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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123505
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】内視鏡撮像装置及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240905BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61B1/00 731
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030970
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 一昭
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040CA01
2H040CA11
2H040DA17
2H040DA56
2H040DA57
2H040GA03
2H040GA10
2H040GA11
4C161AA00
4C161BB00
4C161CC06
4C161DD03
4C161JJ06
4C161LL02
4C161PP11
(57)【要約】
【課題】大型化することなく、内視鏡撮像装置の撮像レンズの位置の調整を可能にした内視鏡撮像装置及び内視鏡を提供する。
【解決手段】
観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置であって、内部に撮像レンズが設けられたレンズ鏡胴と、レンズ鏡胴を保持する保持具と、撮像レンズを通過した光を受光し、光電変換する撮像素子とを有し、レンズ鏡胴は、保持具の内側に、レンズ鏡胴と保持具との間に隙間をあけて配置され、撮像素子は、有効画素領域を有し、有効画素領域に対して余白領域を設けて表示画素領域が設定されており、有効画素領域において直交する2方向のうち、少なくとも1方向における余白領域の長さよりも隙間の長さの方が大きい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置であって、
内部に撮像レンズが設けられたレンズ鏡胴と、
前記レンズ鏡胴を保持する保持具と、
前記撮像レンズを通過した光を受光し、光電変換する撮像素子とを有し、
前記レンズ鏡胴は、前記保持具の内側に、前記レンズ鏡胴と前記保持具との間に隙間をあけて配置され、
前記撮像素子は、有効画素領域を有し、前記有効画素領域に対して余白領域を設けて表示画素領域が設定されており、
前記有効画素領域において直交する2方向のうち、少なくとも1方向における前記余白領域の長さよりも前記隙間の長さの方が大きい、内視鏡撮像装置。
【請求項2】
前記レンズ鏡胴と前記保持具とは、少なくとも一部に光硬化型接着剤を用いて固定されている、請求項1に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項3】
前記保持具は、前記隙間に達する穴を有する、請求項1に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項4】
前記レンズ鏡胴と前記撮像素子との間に、前記撮像レンズを透過した光を前記撮像素子に反射させる反射面を備えるプリズムが配置されている、請求項1に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置を有する、内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置及び内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡用光源装置、内視鏡(内視鏡スコープ)、及びプロセッサ装置を備える内視鏡システムを用いた診断等が広く行われている。
被検者の体内に挿入される挿入部を有しており、内視鏡用光源装置による照明光は挿入部を経て観察対象に照射される。内視鏡は、照明光が照射された観察対象を撮像素子により撮像して画像信号を生成する。プロセッサ装置は、内視鏡により生成された画像信号を画像処理してモニタに表示するための観察画像を生成する。撮像素子はフレキシブル配線基板等で構成される回路基板を介して信号ケーブルに電気的に接続されており、信号ケーブルがプロセッサ装置に電気的に接続されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、内視鏡の先端部に撮像ユニットを内蔵した電子内視鏡が開示されている。撮像ユニットは、複数の光学部材をレンズ枠に配設した対物レンズとなる対物光学系と、対物光学系の結像位置に固体撮像素子の撮像面を配置した撮像部とで構成されている。固体撮像素子の前面には芯出しレンズ及びマスク部材が配置されており、芯出しレンズが素子枠に接着固定によって一体的に固定されている。レンズ枠と素子枠とはピント調整を行った後、例えば、接着剤によって一体的に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-102681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように内視鏡では、レンズの光軸及びレンズの傾き等を調整して、撮像素子の表示画素領域に対してレンズの結像領域の位置を合わせる必要がある。
例えば、後に説明するが図12及び図13に示すように、表示画素領域52に対して、撮像素子の有効画素領域50を大きくし、結像領域54に合わせるように表示画素領域52を移動させて調整していた。
上述の調整方法では、有効画素領域を大きくする必要があり、撮像素子等のセンサ自体が大型化する。これにより、内視鏡の先端部、すなわち、内視鏡撮像装置が大型化する。
