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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000123
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/476 20060101AFI20231225BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
A61F13/476
A61F13/511 500
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098696
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】森実 夕里子
(72)【発明者】
【氏名】都田 千紗
(72)【発明者】
【氏名】北川 雅史
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BB01
3B200BB09
3B200CA12
3B200CA13
3B200DA11
3B200DA25
3B200DC06
(57)【要約】
【課題】フラップにおける体液の漏れを抑制するとともに、使用者が漏れに対する安心感を得やすい吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品(1)は、吸収コア(31)と、吸収コアよりも幅方向の外側に延出する一対のフラップ(40)と、一対のフラップに配置された、繊維を有する繊維シート(50)と、吸収コア及び繊維シートの非肌側に配置されたバックシート(20)と、吸収コア及び繊維シートの肌側に配置されたトップシート(10)と、を有する。繊維シートの少なくとも一部は、吸収コアに重なっている。吸収性物品は、繊維シートと重なる領域に配置された目印部(80)を有する。目印部の少なくとも一部は、フラップに配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収コアと、
前記吸収コアよりも幅方向の外側に延出する一対のフラップと、
一対のフラップに配置された、繊維を有する繊維シートと、
前記吸収コア及び前記繊維シートの非肌側に配置されたバックシートと、
前記吸収コア及び前記繊維シートの肌側に配置されたトップシートと、を有する吸収性物品であって、
繊維シートの少なくとも一部は、吸収コアに重なっており、
前記繊維シートと重なる領域に配置された目印部を有し、
前記目印部の少なくとも一部は、前記フラップに配置されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記目印部は、前記繊維シートの外側縁に沿う形状の相似部を有する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記繊維シートの外側縁は、前記フラップの外側縁に沿う形状の相似部を有する、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記繊維シートの外側縁は、前記幅方向の外側に膨らむ凸部を有する、請求項2又は3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記バックシートは、前記フラップにおいて前記繊維シートよりも前記幅方向の外側に延出しており、
前記繊維シートと吸収コアとが重なる領域と、前記繊維シートが配置され、かつ前記吸収コアが配置されていない領域と、の色差ΔEが3.0以下であり、
前記繊維シートが配置され、かつ前記吸収コアが配置されていない領域と、前記バックシートが配置され、かつ前記繊維シートが配置されていない領域と、の色差ΔEが3.0よりも大きい、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記目印部の内側縁は、前記フラップの内側縁よりも前記幅方向の外側に位置する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記目印部の外側縁は、前記繊維シートの外側縁よりも前記幅方向の内側、かつ前記吸収コアの外側縁よりも前記幅方向の外側に位置し、
前記繊維シートの最大幅を通り、かつ前記幅方向に延びる仮想線上において、前記繊維シートの外側縁と前記目印部の外側縁との距離は、前記目印部の内側縁と前記吸収コアの外側縁との距離よりも短い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記トップシートは、前記吸収コアよりも幅方向の外側に配置され、前記フラップに配置されたサイドシートを有し、
前記目印部は、前記サイドシートと前記繊維シートを圧搾した圧搾部である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記トップシートは、前記吸収コアよりも幅方向の外側に配置され、前記フラップに配置されたサイドシートを有し、
前記目印部の外側縁は、前記繊維シートの外側縁よりも前記幅方向の内側、かつ前記サイドシートの内側縁よりも前記幅方向の外側に配置されており、
前記繊維シートの最大幅を通り、かつ前記幅方向に延びる仮想線上において、前記繊維シートの外側縁と前記目印部の外側縁との距離は、前記目印部の内側縁と前記サイドシートの内側縁との距離よりも短い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記トップシートは、前記吸収コアの幅方向の中央を覆うセンターシートと、前記吸収コアよりも幅方向の外側に配置され、前記フラップに配置されたサイドシートと、を有し、
前記目印部の外側縁は、前記繊維シートの外側縁よりも前記幅方向の内側、かつ前記センターシートの外側縁よりも前記幅方向の外側に配置されており、
前記繊維シートの最大幅を通り、かつ前記幅方向に延びる仮想線上において、前記繊維シートの外側縁と前記目印部の外側縁との距離は、前記目印部の内側縁と前記センターシートの外側縁との距離よりも短い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記トップシートは、前記吸収コアの幅方向の中央を覆うセンターシートと、前記吸収コアよりも幅方向の外側に配置され、前記フラップに配置されたサイドシートと、を有し、
前記センターシートと前記サイドシートを接合するシート接合部を有し、
前記目印部の外側縁は、前記繊維シートの外側縁よりも前記幅方向の内側、かつ前記シート接合部の外側縁よりも前記幅方向の外側に配置されており、
前記繊維シートの最大幅を通り、かつ前記幅方向に延びる仮想線上において、前記繊維シートの外側縁と前記目印部の外側縁との距離は、前記目印部の内側縁と前記シート接合部の外側縁との距離よりも短い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記繊維シートの外側縁は、前記フラップの外側縁よりも幅方向の内側、かつ前記目印部の外側縁よりも前記幅方向の外側に位置し、
前記繊維シートの外側縁と前記フラップの外側縁との距離は、前記繊維シートの外側縁と前記目印部の外側縁との距離よりも長い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記目印部は、少なくとも前記トップシートを圧搾した圧搾部、前記繊維シートに設けられた着色部、及び前記トップシートに設けられた着色部の少なくともいずれかによって構成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記目印部は、間隔を空けて複数配置された前記圧搾部の集合体によって構成されている、請求項13に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記吸収コアと前記トップシートを圧搾した圧搾部の集合体によって構成された本体圧搾部が設けられており、
前記目印部の前記圧搾部の形状は、前記本体圧搾部の前記圧搾部と同形状又は相似形である、請求項14に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前記フラップは、着用物品の非肌側に折り返されるウイングであり、
前記吸収コアの外側縁は、前記ウイングの内側縁よりも前記幅方向の内側に配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラップを有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、繊維を有する繊維シートをフラップに配置した吸収性物品を開示されている。特許文献1の吸収性物品は、フラップとしての一対のウイングを跨がって配置された繊維シートと、ウイング間に配置された本体吸収体と、を有する。特許文献2は、ナプキンの長手方向の全体に配置される第1吸収体と、着用者の股下域に配置される股下域において、第1吸収体よりも幅方向の外側に突出し、フラップとしてのウイングに配置された第2吸収体(繊維シート)と、を有する。フラップに繊維シートが配置されているため、当該繊維間に体液が引き込まれることで一時的に体液を保持し、フラップにおける体液の漏れを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-189458号公報
