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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122775
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】コラーゲン高含有飲食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20240902BHJP
   A23L 2/56 20060101ALI20240902BHJP
   A23L 2/66 20060101ALI20240902BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240902BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20240902BHJP
   A23L 29/281 20160101ALI20240902BHJP
【FI】
A23L2/00 B
A23L2/56
A23L2/66
A23L5/00 M
A23L29/00
A23L29/281
A23L5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030507
(22)【出願日】2023-02-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大久保 絢夏
(72)【発明者】
【氏名】野口 裕介
【テーマコード(参考)】
4B035
4B041
4B117
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LC06
4B035LE03
4B035LE20
4B035LG04
4B035LG05
4B035LG07
4B035LG15
4B035LG19
4B035LG42
4B035LK02
4B035LK03
4B041LC01
4B041LC10
4B041LD10
4B041LK05
4B041LK06
4B041LK07
4B041LK16
4B041LK36
4B117LC02
4B117LC04
4B117LK06
4B117LK07
4B117LK08
4B117LK12
4B117LK15
4B117LK17
4B117LL01
4B117LL02
4B117LL09
4B117LP01
(57)【要約】
【課題】
コラーゲンを一定量以上含有する飲食品における、コラーゲン特有の異風味をマスキングした飲食品の提供を課題とする。
【解決手段】
酪酸エチルと、5質量%以上のコラーゲンと、を含む飲食品。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酪酸エチルと、5質量%以上のコラーゲンと、を含む飲食品。
【請求項2】
酪酸エチルと、コラーゲンと、の含有質量比が、
1:400~1:800の範囲内にある、請求項1に記載の飲食品。
【請求項3】
前記飲食品は、
リナロール、リモネン、ラクトン類から選ばれる1種又は2種以上を含む、
請求項1又は2に記載の飲食品。
【請求項4】
リナロール、リモネン、ラクトン類からなる群から選ばれる、1種又は2種以上の物質と、コラーゲンと、の含有質量比が、
1:400~1:500の範囲内にある、請求項3に記載の飲食品。
【請求項5】
酪酸エチルと、リナロール及び/又はリモネンと、の含有質量比が、
1:1~1:3.3の範囲内にある、請求項3に記載の飲食品。
【請求項6】
酪酸エチルと、ラクトン類と、の含有質量比が、
1:0.8~1:2の範囲内にある、請求項3に記載の飲食品。
【請求項7】
前記ラクトン類がδ-デカラクトン及び/又はδ-ドデカラクトンである、請求項3に記載の飲食品。
【請求項8】
コラーゲンを含む飲食品の製造方法であって、
コラーゲン5質量%以上と酪酸エチルとを混合する工程を含む、飲食品の製造方法。
【請求項9】
酪酸エチルを有効成分とする、コラーゲン5質量%以上含む飲食品のコラーゲン臭抑制方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風味の良いコラーゲン高含有飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コラーゲンを含有する飲料が広く流通している。
コラーゲンは、真皮、靭帯、腱、軟骨および骨などを構成する成分の1つである。コラーゲンを経口摂取することにより、肌質の改善などの効果があることが報告されている。
しかし、コラーゲンには特有の臭気や呈味(以降、異風味と記載する)があり、飲食品に添加すると風味を損ねる場合があった。
【0003】
ここで、特許文献1には、プラセンタエキス及び/又はコラーゲンペプチドの有する独特のにおいや味をマスキングした、経口用組成物が記載されている。そして、特許文献1に記載されているように、コラーゲン臭を抑制する方法として、リナロールとγ-デカラクトンを添加することが知られている。
さらに、特許文献2には、コラーゲンペプチドに起因する臭いを抑制するために、リナロール及び酢酸エチルを添加する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-041696号公報
【特許文献2】特開2018-042575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新たな嗜好性をもった飲食品が種々提案されている中、新規のコラーゲン飲食品の更なる開発が求められていた。
