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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012279
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】化学機械研磨のための水蒸気生成
(51)【国際特許分類】
   B24B 57/02 20060101AFI20240123BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240123BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20240123BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240123BHJP
   B24B 37/015 20120101ALI20240123BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240123BHJP
   F22B 1/28 20060101ALI20240123BHJP
   F22D 5/00 20060101ALI20240123BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALN20240123BHJP
   B23Q 11/14 20060101ALN20240123BHJP
【FI】
B24B57/02
H01L21/304 622R
B24B55/06
B24B49/10
B24B37/015
B24B37/00 K
F22B1/28 Z
F22D5/00 B
B23Q11/00 L
B23Q11/14
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023155522
(22)【出願日】2023-09-21
(62)【分割の表示】P 2021576471の分割
【原出願日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/867,798
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サウンダララジャン, ハリ
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ショウ-サン
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ハオション
(72)【発明者】
【氏名】バターフィールド, ポール ディー.
(72)【発明者】
【氏名】タン, チエンショー
(72)【発明者】
【氏名】ポラード, チャド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本開示は、化学機械研磨中の洗浄又は予熱のための水蒸気の使用に関する。
【解決手段】水蒸気生成装置410は、キャニスタ420を下側チャンバ422と上側チャンバ424とに分割するキャニスタ420内のバリア426を含む。下側チャンバ422は、水入口432から水440を受け取るように配置されている。水蒸気出口436のバルブ482は、上側チャンバ424から水蒸気446を受け取る。バリア426は、水蒸気446が下側チャンバ422から上側チャンバ424に移るための複数の開口428を有し、凝縮水が上側チャンバ424から下側チャンバ422に移ることを可能にする。水蒸気生成装置410は、下側チャンバ422の一部分に熱を加える加熱要素430を含み、加熱要素430の上方且つ水蒸気出口436の下方に水位442を保つために、水入口432を通る水の流量を変更するように構成されたコントローラ12を含む。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気生成装置であって、
水入口及び水蒸気出口を有するキャニスタ、
前記キャニスタを下側チャンバと上側チャンバとに分割する前記キャニスタ内のバリアであって、前記下側チャンバは、前記水入口から水を受け取るように配置され、前記水蒸気出口のバルブは、前記上側チャンバから水蒸気を受け取り、前記バリアは、水蒸気が前記下側チャンバから前記上側チャンバへ移るための複数の開口を有し、凝縮水が前記上側チャンバから前記下側チャンバへ移ることを可能にし、少なくとも一部の開口は、前記キャニスタの内径面のすぐ近くに位置付けられている、バリア、
前記下側チャンバの一部分に熱を加えるように構成された加熱要素、及び
前記加熱要素の上方且つ前記水蒸気出口の下方に水位を保つために、前記水入口を通る水の流量を変更するように構成されたコントローラを備える、装置。
【請求項2】
前記キャニスタ及び/又は前記バリアが石英である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記キャニスタ及び前記バリアが、PTFEでコーティングされている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記キャニスタと平行に前記水入口と前記水蒸気出口とを接続するバイパス管を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記バイパス管内の水位をモニタするように配置された水位センサ、及び前記水位センサから信号を受信するように構成されたコントローラを備え、前記コントローラは、前記キャニスタ内の水位を前記加熱要素の上方且つ前記水蒸気出口の下方に保つために、前記水位センサからの前記信号に基づいて、前記水入口を通る水の前記流量を変更するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の開口は、前記キャニスタの前記内径面のすぐ近くにのみ位置付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記加熱要素は、加熱コイルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記加熱コイルは、前記キャニスタの前記下側チャンバの周りに巻き付けられている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記水入口は、前記加熱要素の上端の下方にある、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記水入口は、前記キャニスタの前記下側チャンバの下端にある、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
水蒸気生成装置であって、
下側チャンバ及び上側チャンバを有するキャニスタであって、水入口及び水蒸気出口を有し、前記下側チャンバは、前記水入口から水を受け取るように配置され、前記水蒸気出口のバルブは、前記上側チャンバから水蒸気を受け取る、キャニスタ、
前記下側チャンバの一部分に熱を加えるように構成された加熱要素、及び
前記加熱要素の上方且つ前記水蒸気出口の下方に水位を保つために、前記水入口を通る水の流量を変更するように構成されたコントローラを備える、装置。
【請求項12】
前記キャニスタと平行に前記水入口と前記水蒸気出口とを接続するバイパス管を更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記バイパス管内の水位をモニタするための水位センサを備え、前記コントローラは、前記水位センサからの信号に基づいて、前記水入口を通る水の前記流量を変更するように構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
研磨パッドを支持するためのプラテンと、
基板を前記研磨パッドと接触させて保持するためのキャリアヘッドと、
前記プラテンと前記キャリアヘッドとの間に相対運動を生成させるためのモータと、
水蒸気生成器とを備える、化学機械研磨システムであって、前記水蒸気生成器は、
水入口及び水蒸気出口を有するキャニスタ、
前記キャニスタを下側チャンバと上側チャンバとに分割する前記キャニスタ内のバリアであって、前記下側チャンバは、前記水入口から水を受け取るように配置され、前記水蒸気出口のバルブは、前記上側チャンバから水蒸気を受け取り、前記バリアは、水蒸気が前記下側チャンバから前記上側チャンバへ移るための複数の開口を有し、凝縮水が前記上側チャンバから前記下側チャンバへ移ることを可能にする、バリア、
前記下側チャンバの一部分に熱を加えるように構成された加熱要素、及び