本発明の目的は、大型化することなく、内視鏡撮像装置の撮像レンズの位置の調整を可能にした内視鏡撮像装置及び内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、発明[1]は、観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置であって、内部に撮像レンズが設けられたレンズ鏡胴と、レンズ鏡胴を保持する保持具と、撮像レンズを通過した光を受光し、光電変換する撮像素子とを有し、レンズ鏡胴は、保持具の内側に、レンズ鏡胴と保持具との間に隙間をあけて配置され、撮像素子は、有効画素領域を有し、有効画素領域に対して余白領域を設けて表示画素領域が設定されており、有効画素領域において直交する2方向のうち、少なくとも1方向における余白領域の長さよりも隙間の長さの方が大きい、内視鏡撮像装置である。
【0007】
発明[2]は、レンズ鏡胴と保持具とは、少なくとも一部に光硬化型接着剤を用いて固定されている、発明[1]に記載の内視鏡撮像装置。
発明[3]は、保持具は、隙間に達する穴を有する、発明[1]又は[2]に記載の内視鏡撮像装置。
発明[4]は、レンズ鏡胴と撮像素子との間に、撮像レンズを透過した光を撮像素子に反射させる反射面を備えるプリズムが配置されている、発明[1]~[3]のいずれか1つに記載の内視鏡撮像装置。
発明[5]は、発明[1]~[4]のいずれか1つに記載の内視鏡撮像装置を有する、内視鏡である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大型化することなく、内視鏡撮像装置の撮像レンズの位置の調整を可能にした内視鏡撮像装置及び内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の内視鏡システムの一例を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例を示す模式的側面図である。
図3】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例のレンズ鏡胴と保持具とを示す模式的側面断面図である。
図4】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例における撮像レンズと、撮像素子の受光面との配置を示す模式図である。
図5】撮像素子の有効画素領域、表示可能画素領域、撮像レンズにより光学像が結像される結像領域、及び表示画素領域の位置関係を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の撮像レンズの調整を工程順に示す模式図である。
図7】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の撮像レンズの調整を工程順に示す模式図である。
図8】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第2の例を示す模式的斜視図である。
図9】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第2の例を示す模式的側面図である。
図10】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第2の例における撮像レンズと、撮像素子の受光面との配置を示す模式図である。
図11】従来の撮像レンズと、撮像素子の受光面との配置を示す模式図である。
図12】従来の内視鏡撮像装置の撮像レンズの調整を工程順に示す模式図である。
図13】従来の内視鏡撮像装置の撮像レンズの調整を工程順に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の内視鏡撮像装置及び内視鏡を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値εα~数値εβとは、εの範囲は数値εαと数値εβを含む範囲であり、数学記号で示せばεα≦ε≦εβである。
以下の説明の「特定の角度」、「平行」、「垂直」及び「直交」等は、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
【0011】
〔内視鏡システム〕
内視鏡システムは、観察対象である被験者の体内等の観察部位に照明光(図示せず)を照射し、観察部位を撮像して、撮像により得られた画像信号に基づいて観察部位の表示画像を生成し、表示画像を表示するものである。
図1は本発明の実施形態の内視鏡システムの一例を示す模式図である。
内視鏡システム10は、内視鏡12と、光源装置14と、プロセッサ装置16とを有する。内視鏡システム10は、後述する内視鏡12の内視鏡撮像装置20(図2参照)の部分以外は、一般的な内視鏡と同様の構成を有する。
【0012】
内視鏡12は内視鏡撮像装置を有する。また、内視鏡12は、詳細に図示はしないが、被検体内に挿入される挿入部と、挿入部に連なる操作部と、操作部から延びるユニバーサルコードとを有し、挿入部は、先端部と、先端部に連なる湾曲部と、湾曲部と操作部とを繋ぐ軟性部とで構成されている。内視鏡撮像装置については後述する。
【0013】
内視鏡12の先端部には、観察部位を照明するための照明光を出射する照明光学系、又は観察部位を撮像する撮像素子及び撮像光学系等を有する内視鏡撮像装置20(図2参照)が設けられている。湾曲部は挿入部の長手軸と直交する方向に湾曲可能に構成されており、湾曲部の湾曲動作は操作部にて操作される。また、軟性部は、挿入部の挿入経路の形状に倣って変形可能な程に比較的柔軟に構成されている。
【0014】
操作部には、先端部の内視鏡撮像装置20(図2参照)の撮像動作を操作するボタン、又は湾曲部の湾曲動作を操作するノブ等が設けられている。また、操作部には、電気メス等の処置具が導入される導入口が設けられており、挿入部の内部には、導入口から先端部に達し、鉗子等の処置具が挿通される処置具チャンネルが設けられている。
【0015】
ユニバーサルコードの末端にはコネクタが設けられ、内視鏡12は、コネクタを介して、先端部の照明光学系から出射される照明光を生成する光源装置14、及び先端部の内視鏡撮像装置20(図2参照)によって取得される映像信号を処理するプロセッサ装置16と接続される。
【0016】
