(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122600
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ウェーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240902BHJP
B23K 26/53 20140101ALI20240902BHJP
【FI】
H01L21/304 631
H01L21/304 601Z
B23K26/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030229
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】喜多 直紀
【テーマコード(参考)】
4E168
5F057
【Fターム(参考)】
4E168AE01
4E168HA01
4E168JA12
4E168JA13
5F057AA05
5F057AA06
5F057BA11
5F057BB03
5F057BB06
5F057BB12
5F057BC03
5F057BC06
5F057BC10
5F057CA14
5F057CA15
5F057CA16
5F057DA08
5F057DA11
5F057DA22
5F057DA31
5F057FA13
5F057FA28
5F057FA30
5F057GA27
(57)【要約】
【課題】円形凹部が形成されたウェーハの撓みを抑制することができるウェーハの加工方法を提供すること。
【解決手段】ウェーハの加工方法は、ウェーハ裏面の中央に円形凹部を形成することで円形凹部を囲繞する環状凸部を形成する凹部形成ステップ103と、凹部形成ステップ103を実施する前または後に、ウェーハに対して透過性を有する波長のレーザビームを環状凸部に照射して改質層を形成する改質層形成ステップ102と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの加工方法であって、
ウェーハ裏面の中央に凹部を形成することで該凹部を囲繞する環状凸部を形成する凹部形成ステップと、
該凹部形成ステップを実施する前または後に、ウェーハに対して透過性を有する波長のレーザビームを該環状凸部に照射して改質層を形成する改質層形成ステップと、を備えたウェーハの加工方法。
【請求項2】
該凹部形成ステップを実施する前に該改質層形成ステップを実施する、請求項1に記載のウェーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、薄化後のウェーハのハンドリングを容易にすべく、ウェーハ裏面の中央を研削して凹部を形成するとともに凹部を囲繞する外周凸部を形成する加工方法(例えば、特許文献1参照)が用いられている。
【0003】
特許文献1に示された加工方法により凹部が形成されたウェーハは、ウェーハの裏面に金属膜を成膜した後、ウェーハを個々のデバイスへと分割されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ウェーハを研削して例えば100μm以下へと薄く形成すると、凹部に相当するウェーハが撓んでしまうことがある。ウェーハが撓むと、カセットへの収容が困難になる上破損リスクが高まるため、改善が切望されている。
【0006】
本発明の目的は、凹部が形成されたウェーハの撓みを抑制することができるウェーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウェーハの加工方法は、ウェーハの加工方法であって、ウェーハ裏面の中央に凹部を形成することで該凹部を囲繞する環状凸部を形成する凹部形成ステップと、該凹部形成ステップを実施する前または後に、ウェーハに対して透過性を有する波長のレーザビームを該環状凸部に照射して改質層を形成する改質層形成ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
前記ウェーハの加工方法において、該凹部形成ステップを実施する前に該改質層形成ステップを実施しても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、凹部が形成されたウェーハの撓みを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハを模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、
図2に示されたウェーハの加工方法のテープ貼着ステップを模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示されたウェーハの加工方法の改質層形成ステップにおいて、レーザ加工装置がウェーハを吸引保持した状態を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示されたウェーハの加工方法の改質層形成ステップにおいて、レーザ加工装置がウェーハに改質層を形成する状態を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示されたウェーハの加工方法の改質層形成ステップにおいて、改質層が形成されたウェーハを模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図2に示されたウェーハの加工方法の改質層形成ステップにおいて、改質層が形成されたウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図2に示されたウェーハの加工方法の凹部形成ステップにおいてウェーハの裏面の中央を粗研削加工する状態を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図2に示されたウェーハの加工方法の凹部形成ステップにおいてウェーハの裏面に粗研削加工により形成された凹部の底を仕上げ研削する状態を模式的に示す断面図である。
