IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日亜化学工業株式会社の特許一覧

特開2024-122551光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール
<>
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図1A
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図1B
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図2
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図3
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図4
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図5
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図6
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図7A
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図7B
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図8
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図9
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図10
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図11
  • 特開-光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122551
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/00 20060101AFI20240902BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20240902BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G02B3/00 Z
H01L33/58
G02B1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030147
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】池北 祐平
(72)【発明者】
【氏名】小川 貢司
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA61
5F142BA02
5F142BA32
5F142CB11
5F142CB23
5F142CD01
5F142DA02
5F142DA03
5F142DA13
5F142DA72
5F142DA73
5F142DB02
5F142DB12
5F142DB16
5F142FA50
(57)【要約】
【課題】信頼性を高くすることができる光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュールを提供すること。
【解決手段】光学部材の製造方法は、第1主面と、第2主面と、第1主面と連続する第1側面を含む側面とを有する透光性部材を有する中間体を準備する工程と、第1上面と、第1下面と、開口部を有するマスクを準備する工程と、上面視において開口部を画定する内縁を透光性部材の第1主面の外縁よりも内側に位置させるとともに、透光性部材の第1主面とマスクの第1下面とを離隔させてマスクを配置する工程と、樹脂部材を第1主面の上方からマスクの開口部を通じて透光性部材にスプレー法により供給し、樹脂部材を透光性部材の第1主面及び第1側面に配置する工程と、を備える。透光性部材の第1側面に配置される樹脂部材の最大厚さは、透光性部材の第1主面に配置される樹脂部材の最大厚さよりも薄い。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を有する基台と、
第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、前記第1主面と連続する第1側面を含む側面と、を有するとともに、前記第2主面と前記基台の前記上面とが対向した状態で前記基台上に配置される透光性部材と、
を有する中間体を準備する工程と、
第1上面と、前記第1上面の反対側の第1下面と、前記第1上面と前記第1下面を貫通する開口部を有するマスクを準備する工程と、
上面視において前記開口部を画定する内縁を前記透光性部材の前記第1主面の外縁よりも内側に位置させるとともに、前記透光性部材の前記第1主面と前記マスクの前記第1下面とを離隔させて前記マスクを配置する工程と、
樹脂部材を前記第1主面の上方から前記マスクの前記開口部を通じて前記透光性部材にスプレー法により供給し、前記樹脂部材を前記透光性部材の前記第1主面及び前記第1側面に配置する工程と、
を備え、
前記透光性部材の前記第1側面に配置される前記樹脂部材の最大厚さは、前記透光性部材の前記第1主面に配置される前記樹脂部材の最大厚さよりも薄い、光学部材の製造方法。
【請求項2】
前記透光性部材の前記第1側面に配置される前記樹脂部材の最大厚さは、前記透光性部材の前記第1主面に配置される前記樹脂部材の最大厚さに対して0.3倍以下である、請求項1に記載の光学部材の製造方法。
【請求項3】
前記透光性部材の前記第1主面の中心に位置する前記樹脂部材の最大厚さは、前記第1主面の端部に位置する前記樹脂部材の最大厚さよりも厚い、請求項1または2に記載の光学部材の製造方法。
【請求項4】
前記透光性部材は、前記第2主面と連続するフランジ部をさらに有し、
前記フランジ部は、前記側面と連続する第2上面を有し、