プロセッサ装置16は、入力された映像信号を処理して観察部位の映像データを生成し、生成した映像データをモニタ(図示せず)に表示させるか、又はハードディスク等の記憶媒体に記録する。なお、プロセッサ装置16は、パーソナルコンピュータ等のプロセッサによって構成されるものであってもよい。
【0017】
光源装置14は、内視鏡12の内視鏡撮像装置20(図2参照)によって体腔内の観察対象部位を撮像して、観察対象の画像信号を取得するために、赤光(R)、緑光(G)、及び青光(B)等の3原色光からなる白色光又は特定波長光等の照明光を、発生させて、内視鏡12に供給し、内視鏡12内のライトガイド等によって伝搬し、内視鏡12の挿入部の先端部の照明光学系から出射して、体腔内の観察対象部位を照明するためのものである。
【0018】
挿入部及び操作部並びにユニバーサルコードの内部にはライトガイド又は電線群(信号ケーブル)が収容されている。光源装置14にて生成された照明光がライトガイドを介して先端部の照明光学系に導光され、また、先端部の内視鏡撮像装置20(図2参照)とプロセッサ装置16との間で信号及び電力のうち、少なくとも一方が電線群を介して伝送される。
【0019】
また、内視鏡システム10は、更に、洗浄水等を貯留する送水タンク、体腔内の吸引物(供給された洗浄水等も含む)を吸引する吸引ポンプ等を備えていてもよい。更に、送水タンク内の洗浄水、又は外部の空気等の気体を内視鏡内の管路(図示せず)に供給する供給ポンプ等を備えていてもよい。
【0020】
〔内視鏡撮像装置の第1の例〕
図2は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例を示す模式的側面図である。
図2に示す内視鏡撮像装置20は、観察対象の画像を取得するものである。内視鏡撮像装置20は、例えば、撮像レンズ23、撮像レンズ23を保持するレンズ鏡胴22、保持具24、撮像素子25、回路基板40、及び信号ケーブル28を有する。
ここで、撮像レンズ23の光軸Cに平行な方向をX方向とする。光軸Cと直交する2つの方向のうち、1つをY方向とし、残りをZ方向とする。Y方向は内視鏡撮像装置20の幅方向に対応し、Z方向は内視鏡撮像装置20の高さ方向に対応する。
【0021】
撮像レンズ23は、撮像レンズ23に入射する光を撮像素子25の受光面25aに結像する光学素子である。撮像レンズ23はレンズ鏡胴22に保持される。受光面25aは撮像レンズ23の結像面である。
【0022】
レンズ鏡胴22は、筒状の部材であり、内部に、1以上の撮像レンズ23を保持するものである。レンズ鏡胴22は、撮像レンズ23の光軸Cが撮像素子25の受光面25aに垂直になるように、撮像レンズ23を保持する。内視鏡撮像装置20は、例えば、3つの撮像レンズ23を有し、レンズ鏡胴22で保持されている。
レンズ鏡胴22は、撮像レンズ23の光軸C方向における、保持具24に対する相対位置を、撮像素子25の受光面25aにピントが合うように調整されて、保持具24に接着固定される。光軸C方向とは撮像レンズ23の光軸Cの延在方向である。撮像レンズ23の光軸C方向はX方向と平行な方向である。
【0023】
撮像レンズ23及びレンズ鏡胴22の構成は特に制限されない。例えば、撮像レンズ23を1つ有する構成であってもよいし、2つ、又は、4つ以上の撮像レンズ23を有する構成でもよい。また、各撮像レンズ23は、凸レンズであっても凹レンズであってもよい。
【0024】
撮像素子25は、撮像レンズ23によって結像された光を光電変換によって電気信号に変換することで撮像を行う撮像素子であり、受光面25aを有する。撮像素子25では、撮像レンズ23によって結像された光、すなわち、観察対象の撮像光が受光面25aに入射されて、撮像光が光電変換されて撮像が行われる。撮像素子25は光電変換された電気信号を画素信号として出力する。撮像素子25の受光面25aは撮像面であり、撮像レンズ23の結像面である。
撮像素子25は、従来公知の撮像素子であり、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサー又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーを用いることができる。撮像素子25は、保持具24に対してレンズ鏡胴22の反対側に配置されている。
【0025】
カバーガラス31は、撮像素子25の受光面25a上に配置され、受光面25aを保護するものである。なお、カバーガラス31がない構成でもよい。
【0026】
回路基板40は、撮像素子25が実装される基板である。また、回路基板40には、撮像素子25以外に、例えば、電子部品30、30aが実装される。電子部品30、30aは、撮像素子25を駆動するためのものであり、特に限定されるものではないが、例えば、電圧レギュレータ、抵抗、及びコンデンサ等が挙げられる。電圧レギュレータは、撮像素子25への電圧を安定化させるデバイスであり、撮像素子25に一定の電圧を出力する。なお、実装とは、電気的に接続されていることをいう。
【0027】
信号ケーブル28は、信号線28aと、外周を構成する外皮28dとを有する構成であれば、特に限定されるものではない。信号ケーブル28は、例えば、図2に示すように複数の信号線28aと、各信号線28aを被覆する被覆層28bと、被覆層28bで被覆された、複数の信号線28aの全体の周囲に設けられたシールド導体28cと、シールド導体28cを被覆する外皮28dとを有する。信号ケーブル28は、複数の信号線28aが束ねられ、かつ周囲にシールド導体28cが設けられ、かつ円筒状の外皮28d内に収納された多芯ケーブルである。
上述のように外皮28dは信号ケーブル28の外周を構成する。被覆層28b、シールド導体28c、及び外皮28dは、例えば、円筒状である。また、信号ケーブル28のシールド導体28cのことをシールドという。信号ケーブル28は、信号線28aを、例えば、5本有する。信号線28aの数は、内視鏡撮像装置20の構成に応じたものであり、特に限定されるものではなく、2本でも、3本でも、4本でもよく、6本以上でもよい。