前記加熱要素の上方且つ前記水蒸気出口の下方に水位を保つために、前記水入口を通る水の流量を変更するように構成されたコントローラを含み、
前記化学機械研磨システムは更に、
前記プラテンの上で延在するアーム、及び、前記水蒸気生成器の前記水蒸気出口に接続され、前記水蒸気生成器から前記研磨パッド上へ水蒸気を供給するように方向付けられた少なくとも1つのノズルを備える、化学機械研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学機械研磨(CMP)に関し、特に、CMP中の洗浄又は予熱のための水蒸気(steam)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、典型的には、半導体ウエハ上に導電層、半導電層、又は絶縁層を順次堆積させることによって、基板上に形成される。様々な製造工程で、基板上の層の平坦化が必要とされる。例えば、1つの製造ステップは、非平面的な表面の上に充填層を堆積させ、充填層を平坦化することを伴う。特定の応用例では、充填層は、パターン層の頂面が露出するまで平坦化される。例えば、パターニングされた絶縁層上に金属層を堆積させて、絶縁層内のトレンチ及び孔を充填することができる。平坦化後、パターニングされた層のトレンチ及び孔の中に残っている金属の部分によって、基板上の薄膜回路間の導電経路を提供するビア、プラグ、及びラインが形成される。別の一例として、誘電体層が、パターニングされた導電層の上に堆積され、次いで、平坦化されて、その後のフォトリソグラフィステップを可能にし得る。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、平坦化の1つの受け入れられている方法である。この平坦化方法は、典型的には、基板がキャリアヘッドに取り付けられることを必要とする。基板の露出表面は、典型的には、回転する研磨パッドに対して配置される。キャリアヘッドは、基板に制御可能な負荷を与えて、研磨パッドに押し付ける。典型的には、研磨粒子を含む研磨スラリが、研磨パッドの表面に供給される。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、水蒸気生成装置が、水入口及び水蒸気出口を有するキャニスタを含む。水蒸気生成装置は、キャニスタを下側チャンバと上側チャンバとに分割するキャニスタ内のバリアを含む。下側チャンバは、水入口から水を受け取るように配置されている。水蒸気出口のバルブは、上側チャンバから水蒸気を受け取る。バリアは、水蒸気が下側チャンバから上側チャンバに移るための複数の開口を有し、凝縮水が上側チャンバから下側チャンバに移ることを可能にする。水蒸気生成装置は、下側チャンバの一部分に熱を加えるように構成された加熱要素を含む。水蒸気生成装置は、加熱要素の上方且つ水蒸気出口の下方に水位を保つために、水入口を通る水の流量を変更するように構成されたコントローラを含む。
【0005】
実施態様は、以下の特徴のうちの1以上を含み得る。
【0006】
キャニスタは、石英であってよい。バリアは、石英であってよい。キャニスタ及びバリアは、PTFEでコーティングされてよい。
【0007】
バイパス管が、キャニスタと平行に水入口と水蒸気出口とを接続し得る。バイパス管内の水位をモニタするために、水位センサが配置され得る。コントローラは、水位センサから信号を受信するように構成され得る。コントローラは、キャニスタ内の水位を加熱要素の上方且つ水蒸気出口の下方に保つために、水位センサからの信号に基づいて、水入口を通る水の流量を変更するように構成され得る。
【0008】
複数の開口は、バリアの縁部の近くに位置付けられ得る。複数の開口は、キャニスタの内径面のすぐ近くに位置付けられ得る。複数の開口は、キャニスタの内径面のすぐ近くにのみ位置付けられ得る。
【0009】
加熱要素は、加熱コイルを含み得る。加熱コイルは、キャニスタの下側チャンバの周りに巻き付けられ得る。
【0010】
一態様では、水蒸気生成装置が、下側チャンバ及び上側チャンバを有するキャニスタを含む。キャニスタは、水入口及び水蒸気出口を有する。下側チャンバは、水入口から水を受け取るように配置されている。水蒸気出口のバルブは、上側チャンバから水蒸気を受け取る。水蒸気生成装置は、下側チャンバの一部分に熱を加えるように構成された加熱要素を含む。水蒸気生成装置は、加熱要素の上方且つ水蒸気出口の下方に水位を保つために、水入口を通る水の流量を変更するように構成されたコントローラを含む。
【0011】
実施態様は、以下の特徴のうちの1以上を含み得る。
【0012】
キャニスタは、石英であってよい。バイパス管が、キャニスタと平行に水入口と水蒸気出口とを接続し得る。水位センサは、バイパス管内の水位をモニタし得る。
【0013】
潜在的な利点としては、以下の1以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
水蒸気、すなわち沸騰によって生成されるガス状H2Oは、低レベルの汚染物質を伴って十分な量で生成することができる。加えて、水蒸気生成器は、実質的に純粋なガス、例えば、水蒸気中に懸濁した液体をほとんど又は全く有さない水蒸気を生成することができる。乾燥水蒸気(dry steam)としても知られているこのような水蒸気は、フラッシュ水蒸気(flash steam)のような他の水蒸気代替物よりも高いエネルギー移動及び低い液体含有量を有するH2Oのガス形態を提供することができる。
【0015】
CMP装置の様々な構成要素を迅速且つ効率的に洗浄することができる。水蒸気は、研磨システム内の表面から、研磨副産物、乾燥スラリ、デブリなどを溶解するか、又はさもなければ除去することにおいて、液体の水よりも効果的であり得る。これにより、基板上の欠陥を低減させることができる。
【0016】
CMP装置の様々な構成要素を予熱することができる。研磨パッド全体、ひいては基板全体にわたる温度のばらつきを低減させることができ、これにより、ウエハ内不均一性(WIWNU)を低減させることができる。ある研磨動作にわたる温度のばらつきを低減させることができる。これにより、CMP工程中の研磨の予測可能性を改善することができる。ある研磨動作から別の研磨動作への温度のばらつきを低減させることができる。これにより、ウエハ間の均一性を改善することができる。
【0017】
1以上の実施態様の詳細が、添付図面及び以下の説明で記述される。その他の態様、特徴、及び利点は、これらの説明及び図面から並びに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】研磨装置の一実施例の概略平面図である。
図2A】例示的なキャリアヘッド水蒸気処理アセンブリの概略断面図である。
図2B】例示的な調整ヘッド水蒸気処理アセンブリの概略断面図である。
図3A】研磨装置の研磨ステーションの一実施例の概略断面図である。
図3B】化学機械研磨装置の例示的な研磨ステーションの概略上面図である。
図4A】例示的な水蒸気生成器の概略断面図である。
図4B】例示的な水蒸気生成器の概略断面上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
化学機械研磨は、基板と、研磨液と、研磨パッドとの間の界面における機械的磨耗と化学的エッチングとの組み合わせによって動作する。研磨工程中、基板の表面と研磨パッドとの間の摩擦により、かなりの量の熱が生成される。加えて、幾つかの工程は、インシトゥ(in-situ)パッド調整ステップも含み、調整ディスク、例えば研磨ダイヤモンド粒子で被覆されたディスクが、回転する研磨パッドに押し付けられて、研磨パッドの表面を調整及び触感調節(texture)する。調整工程の摩耗によっても熱が生成され得る。例えば、2psiの公称ダウンフォース圧力及び8000Å/分の除去速度を有する典型的な1分間の銅CMP工程では、ポリウレタン研磨パッドの表面温度が、摂氏約30度上昇し得る。
【0020】
一方、研磨パッドが以前の研磨動作によって加熱されていた場合、新しい基板が最初に下げられて研磨パッドに接触すると、それはより低い温度にあり、したがって、ヒートシンクとして作用し得る。同様に、研磨パッド上に分注されたスラリは、ヒートシンクとして作用し得る。全体として、これらの効果は、研磨パッドの温度の空間的及び時間的なばらつきをもたらす。
【0021】
CMP工程における化学関連変数(例えば、関与する反応の開始及び速度)と機械関連変数(例えば、研磨パッドの表面摩擦係数及び粘弾性)とのうちの両方が、強く温度に依存する。その結果、研磨パッドの表面温度の変動が、除去速度、研磨均一性、浸食、ディッシング、及び残留物の変化をもたらし得る。研磨中に研磨パッドの表面の温度をより厳密に制御することによって、温度の変動を低減させることができ、例えば、ウエハ内の不均一性又はウエハ間の不均一性として測定されるような研磨性能を改善することができる。
