(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123212
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ゴム製品、シール材用の試験治具及び試験装置並びに漏れ検知部材
(51)【国際特許分類】
G01M 3/20 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
G01M3/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102524
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2023556265の分割
【原出願日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2021178658
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217102
【弁理士】
【氏名又は名称】冨永 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100189289
【弁理士】
【氏名又は名称】北尾 拓洋
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 敬之
(72)【発明者】
【氏名】長田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】但野 光
(72)【発明者】
【氏名】川井 智博
(72)【発明者】
【氏名】西尾 圭史
(57)【要約】 (修正有)
【課題】漏洩の有無及びその位置について簡単且つ精度良く検知することができるゴム製品を提供する。
【解決手段】酸化還元反応により色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有する、ゴム製品。2つの部材の間の隙間を密封するシール材であって、酸化還元反応によって色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有し、環状である、ゴム製品(シール製品10)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化還元反応により色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有する、ゴム製品。
【請求項2】
2つの部材の間の隙間を密封するシール材であって、
酸化還元反応により色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有し、環状である、請求項1に記載のゴム製品。
【請求項3】
透明なものである、請求項1または2に記載のゴム製品。
【請求項4】
水素ガスと接するシール材である、請求項1~3のいずれか一項に記載のゴム製品。
【請求項5】
2つの部材の間の隙間を密封する環状のシール材の漏洩試験を行うための試験治具であり、
前記シール材を載置する載置面を有する載置台と、
前記載置台に載置された前記シール材の上方に配置される上方配置部材と、
前記載置台に載置された前記シール材の外側に位置する漏洩検知部材と、を備え、
前記漏洩検知部材は、酸化還元反応によって色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有しており、
前記シール材からの漏洩に伴い、前記漏洩検知部材の、前記シール材からの漏洩が認められる部分における色が変化する、シール材用の試験治具。
【請求項6】
前記シール材の前記載置台側及び前記上方配置部材側の少なくとも一方に配置されるシート状のシート部材を備え、
前記シート部材の少なくとも一方が、前記漏洩検知部材の少なくとも一部を構成する、請求項5に記載の試験治具。
【請求項7】
前記載置台の前記載置面から突出した突起部を備え、
前記突起部が、前記漏洩検知部材の少なくとも一部を構成する、請求項5または6に記載の試験治具。
【請求項8】
前記上方配置部材が、透明の部材からなるものである、請求項5~7のいずれか一項に記載の試験治具。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか一項に記載の試験治具と、
前記試験治具における前記漏洩検知部材の変化を記録する撮影部と、を備える、シール材用の試験装置。
【請求項10】
酸化還元反応によって色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有する弾性材からなる筒状の筒状弾性部と、