前記樹脂部材は、前記フランジ部の前記第2上面にも配置され、
前記フランジ部の前記第2上面に配置される前記樹脂部材の最大厚さは、前記第1主面に配置される前記樹脂部材の最大厚さよりも薄い、請求項1または2に記載の光学部材の製造方法。
【請求項5】
前記フランジ部の前記第2上面に配置される前記樹脂部材の最大厚さは、前記第1主面に配置される前記樹脂部材の最大厚さに対して0.5倍以下である、請求項4に記載の光学部材の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂部材は、光散乱粒子を含み、
前記マスクの前記第1下面と前記透光性部材の前記第1主面との間の第1距離は、前記光散乱粒子の粒径に対して10倍以上50倍以下である、請求項1または2に記載の光学部材の製造方法。
【請求項7】
前記マスクは、前記第1下面から下方に延び、前記透光性部材の前記第1側面と対向する延伸部をさらに有する、請求項1または2に記載の光学部材の製造方法。
【請求項8】
前記透光性部材は、前記第2主面と連続するフランジ部をさらに有し、
前記フランジ部は、前記側面と連続する第2上面を有し、
前記延伸部の第2下面は、前記フランジ部の前記第2上面と離隔するとともに、上面視において前記フランジ部の前記第2上面の一部に重なる、請求項7に記載の光学部材の製造方法。
【請求項9】
前記マスクの前記第1下面と前記透光性部材の前記第1主面との間の第1距離は、前記延伸部の側面と前記透光性部材の前記第1側面との間の第2距離よりも小さい、請求項7に記載の光学部材の製造方法。
【請求項10】
前記中間体は、前記基台上において隣り合って配置された少なくとも2つの前記透光性部材を有し、
前記延伸部は、前記2つの透光性部材の前記第1側面間に位置する、請求項7に記載の光学部材の製造方法。
【請求項11】
前記中間体は、前記基台上に配置された複数の前記透光性部材を有し、
前記マスクは、複数の前記開口部を有し、
前記複数の透光性部材のそれぞれに前記マスクの前記開口部を配置した状態で、前記マスクの上方を前記複数の透光性部材が並ぶ方向に沿って走査されるノズルから、前記樹脂部材をそれぞれの前記透光性部材に供給する、請求項1または2に記載の光学部材の製造方法。
【請求項12】
1つの前記透光性部材に対して複数回に分けて前記樹脂部材を供給する、請求項11に記載の光学部材の製造方法。
【請求項13】
前記基台は、紫外線硬化型の粘着シートであり、
前記樹脂部材を前記透光性部材の前記第1主面及び前記第1側面に配置する工程において、前記樹脂部材は液状の状態で前記透光性部材に供給された後、紫外線の照射により硬化され、
前記樹脂部材を硬化させるとき、前記基台の粘着力を低下させる、請求項1または2に記載の光学部材の製造方法。
【請求項14】
第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、前記第1主面と連続する第1側面および前記第1側面と連続する窪みを含む側面と、を有する透光性部材と、
前記窪みの少なくとも一部、前記第1主面、及び前記第1側面に配置された樹脂部材と、
を備え、
前記透光性部材の前記第1側面に配置される前記樹脂部材の最大厚さは、前記透光性部材の前記第1主面に配置される前記樹脂部材の最大厚さよりも薄い、光学部材。
【請求項15】
前記透光性部材の前記第1主面の中心に位置する前記樹脂部材の最大厚さは、前記第1主面の端部に位置する前記樹脂部材の最大厚さよりも厚い、請求項14に記載の光学部材。
【請求項16】
請求項14または15に記載の光学部材と、
前記光学部材の前記第2主面に対向する光源と、
を備える、発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、マスキング治具を兼用した塗装用治具にレンズをセットして塗料を吹き付けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-7105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、信頼性を高くすることができる光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、光学部材の製造方法は、上面を有する基台と、第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、前記第1主面と連続する第1側面を含む側面と、を有するとともに、前記第2主面と前記基台の前記上面とが対向した状態で前記基台上に配置される透光性部材と、を有する中間体を準備する工程と、第1上面と、前記第1上面の反対側の第1下面と、前記第1上面と前記第1下面を貫通する開口部を有するマスクを準備する工程と、上面視において前記開口部を画定する内縁を前記透光性部材の前記第1主面の外縁よりも内側に位置させるとともに、前記透光性部材の前記第1主面と前記マスクの前記第1下面とを離隔させて前記マスクを配置する工程と、樹脂部材を前記第1主面の上方から前記マスクの前記開口部を通じて前記透光性部材にスプレー法により供給し、前記樹脂部材を前記透光性部材の前記第1主面及び前記第1側面に配置する工程と、を備え、前記透光性部材の前記第1側面に配置される前記樹脂部材の最大厚さは、前記透光性部材の前記第1主面に配置される前記樹脂部材の最大厚さよりも薄い。
【0006】
本開示の一態様によれば、光学部材は、第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、前記第1主面と連続する第1側面と、前記第1側面と連続する窪みとを含む側面と、を有する透光性部材と、前記窪みの少なくとも一部、前記第1主面、及び前記第1側面に配置された樹脂部材と、を備え、前記透光性部材の前記第1側面に配置される前記樹脂部材の最大厚さは、前記透光性部材の前記第1主面に配置される前記樹脂部材の最大厚さよりも薄い。
【0007】
本開示の一態様によれば、発光モジュールは、前記光学部材と、前記光学部材の前記第2主面に対向する光源と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る実施形態によれば、信頼性を高くすることができる光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】第1実施形態に係る光学部材の模式断面図である。
