開口部が外側である。
【0008】
本発明の第3の態様であるブレ補正装置は、好ましくは第1の態様において、第1の屈曲部及び第2の屈曲部は、重複する領域において、第1の屈曲部の幅又は第2の屈曲部の幅以上の長さで重複している。
【0009】
本発明の第4の態様であるブレ補正装置は、好ましくは第1の態様において、第1の屈曲部及び第2の屈曲部は、重複する領域において間隔を有して固定されている。
【0010】
本発明の第5の態様であるブレ補正装置は、好ましくは第1の態様において、第1の屈曲部及び第2の屈曲部は、重複する領域において、第1の屈曲部と第2の屈曲部との間に金属部材が配置されて固定されている。
【0011】
本発明の第6の態様であるブレ補正装置は、好ましくは第1の態様において、第1の屈曲部及び第2の屈曲部は、重複する領域において、第1の屈曲部と第2の屈曲部との間には樹脂部材が配置されて固定されている。
【0012】
本発明の第7の態様であるブレ補正装置は、好ましくは第1の態様において、第1の屈曲部及び第2の屈曲部は、重複する領域において、第1の屈曲部と第2の屈曲部との間に電磁ノイズ抑制部材が配置されて固定されている。
【0013】
本発明の第8の態様であるブレ補正装置は、好ましくは第1の態様において、第1の屈曲部及び第2の屈曲部は、重複する領域において、第1の屈曲部のノイズ源ラインと第2の屈曲部のノイズ感度の高い被ノイズラインとは、離れて配置されている。
【0014】
本発明の第9の態様であるブレ補正装置は、好ましくは第1の態様において、第1の屈曲部及び第2の屈曲部は、重複する領域において、第1の屈曲部のデジタル電源ラインと第2の屈曲部のアナログ電源ラインとは、離れて配置されている。
【0015】
本発明の第10の態様であるブレ補正装置は、好ましくは第1の態様において、第1の屈曲部及び第2の屈曲部は、重複する領域において、第1の屈曲部の金属配線と第2の屈曲部のインピーダンスを整合する高速通信用の信号ラインとは、離れて配置されている。
【0016】
本発明の第11の態様であるブレ補正装置は、好ましくは第1の態様において、第1のユニットは、撮像素子の撮像面と交差する可動部の面に配置される。
【0017】
本発明の第12の態様であるブレ補正装置は、好ましくは第1の態様において、可撓性基板は、屈曲した第3の屈曲部及び第4の屈曲部を有し、第3の屈曲部及び第4の屈曲部の開口部を対向させ、互いに重複する領域で固定して第2のユニットを形成して配置される。
【0018】
本発明の第13の態様であるブレ補正装置は、好ましくは第12の態様において、第1のユニット及び第2のユニットは、撮像素子の撮像面と交差する可動部の面に配置され、可動部の重心に対して回転モーメントを互いに打ち消す位置に配置される。
【0019】
本発明の第14の態様である撮像装置は、好ましくは第1~13の態様のブレ補正装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明のブレ補正装置を搭載する撮像装置の内部の概略図である。
【
図2】
図2は、撮像装置の内部構成の実施形態を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3で示された楕円形FPCユニットの拡大図である。
【
図5】
図5は、楕円形FPCユニットを示す模式図である。
【
図6】
図6は、可動部の重心Gにおける回転モーメントのつり合いに関して説明する図である。
【
図7】
図7は、楕円形FPCユニットの配置の変形例に関して説明する図である。
【
図8】
図8は、楕円形FPCユニットの変形例を説明する図である。
【
図9】
図9は、重複領域の実施形態1を説明する図である。
【
図10】
図10は、重複領域の実施形態2を説明する図である。
【
図11】
図11は、重複領域の実施形態3を説明する図である。
【
図12】
図12は、重複領域の実施形態4を説明する図である。
【
図13】
図13は、重複領域の実施形態5を説明する図である。
【
図14】
図14は、重複領域の実施形態6を説明する図である。
【
図15】
図15は、重複領域の実施形態7を説明する図である。
【
図20】
図20は、従来技術におけるブレ補正装置の背面斜視図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
先ず、本発明に至った経緯を説明する。
【0022】
従来では、カメラのレンズ装置部分に手ブレ補正機能を持たせたOIS(Optical Image Stabilization)を有するカメラが主流であった。しかしながら、近年は、カメラの性能が高くなったことや、カメラのサイズの小型化を目的として、撮像素子を駆動して補正するボディ内手振れ補正(BIS(Body Image Stabilization))を搭載するカメラが増えてきている。また、撮像素子は大型化しており、撮像素子を駆動させるためのアクチュエータの配置や、撮像素子からの信号線をメイン基板に接続するためのFPC(Flexible printed circuits)(可撓性基板)の引き回しを工夫してBISの装置の小型化が図られている。