前記筒状弾性部の外周面に配置された少なくとも一対の電極と、を備える、漏れ検知部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム製品、シール材用の試験治具及び試験装置並びに漏れ検知部材に関する。更に詳しくは、配管等をシールするためのシール製品などのゴム製品、シール材用の試験治具及び試験装置並びに漏れ検知部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴムを主原料とするゴム製品は、多くの分野で使用されており、例えば、パッキンやガスケットのようなシール材などは、自動車や電化製品などに多数用いられている。より具体的には、例えば燃料電池におけるセルアセンブリ間は、ガスケット(ゴム)で封止されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このガスケットは、燃料電池における水素漏れを防ぐものであり、水素漏れは様々な問題を生じる懸念がある。そのため、燃料電池に組付ける前における検査(シール検査)が特に重要であり、シール検査では漏洩の有無や漏洩位置を確認することが求められる。
【0004】
このようなシール検査に際して、クロミック材を用いた水素漏れ検知の方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2017/047290号
【特許文献2】特開2017-181996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載のシートは、シール検査に際して、検査対象であるガスケット等に貼り付ける作業が必要になる。また、検査終了後には、検査対象であるガスケットから上記シートを剥がすことが必要になり、当該シートを剥がす際に検査対象に傷が付くことなどの懸念があった。
【0007】
更に、特許文献2に記載のシートを検査対象に貼り付けた際に、シートと検査対象との間に僅かな隙間が生じる場合があり、この隙間があると、隙間周辺部分が広く変色してしまうことがある。そのため、漏洩は認められるものの、その正確な場所を検知できないという懸念があった。このように特許文献2に記載のシートであっても、未だ改良の余地があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、シール検査の際に検査対象を傷付けてしまうことを回避することができ、更に、漏洩の有無及びその位置について簡便に且つ精度良く検知することができるゴム製品、シール材用の試験治具及び試験装置並びに漏れ検知部材を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下に示す、ゴム製品、シール材用の試験治具及び試験装置並びに漏れ検知部材が提供される。
【0010】
[1] 酸化還元反応により色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有する、ゴム製品。
【0011】
[2] 2つの部材の間の隙間を密封するシール材であって、
酸化還元反応により色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有し、環状である、前記[1]に記載のゴム製品。
【0012】
[3] 透明なものである、前記[1]または[2]に記載のゴム製品。
【0013】
[4] 水素ガスと接するシール材である、前記[1]~[3]のいずれかに記載のゴム製品。
【0014】
[5] 2つの部材の間の隙間を密封する環状のシール材の漏洩試験を行うための試験治具であり、
前記シール材を載置する載置面を有する載置台と、
前記載置台に載置された前記シール材の上方に配置される上方配置部材と、
前記載置台に載置された前記シール材の外側に位置する漏洩検知部材と、を備え、
前記漏洩検知部材は、酸化還元反応によって色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有しており、
前記シール材からの漏洩に伴い、前記漏洩検知部材の、前記シール材からの漏洩が認められる部分における色が変化する、シール材用の試験治具。
【0015】
[6] 前記シール材の前記載置台側及び前記上方配置部材側の少なくとも一方に配置されるシート状のシート部材を備え、
前記シート部材の少なくとも一方が、前記漏洩検知部材の少なくとも一部を構成する、前記[5]に記載の試験治具。
【0016】
[7] 前記載置台の前記載置面から突出した突起部を備え、
前記突起部が、前記漏洩検知部材の少なくとも一部を構成する、前記[5]または[6]に記載の試験治具。
【0017】
[8] 前記上方配置部材が、透明の部材からなるものである、前記[5]~[7]のいずれかに記載の試験治具。
【0018】
[9] 前記[4]~[8]のいずれかに記載の試験治具と、
前記試験治具における前記漏洩検知部材の変化を記録する撮影部と、を備える、シール材用の試験装置。
【0019】
[10] 酸化還元反応によって色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有する弾性材からなる筒状の筒状弾性部と、
前記筒状弾性部の外周面に配置された少なくとも一対の電極と、を備える、漏れ検知部材。
【0020】
本発明のゴム製品は、漏洩の有無及びその位置について簡便に且つ精度良く検知することができるという効果を奏する。なお、このゴム製品は、シール材(シール製品)として用いることにより、シール検査の際に検査対象を傷付けてしまうことを回避することができ、更に、漏洩の有無及びその位置について簡便に且つ精度良く検知することができるという効果を奏する。
【0021】
