(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122961
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】電子機器製造システムのためのチャンバの遠隔プラズマ洗浄
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
H01L21/304 645Z
H01L21/304 645C
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024067175
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2022558400の分割
【原出願日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】63/002,994
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/214,707
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クオ, ユアンホン
(72)【発明者】
【氏名】クオ, ション
(72)【発明者】
【氏名】ラドコ, マレク
(72)【発明者】
【氏名】サンソニ, スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ユアン, シアオシン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, シーエン
(72)【発明者】
【氏名】村山 祐二
(72)【発明者】
【氏名】クオ, ピンピン
(72)【発明者】
【氏名】ソ, ソンムン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】チャンバから複数の有機汚染物質を除去する電子機器製造システムのチャンバおよび構成要素を洗浄するための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】電子機器製造システムにおいて、動作中に真空に曝される複数のチャンバを洗浄する方法は、酸素とキャリアガスとを含む混合ガスを遠隔プラズマ発生器に流すことと、遠隔プラズマ発生器によって混合ガスからプラズマを生成することと、チャンバの内部にプラズマを流すことによってチャンバの遠隔プラズマ洗浄を実行することと、を含む。プラズマは、チャンバから複数の有機汚染物質を除去する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器製造システムのためのチャンバを洗浄する方法であって、
前記電子機器製造システムのための前記チャンバの1つ以上の構成要素を機械加工することと、
前記1つ以上の構成要素を使用して、前記チャンバを組み立てることであって、組み立て後に前記チャンバは複数の有機汚染物質を含む、前記チャンバを組み立てることと、
酸素とキャリアガスとを含む混合ガスを、遠隔プラズマ発生器の中へ流すことと、
前記遠隔プラズマ発生器によって前記混合ガスからプラズマを発生させることと、
前記チャンバの内部へ前記プラズマを流すことによって、前記チャンバの遠隔プラズマ洗浄を実行することであって、前記プラズマが前記チャンバから前記複数の有機汚染物質を除去する、遠隔プラズマ洗浄を実行することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記チャンバの前記内部の圧力を約10~50mTorrの真空圧力まで低下させることであって、前記遠隔プラズマ洗浄が約10~50mTorrの前記圧力で実行される、真空圧力まで低下させることと、
前記遠隔プラズマ発生器の出力を約50~110ワットに設定することであって、前記プラズマが約50~110ワットの前記出力で生成される、出力を設定することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遠隔プラズマ発生器の出力を約50~500ワットに設定することを、さらに含み、前記プラズマが、約50~500ワットの前記出力で生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記チャンバの前記内部の圧力を約80~100Torrに到達させることであって、前記遠隔プラズマ洗浄が約80~100Torrの前記圧力で実行される、圧力を到達させることと、
前記遠隔プラズマ発生器の出力を約400~600ワットに設定することであって、前記プラズマが約400~600ワットの前記出力で生成される、出力を設定することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記チャンバの前記内部を約30~120℃の温度に加熱することを、さらに含み、前記遠隔プラズマ洗浄が、約30~120℃の圧力で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記遠隔プラズマ洗浄が、約5~15時間の継続時間の間、実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記チャンバが、移送チャンバ、プロセスチャンバ、またはロードロックチャンバのうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記混合ガスが、清浄空気である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記混合ガスが、約10~30mol%の酸素および約70~90mol%の前記キャリアガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記キャリアガスが、アルゴン、窒素およびヘリウムからなる群から選択される非反応性ガスである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記チャンバを組み立てた後に、前記遠隔プラズマ発生器を前記チャンバに直接接続することを、さらに含み、前記遠隔プラズマ発生器を前記チャンバから分離する中間の配管がない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記チャンバは、ロードロックチャンバに連結された移送チャンバであり、前記移送チャンバを前記ロードロックチャンバから分離しているゲートが、前記遠隔プラズマ洗浄中、開いており、前記遠隔プラズマ洗浄が、前記ロードロックチャンバの内部へ前記プラズマを流すことによって、前記ロードロックチャンバに対して追加的に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記混合ガスが、約5sccm~約100sccmの流量で前記遠隔プラズマ発生器の中へ流される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
電子機器製造システムのためのチャンバを洗浄する方法であって、
酸素とキャリアガスとを含む混合ガスであって、前記キャリアガスがアルゴン、窒素またはヘリウムのうちの少なくとも1つを含む、混合ガスを、遠隔プラズマ発生器の中へ流すことと、
前記遠隔プラズマ発生器によって前記混合ガスからプラズマを発生させることと、
前記チャンバの内部へ前記プラズマを流すことによって、前記チャンバの遠隔プラズマ洗浄を実行することであって、前記プラズマが前記チャンバから複数の有機汚染物質を除去する、遠隔プラズマ洗浄を実行することと、
を含む方法。
【請求項15】
前記チャンバの前記内部の圧力を約10~50mTorrの真空圧力まで低下させることであって、前記遠隔プラズマ洗浄が約10~50mTorrの前記圧力で実行される、真空圧力まで低下させることと、
前記遠隔プラズマ発生器の出力を約50~110ワットに設定することであって、前記プラズマが約50~110ワットの前記出力で生成される、出力を設定することと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記遠隔プラズマ発生器の出力を約50~500ワットに設定することを、さらに含み、前記プラズマが、約50~500ワットの前記出力で生成される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記チャンバの前記内部の圧力を約80~100Torrに到達させることであって、前記遠隔プラズマ洗浄が約80~100Torrの前記圧力で実行される、圧力を到達させることと、