図1B】第1実施形態に係る光学部材の変形例を示す模式断面図である。
図2】第1実施形態に係る光学部材の製造方法の一工程を説明するための模式上面図である。
図3図2のIII-III線における模式断面図である。
図4】第1実施形態に係る光学部材の製造方法の一工程を説明するための模式上面図である。
図5図4のV-V線における模式断面図である。
図6】第1実施形態に係る光学部材の製造方法の一工程を説明するための模式断面図である。
図7A】第2実施形態に係る光学部材の製造方法の一工程を説明するための模式斜視図である。
図7B】第2実施形態に係る光学部材の製造方法の一工程を説明するための模式斜視図である。
図8】第2実施形態に係る光学部材の製造方法の一工程を説明するための模式断面図である。
図9】第2実施形態に係る光学部材の製造方法の一工程を説明するための模式上面図である。
図10】第1実施形態に係る光学部材の製造方法においてマスクの第1変形例を示す模式断面図である。
図11】第1実施形態に係る光学部材の製造方法においてマスクの第2変形例を示す模式断面図である。
図12】実施形態に係る発光モジュールの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態に係る光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュールについて説明する。以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュールを例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ、位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており詳細説明を適宜省略する。また、断面図として、切断面のみを示す端面図を示す場合がある。
【0011】
以下の説明において、特定の方向又は位置を示す用語(例えば、「上」、「下」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向又は位置を分かり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向又は位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本明細書において「上(または下)」と表現する位置関係は、例えば、2つの部材があると仮定した場合に、2つの部材が接している場合と、2つの部材が接しておらず一方の部材が他方の部材の上方(または下方)に位置している場合も含む。また、本明細書において、特定的な記載がない限り、部材が被覆対象を覆うとは、部材が被覆対象に接して被覆対象を直接覆う場合と、部材が被覆対象に非接触で被覆対象を間接的に覆う場合を含む。
【0012】
[第1実施形態]
図1Aに示すように、第1実施形態に係る光学部材1は、透光性部材10と樹脂部材50とを備える。
【0013】
透光性部材10は、後述する光源が発する光に対して透光性を有する。光源が発する光のピーク波長に対する透光性部材10の透過率は、例えば、70%以上であり、80%以上が好ましく、90%以上がさらに好ましい。また、透光性部材10は、例えば、レンズ機能を有することができる。透光性部材10の材料として、例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂等の樹脂材料またはガラス材料を用いることができる。
【0014】
透光性部材10は、第1主面11と、第1主面11の反対側に位置する第2主面12とを有する。第2主面12は、光源が発する光の透光性部材10への入射面として機能する。透光性部材10に入射した光は、第1主面11から透光性部材10の外部に出射する。図2に示すように、第1主面11の外縁11aは、例えば、上面視において円形である。なお、第1主面11の外縁11aは、円形に限定されず、例えば、上面視において楕円や矩形を含む多角形であってもよい。
【0015】
透光性部材10は、側面16をさらに有する。側面16は、第1主面11と連続する第1側面13を含む。
【0016】
側面16は、第1側面13と連続する窪み14をさらに含む。窪み14は、第1側面13から透光性部材10の内側に向かって窪んでいる。側面16は、第2側面15をさらに含むことができる。窪み14は、第1側面13と第2側面15との間に位置し、第1側面13及び第2側面15と連続する。
【0017】
樹脂部材50は、窪み14の少なくとも一部、第1主面11、及び第1側面13に配置される。樹脂部材50は、光源が発する光に対して透光性を有する。樹脂部材50の材料として、例えば、アクリル系樹脂またはシリコーン系樹脂などを用いることができる。
【0018】
光学部材1は、例えば、携帯通信端末等の電子機器に搭載される撮像装置のフラッシュ光源のレンズとして用いることができる。光学部材1を電子機器の筐体内に配置した際に、窪み14に環状のシール部材が嵌め込まれる。第1主面11の少なくとも一部は、筐体に形成された開口を通じて筐体から露出する。窪み14に嵌め込まれたシール部材によって、筐体の開口を介して筐体の内部に異物や水分等が入りにくくすることができる。
【0019】
樹脂部材50は、筐体の外側に位置する透光性部材10の第1主面11を覆い、第1主面11を異物や水分等から保護する。例えば、樹脂部材50の硬度は、透光性部材10の硬度よりも高い。そのため、樹脂部材50は、透光性部材10に比べて、傷が付きにくい。
【0020】
第1側面13は、シール部材が嵌め込まれる窪み14よりも第1主面11側に位置し、シール部材による異物や水分等からの保護領域の外側に位置する。樹脂部材50が第1側面13にも配置されることで、第1側面13を異物や水分等から保護することができる。
【0021】
透光性部材10に配置される樹脂部材50の厚さが厚くなると、樹脂部材50と透光性部材10との境界に、熱に対して脆くなる変質部が形成されやすくなる。なお、樹脂部材50の厚さとは、樹脂部材50が配置される面に対して垂直な方向における厚さを表す。