本発明のシール材用の試験治具は、シール材における漏洩の有無及びその位置について簡便に且つ精度良く検知することができるという効果を奏する。
【0022】
本発明のシール材用の試験装置は、シール材における漏洩の有無及びその位置について簡便に且つ精度良く検知することができるという効果を奏する。
【0023】
本発明の漏れ検知部材は、配管等からのガス等の漏洩の有無及び漏洩の位置について簡便に且つ精度良く検知することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明のゴム製品の一の実施形態であるシール材を模式的に示す平面図である。
【
図2】本発明のゴム製品の一の実施形態であるシール材を模式的に示す斜視図である。
【
図3】本発明のゴム製品の一の実施形態であるシール材における漏洩の有無等を試験する状態を模式的に示す説明図である。
【
図4】
図1に示すゴム製品の漏洩の有無等を試験した後の状態を模式的に示す説明図である。
【
図5】本発明のシール材用の試験治具の一の実施形態を一部透視して模式的に示す側面図である。
【
図6】
図5に示すシール材用の試験治具の上方部材を透視した状態を模式的に示す説明図である。
【
図7】本発明のシール材用の試験装置の一の実施形態においてシール材の漏洩の有無等を試験する状態を模式的に示す説明図である。
【
図8】
図5に示すシール材用の試験治具を用いてシール材の漏洩の有無等を試験した後の状態を模式的に示す説明図である。
【
図9】本発明の漏れ検知部材の一の実施形態を模式的に示す側面図である。
【
図10】本発明の漏れ検知部材の一の実施形態を模式的に示す平面図である。
【
図11】
図9に示す漏れ検知部材を配管の締結部に取り付けた状態を模式的に示す説明図である。
【
図12】
図9に示す漏れ検知部材を用いて漏れをモニタリングする状態を模式的に示す説明図である。
【
図13】本発明の漏れ検知部材の他の実施形態を配管の締結部に取り付けた状態を模式的に示す説明図である。
【
図14】本発明の漏れ検知部材の更に他の実施形態を配管の締結部に取り付けた状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0026】
(1)ゴム製品:
本発明のゴム製品の一の実施形態は、酸化還元反応により色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有するものである。このゴム製品は、漏洩の有無及び漏洩の位置について簡便に且つ精度良く検知することができる。
【0027】
ガスクロミック材料は、酸化還元反応によって、色が可逆的に変化するか、或いは、電気抵抗値が変化する材料である。このようなガスクロミック材料としては、後述するように、例えば、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、及び酸化クロムなどの遷移金属酸化物を挙げることができる。なお、反応を促進するために、白金やクロムなどの触媒を更に担持させることが好ましい。例えば、酸化タングステン及び白金を含むものであることがより好ましい。
【0028】
なお、本発明のゴム製品においては、酸化還元反応により光の透過率が変化する(即ち、特定の波長帯の透過率が大きく変化する)ことで色が変化して見えることになる。
【0029】
このゴム製品の材料となるゴムは、従来公知のものを適宜採用することができ、このゴム製品の用途は特に制限はなく、シール材のようなシール製品などに用いることができる。
【0030】
本発明のゴム製品は、例えば以下のように製造することができる。まず、従来公知の方法(例えば特開2017-181996号公報等参照)により、白金(Pt)と酸化タングステン(WO3)を含む固形物を合成する。次に、合成した固形物を粉砕する。ここで、固形物の粉砕手段としては、例えば、ビーズミル、ジェットミル、乳鉢などが挙げられる。なお、ゴム製品中でのPt、WO3の分散性を向上させる場合には、任意の分散剤で表面処理を行っても良い。
【0031】
次に、粉砕した固形物(「Pt/WO3」と記す場合がある)をその他の成分とともに原料ゴムと混合する。なお、混合のタイミングは、混錬時や加硫剤を投入する促入れ時などのようにゴムを加硫する前の段階であれば特に制限はない。混合用の装置としては、特に制限はなく、ニーダーやロールなどのゴムの混錬に使用される一般的な装置を採用することができる。また、原料ゴムとして液状ゴムを用いる場合は、装置を用いずに手動で混ぜても良い。そして、その後、Pt/WO3を混合したゴム生地を任意の形状に成形し加硫を行うことにより、ゴム製品を製造することができる。
【0032】
(2)シール製品:
本発明のゴム製品の一の実施形態は、
図1、
図2に示すシール製品10である。このシール製品10は、2つの部材(例えば、配管同士、セパレータ同士)の間の隙間を密封するシール材であって、酸化還元反応によって色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有し、環状のものである。
【0033】
このようなシール製品10は、漏洩の有無及びその位置について簡便に且つ精度良く検知することができる。なお、シール製品10とは、機械内部から外部へと流体の漏れを防ぐ装置のことであり、具体的には、オイルシール、ゴムガスケット、Оリング等が該当する。