【0022】
更に、デブリ及びスラリは、CMP中にCMP装置の様々な構成要素上に蓄積する可能性がある。これらの研磨副産物が後に構成要素から外れると、基板を傷付けたり、又はさもなければ破損させたりしてしまい、研磨不良が増加する可能性がある。ウォータージェットが、CMP装置システムの様々な構成要素を洗浄するために使用されてきた。しかし、この作業を行うためには大量の水が必要である。
【0023】
これらの問題のうちの1以上に対処することができる技法は、水蒸気、すなわち沸騰によって生成されるガス状H2Oを使用してCMP装置の様々な構成要素を洗浄及び/又は予熱することである。例えば水蒸気の潜熱のために、温水と同量のエネルギーを付与するために必要な水蒸気はより少なくて済むことがある。加えて、水蒸気を高速で噴霧して、構成要素を洗浄及び/又は予熱することができる。更に、水蒸気は、研磨副産物を溶解するか、又はそうでなければ除去することにおいて、液体の水よりも効果的であり得る。
【0024】
図1は、1以上の基板を処理するための化学機械研磨装置2の平面図である。研磨装置2は、複数の研磨ステーション20を少なくとも部分的に支持し且つ収容する研磨プラットフォーム4を含む。例えば、研磨装置は、4つの研磨ステーション20a、20b、20c、及び20dを含み得る。各研磨ステーション20は、キャリアヘッド70内に保持された基板を研磨するようになっている。各ステーションの全ての構成要素が図1で示されているわけではない。
【0025】
研磨装置2はまた、多数のキャリアヘッド70も含み、各キャリアヘッドは、基板を搬送するように構成されている。研磨装置2はまた、キャリアヘッドから基板をロード及びアンロードするための移送ステーション6も含む。移送ステーション6は、移送ロボット9によるキャリアヘッド70とファクトリインターフェース(図示せず)又は他のデバイス(図示せず)との間の基板の移送を容易にするようになっている複数のロードカップ8、例えば2つのロードカップ8a、8bを含み得る。ロードカップ8は、一般に、キャリアヘッド70をロード及びアンロードすることによって、ロボット9とキャリアヘッド70の各々との間の移送を容易にする。
【0026】
移送ステーション6と研磨ステーション20とを含む、研磨装置2のステーションは、プラットフォーム4の中心の周りで実質的に等しい角度間隔で配置され得る。これは必ずしも必要ではないが、研磨装置に良好な設置面積を提供することができる。
【0027】
研磨動作では、1つのキャリアヘッド70が各研磨ステーションに配置される。研磨ステーション20で他の基板が研磨されている間に、研磨されていない基板を研磨された基板と交換するために、2つの追加のキャリアヘッドをロード及びアンロードステーション6内に配置することができる。
【0028】
キャリアヘッド70は、第1の研磨ステーション20a、第2の研磨ステーション20b、第3の研磨ステーション20c、及び第4の研磨ステーション20dの順に通過する経路に沿って、各キャリアヘッドを移動させることができる支持構造によって保持される。これにより、各キャリアヘッドを、研磨ステーション20及びロードカップ8の上に選択的に配置することができる。
【0029】
幾つかの実施態様では、各キャリアヘッド70が、支持構造72に取り付けられたキャリッジ78に結合される。キャリッジ78を支持構造72、例えばトラックに沿って移動させることによって、キャリアヘッド70を選択された研磨ステーション20又はロードカップ8の上に配置することができる。代替的に、キャリアヘッド70は、カルーセルから吊り下げられてよく、カルーセルの回転が、全てのキャリアヘッドを円形経路に沿って同時に移動させる。
【0030】
研磨装置2の各研磨ステーション20は、研磨液38(図3A参照)、例えば研磨スラリを研磨パッド30上に分注するために、例えばスラリ供給アーム39の端部にポートを含み得る。研磨装置2の各研磨ステーション20はまた、研磨パッド30を摩耗させて研磨パッド30を一貫した研磨状態に維持するためのパッド調整器93も含み得る。
【0031】
図3A及び図3Bは、化学機械研磨システムの研磨ステーション20の一実施例を示している。研磨ステーション20は、回転可能な円盤形状のプラテン24を含み、研磨パッド30はプラテン24上にある。プラテン24は、軸25の周りで回転するように動作可能である(図3Bの矢印A参照)。例えば、モータ22が、駆動シャフト28を回して、プラテン24を回転させることができる。研磨パッド30は、外側研磨層34とより軟性のバッキング層32とを有する、二層研磨パッドであってよい。
【0032】
図1図3A、及び図3Bを参照すると、研磨ステーション20は、研磨パッド30上に研磨液38、例えば研磨スラリを分注するために、例えばスラリ供給アーム39の端部に供給ポートを含み得る。
【0033】
研磨ステーション20は、研磨パッド30の表面粗さを維持するために、調整器ディスク92(図2B参照)を有するパッド調整器90を含み得る。調整器ディスク92は、アーム94の端部にある調整器ヘッド93内に配置され得る。アーム94及び調整器ヘッド93は、ベース96によって支持されている。アーム94は、研磨パッド30を横切って調整器ヘッド93及び調整器ディスク92を掃引するように揺動し得る。洗浄カップ250は、アーム94が調整器ヘッド93を移動させることができる位置で、プラテン24に隣接して位置付けられ得る。
【0034】
キャリアヘッド70は、研磨パッド30に対して基板10を保持するように動作可能である。キャリアヘッド70が軸71の周りで回転し得るように、キャリアヘッドは、支持構造72(例えば、カルーセル又はトラック)から吊り下げられ、駆動シャフト74によってキャリアヘッド回転モータ76に連結される。任意選択的に、キャリアヘッド70は、例えば、カルーセル上のスライダ上などで、トラックに沿った移動によって、又はカルーセル自体の回転振動によって、横方向に振動することができる。
【0035】
キャリアヘッド70は、基板10の裏側に接触する基板装着面を有する可撓性膜80と、基板10上の種々のゾーン(例えば、種々の半径方向ゾーン)に異なる圧力を加えるための複数の加圧可能チャンバ82とを含み得る。キャリアヘッド70は、基板を保持するための保持リング84を含み得る。幾つかの実施態様では、保持リング84が、研磨パッドに接触する下側プラスチック部分86と、より硬い材料、例えば金属の上側部分88とを含み得る。
【0036】
動作では、プラテンがその中心軸25の周りで回転され、キャリアヘッドはその中心軸71(図3Bの矢印B参照)の周りで回転され、研磨パッド30の上面を横切って横方向(図3Bの矢印C参照)に平行移動される。
【0037】
図3A及び図3Bを参照すると、キャリアヘッド70が研磨パッド30を横切って掃引するにつれて、キャリアヘッド70の任意の露出表面が、スラリで覆われる傾向がある。例えば、スラリは、保持リング84の外径又は内径表面に付着し得る。一般に、湿潤状態で維持されていない表面の場合、スラリは凝固及び/又は乾燥する傾向がある。その結果、粒子がキャリアヘッド70上に形成され得る。これらの粒子が外れると、粒子は基板を引っ掻くことがあり、研磨欠陥を生じる。
【0038】
更に、スラリはキャリアヘッド70上で固まることがあり、又はスラリ中の水酸化ナトリウムがキャリアヘッド70及び/又は基板10のうちの一方の表面上で結晶化し、キャリアヘッド70の表面を腐食させることがある。固化したスラリは除去するのが困難であり、結晶化した水酸化ナトリウムは溶液に戻すのが困難である。
【0039】
同様の問題が調整器ヘッド93で生じ、例えば、粒子が調整器ヘッド93上に形成されたり、スラリが調整器ヘッド93上で固まったり、スラリ中の水酸化ナトリウムが調整器ヘッド93の表面の1つで結晶化したりする。
【0040】
1つの解決策は、液体ウォータージェットで、構成要素、例えばキャリアヘッド70及び調整器ヘッド93を洗浄することである。しかし、構成要素は、ウォータージェット単独で洗浄することが困難であり得、かなりの水量が必要となり得る。更に、研磨パッド30と接触する構成要素、例えば、キャリアヘッド70、基板10、及び調整器ディスク92は、研磨パッド温度の均一性を妨げるヒートシンクとして作用し得る。
【0041】