【
図10】
図10は、
図2に示されたウェーハの加工方法の凹部形成ステップ後のウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図2に示されたウェーハの加工方法の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウェーハの加工方法を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハを模式的に示す斜視図である。
図2は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【0013】
(ウェーハ)
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、
図1に示すウェーハ1を加工する加工方法である。実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象の
図1に示すウェーハ1は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを基板2とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。ウェーハ1は、
図1に示すように、基板2の表面3にデバイス領域4と、デバイス領域4を囲繞する外周余剰領域5とを備える。
【0014】
デバイス領域4は、基板2の表面3に格子状に設定された分割予定ライン6と、分割予定ライン6によって区画された各領域に形成されたデバイス7と、を有している。
【0015】
デバイス7は、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)又は半導体メモリ(半導体記憶装置)である。外周余剰領域5は、デバイス領域4を全周に亘って囲繞し、基板2の表面3にデバイス7が形成されていない領域である。なお、実施形態1では、ウェーハ1は、外径が、300mmである。
【0016】
(ウェーハの加工方法)
次に、実施形態1に係るウェーハの加工方法を説明する。実施形態1に係るウェーハの加工方法は、
図1に示されたウェーハ1を加工する加工方法である。実施形態1に係るウェーハの加工方法は、
図2に示すように、テープ貼着ステップ101と、改質層形成ステップ102と、凹部形成ステップ103とを備える。
【0017】
(テープ貼着ステップ)
図3は、
図2に示されたウェーハの加工方法のテープ貼着ステップを模式的に示す斜視図である。テープ貼着ステップ101は、ウェーハ1の表面3にテープ10を貼着するステップである。
【0018】
なお、実施形態1において、テープ10は、ウェーハ1と同径の円板状に形成され、非粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された基材層と、基材層に積層されかつ粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された糊層とを備え、糊層がウェーハ1の表面3に貼着される粘着テープ、又は、糊層を備えずに熱可塑性樹脂により構成されかつウェーハ1の表面に熱圧着される基材層のみから構成されるシートである。実施形態1において、テープ貼着ステップ101では、
図3に示すように、ウェーハ1の表面3にテープ10を相対させた後、ウェーハ1の表面3にテープ10を貼着する。
【0019】
(改質層形成ステップ)
図4は、
図2に示されたウェーハの加工方法の改質層形成ステップにおいて、レーザ加工装置がウェーハを吸引保持した状態を模式的に示す断面図である。
図5は、
図2に示されたウェーハの加工方法の改質層形成ステップにおいて、レーザ加工装置がウェーハに改質層を形成する状態を模式的に示す断面図である。
図6は、
図2に示されたウェーハの加工方法の改質層形成ステップにおいて、改質層が形成されたウェーハを模式的に示す平面図である。
図7は、
図2に示されたウェーハの加工方法の改質層形成ステップにおいて、改質層が形成されたウェーハを模式的に示す断面図である。
【0020】
改質層形成ステップ102は、凹部形成ステップ103を実施する前に、ウェーハ1に対して透過性を有する波長のレーザビーム25を凹部形成ステップ103で形成される環状凸部14(
図10に示す)に照射して改質層11を形成するステップである。このように、実施形態1において、ウェーハの加工方法は、凹部形成ステップ103を実施する前に、改質層形成ステップ102を実施する。改質層形成ステップ102では、レーザ加工装置20が、