【0034】
ここで、Oリング及びガスケットなどのシール製品は、機械同士の接合箇所に取り付けられ、機械内部の液体や気体が外部に漏れることを防ぐ装置である。しかし、外乱や突発的な欠陥などの要因で気密性が不足して漏れが発生することも懸念される。
【0035】
そして、漏れが発生した場合、原因を究明して対策を行うことになるが、そのためには漏れ位置を特定する必要がある。しかし、シール媒体が無色気体(例えば、水素等)の場合、漏れ位置を正確に目視で特定することは容易ではない傾向がある。
【0036】
そこで、一般的には、印加した圧力値の変動を観察する方法や、印加する気体の流量を測定する方法などが採用される。しかし、これらの手法では、漏れの有無を判別するに留まり、漏れ位置の特定は十分に行えない傾向がある。
【0037】
このようなことから、漏れ位置の特定手法として、圧力測定区域を細かく分割し個々の圧力変動から漏れ位置を特定する手法がある。しかし、コンタクトラインのどの部分から漏れているかは判別できない。そこで、より細かく漏れ位置を検査する手法として、Heなどの気体を印加し、リークディテクターなどの検出器に接続したプローブを試験体の近傍で走査することで漏れ位置を特定する方法もある。しかし、この手法であっても、プローブに届く前にHeが拡散してしまうため、シール製品のように漏れ量が小さい場合は測定が困難となる傾向がある。
【0038】
次に、漏れ位置を可視化する手法として、検査液をシール箇所に塗布してアクリル板などの透明部材で締め付け、圧力印加時に発生する泡を観察することで漏れ箇所を特定する発泡法がある。しかし、この手法でも、漏れ量が小さい場合には、泡の観察が困難であったり、検査液自体がシールの助剤となり漏れを止めてしまうという懸念がある。
【0039】
また、シール媒体であるガスの中には、H2やHeなどのように物体の透過性が高いものも含まれる。このうちH2は、O2と反応することによる爆発のリスクが広く知られている。そのため、外部へのH2の漏れを完全に無くすことは困難でありながらも、安全性を担保する観点から、最小限の漏れ量とすることが求められている。特に、締結部の隙間を埋めるために使用されているシール製品は、比較的低密度の弾性体で形成されていることが多く、そのため、透過漏れが生じる懸念もある。
【0040】
本発明では、ガスクロミック材料を樹脂等の高分子材料に混合することによって、シール製品自体をセンサとして活用できることを見出したものである。
【0041】
このようにシール製品自体をセンサとすると、漏れ発生部位の正確な特定が容易になることに加え、他のセンサ装置を設置する手間を省略することができる。つまり、本発明のゴム製品(具体的にはシール製品)を用いると、周辺部材をそのまま使用して、漏れを検知することが可能となる。
【0042】
また、ガスクロミック材料は、可逆性を有することから、同一製品であれば繰り返し使用できるので経済性に優れている。なお、可逆反応の時間は、ガス透過率の低い高分子材料を使用したり、高分子材料を重ねて2層成形することによって調整することができる。使用する高分子材料としては、仕様や漏れの観察の環境に適したものを適宜選択可能である。
【0043】
また、本発明では、微小な漏れ(例えば0.1cc/分を下回るような非常に小さな漏れ)も検出可能となる。カメラで取得した画像の画像処理や電気信号の取得などのように検知方法を選択することができ、ガスクロミズム発色性能(色調や維持時間)及び抵抗値変化性能を使用環境で制御できるためである。
【0044】
更に、本実施形態のシール製品は、漏れ位置を特定するだけでなく、気体の流れを可視化することへの応用も可能である。例えば、燃料電池用セルの発電面を流れる水素の流量のムラを可視化することにも応用できる。即ち、シール製品の内部に水素の流れがあり、その水素の流量が大きい領域(多流量領域)に近い部分ほど、シール製品の内面部分が強く変色(濃く変色)し、上記多流量領域から遠い部分ほど、シール製品の内面部分は薄く変色する。そこで、シール製品の内面部分の変色の程度を確認すると、水素流量の分布が分かるようになる。
【0045】
このようなシール製品(即ち、ゴム製品)は、水素ガスと接するシール材として用いることができ、例えば、燃料電池用セルのシール材、水素を燃焼(爆発)させるエンジンや水素タンク・配管、工場内での水素配管用のシールまたはガスケットに適用することができる。
【0046】
なお、本発明のようにガスクロミック材料を混合した弾性体をシール製品(燃料電池用セルに用い、セル内の水素と接するシール材)に適用すると、ガスクロミック材料の酸化還元反応によってゴム(シール製品)中で水素を水に変換することができると考えられる。つまり、水素が外部に漏れる前に水に変換してしまうことが考えられるので、水素漏れを防止でき、水素漏れによる事故のリスクを低減することができると考えられる。ここで、シール製品の低圧側には、シール製品の内部に侵入した酸素が僅かながら存在しており、漏れる直前の水素の一部は、この酸素との還元反応によって水に変換されることになると考えられる。
【0047】
更に、シール製品の製造段階においては、シール製品からの漏れの有無を確認する工程があるが、この確認工程においては、漏れの有無が正確に検知できることが望まれる。