前記遠隔プラズマ発生器の出力を約400~600ワットに設定することであって、前記プラズマが約400~600ワットの前記出力で生成される、出力を設定することと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記チャンバの前記内部を約30~120℃の温度に加熱することを、さらに含み、前記遠隔プラズマ洗浄が、約30~120℃の圧力で実行され、前記遠隔プラズマ洗浄が、約5~15時間の継続時間の間、実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記混合ガスが、清浄空気である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記混合ガスが、約10~30mol%の酸素および約70~90mol%の前記キャリアガスを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、一般に、電子機器製造システムのチャンバおよび構成要素を洗浄するための方法およびシステムに関し、特に、電子機器製造システムのチャンバの遠隔プラズマ洗浄に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]電子機器製造システムは、一般に、動作中に真空に曝される複数のチャンバ(例えば、移送チャンバ、ロードロックチャンバ、処理チャンバなど)を含む。チャンバの製造中に、有機汚染物質および/または空気中の分子状汚染物質(AMC)が、チャンバの様々な構成要素に導入される。そのような有機汚染物質は、構成要素のハンドリング、構成要素の機械加工、構成要素のパッケージング、封止剤、潤滑剤、および/または様々な他の供給源によって導入され得る。チャンバが、製造現場において真空で最初に使用されるとき、有機汚染物質は、チャンバ内に配置され、チャンバによって処理され、および/またはチャンバを通って移動される基板上に堆積する。従来、チャンバは、チャンバをイソプロピルアルコール(IPA)で拭くことによって、チャンバの使用前に製造現場で洗浄されている。しかしながら、IPA拭き取り洗浄技術は、有機汚染物質の全てを除去するわけではなく、有機汚染物質が基板上に堆積するのを防ぐわけではない。
【発明の概要】
【0003】
[0003]記載される実施形態のいくつかは、電子機器製造システムのためのチャンバの遠隔プラズマ洗浄を実施する方法をカバーする。電子機器製造システムのためのチャンバの1つ以上の構成要素が、機械加工される。次いで、チャンバが、1つ以上の構成要素を使用して組み立てられ、組み立て後、チャンバは、複数の有機汚染物質を含んでいる。酸素とキャリアガスとを含む混合ガスが、チャンバに接続された遠隔プラズマ発生器の中へ流される。遠隔プラズマ発生器は、混合ガスからプラズマを発生させる。チャンバの遠隔プラズマ洗浄が、チャンバの内部にプラズマを流すことによって実行され、プラズマは、チャンバから複数の有機汚染物質を除去する。
【0004】
[0005]本開示は、添付図面の図において、限定ではなく例として示されており、同様の参照符号は、同様の要素を示している。本開示における「ある(an)」または「1つの(one)」実施形態への異なる参照は、必ずしも同じ実施形態へのものではなく、そのような参照は、少なくとも1つを意味することに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の態様による、遠隔プラズマ洗浄プロセスを受ける例示的な電子機器製造システムの上面概略図である。
【
図2】本開示の態様による、遠隔プラズマ洗浄プロセスを受ける例示的な電子機器製造システムの上面概略図である。
【
図3】本開示の実施形態による、電子機器処理システムの1つ以上のチャンバの遠隔プラズマ洗浄を実行する方法のフローチャートである。
【
図4】本開示の実施形態による、電子機器製造システムの出荷前に電子機器製造システムの1つ以上のチャンバを遠隔プラズマ洗浄する方法のフローチャートである。
【
図5】電子機器製造システムの1つ以上のチャンバの遠隔プラズマ洗浄を実行するために遠隔プラズマ源が接続され得る、電子機器製造システムの可能な場所を示す。
【
図6B】遠隔プラズマ発生器をチャンバに接続するためのアダプタを示す。
【
図7】遠隔プラズマ洗浄プロセスを使用する炭素除去の動作原理を示す。
【
図8】本開示の実施形態による、遠隔プラズマ洗浄の試験結果を示す。
【
図9】本開示の実施形態による、遠隔プラズマ洗浄の試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0016]本明細書で説明される実施形態は、遠隔プラズマ洗浄プロセスを使用して電子機器製造システムのチャンバを洗浄するための方法およびシステムに関する。電子機器製造システムの様々なチャンバは、一般に、機械加工および組み立て後に有機汚染物質および/または空気中の分子状汚染物質(AMC)を含む。有機汚染物質としては、例えば、炭化水素系有機汚染物質、芳香族系有機汚染物質および/またはエステル系有機汚染物質が挙げられる。これらの有機汚染物質は、構成要素のハンドリング、構成要素の機械加工、および構成要素のパッケージングによって、チャンバの様々な構成要素に導入され得る。さらに、構成要素は、封止剤、潤滑剤、および/または有機汚染物質をもたらす他の製品を含むことができる。チャンバが、真空で最初に使用されるとき、有機汚染物質は、チャンバ内に配置され、チャンバによって処理され、および/またはチャンバを通って移動される基板上に堆積する。製品基板での最初の使用の前に電子機器製造システムのチャンバを洗浄するための従来の技術は、有機汚染を適切に除去するには不十分であることが分かっている。さらに、電子機器処理システムのチャンバを洗浄するための従来の技術は、数日から数週間かかることがあり、これは、電子機器製造システムの所有コストを増加させる。
【0007】
[0017]最初の使用の前に電子機器処理システムのチャンバを洗浄するための例示的な従来技術では、チャンバは、チャンバの内部がIPAで拭き取られる湿式洗浄を受ける。そのようなIPA拭き取りの後、真空下のチャンバ内に配置された基板上の有機汚染の量を決定するための試験が、多くの場合、実施される。有機汚染のレベルが閾値を超える場合、有機汚染の可能性のある発生源を特定するための試験を実施することができ、有機汚染の可能性のある発生源として、その時に特定された構成要素を、交換することができる。このプロセスは、1週間以上かかることがあり、多くの場合、効果がない。新しい電子機器処理システムを使用のために準備するための別の標準的な技術は、残留ガス分析器(RGA)でガス放出を監視しながら電子機器処理システムのチャンバのウエハサイクルを実行することであり、これは、実行に数週間かかる可能性があり、高価であり、また、有機汚染を効果的に低減することができない可能性がある。
【0008】
[0018]実施形態は、電子機器処理システムの1つ以上のチャンバを洗浄するための遠隔プラズマ洗浄プロセスを説明している。酸素とキャリアガスとを含む混合ガスが、遠隔プラズマシステム(RPS、本明細書では遠隔プラズマ発生器とも呼ばれる)の中へ流される。遠隔プラズマシステムは、混合ガスからプラズマを生成し、プラズマを電子機器処理システムの1つ以上のチャンバ内に送達する。一実施形態では、1つ以上のチャンバの内部は、プラズマが送達されるときに加熱され、その結果、チャンバ内部の有機汚染物質および/または空気中の分子状汚染物質(AMC)が、蒸発し始める。遠隔プラズマは、チャンバの内部で有機汚染物質および/またはAMCと反応し、反応物は、チャンバからポンプで吸い出される。実施形態で説明される遠隔プラズマ洗浄プロセスは、複数の異なるチャンバで試験されており、試験は、このプロセスが、チャンバの内部の有機汚染物質および/またはAMCの全てまたはほぼ全てを効果的に除去することを示している。また、遠隔プラズマ洗浄プロセスは、半日未満の期間で実施することができ、製品で使用するための新しい電子機器製造システムを洗浄する、および/または別の仕方で準備するための従来の技術と比較して、新しい電子機器処理システムを稼働させるのに要する時間を大幅に削減する。例えば、新しい電子機器製造システム(またはそのチャンバ)を認定する時間を、数日または数週間から1日以下に短縮することができる。加えて、遠隔プラズマ洗浄プロセスを実行するコストは、ウエハサイクルを実行するコストおよびチャンバの構成要素を交換するコストよりも著しく低い。従って、本明細書の実施形態に記載される遠隔プラズマ洗浄プロセスは、新しい電子機器製造システムのための従来の洗浄および認定技術よりも効率的かつ堅牢である。
【0009】
[0019]本明細書に記載される遠隔プラズマ洗浄プロセスは、任意の密閉されたまたは密閉可能なチャンバに対して実行されることができ、動作中に真空条件に曝されるチャンバに特定の利点を提供する。このようなチャンバの例としては、ロードロックチャンバ、移送チャンバ、ファクトリインターフェース、密閉されたアライメントステーション、ビア、バッファ、パージチャンバ、ならびに物理気相堆積(PVD)プロセスチャンバ、化学気相堆積(CVD)プロセスチャンバ、エッチングプロセスチャンバ、および原子層堆積(ALD)プロセスチャンバなどのプロセスチャンバが挙げられる。遠隔プラズマ洗浄プロセスはまた、有機汚染物質および/またはAMCを除去するために、デバイス製造において使用される、密閉された内部容積を有する他のアセンブリに対して実行されてもよい。密閉された内部容積を有するそのようなアセンブリの一例は、前面開口式一体型ポッド(FOUP)または側方収納ポッド(SSP)などの基板キャリアである。したがって、チャンバのプラズマ洗浄の実行に関して本明細書で論じられる実施形態は、密閉容積を有する他のアセンブリのプラズマ洗浄の実行にも適用されることを理解されたい。