また、新たな嗜好性をもった飲食品の開発にあたり、コラーゲン含有質量を多くした場合には、コラーゲン特有の異風味を感じやすいという課題があった。
【0006】
上記事情に鑑みなされた本発明は、コラーゲンを一定量以上含有する飲食品における、コラーゲン特有の異風味をマスキングした飲食品の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意研究したところ、コラーゲンを一定量以上含有する飲食品を製造するにあたり、酪酸エチルをはじめとして、リナロール、リモネン、ラクトン類などの特定の成分が、コラーゲン特有の異風味のマスキング効果を有する事を見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、上記課題を解決する本発明は、酪酸エチルと、5質量%以上のコラーゲンと、を含む飲食品である。
本発明によれば、酪酸エチルがコラーゲン特有の異風味をマスキングするため、風味の良いコラーゲン含有飲食品を提供することができる。
そして、本発明によれば、コラーゲンを下限値以上含む場合であっても、コラーゲン特有の異風味をマスキングすることができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、酪酸エチルと、コラーゲンと、の含有質量比が、1:400~1:800の範囲内にある。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記飲食品は、
リナロール、リモネン、ラクトン類から選ばれる1種又は2種以上を含む。
本発明者らは、リナロール、リモネン、ラクトン類がコラーゲン特有の異風味をマスキングすることをさらに見出した。そのため、本発明によれば、上記の物質を含む事で、コラーゲンを下限値以上含む場合であっても、コラーゲン特有の異風味をマスキングすることができる。さらに、上記の物質を含む形態とすることで、喫食開始から連続して、コラーゲン特有の異風味をマスキングすることができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、リナロール、リモネン、ラクトン類からなる群から選ばれる、1種又は2種以上の物質と、コラーゲンと、の含有質量比が、
1:400~1:500の範囲内にある。
【0012】
本発明の好ましい形態では、
酪酸エチルと、リナロール及び/又はリモネンと、の含有質量比が、1:1~1:3.3の範囲内にある。
【0013】
本発明の好ましい形態では、酪酸エチルと、ラクトン類と、の含有質量比が、1:0.8~1:2の範囲内にある。
本発明における、各成分の含有質量比を上記の範囲内とすることで、コラーゲン特有の異風味をより確実にマスキングすることができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記ラクトン類がδ-デカラクトン及び/又はδ-ドデカラクトンである。
【0015】
また、本発明は、
コラーゲンを含む飲食品の製造方法であって、
コラーゲン5質量%以上と酪酸エチルとを混合する工程を含む、飲食品の製造方法でもある。
本発明によれば、コラーゲン特有の異風味をマスキングした、コラーゲンを一定量以上含有する飲食品を製造することができる。
【0016】
また、本発明は、
酪酸エチルを有効成分とする、コラーゲン5質量%以上含む飲食品のコラーゲン臭抑制方法でもある。
本発明によれば、コラーゲンを高濃度含有する飲食品の、コラーゲン特有の異風味を抑制する方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コラーゲンを高濃度で含有する飲食品であっても、コラーゲン特有の異風味の改善された飲食品を提供することができる。また、本発明によれば、高い嗜好性をもった飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、特許請求の範囲に記載された範囲内において適宜変更が可能である。
【0019】
本発明において「コラーゲン特有の異風味をマスキングする」とは、特定の物質を添加することで、当該物質を添加する前と比較して、コラーゲンを一定量以上含む飲食品におけるコラーゲン由来の異風味を低減させることを、意味する。
【0020】
本明細書において、風味とは飲食品を口に含んだ時に感じられる香りや味わいを意味する。
【0021】
ここで、本発明者らが鋭意検討したところ、コラーゲンを一定量以上含む飲食品におけるコラーゲン由来の異風味は、喫食開始時を起点として3つに分けられることがわかった。
このコラーゲンを一定量以上含む飲食品におけるコラーゲン由来の異風味を、本明細書においては、揮発速度が最も早く、喫食の際に最初に感じる風味をトップノート、中盤に感じる風味をミドルノート、中盤から最後に感じる風味をラストノートという。
【0022】
具体的には、風味のトップノートとは、喫食直前から、喫食開始時点までの間の数秒程度、鼻孔を通して喫食者の鼻腔で感じられる(オルソネーザル経路で感じられる)香りや味わいをいう。
さらに、風味のミドルノートとは、トップノートを感じた後鼻腔で感じられる香りや味わいをいう。
風味のラストノートとは、喫食後、飲食品を飲み込んだ後に、口腔内を通して喫食者の鼻腔で感じられる(レトロネーザル経路で感じられる)香りや味わいをいう。