【0048】
本実施形態のシール製品は、シール製品そのもの自体にガスクロミック材料が含有され、当該シール製品自体が直接に漏れに対応して変化するため、漏れの位置をより精度よく且つ簡便に検知することができる。また、水素ガスが使用される場合には水素漏れを防止でき、水素漏れによる事故のリスクを低減することができる。ここで、水素検知用シート(例えば、特許文献2参照)を別途用いる場合には、漏れ検知対象物と水素検知用シートとに隙間が生じることがあり、その場合には漏れている箇所を正確に検知できない懸念がある。つまり、隙間が生じている部分が全体に広く変色してしまうため、漏れの存在は認識できるものの、漏れの場所までは正確に確認することが十分でない傾向がある。これに対して、本実施形態のシール製品は、漏れが生じることで、上記の通り漏れ検知対象物(シール製品自体)が変色するため、漏れ位置を正確に把握することができる。更に、上記水素検知用シートのように漏れ検知対象物に別部材を採用し、この別部材を漏れ検知対象物に直接貼り付けるということが無いため、シール検査の際に検査対象(即ち、漏れ検知対象物)を傷付けてしまうことを回避することができる。
【0049】
本実施形態のシール製品は、弾性を有しておりその材質は特に制限はないが、例えば、ビニルメチルシリコーンゴム(VMQ)、フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)などを挙げることができる。本実施形態のシール製品は、透明なものとすることができる。透明なものであると、シール製品内部の亀裂等による漏れをその変色によって外部から確実に確認できる。なお、シール製品内部を視認することができる限り有色または無色とすることができるが、無色であることがよい。本願明細書において「透明」は、完全に透明である場合以外に、光を透過できる程度に透明である場合(半透明)を含む概念である。
【0050】
ガスクロミック材料は、酸化還元反応によって、色が可逆的に変化するか、或いは、電気抵抗値が変化する材料である。このようなガスクロミック材料としては、例えば、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、及び酸化クロムなどの遷移金属酸化物を挙げることができる。なお、反応を促進するために、白金やクロムなどの触媒を更に担持させることが好ましい。例えば、酸化タングステン及び白金を含むものであることがより好ましい。
【0051】
なお、ガスクロミック材料の反応は、可逆的な酸化還元反応であり、水素濃度が高いほど、発色しやすく・抵抗値が低くなるなど変化性能が高くなる。また、酸素濃度が高いほど、発色・抵抗値の変化性能は低くなる。また、温度が高くなるほど、反応が活性化するため、発色・抵抗値の応答性が早くなる。更に、ガスクロミック材料の高分子材料への配合量を増やすことでも、変化性能は高くなる。
【0052】
シール製品10は、その使用条件について特に制限はないが、例えば-60℃~230℃の温度環境で使用され、シール製品10は、このような温度環境において、漏洩の有無及びその位置について簡便に且つ精度良く検知することができる。
【0053】
漏れを検知する対象である流体としては、特に制限はなく、大気以外の気体を挙げることができ、具体的には、水素などを挙げることができる。例えば、固体高分子型燃料電池の燃料ガスとして水素が使用されており、この水素は電池内にシール製品を用いて密封されている。このような水素は、電池が衝撃や振動等を受けた際に極わずかに漏れてしまう懸念もある。そこで、本実施形態のシール製品を用いることで、漏れの有無や位置を確実かつ容易に検知することができる。
【0054】
シール製品10は、
図3に示すように、試験装置100の試験部21に取り付け、漏れの有無及びその位置を確認する試験を行うことができる。試験装置100は、試験部21と、この試験部21に取り付けたシール製品10の変化を記録する撮影部23と、水素などの試験流体を試験部21に供給するための試験流体供給部25と、を備えている。なお、試験部21のうちシール製品10を上方から押さえる部材(上方部材22)は、透明な部材を有し、試験中におけるシール製品10の変化が観察できるようになっている。
【0055】
この試験装置100を用いてシール製品10における漏れの有無を試験することができ、シール製品10に漏れがある場合、
図4に示すように、シール製品10の幅方向の全体に亘って変色部27が確認される。このように漏れの有無及びその位置を簡単に検知することができる。
【0056】
シール製品10は、配管等の締結部に配置した後、経年劣化等により使用中に漏れが発生したことや、漏れの発生位置を容易に確認することができる。
【0057】
(3)試験治具:
本発明の試験治具の一の実施形態は、
図5、
図6に示す試験治具50である。この試験治具50は、2つの部材の間の隙間を密封する環状のシール材の漏洩試験を行うための試験治具である。そして、試験治具50は、シール材を載置する載置面31aを有する載置台31と、この載置台31に載置されたシール材の上方に配置される上方配置部材33と、載置台31に載置されたシール材の外側に位置する漏洩検知部材35と、を備えている。そして、漏洩検知部材35は、酸化還元反応によって色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有している。このような構成により、試験治具50は、シール材からの漏洩に伴い、漏洩検知部材35の、シール材からの漏洩が認められる部分における色または電気抵抗値が変化し、漏洩の有無及び位置を検知することができるものである。
