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特開2024-123633積層フィルム、積層フィルムの製造方法、及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123633
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】積層フィルム、積層フィルムの製造方法、及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240905BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240905BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01L21/78 M
H01L21/68 N
H01L21/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031212
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】大久保 恵介
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 義信
(72)【発明者】
【氏名】越野 美春
(72)【発明者】
【氏名】田澤 強
(72)【発明者】
【氏名】木村 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】岩永 有輝啓
【テーマコード(参考)】
5F047
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F047BA21
5F047BA24
5F047BA32
5F047BB03
5F063AA18
5F063AA33
5F063AA43
5F063BA31
5F063CB06
5F063CB29
5F063DD25
5F063DD68
5F063DD95
5F063DG23
5F063DG26
5F063DG32
5F063EE04
5F063EE07
5F063EE13
5F063EE14
5F063EE16
5F063EE18
5F063EE31
5F063EE32
5F063EE42
5F063EE43
5F063EE44
5F131AA02
5F131BA52
5F131BA53
5F131CA41
5F131EC35
5F131EC54
5F131EC64
5F131EC69
5F131EC72
(57)【要約】
【課題】保護フィルムの剥離不良の発生を抑制できる積層フィルム、積層フィルムの製造方法、及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】積層フィルム1は、長尺の保護フィルム2と、保護フィルム2の一面2aに設けられた接着層3と、接着層3に重なる粘着層6及び粘着層6に重なる基材フィルム7によって構成された粘着フィルム4と、を備え、粘着フィルム4は、接着層3の縁よりも外側に張り出して保護フィルム2の一面2aに接する張出領域Pを有し、張出領域Pにおいて、少なくとも保護フィルム2の延在方向に対応する領域には、基材フィルム7の厚さが粘着フィルム4の縁4aに向かって減少する減肉部7Bが設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の保護フィルムと、
前記保護フィルムの一面に設けられた接着層と、
前記接着層に重なる粘着層及び前記粘着層に重なる基材フィルムによって構成された粘着フィルムと、を備え、
前記粘着フィルムは、前記接着層の縁よりも外側に張り出して前記保護フィルムの一面に接する張出領域を有し、
前記張出領域において、少なくとも前記保護フィルムの延在方向に対応する領域には、前記基材フィルムの厚さが前記粘着フィルムの縁に向かって減少する減肉部が設けられている、積層フィルム。
【請求項2】
前記減肉部では、前記基材フィルムの厚さが前記粘着フィルムの縁に向かって単調減少している、請求項1記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記張出領域において、前記粘着層の厚さは一定である、請求項1記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記減肉部は、前記張出領域において、前記延在方向の一側の縁部及び他側の縁部にそれぞれ設けられている、請求項1記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記減肉部は、前記張出領域の縁部の全体にわたって設けられている、請求項1記載の積層フィルム。
【請求項6】
一面側に接着層が設けられた長尺の保護フィルムに、粘着層及び粘着層に重なる基材フィルムを有する粘着フィルムを積層する積層工程と、
前記粘着フィルムを所定のパターンでプリカットし、接着層の縁よりも外側に張り出して前記保護フィルムの一面に接する張出領域を前記粘着フィルムに形成する切断工程と、
