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特開2024-122926ボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122926
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素
(51)【国際特許分類】
   C09B 57/00 20060101AFI20240902BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20240902BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20240902BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240902BHJP
   C08K 5/55 20060101ALI20240902BHJP
   G01N 33/58 20060101ALI20240902BHJP
   C09B 23/04 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
C09B57/00 Z
C09K11/06
C09K11/06 660
C07F5/02 D CSP
C08L101/00
C08K5/55
G01N33/58 Z
C09B23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024027670
(22)【出願日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2023029957
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】秋山 誠治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智志
【テーマコード(参考)】
2G045
4H048
4J002
【Fターム(参考)】
2G045FB12
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB92
4H048VA11
4H048VA32
4H048VA77
4J002AA001
4J002CK021
4J002CP031
4J002EY016
4J002FD096
4J002GB01
4J002GP00
4J002GQ00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発光量子収率の高い蛍光色素を提供する。
【解決手段】下記式1で表されるボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。

(R~R及びR~Rのうちの互いに隣接する基同士の少なくとも1組は互いに結合して縮合多環芳香族骨格を有する環を形成し、前記環を形成しない基は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭化水素基。R、R10は、エステル基、アルキル基、芳香族炭化水素基、又は複素環基。R11は水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基、又は複素環基。R12、R13は、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、又は芳香族炭化水素基。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1で表されるボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。
【化1】
(R~R及びR~Rのうちの互いに隣接する基同士の少なくとも1組は互いに結合して縮合多環芳香族骨格を有する環を形成する。該環は置換基を有していてもよい。
~Rのうち、前記環を形成しない基はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭化水素基を表す。
、R10はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいエステル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
11は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
12、R13はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。
12とR13は、互いに連結して環を形成してもよく、R又はR10と連結して環を形成してもよい。)
【請求項2】
とR及びRとRが、前記縮合多環芳香族骨格を有する環を形成している、請求項1に記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。
【請求項3】
前記縮合多環芳香族骨格を構成する環が、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、及びベンゾチオフェン環よりなる群から選ばれる環の1種又は2種以上の組み合わせである請求項1又は請求項2に記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。
【請求項4】
及びR10がそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である請求項1又は請求項2に記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。
【請求項5】
11が、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である請求項1又は請求項2に記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。
【請求項6】
12及びR13がフッ素原子である請求項1又は請求項2に記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素を含む樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素を含む成形体。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素を含む生体標識用化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子収率の高いボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素、前記色素を含む樹脂組成物、成形体及び生体標識用化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素は、吸光係数や蛍光量子収率が高く、シャープな蛍光ピークを示すため、蛍光発色試薬、発光素子、生体イメージング用蛍光プローブ等に利用されている。
例えば、特許文献1には、発光ダイオード等の光学素子に使用するボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-241160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の色素は、振動伸縮による熱失活を起こしやすく、発光量子収率が十分ではなかった。
【0005】
本発明はこの問題点を解決し、発光量子収率の高い蛍光色素を提供することを目的とする。発光量子収率は外部量子収率が高い方がよく、外部量子収率は、内部量子収率×吸収率で表され、吸収率が100%であれば、外部量子収率と内部量子収率は同じとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、特定の構造を有するボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素が、上記課題を解決し得ることを見出した。以下ではボロンジピロメテンのことをBODIPYと記載することがある。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
【0007】
[1] 下記式1で表されるボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。
【0008】
【化1】
【0009】