【0022】
本実施形態によれば、第1側面13に配置される樹脂部材50の最大厚さは、第1主面11に配置される樹脂部材50の最大厚さよりも薄い。これにより、透光性部材10の第1主面11及び第1側面13を樹脂部材50で保護しつつ、第1側面13に変質部が形成されにくくして、光学部材1の信頼性を高くすることができる。
【0023】
例えば、第1側面13に配置される樹脂部材50の最大厚さは、第1主面11に配置される樹脂部材50の最大厚さに対して0.3倍以下が好ましい。第1主面11に配置される樹脂部材50の最大厚さは、例えば、5μm以上20μm以下である。第1側面13に配置される樹脂部材50の最大厚さは、例えば、0μm以上6μm以下である。
【0024】
樹脂部材50が窪み14の少なくとも一部に配置されることで、樹脂部材50と透光性部材10との接触面積を増大させ、樹脂部材50が透光性部材10から剥がれにくくできる。
【0025】
樹脂部材50は、光散乱粒子を含むことができる。光散乱粒子により、光学部材1の光出射面における光透過率を調整することができる。例えば、光散乱粒子により、光学部材1の光出射面の外側から見て、電子機器の筐体の内部が視認されにくくなる。光散乱粒子として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素等の粒子を用いることができる。
【0026】
透光性部材10は、第2主面12と連続するフランジ部17をさらに有することができる。フランジ部17は、側面16と連続する第2上面17aを有する。第2上面17aは、側面16よりも外側に位置する。上面視において、フランジ部17の第2上面17aは、第1主面11の周囲を連続して囲む。また、フランジ部17は、第2主面12と連続する第3下面17bを有する。例えば、第3下面17bと第2主面12との間には段部18が配置され、第3下面17bは、段部18を介して第2主面12と連続する。フランジ部17は、例えば、電子機器の筐体内において光学部材1を他の部材に対して位置決め及び/又は取り付ける機能を担う。
【0027】
図1Bに示すように、透光性部材10の第1主面11の中心11cに位置する樹脂部材50の最大厚さは、第1主面11の端部11eに位置する樹脂部材50の最大厚さよりも厚くすることができる。これにより、光学部材1の光出射面が凸面状になり、透光性部材10の内側からの光が光学部材1の光出射面で反射されにくくできる。例えば、第1主面11の端部11eは、第1主面11のうち、外縁11aから0.2mm以内の範囲の領域とすることができる。
【0028】
次に、図2図6を参照して、第1実施形態に係る光学部材の製造方法について説明する。
【0029】
第1実施形態に係る光学部材の製造方法は、中間体30を準備する工程と、マスク40を準備する工程と、中間体30に対してマスク40を配置する工程と、スプレー法により樹脂部材50を配置する工程と、を備える。
【0030】
(中間体を準備する工程)
図2及び図3に示すように、中間体30は、基台20と、前述した透光性部材10とを有する。
【0031】
基台20は、中間体30の状態において、透光性部材10を支持する。基台20は、上面21を有する。上面21は、例えば、粘着性を有する。基台20として、例えば、紫外線硬化型の粘着シートを用いることができる。
【0032】
透光性部材10の第2主面12と、基台20の上面21とが対向した状態で、透光性部材10は基台20上に配置される。
【0033】
(マスクを準備する工程)
第1実施形態に係る光学部材の製造方法は、マスク40を準備する工程を備える。
【0034】
図4及び図5に示すように、マスク40は、第1上面41と、第1上面41の反対側の第1下面42と、第1上面41と第1下面42を貫通する開口部43とを有する。
【0035】
また、マスク40は、内側面44と外側面45とを有することができる。内側面44は、上面視において開口部43を画定するマスク40の内縁40aに一致する。図4に示すように、マスク40の内縁40aは、例えば、円形である。マスク40の内縁40aは、円形に限定されず、例えば、上面視において楕円や矩形を含む多角形であってもよい。マスクの内縁40aは、透光性部材10の外縁11aと相似形であることが好ましい。これにより、外縁11aに配置される樹脂部材50の厚みが等しくなりやすい。
【0036】
なお、マスク40は、内側面44がない形状であってもよい。例えば、図10に示すように、マスク40は、第1上面41が外側面45及び第1下面42に対して傾斜して、外側面45及び第1下面42に連続する形状であってもよい。また、図11に示すように、マスク40は、第1下面42が外側面45及び第1上面41に対して傾斜して、外側面45及び第1上面41に連続する形状であってもよい。
【0037】
(中間体に対してマスクを配置する工程)
第1実施形態に係る光学部材の製造方法は、図4及び図5に示すように、中間体30に対してマスク40を配置する工程を備える。
【0038】
マスク40を配置する工程において、上面視において開口部43を画定する内縁40aを透光性部材10の第1主面11の外縁11aよりも内側に位置させるとともに、透光性部材10の第1主面11とマスク40の第1下面42とを離隔させて、マスク40を配置する。マスク40の外側面45は、透光性部材10の側面16よりも外側に位置する。例えば、マスク40の内縁40aは、透光性部材10の第1主面11の外縁11aよりも、50μm以上150μm以下の範囲で内側に位置する。上面視において、マスク40の内縁40aおよび透光性部材10の外縁11aが例えば円形である場合は、マスク40の内縁40aの全周は、透光性部材10の外縁11aの全周に対して50μm以上150μm以下の範囲で内側に位置していてよい。また、マスク40の開口部43の中心と透光性部材10の中心は一致することが好ましい。これにより、透光性部材10の形状が該中心に対して回転対称性を有する形状である場合に、後の樹脂部材50を配置する工程において、透光性部材10の表面に対して樹脂部材50の配置ムラを低減して配置しやすくなる。
【0039】