前記張出領域において、前記少なくとも前記保護フィルムの延在方向に対応する領域に、前記基材フィルムの厚さが前記粘着フィルムの縁に向かって減少する減肉部を形成する形成工程と、を備える積層フィルムの製造方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の積層フィルムを半導体ウェハ及びリングフレームに向けて搬送する搬送工程と、
剥離プレートを用いて前記保護フィルムを前記接着層及び前記粘着フィルムに対して折り返し、前記接着層及び前記粘着フィルムから前記保護フィルムを剥離する剥離工程と、
前記接着層及び前記粘着フィルムを前記半導体ウェハ及び前記リングフレームに貼り付ける貼付工程と、を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記剥離工程において、前記接着層及び前記粘着フィルムに対する前記保護フィルムの折返位置に剥離をアシストするエアを供給する、請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層フィルム、積層フィルムの製造方法、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程として、半導体ウェハを個々のチップに分離するダイシング工程、及び個々に分離したチップをリードフレームやパッケージ基板等に接着するダイボンディング工程がある。例えばNAND型フラッシュメモリパッケージのような半導体装置では、ダイボンディング工程において、半導体チップ同士を積層・接着する場合もある。このような半導体チップの製造工程では、ダイシング工程における半導体ウェハの固定と、ダイボンディング工程における半導体チップの接着とに併用できる積層フィルムの導入が進められている。積層フィルムには、ダイシングの際の半導体ウェハ及びリングフレームへの取付作業性を考慮し、機能フィルムであるダイアタッチフィルム及びダイシングフィルムにプリカット加工が施されたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上述のような積層フィルムを用いた半導体装置の製造工程では、例えばロールtоロール方式で半導体ウェハに対する機能フィルムの貼付工程が実施される。この貼付工程では、例えばステージ上に半導体ウェハ及びリングフレームを配置し、繰出ロールと巻取ロールとの間で搬送される積層フィルムを半導体ウェハ及びリングフレームに近接させる。次に、剥離プレートを用いて保護フィルムを機能フィルムに対して折り返し、機能フィルムから保護フィルムを剥離する。そして、保護フィルムから剥離した機能フィルムをローラ等でステージ上の半導体ウェハ及びリングフレームに押し付け、半導体ウェハ及びリングフレームに機能フィルムを貼り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-156753公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、半導体メモリの高容量化或いはモバイル用途への展開に伴い、半導体チップの薄型化が要求されてきており、半導体チップの製造に用いられる積層フィルムの薄型化の要求も強まってきている。積層フィルムを薄型化する場合、機能フィルムを構成する基材フィルムを薄くすることで、積層フィルムの低コスト化が図られると共に、ダイシングによって個片化された半導体チップのピックアップ性の向上が見込まれる。しかしながら、基材フィルムが薄くなると、上述した貼付工程において、機能フィルムからの保護フィルムの剥離不良が生じるおそれがある。
【0006】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、保護フィルムの剥離不良の発生を抑制できる積層フィルム、積層フィルムの製造方法、及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る積層フィルムは、長尺の保護フィルムと、保護フィルムの一面に設けられた接着層と、接着層に重なる粘着層及び粘着層に重なる基材フィルムによって構成された粘着フィルムと、を備え、粘着フィルムは、接着層の縁よりも外側に張り出して保護フィルムの一面に接する張出領域を有し、張出領域において、少なくとも保護フィルムの延在方向に対応する領域には、基材フィルムの厚さが粘着フィルムの縁に向かって減少する減肉部が設けられている。
【0008】
この積層フィルムでは、粘着フィルムの張出領域において、保護フィルムの延在方向に対応するように、基材フィルムの厚さが粘着フィルムの縁に向かって減少する減肉部が設けられている。減肉部を設けることで、基材フィルムが薄い場合であっても、剥離プレートを用いて保護フィルムを接着層及び粘着フィルムに対して折り返す際に、接着層及び粘着フィルムが保護フィルムから反り易くなる。したがって、保護フィルムの剥離不良の発生を抑制できる。
【0009】
減肉部では、基材フィルムの厚さが粘着フィルムの縁に向かって単調減少していてもよい。このような構成によれば、減肉部における基材フィルムの形状がなだらかになるため、積層フィルムをロール状に巻いた場合でも、基材フィルムによる巻き跡がロールの径方向に隣り合う接着層に転写されることを抑制できる。