【0023】
図20は、従来技術におけるブレ補正装置の背面斜視図を示す図である。
【0024】
従来の、BISのブレ補正装置500は、図示するように、光軸方向(ここでは、ブレ補正装置500を搭載するカメラの光学系の光軸を意味し、図ではZ軸方向で示す)の裏面にFPC(Flexible printed circuits)(可撓性基板)501を引き回している。このように、ブレ補正装置500の光軸方向の裏面にFPC501を引き回す場合には、ブレ補正装置500の光軸方向に厚みが大きくなってしまう。これは、ブレ補正装置500の駆動時にFPC501の反力が大きくなり、大型のアクチュエータが必要となることを防ぐために、FPC501の屈曲Rを一定値以上の大きさにして反力を小さくする必要があるためである。そして、このようにブレ補正装置500の光軸方向に厚みが大きくなってしまうと、ブレ補正装置500を搭載するカメラの薄型化への障害となってしまうことがある。
【0025】
以下で説明する本発明は、ブレ補正装置の光軸方向への薄型化を可能とし、ブレ補正装置を搭載する撮像装置においても薄型化を可能とした。
【0026】
添付図面にしたがって本発明にかかるブレ補正装置及び撮像装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0027】
<撮像装置>
手ブレなどのブレにより、得られる画像における像ブレを抑制するブレ補正装置(BIS)を搭載する撮像装置に関して説明する。
【0028】
図1は、本発明のブレ補正装置100を搭載する撮像装置10の内部の概略図である。
【0029】
撮像装置10は、レンズ交換式のカメラであり、撮像装置本体2にアダプタ6を介して、撮影レンズ装置12を装着する。撮影レンズ装置12は、絞り8、レンズ群12A及び12Bを備える。光軸Lを有する撮影レンズ装置12は、被写体1で反射した光を結像させる。撮像装置本体2は接眼部4を備え、撮影者は、被写体1を撮影する場合には、接眼部4に接眼して被写体1の撮影を行う。
【0030】
撮像素子16は、撮像装置本体2の光軸Lに垂直に交わる2つの方向(X方向とY方向)とで構成される平面(X-Y平面)に沿って受光面(撮像面)が配置されている。撮像素子16は、ブレ補正装置100に保持されている。また、ブレ補正装置100に含まれる駆動部58が制御部40に制御されることにより、ブレ補正機能が実現される。なお、制御部40は、FPCにより撮像素子16、駆動部58に接続されており、電気的な信号を送受信している。
【0031】
図2は、撮像装置10の内部構成の実施形態を示すブロック図である。この撮像装置10は、撮像した画像をメモリカード54に記録するもので、装置全体の動作は、制御部40(中央処理装置:CPU:Central Processing Unit)によって統括制御される。
【0032】
撮像装置10には、シャッタボタン、電源/モードスイッチ、モードダイヤル、十字操作ボタン、等の操作部38が設けられている。この操作部38からの信号(指令)は制御部40に入力され、制御部40は入力信号に基づいて撮像装置10の各回路を制御し、撮像素子16の駆動制御、レンズ駆動制御、絞り駆動制御、撮像動作制御、画像処理制御、画像データの記録/再生制御、及び、画像モニタ30の表示制御などを行う。
【0033】
撮影レンズ装置12を通過した光束は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型のカラーイメージセンサである撮像素子16に結像される。なお、撮像素子16は、CMOS型に限らず、CCD(Charge Coupled Device)型、又は有機撮像素子など他の形式のイメージセンサが用いられてもよい。
【0034】
撮像素子16は、多数の受光素子(例えばフォトダイオード)が2次元配列されており、各受光素子の受光面に結像された被写体像は、その入射光量に応じた量の信号電圧(又は電荷)に変換(光電変換)され、撮像素子16内のA/D(Analog/Digital)変換器を介してデジタル信号に変換されて出力される。
【0035】
動画又は静止画の撮影時に撮像素子16から読み出された画像信号(画像データ)は、画像入力コントローラ22を介してメモリ(SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory))48に一時的に記憶される。
【0036】
また、フラッシュメモリ(Flash Memory)47は、カメラ制御プログラム、画像処理等に使用する各種のパラメータやテーブルが記憶されている。
【0037】
