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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123672
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】分配器およびプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240905BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240905BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240905BHJP
   H01P 1/213 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H05H1/46 B
H05H1/46 R
H01L21/205
C23C16/44 B
H01P1/213 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031281
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】長田 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】宮下 大幸
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F045
5J006
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084BB05
2G084CC06
2G084CC09
2G084CC14
2G084CC33
2G084DD04
2G084DD19
2G084DD25
2G084DD32
2G084DD38
2G084DD42
2G084DD48
2G084DD51
2G084DD55
2G084DD56
2G084DD65
2G084DD66
2G084EE02
2G084EE03
2G084EE06
2G084FF07
2G084FF13
2G084FF14
2G084HH05
2G084HH11
2G084HH20
2G084HH25
2G084HH28
2G084HH29
2G084HH45
4K030FA01
4K030JA18
4K030KA05
4K030KA30
4K030KA45
5F045AA09
5F045AB07
5F045AC00
5F045AC11
5F045AC15
5F045AC16
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
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5F045AD11
5F045AD12
5F045AD13
5F045DP03
5F045EB03
5F045EB09
5F045EE04
5F045EE14
5F045EF02
5F045EF05
5F045EG02
5F045EH01
5F045EH02
5F045EH03
5F045EH11
5F045EH18
5F045EH19
5F045EH20
5F045EK07
5F045EM02
5F045EM09
5J006KA04
5J006KA13
(57)【要約】
【課題】電力の分配比率を可変できる分配器およびプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】分配器は、電磁波を複数の出力端子に分配する分配器であって、周波数を可変可能な高周波電源に、電気的に接続されるように構成される給電端子と、給電端子に入力された電磁波が分配される複数の出力端子にそれぞれ設けられたフィルタと、を有し、複数のフィルタは、それぞれ周波数特性が異なるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を複数の出力端子に分配する分配器であって、
周波数を可変可能な高周波電源に、電気的に接続されるように構成される給電端子と、
前記給電端子に入力された前記電磁波が分配される複数の前記出力端子にそれぞれ設けられたフィルタと、
を有し、
複数の前記フィルタは、それぞれ周波数特性が異なるように構成される、
分配器。
【請求項2】
前記フィルタは、
内軸と外筒とを有する入力ポートおよび出力ポートを備え、前記入力ポートおよび前記出力ポートの前記外筒と同電位となるように構成される筐体と、
前記入力ポートの前記内軸と、前記出力ポートの前記内軸とを接続し、前記筐体内に設けられた給電フィンと、
前記筐体と同電位で接続され、前記給電フィンのフィン間に挿入されるように、前記筐体内に突出するように設けられたグランドフィンと、
を備えるように構成される、
請求項1に記載の分配器。
【請求項3】
前記出力端子および前記フィルタの数は、それぞれ2つである、
請求項1または2に記載の分配器。
【請求項4】
前記出力端子および前記フィルタの数は、それぞれ3つ以上である、
請求項1または2に記載の分配器。
【請求項5】
前記給電端子と前記フィルタそれぞれとの間の経路は、途中で分岐しており、
前記給電端子と前記分岐との間に、さらに、前記電磁波を整合させる整合器を有する、
請求項1または2に記載の分配器。
【請求項6】
複数の前記出力端子それぞれから出力される前記電磁波の電力は、前記周波数特性に応じて分配される、
請求項1または2に記載の分配器。
【請求項7】
プラズマ処理装置であって、
前記プラズマ処理装置は、
処理容器と、
周波数を可変可能な高周波電源と、
前記高周波電源が出力する電磁波を、複数の出力端子に分配する分配器と、
前記出力端子に接続されたスロットアンテナと、
前記スロットアンテナから放射される電磁波を透過させ、前記処理容器内に前記電磁波を供給するように構成される透過窓と、を含み、
前記分配器は、
前記高周波電源に、電気的に接続されるように構成される給電端子と、
前記給電端子に入力された前記電磁波が分配される複数の前記出力端子にそれぞれ設けられたフィルタと、
を有し、
複数の前記フィルタは、それぞれ周波数特性が異なるように構成される、
プラズマ処理装置。
【請求項8】
前記フィルタ、前記出力端子、前記スロットアンテナおよび前記透過窓の組であるセルは、前記処理容器の上面において、同一の円周上に複数配置される、
請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
複数の前記セルは、前記円周上に等間隔に2n個配置され、
前記分配器は、前記電磁波を2個の前記セルに分配する分配器であって、それぞれ前記高周波電源に接続されるn個の系統を備え、
前記セルそれぞれは、前記フィルタの前記周波数特性がそれぞれ異なる、
請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記スロットアンテナおよび前記透過窓の組であるセルは、
さらに、前記電磁波を整合させる整合器を含み、前記処理容器の上面の中心部に配置される内側セルと、
さらに、前記フィルタおよび前記出力端子を含み、前記処理容器の前記上面であって、前記内側セルの周囲を囲むように複数配置される外側セルと、を含む、
請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
複数の前記外側セルは、同一の円周上に等間隔に2n個配置され、
前記分配器は、前記電磁波を2個の前記外側セルに分配する分配器であって、それぞれ前記高周波電源に接続されるn個の系統を備え、