【0010】
張出領域において、粘着層の厚さは一定であってもよい。この場合、張出領域における粘着フィルムの剛性が担保される。したがって、基材フィルムに減肉部を設けた場合でも、リングフレームへの粘着フィルムの固定に影響が出ることを抑制できる。
【0011】
減肉部は、張出領域において、延在方向の一側の縁部及び他側の縁部にそれぞれ設けられていてもよい。この場合、保護フィルムの延在方向の一側及び他側のいずれの方向からでも積層フィルムを使用することができる。また、減肉部が基材フィルムの縁部に位置することで、リングフレームへの貼付領域より内側の半導体ウェハへの貼付領域に減肉部による基材フィルムの厚さの変動が及ぶことを回避できる。
【0012】
減肉部は、張出領域の縁部の全体にわたって設けられていてもよい。この場合、保護フィルムの延在方向の一側及び他側のいずれの方向からでも積層フィルムを使用することができる。また、減肉部が基材フィルムの縁部に位置することで、リングフレームへの貼付領域より内側の半導体ウェハへの貼付領域に減肉部による基材フィルムの厚さの変動が及ぶことを回避できる。
【0013】
本開示の一側面に係る積層フィルムの製造方法は、一面側に接着層が設けられた長尺の保護フィルムに、粘着層及び粘着層に重なる基材フィルムを有する粘着フィルムを積層する積層工程と、粘着フィルムを所定のパターンでプリカットし、接着層の縁よりも外側に張り出して保護フィルムの一面に接する張出領域を粘着フィルムに形成する切断工程と、張出領域において、少なくとも保護フィルムの延在方向に対応する領域に、基材フィルムの厚さが粘着フィルムの縁に向かって減少する減肉部を形成する形成工程と、を備える。
【0014】
この積層フィルムの製造方法では、粘着フィルムの張出領域において、保護フィルムの延在方向に対応するように、基材フィルムの厚さが粘着フィルムの縁に向かって減少する減肉部を形成する。減肉部の形成により、製造された積層フィルムでは、基材フィルムが薄い場合であっても、剥離プレートを用いて保護フィルムを接着層及び粘着フィルムに対して折り返す際に、接着層及び粘着フィルムが保護フィルムから反り易くなる。したがって、保護フィルムの剥離不良の発生を抑制できる。
【0015】
本開示の一側面に係る半導体装置の製造方法は、上記積層フィルムを半導体ウェハ及びリングフレームに向けて搬送する搬送工程と、剥離プレートを用いて保護フィルムを接着層及び粘着フィルムに対して折り返し、接着層及び粘着フィルムから保護フィルムを剥離する剥離工程と、接着層及び粘着フィルムを半導体ウェハ及びリングフレームに貼り付ける貼付工程と、を備える。
【0016】
この半導体装置の製造方法では、半導体ウェハ及びリングフレームへの貼り付けに用いる積層フィルムの粘着フィルムの張出領域において、保護フィルムの延在方向に対応するように、基材フィルムの厚さが粘着フィルムの縁に向かって減少する減肉部が設けられている。減肉部を設けることで、基材フィルムが薄い場合であっても、剥離プレートを用いて保護フィルムを接着層及び粘着フィルムに対して折り返す際に、接着層及び粘着フィルムが保護フィルムから反り易くなる。したがって、保護フィルムの剥離不良の発生を抑制できる。
【0017】
剥離工程において、接着層及び粘着フィルムに対する保護フィルムの折返位置に剥離をアシストするエアを供給してもよい。エアの供給により、接着層及び粘着フィルムが保護フィルムから一層反り易くなり、保護フィルムの剥離不良の発生をより確実に抑制できる。基材フィルムに減肉部が設けられていることで、基材フィルムの剛性が低くなるため、エアによる粘着フィルムの反りを容易に生じさせることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、保護フィルムの剥離不良の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一実施形態に係る積層フィルムの平面図である。
図2図1におけるII-II線断面図である。
図3図1に示した積層フィルムの要部拡大断面図である。
図4図1に示した積層フィルムの要部拡大平面図である。
図5】減肉部の別例を示す要部拡大平面図である。
図6】本開示の一実施形態に係る積層フィルムの製造工程を示す図であり、(a)は積層工程を示す断面図、(b)は切断工程を示す断面図、(d)は形成工程を示す断面図である。
図7】本開示の一実施形態に係る半導体装置の製造方法に適用される貼付装置の構成を示す模式図である。
図8】実施例及び比較例におけるの剥離工程及び貼付工程の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る積層フィルム、積層フィルムの製造方法、及び半導体装置の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態に係る積層フィルムの平面図である。図2は、図1におけるII-II線断面図である。図1及び図2に示すように、積層フィルム1は、例えばNAND型フラッシュメモリなどの半導体装置の製造工程において、ダイシング工程での半導体ウェハの固定、ダイボンディング工程での半導体チップとリードフレームとの接合などに用いられる長尺のフィルムである。積層フィルム1は、一般にはロール状に巻かれた状態で保存され、使用時には必要量に応じてロールから繰り出される。