ブレセンサ66は、撮像装置10の姿勢情報及び姿勢変化情報を検出する。ブレセンサ66は、例えばジャイロセンサで構成される。ブレセンサ66は、縦方向の手振れ量と横方向の手振れ量を検出するために例えば2つのジャイロセンサで構成され、検出された手振れ量(角速度)は制御部40に入力される。また、ブレセンサ66は、後で説明するホールセンサを含む。制御部40は、ホールセンサにより、可動部101の移動量を取得して、その移動量に応じて駆動部58を制御する。すなわち、制御部40は、駆動部58を制御して、手振れに応じた被写体像の移動をキャンセルするように撮像素子16を移動させる。これにより、ブレ補正装置100におけるブレ補正が行われる。
【0038】
駆動部58は、制御部40からの電気信号(駆動信号)により可動部101を移動させるアクチュエータにより構成される。アクチュエータの具体例として、ボイスコイルモータ(Voice Coil Motor)103a~103c(
図3参照)が挙げられる。駆動部58は、制御部40から入力される電気信号に応じて、可動部101を光軸Lに対して垂直なX-Y平面で移動させる。
【0039】
画像処理部24は、動画又は静止画の撮影時に画像入力コントローラ22を介して取得され、メモリ48に一時的に記憶された未処理の画像データを読み出す。画像処理部24は、読み出した画像データに対してオフセット処理、画素補間処理(位相差検出用画素、欠陥画素等の補間処理)、ホワイトバランス補正、感度補正を含むゲインコントロール処理、ガンマ補正処理、同時化処理(「デモザイク処理」ともいう)、輝度及び色差信号生成処理、輪郭強調処理、及び色補正等を行う。画像処理部24により処理された画像データであって、ライブビュー画像として処理された画像データは、VRAM(Video RAM Random access memory)50に入力される。
【0040】
VRAM50から読み出された画像データは、ビデオエンコーダ28においてエンコーディングされ、カメラ背面に設けられている画像モニタ30に出力される。これにより、被写体像を示すライブビュー画像が画像モニタ30に表示される。
【0041】
画像処理部24により処理された画像データであって、記録用の静止画又は動画として処理された画像データ(輝度データ(Y)及び色差データ(Cb),(Cr))は、再びメモリ48に記憶される。
【0042】
圧縮伸張処理部26は、静止画又は動画の記録時に、画像処理部24により処理され、メモリ48に格納された輝度データ(Y)及び色差データ(Cb),(Cr)に対して圧縮処理を施す。圧縮された圧縮画像データは、メディアコントローラ52を介してメモリカード54に記録される。
【0043】
また、圧縮伸張処理部26は、再生モード時にメディアコントローラ52を介してメモリカード54から得た圧縮画像データに対して伸張処理を施す。メディアコントローラ52は、メモリカード54に対する圧縮画像データの記録及び読み出しなどを行う。
【0044】
上記実施形態において、各種の処理を実行する処理部(制御部40等)(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0045】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0046】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0047】
<ブレ補正装置>
次に、ブレ補正装置100に関して説明をする。
【0048】
図3は、ブレ補正装置100の正面図(光軸方向の被写体側から見た図)であり、ブレ補正装置100の主なレイアウトを説明する図である。
【0049】
ブレ補正装置100は、主に可動部101及び固定部111で構成される。
【0050】
可動部101は、撮像素子16とボイスコイルモータ103a~103cを構成するコイル(不図示)を保持する。可動部101は、光軸(
図3ではZ軸で示す)に交差する平面内(
図3ではX-Y平面内)で移動可能に保持されている。手ブレなどにより移動した分だけ、それを打ち消す方向に可動部101をボイスコイルモータ103a~103cで移動させる。これにより、ブレ補正装置100において像ブレを抑制した画像を撮像素子16に取得させることができる。なお、ボイスコイルモータ103a~103cには、可動部101の位置を検出するホールセンサ(不図示)が備えられている。ホールセンサは、可動部101の位置を検出し、その位置に関する情報を制御部40に送信する。なお、ホールセンサはブレセンサ66の一部を構成する。
【0051】
固定部111は、ボイスコイルモータ103a~103cを構成するマグネット109a~109c、ベースプレート119、及びカウンタープレート(不図示)で主に構成されている。ベースプレート119及びカウンタープレートは、ヨークとして機能する。カウンタープレートは、ベースプレート119に対して光軸方向(Z軸方向)に離間して対向して設けられている。また、可動部101は、ベースプレート119に対して、マグネット(不図示)による吸着力又はバネ(不図示)による弾性力によって付勢される。そして、可動部101とベースプレート119との間で複数のボール(不図示)が挟持され、そのボールが転動することにより、可動部101は、X-Y平面を移動することが可能となる。