【0058】
このようなシール材用の試験治具50は、シール材における漏洩の有無及びその位置について簡便に且つ精度良く検知することができる。また、試験治具50は、シール検査の際にシール材を載置台31に載置するものであり、シール検査の際に検査対象を傷付けてしまうことを回避することができる。
【0059】
ここで、試験治具50は、
図7に示すように、シール材15の密封性を試験する試験装置200の試験部の部分に取り付けた後、試験流体である水素などを用いて、試験流体の漏れの有無や漏れの位置を色などの変化によって検出する治具である。試験治具50にシール材15(密封性を試験する試験品)を配置すると、シール材15の内側の領域は密封状態となる。試験装置200は、試験部に試験治具50を設置したこと以外は試験装置100と同様の構成を有している。
【0060】
図8は、試験治具50を試験装置200に取り付け、シール材15の密封性を試験した後の状態を示す平面図であり、シール材15の漏れがある部分に相当する漏洩検知部材35の一部が変色して変色部27が発現していることを示す例である。
【0061】
シール材は、上述したシール製品と同様であるが、機械内部から外部へと流体の漏れを防ぐ装置のことであり、具体的には、オイルシール、ゴムガスケット、Оリング等が該当する。
【0062】
(3-1)載置台:
載置台31は、シール材15を載置する載置面31aを有するものである。このように載置面31aを有するものである限りその材質、形状、大きさなどについて特に制限はない。
【0063】
載置台31の材質は、特に限定されず、シール材を挟持した際に試験流体が漏れないような材質であれば良い。載置台31の材質としては、例えば、樹脂、ガラス、ステンレスなどの鉄鋼材、アルミニウム等を挙げることができる。
【0064】
図5、
図6には、立方体状の載置台31を示しており、その天面にシール材15を載置する載置面31aを有している例を示している。
【0065】
(3-2)上方配置部材:
上方配置部材33は、載置台31に載置されたシール材の上方に配置されるものである。この上方配置部材33は、その材質、形状、大きさなどについて特に制限はなく適宜決定することができる。
図5には、立方体状の上方配置部材33を示しており、載置台31側の表面に漏洩検知部材35であるシート部材37が配置されている。
【0066】
上方配置部材33の材質は、載置台31と同様に、シール材を挟持した際に試験流体が漏れないような材質であれば特に制限はない。上方配置部材33の材質としては、例えば、樹脂、ガラス、ステンレスなどの鉄鋼材、アルミニウム等を挙げることができる。
【0067】
上方配置部材33としては、より具体的には、樹脂またはガラスから構成することができ、樹脂の場合、透明材料で構成することができる。透明材料としては、具体的には、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどを挙げることができる。このように上方配置部材33が透明であると、試験治具50の上方から、試験中におけるシール材15の状態をカメラなどの撮影手段(撮影部23)によって確認するとともに記録することができる。
【0068】
(3-3)漏洩検知部材:
漏洩検知部材35は、載置台31に載置されたシール材15の外側に位置するものであり、酸化還元反応によって色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有している。なお、漏洩検知部材35とシール材15は、接するように配置されてもよいし、隙間を空けて配置されてもよい。
【0069】
漏洩検知部材35は、その材質について特に制限はないが、例えば、樹脂、ゴムなどを挙げることができる。
【0070】
漏洩検知部材35は、シール材15の外側に位置する限りその位置は特に制限されるものではない。漏洩検知部材35は、例えば、シート部材37として載置台31や上方配置部材33の表面上に配置してもよいし、突起部39として載置台31上に配置してもよい。なお、漏洩検知部材35は、シート部材37と突起部39の両方とすることでもよい。このようにすると、より正確に漏れの有無及びその位置を確認できる。
【0071】
(3-3a)シート部材:
試験治具50は、シール材15の、載置台31側及び上方配置部材33側の少なくとも一方に配置されるシート状のシート部材37を更に備えることでもよく、シール材の漏れ試験の際にはこのシート部材37の外側に位置するようにシール材が配置される。そして、このシート部材37の少なくとも一方が、漏洩検知部材35の少なくとも一部を構成することができる。なお、このシート部材37は、シート状であり、これは「薄膜状」である場合も含む。
【0072】
シート部材37は、その配置状態について特に制限はなく、配置範囲(成膜により薄膜状のシート部材を作製する場合には成膜範囲)として載置台31等の表面全体でも、シール材の接触面との際(境)などのような一部でもよい。