ここで、以降説明するように、本発明で用いる成分ごとに、特に効果を発揮するタイミングが異なる。
【0023】
<飲食品>
以下、本発明の飲食品に含まれる、各成分の好ましい形態を説明する。
なお、本明細書における各成分の含有質量(濃度)、物性値に関する記載において、「飲食品全体」とは、特に断りがない限り容器内に収容される可食部分全体を示し、容器は含まない。
【0024】
[コラーゲン]
以下、コラーゲンついて、より好ましい形態を説明する。
以下の説明の成分質量比は、特段指定のないときには、製造した飲食品におけるコラーゲンの成分質量比を指す。
【0025】
本発明の飲食品に含まれるコラーゲンは、その起源に特に制限はない。
本発明の飲食品に用いるコラーゲンとしては、例えば、魚、鳥、牛、豚由来のコラーゲンを挙げることができる。
なお、コラーゲンを天然物から調製する場合には、その調製方法に特に限定はなく、常法により天然物から調製する方法を採用することができる。なお、コラーゲンは市販されている医薬品原料又は食品原料であってもよい。
【0026】
また、本発明でいうコラーゲンには、コラーゲンを酵素処理により分解、低分子化したもの(コラーゲンペプチド)も含まれる。
【0027】
ここで、本発明の飲食品に含まれるコラーゲンペプチドの平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、さらに好ましくは900以上である。
また、本発明の飲食品に含まれるコラーゲンペプチドの平均分子量は、好ましくは10,000以下、より好ましくは5,000以下、さらに好ましくは3,000以下である。
【0028】
ここで、コラーゲンの平均分子量を算出する方法は、製品中のコラーゲンの分子量の組成から分子量の平均を算出することのできる方法であれば特に制限はなく、例えば、高速液体クロマトグラフィ装置を用いた定量分析により平均分子量の算出する方法、ELISA法を用いて定量した後に電気泳動処理に施し平均分子量の算出する方法、を挙げることができる。
【0029】
飲食品におけるコラーゲン含有質量は、5質量%以上であり、好ましくは6質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。
本発明においては、コラーゲンを下限値以上含む飲食品においても、コラーゲン由来の異風味を、低減させることができる。
【0030】
また、飲食品におけるコラーゲン含有質量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
【0031】
[酪酸エチル]
本発明における酪酸エチルは、CCOOCで示される有機化合物であり、果実臭を有する。
【0032】
本発明における飲食品に含まれる酪酸エチルの濃度は、好ましくは飲食品全体に対し1ppm以上、より好ましくは10ppm以上、さらに好ましくは100ppm以上である。
また、酪酸エチル濃度の上限値は特に限定されないが、好ましくは飲食品全体に対し、350ppm以下、より好ましくは250ppm以下、さらに好ましくは150ppm以下である。
【0033】
本発明における酪酸エチルは、人工的に化学合成したものであっても、天然物に由来するものであってもよい。好ましくは天然物由来の酪酸エチルを使用する。また、市販されているものを購入して入手したものであってもよい。
【0034】
本発明において、酪酸エチルを添加することで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品においても、コラーゲン由来の異風味を、低減させることができる。
特に、酪酸エチルを添加する形態とすることで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品における異風味のうち、トップノートをマスキングすることができる。
【0035】
[リナロール]
本発明のより好ましい実施の形態では、リナロールを含む。
ここで、リナロールとは、C1018Oで表されるモノテルペンアルコールの一種である。
【0036】
本発明におけるリナロールの濃度は、好ましくは飲食品全体に対し0.001ppm以上、より好ましくは1ppm以上、さらに好ましくは10ppm以上、さらに好ましくは50ppm以上、特に好ましくは100ppm以上である。
【0037】
また、リナロールの濃度の上限値は特に限定されないが、好ましくは飲食品全体に対し500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下である。
【0038】
本発明におけるリナロールは、人工的に化学合成したものであっても、天然物に由来するものであってもよい。好ましくは天然物由来のリナロールを使用する。また、市販されているものを購入して入手したものであってもよい。
本発明において、リナロールを添加することで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品においても、コラーゲン由来の異風味を、低減させることができる。
特に、リナロールを添加する形態とすることで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品における異風味のうち、トップノートからラストノートをマスキングすることができる。
【0039】
[リモネン]
本発明のより好ましい実施の形態では、リモネンを含む。
ここで、リモネンとは、C1016で示される、単環式のモノテルペンである。
【0040】