(スプレー法により樹脂部材50を配置する工程)
第1実施形態に係る光学部材の製造方法は、マスク40を配置する工程の後、樹脂部材を透光性部材10の第1主面11及び第1側面13に配置する工程を備える。
【0040】
樹脂部材を透光性部材10の第1主面11及び第1側面13に配置する工程において、樹脂部材を第1主面11の上方からマスク40の開口部43を通じて透光性部材10にスプレー法により供給する。
【0041】
スプレー法による樹脂部材の供給において、液状の樹脂部材を、例えば、霧状にして第1主面11の上方から透光性部材10に吹き付ける。この後、例えば、紫外線を照射して樹脂部材を硬化させる。これにより、図6に示すように、樹脂部材50が、透光性部材10の第1主面11及び第1側面13に配置され、光学部材1が得られる。第1主面11に配置された樹脂部材50の上面は、光学部材1の光出射面となる。
【0042】
なお、本明細書において、未硬化状態と硬化後の状態とで区別せずに、同じ樹脂部材50という用語を使用している。
【0043】
スプレー法により第1主面11に向けて吹き付けられた霧状の樹脂部材50は、マスク40の第1下面42と、透光性部材10の第1主面11との間の隙間を流れて、第1主面11と連続する第1側面13にも回り込み、第1側面13に配置される。これにより、第1側面13を異物や水分等から保護することができる。
【0044】
第1主面11の上方からマスク40の開口部43を通じて樹脂部材50を供給するスプレー法においては、未硬化の樹脂部材50の粘度、スプレーの勢い(噴射圧)およびスプレーの噴射量等の設定により、第1主面11に配置される樹脂部材50の厚さは高精度に制御可能である。しかしながら、第1主面11側から回り込むことで第1側面13に配置される樹脂部材50の厚さはばらつき易い。
【0045】
本実施形態によれば、マスク40を配置する工程において、開口部43を画定する内縁40aを透光性部材10の第1主面11の外縁11aよりも内側に位置させる。これにより、スプレー法により第1主面11に向けて吹き付けられた樹脂部材50が第1側面13に回り込む量を低減でき、第1側面13に配置される樹脂部材50の厚さが厚くなりにくくできる。したがって、本実施形態によれば、透光性部材10の第1主面11及び第1側面13を樹脂部材50で保護しつつ、第1側面13に変質部が形成されにくくして、光学部材1の信頼性を高くすることができる。
【0046】
未硬化の樹脂部材50の粘度は、例えば、10mPa・s以上30mPa・s以下であり、15Pa・s以上25Pa・s以下が好ましい。未硬化の樹脂部材50の粘度を上記に設定することで、スプレー法により樹脂部材50を供給した際に、透光性部材10の表面に配置される樹脂部材50の厚さばらつきを低減することができる。
【0047】
スプレー法により第1主面11に向けて吹き付けられた樹脂部材50は、第1主面11から側面16を経てフランジ部17の第2上面17aに回り込み、フランジ部17の第2上面17aにも配置されることがある。この場合においても、マスク40の開口部43を画定する内縁40aを透光性部材10の第1主面11の外縁11aよりも内側に位置させることで、スプレー法により第1主面11に向けて吹き付けられた樹脂部材50がフランジ部17まで回り込む量を低減でき、フランジ部17の第2上面17aに配置される樹脂部材50の厚さが厚くなりにくくできる。
【0048】
したがって、フランジ部17の第2上面17aに配置される樹脂部材50の最大厚さは、第1主面11に配置される樹脂部材50の最大厚さよりも薄くなる。これにより、フランジ部17の第2上面17aに変質部が形成されにくくして、光学部材1の信頼性を高くすることができる。また、フランジ部17の第2上面17aに配置される樹脂部材50の厚さを低減できることで、樹脂部材50と透光性部材10との線膨張係数の差によりフランジ部17が破損しにくくできる。
【0049】
例えば、フランジ部17の第2上面17aに配置される樹脂部材50の最大厚さは、第1主面11に配置される樹脂部材50の最大厚さに対して0.5倍以下が好ましい。フランジ部17の第2上面17aに配置される樹脂部材50の最大厚さは、例えば、2μm以上10μm以下である。
【0050】
また、スプレー法により第1主面11に向けて吹き付けられた樹脂部材50は、第1主面11から窪み14に回り込んで、窪み14にも配置されることがある。また、この場合においても、マスク40の開口部43を画定する内縁40aを透光性部材10の第1主面11の外縁11aよりも内側に位置させることで、スプレー法により第1主面11に向けて吹き付けられた樹脂部材50が窪み14まで回り込む量を低減でき、窪み14に配置される樹脂部材50の厚さが厚くなりにくくできる。これにより、窪み14に変質部が形成されにくくして、光学部材1の信頼性を高くすることができる。
【0051】
また、スプレー法により第1主面11に向けて吹き付けられた樹脂部材50は、第1主面11から第2側面15に回り込んで、第2側面15にも配置されることがある。この場合においても、マスク40の開口部43を画定する内縁40aを透光性部材10の第1主面11の外縁11aよりも内側に位置させることで、スプレー法により第1主面11に向けて吹き付けられた樹脂部材50が第2側面15まで回り込む量を低減でき、第2側面15に配置される樹脂部材50の厚さが厚くなりにくくできる。これにより、第2側面15に変質部が形成されにくくして、光学部材1の信頼性を高くすることができる。
【0052】
マスク40の第1下面42と、透光性部材10の第1主面11との間の第1距離d1(図5に示す)は、樹脂部材50に含まれる光散乱粒子の粒径に対して10倍以上50倍以下が好ましい。これにより、スプレー法により樹脂部材50を供給する際に、マスク40の第1下面42と、透光性部材10の第1主面11との間に光散乱粒子が詰まりにくくでき、第1側面13に樹脂部材50を確実に配置することができる。
【0053】
[第2実施形態]
次に、図7A図9を参照して、第2実施形態に係る光学部材の製造方法について説明する。
【0054】