【0022】
積層フィルム1は、図1及び図2に示すように、長尺の保護フィルム2と、接着層3と、粘着フィルム4とを備えて構成されている。接着層3及び粘着フィルム4は、保護フィルム2の一面2a側において、保護フィルム2の延在方向Dに沿って一定の間隔で配列されている。接着層3は、貼付対象である半導体ウェハW(図7参照)の平面形状に応じて、平面視で円形状をなしている。接着層3は、接着層3の厚さは、例えば3μm~100μmとなっている。
【0023】
粘着フィルム4は、粘着層6と、基材フィルム7とによって、2層構造となっている。粘着フィルム4は、粘着層6が保護フィルム2を向くように配置されている。粘着層6の厚さは、例えば3μm~400μmとなっている。基材フィルム7の厚さ(後述の減肉部7Bを除いた本体部7Aの厚さ)は、例えば30μm~150μmとなっている。
【0024】
粘着フィルム4は、接着層3を覆うラベル部11と、ラベル部11から離間して保護フィルム2の一面2aにおける幅方向Bの両端部に配置された保護部12,12とを有している。ラベル部11は、平面視において、接着層3よりも一回り大径の円形状をなしている。ラベル部11は、半導体ウェハW及びリングフレームR(図7参照)に貼り付けられる機能部分である。ラベル部11は、接着層3と同心になるように接着層3上に積層されている。
【0025】
保護部12,12は、積層フィルム1をロール状に巻回する際の圧力からラベル部11を保護する部分である。保護部12,12は、図2に示すように、ラベル部11のそれぞれを囲むように、保護フィルム2の幅方向Bについて対称に配置されている。ラベル部11と保護部12,12との間の領域では、粘着フィルム4が除去され、保護フィルム2の一面2aが露出している。
【0026】
ラベル部11の縁部は、接着層3よりも外側に張り出す張出領域Pとなっている。張出領域Pでは、接着層3を介さずに、粘着フィルム4の粘着層6が保護フィルム2の一面2aに接した状態となっている。張出領域Pの外縁部分は、後述のリングフレームR(図7参照)に貼り付けられる部分である。張出領域Pにおいて、基材フィルム7には、例えば製品識別用或いはラミネート時の張力判定用のマーキングが印字されていてもよい。マーキングは、例えばスクリーン印刷法、スタンプ法、及びインクジェット法などによって形成してもよい。
【0027】
張出領域Pにおいて、少なくとも保護フィルム2の延在方向Dに対応する領域には、図3及び図4に示すように、基材フィルム7の厚さが粘着フィルム4の縁4aに向かって減少する減肉部7Bが設けられている。本実施形態では、減肉部7Bにおいて、基材フィルム7の厚さは、粘着フィルム4の縁4aに向かって単調減少している。図3の例では、減肉部7Bにおいて、基材フィルム7の外面(粘着層6と反対の面)7aは、内面(粘着層6を向く面)7bに対して所定の傾斜角度θをもって傾斜する平坦な傾斜面となっている。基材フィルム7の本体部7Aの厚さT1に対する減肉部7Bの厚さ(ここでは、粘着フィルム4の縁4aにおける減肉部7Bの最小厚さ)T2の比は、例えば8:1~3:2となっている。張出領域Pにおいて、粘着層6の厚さT3は、一定となっている。
【0028】
減肉部7Bが配置される領域、すなわち、保護フィルム2の延在方向Dに対応する領域とは、基材フィルム7における延在方向Dの縁部7cを含む領域である。縁部7cは、後述の貼付装置21(図7参照)によって積層フィルム1を搬送する際、ラベル部11における搬送方向の先端部となる部分である。減肉部7Bは、リングフレームRへの貼付領域となる領域に重なるように設定されることが好ましく、リングフレームRへの貼付領域よりも内側の領域、或いは半導体ウェハWへの貼付領域には重ならないように設定されることが好ましい。
【0029】
図4の例では、減肉部7Bは、延在方向Dの一側の縁部7c及び他側の縁部7cにそれぞれ設けられている。減肉部7Bは、平面視において、保護フィルム2の幅方向Bの中心線Cについて対称となるように、円弧状の領域に設けられている。本実施形態では、ラベル部11の直径が370mmであるのに対し、減肉部7Bの矢高(円弧の高さ)Hは、10mmとなっている。減肉部7Bの弧長Fは、60mmとなっている。
【0030】
減肉部7Bは、図5に示すように、張出領域Pにおける基材フィルム7の縁部7cの全体にわたって設けられていてもよい。この場合、減肉部7Bは、平面視において、基材フィルム7の縁部7cに円環状に設けられることとなる。図5の例では、減肉部7Bの幅Mは、図4の減肉部7Bの矢高Hと同様に、10mmとなっている。
【0031】
次に、上述した積層フィルム1の製造方法について説明する。
【0032】
積層フィルム1の製造方法は、積層工程と、切断工程と、形成工程とを含んで構成されている。積層工程では、図6(a)に示すように、一面2a側に接着層3が設けられた長尺の保護フィルム2に、粘着層6及び粘着層6に重なる基材フィルム7を有する粘着フィルム4を積層する。