これらの問題に対処するために、図2Aで示されているように、研磨装置2は、1以上のキャリアヘッド水蒸気処理アセンブリ200を含む。各水蒸気処理アセンブリ200は、キャリアヘッド70及び基板10の洗浄及び/又は予熱に使用され得る。
【0042】
水蒸気処理アセンブリ200は、ロードカップ8の部分、例えばロードカップ8a又は8bの部分であってよい。代替的に又は追加的に、水蒸気処理アセンブリ200は、隣接する研磨ステーション20の間に位置付けられた1以上のプラテン間ステーション9に設けられてよい。
【0043】
ロードカップ8は、ロード/アンロード工程中に基板10を保持するためのペデスタル204を含む。ロードカップ8はまた、ペデスタル204を取り囲む又は実質的に取り囲むハウジング206も含む。複数のノズル225が、ハウジング206によって画定されたキャビティ208内に配置されたキャリアヘッド及び/又は基板に水蒸気245を供給するために、ハウジング206或いは別個の支持体によって支持される。例えば、ノズル225は、ハウジング206の1以上の内面上、例えば、床206a及び/又は側壁206b及び/又はキャビティの天井に配置されてよい。ノズル225は、水蒸気をキャビティ206の中に内向きに導くように方向付けられ得る。水蒸気245は、水蒸気生成器410、例えば後述する水蒸気生成器を使用して生成され得る。排水管235は、過剰な水、洗浄溶液、及び洗浄副産物を通過させてよく、ロードカップ8内の蓄積を防止することができる。
【0044】
アクチュエータは、ハウジング206とキャリアヘッド70との間の相対的な垂直運動を提供する。例えば、シャフト210は、ハウジング206を支持してよく、ハウジング206を上げ下げするために垂直方向に作動可能である。代替的に、キャリアヘッド70は、垂直方向に移動することができる。ペデスタル204は、シャフト210と同軸上にあり得る。ペデスタル204は、ハウジング206に対して垂直方向に移動可能であり得る。
【0045】
動作では、キャリアヘッド70が、ロードカップ8の上に配置されてよく、ハウジング206は、キャリアヘッド70が部分的にキャビティ208内にあるように上昇(又はキャリアヘッド70が下降)する。基板10は、ペデスタル204上で始まり、キャリアヘッド70上にチャックされてよく、及び/又は、キャリアヘッド70上で始まり、ペデスタル204上にデチャックされてよい。
【0046】
水蒸気は、ノズル225を通して導かれ、基板10及び/又はキャリアヘッド70の1以上の表面を洗浄及び/又は予熱する。例えば、キャリアヘッド70の外面、保持リング84の外面84a、及び/又は保持リング84の下面84bに水蒸気を導くように、ノズルの1以上を配置することができる。キャリアヘッド70によって保持されている基板10の前面、すなわち研磨されるべき表面に、又は基板10がキャリアヘッド70上に支持されていない場合には膜80の下面に水蒸気を導くように、ノズルの1以上を配置することができる。ペデスタル204上に配置された基板10の前面に上向きに水蒸気を導くように、1以上のノズルをペデスタル204の下方に配置することができる。ペデスタル204上に配置された基板10の裏面に下向きに水蒸気を導くように、1以上のノズルをペデスタル204の上方に配置することができる。ノズル225がキャリアヘッド70及び/又は基板10の種々のエリアを処理できるように、キャリアヘッド70は、ロードカップ8内で回転すること及び/又はロードカップ8に対して垂直方向に移動することができる。キャリアヘッド70の内面、例えば、膜80の下面又は保持リング84の内面を水蒸気処理できるように、基板10をペデスタル204上に載置することができる。
【0047】
水蒸気は、水蒸気源から供給ライン230を通してハウジング206を通してノズル225に循環される。ノズル225は、水蒸気245を噴霧して、各研磨動作後にキャリアヘッド70及び基板10上に残った有機残留物、副産物、デブリ、及びスラリ粒子を除去することができる。ノズル225は、水蒸気245を噴霧して、基板10及び/又はキャリアヘッド70を加熱することができる。
【0048】
プラテン間ステーション9を同様に構築し動作させることができるが、基板支持ペデスタルを有する必要は必ずしもない。
【0049】
ノズル225によって供給される水蒸気245は、キャリアヘッド70及び基板10の洗浄及び予熱を変化させるために、調節可能な温度、圧力、及び流量を有することができる。幾つかの実施態様では、温度、圧力、及び/又は流量が、各ノズルについて又はノズルの群の間で独立して調整可能であり得る。
【0050】
例えば、水蒸気245の温度は、水蒸気245が生成されるときに(例えば、図4Aの水蒸気生成器410内で)、90~200℃であり得る。水蒸気245が、ノズル225によって分注されるときに、例えば、移動における熱損失により、水蒸気245の温度は、90から150℃の間であってよい。幾つかの実施態様では、水蒸気が、70~100℃、例えば80~90℃の温度でノズル225によって供給される。幾つかの実施態様では、ノズルによって供給される水蒸気が、過熱される、すなわち沸点を超える温度にある。
【0051】
水蒸気245の流量は、ヒータの出力及び圧力に応じて、水蒸気245がノズル225によって供給されるときに、1~1000cc/分であってよい。幾つかの実施態様では、水蒸気が、他のガスと混合され、例えば、通常の雰囲気又はN2と混合される。代替的に、ノズル225によって供給される流体は、実質的に純粋な水である。幾つかの実施態様では、ノズル225によって供給される水蒸気245が、液体の水、例えばエアロゾル化水(aerosolized water)と混合される。例えば、液体の水と水蒸気とは、1:1から1:10の相対流量比で(例えばsccmの流量で)組み合わされてよい。しかし、液体の水の量が少ない、例えば5重量%未満、例えば3重量%未満、例えば1重量%未満である場合、水蒸気は優れた熱伝達特性を有することになる。したがって、幾つかの実施態様では、水蒸気が乾燥した水蒸気であり、すなわち水滴を実質的に含まない。
【0052】
熱による膜の劣化を回避するために、水を水蒸気245と混合して、例えば、約40~50℃くらいまで温度を下げることができる。水蒸気245の温度は、冷却された水を水蒸気245の中に混合するか、又は同じ若しくは実質的に同じ温度の水を水蒸気245の中に混合することによって低減され得る(というのも、液体の水はガス状の水よりも少ないエネルギーを伝達するので)。
【0053】
幾つかの実施態様では、温度センサ214を水蒸気処理アセンブリ200内に又はそれに隣接して設置して、キャリアヘッド70及び/又は基板10の温度を検出することができる。センサ214からの信号は、コントローラ12によって受信されて、キャリアヘッド70及び/又は基板10の温度をモニタすることができる。コントローラ12は、温度センサ214からの温度測定値に基づいて、アセンブリ100による水蒸気の供給を制御することができる。例えば、コントローラは、目標温度値を受け取ることができる。コントローラ12が、温度測定値が目標温度値を超えたことを検出した場合、コントローラ12は水蒸気の流れを停止する。別の一実施例として、コントローラ12は、水蒸気の供給流量を低減させることができ、及び/又は水蒸気の温度を低減させることができ、例えば、洗浄及び/又は予熱中に構成要素の過熱を防止することができる。
【0054】
幾つかの実施態様では、コントローラ12がタイマーを含む。この場合、コントローラ12は、水蒸気の供給を開始するときに開始してよく、タイマーが切れると水蒸気の供給を停止することができる。タイマーは、洗浄及び/又は予熱中にキャリアヘッド70及び基板10の所望の温度を実現するために、経験的試験に基づいて設定され得る。
【0055】
図2Bは、ハウジング255を含む、調整器水蒸気処理アセンブリ250を示している。ハウジング255は、調整器ディスク92及び調整器ヘッド93を受け入れるための「カップ」の形態を採り得る。水蒸気は、ハウジング255内の供給ライン280を通して1以上のノズル275に循環される。ノズル275は、水蒸気295を噴霧して、各調整動作後に調整器ディスク92及び/又は調整器ヘッド93上に残された研磨副産物、例えば、デブリ又はスラリ粒子を除去することができる。ノズル275は、ハウジング255内に、例えば、ハウジング255の内部の床、側壁、又は天井に位置付けられ得る。パッド調整器ディスクの下面、並びに/又は調整器ヘッド93の下面、側壁、及び/若しくは上面を洗浄するために、1以上のノズルを配置することができる。水蒸気生成器410を使用して、水蒸気295が生成され得る。排水管285は、過剰な水、洗浄溶液、及び洗浄副産物を通過させてよく、ハウジング255内の蓄積を防止することができる。