第2実施形態に係る光学部材の製造方法も、第1実施形態と同様に、中間体30を準備する工程と、マスク140を準備する工程と、中間体30に対してマスク140を配置する工程と、透光性部材10の第1主面11及び第1側面13に樹脂部材50を配置する工程とを備える。
【0055】
図8に示すように、中間体30を準備する工程において、中間体30は、基台20と、基台20上に配置された複数の透光性部材10とを有する。複数の透光性部材10は、基台20上において隣り合って配置された少なくとも2つの透光性部材10を有する。
【0056】
マスク140を準備する工程において、マスク140は、複数の開口部43を有する。なお、マスク140において、第1実施形態のマスク40と同様の構成部分には同じ符号を付している。また、マスク140は、第1下面42から下方に延びる延伸部46をさらに有する。
【0057】
中間体30に対してマスク140を配置する工程において、複数の透光性部材10のそれぞれにマスク140の開口部43を配置する。第2実施形態においても、マスク140を配置する工程において、上面視において開口部43を画定する内縁40aを透光性部材10の第1主面11の外縁11aよりも内側に位置させるとともに、透光性部材10の第1主面11とマスク40の第1下面42とを離隔させて、マスク140を配置する。
【0058】
また、マスク140を配置する工程において、延伸部46は、隣り合って配置された2つの透光性部材10の第1側面13間に位置し、隣り合って配置された2つの透光性部材10の第1側面13と対向する。図8に示す例では、延伸部46の第2下面47は、透光性部材10の第2側面15に対向する位置にある。この例では、延伸部46は、透光性部材10の第1側面13、窪み14、及び第2側面15の一部に対向する。
【0059】
延伸部46の側面48は、透光性部材10の側面16(第1側面13、窪み14、及び第2側面15)に離隔している。これにより、複数の透光性部材10の基台20上における配置位置のずれを吸収して、それぞれの開口部43を画定する内縁40aを、それぞれの透光性部材10の第1主面11の外縁11aよりも内側に位置させるように、マスク140を複数の透光性部材10に対して位置合わせすることが容易になる。
【0060】
また、隣り合って配置された2つの透光性部材10の第1側面13間に延伸部46が配置されることで、2つの透光性部材10のうちの一方の透光性部材10に向けてスプレー法により吹き付けられる樹脂部材50が、他方の(隣の)透光性部材10の第1側面13に配置されにくくなる。これにより、第1側面13に配置される樹脂部材50の厚さを低減でき、光学部材の信頼性を高くすることができる。
【0061】
また、延伸部46の第2下面47は、フランジ部17の第2上面17aと離隔するとともに、上面視においてフランジ部17の第2上面17aの一部に重なる。図9において、延伸部46の第2下面47を網掛けで表し、また第2下面47の外縁47aを破線で表す。なお、図9は、1つの透光性部材10及び1つの開口部43が配置された部分の上面図を表す。延伸部46の第2下面47が、上面視においてフランジ部17の第2上面17aの一部に重なることで、フランジ部17の第2上面17aに配置される樹脂部材50の面積を低減でき、光学部材の信頼性を高くすることができる。
【0062】
マスク140の第1下面42と透光性部材10の第1主面11との間の第1距離d1は、延伸部46の側面48と透光性部材10の第1側面13との間の第2距離d2よりも小さいことが好ましい。これにより、開口部43を画定する内縁40aを透光性部材10の第1主面11の外縁11aよりも内側に位置させるようにマスク140を複数の透光性部材10に対して位置合わせすることを容易にし、且つ第1側面13に回り込む樹脂部材50の量を低減することができる。
【0063】
例えば、第1距離d1を0.12mm、第2距離d2を0.32mmとすることができる。
【0064】
樹脂部材50を配置する工程において、中間体30及びマスク140は、例えば、図7Aに示すように支持台200に配置される。例えば、複数の中間体30、及びそれぞれの中間体30の上に配置される複数のマスク140が、第1方向Xに並んで支持台200に配置される。
【0065】
1つのマスク140は、第1方向Xに延びる一対の第1外周部141と、第1方向Xに直交する第2方向Yに延びる一対の第2外周部142とを有する。第1外周部141及び第2外周部142より内側の内側部143に、複数の開口部43が配置されている。
【0066】
第1方向Xにおいて隣り合う2つのマスク140の間に、それぞれが第2方向Yに延びる第1押さえ部材210aと第2押さえ部材210bとが配置されている。図7Aは、第1押さえ部材210aと第2押さえ部材210bが第1外周部141の上面及び第2外周部142の上面に接触せず、第1押さえ部材210a及び第2押さえ部材210bがマスク140を押さえていない状態を表す。図7Bは、1つのマスク140における第1方向Xの両端に位置する2つの第2外周部142の一方の上面に第1押さえ部材210aが重なって接触し、上記2つの第2外周部142の他方の上面に第2押さえ部材210bが重なって接触した状態を表す。この状態において、第1押さえ部材210a及び第2押さえ部材210bが、マスク140の第2外周部142を支持台200に向けて押さえる。これにより、マスク140のXY平面内における位置ずれが規制される。また、第1押さえ部材210aおよび第2押さえ部材210bを開閉させる駆動部の上方にはカバー部材250を配置することが好ましい。これにより、スプレー法により樹脂部材50を供給する際に、駆動部に未硬化の樹脂部材50が進入することを低減することができる。その結果、駆動部において樹脂詰まり等が発生することを低減することができる。
【0067】
樹脂部材50を配置する工程において、例えば、複数の透光性部材10のそれぞれにマスク140の開口部43を位置合わせして配置した状態で、マスク140の上方を複数の透光性部材10が並ぶ方向(第1方向Xまたは第2方向Y)に沿って走査されるノズルから、液状の樹脂部材50をそれぞれの透光性部材10に供給する。例えば、透光性部材10の第1主面11の直径は6mmであり、マスク140の開口部43の直径は5.8mmであり、ノズルにおける樹脂部材50の供給口の直径は0.5mmである。また、ノズルは同じ走査ラインを複数回走査され、1つの透光性部材10に対して複数回に分けて樹脂部材50を供給する。