【0033】
切断工程では、図6(b)に示すように、ブレートなどを用いて粘着フィルム4を所定のパターンでプリカットし、接着層3の縁よりも外側に張り出して保護フィルム2の一面2aに接する張出領域Pを粘着フィルム4に形成する。ここでは、ラベル部11の周囲の所定部分を保護フィルム2から除去し、ラベル部11を囲う保護部12,12を合わせて保護フィルム2の一面2aに形成する。
【0034】
形成工程では、図6(c)に示すように、張出領域Pにおいて、少なくとも保護フィルム2の延在方向Dに対応する領域に、基材フィルム7の厚さが粘着フィルム4の縁4aに向かって減少する減肉部7Bを形成する。減肉部7Bの形成手法としては、例えば研磨加工が挙げられる。この場合、研磨ローラ15を基材フィルム7の外面7aにおける減肉部7Bの形成領域に斜めに当て、内面7bに対して傾斜する平坦な傾斜面を外面7aに設けることで減肉部7Bを形成する。研磨加工のほか、例えばプリカットの際の刃を斜めに当てることで減肉部7Bを形成してもよい。
【0035】
続いて、上述した積層フィルム1を用いた半導体装置の製造方法について説明する。
【0036】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、搬送工程と、剥離工程と、貼付工程とを含んで構成されている。搬送工程では、積層フィルム1を半導体ウェハW及びリングフレームRに向けて搬送する。剥離工程では、剥離プレート25を用いて保護フィルム2を接着層3及び粘着フィルム4に対して折り返し、接着層3及び粘着フィルム4から保護フィルム2を剥離する。貼付工程では、接着層3及び粘着フィルム4を半導体ウェハW及びリングフレームRに貼り付ける。
【0037】
上記の各工程は、例えば図7に示す貼付装置21を用いて実施される。図7の例では、貼付装置21は、ステージ22と、複数の搬送ローラ23と、検出部24と、剥離プレート25と、エア供給部26と、押圧ローラ27とを含んで構成されている。
【0038】
ステージ22には、貼付対象である半導体ウェハW及びリングフレームRが載置される。搬送ローラ23は、積層フィルム1を繰り出す繰出ローラ及びラベル部11を使用した後の保護フィルム2を巻き取る巻取ローラとの間で、積層フィルム1を一定の速度で搬送する。搬送中の積層フィルム1には、複数の搬送ローラ23によって所定の張力が付与される。
【0039】
検出部24は、例えば検出光を出力する発光部と、積層フィルム1を透過又は反射した検出光が入力される受光部とを有している。検出部24は、保護フィルム2を透過又は反射した場合の検出光の受光強度と、ラベル部11を透過又は反射した場合の検出光の受光強度との差分に基づいて、搬送される積層フィルム1のラベル部11の先端を検出する。ラベル部11の先端を検出した結果を示す情報は、エア供給部26の動作制御、押圧ローラ27の動作制御などに用いられる。
【0040】
剥離プレート25は、保護フィルム2を接着層3及び粘着フィルム4から剥離する。剥離プレート25は、積層フィルム1の搬送経路において、ステージ22の近傍に配置されている。積層フィルム1のうち、保護フィルム2のみが剥離プレート25の先端形状に沿って折り返され、搬送ローラ23によって巻取ローラに搬送される。接着層3及び粘着フィルム4は、剥離プレート25で折り返されず、剥離される保護フィルム2に対して僅かに反った状態で押圧ローラ27に向かって進行する。
【0041】
エア供給部26は、剥離をアシストするエア28を供給する。エア28は、例えばエア供給管に設けた一又は複数の供給孔から狙い位置に向かって供給される。エア28の狙い位置は、例えば接着層3及び粘着フィルム4に対する保護フィルム2の折返位置Sに設定される。エア28の狙い位置は、折返位置Sよりも接着層3及び粘着フィルム4の進行方向の前方(押圧ローラ27側)となる位置に設定されてもよい。
【0042】
押圧ローラ27は、保護フィルム2を剥離した後の接着層3及び粘着フィルム4を半導体ウェハW及びリングフレームRに向かって押圧する。これにより、リングフレームRには、粘着フィルム4が貼り付けられる。また、リングフレームR内に位置する半導体ウェハWには、粘着フィルム4に支持された状態で接着層3が貼り付けられる。
【0043】
以上説明したように、積層フィルム1では、粘着フィルム4の張出領域Pにおいて、保護フィルム2の延在方向Dに対応するように、基材フィルム7の厚さが粘着フィルム4の縁4aに向かって減少する減肉部7Bが設けられている。減肉部7Bを設けることで、基材フィルム7が薄い場合であっても、剥離プレート25を用いて保護フィルム2を接着層3及び粘着フィルム4に対して折り返す際に、接着層3及び粘着フィルム4が保護フィルム2から反り易くなる。したがって、保護フィルム2の剥離不良の発生を抑制できる。
【0044】
本実施形態では、減肉部7Bでは、基材フィルム7の厚さが粘着フィルム4の縁4aに向かって単調減少していてもよい。このような構成によれば、減肉部7Bにおける基材フィルム7の形状がなだらかになるため、積層フィルム1をロール状に巻いた場合でも、基材フィルム7による巻き跡がロールの径方向に隣り合う接着層3に転写されることを抑制できる。