【0056】
調整器ヘッド93及び調整器ディスク92は、水蒸気処理されるハウジング255の中に少なくとも部分的に下降させることができる。調整器ディスク92が動作に戻されるときに、調整器ヘッド93及び調整ディスク92は、ハウジング255から持ち上げられ、研磨パッド30上に配置されて、研磨パッド30を調整する。調整動作が完了したときに、調整器ヘッド93及び調整ディスク92は、研磨パッドから持ち上げられ、調整器ヘッド93及び調整器ディスク92上の研磨副産物を除去するためのハウジングカップ255に振り戻される。幾つかの実施態様では、ハウジング255が、垂直方向に作動可能であり、例えば、垂直な駆動シャフト260に取り付けられている。
【0057】
ハウジング255は、パッド調整器ディスク92及び調整器ヘッド93を受け入れるように配置される。ノズル275が、調整器ディスク92及び調整器ヘッド93の様々な表面を水蒸気処理することを可能にするために、調整器ディスク92及び調整器ヘッド93は、ハウジング255内で回転可能であり、及び/又はハウジング255内で垂直方向に移動可能である。
【0058】
ノズル275によって供給される水蒸気295は、調整可能な温度、圧力、及び/又は流量を有し得る。幾つかの実施態様では、温度、圧力、及び/又は流量が、各ノズルについて又はノズルの群の間で独立して調整可能であり得る。これにより、調整器ディスク92又は調整器ヘッド93の洗浄のバリエーションが可能になり、したがって、洗浄がより効果的になる。
【0059】
例えば、水蒸気295の温度は、水蒸気295が生成されるときに(例えば、図4Aの水蒸気生成器410内で)、90~200℃であり得る。水蒸気295が、ノズル275によって分注されるときに、例えば、移動における熱損失により、水蒸気295の温度は、90から150℃の間であってよい。幾つかの実施態様では、水蒸気が、70~100℃、例えば80~90℃の温度でノズル275によって供給され得る。幾つかの実施態様では、ノズルによって供給される水蒸気が、過熱される、すなわち沸点を超える温度にある。
【0060】
水蒸気295の流量は、水蒸気295がノズル275によって供給されるときに、1~1000cc/分であってよい。幾つかの実施態様では、水蒸気が、他のガスと混合され、例えば、通常の雰囲気又はN2と混合される。代替的に、ノズル275によって供給される流体は、実質的に純粋な水である。幾つかの実施態様では、ノズル275によって供給される水蒸気295が、液体の水、例えばエアロゾル化水(aerosolized water)と混合される。例えば、液体の水と水蒸気とは、1:1から1:10の相対流量比で(例えばsccmの流量で)組み合わされてよい。しかし、液体の水の量が少ない、例えば5重量%未満、例えば3重量%未満、例えば1重量%未満である場合、水蒸気は優れた熱伝達特性を有することになる。したがって、幾つかの実施態様では、水蒸気が乾燥した水蒸気であり、すなわち水滴を実質的に含まない。
【0061】
幾つかの実施態様では、温度センサ264をハウジング255内に又はそれに隣接して設置してよく、調整器ヘッド93及び/又は調整器ディスク92の温度を検出することができる。温度センサ264からの信号は、コントローラ12によって受信され、調整器ヘッド93又は調整器ディスク92の温度をモニタして、パッド調整器ディスク92の温度を検出することができる。コントローラ12は、温度センサ264からの温度測定値に基づいて、アセンブリ250による水蒸気の供給を制御することができる。例えば、コントローラは、目標温度値を受け取ることができる。コントローラ12が、温度測定値が目標温度値を超えたことを検出した場合、コントローラ12は水蒸気の流れを停止する。別の一実施例として、コントローラ12は、水蒸気の供給流量を低減させることができ、及び/又は水蒸気の温度を低減させることができ、例えば、洗浄及び/又は予熱中に構成要素の過熱を防止することができる。
【0062】
幾つかの実施態様では、コントローラ12がタイマーを含む。この場合、コントローラ12は、水蒸気の供給を開始するときに開始してよく、タイマーが切れると水蒸気の供給を停止することができる。タイマーは、洗浄及び/又は予熱中に調整器ディスク92の所望の温度を実現するために、経験的試験に基づいて設定されてよく、例えば、過熱を防止することができる。
【0063】
図3Aを参照すると、幾つかの実施態様では、研磨ステーション20が、研磨ステーション内の、又は研磨ステーションの/研磨ステーション内の構成要素内の温度、例えば、研磨パッド30及び/又は研磨パッド上のスラリ38の温度をモニタするための温度センサ64を含む。例えば、温度センサ64は、赤外線(IR)センサであって、研磨パッド30の上方に配置され、研磨パッド30及び/又は研磨パッド上のスラリ38の温度を測定するように構成された赤外線(IR)センサ(例えば、IRカメラ)であってよい。特に、温度センサ64は、半径方向温度プロファイルを生成するために、研磨パッド30の半径に沿った複数のポイントで温度を測定するように構成され得る。例えば、IRカメラは、研磨パッド30の半径に及ぶ視野を有することができる。
【0064】
幾つかの実施態様では、温度センサが、非接触センサではなく接触センサである。例えば、温度センサ64は、プラテン24上又はプラテン24内に配置された熱電対又はIR温度計であってよい。更に、温度センサ64は、研磨パッドと直接接触してもよい。
【0065】
幾つかの実施態様では、研磨パッド30の半径に沿った複数のポイントで温度を提供するために、研磨パッド30を横断する種々の半径方向位置に複数の温度センサを間隔を空けて配置することができる。この技法は、IRカメラと代替的に又は追加的に使用することができる。
【0066】
研磨パッド30の及び/又はパッド30上のスラリ38の温度をモニタするために配置されるように図3Aでは示されているが、温度センサ64は、基板10の温度を測定するために、キャリアヘッド70の内側に配置されてもよい。温度センサ64は、基板10の半導体ウエハと直接接触(すなわち、接触するセンサ)することができる。幾つかの実施態様では、例えば、研磨ステーションの/研磨ステーション内の種々の構成要素の温度を測定するために、複数の温度センサが、研磨ステーション22内に含まれる。
【0067】
研磨システム20はまた、研磨パッド30及び/又は研磨パッド上のスラリ38の温度を制御するための温度制御システム100も含む。温度制御システム100は、冷却システム102及び/又は加熱システム104を含んでよい。冷却システム102及び加熱システム104のうちの少なくとも1つ、並びに幾つかの実施態様では両方ともが、研磨パッド30の研磨面36上に(又は研磨パッド上に既に存在する研磨液上に)、温度制御媒体(例えば、液体、蒸気、又は霧)を供給することによって動作する。
【0068】
冷却システム102では、冷却媒体が、ガス(例えば空気)又は液体(例えば水)であってよい。媒体は、室温であってよく、又は室温未満(例えば、摂氏5~15度)に冷やされ得る。幾つかの実施態様では、冷却システム102が、空気と液体との霧(例えば、水などの液体のエアロゾル化された霧)を使用する。特に、冷却システムは、室温未満に冷やされる水のエアロゾル化された霧を生成するノズルを有することができる。幾つかの実施態様では、固体材料をガス及び/又は液体と混合することができる。固体材料は、冷やされた材料(例えば氷)、又は水内で溶解されたときに(例えば化学反応によって)熱を吸収する材料であってよい。
【0069】
冷却媒体は、クーラント供給アーム内の1以上の開孔(例えば、任意選択的にノズル内に形成された孔又はスロット)を貫通して流れることによって供給され得る。開孔は、クーラントの供給源に連結されたマニホールドによって設けられ得る。
【0070】
図3A及び図3Bで示されているように、例示的な冷却システム102は、研磨パッドの縁部から研磨パッド30の中心に又はその中心の近くに(例えば、研磨パッドの全半径の5%以内に)、プラテン24及び研磨パッド30の上で延在するアーム110を含む。アーム110は、ベース112によって支持されてよく、ベース112は、プラテン24と同じフレーム40上に支持されてよい。ベース112は、1以上のアクチュエータ、例えば、アーム110を上昇させ若しくは下降させるリニアアクチュエータ、及び/又は、プラテン24の上でアーム110を側方に揺動させる回転アクチュエータを含んでよい。アーム110は、研磨ヘッド70、パッド調整ディスク92、及びスラリ分注アーム39などの他のハードウェア構成要素との衝突を回避するように配置される。
【0071】