(R~R及びR~Rのうちの互いに隣接する基同士の少なくとも1組は互いに結合して縮合多環芳香族骨格を有する環を形成する。該環は置換基を有していてもよい。
~Rのうち、前記環を形成しない基はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭化水素基を表す。
、R10はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいエステル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
11は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
12、R13はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。
12とR13は、互いに連結して環を形成してもよく、R又はR10と連結して環を形成してもよい。)
【0010】
[2] RとR及びRとRが、前記縮合多環芳香族骨格を有する環を形成している、[1]に記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。
【0011】
[3] 前記縮合多環芳香族骨格を構成する環が、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、及びベンゾチオフェン環よりなる群から選ばれる環の1種又は2種以上の組み合わせである[1]又は[2]に記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。
【0012】
[4] R及びR10がそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である[1]~[3]のいずれかに記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。
【0013】
[5] R11が、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である[1]~[4]のいずれかに記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。
【0014】
[6] R12及びR13がフッ素原子である[1]~[5]のいずれかに記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素。
【0015】
[7] [1]~[6]のいずれかに記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素を含む樹脂組成物。
【0016】
[8] [1]~[6]のいずれかに記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素を含む成形体。
【0017】
[9] [1]~[6]のいずれかに記載のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素を含む生体標識用化合物。
【発明の効果】
【0018】
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素によれば、量子収率が高く、樹脂中での分散性に優れた蛍光色素が期待される。
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素は、生体イメージング用蛍光プローブ、カテーテルチューブ、注射針、ドレーンチューブ、インプラント等の医療用途、有機EL素子、偽造防止など、種々の識別等に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0020】
[ボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素]
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素は、下記式1で表される構造を有する化合物である。
【0021】
【化2】
【0022】
(R~R及びR~Rのうちの互いに隣接する基同士の少なくとも1組は互いに結合して縮合多環芳香族骨格を有する環を形成する。該環は置換基を有していてもよい。
~Rのうち、前記環を形成しない基はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭化水素基を表す。
、R10はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいエステル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
11は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
12、R13はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。
12とR13は、互いに連結して環を形成してもよく、R又はR10と連結して環を形成してもよい。)
【0023】
<式1>
本発明のBODIPY色素は、上記式1におけるR~R及びR~Rのうちの互いに隣接する基同士の少なくとも1組が互いに結合して縮合多環芳香族骨格を有する環を形成する。
【0024】
前記縮合多環芳香族骨格を構成する環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、ピレン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ピロール環、ベンゾピロール環、ジベンゾピロール環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、カルバゾール環等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。これらのうち、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環が好ましい。
【0025】
縮合多環芳香族骨格を構成する環の数には特に制限はないが、2~24、特に2~16であることが好ましい。縮合多環芳香族骨格を構成する環の数が2以上であれば近赤外発光を示し、24以下、特に16以下であれば溶解性を保持できる。
【0026】
縮合多環芳香族骨格を有する環としては、具体的には、ナフタレン環、フェナントレン環、ピレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ベンゾピロール環、ジベンゾピロール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、カルバゾール環等が挙げられる。
【0027】
~R及びR~Rのうち、縮合多環芳香族骨格を有する環を形成する基の組み合わせについては特に制限はないが、合成上の観点から、RとR、RとRが共に前記縮合多環芳香族骨格を有する環を形成し、R、R、R、Rは該環を形成していないことが好ましい。
【0028】
前記縮合多環芳香族骨格を有する環は置換基が付いていてもよい。
該置換基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられる。置換基の振動伸縮による蛍光失活の観点から、前記縮合多環芳香族骨格を有する環は、置換基を有しないことが好ましい。溶解性向上の観点から、前記縮合多環芳香族骨格を有する環は、フェニル基、アルキル基、アルコキシル基等の置換基を有することが好ましい。
【0029】
~Rのうち前記縮合多環芳香族骨格を有する環を形成しない基は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭化水素基である。
前記炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基等の炭素数1~8のアルキル基が挙げられる。
前記炭化水素基は、置換基を有さない方が好ましい。
これらのうち、置換基の振動伸縮による蛍光失活の観点から、前記環を形成しない基は、水素原子が好ましい。
【0030】
、R10はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいエステル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基のいずれかである。
該エステル基としては、-COOR(Rは炭素数1~8のアルキル基を表す)が挙げられる。
該アルキル基としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等の炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。
該芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基等が挙げられる。
該複素環基としては、ピリジル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、チエニル基等の芳香族複素環基が挙げられる。
これらのうち、R、R10は、化学的安定性の観点から、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましく、置換基を有さない芳香族炭化水素基がより好ましい。
【0031】
、R10のエステル基、アルキル基、芳香族炭化水素基、複素環基が置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、アリール基等が挙げられる。立体障害の観点からR、R10のエステル基、アルキル基、芳香族炭化水素基、複素環基は、置換基を有さないことが好ましい。
なお、R、R10は、R12又はR13と連結して環を形成していてもよい。
【0032】
11は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基を表す。該アルキル基、芳香族炭化水素基、複素環基及びこれらの基が有していてもよい置換基としては、R、R11のアルキル基、芳香族炭化水素基、複素環基及びその置換基として前述したものが挙げられる。
これらのうち、発光量子収率の観点から、R11は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましく、置換基を有していない芳香族炭化水素基がより好ましい。
【0033】
12、R13はハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、R12とR13は互いに連結して環を形成していてもよく、R、R10と連結して環を形成してもよい。
12、R13は化学的安定性の観点からハロゲン原子、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましく、合成上の容易性の点からフッ素原子がより好ましい。
【0034】
<具体例>
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素の具体例を以下に示すが、本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素は何ら以下の化合物に限定されるものではない。
【0035】
【化3】
【0036】
【化4】
【0037】
【化5】
【0038】
<本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素の物性>
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素の吸収極大波長は660~1980nmが好ましく、680~1480nmがより好ましい。
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素の蛍光極大波長は680~2000nmが好ましく、700~1500nmがより好ましい。
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍色素の内部量子収率は700nm以上800nm未満に関しては10%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。800nm以上1500nm以下に関しては、5%以上が好ましく、9%以上がより好ましい。
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素の外部量子収率は700nm以上800nm未満に関しては10%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。800nm以上1500nm以下に関しては、5%以上が好ましく、9%以上がより好ましい。
なお、本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素の蛍光極大波長と内部量子収率及び外部量子収率は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
【0039】
<本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素の製造方法>
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素は、例えば、以下の文献に記載の方法により製造することができる。
Tetrahedron Letters58(2017)4141-4144
Tetrahedron67(2011)3187-3193
【0040】
<ボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素の用途>
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素は、単独で又は生体物質と結合して生体標識用化合物として使用することができる。生体物質としては、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、核酸、糖鎖及び脂質等が挙げられる。
また、本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素は、樹脂、有機溶剤と混合しコーティング剤として、各種基材の表面に塗布して使用してもよい。
【0041】
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素を含む後述の樹脂組成物やその成形体(フィルムを含む)は、高い量子収率で蛍光を発し、蛍光プローブ、カテーテル、注射針、ドレーンチューブ、インプラント等の医療用途に適している。その他、有機EL素子、偽造防止など、種々の識別等にも使用できる。
【0042】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素を含むものであり、通常、本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素と樹脂とを溶融混練して製造される。
【0043】
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素と溶融混練できる樹脂としては、熱可塑性ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレ-ト、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、イソシアヌレート系エポキシ樹脂、メラミン系樹脂、ユリア樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、多硫化ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0044】
耐久性等の観点から、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂が好ましく、熱可塑性ポリウレタン、シリコーン樹脂がより好ましい。
【0045】
蛍光強度と色素会合抑制の観点から、本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素は、樹脂組成物中に1~500ppm含まれていることが好ましく、10~200ppm含まれていることがより好ましく、50~150ppm含まれていることがさらに好ましい。
なお、本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素は、本発明の樹脂組成物中に1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
【0046】
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素と樹脂の他、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、結晶化促進剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、離型剤等の添加剤や、粘度調整のための溶剤を含んでいてもよい。
【0047】
[成形体]