【0045】
本実施形態では、張出領域Pにおいて、粘着層6の厚さが一定となっている。これにより、張出領域Pにおける粘着フィルム4の剛性が担保される。したがって、基材フィルム7に減肉部7Bを設けた場合でも、リングフレームRへの粘着フィルム4の固定に影響が出ることを抑制できる。
【0046】
本実施形態では、減肉部7Bは、張出領域Pにおいて、延在方向Dの一側の縁部7c及び他側の縁部7cにそれぞれ設けられている。このような構成によれば、保護フィルム2の延在方向Dの一側及び他側のいずれの方向からでも積層フィルム1を使用することができる。また、減肉部7Bが基材フィルム7の縁部7cに位置することで、リングフレームRへの貼付領域より内側の半導体ウェハWへの貼付領域に減肉部7Bによる基材フィルム7の厚さの変動が及ぶことを回避できる。
【0047】
別例では、減肉部7Bは、張出領域Pにおける基材フィルム7の縁部7cの全体にわたって設けられている。このような構成においても、保護フィルム2の延在方向Dの一側及び他側のいずれの方向からでも積層フィルム1を使用することができる。また、減肉部7Bが基材フィルム7の縁部7cに位置することで、リングフレームRへの貼付領域より内側の半導体ウェハWへの貼付領域に減肉部7Bによる基材フィルム7の厚さの変動が及ぶことを回避できる。
【0048】
接着層3及び粘着フィルム4を半導体ウェハW及びリングフレームRに貼り付けた後、例えばレーザ光を用いたダイシング工程が実施される。ダイシング工程では、半導体ウェハWの切断予定領域にレーザ光を照射する。その後、粘着フィルム4を引き延ばすことによって、半導体ウェハWを切断予定領域に沿って切断し、複数の接着層付き半導体チップに個片化する。このダイシング工程において、リングフレームRへの貼付領域より内側の領域に基材フィルム7の減肉部7Bが位置しないことで、粘着フィルム4を引き延ばす際の応力を半導体ウェハWに対して一様に作用させることができる。したがって、基材フィルム7に減肉部7Bを設けた場合でも、半導体ウェハWの切断性を良好に維持することが可能となる。
【0049】
本実施形態に係る積層フィルムの製造方法では、製造された積層フィルム1において、上記作用効果が奏される。本実施形態では、基材フィルム7の外面7aの研磨によって減肉部7Bを形成している。これにより、簡便な手法で基材フィルム7の所望の領域に所望の傾斜角度で減肉部7Bを形成できる。
【0050】
本開示に係る半導体装置の製造方法では、上述した積層フィルム1を用いることで、上記作用効果が奏される。本実施形態では、接着層3及び粘着フィルム4に対する保護フィルム2の折返位置Sに剥離をアシストするエア28を供給している。エア28の供給により、接着層3及び粘着フィルム4が保護フィルム2から一層反り易くなり、保護フィルム2の剥離不良の発生をより確実に抑制できる。基材フィルム7に減肉部7Bが設けられていることで、基材フィルム7の剛性が低くなるため、エア28による粘着フィルム4の反りを容易に生じさせることが可能となる。
[実施例]
【0051】
以下、本開示の実施例について説明する。
[粘着フィルムの作製]
【0052】
スリーワンモータ、撹拌翼、及び窒素導入管が備え付けられた容量2000mLのフラスコに、酢酸エチル(溶剤)635質量部、2-エチルヘキシルアクリレート395質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート100質量部、メタクリル酸5質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.08質量部を入れ、充分に均一になるまで内容物を撹拌した。その後、流量500mL/分にて60分間バブリングを実施し、系中の溶存酸素を脱気した。脱気後、1時間かけて内容物を78℃まで昇温し、昇温後6時間重合させた。次に、スリーワンモータ、撹拌翼、及び窒素導入管が備え付けられた容量2000mLの加圧釜に反応溶液を移し、120℃、0.28MPaの条件にて4.5時間加温した後、室温まで冷却した。
【0053】
次に、酢酸エチルを490質量部加えて撹拌し、ウレタン化触媒としてジオクチルスズジラウレートを0.10質量部添加した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(株式会社レゾナック社製、カレンズMOI(商品名))を105.3質量部加え、70℃で6時間反応させた後、室温に冷却した。次に、酢酸エチルをさらに加え、アクリル系樹脂溶液中の不揮発分含有量が35質量%となるように調整し、連鎖重合可能な官能基を有するアクリル系樹脂を含む溶液を得た。
【0054】
得られたアクリル系樹脂を含む溶液100質量部(固形分)に、光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM RESINS B.V.社製、Omnirad184、「Omnirad」は登録商標)1.0質量部、光重合開始剤(B-2)フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(IGM RESINS B.V.社製、Omnirad819、「Omnirad」は登録商標)0.2質量部と、日本ポリウレタン工業株式会社製のコロネートLを2.0質量部(固形分)入れ、紫外線硬化型粘着剤のワニスを作成した。