例示的な冷却システム102は、アーム110から吊り下げられた複数のノズル120を含む。各ノズル120は、液体冷却媒体(例えば水)を研磨パッド30上に噴霧するように構成される。アーム110は、ノズル120が間隙126によって研磨パッド30から分離されるように、ベース112によって支持され得る。
【0072】
各ノズル120は、霧122内のエアロゾル化された水を研磨パッド30に導くように構成され得る。冷却システム102は、液体冷却媒体の供給源130と、ガス源132(図3B参照)とを含み得る。供給源130からの液体及び供給源132からのガスは、霧122を生成するためにノズル120を通して導かれる前に、例えばアーム110内又はアーム110上の混合チャンバ134(図3A参照)内で混合され得る。
【0073】
幾つかの実施態様では、プロセスパラメータ、例えば、流量、圧力、温度、及び/又は液体とガスとの混合比を、各ノズルについて独立して制御することができる。例えば、各ノズル120用のクーラントは、独立して制御可能な冷却器を通って流れて、霧の温度を独立して制御することができる。別の一実施例として、ガス用と液体用の別々のポンプの組を各ノズルに連結して、流量、圧力、及びガスと液体との混合比を、各ノズルについて独立して制御することができる。
【0074】
様々なノズルは、研磨パッド30上の種々の半径方向ゾーン124上に噴霧することができる。隣接する半径方向ゾーン124は、オーバーラップしてよい。幾つかの実施態様では、ノズル120が、細長い領域128に沿って研磨パッド30に衝突する霧を生成する。例えば、ノズルは、概して平面的な三角形の空間内に霧を生成するように構成され得る。
【0075】
細長い領域128のうちの1以上、例えば細長い領域128の全ては、領域128を通って延びる半径に平行な長手軸を有し得る(領域128a参照)。代替的に、ノズル120は、円錐状の霧を生成する。
【0076】
図1は、霧自体がオーバーラップしている状態を示しているが、ノズル120は、細長い領域がオーバーラップしないように配向されてよい。例えば、少なくとも一部のノズル120、例えば全てのノズル120は、細長い領域128が、細長い領域を通過する半径に対して斜角となるように配向されてよい(128b参照)。
【0077】
少なくとも一部のノズル120は、そのノズルからの噴霧(矢印A参照)の中心軸が、研磨面36に対して斜角となるように配向されてよい。特に、霧122は、プラテン24の回転によって生じる衝突の領域内で、研磨パッド30の移動の方向とは反対側の方向の水平成分を有するように(矢印A参照)、ノズル120から導かれ得る。
【0078】
図3A及び図3Bは、ノズル120を均一な間隔で配置されたものとして示しているが、これは必ずしも必要ではない。ノズル120は、半径方向に若しくは角度的にのいずれかで又はそれらの両方で不均一に分散されてよい。例えば、ノズル120は、研磨パッド30の縁部に向けて半径方向に沿って、より密にクラスタ化することができる。加えて、図3A及び図3Bは、9つのノズルを示しているが、より多数の又はより少ない数のノズル、例えば、3つから20個のノズルが存在してもよい。
【0079】
加熱システム104では、加熱媒体が、ガス、例えば、水蒸気(例えば、水蒸気生成器410からの、図4A参照)、若しくは加熱空気、若しくは液体、例えば、加熱水、又はガスと液体との組み合わせであってよい。媒体は、室温よりも上(例えば、摂氏40~120度、例えば、摂氏90~110度)である。媒体は、水(実質的に純粋な脱イオン水、又は添加物若しくは化学物質を含む水)であってよい。幾つかの実施態様では、加熱システム104が、水蒸気の噴霧を使用する。水蒸気は、添加物又は化学物質を含み得る。
【0080】
加熱媒体は、加熱供給アーム上の開孔(例えば、1以上のノズルによって設けられる例えば孔又はスロット)を通って流れることによって供給され得る。開孔は、加熱媒体の供給源に連結されたマニホールドによって設けられ得る。
【0081】
例示的な加熱システム104は、研磨パッドの縁部から研磨パッド30の中心に又はその中心の近くに(例えば、研磨パッドの全半径の5%以内に)、プラテン24及び研磨パッド30の上で延在するアーム140を含む。アーム140は、ベース142によって支持されてよく、ベース142は、プラテン24と同じフレーム40上に支持されてよい。ベース142は、1以上のアクチュエータ、例えば、アーム140を上昇させ若しくは下降させるリニアアクチュエータ、及び/又は、プラテン24の上でアーム140を側方に揺動させる回転アクチュエータを含んでよい。アーム140は、研磨ヘッド70、パッド調整ディスク92、及びスラリ分注アーム39などの他のハードウェア構成要素との衝突を回避するように配置される。
【0082】
プラテン24の回転方向に沿って、加熱システム104のアーム140を、冷却システム102のアーム110とキャリアヘッド70との間に配置することができる。プラテン24の回転方向に沿って、加熱システム104のアーム140は、冷却システム102のアーム110とスラリ供給アーム39との間に配置することができる。例えば、冷却システム102のアーム110、加熱システム104のアーム140、スラリ供給アーム39、及びキャリアヘッド70は、プラテン24の回転方向に沿った順序で配置することができる。
【0083】
アーム140の下面内には複数の開口部144が形成される。各開口部144は、ガス又は蒸気(vapor)、例えば水蒸気(steam)を研磨パッド30上に導くように構成される。アーム140は、開口部144が間隙によって研磨パッド30から分離されるように、ベース142によって支持されてよい。間隙は、0.5~5mmであってよい。特に、間隙は、流体が研磨パッドに到達する前に、加熱流体の熱が著しく消散しないように選択されてよい。例えば、開口部から放出された水蒸気が研磨パッドに到達する前に凝縮しないように、間隙を選択することができる。
【0084】
加熱システム104は、水蒸気の供給源148、例えば水蒸気生成器410(図4A参照)を含むことができ、これは、配管によってアーム140に接続することができる。各開口部144は、水蒸気を研磨パッド30に導くように構成されてよい。
【0085】
幾つかの実施態様では、プロセスパラメータ、例えば、流量、圧力、温度、及び/又は液体とガスとの混合比を、各ノズルについて独立して制御することができる。例えば、各開口部144用の流体は、独立して制御可能なヒータを通って流れて、加熱流体の温度、例えば水蒸気の温度を独立して制御することができる。
【0086】
様々な開口部144は、研磨パッド30上の異なる半径方向ゾーン上に水蒸気を導くことができる。隣接する半径方向ゾーンは、オーバーラップし得る。任意選択的に、開口部144の一部は、その開口部からの噴霧の中心軸が、研磨面36に対して斜角となるように配向されてよい。水蒸気は、プラテン24の回転によって生じる衝突の領域内で、研磨パッド30の移動の方向とは反対側の方向の水平成分を有するように、開口部144のうちの1以上から導かれ得る。
【0087】
図3Bは、開口部144が均一な間隔を空けて配置されるように示しているが、これは必ずしも必要ではない。ノズル120は、半径方向に若しくは角度的にのいずれかで又はそれらの両方で不均一に分散されてよい。例えば、開口部144は、研磨パッド30の中心に向けて、より密にクラスタ化することができる。別の一実施例として、開口部144は、研磨液38がスラリ供給アーム39によって研磨パッド30に供給される半径に対応する半径において、より密にクラスタ化することができる。更に、図3Bは、9つの開口部を示しているが、より多くの又はより少ない数の開口部が存在してもよい。
【0088】
研磨システム20はまた、高圧リンスシステム106も含み得る。高圧リンスシステム106は、パッド30を洗浄し、使用済みスラリや研磨屑などを除去するために、洗浄流体、例えば水を研磨パッド30上に高強度で導く複数のノズル154(例えば、3から20個のノズル)を含む。
【0089】
図3Bで示されているように、例示的なリンスシステム106は、研磨パッドの縁部から研磨パッド30の中心に又はその中心の近くに(例えば、研磨パッドの全半径の5%以内に)、プラテン24及び研磨パッド30の上で延在するアーム150を含む。アーム150は、ベース152によって支持されてよく、ベース152は、プラテン24と同じフレーム40上に支持されてよい。ベース152は、1以上のアクチュエータ、例えば、アーム150を上昇させ若しくは下降させるリニアアクチュエータ、及び/又は、プラテン24の上でアーム150を側方に揺動させる回転アクチュエータを含んでよい。アーム150は、研磨ヘッド70、パッド調整ディスク92、及びスラリ分注アーム39などの他のハードウェア構成要素との衝突を回避するように配置される。