また、例えば、信号ケーブル28の外皮28dは保護チューブ37で被覆されている。保護チューブ37は信号ケーブル28を保護するものであり、信号ケーブル28の折れを防止し、信号線28aの断線を防止するものである。
【0028】
図2に示す内視鏡撮像装置20では、保持具24のフランジ部24bのY方向の両端に、それぞれ係合凸部44が設けられている。係合凸部44は保持具24の側面に設けられている。
また、回路基板40が、平板状の基部40aに対して垂直に支持部40bが設けられている。支持部40bの支持面40dに撮像素子25が設けられている。撮像素子25は、例えば、導電性を有するバンプ(図示せず)を介して回路基板40に電気的に接続されている。なお、撮像素子25と回路基板40との間に、撮像素子25と回路基板40とを強固に接続するためにアンダーフィル層(図示せず)を設けることもできる。撮像素子25と回路基板40とは直接電気的に接続してもよい。
【0029】
撮像素子25上にカバーガラス31が設けられており、受光面25aがカバーガラス31に覆われている。
保持具24のフランジ部24bの裏面にカバーガラス31が配置されており、受光面25aを撮像レンズ23に向けて撮像素子25が配置されている。
回路基板40の表面40cには、撮像素子25及び電子部品30に対する信号又は電力が入出力される複数の接続端子(図示せず)が設けられている。回路基板40の表面40cの接続端子に、信号ケーブル28の信号線28aが電気的に接続されており、撮像素子25と信号ケーブル28とが電気的に接続される。撮像素子25によって光が電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブル28を介して送信される。信号ケーブル28は、内視鏡の挿入部、操作部、ユニバーサルコード等に挿通されて、プロセッサ装置16(図1参照)に電気的に接続されている。
回路基板40の構成は、特に限定されるものではなく、フレキシブル配線基板でもよく、リジット基板でもよい。リジット基板としては、プリント配線基板を用いることができる。
【0030】
連結部材42は、図2に示すように、1つ板材を湾曲させて構成された円弧と、円弧に連続した平板状の基材部42fを有する保持部42aを有する。連結部材42では、保持部42a側を基端43aとする。基材部42fを信号ケーブル28を押圧するようにかしめると、基材部42fは信号ケーブル28の外皮28dに沿って曲げられる。
保持部42aにおいて開口を挟んで対向する、平板状の基材部42fに、それぞれアーム部42bが設けられている。連結部材42は、1対のアーム部42bを有する。アーム部42bは、基端43a側で保持部42aよりも外側に屈曲した後、直線状に伸びている。このため、1対のアーム部42bは、基端43aよりも先端43bの方が間隔が広く、この間隔は、保持具24の係合凸部44に合わせて適宜決定される。また、それぞれのアーム部42bには、先端43bに、開口部42cが設けられている。
【0031】
アーム部42bの開口部42cが、保持具24の係合凸部44と係合する。例えば、開口部42cの形状は、係合凸部44の外形状と形状が同じである。上述のように、1対のアーム部42bの開口部42cと、保持具24の係合凸部44とを係合する係合部43を有する。
ここで、上述の開口部42cの形状は、係合凸部44の外形状と形状が同じであることとは、該当技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。このため、開口部42cと係合凸部44との間の隙間は、均一ではなく部分的に隙間の大きいが異なることがある。
開口部42cは係合凸部44に係合し、かつ係合凸部44の少なくとも3側面を囲むものである。図2では開口部42cは、係合凸部44の全ての側面を囲むものである。開口部42cは、係合凸部44の3側面を囲む溝であってもよい。開口部42cの形状は、特に限定されるものではない。係合凸部44の形状も、特に限定されるものではない。
係合凸部44と開口部42cとの間には隙間45がある。隙間45には接着層(図示せず)が設けられている。
【0032】
保持具24は、レンズ鏡胴22を保持する部材である。保持具24は、略筒状の部材であり、筒部の内部にレンズ鏡胴22が嵌入されて、レンズ鏡胴22を保持する。より具体的には、レンズ鏡胴22は、保持具24の内側に、レンズ鏡胴22と保持具24との間に隙間38(図3参照)をあけて配置される。保持具24の内面とレンズ鏡胴22の外周面とは、例えば、隙間38(図3参照)に充填された接着剤39(図3参照)を用いて接着固定される。接着固定されている場合、接着剤39は硬化状態である。
レンズ鏡胴22と保持具24とは、接着剤39の少なくとも一部に光硬化型接着剤を用いて固定されていることが好ましい。これにより、レンズ鏡胴22と保持具24との位置関係を保持した状態で、レンズ鏡胴22と保持具24とを短時間で確実に固定できる。このため、製造し易く、レンズ鏡胴22と保持具24とを固定するための治具も少なくて済む。
光硬化型接着剤は、例えば、波長100~400nm程度の紫外光、波長400超780nm未満程度の可視光波長、又は波長780nm~1mm程度の赤外光等により硬化する接着剤である。
光硬化型接着剤は、例えば、エポキシ樹脂系光硬化型接着剤、アクリル樹脂系光硬化型接着剤、又はシリコーン系光硬化型接着剤である。また、光硬化と熱硬化が併用される接着剤でもよい。
また、保持具24は、隙間38(図3参照)に達する穴24d(図3参照)を有することが好ましい。保持具24に穴24d(図3参照)を設けることにより、隙間38に、硬化前の接着剤39を充填しやすくなる。
【0033】
図3は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例のレンズ鏡胴と保持具とを示す模式的側面断面図である。図3では説明のために撮像素子25については受光面25aだけを示す。
上述のようにレンズ鏡胴22は、保持具24の内側に、レンズ鏡胴22と保持具24との間に隙間38をあけて配置されている。隙間38は、内視鏡撮像装置20の高さ方向に対応するZ方向に平行な方向における長さがδである。