同一の前記系統に属する前記外側セルそれぞれは、前記フィルタの前記周波数特性がそれぞれ異なる、
請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
同一の前記系統内では、前記周波数特性は2種類であり、
異なる前記系統間において、前記2種類の前記周波数を共用する、
請求項11に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
複数の前記外側セルは、同一の円周上に等間隔にn個配置され、
前記分配器は、前記電磁波をn個の前記外側セルに分配する分配器であり、
隣り合う前記外側セルそれぞれは、前記フィルタの前記周波数特性がそれぞれ異なる、
請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記nは、3以上であり、
前記周波数特性は、3種類以上であり、
前記高周波電源は、所定の周期で前記周波数を変化させる、
請求項13に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記nは、6であり、
前記周波数特性は、3種類であり、
複数の前記外側セルのうち、前記処理容器の上面の中心点を中心とした点対称の位置にある前記外側セルは、前記フィルタの前記周波数特性が同一である、
請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
前記高周波電源は、変化させた複数の前記周波数において、それぞれの前記周波数を維持する時間を変化させる、
請求項14または15に記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記内側セルは、前記整合器の前記周波数特性が、前記外側セルそれぞれの前記フィルタの前記周波数特性と異なる、
請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分配器およびプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導結合型プラズマ処理装置においては、誘電体窓の上に設けられるRFアンテナが径方向で内側コイル、中間コイルおよび外側コイルに分割されている。高周波電源からRF給電ライン、RFアンテナおよびアースラインを通って接地電位部材まで廻った場合、より端的には第1ノードNから第2ノードNまで各コイルの高周波分岐伝送路を廻った場合に、内側コイルおよび外側コイルでは反時計回りになるのに対して、中間コイルでは時計回りになる。第1および第2ノードN,Nの間で中間および外側コイルには可変の中間および外側コンデンサがそれぞれ電気的に直列接続される。外側コンデンサの静電容量Cを可変することにより、外側コイルと外側コンデンサとの合成リアクタンスZoを可変し、ひいては内側電流Iiと外側電流Ioとの間の分配比を調節することが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-130350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、電力の分配比率を可変できる分配器およびプラズマ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による分配器は、高周波を複数の出力端子に分配する分配器であって、周波数を可変可能な高周波電源に、電気的に接続されるように構成される給電端子と、給電端子に入力された高周波が分配される複数の出力端子にそれぞれ設けられたフィルタと、を有し、複数のフィルタは、それぞれ周波数特性が異なるように構成される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、電力の分配比率を可変できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の第1実施形態におけるプラズマ処理装置の一例を示す概略断面図である。
図2図2は、第1実施形態におけるアンテナユニットの一例を示す斜視図である。
図3図3は、図2のA-A断面における分配器の一例を示す断面図である。
図4図4は、第1実施形態におけるマイクロ波放射機構の一例を模式的に示す図である。
図5図5は、第1実施形態における出力端子近傍の一例を示す断面図である。
図6図6は、電力の分配比率の制御方法の一例を示す図である。
図7図7は、第1実施形態におけるフィルタ単体の周波数特性の一例を示す図である。
図8図8は、第1実施形態における分配器の周波数特性の一例を示す図である。
図9図9は、第2実施形態におけるアンテナユニットの一例を示す斜視図である。
図10図10は、第2実施形態におけるフィルタの共振周波数の組合せの一例を模式的に示す図である。
図11図11は、第2実施形態におけるフィルタの共振周波数と、高周波電力の周波数との組合せの一例を示す図である。
図12図12は、第2実施形態における高周波電力の周波数変化の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示する分配器およびプラズマ処理装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0009】
上記の特許文献1では、誘導結合型のプラズマ処理装置において、外側コンデンサの静電容量Cを可変することで、外側コイルと外側コンデンサとの合成リアクタンスZoを変化させ、内側コイルと外側コイルに流れる電流間の分配比を調整している。一方、マイクロ波プラズマ型のプラズマ処理装置では、高周波電力を分配する場合、電力分配器を用いる。ところが、従来の電力分配器は、電力を等分配することはできるが、特定の比率で分配したり、分配比率を可変することは難しい。そこで、電力の分配比率を可変することが期待されている。
【0010】
(第1実施形態)
[プラズマ処理装置100の構成]
図1は、本開示の第1実施形態におけるプラズマ処理装置の一例を示す概略断面図である。図1に示すプラズマ処理装置100は、処理容器101と、載置台102と、ガス供給機構103と、排気装置104と、マイクロ波導入装置105と、制御部106とを有する。処理容器101は、基板Wを収容する。載置台102は、基板Wを載置する。ガス供給機構103は、処理容器101内にガスを供給する。排気装置104は、処理容器101内を排気する。マイクロ波導入装置105は、処理容器101内にプラズマを生成させるためのマイクロ波を発生させるとともに、処理容器101内にマイクロ波を導入する。制御部106は、プラズマ処理装置100の各部の動作を制御する。
【0011】
処理容器101は、例えばアルミニウムおよびその合金等の金属材料によって形成され、略円筒形状をなしており、板状の天壁部111および底壁部113と、これらを連結する側壁部112とを有している。マイクロ波導入装置105は、処理容器101の上部に設けられ、処理容器101内に電磁波(マイクロ波)を導入してプラズマを生成するプラズマ生成手段として機能する。マイクロ波導入装置105については後で詳細に説明する。
【0012】
天壁部111には、マイクロ波導入装置105の後述するマイクロ波放射機構、フィルタおよびガス導入部が嵌め込まれる複数の開口部を有している。側壁部112は、処理容器101に隣接する搬送室(図示せず)との間で被処理基板である基板Wの搬入出を行うための搬入出口114を有している。搬入出口114はゲートバルブ115により開閉されるようになっている。底壁部113には排気装置104が設けられている。排気装置104は底壁部113に接続された排気管116に設けられ、真空ポンプと圧力制御バルブを備えている。排気装置104の真空ポンプにより排気管116を介して処理容器101内が排気される。処理容器101内の圧力は圧力制御バルブにより制御される。