本発明の成形体は、本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素を含むものであり、通常、本発明の樹脂組成物を成形することで製造される。
その成形方法としては、射出成形、押出成形、ブロー成形などの公知の成形方法が挙げられる。
【実施例0048】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
【0049】
本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素の蛍光極大波長と内部量子収率及び外部量子収率は以下の方法によって評価した。
【0050】
<蛍光極大波長・内部量子収率・外部量子収率>
色素を5ppmの濃度になるようにテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、専用のサンプルチューブに封入した。
内部量子収率及び外部量子収率の測定には浜松ホトニクス株式会社製「Quantaurus-QY C11347-2」を使用し、励起波長を700~850nmに設定し測定を行った。
光吸収率の測定値と内部量子収率の測定値の積を%表示した値を外部量子収率とし、外部量子収率が最大となるところの値を読み取った。実用上、内部量子収率は9%以上が望ましく、外部量子収率が10%以上が望ましい。
蛍光極大波長は、色素を5μMの濃度になるようにクロロホルムに溶解させ、専用のサンプルチューブに封入し、以下の条件で測定した。
蛍光極大波長測定条件:
蛍光スペクトル測定
(1) 機器
・FP-8300 分光蛍光高度計(日本分光)
・10×10mm角セル
(2) 条件
・励起バンド幅:5mm
・蛍光バンド幅:5mm
・レスポンス:0.5nm
・感度:Manual
・データ取込間隔:0.5nm
・走査速度:200nm/min
・光源:キセノンランプ
【0051】
以下において、各化合物の略字は以下の通りである。
NBS:N-ブロモスクシンイミド
TFA:トリフルオロ酢酸
DDQ:2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DCM:ジクロロメタン
【0052】
[実施例1(化合物1)]
<化合物1合成スキーム>
【化6】
【0053】
<中間体1の製造>
【化7】
【0054】
1Lナスフラスコにbicyclopyrrole(3.99g,18.37mmol)を入れ、CHCl3(300mL)に溶解させ、Ar置換した。NBS(3.62g,20.34mmol,1.1eq.)を加え、Ar置換し、室温で26時間撹拌した。反応終了後、重曹水でクエンチした。CHCl3で抽出、水、食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、ヘキサンでリンスすることで、目的物:αBrbicyclopyrrole(5.07g,17.12mmol)を得た。
【0055】
【化8】
【0056】
300mLナスフラスコにPhSeSePh(3.59g,11.16mmol,0.65eq.)を入れ、CH2Cl2(150mL)に溶解させた後、Br2(0.59mL,11.45mmol,0.65eq.)を加え、室温で3時間撹拌した。
1LナスフラスコにαBrbicyclopyrrole(5.07g,17.12mmol)を入れ、CH2Cl2(150mL)に溶解させ、氷浴にし、調製したPhSeBr(1.3eq.)をゆっくり加え、室温で20時間撹拌した。反応終了後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液でクエンチした。CH2Cl2で抽出し、重曹水、水、食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をヘキサンでリンスすることで、目的物:αBr-PhSeBrbicyclopyrrole(9.38g,17.63mmol)を得た。
【0057】
【化9】
【0058】
100mLナスフラスコにαBr-PhSeBrbicyclopyrrole(0.500g,0.940mmol)を入れ、CHCl3(40mL)に溶解させ、Ar置換した。氷浴下でH2O2(0.1mL,1.128mmol,1.2eq.)を加え、室温で25.5時間撹拌した。その後、氷浴下で亜硫酸水素ナトリウム(0.117g,1.124mmol)水溶液でクエンチし、重曹を加えて撹拌した。溶液を濃縮し、CHCl3で抽出し、水、食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。ヘキサンでリンスすること目的物:α-Br-olefin-monoBrbicyclopyrrole(0.235g,0.627mmol)を得た。
【0059】
<中間体2の製造>
【化10】
【0060】
300mLナスフラスコにα-Br-olefin-monoBrbicyclopyrrole(3.28g,8.74mmol)を入れ、CCl4(80mL)に溶解させ、還流冷却器を取り付けAr置換した。オイルバスを90℃に加熱し、還流が始まった後、オイルバスから引き上げ、Br2(0.59mL,11.45mmol,1.3eq.)加えた。その後、40分間還流した。反応終了後、氷浴で亜硫酸水素ナトリウム(1.2g,11.45mmol)水溶液をゆっくり加えてクエンチし、飽和重曹水を加えて撹拌した後、有機相を濃縮した。CHCl3で抽出、水、食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。ヘキサンでリンスすることで目的物:α-Br-triBrbycyclopyrrole(4.35g,8.13mmol)を得た。
【0061】
【化11】
【0062】
1Lナスフラスコにα-Br-triBrbycyclopyrrole(4.34g,8.12mmol)を入れ、Ar置換し、dry-THF(428mL)に溶解させ、Ar置換した。氷浴にし、t-BuOK(1MinTHF)(18mL,18mmol,0.04mol/L,2.2eq.)を加え、Ar置換した後、45℃で3時間撹拌した。反応終了後、氷浴下で水を入れ、希塩酸を酸性となるまで加えてクエンチし、溶媒を塩基トラップをつけて濃縮した。CHCl3で抽出し、重曹水、水、食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。EtOHでリンスすることで目的物:α-Br-olefin-diBrbicyclopyrrole(2.85g,6.28mmol)を得た。
【0063】
【化12】
【0064】
100mLナスフラスコにα-Br-olefin-diBrbicyclopyrrole(0.200g,0.440mmol)を入れ、1-naphthyl-B(OH)2(0.455g,2.65mmol,6eq.)を加えてTHF(28mL)に溶解させた。K2CO3(0.456g,3.30mmol,7.5eq.)、水(12mL)を加えてAr置換した。Pd(PPh3)4(50mg,43μmol,10mol%)を加えてAr置換し、80℃で21時間還流した。反応終了後、溶媒を濃縮し、CHCl3で抽出、重曹水、水、食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮することで目的物:olefin-di-1-naphthyl-α-1-naphthylbicyclopyrrole(0.215g,0.361mmol)を得た。
【0065】
<中間体3の製造>
100mLナスフラスコにolefin-di-1-naphthyl-α-1-naphthylbicyclopyrrole(0.215g,0.361mmol)を入れ、トルエン72mL(5mmol/L)に溶解させ、Ar置換した。I2(0.130g,0.512mmol,1.4eq.)を入れ、Ar置換した後、UV(260~350nm)を照射しながら室温で14時間撹拌した。亜硫酸水素ナトリウム(55mg,0.529mmol)水溶液を加えてクエンチした。反応溶媒を酢酸エチルで抽出、重曹水、水、食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮し、ヘキサンでリンスすることで目的物:picene-fused-α-1-naphthylbicyclopyrrole(0.171g,0.271mmol)を得た。
【0066】
【化13】
【0067】