【0010】
[0020]
図1は、本開示の一態様による、例示的な電子機器製造システム100の上面概略図である。電子機器製造システム100は、基板102上で1つ以上のプロセスを実行することができる。基板102は、例えば、シリコン含有ディスクまたはウエハ、パターニングされたウエハ、ガラスプレートなど、電子デバイスまたは回路部品をその上に製造するのに適した任意の適切に剛性の固定寸法の平面物品であってもよい。
【0011】
[0021]電子機器製造システム100は、メインフレーム104と、メインフレーム104に連結されたファクトリインターフェース106とを含むことができる。メインフレーム104は、内部に移送チャンバ110を有するハウジング108を含むことができる。移送チャンバ110は、その周りに配置され、それに連結された1つ以上の処理チャンバ(プロセスチャンバとも呼ばれる)116a~116fを含むことができる。処理チャンバ116a~116fは、スリットバルブ等を含んでもよいそれぞれのポート131を介して、移送チャンバ110に連結されてもよい。
【0012】
[0022]4つの側面(ファセットとも呼ばれる)を有するほぼ正方形の形状のメインフレームが示されており、複数の処理チャンバが各ファセットに接続されていることに留意されたい。しかしながら、ファセットは、それに連結された単一の処理チャンバまたは2つより多い処理チャンバを含むことができることを理解されたい。加えて、メインフレーム104は、長方形の形状(異なるファセットが、異なる長さを有し得る)、または4つより多いファセットを有する(例えば、5つ、6つ、またはそれより多いファセットを有する)放射状の形状などの、他の形状を有し得る。
【0013】
[0023]処理チャンバ116a~116fは、基板102上で任意の数のプロセスを実行するように適合されていてもよい。一実施形態では、処理チャンバ116a~116fの1つ以上が、真空条件(例えば、1ATM未満の圧力、100mTorr未満の圧力、等)の下で動作するように構成されている。各処理チャンバ116a~116fでは、同一または異なった基板プロセスが行われてもよい。基板プロセスは、原子層堆積(ALD)、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、エッチング、アニーリング、硬化、前洗浄、金属または金属酸化物除去などを含むことができる。一例では、PVDプロセスは、プロセスチャンバ116a~116bの一方または両方で実行することができ、エッチングプロセスは、プロセスチャンバ116c、116dの一方または両方で実行することができ、アニーリングプロセスは、プロセスチャンバ116e、116fの一方または両方で実行することができる。他のプロセスが、その中の基板上で実行されてもよい。処理チャンバ116a~116fは、それぞれ基板支持アセンブリを含むことができる。基板支持アセンブリは、基板プロセスが実行されている間、基板を適所に保持するように、構成されてもよい。
【0014】
[0024]移送チャンバ110は、移送チャンバロボット112を含むこともできる。移送チャンバロボット112は、1つまたは複数のロボットアームを含むことができ、各ロボットアームは、ロボットアームの端部に1つ以上のエンドエフェクタ(本明細書ではブレードとも呼ばれる)を含む。エンドエフェクタは、ウエハなどの特定の物体をハンドリングするように構成され得る。代替的に、または追加的に、エンドエフェクタは、プロセスキットリングなどの物体をハンドリングように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、移送チャンバロボット112は、2リンクSCARAロボット、3リンクSCARAロボット、4リンクSCARAロボットなどの選択コンプライアンス組立ロボットアーム(SCARA)ロボットであってもよい。一実施形態の移送チャンバ110は、真空条件(例えば、1ATM未満の圧力、100mTorr未満の圧力、等)の下で動作するように構成されている。
【0015】
[0025]1つ以上のロードロック120a、120b(ロードロックチャンバとも呼ばれる)もまた、ハウジング108および移送チャンバ110に連結されていてもよい。ロードロック120a、120bは、一方の側では移送チャンバ110とインターフェース接続して連結され、他方の側ではファクトリインターフェース106とインターフェース接続して連結されるように構成されていてもよい。ロードロック120a、120bは、いくつかの実施形態では、真空環境(基板は、移送チャンバ110との間で移送され得る)から、大気圧または大気圧付近(例えば、不活性ガスで)の環境(基板は、ファクトリインターフェース106との間で移送され得る)に変えることができる、環境制御された雰囲気を有し得る。
【0016】
[0026]いくつかの実施形態では、ポート131および/またはスリットバルブが、処理チャンバ116a~116fと移送チャンバ110との間のインターフェースにある。実施形態において、ポート133および/またはスリットバルブは、移送チャンバ110をロードロック120a、120bから分離する。
【0017】
[0027]ファクトリインターフェース(FI)106は、例えば、EFEM(Equipment Front End Module)などの、任意の適切なエンクロージャであってもよい。ファクトリインターフェース106は、ファクトリインターフェース106の様々なロードポート124にドッキングされた基板キャリア122(例えば、前面開口式一体型ポッド(FOUP))から基板102を受け取るように構成されてもよい。ファクトリインターフェースロボット126(点線で示される)が、基板キャリア(コンテナとも呼ばれる)122とロードロック120との間で基板102を移送するように構成されてもよい。ファクトリインターフェースロボット126は、1つ以上のロボットアームを含んでもよく、また、SCARAロボットであっても、またはSCARAロボットを含んでもよい。ファクトリインターフェースロボット126は、各ロボットアームの端部にエンドエフェクタを含んでもよい。エンドエフェクタは、ウエハなどの特定の物体をピックアップしてハンドリングするように構成されてもよい。代替的に、または追加的に、エンドエフェクタは、プロセスキットリングなどの物体をハンドリングように構成されてもよい。
【0018】
[0028]ファクトリインターフェースロボット126には、任意の従来のロボットタイプを使用することができる。移送は、任意の順序または方向で実行することができる。ファクトリインターフェース106は、いくつかの実施形態では、例えば、わずかに正圧の非反応性ガス環境(例えば、非反応性ガスとして窒素を使用する)に維持され得る。
【0019】
[0029]いくつかの実施形態では、側方収納ポッド(SSP、図示せず)が、FI106に連結されている。
【0020】
[0030]いくつかの実施形態では、移送チャンバ110、プロセスチャンバ116a~116f、およびロードロック120a、120bは、真空レベルに維持されてもよい。電子機器製造システム100は、電子機器製造システム100の1つ以上のステーションに連結された1つ以上のポート130、131、133(例えば、真空ポート)を含んでもよい。例えば、ポート130(例えば、真空ポート)は、ファクトリインターフェース106をロードロック120に連結することができる。さらなるポート133(例えば、真空ポート)が、上述のように、ロードロック120に連結され、ロードロック120と移送チャンバ110との間に配置されてもよい。ポート130、133、131の各々は、より高い圧力(例えば、大気圧)環境から真空環境を分離するスリットバルブを含んでもよい。
【0021】
[0031]いくつかの実施形態では、アライナーステーション128が、FI106に連結されている。あるいは、アライナーステーション128は、FI106内に収容されていてもよい。いくつかの実施形態では、ポートが、アライナーステーション128をFI106から分離している。アライナーステーション128は、基板、固定具、および/または他の物体(例えば、プロセスキットリング)をターゲットの向きに位置合わせするように構成されている。
【0022】