【0013】
載置台102は、円板状をなしており、AlN等のセラミックスからなっている。載置台102は、処理容器101の底部中央から上方に延びる円筒状のAlN等のセラミックスからなる支持部材120および基部部材121により支持されている。載置台102の外縁部には基板Wをガイドするためのガイドリング181が設けられている。また、載置台102の内部には、基板Wを昇降するための昇降ピン(図示せず)が載置台102の上面に対して突没可能に設けられている。
【0014】
さらに、載置台102の内部には抵抗加熱型のヒータ182が埋め込まれており、このヒータ182はヒータ電源183から給電されることにより載置台102を介してその上の基板Wを加熱する。また、載置台102には、熱電対(図示せず)が挿入されており、熱電対からの信号に基づいて、基板Wの加熱温度を、例えば300~1000℃の範囲の所定の温度に制御可能となっている。さらに、載置台102内のヒータ182の上方には、基板Wと同程度の大きさの電極184が埋設されており、この電極184には、高周波バイアス電源122が電気的に接続されている。この高周波バイアス電源122から載置台102に、イオンを引き込むための高周波バイアスが印加される。なお、高周波バイアス電源122はプラズマ処理の特性によっては設けなくてもよい。
【0015】
ガス供給機構103は、プラズマ生成ガス、および、例えばグラフェン膜(炭素含有膜)を形成するための原料ガスを処理容器101内に導入するためのものであり、複数のガス導入ノズル123を有している。ガス導入ノズル123は、処理容器101の天壁部111に形成された開口部に嵌め込まれている。ガス導入ノズル123には、ガス供給配管191が接続されている。このガス供給配管191は、分岐管191a、191b、191c、191d、191eの5つに分岐している。これら分岐管191a、191b、191c、191d、191eには、Arガス供給源192、O2ガス供給源193、N2ガス供給源194、H2ガス供給源195、C2H2ガス供給源196が接続されている。Arガス供給源192は、プラズマ生成ガスである貴ガス(希ガス)としてのArガスを供給する。O2ガス供給源193は、クリーニングガスである酸化ガスとしてのO2ガスを供給する。N2ガス供給源194は、パージガス等として用いられるN2ガスを供給する。H2ガス供給源195は、還元性ガスとしてのH2ガスを供給する。C2H2ガス供給源196は、成膜原料ガスである炭素含有ガスとしてのアセチレン(C2H2)ガスを供給する。なお、C2H2ガス供給源196は、エチレン(C2H4)等の他の炭素含有ガスを供給してもよい。
【0016】
なお、分岐管191a、191b、191c、191d、191eには、図示してはいないが、流量制御用のマスフローコントローラおよびその前後のバルブが設けられている。なお、シャワープレートを設けてC2H2ガスおよびH2ガスを基板Wに近い位置に供給するようにしてガスの解離を調整することもできる。また、これらのガスを供給するノズルを下方に延ばすことにより同様の効果を得ることができる。
【0017】
マイクロ波導入装置105は、前述のように、処理容器101の上方に設けられ、処理容器101内に電磁波(マイクロ波)を導入してプラズマを生成するプラズマ生成手段として機能する。
【0018】
マイクロ波導入装置105は、処理容器101の天壁部111と、マイクロ波出力部130と、アンテナユニット140とを有する。天壁部111は、天板として機能する。マイクロ波出力部130は、マイクロ波を生成するとともに、マイクロ波を複数の経路に分配して出力する。アンテナユニット140は、マイクロ波出力部130から出力されたマイクロ波を処理容器101に導入する。
【0019】
マイクロ波出力部130は、マイクロ波電源と、マイクロ波発振器と、アンプと、分配器とを有している。マイクロ波発振器はソリッドステートであり、例えば、860MHzでマイクロ波を発振(例えば、PLL発振)させる。なお、マイクロ波の周波数は、860MHzに限らず、2.45GHz、8.35GHz、5.8GHz、1.98GHz等、700MHzから10GHzの範囲のものを用いることができる。また、マイクロ波発振器は、例えば、周波数変調等により発振周波数を可変することができる。アンプは、マイクロ波発振器によって発振されたマイクロ波を増幅する。分配器は、アンプによって増幅されたマイクロ波を複数の経路に分配する。分配器は、入力側と出力側のインピーダンスを整合させながらマイクロ波を分配する。
【0020】
アンテナユニット140は、天壁部111の中心に配置されたマイクロ波放射機構143と、マイクロ波放射機構143の周囲を囲むように、同一の円周上に複数配置されるフィルタ144とを有する。後述する分配器170は、例えば2つのフィルタ144と、後述するチューナ154aとを含み、マイクロ波放射機構143の周囲に、例えば3つ配置される。すなわち、フィルタ144は、マイクロ波放射機構143の周囲に、例えば6つ配置される。マイクロ波出力部130と、マイクロ波放射機構143および分配器170との間には、それぞれ、アンプ部142が設けられる。マイクロ波出力部130の分配器によって分配されたマイクロ波は、アンプ部142で増幅される。アンプ部142から出力されたマイクロ波は、マイクロ波放射機構143および各フィルタ144を介して、後述するアンテナ部156から処理容器101内に放射される。
【0021】
アンプ部142は、位相器と、可変ゲインアンプと、メインアンプと、アイソレータとを有する。位相器は、マイクロ波の位相を変化させる。可変ゲインアンプは、メインアンプに入力されるマイクロ波の電力レベルを調整する。メインアンプは、ソリッドステートアンプとして構成されている。アイソレータは、後述するアンテナ部156で反射されてメインアンプに向かう反射マイクロ波を分離する。
【0022】
後述するアンテナ部156の下面側には、天壁部111に嵌め込まれているマイクロ波透過板163が設けられており、その下面は処理容器101の内部空間に露出している。マイクロ波透過板163を透過したマイクロ波は、処理容器101内の空間にプラズマを生成する。
【0023】
制御部106は、典型的にはコンピュータからなり、プラズマ処理装置100の各部を制御するようになっている。制御部106はプラズマ処理装置100のプロセスシーケンスおよび制御パラメータであるプロセスレシピを記憶した記憶部や、入力手段およびディスプレイ等を備えており、選択されたプロセスレシピに従って所定の制御を行うことが可能である。例えば、制御部106は、成膜処理を行うように、プラズマ処理装置100の各部を制御する。
【0024】
[アンテナユニット140の構造]
次に、図2から図5を用いてアンテナユニット140の詳細について説明する。図2は、第1実施形態におけるアンテナユニットの一例を示す斜視図である。図3は、図2のA-A断面における分配器の一例を示す断面図である。図4は、第1実施形態におけるマイクロ波放射機構の一例を模式的に示す図である。図5は、第1実施形態における出力端子近傍の一例を示す断面図である。図2に示すように、アンテナユニット140は、天壁部111の中心に配置されたマイクロ波放射機構143と、3つの分配器170とを有する。
【0025】