100mL褐色ナスフラスコにpicene-fused-α-1-naphthylbicyclopyrrole(0.171g,0271mmol)を入れ、エチレングリコール(15mL)を加えた。NaOH(1.41g,35.3mmol,2.3M,130eq.)、LiOH・H2O(0.191g,4.55mmol,0.3M)を加えてAr置換し、160℃で2.5時間撹拌した。氷水にゆっくり注ぎ、1M HClでクエンチした。CHCl3で抽出、重曹水、水、食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、ヘキサンでリンスすることで目的物:α-1-naphthyl-free-picene-fused-bicyclopyrrole(0.105g,0.201mmol)を得た。
【0068】
<化合物1の製造>
【化14】
【0069】
50mL褐色ナスフラスコにα-1-naphthyl-free-picene-fused-bicyclopyrrole(0.105g,0.201mmol)を入れてAr置換し、dry-CH2Cl2(15mL)に溶解させた。PhCHO(12.3μL,0.121mmol,0.6eq.)を加えた後、TFAを2滴加え、室温で16時間撹拌した。その後、DDQ(25mg,0.110mmol,0.55eq.)を加え、室温で1.5時間撹拌した。その後、DIPEA(0.34mL,2.00mmol,10eq.)とBF3・Et2O(0.51mL,4.04mmol,20eq.)を加え、40℃で22.5時間還流した。反応終了後、水でクエンチし、重曹水を加えて撹拌した。CHCl3で抽出し、重曹水(2回)、水、食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl)で分離し、リンス(ヘキサン:CHCl3=4:1)することで、目的物:α-di-1-naphthyl-picene-fused-meso-PhbicycloBODIPY(75mg,63.7μmol)を得た。
【0070】
【化15】
【0071】
マイクロチューブにα-di-1-naphthyl-picene-fused-meso-PhbicycloBODIPY(30mg,26μmol)を入れ、300℃で30分加熱した。目的物(28mg,26μmol)を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl)で分離することで、化合物1(19mg,16.9 μmol)を得た。
【0072】
[実施例2(化合物2)]
【化16】
【0073】
反応容器に、原料(0.200g,0.440mmol)を入れ、2-naphthylboronic acid(0.455g,2.65mmol)を加えてTHF(28mL)に溶解させた。K2CO3(0.456g,3.30mmol)、水(12mL)を加えてAr置換した。Pd(PPh3)4(50mg,10mol%)を加えてAr置換し、80℃で21時間還流した。反応終了後、溶媒を濃縮し、CHCl3で抽出し、飽和重曹水、水、飽和食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮することで目的物(白色粉末、収量:203mg、収率:78%)を得た。
【0074】
【化17】
【0075】
反応容器に、原料(0.203g,0.341mmol)を入れ、トルエンに溶解させ、Ar置換した。I2(0.118g,0.465mmol)を入れ、Ar置換した後、UV(260~350nm)を照射しながら室温で6時間撹拌した。反応終了後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。反応溶媒を酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水、水、飽和食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、ヘキサンでリンスすることで目的物(黄色粉末、収量:186mg、収率:86%)を得た。
【0076】
【化18】
【0077】
反応容器に原料(0.186g,0.294mmol)を入れ、エチレングリコール(15mL)を加えた。NaOH(1.53g,37.4mmol)、LiOH・H2O(0.191g,4.55mmol,0.3M)を加えてAr置換し、160℃で3時間撹拌した。氷水にゆっくり注ぎ、1M HClでクエンチした。CHCl3で抽出し、飽和重曹水、水、飽和食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、ヘキサンでリンスすることで目的物(黄色粉末、収量:75mg収率:50%)を得た。
【0078】
【化19】
【0079】
反応容器に原料(0.75g,0.143mmol)を入れてAr置換し、dry-CH2Cl2(15mL)に溶解させた。PhCHO(8.7μL,0.086mmol)を加えた後、TFAを2滴加え、室温で17時間撹拌した。その後、DDQ(13.8mg,0.079mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。その後、DIPEA(0.24ml,1.43mmol)とBF3・Et2O(0.36mL,2.86mmol)を加え、40℃で21時間還流した。反応終了後、CHClで抽出し、飽和重曹水、水、飽和食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/ヘキサン=5/5)で精製し、ヘキサンでリンスすることで目的物を得た。
【0080】
【化20】
【0081】
マイクロチューブに原料を入れ、300℃で30分加熱し、定量的に化合物2を得た。
【0082】
[実施例3(化合物3)]
【化21】
【0083】
20mLナスフラスコにbenzo[s]picene-BODIPY(30mg,26.8μmol)を入れてAr置換し、dry-THF5mLに溶解させた。氷浴し、PhMgBr78.8μL(80.3μmol,3eq.)を加え、オイルバスで60℃に加熱し、撹拌した。2.5時間後、UVを確認したところ、反応が未進行であったため、PhMgBr0.26mL(0.26mmol,10eq.)を再び加え、オイルバスで60℃に加熱し、撹拌した。1.5時間後、UVで反応の進行を確認したため、氷浴し、水でクエンチし、濃縮した。CHCl3で抽出し、水、食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、ヘキサンでリンスすることで、化合物3を13mg(10.51μmol)得た。
【0084】
[実施例4(化合物4)]
【化22】
【0085】
200mLナスフラスコに、原料(400mg,1.35mmol)を入れ、THF(56mL)に溶解させ、K2CO3(933mg,1.89mmol)、水(24mL)、1-NaphtylylboronicAcid(325mg,1.89mmol)とPd(PPh3)4(150mg,0.135mmol)を加えてAr置換した。18時間還流後、溶媒を濃縮し有機層を水、飽和食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/hexane=5/5)で精製することで目的物(342mg,1.00mmol)を得た。
【0086】
【化23】
【0087】
50ml褐色ナスフラスコに1-naphtyl-picenebicyclopyrrole(267mg,0.45mmol)、1-naphtyl-bicyclopyrrole(155mg,0.45mmol)を入れエチレングリコール(50mL)に溶解させた。NaOH(4.59g,112mmol)、LiOH・H2O(0.630g,15.0mmol)を加えてAr置換し、160℃で2.5時間撹拌した。氷水にゆっくり注ぎ、1M HClでクエンチした。CHCl3で抽出し、飽和重曹水、水、飽和食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、ヘキサンでリンスすることで目的物を収量250mg得た。
【0088】
【化24】
【0089】
100mLナスフラスコに、脱炭酸体(250mg,0.66mmol)、benzaldehyde(37.6mg,0.350mmol)を加え、dry-CH2Cl2(40mL)に溶解させ、TFAを数滴加えた後、Ar置換し69時間還流させた。
その後、DDQを(97.0mg,0.400mmol)加えて室温で27時間撹拌した。反応終了後、有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、ヘキサンでリンスすることで、目的物を収量211mgを得た。
【0090】
【化25】
【0091】
50mLナスフラスコに、原料(37.0mg,0.042mmol)を加え、dry-CH2Cl2(20ml)に溶解させDIPEA(0.0714ml,0.42mmol)を加えて置換し、30分撹拌した後にBF3・Et2O錯体(0.106ml,0.84mmol)を加え20時間還流した。反応終了後、有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、ヘキサンでリンスすることで、目的物(収量:33mg、収率:86%)を得た。