[0032]また、電子機器製造システム100は、システムコントローラ132を含んでもよい。システムコントローラ132は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、マイクロコントローラなどのコンピューティングデバイスとすることができ、および/またはそれを含むことができる。システムコントローラ132は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの汎用処理デバイスとすることができる1つ以上の処理デバイスを含むことができる。より詳細には、処理デバイスは、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであってもよい。処理デバイスはまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つ以上の専用処理デバイスであってもよい。システムコントローラ132は、データ記憶装置(例えば、1つ以上のディスクドライブおよび/またはソリッドステートドライブ)、メインメモリ、スタティックメモリ、ネットワークインターフェース、および/または他のコンポーネントを含むことができる。システムコントローラ132は、本明細書で説明される方法および/または実施形態のうちの任意の1つ以上を実行するための命令を実行することができる。命令は、メインメモリ、スタティックメモリ、二次記憶装置および/または処理デバイス(命令の実行中)を含むコンピュータ可読記憶媒体に記憶されることができる。システムコントローラ132はまた、人間のオペレータによるデータの入力および表示、コマンドの操作などを可能にするように構成されていてもよい。
【0023】
[0033]電子機器製造システム100(またはその1つ以上のチャンバ)は、実施形態において、電子機器製造システム100の組み立て後に、遠隔プラズマ洗浄プロセスを使用して洗浄され得る。あるいは、電子機器製造システム100の1つ以上のチャンバが、電子機器の全体が組み立てられる前に、組み立てられ、洗浄されてもよい。例えば、移送チャンバ110が、プロセスチャンバ116a~116cのいずれか、ロードロック120a、120bおよび/またはFI106が接続される前に、本明細書に記載された遠隔プラズマ洗浄プロセスを用いて組み立てられ、その後、洗浄されてもよい。同様に、プロセスチャンバ116a~116cのいずれかが、移送チャンバ110への接続前に遠隔洗浄プロセスを用いて洗浄されてもよく、および/またはロードロック120a~120bが、移送チャンバ110への接続前に洗浄されてもよい。別の例では、ロードロック120a、120bが、移送チャンバ110に接続され、移送チャンバ110およびロードロック120a、120bが、本明細書に説明する遠隔プラズマ洗浄プロセスを用いて一緒に洗浄されてもよい。遠隔プラズマ洗浄プロセスは、プロセスチャンバ116a~116fの各々に対して別々に実行されてもよい。あるいは、プロセスチャンバ116a~116fのうちの1つ以上が、移送チャンバ110に接続されて、遠隔プラズマ洗浄プロセスが、プロセスチャンバ116a~116f、移送チャンバ110および/またはロードロック120a、120bを一緒に洗浄するように実行されてもよい。
【0024】
[0034]プラズマ洗浄プロセスを実行するために、遠隔プラズマシステム(RPS、遠隔プラズマ発生器とも呼ばれる)101が、洗浄されるべき1つのチャンバに接続される。RPS101は、例えば、チャンバの窓またはポートでチャンバに接続されてもよい。チャンバの他の全ての窓および/またはポートは、密閉されてもよく、チャンバの内部は、ポンプで真空に引かれる。接続されているチャンバが、同じ洗浄プロセスで洗浄される場合、チャンバを他のチャンバに接続しているポートは、洗浄プロセスのために開かれることができる。いくつかの実施形態では、複数のRPS101が、チャンバに(または接続されたチャンバのうちの1つより多いチャンバに)接続され、複数のRPSの各々が、遠隔プラズマをチャンバ内に送達する。
【0025】
[0035]いくつかの実施形態では、チャンバの内部は、遠隔プラズマ洗浄プロセス中に加熱される。このような加熱は、実施形態では、チャンバの内蔵加熱要素を使用して実施することができる。あるいは、一時的な加熱システムがチャンバに挿入されて、チャンバの内部を加熱するために使用されてもよい。別の実施形態では、加熱は、高温ガス注入によって行われる。
【0026】
[0036]RPS101は、実施形態では、それが接続されるチャンバからRPS101を分離する配管なしで、洗浄されるべきチャンバ(例えば、移送チャンバ110)に直接接続される。これは、洗浄プロセスの効率を最大にし、RPSがチャンバに間接的に(例えば、中間の配管を介して)接続される場合に生じ得るプラズマラジカルの再結合の量を最小にする。あるいは、最小限の量の配管が、RPS101をそれが接続されているチャンバから分離してもよい。
【0027】
[0037]RPS101は、洗浄の効率を最大にするように、洗浄されるべきチャンバに配置され得る。例えば、移送チャンバ110および接続されたロードロックチャンバ120a、120bが、一緒に洗浄される場合、RPS101は、ロードロックチャンバ120a、120bが接続されている移送チャンバ110の側と反対の移送チャンバの側にあるかまたはその近辺にある移送チャンバ110のポートまたは窓に接続されてもよい。これは、プラズマ流の方向109が、RPS101から移送チャンバ110内部およびロードロックチャンバ120a、120b内部の両方へ直接(またはできるだけ近く)進む(例えば、ほぼ直線状に)ことを、確実にし得る。
【0028】
[0038]特定の範囲の混合ガス、温度、プロセス時間、およびプラズマ出力を、実施形態において、遠隔プラズマ洗浄プロセスに使用することができ、これについては、以下でより詳細に説明する。
【0029】
[0039]
図2は、本開示の一態様による、例示的な電子機器製造システム200の上面概略図である。電子機器製造システム200は、基板上で1つ以上のプロセスを実行することができる。電子機器製造システム200は、メインフレーム204と、メインフレーム204に連結されたファクトリインターフェース206とを含むことができる。メインフレーム204は、第1の移送チャンバ210aと、第1のバッファチャンバ221aおよび第2のバッファチャンバ221bを介して第1の移送チャンバ210aに接続された第2の移送チャンバ210bとを含んでもよい。メインフレーム204は、第1の移送チャンバ210aに接続された1対のロードロックチャンバ220a、220bを、さらに含んでもよい。移送チャンバ210a、210b、バッファチャンバ221a、221bおよび/またはロードロックチャンバ220a、220bは、動作中に真空条件に曝されることができる。
【0030】
[0040]第1の移送チャンバ210aは、その周りに配置され、それに連結された1つ以上の処理チャンバ(プロセスチャンバとも呼ばれる)216a~216dを含むことができる。処理チャンバ216a~216dは、スリットバルブ等を含んでもよいそれぞれのポートを介して、移送チャンバ210aに連結されてもよい。
【0031】
[0041]第2の移送チャンバ210bは、その周りに配置され、それに連結された1つ以上の追加の処理チャンバ218a~218eを含むことができる。処理チャンバ218a~218eは、スリットバルブ等を含んでもよいそれぞれのポートを介して、移送チャンバ210bに連結されてもよい。
【0032】
[0042]8つの側面(ファセットとも呼ばれる)を有する移送チャンバ210a、210bが示されており、単一の処理チャンバ、ロードロックチャンバ、またはバッファチャンバが、それぞれのファセットに接続されていることに留意されたい。しかしながら、ファセットは、それに連結された単一の処理チャンバまたは2つ以上の処理チャンバを含み得ることを理解されたい。加えて、移送チャンバは、長方形の形状(異なるファセットが異なる長さを有し得る4つのファセットを有する)、正方形の形状(全てのファセットがほぼ同じ長さを有する4つのファセットを有する)、または8つとは異なる数のファセットを有する(例えば、5つ、6つ、またはそれ以上のファセットを有する)放射状の形状などの、他の形状を有し得る。
【0033】
[0043]処理チャンバ216a~216dおよび218a~218eは、処理チャンバ116a~116fを参照して上記で説明したように、基板202上で任意の数のプロセスを実行するように適合されることができ、真空条件下でこのような処理を実行することができる。
【0034】
[0044]移送チャンバ210aおよび移送チャンバ210bは、それぞれ移送チャンバロボット212a、212bを含むことができる。
【0035】
[0045]ファクトリインターフェース(FI)206は、例えば、EFEM(Equipment Front End Module)などの、任意の適切なエンクロージャであってもよい。ファクトリインターフェース206は、ファクトリインターフェース206の様々なロードポート(図示せず)にドッキングされた基板キャリア(図示せず)から基板202を受け取るように構成され得る。ファクトリインターフェースロボット226が、基板キャリア(コンテナとも呼ばれる)とロードロック220a、220bとの間で基板202を移送するように構成されてもよい。ファクトリインターフェース206は、いくつかの実施形態では、例えば、わずかに正圧の非反応性ガス環境(例えば、非反応性ガスとして窒素を使用する)に維持され得る。