図4に示すように、チャックテーブル21の保持面22にテープ10を介してウェーハ1の表面3側が載置されて、開閉弁23を開いて保持面22が吸引源24により吸引されて、ウェーハ1の表面3側を保持面22に吸引保持する。
【0021】
改質層形成ステップ102では、レーザ加工装置20が、
図5に示すように、ウェーハ1に対して透過性を有する波長のレーザビーム25の集光点26をウェーハ1の外周余剰領域5の内部に位置付け、チャックテーブル21を保持面22に対して直交する軸心回りに回転させて、ウェーハ1とレーザビーム照射ユニット27とをウェーハ1の外縁に沿って相対的に移動させながらウェーハ1の裏面8側からウェーハ1の外周余剰領域5にウェーハ1の外縁に沿ってパルス状のレーザビーム25を照射する。
【0022】
すると、ウェーハ1は、
図6及び
図7に示すように、レーザビーム25の波長がウェーハ1に対して透過性を有する波長であるために、ウェーハ1の外周余剰領域5の内部に、ウェーハ1の外縁に沿って改質層11が全周に亘って形成される。なお、改質層11とは、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味し、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、及びこれらの領域が混在した領域等を例示できる。なお、改質層11の機械的な強度は、ウェーハ1の改質層11以外の箇所の機械的な強度よりも低い。
【0023】
また、実施形態1において、改質層形成ステップ102では、集光点26を改質層11から伸展したクラック12(
図7に示す)がウェーハ1の外周余剰領域5の裏面8に表出する位置でかつウェーハ1を厚さ方向の2等分する位置よりも表面3寄りに位置付けてレーザビーム25をウェーハ1の外縁に沿って外周余剰領域5に照射する。また、実施形態1において、改質層形成ステップ102では、ウェーハ1の外周余剰領域5に径方向に間隔をあけて3本改質層11を形成する。
【0024】
(凹部形成ステップ)
図8は、
図2に示されたウェーハの加工方法の凹部形成ステップにおいてウェーハの裏面の中央を粗研削加工する状態を模式的に示す断面図である。
図9は、
図2に示されたウェーハの加工方法の凹部形成ステップにおいてウェーハの裏面に粗研削加工により形成された凹部の底を仕上げ研削する状態を模式的に示す断面図である。
図10は、
図2に示されたウェーハの加工方法の凹部形成ステップ後のウェーハを模式的に示す断面図である。
【0025】
凹部形成ステップ103は、ウェーハ1の裏面8の中央に円形凹部13(
図10に示し、凹部に相当する)を形成することで円形凹部13を囲繞する環状凸部14(
図10に示す)を形成するステップである。実施形態1において、凹部形成ステップ103は、ウェーハ1のデバイス領域4の裏面8を研削して、デバイス領域4の裏面8に円形凹部13(凹部に相当)を形成し、外周余剰領域5をデバイス領域4よりも厚い環状凸部14(凸部に相当)に形成する、所謂TAIKO(登録商標)研削するステップである。
【0026】
実施形態1において、凹部形成ステップ103では、研削装置30が、チャックテーブル31の保持面32にテープ10を介してウェーハ1の表面3側が載置されて、開閉弁33を開いて保持面32が吸引源34により吸引されて、ウェーハ1の表面3側を保持面32に吸引保持する。実施形態1において、凹部形成ステップ103では、研削装置30が、
図8に示すように、スピンドル37により粗研削用の研削ホイール35を軸心回りに回転しかつチャックテーブル31を軸心回りに回転し、研削液ノズルから研削液を供給しつつ、研削ホイール35の粗研削用の研削砥石36をウェーハ1の少なくともデバイス領域4の裏面8に当接させてチャックテーブル31に所定の送り速度で近づけて、研削砥石45でウェーハ1のデバイス領域4の裏面8を粗研削する。
【0027】
なお、実施形態1では、研削ホイール35は、外径がウェーハ1の半径よりも小さくデバイス領域4の半径と同等程度(実施形態1では、デバイス領域4の半径と等しい)である。また、実施形態1において、凹部形成ステップ103では、研削装置30が、研削ホイール35の粗研削用の研削砥石36をウェーハ1の中心上を通過するようにデバイス領域4の裏面8に当接させて、裏面8を粗研削して、デバイス領域4の裏面8に凹部15を形成する。
【0028】
実施形態1において、凹部形成ステップ103では、研削装置30が、ウェーハ1のデバイス領域4の厚さが所定の厚さになると、研削ホイール35をウェーハ1の裏面8から遠ざける。実施形態1において、凹部形成ステップ103では、研削装置30が、
図9に示すように、スピンドル40により仕上げ研削用の研削ホイール38を軸心回りに回転しかつチャックテーブル31を軸心回りに回転し、研削液ノズルから研削液を供給しつつ、研削ホイール38の仕上げ研削用の研削砥石39をウェーハ1のデバイス領域4の裏面8に形成された凹部15の底に当接させてチャックテーブル31に所定の送り速度で近づけて、研削砥石39でウェーハ1のデバイス領域4の裏面8に形成された凹部15の底を粗研削する。
【0029】
なお、実施形態1では、研削ホイール38は、外径がウェーハ1の半径よりも小さくデバイス領域4の半径と同等程度(実施形態1では、デバイス領域4の半径と等しい)である。また、実施形態1において、凹部形成ステップ103では、研削装置30が、研削ホイール38の仕上げ研削用の研削砥石39をウェーハ1の中心上を通過し、仕上げ研削用の研削ホイール38を粗研削用の研削ホイール35よりもウェーハ1の内周側に位置付けて、仕上げ研削用の研削ホイール38で凹部15の底を仕上げ研削して、円形凹部13を形成する。