【0052】
ブレ補正装置100は、撮像素子16及び/又はボイスコイルモータ103a~103Cに接続するFPCを有する。具体的には、ブレ補正装置100は、撮像素子16を駆動するためのFPC、撮像素子16とメイン基板との間でデータを通信するためのFPC、及びボイスコイルモータ103a~103Cを駆動するためのFPCを有している。これらのFPCは、撮像装置本体2の制御部40と可動部101に保持される撮像素子16及びコイルを電気的に接続している。
【0053】
FPCは、2つの屈曲部を有する楕円形状に引き回された楕円形FPCユニット105a(第1のユニット)及び楕円形FPCユニット105b(第2のユニット)を形成して、配置されている。楕円形FPCユニット105a及び105bは、撮像素子16を保持する可動部101の上下(Y軸方向)又は左右(X軸方向)の側面101aに配置されると、ブレ補正装置100の薄型化に寄与することができる。すなわち、ブレ補正装置100では、従来技術ではFPCの引き回しエリアを厚み方向(Z軸方向)であったものを(
図20参照)、幅方向(X軸方向)又は高さ方向(Y軸方向)に変更することにより、ブレ補正装置100の厚み方向の薄型化を可能にしている。さらに、楕円形FPCユニット105a及び105bは、撮像素子16を挟んでボイスコイルモータ103a及び103bとは、反対側の位置に配置することが好ましい。これにより、ブレ補正装置100における、撮像素子16の両側のレイアウトをバランス良く行うことができる。
【0054】
図4は、
図3で示された楕円形FPCユニット105a及び105bの拡大図である。
【0055】
図4には、楕円形FPCユニット105aの側面101aへの反力Faと、楕円形FPCユニット105bの側面101aへの反力Fbとが示されている。また
図4には、可動部101の重心Gを含むX-Y平面内の面G-Sが点線で示されている。
【0056】
楕円形FPCユニット105a及び105bは、図示するように撮像素子16を保持する可動部101の側面101aに接続されている。ここで、可動部101の側面101aは、撮像素子16の撮像面(X―Y平面)に垂直に交差する面(Y―Z平面)である。また、楕円形FPCユニット105aは、屈曲部が互いに重複する領域(重複領域115a、115b、117a、117b)で固定されている。
【0057】
楕円形FPCユニット105a及び105bは同一の形状であるので、反力Fa及び反力Fbは等しい。このように、反力Faと反力Fbの差が低減されることにより、可動部101に対する負荷が安定する。また、楕円形FPCユニット105a及び105bの光軸方向の幅と可動部101の幅とは合致するように設計することが望ましい。これは、楕円形FPCユニット105a及び105bの反力作用点(図では反力Fa及びFbを示す矢印の始点で示す)が光軸方向において可動部101の重心Gを含む面(G―S)の付近で作用することになり、駆動が安定するからである。なお、以上で説明したこれらの設計要件は、ブレ補正装置100の制御設計を簡単化することに寄与する。
【0058】
図5は、楕円形FPCユニット105aを示す模式図である。
図5は、楕円形FPCユニット105aを光軸方向の被写体側から見た図である。なお、楕円形FPCユニット105bも楕円形FPCユニット105aと同様の構成であるので、ここでは説明は省略する。また、楕円形FPCユニット105bは、楕円形FPCユニット105aが第1の屈曲部及び第2の屈曲部で構成されるのと同様に、第3の屈曲部及び第4の屈曲部で構成される。
【0059】
図5(A)は、楕円形FPCユニット105aを説明のために分解した図であり、
図5(B)は楕円形FPCユニット105aの模式図である。
【0060】
図5(A)に示すように、楕円形FPCユニット105aは、第1の屈曲部113a及び第2の屈曲部113bで構成される。第1の屈曲部113aは、カーブ部Ua、開口部OP、及びカーブ部Uaから延伸する開口部側面Waで構成される。また、第2の屈曲部113bは、カーブ部Ub、開口部OP、及び開口部側面Wbで構成される。また、楕円形FPCユニット105aは、第1の屈曲部113a及び第2の屈曲部113bが互いに重複する領域である重複領域115a及び重複領域115bを有する。
【0061】