【0068】
透光性部材10を支持する基台20は、例えば、紫外線硬化型の粘着シートである。例えば、透光性部材10におけるフランジ部17の第3下面17bが、基台20の上面21に接着される。
【0069】
樹脂部材50を透光性部材10に配置する工程において、樹脂部材50は液状の状態で透光性部材10に供給された後、紫外線の照射により硬化される。このとき、基台20にも紫外線が照射される。紫外線の照射による樹脂部材50の硬化工程は、仮硬化工程と、仮硬化工程の後に実施される本硬化工程とを有する。そして、本硬化工程において樹脂部材50を硬化させるとき、基台20の粘着力を低下させる。これにより、樹脂部材50を透光性部材10に配置して光学部材を得た後、光学部材を基台20から容易に分離することができる。
【0070】
[発光モジュール]
図12に示すように、実施形態に係る発光モジュール100は、図1Aに示す光学部材1と、光学部材1の第2主面12に対向する光源60とを備える。なお、発光モジュールは、図1Bに示す光学部材を備えてもよい。光源60の光出射面が、光学部材1の第2主面12に対向する。発光モジュール100は、例えば、複数の光源60を備える。また、発光モジュール100は、1つの光源60を備えてもよい。
【0071】
光源60は、例えば、基板70上に配置されている。光源60を配置した基板70の外周部の上面が、例えば、接合部材80によって光学部材1の第2主面12に接合される。光源60、基板70、及び接合部材80は、第2主面12と、フランジ部17の第3下面17bとの間の段差によって形成された第2主面12の下方の空間300に配置される。
【0072】
光源60は、発光素子を含む。発光素子は、半導体構造体を有する。半導体構造体は、窒化物半導体を含む。本明細書において窒化物半導体とは、例えば、InAlGa1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)で表される化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。また、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素をさらに含むもの、半導体の導電型などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むものも窒化物半導体に含まれるものとする。半導体構造体は、活性層を含む。活性層は、光を発する発光層であり、例えば複数の障壁層と、複数の井戸層を含むMQW(Multiple Quantum well)構造を有する。活性層が発する光は、例えば、紫外光または可視光である。
【0073】
光源60は、さらに発光素子から出射される光の少なくとも一部を波長変換する波長変換部材を有していてよい。波長変換部材に含まれる波長変換物質としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(POCl:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、SrAl1425:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、CaMgSi16Cl:Eu)、シリケート系蛍光体(例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、LSN系蛍光体(例えば、(La,Y)Si11:Ce)、BSESN系蛍光体(例えば、(Ba,Sr)Si:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K(Si1-xAl)F6-x:Mn ここで、xは、0<x<1を満たす。)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する量子ドット(例えば、(Cs,FA,MA)(Pb,Sn)(F,Cl,Br,I) ここで、FAとMAは、それぞれホルムアミジニウムとメチルアンモニウムを表す。)、II-VI族量子ドット(例えば、CdSe)、III-V族量子ドット(例えば、InP)、又はカルコパイライト構造を有する量子ドット(例えば、(Ag,Cu)(In,Ga)(S,Se))等を用いることができる。
【0074】
波長変換部材は、樹脂材料、セラミックス、ガラス等に上記の波長変換物質を含有させたもの、波長変換物質の焼結体等が挙げられる。また、波長変換部材は、樹脂材料、セラミックス、ガラス等の成形体の一の面に波長変換物質を含有する樹脂層を配置したものでもよい。
【0075】
光源60から白色光を発光させる場合は、例えば、青色に発光する発光素子と、発光素子からの光により黄色に発光する波長変換物質を含む波長変換部材と、を組み合わせることができる。光源60からの白色光は、例えば2700K以上6500K以下の色温度の光を含み得る。光源60は、それぞれが発光素子および波長変換部材を含む複数の発光部を備えていてよい。光源60が複数の発光部を備える場合、発光部はすべて同じ色温度の光を出射してもよく、異なる色温度の光を出射してもよい。例えば、光源60は、2700K以上4000K未満の色温度の光を出射する発光部と、4000K以上6500K以下の色温度の光を出射する発光部と、を含んでいてよい。
【0076】
また、第2主面12の下方の空間300における光源60と第2主面12との間に、レンズ機能を有する第2の光学部材を配置してもよい。
【0077】
本開示に係る実施形態は、以下の光学部材の製造方法、光学部材、及び発光モジュールを含む。
【0078】
[項1]
上面を有する基台と、
第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、前記第1主面と連続する第1側面を含む側面と、を有するとともに、前記第2主面と前記基台の前記上面とが対向した状態で前記基台上に配置される透光性部材と、
を有する中間体を準備する工程と、
第1上面と、前記第1上面の反対側の第1下面と、前記第1上面と前記第1下面を貫通する開口部を有するマスクを準備する工程と、