図2および図3に示すように、分配器170は、2つのフィルタ144と、1つのチューナ154aとを有する。なお、図2では、分配器170のチューナ154aと、マイクロ波放射機構143のチューナ154bとを併せて、単にチューナ154と表している。チューナ154aの出力側と、フィルタ144の入力側との間は、それぞれ同軸導波管145により接続されている。同軸導波管145の外側導体146および内側導体147は、それぞれチューナ154aの外側導体152および内側導体153と接続される。また、外側導体146および内側導体147は、それぞれフィルタ144の後述する入力ポート202の外筒203および内軸204と接続される。分配器170のチューナ154aの入力側、つまり分配器170の給電端子171は、アンプ部142に接続される。フィルタ144の出力側、つまり出力端子172,173は、それぞれアンテナ部156aに接続される。なお、同軸導波管145の外側導体146と内側導体147との間には、図3に示すように誘電体148を配置してもよいし、誘電体148を配置しなくてもよい。
【0026】
図4に示すように、マイクロ波放射機構143は、チューナ154bを有する。マイクロ波放射機構143のチューナ154bの入力側は、アンプ部142に接続される。マイクロ波放射機構143のチューナ154bの出力側は、アンテナ部156bに接続される。なお、以下の説明では、チューナ154a,154bを併せて、単にチューナ154と表し、アンテナ部156a,156bを併せて、単にアンテナ部156と表す場合がある。
【0027】
チューナ154は、スラグチューナを構成している。チューナ154は、図3および図4に示すように、外側導体152と内側導体153との間にマイクロ波伝送路を有する同軸管151と、スラグ151a,151bと、アクチュエータと、チューナコントローラとを有している。スラグ151a,151bは、同軸管151に配置された2つのスラグである。スラグ151a,151bは、チューナコントローラによって制御されるアクチュエータによって駆動される。スラグ151a,151bは、板状かつ環状をなし、セラミックス等の誘電体材料で構成され、同軸管151の外側導体152と内側導体153の間に配置されている。スラグ151a,151bの位置は、終端部のインピーダンスが50Ωになるように調整される。つまり、チューナ154は、整合器の一例である。なお、マイクロ波放射機構143のチューナ154bにおいて整合させる周波数は、分配器170の後述するフィルタ144の共振周波数と異なる。
【0028】
図4および図5に示すように、アンテナ部156a,156bは、それぞれ、出力端子172,173、および、マイクロ波放射機構143の同軸管151の下端部に設けられている。アンテナ部156bは、内側導体153の下端部に接続された円板状をなす平面アンテナ161と、平面アンテナ161の上面側に配置された遅波材162と、平面アンテナ161の下面側に配置されたマイクロ波透過板163とを有している。アンテナ部156aは、平面アンテナ161bと、遅波材162aと、マイクロ波透過板163とを有している。平面アンテナ161bは、円板状であり、出力端子172,173の後述する出力ポート205の内軸207に接続される。遅波材162aは、平面アンテナ161bの上面側に配置される。マイクロ波透過板163は、平面アンテナ161bの下面側に配置される。マイクロ波透過板163は天壁部111に嵌め込まれており、その下面は処理容器101の内部空間に露出している。なお、アンテナ部156a,156bにおけるマイクロ波透過板163の直径および厚さは、同じであるとする。平面アンテナ161,161bは、貫通するように形成されたスロット161a,161cをそれぞれ有している。スロット161a,161cの形状は、マイクロ波が効率良く放射されるように適宜設定される。スロット161a,161cには誘電体が挿入されていてもよい。
【0029】
遅波材162,162aは、真空よりも大きい誘電率を有する材料によって形成されており、その厚さによりマイクロ波の位相を調整することができ、マイクロ波の放射エネルギーが最大となるようにすることができる。マイクロ波透過板163も誘電体で構成されマイクロ波をTEモードで効率的に放射することができるような形状をなしている。そして、マイクロ波透過板163を透過したマイクロ波は、処理容器101内の空間にプラズマを生成する。遅波材162,162aおよびマイクロ波透過板163を構成する材料としては、例えば、石英やセラミックス、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。
【0030】
なお、第1実施形態では、マイクロ波透過板163は、天壁部111において、均等に六方最密配置になるように配置されている。この場合、マイクロ波透過板163を含むアンテナ部156をセルの一例とすると、チューナ154bを含むマイクロ波放射機構143、および、アンテナ部156bの組であるセル174は、天壁部111の中心部に配置される内側セルの一例である。さらに、マイクロ波透過板163を含むアンテナ部156a、および、フィルタ144の組であるセル175は、天壁部111において、内側セルの周囲を囲むように複数配置される外側セルの一例である。
【0031】
図5に示すように、フィルタ144は、筐体201を有する。筐体201は、アルミニウムや銅等の導体で形成される。また、筐体201は、入力ポート202と、出力ポート205とを備える。出力ポート205は、出力端子172,173に対応する。本実施形態では、マイクロ波出力部130から供給される電磁波の流れ方向を基準として、分配器170のチューナ154aの出力側の同軸導波管145に接続される側を入力ポート202とし、アンテナ部156aに接続される側を出力ポート205として説明する。なお、入力ポート202と出力ポート205とは、接続先を入れ替えても構わない。
【0032】
入力ポート202および出力ポート205は、それぞれ外筒(外側導体)203,206、および、内軸(内側導体)204,207で形成される。つまり、入力ポート202および出力ポート205は、同軸構造である。筐体201は、外筒203,206と導通しており、入力ポート202に接続される同軸導波管145やアンテナユニット140が設置されるフレーム等を介して、接地された処理容器101とともにグランド電位となる。筐体201は、円筒形状であり、円筒の側面210には入力ポート202が形成される。なお、筐体201は、断面が四角の筒形状であってもよい。また、筐体201は、入力ポート202が形成された側の円筒の端部に出力ポート205が形成され、他方の端部208は円筒を閉じるように円盤状に形成される。さらに、端部208には、アルミニウムや銅等の導体で形成され、筐体201内に突出するように設けられグランドフィン209が接続される。グランドフィン209は、例えば円柱形状である。
【0033】
筐体201の内部には、グランドフィン209を囲むように形成される給電フィン224が設けられる。グランドフィン209と給電フィン224とは、同軸状に配置される。給電フィン224は、アルミニウムや銅等の導体で形成され、一方を基部221で閉じた円筒形状である。すなわち、給電フィン224は、筒形状のモノポールアンテナである。言い換えると、グランドフィン209は、図5に示す断面において、給電フィン224のフィン間に挿入されるように、筐体201内に突出するように設けられる。基部221は、円盤状であり、その中心部は、出力ポート205側にオフセットするように凸状となっている。基部221の側面222には、内軸204が接続される。基部221の凸状部分の底面223には、内軸207が接続される。すなわち、入力ポート202の内軸(入力側導体)204と、出力ポート205の内軸(出力側導体)207と、給電フィン224とによって、筐体201から絶縁される給電ライン220が形成される。つまり、フィルタ144では、内軸204と、給電フィン224と、内軸207とによって形成される給電ライン220が直角の配置となっている。