【0092】
【化26】
【0093】
原料を、グラスチューブオーブンに入れ、280℃で30分加熱して化合物4を得た。
【0094】
[実施例5(化合物5)]
【化27】
【0095】
200mLナスフラスコにolefin‐diBr‐diesterbicyclopyrrole(0.500g,1.12mmol)を入れ、THF(56mL)に溶解させ、1‐naphthylboronic acid(0.770g,4.48mmol,4eq.)を加えた。水(24mL)、K2CO3(0.773g,5.59mmol,5eq.)を加えてAr置換した。Pd(PPh3)4(0.129g,0.112mmol,10mol%)を加えて、80℃で16時間還流した。反応終了後、溶媒を濃縮し、CHCl3で抽出して、水、食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をまぶしシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/EtOAc=5/1)で精製し、濃縮してヘキサンで再沈殿することで目的物(0.562g,1.04mmol)を得た。
【0096】
【化28】
【0097】
200mLナスフラスコにolefin‐di‐1‐naphthyl‐diesterbicyclopyrrole(0.555g,1.02mmol)を入れ、THF(42mL)に溶解させた。氷浴下で水18mL、LiOH・H2O(43mg,1.02mmol,1eq.)を加え、60℃で20時間撹拌した。反応終了後、有機相を濃縮し、希塩酸で酸析し、ろ取した。得られた粗生成物をまぶしシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc→CHCl3)で精製し、ヘキサンで再沈殿させることで目的物(0.264g,0.514mmol)と原料(90mg,0.166mmol)を50%の収率で得た。
【0098】
【化29】
【0099】
200mLナスフラスコにα‐COOH‐olefin‐di‐1‐naphthylbycyclopyrrole(250mg,0.487mmol)を入れ、MeOH(25mL)に溶解させた。水18mL、KHCO3(0.146g,1.46mmol,3eq.)を加えて、オイルバスで60℃に加熱した。NaI(0.182g,1.22mmol,2.5eq.)を少量の水に溶かし、I2(0.136g,0.535mmol,1.1eq.)を溶解させた。これを25mLの水溶液とし、系中にゆっくり加えて、60℃で2時間撹拌した。反応終了後、氷浴にして、析出した固体をろ取、水洗し、目的物(186mg、0.312mmol)を64%の収率で得た。
【0100】
【化30】
【0101】
100mLナスフラスコにα‐I‐olefin‐di‐1‐naphthylbicyclopyrrole(0.170g,0.285mmol)を入れ、THF(21mL)に溶解させ、phenylboronic acid(70mg,0.574mmol,2eq.)を加えた。水(9mL)、K2CO3(99mg,0.716mmol,2.5eq.)を加えてAr置換した。Pd(PPh3)4(33mg,28.6μmol,10mol%)を加えて、80℃で18時間還流した。反応終了後、溶媒を濃縮し、CHCl3で抽出して、水、食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をまぶしシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮してヘキサンで再沈殿することで目的物(0.131g,0.240mmol)を84%の収率で得た。
【0102】
【化31】
【0103】
サンプル管にα‐phenyl‐olefin‐di‐1‐naphthylbicyclopyrrole(0.120g,0.220μmol)を入れ、トルエンに溶解させた。I2(78mg,0.307mmol,1.4eq.)を入れ、レーザー装置を用いてUV(355nm)を照射しながら室温で9時間撹拌した。反応終了後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。反応溶媒を酢酸エチルで抽出して、重曹水、水、食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮し、ヘキサンでリンスすることで目的物(97mg,0.178mmol)を81%の収率で得た。
【0104】
【化32】
【0105】
50mL褐色ナスフラスコにα‐phenyl‐picene‐fused‐bicyclopyrrole(90mg,0.165mmol)を入れ、エチレングリコール(8.3mL,0.02M)を加えた。NaOH(0.662g,16.6mmol,100eq.)、LiOH・H2O(35mg,0.833mmol,5eq.)を加えてAr置換し、160℃で1.5時間撹拌した。反応終了後、氷水にゆっくり注ぎ、1M HClでクエンチした。CHCl3で抽出し、水、食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮した。これを50mL褐色ナスフラスコに入れてAr置換し、dry‐DCM(15mL)に溶解させた。Benzaldehyde(5.7μL,82.8μmol,0.5eq.)を加えた後、TFAを1滴加え、室温で15.5時間撹拌した。その後、DDQ(19mg,83.7μmol,0.5eq.)を加え、室温で30分間撹拌した。その後、DIPEA(0.28mL,1.65mmol,10eq.)とBF3・Et2O(0.42mL,3.33mmol,20eq.)を加え、40℃で3時間還流した。反応終了後、氷浴にし、水を加えてクエンチした。CHCl3で抽出して、重曹水(2回)、水、食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をまぶしシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で分離し、ヘキサンで再沈殿することで、目的物(57mg,52.9μmol)を64%の収率で得た。
【0106】
【化33】
【0107】
マイクロチューブにα‐diphenyl‐meso‐Ph‐picene‐fused‐bicycloBODIPY(15mg,13.9μmol)を入れ、300℃で3時間加熱した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で分離し、ヘキサンで再沈殿することで、化合物5(11mg,10.8μmol)を73%の収率を得た。
【0108】
[実施例6(化合物6)]
【化34】
【0109】
300mLナスフラスコにα-I-olefin-diBrbicyclopyrrole(0.40g,0.80mmol)を入れ、THF(91mL)に溶解させ、2-Methoxynaphthyl-1-boronicAcid(0.24g,1.2mmol,1.5eq.)を加えた。水(39mL)、K2CO3(0.33g,2.4mmol,3eq.)を加えてAr置換した。Pd(PPh3)4(0.09g,78μmol,10mol%)を加えて、60℃で21時間撹拌した。反応終了後、溶媒を濃縮し、CHCl3で抽出して、水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮したものをそのまま次の反応に用いた。
【0110】
【化35】
【0111】
300mLナスフラスコに原料を入れ、THF(91mL)に溶解させ、1-NaphthylboronicAcid(0.55g,4.5mmol,4eq.)を加えた。水(39mL)、K2CO3(0.33g,2.4mmol,3eq.)を加えてAr置換した。Pd(PPh3)4(0.14g,0.12mmol,15mol%)を加えて、80℃で21時間還流した。反応終了後、溶媒を濃縮し、CHCl3で抽出して、水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮してヘキサンで再沈殿することで目的物(0.38g,0.61mmol)を76%の収率で得た。
【0112】
【化36】
【0113】