ここで、撮像素子25は、例えば、四角形の受光面25aの最大外形Dの内側に、例えば、角が直角の四角形の有効画素領域50が設定されている。最大外形Dと有効画素領域50との間に周縁部53がある。周縁部53は、撮像素子25の画素の周辺回路(図示せず)を配置するためと、撮像素子25の製造時に受光面25aをダイシングするため等の領域である。
撮像素子25では、有効画素領域50に対して余白領域51を設けて表示画素領域52が設けられている。余白領域51は、Z方向に平行な方向における長さがδである。Z方向は有効画素領域50において直交する2方向のうちの1方向である。
上述の余白領域51の長さδよりも隙間38の長さδの方が大きい。これにより、撮像素子25の受光面25aの表示画素領域52に対して、撮像レンズ23を移動させて結像領域54(図5参照)の位置を合わせる際に、撮像レンズ23を動かせる量が余白領域51に対して大きい。このため、余白領域51を小さくしても、表示画素領域52に対して、撮像レンズ23を移動させて結像領域54(図5参照)の位置を合わせることができる。
【0034】
長さδの測定においては、内視鏡撮像装置20のレンズ鏡胴22と保持具24とのY-Z面の断面において、レンズ鏡胴22がZ方向に移動可能な寸法を測定する。そして、レンズ鏡胴22の外径及び保持具24の内径が円の場合、レンズ鏡胴22の外径と保持具24の内径を測定し、その差を算出する。この差が長さδに相当する。
長さδについては、Z方向に平行な方向において、有効画素領域50と表示画素領域52との画素数を求め、この画素数を長さに換算した値を長さδとする。
なお、長さδ及び長さδについては、Z方向に平行な方向における長さに限定されるものではなく、該当する方向に平行な方向における長さを上述のようにして測定する。
【0035】
ここで、図4は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例における撮像レンズと、撮像素子の受光面との配置を示す模式図である。図5は撮像素子の有効画素領域、表示可能画素領域、撮像レンズにより光学像が結像される結像領域、及び表示画素領域の位置関係を示す模式図である。なお、図4及び図5並びに後述の図6及び図7において、図2に示す内視鏡撮像装置20と同一構成物には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図5は、撮像レンズ23(図4参照)の光軸C(図4参照)と、撮像素子25の有効画素領域50の中心とが一致し、かつ光軸方向が有効画素領域50の面に対して垂直になる(光軸の倒れがない)ように、撮像レンズ23と撮像素子25とが相対的に高精度に位置決めされている状態(理想的な位置決め状態)を示している。
【0036】
図4に示すように撮像レンズ23を通過した光は、撮像素子25の受光面25a上に結像する。これにより、結像領域54(図5参照)が形成される。
有効画素領域50は、撮像素子25の受光面25a上において画素の信号が実際に撮像した信号として用いられる画素領域である。
【0037】
表示画素領域52は、画像表示装置(図示せず)に表示される画像の観察対象表示エリアに対応する領域である。表示画素領域52は、有効画素領域50に設定された領域である。表示画素領域52に結像領域54が重なるように、結像領域54の位置が合わせられる。
結像領域54は、撮像レンズ23により撮像素子25の受光面25a(撮像面)に結像される光学像の領域である。結像領域54は、例えば、円形状の領域である。図5に示す結像領域54の複数の円54a、54bは、複数の視野角の範囲を表している。複数の円54a、54bのうち、大きい円54aは、規格値の最大の視野角が結像される。小さい円54bは、規格値の最小の視野角が結像される。
撮像レンズ23と撮像素子25とが理想的な位置決め状態の場合、図5に示すように、規格値の最大の視野角が結像される円54aが表示画素領域52内に入ってはならない。すなわち、上述の円54aが表示画素領域52の外側にある必要がある。一方、規格値の最小の視野角が結像される円54bが表示画素領域52内よりも外にはみ出してはならない。すなわち、上述の円54bが表示画素領域52の内側にある必要がある。
【0038】
ここで、例えば、図6に示すように、表示画素領域52と結像領域54とが重なっておらず、ずれている。図6に示す表示画素領域52に対する結像領域54の位置は、適正な位置ではない。この場合、レンズ鏡胴22を保持具24に対して隙間38の範囲で移動させて撮像素子25に対して撮像レンズ23を相対的に移動させる。これにより、図7に示すように、表示画素領域52に対する結像領域54の位置を適正な位置に合わせる。撮像レンズ23を移動させて表示画素領域52に結像領域54の位置を合わせるため、余白領域51を小さくできる。
上述の表示画素領域52に対する結像領域54の位置合わせは、例えば、プロセッサ装置16(図1参照)で映像データを生成し、生成した映像データをモニタ(図示せず)に表示させた状態で行うことができる。
【0039】
ここで、図11は従来の撮像レンズと、撮像素子の受光面との配置を示す模式図である。図12及び図13は従来の内視鏡撮像装置の撮像レンズの調整を工程順に示す模式図である。なお、図11図13において、図2及び図3と同一構成物には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図11では、図3と同様に説明のために撮像素子25については受光面25aだけを示す。
図11に示すように保持具100の内側に、レンズ鏡胴22と保持具100との間の隙間が極めて小さい状態でレンズ鏡胴22が配置されている。余白領域51は、X方向に平行な方向における長さがδである。余白領域51の長さδは、レンズ鏡胴22と保持具100との間の隙間よりも大きい。
ここで、図11に示す従来構成の撮像素子25は、図3に示す撮像素子25と同様に、例えば、四角形の受光面25aの最大外形Dの内側に、例えば、角が直角の四角形の有効画素領域50が設定されている。最大外形Dと有効画素領域50との間に周縁部53がある。
図11に示す撮像素子25の周縁部53の長さDは、図3に示す撮像素子25の周辺部の長さDと同じであるが、長さδ図3の長さδよりも長い。すなわち、図11に示す撮像素子25は、図3に示す撮像素子25よりも周縁部53の面積が広く、サイズが大きい。