【0034】
筐体201と給電ライン220との間には、誘電体225を有する。つまり、グランドフィン209と給電フィン224との間、給電フィン224と円筒の側面210との間、および、給電フィン224の先端部224aから端部208との間は、誘電体225が充填された状態である。同様に、入力ポート202の外筒203と内軸204との間、および、出力ポート205の外筒206と内軸207との間にも、誘電体225が充填された状態である。誘電体225は、例えば、PTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)等を用いることができる。なお、誘電体225は、省略してもよい。
【0035】
また、図5の区間230に対応する空間、つまり、給電フィン224の基部221の外周側の面221aから中心である面221bまでの、筐体201およびグランドフィン209と、給電フィン224との間の空間は、定在波領域を形成する。すなわち、フィルタ144は、特定の共振周波数を有する共振器の一例である。また、フィルタ144は、立体回路によるバンドパスフィルタの一例である。なお、給電フィン224の先端部224aと端部208の内面208aとの間隔である区間231、および、グランドフィン209の先端部209aと給電フィン224の面221bとの間隔である区間232は、例えば、誘電体225の絶縁破壊電圧を考慮して決定される。例えば、区間231,232は、誘電体225がPTFEである場合、PTFEの絶縁破壊電圧の19kV/mmから20倍程度の安全率を考慮した1kV/mmを用いて決定される。なお、フィルタ144は、グランドフィン209および給電フィン224の数を増加させ、高さを低く(上下方向の長さを短く)するようにしてもよい。さらに、フィルタ144は、グランドフィン209を上下方向(フィルタ144の長手方向)に可動可能に構成し、共振周波数を可変可能としてもよい。
【0036】
フィルタ144の出力ポート205(出力端子172,173)には、アンテナ部156aが設けられている。なお、出力ポート205に設けられているアンテナ部156aは、上述のように、マイクロ波放射機構143の同軸管151の下端部に設けられているアンテナ部156bと同様の機能を有する。
【0037】
[電力の分配比率]
続いて、図6を用いて電力の分配比率の制御方法について説明する。図6は、電力の分配比率の制御方法の一例を示す図である。図6に示す分配器10は、分配器170と同様に1つの給電端子11から入力された高周波電力を、2つの出力端子12,13に分配する場合を模式的に表したものである。なお、図6では、給電端子11側のチューナは省略している。
【0038】
分配器10では、給電端子11から出力端子12側への伝送経路と、給電端子11から出力端子13側への伝送経路との電力伝送特性が異なる。つまり、分配器10では、出力端子12側の伝送経路の周波数特性である電力反射率12aおよび共振周波数14aと、出力端子13側の伝送経路の周波数特性である電力反射率13aおよび共振周波数15aとが異なる。この場合、共振周波数14aと同じ周波数の高周波電力14は、共振周波数14aの出力端子12側における電力反射率12aが低く、共振周波数15aの出力端子13側における電力反射率13aが高くなる。つまり、高周波電力14は、出力端子12側への分配比率が高くなる。一方、共振周波数15aと同じ周波数の高周波電力15は、共振周波数15aの出力端子13側における電力反射率13aが低く、共振周波数14aの出力端子12側における電力反射率12aが高くなる。つまり、高周波電力15は、出力端子13側への分配比率が高くなる。また、共振周波数14aと共振周波数15aとの中間の周波数16の高周波電力では、出力端子12側と出力端子13側とで電力反射率12a,13aが均等となり、出力端子12側と出力端子13側とに均等に電力が分配される。すなわち、マイクロ波出力部から出力される高周波電力の周波数を変調することで、機械的な駆動部を設けることなく、電力の分配比率を制御することができる。
【0039】
[シミュレーション結果]
次に、図7および図8を用いて分配器170の周波数特性のシミュレーション結果について説明する。図7は、第1実施形態におけるフィルタ単体の周波数特性の一例を示す図である。図7に示すグラフ172a,173aは、それぞれ、分配器170の出力端子172,173の各フィルタ144単体の周波数特性を表している。なお、グラフ172a,173aの配置は、図3の出力端子172,173に対応させている。グラフ172aに示すように、出力端子172のフィルタ144は、共振周波数900MHzにおいて電力透過率S21 が約1.00となっている。また、出力端子172のフィルタ144は、バンド幅172b(885MHz~915MHzの30MHz幅)のバンドパスフィルタとなる。一方、グラフ173aに示すように、出力端子173のフィルタ144は、共振周波数820MHzにおいて電力透過率S31 が約1.00となっている。また、出力端子173のフィルタ144は、バンド幅173b(805MHz~835MHzの30MHz幅)のバンドパスフィルタとなる。
【0040】
図8は、第1実施形態における分配器の周波数特性の一例を示す図である。図8に示すグラフ171aは、分配器170の給電端子171における電力反射率S11 の周波数特性を表している。グラフ172cは、分配器170の出力端子172における電力透過率S21 の周波数特性を表している。グラフ173cは、分配器170の出力端子173における電力透過率S31 の周波数特性を表している。図8の例では、マイクロ波出力部130における周波数変調の範囲を範囲130aとした場合について考える。ここで、高周波電力の中心周波数fは、出力端子172のフィルタ144の共振周波数900MHzと、出力端子173のフィルタ144の共振周波数820MHzとの中間の周波数である860MHzを用いる。なお、後述する第2実施形態と同様に、各セル175の各フィルタ144の共振周波数を全て異なる周波数としてもよい。
【0041】
まず、インピーダンス整合なしで、マイクロ波出力部130から1000Wの高周波電力を投入した場合、中心周波数の860MHzでは、出力端子172,173から出力される高周波電力は、下記の式(1),(2)で表される。なお、インピーダンス整合なしである場合、グラフ171aに対応する電力反射率S11 分の高周波電力は、マイクロ波出力部130側に向けて反射される。
【0042】
出力端子172の出力=1000×S21
=1000×0.43=430W ・・・(1)
出力端子173の出力=1000×S31
=1000×0.43=430W ・・・(2)
【0043】
周波数変調の範囲130aにおける下限周波数の850MHzでは、出力端子172,173から出力される高周波電力は、下記の式(3),(4)で表される。
【0044】
出力端子172の出力=1000×S21
=1000×0.38=380W ・・・(3)
出力端子173の出力=1000×S31
=1000×0.47=470W ・・・(4)
【0045】
周波数変調の範囲130aにおける上限周波数の870MHzでは、出力端子172,173から出力される高周波電力は、下記の式(5),(6)で表される。
【0046】
出力端子172の出力=1000×S21
=1000×0.46=460W ・・・(5)
出力端子173の出力=1000×S31
=1000×0.38=380W ・・・(6)
【0047】