図5(B)に示すように、楕円形FPCユニット105aは、第1の屈曲部113aの開口部OPと第2の屈曲部113bの開口部OPを対向させ、第1の屈曲部113aの開口部側面Waと第2の屈曲部113bの開口部側面Wbとを重ね合わせて重複領域115a及び115bを形成する。このように、楕円形FPCユニット105aは、FPCを互いに向かい合うU字に引き回すことにより、楕円形状を形成している。そして、第1の屈曲部113a及び第2の屈曲部113bを有する楕円形状にすることにより、FPCの屈曲されたことによる反力の影響を小さくすることができる。また、重複領域115aでは、開口部側面Waが外側、開口部側面Wbが内側に配置され、重複領域115bでは、開口部側面Wbが外側、開口部側面Waが内側に配置されている。すなわち、重複領域115aでは、第1の屈曲部113aの開口部OPが外側であり、重複領域115bでは、第2の屈曲部113bの開口部OPが外側である。このように重複領域115a及び115bを形成することにより、第1の屈曲部113aと第2の屈曲部113bとの屈曲Rが等しくなり、可動部101に対する負荷が安定する。このように、可動部101に対する負荷を安定させることにより、ブレ補正装置100の制御設計を簡単化することができる。なお、重複領域115a及び重複領域115bは、第1の屈曲部113a又は第2の屈曲部113bの幅以上の長さで重複することが好ましい。
【0062】
次に、楕円形FPCユニット105a及び105bが可動部101に作用させる回転モーメントに関して説明する。
【0063】
図6は、可動部101の重心Gにおける回転モーメントのつり合いに関して説明する図である。なお、楕円形FPCユニット105a及び105bは、同じ形状であり等しい反力Fa及びFbを有する。
【0064】
楕円形FPCユニット105a及び105bを配置する場合には、可動部101の重心Gを通る軸H1に対称的に配置すると、楕円形FPCユニット105a及び105bによる負荷の差がなく、可動部101の駆動が安定するので望ましい。一方、軸H1に対して、対称に配置できない場合は、重心Gの周りの回転モーメントのつり合いを考えて、回転成分を打ち消すように楕円形FPCユニット105a及び105bの配置を最適化することが望ましい。
【0065】
図6に示す場合では、楕円形FPCユニット105a及び105bは、マイナスX側の可動部101の側面101aに配置されている。また、楕円形FPCユニット105a及び105bは、軸H1に対して対象の位置に配置されている。このように、楕円形FPCユニット105a及び楕円形FPCユニット105bを配置した場合には、楕円形FPCユニット105aが可動部101に作用させる回転モーメントMaと、楕円形FPCユニット105bが可動部101に作用させる回転モーメントMbと打ち消し合うようになる。
【0066】
ここで、可動部101の重心Gでの回転モーメントMは以下の式で算出することができる。
【0067】
(式)
可動部に作用する回転モーメントM=楕円形FPCユニットの反力F×重心Gと反力作用点の距離N
図に示した例では、楕円形FPCユニット105aの反力Faと楕円形FPCユニット105bの反力Fbとは等しい。また、楕円形FPCユニット105aの反力Faの作用点と重心Gとの距離と、楕円形FPCユニット105bの反力Fbの作用点と重心Gとの距離とは等しい。したがって、回転モーメントM1と回転モーメントM2は、互いに打ち消し合うことになり、可動部101は回転成分の影響が小さい状態でつり合いが取れる。
【0068】
図7は、楕円形FPCユニット105a及び105bの配置の変形例に関して説明する図である。
【0069】
図7(A)は、楕円形FPCユニット105a及び105bの配置の変形例1を示す。
【0070】
図7(A)に示した例では、楕円形FPCユニット105aは、マイナスX側の可動部101の側面101aであって、Y軸方向のプラス側に配置されている。また、楕円形FPCユニット105bは、プラスY側の可動部101の側面101aであって、X軸方向のマイナス側に配置されている。また、楕円形FPCユニット105aの反力Faと軸H1との距離と、楕円形FPCユニット105bの反力Fbと軸H2との距離とが等しくなるように、楕円形FPCユニット105a及び105bが配置されている。このように、楕円形FPCユニット105a及び105bを配置することにより、回転モーメントM1と回転モーメントM2は、互いに打ち消し合い、可動部101は回転成分の影響が小さい状態でつり合いが取れる。
【0071】
図7(B)に示した例では、楕円形FPCユニット105aは、マイナスX側の可動部101の側面101aであって、Y軸方向のプラス側に配置されている。また、楕円形FPCユニット105bは、マイナスY側の可動部101の側面101aであって、X軸方向のプラス側に配置されている。また、楕円形FPCユニット105aの反力Faと軸H1との距離と、楕円形FPCユニット105bの反力Fbと軸H2との距離とが等しくなるように、楕円形FPCユニット105a及び105bが配置されている。このように配置することにより、回転モーメントM1と回転モーメントM2は、互いに打ち消し合い、可動部101は回転成分の影響が小さい状態でつり合いが取れる。
【0072】