【0036】
[0046]いくつかの実施形態では、移送チャンバ210a、210b、プロセスチャンバ216a~116d、218a~218e、バッファチャンバ221a、221b、およびロードロック220a、220bは、真空レベルに維持することができる。電子機器製造システム200は、これらのチャンバに連結された1つ以上のポート(例えば、真空ポート)を含むことができる。ポートの各々は、より高い圧力(例えば、大気圧)環境から真空環境を分離するスリットバルブを含んでもよい。
【0037】
[0047]電子機器製造システム200はまた、
図1のシステムコントローラ132と同様であってもよいシステムコントローラ232を含んでもよい。
【0038】
[0048]電子機器製造システム200(またはその1つ以上のチャンバ)は、実施形態において、電子機器製造システム200の組み立て後に、遠隔プラズマ洗浄プロセスを使用して洗浄され得る。あるいは、電子機器製造システム200の1つ以上のチャンバが、電子機器の全体が組み立てられる前に、組み立てられ、洗浄されてもよい。例えば、移送チャンバ210aとロードロックチャンバ220a、220bが組み立てられて、本明細書に説明する遠隔プラズマ洗浄プロセスを用いて一緒に洗浄されてもよい。第1のRPS101aが、遠隔プラズマ洗浄プロセスを実行するために、図示のように、第1の移送チャンバ210aに接続されてもよい。このような洗浄プロセスのためのプラズマの例示的な径路209aが、示されている。別の例では、移送チャンバ210bとバッファチャンバ221a、221bが組み立てられて、本明細書に説明する遠隔プラズマ洗浄プロセスを用いて一緒に洗浄されてもよい。第2のRPS101Bが、遠隔プラズマ洗浄プロセスを実行するために、図示のように、第2の移送チャンバ210bに接続されてもよい。このような洗浄プロセスのためのプラズマの例示的な径路209aが、示されている。一実施形態では、第1の移送チャンバ210aをバッファチャンバ221a、221bから分離するバルブが、遠隔プラズマ洗浄プロセス中、密閉され、第1のRPS101Aを使用する遠隔プラズマ洗浄プロセスと第2のRPS101Aを使用する遠隔プラズマ洗浄プロセスが、同時に実行される。
【0039】
[0049]
図3は、本開示の実施形態による、電子機器製造システムの1つ以上のチャンバおよび/または他のアセンブリの遠隔プラズマ洗浄を実行する方法300のフローチャートである。方法300は、チャンバを参照して論じられるが、論じられた工程は、FOUP、SSPなどの他の密閉可能なアセンブリに対しても実行され得る。方法300のブロック305において、電子機器製造システムのチャンバ(または複数のチャンバ)の1つ以上の構成要素が、機械加工される。そのような機械加工は、例えば、構成要素のフライス加工および/または研磨を含むことができる。ブロック310では、チャンバ(または複数のチャンバ)が、1つ以上の構成要素を使用して組み立てられる。構成要素の一部または全部が、芳香族化合物、エステル、フタレート、シロキサン、プラスチック、ゴム、ポリマーなどの有機汚染物質および/またはAMCを含み得る。例えば、チャンバの1つ以上の構成要素は、芳香族ポリエステル、他のポリマーおよび/またはエステル、および/または他のフタレートを含むことがあり、これらは、構成要素のパッケージング、封止、潤滑、保護、研磨、フライス加工などのために使用される、および/またはそれらの間に使用される接着剤、潤滑剤、コーティング、ポリマー(例えば、ポリマー系潤滑剤)、揮発性有機化合物、および/またはプラスチックによって導入され得る。存在し得るいくつかの有機汚染物質の具体例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ジブチルフタレート、シロキサン、安息香酸、ヒドロキシルエステル、炭化水素、ケトン、アルデヒド、アルコール、エーテル、およびジオクチルフタレートである。したがって、組み立てられたチャンバもまた、これらの有機汚染物質のうちの1つ以上を含み得る。
【0040】
[0050]ブロック315では、チャンバの組み立て後に、遠隔プラズマ源/発生器(RPS)が、チャンバに接続される。RPSは、チャンバの開口部に密閉される。一実施形態では、遠隔プラズマ発生器(RPS)は、プラズマを出力する遠隔プラズマ発生器の出口とチャンバとの間に配置された配管なしに、チャンバに直接接続される。他の実施形態では、短いコネクタまたは配管が、遠隔プラズマ発生器とチャンバとの間に接続される。RPSは、例えば、チャンバのポートまたは窓で、チャンバに接続されてもよい。チャンバの他のポートおよび/または窓は、密閉されてもよい。いくつかの例では、他のチャンバが、1つ以上のポートを介してチャンバに接続される。そのようなポートは、遠隔プラズマ洗浄プロセス中に開いたままであり得る。
【0041】
[0051]ブロック320において、チャンバ(および任意選択で、チャンバに接続された任意の他のチャンバ)の内部の圧力を低下させて、真空を達成することができる。一例では、チャンバは、約20~40mTorr、または約10~50mTorrの真空圧力まで減圧される。あるいは、チャンバは、大気圧または大気圧付近(例えば、約80~100Torrの圧力)に維持されてもよい。他の実施形態では、チャンバの内部は、10mTorrから100Torrの間の任意の圧力まで減圧されてもよい。
【0042】
[0052]ブロック325において、チャンバ(または複数のチャンバ)の内部を目標温度まで加熱することができる。一実施形態では、目標温度は、30~120℃である。さらなる実施形態では、目標温度は、40~80℃である。40℃よりも高い温度は、有機汚染物質および/またはAMCのガス放出を促進し、洗浄プロセスを加速することが示されている。しかしながら、チャンバの内部のOリングまたはガスケット(例えば、耐熱性および/または耐プラズマ性のOリングまたはガスケット)などのいくつかの材料は、Oリングまたはガスケット内の他の材料に結合された有機材料(例えば、添加剤)を含むことがある。しかし、温度を約100℃より上に上昇させると、Oリングまたはガスケットから有機物質が放出され、有機汚染物質の量が増加する。したがって、そのようなOリングまたはガスケットが使用される場合、温度は、100℃未満、一実施形態では80℃未満に維持される。一実施形態では、第1の期間の間に、温度は、設定温度まで上げられる。温度は、第2の期間の間、設定温度に維持される。第2の期間の後、温度は、第3の期間の間に、例えば室温まで、下げられる。いくつかの実施形態では、チャンバ(または複数のチャンバ)の内部は、加熱されない。
【0043】
[0053]いくつかの実施形態では、プラズマを生成し始める前に、ある期間、チャンバは、高温(例えば、約30~120℃)に維持される。これにより、プラズマの使用前にチャンバ内の水分を蒸発させることができる。一実施形態では、チャンバは、プラズマをチャンバに流入させる前に、約4~12時間(例えば、約8時間)、高温に維持される。いくつかの実施形態では、チャンバの加熱は、(例えば、ブロック320の工程を実行する前に)大気圧下で実行される。
【0044】
[0054]ブロック330において、RPSの出力が設定される。RPSが設定される出力は、チャンバの内部の容積および/またはチャンバの内部の圧力に依存する。実施形態において、RPSは、約50~500ワットの出力に設定される。チャンバの内部が真空(例えば、20~40mTorrまたは10~50mTorr)である一実施形態では、約50~約110ワット(例えば、約80ワット)の低い出力設定が、RPSのために使用される。チャンバの内部が大気圧または大気圧付近(例えば、約80~100Torr)にある一実施形態では、約400~600ワット(例えば、約500ワット)のより高い出力設定が使用される。
【0045】
[0055]ブロック335において、酸素とキャリアガスとを含む混合ガスが、遠隔プラズマ発生器の中へ流される。混合ガスは、実施形態では、約5sccm(標準立方センチメートル/分)~約100sccmの流量でRPSに流すことができる。一実施形態では、流量は、約5sccm~約50sccmである。RPSは、混合ガスを含む単一のリザーバに接続されてもよく、または複数の異なるガスリザーバに接続されてもよく、複数のリザーバからのガスは、RPS中で、またはRPSへの送達ライン中で混合されてもよい。一実施形態では、混合ガスは、約10~30mol%の酸素および約70~90mol%のキャリアガスを含む。キャリアガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、もしくはこれらの組み合わせなどの非反応性ガスであるか、またはこれらを含む。一実施形態では、混合ガスは、約20mol%の酸素および約80mol%のキャリアガスを含む。一実施形態では、混合ガスは、清浄空気(例えば、約20mol%のO2、約79~80mol%のN2、および任意選択で約1mol%の他のガスを含むことができる)である。