次に、インピーダンス整合ありで、マイクロ波出力部130から1000Wの高周波電力を投入した場合、出力端子172,173の電力比は、電力透過率S21 :電力透過率S31 となる。従って、中心周波数の860MHzでは、出力端子172,173の電力比および出力される高周波電力は、下記の式(7)~(9)で表される。なお、インピーダンス整合ありである場合、グラフ171aに対応する電力反射率S11 分の高周波電力は、マイクロ波出力部130側に向けて反射されない。
【0048】
電力比) 出力端子172:出力端子173=1:1 ・・・(7)
出力端子172の出力=1000×S21 /(S21 +S31
=1000×1/2=500W ・・・(8)
出力端子173の出力=1000×S31 /(S21 +S31
=1000×1/2=500W ・・・(9)
【0049】
周波数変調の範囲130aにおける下限周波数の850MHzでは、出力端子172,173の電力比および出力される高周波電力は、下記の式(10)~(12)で表される。
【0050】
電力比) 出力端子172:出力端子173=38:47 ・・・(10)
出力端子172の出力=1000×S21 /(S21 +S31
=1000×38/(47+38)=447W ・・・(11)
出力端子173の出力=1000×S31 /(S21 +S31
=1000×47/(47+38)=553W ・・・(12)
【0051】
周波数変調の範囲130aにおける上限周波数の870MHzでは、出力端子172,173の電力比および出力される高周波電力は、下記の式(13)~(15)で表される。
【0052】
電力比) 出力端子172:出力端子173=46:38 ・・・(13)
出力端子172の出力=1000×S21 /(S21 +S31
=1000×46/(38+46)=548W ・・・(14)
出力端子173の出力=1000×S31 /(S21 +S31
=1000×38/(38+46)=452W ・・・(15)
【0053】
このように、分配器170では、マイクロ波出力部130から入力される高周波電力の周波数に応じて、出力端子172,173の分配比率を制御することができる。すなわち、分配器170は、入力された電力の分配比率を可変できる。また、フィルタ144を用いることで、従来の分配器よりも小型化できる。
【0054】
(第2実施形態)
上記の第1実施形態では、分配器170によって高周波電力を2分配したが、3分配以上に分配してもよく、この場合の実施の形態につき、第2実施形態として説明する。なお、第2実施形態におけるプラズマ処理装置は、アンテナユニット140および対応する天壁部111の構成を除いて上述の第1実施形態と同様であるので、その重複する構成および動作の説明については省略する。また、アンテナユニット140についても第1実施形態と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成および動作の説明については省略する。
【0055】
図9は、第2実施形態におけるアンテナユニットの一例を示す斜視図である。図9に示すように、アンテナユニット340は、分配器370を有する。分配器370は、6つのフィルタ344と、1つのチューナ343とを有する。チューナ343の出力側と、フィルタ344の入力側との間は、それぞれ同軸導波管345により接続されている。なお、チューナ343、同軸導波管345およびフィルタ344の構成は、第1実施形態のチューナ154、同軸導波管145およびフィルタ144と同様であるので、その説明は省略する。分配器370のチューナ343の入力側、つまり分配器370の給電端子371は、アンプ部142に接続される。フィルタ344の出力側、つまり出力端子372a~372fは、それぞれアンテナ部156aに接続される。なお、以下の説明では、出力端子372a~372fを区別しない場合、単に出力端子372と表す。
【0056】
分配器370では、マイクロ波透過板163を含むアンテナ部156a、フィルタ344および出力端子372の組をセル373とすると、6つのセル373は、天壁部111aにおいて、同一の円周上に配置される。出力端子372a~372fに対応する各フィルタ344は、共振周波数がそれぞれ異なる。例えば、出力端子372a~372fの順に、840MHzから865MHzまで5MHz刻みの共振周波数とする。分配器370では、マイクロ波出力部130から出力する高周波電力の周波数を、出力端子372a~372fに対応する各フィルタ344の共振周波数に変調することで、それぞれの出力端子372a~372fへの分配比率を制御することができる。また、隣り合うセル373の各フィルタ344の共振周波数を異なる周波数とすることで、高周波電力の干渉を抑制することができる。すなわち、分配器370は、プラズマ密度の分布を6つのセル373それぞれで独立に制御することができる。なお、第1実施形態においても、3つの分配器170のフィルタ144の共振周波数を全て異なる周波数、例えば、840MHzから865MHzまで5MHz刻みの共振周波数としてもよい。
【0057】
次に、図10から図12を用いて、第2実施形態におけるフィルタの共振周波数の組合せのバリエーションについて説明する。図10は、第2実施形態におけるフィルタの共振周波数の組合せの一例を模式的に示す図である。図10に示すアンテナユニット340aでは、天壁部111aの中心を軸として対向する位置のセル373a~373cの各組について、出力端子372のフィルタ344の共振周波数を同じ周波数としている。この場合であっても、隣り合うセル373a~373cの各フィルタ344の共振周波数は、異なる周波数となる。さらに、第1実施形態と組み合わせて、セル373a~373cは、円周上に等間隔に6個配置され、隣り合うセル373a,373b、セル373c,373a、および、セル373b,373cの3組について、それぞれ分配器170を設けてもよい。つまり、分配器170は、それぞれマイクロ波出力部130に接続される3個の系統を備えるようにしてもよい。すなわち、隣り合うセル373の組において、フィルタ344の共振周波数(周波数特性)は異なる。
【0058】
図11は、第2実施形態におけるフィルタの共振周波数と、高周波電力の周波数との組合せの一例を示す図である。図11に示すグラフ374a~374cは、図10に示すセル373a~373cに対応する各フィルタ344の共振周波数を電力反射率で表している。図11の例では、マイクロ波出力部130から出力する高周波電力の周波数を周波数F1~F5に変調することで、セル373a~373cにおける高周波電力の分配比率を制御することができる。例えば、マイクロ波出力部130から周波数F1の高周波電力を出力した場合、周波数F1における電力反射率は、グラフ374a、グラフ374b、グラフ374cの順に大きくなる。すなわち、高周波電力の分配比率は、大きい順に、セル373a、セル373b、セル373cとなる。
【0059】
例えば、マイクロ波出力部130から周波数F2の高周波電力を出力した場合、周波数F2における電力反射率は、グラフ374aとグラフ374bが同じであり、グラフ374cはこれらより大きくなる。すなわち、高周波電力の分配比率は、セル373aとセル373bとが同じ比率、セル373cは、セル373aおよびセル373bより小さくなる。
【0060】
例えば、マイクロ波出力部130から周波数F3の高周波電力を出力した場合、周波数F3における電力反射率は、グラフ374b、グラフ374c、グラフ374aの順に大きくなる。すなわち、高周波電力の分配比率は、大きい順に、グラフ374b、グラフ374c、グラフ374aとなる。
【0061】
例えば、マイクロ波出力部130から周波数F4の高周波電力を出力した場合、周波数F4における電力反射率は、グラフ374bとグラフ374cが同じであり、グラフ374aはこれらより大きくなる。すなわち、高周波電力の分配比率は、セル373bとセル373cとが同じ比率、セル373aは、セル373bおよびセル373cより小さくなる。