上述した例では、楕円形FPCユニット105a及び105bが同一形状である場合の例について説明した。楕円形FPCユニット105aと楕円形FPCユニット105bとが異なる形状である場合についても、同様の考え方を適用することができる。すなわち、楕円形FPCユニット105a及び105bの反力の差分を重心Gからの距離の差分で調整することで、回転モーメントを打ち消し合った状態にし、可動部101の負荷においてつり合いがとれた状態とすることができる。このように、可動部101において回転成分のオフセットがないことは、常時回転方向にオフセットを戻す駆動制御をする必要がないため制御が簡単化することができ、消費電力の低減も可能にすることができる。
【0073】
次に、楕円形FPCユニット105a及び105bの変形例に関して説明する。
【0074】
図8は、楕円形FPCユニット105a及び105bの変形例を説明する図である。
【0075】
本例の楕円形FPCユニット105a及び楕円形FPCユニット105bは、楕円形状の内部に、放熱部材131a及び131bを備える。具体的には、楕円形FPCユニット105a及び楕円形FPCユニット105bの楕円形状の内部の領域を使って、放熱部材131a及び131bを配置する。ここで、放熱部材131a及び131bは、例えばパンタグラフ型のグラファイトシートで構成される。このように、楕円形FPCユニット105aに放熱部材131aを、楕円形FPCユニット105bに放熱部材131bを取り付けることにより、撮像素子16等を熱源とした可動部101の熱を固定部111に伝熱させて放熱することができる。
【0076】
<重複領域>
次に、楕円形FPCユニット105a及び105bの重複領域(
図7を参照)に関して説明する。なお、以下の説明では、楕円形FPCユニット105aの重複領域115aに関して説明するが、他の重複領域(例えば、重複領域115b)に関しても同様であるので説明は省略される。
【0077】
先ず、重複領域115aにおけるノイズの低減に関して説明する。
【0078】
FPC同士を重ね合わせると撮像素子16の駆動信号やボイスコイルモータ103a~103cの駆動信号などのパターンが近接して重なることになる。したがって、FPC同士を重ねると、電磁ノイズ(クロストーク)が発生しやすくなってしまう。例えば、撮像素子16の信号にノイズが乗ると画像に縞模様(ビートノイズ)が入ってしまう。また例えば、ボイスコイルモータ103a~103cの信号にノイズが乗るとブレ補正装置100の性能劣化、発振、駆動音の悪化などが起こる。したがって、重複領域において、ノイズを低減して、FPCの重ね合わせを行うことが必要になる。以下では、ノイズの低減を行うことができる重複領域の実施形態に関して説明する。
【0079】
【0080】
実施形態1では、ノイズ低減のために、FPCパターン基材同士が近接しないように一定値以上の隙間を確保する。
【0081】
実施形態1の重複領域115aは、FPCパターン基材121、FPCパターン基材123、FPC裏打ち面125a(樹脂部材)、FPC裏打ち面125b(樹脂部材)、及び両面テープ127で構成される。FPCパターン基材121及び123の裏面には、剛性等を持たせるためにFPC裏打ち面125a及び125bが設けられている。FPC裏打ち面125a及び125bは、FPCパターン基材と同種の材料で構成されている。例えば、FPC裏打ち面125a及び125bは、ポリイミドで構成されている。実施形態1では、FPC裏打ち面125aとFPC裏打ち面125bとを対向するように配置し、FPC裏打ち面125aとFPC裏打ち面125bとを両面テープ127で接着する。これにより、FPCパターン基材121とFPCパターン基材123との間に隙間L1を保持することができ、ノイズを低減させることができる。
【0082】
図10は、重複領域の実施形態2を説明する図である。
【0083】
実施形態2でも、ノイズ低減のために、FPCパターン基材同士が近接しないように一定値以上の隙間を確保する。
【0084】
実施形態2の重複領域115aは、FPCパターン基材121とFPCパターン基材123との間に、両面テープ127(樹脂部材)が配置されている。ここで両面テープ127は、厚さが厚いもので構成されることが好ましく、例えば厚さ0.5mmの両面テープ127が用いられる。このように、FPCパターン基材121とFPCパターン基材123との間に、厚い両面テープ127が配置されることにより、FPCパターン基材121とFPCパターン基材123との隙間L2を確保することができる。これにより、重複領域115aでのノイズを低減することができる。
【0085】
図11は、重複領域の実施形態3を説明する図である。
【0086】
実施形態3の重複領域115aは、FPCパターン基材121とFPCパターン基材123との間に、板金131(金属部材)が配置されている。なお、板金131は電磁ノイズ抑制部材の機能を有する。板金131の両面に、両面テープ129を配置することにより、板金131とFPCパターン基材121、及び板金131とFPCパターン基材123を貼り合わせる。FPCパターン基材121とFPCパターン基材123との間に、板金131を配置することにより、電磁ノイズをシールドすることができ、ノイズ低減を行うことができる。この場合には、FPCパターン基材121とFPCパターン基材123との隙間を最小化することができ、楕円形FPCユニットのサイズを抑えることができる。