【0046】
[0056]実験は、最大約30mol%の酸素を有する混合ガスを使用することが、より高いレベルの酸素を有する混合ガスと比較して、改善された洗浄性能をもたらすという、予期せぬ結果を示した。理論的には、純酸素または高モルパーセンテージの酸素に基づくプラズマは、汚染物質と相互作用するのに利用可能なより多くの酸素ラジカルが存在するので、洗浄効率を改善するはずである。しかしながら、約30モルパーセントの酸素濃度を超えると、洗浄効率が驚くほど低下することを、実験は示した。
【0047】
[0057]ブロック340において、RPSは、混合ガスからプラズマを生成する。ブロック345において、プラズマは、チャンバの内部の遠隔プラズマ洗浄を実行するために、チャンバの内部に送達される。実施形態では、遠隔洗浄プロセスは、約5~15時間の間、実行される。他の実施形態では、遠隔洗浄プロセスは、わずか3時間の間、または24時間もの間、実行されてもよい。プラズマは、上述の第1、第2、および第3の期間のうちの1つ以上の間に送達され得る。いくつかの実施形態では、プラズマは、チャンバが加熱されたままである間に送達される。チャンバは、プラズマをチャンバに流入させる前に使用された温度と同じ温度に加熱されてもよい。あるいは、チャンバは、プラズマを導入する前にチャンバが加熱された温度とは異なる温度に加熱されてもよい。例えば、ベークアウトが、ブロック325において第1の温度で実行され、第2の温度が、ブロック345において使用されてもよい。チャンバの内部が加熱されない場合、遠隔プラズマ洗浄プロセスは、16~24時間、36時間、2日、または他の期間など、より長い時間の間、実行される。遠隔プラズマプロセスが完了すると、プラズマは止められ、残留プラズマ、ガス、および/または反応物が、チャンバの内部から排出される。さらに、チャンバは、室温に冷却される。
【0048】
[0058]方法300は、顧客に出荷される前に、電子機器製造システム(例えば、チャンバ)の製造業者の場所で実行されてもよい。方法300は、追加的に、または代替的に、電子機器製造システムが設置される場所(例えば、顧客の場所)で実行されてもよい。方法300は、電子機器製造システムが顧客の場所で完全に組み立てられる前または後(例えば、FI、ロードロック、移送チャンバ、およびプロセスチャンバが一緒に接続される前または後)に実行されてもよい。電子機器製造システムが設置される場所で方法300が実行される実施形態では、ブロック305および310の工程は省略されてもよい。いくつかの実施形態では、
図3の工程は、同じまたは異なる順序で実行され得る。
【0049】
[0059]
図4は、本開示の実施形態による、電子機器製造システムの出荷前に電子機器製造システムの1つ以上のチャンバを遠隔プラズマ洗浄する別の方法400のフローチャートである。方法400は、チャンバを参照して論じられるが、論じられた工程は、FOUP、SSPなどの他の密閉可能なアセンブリに対しても実行され得る。方法400のブロック405では、プラズマの流れがチャンバの内部に入ることを可能にするために、チャンバに開口部が生成される。開口部は、チャンバから窓またはスリットバルブを取り外すことによって生成されてもよい。あるいは、開口部は、チャンバのスリットバルブを開くことによって生成されてもよい。
【0050】
[0060]ブロック410では、チャンバの組み立て後に、遠隔プラズマ源/発生器(RPS)が、チャンバに接続される。RPSは、生成された開口部において(例えば、スリットバルブが開かれたか、もしくは取り外された、ポートの位置において、または取り外された窓の位置において)チャンバの開口部に密閉される。一実施形態では、遠隔プラズマ発生器(RPS)は、プラズマを出力する遠隔プラズマ発生器の出口とチャンバとの間に配置された配管なしに、チャンバに直接接続される。他の実施形態では、短いコネクタまたは配管が、遠隔プラズマ発生器とチャンバとの間に接続される。
【0051】
[0061]ブロック415において、チャンバの内部を目標温度まで加熱することができる。一実施形態では、目標温度は、30~120℃である。さらなる実施形態では、目標温度は、40~80℃である。一実施形態では、第1の期間の間に、温度は、設定温度まで上げられる。温度は、第2の期間の間、設定温度に維持される。第2の期間の後、温度は、第3の期間の間に、例えば室温まで、下げられる。
【0052】
[0062]いくつかの実施形態では、プラズマを生成し始める前に、ある期間、チャンバは、高温(例えば、約30~120℃)に維持される。これにより、プラズマの使用前にチャンバ内の水分を蒸発させることができる。一実施形態では、チャンバは、プラズマをチャンバに流入させる前に、約4~12時間(例えば、約8時間)、高温に維持される。いくつかの実施形態では、チャンバの加熱は、ブロック420の工程を開始する前に、大気圧下で(例えば、ブロック320の工程を実行する前に)実行される。あるいは、ブロック420の工程は、ブロック415の工程と並行して実行されてもよい。
【0053】
[0063]ブロック420において、チャンバ(および任意選択で、チャンバに接続された任意の他のチャンバ)の内部の圧力を低下させて、真空を達成することができる。一例では、チャンバは、約20~40mTorr、または約10~50mTorrの真空圧力まで減圧される。あるいは、チャンバは、大気圧または大気圧付近(例えば、約80~100Torrの圧力)に維持されてもよい。他の実施形態では、チャンバの内部は、10mTorrから100Torrの間の任意の圧力まで減圧されてもよい。
【0054】
[0064]ブロック425において、RPSは、混合ガスからプラズマを生成し、プラズマは、チャンバの内部の遠隔プラズマ洗浄を実行するために、チャンバの内部に送達される。実施形態では、遠隔洗浄プロセスは、約5~15時間の間、実行される。他の実施形態では、遠隔洗浄プロセスは、わずか3時間の間、または24時間もの間、実行されてもよい。プラズマは、上述の第1、第2、および第3の期間のうちの1つ以上の間に送達され得る。いくつかの実施形態では、プラズマは、チャンバが加熱されたままである間に送達される。チャンバは、プラズマをチャンバに流入させる前に使用された温度と同じ温度に加熱されてもよい。あるいは、チャンバは、プラズマを導入する前にチャンバが加熱された温度とは異なる温度に加熱されてもよい。チャンバの内部が加熱されない場合、遠隔プラズマ洗浄プロセスは、16~24時間、36時間、2日、または他の期間など、より長い時間の間、実行される。
【0055】
[0065]一実施形態では、ブロック430において、プロセスチャンバは、遠隔プラズマ洗浄を実行し続けながら冷却される。一実施形態では、これは、約1~3時間(例えば、約2時間)の間、実行される。あるいは、ブロック430は、省略されてもよい。ブロック435では、遠隔プラズマ洗浄が停止され、RPSがチャンバから切り離され、チャンバが室温まで冷却される。
【0056】
[0066]ブロック440では、先に取り外されたスリットバルブまたは窓が、チャンバに再度取り付けられる。あるいは、開いていたスリットバルブを閉じてもよい。ブロック445において、チャンバは、(例えば、顧客への)出荷のために準備される。
【0057】
[0067]
図5は、電子機器製造システム500の1つ以上のチャンバの遠隔プラズマ洗浄を実行するために遠隔プラズマ源501が接続されることができる、電子機器製造システム500の複数の可能な場所を示す。
図5の電子機器処理システム500は、
図2の電子機器処理システム200に対応する。図示のように、電子機器製造システム500の移送チャンバ510A~510Bは、それぞれ、複数の窓503を含む。これらの窓503のいずれかが、移送チャンバ510A~510Bの内部へのアクセスを提供するために一時的に取り外されて、RPSモジュール501が、窓503に接続されることができる。追加的に、または代替的に、移送チャンバ510A~510Bは、複数のポート505を含んでおり、RPSモジュール501が、ポート505のいずれかを介して移送チャンバ510A~510Bに接続されもよい。いくつかの実施形態では、RPSモジュール501をポートに接続する前に、スリットバルブが、ポート505から取り外される。他の実施形態では、ポート505は、ポンピング経路を提供するために、(例えば、スリットバルブを開くことによって)開かれ、RPSモジュール501が、開いたポートを介して接続される。複数のRPSモジュール501が、プラズマ洗浄を実行するために、同時に移送チャンバ510A~510Bの1つまたは両方に接続されてもよい。あるいは、単一のRPSモジュール501が、移送チャンバ510A~510Bの1つまたは両方に接続されてもよい。
【0058】