【0062】
例えば、マイクロ波出力部130から周波数F5の高周波電力を出力した場合、周波数F5における電力反射率は、グラフ374c、グラフ374b、グラフ374aの順に大きくなる。すなわち、高周波電力の分配比率は、大きい順に、セル373c、セル373b、セル373aとなる。
【0063】
図12は、第2実施形態における高周波電力の周波数変化の一例を示すタイミングチャートである。図12に示すグラフ375は、図11に示す周波数F1~F5に対応する高周波電力の出力の時刻による変化を1周期分表している。グラフ375では、周波数F1~F5の高周波電力を同じ値としてるが、周波数F1~F5の変化とともに、マイクロ波出力部130からの高周波電力の出力を変化させてもよい。また、グラフ375では、周波数F1~F5の出力時間を同じ時間としているが、例えば、周波数F1の出力時間を長くして周波数F2の出力時間を短くする等、周波数F1~F5の出力時間を任意に変更してもよい。図12の例では、マイクロ波出力部130から出力する高周波電力の出力および出力時間を変化させることで、セル373a~373cにおける高周波電力の分配比率を制御することができる。
【0064】
なお、上記した各実施形態では、セル175,373の数を6個として説明したが、これに限定されない。例えば、2分配の分配器170をn個の系統として用いる場合、セル175の個数を、2n個(n=1以上)としてもよい。また、例えば、m(m=3以上)分配の分配器を用いる場合、セル373の個数を、m個としてもよい。
【0065】
また、上記した第1実施形態では、天壁部111の中心にセル174を配置したが、これに限定されない。例えば、セル174を省略し、外側セルであるセル175のみとしてもよい。
【0066】
以上、各実施形態によれば、分配器(分配器170,370)は、電磁波を複数の出力端子(出力端子172,173,372a~372f)に分配する分配器であって、周波数を可変可能な高周波電源(マイクロ波出力部130)に、電気的に接続されるように構成される給電端子(給電端子171,371)と、給電端子に入力された電磁波が分配される複数の出力端子にそれぞれ設けられたフィルタ(フィルタ144,344)と、を有する。複数のフィルタは、それぞれ周波数特性が異なるように構成される。その結果、電力の分配比率を可変できる。
【0067】
また、各実施形態によれば、フィルタは、内軸(内軸204,207)と外筒(外筒203,206)とを有する入力ポート202および出力ポート205を備え、入力ポート202および出力ポート205の外筒と同電位となるように構成される筐体201と、入力ポート202の内軸204と、出力ポート205の内軸207とを接続し、筐体201内に設けられた給電フィン224と、筐体201と同電位で接続され、給電フィン224のフィン間に挿入されるように、筐体201内に突出するように設けられたグランドフィン209と、を備えるように構成される。その結果、フィルタを小型化することができる。
【0068】
また、第1実施形態によれば、分配器の出力端子(出力端子172,173)およびフィルタ144の数は、それぞれ2つである。その結果、2分配された出力端子において、電力の分配比率を可変できる。
【0069】
また、第2実施形態によれば、分配器の出力端子(出力端子372a~372f)およびフィルタ344の数は、それぞれ3つ以上である。その結果、3つ以上に分配された出力端子において、電力の分配比率を可変できる。
【0070】
また、各実施形態によれば、給電端子(給電端子171,371)とフィルタ(フィルタ144,344)それぞれとの間の経路(同軸導波管145,345)は、途中で分岐しており、給電端子と分岐との間に、さらに、電磁波を整合させる整合器(チューナ154,343)を有する。その結果、高周波電源(マイクロ波出力部130)側への電磁波の反射を抑制することができる。
【0071】
また、各実施形態によれば、複数の出力端子それぞれから出力される電磁波の電力は、周波数特性に応じて分配される。その結果、周波数変調により電力の分配比率を可変できる。
【0072】
また、各実施形態によれば、プラズマ処理装置100は、処理容器101と、周波数を可変可能な高周波電源(マイクロ波出力部130)と、高周波電源が出力する電磁波を、複数の出力端子(出力端子172,173,372a~372f)に分配する分配器(分配器170,370)と、出力端子に接続されたスロットアンテナ(平面アンテナ161,161b)と、スロットアンテナから放射される電磁波を透過させ、処理容器101内に電磁波を供給するように構成される透過窓(マイクロ波透過板163)と、を含む。分配器は、高周波電源に、電気的に接続されるように構成される給電端子(給電端子171,371)と、給電端子に入力された電磁波が分配される複数の出力端子(出力端子172,173,372a~372f)にそれぞれ設けられたフィルタ(フィルタ144,344)と、を有し、複数のフィルタは、それぞれ周波数特性が異なるように構成される。その結果、電力の分配比率を可変できる。また、プラズマ密度の分布を制御することができる。
【0073】
また、各実施形態によれば、フィルタ、出力端子、スロットアンテナおよび透過窓の組であるセル(セル175,373)は、処理容器101の上面(天壁部111,111a)において、同一の円周上に複数配置される。その結果、プラズマ密度の分布を制御することができる。
【0074】
また、各実施形態によれば、複数のセル175は、円周上に等間隔に2n個配置される。分配器170は、電磁波を2個のセル175に分配する分配器170であって、それぞれ高周波電源に接続されるn個の系統を備える。セル175それぞれは、フィルタ144の周波数特性がそれぞれ異なる。その結果、プラズマ密度の分布を2n個のセル175それぞれで独立に制御することができる。
【0075】
また、第1実施形態によれば、スロットアンテナおよび透過窓の組であるセルは、さらに、電磁波を整合させる整合器(チューナ154a,154b)を含み、処理容器101の上面の中心部に配置される内側セル(セル174)と、さらに、フィルタ144および出力端子を含み、処理容器101の上面(天壁部111)であって、内側セルの周囲を囲むように複数配置される外側セル(セル175)と、を含む。その結果、プラズマ密度の分布を内側セルおよび外側セルのそれぞれで独立に制御することができる。
【0076】
また、第1実施形態によれば、複数の外側セルは、同一の円周上に等間隔に2n個配置される。分配器170は、電磁波を2個の外側セルに分配する分配器170であって、それぞれ高周波電源に接続されるn個の系統を備える。同一の系統に属する外側セルそれぞれは、フィルタ144の周波数特性がそれぞれ異なる。その結果、プラズマ密度の分布を内側セルおよび外側セルのそれぞれで独立に制御することができる。また、異なる系統間では、周波数特性が同じフィルタ144を用いることができる。
【0077】
また、第1実施形態によれば、同一の系統内では、周波数特性は2種類であり、異なる系統間において、2種類の周波数を共用する。その結果、異なる系統間では、周波数特性が同じフィルタ144を用いることができる。
【0078】
また、第2実施形態によれば、複数の外側セル(セル373)は、同一の円周上に等間隔にn個配置される。分配器370は、電磁波をn個の外側セルに分配する分配器370であり、隣り合う外側セルそれぞれは、フィルタ344の周波数特性がそれぞれ異なる。その結果、プラズマ密度の分布をn個のセル373それぞれで独立に制御することができる。
【0079】