【特許文献2】特開2008-161251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の吸収性物品は、以下の問題があった。体液の漏れを抑制する機能を発揮する繊維シート等がフラップに配置されていても、使用者が当該繊維シート等の存在を把握できず、漏れを抑制する効果を期待できないことがあった。また、体液の漏れを抑制する機能を発揮する繊維シート等の存在を把握した場合であっても、その範囲を把握できず、漏れに対する安心感を十分に得ることができないことがあった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、フラップにおける体液の漏れを抑制するとともに、使用者が漏れに対する安心感を得やすい吸収性物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品は、吸収コアと、前記吸収コアよりも幅方向の外側に延出する一対のフラップと、一対のフラップに配置された、繊維を有する繊維シートと、前記吸収コア及び前記繊維シートの非肌側に配置されたバックシートと、前記吸収コア及び前記繊維シートの肌側に配置されたトップシートと、を有する。繊維シートの少なくとも一部は、吸収コアに重なっている。吸収性物品は、繊維シートと重なる領域に配置された目印部を有する。前記目印部の少なくとも一部は、前記フラップに配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る吸収性物品の肌側から見た平面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る吸収性物品の非肌側から見た平面図である。
図3図3は、図1に示すA-A線に沿った断面図である。
図4図4は、図1に示すB部分の拡大図である。
図5図5は、第2実施形態に係る吸収性物品の肌側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1に係る吸収性物品は、吸収コアと、前記吸収コアよりも幅方向の外側に延出する一対のフラップと、一対のフラップに配置された、繊維を有する繊維シートと、前記吸収コア及び前記繊維シートの非肌側に配置されたバックシートと、前記吸収コア及び前記繊維シートの肌側に配置されたトップシートと、を有する。繊維シートの少なくとも一部は、吸収コアに重なっている。吸収性物品は、繊維シートと重なる領域に配置された目印部を有する。前記目印部の少なくとも一部は、前記フラップに配置されている。繊維シートは、繊維を有しており、当該繊維間に体液を引き込み、かつ一時的に体液を保持し、フラップにおける体液の漏れを抑制できる。また、繊維シートが吸収コアに重なって配置されており、使用者は、繊維シートを視認することで、吸収コアによって吸収できる領域がフラップにも配置されているように認識でき、フラップにおける漏れを抑制する効果を期待できる。また、繊維シートに重なる領域に目印部が配置されており、使用者は、目印部を視認することでフラップにおける繊維シートの位置や存在を把握し易くなる。使用者は、フラップにおける繊維シートによる漏れを抑制できる範囲を把握でき、漏れに対する安心感を得ることができる。
【0009】
好ましい態様によれば、態様2に係る発明は、態様1に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記目印部は、前記繊維シートの外側縁に沿う相似部を有する。本態様によれば、使用者は、目印部を視認することで、繊維シートが配置された領域の外側縁を把握し易くなる。また、目印部が繊維シートの外側縁に沿う部分を有するため、繊維シートが配置された領域の範囲をより広く見せることができ、漏れに対する安心感をより高めることができる。
【0010】
好ましい態様によれば、態様3に係る発明は、態様1又は態様2に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記繊維シートの外側縁は、前記フラップの外側縁に沿う形状の相似部を有する。本態様によれば、繊維シートの外側縁の少なくとも一部がフラップの外側縁に沿うため、繊維シートをフラップと共に幅方向の外側に広がるように見せることができる。また、繊維シートの外側縁に沿って目印部が配置されていることにより、繊維シートの外側縁がより目立つ。使用者は、繊維シートが配置された領域を広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。
【0011】
好ましい態様によれば、態様4に係る発明は、態様1から態様3のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記繊維シートの外側縁は、前記幅方向の外側に膨らむ凸部を有する。本態様によれば、繊維シートの外側縁の少なくとも一部が幅方向の外側に膨らむ凸部をしており、繊維シートが幅方向の外側に広がる形状である。使用者は、繊維シートが配置された領域をより広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。
【0012】
好ましい態様によれば、態様5に係る発明は、態様1から態様4に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記バックシートは、前記フラップにおいて前記繊維シートよりも前記幅方向の外側に延出している。前記繊維シートと吸収コアとが重なる領域と、前記繊維シートが配置され、かつ前記吸収コアが配置されていない領域と、の色差ΔEが3.0以下である。前記繊維シートが配置され、かつ前記吸収コアが配置されていない領域と、前記バックシートが配置され、かつ前記繊維シートが配置されていない領域と、の色差ΔEが3.0よりも大きい。繊維シートのみ配置された領域と、繊維シートと吸収コアとが重なった領域と、の色差が3.0以下であるため、使用者は、2つの領域を同一の領域として認識でき、繊維シートのみが配置された領域も吸収効果を得られる領域と認識し、漏れに対する安心感を得ることができる。また、繊維シートが配置された領域と、繊維シートが配置されずにバックシートが配置された領域との色差が3.0よりも大きい。使用者が2つの領域を区別して認識でき、繊維シートによって体液の漏れを抑制できる範囲をより認識できる。よって、漏れに対する安心感をより得ることができる。
【0013】
好ましい態様によれば、態様6に係る発明は、態様1から態様5のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記目印部の前記幅方向の内側縁は、前記フラップの内側縁よりも前記幅方向の外側に位置する。本態様によれば、目印部の全域がフラップの内側縁よりも幅方向の外側に位置するため、目印部によってフラップの幅方向の範囲を目立たせ、使用者が、フラップの幅方向の全域を把握し易く、フラップが幅方向に広がることを把握しやすい。よって、使用者は、漏れに対する安心感をより得ることができる。
【0014】
好ましい態様によれば、態様7に係る発明は、態様1から態様6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記目印部の外側縁は、前記繊維シートの外側縁よりも前記幅方向の内側、かつ前記吸収コアの外側縁よりも前記幅方向の外側に位置する。前記繊維シートの最大幅を通り、かつ前記幅方向に延びる仮想線上において、前記繊維シートの外側縁と前記目印部の外側縁との距離は、前記目印部の内側縁と前記吸収コアの外側縁との距離よりも短い。本態様によれば、目印部は、吸収コアと繊維シートの外側縁の間において、繊維シートの外側縁側に偏倚して配置されている。よって、吸収コアから幅方向の外側に離れた位置まで繊維シートが存在することを目印部によって示すことができる。使用者は、繊維シートが配置された領域を広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。
【0015】
好ましい態様によれば、態様8に係る発明は、態様1から態様7に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記トップシートは、前記吸収コアよりも幅方向の外側に配置され、前記フラップに配置されたサイドシートを有する。前記目印部は、前記サイドシートと前記繊維シートを圧搾した圧搾部である。本態様によれば、サイドシートと繊維シートを圧搾した圧搾部によって目印部を構成することで、当該圧搾部によって体液の拡散を抑制したり引き込み性を向上できたりする心証を使用者により与えることができる。また、従来の吸収性物品にあっては、圧搾部は、吸収コアと重なる領域に配置されている。サイドシートは、吸収コアよりも幅方向の外側に配置されており、使用者は、フラップに配置された目印部(圧搾部)を視認することで、フラップにも吸水要素が配置されているように認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。
【0016】
好ましい態様によれば、態様9に係る発明は、態様1から態様8のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記トップシートは、前記吸収コアよりも幅方向の外側に配置され、前記フラップに配置されたサイドシートを有する。前記目印部の外側縁は、前記繊維シートの外側縁よりも前記幅方向の内側、かつ前記サイドシートの内側縁よりも前記幅方向の外側に配置されている。前記繊維シートの最大幅を通り、かつ前記幅方向に延びる仮想線上において、前記繊維シートの外側縁と前記目印部の外側縁との距離は、前記目印部の内側縁と前記サイドシートの内側縁との距離よりも短い。本態様によれば、目印部は、サイドシートの内側縁と繊維シートの外側縁の間において、繊維シートの外側縁側に偏倚して配置されている。よって、サイドシートの内側縁から幅方向の外側に離れた位置まで繊維シートが存在することを目印部によって示すことができる。使用者は、繊維シートが配置された領域を広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。