上述の従来のレンズ鏡胴22と保持具100との配置では、レンズ鏡胴22と保持具100との間の隙間が極めて小さいため、レンズ鏡胴22が保持具100に対して移動できたとしても移動量は極めて小さく、撮像レンズ23の撮像素子25に対する相対的な移動量は極めて小さい。
【0040】
この場合において、図12に示すように、表示画素領域52と結像領域54とが重なっておらず、ずれている。図12に示す表示画素領域52に対する結像領域54の位置は、適正な位置ではない。このとき、従来の構成では、撮像レンズ23の撮像素子25に対する相対的な移動量は極めて小さいため撮像レンズ23の移動により適正な位置にできない。この場合、図13に示すように、有効画素領域50内で表示画素領域52を移動させて表示画素領域52に対する結像領域54の位置を適正な位置にする。
表示画素領域52の移動は、撮像素子25の受光面25aにおいて、有効画素領域50における表示画素領域52の設定位置を変えることにより実現される。より具体的には、例えば、撮像素子25から出力される画素信号のうち、どの範囲の画素信号が表示画素領域52であるかの設定を、出力された画素信号を処理するソフトの設定を変更することにより実現される。
上述の従来の表示画素領域52に対する結像領域54の位置合わせは、例えば、プロセッサ装置16(図1参照)で映像データを生成し、生成した映像データをモニタ(図示せず)に表示させた状態で行うことができる。
【0041】
上述のように従来の手法では有効画素領域50内で表示画素領域52を移動させることから、表示画素領域52に対して有効画素領域50を大きくする必要がある。すなわち、余白領域51を大きくする必要がある。このことから、撮像素子の受光面の面積が大きくなり、撮像素子も大きくなって、結果として、内視鏡撮像装置自体も大きくなる。
また、余白領域が大きくなため、有効画素領域50において不要な画素が増え、撮像素子で読み取るデータ量が多くなる。このことから、画像処理量も多くなり、結果として撮像素子及び電子部品からの発熱も多くなる。
上述の内視鏡撮像装置20では、大型化することなく、内視鏡撮像装置20の撮像レンズ23の調整が可能である。また、余白領域51が小さいことから、上述のような撮像素子25で読み取るデータ量が多くなることもない。このため、画像処理量も多くならず、結果として撮像素子25及び電子部品30、30aからの発熱も抑制される。
【0042】
〔内視鏡撮像装置の第2の例〕
図8は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第2の例を示す模式的斜視図であり、図9は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第2の例を示す模式的側面図である。なお、図9は連結部材29の図示を一部、省略している。図8及び図9において、図2に示す内視鏡撮像装置20と同一構成物には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図8に示す内視鏡撮像装置20aは、観察対象の画像を取得するものである。内視鏡撮像装置20aは、例えば、撮像レンズ23、撮像レンズ23を保持するレンズ鏡胴22、保持具24、撮像素子25、回路基板26、プリズム27、及び信号ケーブル28を有する。また、内視鏡撮像装置20は、連結部材29を有する。また、例えば、信号ケーブル28の外皮28d(図9参照)は保護チューブ37で被覆されている。
【0043】
保持具24は、レンズ鏡胴22とプリズム27とを保護する部材である。
撮像素子25は、保持具24に対してレンズ鏡胴22の反対側に配置されている。撮像素子25は、図8及び図9に示すように、例えば、導電性を有するバンプ34を介して回路基板26の第1の平面部26aの表面26fに電気的に接続されている。また、図9に示すように、撮像素子25は、受光面25aが撮像レンズ23の光軸Cに平行になるように回路基板26上に実装されている。
なお、撮像素子25と回路基板26との間に、撮像素子25と回路基板26とを強固に接続するためにアンダーフィル層(図示せず)を設けることもできる。
【0044】
バンプ34は、金属又は合金で構成される。より具体的には、バンプ34は、半田で構成される。半田で形成されたバンプ34のことを半田ボールともいう。なお、バンプ34は、撮像素子25と回路基板26とを電気的に接続することができれば、半田等に限定されるものではない。また、撮像素子25と回路基板26とは直接電気的に接続してもよい。
また、アンダーフィル層は、撮像素子25と回路基板26との熱膨張係数の違いにより、撮像素子25と回路基板26との接合部、例えば、バンプ34に応力が生じるが、この応力を緩和する。アンダーフィル層により、撮像素子25と回路基板26とが強固に接続され、電気的な接続の信頼性が増し、信頼性が高い内視鏡撮像装置20aが得られる。
アンダーフィル層を構成するアンダーフィル剤は、特に限定されるものでなく、撮像素子25と、回路基板26との間の封止樹脂として用いられるものが適宜利用可能である。例えば、アンダーフィル剤として、一液性加熱硬化型のエポキシ樹脂が用いられる。この場合、アンダーフィル剤を供給した後、予め定められた温度に加熱保持して、アンダーフィル層が形成される。
【0045】
回路基板26は、撮像素子25が実装される基板である。また、回路基板26には、撮像素子25以外に、例えば、電子部品30、30aが実装される。電子部品30、30aは、撮像素子25を駆動するためのものであり、特に限定されるものではないが、上述のように、例えば、電圧レギュレータ、抵抗、及びコンデンサ等が挙げられる。電圧レギュレータは、撮像素子25への電圧を安定化させるデバイスであり、撮像素子25に一定の電圧を出力する。