また、第2実施形態によれば、nは、3以上であり、周波数特性は、3種類以上であり、高周波電源は、所定の周期で周波数を変化させる。その結果、所定の周期に応じて、プラズマ密度の分布を3個以上のセル373それぞれで独立に制御することができる。
【0080】
また、第2実施形態によれば、nは、6であり、周波数特性は、3種類であり、複数の外側セルのうち、処理容器101の上面(天壁部111a)の中心点を中心とした点対称の位置にある外側セルは、フィルタ344の周波数特性が同一である。その結果、所定の周期に応じて、プラズマ密度の分布を3個以上のセル373それぞれで独立に制御することができる。また、点対称の位置にあるセル373では、周波数特性が同じフィルタ344を用いることができる。
【0081】
また、第2実施形態によれば、高周波電源は、変化させた複数の周波数において、それぞれの周波数を維持する時間を変化させる。その結果、周波数を維持する時間に応じて、プラズマ密度の分布を制御することができる。
【0082】
また、第1実施形態によれば、内側セルは、整合器の周波数特性が、外側セルそれぞれのフィルタ144の周波数特性と異なる。その結果、プラズマ密度の分布を内側セルおよび外側セルのそれぞれで独立に制御することができる。
【0083】
今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。上記の各実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0084】
また、上記した各実施形態では、処理容器101内の処理空間で直接プラズマを生成するプラズマ処理装置100を用いて説明したが、これに限定されない。例えば、チャンバ内に別にプラズマ生成室を有するリモートプラズマ処理装置に適用してもよい。
【0085】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
電磁波を複数の出力端子に分配する分配器であって、
周波数を可変可能な高周波電源に、電気的に接続されるように構成される給電端子と、
前記給電端子に入力された前記電磁波が分配される複数の前記出力端子にそれぞれ設けられたフィルタと、
を有し、
複数の前記フィルタは、それぞれ周波数特性が異なるように構成される、
分配器。
(2)
前記フィルタは、
内軸と外筒とを有する入力ポートおよび出力ポートを備え、前記入力ポートおよび前記出力ポートの前記外筒と同電位となるように構成される筐体と、
前記入力ポートの前記内軸と、前記出力ポートの前記内軸とを接続し、前記筐体内に設けられた給電フィンと、
前記筐体と同電位で接続され、前記給電フィンのフィン間に挿入されるように、前記筐体内に突出するように設けられたグランドフィンと、
を備えるように構成される、
前記(1)に記載の分配器。
(3)
前記出力端子および前記フィルタの数は、それぞれ2つである、
前記(1)または(2)に記載の分配器。
(4)
前記出力端子および前記フィルタの数は、それぞれ3つ以上である、
前記(1)または(2)に記載の分配器。
(5)
前記給電端子と前記フィルタそれぞれとの間の経路は、途中で分岐しており、
前記給電端子と前記分岐との間に、さらに、前記電磁波を整合させる整合器を有する、
前記(1)~(4)のいずれか1つに記載の分配器。
(6)
複数の前記出力端子それぞれから出力される前記電磁波の電力は、前記周波数特性に応じて分配される、
前記(1)~(5)のいずれか1つに記載の分配器。
(7)
プラズマ処理装置であって、
前記プラズマ処理装置は、
処理容器と、
周波数を可変可能な高周波電源と、
前記高周波電源が出力する電磁波を、複数の出力端子に分配する分配器と、
前記出力端子に接続されたスロットアンテナと、
前記スロットアンテナから放射される電磁波を透過させ、前記処理容器内に前記電磁波を供給するように構成される透過窓と、を含み、
前記分配器は、
前記高周波電源に、電気的に接続されるように構成される給電端子と、
前記給電端子に入力された前記電磁波が分配される複数の前記出力端子にそれぞれ設けられたフィルタと、
を有し、
複数の前記フィルタは、それぞれ周波数特性が異なるように構成される、
プラズマ処理装置。
(8)
前記フィルタ、前記出力端子、前記スロットアンテナおよび前記透過窓の組であるセルは、前記処理容器の上面において、同一の円周上に複数配置される、
前記(7)に記載のプラズマ処理装置。
(9)
複数の前記セルは、前記円周上に等間隔に2n個配置され、
前記分配器は、前記電磁波を2個の前記セルに分配する分配器であって、それぞれ前記高周波電源に接続されるn個の系統を備え、
前記セルそれぞれは、前記フィルタの前記周波数特性がそれぞれ異なる、
前記(8)に記載のプラズマ処理装置。
(10)
前記スロットアンテナおよび前記透過窓の組であるセルは、
さらに、前記電磁波を整合させる整合器を含み、前記処理容器の上面の中心部に配置される内側セルと、
さらに、前記フィルタおよび前記出力端子を含み、前記処理容器の前記上面であって、前記内側セルの周囲を囲むように複数配置される外側セルと、を含む、
前記(7)に記載のプラズマ処理装置。
(11)
複数の前記外側セルは、同一の円周上に等間隔に2n個配置され、
前記分配器は、前記電磁波を2個の前記外側セルに分配する分配器であって、それぞれ前記高周波電源に接続されるn個の系統を備え、
同一の前記系統に属する前記外側セルそれぞれは、前記フィルタの前記周波数特性がそれぞれ異なる、
前記(10)に記載のプラズマ処理装置。
(12)
同一の前記系統内では、前記周波数特性は2種類であり、
異なる前記系統間において、前記2種類の前記周波数を共用する、
前記(11)に記載のプラズマ処理装置。
(13)
複数の前記外側セルは、同一の円周上に等間隔にn個配置され、
前記分配器は、前記電磁波をn個の前記外側セルに分配する分配器であり、
隣り合う前記外側セルそれぞれは、前記フィルタの前記周波数特性がそれぞれ異なる、
前記(10)に記載のプラズマ処理装置。
(14)
前記nは、3以上であり、
前記周波数特性は、3種類以上であり、
前記高周波電源は、所定の周期で前記周波数を変化させる、
前記(13)に記載のプラズマ処理装置。
(15)
前記nは、6であり、
前記周波数特性は、3種類であり、
複数の前記外側セルのうち、前記処理容器の上面の中心点を中心とした点対称の位置にある前記外側セルは、前記フィルタの前記周波数特性が同一である、
前記(14)に記載のプラズマ処理装置。
(16)
前記高周波電源は、変化させた複数の前記周波数において、それぞれの前記周波数を維持する時間を変化させる、
前記(14)または(15)に記載のプラズマ処理装置。
(17)
前記内側セルは、前記整合器の前記周波数特性が、前記外側セルそれぞれの前記フィルタの前記周波数特性と異なる、
前記(10)~(16)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【符号の説明】
【0086】
100 プラズマ処理装置
101 処理容器
111,111a 天壁部
130 マイクロ波出力部
140 アンテナユニット
144,344 フィルタ
145,345 同軸導波管
154,154a,154b,343 チューナ
156,156a,156b アンテナ部
161,161b 平面アンテナ
163 マイクロ波透過板
170,370 分配器
171,371 給電端子
172,173,372a~372f 出力端子
174,175,373 セル
201 筐体
202 入力ポート
203,206 外筒
204,207 内軸
205 出力ポート
209 グランドフィン
224 給電フィン
225 誘電体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12