【0017】
好ましい態様によれば、態様10に係る発明は、態様1から態様9のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記トップシートは、前記吸収コアの幅方向の中央を覆うセンターシートと、前記センターシートよりも幅方向の外側に配置され、前記フラップに配置されたサイドシートと、を有する。前記目印部の外側縁は、前記繊維シートの外側縁よりも前記幅方向の内側、かつ前記センターシートの外側縁よりも前記幅方向の外側に配置されている。前記繊維シートの最大幅を通り、かつ前記幅方向に延びる仮想線上において、前記繊維シートの外側縁と前記目印部の外側縁との距離は、前記目印部の内側縁と前記センターシートの外側縁との距離よりも短い。本態様によれば、目印部は、センターシートの外側縁と繊維シートの外側縁の間において、繊維シートの外側縁側に偏倚して配置されている。よって、センターシートの外側縁から幅方向の外側に離れた位置まで繊維シートが存在することを目印部によって示すことができる。使用者は、繊維シートが配置された領域を広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。
【0018】
好ましい態様によれば、態様11に係る発明は、態様1から態様10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記トップシートは、前記吸収コアの幅方向の中央を覆うセンターシートと、前記センターシートよりも幅方向の外側に配置され、前記フラップに配置されたサイドシートと、を有する。吸収性物品は、前記センターシートと前記サイドシートを接合するシート接合部を有する。前記目印部の外側縁は、前記繊維シートの外側縁よりも前記幅方向の内側、かつ前記シート接合部の外側縁よりも前記幅方向の外側に配置されている。前記繊維シートの最大幅を通り、かつ前記幅方向に延びる仮想線上において、前記繊維シートの外側縁と前記目印部の外側縁との距離は、前記目印部の内側縁と前記シート接合部の外側縁との距離よりも短い。本態様によれば、目印部は、シート接合部の外側縁と繊維シートの外側縁の間において、繊維シートの外側縁側に偏倚して配置されている。よって、シート接合部の外側縁から幅方向の外側に離れた位置まで繊維シートが存在することを目印部によって示すことができる。使用者は、繊維シートが配置された領域を広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。
【0019】
好ましい態様によれば、態様12に係る発明は、態様1から態様11のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記繊維シートの外側縁は、前記フラップの外側縁よりも幅方向の内側、かつ前記目印部の外側縁よりも前記幅方向の外側に位置する。前記繊維シートの外側縁と前記フラップの外側縁との距離は、前記繊維シートの外側縁と前記目印部の外側縁との距離よりも長い。本態様によれば、繊維シートの外側縁からフラップの外側縁までの距離が比較的長いため、繊維シートによって漏れを抑制する効果を発揮するだけでなく、仮に繊維シートを超えて体液が拡散した場合にあっても漏れを抑制する効果を発揮でき、使用者が漏れに対する安心感をより得ることができる。
【0020】
好ましい態様によれば、態様13に係る発明は、態様1から態様12のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記目印部は、少なくとも前記トップシートを圧搾した圧搾部、前記繊維シートに設けられた着色部、及び前記トップシートに設けられた着色部の少なくともいずれかによって構成されている。圧搾部からなる目印部によれば、当該圧搾部によって体液を一時的に滞留させ、体液の拡散を抑制できる。また、着色部からなる目印部によれば、目印部によるデザイン性を高めたり、目印部の配置の自由度を高めたりできる。
【0021】
好ましい態様によれば、態様14に係る発明は、態様1から態様13のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記目印部は、間隔を空けて複数配置された前記圧搾部の集合体によって構成されている。本態様によれば、連続した圧搾部の構成と比較して、圧搾部間の領域が変形基点となり、フラップが柔軟に変形し易くなる。また、連続した圧搾部の構成と比較して、圧搾部間の領域において体液の拡散速度を低下させ、漏れを抑制できる。
【0022】
好ましい態様によれば、態様15に係る発明は、態様1から態様14のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収コアと前記トップシートを圧搾した圧搾部の集合体によって構成された本体圧搾部が設けられている。前記目印部の前記圧搾部の形状は、前記本体圧搾部の前記圧搾部と同形状又は相似形である。本態様によれば、目印部と本体圧搾部を一体化して見せることができる。使用者は、吸収コアが配置された領域と繊維シートが配置された領域を一体化して認識でき、繊維シートが配置された領域が、吸収コアが配置された領域と同様の吸収効果を発揮するような視覚効果を発揮できる。
【0023】
好ましい態様によれば、態様16に係る発明は、態様1から態様15のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記フラップは、着用物品の非肌側に折り返されるウイングである。前記吸収コアの外側縁は、前記ウイングの内側縁よりも前記幅方向の内側に配置されている。着用時にウイングは、ウイングの内側縁を基点に着用物品の非肌側に折り返されて使用される。そのため、ウイングの折り目は、着用者の太腿に当たり易い。吸収コアがウイングの内側縁よりも幅方向の内側に位置するため、ウイングの折り目が吸収コアの存在によって硬くなり過ぎず、太腿に対する当たりを抑制できる。また、ウイングに吸収コアが配置された構成にあっては、着用物品の非肌側に折り返された吸収コアによって体液を保持し、着用者の脚等に体液が付着するおそれがある。しかし、ウイングに吸収コアが配置されていないため、着用物品の非肌側に折り返された部分における体液が意図せずに付着することを抑制できる。
【0024】
(2)第1実施形態に係る吸収性物品の包装体
以下、図面を参照して、第1実施形態に係る吸収性物品1について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。吸収性物品1は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、糞便パッドのような吸収性物品であってよい。吸収性物品は、下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。実施の形態の吸収性物品1は、昼用の生理用ナプキンである。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0025】
図1は、吸収性物品1の肌側T1から見た平面図である。図2は、吸収性物品1の非肌側T2から見た平面図である。図3は、図1に示すA-A線に沿った断面図である。ここで、「肌側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。吸収性物品1は、互いに直交する前後方向L、幅方向W、及び厚さ方向Tを有する。吸収性物品1の前後方向Lにおいて、使用者の下腹部に当接する側を「前側」といい、使用者の臀部に当接する側を「後側」という。吸収性物品1は、股下域S2、前側域S1及び後側域S3を有する。股下域S2は、着用者の排泄口、例えば膣口に対向して配置される領域である。吸収性物品1が着用物品に装着されたときに、股下域S2は着用物品の股下に配置され、着用者の両脚の間に配置される領域である。前側域S1は、股下域S2よりも前側に位置する。前側域S1の前端縁は、吸収性物品1の前端縁を規定する。後側域S3は、股下域S2よりも後方に位置する。後側域S3の後端縁は、吸収性物品1の後端縁を規定する。
【0026】
吸収性物品1は、吸収コア31、トップシート10及びバックシート20を少なくとも有する。吸収性物品1は、縦長の形状である。トップシート10は、吸収コア31及び後述する繊維シート50よりも肌側T1に配置され、着用者に当接するシートである。トップシート10は、吸収コア31の幅方向Wの中央を覆うセンターシート11と、センターシート11よりも幅方向Wの外側に配置され、後述するフラップ40に少なくとも配置される疎水性のサイドシート12と、を有してよい。サイドシート12は、センターシート11よりも幅方向Wに配置された部分を有していればよく、センターシート11の外側部と重なってよい。サイドシート12は、吸収コア31よりも幅方向Wの外側に配置される部分を有しており、本実施の形態では、吸収コア31と幅方向Wに離間している。センターシート11は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造を有する任意のシート状の材料から構成される。サイドシート12は、疎水性を有してよく、その構成繊維の樹脂成分及び繊度は、センターシート11と同様であってよく、親水油剤が含まれていなくてよい。センターシート11とサイドシート12は、シート接合部16によって接合されてよい。シート接合部16は、センターシート11とサイドシート12を圧搾した圧搾部によって構成されてよく、吸収性物品1の肌側T1から視認可能に構成されてよい。シート接合部16は、点状の圧搾部の集合体によって構成されてよく、より詳細には、点状の圧搾部が菱形に配置され、当該菱形が前後方向Lに並んだ集合体によって構成されてよい。シート接合部16は、前後方向Lに延びてよい。また、変形例において、トップシート10は、サイドシート12を有していなくてよく、センターシート11が吸収性物品の肌面全体を覆ってよい。