【0073】
なお、シート部材37としては、単層シートであってもよいし、高分子材料をバインダーとしてガスクロミック材料を分散させた薄膜と、この薄膜上に更に高分子材料膜と、を配置した複層シートを使用しても良い。
【0074】
(3-3b)突起部:
試験治具50は、載置台31の載置面31aから突出した突起部39を更に備えることでもよく、シール材15を試験する際には、突起部39の内面にシール材15が接するように配置され、この突起部39が漏洩検知部材35の少なくとも一部を構成することができる。
【0075】
突起部39は、シール材15と接する限り、
図6に示すような連続する環状であってもよいし、不連続な環状であってもよい。また、突起部39中のガスクロミック材料の分布状態は、シール材15と接する内面部分だけでもよいし、全体に分散されていてもよい。
【0076】
突起部39は、載置台31と一体に形成されていてもよいし、載置台31とは別体であってもよい。載置台31とは別体である場合、載置台31に固定されていることがよい。
【0077】
突起部39は、弾性材料から構成することができ、その材質は、特に制限はないが、例えば、フッ素ゴムなどを挙げることができる。
【0078】
(4)試験装置:
本発明の試験装置の一の実施形態は、
図7に示すシール材用の試験装置200である。この試験装置200は、シール材15を所定の位置にセットし、その後、シール面(シール材の内側の領域)に水素等の試験流体を供給することで、シール面からの試験流体の漏れを検知するための試験機である。
【0079】
この試験装置200は、上述した試験治具50と、この試験治具50における漏洩検知部材35の変化を記録する撮影部23と、試験流体供給部25と、漏れ量測定部60と、を備えている。試験治具50と試験流体供給部25は、配管で接続されている。試験治具50は、試験部として機能する。試験流体供給部25は、水素などの試験流体を試験部である試験治具50に供給するためのタンクなどである。
【0080】
このようなシール材用の試験装置200は、上述した試験治具50を備えることにより、シール材15における漏洩の有無及びその位置について簡便に且つ精度良く検知することができ、更に、漏れ量測定部60によって、漏洩する流体の漏れ量を測定することができるので、漏洩対策効果が向上する。
【0081】
シール材15の色の変化を確認する場合、試験後に試験治具50を分解して確認する第一手法と、試験治具50の一部を透明部材で構成し、試験中に確認する第二手法がある。また、目視では色の変化が判別しづらい場合には、カメラ等の撮影部23で撮影した画像を解析することで漏れ位置を特定することができる。
【0082】
図7に示す試験装置200は、シール材15を挟持する2つの部材(即ち、試験治具50の上方配置部材33及び載置台31)のうちの少なくとも一方(好ましくは、上方配置部材33)を、光が透過可能な透明な部材(例えば、アクリル樹脂、ガラスなど)とするものである。この試験装置200は、上記第二手法を採用したものであり、カメラ23a(撮影部23)によって漏れ箇所の変色を検知する。
【0083】
撮影部23は、シール材15における漏洩の有無及びその位置を記録することができるものであれば特に制限はなく所定の機器を適宜採用することができる。
【0084】
漏れ量測定部60は、漏洩する流体の漏れ量を測定するものであり、試験対象であるシール材15と突起部39(漏洩検知部材35)との間に配置されるプローブである分散ゴムシート38を備えている。漏れ量測定部60としては、具体的には、圧力計、流量計、リークディテクターなどを挙げることができ、漏れ量を、分散ゴムシート38の電気抵抗値の変化によって検知することができる。なお、上述した試験治具50単体では色の変化を確認するだけであり漏れ量を把握することはできないが、この漏れ量測定部60と組み合わせることで、大量の漏れが発生しやすい場所や、微小な漏れが発生し易い場所を区別することができるようになる。そして、漏れ量によって漏れの原因は異なることが考えられるため、漏れ量測定部60と試験治具50を組み合わせて用いることによって、漏れの対策をより効果的に立てることができる。
【0085】
(5)漏れ検知部材:
本発明の漏れ検知部材は、酸化還元反応によって色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有する弾性材からなる筒状の筒状弾性部と、この筒状弾性部の外周面に配置された少なくとも一対の電極と、を備えるものである。このような漏れ検知部材は、配管等からのガス等の漏洩の有無及び漏洩の位置について簡便に且つ精度良く検知することができる。
【0086】
図9、
図10には、本発明の漏れ検知部材の一の実施形態の漏れ検知部材70を示す。この漏れ検知部材70は、酸化還元反応によって色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有する弾性材からなる筒状の筒状弾性部72と、この筒状弾性部72の外周面上であって一方の端面73側及び他方の端面75側にそれぞれ配置された一対の電極80と、を備えている。
【0087】