【0055】
また、一面に離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(幅500mm、長さ500mm、厚さ38μm)を基材フィルムとして準備した。基材フィルムの離型処理が施された面に、アプリケータを用いて紫外線硬化型粘着剤のワニスを塗布した後、80℃で3分間乾燥した。これにより、基材フィルムと、当該基材フィルムの一面に形成された厚さ5μmの粘着層とからなる粘着フィルムを得た。
【0056】
さらに、一面にコロナ処理が施されたポリオレフィンフィルム(幅500mm、長さ500mm、厚さ30μm)をカバーフィルムとして準備した。コロナ処理が施された面と、上記粘着フィルムの粘着層とを室温にて貼り合わせた。これをゴムロールで押圧することで粘着層をカバーフィルムに転写した。その後、室温で3日間放置することでカバーフィルム付きの粘着フィルムを得た。
[接着層の作製]
【0057】
以下の成分を混合することで、接着層形成用のワニスを調製した。まず、以下の成分を含む混合物に対して、シクロヘキサノン(溶剤)を加えて撹拌混合した後、さらにビーズミルを用いて90分混練した。
・エポキシ樹脂(YDCN-700-10(商品名)、新日鉄住金化学株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:210、分子量:1200、軟化点:80℃):11.0質量部
・エポキシ樹脂(EXA-830CRP(商品名)、DIC株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:160、分子量:1800、軟化点:85℃):13.0質量部
・フェノール樹脂(ミレックスXLC-LL(商品名)、三井化学株式会社製、フェノール樹脂、水酸基当量:175、吸水率:1.8%、350℃における加熱重量減少率:4%):18.7質量部
・シランカップリング剤(NUC A-189(商品名)株式会社NUC製、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン):0.1質量部
・シランカップリング剤(NUC A-1160(商品名)、日本ユニカー株式会社製、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン):0.2質量部
・フィラー(SC2050-HLG(商品名)、アドマテックス株式会社製、シリカ、平均粒径0.500μm):39質量部
【0058】
上記のようにして得られた混合物に以下の成分をさらに加えた後、撹拌混合及び真空脱気の工程を経て接着層形成用のワニスを得た。
・エポキシ基含有アクリル共重合体(HTR-860P-3(商品名)、ナガセケムテックス株式会社製、重量平均分子量:80万):16質量部
・硬化促進剤(キュアゾール2PZ-CN(商品名)、四国化成工業株式会社製、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、「キュアゾール」は登録商標)0.1質量部
【0059】
また、一面に離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)を保護フィルムとして準備した。保護フィルムの離型処理が施された面に、アプリケータを用いて接着層形成用のワニスを塗布した後、140℃で5分間加熱乾燥した。これにより、保護フィルムと、当該保護フィルムの一面に形成された厚さ25μmの接着層(Bステージ状態)とからなるダイボンディングフィルムを得た。
[積層フィルムの作製]
【0060】
カバーフィルムを剥離した粘着フィルムを保護フィルム上の接着層にラミネートし、接着層、粘着層、及び基材フィルムを所定パターンにプリカットし、余剰部分を剥離することで積層フィルムを得た。
[実施例及び比較例]
【0061】
実施例1~3では、基材フィルムの本体部の厚さを30μmとし、減肉部の厚さをそれぞれ20μm、24μm、10μmとした。実施例4,5では、基材フィルムの本体部の厚さを50μmとし、減肉部の厚さをそれぞれ40μm、30μmとした。比較例では、基材フィルムの本体部の厚さ及び減肉部の厚さをいずれも30μmとした。基材フィルムの本体部の厚さは、減肉部が形成されていない部分の厚さを指し、基材フィルムの減肉部の厚さは、粘着フィルムの縁における減肉部の最小厚さを指す。
[剥離工程及び貼付工程の実施条件]
【0062】
図7に示した構成に準じた貼付装置を用いて剥離工程及び貼付工程を実施した。実施例1~5及び比較例でのサンプル数(剥離を実施するラベル部の数)は、いずれも10枚とした。保護フィルムの剥離にあたっては、剥離をアシストするエアの供給を行った。エアは、40mm程度の間隔をもって並ぶ直径1mm程度の供給孔から、接着層及び粘着フィルムに対する保護フィルムの折返位置に供給した。供給孔と折返位置との間隔は、およそ200mmとした。貼付工程には、フルオートウェハマウンタ(ディスコ社製DFM-2800)を用いた。貼付温度は70℃とし、貼付速度10mm/sの条件で、12インチウェハへの接着層の貼り付けを行った。