【0087】
次に、重複領域におけるノイズ重畳の低減に関して説明する。
【0088】
楕円形FPCユニット105aの重複領域115aでは、FPCを重ねるのでノイズ源であるデジタル電源ラインや、信号ラインとノイズ感度の高いアナログ電源ラインとが並走する場合にはノイズが重畳してしまう。以下では、ノイズの重畳を低減することができる重複領域115aの実施形態に関して説明する。
【0089】
図12は、重複領域の実施形態4を説明する図である。
【0090】
実施形態4の重複領域115aは、FPC1とFPC2との間に一定の距離を設ける。FPC1とFPC2との間に一定の距離を設けることにより、ノイズの重畳を低減することができる。
【0091】
FPC1はノイズ源ライン143を有しており、FPC2はノイズの影響を受けるアナログ電源ライン141(ノイズ感度の高い被ノイズライン)を有している。なお、FPC1及びFPC2の構成は以下の
図13及び
図14においても同じであるので、以下ではFPC1及びFPC2の構成の説明は省略する。そして、ノイズ源ライン143とアナログ電源ライン141とが並走している場合には、距離S1を保持するように重複領域115aを構成することにより、アナログ電源ライン141にノイズが重畳することを低減することができる。
【0092】
図13は、重複領域の実施形態5を説明する図である。
【0093】
実施形態5の重複領域115aは、ノイズ源ライン143との並走を回避するように、FPCのラインの配置設計を行う。例えば、ノイズ源ライン143をFPC1の端に配置した場合には、アナログ電源ライン141をFPC2の反対の端に配置する。これにより、FPC1とFPC2との間隔が狭くなってしまった場合であっても、ノイズ源ライン143とアナログ電源ライン141との間隔S2を確保することができ、アナログ電源ライン141にノイズが重畳することを低減することができる。
【0094】
図14は、重複領域の実施形態6を説明する図である。
【0095】
実施形態6の重複領域115aは、FPC1とFPC2との間に金属層(ベタGND)145を配置する。金属層145は、電磁ノイズ抑制部材として機能する。このように金属層145を設けることにより、FPC1のノイズ源ライン143のノイズが、FPC2のアナログ電源ライン141に重畳することを低減することができる。
【0096】
次に、重複領域におけるインピーダンスのズレの低減に関して説明する。
【0097】
楕円形FPCユニット105aの重複領域115aでは、FPCを重ねるので、インピーダンス整合している高速通信用の信号ラインに他の金属配線が近接する場合がある。このような場合には、インピーダンスがズレてしまい伝搬信号が劣化してしまうことがある。したがって、重複領域115aにおいて、インピーダンスのズレを低減することが必要である。
【0098】
図15は、重複領域の実施形態7を説明する図である。
【0099】
実施形態7の重複領域115aでは、金属配線147を有するFPC1と、インピーダンス整合信号ライン149を有するFPC2との間に距離S3を設ける。このように、重複領域115aにおいて、FPC1とFPC2との間に距離S3を設けることにより、インピーダンス整合信号ライン149のインピーダンスがズレてしまうことを低減することができる。例えば、距離S3は0.3mm以上であることが好ましい。
【0100】
<FPCの形状の具体例>
次に、ブレ補正装置100に用いられるFPCの形状の具体例を説明する。以下で説明するFPCは、それぞれ屈曲部113を有する。そして、これらの屈曲部113により、上述した楕円形FPCユニットが形成される。なお、以下で説明する具体例に本発明のFPCの形状は限定されるものではない。
【0101】
【0102】
図16に示したFPCは、例えば撮像素子16を駆動するための信号の送受信及び/又は電気を供給するためのFPCである。
図16に示したFPCは、2つの屈曲部113を有する。これらの2つの屈曲部113が楕円形FPCユニットの一部を構成する。
【0103】
図17に示したFPCは、例えばボイスコイルモータ103a~103Cを駆動するための信号の送受信及び/又は電気を供給するFPCである。
図17に示したFPCは、1つの屈曲部113を有する。この屈曲部113が楕円形FPCユニットの一部を構成する。
【0104】
図18に示したFPCは、例えば撮像素子16とメイン基板との間でデータを送受信するためのFPCである。
図18に示したFPCは、1つの屈曲部113を有する。この屈曲部113が楕円形FPCユニットの一部を構成する。
【0105】
図19に示したFPCは、1本のFPCを引き回すことにより、2つの屈曲部113を有するように形成されている。したがって、