図示例において、回路基板26は、第1の平面部26aと、第1の平面部26aと第1の屈曲部26bで連結された第2の平面部26cと、第2の平面部26cと第2の屈曲部26dで連結された第3の平面部26eとを有する。第1の平面部26a及び第3の平面部26eは、撮像レンズ23の光軸Cと平行である。第2の平面部26cは、撮像レンズ23の光軸Cに対して傾いて角度がついており、傾斜している。すなわち、第2の平面部26cが光軸Cと平行ではない。第2の平面部26cは、第2の屈曲部26dの方が第1の屈曲部26bよりもZ方向において上側になるように傾斜している。
また、回路基板26には、撮像素子25及び電子部品30、30aに対する信号又は電力が入出力される複数の接続端子(図示せず)が、第3の平面部26e(図9参照)の第2の平面部26c(図9参照)に対向する裏面26h(図9参照)に設けられている。接続端子に、信号ケーブル28の信号線28a(図9参照)が電気的に接続される。
回路基板26は、例えば、可撓性を有する基板で構成されており、例えば、フレキシブルプリント基板で構成される。
【0046】
撮像素子25は、図8及び図9に示すように第1の平面部26aの表面26fに実装されている。また、第1の平面部26aの表面26fには電子部品30も実装されている。
第2の平面部26cの第1の平面部26aの表面26fに対向する裏面26gに電子部品30、30aが実装されている。第2の平面部26cは、第1の平面部26aに対して傾斜しているため、第1の平面部26aと第2の平面部26cとの間にスペースが広い領域ができる。このため、サイズの大きい電子部品30aを実装できる。例えば、第2の平面部26cの裏面26gでは、第2の屈曲部26d側に実装された電子部品30aは第1の屈曲部26b側に実装された電子部品30よりも高さが高い。このように、様々なサイズの電子部品を実装でき、内視鏡撮像装置20のスペースを有効活用できる。
なお、上述のように第3の平面部26eの第2の平面部26cに対向する裏面26hに接続端子(図示せず)が設けられている。回路基板26上における撮像素子25、電子部品30、30a、及び接続端子等の配置は、特に限定されるものではない。
【0047】
回路基板26の第3の平面部26eの裏面26h(図9参照)に設けられた接続端子に、信号ケーブル28の信号線28a(図9参照)が電気的に接続されており、撮像素子25と信号ケーブル28とが電気的に接続される。撮像素子25によって光が電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブル28を介して送信される。信号ケーブル28は、内視鏡の挿入部、操作部、ユニバーサルコード等に挿通されて、プロセッサ装置16(図1参照)に電気的に接続されている。
【0048】
プリズム27は、レンズ鏡胴22と撮像素子25との間に、カバーガラス31を介して配置される。プリズム27は、撮像素子25の受光面25aに撮像レンズ23を通過した光をガイドするものである。プリズム27は、例えば、入射面27aと出射面27bとが直交する直角プリズムである。また、プリズム27には入射面27aと出射面27bとを結ぶ斜面27cを有する。斜面27cがプリズム27の反射面27eである。
プリズム27は、レンズ鏡胴22に保持された撮像レンズ23を通過した光を、斜面27c、すなわち、反射面27eで、例えば、90°屈曲させて光路を変更し、撮像素子25の受光面25aに導く。撮像レンズ23を透過した光はプリズム27に入射し、プリズム27の斜面27c、すなわち、撮像レンズ23を透過した透過光が反射面27eで反射し、撮像素子25の受光面25aに入射される。撮像レンズ23を透過した光は、観察対象の情報を含む光である。
例えば、プリズム27は、入射面27aをレンズ鏡胴22の基端側の面に対面して配置される。また、プリズム27は、出射面27bを撮像素子25の受光面25aに対面して配置される。この場合、プリズム27は、カバーガラス31上に出射面27bをカバーガラス31に対向して配置される。
プリズム27とカバーガラス31とは、例えば、光硬化型接着剤で接着される。なお、カバーガラス31がない構成でもよい。
【0049】
保持具24は、上述のようにレンズ鏡胴22とプリズム27とを保持する部材である。レンズ鏡胴22は、保持具24の内側に、レンズ鏡胴22と保持具24との間に隙間38(図10参照)をあけて配置される。保持具24の内面とレンズ鏡胴22の外周面とは、例えば、隙間38(図10参照)に充填された接着剤39(図10参照)を用いて接着固定される。上述のようにレンズ鏡胴22と保持具24とは、少なくとも一部に光硬化型接着剤を用いて固定されていることが好ましい。
【0050】
保持具24は、取付筒部24aの基端側の端面に、多角形状のフランジ部24bを有する。フランジ部24bのY方向の両端に、それぞれ規制部材24cが設けられている。
プリズム27は規制部材24cの間に配置され、規制部材24cに挟まれた状態でフランジ部24bに入射面27aが当接される。これにより、プリズム27はX方向の位置決めがなされる。保持具24は、レンズ鏡胴22及びプリズム27を所定の位置に保持することで、レンズ鏡胴22とプリズム27との相対位置、すなわち、レンズ鏡胴22と、撮像素子25の受光面25aとの相対位置を固定する。プリズム27の出射面27bと撮像素子25とが対向する。
【0051】
連結部材29は、保持具24と信号ケーブル28とを連結するものである。連結部材29は信号ケーブル28を内部で保持する。連結部材29は、例えば、図8に示すように、1つの板材を湾曲させて構成された部材である。具体的には、連結部材29は、1つの板材を光軸C方向に延在する、2か所の折り曲げ部で折り曲げた形状を有する。従って、連結部材29は、光軸C方向に垂直な断面が略C形状となる。連結部材29は、略C形状の内側に回路基板26上の接続端子(信号ケーブル28との接続箇所)が包含されるように配置される。すなわち、図8に示すように、連結部材29は、図中上側から回路基板26を覆う基部29bと、基部29bの端で折り曲げられて形成された側面部29cとを有する。側面部29cは、例えば、回路基板26の第2の平面部26cに平行な縁29gを有する。縁29gは、第2の平面部26cよりも基部29b側にあり、連結部材29で上側から回路基板26を覆った際、回路基板26の第2の平面部26cが露出する。