【0027】
バックシート20は、吸収コア31及び繊維シート50よりも非肌側T2に配置され、着用物品に当接するシートである。バックシート20は、液不透過性のシートである。バックシート20は、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。
【0028】
吸収コア31は、吸収体30を構成する。吸収コア31は、液体を吸収する吸収材料によって構成されてよい。吸収コア31を構成する吸収材料は、例えば、親水性繊維、パルプ及び高吸水性高分子(SAP)から形成できる。吸収体30は、吸収コア31を覆うコアラップシート32を有してよい。コアラップシート32は、例えば不織布やティッシュから構成することができる。変形例として、吸収コア31は、コアラップシート32によって覆われていなくてもよい。コアラップシート32は、本発明の「繊維シート」を構成してよい。より詳細には、コアラップシート32は、吸収コア31よりも肌側T1に配置された第1コアラップシート321と、吸収コア31よりも非肌側T2に配置された第2コアラップシート322と、を有してよく、第1コアラップシート321と第2コアラップシート322の少なくともいずれかが繊維シート50を構成してよい。本実施の形態では、第1コアラップシート321が繊維シート50を構成している。繊維シート50については、後述にて説明する。吸収性物品1には、吸収コア31とトップシート10を少なくとも圧搾した本体圧搾部36が設けられてよい。本体圧搾部36は、少なくとも吸収コア31とトップシート10を圧搾していればよく、吸収コア31、コアラップシート32、及びトップシート10を圧搾してもよい。本体圧搾部36は、圧搾部の集合体によって構成されてよく、より詳細には、点状の圧搾部の集合体によって構成されてよい。第1コアラップシート321の幅方向Wの長さと第2コアラップシート322の幅方向Wの長さは異なってよい。第1コアラップシート321と第2コアラップシート322の一方の幅方向の長さが短く、当該一方のコアラップシートがウイング折り目FLを跨いでいないことにより、ウイング折り目FLの部分の剛性が下がるため、ウイングを折りやすくなる。加えて、体液の幅方向(ウイング側)への拡散を抑制することもできる。また、吸収体30は、第1コアラップシート321と第2コアラップシート322の一方のみを有し、他方を有していなくてもよい。第1コアラップシート321と第2コアラップシート322の一方が、本願の繊維シートを構成してよい。
【0029】
吸収性物品1は、一対のフラップ40を有する。フラップ40は、吸収コア31よりも幅方向Wの外側に延出している。フラップ40は、股下域S2に配置され、着用時に着用物品の非肌側T2に配置されるウイング41と、後側域S3に配置されたヒップフラップ42(図5参照)と、の少なくともいずれかを有してよい。第1実施形態に係る吸収性物品1は、フラップ40としての一対のウイング41を有しており、ヒップフラップ42を有していない。ウイング41は、着用時に着用物品の非肌側T2に向けてウイング折り目FLを基点に折り返される。ウイング41には、少なくともトップシート10とバックシート20が配置されてよい。ウイング折り目FLは、ウイング41の内側縁(ウイングの付け根)41Iによって規定されており、幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、前側に位置する部分と後側に位置する部分とを繋ぐラインである。ウイング41は、ウイング折り目FLを基点に、使用前にトップシート10側に折り畳まれており、使用時に着用物品の非肌側T2に折り返されていてもよい。吸収コア31の外側縁31Eは、ウイング折り目FLよりも幅方向Wの内側に位置してよい。すなわち、吸収コア31は、ウイング折り目FLを跨がずに配置されてよい。また、ウイング41とヒップフラップ42が前後方向Lにおいて隣接している形態にあっては、ウイングの後側の内側縁(窪み)41Iが、ヒップフラップ42の前側の内側縁42Iを構成する。ウイング41とヒップフラップ42が前後方向Lにおいて隣接していない形態にあっては、ヒップフラップ42の膨らみの付け根であり、膨らみの基点となる部分である。また、ヒップフラップ42の前側の内側縁(付け根)42Iは、ヒップフラップ42の膨らみの付け根であり、膨らみの基点となる部分である。また、ヒップフラップ42の後端縁を構成する内側縁42Iは、吸収コアの外側縁を通り、かつ後側に延びる延長線と吸収性物品の外端縁が交わる点であってもよいし、図5に示すように、吸収性物品の外縁が内側に凹んだ点のうち最も後側に位置する点であってもよい。
【0030】
ウイング41には、トップシート10とバックシート20の間に配置された補強シート15が配置されてよい。補強シート15は、吸収体30とバックシート20の間に配置されており、繊維シート50よりも非肌側T2に配置されてよい。補強シート15は、ウイング41の前端縁から後端縁まで連続して延びてよい。補強シート15の外側縁15Eは、ウイング41の外側縁41Eよりも幅方向Wの内側に位置してよく、繊維シート50の外側縁よりも幅方向Wの内側に位置してよい。補強シート15の内側縁15Iは、ウイング折り目FLよりも幅方向Wの外側に位置してよく、吸収コア31の外側縁31Eよりも幅方向Wの外側に位置してよく、サイドシート12の内側縁12Iよりも幅方向Wの外側に位置してよい。ウイング41には、補強シート15が配置された領域と、補強シート15が配置されていない領域と、が設けられてよい。本実施の形態において補強シート15が配置された領域は、幅方向Wにおいて補強シート15が配置されていない領域に挟まれている。変形例において、補強シート15は、ウイング折り目FLに配置されてよい。当該変形例によれば、ウイング折り目FLの剛性を補強シート15によって高め、ウイング41を安定して折り畳み易くなる。ウイング41を折る観点においては、第1コアラップシート321と第2コアラップシート322の一方は、補強シート15と重なり、第1コアラップシート321と第2コアラップシート322の他方は、補強シート15と重なっていない(補強シート15よりも幅方向の内側のみに配置されている)ことが好ましい。第1コアラップシート321と第2コアラップシート322の両方が補強シート15に重なる構成と比較して、剛性が高くなることに起因する違和感を低減できる。加えて、ウイング41におけるシートの積層状態が変化するため、シートの境界に剛性差が生じ、ウイング41を折り易くなる。
【0031】
なお、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外側縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外側縁である。なお、前後方向に一定の範囲を占める構成部材の外側縁は、当該構成部材において幅方向の外側に位置する点を、構成部材全体に亘って繋いだ縁である。例えば、目印部の外側縁は、目印部80において幅方向の外側に位置する点を、目印部全体に亘って繋いだ縁である。本発明における内側部とは、幅方向Wにおける内縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内縁である。なお、前後方向に一定の範囲を占める構成部材の内側縁は、当該構成部材において幅方向の内側に位置する点を、構成部材全体に亘って繋いだ縁である。また、本発明における前端部及び後端部は、前後方向Lにおける縁を含む前後方向Lに一定の範囲を占める部分であり、前端縁及び後端縁は、前後方向Lにおける縁である。外端部は、前端部及び後端部を含んでおり、外端縁は、前端縁及び後端縁を含んでいる。また、内側辺は、内側縁を含み、かつ前後方向Lに沿って延びる辺である。外側辺は、外側縁を含み、かつ前後方向Lに沿って延びる辺である。なお、本明細書において、「前後方向Lに沿って」という用語は、前後方向Lに対して45°未満の角度を持った方向を意味し、「幅方向Wに沿って」という用語は、幅方向Wに対して45°未満の角度を持った方向を意味する。
【0032】