200mL三角フラスコに原料(0.37g,0.59mmol)を入れ、トルエン165mLに溶解させた。I2(0.21g,0.83mmol,1.4eq.)を入れ、レーザー装置を用いてUV(355nm)を照射しながら室温で11時間撹拌した。反応終了後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。反応溶媒を酢酸エチルで抽出して、重曹水・水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮し、ヘキサンで再沈殿することで目的物(0.29g,0.46mmol)を79%の収率で得た。
【0114】
【化37】
【0115】
100mL褐色ナスフラスコに原料(0.26g,0.42mmol)を入れ、エチレングリコール(21mL,0.02M)を加えた。NaOH(1.67g,0.041mol,100eq.)、LiOH・H2O(88mg,2.1mmol,5eq.)を加えてAr置換し、160℃で2.5時間撹拌した。反応終了後、氷浴にした水にゆっくり注ぎ、1M HClでクエンチした。CHCl3で抽出し、水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮した。これをそのまま次の反応に用いた。
【0116】
【化38】
【0117】
100mL褐色ナスフラスコに原料を入れてAr置換し、dry-DCM(38mL)に溶解させた。Benzaldehyde(14.3μL,0.21mmol,0.5eq.)を加えた後、TFAを2滴加え、室温で15時間撹拌した。その後、DDQ(47mg,0.21mmol,0.5eq.)を加え、室温で30分間撹拌した。その後、DIPEA(0.71mL,4.2mmol,10eq.)とBF3・Et2O(1.05mL,8.3mmol,20eq.)を加え、40℃で5時間還流した。反応終了後、氷浴にし、水を加えてクエンチした。CHCl3で抽出して、重曹水(3回)・水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をまぶしシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3toCHCl3/EtOAc)で分離し、ヘキサンで再沈殿することで、目的物(0.16g,0.26mmol)を62%の収率で得た。
【0118】
【化39】
【0119】
20mLナスフラスコに原料20mg(16μmol)を入れてAr置換し、dry-DCM(5mL)に溶解させた。氷浴にし、BBr3 (1Mindry-DCM)0.16mL(0.16mmol,10eq.)を加え、室温で15時間撹拌した。反応終了後、氷浴にし、水を加えてクエンチした。CHCl3で抽出して、水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をまぶしシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で分離し、ヘキサンで再沈殿することで、目的物(3mg,2.6μmol)を16%の収率で得た。
【0120】
【化40】
【0121】
マイクロチューブに原料(2mg,13.9μmol)を入れ、300℃で2時間加熱した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で化合物6を定量的に得た。
【0122】
[実施例7(化合物7)]
【化41】
【0123】
100mLナスフラスコに原料(100.5mg,0.2214mmol)を入れ、PhB(OH)2(139.5mg,2.368mmol)を加えてTHF(35mL)に溶解させた。K2CO3(327.3mg,2.368mmol)、水(15mL)を加えてAr置換した。Pd(PPh3)4(25.5mg,22.5μmol)を加えてAr置換し、一晩還流した。反応終了後、溶媒を濃縮し、CHCl3で抽出し、水・食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:hexane=1:1)で精製し、濃縮し、ヘキサンで再沈殿することで目的物(90.0mg,0.2021mmol)を91%で得た。
【0124】
【化42】
【0125】
100mLナスフラスコに原料(0.160g,0.359mmol)を入れ、トルエンに溶解させ、Ar置換した。I2(211mg,0.832mmol)を入れ、Ar置換した後、UV(260~350nm)を照射しながら室温で16時間撹拌した。亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。反応溶媒を酢酸エチルで抽出、重曹水、水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮し、ヘキサンで再沈殿することで目的物(0.159g,0.359mmol)を100%で得た。
【0126】
【化43】
【0127】
100mL褐色ナスフラスコに原料(0.121g,0.273mmol)を入れ、エチレングリコール(15mL)を加えた。NaOH(1.35g,33.8mmol)、LiOH・H2O(0.185g,4.63mmol,0.3M)を加えてAr置換し、165℃で3時間撹拌した。反応終了後、氷水にゆっくり注ぎ、1MHClaq.でクエンチした。CHCl3で抽出し、重曹水・水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、ヘキサンで再沈殿することで目的物(89.5mg,0.241mmol)を88%で得た。
【0128】
【化44】
【0129】
50mL褐色ナスフラスコに原料(50.0mg,0.135mmol)を入れてAr置換し、dry-DCM(10mL)に溶解させた。PhCHO(56.5μL)をdry-DCM(10mL)に溶解させた溶液(1.25mL,PhCHO7.1μL,68.6mmol)を加えた後、TFAを2滴加え、室温で19時間撹拌した。その後、DDQ(21.3mg,0.0945mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。その後、DIPEA(0.120mL,0.692mmol)とBF3・Et2O(50μL,0.288mmol)を加え、40℃で18時間還流した。反応終了後、水でクエンチし、CHCl3で抽出、重曹水(2回)・水・食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で分離し、リンス(ヘキサン:CHCl3=4:1)することで、目的物(42.5mg,48.5μmol)を72%で得た。
【0130】
【化45】
【0131】
マイクロチューブに原料(30mg,34μmol)を入れ、Ar置換し、グラスチューブオーブンにて300℃で30分間加熱することで、化合物7(27mg,33μmol)を96%で得た。
【0132】
[実施例8(化合物8)]
【化46】
【0133】
200mLナスフラスコに原料(0.50g,1.1mmol)を入れ、THF(56mL)に溶解させ、PhenylboronicAcid(0.55g,4.5mmol,4eq.)を加えた。水(24mL)、K2CO3(0.77g,5.6mmol,5eq.)を加えてAr置換した。Pd(PPh3)4(0.13g,0.11mmol,10mol%)を加えて、80℃で25時間還流した。反応終了後、溶媒を濃縮し、CHCl3(5mL×3)で抽出して、水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をまぶしシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮してヘキサンで再沈殿することで目的物(0.40g,0.91mmol)を81%で得た。
【0134】
【化47】
【0135】
200mLナスフラスコに原料(0.38g,0.86mmol)を入れ、THF(35mL)に溶解させた。氷浴下で水15mL、LiOH・H2O(36mg,0.86mmol,1eq.)を加え、60℃で24時間撹拌した。反応終了後、有機相を濃縮し、希塩酸で酸析し、ろ取した。得られた粗生成物をまぶしシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc)で精製し、ヘキサンで再沈殿させることで目的物(0.19g,0.46mmol)と原料(13mg,29μmol)を53%で得た。
【0136】
【化48】
【0137】
300mLナスフラスコに原料(15mg,36μmol)を入れ、THF(7mL)に溶解させた。水1.5mL、KHCO3(11mg,0.11mmol,3eq.)を加えて、オイルバスで60℃に加熱した。NaI(27mg,0.18mmol,5eq.),I2(10mg,0.25mmol,1.1eq.)を水1.5mLに溶解させ、系中にゆっくり加え、60℃で一晩撹拌した。反応終了後、過剰の亜硫酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、溶媒を濃縮した。反応溶媒をCHCl3で抽出し、重曹水・水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮した。得られた粗生成物をヘキサンで再沈殿することで粗生成物(10.5mg)を得た。