【0030】
実施形態1において、凹部形成ステップ103では、研削装置30が、ウェーハ1のデバイス領域4の厚さが所定の厚さ(例えば、0μ以上を超えかつ10μm以下であり、実施形態1では、10μmである)になると、研削ホイール38をウェーハ1の裏面8から遠ざける。こうして、実施形態1において、凹部形成ステップ103では、研削装置30は、
図10に示すように、ウェーハ1の裏面8の中央即ちデバイス領域4の裏面8に円形凹部13を形成するとともに、円形凹部13を囲繞する環状凸部14を形成する。
【0031】
円形凹部13は、裏面8のデバイス領域4と厚さ方向に重なる領域に形成され、環状凸部14は、裏面8の外周余剰領域5と厚さ方向に重なる領域に形成される。このために、改質層形成ステップ102では、レーザビーム25を環状凸部14に照射して、環状凸部14に改質層11を形成することとなる。
【0032】
このように、凹部形成ステップ103後のウェーハ1の裏面8は、中央に形成された円形凹部13と、円形凹部13を囲う環状凸部14とを有して、デバイス領域4と外周余剰領域5との間に段差が形成されている。また、ウェーハ1の表面3は、デバイス領域4と外周余剰領域5とに亘って同一平面に形成されている。なお、円形凹部13の底面は、研削装置により研削加工等が施された研削面である。また、実施形態1において、円形凹部の底面には、
図10に示すように、ウェーハ1と同軸の段差16が形成されている。
【0033】
こうして円形凹部13が形成されたウェーハ1は、円形凹部13の底面に金属膜が成膜された後、個々のデバイス7へと分割される。
【0034】
以上説明したように、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、改質層形成ステップ102において環状凸部14に改質層11を形成することで、環状凸部14が膨張するため、凹部形成ステップ103後のウェーハ1の特に円形凹部13の撓みを解消できる。また、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、改質層形成ステップ102において環状凸部14にウェーハ1の外縁に沿って改質層11を形成するので、環状凸部14がウェーハ1の径方向に膨張するため、円形凹部13に径方向に沿って縮小する応力が作用することとなる。
【0035】
その結果、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、凹部形成ステップ103後のウェーハ1の特に円形凹部13の撓みを抑制でき、円形凹部13が形成されたウェーハ1の撓みを抑制することができるという効果を奏する。
【0036】
また、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、凹部形成ステップ103を実施する前に改質層形成ステップ102を実施するので、円形凹部13をウェーハ1に形成する前にウェーハ1のデバイス領域4に径方向に沿って縮小する応力が作用させることができ、凹部形成ステップ103において円形凹部13が形成されても撓みを抑制でき、ウェーハ1の搬送が容易になるとともにウェーハ1の破損リスクを抑制できる。
【0037】
次に、本発明の発明者は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の効果を確認した。結果を表1に示す。表1の本発明品は、外径が300mmでかつ厚さが775mmのウェーハ1に、実施形態1に係るウェーハの加工方法を施して、円形凹部13の厚さを80μmへと薄化し、ウェーハ1の環状凸部14のみを支持した際の中心と外縁との軸心方向の位置ずれを撓みとして測定した。表1の比較例は、改質層形成ステップ102を実施することなく外径が300mmでかつ厚さが775mmのウェーハ1に、凹部形成ステップ103のみを施して、円形凹部13の厚さを80μmへと薄化し、ウェーハ1の環状凸部14のみを支持した際の中心と外縁との軸心方向の位置ずれを撓みとして測定した。
【0038】
【0039】
表1によれば、比較例の撓みが410μmであるのに対し、本発明品の撓みが347μmであり、実施形態1に係るウェーハの加工方法を施すことにより撓みが63μm(15%)ほど抑制できた。このために、表1によれば、改質層形成ステップ102において環状凸部14に改質層11を形成することにより、円形凹部13が形成されたウェーハ1の撓みを抑制することができることが明らかとなった。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明は、
図11に示すように、凹部形成ステップ103を実施した後に、改質層形成ステップ102を実施しても良い。なお、
図11は、
図2に示されたウェーハの加工方法の変形例を示すフローチャートである。
図11は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【符号の説明】
【0041】
1 ウェーハ
8 裏面
11 改質層
13 円形凹部(凹部)
14 環状凸部
25 レーザビーム
102 改質層形成ステップ
103 凹部形成ステップ