本発明におけるリモネンの濃度は、好ましくは飲食品全体に対し1ppm以上、より好ましくは10ppm以上、さらに好ましくは50ppm以上、さらに好ましくは100ppm以上である。
【0041】
また、リモネンの濃度の上限値は特に限定されないが、好ましくは飲食品全体に対し500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下である。
本発明におけるリモネンは、人工的に化学合成したものであっても、天然物に由来するものであってもよい。好ましくは天然物由来のリモネンを使用する。また、市販されているものを購入して入手したものであってもよい。
【0042】
本発明において、リモネンを添加することで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品においても、コラーゲン由来の異風味を、低減させることができる。
特に、リモネンを添加する形態とすることで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品における異風味のうち、トップノートからミドルノートをマスキングすることができる。
【0043】
[ラクトン類]
本発明のより好ましい実施の形態では、ラクトンを含む。
ここで、飲食品に含まれるラクトンとは、炭素原子が2個以上、酸素原子が1個からなる複素環式化合物を意味する。
【0044】
本発明におけるラクトンの濃度は、好ましくは飲食品全体に対し0.0001ppm以上、より好ましくは0.001ppm以上、より好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.1ppm以上、特に好ましくは1ppm以上である。
【0045】
また、ラクトンの濃度の上限値は特に限定されないが、好ましくは飲食品全体に対し100ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは400ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。
【0046】
本発明の飲食品に含まれるラクトンとしては、好ましくはデカラクトン及び/又はドデカラクトンを用いることができる。
【0047】
本発明の好ましい形態では、デカラクトンを飲食品全体に対し、0.0001ppm以上、より好ましくは0.001ppm以上、さらに好ましくは0.01ppm以上、さらに好ましくは0.1ppm以上、さらに好ましくは1ppm以上、特に好ましくは10ppm以上含む。
【0048】
本発明の好ましい形態では、ドデカラクトンを飲食品全体に対し、0.0001ppm以上、より好ましくは0.001ppm以上、より好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.1ppm以上、特に好ましくは1ppm以上含む。
【0049】
また、本発明のより好ましい実施の形態では、デカラクトン及びドデカラクトンを同時に含む。
【0050】
また、本発明のより好ましい実施の形態では、前記のラクトンは、δ-デカラクトン及び/又はδ-ドデカラクトンである。
【0051】
本発明において、デカラクトン及びドデカラクトンを同時に含む場合、ラクトンの濃度の合計値の上限は特に限定されないが、好ましくは飲食品全体に対し1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは400ppm以下である。
【0052】
本発明におけるラクトンは、人工的に化学合成したものであっても、天然物に由来するものであってもよい。好ましくは天然物由来のラクトンを使用する。また、ラクトンは、市販されているものであってもよい。
【0053】
本発明において、ラクトンを添加することで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品においても、コラーゲン由来の異風味を、低減させることができる。
特に、デカラクトンを添加する形態とすることで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品における異風味のうち、ミドルからラストノートかけての異風味をマスキングすることができる。
また、ドデカラクトンを添加する形態とすることで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品における異風味のうち、トップからラストノートかけての異風味をマスキングすることができる。
【0054】
以下、本発明における、コラーゲンと各成分の含有質量比について、より好ましい実施の形態を説明する。
【0055】
本発明の好ましい形態は、コラーゲンと酪酸エチルを含む。
本発明における、酪酸エチルと、コラーゲンとの含有質量比は、好ましくは1:100~1:10000、より好ましくは1:100~1:5000、さらに好ましくは1:100~1:1000、特に好ましくは1:400~1:800の範囲である。
【0056】
また、コラーゲン/酪酸エチルの比は、好ましくは250以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは400以上である。
コラーゲン/酪酸エチルの比の上限は特に限定されないが、好ましくは100000以下、より好ましくは1000以下、さらに好ましくは5000以下、さらに好ましくは1000以下、特に好ましくは800以下である。
【0057】