図2等に示すように、吸収性物品1は、吸収性物品1を下着等の着用物品に止着するための粘着部を有する。粘着部は、バックシート20の非肌側T2に設けられ、吸収性物品1を下着等の着用物品に止着するための止着手段が設けられた領域である。粘着部は、少なくとも吸収コア31と重なる領域を着用物品に止着するための本体粘着部61を有する。本体粘着部61は、吸収性物品1の厚さ方向Tにおいて、吸収コア31と重なる領域に設けられている。本実施の形態の本体粘着部61は、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて複数設けられている。なお、変形例において、本体粘着部61は、幅方向Wに延び、前後方向Lに間隔を空けて複数設けられてよい。粘着部は、ウイング41を着用物品に止着するためのウイング粘着部62を有してよい。ウイング粘着部62は、ウイング41の非肌面に付されており、着用時にウイング41が着用物品の非肌側T2に折り返された状態で、着用物品の非肌面に止着する。そのため、ウイング粘着部62は、ウイング41が展開した状態(図1及び図2に示す状態)において、ウイング折り目FLよりも幅方向Wの外側に配置されている。粘着部は、使用前に、図示しない包装シート又は剥離シートによって覆われてよい。
【0033】
本実施の形態の吸収性物品は、フラップ40における体液の漏れを抑制し、かつ使用者が漏れに対する安心感を得易く構成されている。次いで、フラップ40における体液の漏れを抑制し、かつ使用者が漏れに対する安心感を得易くするための構成について詳細に説明する。吸収性物品1は、一対のフラップ40に配置された繊維シート50を有する。繊維シート50は、繊維を有するシートであり、不織布、ティッシュを例示できる。繊維シート50は、親水性繊維を有してもよいし、親水性繊維以外の繊維を有していてもよいし、親水油剤を繊維表面に付着させたシートであってもよい。繊維シート50の少なくとも一部は、吸収コア31に重なっている。繊維シート50は、フラップ40の少なくとも一部に配置されてよい。本態様によれば、繊維シート50は、繊維を有しており、当該繊維間に体液を引き込み、かつ一時的に保持し、フラップ40としてのウイング41における体液の漏れを抑制できる。また、繊維シート50が親水油剤を表面に付着した場合、油剤によって繊維間に液を保持することができるため、少量の体液が外漏れしてしまうのを防止できる。また、繊維シート50が吸収コア31に重なって配置されており、使用者は、繊維シート50を視認することで、吸収コア31によって吸収できる領域がフラップ40にも配置されているように認識でき、フラップ40における漏れを抑制する効果を期待できる。繊維シート50は、吸収コア31の幅方向Wの全体を覆い、かつ吸収コア31よりも幅方向Wの外側に延出してもよい。または、繊維シート50は、幅方向Wに離間して配置され、各繊維シート50が、各フラップ40と吸収コア31の外側部を覆うように配置されていてもよい。繊維シート50の少なくとも一部は、トップシート10と吸収コア31の間、又はバックシート20と吸収コア31の間に配置されてよい。本実施形態の繊維シート50は、第1コアラップシート321によって構成されている。しかし、変形例において、繊維シート50は、第2コアラップシート322によって構成されていてもよいし、コアラップシート32によって構成されずに、トップシート10と吸収体30の間に配置されたセカンドシートによって構成されていてもよい。本実施の形態では、サイドシート12の内側縁12Iよりも幅方向Wの内側の領域では、繊維シート50は、センターシート11よりも非肌側T2に配置されている。サイドシート12がセンターシート11の肌側T1を覆う領域では、繊維シート50は、サイドシート12及びセンターシート11よりも非肌側T2に配置されている。センターシート11の外側縁11Eよりも幅方向Wの内側の領域では、繊維シート50は、サイドシート12よりも非肌側T2に配置されている。
【0034】
吸収性物品1は、繊維シート50と重なる領域に配置された目印部80を有する。目印部80は、吸収性物品1の肌側T1から視認可能なデザインであればよい。本実施の形態において視認可能な目印部80とは、目視にて認識な目印部である。具体的には、例えば、昼白色(色温度目安 4600~5400K(ケルビン))で明るく照明された室内(目安:500~750lx(ルクス))で約30~50cmの距離で、良好な視力(1.0以上)を両眼に有する被験者が見たときに視認可能であればよい。目印部80の少なくとも一部は、フラップ40に配置されている。繊維シート50に重なる領域に目印部80が配置されており、使用者は、目印部80を視認することでフラップ40における繊維シート50の位置や存在を把握し易くなる。使用者は、フラップ40における繊維シート50による漏れを抑制できる範囲を把握でき、漏れに対する安心感を得ることができる。
【0035】
図5に示すように、ヒップフラップ42とウイング41の両方を有する形態にあっては、目印部80は、ウイング41とヒップフラップ42の両方に配置されていてもよいし、一方のみに配置されていてもよい。目印部80は、ウイング41の前後方向Lの全体に配置されていてもよいし、ウイング41の前後方向Lの一部の領域に配置されていてもよいし、ヒップフラップ42の前後方向Lの全体に配置されていてもよいし、ヒップフラップ42の前後方向Lの一部の領域に配置されていてもよい。好適には、目印部80は、フラップ40の前後方向Lの中心(以下、フラップ前後中心とする)40CLを跨いで配置されてよい。フラップ前後中心40CLは、ウイング41においては、ウイング41の前後方向Lの中心41CLであり、ヒップフラップ42においては、ヒップフラップ42の前後方向Lの中心42CLである。または、目印部80は、フラップ40において最も幅方向Wの外側に膨らんだ最外側縁40MWから幅方向Wに延びる直線上に配置されてよい。最外側縁40MWは、ウイング41においては、ウイング41において最も幅方向の外側に位置する外側縁41MWであり、ヒップフラップ42においては、ヒップフラップ42において最も幅方向の外側に位置する外側縁42MWである。使用者は、ウイング前後中心41CL又は最外側縁40MWを視認したり把持したりして、装着操作を行うことがある。当該部分に目印部80を設けることにより、使用者が目印部80をより認識し易い。以下、ウイング41の目印部80とヒップフラップ42の目印部の共通の構成については、フラップ40の目印部80として説明する。
【0036】
図4に示すように、目印部80の外側縁80E及び目印部80の内側縁80Iは、前後方向Lに延びてよい。目印部80の外側縁80Eは、フラップ40の外側縁40E(41E及び42E)と離間し、フラップ40の外側縁40Eよりも内側に位置し、フラップ40の内側縁40I(41I及び42I)よりも幅方向Wの外側に位置してよい。目印部80の内側縁80Iは、フラップ40の内側縁40Iと離間し、フラップ40の内側縁40Iよりも幅方向Wの外側に位置してよい。当該構成によれば、目印部80の全域がフラップ40の内側縁40Iよりも幅方向Wの外側に位置するため、目印部80によってフラップ40の幅方向Wの全域を把握しやすくなり、フラップが幅方向Wに広がることを把握しやすい。よって、使用者は、漏れに対する安心感をより得ることができる。また、目印部80は、吸収コア31の外側縁31Eと離間し、吸収コア31と重ならない領域に配置されてよい。目印部80は、サイドシート12の内側縁12Iと幅方向Wに離間し、サイドシート12の内側縁12Iよりも幅方向Wの外側に配置されてよい。目印部80は、センターシート11と幅方向Wに離間し、センターシート11の外側縁11Eよりも幅方向Wの外側に配置されてよい。目印部80は、シート接合部16と幅方向Wに離間し、シート接合部16よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。
【0037】
目印部80において最も幅方向の外側に位置する最外側縁80MWは、フラップ40の幅方向Wの中心であるフラップ幅中心40CW(41CW及び42CW)よりも幅方向Wの内側に位置してよい。フラップ幅中心40CWは、フラップ40の内側縁40Iとフラップ40の最外側縁40MW(41MW及び42MW)との幅方向Wの中心である。変形例において、最外側縁80MWは、フラップ幅中心40CWよりも幅方向Wの外側に位置してよい。変形例によれば、使用者は、目印部80の最外側縁80MWによってフラップ40の外側縁40E(41M及び42M)を認識し易く、フラップ40が幅方向Wの外側に広がる形状であることを認識し易くなる。目印部80において最も幅方向の内側に位置する最内側縁80IMは、フラップ幅中心40CWよりも幅方向Wの内側に位置してよい。変形例において、目印部80は、フラップ幅中心40CWを跨がってよいし、最内側縁80IMがフラップ幅中心40CW(41CW及び42CW)よりも幅方向Wの外側に位置し、目印部80の全体がフラップ幅中心40CW(41CW及び42CW)よりも幅方向Wの外側に位置してよい。目印部80の幅方向Wの長さW80は、フラップ40において繊維シート50が配置された領域の幅方向Wの長さに対する20%以上であってよく、フラップ40において繊維シート50が配置された領域の幅方向Wの長さに対する50%以下であってよい。目印部80の内側縁80Iは、ウイング粘着部62の内側縁62Iよりも幅方向Wの内側に位置してよく、目印部80は、ウイング粘着部62の内側縁62Iを跨がってよい。目印部80の外側縁80Eは、ウイング粘着部62の外側縁62Eよりも幅方向Wの内側に位置してよい。
【0038】