【0090】
プラテン24の回転方向に沿って、リンスシステム106のアーム150は、冷却システム102のアーム110と加熱システム104のアーム140との間にあってよい。例えば、冷却システム102のアーム110、リンスシステム106のアーム150、加熱システム104のアーム140、スラリ供給アーム39、及びキャリアヘッド70は、プラテン24の回転方向に沿った順序で配置することができる。代替的に、プラテン24の回転方向に沿って、冷却システム102のアーム110は、リンスシステム106のアーム150と加熱システム104のアーム140との間にあってよい。例えば、リンスシステム106のアーム150、冷却システム102のアーム110、加熱システム104のアーム140、スラリ供給アーム39、及びキャリアヘッド70は、プラテン24の回転方向に沿った順序で配置することができる。
【0091】
図3Bは、開口部154が均一な間隔で配置されるように示しているが、これは必ずしも必要ではない。加えて、図3A及び図3Bは、9つのノズルを示しているが、より多数の又はより少ない数のノズル、例えば、3つから20個のノズルが存在してもよい。
【0092】
研磨システム2はまた、様々な構成要素、例えば温度制御システム100の動作を制御するためのコントローラ12も含んでよい。コントローラ12は、研磨パッドの各半径方向ゾーンについて温度センサ64から温度測定値を受け取るように構成されている。コントローラ12は、測定された温度プロファイルを所望の温度プロファイルと比較し、各ノズル又は開口部についての制御機構(例えば、アクチュエータ、電源、ポンプ、バルブなど)へのフィードバック信号を生成することができる。フィードバック信号は、例えば、内部フィードバックアルゴリズムに基づいて、コントローラ12によって計算されて、研磨パッド及び/又はスラリが所望の温度プロファイルに達する(又は少なくともそれに近づく)ように、制御機構に冷却又は加熱の量を調整させる。
【0093】
幾つかの実施態様では、研磨システム20が、研磨パッド30を横切って研磨液38を均一に分散させるために、ワイパーブレード又は本体170を含む。プラテン24の回転方向に沿って、ワイパーブレード170は、スラリ供給アーム39とキャリアヘッド70との間にあってよい。
【0094】
図3Bは、各サブシステム、例えば、加熱システム104、冷却システム102、及びリンスシステム106のための別個のアームを示しており、様々なサブシステムを、共通のアームによって支持された単一のアセンブリ内に含めることができる。例えば、アセンブリは、冷却モジュール、リンスモジュール、加熱モジュール、スラリ供給モジュール、及び任意選択的なワイパーモジュールを含んでよい。各モジュールは、共通の取り付けプレートに固定することができる本体、例えば弓形の本体を含むことができ、共通の取り付けプレートをアームの端部に固定して、アセンブリが研磨パッド30の上に配置されるようにすることができる。様々な流体供給構成要素、例えば管類や通路などは、各本体の内側で延在してよい。幾つかの実施態様では、モジュールが、取り付けプレートから個別に取り外し可能である。各モジュールは、上述した関連するシステムのアームの機能を実行するための同様の構成要素を有することができる。
【0095】
図4Aを参照すると、本明細書で説明されるプロセス、又は化学機械研磨システムにおける他の用途向けの水蒸気は、水蒸気生成器410を使用して生成され得る。例示的な水蒸気生成器410は、内部空間425を囲うキャニスタ420を含み得る。キャニスタ420の壁は、非常に低レベルのミネラル汚染物質を有する断熱材料、例えば石英で作製され得る。代替的に、キャニスタの壁は、別の材料で形成されてもよく、例えば、キャニスタの内面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は別のプラスチックでコーティングされてもよい。幾つかの実施態様では、キャニスタ420が、長さ10~20インチ、及び幅1~5インチであってよい。
【0096】
図4A及び図4Bを参照すると、幾つかの実施形態では、キャニスタ420の内部空間425が、バリア426によって下側チャンバ422と上側チャンバ424とに分割されている。バリア426は、キャニスタの壁と同じ材料、例えば、石英、ステンレス鋼、アルミニウム、又はアルミナなどのセラミックで作製され得る。石英は、汚染の危険性がより低いという点で優れている可能性がある。バリア426は、沸騰水によって飛散した水滴を遮断することによって、液体水440が上側チャンバ424に入ることを実質的に防止することができる。これにより、乾燥水蒸気が上側チャンバ424内に蓄積される。
【0097】
バリア426は、1以上の開口428を含む。開口428は、水蒸気が下側チャンバ422から上側チャンバ424の中に移ることを可能にする。開口428、特にバリア426の縁部付近の開口428は、上側チャンバ424の壁上の凝縮水が下側チャンバ422の中に滴下することを可能にして、上側チャンバ424内の液体含有量を低減させ、その液体が水440と共に再加熱されることを可能にする。
【0098】
開口428は、バリア426がキャニスタ420の内壁と出会うバリア426の縁部、例えば縁部のみに位置付けられ得る。開口428は、例えば、バリア426の縁部とバリア426の中心との間の、バリア426の縁部の近くに位置付けられ得る。この構成は、バリア426が中央に開口を有しておらず、したがって、上側チャンバ424の側壁上の凝縮水が上側チャンバから流出することを依然として可能にする一方で、液体水滴が上側チャンバに入る危険性を低減させるという点で有利であり得る。
【0099】
しかし、幾つかの実施態様では、開口がまた、縁部から離れて、例えばバリア426の幅全体にわたり、例えばバリア426のエリア全体にわたり均一に間隔を空けて配置される。
【0100】
図4Aを参照すると、水入口432は、水リザーバ434をキャニスタ420の下側チャンバ422に接続することができる。水入口432は、下側チャンバ422に水440を提供するために、キャニスタ420の下端又はその近傍に配置され得る。
【0101】
1以上の加熱要素430は、キャニスタ420の下側チャンバ422の一部分を取り囲むことができる。加熱要素430は、例えば、キャニスタ420の外周に巻き付けられた加熱コイル、例えば抵抗加熱器であってよい。加熱要素はまた、キャニスタの側壁の材料上の薄膜コーティングによって提供することもでき、電流が印加された場合、この薄膜コーティングは、加熱要素として働き得る。
【0102】
加熱要素430はまた、キャニスタ420の下側チャンバ422内に位置付けられてもよい。例えば、加熱要素は、加熱要素からの汚染物質、例えば金属汚染物質が水蒸気の中に移動するのを防止し得る材料でコーティングされ得る。
【0103】
加熱要素430は、最低水位443aまでキャニスタ420の下部分に熱を加えることができる。すなわち、加熱要素430は、過熱を防止し、不必要なエネルギー消費を低減させるために、最低水位443aよりも下方のキャニスタ420の部分をカバーすることができる。
【0104】
水蒸気出口436は、上側チャンバ424を水蒸気供給通路438に接続することができる。水蒸気供給通路438は、キャニスタ420の上端又は上端付近、例えばキャニスタ420の天井に位置付けられ得る。それによって、水蒸気は、キャニスタ420から水蒸気供給通路438の中に、及びCMP装置の様々な構成要素に移ることが可能になる。水蒸気供給通路438を使用して、例えば、キャリアヘッド70、基板10、及びパッド調整器ディスク92の水蒸気洗浄や予熱のために、化学機械研磨装置の様々なエリアに向けて、水蒸気を流し込むことができる。
【0105】
図4Aを参照すると、幾つかの実施形態では、水蒸気446内の汚染物質を低減させるように構成されたフィルタ470が、水蒸気出口438に結合されている。フィルタ470は、イオン交換フィルタであってよい。
【0106】
水440は、水リザーバ434から水入口432を通って下側チャンバ422の中に流れることができる。水440は、少なくとも、加熱要素430の上方且つバリア426の下方にある水位442まで、キャニスタ420を満たすことができる。水440が加熱されると、ガス媒体446が生成され、バリア426の開口428を通って上昇する。開口428は、水蒸気が上昇することを可能にし、同時に、凝縮水が下降することを可能にし、その結果、水が実質的に液体を含まない(例えば、水蒸気中に懸濁された液体水滴を有さない)水蒸気であるガス媒体446をもたらす。