上記形態とすることで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品においても、コラーゲン由来の異風味を、低減させることができる。
特に、本発明によれば、多量のコラーゲンに対して触媒量の成分を用いることのみをもって、コラーゲンを一定量以上含む飲食品におけるコラーゲン特有の異風味を低減することができる。
【0058】
ここで、コラーゲン/酪酸エチルの比は、各々測定した飲食品中のコラーゲン含有質量を酪酸エチル含有質量で割ることで、算出することができる。
また、飲食品中のコラーゲンと酪酸エチルの含有質量は、公知の成分分析方法により、測定することができる。
【0059】
本発明の好ましい形態では、さらに、リナロール、リモネン、ラクトン類から選ばれる1種又は2種以上を含む。
【0060】
本発明における、リナロールと、コラーゲンとの含有質量比は、好ましくは1:100~1:5000000、より好ましくは1:100~1:50000、より好ましくは1:100~1:5000、さらに好ましくは1:100~1:5000、特に好ましくは1:400~1:500の範囲である。
【0061】
本発明における、リモネンと、コラーゲンとの含有質量比は、好ましくは1:100~1:5000000、より好ましくは1:100~1:50000、より好ましくは1:100~1:5000、さらに好ましくは1:100~1:5000、特に好ましくは1:400~1:500の範囲である。
【0062】
本発明における、ラクトン類と、コラーゲンとの含有質量比は、好ましくは1:100~1:5000000、より好ましくは1:100~1:50000、より好ましくは1:100~1:5000、さらに好ましくは1:100~1:5000、特に好ましくは1:400~1:500の範囲である。
【0063】
本発明における、リナロール、リモネン、ラクトン類からなる群から選ばれる、1種又は2種以上の物質と、コラーゲンとの含有質量比は、好ましくは1:100~1:5000000、より好ましくは1:100~1:50000、より好ましくは1:100~1:5000、さらに好ましくは1:100~1:5000、特に好ましくは1:400~1:500の範囲である。
なお、リナロール、リモネン、ラクトン類からなる群から選ばれる、複数の種類の物質を含むときは、各成分それぞれの含有質量比を1として、コラーゲンの含有質量比が上記の範囲内となるように含むことが好ましい。
【0064】
また、コラーゲン/リナロールの比は、好ましくは400以上、より好ましくは600以上、さらに好ましくは800以上である。
コラーゲン/リナロールの比の上限は特に限定されないが、好ましくは5000000以下、より好ましくは50000以下、さらに好ましくは5000以下、さらに好ましくは3000以下、特に好ましくは1500以下である。
【0065】
また、コラーゲン/リモネンの比は、好ましくは400以上、より好ましくは600以上、さらに好ましくは800以上である。
コラーゲン/リモネンの比の上限は特に限定されないが、好ましくは5000000以下、より好ましくは50000以下、さらに好ましくは5000以下、さらに好ましくは3000以下、特に好ましくは1500以下である。
【0066】
また、コラーゲン/ラクトン類の比は、好ましくは400以上、より好ましくは600以上、さらに好ましくは800以上である。
コラーゲン/ラクトン類の比の上限は特に限定されないが、好ましくは5000000以下、より好ましくは50000以下、さらに好ましくは5000以下、さらに好ましくは3000以下、特に好ましくは1500以下である。
【0067】
上記形態とすることで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品においても、コラーゲン由来の異風味を、低減させることができる。
特に、本発明によれば、多量のコラーゲンに対して触媒量の成分を用いることのみをもって、コラーゲンを一定量以上含む飲食品におけるコラーゲン特有の異風味を低減することができる。
【0068】
ここで、コラーゲン/リナロール、リモネン又はラクトン類の比は、各々測定した飲食品中のコラーゲン含有質量を酪酸エチル含有質量で割ることで、算出することができる。
また、上記と同様に飲食品中のリナロール、リモネン又はラクトン類の含有質量は、公知の成分分析方法により、測定することができる。
【0069】
本発明の好ましい形態では、コラーゲン及び酪酸エチル、並びにリナロール、リモネン、ラクトン類から選ばれる1種類、より好ましくは2種類、さらに好ましくはすべての物質を含む。
上記の通り、各成分によってマスキングできる風味のタイミングが異なる。このため、前記物質をすべて含む形態とすることで、喫食中に感じるコラーゲン特有の異風味全体をマスキングすることができる。
【0070】
以下、マスキング効果を発揮する各成分の組み合わせにかかる、好ましい含有量について、詳細を説明する。
【0071】
本発明の好ましい形態は、酪酸エチルと、リナロール及び/又はリモネンとの含有質量比が、好ましくは1:0.1~1:10、より好ましくは1:0.5~1:5、さらに好ましくは1:1~3.3の範囲である。
なお、リナロール及びリモネンを同時に含む場合、酪酸エチルの含有質量比1として、リナロール及びリモネンそれぞれの含有質量比が、上記の範囲内となるように含むことが好ましい。
【0072】
また、酪酸エチル/リナロールの比は、好ましくは0.0001以上、より好ましくは0.001以上、さらに好ましくは0.1以上である。