目印部80の前後方向Lの外端縁は、フラップ40の前後方向Lの外端縁よりも前後方向Lの内側に配置されてよい。具体的には、ウイング41に配置された目印部80の前端縁80Fは、ウイング41の前端縁よりも後側に位置し、ウイング41に配置された目印部80の後端縁80Rは、ウイング41の後端縁よりも前側に位置してよい。同様に、ヒップフラップ42に配置された目印部80の前端縁は、ヒップフラップ42の前端縁よりも後側に位置し、ヒップフラップ42に配置された目印部80の後端縁は、ヒップフラップ42の後端縁よりも前側に位置してよい。ウイング41における目印部80の前後方向Lの長さは、ウイング41の前後方向Lの長さよりも短くてよく、ウイング41の前後方向Lの長さの50%以上であってよく、ウイング41の前後方向Lの長さの80%以下であってよい。ヒップフラップ42における目印部80の前後方向Lの長さは、ヒップフラップ42の前後方向Lの長さよりも短くてよく、ヒップフラップ42の前後方向Lの長さの50%以上であってよく、ヒップフラップ42の前後方向Lの長さの80%以下であってよい。
【0039】
目印部80は、繊維シート50の外側縁50Eと離間し、繊維シート50の外側縁50Eよりも内側に配置されてよい。目印部80は、繊維シート50と重なって配置される部分を有していればよく、繊維シート50と重ならない部分を有してもよい。よって、目印部80は、繊維シート50の外側縁50Eを跨がっていてもよいし、繊維シート50の外側縁50Eよりも幅方向Wの外側にも配置されてよい。本実施の形態では、目印部80は、繊維シート50が配置された領域のみに配置されている。目印部80の前後方向Lの長さは、ウイング41における繊維シート50の前後方向Lの長さに対する50%以上であってよい。目印部80は、目印部80によって繊維シート50の外側縁50Eを目立たせるために、繊維シート50の外側縁50Eに近接していることが好ましい。具体的には、目印部80と繊維シート50の外側縁との距離は、1mm以上15mm以下であってよく、好適には、2mm以上10mm以下であってよい。目印部80と繊維シート50の外側縁50Eとの距離が1mm未満であると、製造誤差等により、目印部80が繊維シート50の外側縁50Eに重なることがある。しかし、目印部80と繊維シート50の外側縁50Eとの距離が1mm以上であることにより、目印部80と繊維シート50の外側縁50Eが離間して配置され、それぞれを目立たせることができる。目印部80と繊維シート50の外側縁50Eとの距離が15mmより長いと、繊維シート50が配置された範囲よりも漏れを抑制できる範囲が狭い心証となる。しかし、目印部80と繊維シート50の外側縁50Eとの距離が15mm以下であるため、使用者は、繊維シート50の外側縁を認識し易く、繊維シート50の範囲を、漏れを抑制できる範囲として認識し易い。
【0040】
ウイング粘着部62の少なくとも一部は、繊維シート50に重なってよく、目印部80に重なってよい。ウイング粘着部62と繊維シート50が重なることにより、ウイングを折り返して着用物品に止着する際に、止着する領域(ウイング粘着部62が配置された領域)の剛性が高くなり、安定してウイング41を折ることができる。また、フラップ粘着部と目印部80が重なることにより、目印部80を基準としてウイング41が止着する領域(ウイング粘着部62が配置された領域)を把握でき、ウイングの装着操作を円滑に行い易い。
【0041】
目印部80は、トップシート10と繊維シート50を圧搾した圧搾部、繊維シート50に設けられた着色部、及びトップシート10に設けられた着色部の少なくともいずれかによって構成されてよい。圧搾部からなる目印部80は、少なくともトップシート10を圧搾していればよく、トップシート10と繊維シート50を圧搾していてもよい。圧搾部からなる目印部80によれば、当該圧搾部によって体液を一時的に滞留させ、体液の拡散を抑制できる。また、着色部からなる目印部80によれば、目印部80によるデザイン性を高めたり、目印部80の配置の自由度を高めたりできる。
【0042】
目印部80は、サイドシート12と繊維シート50を圧搾した圧搾部86であってよい。サイドシート12と繊維シート50を圧搾した圧搾部86によって目印部80を構成することで、圧搾部86によって体液の拡散を抑制したり体液の引き込み性を向上できたりする心証を使用者により与えることができる。また、従来の吸収性物品にあっては、圧搾部は、吸収コア31と重なる領域に配置されている。サイドシート12は、吸収コア31よりも幅方向Wの外側に配置されており、使用者は、フラップ40に配置された目印部(圧搾部)を視認することで、フラップ40にも吸水要素が配置されているように認識できたり、体液を吸収する範囲が広いように擬似的に感じることができたりして、漏れに対する安心感をより得ることができる。
【0043】
目印部80は、間隔を空けて複数配置された圧搾部86の集合体によって構成されてよい。本態様によれば、連続した圧搾部の構成と比較して、圧搾部86間の領域G86が変形基点となり、フラップ40が柔軟に変形し易くなる。また、連続した圧搾部の構成と比較して、圧搾部間の領域において体液の拡散速度を低下させ、漏れを抑制できる。なお、圧搾部86の集合体によって目印部80が構成された形態にあっては、前後方向Lに高圧搾部と低圧搾部を交互に有する構成が好ましい。圧搾部86によって目印部80の剛性が高くなるが、低圧搾部を有するため、曲げ基点が形成され、ウイング41が曲がりやすくなる。圧搾部86同士の間隔G86は、各圧搾部86の寸法(点状であれば直径)よりも短いことが好ましい。また、圧搾部の集合体からなる目印部の形状は、各圧搾部の中心同士を繋ぐ仮想線の形状であってよい。各圧搾部の形状は、本実施の形態のように点状であってもよいし、多角形(三角形、四角形等)であってもよいし、星形、ハート型等の図柄であってもよい。なお、変形例において、目印部80は、連続した直線状又曲線状の線状であってもよい。
【0044】
目印部80の圧搾部86の形状は、本体圧搾部36の圧搾部と同形状又は相似形であってよい。目印部80を構成する圧搾部86と本体圧搾部36を構成する圧搾部は、同じ形状又は相似形であり、本実施の形態では、点状である。本態様によれば、目印部80と本体圧搾部36を一体化して見せることができる。使用者は、吸収コア31が配置された領域と繊維シート50が配置された領域を一体化して認識できる。繊維シート50が配置された領域が、吸収コア31が配置された領域と同様の吸収効果を発揮するような視覚効果を発揮できる。
【0045】
図1に示すように、目印部80は、繊維シート50の外側縁に沿う形状の相似部88を有してよい。目印部80の少なくとも一部が繊維シート50の外側縁50Eに沿う相似部88を有していればよく、目印部80が繊維シート50の外側縁50Eに沿わない部分(相似部でない部分)を有していてもよい。相似部88は、繊維シート50の外側縁50Eと同形状の部分(寸法及び形状共に一致)、及び繊維シート50の外側縁50Eと相似形の部分を含む。相似形は、形状が同一であるが、縮尺が異なる形状である。例えば、辺の比と角度が同じ形状であってよい。本実施の形態では、目印部80の全体が繊維シート50の外側縁50Eに沿っており、目印部80の全体が相似部88を構成する。使用者は、目印部80を視認することで、繊維シート50が配置された領域の外側縁を把握し易くなる。また、目印部80が繊維シート50の外側縁50Eに沿って配置されているため、繊維シート50が配置された領域の範囲を強調することができ、漏れに対する安心感をより高めることができる。好適には、繊維シート50の外側縁50Eと目印部80の距離が一定の領域(距離の差が10%以下の領域)が設けられてよい。目印部80が繊維シート50の外側縁50Eに沿うため、目印部80によって繊維シート50の外側縁50Eをより目立たせることができる。
【0046】
図4に示すように、繊維シート50の外側縁50Eは、フラップ40の外側縁40Eと離間し、フラップ40の外側縁40Eよりも幅方向Wの内側に位置してよい。繊維シート50において最も幅方向Wの外側に位置する最外側縁50MWは、フラップ幅中心40CWよりも幅方向Wの内側に位置してよい。図1に示すように、繊維シート50の外側縁50Eは、フラップ40の外側縁40Eに沿う形状の相似部58を有してよい。繊維シート50の外側縁50Eの少なくとも一部がフラップ40の外側縁に沿う相似部58を有していればよく、繊維シート50の外側縁50Eがフラップ40の外側縁に沿わない部分(相似部でない部分)を有していてもよい。本実施の形態では、繊維シート50の外側縁50Eの一部(仮想線ELよりも後側)がフラップ40の外側縁40Eに沿っており、相似部58は、フラップ40における繊維シート50の外側縁50Eの一部によって構成されている。相似部58は、フラップ40の外側縁40Eと同形状の部分、及びフラップ40の外側縁40Eと相似形の部分を含む。本態様によれば、繊維シート50をフラップ40と共に幅方向Wの外側に広がるように見せることができる。使用者は、繊維シート50が配置された領域を広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。好適には、繊維シート50の外側縁とフラップ40の外側縁の距離が一定の領域(距離の差が10%以下の領域)が設けられてよい。
【0047】
図4に示すように、繊維シート50の外側縁50Eは、幅方向Wの外側に膨らむ凸部(以下、シート凸部とする)55を有してよい。シート凸部55は、曲線状又は直線状に膨らむ部分であり、本実施の形態は、曲線状に膨らんでいる。繊維シート50がシート凸部55を有しており、繊維シート50が幅方向Wの外側に広がる形状である。使用者は、繊維シート50が配置された領域をより広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。シート凸部55は、ウイング前後中心41CLに対して非対称であってよい。シート凸部55がウイング前後中心41CLに対して非対称であるため、ウイング前後中心41CLに対して対称の形態と比較してシート凸部55が目立ちやすく、使用者に対して、吸収性物品全体が広い心証をより与え易くなる。なお、シート凸部55がウイング前後中心41CLに対して非対称である構成は、一つのシート凸部55がウイング前後中心41CLに対して非対称であってもよいし、ウイング前後中心41CLよりも前側と後側にそれぞれシート凸部55が配置され、その数や形状が異なっていてもよい。