上面視において前記開口部を画定する内縁を前記透光性部材の前記第1主面の外縁よりも内側に位置させるとともに、前記透光性部材の前記第1主面と前記マスクの前記第1下面とを離隔させて前記マスクを配置する工程と、
樹脂部材を前記第1主面の上方から前記マスクの前記開口部を通じて前記透光性部材にスプレー法により供給し、前記樹脂部材を前記透光性部材の前記第1主面及び前記第1側面に配置する工程と、
を備え、
前記透光性部材の前記第1側面に配置される前記樹脂部材の最大厚さは、前記透光性部材の前記第1主面に配置される前記樹脂部材の最大厚さよりも薄い、光学部材の製造方法。
[項2]
前記透光性部材の前記第1側面に配置される前記樹脂部材の最大厚さは、前記透光性部材の前記第1主面に配置される前記樹脂部材の最大厚さに対して0.3倍以下である、上記項1に記載の光学部材の製造方法。
[項3]
前記透光性部材の前記第1主面の中心に位置する前記樹脂部材の最大厚さは、前記第1主面の端部に位置する前記樹脂部材の最大厚さよりも厚い、上記項1または2に記載の光学部材の製造方法。
[項4]
前記透光性部材は、前記第2主面と連続するフランジ部をさらに有し、
前記フランジ部は、前記側面と連続する第2上面を有し、
前記樹脂部材は、前記フランジ部の前記第2上面にも配置され、
前記フランジ部の前記第2上面に配置される前記樹脂部材の最大厚さは、前記第1主面に配置される前記樹脂部材の最大厚さよりも薄い、上記項1~3のいずれか1つに記載の光学部材の製造方法。
[項5]
前記フランジ部の前記第2上面に配置される前記樹脂部材の最大厚さは、前記第1主面に配置される前記樹脂部材の最大厚さに対して0.5倍以下である、上記項4に記載の光学部材の製造方法。
[項6]
前記樹脂部材は、光散乱粒子を含み、
前記マスクの前記第1下面と前記透光性部材の前記第1主面との間の第1距離は、前記光散乱粒子の粒径に対して10倍以上50倍以下である、上記項1~5のいずれか1つに記載の光学部材の製造方法。
[項7]
前記マスクは、前記第1下面から下方に延び、前記透光性部材の前記第1側面と対向する延伸部をさらに有する、上記項1~6のいずれか1つに記載の光学部材の製造方法。
[項8]
前記透光性部材は、前記第2主面と連続するフランジ部をさらに有し、
前記フランジ部は、前記側面と連続する第2上面を有し、
前記延伸部の第2下面は、前記フランジ部の前記第2上面と離隔するとともに、上面視において前記フランジ部の前記第2上面の一部に重なる、上記項7に記載の光学部材の製造方法。
[項9]
前記マスクの前記第1下面と前記透光性部材の前記第1主面との間の第1距離は、前記延伸部の側面と前記透光性部材の前記第1側面との間の第2距離よりも小さい、上記項7または8に記載の光学部材の製造方法。
[項10]
前記中間体は、前記基台上において隣り合って配置された少なくとも2つの前記透光性部材を有し、
前記延伸部は、前記2つの透光性部材の前記第1側面間に位置する、上記項7~9のいずれか1つに記載の光学部材の製造方法。
[項11]
前記中間体は、前記基台上に配置された複数の前記透光性部材を有し、
前記マスクは、複数の前記開口部を有し、
前記複数の透光性部材のそれぞれに前記マスクの前記開口部を配置した状態で、前記マスクの上方を前記複数の透光性部材が並ぶ方向に沿って走査されるノズルから、前記樹脂部材をそれぞれの前記透光性部材に供給する、上記項1~10のいずれか1つに記載の光学部材の製造方法。
[項12]
1つの前記透光性部材に対して複数回に分けて前記樹脂部材を供給する、上記項11に記載の光学部材の製造方法。
[項13]
前記基台は、紫外線硬化型の粘着シートであり、
前記樹脂部材を前記透光性部材の前記第1主面及び前記第1側面に配置する工程において、前記樹脂部材は液状の状態で前記透光性部材に供給された後、紫外線の照射により硬化され、
前記樹脂部材を硬化させるとき、前記基台の粘着力を低下させる、上記項1~12のいずれか1つに記載の光学部材の製造方法。
[項14]
第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、前記第1主面と連続する第1側面および前記第1側面と連続する窪みを含む側面と、を有する透光性部材と、
前記窪みの少なくとも一部、前記第1主面、及び前記第1側面に配置された樹脂部材と、
を備え、
前記透光性部材の前記第1側面に配置される前記樹脂部材の最大厚さは、前記透光性部材の前記第1主面に配置される前記樹脂部材の最大厚さよりも薄い、光学部材。
[項15]
前記透光性部材の前記第1主面の中心に位置する前記樹脂部材の最大厚さは、前記第1主面の端部に位置する前記樹脂部材の最大厚さよりも厚い、上記項14に記載の光学部材。
[項16]
上記項14または15に記載の光学部材と、
前記光学部材の前記第2主面に対向する光源と、
を備える、発光モジュール。
【0079】
以上、具体例を参照しつつ、本開示に係る実施形態について説明した。しかし、本開示は、これらの具体例に限定されるものではない。本開示の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本開示の要旨を包含する限り、本開示の範囲に属する。その他、本開示の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本開示の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0080】
1…光学部材、10…透光性部材、11…第1主面、11a…第1主面の外縁、11c…第1主面の中心、11e…第1主面の端部、12…第2主面、13…第1側面、14…窪み、15…第2側面、16…側面、17…フランジ部、17a…第2上面、20…基台、21…上面、30…中間体、40…マスク、40a…マスクの内縁、41…第1上面、42…第1下面、43…開口部、44…内側面、45…外側面、46…延伸部、47…第2下面、48…延伸部の側面、50…樹脂部材、60…光源、70…基板、80…接合部材、100…発光モジュール、140…マスク
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12