酪酸エチル/リナロールの比の上限は特に限定されないが、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは1以下である。
【0073】
また、酪酸エチル/リモネンの比は、好ましくは0.0001以上、より好ましくは0.001以上、さらに好ましくは0.1以上である。
酪酸エチル/リモネンの比の上限は特に限定されないが、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.005以下、さらに好ましくは0.0005以下である。
上記形態とすることで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品においても、コラーゲン由来の異風味を、低減させることができる。
ここで、酪酸エチル/リナロール又はリモネンの比は、各々測定した飲食品中の酪酸エチル含有質量をリナロール、又はリモネン含有質量で割ることで、算出することができる。
【0074】
本発明の好ましい形態は酪酸エチルと、ラクトン類との含有質量比が、好ましくは1:0.1~1:10、より好ましくは1:0.5~1:5、さらに好ましくは1:0.8~1:2の範囲である。
なお、ラクトン類を複数種含む場合は、酪酸エチル1質量部に対し、ラクトン類それぞれを含有質量比が上記の範囲となるように含むことが好ましい。
【0075】
また、酪酸エチル/デカラクトン又はドデカラクトンの比は、好ましくは0.0001以上、より好ましくは0.001以上、さらに好ましくは0.01以上である。
酪酸エチル/デカラクトン又はドデカラクトンの比の上限は特に限定されないが、好ましくは1以下、より好ましくは0.1以下、さらに好ましくは0.01以下、特に好ましくは0.001以下である。
上記形態とすることで、コラーゲンを一定量以上含む飲食品においても、コラーゲン由来の異風味を、低減させることができる。
ここで、酪酸エチル/ラクトン類の比は、各々測定した飲食品中の酪酸エチル含有質量をラクトン類含有質量で割ることで、算出することができる。
【0076】
本発明において、各成分を上記の範囲で含むことで、喫食中に感じるコラーゲン特有の異風味全体を、より確実にマスキングすることができる。
また、上記携帯とすることで、多量のコラーゲンに対して触媒量の成分を用いることのみをもって、コラーゲンを一定量以上含む飲食品におけるコラーゲン特有の異風味を低減することができる。
【0077】
[果汁]
本発明において、飲食品には果汁が含まれていてもよい。
【0078】
果汁の原料となる果実は、野菜ジュース、果汁入り飲食品、フルーツジュース等で用いられるものであれば、濃縮果汁およびストレート果汁にかかわらず限定はされない。
【0079】
本発明の飲食品中の果汁含有質量は、好ましくはストレート換算で1質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。
また、本発明の飲食品中の果汁含有質量は、好ましくはストレート換算で50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
【0080】
なお、本発明の飲食品は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、通常飲食品に用いられる他の成分を任意に配合することができる。
かかる任意成分としては、例えば、甘味料、酸味料、香料、着色料、pH調製剤、可食性金属塩、賦形剤、アミノ酸、ビタミン類、ミネラル、抗酸化剤、保存料、抗菌剤、静菌剤を挙げることができる。
【0081】
本発明の好ましい形態は、天然甘味料を含む。
本発明において、天然甘味料の含有量は、飲食品全体に対して好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上である。
天然甘味料の含有量の上限は特に限定されないが、飲食品全体に対して好ましくは10質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下である。
【0082】
本発明において、甘味料として、好ましくはステビア及び/又は羅漢果(ラカンカ)を含む。
ステビアとラカンカを同時に含む場合、含有質量比は、好ましくは1:1~30:1、より好ましくは1:1~20:1、特に好ましくは1:1~19:1の範囲である。
また、ステビア/ラカンカの比は、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、特に好ましくは10以上である。
ステビア/ラカンカの比上限は特に限定されないが、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、特に好ましくは20以下である。
ここで、ステビア/ラカンカの比は、各々測定した飲食品中のステビア含有質量をラカンカ含有質量で割ることで、算出することができる。
また、飲食品中のステビアとラカンカの含有質量は、公知の成分分析方法により、測定することができる。
【0083】
ステビア及び/又はラカンカの天然甘味料を含む飲食品は、人工甘味料を使用した場合と比較して、コラーゲン特有の異風味を感じやすい傾向にあった。本発明によれば、天然甘味料を含む場合であっても、飲食品中のコラーゲン特有の異風味をより確実にマスキングできる。
【0084】
本発明の形態は、飲食品であれば特に限定されないが、好ましくは飲料である。
【0085】