【0063】
図8は、試験結果を示す図である。図8に示すように、比較例では、10枚のサンプル全てで接着層及び粘着フィルムから保護フィルムが剥離せず、接着層及び粘着フィルムが押圧ローラ側に向かわずに保護フィルムと共に巻取ローラ側に搬送された。一方、実施例1~5では、10枚中9枚若しくは10枚のサンプル全てで接着層及び粘着フィルムから保護フィルムが剥離し、接着層及び粘着フィルムが押圧ローラ側に搬送された。この結果から、本開示のように基材フィルムに減肉部を設ける構成が保護フィルムの剥離不要の抑制に寄与することが確認できた。
【0064】
また、図8に示すように、本体部の厚さと減肉部の厚さの比が5:4である実施例2,4では、9枚のサンプルで保護フィルムの剥離に成功しているのに対し、本体部の厚さと減肉部の厚さの比が3:2である実施例1及び本体部の厚さと減肉部の厚さの比が3:1である実施例3では、10枚のサンプル全てで保護フィルムの剥離に成功している。この結果から、本体部の厚さに対する減肉部の厚さの比が小さいほど保護フィルムの剥離の成功率が高まる傾向が読み取れる。本体部の厚さと減肉部の厚さの比を3:2より小さくすることで、保護フィルムの剥離不良をより確実に抑制することができると考えられる。
【0065】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、保護フィルム2の一面2aに複数のラベル部11が形成されているが、ラベル部11は単数であってもよい。ラベル部11を囲む保護部12,12は、省略してもよい。ラベル部11の平面形状は、円形状に限られず、楕円形状、長円形状、矩形状といった他の形状であってもよい。
【0066】
上記実施形態では、積層フィルム1の製造にあたって、積層工程及び切断工程の実施後に減肉部7Bを形成する形成工程を実施しているが、予め基材フィルム7に減肉部7Bを形成した粘着フィルム4を用いて積層工程及び切断工程を実施する態様としてもよい。上記実施形態では、保護フィルム2の剥離にあたって、接着層3及び粘着フィルム4に対する保護フィルム2の折返位置Sにエア28を供給しているが、エア28の供給を省略してもよい。
【0067】
本開示の要旨は、以下の[1]~[8]に示すとおりである。
[1]長尺の保護フィルムと、前記保護フィルムの一面に設けられた接着層と、前記接着層に重なる粘着層及び前記粘着層に重なる基材フィルムによって構成された粘着フィルムと、を備え、前記粘着フィルムは、前記接着層の縁よりも外側に張り出して前記保護フィルムの一面に接する張出領域を有し、前記張出領域において、少なくとも前記保護フィルムの延在方向に対応する領域には、前記基材フィルムの厚さが前記粘着フィルムの縁に向かって減少する減肉部が設けられている、積層フィルム。
[2]前記減肉部では、前記基材フィルムの厚さが前記粘着フィルムの縁に向かって単調減少している、[1]記載の積層フィルム。
[3]前記張出領域において、前記粘着層の厚さは一定である、[1]又は[2]記載の積層フィルム。
[4]前記減肉部は、前記張出領域において、前記延在方向の一側の縁部及び他側の縁部にそれぞれ設けられている、[1]~[3]のいずれか記載の積層フィルム。
[5]前記減肉部は、前記張出領域の縁部の全体にわたって設けられている、[1]~[3]のいずれか記載の積層フィルム。
[6]一面側に接着層が設けられた長尺の保護フィルムに、粘着層及び粘着層に重なる基材フィルムを有する粘着フィルムを積層する積層工程と、前記粘着フィルムを所定のパターンでプリカットし、接着層の縁よりも外側に張り出して前記保護フィルムの一面に接する張出領域を前記粘着フィルムに形成する切断工程と、前記張出領域において、前記少なくとも前記保護フィルムの延在方向に対応する領域に、前記基材フィルムの厚さが前記粘着フィルムの縁に向かって減少する減肉部を形成する形成工程と、を備える積層フィルムの形成方法。
[7][1]~[5]のいずれかに記載の積層フィルムを半導体ウェハ及びリングフレームに向けて搬送する搬送工程と、剥離プレートを用いて前記保護フィルムを前記接着層及び前記粘着フィルムに対して折り返し、前記接着層及び前記粘着フィルムから前記保護フィルムを剥離する剥離工程と、前記接着層及び前記粘着フィルムを前記半導体ウェハ及び前記リングフレームに貼り付ける貼付工程と、を備える、半導体装置の製造方法。
[8]前記剥離工程において、前記接着層及び前記粘着フィルムに対する前記保護フィルムの折返位置に剥離をアシストするエアを供給する、[7]記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0068】
1…積層フィルム、2…保護フィルム、2a…一面、3…接着層、4…粘着フィルム、4a…縁、6…粘着層、7…基材フィルム、7c…縁部、7B…減肉部、28…エア、D…延在方向、P…張出領域、S…折返位置、R…リングフレーム、W…半導体ウェハ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8