[0068]電子機器製造システムの1つ以上のチャンバにおける遠隔プラズマ洗浄プロセスのシミュレーションのために、複数の流れシミュレーション条件を試験した。シミュレーション条件下では、チャンバの任意のチャンバポートまたは窓が、RPSモジュールを取り付けるために利用可能である。清浄乾燥空気(CDA)流量10sccm、O2解離速度約80%、および圧力1E-2Torrのシミュレーション境界条件を試験した。清浄乾燥空気の組成は、おおよそ20.95%のO2と79.05%のN2であると測定された。付着係数1e-4の O+O=O2 の反応モデルを試験した。境界条件については、動作圧力0.01Torr、粘度3.5e-6、メッシュサイズ130万ノード、ならびにN2、O2およびOのシミュレーションされた化学的性質で、定常状態シミュレーションが用いられた。シミュレーションされた反応は、以下を含む:
O+O+O2→2O2 例:k=7.4x10-33cm6s-1
O+O2+O2→O2+O3 例:k=6x10-34cm6s-1
O+O3→2O2 例:k=9x10-15cm6s-1
O+O+W→W+O2 例:α=0.1~0.002
【0059】
ここで、kは反応速度定数であり、αは付着係数である。さらに、式 O+O+W→W+O2 例:α=0.1~0.002 について、Wは壁または表面を表し、式は、Oラジカルが壁に衝突するとき、O2に変換される可能性が10%~0.2%であることを意味する。
【0060】
[0069]シミュレーションは、有機汚染物質の完全な除去を示した。
【0061】
[0070]
図6Aは、上述したRPS101、101a、101b、501に対応し得る例示的な遠隔プラズマ源/発生器(RPS)モジュール600を示す。RPSモジュール600は、プラズマ出力を調整するためのノブ615と、チャンバのポートまたは窓に密閉することができるポート(例えば、KF40ポート)と、ガス供給ライン(フィルタを含んでもよい)610と、RPSモジュール600へのガス流量を制御することができるガス流量制御装置620とを含む。一実施形態では、RPSモジュール600は、1~100ワットの出力を達成することができる低出力ユニットである。RPSモジュール600およびポート605のサイズが小さいことにより、RPSモジュール600は、任意のメインフレーム(例えば、移送チャンバ)またはチャンバ本体に取り付けることができる。ガス供給ラインおよびフィルタ610は、種々のプラズマ化学物質の使用を可能にする。
【0062】
[0071]
図6Bは、RPSモジュールをチャンバに接続するためのアダプタ650を示す。アダプタ650は、チャンバに接続する基部652と、RPSモジュールに接続するリングまたはフランジ654と、基部652をリング654に接続するチューブまたはシリンダ656とを含んでもよい。基部652は、円板形状であってもよく、実施形態では、移送チャンバ窓の直径に対応する外径と、チューブまたはシリンダ656の内径に対応する内径とを含んでもよい。リングまたはフランジ654は、実施形態では、基部652よりも小さい外径を有することができる。チューブまたはシリンダ656は、ラジカルコンダクタンスチューブであってもよく、RPSモジュールからチャンバに到達するラジカルの流量を制御する直径および長さを有してもよい。一実施形態では、チューブまたはシリンダ656は、遠隔プラズマ発生器(RPSモジュール)とそれが接続されるチャンバとの間の距離を最小にするために、約1インチの長さを有する。約1インチまたはそれ以下の短い長さは、チューブまたはシリンダ656のより長い長さとは対照的に、コンダクタンスの増加およびより高い洗浄速度を提供する。アダプタ650は、実施形態では、RPSモジュールがチャンバの窓ポートまたはロードポートに接続することを可能にする。
【0063】
[0072]
図7は、酸素とキャリアガスとの混合ガスを用いた遠隔プラズマ洗浄プロセスを用いた炭素除去の動作原理を示す。図示のように、プラズマ発生器704が、O
2分子706(O
2を含有する清浄乾燥空気などのガス)の流れを受け取り、O
+イオン708、電子710、およびOラジカル712を含むプラズマを発生させる。プラズマは、チャンバ702内にポンプで送り込まれ、Oラジカル712が、チャンバの表面上の炭素714と相互作用して、式 2O+C→CO
2 に従ってCO
2を形成する。次いで、CO
2ガスが、チャンバからポンプで吸い出される。チャンバの表面は、さらに、長鎖炭化水素の汚染を含むことがあり、これは、式 C
xH
y+O→CO
2+H
2O に従って酸素プラズマのOラジカルと反応し得る。チャンバが加熱されると、H
2Oは蒸発することができる。CO
2および蒸発したH
2Oは、その後、チャンバ702からポンプで吸い出されることができる。
【0064】
[0073]一実施形態において、遠隔プラズマ洗浄プロセスを使用した有機汚染物質の洗浄を測定するために、試験設定が使用された。試験設定のために、非晶質炭素で堆積された水晶モニタ(QCM)を用いて、プラズマ出力の関数として炭素(C)除去速度を測定した。以下のように、Sauerbreyの式を使用して、周波数対質量/面積(厚さ)の関係を決定した。
【0065】
ここで、f
0は、基本モードの共振周波数(単位:Hz)、Δfは、正規化された周波数変化(単位:Hz)、Δmは、質量変化(単位:g)、Aは、水晶モニタの電極間の圧電活性結晶面積(単位:cm
2)、ρ
qは、水晶の密度(2.648g/cm
3)、μ
qは、ATカット結晶の水晶のせん断弾性率(2.947x10
11gcm
-1s
-2)である。一実施形態では、試験条件は、水晶モニタのAuおよびAg電極、500オングストロームの初期炭素厚さ、空気の駆動ガス、および5E-3Torrの圧力を含んでいた。試験結果は、
図8~
図9に示されたものに等しい除去速度を示した。
【0066】
[0074]一実施形態では、試験は、移送チャンバ内の汚染された試験片を使用して実施された。RPSモジュールを移送チャンバのポートに取り付けた。有機汚染を含んだ第1の汚染された試験片を、RPSモジュールが取り付けられたポートの近くに配置した。有機汚染を含んだ第2の汚染された試験片を、RPSモジュールが取り付けられたポートから可能な限り離して配置した。本明細書に記載される遠隔プラズマ洗浄プロセスを使用する洗浄の前に、第1の試験片の汚染レベルは、200,000個を超えるパーティクルであると測定され、第2の試験片の汚染レベルは、試験装置が飽和した(測定するにはパーティクルが多過ぎた)ために測定することができなかった。78%のN2、21%のO2および1%の追加のガスを含むガス、80Wのプラズマ出力、24時間の洗浄時間、室温、ならびに2~4mTorrの圧力範囲を使用して、遠隔プラズマ洗浄プロセスを実行した。遠隔プラズマ洗浄プロセスの後、第1の試験片上で測定された有機汚染はゼロであり、第2の試験片上では2つのパーティクルが測定された。したがって、有機汚染は、遠隔プラズマ洗浄プロセスを使用して本質的に完全に除去された。また、80Wのプラズマ出力、30分間の継続時間、清浄空気から生成されたプラズマ、および様々な温度での遠隔プラズマ洗浄プロセスを使用した試験も行い、99%を超える洗浄効率(初期汚染の99%超が除去された)を得た。
【0067】
[0075]試験を繰り返した後、実験は、実施形態に記載された遠隔プラズマ洗浄プロセスが、50℃の温度および8~14時間の洗浄継続時間を使用して、試験されたチャンバ内に配置されたウエハ上の全てのオンウエハ有機汚染物質を除去することを示した。試験は、
図2に示す電子機器製造システム200ならびに本明細書に示されていない他の電子機器製造システムに対して実施された。ロードロック220a、ロードロック220b、移送チャンバ210a、移送チャンバ210b、第1のバッファ221aおよび第2のバッファ221bにおいて測定された汚染物質は、いずれも、測定可能な汚染について、検出されたパーティクルまたは汚染領域が0個に低減された。出発点となる測定された汚染は、約数個の汚染領域/パーティクルから、互いに区別するには多過ぎる数の汚染領域/パーティクルまでの範囲であった。
【0068】
[0076]
図8は、本開示の実施形態による、遠隔プラズマ洗浄の試験結果を示す。
図8において、x軸は、RPS洗浄時間を時間で表し、y軸は、50サイクル当たりの有機パーティクルの平均パーティクル数を表す。最初、パーティクル数は約66であり、8時間後にパーティクルの100%の減少が達成されるまで、パーティクル数のほぼ線形の減少があった。示されるように、検出された有機パーティクルの総数は、8時間の洗浄時間後に0に減少した。試験において、プラズマを生成するために使用されたガスは、周囲のクリーンルーム空気であり、80Wのプラズマ出力が使用され、20~40mTorrの圧力範囲が使用された。図示されたチャートは、y軸上に平均パーティクル数を示し、x軸上に遠隔プラズマ洗浄時間を示す。示されるように、プラズマ洗浄は、8時間で有機汚染を完全に除去した。試験のために、遠隔プラズマ洗浄プロセスを実行する前に、8時間、チャンバを高温に加熱した。例示的な標準の洗浄レシピは、約10時間、実行され得る。したがって、8時間でのパーティクルの完全な除去の検出は、洗浄が2時間早く終了することができたことを示す。
【0069】
[0077]