本発明の飲食品のBrix値は、好ましくは10以上、より好ましくは15上である。
また、飲食品のBrix値は、好ましくは60以下、より好ましくは45以下、さらに好ましくは35以下である。
【0086】
なお、飲食品のBrix値を算出する方法としては、糖度計を用いてBrix値を測定する方法を挙げることができる。また、屈折計を用いてBrix値を算出する方法、飲食品中の糖分の濃度をBrix値検量線に照らしてBrix値を定める方法、等を挙げることができる。
【0087】
ここで、飲食品のBrix値は、飲食品中の可溶性固形分の含有質量を調整することで、調節することができる。
【0088】
飲食品のpHは、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。
また、飲食品のpHは、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4.5以下である。
【0089】
pH調製剤の種類は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、例えば、公知のpH調整剤を1種以上使用することにより適宜調整することが可能である。
【0090】
飲食品の20℃における粘度は、好ましくは2cP以上、より好ましくは3cP以上、より好ましくは5cP以上である。
また、飲食品の20℃における粘度は、好ましくは50cP以下、より好ましくは30cP以下である。
【0091】
20℃における飲食品の粘度には、B型粘度計(東京計器社製、20℃、測定時間60秒、ローターおよび回転数はサンプルの粘度に応じて適宜調整)を用いて測定した値を用いることができる。
【0092】
発明の飲食品に用いられる容器は、特に制限されず、紙容器、ペットボトル、ガラス瓶、缶の何れであってもよい。
【0093】
また、容器の容量にも、特に限定はない。
容器の容量は、好ましくは30mL以上、より好ましくは100mL以上である。
また、容器の容量は、好ましくは2000mL以下、より好ましくは1600mL以下、より好ましくは600mL以下である。
【0094】
<飲食品の製造方法>
以下、本発明の飲食品の製造方法について、説明する。
【0095】
本発明の飲食品の製造方法は、コラーゲン特有の異風味をマスキングした、コラーゲン高含有飲食品の製造方法であって、飲食品に、5質量%以上のコラーゲンと酪酸エチルとを混合する工程を含む。
【0096】
本発明の製造方法によれば、コラーゲン特有の異風味をマスキングした、コラーゲン高含有飲食品を効率よく製造することができる。
【0097】
また、本発明の飲食品の製造方法における好ましい実施の形態(各成分や物性)は、前述した本発明の飲食品の説明を援用できる。
【0098】
<コラーゲン臭抑制方法>
以下、本発明のコラーゲン臭抑制方法について、説明する。
本発明のコラーゲン臭抑制方法は、コラーゲン5質量%以上含む飲食品の、コラーゲン臭の抑制方法であって、コラーゲン5質量%以上含む飲食品に、酪酸エチルを混合する工程を含む。
【0099】
また、本発明のコラーゲン臭抑制方法における好ましい実施の形態(各成分や物性)は、前述した本発明の飲食品の説明を援用できる。
【実施例0100】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、特段の記載がない限り、実施例中では豚由来の平均分子量2,000のコラーゲンを使用した。
【0101】
本発明に含まれる各成分の、コラーゲンに特有の異風味をマスキングする効果を確認するため試験を行った。なお、特に記載がない限り、表中の数値は飲料全体に対する質量%を意味する。
【0102】
1.飲料の製造
表1に示す処方の成分と水とを混合し、ベース溶液を作成した。ベース溶液から各実施例及び比較例のサンプルを調整した。
【表1】
【0103】
2.評価方法
飲料の製造を専門とする評価者3名で官能評価を実施した。
試験用飲食品を20mL試飲し、試飲後に以下の(1)及び(2)項目について、後述する定義に照らし官能評価をした。
【0104】
(1)異風味低減(マスキング)の程度
コラーゲン特有の異風味のマスキングの程度として、以下の評価点を基準に評価した。
ここで、評価の最小単位は1とした。
なお、飲料の製造を専門とする評価者3名の官能評価の結果の平均値を、マスキングの程度の値とした。ここで、各実施例の酪酸エチルを含まない形態を、コントロールとした。
【0105】
・評価点1:コラーゲン原料由来の特有な風味がほとんど低減されておらず、風味が悪化した
・評価点2:コラーゲン原料由来の特有な風味が低減されておらず、風味が若干悪化した
・評価点3:コントロールと比較して、風味に変化なし
・評価点4:コラーゲン原料由来の特有な風味が低減されており、風味のマスキング効果が若干あり
・評価点5:コラーゲン原料由来の特有な風味がとても低減されており、風味のマスキング効果あり
【0106】
(2)異風味低減(マスキング)の部位
試験用飲食品のトップ、ミドル、ラストノートのどの部分に特にマスキング効果があるかを、評価した。
【0107】
また、表中のT、M、Lはコラーゲンの異風味のどの部位がマスキングされているか(T:トップ、M:ミドル、L:ラスト)を意味する。
【0108】
3.試験
<試験例1>
表1に記載の通り、コラーゲンを高濃度含有するベース溶液と水とを混合し、コラーゲン濃度が5、8、10、40質量%となるようにサンプルを調整した。