【0138】
【化49】
【0139】
100mLナスフラスコに粗原料(0.35g),1-naphthylboronicacid(0.16g,0.93mmol,1.5eq.)を入れ、THF(35mL)に溶解させた。水(15mL)、K2CO3(0.17g,1.23mmol,2eq.)を加えてAr置換した。Pd(PPh3)4(72mg,62μmol,10mol%)を加えて、80℃で一晩還流した。反応終了後、溶媒を濃縮し、CHCl3で抽出して、水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮してヘキサンで再沈殿することで目的物(0.25g,0.50mmol)を55%で得た。
【0140】
【化50】
【0141】
300mL石英三角フラスコに原料(0.18g,0.36μmol)を入れ、トルエン(102mL)に溶解させた。I2(0.13g,0.51mmol,1.4eq.)を入れ、LEDランプを用いてUV(260nm)を照射しながら室温で21時間撹拌した。反応終了後、過剰の亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。反応溶媒を酢酸エチルで抽出して、重曹水・水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮し、Hexane/EtOAc(2/1)で再沈殿することで目的物(0.12g,0.24mmol)を67%で得た。
【0142】
【化51】
【0143】
50mL褐色ナスフラスコに原料(0.1g,0.20mmol)を入れ、エチレングリコール(10mL)を加えた。NaOH(0.81g,20mmol,100eq.)、LiOH・H2O(43mg,1.0mmol,5eq.)を加えてAr置換し、160℃で2時間撹拌した。反応終了後、氷水にゆっくり注ぎ、1MHClaq.でクエンチした。CHCl3(5mL×3)で抽出し、重曹水・水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮した。これをそのまま次の反応に用いた。
【0144】
【化52】
【0145】
50mL褐色ナスフラスコに原料を入れてAr置換し、dry-DCM(18mL)に溶解させた。Benzaldehyde(9.3μL,0.091mmol,0.45eq.)を加えた後、TFAを1滴加え、室温で一晩撹拌した。その後、DDQ(23mg,0.10mmol,0.5eq.)を加え、室温で2時間撹拌した。その後、DIPEA(0.34mL,2.0mmol,10eq.),BF3・Et2O(0.26mL,2.0mmol,10eq.)を加え、40℃で3時間還流した。反応終了後、氷浴にし、水を加えてクエンチした。CHCl3(5mL×3)で抽出して、重曹水(2回)・水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をまぶしシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、ヘキサンで再沈殿することで、目的物(49mg,50μmol)を50%で得た。
【0146】
【化53】
【0147】
マイクロチューブに原料(20mg,20μmol)を入れ、280℃で1時間加熱した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で分離し、ヘキサンで再沈殿することで、化合物8(17mg,18μmol)を90%で得た。
【0148】
[実施例9(化合物9)]
【化54】
【0149】
300mLナスフラスコに原料(0.40g,0.80mmol)を入れ、THF(91mL)に溶解させ、o-MethoxyphenylboronicAcid(0.18g,1.2mmol,1.5eq.)を加えた。水(39mL)、K2CO3(0.33g,2.4mmol,3eq.)を加えてAr置換した。Pd(PPh3)4(0.09g,78μmol,10mol%)を加えて、60℃で18.5時間撹拌した。反応終了後、溶媒を濃縮し、CHCl3で抽出して、水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮してヘキサンで再沈殿することで目的物(0.21g,0.44mmol)を55%で得た。
【0150】
【化55】
【0151】
200mL三角フラスコに原料(0.17g,0.30mmol)を入れ、トルエン87mLに溶解させた。I2(0.11g,0.43mmol,1.4eq.)を入れ、レーザー装置を用いてUV(355nm)を照射しながら室温で9時間撹拌した。反応終了後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。反応溶媒を酢酸エチルで抽出して、重曹水・水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮し、ヘキサンでリンスすることで目的物(0.13g,0.23mmol)を77%で得た。
【0152】
【化56】
【0153】
20mL褐色ナスフラスコに原料(0.12g,0.21mmol)を入れ、エチレングリコール(10.5mL,0.02M)を加えた。NaOH(0.84g,21mmol,100eq.)、LiOH・H2O(44mg,1.05mmol,5eq.)を加えてAr置換し、160℃で2時間撹拌した。反応終了後、氷水にゆっくり注ぎ、1MHClaq.でクエンチした。CHCl3(5mL×3)で抽出し、重曹水・水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮した。これをそのまま次の反応に用いた。
【0154】
【化57】
【0155】
50mL褐色ナスフラスコに原料を入れてAr置換し、dry-DCM(21mL)に溶解させた。Benzaldehyde(10.7μL,0.105mmol,0.5eq.)を加えた後、TFAを1滴加え、室温で18.5時間撹拌した。その後、DDQ(24mg,0.106mmol,0.5eq.)を加え、室温で2時間撹拌した。その後、DIPEA(0.72mL,4.2mmol,20eq.)とBF3・Et2O(0.53mL,4.2mmol,20eq.)を加え、40℃で2時間還流した。反応終了後、氷浴にし、水を加えてクエンチした。CHCl3(5mL×3)で抽出して、重曹水(2回)・水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をまぶしシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で分離し、ヘキサンで再沈殿することで、目的物(48mg,42μmol)を40%で得た。
【0156】
【化58】
【0157】
30mLナスフラスコに原料(30mg,26μmol)を入れてAr置換し、dry-DCM(8.1mL)に溶解させた。氷浴にし、BBr3(1Mindry-DCM)(1.3mL,1.3mmol,50eq.)を加え、室温で7時間撹拌した。反応終了後、氷浴にし、水を加えてクエンチした。CHCl3(5mL×3)で抽出して、水・食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、濃縮してヘキサンで再沈殿することで目的物(23mg,22μmol)を82%で得た。
【0158】
【化59】
【0159】
マイクロチューブに原料(15mg,14μmol)を入れ、300℃で1時間加熱した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3)で分離し、ヘキサンで再沈殿することで、化合物9(11mg,11μmol)を77%で得た。
【0160】
[蛍光極大波長と外部量子収率及び内部量子収率の測定]
化合物1~9について、前述の方法で蛍光極大波長と外部量子収率(化合物6,9については内部量子収率)を測定し、結果を表1,2に示した。
【0161】
【表1】
【0162】
【表2】
【0163】
表1,2より、本発明のボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素である化合物1~9は、高い発光量子収率で蛍光を発光するものであり、蛍光プローブ、カテーテル、注射針、ドレーンチューブ、インプラント等の医療用途、その他、有機EL素子、偽造防止など、種々の識別用途等に有用であることが分かる。