【0048】
シート凸部55は、少なくとも一つ設けられていればよく、本実施の形態のように、複数設けられてよい。具体的には、シート凸部55は、第1シート凸部551と、第1シート凸部551よりも後側の第2シート凸部552と、を有してよい。繊維シート50の外側縁50Eが複数のシート凸部55を有することにより、シート凸部55同士の境界が変形基点となり、フラップ40が柔軟に変形し易くなる。第1シート凸部551の頂点551Pと、第2シート凸部552の頂点552Pと、は、幅方向Wの位置が異なってよい。シート凸部55が複数設けられ、その幅方向Wの位置が異なるため、使用者は、シート凸部55の存在を認識し易く、かつ繊維シート50が幅方向Wに広がる心証を得易い。よって、吸収性能を発揮する範囲が広い心証を使用者に対してより与え易くなる。第1シート凸部551の頂点551Pは、第2シート凸部552の頂点552Pよりも幅方向Wの外側に位置してよい。第1シート凸部551の頂点551Pは、ウイング前後中心41CLよりも前側に位置し、第2シート凸部552の頂点552Pは、ウイング前後中心41CLよりも後側に位置してよい。第1シート凸部551の頂点551Pとウイング前後中心41CLとの前後方向Lの距離は、第2シート凸部552の頂点552Pとウイング前後中心41CLとの距離と異なってよい。当該構成によれば、使用者は、それぞれのシート凸部55の存在を認識し易く、かつ繊維シート50が幅方向Wに広がる心証を得易い。
【0049】
複数のシート凸部の境界の周囲には、目印部80を構成する圧搾部86同士の間隔G86が配置されてよい。より具体的には、シート凸部55同士の境界(第1シート凸部551と第2シート凸部552の境界)55Bから10mmの範囲内に、目印部80を構成する圧搾部86同士の間隔G86が配置されてよい。シート凸部55間の境界55Bは、剛性が変化するため、変形基点となり易い。この境界55Bの周囲に圧搾部86同士の間隔G86(圧搾部が設けられていない領域)が配置されているため、圧搾部86同士の間隔G86の変形によって力を吸収し、シート凸部55の変形を抑制し、シート凸部55の形状を維持し、広い範囲で体液の漏れを抑制することができる。
【0050】
目印部80は、幅方向Wの外側に膨らむ凸部(以下、目印凸部とする)85を有し、目印凸部85が、シート凸部55に沿って配置されてよい。目印凸部85は、曲線状又は直線状に膨らむ部分であり、本実施の形態は、曲線状に膨らんでいる。シート凸部55に沿う目印凸部85によって、幅方向Wの外側に膨らむシート凸部55をより目立たせることができる。使用者は、繊維シート50が配置された領域をより広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。目印凸部85は、ウイング前後中心41CLに対して非対称であってよい。目印凸部85がウイング前後中心41CLに対して非対称であるため、目印凸部85が目立ちやすく、使用者に対して、吸収性物品全体が広い心証をより与え易くなる。
【0051】
目印凸部85は、少なくとも一つ設けられていればよく、本実施の形態のように、複数設けられてよい。具体的には、目印凸部85は、第1目印凸部851と、第1目印凸部851よりも後側の第2目印凸部852と、を有してよい。目印凸部85が複数設けられていることより、目印部80がより目立ち易くなる。第1目印凸部851の頂点851Pと、第2目印凸部852の頂点852Pと、は、幅方向Wの位置が異なってよい。目印凸部85が複数設けられ、その幅方向Wの位置が異なるため、使用者は、目印凸部85の存在を認識し易く、かつ繊維シート50が幅方向Wに広がる心証を得易い。第1目印凸部851の頂点851Pは、第2目印凸部852の頂点852Pよりも幅方向Wの外側に位置してよい。第1目印凸部851の頂点851Pは、ウイング前後中心41CLよりも前側に位置し、第2目印凸部852の頂点852Pは、ウイング前後中心41CLよりも後側に位置してよい。また、第1目印凸部851の頂点851Pとウイング前後中心41CLとの前後方向Lの距離は、第2目印凸部852の頂点852Pとウイング前後中心41CLとの距離と異なってよい。当該構成によれば、使用者は、それぞれの目印凸部85の存在を認識し易く、かつ繊維シート50が幅方向Wに広がる心証を得易い。
【0052】
フラップ40の外側縁40Eは、幅方向Wの外側に膨らむ凸部(以下、フラップ凸部とする)を有してよい。フラップ40の外側縁の少なくとも一部がフラップ凸部45を有しており、フラップ40が幅方向Wの外側に広がる形状である。フラップ凸部45は、曲線状又は直線状に膨らむ部分であり、本実施の形態は、曲線状に膨らんでいる。フラップ凸部45は、ウイング前後中心41CLに対して非対称であってよい。フラップ凸部45がウイング前後中心41CLに対して非対称であるため、ウイング前後中心41CLに対して対称の形態と比較してフラップ凸部45が目立ちやすく、使用者に対して、吸収性物品1全体が広い心証をより与え易くなる。
【0053】
フラップ凸部45は、少なくとも一つ設けられていればよく、本実施の形態のように、前後方向Lに間隔を開けて複数設けられていてもよい。具体的には、フラップ凸部45は、第1フラップ凸部451と、第1フラップ凸部451よりも後側の第2フラップ凸部452と、を有してよい。フラップ40の外側縁40Eが複数のフラップ凸部45を有することにより、フラップ凸部45同士の境界が変形基点となり、フラップ40が柔軟に変形し易くなる。第1フラップ凸部451の頂点451Pと、第2フラップ凸部452の頂点452Pと、は、幅方向Wの位置が異なってよい。フラップ凸部45が複数設けられ、それぞれのウイング頂点の幅方向Wの位置が異なるため、使用者は、各フラップ凸部45の存在を認識し易く、かつウイング41が幅方向Wに広がる心証を得易い。第1フラップ凸部451の頂点451Pは、第2フラップ凸部452の頂点452Pよりも幅方向Wの外側に位置してよい。第1フラップ凸部451の頂点451Pは、ウイング前後中心41CLよりも前側に位置し、第2フラップ凸部452の頂点452Pは、ウイング前後中心41CLよりも後側に位置してよい。第1フラップ凸部451の頂点451Pと、第2フラップ凸部452の頂点452Pと、は、ウイング前後中心41CLに対する距離が異なってよい。フラップ凸部45が複数設けられ、ウイング前後中心41CLに対する前後方向Lの位置が異なるため、使用者は、それぞれのフラップ凸部45の存在を認識し易くなる。ヒップフラップ42には、吸収コア31が配置されていなくてよい。ヒップフラップ42に吸収コア31が配置された形態にあっては、横寝姿勢の際に、ヒップフラップ42において体液を吸ってしまい、濡れの要因になるおそれがある。また、夜の使用等、長時間の使用に際しては、吸収コアのよれに起因してヒップフラップ42に違和感が生じることがある。ヒップフラップ42に吸収コア31が配置されていないことにより、当該漏れ及び違和感を抑制できる。
【0054】
バックシート20は、フラップ40において繊維シート50よりも幅方向Wの外側に延出してよい。繊維シート50の非肌側T2の全体がバックシート20によって覆われてよい。繊維シート50と吸収コア31とが重なる領域と、繊維シート50が配置され、かつ吸収コア31が配置されていない領域と、の色差ΔEが3.0以下であってよい。繊維シート50のみ配置された領域と、繊維シート50と吸収コア31とが重なった領域と、の色差が3.0以下であるため、使用者は、2つの領域を同一の領域として認識でき、繊維シート50のみが配置された領域も吸収効果を得られる領域と認識し、漏れに対する安心感を得ることができる。また、繊維シート50が配置され、かつ吸収コア31が配置されていない領域と、バックシート20が配置され、かつ繊維シート50が配置されていない領域と、の色差ΔEが3.0よりも大きい。繊維シート50が配置され、かつ吸収コア31が配置されていない領域には、バックシート20及び繊維シート50が配置されている。繊維シート50とバックシート20が配置された領域と、繊維シート50が配置されずにバックシート20が配置された領域と、の色差が3.0よりも大きい。使用者が2つの領域を区別して認識でき、繊維シート50によって体液の漏れを抑制できる範囲をより認識できる。本実施の形態では、吸収コア31及びバックシート20が白色であり、その色差は、3.0以下である。一方、繊維シート50を構成するコアラップシート321は、ピンク色であり、吸収コア31に対する色差及び繊維シート50に対する色差は、3.0よりも大きい。なお、色差ΔEは、測定対象となる2点(2つの領域)について市販の測色器を用いて測色を行い、JIS Z 8729に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間に基づいて数値化した値を比較することによって求めることができる。具体的に、測定対象である2点間のL*値の差がΔL*、a*の差がΔa*、b*値の差がΔb*であるときに、色差ΔE=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2によって求められる。
【0055】