連結部材29は、回路基板26の第3の平面部26e等の一部と、プリズム27及び信号ケーブル28の先端部を覆っており、回路基板26、プリズム27及び信号ケーブル28のカバー部材を兼ねている。さらには、連結部材29は、回路基板26、プリズム27及び信号ケーブル28の保護部材としても機能する。
【0052】
連結部材29は、先端側に、互いに対向する1対のアーム部29aを有する。1対のアーム部29aの先端部29hは、それぞれY方向に平行に曲げられており、爪部を構成する。1対のアーム部29aが保持具24のフランジ部24bを挟み、アーム部29aの先端部29hが係合して、連結部材29は保持具24に固定される。
また、連結部材29は、側面部29cの基端側に信号ケーブル28を保持する保持部29dを有する。保持部29dは、外皮28dに沿って曲げられており、アーム部29aから保持部29dに向かうに従いY方向の幅が狭くなっている。保持部29dの内部に、信号ケーブル28が固定されて保持される。保持部29dは側面部29cと接続した部材である。
【0053】
また、連結部材29は、保持具24と信号ケーブル28とに連結することにより、信号ケーブル28が引っ張られた際等に、回路基板26上の接続端子と、信号ケーブル28の信号線28aとの接続箇所が引っ張られて、接続端子と信号線28aとの接続が断線することを防止する。
連結部材29を形成する金属材料としては特に限定はないが、熱伝導率が高い金属材料が好ましい。加工性、入手性、強度等を考慮すると、連結部材29としては、ステンレス鋼、及び銅合金が好ましい。
【0054】
保護チューブ37は、図9に示すように、先端37aが、連結部材29のレンズ鏡胴22の反対側の後端面29eよりもレンズ鏡胴22側に位置して設けられている。保護チューブ37を、連結部材29に対して、オーバーラップさせて、信号ケーブル28に設けている。保護チューブ37の先端37aは、保護チューブ37のレンズ鏡胴22側の端のことである。
【0055】
連結部材29のアーム部29aと保持具24のフランジ部24b、並びに連結部材29の保持部29dと信号ケーブル28の外皮28dとは、例えば、接着剤(図示せず)を用いて接着固定される。接着固定されている場合、接着剤は硬化状態である。なお、連結部材29の保持部29dと信号ケーブル28の外皮28dとを固定することができれば、接着剤を用いた接着固定に限定されるものではない。
【0056】
ここで、図10は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第2の例における撮像レンズと、撮像素子の受光面との配置を示す模式図である。図10はレンズ鏡胴22と保持具24との配置を示す。なお、図10では説明のために、レンズ鏡胴22、保持具24及び撮像素子25の構成を簡便にしている。また、図10において、図8及び図9に示す内視鏡撮像装置20aと同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
内視鏡撮像装置20aでは、図10に示すように、撮像レンズ23を通過した光は、プリズム27の反射面27eである斜面27cで反射して撮像素子25の受光面25a上に結像する。
上述のようにレンズ鏡胴22は、保持具24の内側に、レンズ鏡胴22と保持具24との間に隙間38をあけて配置されている。隙間38は、内視鏡撮像装置20の高さ方向に対応するZ方向に平行な方向における長さがδである。
撮像素子25は、上述の内視鏡撮像装置20と同様に、図5に示すように有効画素領域50に対して余白領域51を設けて表示画素領域52が設けられている。撮像素子25は、受光面25aが光軸Cに平行に配置されているため、余白領域51は、X方向に平行な方向における長さがδである。X方向は有効画素領域50において直交する2方向のうちの1方向である。
【0057】
内視鏡撮像装置20aにおいても、上述の余白領域51の長さδよりも隙間38の長さδの方が大きい。これにより、上述の内視鏡撮像装置20と同様に、撮像素子25の受光面25aの表示画素領域52に対して、撮像レンズ23を移動させて結像領域54(図5参照)の位置を合わせる際に、撮像レンズ23を動かせる量が余白領域51に対して大きい。このため、隙間38よりも余白領域51を小さくしても、表示画素領域52に対して、撮像レンズ23を移動させて結像領域54(図5参照)の位置を合わせることができる。これにより、内視鏡撮像装置20aは上述の内視鏡撮像装置20と同様の効果を得ることができる。
【0058】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の内視鏡撮像装置及び内視鏡について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0059】
10 内視鏡システム
12 内視鏡
14 光源装置
16 プロセッサ装置
20 内視鏡撮像装置
20a 内視鏡撮像装置
22 レンズ鏡胴
23 撮像レンズ
24、100 保持具
24a 取付筒部
24b フランジ部
24c 規制部材
25 撮像素子
25a 受光面
26 回路基板
26a 第1の平面部
26b 第1の屈曲部
26c 第2の平面部
26d 第2の屈曲部
26e 第3の平面部
26f 表面
26g、26h 裏面
27 プリズム
27a 入射面
27b 出射面
27c 斜面
27e 反射面
28 信号ケーブル
28a 信号線
28b 被覆層
28c シールド導体
28d 外皮
29 連結部材
29a アーム部
29b 基部
29c 側面部
29d 保持部
29e 後端面
29g 縁
29h 先端部
30、30a 電子部品
31 カバーガラス
34 バンプ
37 保護チューブ
37a 先端
38 隙間
39 接着剤
40 回路基板
40a 基部
40b 支持部
40c 表面
40d 支持面
42 連結部材
42a 保持部
42b アーム部
42c 開口部
42f 基材部
43 係合部
43a 基端
43b 先端
44 係合凸部
45 隙間
50 有効画素領域
51 余白領域
52 表示画素領域
53 周縁部
54 結像領域
54a、54b 円
C 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13