図9は、本開示の実施形態による、遠隔プラズマ洗浄の試験結果を示す。図示されたチャートは、y軸上に平均パーティクル数(50サイクル当たり)を示し、x軸上に遠隔プラズマ洗浄時間(時間単位)を示している。示されるように、検出された有機パーティクルの総数は、10時間の洗浄時間後に0に減少した。最初に、約80個の欠陥が検出された。10時間の洗浄後、検出された欠陥は、0個であった。
【0070】
[0078]本明細書を通して「一実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な場所における「一実施形態では」または「実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包含的な「または」を意味することを意図している。用語「約」または「ほぼ」が本明細書で使用される場合、これは、提示された名目値が±10%以内で正確であることを意味することが意図される。
【0071】
[0079]本明細書における方法の工程は、特定の順序で示され、説明されているが、特定の工程が逆の順序で実行されて、特定の工程が、少なくとも部分的に、他の工程と同時に実行され得るように、各方法の工程の順序が変更されてもよい。別の実施形態では、別個の工程の命令またはサブ工程が、断続的および/または交互的であってもよい。
【0072】
[0080]前述の説明は、本開示のいくつかの実施形態の良好な理解を提供するために、特定のシステム、構成要素、方法などの例などの、多数の特定の詳細を説明している。しかしながら、本開示の少なくともいくつかの実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが、当業者には明らかであろう。他の例では、本開示を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の構成要素または方法は、詳細には説明されないか、または単純なブロック図の形式で提示されている。したがって、説明されている特定の詳細は、単なる例示である。特定の実施態様は、これらの例示的な詳細とは異なり得るが、依然として、本開示の範囲内であることが企図され得る。
【0073】
[0081]上記の説明は、例示的なものであり、限定的なものではないことが意図されることが理解される。上記の説明を読み、理解することにより、多くの他の実施形態が、当業者に明らかになるであろう。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲と共に参照して、決定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器製造システムのための移送チャンバを洗浄する方法であって、
酸素とキャリアガスとを含む混合ガスを、遠隔プラズマ発生器の中へ流すことと、
前記遠隔プラズマ発生器によって前記混合ガスからプラズマを発生させることと、
前記移送チャンバの内部へ前記プラズマを流すことによって、前記移送チャンバの遠隔プラズマ洗浄を実行することであって、前記プラズマが前記移送チャンバから複数の有機汚染物質を除去する、遠隔プラズマ洗浄を実行することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記移送チャンバの前記内部の圧力を10~50mTorrの真空圧力まで低下させることであって、前記遠隔プラズマ洗浄が10~50mTorrの前記圧力で実行される、真空圧力まで低下させることと、
前記遠隔プラズマ発生器の出力を50~110ワットに設定することであって、前記プラズマが50~110ワットの前記出力で生成される、出力を設定することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遠隔プラズマ発生器の出力を50~500ワットに設定することを、さらに含み、前記プラズマが、50~500ワットの前記出力で生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記移送チャンバの前記内部の圧力を80~100Torrに到達させることであって、前記遠隔プラズマ洗浄が80~100Torrの前記圧力で実行される、圧力を到達させることと、
前記遠隔プラズマ発生器の出力を400~600ワットに設定することであって、前記プラズマが400~600ワットの前記出力で生成される、出力を設定することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記移送チャンバの前記内部を30~120℃の温度に加熱することを、さらに含み、前記遠隔プラズマ洗浄が、30~120℃の温度で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記遠隔プラズマ洗浄が、5~15時間の継続時間の間、実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記混合ガスが、清浄空気である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記混合ガスが、10~30mol%の酸素および70~90mol%の前記キャリアガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記キャリアガスが、アルゴン、窒素およびヘリウムからなる群から選択される非反応性ガスである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記移送チャンバは、ロードロックチャンバに連結され、前記移送チャンバを前記ロードロックチャンバから分離しているゲートが、前記遠隔プラズマ洗浄中、開いており、前記遠隔プラズマ洗浄が、前記移送チャンバの内部へ前記プラズマを流すことによって、前記ロードロックチャンバに対して追加的に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記混合ガスが、5sccm~100sccmの流量で前記遠隔プラズマ発生器の中へ流される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記移送チャンバは、処理チャンバに連結され、前記移送チャンバを前記処理チャンバから分離しているゲートが、前記遠隔プラズマ洗浄中、開いており、前記遠隔プラズマ洗浄が、前記移送チャンバの内部へ前記プラズマを流すことによって、前記処理チャンバに対して追加的に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
電子機器処理システムであって、
移送チャンバと、
該移送チャンバに連結された複数の処理チャンバと、
該移送チャンバに連結された遠隔プラズマ源であって、該遠隔プラズマ源は、
酸素とキャリアガスとを含む混合ガスを受け取ることと、
該混合ガスからプラズマを発生することと、
前記移送チャンバの内部に前記プラズマを供給して、前記移送チャンバの遠隔プラズマ洗浄を実行することであって、前記プラズマが前記移送チャンバから複数の有機汚染物質を除去することを実行する遠隔プラズマ源と、
を備える、電子機器処理システム。
【請求項14】
前記移送チャンバの前記内部の圧力を10~50mTorrの真空圧力まで低下させる真空システムであって、前記遠隔プラズマ洗浄が10~50mTorrの前記真空圧力および50~110ワットの出力で実行される、真空システムをさらに備える、請求項13に記載の電子機器処理システム。
【請求項15】
前記遠隔プラズマ洗浄が、50~500ワットの出力で実行される、請求項13に記載の電子機器処理システム。
【請求項16】
前記遠隔プラズマ洗浄が、80~100Torrの圧力および400~600ワットの出力で実行される、請求項13に記載の電子機器処理システム。
【請求項17】
前記移送チャンバ又は前記移送チャンバの内部に連結されたヒータをさらに備え、前記ヒータは、前記移送チャンバの前記内部を30~120℃の温度に加熱し、前記遠隔プラズマ洗浄が、30~120℃の温度で実行され、前記遠隔プラズマ洗浄が、5~15時間の継続時間の間、実行される、請求項13に記載の電子機器処理システム。
【請求項18】
前記混合ガスが、10~30mol%の酸素および70~90mol%の前記キャリアガスを含む、請求項13に記載の電子機器処理システム。
【請求項19】
移送チャンバに連結されたロードロックチャンバであって、前記移送チャンバと前記ロードロックチャンバとを分離しているゲートが、前記遠隔プラズマ洗浄中、開いており、前記遠隔プラズマ洗浄が、前記移送チャンバの内部へ前記プラズマを流すことによって、前記ロードロックチャンバに対して追加的に実行される、ロードロックチャンバをさらに備える、請求項13に記載の電子機器処理システム。
【請求項20】
前記移送チャンバを前記複数の処理チャンバのうちの一つの処理チャンバから分離するゲートであって、前記ゲートは、前記遠隔プラズマ洗浄中、開いており、前記遠隔プラズマ洗浄が、前記移送チャンバの内部へプラズマを流すことによって、前記処理チャンバに対して追加的に実行される、ゲートをさらに備える、請求項13に記載の電子機器処理システム。
【外国語明細書】