図3に示すように、繊維シートの最大幅(最外側縁80MW)を通り、かつ幅方向Wに延びる仮想線EL上において、繊維シート50の外側縁50Eと目印部80の外側縁80Eとの距離L1は、目印部80の内側縁80Iと吸収コア31の外側縁31Eとの距離L2よりも短くてよい。目印部80は、吸収コア31の外側縁31Eと繊維シート50の外側縁50Eの間において、繊維シート50の外側縁50E側に偏倚して配置されている。よって、吸収コア31から幅方向Wの外側に離れた位置まで繊維シート50が存在することを目印部80によって示すことができる。使用者は、繊維シート50が配置された領域を広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。好適には、仮想線EL上において、繊維シート50の外側縁50Eと目印部80の内側縁80Iとの距離も、目印部80の内側縁80Iと吸収コア31の外側縁31Eとの距離L2よりも短くてよい。
【0056】
仮想線EL上において、繊維シート50の外側縁50Eと目印部80の外側縁80Eとの距離L1は、目印部80の内側縁80Iとサイドシート12の内側縁12Iとの距離L3よりも短くてよい。目印部80は、サイドシート12の内側縁12Iと繊維シート50の外側縁50Eの間において、繊維シート50の外側縁50E側に偏倚して配置されている。よって、サイドシート12の内側縁12Iから幅方向Wの外側に離れた位置まで繊維シート50が存在することを目印部80によって示すことができる。使用者は、繊維シート50が配置された領域を広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。好適には、仮想線EL上において、繊維シート50の外側縁50Eと目印部80の内側縁80Iとの距離も、目印部80の内側縁80Iとサイドシート12の内側縁12Iとの距離L3よりも短くてよい。
【0057】
目印部80は、センターシート11の外側縁よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。目印部80とセンターシート11は、幅方向Wに離間してよい。仮想線EL上において、繊維シート50の外側縁50Eと目印部80の外側縁80Eとの距離L1は、目印部80の内側縁80Iとセンターシート11の外側縁11Eとの距離L4よりも短くてよい。目印部80は、センターシート11の外側縁11Eと繊維シート50の外側縁50Eの間において、繊維シート50の外側縁50E側に偏倚して配置されている。よって、センターシート11の外側縁11Eから幅方向Wの外側に離れた位置まで繊維シート50が存在することを目印部80によって示すことができる。使用者は、繊維シート50が配置された領域を広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。好適には、仮想線EL上において、繊維シート50の外側縁50Eと目印部80の内側縁80Iとの距離も、目印部80の内側縁80Iとセンターシート11の外側縁11Eとの距離L4よりも短くてよい。
【0058】
仮想線EL上において、繊維シート50の外側縁50Eと目印部80の外側縁80Eとの距離L1は、目印部80の内側縁80Iとシート接合部16の外側縁16Eとの距離L5よりも短くてよい。目印部80は、シート接合部16の外側縁16Eと繊維シート50の外側縁50Eの間において、繊維シート50の外側縁50E側に偏倚して配置されている。よって、シート接合部16の外側縁16Eから幅方向Wの外側に離れた位置まで繊維シート50が存在することを目印部80によって示すことができる。使用者は、繊維シート50が配置された領域を広く認識でき、漏れに対する安心感をより得ることができる。好適には、仮想線EL上において、繊維シート50の外側縁50Eと目印部80の内側縁80Iとの距離も、目印部80の内側縁80Iとシート接合部16の外側縁16Eとの距離L5よりも短くてよい。
【0059】
繊維シート50の外側縁50Eとフラップ40の外側縁40Eとの距離L6は、繊維シート50の外側縁50Eと目印部80の外側縁80Eとの距離L1よりも長くてよい。繊維シート50の外側縁50Eからフラップ40の外側縁40Eまでの距離が比較的長いため、繊維シート50によって漏れを抑制する効果を発揮するだけでなく、仮に繊維シート50を超えて体液が拡散した場合にあっても漏れを抑制する効果を発揮でき、使用者が漏れに対する安心感をより得ることができる。なお、L6>L1は、吸収性物品のいずれかの位置で満たせばよく、仮想線EL上において満たしていてもよいし、好適には、フラップ40の前後方向の全域に亘って満たしてよい。
【0060】
吸収コア31の外側縁31Eは、ウイング41の内側縁40Iよりも幅方向Wの内側に配置されてよい。すなわち、吸収コア31とウイング41の内側縁41Iは、幅方向Wに離間してよい。着用時にウイング41は、ウイングの内側縁41Iに位置するウイング折り目FLを基点に着用物品の非肌側T2に折り返されて使用される。そのため、ウイング折り目FLは、着用者の太腿に当たり易い。吸収コア31がウイング41の内側縁41Iよりも幅方向Wの内側に位置するため、ウイング折り目FLが吸収コア31の存在によって硬くなり過ぎず、太腿に対する当たりを抑制できる。また、ウイング41に吸収コア31が配置された構成にあっては、着用物品の非肌側に折り返された吸収コア31によって体液を保持し、着用者の脚等に体液が付着するおそれがある。しかし、ウイング41に吸収コア31が配置されていないため、着用物品の非肌側T2に折り返された部分における体液が意図せずに付着することを抑制できる。
【0061】
次いで、図5に基づいて、第2実施形態に係る吸収性物品1Xについて説明する。第2実施形態に係る吸収性物品1Xは、フラップ40としてのウイング41とヒップフラップ42を有する。なお、以下の説明において、上述の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。吸収性物品1Xの繊維シート50は、ウイング41とヒップフラップ42に配置されている。ウイング41の繊維シート50と、ヒップフラップ42の繊維シート50は、同じ資材によって構成され、一体化されていてよい。目印部80は、ウイング41に配置された第1目印部81と、ヒップフラップ42に配置された第2目印部82と、を有してよい。ヒップフラップ42は、着用時に着用物品の非肌側T2に折り返されず、臀部等の身体に当接して配置される。ヒップフラップ42に繊維シート50が配置されているため、繊維シート50の繊維間に体液を引き込み、かつ一時的に保持し、ヒップフラップ42における体液の漏れを抑制できる。また、繊維シート50に重なる領域に第2目印部82が配置されており、使用者は、第2目印部82を視認することでヒップフラップ42における繊維シート50の位置や存在を把握し易くなる。使用者は、ヒップフラップ42における繊維シート50による漏れを抑制できる範囲を把握でき、漏れに対する安心感を得ることができる。
【0062】
第2目印部82は、上述のウイング41の目印部80と同様の構成を採用できる。なお、第2目印部82の構成は、上述のウイングの目印部80の構成におけるウイングをヒップフラップに置き換えた構成であってよい。具体的には、例えば、上述のウイングの目印部80は、ウイング41における繊維シートの外側縁よりも幅方向Wの内側に配置されているが、第2目印部82は、ヒップフラップ42における繊維シートの外側縁よりも幅方向Wの内側に配置されてよい。また、第2目印部82は、ヒップフラップ42の前後方向Lの中心を跨いで配置されてよい。または、目印部80は、ヒップフラップ42において最も幅方向Wの外側に膨らんだ部分から幅方向Wに延びる直線上に配置されてよい。当該部分に目印部80を設けることにより、使用者が目印部80をより認識し易い。なお、繊維シート50は、第2実施の形態においてヒップフラップ42とウイング41に配置されているが、変形例においてウイング41に配置されず、ヒップフラップ42のみに配置されてよい。また、目印部80は、第2実施の形態においてヒップフラップ42とウイング41に配置されているが、変形例においてウイング41に配置されず、ヒップフラップ42のみに配置されてよい。
【0063】
吸収性物品1Xの非肌面には、ヒップフラップ42を着用物品に止着するためのフラップ粘着部(図示せず)を有してよい。フラップ粘着部の少なくとも一部は、繊維シート50に重なってよく、第2目印部82に重なってよい。フラップ粘着部と繊維シート50が重なることにより、繊維シート50が配置された領域が着用物品に止着され、使用者が繊維シート50の存在及び範囲を把握し易くなる。同様に、フラップ粘着部と第2目印部82が重なることにより、第2目印部82が配置された領域が着用物品に止着され、使用者が第2目印部82の存在及び範囲を把握し易くなる。
【0064】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0065】
1、1X :吸収性物品
10 :トップシート
11 :センターシート
12 :サイドシート
16 :シート接合部
20 :バックシート
30 :吸収体
31 :吸収コア
32 :コアラップシート
36 :本体圧搾部
40 :フラップ
41 :ウイング
50 :繊維シート
58 :相似部
80 :目印部
86 :圧搾部
88 :相似部
EL :仮想線
L :前後方向
T1 :肌側
T2 :非肌側
W :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5