【0107】
幾つかの実施形態では、水位が、バイパス管444内の水位442を測定する水位センサ460を用いて特定される。バイパス管は、キャニスタ420と平行に水リザーバ434を水蒸気供給通路438に接続する。水位センサ460は、水位442がバイパス管444内の、したがってキャニスタ420内のどこにあるかを示すことができる。例えば、水位センサ444及びキャニスタ420は、等しく圧力を受ける(例えば、両方とも同じ水リザーバ434から水を受け取り、両方とも上部で同じ圧力を有する、例えば、両方とも水蒸気供給通路438に接続している)。したがって、水位442は、水位センサとキャニスタ420との間で同じである。幾つかの実施形態において、水位センサ444内の水位442は、それ以外の方法でキャニスタ420内の水位442を示すことができる。例えば、水位センサ444内の水位442は、キャニスタ420内の水位442を示すようにスケーリングされる。
【0108】
動作では、キャニスタ内の水位442が、最低水位443aの上方且つ最高水位443bの下方にある。最低水位443aは、少なくとも加熱要素430の上方にあり、最高水位443bは、水蒸気出口436及びバリア426の十分に下方にある。それによって、ガス媒体446、例えば水蒸気は、キャニスタ420の上端付近に蓄積し、依然として液体水を実質的に含まないようにするのに十分な空間が提供される。
【0109】
幾つかの実施形態では、コントローラ12が、水入口432を通る流体の流量を制御するバルブ480、水蒸気出口436を通る流体の流量を制御するバルブ482、及び/又は水位センサ460に結合されている。水位センサ460を使用して、コントローラ12は、キャニスタ420に入る水440の流量を調節し、キャニスタ420を出るガス446の流量を調節して、最低水位443aの上方(及び加熱要素430の上方)且つ最高水位443bの下方(及び、バリア426が存在する場合には、バリア426の下方)に水位442を維持するように構成されている。コントローラ12はまた、キャニスタ420内の水440に供給される熱量を制御するために、加熱要素430用の電源484にも結合され得る。
【0110】
図1図2A図2B図3A図3B、及び図4Aを参照すると、コントローラ12は、センサ64、214、及び264によって受け取られた温度測定値をモニタし、温度制御システム100、水入口432、及び水蒸気出口436を制御することができる。コントローラ12は、温度測定値を継続的にモニタしてよく、フィードバックループ内で温度を制御して、研磨パッド30、キャリアヘッド70、及び調整ディスク92の温度を調整することができる。例えば、コントローラ12は、研磨パッド30の温度をセンサ64から受け取り、水入口432及び水蒸気出口436を制御して、キャリアヘッド70及び/又は調整器ヘッド93への水蒸気の供給を制御し、キャリアヘッド70及び/又は調整器ヘッド93の温度を上昇させて、研磨パッド30の温度に適合させることができる。温度差を減少させることは、キャリアヘッド70及び/又は調整器ヘッド93が比較的高温の研磨パッド30上でヒートシンクとして作用するのを防止するのに役立ち、ウエハ内の均一性を改善することができる。
【0111】
幾つかの実施形態では、コントローラ12は、研磨パッド30、キャリアヘッド70、及び調整器ディスク92用の所望の温度を記憶する。コントローラ12は、センサ64、214、及び264からの温度測定値をモニタし、温度制御システム100、水入口432、及び水蒸気出口436を制御して、研磨パッド30、キャリアヘッド70、及び/又は調整器ディスク92の温度を所望の温度にすることができる。温度を所望の温度にすることを実現することによって、コントローラ12は、ウエハ内の均一性及びウエハ間の均一性を改善することができる。
【0112】
代替的に、コントローラ12は、キャリアヘッド70及び/又は調整器ヘッド93の温度を研磨パッド30の温度よりわずかに高くすることができ、キャリアヘッド70及び/又は調整器ヘッド93が、それぞれの洗浄ステーション及び予熱ステーションから研磨パッド30に移動するときに、研磨パッド30の温度と同じ又は実質的に同じ温度に冷却されることを可能にする。
【0113】
本発明の数多くの実施形態について説明した。しかし、本発明の本質及び範囲から逸脱しない限り、様々な修正が行われ得ることを理解されたい。したがって、その他の実施形態も、以下の特許請求の範囲内に含まれる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
【手続補正書】
【提出日】2023-10-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気生成装置であって、
水入口及び水蒸気出口を有するキャニスタ、
前記キャニスタを下側チャンバと上側チャンバとに分割するように前記キャニスタの内壁に固定された前記キャニスタ内のバリアであって、前記下側チャンバは、前記キャニスタの床で前記水入口から水を受け取るように配置され、前記水蒸気出口のバルブは、前記上側チャンバから水蒸気を受け取り、前記バリアは、水蒸気が前記下側チャンバから前記上側チャンバへ移るための複数の開口を有し、凝縮水が前記上側チャンバから前記下側チャンバへ移ることを可能にする、バリア、
前記下側チャンバの一部分に熱を加えるように前記キャニスタの下側部分の周りに巻き付けられた複数の抵抗加熱コイルを含む加熱要素
水位センサ、及び
前記加熱要素の上方且つ前記水蒸気出口の下方に水位を保つために、前記水位センサからの信号に応じて前記水入口を通る水の流量を変更するように構成されたコントローラ
を備える、装置。
【請求項2】
前記キャニスタが石英である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記バリアが石英である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記キャニスタ及び前記バリアが、PTFEでコーティングされている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記キャニスタと平行に前記水入口と前記水蒸気出口とを接続するバイパス管を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記水位センサが、前記バイパス管内に配置されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
化学機械研磨システムであって、
研磨パッドを支持するためのプラテンと、
基板を前記研磨パッドと接触させて保持するためのキャリアヘッドと、
前記プラテンと前記キャリアヘッドとの間に相対運動を生成させるためのモータと、
水蒸気生成器であって、
水入口及び水蒸気出口を有するキャニスタ、
前記キャニスタを下側チャンバと上側チャンバとに分割するように前記キャニスタの内壁に固定された前記キャニスタ内のバリアであって、前記下側チャンバは、前記キャニスタの床で前記水入口から水を受け取るように配置され、前記水蒸気出口のバルブは、前記上側チャンバから水蒸気を受け取り、前記バリアは、水蒸気が前記下側チャンバから前記上側チャンバへ移るための複数の開口を有し、凝縮水が前記上側チャンバから前記下側チャンバへ移ることを可能にする、バリア、
前記下側チャンバの一部分に熱を加えるよう前記キャニスタの下側部分の周りに巻き付けられた複数の抵抗加熱コイルを含む加熱要素
水位センサ、及び
前記加熱要素の上方且つ前記水蒸気出口の下方に水位を保つために、前記水位センサからの信号に応じて前記水入口を通る水の流量を変更するように構成されたコントローラ
を含む水蒸気生成器と、
前記プラテンの上で延在するアーム、及び、前記水蒸気生成器の前記水蒸気出口に接続され、前記水蒸気生成器から前記研磨パッド上へ水蒸気を供給するように方向付けられた少なくとも1つのノズル
を備える、化学機械研磨システム。
【請求項8】
前記キャニスタが石英である、請求項7に記載の化学機械研磨システム。
【請求項9】
前記バリアが石英である、請求項7に記載の化学機械研磨システム。
【請求項10】
前記キャニスタ及び前記バリアが、PTFEでコーティングされている、請求項7に記載の化学機械研磨システム。
【請求項11】
前記キャニスタと平行に前記水入口と前記水蒸気出口とを接続するバイパス管を更に備える、請求項7に記載の化学機械研磨システム。
【請求項12】
前記水位センサが、前記バイパス管内に配置されている、請求項11に記載の化学機械研磨システム。
【外国語明細書】