このような漏れ検知部材70は、配管等からのガス等の漏洩の有無及び漏洩の位置について簡便に且つ精度良く検知することができる。
【0088】
ここで、漏れ検知部材70は、
図11に示すように、水素用配管71等の接合部(締結部)などに取り付けて、この接合部などからの漏れをその色の変化や電気抵抗の変化によって検出する器具である。更に、
図11に示すように、漏れ検知部材70に導線77を取り付け、電圧計や電流計の計測機器79などと接続することによって、漏れが発生した際に、色の変化だけでなく電気抵抗の変化を確認することにより漏れを検出できる。
【0089】
(5-1)筒状弾性部:
筒状弾性部72は、酸化還元反応によって色が可逆的に変化または電気抵抗値が変化するガスクロミック材料を含有する弾性材からなる筒状のものである。
【0090】
筒状弾性部72は、筒状である限り大きさや開口形状などについて特に制限はなく、漏れ検知部材70を取り付ける配管等の形状や大きさに合わせて適宜決定することができる。筒状弾性部72の形状は、具体的には、円筒状などとすることができる。筒状弾性部72は、その中心軸方向にスリットや切欠きが形成されていてもよい。スリットや切欠きが形成されることで配管等の作業が容易になるためである。なお、切欠きが形成されることで一部が欠けている場合にも「筒状」に該当するものとする。
【0091】
筒状弾性部72の弾性材の材質としては、特に制限はないが、例えば、ビニルメチルシリコーンゴム(VMQ)、フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)などを挙げることができる。
【0092】
(5-2)一対の電極:
一対の電極80は、筒状弾性部72の外周面であって一方の端面73側及び他方の端面75側にそれぞれ配置されたものである。
【0093】
この一対の電極80については、従来公知の電極を採用することができ、各電極の位置も特に制限はなく適宜決定することができる。
【0094】
なお、各電極は、筒状弾性部72の外周面に沿って配置される環状のものとすることができ、環状構造の一部が欠けていてもよい。
【0095】
電極80のそれぞれには、
図11に示すように電流計などの計測機器79を接続することができ、この計測機器79によって筒状弾性部72に生じる電気抵抗値の変化の有無を観測し、漏れを確認(検知)することができる。
【0096】
図12は、漏れ検知部材70の使用状態を示しており、配管に複数存在する締結部に漏れ検知部材70を配置している。そして、各漏れ検知部材70おける電気信号を無線等で発信させ、観察する。ガス等の漏れが発生した部分に配置された漏れ検知部材90において、その筒状弾性部72の色が変化し、更には筒状弾性部72の電流抵抗値が変化する。このように複数の漏れ検知部材70を用いると、複数の締結部の中から、漏れが発生している締結部を早期かつ簡便に特定することができる。具体的には、例えば工場において、水素が流れる配管の接合部などに漏れ検知部材70をそれぞれ取り付け、これらから送られてくる電気信号をモニタリングし、24時間監視することもできる。このように電気信号をモニタリングすることで、漏れが発生した場合にも、数多くある締結部の中から漏れが発生した締結部をいち早く特定することができる。
【0097】
図13には、本発明の漏れ検知部材の他の実施形態の漏れ検知部材170を示す。この漏れ検知部材170は、筒状弾性部72と、この筒状弾性部72の表面上に配置された複数対の電極80と、備えている。このように複数対の電極80を備えることにより、より正確に漏れの検知を行うことができる。複数対の電極80は、筒状弾性部72の延びる方向(中心軸方向)に並んで配置されている。
【0098】
図14には、本発明の漏れ検知部材の他の実施形態の漏れ検知部材270を示す。この漏れ検知部材270は、筒状弾性部72と、この筒状弾性部72の表面上に配置された複数対の電極80と、備え、複数対の電極80は、筒状弾性部72の延びる方向(中心軸方向)に沿って延びるように配置されている。このように複数対の電極80を備えることにより、周方向における漏れ位置を検知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明のゴム製品は、配管等の継ぎ手部分(締結部)におけるシール材として採用することができる。本発明のシール材用の試験治具及び試験装置は、配管等の継ぎ手部分におけるシール材における漏洩の有無等を試験するための治具または装置として利用することができる。本発明の漏れ検知部材は、配管等の継ぎ手部分における漏洩の有無等を検知するためのものとして利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
10:シール製品(ゴム製品)
11:弾性材
15:シール材
21:試験部
22:上方部材
23:撮影部
25:試験流体供給部
27:変色部
31:載置台
31a:載置面
33:上方配置部材
35:漏洩検知部材
37:シート部材
38:分散ゴムシート
39:突起部
50:試験治具
60:漏れ量測定部
70,90,170,270:漏れ検知部材
71:水素用配管
72:筒状弾性部
73:一方の端面
75:他方の端面
77:導線
79:計測機器
80:一対の電極
100,200:試験装置