図19に示したFPCでは、1本のFPCにより楕円形FPCユニットを形成することができる。
【0106】
<付記>
前述した本開示には、以下の態様の発明を含むことを付記する。
【0107】
(態様1)
撮像素子のブレ補正を行うブレ補正装置において、
前記撮像素子とアクチュエータのコイルとを備え、光軸に交差する平面内で移動可能に構成される可動部と、
前記アクチュエータのマグネットとヨークとを備える固定部と、
前記撮像素子及び/又は前記コイルに接続される可撓性基板と、を備え、
前記可撓性基板は、屈曲した第1の屈曲部及び第2の屈曲部を有し、前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部の開口部を対向させ、互いに重複する領域で固定して第1のユニットを形成して配置される、
ブレ補正装置。
【0108】
(態様2)
前記第1のユニットは、2つの前記重複する領域を有し、一方の前記重複する領域では前記第1の屈曲部の前記開口部が外側であり、他方の前記重複する領域では前記第2の屈曲部の前記開口部が外側である態様1に記載のブレ補正装置。
【0109】
(態様3)
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部の幅又は前記第2の屈曲部の幅以上の長さで重複している態様1又は2に記載のブレ補正装置。
【0110】
(態様4)
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において間隔を有して固定されている態様1から3のいずれか1に記載のブレ補正装置。
【0111】
(態様5)
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部との間に金属部材が配置されて固定されている態様1から3のいずれか1に記載のブレ補正装置。
【0112】
(態様6)
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部との間には樹脂部材が配置されて固定されている態様1から3のいずれか1に記載のブレ補正装置。
【0113】
(態様7)
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部との間に電磁ノイズ抑制部材が配置されて固定されている態様1から3のいずれか1に記載ブレ補正装置。
【0114】
(態様8)
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部のノイズ源ラインと前記第2の屈曲部のノイズ感度の高い被ノイズラインとは、離れて配置されている態様1から7のいずれか1に記載のブレ補正装置。
【0115】
(態様9)
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部のデジタル電源ラインと前記第2の屈曲部のアナログ電源ラインとは、離れて配置されている態様1から7のいずれか1に記載のブレ補正装置。
【0116】
(態様10)
前記第1の屈曲部及び前記第2の屈曲部は、前記重複する領域において、前記第1の屈曲部の金属配線と前記第2の屈曲部のインピーダンスを整合する高速通信用の信号ラインとは、離れて配置されている態様1から9のいずれか1に記載のブレ補正装置。
【0117】
(態様11)
前記第1のユニットは、前記撮像素子の撮像面と交差する前記可動部の面に配置される態様1から10のいずれか1に記載のブレ補正装置。
【0118】
(態様12)
前記可撓性基板は、屈曲した第3の屈曲部及び第4の屈曲部を有し、前記第3の屈曲部及び前記第4の屈曲部の開口部を対向させ、互いに重複する領域で固定して第2のユニットを形成して配置される、態様1から11のいずれか1に記載のブレ補正装置。
【0119】
(態様13)
前記第1のユニット及び前記第2のユニットは、前記撮像素子の撮像面と交差する前記可動部の面に配置され、前記可動部の重心に対して回転モーメントを互いに打ち消す位置に配置される態様12に記載のブレ補正装置。
【0120】
以上で本発明の例に関して説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0121】
1 :被写体
2 :撮像装置本体
10 :撮像装置
16 :撮像素子
101a :側面
40 :制御部
100 :ブレ補正装置
101 :可動部
103a :ボイスコイルモータ
103b :ボイスコイルモータ
103c :ボイスコイルモータ
105a :楕円形FPCユニット
105b :楕円形FPCユニット
109a :マグネット
109b :マグネット
109c :マグネット
111 :固定部
113a :第1の屈曲部
113b :第2の屈曲部
115a :重複領域
115b :重複領域
119 :ベースプレート
121 :FPCパターン基材
123 :FPCパターン基材