その後各サンプルに酪酸エチルを添加し、コラーゲンの異風味のマスキング効果について、上記2の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
【0109】
【表2】
【0110】
(結果及び考察)
表2に示すように、コラーゲンを5質量%以上と、酪酸エチルを10ppm以上含み、酪酸エチルとコラーゲンの含有質量比が1:200~1:10000の範囲内にある飲料は、コラーゲン含有質量が多い場合であっても、コラーゲン特有の異風味をより確実にマスキングできることがわかった。
さらに、酪酸エチルを添加することで、コラーゲンの異風味のトップノートをマスキングできることが分かった。
【0111】
<試験例2>
以下、表1に記載のコラーゲンを10質量%含有するサンプルに、酪酸エチルと他成分(リナロール、リモネン、ラクトン類)をそれぞれ添加した。各成分について、試験例1と同様にコラーゲンの異風味マスキング効果を確認する評価を行った。結果を表3及び4に示す。
【0112】
<試験例2-1>
試験例2の組成をベースとして、リナロール又はリモネンの濃度範囲を変更して、評価を行った。
【0113】
【表3】
【0114】
(結果及び考察)
表3に示すように、コラーゲンを5質量%以上と、リナロールを5ppb以上含み、リナロールとコラーゲンとの含有質量比が1:100~1:2000000の範囲内にある飲料は、コラーゲン含有質量が多い場合であっても、コラーゲン特有の異風味をより確実にマスキングできることがわかった。
さらに、リナロールを添加することで、コラーゲンの異風味のトップ~ラストノートをマスキングできることが分かった。
また、コラーゲンを5質量%以上と、リモネンを50ppm以上含み、リモネンとコラーゲンとの含有質量比が1:100~1:2000の範囲内にある飲料は、コラーゲン含有質量が多い場合であっても、コラーゲン特有の異風味をより確実にマスキングできることがわかった。
さらに、リモネンを添加することで、コラーゲンの異風味のトップ~ミドルノートをマスキングできることが分かった。
【0115】
<試験例2-2>
試験例2の組成をベースとして、ラクトン類の濃度範囲を変更して、評価を行った。
【0116】
【表4】
【0117】
(結果及び考察)
表4に示すように、コラーゲンを5質量%以上と、δ-デカラクトンを50ppm以上含み、含有質量比が1:100~1:2000の範囲内にある飲料は、コラーゲン含有質量が多い場合であっても、コラーゲン特有の異風味をより確実にマスキングできることがわかった。
【0118】
さらに、コラーゲンを5質量%以上含む飲食品において、δ-デカラクトンを添加することで、コラーゲンの異風味のミドル~ラストノートをマスキングできることが分かった。
【0119】
また、コラーゲンを5質量%以上と、δ-ドデカラクトン50ppm以上含み、含有質量比が1:100~1:100000の範囲内にある飲料は、コラーゲン含有質量が多い場合であっても、コラーゲン特有の異風味をより確実にマスキングできることがわかった。
【0120】
さらに、コラーゲンを5質量%以上含む飲食品においてδ-ドデカラクトンを添加することで、コラーゲンの異風味のトップ~ラストノートをマスキングできることが分かった。
【0121】
<試験例3>
コラーゲンの異風味を効率よくマスキングする、香気成分と甘味料の組み合わせを検討した。
試験例3では、表5に記載の処方で各実施例の溶液を作製した。
なお、溶液の希釈には水を使用した。
【0122】
試験例3では、甘味料として、ステビア抽出物95質量%、ラカンカ抽出物5質量%含む製剤を用いた。
さらにステビア単体を含む処方では、ステビア抽出物(主成分RebA)の製剤を用いた。
また、ラカンカ単体を含む処方では、モグロシドVを50%含む製剤を用いた。
なお、本試験例において、各処方の甘味度を揃えた。各甘味料原料の規格に従って甘味度を求め、添加量を決定した。
各処方について、試験例1と同様にコラーゲンの異風味マスキング効果を確認する評価を行った。結果を表5に示す。
【0123】
【表5】
【0124】
(結果及び考察)
表5に示すように、酪酸エチルとドデカラクトンを含む飲料は、コラーゲン含有質量が多い場合であっても、コラーゲン特有の異風味をマスキングできることがわかった。
【0125】
さらに、高濃度のコラーゲンと、酪酸エチル、ドデカラクトン、甘味料(ステビア及び/又はラカンカ)を含む場合も、コラーゲンの異風味をマスキングできることが分かった。
特に、酪酸エチル、ドデカラクトン、並びにステビア及びラカンカを含む場合、コラーゲンの異風味のトップ~ラストノートをマスキングできることが分かった。
【0126】
<製造例1>
下記表6に示す処方で、コラーゲン高含有飲料を製造した。
製造例1で得られたコラーゲン高含有飲料は、コラーゲンの異風味のトップ~ラストノートがマスキングされ、風味がよいものであった。
【0127】
【表6】
【0128】
<製造例2>
下記表7に示す処方で、コラーゲン高含有飲料を製造した。
製造例2で得られたコラーゲン高含有飲料は、コラーゲンの異風味のトップ~ラストノートがマスキングされ、風味がよいものであった。
【0129】
【表7】
【0130】
(まとめ)
製造例1及び2より、本発明の香気成分を含むコラーゲン高含有飲料は、コラーゲンの異風味のトップ~ラストノートがマスキングされ、風味がよいものであることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は飲食品の製造に利用することができる。